説明

生体指標管理装置

【課題】健康状態の評価に必要な生体指標を適時に計測し収集するための技術を提供する。また、生体指標の計測、収集が行われずデータ欠損が生じた場合でも、健康状態の評価を可能とするための技術を提供する。さらに、生体指標のデータ欠損箇所を十分な妥当性をもって補完するための技術を提供する。
【解決手段】ある測定タイミングにおいて生体指標の測定データが取得できなかった場合に、再計測要求部13が利用者に対して生体指標の再計測を要求する。再計測が行われなかったために生体指標のデータセットに測定データの欠損が発生した場合に、データ補完部14が、ユーザ情報DB11に蓄積された過去のデータセットを用いて欠損を含むデータセットの欠損箇所を補完する。このとき、データ補完部14は、データセットの類似度に着目して、補完に用いるデータセットを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康な人または疾病予備群に該当する人を主な対象とした、個人的かつ能動的な自己健康管理を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、健康への関心が高まりをみせており、血圧や体重、摂取カロリーなどを日頃から管理したり、ジョギングやウォーキングなどの運動を積極的に行う人が増えはじめている。従来より、個人向け・家庭向けの健康関連機器としては血圧計、血糖計、体重計、体組成計、体温計などのさまざまな種類の計測装置が普及し、また運動を支援するための機器としては歩数計や活動量計などが提供されており、これらは健康管理ツールの一つとして活用されている。しかしながら、これらの機器で得ることができる情報は、あくまでも単なる数値(しかも測定した時点のスポット的な数値)でしかなく、その数値をどのように健康管理に生かすかはユーザ次第であるのが現状であった。
【0003】
上記のような実情に鑑み、本発明者らは、個人や家庭における健康管理のあるべき姿とそのために必要な要素技術について鋭意検討を重ねてきた。
【0004】
従来のシステムは、疾病管理や診断のために必要な数値情報(血圧値、血糖値など)を与えることを目的とするものが殆どであった。しかしながら、個人や家庭における健康管理の対象となるユーザには、疾病をもつ人だけでなく、健康な人や疾病予備群(発症してはいないが身体のどこかに兆候が現れ得る状態)の人も多く含まれる。健康な人や疾病予備群の人の場合は、計測装置で得られる測定値は正常範囲にあるため、そのような値だけでは自分の健康状態(疾病リスク度)を把握することはできない。また、どのような疾病を発症する虞があるかわからない段階では、ユーザは具体的に何の数値をどのように注意し管理すべきかを明確に特定することができない。つまり、各種の計測装置を利用すれば、家庭でも血圧値、血糖値、体重、体組成、体温など、さまざまな生体指標を計測できるものの、殆どのユーザは個別の測定値をどのように健康管理に役立てればよいかわからないのである。将来的には、さまざまな種類の計測装置が普及し、家庭で多種類の生体指標を日常的に計測する環境が実現するものと期待されるが、計測等により得られる生データの数が膨大になり情報過多になるほど、一般のユーザはそこから有意な情報、つまり自己の健康管理に有益な情報を得ることが難しくなるものと懸念される。
【0005】
健康な人や疾病予備群の人が知りたい情報は、ある一時点における個別の測定値ではなく、たとえば、自分は人と比べて健康なのかどうなのか、健康であるとしてもどの程度健康なのか、あるいは健康でないとしたらどれくらい深刻なのか、といった総合的な評価であったり、さらには、その評価を維持するには又はその評価を改善するにはどのようなアクションを採るべきなのか、といった具体的な指針であると考えられる。
【0006】
また、個人や家庭における健康管理を支援するために欠くことのできない観点として「継続性」が挙げられる。健康な状態を保つため、あるいは、疾病の発症リスクを下げるためには、日常的に生体指標を計測し評価したり、定期的な運動を心がけたりといった習慣が最も効果的であるし、また長期の測定値が蓄積されるほど有益な情報を提供できるからである。このような継続性を実現するには、ユーザのモチベーションを向上し維持する仕掛けが必要であり、さらにその仕掛けを実現するには、納得性及び信頼性のある情報をいかに分かり易い形でユーザに提供できるかが一つの鍵になるものと思われる。なお別の見方をすれば、個人用・家庭用の計測装置は、一回だけのスポット的な計測というよりも、ユーザ本人が気軽に定期的・日常的に生体指標を計測し蓄積できるところにこそ存在意義
がある。したがって、継続という点に実現性及び付加価値がなければ、個人や家庭における健康管理は成立しないともいえる。
【0007】
健康状態をより正確に評価するためには、当然のことながら、様々な種類の生体指標をできるだけ多く測定することが望ましい。とはいえ、日常生活の中で生体指標の値を常にモニタすることは困難であるし、また30分に1回など高頻度の測定をユーザに強いることは現実的でない。しかしながら、ユーザが自発的に計測した測定値だけでは、評価結果の信頼性が低下してしまったり、健康状態の変化や疾病の予兆を適時に検知できなかったりする可能性がある。
【0008】
生体情報の計測及び収集に関する先行技術として、特許文献1、2に挙げるものが知られている。特許文献1には、測定条件に対するユーザの遵守度合を算出し、遵守度合が低い場合にはユーザに対して再計測を促すシステムが開示されている。しかし、この方法ではユーザが必ずしも再計測を行うとは限らず、もし再計測が行われなかった場合にデータ欠損が生じてしまうという問題がある。また特許文献2では、電話機に生体計測装置を搭載することにより、ユーザに意識させたり負担をかけたりすることなく、電話中のユーザから自動的に生体情報の計測・収集を行うシステムが提案されている。しかし、この方法では、ユーザが電話をかけているタイミングでしか計測を行うことができないため、健康状態の評価に必要なタイミング(例えば起床時、食後、就寝前など)での生体情報を収集することが困難であり、日々の健康管理用システムには適さないという問題がある。
