説明

生体材料及び生体材料の製造方法

【課題】骨との結合能力に優れ、骨組織を速やかに再生することのできる生体材料を提供すること、及び、骨との結合能力に優れ、骨組織を速やかに再生することのできる生体材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリマーとセラミックス粉末とを含む生体材料であって、前記生体材料の表面に存在する前記セラミックス粉末は、前記生体材料の表面に存在する前記ポリマー及び前記セラミックス粉末の合計質量に対して3質量%以上であることを特徴とする生体材料、及び、前記ポリマーを前記セラミックス粉末と共に成形し、エッチング液に浸漬処理することを特徴とする生体材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体材料及び生体材料の製造方法に関し、さらに詳しくは、骨との結合能力に優れ、骨組織を速やかに再生することのできる、生体材料及び生体材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨が大きく欠損した場合の治療方法として、従来、患者自身の正常な骨を一部切り取って患部に移植する自家骨移植、又は、人工材料から成る人工骨を移植する人工骨移植等が行われている。しかし、自家骨移植は、採取できる骨量に制限があり、さらに正常な組織を傷つけることになるから患者の身体的負担が大きいうえ、自家骨移植に用いる自家骨移植用骨を患者自身の正常な骨から切り取ることによって新たに欠損部が生じるから、骨が大きく欠損した場合の本質的な治療方法とはいえない。また、人工骨移植は、工業的に生産される人工骨を使用するから自家骨移植の様な問題点は無いが、人工骨の力学的特性及び生物学的特性は本来の骨と異なるから、人工骨の前記特性に応じて、治療用途が限定されるという課題を有する。例えば、人工骨の材質としてチタン合金等の金属材料を選択すると、金属材料は、通常、高強度である反面、弾性率が高く靭性に欠けるので、移植周辺組織のストレスシールディング等を起こすという問題が生じる。また、人工骨の材質として水酸アパタイト等のバイオセラミックスを選択すると、バイオセラミックスは、通常、生体活性が高く骨と直接結合する反面、一般的なセラミックスと同様に靭性が低いという問題がある。さらに、人工骨の材質として超高分子量ポリエチレン等のポリマーを選択すると、ポリマーは、通常、柔軟性に優れる反面、生体活性に欠けるので、骨と直接結合しないという問題がある。
【0003】
これらの問題を解決することのできる材料として、柔軟性のあるポリマーと生体活性を有するバイオセラミックスとを複合化して成る材料が盛んに開発されている。このような材料として、例えば、「りん酸カルシウムと乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体とを含有してなる生体材、及び、この生体材に用いる好ましいりん酸カルシウムは650℃〜1500℃で焼結されたりん酸カルシウムであること」(特許文献1参照。)、「有機ポリマー中に無機粉粒が実質的に均一に分散し、内部に連続気孔を有し、表面と気孔内面に無機粉粒の一部が露出している有機−無機複合多孔体」(特許文献2参照。)、さらに、「生吸着性重合体成分と生物活性充填材とを含む生分解性材料から形成され、前記充填材の粒子が前記成分の表面内に埋設されていることを特徴とする部材」(特許文献3参照。)等が挙げられる。これら材料は、ポリマーとバイオセラミックスとを複合化して成るので高い強度を発現すると共に、生体活性を有しているので骨と直接結合することができるという利点を有する。
【0004】
このように、特許文献1〜3に記載された材料がすでに提案されているものの、バイオセラミックス等の生体活性を十分に発揮させて、速やかに骨組織を再生することのできる人工骨の材料が望まれている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−54564号公報(請求項1及び段落番号0018欄)
【特許文献2】特開2003−159321号公報
【特許文献3】特表2005−508219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、骨との結合能力に優れ、骨組織を速やかに再生することのできる生体材料を提供すること、及び、骨との結合能力に優れ、骨組織を速やかに再生することのできる生体材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための第一の手段として、
請求項1は、ポリマーとセラミックス粉末とを含む生体材料であって、前記生体材料の表面に存在する前記セラミックス粉末は、前記生体材料の表面に存在する前記ポリマー及び前記セラミックス粉末の合計質量に対して3質量%以上であることを特徴とする生体材料であり、
請求項2は、前記セラミックス粉末は、前記生体材料の表面に存在する前記ポリマー及び前記セラミックス粉末の合計質量に対して5質量%〜40質量%である請求項1に記載の生体材料であり、
請求項3は、前記セラミックス粉末は、生体材料の内部に実質的に均一に分散していることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体材料であり、
請求項4は、前記セラミックス粉末は、焼成温度1000〜1600℃で焼成されて成るセラミックスの粉末であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体材料であり、
請求項5は、前記生体材料は、10〜90%の気孔率を有する多孔体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体材料であり、
請求項6は、前記多孔体は、その気孔径が200〜500μmであり、複数の気孔が連通してなる連通孔の孔径が50〜300μmであることを特徴とする請求項5に記載の生体材料であり、
請求項7は、前記生体材料は、圧縮応力を負荷した場合に、最大圧縮強度が1.5MPa以上であり、圧縮方向の変位量が30%の時の圧縮強度が前記最大圧縮強度の50%以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の生体材料であり、
請求項8は、前記ポリマーは、生体吸収性ポリマーであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の生体材料であり、
請求項9は、前記生体吸収ポリマーは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−ε−カプロラクトン及びポリブチルサクシネートからなる群より選択される少なくとも一種の重合体、並びに/又は、乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン、及び、コハク酸/ブタンジオールからなる群より選択される少なくとも二種の単量体を共重合してなる共重合体であることを特徴とする請求項8に記載の生体材料であり、
請求項10は、前記ポリマーは、その結晶化度が40%以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の生体材料であり、
