説明

生体素材の改善された初期的及び最終的特徴の為の二段階システム

化学的接合セラミック素材(CBC)と、特に歯科充填素材又はインプラント素材の為の二段階システムであり、このシステムは改善された初期特性を提供する。初期作業部分システム及び、生体活性を含み、改善された最終製品特性を提供し、第二主要システムを含む。システムは化学的に相互に作用する。この発明は更に形成済セラミック素材と同様に、粉末状素材及び水和液のそれぞれに関わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、望ましくは歯科充填素材かインプラント素材等の化学的結合セラミック素材(CBC)に関するもので、二段階の手続きを構成する。このシステムは、改善された初期特性を提供する初期処理部分システム及び、生体活性を含む改善された最終製品特性を提供する第二主要システムを含む。システムは化学的に相互に作用する。この発明は更に形成済セラミック素材と同様に、粉末状素材及び水和液それぞれに関わる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、水和セメントシステム様式の結合物質システムに関連する。特にアルミン酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩及びそれらの結合からなるグループの中の、化学的結合セラミックを構成するセメントに基づくシステムに関するものであり、主な陽イオンとしてカルシウムを持つ。前述のシステムに加えて、第二早期結合システムが含まれている。この発明は、歯科用途及び整形外科応用の為の生体素材を目的として特別に開発された。しかし充填剤及びセメントの両方が、被覆及び薬剤配達の為の運搬物質を含む移植物と同様に、電子工学、マイクロメカニックス等、又は建設の分野における工業的応用の中での充填剤としても使用されることができる。
【0003】
人体と相互作用する、歯科用充填素材及び移植物のような素材の為に、その素材ができるだけ、生体活性又は生体適合性のあるように作られていることは利点である。歯科用充填素材及び移植物に要求されるその他の特性は、虫歯の中での簡潔な適用性を持つ良いハンドリング性、良い形成能力を可能とするモールディング、有害熱を発生しない、充填作業の為の十分早い硬化/凝固である。そしてこれらの特性は、次の性質を提供する。直接治療に従う有用性、高い硬度及び強度、腐食抵抗、充填素材及び生体壁との間の良い結合、寸法安定性、 X 線不透過性、かなり長い時間の特性及び特に歯科用充填素材に関する良い美学。最低でもこれらの要求された特性の大半を満たす素材を提供する目的で、以下の中で記されるような素材が開発された。
例: SE 463,493 ; SE 502,987 ; WO 00/21489; WO 01/76534 ; WO 01/76535 ; PCT/SE02/01480; 及び PCT/SE02/01481
【発明の開示】
【0004】
この発明は、改善された初期特性(最初の10分間から最大数時間までの間に達成される特性)の連結及び数日か数週間後に異なる特性を達成する最終段階に向けての特性の開発に、特に関連する。今回の発明は特に、以下の問題に関連する。初期モールディング能力、初期強度、発生する熱及び高い強度と同様の初期の色/透過率の整備、粘弾性及び他の機械的特質。すなわち生体活性製品の中での複合特性分析結果の最適化を可能とする問題及び、同時に更に、製品を形成する為に同じ製品を処理する間の、そのシステムの特性分析結果の問題である。
【0005】
カルシウムアルミン酸塩に基づく歯科の為の化学的結合セラミックシステムは、初期強度及び拡張可能性に関する2つの欠点を持つ。初期強度は、約7日後に到達される。しかし最初の一時間の間の強度は、一時的な充填素材の強度よりも低い。拡張の大きさが高すぎるかもしれないが、これは歯科団体から疑問を提起されない為である。ISO 1559によると、アマルガム修復は -0.15 から +0.2 線形パーセントの範囲内の 寸法安定性を持つべきである。0.2%のレベルは、Ca-アルミン酸塩に基づくシステムの中で得られる。しかし0に近い拡張が望ましい。
【0006】
整形外科応用の為、付加的な問題が初期の凝固及び硬化の間に生じる熱に対処する。これはより多量の生体素材が注入されるような治療に関して、より顕著である。
【0007】
今回の発明は、これらの化学的結合セラミックに基づく生体素材に関する問題に取り組む。低い初期強度は、最初の24時間以内の故障の原因となり得る。そして幾分高すぎる膨張性が、初期の充填剤を補充した後の弱った歯の中で、歯の亀裂を引き起こす可能性がある。重要課題は、最終特性に悪い影響を与えずに初期強度をいかに上げるかであり、及びそれは簡単な問題ではなく及びそれは注意深い微細構造設計を要求する。今回の発明に伴う異なる化学反応に、二つの期間を使用することは、生体素材の初期要求特質及び最終製品特徴に伴う問題を解決する。
【0008】
従って今回の発明は、CBCに基づいた素材、望ましくは次の特徴を持つ生体素材の為のシステムを提供することを目的とする。それは望ましくは次の特徴を持つ生体素材である。
改善された制御性
粉末状素材とそのシステムの水和液との混合の際発生する熱と同様、
初期粘性及び濃度に関する制御性。
及び初期特性
(初期強度、気孔閉鎖、透光性及び初期に得られる生体活性)
及び最適な最終製品特性
水和したCBCに基づく製品の中で、
圧縮及び曲げ強度及び十分高いE-係数、
確実な粘弾性及び適切な硬度、
を含む機械的特性のような特性。
改善された初期特性及び最終特性の、この組み合わせは化学的適合システムの最適化された組み合わせを用いることにより達成される。そこでは初期システムは初期相の中で、主要システムと一緒に動作している。全体的なシステムは、選択された部分システムによって設定されるpHの変化と共に働く。今回の発明は急速に形成された相の、pHが制御された結合に関連する。主として架橋化学反応及び化学的結合セラミック様式の全面的酸塩基反応に制御され、主として水和化学反応に制御される。初期の酸システムを生体活性システムに変換するのに、pHの制御は不可欠である。すなわち、アパタイト形成の条件などである。高いpHの値への急速な変化は、金属放出の危険性を減らす。
【0009】
これら及び他の目的は、このシステム、粉末状素材(すなわち無機結合相及び反応性ガラス)、この発明による特許請求の中で定義された、水和液及びセラミック素材によって実現される。
【0010】
この発明のひとつの特徴によると、この粉末状素材及び又は水和液は、ポリアクリル酸の添加物及び又はその塩又はその他のポリカルボン酸、その共重合体、又はポリカルボン酸塩(すなわちポリカルボン酸の塩又はエステル)を構成する。これらの全てが、PAAシステムについて言及する。
【0011】
その粉末状素材の中及び又はその水和液の中の、ポリカルボン酸又は共重合体又は塩又はそのエステルの、本発明の付加により、以下の反応が、溶解、水和及び重合の間に起こる。ここでpoly (acrylic-co-maleic acid) (ポリ(アクリル共マレイン酸))及びカルシウムアルミン酸塩の間の反応によって、例示される。
Rは任意のグループ一つのイオン
(すなわち H+、Li+、Na+、K+、Rb+、望ましくは H+、Na+、K+) 又は
NH4+ であり、M は金属イオンの可能性がある (例: A13+、Ca2+、Sr2+、Si4+)。

