説明

生分解性ポリマーに封入された微小球粒子のフィルムおよびその作製方法

【課題】1種以上の生物活性剤を封入する生分解性ポリマー微小球粒子を含有するフィルム、ならびに、このフィルムおよびフィルム形成剤を備える、医療デバイスを提供すること。
【解決手段】水溶性薬物および第一の極性溶媒を含有する第一の成分、脂肪族ポリエステルおよび非極性溶媒を含有する第二の成分、ならびに、水溶性ポリマーおよび第二の極性溶媒を含有する第三の成分を含有する乾燥エマルジョンを備える、フィルムが開示される。また、第一の非極性組成物を形成する工程、第二の極性組成物を形成する工程、この第一の非極性組成物とこの第二の極性組成物とを接触させることによって、エマルジョンを形成する工程、少なくとも1種の生分解性ポリマーを含有する微小球粒子を形成する工程、ならびにフィルムを形成する工程を包含する、プロセスが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2010年5月27日に出願された、米国仮特許出願番号61/348,846の利益および優先権を主張する。この米国仮特許出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、薬物送達ビヒクルに関する。より特定すると、本開示は、1種以上の生物活性剤を封入する生分解性ポリマー微小球粒子を含有するフィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
外科手術用移植物(例えば、薬物溶出デバイス)は、薬物または他の治療剤の送達のためのビヒクルとして働くことが公知である。代表的に、ステントおよびメッシュなどのデバイスは、生物活性剤でコーティングされて、移植部位に処置を提供する。治療有効量の選択された薬物が、このデバイスから、一定速度で長期間にわたって放出されることが、一般に望ましい。コーティング媒体からの薬物の放出は、コーティング材料の性質およびそこに組み込まれる薬物の性質に依存し得、薬物放出は、このコーティング材料を通しての固相および水の拡散によって起こるか、あるいはコーティング材料またはポリマー自体の分解によって起こる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
内部に配置された複数のポリ(乳酸−co−グリコール酸)微小球粒子を含有するフィルムであって、該複数のポリ(乳酸−co−グリコール酸)微小球粒子は、少なくとも1種の生物活性剤を封入する、フィルム;および
フィルム形成剤、
を備える、医療デバイス。
(項目2)
前記ポリ(乳酸−co−グリコール酸)が、式:
【0005】
【化7】

のものであり、該式において、xは、約50〜約70であり、yは、約30〜約50であり、そしてnは、約20〜約1000である、上記項目に記載の医療デバイス。
(項目3)
xは、約50〜約60であり、yは、約32〜約40であり、そしてnは、約300〜約500である、上記項目のいずれかに記載の医療デバイス。
(項目4)
前記フィルムが一重エマルジョンから形成されている、上記項目のいずれかに記載の医療デバイス。
(項目5)
前記フィルムが二重エマルジョンから形成されている、上記項目のいずれかに記載の医療デバイス。
(項目6)
前記少なくとも1種の生物活性剤が水溶性薬物を含有する、上記項目のいずれかに記載の医療デバイス。
(項目7)
前記水溶性薬物が塩酸ブピバカインである、上記項目のいずれかに記載の医療デバイス。
(項目8)
前記フィルム形成剤が、約80%〜約99%加水分解されたポリビニルアルコールである、上記項目のいずれかに記載の医療デバイス。
(項目9)
水溶性薬物および第一の極性溶媒を含有する第一の成分;
脂肪族ポリエステルおよび非極性溶媒を含有する第二の成分;ならびに
水溶性ポリマーおよび第二の極性溶媒を含有する第三の成分、
を含有する乾燥エマルジョンを備える、フィルム。
(項目10)
前記脂肪族ポリエステルが、前記非極性溶媒の約1重量%〜約5重量%の量で存在する、上記項目に記載のフィルム。
(項目11)
前記水溶性薬物が、前記第一の極性溶媒の約1重量%〜約5重量%の量で存在する、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目12)
前記水溶性ポリマーが、前記第二の極性溶媒の約1重量%の量で存在する、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目13)
前記非極性溶媒が塩化メチレンである、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目14)
前記第一の極性溶媒がメタノールである、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目15)
前記第二の極性溶媒が水である、上記項目のいずれかに記載のフィルム。
(項目16)
少なくとも1種の生分解性ポリマーと、少なくとも1種の生物活性剤と、少なくとも1種の非極性溶媒とを含有する、第一の非極性組成物を形成する工程;
少なくとも1種の乳化剤と少なくとも1種の極性溶媒とを含有する、第二の極性組成物を形成する工程;
該第一の非極性組成物と該第二の極性組成物とを接触させることによって、エマルジョンを形成する工程;
該エマルジョンを均質化して、該少なくとも1種の生物活性剤を封入する該少なくとも1種の生分解性ポリマーを含有する微小球粒子を形成する工程;ならびに
該均質化されたエマルジョンを乾燥させて、該微小球粒子を含有するフィルムを形成する工程であって、該微小球粒子が該フィルム内部に配置される、工程、
を包含する、プロセス。
(項目17)
前記少なくとも1種の非極性溶媒を前記エマルジョンから除去する工程をさらに包含する、上記項目に記載のプロセス。
(項目18)
前記少なくとも1種の生分解性ポリマーが、式:
【0006】
【化8】

のポリマーであり、該式において、xは、約50〜約70であり、yは、約30〜約50であり、そしてnは、約20〜約1000である、上記項目のいずれかに記載のプロセス。
(項目19)
xは、約50〜約60であり、yは、約32〜約40であり、そしてnは、約300〜約500である、上記項目のいずれかに記載のプロセス。
(項目20)
前記少なくとも1種の乳化剤が、約80%〜約99%加水分解されたポリビニルアルコールである、上記項目のいずれかに記載のプロセス。
(項目21)
前記均質化されたエマルジョンを乾燥させる前に、該均質化されたエマルジョンを医療デバイスの少なくとも一部分に堆積させる工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載のプロセス。
(項目22)
少なくとも1種の生分解性ポリマーおよび少なくとも1種の非極性溶媒を含有する第一の非極性組成物と、少なくとも1種の生物活性剤を少なくとも1種の極性溶媒中に含有する第二の極性組成物とを接触させることによって、混合物を形成する工程;
該混合物を少なくとも1種の乳化剤と接触させることによって、エマルジョンを形成する工程;
該エマルジョンを均質化して、該少なくとも1種の生物活性剤を封入する該少なくとも1種の生分解性ポリマーを含有する微小球粒子を形成する工程;ならびに
該均質化されたエマルジョンを乾燥させて、該微小球粒子を含有するフィルムを形成する工程であって、該微小球粒子が該フィルム内部に配置される、工程、
を包含する、プロセス。
(項目23)
前記少なくとも1種の非極性溶媒を前記エマルジョンから除去する工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載のプロセス。
(項目24)
前記少なくとも1種の生分解性ポリマーが、式:
【0007】
【化9】

のポリマーであり、該式において、xは、約50〜約70であり、yは、約30〜約50であり、そしてnは、約20〜約1000である、上記項目のいずれかに記載のプロセス。
(項目25)
前記少なくとも1種の乳化剤が、約80%〜約99%加水分解されたポリビニルアルコールである、上記項目のいずれかに記載のプロセス。
(項目26)
前記均質化されたエマルジョンを乾燥させる前に、該均質化されたエマルジョンを医療デバイスの少なくとも一部分に堆積させる工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載のプロセス。
【0008】
(摘要)
微小球粒子を含有するフィルム、およびこれらのフィルムを形成するためのプロセスが、開示される。これらの微小球粒子は、1種以上の生物活性剤を封入し、そして医療デバイスの表面に堆積させられ得るか、または医療デバイスを形成するために使用され得る。
