説明

生体認証装置、生体認証方法及び生体認証用コンピュータプログラム

【課題】1:N認証方式において、照合対象となる登録利用者を適切に選択可能な生体認証装置を提供する。
【解決手段】生体認証装置(1)は、利用者の複数の生体情報が写った少なくとも一つの生体画像から照合用データを生成する照合用データ生成部(25)と、その生体画像内の複数の生体情報のうちの二つの生体情報間の類似度を表す生体情報間特徴量を抽出する生体情報間特徴量抽出部(27)と、第1の所定数の登録利用者のそれぞれについて、利用者の生体情報間特徴量と登録利用者の生体情報間特徴量とに基づいて第1の選択用スコアを算出し、利用者の複数の生体情報と登録利用者の複数の生体情報との類似度合いが高い第1の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、第2の所定数の登録利用者を選択する選択部(34)と、選択された登録利用者の照合用データと利用者の照合用データとを照合する照合部(35)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、生体画像に表された生体情報に基づいて生体認証を行う生体認証装置、生体認証方法及び生体認証用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、手または指の静脈のパターン、指紋または掌紋などの生体情報を表した生体画像に基づいて、装置またはシステムの利用者を認証する生体認証技術が開発されている。そのような生体認証技術を利用した生体認証装置は、例えば、生体認証装置を使用しようとする利用者の生体情報を表す生体画像を入力生体画像として取得する。そして生体認証装置は、入力生体画像に表された利用者の入力生体情報を、予め登録された登録利用者の生体画像に表された生体情報である登録生体情報と照合する。生体認証装置は、照合処理の結果に基づいて、入力生体情報と登録生体情報が一致すると判定した場合、その利用者を正当な権限を有する登録利用者として認証する。そして生体認証装置は、認証された利用者が生体認証装置が組み込まれた装置または生体認証装置と接続された他の装置を使用することを許可する。
【0003】
このような生体認証装置では、利用者の利便性を損ねないように、認証精度が高いほど好ましい。そこで認証精度を向上するために、生体情報として指紋を用い、2本以上の指の指紋を生体認証に用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【0004】
また、生体認証技術には、いわゆる1:1認証方式と1:N認証方式とがある。1:1認証方式では、利用者の入力生体情報とともに、ユーザ名または識別番号といった利用者の識別情報が入力されることにより、その識別情報に対応する登録生体情報が特定される。そして、生体認証装置は、入力生体情報を、その特定された登録生体情報のみと照合する。
一方、1:N認証方式では、利用者の識別情報は生体認証装置に入力されず、利用者に対応する登録生体情報は特定できない。そのため、生体認証装置は、入力生体情報を、予め登録されている全ての登録生体情報と照合する。そして生体認証装置は、入力生体情報と最も一致する登録生体情報に対応する登録利用者として利用者を認証する。したがって、登録利用者数が増えるほど、すなわち、登録生体情報の数が増えるほど、照合処理の実行回数も増加する。そのため、必然的に生体認証処理に要する時間も長くなってしまう。特に、生体認証技術が大規模なシステムにおいて利用される場合、登録利用者数が非常に多くなることがある。このような大規模システムがサーバ−クライアントシステムを採用していると、生体認証処理を実行するためにサーバにアクセスが集中してサーバの負荷が増大し、利用者が生体情報を入力してから認証結果が得られるまでの待ち時間が長くなるおそれがあった。
【0005】
しかし、利用者の使い易さの観点からすれば、生体認証処理に要する時間は短い方が好ましい。そこで、入力生体情報との照合に利用する登録生体情報を限定する技術が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【0006】
そのような公知技術の一例では、指紋照合装置は、入力指紋の特徴量を代表する選択用パラメータ値と複数の登録指紋の選択用パラメータとを比較することにより、入力指紋と照合する登録指紋を選択し、選択された登録指紋と入力指紋とを照合する。そして選択用パラメータとして、全指紋領域に占める隆線領域の割合、隆線と谷線の間隔、重み付き特徴点個数及び複数の特徴点における隆線方向を特徴点の信頼度で重み付けした値が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−92961号公報
【特許文献2】特表平11−514771号公報
【特許文献3】特開2004−145447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1または2に開示されているように、複数の生体情報が生体認証に用いられる場合、一つの生体情報のみが生体認証に用いられる場合よりも、生体認証処理の演算量が多くなる。そのため、複数の生体情報を用いる生体認証技術が1:N認証方式に適用される場合には、演算量が相対的に多くなる詳細な照合処理を行うために選択される登録生体情報の数をより少なくすることが好ましい。
【0009】
そこで本明細書は、1:N認証方式において、登録利用者ごとに複数の生体情報が予め登録されている場合に、照合対象となる登録利用者を適切に選択可能な生体認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの実施形態によれば、生体認証装置が提供される。この生体認証装置は、利用者の複数の生体情報が写った少なくとも一つの生体画像を生成する生体情報取得部と、少なくとも一つの生体画像から複数の生体情報のうちの少なくとも一つの特徴を表す照合用データを生成する照合用データ生成部と、少なくとも一つの生体画像内の複数の生体情報のうちの二つの生体情報間の類似度を表す生体情報間特徴量を抽出する生体情報間特徴量抽出部と、第1の所定数の登録利用者のそれぞれについて、登録利用者の照合用データと生体情報間特徴量を記憶する記憶部と、第1の所定数の登録利用者のそれぞれについて、利用者の生体情報間特徴量と登録利用者の生体情報間特徴量とに基づいて、利用者の複数の生体情報と登録利用者の複数の生体情報との類似度合いを表す第1の選択用スコアを算出し、その類似度合いが高い第1の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、第1の所定数よりも少ない第2の所定数の登録利用者を選択する選択部と、選択された登録利用者の照合用データと利用者の照合用データとを照合する照合部とを有する。
【0011】
本発明の目的及び利点は、請求項において特に指摘されたエレメント及び組み合わせにより実現され、かつ達成される。
上記の一般的な記述及び下記の詳細な記述の何れも、例示的かつ説明的なものであり、請求項のように、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【発明の効果】
【0012】
本明細書に開示された生体認証装置は、1:N認証方式において、登録利用者ごとに複数の生体情報が予め登録されている場合に、照合対象となる登録利用者を適切に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態による、生体認証装置の概略構成図である。
【図2】端末の処理部の機能ブロック図である。
【図3】生体画像に写っている一つの指紋から抽出される個別生体情報特徴量の例を示す模式図である。
【図4】生体画像の一例を表す模式図である。
【図5】認証サーバの処理部の機能ブロック図である。
【図6】生体認証処理の動作フローチャートである。
【図7】登録処理の動作フローチャートである。
【図8】第2の実施形態による生体認証装置の概略構成図である。
【図9】親認証サーバの処理部の機能ブロック図である。
【図10】(a)〜(c)は、それぞれ、代表的な指紋のタイプを表す指紋の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しつつ、様々な実施形態による生体認証装置について説明する。
この生体認証装置は、複数の登録利用者のそれぞれについて、複数の生体情報間の類似度を表す生体情報間特徴量を照合対象となる登録利用者を選択するための特徴量として記憶する。そしてこの生体認証装置は、1:N認証方式にしたがって利用者に対する生体認証処理を実行する際、利用者の複数の生体情報が写った1枚以上の生体画像から抽出される生体情報間特徴量と、登録利用者の生体情報間特徴量とを比較する。そしてこの生体認証装置は、その比較結果に基づいて、照合対象となる登録利用者を選択する。
【0015】
本実施形態では、生体認証装置は、生体認証の対象となる生体情報として指の指紋を利用する。しかし、生体認証の対象となる生体情報は、指の静脈パターンなど、静止画像に表され、かつ人体の複数の部位に含まれる他の生体情報であってもよい。
また、本明細書において、「照合処理」という用語は、入力生体情報と登録生体情報の類似度合いを表す類似度を算出する処理を示すために使用される。また、「生体認証処理」という用語は、照合処理だけでなく、照合処理の結果を利用して、利用者を認証するか否かを決定する処理を含む、認証処理全体を示すために使用される。
【0016】
図1は、生体認証装置の概略構成図を示す。図1に示されるように、この生体認証装置1は、少なくとも一台の端末2と、認証サーバ3と、データサーバ4とを有する。端末2と認証サーバ3とは、例えば、公衆通信回線あるいはローカルエリアネットワークといった通信ネットワーク5を介して互いに接続される。また認証サーバ3とデータサーバ4とは、例えば、特定通信回線または通信ネットワーク5とは独立した他の通信ネットワークを介して接続される。なお、データサーバ4も、通信ネットワーク5を介して認証サーバ3と接続されていてもよい。
【0017】
端末2は、認証を受けようとする利用者の生体情報を含む複数の部位を撮影した生体画像を作成する。そして端末2は、その生体画像から、照合処理に用いられる照合用データを生成し、かつ生体情報を選択するための選択用特徴量を抽出し、その照合用データ及び選択用特徴量を認証サーバ3へ送信する。