請求項11は、前記ポリマーは、40〜90%の結晶化度を有するポリ−L−乳酸であることを特徴とする請求項10に記載の生体材料であり、
請求項12は、前記セラミックス粉末は、リン酸カルシウム系材料、炭酸カルシウム及びバイオガラスからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の生体材料であり、
請求項13は、前記セラミックス粉末は、その平均粒径が0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の生体材料であり、
請求項14は、前記セラミックス粉末は、1〜10μmの平均粒径を有するリン酸三カルシウムである請求項13に記載の生体材料であり、
【0008】
前記課題を解決するための第二の手段として、
請求項15は、前記ポリマーを前記セラミックス粉末と共に成形し、エッチング液に浸漬処理することを特徴とする請求項1〜14に記載の生体材料の製造方法であり、
請求項16は、前記エッチング剤は、アルカリ水溶液であることを特徴とする請求項15に記載の生体材料の製造方法であり、
請求項17は、前記アルカリ水溶液は、アルカリ金属元素の水酸化物、アルカリ土類金属元素の水酸化物及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも一種を溶解してなる、pH12以上の水溶液であることを特徴とする請求項16に記載の生体材料の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る生体材料は、その表面に存在するポリマー及びセラミックス粉末の合計質量に対してセラミックス粉末が3質量%以上であるから、セラミックス粉末が高い露出度で露出した状態で表面に存在している。このような生体材料は、例えば、骨が欠損した部分(骨欠損部と称することがある。)又は歯が欠損した部分(歯欠損部と称することがある。)等に補填されると、表面に露出したセラミックス粉末の生体活性が十分に発揮されるから、骨との結合能力に優れ、骨組織を速やかに再生することができる。したがって、この発明によれば、歯・骨との結合能力に優れ、歯・骨組織を速やかに再生することのできる生体材料を提供することができる。そして、この発明に係る生体材料は、骨欠損部又は歯欠損部等の修復又は再生等に好適に利用される。したがって、この発明に係る生体材料は歯・骨再生促進充填剤として好適である。
【0010】
また、内部にセラミックス粉末が実質的に均一に分散している生体材料を、例えば、骨欠損部又は歯欠損部等に補填すると、生体材料を形成するポリマーが徐々に分解及び/又は吸収されても、新たな表面に露出するセラミックス粉末が実質的に3質量%以上となるから、このような生体材料は、初期の生体活性の発揮を長期間にわたって保持することができ、骨組織の速やかな再生を保持することができる。
【0011】
この発明に係る生体材料に含有されるセラミックス粉末が焼成温度1000〜1600℃で焼成されて成るセラミックス粉末であると、セラミックス粉末の生体活性及び安定性が高められているから、この発明に係る生体材料は、セラミックス粉末の高い生体活性を十分に発揮して、骨との結合能力に優れ、骨組織をさらに一層速やかに再生することができる。
【0012】
さらに、10〜90%の気孔率を有する多孔体である生体材料を、例えば、骨欠損部又は歯欠損部等に補填すると、気孔内に骨芽細胞等の生体物質が侵入、定着及び/又は成長しやすく、生体内での代謝及び骨形成が容易になり、セラミックス粉末の生体活性をその表面だけでなく気孔表面でも発揮させることができるから、このような生体材料は、骨との結合能力に優れ、骨組織をさらに一層速やかに再生することができる。
【0013】
この発明に係る生体材料の製造方法は、ポリマーとセラミックス粉末とを含有する懸濁液をスプレーして繊維集合体を製造することなく、ポリマーをセラミックス粉末と共に成形した後にエッチング液に浸漬処理する方法であるから、表面に3質量%以上のセラミックス粉末を露出させることができる。したがって、この発明によれば、表面に存在するポリマー及びセラミックス粉末の合計質量に対してセラミックス粉末が3質量%以上である生体材料を容易に製造することのできる生体材料の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を以下に記述するが、本発明は以下の記述内容によって限定的に解釈されるべきではなく、明示の記載がなくても以下の記述と技術常識とに基づいて容易に想到乃至理解可能な範囲もまた本発明の範囲である。
【0015】
この発明に係る生体材料は、ポリマーとセラミックス粉末とを含んでいる。
【0016】
前記セラミックス粉末は、生体親和性を有する無機生体材料(バイオセラミックスとも称する。)の粉末であればよいが、骨及び歯等の硬組織にみられる無機物質とほぼ同一の組成及び/又は構造を有し、顕著に生体組織と反応する生体活性セラミックスの粉末であるのが好ましい。
【0017】
このような生体活性セラミックスとしては、例えば、リン酸カルシウム系材料、バイオガラス、結晶化ガラス(ガラスセラミックスとも称する。)、炭酸カルシウム等が挙げられる。リン酸カルシウム系材料としては、例えば、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム水和物、α型リン酸三カルシウム、β型リン酸三カルシウム、ドロマイト、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、水酸アパタイト、フッ素アパタイト、炭酸アパタイト及び塩素アパタイト等が挙げられる。バイオガラスとしては、例えば、SiO−CaO−NaO−P系ガラス、SiO−CaO−NaO−P−KO−MgO系ガラス、及び、SiO−CaO−Al−P系ガラス等が挙げられる。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−CaO−MgO−P系ガラス(アパタイトウォラストナイト結晶化ガラスとも称する。)、及び、CaO−Al−P系ガラス等が挙げられる。これらのリン酸カルシウム系材料、バイオガラス及び結晶化ガラスは、例えば、「化学便覧 応用化学編 第6版」(日本化学会、平成15年1月30日発行、丸善株式会社)、「バイオセラミックスの開発と臨床」(青木秀希ら編著、1987年4月10日、クインテッセンス出版株式会社)等に詳述されている。生体活性セラミックスは、適宜製造しても、市販品を用いてもよく、例えば、リン酸カルシウム系材料は、湿式法、乾式法若しくは水熱法等により、製造した合成リン酸カルシウム系材料を用いてもよく、又は、骨若しくは歯等から分離された天然のリン酸カルシウム系材料を用いてもよい。
【0018】
生体活性セラミックスとしては、これらの中でも、生体吸収性及び生体活性に優れる点で、リン酸カルシウム系材料が好ましく、β型リン酸三カルシウムが特に好ましい。
【0019】