【0009】
(要旨)
本開示の1つの実施形態によれば、医療デバイスが提供される。この医療デバイスは、内部に配置された複数のポリ(乳酸−co−グリコール酸)微小球粒子を有するフィルム、およびフィルム形成剤を含有し、これらの複数のポリ(乳酸−co−グリコール酸)微小球粒子は、少なくとも1種の生物活性剤を封入する。
【0010】
本開示の別の実施形態によれば、フィルムが提供される。このフィルムは、水溶性薬物および第一の極性溶媒を含有する第一の成分;脂肪族ポリエステルおよび非極性溶媒を含有する第二の成分;ならびに水溶性ポリマーおよび第二の極性溶媒を含有する第三の成分を含む、乾燥エマルジョンを含有する。
【0011】
プロセスもまた、本開示によって想定される。このプロセスは、少なくとも1種の生分解性ポリマー、少なくとも1種の生物活性剤および少なくとも1種の非極性溶媒を含有する、第一の非極性組成物を形成する工程;少なくとも1種の乳化剤および少なくとも1種の極性溶媒を含有する、第二の極性組成物を形成する工程;この第一の非極性組成物とこの第二の極性組成物とを接触させることによって、エマルジョンを形成する工程;このエマルジョンを均質化して、この少なくとも1種の生物活性剤を封入する少なくとも1種の生分解性ポリマーを含有する微小球粒子を形成する工程;ならびにこの均質化されたエマルジョンを乾燥させて、これらの微小球粒子を含有するフィルムを形成する工程であって、これらの微小球粒子がこのフィルム内部に配置される、工程を包含する。
【0012】
プロセスがまた、本開示により想定される。このプロセスは、少なくとも1種の生分解性ポリマーおよび少なくとも1種の非極性溶媒を含有する第一の非極性組成物と、少なくとも1種の生物活性剤を少なくとも1種の極性溶媒中に含有する第二の極性組成物とを接触させることによって、混合物を形成する工程;この混合物を少なくとも1種の乳化剤と接触させることによって、エマルジョンを形成する工程;このエマルジョンを均質化して、この少なくとも1種の生物活性剤を封入する少なくとも1種の生分解性ポリマーを含有する微小球粒子を形成する工程;ならびにこの均質化されたエマルジョンを乾燥させて、内部に配置されたこれらの微小球粒子を含有するフィルムを形成する工程を包含する。
【0013】
本開示の種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1Aは、本開示によるフィルムの走査型電子顕微鏡画像である。
【図1B】図1Bは、本開示によるフィルムの走査型電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、1種以上の生物活性剤を封入する生分解性ポリマーから形成された微小球粒子を含有するフィルムを製造するための、組成物および方法を提供する。これらのフィルムは、医療デバイス(例えば、移植物、ステープルなど)を覆うために塗布され得るか、または組織の治療処置のための種々の型の移植物に形成され得る。ある実施形態において、これらの微小球フィルムは、微小球混合物から、単一プロセス工程で直接医療デバイスに直接キャスティングされ得、これによって、微小球粒子の再懸濁を回避して、医療デバイスをコーティングするのに適切な均質な懸濁物を形成する。この微小球粒子を含有するフィルムは、少なくとも1種の生分解性ポリマーと、少なくとも1種の生物活性剤と、少なくとも1種の乳化した封入体との、極性組成物および非極性組成物中の均質な懸濁物(例えば、エマルジョン)中で形成され得る。
【0016】
ある実施形態において、この微小球フィルムは、一重エマルジョン(single−emulsion)(例えば、油中水型エマルジョンまたは水中油型エマルジョン)方法を使用して調製され得、この方法において、生物活性剤および生分解性ポリマーは、非極性(例えば、水非混和性または疎水性)である。ある実施形態において、この生物活性剤は、水溶性薬物であり得、塩酸ブピバカイン(ブピバカインHCl)、5−フルオロウラシル、ドキソルビシン、ロピバカインHCl、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。適切な生分解性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル(例えば、以下の式:
【0017】
【化4】

を有するポリ(乳酸−co−グリコール酸)(「PLGA」))が挙げられ、この式において、xは、約50〜約70、ある実施形態においては約52〜約60であり得、yは、約30〜約50、ある実施形態においては約32〜約40であり、そしてnは、約20〜約1000、ある実施形態においては約300〜約500である。このPLGA生分解性ポリマーの分子量は、約30,000 Da〜約120,000 Da、ある実施形態においては約32,000 Da〜約60,000 Daであり得る。
【0018】
この生分解性ポリマーおよびこの疎水性生物活性剤は、非極性溶媒に溶解して非極性組成物を形成し得る。この生物活性剤は、この非極性溶媒の約1重量%〜約10重量%、ある実施形態においてはこの非極性溶媒の約2重量%〜約5重量%の量で存在し得る。この生分解性ポリマーは、この非極性溶媒の約1重量%〜約10重量%、ある実施形態においてはこの非極性溶媒の約2重量%〜約5重量%、ある実施形態においてはこの非極性溶媒の約1重量%の量で存在し得る。
【0019】
適切な非極性溶媒としては、塩化メチレン、ペルクロロエタン、トリクロロエチレン、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、クロロホルムおよびこれらの組み合わせが挙げられる。エマルジョンは、生分解性ポリマーおよび生物活性剤を非極性溶媒中に含有する非極性組成物と、極性溶媒に溶解した乳化剤(フィルム形成剤としてもまた使用される)を含む極性組成物とを合わせることにより形成される。適切な極性溶媒としては、水(例えば、脱イオン水)、生理食塩水、および非極性溶媒に可溶性ではないアルコール(その例としては、メタノールおよびエタノールなどが挙げられる)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。2つの溶媒は非混和性であるべきであることが、留意されるべきである。この乳化剤は、極性溶媒の約1重量%〜約10 重量%、ある実施形態においては極性溶媒の約2重量%〜約5重量%の量で存在し得る。
【0020】
乳化剤はまた、微小球安定剤として、およびフィルム形成剤として働く。適切な乳化剤としては、水溶性ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール(「PVA」)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PLURONICSTM、TWEENSTM、多糖類およびこれらの組み合わせ)が挙げられる。PVAは、約80%〜約99%、ある実施形態においては約85%〜約95%の、種々の加水分解された状態で使用され得る。乳化剤(すなわち、PVA)の融点は、この化合物の加水分解と共に変わる。従って、加水分解もまた、乳化剤の溶解度に影響を与える。実質的に完全に(例えば、99%)加水分解されたPVAは、水に可溶性になるためには、約75℃まで加熱される必要があり得、一方で、80%加水分解されたPVAは、室温(例えば、約20℃〜約25℃)で可溶性である。種々の加水分解されたPVA化合物と他の乳化剤とのブレンドが、形成されるフィルムの溶解の速度を調節して、得られる微小球フィルムの乾燥を調節するために使用され得る。
【0021】
生分解性ポリマーおよび/または生物活性剤の非極性組成物はまた、形成される微小球粒子を安定化するため、および生物活性剤装填効率を増加させるために、界面活性剤を含有し得る。1種、2種、またはより多くの界面活性剤が利用され得る。利用され得る界面活性剤の例としては、例えば、ポリアクリル酸、メタロース(methalose)、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、およびポリオキサマー(polyoxamer)が挙げられる。
【0022】
微小球フィルムはまた、二重エマルジョン(double−emulsion)方法(例えば、水中油中水型エマルジョン)を使用して調製され得、この方法において、生物活性剤は極性(例えば、親水性)である。第一の極性溶媒中の生物活性剤の溶液を含有する極性(例えば、水性)組成物は、非極性溶媒中の生分解性ポリマーの溶液を含有する非極性組成物と接触させられる。次いで、このエマルジョンは、第二の極性溶媒(この第二の極性溶媒は、第一の極性溶媒と同じであっても異なっていてもよい)中の乳化剤の極性溶液と混合させられる。ある実施形態において、この非極性組成物は、第二の生物活性剤を含有し得、この第二の生物活性剤は疎水性であり、疎水性生物活性剤および親水性生物活性剤を含むエマルジョンの形成を可能にする。