【特許文献1】特開2005−305134号公報
【特許文献2】特開2003−284695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図10は、本発明者らが想定する健康管理システムのコンセプトモデルを示している。同システムは、大きく分けて、「CHECK」、「PLAN」、「ACTION」の3つのカテゴリの機能を備え、生体から情報を収集し(CHECK)、その情報に基づき健康を維持・改善するための計画を立て(PLAN)、その計画の実施を支援する(ACTION)というサイクル(以下、CPAサイクルという)を総合的にサポートするものである。このようなCPAサイクルの提供により、個人や家庭における能動的な自己健康管理の継続実施が実現されるものと期待できる。
【0010】
本出願に係る発明は、上記コンセプトモデルの中のCHECK機能に関わる要素技術を提供することを目的とするものである。具体的には、本発明の目的の一つは、健康状態の評価に必要な生体指標を適時に計測し収集するための技術を提供することである。また本発明の目的の一つは、生体指標の計測、収集が行われずデータ欠損が生じた場合でも、健康状態の評価を可能とするための技術を提供することにある。また本発明の目的の一つは、生体指標のデータ欠損箇所を十分な妥当性をもって補完するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は以下の手段及び処理を採用する。
【0012】
本発明に係る生体指標管理装置は、健康状態の評価に用いる生体指標について、予め定められた測定タイミングにしたがって計測装置で測定された測定データを前記計測装置から取得する測定データ取得手段と、1日若しくは所定の単位期間に取得した複数の測定データをデータセットとして蓄積する記憶手段と、ある測定タイミングにおいて前記生体指標の測定データが取得できなかった場合に、利用者に対して前記生体指標の再計測を要求する再計測要求手段と、再計測が行われなかったために前記生体指標のデータセットに測
定データの欠損が発生した場合に、前記記憶手段に蓄積された過去のデータセットを用いて前記欠損を含むデータセットの欠損箇所を補完する補完手段と、を備える。
【0013】
ここで「生体指標」とは、身体の生理的な状態を示す尺度、およびその数値である。例えば血圧値(最高血圧値、最低血圧値)、血糖値(空腹時血糖値、随時血糖値)、体重、体脂肪率、血清総コレステロール、BMI等が生体指標に該当する。健康状態の評価には1つ又は複数項目の生体指標が用いられる。各生体指標について予め測定タイミングが設定され、利用者(評価対象者)にはその測定タイミングにしたがって生体指標の測定を行うことが要求されているものとする。1日の中に複数回の測定タイミングが設定されるが、それぞれの測定タイミングは生体指標の変動や健康状態の変化を適切に監視できるようなタイミングに設定されることが好ましい。
【0014】
本発明の構成によれば、同じ測定タイミングで測定された測定データが日々蓄積されていく。このように収集された測定データは、例えば、生体指標の定点観測、異常の早期発見、健康状態の総合評価などに利用できる。そして、本発明では、測定データが取得できなかった場合に利用者に対して再計測を要求するため、計測忘れを防ぐことができるとともに、利用者に対して自分で計測することの意識づけを促すことができるという利点がある。
【0015】
再計測を要求してもなお測定データが得られなかった場合には、過去のデータセットを用いて測定データの欠損箇所が補完される。したがって、何らかの事情により生体指標の測定が行われなかったとしても、補完データを用いて健康状態の評価を行うことが可能となる。しかも過去に蓄積されたデータセットを用いてデータ欠損箇所の補完が行われるため、妥当な補完データを得ることができる。
【0016】
なお、妥当な補完データとはいっても、実際の測定データよりも正確性が劣ることは否めない。したがって、本発明のように、最初に再計測の要求を行い、予備的手段として欠損箇所の補完を行う構成とすることが好ましい。これにより、測定データの取得を優先しつつ、やむを得ず欠損が生じた場合のみデータ補完を行う、という仕組みが実現できる。
【0017】
前記補完手段は、欠損箇所以外の測定データに着目して、前記欠損を含むデータセットと、前記記憶手段に蓄積されている過去の複数のデータセットのそれぞれとの類似度を評価することにより、最も類似度の高い過去のデータセットを類似データセットとして選び出し、選び出した前記類似データセットを用いて前記欠損を含むデータセットの欠損箇所を補完することが好ましい。
【0018】
これは、欠損が生じた生体指標に関してデータセットの類似度を評価することにより、補完に用いる類似データセットを選び出す方法である。この方法は、データセット中の一部のデータのみが欠損している場合に好ましく適用できる。
【0019】
複数項目の生体指標について、前記測定データ取得手段による測定データの取得と前記記憶手段へのデータセットの蓄積が行われている場合には、次のように類似データセットを選び出すこともできる。すなわち、前記複数項目の生体指標のうちの第1の生体指標のデータセットに測定データの欠損が発生した場合に、前記補完手段は、前記欠損を含むデータセットと同じ日若しくは同じ単位期間に取得された前記第1の生体指標以外の他の生体指標のデータセットと、前記記憶手段に蓄積されている前記他の生体指標の過去の複数のデータセットのそれぞれとの類似度を評価することにより、最も類似度の高い前記他の生体指標の過去のデータセットを選び出し、選び出した前記他の生体指標の過去のデータセットと同じ日若しくは同じ単位期間に取得された前記第1の生体指標の過去のデータセットを類似データセットとして選び出し、選び出した前記類似データセットを用いて前記