【0012】
有機的親水システムはPAAシステムに制限されておらず、しかし他のポリカルボン酸に基づいている。
例:poly (maleic acid) (ポリ(マレイン酸))、poly (itaconic acid) (ポリ(イタコン酸))又はトリカルバリル酸又はリン酸塩エステルのようなカルボン酸塩。
更にPAA/PEGのような高分子も使用されることができる。
【0013】
架橋結合金属イオン(Ca、Al、Si、Sr...) の供給元は反応性ガラス及びCaに基づくセメント素材の添加物である。反応性ガラスは、望ましくは Ca、Sr及び又は Siの代替イオンとしてのAlを含む、水可溶ケイ酸塩ガラスである。
例: 高二価イオン内容物を含む基本システム(CaO SrO, Al203)-SiO2のガラス。
【0014】
ポリアクリル酸又はその塩(PAA)の機能は、分散能力及び架橋結合に分けられる。理解されているとおり、ポリアクリル酸又はその塩(PAA)の機能は分散能力と架橋結合に分けられる。架橋結合した重合酸の場合、粉末状素材(反応性ガラス及び、カルシウムに基づくセメント素材)はその液体の中で最初に分解される。その後、Ca及びAlイオンはポリアクリル酸と架橋結合し、ポリアクリル高分子を形成する。そして他のCa及びAlイオンは水和し、第二段階で水和カルシウムアルミン酸塩素材を形成する。結果として生じる水和素材は、CBC素材及び架橋結合したポリアクリル高分子の合成物である。二つの部分の合成物 -a biomer - の最適化された形成の為、CBCシステムは次の物質を要求する。Ca-アルミン酸塩又はCa-ケイ酸塩、反応性ガラス(例:イオノマー型のガラス)、その構成物は、従来の生体活性ガラス、ポリアクリル酸及び又はその塩及び不活性充填剤の粒子と、最低でも同程度に可溶である(例:歯科用ガラス)。そのシステムの初期低pHは、反応性ガラス及び基本Ca-アルミン酸塩システム又は同じ様式の他の化学的結合セラミック(例:Ca-ケイ酸塩)の両方の溶解を促す。
【0015】
したがって結合相は、分割された期間か、又は重複した期間の間、全体的硬化過程の中で動作する可能性があり、潜在的初期特性と、特に生体力学と生化学の特性に関連する高性能終了特性との組み合わせを促進する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
L.H. による医科学製品の調査記事Hench"Engineered Materials Handbook"Vol 4, ASM International 1991, pp1007- 1013, (特に1008ページの図 1 と 2) と比較して、今回の発明は付加的様式の生体活性素材を扱う。その様式は様式5として、すなわち従来の生体活性ガラス及び又は吸収性材質の中と比べてより早い分解と沈殿の相の状態で、定義できるだろう。これは可溶ガラス及び無機セメントの使用によって達成される。
【0017】
今回の発明によると、驚くほど良い初期結果と改善された最終特性を生むひとつの経路は、グラス・アイオノマー・セメント及びカルシウムアルミン酸塩及び又はカルシウムケイ酸塩の鉱物との合成素材を作り、システムの生体活性特質を維持する。グラス・アイオノマー・セメントはガラスとポリアクリル酸から構成される。酸はガラスを溶解し、ガラスから出るイオンは、酸を架橋結合し、その素材は硬化する。反応は比較的急速であり、最終強度に近い強度に、約一時間後到達する。ガラスの破片を、カルシウムアルミン酸塩又は、ケイ酸塩及び水に対するPAAの対応する一部分とを(促進機を用いて)交換することにより、合成素材が形成される。液体の内容物は以下によって制御される。



0. 2 < wc/c < 0. 45 (無機セメントシステムを指す)、
0 < PAA/(reactive_glass (反応性ガラス)) < 0.21 、
0. 2 < WGIC/(reactive_glass (反応性ガラス)) < 0.45 (グラス・アイアノマー・システムを指す)。全ての比率が、重量による比率を示す。

