説明

生体材料および生物医学的デバイスへの細菌付着の減少

生体材料の表面への微生物の付着を阻害するための組成物は、ポリエーテルを含む。この組成物は、例えば、ポロキサマーを含む。この組成物は、コンタクトレンズを処理してそのレンズへと細菌の付着を防止するために、特に有用である。本願において、生物医学的デバイスの表面への細菌の付着を阻害するための方法が、開示される。この方法は、上記生物医学的デバイスの表面を、ポリエーテルを含む水溶液と接触させる工程、を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、生体材料(生物医学的デバイス(例えば、コンタクトレンズ)が挙げられる)の表面への微生物の付着を阻害するための、方法および組成物に関する。
【0002】
一般的に、本発明は、生体材料または生体材料から形成される医療デバイスの表面を改変して、細菌付着に関する表面の親和性を減少する方法に関する。本発明は、上記生体材料を処理して細菌付着を減少するための、低イオン強度組成物を含み得る。
【0003】
本発明は、生物医学的物質または生物医学的デバイスの表面を、疎水性基と親水性基とを含むポリエーテル物質を含む組成物で処理する方法を包含する。本発明は、生物医学的デバイスの表面への細菌の付着を阻害するための方法に関し、この生物医学的デバイスの表面は、約200mOsom/kg〜約400mOsom/kgのイオン強度を有し得る水溶液中にあるポリエーテルと、接触される。
【背景技術】
【0004】
(背景)
生体材料の表面への細菌の付着は、医療デバイス関連感染における寄与要因であると考えられる。感染を受けやすいことが見出されている医療デバイスの例としては、眼用レンズ(例えば、コンタクトレンズまたは眼内レンズ、眼内移植物、膜および他のフィルム)、カテーテル、マウスガード(mouth guard)、入れ歯のライナー(liner)、組織置換物、心臓弁などが挙げられ得る。多年の間進行中のこのようなデバイスの研究開発にも関わらず、種々の微生物が特定の生体材料またはデバイスに付着する程度は、予測困難なままである。
【0005】
結果として、生体材料の化学的特性および物理的特性は、微生物が表面への付着および感染を引き起こす能力に影響を与え得ることを、当業者は認識している。広範な種類のデバイス(これは、歯科移植物および医療移植物またはプロテーゼデバイスから、水性水細菌処理系までの範囲に及ぶ)において細菌の付着を阻害するための種々のアプローチが、Dearnaleyに対する米国特許第5,945,153号;Homolaらに対する米国特許第5,961,958号および同第5,980,868号;Dearnaleyに対する米国特許第5,984,905号;Hultgrenらに対する米国特許第6,001,823号;Twedenらに対する米国特許第6,013,106号;およびRobertsonらに対する米国特許第6,054,054号に教示される。
【0006】
眼用製品の従来の使用から生じる微生物付着は、微生物角膜炎(例えば、細菌もしくはアカントアメーバにより引き起こされる)または潰瘍性角膜炎に起因する感染を生じ得る。例えば、コンタクトレンズが、レンズ装用者によって十分には清浄にされない場合は、バイオフィルム残渣がそのレンズ上で形成する程度までレンズ上での細菌負荷が増加した場合に問題が生じ得る。バイオフィルムが形成される場合、あらゆるレンズ洗浄溶液が、残留細菌を死滅するために十分に強力であるわけではない。コンタクトレンズはまた、レンズおよびコンタクトレンズケースの両方を汚染し得る、感染性角膜炎生物(例えば、アカントアメーバ)を保持し得る。コンタクトレンズ装用に関連するそのような問題は、他の潜在的なコンタクトレンズ関連の合併症をもたらし得る。そのような合併症としては、無菌浸潤物(sterile infiltrate)およびコンタクトレンズ誘導性急性赤目(CLARE)が挙げられる。従って、生体材料および生物医学的デバイス(例えば、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケースなど)への微生物の付着を阻害するための方法、ならびにそのような上記方法において使用するための対応する組成物を開発することが望ましい。
【0007】
上記を考慮すると、そのような医療デバイスの構築において使用されるかまたはそのような医療デバイスとともに使用される、特定の型の物質は、従来の消費者による使用の間に生体適合性に影響を与え得る。例えば、コンタクトレンズの疎水性を増加すると、コンタクトレンズのぬれ性および装用時の快適さを改善することが公知である。
【0008】
医療デバイスは、ヒドロゲルおよび非ヒドロゲルとして公知である、2つの主要な種類の物質または生体材料から調製されることが、従来公知である。ヒドロゲルは、水を平衡状態で含み、吸収し、そして保持する、水和した架橋ポリマー系である。非ヒドロゲルは、認知可能な量の水を吸収しない物質として規定される。一般的にヒドロゲルの物理特性は、広範に変化するが、約10重量%〜約90重量%の範囲に及ぶ水分含量によってほとんど決定される。ヒドロゲルは、そのような特性に起因して、優れた生体適合性特性を示すことが見出されている。
【0009】
そのような特性に基づいて、種々の生物医学的適用のために広範に使用されている。ヒドロゲル物質は、眼用レンズ、眼内移植物、膜および他のフィルム、カテーテル、マウスガード、入れ歯ライナー、組織置換物、心臓弁、眼内移植物、膜、および他のフィルム、避妊ペッサリー、カテーテル、マウスガード、入れ歯ライナー、組織置換物、心臓弁、子宮内デバイス、尿管プロテーゼなどの、形成、調製、および製造において使用され得る。ヒドロゲルは、ソフトコンタクトレンズのために特に有用である。
【0010】
広範に使用されているコンタクトレンズは、以下の従来のカテゴリー(1)〜(4)に分類される:(1)アクリル酸エステルの重合により調製される物質(例えば、ポリメチルメタクリレート)(PMMA)から形成される、ハードコンタクトレンズ;(2)シリコーンアクリレートおよびフルオロシリコーンメタクリレートから形成される、酸素透過性ハード(RGP)レンズ;(3)ソフトヒドロゲルレンズ;および(4)非ヒドロゲル弾性体レンズ。ハードレンズおよび酸素透過性ハード型レンズは、比較的低い蒸気拡散を有し、ほんの少量の水性流体しか吸収せず、コンタクトレンズケア溶液において使用される成分に結合する傾向が低い。対照的に、ソフトヒドロゲルレンズは、コンタクトレンズ溶液中の活性成分、涙液膜からの物質、および外部混入物に結合する傾向が大きい。
【0011】
生体適合性、表面特性、および高い使用者の快適性標準特徴は、従来の長期装用コンタクトレンズの設計において考慮される重要な局面である。代表的な使用者が装用する間、コンタクトレンズの表面は、涙液からのタンパク質様物質および脂質物質の蓄積または付着を受けやすい。そのような蓄積した沈着物は、眼の不快感を引き起こし得るか、炎症さえも引き起こし得る。タンパク質様物質としては、リゾチーム、アルブミン、ムコタンパク質、およびすべての涙液構成成分が挙げられる。慣用的ケアレジメンの一部として、長期間にわたって反復装用されるコンタクトレンズは、これらの物質を除去するために清浄化されなければならない。
【0012】
長期装用レンズは、毎日取り外すことも寝る前に消毒することもなく、継続的に装用される。使用者は、代表的には、推奨される7日間〜30日間の終わりまで、角膜上皮と継続して接触させて、長期装用レンズを装用する。そのような手順は、寝る前に眼がレンズを取り外しで毎日消毒する、毎日装用ケアレジメンとは区別可能である。
【0013】
種々の型のコンタクトレンズ用の洗浄溶液、タンパク質様沈着物除去溶液、保存溶液などが、以下の特許において示される。
【0014】