認証サーバ3は、生体認証処理の実行時において、選択用特徴量に基づいて、データサーバ4に登録されている登録利用者の中から、照合処理の対象となる登録利用者を選択する。そして認証サーバ3は、選択した登録利用者の複数の生体情報を表す登録生体画像から生成された照合用データと利用者の生体画像から生成された照合用データとを用いて照合処理を実行する。認証サーバ3は、照合処理の結果、利用者を何れかの登録利用者として認証したか否かを端末2へ通知する。
【0018】
端末2は、生体認証処理の実行時、及び生体情報の登録時において、利用者の複数の生体情報が撮影された生体画像を生成し、その生体画像から照合用データを生成し、かつ選択用特徴量を抽出する。そのために、端末2は、生体情報取得部21と、通信部22と、記憶部23と、処理部24とを有する。
さらに、端末2は、利用者が端末2へコマンド、データ、あるいは利用者のユーザ名といった識別情報などを入力するためのキーボード、マウス、またはタッチパッドなどの入力部(図示せず)を有してもよい。さらに、端末2は、生体情報取得部21が適切に生体情報が写った生体画像を取得可能な位置へ指を配置させるためのガイダンスメッセージまたは生体認証結果などを表示するために、液晶ディスプレイなどの表示部(図示せず)を有してもよい。
【0019】
生体情報取得部21は、利用者の複数の指の指紋を表す生体画像を生成する。そのために、生体情報取得部21は、例えば、複数の指を同時に撮影可能なエリアセンサを利用する指紋センサを有する。そして生体情報取得部21は、生成した生体画像を処理部24へ渡す。
【0020】
通信部22は、通信ネットワーク5に端末2を接続するための通信インターフェース回路を有する。そして通信部22は、処理部24から受け取ったデータを通信ネットワーク5を介して認証サーバ3へ送信する。また通信部22は、認証サーバ3から通信ネットワーク5を介して受信した認証結果を表す情報を、処理部24へ渡してもよい。
【0021】
記憶部23は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、または光ディスク装置のうちの少なくとも何れか一つを有する。そして記憶部23は、端末2を制御するために用いられる各種のプログラム及びデータを記憶する。また記憶部23は、生体画像から照合用データを生成し、選択用特徴量を抽出するために使用されるプログラムを記憶する。さらに記憶部23は、生体画像、照合用データ及び選択用特徴量を一時的に保存してもよい。
【0022】
処理部24は、1個または複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。そして処理部24は、生体認証処理の実行時、及び登録処理の実行時において、利用者の複数の生体情報が撮影された生体画像から照合用データを生成し、選択用特徴量を抽出する。
【0023】
図2は、端末2の処理部24の機能ブロック図である。処理部24は、照合用データ生成部25と、個別生体情報特徴量抽出部26と、生体情報間特徴量抽出部27とを有する。処理部24が有するこれらの各部は、処理部24が有するプロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、処理部24が有するこれらの各部は、ファームウェアとして端末2に実装されてもよい。
【0024】
照合用データ生成部25は、生体画像から、照合処理で用いられる照合用データを生成する。例えば、認証サーバ3がマニューシャマッチングにより照合処理を行う場合、照合用データ生成部25は、そのマニューシャマッチングで用いられる特徴点(マニューシャと呼ばれる)を生体画像から抽出し、その特徴点の位置またはその特徴点の種類を照合用データとする。
照合用データ生成部25は、マニューシャマッチングで用いられる特徴点として、例えば、隆線の分岐点及び端点を抽出する。そのために、照合用データ生成部25は、例えば、生体画像中で利用者の生体情報を含む部位が写っている生体領域と利用者の部位が写っていない背景領域とを区別するように、例えば、所定の閾値で生体画像を2値化して、2値化生成画像を生成する。所定の閾値は、例えば、予め設定された固定値、生体画像内の各画素の平均輝度値、あるいは、生体画像全体またはその一部に含まれる画素の輝度値を判別分析することにより決定された閾値に設定される。この場合、照合用データ生成部25は、個別生体情報特徴量抽出部26及び生体情報間特徴量抽出部27が2値化生体画像を利用できるように、記憶部23に2値化生体画像を一時記憶する。さらに照合用データ生成部25は、隆線の分岐点及び端点を抽出するために、例えば、生体領域を、隆線と谷線とが異なる値を持つように2値化する。そして照合用データ生成部25は、2値化された生体領域に対して細線化処理を行って、隆線が細線化された細線化2値画像を生成する。そして照合用データ生成部25は、隆線の分岐点または端点の何れかに対応する複数のテンプレートを用いて細線化2値画像を走査することにより、何れかのテンプレートと一致するときの細線化2値画像上の位置を検出する。そして照合用データ生成部25は、検出された位置の中心画素を、マニューシャとして抽出する。なお、テンプレートは、例えば、3×3画素で表され、隆線の分岐点または端点に対応する2値パターンを持つ。さらに、照合用データ生成部25は、指紋の渦中心または三角州といった特異点をマニューシャとして抽出してもよい。なお、照合用データ生成部25は、例えば、隆線の分岐点または端点を検知するのと同様に、特異点に対応するテンプレートと生体画像とのパターンマッチングを行うことにより特異点を検出できる。あるいは照合用データ生成部25は、細線化2値画像を複数の小領域に分割して小領域ごとに隆線の曲率半径を求め、その曲率半径が最小となる小領域の重心に渦中心が位置すると判定してもよい。
【0025】
さらに、照合用データ生成部25は、生体画像上でそれぞれの指が写っている領域である指領域を特定する。そこで、照合用データ生成部25は、2値化生体画像の垂直方向に対して等間隔に複数の水平方向の走査線を設定する。同様に、照合用データ生成部25は、2値化生体画像の水平方向に対して等間隔に複数の垂直方向の走査線を設定する。そして照合用データ生成部25は、各走査線上で生体領域と背景領域の境界を検出することにより、その境界で略U字状に囲まれる生体領域を一つの指領域とする。
あるいは、照合用データ生成部25は、隣接する渦中心間の中点を通る線で生体領域を分割することにより、各指に対応する指領域を特定してもよい。
【0026】
照合用データ生成部25は、指領域ごとに、一意に定められる識別番号を設定する。例えば、生体画像上で、左から順に人差し指、中指、薬指及び小指が写っている場合、照合用データ生成部25は、生体画像上の各指領域に対して左から順に、人差し指、中指、薬指及び小指を表す識別番号をそれぞれ設定する。そして照合用データ生成部25は、抽出された各マニューシャがどの指領域に含まれるかを判定し、各マニューシャに、そのマニューシャが含まれる指領域に対応する指の識別番号を関連付ける。
なお、照合用データ生成部25は、マニューシャを抽出する前に各指領域を特定し、特定の一つ以上の指、例えば、人差し指に対応する指領域についてのみ、マニューシャを抽出してもよい。
【0027】
なお照合用データ生成部25は、隆線の端点、分岐点または特異点をマニューシャとして求める公知の他の方法を用いて、生体画像からマニューシャを抽出してもよい。さらに照合用データ生成部25は、抽出されたマニューシャの2点間に含まれる隆線の本数またはマニューシャ近傍の隆線方向を、照合用の特徴量として求めてもよい。なお、照合用データ生成部25は、マニューシャ近傍の隆線方向を求めるために、隆線方向を求める公知の何れかの方法を利用することができる。
【0028】
また、認証サーバ3がパターンマッチングにより照合処理を行う場合、照合用データ生成部25は、生体画像そのもの、あるいは生体画像から一部の領域を切り出して、照合用データとしてもよい。生体画像の一部を照合用データとする場合、その一部の領域は、生体画像に写っている各指の指紋を含むことが好ましい。そこで、照合用データ生成部25は、例えば、生体領域と背景領域とが異なるように生体画像を2値化し、生体領域の外接矩形を照合用データとしてもよい。さらに照合用データ生成部25は、生体画像全体または生体画像の一部に対して、エッジ強調処理またはムラ補正処理などを行って得られた画像を照合用データとしてもよい。
【0029】
個別生体情報特徴量抽出部26は、生体画像に写っている複数の生体情報のうちの少なくとも一つから、選択用特徴量の一例である個別生体情報特徴量を抽出する。個別生体情報特徴量は、各生体情報そのものの特徴を表す特徴量である。
【0030】
図3は、生体画像に写っている一つの指紋から抽出される個別生体情報特徴量の例を示す模式図である。図3に示された指紋300において、隆線301は黒線で表される。例えば、走査線302に沿った隆線301の幅drの平均値が個別生体情報特徴量の一例となる。また、走査線302に沿った隣接する隆線301間の間隔dgの平均値も個別生体情報特徴量の一例となる。さらに、指紋300には、隆線301の端点303(なお、端点303は、渦中心である)及び分岐点304、305が存在する。これらマニューシャの数(この例では3個)を指紋が写っている領域の面積で割ることにより得られるマニューシャ密度も、個別生体情報特徴量の一例となる。
【0031】
本実施形態では、個別生体情報特徴量抽出部26は、各指ごとに、隆線の幅の平均値、隆線間隔及びマニューシャ密度のうちの少なくとも一つを個別生体情報特徴量として抽出する。なお、個別生体情報特徴量抽出部26は、生体画像に写っている複数の指のうちの少なくとも一つの特定の指についてのみ、個別生体情報特徴量を抽出してもよい。
【0032】
個別生体情報特徴量を抽出するために、個別生体情報特徴量抽出部26は、照合用データ生成部25がマニューシャを抽出するときと同様に、生体画像上でそれぞれの指が写っている領域である指領域を特定する。そして個別生体情報特徴量抽出部26は、隆線の幅及び隆線間隔を求めるために、生体画像上の各指領域を隆線と谷線とが異なる値を持つように2値化する。個別生体情報特徴量抽出部26は、例えば、指領域ごとに、その指領域に含まれる画素の平均輝度値、あるいはその指領域に含まれる画素の輝度値を判別分析することにより求められる値を、各画素を隆線と谷線とに2値化するための閾値として算出する。
