説明

生体情報測定装置及び血糖値測定装置

【課題】測定値がほぼ安定する安定期間の前における測定値の変化が大きい過渡期間にて安定値を予測し、より短時間で所望する生体情報の測定値(血糖値等)を得ることができる生体情報測定装置及び血糖値測定装置を提供する。
【解決手段】血液中または体液中に含まれている生体情報を検出可能な検出手段と、記憶手段と、演算手段と、表示手段とを備えた生体情報測定装置であって、検出手段による測定値は、経過時間に応じて安定値に向かって比較的大きく変化する期間を含む過渡期と、過渡期の次の期間であり経過時間に応じて比較的小さな変化で安定値を維持する安定期とに分類される。記憶手段には安定値を予測する換算方法が記憶されており、演算手段は、過渡期における測定値と予め記憶されている換算方法とに基づいて安定値を予測して、予測した安定値に基づいた生体情報を表示手段に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液または体液を採取して生体情報を測定する生体情報測定装置に関し、特に血液を採取して血糖値を測定する血糖値測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者が受けるインシュリンを投与する治療には、1日に数回、患者自身が手指等から血液を採取して血糖値測定装置を用いて血糖値を測定し、測定した血糖値に応じた量のインシュリンを投与する治療方法がある。
また、血糖値を求める方法としては、電極チップを用いて血液中の糖の濃度に応じて発生する電流を測定する酵素電極法と、試験紙を用いて血液中の糖の濃度に応じた色の濃度を測定する酵素比色法が一般的である。
どちらの方法も酵素を血液中の糖と反応させて測定する方法であり、最終的な測定値(安定値)を得るまでには時間がかかり(約数十秒)、測定開始時の測定値は安定値に向かって変化が大きい。そして時間の経過とともに徐々に変化が小さくなり、やがて安定値に到達し、この安定値を測定して血糖値を求めている。
特許文献1に記載の従来技術では、比色法を用いた場合において、反射光強度を検出して、変化量が所定値以下となった場合の反射光強度に基づいて血糖値を算出する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2000−046834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に示す従来技術では、1秒あたりの吸光度変化が2%になった時点で、試薬と血液との反応が略完了したものと判断し、その時点での吸光度をもとに血糖値を決定するようにしている。このため、測定値の変化が大きい過渡期間を経過して測定値がほぼ安定した安定期間に入ってから測定することになり、血糖値を得るまでの時間が比較的長くなる。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、測定値がほぼ安定する安定期間の前における測定値の変化が大きい過渡期間にて安定値を予測し、より短時間で所望する生体情報の測定値(血糖値等)を得ることができる生体情報測定装置及び血糖値測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの生体情報測定装置である。
請求項1に記載の生体情報測定装置は、血液中または体液中に含まれている生体情報を検出可能な検出手段と、記憶手段と、演算手段と、表示手段とを備えた生体情報測定装置であって、検出手段による測定値は、経過時間に応じて安定値に向かって比較的大きく変化する期間を含む過渡期と、過渡期の次の期間であり経過時間に応じて比較的小さな変化で安定値を維持する安定期とに分類される。
そして記憶手段には安定値を予測する換算方法が記憶されており、演算手段は、過渡期における測定値と予め記憶されている換算方法とに基づいて安定値を予測して、予測した安定値に基づいた生体情報を表示手段に表示する。
【0005】
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの血糖値測定装置である。
請求項2に記載の血糖値測定装置は、血液中または体液中に含まれている糖の濃度を検出可能な検出手段と、記憶手段と、演算手段と、表示手段とを備えた血糖値測定装置であって、検出手段による測定値は、経過時間に応じて安定値に向かって比較的大きく変化する期間を含む過渡期と、過渡期の次の期間であり経過時間に応じて比較的小さな変化で安定値を維持する安定期とに分類される。