欠損を含むデータセットの欠損箇所を補完することができる。
【0020】
これは、欠損が生じた生体指標(第1の生体指標)以外の生体指標(他の生体指標)に関してデータセットの類似度を評価することにより、補完に用いる類似データセットを選び出す方法である。この方法は、データセット中の大半若しくは全部のデータが欠損している場合に好ましく適用できる。
【0021】
前記補完手段は、前記類似データセットの中から前記欠損箇所と同じ測定タイミングで測定された測定データを抽出し、その抽出した測定データを前記欠損箇所のデータとして用いることが好ましい。これは、データセット中の一部のデータのみが欠損している場合に好ましく適用できる。
【0022】
また前記補完手段は、前記欠損を含むデータセットを前記類似データセットで置き換えることも好ましい。この方法は、データセット中の大半若しくは全部のデータが欠損している場合に好ましく適用できる。
【0023】
本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する生体指標管理装置として捉えてもよいし、その生体指標管理装置と1以上の計測装置とを備えるシステムとして捉えてもよい。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む生体指標管理方法、または、かかる方法をコンピュータに実行させるためのプログラムやそのプログラムを記録した記録媒体として捉えることもできる。なお、上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、健康状態の評価に必要な生体指標を適時に計測し収集するための技術を提供することができる。また本発明によれば、生体指標の計測、収集が行われずデータ欠損が生じた場合でも、生体指標のデータ欠損箇所を十分な妥当性をもって補完することができ、その補完データを用いた健康状態の評価が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0026】
(健康管理システムの全体像)
図1は、本発明に関わる健康管理システムの全体的な構成を示している。この健康管理システムは、前述したCPAサイクルをサポートするためのシステムである。「CHECK」に関わる機能として、日々の健康状態を測定するための「生体指標測定機能」と、測定で得られた情報から将来のリスクを推定するための「リスク推定機能」を備える。また、「PLAN」に関わる機能として、CHECKで得られた結果に基づきリスクの要因となる生活習慣等の因子を抽出するための「リスク因子抽出機能」と、改善目標の設定や改善計画の提案を行うための「改善計画支援機能」を備える。また、「ACTION」に関わる機能として、PLANで得られた改善目標・計画に従って生活改善活動(運動)の実施を支援するための「改善効果確認機能」と、必要に応じて計画・目標を修正するための「改善計画修正機能」を備える。これらのCHECK、PLAN、ACTIONの各機能が有機的に結びつき、そのサイクルを繰り返すことで、複数の生体指標に基づく総合的な健康状態の判断、将来的な健康リスクの評価、及び当該リスクと日常生活における活動との関係を可視化することができ、個人や家庭における能動的な自己健康管理の継続実施を支援することができるものと期待できる。
【0027】
以下に述べる総合健康状態判断システムは、上記健康管理システムの構成のうちのCHECK機能(より詳しくは生体指標測定機能)を担う要素技術として位置付けられるもの
である。
【0028】
(総合健康状態判断システム)
図2は、本発明の実施形態に係る総合健康状態判断システム(以下、単に「システム」ともいう。)の一構成例を示す図である。
【0029】
このシステムは、総合健康状態判断装置(生体指標管理装置)1と、1以上の計測装置2〜5とから構成される。計測装置としては、人の身体から生体指標(生体情報ともいう)を測定するための装置や、人の活動や生活習慣などの生活指標を測定するための装置などを用いることができる。生体指標の計測装置としては、たとえば、体重、体組成(体脂肪、筋肉など)、BMIなどを測定可能な体重体組成計、血糖値を測定する血糖計、血圧及び脈拍数を測定する血圧計、体温を測定する体温計、心拍数を測定する心拍計などがある。また生活指標の計測装置としては、たとえば、身体活動量や運動強度を測定する活動量計、歩数を測定する歩数計、睡眠の状態を測定する睡眠センサ、食事のカロリー計算を行うカロリー計などがある。図2に示す本実施形態のシステムでは、体重体組成計(2)、血糖計(3)、血圧計(4)、及び活動量計(5)が用いられている。
【0030】
総合健康状態判断装置1と各計測装置2〜5とは、有線または無線によりデータ通信可能である。各計測装置で得られた測定データは、総合健康状態判断装置に送られ集約される。基本的には、総合健康状態判断装置と各計測装置とは常時接続されており、測定が行われるたび若しくは予め決められたタイミングで、計測装置から総合健康状態判断装置へのデータ送信が行われる。これにより両装置間のデータの同期が図られる。なお、総合健康状態判断装置と計測装置とが常時接続でない場合には、計測装置または総合健康状態判断装置が接続の有無を監視し、接続を検知したときに自動的にデータの同期をとるとよい。もちろん、ユーザ自身の操作により、測定データを健康状態判断装置に転送してもよい。
【0031】
(総合健康状態判断装置のハードウエア構成)
図3は、総合健康状態判断装置1のハードウエア構成を模式的に示すブロック図である。
【0032】