【0033】
個別生体情報特徴量抽出部26は、各指領域内の指紋中心を通る少なくとも1本の走査線に沿って2値化された指領域を走査して隆線と谷線の境界を検出することで隆線の幅を算出し、その隆線の幅の平均値を、その指領域に対応する指の隆線の幅とする。なお、指紋中心は、例えば、指紋の渦中心、あるいは、指領域内で、指の先端から第1関節に相当する領域の重心とすることができる。また走査線は、例えば、所定点を通り、指を左右方向に横断する方向、あるいは、所定点から指の先端へ向かう方向に設定される。
【0034】
個別生体情報特徴量抽出部26は、各指領域内で指の第1関節を検出するために、例えば、各指領域を、複数の小領域に分割する。各小領域は、1本以上の隆線が含まれるように、例えば、16x16画素のサイズを有する。そして個別生体情報特徴量抽出部26は、小領域ごとに隆線方向を求める。その際、個別生体情報特徴量抽出部26は、例えば、各小領域内で隆線に相当する画素が連結された複数の線の接線方向の平均値を、各領域における隆線方向とする。
第1関節の近傍では、隆線方向が指領域の長手方向と略直交する小領域が多くなる。そこで個別生体情報特徴量抽出部26は、渦中心よりも指の根元側で、隆線方向が指領域の長手方向と略直交する方向となる小領域の数を、複数の方向のそれぞれについて、その方向と直交し、小領域の幅を持つラインごとに集計する。そして個別生体情報特徴量抽出部26は、隆線方向が指領域の長手方向と略直交する方向となる小領域の数が最大となるラインを第1関節として検出する。
【0035】
あるいは、個別生体情報特徴量抽出部26は、指領域ごとに、複数の方向のそれぞれについて、その方向と直交し、1画素の幅を持つ各ラインの輝度値の2乗和であるパワーを算出してラインごとのパワーを求める。そして個別生体情報特徴量抽出部26は、求めたラインごとのパワーと標準的な指のラインごとのパワーの分布とに対して動的計画法に基づくマッチングを行うことにより第1関節の位置を検出してもよい。あるいは、個別生体情報特徴量抽出部26は、生体画像上で指の第1関節の位置を検出する公知の他の手法に従って第1関節の位置を検出してもよい。
【0036】
なお、指を広げた状態で指を撮影することにより得られた生体画像と、指同士を密着させた状態で指を撮影することにより得られた生体画像とでは、生体画像上で各指の長手方向が異なる。このような場合、全ての指領域に対して同一方向に走査線が設定されると、隆線と走査線とがなす角が指ごとに異なり、その結果として隆線の幅の算出値が指の長手方向によってばらつくおそれがある。
そこで個別生体情報特徴量抽出部26は、指紋中心から第1関節を表すラインに対して下ろした垂線を基準軸として求め、基準軸に対して所定の角度、例えば、90°をなすように走査線を設定してもよい。これにより、個別生体情報特徴量抽出部26は、指毎の長手方向の違いによる隆線の幅のばらつきを抑制できる。
【0037】
また、個別生体情報特徴量抽出部26は、2値化された各指領域に対して細線化処理を行って、上記の走査線に沿って隣接する細線化された隆線間の間隔の平均値を求め、その平均値を、その指領域に対応する指の隆線間隔とする。なお、個別生体情報特徴量抽出部26は、隆線間隔を求める場合にも、走査線を基準軸に対して所定の角度となるように設定することが好ましい。
【0038】
また、個別生体情報特徴量抽出部26は、指領域ごとに、その指領域に含まれるマニューシャの数の合計を求め、その合計をその指領域に含まれる画素の数で割ることにより、その指領域に対応する指のマニューシャ密度とする。なお、照合用データ生成部25がマニューシャの位置及びそのマニューシャが含まれる指領域を求めている場合、個別生体情報特徴量抽出部26は、記憶部23から、各マニューシャの位置及びそのマニューシャが含まれる指領域を表す指の識別番号を読み込んで、その位置及び識別番号を利用してマニューシャ密度を求めてもよい。また、照合用データ生成部25が隆線の分岐点及び端点を求めていない場合には、個別生体情報特徴量抽出部26は照合用データ生成部25において説明した方法に従って、マニューシャを検出すればよい。
【0039】
個別生体情報特徴量抽出部26は、指毎の個別生体情報特徴量を、各指の識別番号とともに記憶部23に記憶する。
【0040】
生体情報間特徴量抽出部27は、生体画像に写っている複数の生体情報間の類似度を、生体情報間特徴量として求める。生体情報間特徴量も選択用特徴量の一例である。
図4は、生体画像の一例を表す模式図である。生体画像400には、4本の指の指紋401〜404が写っている。そこで、生体情報間特徴量抽出部27は、指紋401〜404のうちの二つの指紋間の類似度fci(i=1,2,...,6)をそれぞれ生体情報間特徴量として求める。例えば、指紋401と指紋402間の類似度fc1が、生体情報間特徴量の一つとなる。この例では、図4に示されるように、6個の生体情報間特徴量が算出されることになる。
【0041】
類似度は、例えば、次式に示されるように、各指について求められた個別生体情報特徴量間のユークリッド距離で表される。
【数1】

ここでfdi,j及びfdk,jは、それぞれ、識別番号iの指のj番目の個別生体情報特徴量と識別番号kの指のj番目の個別生体情報特徴量を表す。ただし、i≠kである。またNdは、各指領域から抽出される個別生体情報特徴量の総数を表す。そしてfcikは、識別番号iの指と識別番号kの指の間の類似度、すなわち、生体情報間特徴量を表す。なお、類似度fcikは、次式に従って、指ごとの正規化された各個別生体情報特徴量間のユークリッド距離として算出されてもよい。
【数2】

ここでfdMaxjは、j番目の個別生体情報特徴量の取り得る最大値である。
【0042】
あるいは、類似度fcikは、次式に従って、正規化された各個別生体情報特徴量のマンハッタン距離として求められてもよい。
【数3】

さらに、類似度fcikは、(1)〜(3)式の何れかによって算出された値の逆数であってもよい。
このように、個別生体情報特徴量に基づいて生体情報間特徴量を算出する場合、生体情報間特徴量抽出部27は、個別生体情報特徴量抽出部26による処理結果を利用できるので、生体情報間特徴量の算出に要する演算量を削減できる。
【0043】
あるいは、生体情報間特徴量抽出部27は、注目する二つの指領域の相対的な位置を変えつつ、その二つの指領域間のパターンマッチングを行う。そして生体情報間特徴量抽出部27は、例えば、その二つの指領域間の正規化相互相関値の最大値をその二つの指領域に対応する指紋同士の生体情報間特徴量として求めてもよい。
【0044】
さらにまた、生体情報間特徴量抽出部27は、注目する二つの指領域間のマニューシャマッチングによってその二つの指領域に対応する指紋同士の生体情報間特徴量を求めてもよい。
この場合、生体情報間特徴量抽出部27は、注目する二つの指領域のうちの一方の中心付近に位置するマニューシャを、第1の基準点として選択する。また生体情報間特徴量抽出部27は、他方の指領域に含まれるマニューシャのうちの一つを第2の基準点として選択する。そして生体情報間特徴量抽出部27は、第2の基準点を第1の基準点と一致させるように、他方の指領域を平行移動させる。なお、生体情報間特徴量抽出部27は、渦中心などの特異点を、第1の基準点及び第2の基準点としてもよい。その後、生体情報間特徴量抽出部27は、一方の指領域を回転させながら、二つの指領域間で一致するマニューシャの個数を求める。生体情報間特徴量抽出部27は、第1の基準点と第2の基準点の組み合わせを変えつつ、上記の処理を繰り返して、二つの指領域間で一致するマニューシャの個数の最大値を求める。
最後に、生体情報間特徴量抽出部27は、その個数の最大値を、一方の指領域に含まれるマニューシャの総数で割った値を類似度、すなわち生体情報間特徴量として求める。
このように、パターンマッチングまたはマニューシャマッチングによって生体情報間特徴量を算出する場合、生体情報間特徴量抽出部27は、照合用データ生成部25による処理結果を利用できるので、生体情報間特徴量の算出に要する演算量を削減できる。
【0045】
生体情報間特徴量抽出部27は、求めた生体情報間特徴量を、関連する二つの指の識別番号とともに記憶部23に記憶する。
【0046】
処理部24は、登録処理の実行時には、利用者の識別情報とともに、照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量及びそれらのデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を、通信部22を介して認証サーバ3へ送信する。
また処理部24は、生体認証処理の実行時には、照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量及びそれらのデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を、通信部22を介して認証サーバ3へ送信する。
【0047】
データサーバ4は、全ての登録利用者について、生体認証処理に用いられるデータを記憶する。そのためにデータサーバ4は、通信部41と、記憶部42と、制御部43とを有する。
【0048】
通信部41は、データサーバ4と認証サーバ3とを通信可能に接続するためのインターフェース回路を有する。そして通信部41は、登録処理の実行時には、認証サーバ3から登録要求信号を受け取り、制御部43へ渡す。また通信部41は生体認証処理の実行時には、記憶部42に記憶されている登録利用者の照合用データ、個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量及びそれらのデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を認証サーバ3へ送信する。
【0049】
記憶部42は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、または光ディスク装置のうちの少なくとも何れか一つを有する。そして記憶部42は、データサーバ4を制御するために用いられる各種のプログラム及びデータを記憶する。また記憶部42は、全ての登録利用者について、利用者の識別情報、照合用データ、個別生体情報特徴量と生体情報間特徴量及びそれらのデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を記憶する。
【0050】