Heilerに対する米国特許第6,323,165号は、疎水性コンタクトレンズ上のタンパク質様沈着物をブロックするための組成物および方法を教示する。上記の組成物は、レンズに選択的に結合してそのような沈着物をブロックするポリクオタニウム(polyquaternium)ポリマーを含む。Ellisに対する米国特許第4,168,112号は、酸素透過性ハード(RGP)レンズに適用可能なコンタクトレンズ溶液を開示し、この溶液は、レンズ表面をコートするかまたはレンズ表面上に親水性多価電解質複合体を形成する、カチオン性ポリマーを含む。Ellisは、タンパク質が最初にコンタクトレンズ表面に付着するのを防ぐよう試みることによって、タンパク質沈着物の問題を解決するアプローチを教示する。そのような複合体は、レンズのぬれ性、疎水性特徴および快適さを増加すると考えられるヒドロゲル「クッション」として挙動し、一方で、レンズ表面へムコタンパク質が付着する傾向を減らす。Ellisは、ポリクオタニウム(polyquaternium)ポリマーおよびポリクオタニウム(polyquaternium)コポリマーの使用、ならびにポリビニル弁じるトリメチルアンモニウムクロリド溶液中にハードコンタクトレンズを浸漬した後に蒸留水でリンスすることを教示する。
【0015】
Smithらに対する米国特許第4,443,429号は、Merquant.R.T.M.100(すなわち、約10,000〜約1,000,000の分子量を有する)として市販されるジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマーをコンタクトレンズ消毒溶液において使用することを開示する。好ましい消毒溶液濃度は、この特許においては、0.0004重量%〜約0.02重量%(4ppm〜200ppm)と記載された。
【0016】
Fuに対する米国特許第4,388,229号は、吸着して閉塞した化学物質および生物学的物質(特に、消毒溶液から吸着した抗菌剤)を除去することによって、レンズを再生するためのコンタクトレンズ溶液を開示する。この特許は、四級アンモニウム交換基を有する強塩基性アニオン性交換樹脂の使用を開示する。上記の再生手順の後、レンズは、水、洗浄溶液および保存溶液で処理されて、あらゆる残留再生溶液が除去され得る。
【0017】
それぞれがMowrey−McKeeらに対する米国特許第5,096,607号およびWO94/13774は、実際の商業的実施においては代表的には100ppm未満の量で、ポリクオタニウム(polyquaternium)を抗菌剤として使用することを開示する。
【0018】
コンタクトレンズ湿潤溶液/調整(conditioning)溶液の領域において、親水性−疎水性ポリエーテルがレンズ表面に吸着し得ることもまた、見出されている。特に特定のPluronic(登録商標)のエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーとの、そのような表面相互作用は、表面結合水をより多く吸着することが元仁で、より快適なレンズ物質を与えることが商業的に示されている。例えば、Tsuzukiに対する米国特許第6,417,144号は、コンタクトレンズ溶液を開示する。この溶液は、アミノ酸型カチオン性界面活性剤および少なくとも1種の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーまたは対応する誘導体)から構成される。
【0019】
コンタクトレンズに付着して経時的に蓄積する細菌は、感染をもたらし得る。従って、細菌付着を阻害するための改良法は、従来の長期装用コンタクトレンズの使用法における重大な進歩である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
種々の生体材料から作製された種々の型医療デバイスの表面への微生物(例えば、細菌)の付着を阻害する方法、および上記方法において使用される組成物について、必要性が存在したままである。生体材料を処理して細菌付着を減少するための種々の型の化学組成物の開発について、さらなる必要性が存在する。そのような組成物はまた、使用される最終医療デバイス製品または実際の医療デバイス製品へとそのような物質が製造または形成される前、製造される生体材料を処理する際に有用であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、当該分野で遭遇する問題を克服することに関する。
【0022】
(発明の要旨)
本発明は、生体材料および生物医学的デバイスの表面への微生物の付着を阻害および/または処理する際に使用するための、方法および組成物に関する。
【0023】
一般的に、本発明は、細菌付着についての表面親和性を減少するために、生体材料および医療デバイスの表面を改変する方法に関する。本発明は、細菌付着を減少するための生体材料を処理するための、低イオン強度組成物を包含し得る。
【0024】
本発明は、生物医学的物質または生物医学的デバイスの表面を、疎水性基と親水性基とを含むポリエーテル物質を含む組成物で処理する方法を包含する。
【0025】
本発明は、生物医学的デバイスの表面への細菌の付着を阻害するための方法に関し、その生物医学的デバイスの表面は、水溶液中のポリエーテルと接触され、この水溶液は、約200mOsom/kg〜約400mOsom/kgのイオン強度を有し得る。
【0026】
本発明はまた、コンタクトレンズの表面への細菌の付着を阻害するための方法に関し、この方法は、コンタクトレンズの表面にポリエーテルを適用して、そのコンタクトレンズの表面上にそのポリエーテルの表面コーティングを形成する工程を包含する。
【0027】
(発明の詳細な説明)
本発明は、生体材料および生物医学的デバイスの表面への微生物の付着を阻害および/または処理するための、方法および対応する組成物に関する。
【0028】
具体的には、本発明は、生物医学的の表面への細菌の付着を阻害するための方法に関し、この方法は、
[a]その生物医学的デバイスの表面を、その生物医学的デバイスの表面上に反応性基を提供するために化学物質および組成物で前処理する工程;ならびに
[b]その表面上の反応性基を、水溶液中のポリエーテルと接触させる工程であって、その反応性基は、その水溶液中のポリエーテルと化学結合相互作用を形成するようになる、工程;
を包含する。
【0029】
本発明はまた、コンタクトレンズの表面への細菌の付着を阻害するための方法に関し、この方法は、そのコンタクトレンズの表面にポリエーテル含有組成物を適用して、そのコンタクトレンズの表面上にそのポリエーテルの表面コーティングを形成する工程、
を包含する。
【0030】
他のように規定されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語、科学用語、および術語は、当該分野で従来使用されている通りに規定される。
【0031】
本発明の方法および組成物は、入手可能であり得、そしてこれらは、広範な種類の生体材料および生物医学的デバイスを使用する。適切な生体材料および生物医学的デバイスの例が、下記に示される。
【0032】
本発明に従うと、用語「生物医学的デバイス」とは、生存組織、血液、および粘膜と長期接触するために適切な物理化学的特性を有する物質から形成された、デバイスを意味する。本発明において使用するために適切な生物医学的デバイスとしては、眼用レンズ、眼内移植物、膜および他のフィルム、カテーテル、カテーテル、マウスガード、入れ歯ライナー、ステント、組織置換物、心臓弁などが挙げられ得るが、これらに限定されない。使用するために適切な種々の型の眼用レンズとしては、眼内レンズおよびコンタクトレンズが挙げられ得るが、これらには限定されないかもしれない。
【0033】
本発明はまた、広範な範囲の医療デバイスの製造前または製造後に生体材料を処理するための方法に関し、この医療デバイスとしては、例えば、眼用レンズ、ステント、移植物、および本明細書中に上記された他のデバイスが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0034】
例えば、本発明の方法および組成物は、以下の従来のコンタクトレンズカテゴリー(1)〜(4)に適用可能であり得る:(1)アクリル酸エステルの重合により調製される物質(例えば、ポリメチルメタクリレート)(PMMA)から形成される、ハードコンタクトレンズ;(2)シリコーンアクリレートおよびフルオロシリコーンメタクリレートから形成される、酸素透過性ハード(RGP)レンズ;(3)ソフトヒドロゲルレンズ;および(4)非ヒドロゲル弾性体レンズ。本発明の方法は、約7日間〜約30日間の連続装用期間に適する長期装用コンタクトレンズを伴って特に有用である。