式の中の各記号は、次の意味を表す。
c= 無機セメント;
WC = 無機セメントと反応する水;
WGIC = 反応性ガラスと反応する水、及び
W (すなわち 全ての水) = WC + WGIC
【0018】
PAAは溶液及び又は固体酸構成物として、適用されることができる。
【0019】
初期pHが酸性である為、PAA反応が最初に起こり、そしてその酸が架橋結合されるにつれて、そのpHが増加し、Ca-アルミン酸塩の水和が続く。その素材は、純粋なセラミックシステムの初期強度より、より高い初期強度を持つ。最終強度はGICの最終強度よりも高い。微細構造変数は次の物質によって制御される。反応性ガラス、そのpHを含むポリアクリル酸、Ca-アルミン酸塩又はCa-ケイ酸塩及び不活性充填剤(例:歯科用ガラス粒又はグラスファイバー)。
【0020】
初期溶液は pH < 7 、望ましくは 1−4 の値を持たなければならず、ポリカルボン酸の架橋結合を増強する。ポリカルボン酸システムがCA-システムと接触するときpHが増加し、基本全体的システムが pH > 7 となる結果になる。ポリアクリル酸の量は、最大30分まで pH < 7 に保つ為に制御される。最終的な水和の後、そのpHは元の側から中性に近づく。ポリカルボン酸に基づく純粋なグラス・アイオノマー・システムに伴う一つの問題は、腐食抵抗感度である。基本CAHシステムは、ポリアクリル酸システムの中で初期酸性度を中性化する。今回の発明は、二相の生体素材と見なすことができる。その生体素材は、二つの異なる生体素材から構成される。第一の生体素材は、必要な初期現象を処理する為に活性化され、そして第二の生体素材は、最終製品の特性分析結果を確立する為に活性化される。これらは生体活性素材として含まれる。
【0021】
pHの制御、特に処理過程の初期−初期酸化状態の後−にpH > 7 の値を得る効果は、初期酸システムを生体活性システムに変換する際、不可欠である。すなわちアパタイト形成の条件であり、そこで要求されるのは、高いpHと次のイオンを含む化学的環境である。カルシウム、リン酸塩 及び水酸基イオン−リン酸塩ガラス、体液又はリンに由来するリン酸塩イオン−で結合素材を含む、水酸基イオンCa-アルミン酸塩システムの溶解や、望ましくは Li水酸化物 及び又は Ca水酸化物 の添加された塩の溶解から生ずる。高いpHの値が、アルミン酸塩イオン(Al3+) の代わりに、アルミン酸塩イオン(Al(OH)4-) の形成に貢献する。
【0022】
今回の発明の中の反応性充填剤の粒子は、次の物質から構成される。反応性ガラス、リン酸塩含有ガラス、及び化学的結合セラミックス、望ましくはCa-アルミン酸塩、望ましくは、
CA = (CaO) (Al203)、
C12A7 = (CaO)12 (Al203)7) 及び
C3A = (CaO)3 (Al203) 及び又は
CS = (CaO Si02)、
C2S = (2CaO Si02) 、 及び
C3S = (3CaO Si02)、
この後者は、望ましくは整形外科応用の為のものである。反応性ガラスの組成、特に溶解率は極めて重要である。ガラスの粒の大きさもまた重要であり、40ミクロン以下である必要がある。純粋なPAAは初期総合架橋結合反応を提供する。そのPAAの塩の付加は、低い w/c における改善された粘度を達成するのに重要である。不活性充填剤は、総合的最終製品微細構造において必要不可欠である。その効果は次の性質に関係する。低下した拡張性、増加したX 線不透過性 及び 良好な機械的特性、特に硬性 及び 破壊靱性。
【0023】
カルシウムアルミン酸塩相に関しては、CA, C12A7 及び C3Aを使うのが望ましく、これらは良い初期強度を生む。促進機の追加は、Ca-アルミン酸塩相の選択に依存する。リチウムイオンの低い濃度は、CAに対する反応比率を高める。C12A7 及び C3A にとって、促進機の効果はより複雑である。
【0024】
発明の他の特徴によると、初期“酸性“期間の約5分間の後、pHの値を高い pH > 7 、より望ましくは、 pH > 10にする変化を達成する為に、塩基の添加が含まれている。これは最適化された水和速度を保障する為である。
【0025】
発明の他の特徴によると、引き伸ばされた最大30分の時間の間、pHの値を pH < 7 に保つ為に、さらなる酸の添加が含まれている。これは酸の完全な架橋結合の為の、最適化された時間を保障する為である。
【0026】
そのような付加的な(遅延された後で急速になる)pHの変化を誘導する方法は、多孔質材から酸/塩基を放出することを含む。(望ましくはナノ/メソ多孔構造 又は ゼオライト形式構造)。さらなる方法は、pHの変化種類、特にCBCs素材、例:例えばNa-glyconateを用いた被覆による、Ca-アルミン酸塩相の放出/溶解を制御する為に、粒子表面を被覆することである。
【0027】
活性酸は無機セメントと一緒にした乾燥物質としてか、又は水和液の中の液体としてか、又は乾燥した活性酸の原料及び、活性酸の溶液との両方の結合として、導入され得る。
【0028】
相応に、前述のポリカルボン酸は100−250,000、望ましくは 1000−100,000の分子量を持つ。そして最大30%まで、望ましくは1-20%内、及び最も望ましくは3-15%内の量の重さで存在するが、これらの値は歯科用途の為の任意の乾燥添加物を含む、粉末状素材の上で算出される。
【0029】
システムは、粉末状素材の中で添加剤として、望ましくは 3−30質量パーセント、最も望ましくは 5−20質量パーセントの容量で、不活性歯科用ガラスを構成することが望まれる。
その粒子の大きさは、均質性を確立する際に重要である。粒子の大きさは 0.1−5 μm、となることが望ましく、より望ましいのは0.2−2 μm、及び最も望ましいのは0.3−0.7 μm である。歯科用ガラスは、少ない添加量の不安定ガラス 又は 反応性ガラスを含む可能性があり、それらは望ましくは、そのガラスの容量の10%以下である。F-アパタイト形成の原因となるフッ素イオンを発生させる為に、これらのガラスは望ましくは、フッ素及びリン酸塩を含むことができる。今回の発明によると、初期の気孔閉鎖により、純粋な無機セメントに基づくシステムの中と比べてより早く、透過性が達成される。
【0030】
前述のポリカルボン酸又はその塩は、次からなるグループの中の酸である。PAA、Me (I) -PAA, PAMA 及び Me (I)-PAMA、
この式の中の各記号は、次を意味する。
PAA = poly acrylic acid((ポリアクリル酸))
PAMA = poly(acrylic-co-maleic acid)(ポリ (アクリル共マレイン酸) )
Me (I)-PAMA = poly(acrylic-co-maleic acid) Me(I)-salt(ポリ (アクリル共マレイン酸)Me(I)-塩)