図3に示すように、総合健康状態判断装置1は、CPU(中央演算処理装置)101、ボタン102及びユーザI/F(インターフェイス)制御部103、通信コネクタ104及び機器通信制御部105、RTC(リアルタイムクロック)106及びRTC制御部107、パネル108及び表示制御部109、音源装置110及び音制御部111、ROM(リードオンリーメモリ)112・RAM(ランダムアクセスメモリ)113及び記憶媒体制御部114、電源115及び電源制御部116を備えている。この装置は、専用の機器として構成することもできるし、パーソナルコンピュータなどの汎用機器に必要なハードウエア(例えば計測機器との通信コネクタ)及び必要なプログラムを実装することで構成してもよい。
【0033】
ボタン102は、総合健康状態判断装置1に情報や指示を入力するための入力手段である。ボタン102の操作により入力された情報や指示はユーザI/F制御部103を介してCPU101に通知される。
【0034】
通信コネクタ104及び機器通信制御部105は、各種計測装置2〜5との間のデータ通信を実現するための通信手段である。通信方式としては、USB、IEEE1394などの有線通信でもよいし、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、IrDA、無線LANなどの無線通信でもよい。
【0035】
RTC106及びRTC制御部107は、計時機能を提供する部分である。
【0036】
パネル108及び表示制御部109は、後述する各種の指標の測定データ、測定ガイド、再計測の要求などを表示するための表示手段である。パネル108としては、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを好適に用いることができる。
【0037】
音源装置110及び音制御部111は、アラートや音声ガイドなどを出力する出力手段である。
【0038】
ROM112は、総合健康状態判断装置1としての機能を提供するプログラム、各種設定値、各計測装置2〜5から取得した測定データ、入力手段から入力された情報、後述する各種の指標などが格納される記憶媒体である。EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)のように書き換え可能なメモリで構成される。RAM113は、プログラム実行時のワークメモリとして利用される記憶媒体である。ROM112及びRAM113へのアクセスは記憶媒体制御部114によって制御される。なお、EEPROMに加えて、あるいはEEPROMの代わりに、ハードディスクなどの記憶媒体を設けてもよい。
【0039】
電源115及び電源制御部116は、総合健康状態判断装置1に電力を供給する機能である。電源115としては電池でもよいしAC電源でもよい。
【0040】
(総合健康状態判断装置の機能構成)
図4は、総合健康状態判断装置1の機能(特に、生体指標管理装置としての機能)を模式的に示す機能構成図である。
【0041】
図4に示すように、総合健康状態判断装置1は、その機能として、生体指標収集部(測定データ取得手段)10、ユーザ情報DB(記憶手段)11、測定ガイド出力部12、再計測要求部(再計測要求手段)13、データ補完部(補完手段)14を備える。これらの機能は、CPU101がROM112に格納されたプログラムを読み込み実行することにより実現されるものである。なおユーザ情報DB11はROM112内に構築される。
【0042】
(生体指標の測定とデータの蓄積)
測定ガイド出力部12は、生体指標の測定ガイドをパネル108に出力する機能である。具体的には、測定すべき生体指標の種類(測定項目)、各生体指標の測定タイミング、測定回数、測定方法などの情報が測定ガイドとして出力される。なお測定ガイド出力部12が通信コネクタ104を介して測定ガイドを各計測装置に送信し、計測装置の表示パネルや音声出力部から測定ガイドを出力するようにしてもよい。
【0043】
ここで各生体指標の測定タイミング、測定回数、測定方法などは、医学的な観点から定められることが望ましい。測定タイミングの規定方法としては、例えば、(1)「起床時」、「食後」、「入浴後」、「就寝前」のように、ユーザのイベント(行動)を基準として測定タイミングを規定する方法、(2)「午前10時」、「2時間に1回」、「午前7時〜9時」のように、時刻や時間帯で測定タイミングを規定する方法、(3)「朝」、「昼前」、「夕方」、「夜中」などの一日の中の区分を基準として測定タイミングを規定する方法などがある。
【0044】
いずれの規定方法を用いてもよいが、生活パターン(起床、食事、就寝、勤務などの時間)の人による違いや日々の違いに柔軟に対応できるという利点から、本実施形態では(1)の規定方法を採用する。例えば、「血圧値」については、少なくとも「起床時」及び「就寝前」の2点、好ましくは「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」を加えた5点の測定
タイミングでの血圧測定を要求する。起床時の血圧は、起床後1時間以内、排尿後、服薬前、かつ、朝食前に測定することが医学的に推奨されている。また血圧は座位で1〜2分間安静にした後に測定することが望ましいとされている。よってこれらの情報を測定ガイドとして出力してもよい。「血糖値」については、例えば、「朝食前」、「朝食後」、「昼食前」、「昼食後」、「夕食前」、「夕食後」、「就寝前」の6点の測定タイミングを設定するとよい。また「体重」や「BMI」については、例えば、「起床時」、「朝食後」、「夕食後」、「就寝前」の4点の測定タイミングを設定するとよい。このように各生体指標について予め測定タイミングが設定されており、ユーザにはその測定タイミングにしたがって各種生体指標の測定を行うことが要求されているものとする。なおここで述べた測定タイミングの設定は一例であり、それぞれの測定タイミングは生体指標の変動や健康状態の変化を適切に監視できるようなタイミングに適宜設定すればよい。