そして記憶手段には安定値を予測する換算方法が記憶されており、演算手段は、過渡期における第1検出タイミングにて計測した第1測定値と、過渡期における第2検出タイミングにて計測した第2測定値とを求め、第1測定値と第2測定値と、予め記憶されている換算方法とに基づいて安定値を予測して、予測した安定値に基づいた血糖値を表示手段に表示する。
【0006】
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの血糖値測定装置である。
請求項3に記載の血糖値測定装置は、血液中または体液中に含まれている糖の濃度を検出可能な検出手段と、記憶手段と、演算手段と、表示手段とを備えた血糖値測定装置であって、検出手段による測定値は、経過時間に応じて安定値に向かって比較的大きく変化する期間を含む過渡期と、過渡期の次の期間であり経過時間に応じて比較的小さな変化で安定値を維持する安定期とに分類される。
そして記憶手段には安定値を予測する換算方法が記憶されており、演算手段は、過渡期における第3検出タイミングにて計測した第3測定値と、予め記憶されている換算方法とに基づいて安定値を予測して、予測した安定値に基づいた血糖値を表示手段に表示する。
【0007】
また、本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの血糖値測定装置である。
請求項4に記載の血糖値測定装置は、請求項2または3に記載の血糖値測定装置であって、検出手段は着脱可能であるとともに、識別情報を備えている。
また、記憶手段には、検出手段の識別情報に応じた換算方法、または検出手段の識別情報に応じた検出タイミングの少なくとも一方が記憶されている。
そして演算手段は、検出手段の識別情報を読み取り、読み取った識別情報に応じた換算方法、または読み取った識別情報に応じた検出タイミングの少なくとも一方を用いて安定値を予測して、予測した安定値に基づいた血糖値を表示手段に表示する。
【0008】
また、本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの血糖値測定装置である。
請求項5に記載の血糖値測定装置は、請求項2〜4のいずれかに記載の血糖値測定装置であって、演算手段は、更に、安定期における安定値を計測し、予測した安定値に基づいた血糖値と、計測した安定値に基づいた血糖値とを同時または切り替えて表示手段に表示することが可能である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の生体情報測定装置によれば、安定値を適切に予測するための換算方法(換算式、換算表等)を予め記憶手段に記憶しておき、測定値がほぼ安定する安定期の前の過渡期にて安定値を予測することができる。
これにより、より短時間で所望する生体情報を得ることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の血糖値測定装置によれば、過渡期における第1所定タイミングにて計測した第1測定値と、過渡期における第2所定タイミングにて計測した第2測定値と、安定値を適切に予測するための換算方法(換算式、換算表等)とを用いて、過渡期にて安定値をより正確に予測することができる。
これにより、より短時間で所望する血糖値を得ることができる。
【0011】
また、請求項3に記載の血糖値測定装置によれば、過渡期における第3所定タイミングにて計測した第3測定値と、安定値を適切に予測するための換算方法(換算式、換算表等)とを用いて、過渡期にて安定値をより正確に予測することができる。
これにより、より短時間で所望する血糖値を得ることができる。
【0012】
また、請求項4に記載の血糖値測定装置によれば、識別情報に応じて、すなわち検出手段の特性に応じて、換算方法、または検出タイミング(第1所定タイミング、第2所定タイミング、第3所定タイミング)の少なくとも一方を切り替える。
これにより、より短時間で所望する血糖値を、更に正確に得ることができる。
【0013】
また、請求項5に記載の血糖値測定装置によれば、短時間で得た「予測した安定値」と、安定期にて得た「実測した安定値」とをユーザが確認することができる。
このため、ユーザは「予測した安定値」の信頼性を確認することができ、便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の生体情報測定装置の1つである血糖値測定装置31の概略外観図及び使用方法を説明する図である。