Me (I)-PAA = poly acrylic acid Me (I)−salt(ポリアクリル酸 Me (I)-塩 )
Me (I) = alkali metal ion 例: Na, K 又はLi(アルカリ金属イオン)
【0031】
この発明のひとつの実施形態では、ポリカルボン酸に基づく素材の中の反応性グループの少なくとも一部分又は、より望ましくは全てが、CBCシステムに結合する。
【0032】
システムはWO 00/21489に記されているように、セラミック素材に寸法安定性長期属性を与える為に適合された、一つ又はそれ以上の拡張補償添加物を構成する可能性がある。他の添加物とシステムの特徴は、以下の中で記されていることに従う可能性がある。SE 463,493, SE 502,987, WO 00/21489, WO 01/76534, WO 01/76535, PCT/SE02/01480 及び PCT/SE02/01481, これらの内容はこの特許請求の中で、参照によって盛り込まれている。例として、少なくとも歯科用充填素材にとっては、システムが添加剤を構成すること、及び又は、システムが水和素材の透過性を与える原料に基づくことが望まれる。
【0033】
この発明の一つの特徴によると、不活性充填剤の粒子は、主要結合相と同じ組成の半水和化学的結合セラミックにより構成される。これは微細構造の均質性を改善し、反応性化学的結合セラミックと充填素材の間の結合を強める。
【0034】
今回の他の特徴によると、気孔の閉鎖を最初に改善する為、付加的なシステムが含まれることが可能である。それはすなわち、以下のシステムを導入することによる。pHとは独立に働くシステム、例:CaSO4の半水和物、ギプス。そして最初の全システムと、リン酸及び酸化亜鉛−亜鉛を形成する−リン酸塩の結合とを硬化する為の、さらなるシステム。これらの相は長期の特性に貢献しないだろうが、しかし初期気孔閉鎖及び初期強度を強める。
【0035】
顆粒を用いることにより、w/c比 (水/セメント の比)は疎性の粉末に対する比と比べて低くなる。その素材の流動性は、それが粒状にされた時高くなる。その顆粒は、望ましくは1 mm 以下、更に望ましくは、0.5 mm 以下、及び最も望ましくは、0.4 mm 以下の大きさでなければならない。顆粒の圧縮密度である顆粒密度は、35%以上、より望ましくは 50%以上、最も望ましくは、60%以上でなければならない。
【0036】
そのような高度に圧縮された小さな顆粒を使うことにより、続く段階で、高度圧縮物体の加工性の制限を全く残さずに、その素材の形成を起こすことが可能である。混練、押し出し、錠剤投擲、超音波等のような続く段階の中での促進された形成は、35%、望ましくは 50%、より更に望ましくは、60%を超える高い最終圧縮度を持つシステムの中で可動性を保持する間、行われることができる。
【0037】
その原理は次の事実に基づいている。小顆粒−前圧縮の造粒の後の高度圧縮体−は、同じ物質内の粒子の間で数千万か幾らかの接点を持ち、その粒子はマイクロメータの大きさである。これらの小顆粒が一緒に圧縮されて新しい物質を形成する時、新しい接点が生じるが、その新しい接点は、同じ高度圧縮の接点とは異なる。これらの新しい接点の中での低い圧縮度は、改善された加工性をもたらすが、全体の圧縮度は、新しい接点の中での低い圧縮度によって、わずかに下げられるだけである。これは新しい接点によるが、それらは全ての接点の量の中で、とてもわずかな割合を構成するにすぎない。たとえ1000個の新しい接点が形成されたとしても、これらの接触面は、全体の接触面1000個あたりのものよりも少ないだろう。すなわちこれらは最終密度に対しとてもわずかな影響を持ち、その影響は今回の発明によると、その顆粒のより高度な圧縮によって決定されるだろう。更に、個々の、押し固められた顆粒の間の接触部分は、他の接点とほとんど区別不可能となるだろう。それはこの発明によるシステムに対する総合的硬化機構が、固形物の溶解を、水との反応によって成すことにより、イオン、飽和溶液及び、水和沈殿物の形成を導くにつれて起こることである。
【0038】
追加された液体によってセメントが水和するシステムの中で、新しい接点は、硬化された相によってさらに埋められるであろうが、これは水和/硬化の後、均質性が増加することを意味する。最終的な圧縮度がそのような方法で増加されることにより、より高密度の最終製品が得られるだろうが、それよって、増加された強度、電波不透物質の量を減らす可能性、及びより容易に達成される透過性が、製品の加工性がとても良いのと同時に導かれる。
【0039】
この実施例の一つの特徴によると、顆粒は、望ましくは 60 % 以上、更により望ましくは 65 % 以上、及び最も望ましくは 70 % 以上の圧縮度を示す。望ましくは顆粒は次の平均的大きさを持つ。最低 30 μm、望ましくは 最低 50 μm、及びより更に望ましくは最低 70 μm、しかし最大 250 μm 、 望ましくは最大 200 μm、及びより更に望ましくは最大150 μm 。一方その顆粒の中の粉末状粒子は、20 μm 以下、望ましくは 10 μm 以下の最大粒子寸法を持つ。最大粒子寸法を持つ粒子を構成するのが、粉末状粒子のごく少量の割合であるにすぎないことが、ここで記されなければならない。粒子サイズはレーザー回折によって測定される。高度に圧縮された顆粒は、粉末状素材によって製造され、次の方法によって、特定の圧縮度合に圧縮される。冷静水圧プレス成形、薄層の錠剤圧縮、水和振動技術 又は 爆発圧縮。例:その素材がそれに応じて圧縮された後は顆粒化、
例として粉砕化 又は 特定の大きさの顆粒への割断化 がされた状態である。
【0040】
この発明によるシステムと素材は、グラス・アイオノマー・セメントや、純粋なCa-アルミン酸塩に基づくシステムや、単量体に基づく充填素材のようなシステム/素材と比較して利点を持つ。その為このシステムは、寸法的特徴、強度 及び 最小化された劣化の全てに関して、その生体活性を維持し、改善された初期強度を持ち、及び長期間の安定性を持つ。素材の粘度は、湿潤顆粒から注入可能なスラリーにわたる、粉末状素材と水和液との初期混合物において、広範囲内で制御され得る。その素材は、それが最低でも二段階で固化する点において、独特である。すなわち、有機酸 又は その塩と、無機セメントシステム 及び 付加反応性ガラスの両者から生じた陽イオンとの架橋結合による段階、及び一つかそれ以上のシステムの水和による段階である。
【実施例1】
【0041】
機械的特性における、重合酸の量 及び 化学的結合セラミックの組成の両者の影響を調べる為、試験が実行された。その値は、商用のグラス・アイオノマー・セメント及びアマルガムの両者と比較される。