【0035】
本発明の種々の局面において使用するために適切であるかまたは適合可能である基材または構成物質としてはまた、本発明の種々の生体材料、生物医学的デバイス、組成物などの、形成、調製、処方、製造などが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0036】
現在市販されているほとんどのコンタクトレンズは、ヒドロゲルで製造されている。上記のように、ヒドロゲル物質は、細菌の付着および蓄積を特に受けやすい。そのようなヒドロゲルコンタクトレンズは、ヒドロゲルポリマー物質で製造されており、ヒドロゲルとは、平衡状態で水を含む架橋ポリマー系であるとして規定される。一般的に、ヒドロゲルは、優れた生体適合性特性(すなわち、生物学的または生化学的に適合性であるが、生存組織において毒性応答も、有害応答も、免疫学的応答も生じない特性)を示す。従来の代表的なヒドロゲルコンタクトレンズ物質は、少なくとも1種の親水性モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセリルメタクリレート、N,N−ジメタクリルアミド、およびN−ビニルピロリドン(NVP))を含むモノマー混合物を重合することによって生成される。シリコーンヒドロゲルの場合、そのコポリマーが調製されるモノマー混合物は、その親水性モノマーに加えて、シリコーン含有モノマーをさらに含む。一般的に、上記モノマー混合物は、架橋モノマー(すなわち、少なくとも2種の重合可能ラジカルを有するモノマー(例えば、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、および2−エチルメタクリレート−ビニルカルボネート))を含む。あるいは、そのシリコーン含有モノマーまたは親水性モノマーのいずれかは、架橋剤として機能し得る。
【0037】
一実施形態において、本発明は、上記生物医学的物質の表面を、水溶液中の組成物(例えば、ポリエーテル物質)で処理する方法を包含し、そのような種々のポリエーテルは、疎水性基および親水性基を含み得、そして生体材料の表面(例えば、コンタクトレンズ表面)への細菌付着およびタンパク質または脂質の沈着を阻害するために有効である。
【0038】
別の好ましい実施形態において、本発明は、コンタクトレンズの表面への細菌の付着を阻害するための方法に関し、その方法は、そのコンタクトレンズの表面にポリエーテルを適用して、そのコンタクトレンズの表面上にそのポリエーテルの表面コーティングを形成する工程を包含する。
【0039】
本発明において使用するために適切なポリエーテル物質および対応する定義は、以下のように下記に記載される。
【0040】
本発明において使用するために適切なポリエーテルは、種々の比のエチレンオキシド(EO)成分およびプロピレンオキシド(PO)成分から形成される、そのようなブロックコポリマーから誘導され得る。そのようなポリエーテルおよびその個々の成分セグメントは、種々の結合した疎水性化学官能基および親水性化学官能基の部分およびセグメントを含み得る。
【0041】
そのようなポリエーテルのうちのある具体的な種類は、商標名Pluronicの下で入手可能なポロキサマーである。ポロキサマーは、Pluronicおよび逆Pluronicを包含する。Pluronicは、ポリ(エチレンオキシド)ブロック−ポリ(プロピレンオキシド)ブロック−ポリ(エチレンオキシド)ブロックから構成される、一連のABAブロックコポリマーである。逆Pluronicは、ポリ(プロピレンオキシド)ブロック−ポリ(エチレンオキシド)ブロック−ポリ(プロピレンオキシド)ブロックからそれぞれ構成される、一連のBABブロックコポリマーである。ポリ(エチレンオキシド)(PEO)ブロックは、親水性であり、一方、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)ブロックは、性質が疎水性である。各シリーズのポロキサマーは、種々の比のPEOおよびPPOを有し、この比が、最終的に、その物質の親水性親油性バランス(HLB)を決定する。
【0042】
別の具体的なポリエーテルの種類は、商標名Tetronicの下で入手可能なポロキサミンである。これらのポリエーテルは、PEOブロックおよびPPOブロックを含み、これは、エチレンジアミン部分によって結合されたブロックを含む。
【0043】
従って、ポリエーテル物質は、市販のブロックコポリマーによって例示され得る。市販のブロックコポリマーとしては、ポロキサマーおよびポロキサミンが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0044】
本発明に従って、その生物医学的デバイスの表面へポリエーテルを結合するための機構は、その結合強度が、その生体材料の意図する使用のためにその表面を維持するのに十分である限りは、重要ではない。そのようなポリエーテル物質の結合は、生物医学的デバイス(これとしては、コンタクトレンズが挙げられ得る)の表面における、そのポリエーテルの表面コーティングの形成をもたらし得る。例えば、コンタクトレンズの表面への、またはその表面上にある、ポリエーテル物質のコーティングは、単独でかまたは本発明における使用に適する他の構成要素(例えば、本明細書中で規定される構成物質)と組み合わせて、コンタクトレンズ表面への細菌の付着を阻害するのを補助する。
【0045】
当該分野で従来理解されているように、用語「結合」とは、本発明に適用可能である場合には、共有結合、水素結合、疎水性相互作用、または他の化学的相互作用もしくは分子相互作用を包含するように規定され得る。そのようなそのような結合、化学的相互作用または分子相互作用は、ポリエーテル物質が、単独でかまたは本発明において使用するために適切な他の構成要素と組み合わせて、安定であるかまたは比較的強い表面コーティングを生物医学的デバイス上に形成するのを可能にし得る。
【0046】
また、本発明のポリマー材料に関して、用語「結合」および「結合する」とは、ポリエーテルおよび生体材料と、生物医学的デバイスとの間の化学的相互作用をいい、この化学的相互作用は、生物医学的デバイスの表面(このデバイスは、付着された反応性化学官能基部分を有し得る)とポリエーテル(連結剤が付加されるかまたは付加されず、そしてこのポリエーテルもまた、付着された反応性化学官能基部分を有し得る)との間での、化学的に安定であるかもしくは比較的安定な複合体、または他の比較的安定な化学的引力の形成をいい得るが、これらに限定されないかもしれず、そして特定の機構に限定されない。
【0047】
当該分野は、生体材料表面へのタンパク質沈着または脂質沈着を阻害するための種々の組成物(例えば、コンタクトレンズ溶液)、タンパク質沈着除去溶液、消毒溶液、保存溶液などにおける、ポリエーテルの使用を実証している。
【0048】
重要なことには、そのような表面への細菌の付着を阻害するために組成物においてポリエーテルを使用することは、本発明より前には当該分野で実証されていない。本発明のエーテル含有ポリマーは、コンタクトレンズ表面への付着の研究において示されるような細菌(Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、Serratia marcescens)についての強い抗付着特性(活性)を示すことが見出されている。この効果は、予測外であった。なぜなら、細菌細胞壁は、ほぼ多糖からか、または少量の短鎖アミノ酸(例えば、多糖間の結合単位)を含む多糖から、構成されるからである。
【0049】
本発明に従って、代表的な機構は、生物医学的デバイスの表面と、ポリエーテルとの間に上記のような化学結合相互作用を含み、この相互作用としては、イオン性化学相互作用、共有結合相互作用、水素結合相互作用、疎水性相互作用、および親水性相互作用が挙げられ得るが、これらに限定されない。例えば、本発明において使用されるポリエーテル物質は、そのポリエーテル上の疎水性基と相互作用する生体材料表面上の疎水性部位の間の種々の化学的相互作用または分子相互作用を介して、その生体材料の表面に付着し得る。