また、生体活性セラミックスは、焼成温度1000〜1600℃で焼成されて成るのが好ましく、1000〜1200℃で焼成されて成るのが特に好ましい。生体活性セラミックスの焼成温度が1000℃未満又は生体活性セラミックスが焼成されていないと、生体活性セラミックスの生体活性を十分に高めることができず、一方、生体活性セラミックスの焼成温度が1600℃を超えると、生体活性セラミックスが溶融することがあり、その結果、生体活性セラミックスの構造が破壊されて生物活性が失活し、又は、粉末状に調製することができないことがある。特に、生体活性セラミックスがリン酸カルシウム系材料である場合には、Ca/P(モル比)が1.40〜1.45であるリン酸カルシウム系材料を前記範囲の焼成温度で焼成して成るリン酸カルシウム系材料であるのが好ましい。このリン酸カルシウム系材料は、焼成における未反応物の残存及び水酸アパタイトの発生が抑えられ、高い生体活性を発現することができる。
【0020】
前記セラミックス粉末は、前記セラミックスを粉砕又は解砕等して成る粉末である。セラミックス粉末の形態は、後述するポリマー中に実質的に均一に分散することができる形状であればよく、例えば、球状、楕円状、扁平球状及び多面体状等の形状が挙げられる。
【0021】
セラミックス粉末は、後述するポリマー中に実質的に均一に分散することができる平均粒径を有する粉末であればよく、ポリマーへの分散性に優れる点で、平均粒径が0.1〜100μmであるのが好ましく、0.1〜100μmであるのが特に好ましい。特に、セラミックスがリン酸カルシウム系材料である場合には、リン酸カルシウム系材料の平均粒径は、1〜10μmであるのが好ましく、1〜5μmであるのが特に好ましい。リン酸カルシウム系材料の平均粒径が前記範囲にあると、ポリマーへの分散性に優れると共に、十分な生体活性を発現させることができる。セラミックス粉末の平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(商品名「LA−750」、株式会社堀場製作所製)等によって、測定することができる。
【0022】
セラミックス粉末は、前記セラミックス一種の粉末を単独で使用することもできるし、また、前記セラミックス二種以上の粉末を併用することもできる。
【0023】
前記生体材料に含まれるセラミックス粉末は、生体材料の表面に存在するセラミックス粉末が、生体材料の表面に存在する後述するポリマー及び生体材料の表面に存在するセラミックス粉末の合計質量に対して3質量%以上となる含有量であればよく、例えば、生体材料に含まれるポリマーとセラミックス粉末との合計質量に対して10〜70質量%であるのが好ましく、10〜50質量%であるのが特に好ましい。生体材料におけるセラミックス粉末の含有量が前記範囲内にあると、生体材料の表面に存在するセラミックス粉末を3質量%以上に容易に調整することができ、かつ、生体材料の機械的強度が優れる。
【0024】
前記生体材料に含まれるポリマーは、生体吸収性ポリマーであるのが好ましい。生体吸収性ポリマーとセラミックス粉末とを含む生体材料を骨欠損部又は歯欠損部等に補填すると、骨欠損部又は歯欠損部等の周囲の骨及び/又は歯と一体化した後に、生体材料に含まれる生体吸収性ポリマーが徐々に分解及び/又は吸収されて、生体材料の大部分が生体組織に置換され、骨欠損部又は歯欠損部等を速やかに修復することができる。
【0025】
このような生体吸収性ポリマーとしては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−ε−カプロラクトン及びポリブチルサクシネートからなる群より選択される少なくとも一種の重合体、並びに/又は、乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン、及び、コハク酸/ブタンジオールからなる群より選択される少なくとも二種の単量体を共重合してなる共重合体であるのが好ましい。これらの重合体及び共重合体は、生体内において、人工骨及び/又は人工歯として適した生体吸収性と力学的特性を有するから、骨組織を速やかに再生することができると共に、生体材料が補填された骨欠損部又は歯欠損部等の強度を確保することができる。なお、この発明において、ポリ乳酸には、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸及びポリ−DL−乳酸が含まれ、乳酸には、L−乳酸、D−乳酸及びDL−乳酸が含まれる。
【0026】
前記共重合体は、使用される骨欠損部又は歯欠損部等に応じて、共重合する単量体のモル比が調整され、また、ブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよく、その重合様式は特に限定されない。このような共重合体として、例えば、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体、ポリ乳酸/ポリ−ε−カプロラクトン共重合体、ポリ乳酸/ポリブチルサクシネート共重合体、ポリグリコール酸/ポリ−ε−カプロラクトン共重合体、ポリ乳酸/ポリグリコール酸/ポリ−ε−カプロラクトン共重合体等が挙げられる。
【0027】
前記生体吸収性ポリマーは、骨組織の速やかな再生と骨欠損部又は歯欠損部等の強度とをより高い水準で両立することができる点で、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びポリ−ε−カプロラクトンの少なくとも一種の重合体であるのが好ましく、特に、ポリ−L−乳酸が好ましい。
【0028】
前記ポリマーは、それぞれ生分解速度及び強度等が異なるため、使用する目的に応じて選択されることができる。また、使用するポリマーの種類及び平均分子量等によって、硬い生体材料からスポンジ状の柔らかい生体材料を作製することができる。したがって、ポリマーの平均分子量は、特に制限されないが、例えば、粘度平均分子量で100,000〜900,000であるのがよい。
【0029】
ポリマーは、その結晶化度が40%以上であるのが好ましく、40〜90%であるのがさらに好ましい。ポリマーの結晶化度が40%以上である場合には、ポリマー表面に骨類似アパタイト形成の起点となるサイトが多く存在するため、このようなポリマーとセラミックス粉末とを含む生体材料を骨欠損部又は歯欠損部等に補填すると、骨類似アパタイトが速やかに形成される。特に、ポリマーがポリ−L−乳酸である場合には、その結晶化度は、40〜90%であるのが好ましく、50〜90%であるのが特に好ましい。したがって、この発明に係る生体材料は、歯の欠損した部分又は骨の欠損した部分(これらを歯骨欠損部と称することがある。)に充填すると、歯又は骨の再生を促進して歯骨欠損部の迅速な再生を実現することができる歯・骨再生促進充填剤として好適である。ポリマーの結晶化度は、示差走査熱量計により測定される結晶融解に伴う吸熱量、及び、結晶生成に伴う発熱量から算出することができる。
【0030】
ポリマーは、一種を単独で使用することもできるし、また、二種以上を併用することもできる。なお、ポリマーは、前記生分解性ポリマーとこれ以外のポリマーとの混合物であってもよい。また、ポリマーは、通常採用される重合方法又は共重合方法により製造しても、市販品を用いてもよい。
【0031】
前記生体材料に含まれるポリマーは、生体材料の表面に存在するセラミックス粉末が、生体材料の表面に存在するポリマー及び生体材料の表面に存在するセラミックス粉末の合計質量に対して3質量%以上となる含有量であればよく、例えば、ポリマーと前記セラミックス粉末との合計質量に対して30〜90質量%であるのが好ましく、50〜90質量%であるのが特に好ましい。ポリマーの含有量が前記範囲内にあると、生体材料の表面に存在するセラミックス粉末を3質量%以上に容易に調整することができ、かつ、生体材料の機械的強度が優れる。