【0023】
生物活性剤は、第一の極性溶媒の約1重量%〜約10重量%、ある実施形態においては第一の極性溶媒の約2重量%〜約5重量%の量で存在し得る。生分解性ポリマーは、非極性溶媒の約1重量%〜約10重量%、ある実施形態においては非極性溶媒の約2重量%〜約5重量%の量で存在し得る。乳化剤は、第二の極性溶媒の約1重量%〜約10重量%、ある実施形態においては第二の極性溶媒の約2重量%〜約5重量%の量で存在し得る。
【0024】
生物活性剤の装填効率はまた、生物活性剤の疎水性特性および/または親水性特性を調節することによって、調節され得る。ある実施形態において、塩形態対遊離塩基形態の比は、所望の装填効率を得るために調節され得る。上で議論されたように、生物活性剤の1つの例は、ブピバカインHClである。ブピバカインは、約8.1のpKaを有する。HClとのブピバカインの塩形態を、以下に図示する:
【0025】
【化5】

ブピバカインの遊離塩基形態(以下に図示する)は、塩形態より疎水性が高いので、より低い水溶性を有する。
【0026】
【化6】

遊離塩基形態の生物活性剤の百分率が高い(すなわち、その平衡が遊離塩基形態のほうによりシフトしている)ほど、生物活性剤の全体的な放出速度が遅くなる。ブピバカインの塩形態は水溶性であり、一方で、遊離塩基形態は、生分解性ポリマーを溶解するために使用される水非混和性溶媒に可溶性である。
【0027】
一旦、極性組成物と非極性組成物とが混合されると、この混合物は均質化されて、エマルジョンを形成する。均質化は、このエマルジョンを1分間あたり約500回転(「rpm」)〜約10,000rpmで撹拌することにより達成され得る。ある実施形態において、このエマルジョンは、約600rpm〜約9,500rpmで撹拌され得る。このエマルジョンは、約30秒〜約4時間、ある実施形態においては約90秒〜約1時間にわたって撹拌され得る。撹拌はまた、疎水性溶媒をこの混合物から除去して、微小球粒子を乳化剤の水溶液中で懸濁させて維持するために使用され得る。
【0028】
溶媒を蒸発させた後に、このエマルジョンは、生物活性剤を封入する生分解性ポリマーから形成された微小球粒子を維持する。この溶液はまた、生物活性剤の遊離した封入されていない部分を含有し、この部分は、このエマルジョン中に懸濁している。これらの微小球粒子は、約1μm〜約200μmであり得る。ある実施形態において、これらの微小球粒子は、約20μm〜約60μmであり得る。これらの微小球粒子のサイズは、均質化(例えば、溶液の撹拌)の持続時間および速度を調節すること;連続相対不連続相の比を変更すること;剪断速度を変更すること;ならびにポリマーおよび界面活性剤の分子量および濃度を変更することにより、誂えられ得る。
【0029】
このエマルジョンは、このエマルジョンを鋳型内に溶液キャスティングすることによって医療デバイスを形成するため、またはこのエマルジョンを噴霧して医療デバイス(例えば、移植物)を形成するため(この結果として、このエマルジョンが乾燥して、微小球粒子を含有するフィルムから医療デバイスを形成する)に使用され得る。キャスティングまたは噴霧されたフィルムは、連続的であっても不連続であってもよく、そして他のフィルム(例えば、カルボキシメチルセルロース、グリセロール、多層ラクトンおよびこれらの組み合わせ)と組み合わせて使用され得る。次いで、このエマルジョンの液体溶媒は、排気、振盪、および他の適切な方法により蒸発させられて、形成された医療デバイスを与え得る。
【0030】
ある実施形態において、このエマルジョンは、予め形成された医療デバイスまたはその一部分に堆積して、微小球粒子をこの医療デバイスの表面に直接有するフィルムを形成し得る。このフィルムは、このエマルジョンを医療デバイスの表面またはその一部分に、当業者に公知である任意の適切な方法を利用して塗布することによって、この医療デバイスに組み込まれ得る。いくつかの例としては、噴霧、浸漬、層状化、カレンダーがけなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
1種以上の生物活性剤を封入する生分解性ポリマー微小球粒子を含有する生分解性フィルムはまた、所望の生物活性剤放出プロフィール(例えば、微小球粒子に封入された生物活性剤からの最初のボーラス放出、その後の生物活性剤の封入されていない部分を含むフィルムからの5日間までにわたる持続放出)を提供する。これらの微小球粒子が生分解性ポリマー材料から形成される場合、生物活性剤は、移植後約1時間〜約21日の期間内で、身体内に放出され得る。1つの実施形態において、生物活性剤は、移植後約2日〜約14日にわたって放出され得る。
【0032】
この医療デバイスは、任意の外科手術用移植物(例えば、メッシュ、足場、移植片、ステント、縫合糸、パッチ、スリング、バットレス、足場、外科用綿撒糸)であり得、一般には、軟組織修復デバイス、外科手術用プロテーゼおよび人工器官であり得るか、または医療手順/外科手術手順において使用され得る医療製品(例えば、創傷包帯、被膜、テープ、およびガーゼなど)に局所的に塗布され得る。ある実施形態において、この医療デバイスは、この医療デバイスの表面の少なくとも一部分にわたって、細孔または開口部を有し得、この細孔または開口部の中に、フィルムが堆積し得る。これらの細孔は、表面特性またはバルク材料特性(医療デバイスに部分的にかもしくは完全に貫入する)として存在し得、そしてこの医療デバイスの一部分にわたって均一に分布し得る。この医療デバイスは、連続気泡構造を有し得、この構造において、細孔は、互いに接続して、相互接続された網目構造を形成する。逆に、この医療デバイスは、不連続気泡構造を有し得、この構造において、細孔は相互接続されていない。さらなる細孔分布のパターンおよび構成は、当業者の知識の範囲内である。これらの細孔は、任意の適切な技術(凍結乾燥またはフリーズドライ、焼結、あるいは塩結晶、糖結晶またはデンプン結晶の浸出が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して作製され得る。あるいは、開口部は、繊維状の医療デバイス(例えば、縫合糸およびメッシュ)に、フィラメント間に形成された空間によって形成され得る。
【0033】
用語「生物活性剤」とは、本明細書中で使用される場合、その最も広い意味で使用され、そして臨床用途を有する任意の物質または物質混合物を包含する。従って、生物活性剤は、それ自体で薬理学的活性を有しても有さなくてもよい(例えば、色素)。生物活性剤は、治療効果もしくは予防効果を提供する任意の剤;組織成長、細胞増殖、および/もしくは細胞分化に影響を与えるかもしくは関与する化合物;生物学的作用(例えば、免疫応答)を引き起こし得るかもしくは防止し得る化合物;または1つ以上の生物学的プロセスにおいて他の任意の役割を果たし得る化合物であり得る。さらに、組織修復を増強し得、敗血症の危険性を制限し得、医療デバイスの機械的特性を調節し得、そして/または薬物学的剤を送達し得る、任意の剤が、このデバイスに塗布され得る。単一の生物活性剤が利用されてもよく、代替の実施形態において、種々の生物活性剤が、本開示の医療デバイスに組み込まれてもよい。
【0034】