使用された原料
カルシウムアルミン酸塩 ( (CaO)3 (Al203) 、(CaO) (Al203) 、(CaO)12 (Al2O3)7) 、
カルシウムケイ酸塩 (CaO) (SiO2) 、(2CaO) (SiO2) 、(3CaO) (SiO2) 、
歯科用ガラス充填剤 (Schott) 、
重合酸 (PAA = poly acrylic acid Mw = 50, 000 、
Na-PAMA = poly (acrylic-co-maleic acid) sodium salt Mw = 50, 000 )
(Na-PAMA = ポリ (アクリル共マレイン酸) ナトリウム塩 Mw = 50, 000 )
及び 反応性ガラス (Schott 及び 実験的ガラス)
グラス・アイオノマー・セメント (Fuji II, GC-corp)
及び アマルガム (Dispersalloy, Dentsply)。

使用される物質の準備
カルシウムアルミン酸塩は、歯科用ガラス、反応性ガラス、ポリアクリル酸 及び poly (acrylic-co-maleic acid) sodium salt(ポリ(アクリル共マレイン酸)ナトリウム塩)と混合された。カルシウムアルミン酸塩の相は、焼結工程を経て統合された。その中で、最初のCaO 及び Al2O3は要求される組成に混合され、その後高温で6時間の間、焼結された。形成されたカルシウムアルミン酸塩の塊は、粉砕され、平均粒子寸法で1.5 μm 及び 最大粒子寸法で 9 μm まで噴流粉砕(ジェット・ミル)された。歯科用ガラス、カルシウムアルミン酸塩 及び 重合酸は、アセトン 及び Si3N4の大理石と14時間の間混合され、要求された均質性を得た。同様の処理が、Caケイ酸塩を用いて製剤8で使われた。
製剤は、(in wt. %) に応じて作られた。

【0042】
これらの製剤は 5ml の瓶の中に置かれ、液体と共に湿らされ、“Rotomix“ (3M ESPE) の中で15分間混合され、続いて3分間遠心分離された。
【0043】
さらに、18 mM の LiClが水和速度をより増加させるために付加された。液体の内容は、以下によって制御された。



ここで各記号の意味は、次の通りである。
WC/C=0. 32 (無機セメントシステムを指す。) 、
PAA/ (reactive_glass (反応性ガラス) ) = 0. 14 及び
W/ (reactive_glass (反応性ガラス) ) = 0.37 (グラス・アイオノマー・システムを指す)。

試験の解説

直径張力強度が、6つの製剤、アマルガム 及び グラス・アイオノマー・セメントに関して測定された。強度は15分後、60分後、4時間後 及び 24時間後に測定された。全ての試料はDTS測定の前に、リン酸塩緩衝溶液(pH 7.4)の中に保存された。pHはDTS測定の際の時間と同じ時間にわたって、蒸留水(素材/水 1/3 体積比)の中に素材の定められた量を浸すことにより、測定された。全ての保存の温度は37℃である。