制御部43は、少なくとも一つのプロセッサ及び周辺回路を有する。そして制御部43は、登録処理の実行時において、認証サーバ3から登録要求信号を受信すると、その登録要求信号に含まれる登録利用者の各種情報を記憶部42に記憶する。また制御部43は、生体認証処理の実行時において、認証サーバ3から選択用特徴量送信要求信号を受信すると、各登録利用者の個別生体情報特徴量と生体情報間特徴量及び関連する指の識別番号を記憶部42から読み出して認証サーバ3へ送信する。また制御部43は、認証サーバ3から照合用データ送信要求信号を受信すると、選択された登録利用者の照合用データ及び関連する指の識別番号を記憶部42から読み出して認証サーバ3へ送信する。
【0051】
認証サーバ3は、登録処理の実行時には、端末2から受信した照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量及びそれらのデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を、利用者の識別情報とともにデータサーバ4へ送信する。また認証サーバ3は、生体認証処理の実行時には、端末2から受信した個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量に基づいて、照合処理の対象となる登録利用者を選択する。そして認証サーバ3は、選択された登録利用者の照合用データと端末2から受信した照合用データを用いて照合処理を実行し、利用者を何れかの登録利用者として認証するか否か判定する。そして認証サーバ3は、利用者を登録利用者の何れかとして認証した場合、認証サーバ3が実装された装置をその利用者が使用することを許可する。あるいは、認証サーバ3は、図示しない他の装置へ、利用者が認証された旨を表す信号を送信して、その利用者が他の装置を使用することを許可する。
そのために、認証サーバ3は、通信部31と、記憶部32と、処理部33とを有する。
【0052】
通信部31は、通信ネットワーク5に認証サーバ3を接続するための通信インターフェース回路を有する。そして通信部31は、端末2から通信ネットワーク5を介して受信した情報を処理部33へ渡す。また通信部31は、処理部33から受け取った認証結果を表す情報を通信ネットワーク5を介して端末2へ送信してもよい。
さらに通信部31は、認証サーバ3とデータサーバ4とを通信可能に接続するためのインターフェース回路を有する。そして通信部31は、生体認証処理の実行時には、データサーバ4から各登録利用者の識別情報、個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量と、選択された登録利用者の照合用データを受信し、処理部33へ渡す。また通信部31は、登録処理の実行時には、端末2から受信した照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量及びそれらのデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を、利用者の識別情報とともにデータサーバ4へ送信する。
【0053】
記憶部32は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、または光ディスク装置のうちの少なくとも何れか一つを有する。そして記憶部32は、認証サーバ3を制御するために用いられる各種のプログラム及びデータを記憶する。また記憶部32は、全ての登録利用者の識別情報を記憶する。さらに記憶部32は、生体認証処理の実行時には、各登録利用者の識別情報、個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量及び選択された登録利用者の照合用データを一時的に保存する。さらに記憶部32は、登録処理の実行時には、端末2から受信した照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量及びそれらのデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を、利用者の識別情報とともに一時的に保存する。
【0054】
処理部33は、少なくとも一つのプロセッサ及び周辺回路を有する。そして処理部33は、生体認証処理における、登録利用者の選択及び利用者の入力生体情報と選択された登録利用者の登録生体情報との照合を実行する。また処理部33は、登録処理を実行する。
【0055】
図5は、認証サーバ3の処理部33の機能ブロック図である。処理部33は、選択部34と、照合部35と、認証判定部36と、登録部37とを有する。処理部33が有するこれらの各部は、処理部33が有するプロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、処理部33が有するこれらの各部は、ファームウェアとして認証サーバ3に実装されてもよい。
【0056】
選択部34、照合部35及び認証判定部36は、生体認証処理の実行時において使用され、一方、登録部37は、登録処理の実行時において使用される。そこで、以下では、生体認証処理と登録処理とに分けて説明する。
【0057】
(生体認証処理)
先ず、利用者を何れかの登録利用者として認証するか否かを判定する生体認証処理について説明する。
生体認証処理の実行時において、処理部33は、端末2から利用者の個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量を受け取ると、通信部31を介してデータサーバ4に対して選択用特徴量要求信号を送信する。そして処理部33は、データサーバ4から、選択用特徴量として全ての登録利用者の個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量と、それら特徴量と関連する指の識別番号を受け取り、記憶部32に一時的に記憶する。なお、上記では、認証サーバ3は選択用特徴量を生体認証処理の実行時にデータサーバ4から取得しているが、認証サーバ3は選択用特徴量を予め取得しておき記憶部32に記憶させておいてもよい。
【0058】
選択部34は、個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量に基づいて、照合対象となる登録利用者を選択する。そのために、選択部34は、端末2から受け取った利用者の個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量と、各登録利用者の個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量とに基づいて、利用者の生体情報と登録利用者の生体情報間の類似度合いを表す選択用スコアを算出する。なお、一人の登録利用者に対する選択用スコアの算出に要する演算量は、一人の登録利用者に対する照合処理の演算量よりも少ない。そのため、選択部34が選択用スコアに基づいて照合対象となる登録利用者を選択することにより、生体認証装置1は、全ての登録利用者に対して照合処理を実行するよりも演算量を削減できる。
【0059】
例えば、選択部34は、利用者の注目する指の個別生体情報特徴量と、登録利用者の対応する指の個別生体情報特徴量とのユークリッド距離を次式に従って算出する。
【数4】

ここでti,j及びii,jは、それぞれ、利用者の識別番号iの指のj番目の個別生体情報特徴量と登録利用者の識別番号iの指のj番目の個別生体情報特徴量を表す。そしてsiは、識別番号iの指についてのユークリッド距離である。なお、選択部34は、各個別生体情報特徴量を所定の範囲(例えば、0〜1)となるように正規化し、正規化された個別生体情報特徴量を(4)式に入力することにより、ユークリッド距離siを求めてもよい。
選択部34は、次式に従って、各指ごとに求めたユークリッド距離の和を個別生体情報選択用スコアsdとして算出する。
【数5】

ここでMは、選択用スコアsdの算出に利用される指の数であり、1以上10以下の整数である。
なお、選択部34は、利用者の注目する指の個別生体情報特徴量と、登録利用者の対応する指の個別生体情報特徴量とのマンハッタン距離を求め、各指ごとに求めたマンハッタン距離の和を個別生体情報選択用スコアsdとして算出してもよい。
【0060】
さらに、選択部34は、利用者の生体情報間特徴量と登録利用者の生体情報間特徴量とのユークリッド距離を、生体情報間選択用スコアscとして、次式に従って算出する。
【数6】

ここでtck及びickは、それぞれ、利用者のk番目の生体情報間特徴量と登録利用者のk番目の生体情報間特徴量を表す。Ncは、生体情報間特徴量の総数である。例えば、図4に示されるように、生体画像に4本の指の指紋が写っている場合、Ncは6となる。
なお、選択部34は、利用者の生体情報間特徴量と登録利用者の生体情報間特徴量とのマンハッタン距離を、生体情報間選択用スコアscとして算出してもよい。
【0061】
選択部34は、個別生体情報選択用スコアsdと生体情報間選択用スコアscの合計(sd+sc)を選択用スコアとする。(4)式〜(6)式から明らかなように、選択用スコアが小さいほど、利用者の入力生体情報と登録利用者の登録生体情報は類似している。なお、選択部34は、個別生体情報選択用スコアsd及び生体情報間選択用スコアscにそれぞれ重み係数を乗じた値を合計することにより選択用スコアを算出してもよい。この場合、個別生体情報選択用スコアsdに乗じる重み係数は、例えば、スコアsdの算出に用いられる特徴量の数を、スコアsdの算出に用いられる特徴量の数とスコアscの算出に用いられる特徴量の数の合計で割った値としてもよい。同様に、生体情報間選択用スコアscに乗じる重み係数は、スコアscの算出に用いられる特徴量の数を、スコアsdの算出に用いられる特徴量の数とスコアscの算出に用いられる特徴量の数の合計で割った値としてもよい。
【0062】
選択部34は、登録利用者ごとに選択用スコアを算出する。そして選択部34は、選択用スコアが小さい方から順に、すなわち、入力生体情報と類似している登録生体情報を持つ登録利用者から順に、第2の所定数の登録利用者を選択する。なお第2の所定数は、登録利用者の総数である第1の所定数よりも小さい値であり、認証サーバ3の処理能力に応じて予め設定される。
【0063】