●[血糖値測定装置の外観及び使用方法(図1)]
まず図1(A)を用いて血糖値測定装置31の外観について説明する。
血糖値測定装置31には、センサ装着部41、表示部42、操作部43、準備ボタン51、針発射ボタン53、減圧シリンダ55とが設けられている。なお、センサ1及び穿刺針60は着脱可能に構成されている。
センサ装着部41には、生体情報(この場合、血糖値)を検出するための電極を備えた、着脱可能なセンサ1が取り付けられる。
表示部42には、動作中であることの表示、及び検出した血糖値等が表示される。
操作部43には、測定開始等の信号の入力や、表示内容を切り替えるための各種の操作スイッチ44が設けられている。
ユーザは、穿刺針60を所定位置にセットし、準備ボタン51、針発射ボタン53、減圧シリンダ55等を用いて、穿刺針60を皮膚に刺して採血する。
【0015】
次に図1(B)〜(F)を用いて、ユーザが血糖値測定装置31を使用して血糖値を測定する手順について説明する。
まず、図1(A)に示すように、穿刺針60を装着し、さらに図1(B)に示すようにセンサ1をセンサ装着部41に装着する。さらに、所定の情報などを操作部43から入力した後、図1(B)に示すように準備ボタン51を押す。
次いで、図1(C)に示すように皮膚に押し当てる。その後、針発射ボタン53を押して図1(D)に示すように穿刺針60を皮膚70に刺してから引き抜き、図1(E)に示す状態で減圧シリンダ55による減圧状態を所定期間だけ保持して、穿刺部分から十分に出血させる。
その後、操作部43で測定開始を指示し、図1(F)に示すようにセンサ1の検出部に血液を染み込ませる。これによりセンサ1の検出部で血糖値に応じた電流が検出され、測定された血糖値が表示部42に出力される。
【0016】
●[センサの構造(図2)]
次に図2(A)及び(B)を用いてセンサ1の構造の例を説明する。なお、本実施の形態ではセンサ1及び血糖値測定装置31には酵素電極法を用いているが、酵素比色法にも適用することができる。
図2(A)に示すように、センサ1には検出部に接続される検出端子11と、センサ1の特性に関する種類を特定可能な識別情報に接続される識別端子13とが設けられている。この検出端子11及び識別端子13が、血糖値測定装置31のセンサ装着部41に挿入される。
検出部は接触部8b及び9bにて構成されており、接触部8b及び9bを採取した血液に接触させる。血糖値測定装置31は、検出端子11の両端に流れる電流を検出することで血糖値を測定する。
【0017】
識別情報は、例えば検出感度を等級付けしたロットとすることができる。図2(A)及び(B)の例では、3本の配線を各々短絡または開放のいずれかの状態とすることで、23=8通りの識別情報を提供することができる。なお、図2(A)は、はんだ等を用いて各々の配線を短絡または開放に設定可能な構成の例を示し、図2(B)はレーザ等でパターン配線をカットすることで各々の配線を短絡または開放に設定可能な構成の例を示している。
この識別情報を用いて、例えばセンサ1のロットによる特性の違いに合わせて、血糖値の最終到達値を予測する換算式または換算表等を切り替える(詳細は後述する)。
【0018】
●[センサ及び血糖値測定装置のブロック構成(図3)]
次に図3を用いて、センサ1及び血糖値測定装置31のブロック構成について説明する。
センサ1(検出手段に相当)は、既に説明したように、血糖値を検出する検出部1αと、センサ1の特性に関する種類を特定可能な識別情報1βとを備えている。
血糖値測定装置31は、CPU31a(演算手段に相当)を中心に構成され、CPU31aには、演算結果等を一時的に格納するRAM31b、動作プログラムや換算方法(換算式、換算表等)が記憶されたROM31c(記憶手段に相当)が接続されている。
センサ1の検出部1αが検出した検出信号は、入力インターフェース31g(以下、インターフェースを「I/F」と記載する)を介してAD変換器31dに入力される。CPU31aは、AD変換器31dを用いて検出部1αが検出した電流をデジタル値として取り込むことが可能である。この場合、入力I/F31gは、電流を電圧に変換する回路を含んでいる。
また、入力手段31eは、操作スイッチ44に相当する。
【0019】
センサ1の識別情報1βからの識別信号は、入力I/F31fを介してCPU31aに取り込まれる。図2(A)及び(B)の例に示すセンサ1の場合、CPU31aは、8通りの識別情報のいずれの識別情報であるかを認識することが可能である。