結果
試験の結果は以下の通りである。

PAAと反応性ガラスをカルシウムアルミン酸塩のシステムに加えることによって初期強度の増加が達成され得る。更に、(CaO) 12(Al203) 7 を加えることにより、反応速度が増加され、従ってまた、初期強度も増加される。カルシウムアルミン酸塩を含む製剤の為の時間にわたる、pHの増加は、水和反応が純粋なカルシウムアルミン酸塩のシステムと似ていることを示す。
【実施例2】
【0044】
酸耐浸食性に対する重合酸の影響を調査する為に、一連の試験が実施された。その値は、商用グラス・アイオノマー・セメント(Fuji II) 及び、商用カルシウムアルミン酸塩に基づく歯科用素材(DoxaDent, Doxa AB)と比較される。

使用される原料

カルシウムアルミン酸塩 (Ca0) (Al203) 、
歯科用ガラス充填剤 (Schott) 、
Na-PAMA = poly (acrylic-co-maleic acid) sodium salt
(Na-PAMA = ポリ (アクリル共マレイン酸) ナトリウム塩 ) 、
ポリアクリル酸 Mw 50000 、
反応性ガラス

試験の解説

試験 a) から c) で、以下を調査した:
a) Fuji II の酸による浸食
b) DoxaDent の酸による浸食
c) 例 1で解説された製剤3
d) 例 1で解説された製剤7
【0045】
カルシウムアルミン酸塩の相は、焼結工程を経て統合された。その中で、最初のCaO 及び Al2O3は、要求される組成に混合され、その後高温で6時間の間焼結された。形成されたカルシウムアルミン酸塩の塊は、粉砕され、平均粒子寸法で 3 μm 、最大粒子寸法で 9 μm まで噴流粉砕(ジェット・ミル)された。歯科用ガラス、反応性ガラス、カルシウムアルミン酸塩 及び 重合酸が、要求された均質性を得る為に、アセトン 及び Si3N4の大理石と14時間の間混合された。試験c)とd)の中の試料は、要求される水対セメントの比率になるまで5mlの瓶の中で混合され、15分の間、500 rpm で回転された。DoxaDent と Fuji II の試料は、製造者の教示に応じて作られた。酸の侵食が、ISO-9917に応じて測定された。
【0046】
この結果は、b),c),d)で行われた試験が 0.01 mm/h 以下(検出限界以下)の酸による侵食を示した一方、グラス・アイオノマー・セメントが 0.1 mm/h の酸による侵食を示したことを表した。それゆえこの結果は、カルシウムアルミン酸塩に対する重合酸の付加が、その耐酸性を減少させないことを示す。
【実施例3】
【0047】
カルシウムに基づくセメント素材の起こりうる試験管内での生体活性、グラス・アイオノマー・セメント 及び それら二つの結合を調査する為に、一連の試験が実行された。生体活性は、体液と接触する表面上でアパタイトを形成する能力として、ここで定義される。

使用される素材の準備

カルシウムアルミン酸塩は、歯科用ガラス、反応性ガラス、ポリアクリル酸 及び poly (acrylic-co-maleic acid) sodium salt (ポリ(アクリル共マレイン酸)ナトリウム塩) と混合された。カルシウムアルミン酸塩の相は、焼結工程を経て統合された。その中で最初のCaOとAl2O3は、要求される組成に混合され、その後高温で6時間の間焼結された。形成されたカルシウムアルミン酸塩の塊は、粉砕され、平均粒子寸法で2.5 μm 及び 最大粒子寸法で 9 μm まで噴流粉砕(ジェット・ミル)された。歯科用ガラス、カルシウムアルミン酸塩 及び 重合酸が、要求された均質性を得る為、アセトン 及び Si3N4の大理石と14時間の間混合された。同じ処理がCaケイ酸塩を使った製剤8の為に使われた。製剤は、 (in wt. %):に応じて作られた。

各製剤の0.5 グラムずつが、5 ml の瓶の中に置かれ、液体で湿らされ、混合機(ミキサー)の中で15分間、3M/ESPEによって混合され、その後、3分間遠心分離された。
【0048】
さらに、LiCl の18 mM が水和速度をより増加させる為に加えられた。その液体の組成は、以下によって制御された。



ここで、各記号の意味は次の通りである。
WC/C=0. 32 (CBC-システムを指す。) 、
PAA/ (reactive_glass (反応性ガラス)) = 0. 14 、
w/ (reactive_glass (反応性ガラス)) = 0.37 (グラス・アイオノマー・システムを指す) 。
比較の為、 GICの試料も又作られた。

試験の解説

定められた量の素材を、刺激された体液(SBF)(素材/SBF 1/3 体積比)の中に
1日、7日、21日の期間の間、37℃で浸すことにより、生体活性が調査された。保存された後に、その試料はSBFから取り除かれ、蒸留水の中ですすがれ、48 時間の間37℃ で乾燥された。その製剤の表面の組成は、薄膜X 線回折(1°角) 及び EDXと組み合わされたSEMで調査された。各々の製剤と期間において、五つの試料が分析された。SEMに関しては、Ca 及び Pが表面上において 1.67 の割合で存在することは、アパタイトの形成を示す。XRDの中では、アパタイトに関する粉末回析書類によると、そのピークは試料から得られるパターンと適合しなければならない。