【0032】
生体材料は、前記ポリマーと前記セラミックス粉末とを含んでいるが、所望により、ポリマー及びセラミックス粉末以外の成分、例えば、分散剤等を含んでいてもよい。
【0033】
前記生体材料は、前記ポリマーと前記セラミックス粉末とを含み、ポリマーとセラミックス粉末とから形成される。そして、生体材料の表面を電子顕微鏡等で観察すると、その表面は、ポリマーとセラミックス粉末とが共に露出しており、好ましくは、その表面がポリマーとセラミックス粉末との海島構造となっている(例えば、図1参照。)。そして、この発明に係る生体材料は、表面に存在するセラミックス粉末が、表面に存在するポリマー及び表面に存在するセラミックス粉末の合計質量に対して3質量%以上である。生体材料の表面におけるセラミックス粉末が前記合計質量に対して3質量%未満である場合には、生体材料の表面にはセラミックス粉末がほとんど露出していないから、この生体材料を骨欠損部及び/又は歯欠損部に補填しても、セラミックス粉末の生体活性が十分に発揮されず、骨組織を速やかに再生することができないことがある。この生体材料の表面に存在するセラミックス粉末の前記合計質量に対する質量割合(以下、「表面に存在するセラミックス粉末の質量割合」と称することがある。)の上限値は、特に限定されないが、例えば、セラミックス粉末を過度に使用することを避けることができる点で、50質量%であるのがよい。表面に存在するセラミックス粉末の質量割合は、骨との結合能力に優れ、骨組織を速やかに再生することができる点で、5〜40質量%であるのが好ましく、5〜30質量%であるのが特に好ましい。
【0034】
ここで、表面に存在するセラミックス粉末の質量割合は次のようにして求めることができる。すなわち、生体材料における表面の元素分析を、X線光電子分光装置(例えば、商品名「PHI QUANTERA SXM」、ULVAC−PHI社製)を用いて、X線ビーム径(直径):100μm及びパスエネルギー:280eVの測定条件で行い、生体材料の表面に存在する元素の相対濃度比を測定する。測定された元素の相対濃度比に基づいて、生体材料の表面に存在するポリマーとセラミックスとの存在個数を算出する。次いで、算出されたポリマーの存在個数にポリマーの平均分子量を乗じ、また、算出されたセラミックスの存在個数にセラミックスの分子量を乗じて、生体材料の表面に存在するポリマーとセラミックスとの質量をそれぞれ算出する。算出されたポリマー及びセラミックスの質量から、表面に存在するセラミックス粉末の質量割合を算出する。この発明においては、表面に存在するセラミックス粉末の質量割合は、生体材料における表面の任意の複数箇所を測定領域として、前記方法により、算出し、それらの平均値とするのがよい。
【0035】
この発明において、生体材料の表面は、生体材料の最表面から10nmの深さまでの表層をいい、生体材料が後述する多孔質構造の多孔体である場合には、生体材料の表面は、生体材料の表面に加えて、気孔の表面、すなわち、気孔の最表面から10nmの深さまでの表層をも含む。
【0036】
生体材料は、前記したように、表面に存在するセラミックス粉末の質量割合が特定の前記質量割合でセラミックス粉末が存在していればよく、表面に存在するセラミックス粉末は、均一に分散していても、不均一に分散していてもよい。
【0037】
また、生体材料は、前記したように、表面に存在するセラミックス粉末の質量割合が特定の前記質量割合でセラミックス粉末が存在していればよいが、生体材料の内部にセラミックス粉末が実質的に均一に分散しているのが好ましい。セラミックス粉末が生体材料の内部に実質的に均一に分散していると、生体材料を、例えば、歯・骨欠損部等に補填して、生体材料を形成するポリマーが徐々に分解及び/又は吸収されても、新たな表面に露出するセラミックス粉末の質量割合は実質的に3質量%以上となる。したがって、このような生体材料は、初期の生体活性の発揮を長期間にわたって保持することができ、骨組織の速やかな再生能を保持することができる。
【0038】
この発明に係る生体材料は、その表面及び内部に気孔を実質的に有しない緻密体であっても、その表面及び内部に気孔を有する多孔質構造の多孔体であってもよい。生体材料が緻密体であっても、このような生体材料を、例えば、骨欠損部又は歯欠損部等に補填すると、生体材料に含まれるポリマーが徐々に分解及び/又は吸収されるから、残存する生体材料の表面はセラミックス粉末が露出し、骨組織を速やかに再生することができる。一方、生体材料が多孔体である場合には、このような生体材料を、例えば、骨欠損部又は歯欠損部等に補填すると、生体材料を形成するポリマーが徐々に分解及び/又は吸収されるから、残存する生体材料の表面はセラミックス粉末が露出し、骨組織を速やかに再生することができると共に、気孔内に骨芽細胞等の生体物質が侵入、定着及び/又は成長して、骨組織を速やかに再生することができ、したがって、骨組織をより一層速やかに再生することがでる。
【0039】
前記多孔体は、複数の気孔が連通して成る連通孔を有する多孔質構造となっている。気孔同士の連通は規則的であっても不規則的であってよい。また、一部の気孔は独立して、すなわち、他の気孔と連通していなくてもよく、一部の気孔は、数個の他の気孔と連通していてもよい。この発明において、連通孔を有する多孔質構造とは、生体材料の外部から気体や液体、骨芽細胞等の生体物質の生体物質等が連通している各気孔に侵入できる構造である。
【0040】
生体材料が多孔体である場合には、その気孔率は10〜90%であるのが好ましく、45〜75%であるのが特に好ましい。多孔体が前記範囲の気孔率を有すると、生体材料を、例えば、骨欠損部又は歯欠損部等に補填すると、気孔内により多量の生体物質が速やかに侵入、定着及び/又は成長しやすく、生体内での代謝及び骨形成がより一層速やかになり、セラミックス粉末の生体活性をその表面だけでなく気孔表面でも十分に発揮させることができるから、骨との結合能力に優れ、骨組織をさらに一層速やかに再生することができる。
【0041】
ここで、生体材料の気孔率は通常の方法で算出することができる。例えば、測定対象の生体材料と同じ組成で気孔を持たない生体材料の真密度ρを予め測定しておき、この真密度ρと、測定対象の生体材料の体積及び質量から算出した見かけ密度ρ’とから、式[1−(ρ’/ρ)]×100(%)により、算出することができる。又は、生体材料の電子顕微鏡写真における気孔面積の比率から計算値として求めて、これを近似値として気孔率とすることもできる。
【0042】
このような多孔体は、その表面に開口する気孔の孔径(気孔径と称することがある。)が、200〜500μmであるのが好ましく、300〜500μmであるのが特に好ましい。気孔の気孔径が前記範囲内にあると、多孔体の強度を維持しつつ、気孔内により多量の生体物質が速やかに侵入、定着及び/又は成長しやすく、骨組織をさらに一層速やかに再生することができる。気孔径は、通常の方法で算出することができる。例えば、多孔体の表面を電子顕微鏡等で観察し、電子顕微鏡写真における気孔の開口径を円相当直径として測定し、それらを算術平均することによって、算出することができる。
【0043】