【0045】
ユーザが測定ガイドにしたがって生体指標を測定すると、生体指標収集部10が通信コネクタ104を介して計測装置から測定データを取得する。計測装置が常時接続の場合は測定データの収集はほぼリアルタイムに実行される。計測装置から取得した測定データは記憶手段であるユーザ情報DB11に蓄積される。このとき測定日時等の測定タイミングを表す情報とともに測定データが記録される。
【0046】
図5はユーザ情報DB11に蓄積された測定データの一例を示している。図5の例では、血糖値、BMI、血圧値の3項目について、各日のデータセットが蓄積・管理されている。なおデータセットとは、測定データの管理単位であって、典型的には一日分の測定データ群から構成される。ただし、これに限らず、任意に定めた単位期間(例えば、一週間、数日、半日、数時間など)に取得した測定データ群をデータセットとして取り扱うこともできる。
【0047】
図5に示すように、本装置によれば、同じ測定タイミングで測定された測定データがユーザ情報DB11に蓄積されていく。このように各種生体指標の測定データを継続的に収集し蓄積することにより、例えば、生体指標の値の定点観測、異常の早期発見、健康状態の総合評価(疾病リスクの推定)などが可能となる。
【0048】
(測定データを取得できなかった場合の処理)
上記のように、本実施形態の総合健康状態判断装置1では、予め決められた測定タイミングにしたがってユーザが生体指標の測定を行い、測定データの蓄積を行うことが前提となっている。しかしながら、現実には、ユーザが測定をし忘れたり、あるいは測定の失敗や計測装置の不具合等が原因で、必要な測定データを取得できない可能性もある。そこで総合健康状態判断装置1は、ある測定タイミングにおいて必要な測定データが取得できなかった場合に、以下の処理例1又は2の手順で測定データの欠損を防止する。
【0049】
<処理例1>
処理例1は、生体指標の再計測を別の日に行う例である。図6のフローチャートに沿って処理例1の流れを説明する。
【0050】
ステップS60において、再計測要求部13は、測定ガイドで指示した測定タイミングにしたがって測定データの取得が行われたか否かを調べる。測定データが取得済みであった場合、すなわち再計測等が不要な場合は、処理を終了する(S60;YES)。
【0051】
一方、測定データを取得できていなかった場合には(S60;NO)、再計測要求部13がユーザに対して該当する生体情報の再計測を要求する(S61)。例えば、再計測要求部13は、「明日の○○時に血圧の再計測を行ってください」といった内容の再計測要求メッセージをパネルに表示したり、音声出力したりすればよい。また、再計測要求部1
3は、再計測要求メッセージを該当する計測装置に送信し、計測装置側で再計測要求メッセージを出力してもよい。さらに、再計測要求部13は、ユーザが所持する携帯電話やパソコンに再計測要求メッセージをメール送信し、携帯電話やパソコンなどから再計測要求を出力することも好ましい。
【0052】
再計測要求どおりに測定データが取得できた場合には(S62;YES)、当該測定データがユーザ情報DB11に蓄積される(S63)。
【0053】
一方、再計測が行われなかった場合には(S62;NO)、測定データに欠損が発生する。この場合は、例えば「過去のデータから補完を行いますか?(実際に計測を行っているわけではないので、推定値となります)」といった確認メッセージを表示し、データ欠損箇所の補完を行うかどうかをユーザに尋ねた上で、データ補完部14がデータの補完を行う(S64)。補完処理の詳細は後述する。ここでユーザに補完の要否を確認するのは、補完データが測定データに比べて正確性が劣ることをユーザに認識してもらうためである。なお、過去のデータが十分に蓄積されていないためにデータの補完が困難な場合には、データ補完は行わず、あらためて再計測をユーザに要求してもよい。
【0054】
<処理例2>
処理例2は、生体指標の再計測を同じ日に行う例である。図6のフローチャートに沿って処理例2の流れを説明する。
【0055】
それぞれの測定タイミングには再計測要求を行う時刻(リマインド時刻)が予め設定されている。リマインド時刻は測定タイミングの終期またはその近傍に設定される。例えば、血圧値の測定タイミングである「起床時」が午前5時30分から9時00分の幅をもつ場合には、リマインド時刻は9時00分かその前後に設定される。
【0056】
リマインド時刻が到来すると図6のステップS60の処理が開始される。ステップS60では、再計測要求部13がこのリマインド時刻に対応する測定タイミングにおいて測定データの取得が行われたか否かを判断する。上記の例の場合は、9時00分になると再計測要求部13がユーザ情報DB11を参照し、測定タイミング「起床時」の血圧値が蓄積済みであるか否かが判断されることとなる。
【0057】
測定データが取得済みであった場合、すなわち再計測等が不要な場合、処理を終了する(S60;YES)。
【0058】
一方、測定データを取得できていなかった場合には(S60;NO)、再計測要求部13がユーザに対して該当する生体情報の再計測を要求する(S61)。例えば、再計測要求部13は、「起床時の血圧値を再計測してください。」といった内容の再計測要求メッセージをパネルに表示したり、音声出力したりする。また処理例1と同様、計測装置や携帯電話などで再計測要求を出力してもよい。
【0059】
再計測要求後、所定時間内(例えば1時間以内)に該当する計測装置から測定データが取得できた場合(つまりユーザによる再計測が行われた場合)には(S62;YES)、当該測定データがユーザ情報DB11に蓄積される(S63)。ここで再計測の時間に制限を設けたのは、再計測の測定データと別の測定タイミングで取得された測定データとの混同を防ぐためである。