なお、選択部34は、選択用スコアが所定値未満となる登録利用者のみを選択してもよい。これにより、選択された登録利用者の数が第2の所定数より少なくなり、その結果として生体認証処理全体の演算量を削減できる可能性がある。所定値は、例えば、実験的に、登録利用者本人が選択されないことによる本人棄却率が許容最大値以下となるように設定される。
【0064】
変形例によれば、選択部34は、全ての登録利用者に対して生体情報間選択用スコアscを算出し、そのスコアscが小さい方から順に、第3の所定数の登録利用者を選択してもよい。この場合、第3の所定数は、第2の所定数よりも大きな値、例えば、第2の所定数の2倍〜50倍に設定される。その後、選択部34は、スコアscに基づいて選択された各登録利用者について個別生体情報選択用スコアsdを算出し、そのスコアsdが小さい方から順に第1の所定数の登録利用者を選択してもよい。
逆に、選択部34は、全ての登録利用者に対して個別生体情報選択用スコアsdを算出し、そのスコアsdが小さい方から順に第3の所定数の登録利用者を選択し、スコアsdに基づいて選択された各登録利用者について生体情報間選択用スコアscを算出してもよい。そして選択部34は、スコアscが小さい方から順に、第2の所定数の登録利用者を選択してもよい。
これにより、選択部34は、個別生体情報選択用スコアsdまたは生体情報間選択用スコアscを算出する登録利用者の数を削減できるので、第2の所定数の登録利用者を選択するための演算量を削減できる。特に、生体情報間特徴量の数と個別生体情報特徴量の数のうち、少ない方の特徴量に対応する選択用スコアを先に算出して登録利用者を選択することにより、選択部34は、登録利用者を選択するための演算量をさらに削減できる。
【0065】
例えば、登録利用者が1万人登録されていると仮定する。そして個別生体情報特徴量の数が100であり、生体情報間特徴量の数が6であると仮定する。ここで、個別生体情報特徴量と生体情報間特徴量の両方を用いて(4)〜(6)式に従って1度に選択用スコアを算出する場合、106万(=10000×(100+6))回の2乗演算が必要となる。
一方、生体情報間選択用スコアscに基づいて登録利用者の総数の1/5の登録利用者を選択した後に、個別生体情報選択用スコアsdに基づいて照合対象となる登録利用者を選択する場合、2乗演算の回数は26万(=10000×6+2000×100)に削減される。
またこのように、生体情報間特徴量の数が個別生体情報特徴量の数よりも少なければ、選択部34は、生体情報間選択用スコアscに基づいて登録利用者を選択する。その後に、選択部34は、個別生体情報選択用スコアsdに基づいて照合対象となる登録利用者を選択する。これにより、選択部34は、個別生体情報選択用スコアsdのみに基づいて照合対象となる登録利用者を選択するよりも演算回数を削減できる可能性がある。
【0066】
選択部34は、選択された登録利用者の識別情報を処理部33に返す。そして処理部33は、データサーバ4に対して、照合用データ送信要求信号とともに、選択された登録利用者の識別情報を送信する。そして処理部33は、データサーバ4から、選択された登録利用者の照合用データを受け取り、記憶部32に一時的に記憶する。
【0067】
照合部35は、端末2から受け取った利用者の照合用データと選択された各登録利用者の照合用データとを用いて、利用者の入力生体情報と選択された各登録利用者の登録生体情報とを照合する。そして照合部35は、照合処理の結果として、入力生体情報が登録生体情報に類似している度合いを表す類似度を、選択された登録利用者ごとに求める。
なお、照合部35は、例えば、予め設定された何れかの指の照合用データを用いて、照合処理を実行する。あるいは、照合部35は、複数の指の照合用データを用いて照合処理を実行してもよい。この場合、照合部35は、各指について算出された類似度の平均値または最大値を利用者の入力生体情報と登録利用者の登録生体情報間の類似度とする。
【0068】
照合部35は、照合処理として、例えば、マニューシャマッチング、あるいはパターンマッチングを用いることができる。
【0069】
照合部35は、マニューシャマッチングまたはパターンマッチングの何れを用いる場合でも、生体情報間特徴量抽出部27にて説明したマニューシャマッチングまたはパターンマッチングの手法と同様の手法によって類似度を算出できる。例えば、照合部35は、マニューシャマッチングを用いる場合、注目する指について登録生体情報と入力生体情報との間で一致するマニューシャの個数を利用者のその注目する指について抽出されたマニューシャの個数で割ることにより、入力生体情報と登録生体情報の類似度を算出できる。
あるいは、照合部35は、パターンマッチングを用いる場合、注目する指領域同士の正規化相互相関値を算出することにより類似度を算出できる。
【0070】
照合部35は、選択された登録利用者のそれぞれについて算出した類似度のうちの最大値を求める。そして照合部35は、類似度の最大値及びその最大値に対応する登録利用者の識別情報を認証判定部36へ渡す。
【0071】
認証判定部36は、類似度の最大値が認証判定閾値以上となる場合、入力生体情報と、類似度の最大値に対応する登録生体情報は一致すると判定する。そして認証判定部36は、利用者を、その類似度の最大値に対応する登録生体情報を持つ登録利用者として認証する。認証判定部36は、利用者を認証すると、その認証結果を処理部33へ通知する。
【0072】
一方、認証判定部36は、類似度の最大値が認証判定閾値未満となる場合、入力生体情報と登録生体情報は一致しないと判定する。この場合には、認証判定部36は、利用者を認証しない。認証判定部36は、利用者の認証に失敗したことを示す認証結果を処理部33へ通知する。そして処理部33は、端末2に、認証結果を表す認証結果情報を送信してもよい。
【0073】
認証判定閾値は、何れかの登録利用者本人が利用者である場合にのみ、認証判定部36が認証に成功するような値に設定されることが好ましい。そして認証判定閾値は、登録利用者とは異なる他人が利用者である場合には、認証判定部36が認証に失敗するような値に設定されることが好ましい。例えば、認証判定閾値は、類似度の取りうる最大値と最小値の差に0.7を乗じた値を、類似度の最小値に加えた値とすることができる。
【0074】
図6は、生体認証処理の動作フローチャートである。
端末2の処理部24は、生体情報取得部21から利用者の複数の入力生体情報が写った生体画像を取得する(ステップS101)。そして処理部24の照合用データ生成部25は、生体画像から複数の入力生体情報の少なくとも一つについての照合用データを生成する(ステップS102)。
また処理部24の個別生体情報特徴量抽出部26は、生体画像から、各入力生体情報についての個別生体情報特徴量を求め(ステップS103)、処理部24の生体情報間特徴量抽出部27は、各入力生体情報のうちの二つごとの生体情報間特徴量を求める(ステップS104)。
処理部24は、照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量と、そのデータ及び各特徴量と関連する指の識別番号とを通信ネットワーク5を介して認証サーバ3へ送信する。
【0075】
認証サーバ3は、端末2から利用者の照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量と、そのデータ及び各特徴量と関連する指の識別番号とを受信すると、データサーバ4へ選択用特徴量要求信号を送信する。そして認証サーバ3は、データサーバ4から全ての登録利用者の個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量を取得する(ステップS105)。認証サーバ3の処理部33の選択部34は、利用者の個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量と各登録利用者の個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量とに基づいて選択用スコアを算出する(ステップS106)。選択部34は、利用者の個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量と、登録利用者の個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量とが類似している度合いが高いことを表す選択用スコアを持つ登録利用者から順に、第2の所定数の登録利用者を選択する(ステップS107)。
認証サーバ3は、データサーバ4へ、選択された登録利用者の識別情報と照合用データ要求信号を送信する。そして認証サーバ3は、データサーバ4から、選択された登録利用者の少なくとも一つの生体情報の照合用データを受け取る。
【0076】
照合部35は、選択された各登録利用者について、利用者の少なくとも一つの入力生体情報についての照合用データと対応する登録生体情報についての照合用データとに基づいてその入力生体情報と登録生体情報間の類似度をそれぞれ算出する(ステップS108)。そして照合部35は、類似度の最大値を求め、類似度の最大値とともに、その最大値に対応する登録利用者の識別情報を処理部33の認証判定部36へ渡す。
【0077】
認証判定部36は、類似度の最大値が認証判定用閾値以上となるか否か判定する(ステップS109)。
類似度の最大値が認証判定用閾値以上である場合(ステップS109−Yes)、認証判定部36は、利用者を類似度の最大値に対応する識別情報と関連付けられた登録利用者として認証する(ステップS110)。
一方、類似度の最大値が認証判定用閾値未満である場合(ステップS109−No)、認証判定部36は利用者を認証しない(ステップS111)。
ステップS110またはS111の後、生体認証装置1は、生体認証処理を終了する。
なお、生体認証装置1は、ステップS102〜S104の処理の順序を入れ替えてもよい。
【0078】
(登録処理)
次に、登録利用者の生体情報を登録生体情報として登録する登録処理について説明する。
【0079】
図7は、登録処理の動作フローチャートである。
端末2の処理部24は、図示しない入力部を介して利用者のユーザ名を取得する(ステップS201)。また処理部24は、生体情報取得部21から利用者の複数の生体情報が写った生体画像を取得する(ステップS202)。そして処理部24の照合用データ生成部25は、生体画像から複数の生体情報の少なくとも一つについての照合用データを生成する(ステップS203)。