また、多孔体は、複数の気孔が連通してなる連通部分、すなわち、連通孔の孔径が、50〜300μmであるのが好ましく、50〜150μmであるのが特に好ましい。連通孔の孔径が前記範囲内にあると、多孔体の強度を維持しつつ、気孔内全体により多量の生体物質が速やかに侵入、定着及び/又は成長しやすく、骨組織をさらに一層速やかに再生することができる。この連通孔は、通常、その断面が円形ではなく、その断面の大きさ(孔径)に分布もあり、また、通常は、連続気泡の連通部分が最も細くなっていると考えられるが、連通孔の孔径が前記範囲内にあれば、この部分にもより多量の生体物質が速やかに侵入等しやすくなる。連通孔の孔径は、ここでは、水銀ポロシメーターで測定した平均的な換算直径としての孔径である。
【0044】
なお、生体材料が多孔体である場合には、生体材料内の気孔表面は、生体材料の表面と同様に、生体材料の表面に存在するセラミックス粉末が、生体材料の表面に存在するポリマー及び生体材料の表面に存在するセラミックス粉末の合計質量に対して3質量%以上となっている。したがって、多孔質構造の多孔体を成す生体材料は、骨との結合能力に優れ、骨組織をさらに一層速やかに再生することができる。
【0045】
この発明に係る生体材料は、前記したように、ポリマーとセラミックス粉末とを含んでいるから、ポリマーの生体吸収性及び力学的特性と、セラミックスの生体活性とを兼ね備え、さらに、セラミックス粉末が所定の質量割合で生体材料の表面に露出しているから、力学的特性に優れると共に、骨との結合能力に優れ、骨組織を速やかに再生することができる。
【0046】
生体材料が多孔体である場合は、緻密体に比較して、力学的特性が低下する傾向にあるが、この発明に係る生体材料は、多孔体である場合、特に、この多孔体が焼成温度1000〜1600℃で焼成されて成るセラミックスの粉末を含有している場合には、直径10mm×高さ10mmの円柱状の生体材料に、ロードセルを用いて1mm/minの速さで圧縮応力を負荷した場合に、最大圧縮強度が1.5MPa以上であり、生体材料における圧縮方向の変位量が30%の時の圧縮強度が前記最大圧縮強度の50%以上であるという力学的特性を有する。前記最大圧縮強度は1.5〜30MPaであるのがより好ましく、1.5〜10MPaであるのが特に好ましく、前記変位量が30%の時の圧縮強度は前記最大圧縮強度の50〜100%であるのが特に好ましい。生体材料がこのような力学的特性を有すると、生体材料を、例えば、骨欠損部又は歯欠損部等に補填したときに、生体材料に力学的負荷がかかっても、生体材料が容易に脆性破壊せず、破損等の重大な不具合を回避することができる。
【0047】
この発明の生体材料は、製造後の形状で、又は、生体材料を製造後に所望の形状、例えば、粉末状、繊維状、ブロック状又はフィルム状等の形状で、用いられる。好ましくは、この発明の生体材料が補填される骨欠損部又は歯欠損部等の形状と同様の形状、又は、骨欠損部又は歯欠損部等の形状に相当する形状、例えば、相似形等に、成形、整形及び/又は調製されて、用いられる。そして、この発明の生体材料は、前記のように、力学的特性及び生体活性に優れ、特に、表面に露出したセラミックス粉末の生体活性が十分に発揮されて、骨との結合能力に優れ、骨組織を速やかに再生することができるから、歯及び/又は骨の補填材料として、具体的には、生体内の骨欠損部又は歯欠損部等を補填して、骨欠損部又は歯欠損部等を修復又は再生等する再生医療用材料として、好適に用いられる。
【0048】
この発明に係る生体材料の製造方法(この発明の製造方法と称することがある。)は、ポリマーをセラミックス粉末と共に成形し、エッチング液に浸漬処理する方法である。
【0049】
この発明の製造方法を実施するに当って、所望により、セラミックス又はセラミックスを粉砕若しくは解砕等してなるセラミックス粉末を、焼成温度1000〜1600℃、好ましくは1000〜1200℃で焼成する。焼成時間は特に限定されず、例えば、1〜12時間に調節することができる。セラミックス又はセラミックス粉末の焼成は通常の方法で行うことができる。
【0050】
次いで、ポリマーをセラミックス粉末と共に成形するが、成形前に、ポリマーとセラミックス粉末とを混合するのが、セラミックス粉末をポリマーに均一に分散させることができる点で、好ましい。ポリマーとセラミックス粉末との混合は、セラミックス粉末が凝集しないようにポリマーに分散させることができる方法であればよく、例えば、(1)加熱融解したポリマーにセラミックス粉末を添加し、混合物を攪拌して、セラミックス粉末をポリマーに均一に分散させた後に、冷却固化する方法、又は、(2)ポリマーを溶媒に溶解させたポリマー溶液若しくはポリマーを溶媒に懸濁したポリマー懸濁液にセラミックス粉末を添加し、混合物を攪拌して、セラミックス粉末を均一に分散させた後に、溶媒を除去する方法、(3)ポリマーとセラミックス粉末と溶媒とを混合撹拌し、次いで溶媒を除去する方法等を採用することができる。この方法で使用される溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メタノール、エタノール及び水等の溶媒等が挙げられる。なお、前記(2)及び(3)の方法において、溶媒を除去した後に得られるものは繊維集合体状を呈していない。
【0051】
ところで、ポリマーとして前記共重合体を用いる場合には、前記成形方法の他に、共重合体を構成する少なくとも二種の前記単量体とセラミックス粉末とを混合して、セラミックス粉末の存在下に、少なくとも二種の単量体を共重合して、ポリマーの製造と、セラミックス粉末の混合とを同時又は連続して、行う方法を採用することもできる。
【0052】
このようにしてポリマーにセラミックス粉末が均一に分散した混合物、又は、ポリマーとセラミックス粉末とを単に混合した混合物を、加熱成形する。加熱成形は、ポリマー及びセラミックス粉末の種類又は性質等に応じて、適宜、加熱温度及び加熱時間が決定され、例えば、ポリマーとしてポリ−L−乳酸を選択し、セラミックスとしてリン酸三カルシウムを選択する場合には、加熱温度100〜300℃で、加熱時間10〜180分にわたって、加熱成形される。加熱成形は、前記混合物を加熱成形することのできる方法を採用すればよく、例えば、ホットプレス機による加熱成形及び射出成形等が挙げられる。
【0053】
この発明に係る生体材料が多孔体である場合には、公知の方法で多孔質化すればよい。例えば、ショ糖等の有機物質又は塩化ナトリウム等の無機物質をセラミックス粉末と共にポリマーに分散させて加熱成形し、次いで、得られた成形体を、有機物質又は無機物質が溶出する溶媒、例えば、水又はアルコール等に所定時間浸漬することにより、多孔体を製造することができる。その他、凍結乾燥法、発泡剤等を用いる方法も採用することができる。
【0054】
この発明の製造方法においては、前記加熱成形によって、又は、前記加熱成形及び多孔質化によって、有機−無機混合物が製造される。この発明の製造方法においては、有機−無機混合物は、前記使用態様に応じて、前記加熱成形によって骨欠損部又は歯欠損部等の形状と同様の形状等に成形等され、又は、さらに粉砕又は破砕されて粉砕物とされる。粉砕物は、通常、粒状又は顆粒状である。粒状及び顆粒状のいずれであっても、その粒子の平均粒径は、通常、0.5mm〜10mmの範囲内にしておくのが好ましい。そして、前記有機−無機混合物、及び、前記粉砕物における一つ一つの粒子の表面に存在するセラミックス粉末の質量割合が3質量%以上である場合には、以後の工程を実施しなくてもよい。すなわち、この発明に係る生体材料は、ポリマーをセラミックス粉末と共に単に加熱成形することによって、又は、ポリマーをセラミックス粉末及び有機物質又は無機物質と共に加熱成形し、次いで、多孔質化することによって、必要により、さらに粉砕又は破砕することによって、製造することができる。