【0060】
一方、再計測が行われなかった場合には(S62;NO)、測定データに欠損が発生する。この場合は、例えば「過去のデータから補完を行いますか?(実際に計測を行っているわけではないので、推定値となります)」といった確認メッセージを表示し、データ欠
損箇所の補完を行うかどうかをユーザに尋ねた上で、データ補完部14がデータの補完を行う(S64)。以下、補完処理について詳しく説明する。
【0061】
(データ欠損の補完)
データ補完部14は、ユーザ情報DB11に蓄積された過去のデータセットを用いてデータセットの欠損箇所を補完する。生体指標の値は常に変動するため、データセットごとに測定データの値やその変化(推移)が相違する。そこで測定データの値の一致度合いや変化パターンの一致度合いをデータセット間の類似度として評価し、その類似度に基づいて補完に用いるデータセットを選択することが好ましい。
【0062】
ここでデータの補完方法には、(1)欠損が生じた生体指標のデータセットの類似度に着目した方法と、(2)欠損が生じた生体指標以外の生体指標のデータセットの類似度に着目した方法と、(3)他人のデータセットを利用する方法とがある。データ補完部14はいずれか一つの補完方法を採用することもできるし、2つ又は3つの補完方法を採用して、データ欠損の割合、生体指標の種類、過去データの蓄積状況などに応じて適応的に補完方法を切り替えてもよい。補完方法(1)はデータセット中の一部のデータのみが欠損している場合(欠損の割合が小さい場合)に適しており、補完方法(2)はデータセット中の大半若しくは全部のデータが欠損している場合に適している。また補完方法(3)は過去データの蓄積が少ない場合に適している。
【0063】
(1)欠損が生じた生体指標のデータセットの類似度に着目した方法
図7は、補完方法(1)を説明するための図である。図7は「血圧値」のデータセットの例であり、「起床時」、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」、「就寝前」の5点の測定データD1〜D5からデータセットが構成されている。
【0064】
現在のデータセット70において夕食後の測定データD4が欠損している。この場合、データ補完部14は、欠損箇所以外の測定データD1〜D3及びD5に着目して、欠損を含むデータセット70とユーザ情報DB11に記憶されている過去の複数のデータセット71のそれぞれとの類似度を評価する(S71)。なお、過去のデータセット71としては、過去のある一日におけるデータセットを用いることもできるし、過去のある一定期間(例えば、一週間、一月など)の測定データの平均値や最頻値をもとに算出したデータセットを用いることもできる。
【0065】
類似度の評価方法については、データ列(データ集合)同士の類似度を評価可能ないかなる公知手法を採用してもよい。例えば、現在のデータセット70のデータ列をDa1〜Da5、過去のデータセット71のデータ列をDb1〜Db5とした場合に、下記のスコアSにより類似度を評価してもよい。
S=Σ|Daj−Dbj| (j=1,2,3,5)
このスコアSは、2つのデータセット70、71の対応する測定データ同士の差の絶対値の総和である。スコアSが小さくなるほど2つのデータセットの類似度が高いことを表す。
【0066】
他の方法としては、2つのデータセット70、71の相関係数を評価する方法がある。相関係数が大きいほど2つのデータセットの類似度が高いことを表す。また類似度を評価する手法としては、他にも、パターン類似度を利用する手法、隠れマルコフモデル等の確率遷移モデルを利用する手法、ベイジアンネットワークを利用する手法、ファジーを利用する手法など、さまざまな手法が利用できる。
【0067】
上記のようにデータセット間の類似度を算出したら、データ補完部14は、現在のデータセット70に対して最も類似度の高い過去のデータセット72を一つ選び出す(S72
)。これを類似データセット72とよぶ。
【0068】
そして、データ補完部14は、類似データセット72の中から欠損箇所と同じ測定タイミングで測定された測定データD4を抽出し、この抽出した測定データをデータセット70の欠損箇所に組み込む(S73)。これにより、現在のデータセット70の欠損箇所が補完される。
【0069】
(2)欠損が生じた生体指標以外の生体指標のデータセットの類似度に着目した方法
補完方法(1)では、血圧値のデータが欠損した場合に、血圧値のデータセット同士の類似度を評価することにより補完に利用する類似データセットを選び出している。しかしこの方法は、現在のデータセットにおけるデータ欠損の割合が大きくなるほど(測定データの数が少なくなるほど)補完精度が低下するおそれがある。また現在のデータセット中の全部のデータが欠損している場合(測定データが1つもない場合)には、補完方法(1)は利用できない。補完方法(2)はこのような問題を解決する方法であり、欠損の割合が小さい場合はもちろんのこと、データセット中の大半若しくは全部のデータが欠損している場合にも妥当な補完データを得るための方法である。
【0070】
図8は、補完方法(2)を説明するための図である。図8は、図7と同様、5点の測定データD1〜D5から構成される「血圧値」のデータセットを示している。ただし、現在のデータセット80において測定データD2〜D5が欠損しており、補完方法(1)の利用は難しい。
【0071】
そこでデータ補完部14は、欠損を含む血圧値のデータセット80と同じ日(若しくは同じ単位期間)に取得された他の生体指標のデータセット81を用意する(S81)。図8の例では、「血糖値」のデータセット81が読み込まれている。
【0072】
次にデータ補完部14は、血糖値のデータセット81と、ユーザ情報DB11に蓄積されている血糖値の過去の複数のデータセット82のそれぞれとの類似度を評価し、最も類似度の高いデータセットを選び出す(S82)。ここでの類似度の評価手法については、補完方法(1)で述べたものと同じ手法を利用することができる。