【0050】
本発明の化学物質(例えば、ポリマー物質)と関連する共有結合または共有結合相互作用が、生体材料表面と水溶性ポリエーテルとの間に存在し得、それにより、そのポリエーテルは、生体材料表面に結合される。共有結合の例としては、カップリング剤により提供される結合(例えば、エステル結合およびアミド結合)が挙げられる。
【0051】
このポリエーテルはまた、水素結合相互作用を介して生物医学的デバイスの表面に結合し得る。これらの水素結合相互作用は、生物医学的デバイスの表面上に位置するかまたはポリエーテル物質に結合した化学官能基部分として、水素結合供与基もしくは水素結合受容基を含み得る。そのような水素結合供与基または水素結合受容基は、本明細書中に規定される。
【0052】
疎水性相互作用は、ポリエーテル上の疎水性基と相互作用する生体材料表面上の疎水性部位を介して生じる。
【0053】
本発明の一実施形態は、生物医学的デバイスの表面への細菌の付着を阻害するための方法に関し、この方法は、生物医学的デバイスの表面を、化学物質、組成物、または溶液で前処理して、その表面上に反応性基を提供する工程;およびその表面上の反応性基を水溶液中のポリエーテルと接触させる工程であって、その反応性基は、その水溶液中のポリエーテルと、化学結合相互作用(たとえば、上記に規定される相互作用)を形成するようになる、工程;を包含する。
【0054】
本発明のポリエーテル物質の表面上に位置する適切な反応性基または連結基の例としては、ポリマー形成の間に形成される反応基;既存のポリマー表面の前処理工程を介して化学物質、組成物、または溶液と、生物医学的デバイスの表面との間の化学反応から形成または生成される反応基が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0055】
そのようなポリマー反応基またはポリマー連結基の例としては、水素結合供与基(たとえば、カルボン酸、硫酸、スルホン酸、亜硫酸、リン酸、ホスホン酸、亜リン酸、フェノール酸基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基などが挙げられ得るが、これらに限定されない。これらの水素結合相互作用は、表面の水素結合供与基と、ポリエーテル上の化学官能基との間生じ得る(例えば、ポリエーテルに結合したエーテル結合)。水素結合受容基は、ピロリドン基、N,N−二置換アクリルアミド基、およびポリエーテル基からなる群より選択される。連結剤または化学結合のさらなる例としては、従来の化学カップリング剤により提供されるもの(例えば、エステル結合およびアミド結合)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0056】
本発明において使用される物質の種々の官能基部分の間での表面結合(例えば、ポリエーテル材料にか、または生体材料表面にか、または生体材料から形成される生物医学的デバイス表面のいずれかに結合したものとして)はまた、表面複合体化を含み得る。そのような表面複合体化の例としては、親水性モノマーとシリコーン含有モノマーとを含む生体材料を、プロトン供与湿潤剤で処理することにより形成される反応産物(この湿潤剤は、表面酸化処理工程の非存在下では、生体材料表面上の親水性モノマーと複合体を形成する)が挙げられ得るが、これに限定されない。
【0057】
本発明における使用のためにこれもまた適用可能なのは、本明細書中に記載されるようなポリエーテル物質が達成され得る限りは、長期装用適用のために従来使用されている他の非シリコーンヒドロゲルである。
【0058】
本発明はまた、そのような物質を含む、清浄化用、消毒用、または調整(conditioning)用の溶液および組成物の成分として、有用であり得る。従って、使用のために適切であり適合され得る物質成分(本発明の特定の適用のために必要とされる特徴に依存する)の例は、下記に記載される。
【0059】
本発明において使用される組成物は、上記のポリマーに加えて、眼用組成物を使用者にとってより快適にし、かつ/またはその意図される使用のためにより有効にするのを補助する、コンタクトレンズ処理溶液中に一般的に存在する1種以上の他の構成要素(例えば、抗菌剤;張度調整剤、緩衝剤;キレート剤;pH調整剤;粘度改変剤;および粘滑剤など)を含み得る。
【0060】
コンタクトレンズを処理するための組成物は、一般的には、抗菌剤を含む。本発明において使用するために適切な抗菌剤とは、微生物との化学的相互作用または物理化学的相互作用を介してその抗菌活性を駆動する化学物質を包含する。これらの薬剤は、単独でかまたは組み合わせて使用され得る。
【0061】
特に好ましい抗菌剤は、ソルビン酸(0.15%)である。他の公知の抗菌剤としては、有機窒素含有薬剤(例えば、ビグアナイド剤(biguanide))が挙げられる。ビグアナイド剤としては、アレキシジン(alexidine)、クロレキジン(chlorhexidine)、ヘキサメチレンビグアナイド剤、およびそれらのポリマー、ならびに/または組み合わせの、遊離塩基または塩を包含する。ビアグナイド塩は、代表的には、グルコン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物などである。好ましいビグアナイドは、Zeneca,Wilmington,DEから商標名CosmocilTM CQの下で市販されている、ヘキサメチレンビグアナイドである。一般的に、ヘキサメチレンビグアナイドポリマー(ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)またはポリアミノプロピルビグアナイド(PAPB)とも呼ばれる)は、約10,000までの分子量を有する。公知の主な抗菌剤のなお別の例は、ポリクアテリニウム1として入手可能な種々の物質である。
【0062】
上記抗菌剤の量は、使用される具体的薬剤に依存して変化し得る。上記の有機窒素含有薬剤について、代表的には、そのような薬剤は、約0.00001重量%〜約0.5重量%の範囲の濃度で存在し、より好ましくは、約0.00003重量%〜約0.05重量%の範囲の濃度で存在する。ソルビン酸について、より高量(代表的には、0.01重量%〜1重量%、より好ましくは0.1重量%〜0.5重量%)が、必要とされ得る。抗菌剤は、使用される処方物中の微生物集団を少なくとも部分的には減少する量で使用されることが、好ましい。望ましい場合には、抗菌剤は、消毒量(disinfecting amount)で使用され得る。この消毒量(disinfecting amount)とは、微生物負荷(microbial burden)を4時間で少なくとも対数2桁、より好ましくは1時間で対数1桁減少させる。より好ましくは、消毒量(disinfecting amount)は、推奨される浸漬時間の間(FCA Chemical Disinfection Efficacy Test−July,1985,Contact Lens Solution Draft Guidelines)レジメンにおいて使用される場合に、コンタクトレンズにおける微生物負荷(microbial burden)を排除する量である。
【0063】
抗菌剤を含めることは、細菌付着の阻害を達成するためには必要ではないが、抗菌剤は、コンタクトレンズ上に存在する微生物を少なくとも部分的に減少するために有用であり、上記のように、この薬剤は、微生物負荷(microbial burden)を4時間で少なくとも対数2桁、より好ましくは1時間で少なくとも対数1桁減少する、消毒量(disinfecting amount)で使用される。
【0064】
本発明の水性コンタクトレンズ溶液は、代表的には、正常な涙液の張度(ほぼ、0.9%塩化ナトリウム溶液または2.8%グリセロール溶液と等しい)に近づけるように、張度調整剤で調整される。この水溶液は、単独でかまたは他の調整剤と組み合わせて使用される生理食塩水と、実質的に等張性にされる。上記眼用組成物は、好ましくは、約225mOsm/kg〜400mOsm/kg、より好ましくは280mOsm/kg〜320mOsm/kgの重量オスモル濃度(osmolality)を有する。