生物活性剤ならびにこれら生物活性剤の代替の形態(例えば、塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態および水和物)の例としては、抗微生物剤(例えば、セファロスポリン類(例えば、セファゾリンナトリウム、セフラジン、セファクロル、セファピリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフロキシムアキセチル(cefuroxime azotil)、セフォタキシムナトリウム、セファドロキシル一水和物、セファレキシン、セファロチンナトリウム、塩酸セファレキシン一水和物、セファマンドールナファート、セフォキシチンナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォラニド、セフトリアキソンナトリウム、セフタジジム、セファドロキシル、セフラジンおよびセフロキシムナトリウム);ペニシリン類(例えば、アンピシリン、アモキシシリン、ペニシリンGベンザチン、シクラシリン、アンピシリンナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニシリンVカリウム、ピペラシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、塩酸バカンピシリン、クロキサシリンナトリウム、チカルシリン二ナトリウム、アゾロシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、ペニシリンGプロカイン、メチシリンナトリウムおよびナフシリンナトリウム);エリスロマイシン類(例えば、エチルコハク酸エリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、ラクトビオン酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシンおよびエチルコハク酸エリスロマイシン);およびテトラサイクリン類(例えば、塩酸テトラサイクリン、塩酸ドキシサイクリン(doxycycline hyclate)および塩酸ミノサイクリン、アジスロマイシン、およびクラリスロマイシン));鎮痛薬/解熱薬(例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプレノルフィン、塩酸プロポキシフェン、プロポキシフェンナプシレート、塩酸メペリジン、塩酸ヒドロモルホン、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、酒石酸水素ジヒドロコデイン、ペンタゾシン、酒石酸水素ヒドロコドン、レボルファノール、ジフルニサル、サリチル酸トロラミン、塩酸ナルブフィン、メフェナム酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタルビタール(butalbital)、クエン酸フェニルトロキサミン(phenyltoloxamine citrate)、クエン酸ジフェンヒドラミン、メトトリメプラジン、塩酸シンナメドリンおよびメプロバメート);麻酔薬;鎮痙薬;抗ヒスタミン薬;非ステロイド性抗炎症薬(例えば、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラミフェナゾン、およびピロキシカム);ステロイド性抗炎症薬(例えば、コルチゾン、デキサメタゾン、フルアザコート、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンおよびプレドニゾン);心臓血管薬(例えば、冠状血管拡張薬およびニトログリセリン);診断剤;コリン様作用薬;抗ムスカリン薬;筋弛緩薬;アドレナリン作用性ニューロン遮断薬;神経伝達物質;抗腫瘍薬(例えば、シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、フルオロウラシル、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル−CCNU、シスプラチン、エトポシド、カンプトテシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、ドセタキセルおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、タモキシフェン、ならびにピポスルファン);免疫原性薬剤(immunogenic agents);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビンおよびFK506(タクロリムス));胃腸薬;利尿薬;脂質;リポ多糖類;多糖類;酵素;非ステロイド性抗受精剤;副交感神経様作用剤;精神療法剤;精神活性剤;トランキライザ;うっ血除去薬;鎮静催眠薬(例えば、バルビツール酸類(例えば、ペントバルビタールおよびセコバルビタール);およびベンゾジアゼピン(benzodiazapine)類(例えば、塩酸フルラゼパム、トリアゾラムおよびミダゾラム));ステロイド;スルホンアミド;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛剤(例えば、エルゴタミン、プロプラノロール(propanolol)、ムチン酸イソメテプテンおよびジクロラルフェナゾン);抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパおよびエトスクシミド);鎮咳薬;気管支拡張薬(例えば、交感神経作用薬(例えば、塩酸エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、硫酸テルブタリン、イソエタリン、メシル酸イソエタリン、塩酸イソエタリン、硫酸アルブテロール、アルブテロール、ビトルテロルメシレート、塩酸イソプレテレノール、硫酸テルブタリン、酒石酸水素エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、エピネフリンおよび酒石酸水素エピネフリン);抗コリン作用薬(例えば、オキシブチニンおよび臭化イプラトロピウム);キサンチン類(例えば、アミノフィリン、ジフィリン、硫酸メタプロテレノール、およびアミノフィリン);肥満細胞安定化剤(例えば、クロモリンナトリウム);吸入用コルチコステロイド(例えば、二プロピオン酸ベクロメタゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン一水和物、サルブタモール、臭化イプラトロピウム、ブデソニド、ケトチフェン、サルメテロール、キナフォエート、硫酸テルブタリン、トリアムシノロン、テオフィリン、ネドクロミルナトリウム、硫酸メタプロテレノール、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン);脈管形成剤;抗脈管形成剤;アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネなど);オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗がん剤;化学療法剤;鎮痙薬;鎮吐剤(例えば、塩酸メクリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリネート、塩酸プロメタジン、チエチルペラジン、およびスコポラミン);抗ヒスタミン薬(antihistimine)(例えば、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、マレイン酸ブロモフェニラミン、塩酸シプロへプタジン、テルフェナジン、フマル酸クレマスチン、トリプロリジン、カルビノキサミン、ジフェニルピラリン、フェニンダミン、アザタジン、トリペレナミン、マレイン酸d−クロルフェニラミンおよびメトジラジン);抗炎症薬(例えば、ホルモン薬、ヒドロコルチゾン、非ホルモン薬、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾン(phenylbutzone)など);プロスタグランジンおよび細胞毒性薬;生殖器官に影響する薬;エストロゲン;抗菌薬(例えば、硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール(chloramphenicol palirtate)、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、パルミチン酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、メトロニダゾール、塩酸メトロニダゾール、硫酸ゲンタマイシン、塩酸リンコマイシン、硫酸トブラマイシン、塩酸バンコマイシン、硫酸ポリミキシンB、コリスチンメタナトリウム、および硫酸コリスチン);抗体;抗生物質(例えば、ネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリン、およびシプロフロキサシン);抗真菌薬(例えば、グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール(itraconizole)、