結果

この分析から得られる結果は、下の表に見られる。カルシウムに基づくセメントの全ての製剤は、表面に、21日後に、リン灰石を形成した。少量のカルシウムアルミン酸塩を含む製剤は、全てが表面上で一日後にアパタイトを持った多量のカルシウムアルミン酸塩を含む製剤ほど早くはアパタイトの層を形成しなかった。GIC素材は、アパタイトを表面上に形成しなかった。それゆえ結合された素材は、生体活性であるとみなすことができる。

表. 生体活性試験から得られた結果

【0049】
この発明はここで記される実施例に限定されておらず、この特許請求の範囲の中で、変化させることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学結合素材の為のシステムであり、溶液水和液を構成し、第一結合相(c)を構成する粉末状素材であり、その粉末状素材は、化学結合セラミック素材と水和する為に、前述の第一結合相と反応する液体との、容量に従う飽和率を持ち、第二非セラミック結合相は、前述の第一結合相の水和の初期化時間 及び 水和率それぞれと比較して、異なる凝固の初期化時間 及び又は 異なる凝固比率を持ち、このシステムは、更に反応性ガラス、溶液水和液(WGIC)の第二の部分を構成し、ここで式中の各記号の意味は、通りである。
W = Wc +WGIC
(Wc/C) + (第二結合相)/ (反応性ガラス) + WGIC/ (反応性ガラス)
ここで、各値の範囲は通りである。
0.2 < Wc/C < 0. 45,
0 < (第二結合相)/ (反応性ガラス) < 0.21 及び
0.2 < WGIC /(反応性ガラス) < 0.45
このシステムは第一結合相(c) 及び 第二結合相それぞれの、水和反応 及び 凝固反応の間のイオン相互作用を提供する。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであり、部分システムの凝固 及び 硬化の為の異なる初期化時間に関連する特性を制御する目的で、初期 pHの値を < 7 、より望ましくは < 4 、 及び 最も望ましくは 1−3 に保つことを可能にする為に適合されていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかひとつに記載のシステムであり、第二結合相はポリカルボン酸 及び又は 共重合体 又は 塩 又は そのエステルを構成し、pH < 7のシステムの中で、次のpHの値を与え、混合後の最初の20分の間、望ましくは pH < 4 とし、最初の10分間の間 及び 最も望ましくは最初の5分間の間、望ましくは pHを1−4の間の値とすることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1、2のいずれかひとつに記載のシステムであり、初期期間の後、数分間、最大でも約5分まで、pH < 7でそのシステムを混合した後、そのpHの値を pH > 7 、より望ましくは pH > 10 、にする変化を達成する為に、塩基がそのシステムの中で構成されることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1−3のいずれかひとつに記載のシステムであり、最大30分、望ましくは最大20分までに延長された時間の間、そのpHを、pH < 7 に保つために、追加的な酸がそのシステムの中で構成されることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項4または5に記載のシステムであり、このシステムは多孔質材、望ましくはナノ/メソ多孔性構造(極小/中間多孔性構造) 又は 沸石(ゼオライト)型の構造を構成し、前述の塩基 又は 酸をそれぞれ放出することができることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項4または5に記載のシステムであり、前述の第一結合相の粒子は、溶解減少層の膜で覆われ、望ましくはグリコール酸塩を構成することを特徴とするシステム。
【請求項8】
先述の請求項のいずれかひとつに記載のシステムであり、このシステムは準水和化学的結合セラミック、望ましくは前述の第一結合相と同様の組成から構成される不活性充填剤の粒子を構成することを特徴とするシステム。