【0065】
上記組成物は、金属イオンをキレート化するかまたは金属イオンに結合するために、キレート剤または封鎖剤を含み得る。金属イオンは、キレート化も結合もしなければ、レンズと反応し得、かつ/またはレンズ上のタンパク質沈着物および収集物と反応し得る。そのような物質の例としては、エチレン−ジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩(二ナトリウム)が挙げられ得るが、これらに限定されない。これらは、通常は、約0.01重量%〜約0.2重量%の範囲の量で添加される。
【0066】
本発明の溶液および/または組成物のpHは、pH=5.0〜8.0の範囲、好ましくは約pH=6.0〜8.0の範囲、より好ましくは約pH=6.5〜7.8の範囲、最も好ましくは、pH値7以下に維持され得る。適切な緩衝剤(例えば、ホウ酸塩、クエン酸塩、重炭酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS−Base)および種々の混合リン酸緩衝剤(これは、NaHPO、NaHPOおよびKH2PO)の組み合わせを含み得る)ならびにそれらの混合物が、添加され得る。ホウ酸塩緩衝剤が、主要な抗菌剤がPAPBの場合には好ましい。一般的には、緩衝剤は、約0.05重量%〜2.5重量%、好ましくは0.1重量%〜1.5重量%の範囲の量で使用される。
【0067】
本発明の組成物は、清浄化用、消毒用、または調整(conditioning)用の、溶液および/または組成物の構成要素として有用であり得る。そのような溶液および/または組成物はまた、コンタクトレンズ用の調整(conditioning)溶液および/または清浄化(cleaning)溶液の構成要素として使用されることが公知である、抗菌剤、界面活性剤、張度調整剤、緩衝剤などを含み得る。清浄化溶液および/または消毒溶液に適切な処方物の例は、Richardらに対する米国特許第5,858,937号(本明細書中に全体が示されたかのように、参考として援用される)において教示される。好ましくは、本発明の組成物および/または溶液は、「多目的溶液」として処方される。これは、このような組成物および/または溶液が、コンタクトレンズを清浄化(cleaning)、化学消毒、保存、および洗い流す(rinse)するための使用され得ることを意味する。多目的溶液は、好ましくは、75cps未満、好ましくは1〜50cps、最も好ましくは1〜25cpsの粘度を有し、好ましくは、全組成物中で少なくとも95重量/体積%が水である。
【0068】
界面活性剤が、コンタクトレンズ上のタンパク質沈着物および脂質沈着物ならびに外部混入物の除去を容易にするために、上記組成物において使用され得る。(本発明において使用するために適切な)界面活性剤は、その水溶液における解離状態に依存して、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ならびに両親媒性界面活性剤へと分類される。とりわけ、カチオン性界面活性剤に分類される種々の界面活性剤、好ましくは、アミノ酸誘導体からなる界面活性剤、すなわち、アミノ酸型カチオン性界面活性剤が、消毒清浄化剤または消毒用組成物として従来提唱されている。グリセリンもまた、本発明の構成要素として含まれ得る。本発明に従う組成物において使用するために適切な両親媒性界面活性剤としては、商標名「Miranol」の下で商業的に提供される方の物質が挙げられる。別の有用な種類の両親媒性界面活性剤は、種々の供給源から市販されている、ココアミドプロピルベタインによって例証される。
【0069】
上記組成物において使用するために適切な他の種々の界面活性剤は、上記の説明を考慮して、McCutcheons’Detergents and Emulsifiers,North American Edition,McCutcheon Division,MC Publishing Co.,Glen Rock,N.J.07452から、およびCTFA International Cosmetic Ingredient Handbook,The Cosmetic, Toiletry,and Fragrance Association,Washington,D.C.から、容易に確認され得る。
【0070】
必要に応じて、1種以上のさらなるポリマー性粘滑剤または非ポリマー性粘滑剤が、上記の成分と合わされ得る。粘滑剤(demulcent)は、湿潤効果、加湿効果および/または潤滑効果を提供して、快適性を増すことが公知である。ポリマー性粘滑剤はまた、水溶性粘度構成剤(viscosity builder)として作用し得る。水溶性粘度構成剤は、非イオン性セルロースポリマー(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)など)である。そのような粘度構成剤または粘滑剤は、約0.01重量%〜約5.0重量%以下の範囲の総量で使用され得る。適切には、最終処方物の粘度は、10cps〜50cpsである。快適化剤(comfort agent)(例えば、グリセリンまたはポリエチレングリコール)もまた、添加され得る。
【0071】
本発明の組成物は、当該分野で従来使用される種々の技術によって調製され得る。ある方法は、二段階配合手順を包含する。第1段階において、約30%の蒸留水が、上記ポリマー成分(例えば、カチオン性セルロースポリマー)を溶解するために約50℃で約30分間使用される。その後、第1段階溶液が、約120℃で30分間オートクレーブ処理される。その後、第2段階において、他の構成要素(例えば、塩化アルカリ金属、封鎖剤、保存剤、および緩衝剤)が、約60%の蒸留水中に攪拌しながら溶解され、その後、蒸留水のバランスが添加される。その後、この第2段階溶液は、圧力によって0.22ミクロンに強制的に通すことによって第1段階溶液中に滅菌添加され得、その後、滅菌したプラスチック容器中にパッケージングされ得る。
【0072】
本発明において使用するための組成物(例えば、水溶液)が、レンズ調整溶液
または点眼剤として処方され得、そしてサイズが1mlから30mlまでの広範囲の小容量容器中にで販売される。そのような容器は、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリ(エチレンテレフタレート)などから作製され得る。点眼剤について、従来の供給(dispensing)トップを有する弾性ボトルが、本発明とともに使用するために特に適切である。本発明の点眼剤処方物は、例えば、必要な場合に、眼に約1滴〜3滴滴下することによって、使用される。
【0073】
本発明のなお別の局面において、親水性レンズ上でのタンパク質沈着物の蓄積は、ポリマーに加えて、ポリクオタニウム(polyquaternium)ポリマー(特に、WO02/34308に開示さえるカチオン性多糖)を含む溶液中に、レンズを浸漬することによって調整したコンタクトレンズを装用することによって、防止または阻害される。ポリクオタニウム(polyquaternium)ポリマーおよび他の適切な成分を含み得る溶液における本発明のポリエーテル物質の存在は、コンタクトレンズ上へ吸収されると同時に、眼の中で、タンパク質様物質および他のイオン性破片がコンタクトレンズ上の取り込まれ蓄積するのを阻害する。そのような成分を含むコンタクトレンズ溶液は、コンタクトレンズが眼の中にある状態で、水滴の形態で適用され得る。
【0074】
一般的に、本発明において使用するために適切なポリクオタニウム(polyquaternium)ポリマーは、多くの変化形が市販されている、周知の種類のポリマーである。ポリクオタニウム(polyquaternium)ポリマーは、好ましくは、眼科的に適切なアニオン性の有機対イオンまたは無機対イオンを含む。好ましい対イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオンなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0075】