また、CPU31aは、出力I/F31hを介して測定結果の血糖値等を表示手段31m(LCDモニタ等であり、表示部42に相当する)に表示することが可能である。
また、CPU31aは、出力I/F31jを介して測定の開始や終了等を報知する音声を音声出力手段31n(スピーカ等)に出力することが可能である。
また、CPU31aは、通信I/F31kを介して外部機器80(パーソナルコンピュータ等)と通信を行ことが可能である。ユーザは測定した血糖値等のデータを外部機器80で収集して管理したり、当該データをインターネット等の通信回線を介して所定のサービス機関に送信し、サービス機関からのサポート等を受けたりすることができる。
なお、音声出力手段31nと出力I/F31j、通信I/F31kは省略してもよい。
【0020】
●[血糖値を測定する際の測定値の変化(図4)]
図4に、以上に説明したセンサ1及び血糖値測定装置31を用いて、血液中の糖の濃度に応じて時間とともに測定値が変化する様子の実験結果の例を示す。
図4には、50mg/dL、100mg/dL、200mg/dL、300mg/dL、400mg/dLの、各濃度の糖を用いて測定した実験結果であり、横軸は時間[sec]、縦軸はAD変換値(デジタル値)を示している。なお、本実験結果では、AD変換値の上限を1023(16進数で3FF)としていたため、1023で飽和しているが、入力I/F31gにおける電流を電圧に変換する回路でゲインを適切に調整すれば、飽和を抑制することができる。
図4より、各濃度のグラフは、最初に高い測定値を示し、その後は徐々に測定値が低下してやがて一定の値(この値を安定値と記載する)に落ち着く。この安定値を実際に測定して血糖値を表示すればよい訳であるが、時間がかかる(糖の濃度にもよるが、60[sec]程度の時間が必要である。)。
以下、図4に示すようなグラフにおいて、時間経過に応じた測定値の変化の幅が比較的小さい期間を安定期(経過時間が約60[sec]以上の部分)といい、時間経過に応じた測定値の変化の幅が比較的大きい期間を過渡期(経過時間が約0〜60[sec]の部分)という(図5を参照)。なお、過渡期と安定期との境界は、さほど厳密に定義する必要はない。また、過渡期の長さ(時間軸方向の長さ)は、糖の濃度に応じて増減する(図4より、濃度が低い場合は過渡期が短く、濃度が高い場合は過渡期が長いことがわかる)。
本発明では、過渡期の測定値と予め記憶されている変換方法(換算式、換算表等)とを用いて、過渡期において安定値を予測する。
【0021】
●[安定値の予測方法(換算方法の詳細)(図5)]
次に図5(A)及び(B)を用いて、安定値の予測方法について2通りの例を説明する。
(1)過渡期における異なる2点の測定値を用いる方法(図5(A))
図5(A)に示すように、過渡期における第1検出タイミング(測定値が所定値y0を超えてから時間t1経過時点)にて計測した第1測定値(この場合、y1A(濃度Aグラフ)、y1B(濃度Bグラフ))と、第2検出タイミング(測定値が所定値y0を超えてから時間t2経過時点)にて計測した第2測定値(この場合、y2A(濃度Aグラフ)、y2B(濃度Bグラフ))と、換算式または換算表等を用いる。
なお、センサ1の血液の吸引状態のバラツキ等に伴い、測定値の立ち上がり位置(時間軸方向の位置)のバラツキが比較的大きいので、測定値が所定値y0を超えてからの経過時間にて、第1及び第2検出タイミングを設定することが好ましい。
例えばt1=5[sec]、t2=15[sec]に設定し、第1測定値と第2測定値とによる傾きと、第1測定値または第2測定値との少なくとも一方の値と、換算式または換算表から安定値を予測する(換算式または換算表は、予め実験的に求めてROM31c(記憶手段)に記憶させておく)。
【0022】
(2)過渡期における1点の測定値を用いる方法(図5(B))
図5(B)に示すように、過渡期における第3検出タイミング(測定値が所定値y0を超えてから時間t3経過時点)にて計測した第3測定値(この場合、y3A(濃度Aグラフ)、y3B(濃度Bグラフ))と、換算式または換算表等を用いる。
例えばt3=10[sec]に設定し、第3測定値と、換算式または換算表から安定値を予測する(換算式または換算表は、予め実験的に求めてROM31c(記憶手段)に記憶させておく)。
【0023】
●[処理手順の例(図6)]
次に図6を用いて、安定値を予測する処理手順のフローチャートについて説明する。図6に示す処理は、例えば所定時間間隔(10ms間隔等)にてCPU31aが実行する。