【0055】
ところが、通常、生体材料の表面に存在するセラミックス粉末の質量割合を所望の範囲に調整することは容易ではなく、表面に存在するセラミックス粉末の質量割合を3質量%以上に調整するには、ポリマーをセラミックス粉末と共に加熱成形してなる有機−無機混合物及びその粉砕物における一つ一つの粒子(有機−無機混合物等と称することがある。)をエッチング液に浸漬処理するのが有効である。
【0056】
有機−無機混合物等を浸漬処理するエッチング液は、有機−無機混合物等に含まれるポリマー、例えば、有機−無機混合物等の表面に存在するポリマーを分解及び/又は溶解してポリマーを侵食し、有機−無機混合物等の表面に存在するセラミックス粉末を分解及び溶解しない液であればよく、例えば、アルカリ水溶液、有機溶媒等が挙げられる。このようなエッチング剤で有機−無機混合物等を浸漬処理することにより、有機−無機混合物等の表面を均一に処理することができ、特に、有機−無機混合物等が多孔体である場合には、有機−無機混合物等の表面だけでなく、有機−無機混合物等の表面から内部に通じる気孔の表面も均一に処理することができる。また、有機−無機混合物等の表面に存在するポリマーとセラミックス粉末との界面に沿ってエッチング剤が浸透し、効率的にポリマーを浸食して、セラミックス粉末を表面に露出させることができる。このようにして、ポリマーとセラミックス粉末とから形成された、所望の形状を有する生体材料を製造することができる。生体材料の表面に存在するポリマーを速やかに侵食することができると共に、侵食量等を容易に調整することができる点で、エッチング液はアルカリ水溶液であるのが好ましく、pHが12以上のアルカリ水溶液であるのが特に好ましい。アルカリ水溶液を調整するのに用いられる溶質は、アルカリ金属元素(例えば、Li、Na、K等)の水酸化物、アルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr、Ba等)の水酸化物及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも一種であるのが好ましい。
【0057】
エッチング液は、侵食するポリマー量、表面に露出させるセラミックス粉末の質量割合等に応じて、任意の温度に調整され、具体的には、例えば、10〜60℃程度の温度に調整される。また、エッチング液がアルカリ水溶液である場合には、水溶液のpH、侵食するポリマー量、表面に露出させるセラミックス粉末の質量割合等に応じて、任意の濃度に調整され、具体的には、例えば、0.5〜5質量%程度の濃度に調整される。
【0058】
浸漬処理は、侵食するポリマー量、表面に露出させるセラミックス粉末の質量割合等に応じて、有機−無機混合物等をエッチング液に単に浸漬する処理であればよく、具体的には、例えば、有機−無機混合物等をエッチング液に10〜600分浸漬すればよい。
【0059】
この発明の製造方法においては、所望により、浸漬処理の前及び/又は後に、有機−無機混合物等及び/又は生体材料の洗浄処理、乾燥処理等の後処理を行うこともできる。これらの後処理は通常の処理方法を採用することができる。また、この発明の製造方法においては、所望により、有機−無機混合物を、骨欠損部又は歯欠損部等の形状と同様の形状、又は、骨欠損部又は歯欠損部等の形状に相当する形状、例えば、相似形等に、整形及び/又は調製する処理を行うこともできる。
【0060】
このようにして、表面に3質量%以上のセラミックス粉末を速やか、かつ容易に露出させることができ、この発明に係る生体材料を容易に製造することができる。
【0061】
かくして得られた生体材料は、補填される骨欠損部又は歯欠損部等の形状と同様の形状、又は、骨欠損部又は歯欠損部等の形状に相当する形状、例えば、相似形等に、成形、整形及び/又は調製され、所望により、水、生理食塩水等の人体に無害な液と共に、骨欠損部又は歯欠損部等に補填される。例えば、この発明に係る生体材料は、自家骨移植に用いる自家骨移植用骨を患者自身の正常な骨から切り取ることによって欠損した骨欠損部又は歯欠損部等に、前記骨欠損部又は歯欠損部等の形状と同様の形状に調製され、所望により人体に無害な前記液と共に、補填される。一方、前記のようにして得られた、粉砕物としての形態を有する生体材料は、所望により、水、生理食塩水等の人体に無害な液に混合されてペースト状物とされ、骨欠損部又は歯欠損部等に充填される。このようにして、補填された生体材料及び充填されたペースト状物中に存在する粉砕物においては、その表面に3質量%以上のセラミックス粉末が露出しているので、骨欠損部又は歯欠損部等における歯又は骨の再生が迅速に達成される。
【実施例】
【0062】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定するものではない。
【0063】
(実施例1)
前記方法により測定した結晶化度が40%であるポリ−L−乳酸(粘度平均分子量約300,000)0.9gを1,4−ジオキサン20gに溶解した。得られた溶液に、焼成温度1100℃で3時間焼成した焼成リン酸三カルシウム(前記方法により測定した焼成リン酸三カルシウムの平均粒径は2μm)0.1gを添加して充分に分散させて、分散液とした。次いで、この分散液を12時間ドラフト内に静置して、1,4−ジオキサンを揮発させた後、ホットプレスにて加熱成形し、前記焼成リン酸三カルシウム(β型)の含有率がポリ−L−乳酸と焼成リン酸三カルシウムとの合計質量に対して10質量%のポリ−L−乳酸/焼成リン酸三カルシウム混合物を得た。このポリ−L−乳酸/焼成リン酸三カルシウム混合物を、pH12.9の水酸化ナトリウム水溶液100mLに一時間浸漬し、表面をエッチングして、生体材料(緻密体)を得た。
【0064】
(実施例2〜5)
焼成リン酸三カルシウムの含有率を表1に記載の値に調整した以外は、実施例1と同様にして、生体材料(緻密体)を得た。
【0065】
(実施例6〜8)
前記方法により測定した結晶化度を表1に記載の値に調整したポリ−L−乳酸(粘度平均分子量300,000)0.7gと、前記焼成リン酸三カルシウム0.3gとを用いた以外は、実施例1と同様にして、生体材料(緻密体)を得た。
【0066】
(実施例9及び10)
平均粒径が5μm又は10μmの焼成リン酸三カルシウム0.3gを用いた以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、生体材料(緻密体)を得た。
【0067】
(実施例11〜15)
前記方法により測定した結晶化度が40%であるポリ−L−乳酸(粘度平均分子量300,000)0.5gを1,4−ジオキサン20gに溶解した。得られた溶液に、前記方法により測定した平均粒径が3μmの焼成リン酸三カルシウム(β型、焼成温度1100℃、焼成時間3時間)0.5g及びショ糖0.9g(実施例11)、2.1g(実施例12〜14)又は8g(実施例15)を添加して充分に分散させて、分散液とした。次いで、この分散液を12時間ドラフト内に静置して、1,4−ジオキサンを揮発させた後、ホットプレスにて加熱成形し、さらに、純水中に12時間浸漬してショ糖を溶出させ、焼成リン酸三カルシウムの含有率がポリ−L−乳酸と焼成リン酸三カルシウムとの合計質量に対して50質量%のポリ−L−乳酸/焼成リン酸三カルシウム混合物の多孔体をそれぞれ得た。これらのポリ−L−乳酸/焼成リン酸三カルシウム混合物の多孔体をそれぞれ、pH12.9の水酸化ナトリウム水溶液100mLに一時間浸漬し、表面をエッチングして、生体材料(多孔体)を得た。