例えば、現在のCTFA International Cosmetic Ingredient Dictionaryは、Polyquaternium−1〜Polyquaternium−44と呼ばれるポリクオタニウム(polyquaternium)を包含し、これらのメンバーは、本教示に基づいて、本発明において有用である。このような物質の調製のための重合技術も、同様に、当業者にとって周知であり、このような技術の多くの変化形も、同様に、商業的に実施されている。
【0076】
このようなポリクオタニウム(polyquaternium)ポリマーの新規な変化形が、継続的に商業開発中であり、例えば、同じ反復単位または類似する反復単位の種々の組み合わせ、種々の相対比のコモノマーおよび種々の分子量を有する種々のポリマーが、継続的に商業開発中である。
特に、本発明において使用するために適切なポリクオタニウム(polyquaternium)ポリマーは、約5,000〜5,000,000、好ましくは約10,000〜500,000、最も好ましくは約20,000〜200,000の重量平均分子量を有する。
【0077】
用語「四級アミン官能基反復単位」とは、本発明において使用される場合、四級アミン基を含み得る反復単位であって、その中で、正に荷電した窒素原子が4つのラジカル(水素原子はない)に共有結合しており、負に荷電した対イオン(例えば、塩化物イオン)にイオン結合している、反復単位として、規定され得る。
【0078】
用語「中程度に荷電しているポリクオタニウム(polyquaternium)ポリマー」とは、本発明において使用される場合、約45モル%以下の正味の四級アミン官能基反復単位をポリマーが含み、その正味の四級アミン官能基反復単位のモル%は、そのポリマーの四級アミン官能基(正荷電)反復単位のモル%からアニオン性(負荷電)反復単位のモル%を引いたモル%であることを、示し得る。
【0079】
適切な四級アミン官能性反復単位としてはまた、重縮合反応によって形成されるポリマーイオネンなどにおいて見出されるものが挙げられる;このような反復単位において、四級アミンの窒素は、ポリマー骨格と一体的であり、そしてアルキレン、オキシアルキレン、またはほかのセグメントの間に位置する。
【0080】
四級アミン官能性反復単位はまた、1つ以上の化合物の反応生成物として、例えば、1,4−ジクロロ−2−ブテンのような強いアルキル化剤(これは例えば、1,4−ビス[ジメチルアミノール]−2−ブテンおよびトリエタノールアミンと反応して、ポリマーポリ四級アンモニウム化合物を生成し得る)の使用によって、得られ得る。四級アミン官能性反復単位はまた、他のポリマーから、例えば、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと、ヒドロキシエチルセルロースのヒドロキシ基との反応によって、生成され得る。
【0081】
好ましくは、正味のポリクアテルニウム(polyquaternium)反復単位のモル%は、約10%と45%との間であり、より好ましくは、約20%と40%との間であり、最も好ましくは、約25%と35%との間である。例えば、このポリマーが、50モル%のジメチルジアリルアンモニウムクロリド由来の四級アミン官能性反復単位、25モル%のカルボン酸由来のアニオン性反復単位、および25%のメタクリル酸メチル由来の中性反復単位(またはヒドロキシエチルメタクリレート由来の実質的に中性の反復単位)を含有する場合、正味の四級アミン官能性反復単位のモル%は、25%である(50%の四級アミン官能性反復単位から25%のアニオン性反復単位を減算)。
【0082】
四級アミン官能性反復単位の窒素は、飽和または不飽和の複素環式環(より好ましくは、五員環または六員環)の一部であり得る。最も好ましくは、ポリクアテルニウムポリマーは、ビニルイミダゾリウム塩またはジメチルジアリルアンモニウム塩のコポリマーである。90モル%まで、好ましくは、40モル%〜90モル%の、四級アミン官能性を有さない共重合適合性のコモノマーは、四級アミン官能性コモノマーと重合し得る。適切なコモノマーとしては、ビニルピロリドン、アクリル酸、アルキルメタクリレート、アミドおよびアミン(例えば、アクリルアミンおよびN,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートおよびメタクリレート)、ヒドロキシセルロース、ならびにこれらの共重合適合性混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいアルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する。最も好ましくは、アルキル基は、メチル、エチル、およびブチルである。
【0083】
本発明において有用な特定のクアテルニウムとしては、四級アミン官能性反復単位が1つ以上の以下の種のモノマー由来であるコポリマーが挙げられ得るが、これらに限定されない:N,N−ジメチル−N−エチル−アミノエチルアクリレートおよびメタクリレート、2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウム、N−(3−メタクリルアミドプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム、1−ビニルおよび3−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−(3−アクリルアミド−3−メチルブチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム、N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム、ビニルベンジルトリメチルアンモニウム、これらのハロゲン化物もしくは他の塩形態、およびこれらの誘導体(例えば、アルキル基(好ましくは、1〜6個の炭素原子を有するもの)の置換、付加、または除去を含むもの)。
【0084】
ポリクアテルニウムコポリマーの具体的な例は、LivquateTM FC 370ポリマー(CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary指定のポリクアテルニウム−16、BASF,Ludvigshafen,Germayから入手可能)であり、これは、70%がビニルピロリドンであり、そして30%がビニルイミダゾリウムメチルクロリド(水中約40重量%の固形物濃度を有する組成物として市販されている)である、混合物の重合生成物である。このクアテルニウムコポリマーは、水溶液中で0.01〜5.0重両%の料、好ましくは、0.01重量%(100ppm)と1.0重量%との間、最も好ましくは、200ppmと600ppmとの間の料で、適切に存在し得る。コンタクトレンズ溶液は、85〜99重量%、好ましくは、93から99重量%の水を含有する。
【0085】
代表的に、本発明に従う溶液において使用されるポリクアテルニウムポリマーは、レンズの親水性特徴を増加させず、このことは、この溶液での処理後に、このレンズの水含有量が増加しないことを意味する。レンズの水含有量は、この屈折率の測定に基づいて、決定され得る。
【0086】