アンホテリシンB、ナイスタチン、およびカンジシジン);抗ウイルス薬(例えば、インターフェロンα、βまたはγ、ジドブジン、塩酸アマンタジン、リバビリン、およびアシクロビル);抗血液凝固薬(例えば、ヘパリン、ヘパリンナトリウム、およびワルファリンナトリウム);抗うつ薬(例えば、ネオパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェニルジン(phenylzine)、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、ドキセピン、イミプラミン、イミプラミンパモエート、イソカルボキサジド(isocarboxazid)、トリミプラミン、およびプロトリプチリン);免疫学的薬剤(immunological agents);ぜん息治療薬(例えば、ケトチフェンおよびトラキサノクス);抗糖尿病薬(例えば、ビグアナイド類およびスルホニル尿素誘導体類);抗高血圧薬(例えば、プロプラノロール(propanolol)、プロパフェノン、オキシプレノロール(oxyprenolol)、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、塩酸パルジリン、デセルピジン、ジアゾキシド、硫酸グアネチジン(guanethidine monosulfate)、ミノキシジル、レシンナミン、ニトロプルシドナトリウム、インドジャボク(rauwolfia serpentina)、アルセロキシロン、およびフェントラミン);抗不安薬(例えば、ロラゼパム、ブスピロン、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、ジアゼパム、ヒドロキシジンパモエート、塩酸ヒドロキシジン、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノン、およびダントロレン);抗狭心症薬(例えば、β−アドレナリン遮断薬;カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピンおよびジルチアゼム)、およびニトレート(例えば、ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、ペンタエリトリトールテトラニトレート、およびエリトリチルテトラニトレート);抗精神病薬(例えば、ハロペリドール、コハク酸ロクサピン、塩酸ロクサピン、チオリダジン、塩酸チオリダジン、チオチキセン、フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、トリフルオペラジン、クロルプロマジン、パーフェナジン、クエン酸リチウム、およびプロクロルペラジン);抗躁病薬(例えば、炭酸リチウム);抗不整脈薬(例えば、ブレチリウムトシレート、エスモロール、ベラパミル、アミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジギトキシン、メキシレチン、リン酸ジソピラミド、プロカインアミド、硫酸キニジン、キニジングルコネート(quinidine gluconate)、キニジンポリガラクツロネート(quinidine polygalacturonate)、酢酸フレカイニド、トカイニド、およびリドカイン);抗関節炎薬(例えば、フェニルブタゾン、スリンダク、ペニシラミン(penicillanine)、サルサラート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナメート(meclofenamate)、金チオリンゴ酸ナトリウム、ケトプロフェン、オーラノフィン、金チオグルコース、およびトルメチンナトリウム);抗痛風薬(例えば、コルヒチンおよびアロプリノール);血栓溶解薬(例えば、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、およびアルテプラーゼ);抗線維素溶解薬(例えば、アミノカプロン酸);血液レオロジー剤(例えば、ペントキシフィリン);抗血小板薬(例えば、アスピリン);抗痙攣薬(例えば、バルプロ酸、ジバルプロックスナトリウム、フェニトイン(phenyloin)、フェニトインナトリウム(phenyloin sodium)、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビタール(phenobarbitol)、カルバマゼピン、アモバルビタールナトリウム、メトスクシミド、メタルビタール、メフォバルビタール、メフェニトイン(mephenyloin)、フェンスクシミド、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビタールナトリウム(secobarbitol sodium)、クロラゼプ酸二カリウム、およびトリメタジオン);カルシウム調節に有用な薬剤(例えば、カルシトニンおよび副甲状腺ホルモン);抗感染症薬(例えば、GM−CSF);ステロイド化合物およびホルモン(例えば、ダナゾール、テストステロンシピオネート、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、エナント酸テストステロン(testosterone enathate)、メチルテストステロン、フルオキシメステロン、およびテストステロンシピオネートなどのアンドロゲン;エストラジオール、エストロピペート(estropipate)、および抱合卵胞ホルモン(conjugated estrogens)などのエストロゲン);プロゲスチン(例えば、酢酸メトキシプロゲステロン(methoxyprogesterone acetate)および酢酸ノルエチンドロン);コルチコステロイド(例えば、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム(betamethasone sodium phosphate)、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム(dexamethasone sodium phosphate)、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁物、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(methylprednisolone sodium succinate)、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサセトニド、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロンテブテート、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、およびコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム);甲状腺ホルモン(例えば、レボチロキシンナトリウム(levothyroxine sodium));血糖降下薬(例えば、ヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリン、グリブリド、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミド、およびトラザミド);高脂質血症薬剤(hypolipidemic agents)(例えば、クロフィブレート、デキストロサイロキシンナトリウム、プロブコール、プラバスタチン(pravastitin)、アトルバスタチン、ロバスタチン、およびナイアシン);赤血球生成刺激に有用な薬剤(例えば、エリトロポイエチン);および抗潰瘍/抗逆流剤(例えば、ファモチジン、シメチジン、および塩酸ラニチジン)が挙げられる。
【0035】
医療デバイスに含有され得る適切な生物活性剤の他の例としては、例えば、ウイルスおよび細胞;ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそのアナログ、ムテイン、および活性フラグメント;免疫グロブリン;抗体;サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン);血液凝固因子;造血因子;インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6);インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN);エリトロポイエチン;ヌクレアーゼ;腫瘍壊死因子;コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF);インスリン;抗腫瘍剤および腫瘍抑制因子;血液タンパク質(例えば、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン);性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど);ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン);ワクチン(例えば、腫瘍性抗原、細菌性抗原およびウイルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子または成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質;TGF−β;タンパク質インヒビター;タンパク質アンタゴニスト;タンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ならびにリボザイムが挙げられる。