以下、図6に示すフローチャートの各ステップを順に説明する。
ステップS10では、AD変換器31dを起動する。そしてステップS20にて測定値(AD変換器による変換結果のAD値)を取り込む(センサ1の検出部1αの検出結果を取り込む)。
ステップS30では、測定値が所定値(図5におけるy0)以上であるか否かを判定する。所定値未満である場合(No)はステップS300に進み、タイマ(検出タイミング用)を初期化して終了する。所定値以上である場合(Yes)はステップS40に進む。
ステップS40では、タイマが起動中であるか否かを判定する。タイマが起動していない場合(No、つまり所定値y0を初めて超えたタイミング)ではステップS50にてタイマを起動し、ステップS60に進む。タイマが起動している場合(Yes)はステップS60に進む。
【0024】
ステップS60では、センサ1の識別情報1βから識別情報を取り込み、ステップS70に進む。
ステップS70では、取り込んだ識別情報に応じた検出タイミングを選択する(例えば図5(A)に示す方法の場合、第1検出タイミングに相当する「t1」と第2検出タイミングに相当する「t2」とを選択する)。また、取り込んだ識別情報に応じた換算方法(換算式、換算表等)を選択する。なお、特に問題なければ識別情報に応じて検出タイミングや換算方法を切り替えなくてもよい。また、換算方法と検出タイミングとの少なくとも一方を切り替えるようにしてもよい。
ステップS80では、今回の処理タイミングが第1検出タイミングに対応するタイミングであるか否かを判定する。第1検出タイミングでない場合(No)、ステップS100に進む。第1検出タイミングである場合(Yes)、ステップS90に進む。
ステップS90では、測定値を第1測定値に格納し、ステップS100に進む。
ステップS100では、今回の処理タイミングが第2検出タイミングに対応するタイミングであるか否かを判定する。第2検出タイミングでない場合(No)、ステップS140に進む。第2検出タイミングである場合(Yes)、ステップS110に進む。
ステップS110では、測定値を第2測定値に格納し、ステップS120に進む。
【0025】
ステップS120では、第1測定値、第2測定値、換算方法に基づいて安定値を予測し、ステップS130にて換算結果(予測結果)を予測血糖値に格納し、ステップS190に進み、予測血糖値を表示して終了する。
ステップS140では、安定期に到達したか否かを判定する。例えばタイマにて80[sec]経過したか否かを判定する。到達していない場合(No)、ステップS170に進む。到達した場合(Yes)、ステップS150に進む。
ステップS150では、実測血糖値を格納済みであるか否かを判定する。既に格納済みの場合(Yes)、ステップS170に進む。格納していない場合(No)、ステップS160に進み、実測血糖値に測定値を格納し、ステップS170に進む。
ステップS170では、ユーザから実測血糖値の表示の指示があるか否かを判定する。指示がある場合(Yes)、ステップS180に進み実測血糖値を表示して終了する。指示がない場合(No)、ステップS190に進み予測血糖値を表示して終了する。
なお、ステップS170〜S190にて、実測血糖値と予測血糖値とを切り替えて表示させているが、血糖値測定装置31の表示手段31mに実測血糖値と予測血糖値との両方を同時に表示可能な構成とすれば、切り替えは不要である。
【0026】
本発明の血糖値測定装置は、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また、本実施の形態では血液を採取して血糖値を求める血糖値測定装置で説明したが、血液または体液を採取して種々の生体情報を測定する生体情報測定装置に適用することが可能である。
また、血糖値測定装置31は、穿刺針60や針発射ボタン53等の採血器を備えていない構造や、センサ装着部41と血糖値測定装置31とを別体で構成してもよい。
また、本実施の形態で説明した測定値のグラフの例は、図4に示すグラフに限定されるものではない。
また、本実施の形態で説明した換算方法は、図5に示す例及び説明に限定されるものではない。また、処理手順のフローチャートは、図6に示すフローチャートに限定されるものではない。
本実施の形態の説明に用いた数値等は一例であり、この数値等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の血糖値測定装置31の外観、ユーザが血糖値測定装置31を使用して血糖値を測定する手順について説明する図である。