【0068】
(比較例1〜5)
pH12.9の水酸化ナトリウム水溶液によるエッチング処理を行わなかった以外は、実施例1〜5と同様にして、それぞれ、生体材料(緻密体)を得た。
【0069】
このようにして製造した各生体材料の表面を走査型電子顕微鏡(拡大率3000倍)で観察したところ、程度の違いはあるものの、いずれの生体材料もその表面にポリ−L−乳酸と焼成リン酸三カルシウムとが観察され、特に、その表面はポリ−L−乳酸と焼成リン酸三カルシウムとの海島構造になっていた。実施例3及び比較例3の生体材料における表面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真をそれぞれ、図1及び図2に示した。図1及び図2において、白色又は灰色の部分が焼成リン酸三カルシウムであり、黒色の部分がポリ−L−乳酸である。図2(比較例3の生体材料)においては、焼成リン酸三カルシウムの大部分がポリ−L−乳酸の表層内部に埋没しているのに対し、図1(実施例3の生体材料)においては、エッチング処理の効果により焼成リン酸三カルシウムが表面に露出していることが確認できた。
【0070】
また、製造した各生体材料の表面における任意の3箇所をX線光電子分光装置(商品名「PHI QUANTERA SXM」、ULVAC−PHI社製)を用いて前記方法により測定し、測定値の算術平均値を、表面に存在する焼成リン酸三カルシウムの質量割合として、算出した。また、実施例11〜15で製造した各生体材料を任意の面で切断した切断面における気孔表面をX線光電子分光装置を用いて、同様にして、気孔表面における焼成リン酸三カルシウムの質量割合を算出した。その結果を表1に示す。
【0071】
さらに、実施例11〜15で製造した各生体材料の気孔率、気孔の気孔径及び連通孔の孔径を前記方法により算出した。その結果を表1に示す。
【0072】
また、実施例1〜15及び比較例1〜5で製造した各生体材料における「骨との結合能力」を、擬似体液浸漬試験により、評価した。具体的には、実施例1〜10及び比較例1〜5で製造した各生体材料を10mm×10mm×2mmの板状体に切り出し、36.5℃に調整された擬似体液100mLに1日間浸漬させた後、板状体を取り出し、その表面を走査型電子顕微鏡で観察して、水酸アパタイトの析出の有無を確認した。また、実施例11〜15で製造した各生体材料を直径12mm×高さ5mmの円柱体に切り出し、同様にして、擬似体液100mLに1日間浸漬させた後、円柱体を取り出し、その表面及び気孔の表面をそれぞれ同様に観察して、水酸アパタイトの析出の有無を確認した。なお、この擬似体液浸漬試験は、ヒトの血漿とほぼ等しい無機イオン濃度を有し、アパタイトに対して過飽和な溶液である擬似体液に試験体を浸漬し、試験体表面におけるアパタイト形成能を評価する試験方法であり、詳細は、大槻ら、「Mechanizm of apatite formation on CaO−SiO−P glasses in a simulated body fluid」、ジャーナル オブ ノン−クリスタリン ソリッド(Jornal of Non−Crystaline Solides)、第143巻、84〜92頁、1992年の論文に記載されている。
【0073】
【表1】

【0074】
表1から明らかなように、生体材料の表面におけるセラミックス粉末の質量割合が2質量%未満の比較例1〜5の生体材料は、いずれも、擬似体液浸漬試験において、水酸アパタイトの形成能が認められなかったのに対して、この発明に係る生体材料は、生体材料の表面におけるセラミックス粉末の質量割合が3質量%以上であるから、いずれも、擬似体液浸漬試験において水酸アパタイトが形成され、速やかな水酸アパタイトの形成能を有することが認められた。特に、実施例1及び実施例2等によれば、生体材料におけるセラミックス粉末の含有量が20質量%と低くても、表面におけるセラミックス粉末の質量割合が3質量%以上であれば、生体材料が速やかな水酸アパタイトの形成能を発揮することがわかった。また、実施例11〜15によれば、生体材料の表面だけでなく、気孔表面においても、速やかな水酸アパタイトの形成能を発揮することがわかった。
【0075】
(実施例16〜22)
表2に示す焼成温度で焼成して得られた焼成リン酸三カルシウム(β型、前記方法により測定した焼成リン酸三カルシウムの平均粒径はいずれも2μm)の含有率を30質量%に調整した以外は、実施例1と同様にして、生体材料(緻密体)を得た。
【0076】
(実施例23〜29)
前記焼成リン酸三カルシウムの含有率を表2に記載の値に調整した以外は、実施例17と同様にして、生体材料(緻密体)を得た。
【0077】
(実施例30〜36)
前記方法により測定した結晶化度が40%であるポリ−L−乳酸(粘度平均分子量約300,000)0.7gを1,4−ジオキサン20gに溶解した。得られた溶液に、表2に示す焼成温度で3時間焼成して得られた焼成リン酸三カルシウム(β型、前記方法により測定した焼成リン酸三カルシウムの平均粒径は2μm)0.3g及びショ糖2.4gを添加して充分に分散させて、分散液とした。次いで、この分散液を12時間ドラフト内に静置して、1,4−ジオキサンを揮発させた後、ホットプレスにて加熱成形し、さらに、純水中に12時間浸漬してショ糖を溶出させ、焼成リン酸三カルシウムの含有率がポリ−L−乳酸と焼成リン酸三カルシウムとの合計質量に対して30質量%のポリ−L−乳酸/焼成リン酸三カルシウム混合物の多孔体をそれぞれ得た。これらのポリ−L−乳酸/焼成リン酸三カルシウム混合物の多孔体をそれぞれ、pH12.9の水酸化ナトリウム水溶液100mLに一時間浸漬し、表面をエッチングして、生体材料(多孔体)を得た。
【0078】
(実施例37〜42)
前記焼成リン酸三カルシウム及びショ糖の含有率を表2に記載の値に調整した以外は、実施例30と同様にして、生体材料(多孔体)を得た。
【0079】
(実施例43)
前記ショ糖の含有率を表2に記載の値に調整した以外は、実施例31と同様にして、生体材料(多孔体)を得た。
【0080】
(実施例44及び45)
ショ糖の粒径を調整して、気孔径を表2の記載の値に調整した以外は、実施例31と同様にして、生体材料(多孔体)を得た。
【0081】
このようにして製造した各生体材料の表面を走査型電子顕微鏡(拡大率3000倍)で観察したところ、程度の違いはあるものの、いずれの生体材料もその表面にポリ−L−乳酸と焼成リン酸三カルシウムとが観察され、特に、その表面はポリ−L−乳酸と焼成リン酸三カルシウムとの海島構造になっていた。
【0082】
また、実施例16〜29で製造した各生体材料の表面における任意の3箇所を、実施例1と同様にして、表面に存在する焼成リン酸三カルシウムの質量割合を算出した。また、実施例30〜45で製造した各生体材料を任意の面で切断した切断面における気孔表面をX線光電子分光装置を用いて、同様にして、気孔表面における焼成リン酸三カルシウムの質量割合を算出した。さらに、実施例30〜45で製造した各生体材料の気孔率、気孔の気孔径及び連通孔の孔径を前記方法により算出した。その結果を表2に示す。