【0073】
続いて、データ補完部14は、選び出した血糖値のデータセットと同じ日(若しくは同じ単位期間)に取得された血圧値のデータセットを類似データセット83として選び出す(S83)。そして、データ補完部14は、類似データセット83の中から欠損箇所と同じ測定タイミングで測定された測定データD2〜D5を抽出し、この抽出した測定データをデータセット80の欠損箇所に組み込む(S84)。これにより、現在の血圧値のデータセット80の欠損箇所が補完される。
【0074】
なお補完方法(2)では、1つの生体指標(血糖値)の類似度だけを評価しているが、複数の生体指標(例えば、血糖値とBMI)の類似度を総合評価することで、欠損の補完に用いる類似データセットを特定することも好ましい。例えば、血糖値のデータセット同士の類似度とBMIのデータセット同士の類似度をそれぞれ算出し、その類似度の総和が最も大きくなる日のデータセットを補完に用いるとよい。このように複数の生体指標の類似度を総合評価することで、より妥当性の高い補完データを得ることができる。
【0075】
また補完方法(1)、(2)では、欠損箇所に対応するデータを類似データセットの中から抽出し、その抽出した測定データを現在のデータセットの欠損箇所のデータとして用いている。別の方法として、類似データセットを欠損を含む現在のデータセットと置き換えることも好ましい。この方法は、例えばデータセット中の大半若しくは全部のデータが欠損している場合に好ましく適用できる。
【0076】
(3)他人のデータセットを利用する方法
ユーザ情報DB11にユーザ個人のデータが十分に蓄積されていない場合には、補完方法(1)、(2)は利用することができない。そこで、データ補完部14は、ユーザ情報DB11に蓄積された、ユーザと同年代、同性別の他人の過去データを用いて、欠損箇所を補完する。
【0077】
図9は、ユーザと同年代、同性別の他人の過去データから算出した、各時間帯における平均血圧値を示している。例えば、現在のデータセットにおいて17時のデータが欠損している場合には、図9のデータベースから16時〜18時の平均血圧値121.5mmHgが抽出され、データ欠損箇所に組み込まれる。
【0078】
なおここでは他人の過去データの平均値を用いることとしたが、他人のデータセットの利用方法はこれに限らない。例えば、補完方法(1)、(2)と同じように、ユーザの現在のデータセットと他人の過去のデータセットとの類似度を評価し、最も類似度の高い他人のデータセットをユーザのデータ欠損の補完に利用することも可能である。
【0079】
(本実施形態の利点)
以上述べた構成によれば、同じ測定タイミングで測定された測定データが日々蓄積されていく。このように収集された測定データは、例えば、生体指標の定点観測、異常の早期発見、健康状態の総合評価などに利用できる。そして、本実施形態では、測定データが取得できなかった場合にユーザに対して再計測を要求するため、計測忘れを防ぐことができるとともに、ユーザに対して自分で計測することの意識づけを促すことができるという利点がある。
【0080】
再計測を要求してもなお測定データが得られなかった場合には、過去のデータセットを用いて測定データの欠損箇所が補完される。したがって、何らかの事情により生体指標の測定が行われなかったとしても、補完データを用いて健康状態の評価を行うことが可能となる。しかも過去に蓄積されたデータセットの中から現在の状態に最も類似しているデータセットを用いてデータ欠損箇所の補完が行われるため、妥当な補完データを得ることができる。
【0081】
なお、妥当な補完データとはいっても、実際の測定データよりも正確性が劣ることは否めない。そこで、本実施形態では、最初に再計測の要求を行い、予備的手段として欠損箇所の補完を行う構成とすることにより、測定データの取得を優先しつつ、やむを得ず欠損が生じた場合のみデータ補完を行う、という仕組みを実現している。
【0082】
健康状態の評価結果等を出力する場合には、測定データのみで得られた評価結果か、補完データを用いた評価結果かをユーザに通知することが好ましい。例えば、「この評価結果の計算には、過去データから推定した血圧値を用いています。より正確な評価を得るためには、実際に血圧を計測してください。」というようなメッセージを出力するとよい。あるいは、補完データ自体や補完データを用いた評価結果に対して、信頼性を表す情報を付加してもよい。信頼性とは、補完データや評価結果の値に見込まれるばらつきの程度を表す情報(尺度)であり、値の不確かさ(あるいは確かさ)と言い換えることもできる。例えば、評価結果として疾病リスクをポイント出力する場合、「疾病リスク:70±5」のようにばらつきの範囲により信頼性を表現してもよいし、「疾病リスク:63〜75」のように値域により信頼性を表現してもよい。また、平均値と分散によりばらつきを表現してもよい。あるいは、「疾病リスク:70±約5」とか「疾病リスク:約63〜約75」のようにファジィ集合によりばらつきの範囲や値域の境界を曖昧にすることも可能である。このように、補完データを用いた場合には評価結果等の値に幅を持たせることで、評
価結果の信頼性を保証することができる。
【0083】
上述した実施形態の構成は本発明の一具体例を例示したものにすぎない。本発明の範囲は上記実施形態に限られるものではなく、その技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、本発明に関わる健康管理システムの全体的な構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る総合健康状態判断システムの一構成例を示す図である。
【図3】図3は、総合健康状態判断装置のハードウエア構成を模式的に示すブロック図である。