【図2】センサの構造を説明する図である。
【図3】センサ1及び血糖値測定装置31のブロック構成について説明する図である。
【図4】血糖値の測定結果のグラフの例を示す図である。
【図5】安定値の予測方法について2通りの例を説明する図である。
【図6】安定値を予測する処理手順のフローチャートの例を説明する図である。
【符号の説明】
【0028】
1 センサ(検出手段)
1α 検出部
1β 識別情報
31 血糖値測定装置
31a CPU(演算手段)
31b RAM
31c ROM(記憶手段)
31d AD変換器
31m 表示手段
42 表示部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液中または体液中に含まれている生体情報を検出可能な検出手段と、記憶手段と、演算手段と、表示手段とを備えた生体情報測定装置であって、
検出手段による測定値は、経過時間に応じて安定値に向かって比較的大きく変化する期間を含む過渡期と、過渡期の次の期間であり経過時間に応じて比較的小さな変化で安定値を維持する安定期とに分類され、
記憶手段には安定値を予測する換算方法が記憶されており、
演算手段は、過渡期における測定値と予め記憶されている換算方法とに基づいて安定値を予測して、予測した安定値に基づいた生体情報を表示手段に表示する、
ことを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項2】
血液中または体液中に含まれている糖の濃度を検出可能な検出手段と、記憶手段と、演算手段と、表示手段とを備えた血糖値測定装置であって、
検出手段による測定値は、経過時間に応じて安定値に向かって比較的大きく変化する期間を含む過渡期と、過渡期の次の期間であり経過時間に応じて比較的小さな変化で安定値を維持する安定期とに分類され、
記憶手段には安定値を予測する換算方法が記憶されており、
演算手段は、過渡期における第1検出タイミングにて計測した第1測定値と、過渡期における第2検出タイミングにて計測した第2測定値とを求め、第1測定値と第2測定値と、予め記憶されている換算方法とに基づいて安定値を予測して、予測した安定値に基づいた血糖値を表示手段に表示する、
ことを特徴とする血糖値測定装置。
【請求項3】
血液中または体液中に含まれている糖の濃度を検出可能な検出手段と、記憶手段と、演算手段と、表示手段とを備えた血糖値測定装置であって、
検出手段による測定値は、経過時間に応じて安定値に向かって比較的大きく変化する期間を含む過渡期と、過渡期の次の期間であり経過時間に応じて比較的小さな変化で安定値を維持する安定期とに分類され、
記憶手段には安定値を予測する換算方法が記憶されており、
演算手段は、過渡期における第3検出タイミングにて計測した第3測定値と、予め記憶されている換算方法とに基づいて安定値を予測して、予測した安定値に基づいた血糖値を表示手段に表示する、
ことを特徴とする血糖値測定装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の血糖値測定装置であって、
検出手段は着脱可能であるとともに、識別情報を備えており、
記憶手段には、検出手段の識別情報に応じた換算方法、または検出手段の識別情報に応じた検出タイミングの少なくとも一方が記憶されており、
演算手段は、検出手段の識別情報を読み取り、読み取った識別情報に応じた換算方法、または読み取った識別情報に応じた検出タイミングの少なくとも一方を用いて安定値を予測して、予測した安定値に基づいた血糖値を表示手段に表示する、
ことを特徴とする血糖値測定装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載の血糖値測定装置であって、
演算手段は、更に、安定期における安定値を計測し、予測した安定値に基づいた血糖値と、計測した安定値に基づいた血糖値とを同時または切り替えて表示手段に表示することが可能である、
ことを特徴とする血糖値測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−71421(P2006−71421A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254444(P2004−254444)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(392013718)株式会社ニシトモ (6)
【Fターム(参考)】