また処理部24の個別生体情報特徴量抽出部26は、生体画像から、各生体情報についての個別生体情報特徴量を求め(ステップS204)、処理部24の生体情報間特徴量抽出部27は、各生体情報のうちの二つごとの生体情報間特徴量を求める(ステップS205)。
処理部24は、利用者のユーザ名、照合用データ、個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量及びそれらのデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を通信ネットワーク5を介して認証サーバ3へ送信する。
【0080】
認証サーバ3が、利用者のユーザ名とともに、照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量及びそれらのデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を受け取ると、処理部33の登録部37は、利用者に対して一意に設定されるユーザ識別番号を設定する。そして登録部37は、登録要求信号を生成する(ステップS206)。その登録要求信号は、利用者のユーザ名、ユーザ識別番号といった識別情報、照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量及びそれらのデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を含む。そして登録部37は、その登録要求信号をデータサーバ4へ送信する(ステップS207)。
データサーバ4の制御部43は、登録要求信号を受信すると、その登録要求信号に含まれる、利用者の識別情報、照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量といった各種情報を記憶部42に記憶する(ステップS208)。そして生体認証装置1は、登録処理を終了する。
なお、生体認証装置1は、ステップS201とS202の処理の順序を入れ替えてもよい。また生体認証装置1は、ステップS203〜S205の処理の順序を入れ替えてもよい。
【0081】
以上に説明してきたように、この実施形態による生体認証装置は、利用者の複数の生体情報間の類似度を表す生体情報間特徴量に基づいて、照合対象となる登録利用者を選択する。この生体情報間特徴量の数は少ないものの、生体情報間特徴量は、利用者による変動度合いが大きいので、この生体認証装置は、生体情報間特徴量を用いることにより、照合処理の対象となる登録利用者を適切に選択することができる。また(1)式〜(6)式から明らかなように、選択用スコアを算出するための演算量は、照合部による照合処理の演算量よりも少ない。そのため、この生体認証装置は、1:N認証方式における生体認証処理の演算量を減らすことができる。
【0082】
次に、第2の実施形態による、生体認証装置について説明する。第2の実施形態による生体認証装置は、複数の子認証サーバを有し、各子認証サーバで並列に生体認証処理を実行することで、生体認証処理に要する処理時間を短縮する。以下では、第2の実施形態による生体認証装置の各構成要素のうち、第1の実施形態による生体認証装置の構成要素と相違する点について説明する。
【0083】
図8は、第2の実施形態による生体認証装置の概略構成図である。生体認証装置51は、少なくとも一つの端末52と、1台の親認証サーバ53と、少なくとも1台の子認証サーバ54と、データサーバ55とを有する。端末52と親認証サーバ53とは、例えば、公衆通信回線あるいはローカルエリアネットワークといった通信ネットワーク56を介して互いに接続される。また親認証サーバ53、各子認証サーバ54及びデータサーバ55は、それぞれ、例えば、特定通信回線または通信ネットワーク56と独立した他の通信ネットワークを介して接続される。なお、親認証サーバ53、各子認証サーバ54及びデータサーバ55も、通信ネットワーク56を介して互いに接続されていてもよい。
【0084】
端末52、子認証サーバ54及びデータサーバ55の構成は、それぞれ、第1の実施形態における端末2、認証サーバ3及びデータサーバ4の構成と同様である。
端末52は、利用者の複数の生体情報を写した生体画像から照合用データ、個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量を求める。そして端末52は、生体認証処理の実行時において、照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量及びそれらデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を親認証サーバ53へ送信する。また端末52は、登録処理の実行時において、照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量及びそれらデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を、利用者の識別情報とともに親認証サーバ53へ送信する。
【0085】
親認証サーバ53は、通信部61と、記憶部62と、処理部63とを有する。
通信部61は、通信ネットワーク56に親認証サーバ53を接続するためのインターフェース回路と、親認証サーバ53を子認証サーバ54及びデータサーバ55と接続するためのインターフェース回路を有する。
記憶部62は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、または光ディスク装置のうちの少なくとも何れか一つを有する。そして記憶部62は、親認証サーバ53を制御するために用いられる各種のプログラム及びデータを記憶する。また記憶部62は、端末2から受信した照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量及びそれらのデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を一時的に保存する。さらに記憶部62は、各子認証サーバ54が生体認証処理の対象とする登録利用者の識別情報の範囲を記憶する。さらに記憶部62は、各子認証サーバ54による生体認証処理の結果として得られる類似度の最大値及びその最大値に対応する登録利用者の識別情報を一時的に記憶する。
【0086】
処理部63は、少なくとも一つのプロセッサ及び周辺回路を有する。
図9は、親認証サーバ53の処理部63の機能ブロック図である。処理部63は、配分部64と、統合認証判定部65と、登録部66とを有する。このうち、登録部66の処理は、第1の実施形態による登録部37の処理と同様であるので、登録部66の詳細な説明については省略する。
【0087】
配分部64は、生体認証処理の実行時において、端末52から受信した利用者の照合用データ、個別生体情報特徴量、生体情報間特徴量及びそれらデータ及び特徴量と関連する指の識別番号を各子認証サーバ54へ送信する。さらに配分部64は、各子認証サーバ54へ、その子認証サーバ54において生体認証処理を行う登録利用者の識別情報の範囲を通知する。例えば、配分部64は、各子認証サーバ54の負荷が等しくなるように、登録利用者の総数を子認証サーバ54の数で割ることにより、各子認証サーバ54が生体認証処理を実行する登録利用者の数を算出する。そして配分部64は、各子認証サーバ54に対して、その登録利用者の数が含まれ、かつ、各子認証サーバ54が生体認証処理を行う登録利用者が重複しないように、各子認証サーバ54に通知する登録利用者の識別情報の範囲を設定する。
なお、配分部64は、定期的、あるいは生体認証処理の実行の度に、各子認証サーバ54からその子認証サーバの負荷を表す信号を受信してもよい。そして配分部64は、負荷の少ない子認証サーバほど、生体認証処理を行う登録利用者の数が多くなるように、各子認証サーバ54に通知する登録利用者の識別情報の範囲を設定してもよい。
【0088】
各子認証サーバ54と関連付けられた登録利用者について、上記の実施形態と同様の生体認証処理のうち、認証判定部による処理以外の処理を実行する。具体的には、各子認証サーバ54は、それぞれ、データサーバ55に登録されている全登録利用者のうち、親認証サーバ53から通知された登録利用者の識別情報の範囲内に含まれる登録利用者の個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量をデータサーバ55から受信する。そして各子認証サーバ54は、選択用スコアを算出し、その選択用スコアに基づいて選択する登録利用者を決定する。そして子認証サーバ54は、選択された各登録利用者の登録生体情報の照合用データをデータサーバ55から受信する。子認証サーバ54は、親認証サーバ53から受け取った入力生体情報の照合用データと選択された登録利用者の照合用データとを用いて、選択された登録利用者のそれぞれについて、登録生体情報と入力生体情報の類似度を求める。そして子認証サーバ54は、類似度の最大値及びその最大値に対応する登録利用者の識別情報を親認証サーバ53へ送信する。
【0089】
親認証サーバ53の処理部63の統合認証判定部65は、各子認証サーバ54から受け取った類似度の最大値の中での最大値である全体最大値を求める。そして全体最大値が認証判定閾値以上であれば、統合認証判定部65は、全体最大値に対応する登録利用者として利用者を認証する。一方、全体最大値が認証判定閾値未満であれば、統合認証判定部65は利用者を認証しない。
そして統合認証判定部65は、認証結果を端末52へ通知する。
【0090】
この実施形態によれば、複数の子認証サーバが平行して生体認証処理を実行するので、生体認証装置は、生体認証処理に要する処理時間をより短縮できる。
【0091】
なお、第2の実施形態において、親認証サーバも、子認証サーバとともに、予め定められた識別情報の範囲内の識別情報を持つ登録利用者について生体認証処理を実行してもよい。この場合、親認証サーバの処理部は、第1の実施形態による認証サーバの処理部の機能のうち、選択部と照合部の機能をさらに実現する。
【0092】
なお、変形例によれば、上記の各実施形態において、選択部は、選択用スコアを算出するよりも前に、選択用スコアの算出に要する演算量よりも少ない演算量で登録利用者を選択する簡易選択処理にて登録利用者を選択してもよい。そして選択部は、選択された登録利用者のそれぞれについて、選択用スコアを算出し、その選択用スコアに基づいて第2の所定数の登録利用者を選択してもよい。
【0093】