【0083】
また、実施例16〜45及び実施例3で製造した各生体材料における「骨との結合能力」を、前記擬似体液浸漬試験により、評価した。具体的には、実施例3、実施例16〜29で製造した各生体材料を10mm×10mm×2mmの板状体に切り出し、36.5℃に調整された擬似体液100mLに0.5日及び1日間浸漬させた後、板状体を取り出し、その表面を走査型電子顕微鏡で観察して、水酸アパタイトの析出の有無を確認した。また、実施例30〜45で製造した各生体材料を直径12mm×高さ5mmの円柱体に切り出し、同様にして、擬似体液100mLに0.5日及び1日間浸漬させた後、円柱体を取り出し、その表面及び気孔の表面をそれぞれ同様に観察して、水酸アパタイトの析出の有無を確認した。
【0084】
実施例30〜45の生体材料における最大圧縮強度及び圧縮方向の変位量が30%の時の圧縮強度を前記方法により測定し、最大圧縮強度に対する圧縮方向の変位量が30%の時の圧縮強度(表2において「強度比」と称する。)を算出した。その結果を表2に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
表2から明らかなように、実施例16〜45で製造された生体材料は、生体材料の表面におけるセラミックス粉末の質量割合が3質量%以上であるから、いずれも、擬似体液浸漬試験(1日浸漬)において水酸アパタイトが形成され、速やかな水酸アパタイトの形成能を有することが認められた。特に、焼成温度1000〜1600℃で焼成されて成るセラミックス粉末を含有してなる実施例17〜45で製造された生体材料は、擬似体液浸漬試験(0.5日浸漬)においても水酸アパタイトが形成され、実施例16に比して、より一層速やかな水酸アパタイトの形成能を有することが認められた。また、実施例30〜45で製造された生体材料は多孔体であるのもかかわらず、最大圧縮強度は1.5MPa以上であり、かつ、圧縮方向の変位量が30%の時の圧縮強度が前記最大圧縮強度の50%以上であった。すなわち、これらの生体材料は、力学的特性に優れ、例えば、骨欠損部又は歯欠損部等に補填されたときに、これらの生体材料に力学的負荷がかかっても、生体材料が容易に脆性破壊せず、破損等の重大な不具合を回避することができることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、実施例3の生体材料における表面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】図2は、比較例3の生体材料における表面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーとセラミックス粉末とを含む生体材料であって、前記生体材料の表面に存在する前記セラミックス粉末は、前記生体材料の表面に存在する前記ポリマー及び前記セラミックス粉末の合計質量に対して3質量%以上であることを特徴とする生体材料。
【請求項2】
前記セラミックス粉末は、前記生体材料の表面に存在する前記ポリマー及び前記セラミックス粉末の合計質量に対して5質量%〜40質量%である請求項1に記載の生体材料。
【請求項3】
前記セラミックス粉末は、生体材料の内部に実質的に均一に分散していることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体材料。
【請求項4】
前記セラミックス粉末は、焼成温度1000〜1600℃で焼成されて成るセラミックスの粉末であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体材料。
【請求項5】
前記生体材料は、10〜90%の気孔率を有する多孔体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体材料。
【請求項6】
前記多孔体は、その気孔径が200〜500μmであり、複数の気孔が連通してなる連通孔の孔径が50〜300μmであることを特徴とする請求項5に記載の生体材料。
【請求項7】
前記生体材料は、圧縮応力を負荷した場合に、最大圧縮強度が1.5MPa以上であり、圧縮方向の変位量が30%の時の圧縮強度が前記最大圧縮強度の50%以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の生体材料。
【請求項8】
前記ポリマーは、生体吸収性ポリマーであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の生体材料。
【請求項9】
前記生体吸収ポリマーは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−ε−カプロラクトン及びポリブチルサクシネートからなる群より選択される少なくとも一種の重合体、並びに/又は、乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン、及び、コハク酸/ブタンジオールからなる群より選択される少なくとも二種の単量体を共重合してなる共重合体であることを特徴とする請求項8に記載の生体材料。
【請求項10】
前記ポリマーは、その結晶化度が40%以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の生体材料。
【請求項11】
前記ポリマーは、40〜90%の結晶化度を有するポリ−L−乳酸であることを特徴とする請求項10に記載の生体材料。
【請求項12】
前記セラミックス粉末は、リン酸カルシウム系材料、炭酸カルシウム及びバイオガラスからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の生体材料。
【請求項13】
前記セラミックス粉末は、その平均粒径が0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の生体材料。
【請求項14】
前記セラミックス粉末は、1〜10μmの平均粒径を有するリン酸三カルシウムである請求項13に記載の生体材料。
【請求項15】
前記ポリマーを前記セラミックス粉末と共に成形し、エッチング液に浸漬処理することを特徴とする請求項1〜14に記載の生体材料の製造方法。
【請求項16】
前記エッチング剤は、アルカリ水溶液であることを特徴とする請求項15に記載の生体材料の製造方法。
【請求項17】
前記アルカリ水溶液は、アルカリ金属元素の水酸化物、アルカリ土類金属元素の水酸化物及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも一種を溶解してなる、pH12以上の水溶液であることを特徴とする請求項16に記載の生体材料の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−142379(P2008−142379A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334363(P2006−334363)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】