本発明の別の局面において、選択されたポリクアテルニウムポリマーは、(i)1000ppmの濃度での眼内コンタクトレンズ溶液についての、眼科学的に安全な標準に適合すること、および(ii)タンパク質がコンタクトレンズに結合することを阻害することの両方の二重の要件を、同時に満たす。安全要件は、実施例に記載される、細胞傷害性についてのいわゆるNRDR(ニュートラルレッド色素放出)アッセイに従って決定され得る。具体的には、ポリクアテルニウムポリマーは、1000ppmのレベルにてL以下、好ましくは、500ppmのレベルにてL以下(ポリマーの乾燥重量であり、利用可能なポリマー材料の水含有量を補正する)の評点のNRDRアッセイを有するべきである。タンパク質結合阻害を示すための要件が、少なくとも最初の基準として決定され得、実施例に記載されるように実施される試験を使用して、本明細書中で「SPEタンパク質結合阻害」と称されるものを得る。この試験は、Accell Plus.RTM.CMカートリッジ、Part #WAT020855として指定される特定の型のSep−Pak.RTM.固相抽出カートリッジ(Waters Corp.Milford,Massから市販されている)を利用する。この抽出カートリッジ中の材料は、弱いカチオン交換物質であり、これは、カルボキシメチル基を有するポリマーでコーティングされた、シリカ支持体を含む。この抽出カートリッジは、最初に、ポリクアテルニウムポリマーの1.0%溶液で、ホウ酸緩衝化生理食塩水中で処理され、続いて、この固相抽出カートリッジが、0.05%リゾチームに曝露される。タンパク質結合阻害の量は、コントロール溶液と比較して決定される。本発明の1つの実施形態において、適切なポリクアテルニウムポリマーは、少なくとも10%のSPEタンパク質結合阻害を示す。好ましくは、SPEタンパク質結合阻害は、少なくとも約20%であり、より好ましくは、少なくとも約30%であり、最も好ましくは、少なくとも約35%である。
【0087】
一般に、本発明において使用するために適切なポリクアテルニウムポリマーは、約5,000〜5,000,000、好ましくは、約10,000〜500,000、最も好ましくは、約20,000〜200,000の重量平均分子量を有する。
【0088】
記載されるように、カチオン性材料の1つの好ましいクラスは、カチオン性多糖であり、そして具体的には、カチオン性セルロース誘導体である。具体的な例としては、N,N−ジメチルアミノエチル基(プロトン化されたかまたは四級化されたかのいずれか)を含むセルロース性ポリマー、およびN,N−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル基(プロトン化されたかまたは四級化されたかのいずれか)を含むセルロース性ポリマーが挙げられる。カチオン性セルロース性ポリマーは、市販されているか、または当該分野において公知の方法によって、調製され得る。例として、四級窒素含有エトキシ化グルコシドは、ヒドロキシエチルセルロースを、トリメチルアンモニウム置換されたエポキシドと反応させることによって、調製され得る。
【0089】
種々の好ましいカチオン性セルロース性ポリマーは、市販されており、例えば、CTFA(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)指定のPolyquaternium−10の元で入手可能な水溶性ポリマーである。このようなポリマーは、商標UCARE(登録商標)ポリマーのもとで、Americhrol Corp.、Edison,N.J.,USA)から市販されている。これらのポリマーは、四級化NN−ジメチルアミノ基を、セルロース性ポリマー鎖に沿って含む。適切なカチオン性セルロース性材料は、以下の式を有する:
【0090】
【化1】

ここで、R、RおよびRは、H、C〜C20カルボン酸の誘導体、C〜C20アルキル基、C〜Cの一価および二価のアルコール、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、フェニル基、「Z」基およびこれらの組み合わせから選択される。R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、Z基である。
【0091】
「Z」基の性質は、以下である:
【0092】
【化2】

ここで:R’、R”およびR’’’は、H、CH、C、CHCHOHおよびCHCH(OH)CHOHであり、
x=0〜5、y=0〜4、およびZ=0〜5であり、
Xは、Cl、Br、I、HSO、CHSO、HPO、NOである。
【0093】
種々の市販の等級のUCARE(登録商標)ポリクアテルニウム−10が、以下に要約される:
【0094】
【表0】

阻害活性の程度は、ポリマー表面コーティングとレンズ表面との間のイオン結合の強度に関連すると考えられる。従って、機構にかかわらず、より強い結合は、より大きい程度の細菌接着耐性に関連すると考えられる。
【実施例】
【0095】
(実施例1)
この実施例は、コンタクトレンズ表面への細菌の付着を減少させるような、親水性コンタクトレンズ上へのポリマーの結合効果を説明する。
【0096】
(コンタクトレンズの処理)
ポリエーテル含有溶液の20mlのアリコートを、滅菌されたポリスチレンの使い捨てペトリ皿に注いだ。群IIIの延長装用コンタクトレンズ(PurevisionTM、Bausch & Lomb Incorporated、シリコーンヒドロゲル材料から作製され、そしてアニオン性の電荷を有する)を、滅菌ピンセットを用いて、それらのパッケージから取り出し、そして最初に滅菌された0.9%生理食塩水180mlに5回浸漬した。次いで、これらのレンズを、ポリエーテル含有溶液を含むペトリ皿内に配置し、そして室温で4時間浸漬した。4時間のインキュベーション時間の後に、これらのレンズを、滅菌ピンセットを用いてポリエーテル含有溶液から取り出し、そして最初に滅菌された0.9%生理食塩水の3回の連続的な充填(180ml)の各々に、それぞれ5回浸漬した。次いで、これらのレンズを、3mlの約10細胞/ml接種材料を含む20mlのガラスシンチレーションバイアルに移し、これを引き続いて、37℃でさらに2時間インキュベートした。
【0097】
種々のポリエーテル含有処理溶液を、表1に列挙する。これらの処理溶液は、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリエチレンオキシド(PEO)を含有した。さらに、コントロールレンズを、上記のように、ポリエーテルを含有しないリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で処理した。
【0098】
(付着研究)
付着研究を、ポリエーテル含有溶液で処理した上記コンタクトレンズサンプルに対して、Sawantら(Sawant,A.D.,M.Gabriel,M.S.Mayo,およびD.G.Ahearn(1991)Radioopacity additives in silicone stent materials reduce in vitro bacterial adherence,Curr.Microbiol.22:285−292)oyobiGabrielra(Gabriel,M.M.,A.D.Sawant,R.B.Simmons,oyobiD.G.Ahearn(1995)Effects of Sliver on adherence of bacteria to urinary catheter:in vitro studies,Curr.Microbio.30:17−22)(これらの開示は、本明細書中に参考として援用される)の手順の改変に基づいて、実施した。
【0099】
細菌細胞を、Triptic Loy Broth(TSB)中で、37℃で、回転振盪機で12時間〜18時間増殖させた。細胞を、10分間の3000×gの遠心分離によって採取し、0.9%生理食塩水で2回洗浄し、そして最少培地(1リットルの蒸留HO中1.0グラムのD−グルコース、7.0グラムのKHPO、2.0グラムのKHPO、0.5グラムのクエン酸ナトリウム、1.0グラムの(NHSO、および0.1グラムのMgSO(pH=7.2))中に、1mlあたり約2×10細胞の濃度(600nmにおける光学密度0.10)まで懸濁させた。
【0100】
最少ブロス培養物を、37℃で1時間、振盪しながらインキュベートした。1〜3μCi/mlのL−[3,4,5−H]ロイシン(NEN Research Products,Du Pont Company,Wilmington,DEから入手)をこの細胞に添加し、そしてこの細胞懸濁液を、さらに20分間インキュベートした。これらの細胞を、0.9%生理食塩水中で4回洗浄し、そしてリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中に、1mlあたり約10細胞の濃度(600nmにおける光学密度0.10)まで懸濁させた。
【0101】