例えば、簡易選択処理として、選択部は、利用者の何れかの指の個別生体情報特徴量に基づいて、その個別生体情報特徴量の選択範囲を設定し、その選択範囲内の個別生体情報特徴量を持つ登録利用者を選択してもよい。例えば、選択部は、利用者の人差し指の隆線の幅が5ピクセルである場合、人差し指の隆線の幅が4ピクセル〜6ピクセルの範囲内に含まれる登録利用者を選択してもよい。あるいは、簡易選択処理として、選択部は、利用者の任意の2本の指間の生体情報間特徴量に基づいて、その2本の指についての生体情報間特徴量の選択範囲を設定し、その選択範囲内の生体情報間特徴量を持つ登録利用者を選択してもよい。例えば、選択部は、生体情報間特徴量である利用者の人差し指の指紋と中指の指紋間の類似度が0.5である場合に、人差し指の指紋と中指の指紋間の類似度が0.3〜0.7の範囲内に含まれる登録利用者を選択してもよい。
【0094】
あるいは選択部は、簡易選択処理として、利用者の何れかの指の指紋のタイプと同一の指紋のタイプを持つ利用者を選択してもよい。指紋のタイプは、例えば、指紋上の渦中心及び三角州といった特異点の配置に応じて決定される。この場合、個別生体情報抽出部が、例えば、照合用データ生成部において説明した特異点の検出方法に従って特異点を検出し、その特異点の配置に応じて、指紋のタイプを決定する。そして端末は、個別生体情報特徴量の一つとして、指紋のタイプを認証サーバへ送信する。
【0095】
図10(a)〜(c)は、それぞれ、代表的な指紋のタイプを表す指紋の模式図である。各図において、隆線が上側に凸となる渦中心1001は、上側に凸な円弧として表される。また渦中心を形成する隆線の方向は、矢印1002により表される。そして三角州1003は、三角形で表される。
図10(a)に示される指紋1100は、いわゆる右ループ型の指紋である。この指紋1100は、渦中心1001と、一つの三角州1003を含む。また右ループ型の指紋1100では、三角州1003は、渦中心1001よりも右側に存在し、また、渦中心1001を形成する隆線の方向1002が、渦中心1001から渦中心1001よりも左下方へ向いている。
一方、図10(b)に示される指紋1200は、いわゆる左ループ型の指紋である。この指紋1200は、右ループ型の指紋1100と鏡面対称な構造を有している。
また、図10(c)に示される指紋1300は、いわゆるように、弓状紋型の指紋である。指紋1300は、渦中心1001を有するが、それ以外の特異点を有さない。
【0096】
この場合、例えば、選択部は、簡易選択処理として、利用者の人差し指の指紋のタイプが右ループ型の指紋であれば、人差し指の指紋のタイプが右ループ型である登録利用者を選択する。
【0097】
また他の変形例によれば、上記の各実施形態による認証サーバの選択部は生体情報間特徴量にのみ基づいて選択用スコアを算出してもよい。この場合、選択用スコアは、例えば、(6)式に従って算出される。これにより、認証サーバは、照合処理の対象となる登録利用者を選択するための演算量をさらに削減できる。なお、この場合には、端末の処理部は、個別生体情報特徴量抽出部の機能を有さなくてもよい。
【0098】
さらに他の変形例では、生体情報取得部は、例えば、スイープ式の指紋センサのように、一つの生体情報を写した生体画像を生成するものであってもよい。この場合には、生体情報取得部は複数の生体画像を生成する。各生体画像には、利用者の異なる生体情報を持つ部位の像が表される。そして個別生体情報特徴量抽出部は、それぞれの生体画像から、その生体画像に写っている生体情報についての個別生体情報特徴量を抽出する。また生体情報間特徴量抽出部は、各生体画像に写っている生体情報間の類似度を、第1の実施形態と同様に求めることにより生体情報間特徴量を求めればよい。
【0099】
さらに他の変形例では、認証サーバの記憶部が、全ての登録利用者に関する生体認証処理用のデータを記憶していてもよい。この場合、データサーバは省略されてもよい。また、端末、認証サーバ及びデータサーバが一つの生体認証装置として一体化されていてもよい。この場合、一体化された生体認証装置の処理部が、上記の各実施形態における端末の処理部の機能及び認証サーバの処理部の機能を実現する。また一体化された生体認証装置の記憶部が、全ての登録利用者に関する生体認証処理用のデータを記憶する。
【0100】
さらに他の変形例によれば、端末及び認証サーバと別個に、利用者の照合用データ及び選択用特徴量をデータサーバに登録するための登録装置がデータサーバと通信可能に接続されていてもよい。この場合、登録装置は、端末の各構成要素を有し、登録装置の処理部は、認証サーバの登録部の機能を実現する。
【0101】
さらに、端末の処理部が有する各機能及び認証サーバの処理部が有する各機能をコンピュータに実現させるコンピュータプログラムは、磁気記録媒体または光記録媒体といったコンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
【0102】
なお、生体認証の対象となる生体情報として、他の生体情報が用いられる場合、生体認証装置は、その生体情報に応じた個別生体情報特徴量及び生体情報間特徴量を抽出すればよい。例えば、生体情報として指の静脈パターンが用いられる場合、個別生体情報特徴量として、生体認証装置は、生体領域を静脈が写っている画素とそれ以外の画素に2値化し、静脈が写っている画素を細線化することにより検出できる単位面積あたりの静脈本数を用いることができる。また、生体認証装置は、生体情報間特徴量として、単位面積あたりの静脈本数の差を用いることができる。
【0103】
ここに挙げられた全ての例及び特定の用語は、読者が、本発明及び当該技術の促進に対する本発明者により寄与された概念を理解することを助ける、教示的な目的において意図されたものであり、本発明の優位性及び劣等性を示すことに関する、本明細書の如何なる例の構成、そのような特定の挙げられた例及び条件に限定しないように解釈されるべきものである。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
以上説明した実施形態及びその変形例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
利用者の複数の生体情報が写った少なくとも一つの生体画像を生成する生体情報取得部と、
前記少なくとも一つの生体画像内の前記複数の生体情報のうちの少なくとも一つの特徴を表す照合用データを生成する照合用データ生成部と、
前記少なくとも一つの生体画像から前記複数の生体情報のうちの二つの生体情報間の類似度を表す生体情報間特徴量を抽出する生体情報間特徴量抽出部と、
第1の所定数の登録利用者のそれぞれについて、当該登録利用者の前記照合用データと前記生体情報間特徴量を記憶する記憶部と、
前記第1の所定数の登録利用者のそれぞれについて、前記利用者の前記生体情報間特徴量と当該登録利用者の前記生体情報間特徴量とに基づいて、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いを表す第1の選択用スコアを算出し、該類似度合いが高い前記第1の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第1の所定数よりも少ない第2の所定数の登録利用者を選択する選択部と、
前記選択された登録利用者の前記照合用データと前記利用者の前記照合用データとを照合する照合部と、
を有する生体認証装置。
(付記2)
前記少なくとも一つの生体画像から前記利用者の前記複数の生体情報の少なくとも一つについて、当該生体情報の特徴を表す個別生体情報特徴量を抽出する個別生体情報特徴量抽出部をさらに有し、
前記記憶部は、前記複数の登録利用者のそれぞれについて、当該登録利用者の複数の生体情報の少なくとも一つについての前記個別生体情報特徴量をさらに記憶し、
前記選択部は、前記利用者の前記少なくとも一つの生体情報についての前記個別生体情報特徴量と前記登録利用者の前記少なくとも一つの生体情報に対応する生体情報に基づいて、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いを表す第2の選択用スコアを算出し、前記第1の選択用スコアと前記第2の選択用スコアとに基づいて、前記第2の所定数の登録利用者を選択する、付記1に記載の生体認証装置。
(付記3)
前記選択部は、前記第1の選択用スコアと前記第2の選択用スコアの合計値を求め、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いが高いことを表す当該合計値に対応する登録利用者から順に、前記第2の所定数の登録利用者を選択する、付記2に記載の生体認証装置。
(付記4)
前記選択部は、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いが高いことを表す前記第1の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第1の所定数よりも少なく、かつ、前記第2の所定数よりも多い第3の所定数の登録利用者を選択し、
前記選択された前記第3の所定数の登録利用者の中から、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いが高いことを表す前記第2の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第2の所定数の登録利用者を選択する、付記2に記載の生体認証装置。
(付記5)
前記選択部は、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いが高いことを表す前記第2の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第1の所定数よりも少なく、かつ、前記第2の所定数よりも多い第3の所定数の登録利用者を選択し、
前記選択された前記第3の所定数の登録利用者の中から、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いが高いことを表す前記第1の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第2の所定数の登録利用者を選択する、付記2に記載の生体認証装置。
(付記6)
前記照合用データ生成部は、前記少なくとも一つの生体画像から前記複数の生体情報のうちの少なくとも二つの生体情報について前記照合用データを生成し、