本明細書中に記載される組成物および方法において有用な他の生物活性剤としては、ミトーテン、ハロニトロソ尿素(halonitrosoureas)、アントラサイクリン(anthrocyclines)、エリプチシン(ellipticine)、セフタジジム、オキサプロジン、バラシクロビル、ファムシクロビル、フルタミド、エナラプリル、メトホルミン(mefformin)、イトラコナゾール、ガバペンチン、ホシノプリル、トラマドール、アカルボース、ロラゼパム(lorazepan)、ホリトロピン、オメプラゾール、リシノプリル、トラマドール(tramsdol)、レボフロキサシン、ザフィルルーカスト、顆粒球刺激因子、ニザチジン、ブプロピオン、ペリンドプリル、エルブミン(erbumine)、アデノシン、アレンドロネート(alendronate)、アルプロスタジル、ベタキソロール、硫酸ブレオマイシン、デキスフェンフルラミン、フェンタニル、ゲムシタビン、酢酸グラチラマー(glatiramer acetate)、グラニセトロン、ラミブジン、マンガフォジピール三ナトリウム(mangafodipir trisodium)、メサラミン(mesalamine)、フマル酸メトプロロール、ミグリトール(miglitol)、モエキシプリル(moexiprill)、モンテルカスト、酢酸オクトレオチド、オロパタジン、パリカルシトール(paricalcitol)、ソマトロピン、コハク酸スマトリプタン、タクリン、ナブメトン、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、ドラセトロン(dolasetron)、フィナステリド、イスラジピン(isradipine)、トルカポン(tolcapone)、エノキサパリン、フルコナゾール、ランソプラゾール、パミドロネート、ジダノシン、ジクロフェナク、シサプリド、ベンラファキシン、トログリタゾン、フルバスタチン、ロサルタン、イミグルセラーゼ、ドネペジル、オランザピン、バルサルタン、フェキソフェナジン、アダパレン(adapalene)、メシル酸ドキサゾシン、モメタゾンフランカルボン酸エステル(mometasone furoate)、ウルソジオール、フェロジピン、塩酸ネファゾドン(nefazodone hydrochloride)、バルルビシン(valrubicin)、アルベンダゾール、酢酸メドロキシプロゲステロン、塩酸ニカルジピン、酒石酸ゾルピデム、ルビテカン(rubitecan)、アムロジピンベシレート/塩酸ベナゼプリル、塩酸パロキセチン、ポドフィロックス、二塩酸プラミペキソール(pramipexole dihydrochloride)、フマル酸クエチアピン、カンデサルタン、シレキセチル(cilexetil)、リトナビル、ブスルファン、フルマゼニル、リスペリドン、カルバマゼピン(carbemazepine)、カルビドパ、レボドパ、ガンシクロビル、サキナビル、アンプレナビル、塩酸セルトラリン、クロブスタゾール(clobustasol)、ジフルコルトロン、プロピオン酸ハロベタゾール(halobetasolproprionate)、クエン酸シルデナフィル、クロルタリドン、イミキモッド、シンバスタチン、シタロプラム、塩酸イリノテカン、スパルフロキサシン、エファビレンツ、塩酸タムスロシン、モファフィニル(mofafinil)、レトロゾール(letrozole)、塩酸テルビナフィン、マレイン酸ロシグリタゾン(rosiglitazone maleate)、塩酸ロメフロキサシン、塩酸チロフィバン、テルミサルタン、ジアゼパム(diazapam)、ロラタジン、クエン酸トレミフェン、サリドマイド、ジノプロストン、塩酸メフロキン、トランドラプリル、塩酸ミトザントロン、トレチノイン、エトドラク、メシル酸ネルフィナビル(nelfinavir mesylate)、インジナビル(indinavir)、ニフェジピン、セフロキシム、およびニモジピンが挙げられる。
【0036】
これらのクラス内の具体的な薬剤は、当業者の知識の範囲内であり、例えばデバイス(このデバイスにおいて薬剤が利用され、組織が処置される)の型などの要因に依存する。実施形態において、抗微生物剤(例えば、トリクロサン(triclosan)(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしてもまた公知)、クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、および硫酸クロルヘキシジンが挙げられる)、銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、プロテイン銀、およびスルファジアジン銀が挙げられる)、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン)、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシンおよびシプロフロキサシン)、ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil))、ノンオキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン;はまた微生物増殖の処置のために単独または組み合わせて用いられ得る。さらに、抗菌性タンパク質および抗菌性ペプチド(例えば、ラクトフェリンおよびラクトフェリシンB(lactoferricin B)ならびに抗菌性多糖(例えば、フカン(fucan)およびその誘導体)は、本開示中で微生物を殺すまた微生物増殖を防ぐために生物活性剤として含有され得る。さらに抗接着剤は、被覆された医療デバイスと周辺組織との間に接着が形成するのを防ぐのに用いられ得る。これら薬剤のいくつかの例としては、ポリ(ビニルピロリドン)、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、アルギネート,コラーゲン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、スチレンスルホン酸、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、(pHEMA)およびホスホリピドビニル類(phospholipid vinyls);アクリル酸ポリマー類(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸エチル(polyethylacrylate)およびポリアクリルアミド)、ポリプロピレンオキシド、ホスホリルコリン官能性アクリレート類(phosphorylcholine functional acrylates)およびホスホコリン官能性メタクリレート類(phosphorylcholine functional methacrylates)、ならびにそれらのホモポリマーおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「生分解性」は、生体吸収性材料と生体再吸収性材料との両方を包含するように定義される。生分解性とは、その物質が身体条件下で分解するかまたは構造的一体性を失うか(例えば、酵素分解もしくは加水分解)あるいは身体内の生理学的条件下で(物理的もしくは化学的に)分解し、その結果、その分解生成物が身体により排出可能または吸収可能になることを意味する。このような材料としては、天然材料、合成材料、生体吸収性材料、および/または非吸収性材料、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