長期間装用コンタクトレンズサンプルを、放射性標識細胞懸濁液3mlとともに、37℃にて2時間インキュベートした。これらのレンズを、細胞懸濁液から滅菌鉗子を用いて取り出し、最初に0.9% 滅菌生理食塩水を続けて3回取り替えて(180ml)、各々に5回浸漬した。そのレンズから、生理食塩水を振り落とし、20mlのガラスシンチレーションバイアルに移した。10mlのOpti−Fluorシンチレーションカクテル(Packard Instrument Co.,Downers Grove,IL)を各バイアルに添加した。そのバイアルをボルテックスで攪拌し、次いで、液体シンチレーションカウンター(LS−7500,eckman Instruments,Inc.,Fullerton,CA)中に置いた。
【0102】
2回の実験からのデータを、標準較正曲線に基づいて、1分間あたりの壊変(dpm)からコロニー形成単位(cfu)に変換し、cfu/mmとして表した。較正曲線を、接種物の段階希釈液の混釈培養プレートにおいて回収されたコロニー数および既知の密度の細胞懸濁液の連続希釈液の光学密度(OD)から構築した。
【0103】
非接種長期間装用コンタクトレンズサンプル(これは、ロイシンと非特異的取り込みについてのコントロールとして働く)を、接種した部分と同じ様式において処理した。結果を、以下の表1に示す。
【0104】
【表1】

%EO=エチレンオキシドの%
HLB=親水性/親油性バランス。
【0105】
一般に、そのデータは、より高いエチレンオキシド含有量、および/またはより高いHLB係数を有するポリエーテルで処理したコンタクトレンズが、そのコンタクトレンズに対する細菌付着のレベルがより低かったが、その効果は、エチレンオキシド含有量またはHLB係数よりも鋭敏であったことを示す。一般に、処理溶液のポリエーテル濃度を変化させても(1重量%、3重量%、5重量%)、その結果に対する効果は比較的小さかった。まとめると、より高いエチレンオキシド含有量および/またはより高いHLB係数を有するポリエーテルは、特に、より高い分子量のポリエーテルについて、より低い細菌付着をもたらすようである。
【0106】
(実施例2)
コンタクトレンズサンプルを、実施例に類似の様式で処理した。この実施例において、その処理溶液は、表2に列挙されるように、逆ポロキサマー(reverse poloxamer)であった。
【0107】
【表2】

好ましい実施形態が、本明細書中で詳細に示されかつ記載されてきたが、種々の改変、付加、置換などが、本発明の趣旨から逸脱することなく行われうることが、当業者に明らかであり、従って、添付の特許請求の範囲において規定される範囲内にあると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物医学的デバイスの表面への細菌の付着を阻害するための方法であって、
該生物医学的デバイスの表面を、ポリエーテルを含む水溶液と接触させる工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記生物医学的デバイスの表面を水溶液中の前記ポリエーテルと接触させる工程は、該生物医学的デバイス上での表面コーティングの形成をもたらす、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記生物医学的デバイスは、眼用レンズである、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記眼用レンズは、コンタクトレンズである、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記コンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲル物質から形成される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記水溶液は、約200mOsom/kg〜約400mOsom/kgのイオン強度を有する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記水溶液は、約240mOsom/kg〜約310mOsom/kgのイオン強度を有する、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記水溶液は、抗菌剤、張度調整剤、緩衝剤、キレート剤、pH調整剤、および粘度改変剤からなる群より選択される1種以上の成分をさらに含む組成物である、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記水溶液は、ポリマー性四級アンモニウム化合物をさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記水溶液は、カチオン性多糖をさらに含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記ポリエーテルは、ポロキサマーである、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記溶液は、コンタクトレンズを清浄にし、すすぎ、保存し、そして消毒するための、多目的コンタクトレンズ溶液である、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記溶液は、消毒量の抗菌剤および緩衝剤をさらに含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記抗菌剤は、ビグアナイド剤を含む、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、前記溶液は、カチオン性セルロースポリマーをさらに含む、方法。
【請求項16】
生物医学的デバイスの表面への細菌の付着を阻害するための方法であって、
該生物医学的デバイスの表面を、該生物医学的デバイスの表面上に反応性基を提供するために化学物質および組成物で前処理する工程;ならびに
該表面上の反応性基を、水溶液中のポリエーテルと接触させる工程;
を包含する、方法。
【請求項17】
コンタクトレンズの表面への細菌の付着を阻害するための方法であって、
該コンタクトレンズの表面にポリエーテル含有組成物を適用して、該コンタクトレンズの表面上に該ポリエーテルまたは該ポリエーテル組成物の表面コーティングを形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記ポリエーテルは、エチレンオキシド(EO)ブロックおよびプロピレンオキシド(PO)ブロックから構成されるブロックコポリマーから形成される、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記ポリマーは、エチレンオキシド−プロピレンオキシド−エチレンオキシドブロックコポリマー、およびプロピレンオキシド−エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーからなる群より選択される、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、前記組成物は、
抗菌剤と、
張度調整剤、緩衝剤、キレート剤、pH調整剤、および粘度改変剤からなる群より選択される、少なくとも1種の構成要素と、
をさらに含む、方法。

【公表番号】特表2006−509532(P2006−509532A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541524(P2004−541524)
【出願日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/028400
【国際公開番号】WO2004/030715
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(391008847)ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド (137)
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
【Fターム(参考)】