前記生体情報間特徴量抽出部は、前記照合用データを用いて前記生体情報間特徴量を抽出する、付記1〜5の何れか一項に記載の生体認証装置。
(付記7)
前記個別生体情報特徴量抽出部は、前記少なくとも一つの生体画像から前記複数の生体情報のうちの少なくとも二つの生体情報について前記個別生体特徴量を抽出し、
前記生体情報間特徴量抽出部は、前記個別生体特徴量を用いて前記生体情報間特徴量を抽出する、付記1〜5の何れか一項に記載の生体認証装置。
(付記8)
前記生体情報は指紋であり、
前記個別生体情報特徴量抽出部は、前記複数の生体情報のうちの少なくとも二つの生体情報について、前記少なくとも一つの生体画像上での指紋の長手方向を一致させた状態で前記個別生体特徴量を抽出し、
前記生体情報間特徴量抽出部は、前記少なくとも一つの生体画像上での指紋の長手方向を一致させた状態で抽出された前記個別生体特徴量を用いて前記生体情報間特徴量を抽出する、付記7に記載の生体認証装置。
(付記9)
端末と、
前記端末と通信ネットワークを介して接続された認証サーバとを有し、
前記端末は、前記照合用データ生成部と前記生体情報間特徴量抽出部とを有し、
前記認証サーバは、前記選択部と前記照合部とを有する、付記1〜8の何れか一項に記載の生体認証装置。
(付記10)
利用者の複数の生体情報が写った少なくとも一つの生体画像を生成する生体情報取得部と、
前記少なくとも一つの生体画像から前記複数の生体情報のうちの少なくとも一つの特徴を表す照合用データを生成する照合用データ生成部と、
前記少なくとも一つの生体画像内の前記複数の生体情報のうちの二つの生体情報間の類似度を表す生体情報間特徴量を抽出する生体情報間特徴量抽出部と、
前記利用者の識別情報と、前記照合用データ及び前記生体情報間特徴量とを関連付けて記憶部に記憶する登録部と、
を有する生体情報登録装置。
(付記11)
利用者の複数の生体情報が写った少なくとも一つの生体画像を生成し、
前記少なくとも一つの生体画像から前記複数の生体情報のうちの少なくとも一つの特徴を表す照合用データを生成し、
前記少なくとも一つの生体画像内の前記複数の生体情報のうちの二つの生体情報間の類似度を表す生体情報間特徴量を抽出し、
第1の所定数の登録利用者のそれぞれについて、前記利用者の前記生体情報間特徴量と当該登録利用者の前記生体情報間特徴量とに基づいて、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いを表す第1の選択用スコアを算出し、該類似度合いが高い前記第1の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第1の所定数よりも少ない第2の所定数の登録利用者を選択し、
前記選択された登録利用者の前記照合用データと前記利用者の前記照合用データとを照合する、
ことを含む生体認証方法。
(付記12)
利用者の複数の生体情報が写った少なくとも一つの生体画像から前記複数の生体情報のうちの少なくとも一つの特徴を表す照合用データを生成し、
前記少なくとも一つの生体画像内の前記複数の生体情報のうちの二つの生体情報間の類似度を表す生体情報間特徴量を抽出し、
第1の所定数の登録利用者のそれぞれについて、前記利用者の前記生体情報間特徴量と当該登録利用者の前記生体情報間特徴量とに基づいて、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いを表す第1の選択用スコアを算出し、該類似度合いが高い前記第1の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第1の所定数よりも少ない第2の所定数の登録利用者を選択し、
前記選択された登録利用者の前記照合用データと前記利用者の前記照合用データとを照合する、
ことをコンピュータに実行させる生体認証用コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0104】
1、51 生体認証装置
2、52 端末
21 生体情報取得部
22 通信部
23 記憶部
24 処理部
25 照合用データ生成部
26 個別生体情報特徴量抽出部
27 生体情報間特徴量抽出部
3 認証サーバ
31 通信部
32 記憶部
33 処理部
34 選択部
35 照合部
36 認証判定部
37 登録部
4、55 データサーバ
41 通信部
42 記憶部
43 制御部
5、56 通信ネットワーク
53 親認証サーバ
61 通信部
62 記憶部
63 処理部
64 配分部
65 統合認証判定部
66 登録部
54 子認証サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の複数の生体情報が写った少なくとも一つの生体画像を生成する生体情報取得部と、
前記少なくとも一つの生体画像から前記複数の生体情報のうちの少なくとも一つの特徴を表す照合用データを生成する照合用データ生成部と、
前記少なくとも一つの生体画像内の前記複数の生体情報のうちの二つの生体情報間の類似度を表す生体情報間特徴量を抽出する生体情報間特徴量抽出部と、
第1の所定数の登録利用者のそれぞれについて、当該登録利用者の前記照合用データと前記生体情報間特徴量を記憶する記憶部と、
前記第1の所定数の登録利用者のそれぞれについて、前記利用者の前記生体情報間特徴量と当該登録利用者の前記生体情報間特徴量とに基づいて、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いを表す第1の選択用スコアを算出し、該類似度合いが高い前記第1の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第1の所定数よりも少ない第2の所定数の登録利用者を選択する選択部と、
前記選択された登録利用者の前記照合用データと前記利用者の前記照合用データとを照合する照合部と、
を有する生体認証装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの生体画像から前記利用者の前記複数の生体情報の少なくとも一つについて、当該生体情報の特徴を表す個別生体情報特徴量を抽出する個別生体情報特徴量抽出部をさらに有し、
前記記憶部は、前記複数の登録利用者のそれぞれについて、当該登録利用者の複数の生体情報の少なくとも一つについての前記個別生体情報特徴量をさらに記憶し、
前記選択部は、前記利用者の前記少なくとも一つの生体情報についての前記個別生体情報特徴量と前記登録利用者の前記少なくとも一つの生体情報に対応する生体情報に基づいて、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いを表す第2の選択用スコアを算出し、前記第1の選択用スコアと前記第2の選択用スコアとに基づいて、前記第2の所定数の登録利用者を選択する、請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記第1の選択用スコアと前記第2の選択用スコアの合計値を求め、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いが高いことを表す当該合計値に対応する登録利用者から順に、前記第2の所定数の登録利用者を選択する、請求項2に記載の生体認証装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いが高いことを表す前記第1の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第1の所定数よりも少なく、かつ、前記第2の所定数よりも多い第3の所定数の登録利用者を選択し、
前記選択された前記第3の所定数の登録利用者の中から、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いが高いことを表す前記第2の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第2の所定数の登録利用者を選択する、請求項2に記載の生体認証装置。
【請求項5】
利用者の複数の生体情報が写った少なくとも一つの生体画像を生成し、
前記少なくとも一つの生体画像から前記複数の生体情報のうちの少なくとも一つの特徴を表す照合用データを生成し、
前記少なくとも一つの生体画像内の前記複数の生体情報のうちの二つの生体情報間の類似度を表す生体情報間特徴量を抽出し、
第1の所定数の登録利用者のそれぞれについて、前記利用者の前記生体情報間特徴量と当該登録利用者の前記生体情報間特徴量とに基づいて、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いを表す第1の選択用スコアを算出し、該類似度合いが高い前記第1の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第1の所定数よりも少ない第2の所定数の登録利用者を選択し、
前記選択された登録利用者の前記照合用データと前記利用者の前記照合用データとを照合する、
ことを含む生体認証方法。
【請求項6】
利用者の複数の生体情報が写った少なくとも一つの生体画像から前記複数の生体情報のうちの少なくとも一つの特徴を表す照合用データを生成し、
前記少なくとも一つの生体画像内の前記複数の生体情報のうちの二つの生体情報間の類似度を表す生体情報間特徴量を抽出し、
第1の所定数の登録利用者のそれぞれについて、前記利用者の前記生体情報間特徴量と当該登録利用者の前記生体情報間特徴量とに基づいて、前記利用者の前記複数の生体情報と前記登録利用者の前記複数の生体情報との類似度合いを表す第1の選択用スコアを算出し、該類似度合いが高い前記第1の選択用スコアに対応する登録利用者から順に、前記第1の所定数よりも少ない第2の所定数の登録利用者を選択し、
前記選択された登録利用者の前記照合用データと前記利用者の前記照合用データとを照合する、
ことをコンピュータに実行させる生体認証用コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−248000(P2012−248000A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119243(P2011−119243)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】