生物活性剤と一緒に使用され得る代表的な天然生分解性ポリマーとしては、多糖類(例えば、アルギネート、デキストラン、キチン、ヒアルロン酸、セルロース、コラーゲン、ゼラチン、フカン、およびグリコサミノグリカン、ならびにこれらの化学誘導体(化学基(例えば、アルキル、アルキレン)の置換および/または付加、ヒドロキシル化、酸化、ならびに当業者により通常なされる他の修飾);ガット;絹;麻;綿;ならびにタンパク質(例えば、アルブミン、カゼイン、ゼイン、絹)、ならびにこれらのコポリマーおよびブレンドが挙げられ、単独であるか、または合成ポリマーと組み合わせられる。
【0039】
合成により修飾された天然ポリマーとしては、セルロース誘導体(例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース)、およびキトサンが挙げられる。適切なセルロース誘導体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース、および硫酸セルロースナトリウム塩が挙げられる。
【0040】
代表的な合成生分解性ポリマーとしては、ラクトンモノマー(例えば、グリコリド、ラクチド、カプロラクトン、ε−カプロラクトン、バレロラクトン、およびδ−バレロラクトン)から調製されたポリヒドロキシ酸;ならびにカーボネート(例えば、トリメチレンカーボネートおよびテトラメチレンカーボネートなど);ジオキサノン(例えば、1,4−ジオキサノンおよびp−ジオキサノン);1,ジオキセパノン(例えば、1,4−ジオキセパン−2−オンおよび1,5−ジオキセパン−2−オン);ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。これらから形成されるポリマーとしては、ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(ジオキサノン);ポリ(ヒドロキシ酪酸);ポリ(ヒドロキシ吉草酸);ポリ(ラクチド−co−(ε−カプロラクトン));ポリ(グリコリド−co−(ε−カプロラクトン));ポリ(乳酸−co−グリコール酸);ポリカーボネート;ポリ(偽アミノ酸);ポリ(アミノ酸);ポリ(ヒドロキシアルカノエート);ポリアルキレンオキサレート;ポリオキサエステル;ポリ酸無水物;ポリオルトエステル;ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、および組み合わせが挙げられる。
【0041】
生分解性材料の他の非限定的な例としては、脂肪族ポリエステル;ポリエチレングリコール;グリセロール;コポリ(エーテル−エステル);ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、および組み合わせが挙げられる。生体で迅速に分解するポリマー(例えば、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ酸無水物、およびポリオルトエステルであり、これらは、このポリマーの表面が腐食する際に、外側表面に露出するカルボン酸基を有する)もまた使用され得る。非生分解性ポリマーが、本開示において使用され得ることもまた想定される。
【0042】
微小球粒子からの生物活性剤の放出の速度は、当業者の知識の範囲内である任意の手段によって、制御され得る。いくつかの例としては、微小球粒子およびフィルムのポリマー成分の厚さ;生物活性剤のサイズ;生物活性剤の親水性;ならびに生物活性剤、生分解性ポリマー、および/または医療デバイス材料の間での物理的相互作用および物理化学的相互作用の強度が挙げられるが、これらに限定されない。これらの要因のうちのいくつかを適切に制御することによって、本開示の医療デバイスからの生物活性剤の制御放出が達成され得る。
【0043】
以下の実施例は、本開示の実施形態を説明するために与えられる。これらの実施例は、説明のみを意図されており、本開示の範囲を限定することは意図されない。また、部および百分率は、他に示されない限り、重量に基づく。本明細書中で使用される場合、「室温」または「周囲温度」は、約20℃〜約25℃の温度をいう。
【実施例】
【0044】
(実施例1−水中PLGA(70:30)青色色素の微小粒子の調製)
約8mLの、PLGA(乳酸とグリコール酸とが約70:30の比で存在し、120,000Daの分子量(MW)を有し、North Haven,CTのCovidienから市販されている)の塩化メチレン中の1重量%溶液を、約30秒間、約1分間あたり10,000回転(rpm)で均質化した。約2mLの、青色食用色素(Baltimore,MDのMcCormick & Company,Inc.から入手可能な「McCormick Blue Food Color」)の脱イオン水中の1重量%溶液を、このPLGA溶液に添加した。得られた溶液を約90秒間、約10,000rpmで均質化した。約10mLの、PVAの脱イオン水中の1重量%溶液をこのPLGAと青色食用色素との溶液に添加し、そして約30秒間、約10,000rpmで均質化して、エマルジョンを形成した。次いで、このエマルジョンを約290mLの1重量%PVA水溶液と混合した。得られたエマルジョンを約4時間、約600rpmで撹拌して、塩化メチレンを蒸発させた。次いで、このエマルジョンを50mLの遠心管に等分し、そして約4,000rpmで約5分間遠心分離した。図1Aおよび図1Bに図示されるように、得られた微小球粒子は、約30μm〜約200μmのサイズを有した。これらの微小球粒子のサイズを、Zeiss Axiovert 200M蛍光画像化顕微鏡およびZeiss EVO走査型電子顕微鏡(これらは両方、Munich,DEのCarl Zeiss MicroImaging GmbHから入手可能である)を使用して、光学顕微鏡法により決定した。より高速およびより長い均質化時間(約12,000rpm〜15,000rpmで約120秒〜150秒)での実験を繰り返して、約5μm〜約30μmのサイズを有する微小球粒子を得た。
【0045】
(実施例2−メタノール中PLGA(70:30)ブピバカインの微小球粒子の調製)
約8mLの、PLGA(乳酸とグリコール酸とが約70:30の比で存在し、120,000Daの分子量MWを有し、North Haven,CTのCovidienから市販されている)の塩化メチレン中の1重量%溶液を、約30秒間、約10,000rpmで均質化した。約2mLの塩酸ブピバカイン(St.Louis,MOのSigma−Aldrichから入手可能)のメタノール中10重量%の溶液を、このPLGA溶液に添加した。得られた溶液を約90秒間、約10,000rpmで均質化した。約10mLの、PVAの脱イオン水中の1重量%溶液をこのPLGAとブピバカインとの溶液に添加し、そして約30秒間、約10,000rpmで均質化して、エマルジョンを形成した。次いで、このエマルジョンを約290mLの1重量%PVA水溶液と混合した。得られたエマルジョンを約4時間、約600rpmで撹拌して、塩化メチレンを蒸発させた。次いで、このエマルジョンを50mLの遠心管に等分し、そして約4,000rpmで約5分間遠心分離した。得られた微小球粒子は、約20μm〜約60μmのサイズを有した。より高速およびより長い均質化時間(約12,000rpm〜15,000rpmで約120秒〜150秒)での実験を繰り返して、約1μm〜約5μmのサイズを有する微小球粒子を得た。
【0046】
(実施例3−メタノール中PLGA(50:50)ブピバカインの微小球粒子の調製)
約8mLの、PLGA(乳酸とグリコール酸とが約50:50の比で存在し、31,000Da〜58,000Daの分子量(MW)を有し、Pelham,ALのLACTEL Absorbable Polymersから入手可能である)の塩化メチレン中の5重量%溶液を、約30秒間、約10,000rpmで均質化した。約2mLの、塩酸ブピバカイン(St.Louis,MOのSigma−Aldrichから入手可能)のメタノール中の10重量%溶液を、このPLGA溶液に添加した。得られた溶液を約90秒間、約10,000rpmで均質化した。約10mLの、PVAの脱イオン水中の1重量%溶液をこのPLGAとブピバカインとの溶液に添加し、そして約30秒間、約10,000rpmで均質化して、エマルジョンを形成した。次いで、このエマルジョンを約290mLの1重量%PVA水溶液と混合した。得られたエマルジョンを約4時間、約600rpmで撹拌して、塩化メチレンを蒸発させた。次いで、このエマルジョンを50mLの遠心管に等分し、そして約4,000rpmで約5分間遠心分離した。得られた微小球粒子は、約20μm〜約60μmのサイズを有した。
【0047】
(実施例4−水中PLGA(50:50)ブピバカインの微小球粒子の調製)