【図4】図4は、総合健康状態判断装置の機能を模式的に示す機能構成図である。
【図5】図5は、ユーザ情報DBに蓄積された測定データの一例を示す図である。
【図6】図6は、測定データを取得できなかった場合の処理を示すフローチャートである。
【図7】図7は、データ欠損の補完方法(1)を説明するための図である。
【図8】図8は、データ欠損の補完方法(2)を説明するための図である。
【図9】図9は、データ欠損の補完方法(3)を説明するための図である。
【図10】図10は、健康管理システムのコンセプトモデルを示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1 総合健康状態判断装置
2〜5 計測装置
10 生体指標収集部
11 ユーザ情報DB
12 測定ガイド出力部
13 再計測要求部
14 データ補完部
101 CPU
102 ボタン
103 ユーザI/F制御部
104 通信コネクタ
105 機器通信制御部
106 RTC
107 RTC制御部
108 パネル
109 表示制御部
110 音源装置
111 音制御部
112 ROM
113 RAM
114 記憶媒体制御部
115 電源
116 電源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康状態の評価に用いる生体指標について、予め定められた測定タイミングにしたがって計測装置で測定された測定データを前記計測装置から取得する測定データ取得手段と、
1日若しくは所定の単位期間に取得した複数の測定データをデータセットとして蓄積する記憶手段と、
ある測定タイミングにおいて前記生体指標の測定データが取得できなかった場合に、利用者に対して前記生体指標の再計測を要求する再計測要求手段と、
再計測が行われなかったために前記生体指標のデータセットに測定データの欠損が発生した場合に、前記記憶手段に蓄積された過去のデータセットを用いて前記欠損を含むデータセットの欠損箇所を補完する補完手段と、
を備えることを特徴とする生体指標管理装置。
【請求項2】
前記補完手段は、
欠損箇所以外の測定データに着目して、前記欠損を含むデータセットと、前記記憶手段に蓄積されている過去の複数のデータセットのそれぞれとの類似度を評価することにより、最も類似度の高い過去のデータセットを類似データセットとして選び出し、
選び出した前記類似データセットを用いて前記欠損を含むデータセットの欠損箇所を補完する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体指標管理装置。
【請求項3】
複数項目の生体指標について、前記測定データ取得手段による測定データの取得と前記記憶手段へのデータセットの蓄積が行われ、
前記複数項目の生体指標のうちの第1の生体指標のデータセットに測定データの欠損が発生した場合に、
前記補完手段は、前記欠損を含むデータセットと同じ日若しくは同じ単位期間に取得された前記第1の生体指標以外の他の生体指標のデータセットと、前記記憶手段に蓄積されている前記他の生体指標の過去の複数のデータセットのそれぞれとの類似度を評価することにより、最も類似度の高い前記他の生体指標の過去のデータセットを選び出し、
選び出した前記他の生体指標の過去のデータセットと同じ日若しくは同じ単位期間に取得された前記第1の生体指標の過去のデータセットを類似データセットとして選び出し、
選び出した前記類似データセットを用いて前記欠損を含むデータセットの欠損箇所を補完する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体指標管理装置。
【請求項4】
前記補完手段は、
前記類似データセットの中から前記欠損箇所と同じ測定タイミングで測定された測定データを抽出し、
その抽出した測定データを前記欠損箇所のデータとして用いる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の生体指標管理装置。
【請求項5】
前記補完手段は、
前記欠損を含むデータセットを前記類似データセットで置き換える
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の生体指標管理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の生体指標管理装置と、
前記利用者から生体指標を測定する1又は複数の計測装置と、
を備えることを特徴とする生体指標管理システム。
【請求項7】
コンピュータが、
健康状態の評価に用いる生体指標について、予め定められた測定タイミングにしたがって計測装置で測定された測定データを前記計測装置から取得するステップと、
1日若しくは所定の単位期間に取得した複数の測定データをデータセットとして記憶手段に蓄積するステップと、
ある測定タイミングにおいて前記生体指標の測定データが取得できなかった場合に、利用者に対して前記生体指標の再計測を要求するステップと、
再計測が行われなかったために前記生体指標のデータセットに測定データの欠損が発生した場合に、前記記憶手段に蓄積された過去のデータセットを用いて前記欠損を含むデータセットの欠損箇所を補完するステップと、
を実行することを特徴とする生体指標管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の生体指標管理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−142273(P2010−142273A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319676(P2008−319676)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】