【請求項9】
先述の請求項のいずれかひとつに記載のシステムであり、そのシステムはCaS04の準水和物 及び又は 、リン酸 及び 酸化亜鉛 −亜鉛を形成する− リン酸塩の結合を構成することを特徴とするシステム。
【請求項10】
先述の請求項のいずれかひとつに記載のシステムであり、このシステムは、15分後に直径抗張力で測定された、5MPa以上の初期強度を生じることを特徴とするシステム。
【請求項11】
歯科 又は 整形外科応用の為の粉末状素材で、請求項1のシステムの中での使用の為に用いられ、第一結合相を構成するが、基本的に、粉末状素材が水和液との容量に従う飽和率を持つセメントシステムを構成し、次の物質と反応し、化学的結合セラミック素材と水和する為の、前述の第一結合相、前述の第一結合相の水和の初期化時間 及び 水和率それぞれと比較して、異なる凝固の初期化時間 及び又は 異なる凝固比率を持つ、第二非セラミック結合相の添加物からなり、粉末状素材は反応性ガラスを構成し、第二結合相は、ポリカルボン酸 又は 共重合体 又は 塩 又は そのエステルを構成し、 重量で総量の最大30%以内で、 100−250,000、望ましくは、1000−100,000 の分子量を持ち、任意の乾燥添加物を含む粉末状素材を基にしていることを特徴とする素材。
【請求項12】
請求項11に記載の歯科用途の為の粉末状素材であり、ポリカルボン酸 又は 共重合体 又は 塩 又は そのエステルが、1−20 % の量で 及び 望ましくは3−15 %の重量で存在し、それらは任意の乾燥添加物を含む粉末状素材を基にしていることを特徴とする素材。
【請求項13】
請求項11に記載の整形外科応用の為の粉末状素材であり、ポリカルボン酸 又は 共重合体 又は 塩 又は そのエステルが、1−15 % の量で、望ましくは2−5 %の重量で存在し、それらは任意の乾燥添加物を含む粉末状素材を基にしていることを特徴とする素材。
【請求項14】
請求項11−13のいずれかひとつに記載の粉末状素材であり、化学的結合セラミック素材は、アルミン酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、硫酸塩 及び そしてそれらの結合からなるグループの中の素材であり、望ましくは、次から構成されるグループの中で陽イオンを持ち、Ca、Sr、Ba、最も望まれるものとしてカルシウムアルミン酸塩セメントであるが、カルシウムアルミン酸塩セメントの場合、第一結合相は状況に応じてガラス相の状態で、望ましくは 3CaO・Al203 及び CaO・2Al203 の相の間の組成を持ち、最も望ましくは、ほとんど 12CaO・7Al203 を持つことを特徴とする素材。
【請求項15】
請求項11−14のいずれかひとつに記載の粉末状素材であり、少なくとも一部か 又は 最も望ましくは前述のポリカルボン酸の全ての反応型グループ 又は その塩が、化学的結合セラミック素材と結合することを特徴とする素材。
【請求項16】
請求項11−15のいずれかひとつに記載の粉末状素材であり、前述のポリカルボン酸 又は 共重合体 又は 塩 又は そのエステルは、ポリアクリル酸、poly (acrylic-co-maleic acid) (ポリ(アクリル共マレイン酸))、poly (itaconic acid) (ポリ(イタコン酸))、トリカルバリル酸、重合体、塩 及び そのエステル;及びそれらの結合からなるグループの中の物質であることを特徴とする素材。
【請求項17】
請求項11−16のいずれかひとつに応じる粉末状素材であり、その素材は、不活性相の添加物を含むが、望ましくは歯科用ガラスを含み、その際の含有量は、望ましくは 3−30質量パーセント、より望ましくは 5−20質量パーセントであることを特徴とする素材。
【請求項18】
請求項17に記載の粉末状素材であり、前述の不活性相添加物は、0.1−5 μm 、より望ましくは 0.2−2 μm、及び 最も望ましくは 0.3−0.7 μm の大きさの粒子を持つことを特徴とする素材。
【請求項19】
請求項17または18に記載の粉末状素材であり、前述の不活性相は次の相を構成し、少量のより不安定な相、又は 望ましくは10%以下の不活性相の含有量のガラスを含み、より不安定な相である反応的相、又は 望ましくはフッ化物 及び又は リンを構成する反応的相であることを特徴とする素材。
【請求項20】
請求項11−19のいずれかひとつに記載の粉末状素材であり、この素材は顆粒の形態を持ち、望ましくは1mm以下、より望ましくは、0.5mm以下 及び 最も望ましくは、0.4mm以下 の大きさで、35%以上、より望ましくは、50%以上、最も望ましくは、60%以上の顆粒圧縮密度を持つことを特徴とする素材。
【請求項21】
粉末状素材の為の水溶性水和液であり、第一結合相は、基本的にセメントシステムを構成し、そのシステムでは粉末状素材が水和液との容量に従う飽和率を持ち、化学的に結合したセラミック素材と水和する為に、前述の第一結合相と反応し、前述の水和液は、第二非セラミック結合相の添加物を構成し、この第二結合相は、前述の第一結合相の水和の初期化時間 及び 水和率それぞれと比較して、異なる凝固の初期化時間 及び又は 異なる凝固比率を持ち、その水和液は粉末状素材と一緒に、第一結合相 及び 第二結合相それぞれの、水和反応 及び 凝固反応の間のイオン相互作用を提供することを特徴とする水和液。
【請求項22】
請求項21に記載の水溶性水和液であり、前述の第二結合相は、ポリカルボン酸 又は 共重合体 又は 塩 又は そのエステルを構成することを特徴とする水和液。
【請求項23】
請求項22に記載の水溶性水和液であり、前述のポリカルボン酸 又は その塩の反応性グループの少なくとも一部か、最も望ましくは全てが、化学的結合セラミック素材に結合することを特徴とする水和液。
【請求項24】
請求項22、23に記載の水溶性水和液であり、前述のポリカルボン酸 又は 共重合体 又は 塩 又は そのエステルは、ポリアクリル酸、poly (acrylic-co-maleic acid) (ポリ(アクリル共マレイン酸))、poly (itaconic acid) (ポリ(イタコン酸))、トリカルバリル酸;共重合体、塩 及び そのエステル; 及び その結合からなるグループの中の物質の一つであることを特徴とする水和液。
【請求項25】
請求項22−24のいずれかひとつに記載の水溶性水和液であり、前述のポリカルボン酸 又は 共重合体 又は 塩 又は そのエステルは、分子量で100−250,000、望ましくは、1000−100,000 を持つことを特徴とする水和液。
【請求項26】
請求項21−25のいずれかひとつに記載の水溶性水和液であり、水和 及び 凝固反応の前に、その水溶性水和液は、 1−7 、望ましくは > 3のpHの値を取ることを特徴とする水和液。
【請求項27】
請求項1のシステムから形成された化学的結合素材であり、その結合相は、基本的には無機セメント相を構成し、その基質の上 又は 虫歯の中の生体内の本来の場所で形成され、前述の素材はさらに反応性溶解性ガラス、生体内の本来の場所で形成されたポリアクリル酸高分子 又は 共重合体の相を構成することを特徴とする素材。



【公表番号】特表2007−509929(P2007−509929A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537939(P2006−537939)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001577
【国際公開番号】WO2005/039508
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(502370421)ドクサ アクティボラグ (8)
【Fターム(参考)】