約8mLの、PLGA(乳酸とグリコール酸とが約50:50の比で存在し、31,000Da〜58,000Daの分子量(MW)を有し、Pelham,ALのLACTEL Absorbable Polymersから入手可能である)の塩化メチレン中の5重量%溶液を、約30秒間、約10,000rpmで均質化した。約1mLの、塩酸ブピバカイン(St.Louis,MOのSigma−Aldrichから入手可能)のメタノール中の10重量%溶液を、このPLGA溶液に添加した。得られた溶液を約90秒間、約10,000rpmで均質化した。約10mLの、PVAの脱イオン水中の1重量%溶液をこのPLGAとブピバカインとの溶液に添加し、そして約30秒間、約10,000rpmで均質化して、エマルジョンを形成した。次いで、このエマルジョンを約290mLの1重量%PVA水溶液と混合した。得られたエマルジョンを約4時間、約600rpmで撹拌して、塩化メチレンを蒸発させた。次いで、このエマルジョンを50mLの遠心管に等分し、そして約4,000rpmで約5分間遠心分離した。得られた微小球粒子は、約20μm〜約60μmのサイズを有した。
【0048】
上に開示された特徴および機能、ならびに他の特徴および機能、またはこれらの代替物は、望ましくは、合わせられて、他の多くの異なるシステムまたは用途になり得ることが理解される。現在予測も予期もされない、本開示に対する種々の代替物、改変、バリエーションまたは改善は、当業者によって今後なされ得、これらもまた、添付の特許請求の範囲により包含されることを意図されることもまた、理解される。特許請求の範囲に明示的に記載されない限り、請求項の工程または構成要素は、任意の特定の順序、数、位置、サイズ、形状、角度、または材料に関して、本明細書によっても他のいずれの請求項によっても、示唆も含意もされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に配置された複数のポリ(乳酸−co−グリコール酸)微小球粒子を含有するフィルムであって、該複数のポリ(乳酸−co−グリコール酸)微小球粒子は、少なくとも1種の生物活性剤を封入する、フィルム;および
フィルム形成剤、
を備える、医療デバイス。
【請求項2】
前記ポリ(乳酸−co−グリコール酸)が、式:
【化7】

のものであり、該式において、xは、約50〜約70であり、yは、約30〜約50であり、そしてnは、約20〜約1000である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
xは、約50〜約60であり、yは、約32〜約40であり、そしてnは、約300〜約500である、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記フィルムが一重エマルジョンから形成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記フィルムが二重エマルジョンから形成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1種の生物活性剤が水溶性薬物を含有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記水溶性薬物が塩酸ブピバカインである、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記フィルム形成剤が、約80%〜約99%加水分解されたポリビニルアルコールである、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項9】
水溶性薬物および第一の極性溶媒を含有する第一の成分;
脂肪族ポリエステルおよび非極性溶媒を含有する第二の成分;ならびに
水溶性ポリマーおよび第二の極性溶媒を含有する第三の成分、
を含有する乾燥エマルジョンを備える、フィルム。
【請求項10】
前記脂肪族ポリエステルが、前記非極性溶媒の約1重量%〜約5重量%の量で存在する、請求項9に記載のフィルム。
【請求項11】
前記水溶性薬物が、前記第一の極性溶媒の約1重量%〜約5重量%の量で存在する、請求項9に記載のフィルム。
【請求項12】
前記水溶性ポリマーが、前記第二の極性溶媒の約1重量%の量で存在する、請求項9に記載のフィルム。
【請求項13】
前記非極性溶媒が塩化メチレンである、請求項9に記載のフィルム。
【請求項14】
前記第一の極性溶媒がメタノールである、請求項9に記載のフィルム。
【請求項15】
前記第二の極性溶媒が水である、請求項9に記載のフィルム。
【請求項16】
少なくとも1種の生分解性ポリマーと、少なくとも1種の生物活性剤と、少なくとも1種の非極性溶媒とを含有する、第一の非極性組成物を形成する工程;
少なくとも1種の乳化剤と少なくとも1種の極性溶媒とを含有する、第二の極性組成物を形成する工程;
該第一の非極性組成物と該第二の極性組成物とを接触させることによって、エマルジョンを形成する工程;
該エマルジョンを均質化して、該少なくとも1種の生物活性剤を封入する該少なくとも1種の生分解性ポリマーを含有する微小球粒子を形成する工程;ならびに
該均質化されたエマルジョンを乾燥させて、該微小球粒子を含有するフィルムを形成する工程であって、該微小球粒子が該フィルム内部に配置される、工程、
を包含する、プロセス。
【請求項17】
前記少なくとも1種の非極性溶媒を前記エマルジョンから除去する工程をさらに包含する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記少なくとも1種の生分解性ポリマーが、式:
【化8】

のポリマーであり、該式において、xは、約50〜約70であり、yは、約30〜約50であり、そしてnは、約20〜約1000である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
xは、約50〜約60であり、yは、約32〜約40であり、そしてnは、約300〜約500である、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記少なくとも1種の乳化剤が、約80%〜約99%加水分解されたポリビニルアルコールである、請求項16に記載のプロセス。
【請求項21】
前記均質化されたエマルジョンを乾燥させる前に、該均質化されたエマルジョンを医療デバイスの少なくとも一部分に堆積させる工程をさらに包含する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項22】
少なくとも1種の生分解性ポリマーおよび少なくとも1種の非極性溶媒を含有する第一の非極性組成物と、少なくとも1種の生物活性剤を少なくとも1種の極性溶媒中に含有する第二の極性組成物とを接触させることによって、混合物を形成する工程;
該混合物を少なくとも1種の乳化剤と接触させることによって、エマルジョンを形成する工程;
該エマルジョンを均質化して、該少なくとも1種の生物活性剤を封入する該少なくとも1種の生分解性ポリマーを含有する微小球粒子を形成する工程;ならびに
該均質化されたエマルジョンを乾燥させて、該微小球粒子を含有するフィルムを形成する工程であって、該微小球粒子が該フィルム内部に配置される、工程、
を包含する、プロセス。
【請求項23】
前記少なくとも1種の非極性溶媒を前記エマルジョンから除去する工程をさらに包含する、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記少なくとも1種の生分解性ポリマーが、式:
【化9】

のポリマーであり、該式において、xは、約50〜約70であり、yは、約30〜約50であり、そしてnは、約20〜約1000である、請求項22に記載のプロセス。
【請求項25】
前記少なくとも1種の乳化剤が、約80%〜約99%加水分解されたポリビニルアルコールである、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記均質化されたエマルジョンを乾燥させる前に、該均質化されたエマルジョンを医療デバイスの少なくとも一部分に堆積させる工程をさらに包含する、請求項22に記載のプロセス。

【図1A】
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【図1B】
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【公開番号】特開2011−245293(P2011−245293A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111833(P2011−111833)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】