説明

生存可能なレジオネラ属の迅速な検出および定量

生存可能なレジオネラ属を検出かつ定量する方法および組成物。吸収培地、増殖促進物質、増殖選択的物質を含むディップスライドは、レジオネラ属の微小コロニーの迅速な検出および定量化において有用である。レジオネラ属の検出および定量化についての最確数法が開示される。本明細書中に開示される装置は、数時間のうちに、微小コロニー形成単位(MFU)の増殖及び検出を補助し、それによって初期の検出および定量化を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
レジオネラ症は、レジオネラ属またはレジオネラ症細菌(LDB)に起因する種々の病気のうちの一つに対する一般的な名称である。レジオネラ症はレジオネラ細菌に感染している状態であり、重篤な肺炎の原因となり得る。現在まで、たいていのレジオネラ症は、汚染された建造物給水系統への暴露の結果である。毎年、数十万もの人がこれらの感染症に罹患し、そして数万もの人がレジオネラ症またはその合併症で亡くなっている。
【背景技術】
【0002】
70の血清群を有する約48のレジオネラ種が分類されている。L.pneumophilaは、レジオネラ属感染の原因の約80%〜約85%を占めている。そして、その血清群1および6は、レジオネラ属感染の原因の約2/3を占めている。他の分離菌および血清群もまた、レジオネラ感染の原因となっている。15のL.pneumophilaの血清群が存在し、そしてレジオネラ属に関して総計で約70の血清群が存在する。感染の原因となるレジオネラ分離菌および血清群のいくつかとして、L.longbeachae、L.bozemanii、L.micdadei、L.dumoffii、L.feeleii、L.wadsworthii、およびL.anisaが挙げられる。二つの他の属が提案されている;L.bozemaniiのような青白色蛍光種Fluoribacter、および種L.micdadeiに対するTatlockia。
【0003】
レジオネラ属は、環境中で(湖、河川、および池において)低いレベルで存在する。湯沸し器、飲料水配水系統、人工噴水(decorative fountain)、温泉(spa bath)、スイミングプール、加湿器、蒸発冷却水塔、および温暖で流れのない水は、生物学的危険の増大および伝達に対して理想的な状況を提供している。温暖で流れのない水は増殖に対して理想的な状況を提供している。約30℃〜約50℃(約75°F〜約122°F)で、この微生物は、その原虫動物宿主内、たいていは種々の属のアメーバを含む水生原虫動物内で顕著かつ急速に増殖し得る。さび(鉄)、湯あか、他の微生物の存在もまた、レジオネラ属の急速な増殖をもたらす状況を促進する。
【0004】
予防手段としては、レジオネラ属の増殖を防ぐための冷却塔および蒸発凝縮器のような建造物給水系統の定期的な維持および清掃が挙げられ、それは代表的に、例えば、年2回の清掃、塩素または他の効果的な消毒剤の定期的な使用;屋内温水器の60℃(140°F)での維持;および水の流れを失わせる状況(例えば、高レベルのレジオネラ属およびその原虫動物宿主に好ましい温暖な状況をもたらす、太陽光からの熱にさらされた大規模な貯水タンク)の回避を含むべきである。
【0005】
標準方法(Standard Method)によるレジオネラ属の検出は、例えば、職業安全衛生管理局(OSHA)のような多くの政府支援の指針、行動規約、基準、規則または法律により指令されるように、検出可能なレジオネラ属を増殖させるのに必要な長いインキュベーション時間のため、約10日かかる。したがって、検出のため標準方法を用いる場合、生存可能なレジオネラ属の最終的な確認に約10日間かかる。この期間の間、レジオネラ属はその場で増殖および拡散し、そして多くの場合、その施設を休業しなければならない可能性があり、生産の遅れまたは場所の制限もしくは立ち退きをもたらし、したがって実質的な経済的損失をもたらす。OSHA仕様にしたがって、飲料水配水系統において少なくとも10コロニー形成単位(CFU)/mlのレジオネラ属が存在する場合、または冷却水系で少なくとも100CFU/mlのレジオネラ属が存在する場合、場所は潜在的に危険にレジオネラ属菌で汚染されているとみなされ得る。加湿器においては、1CFU/mlでさえ、これらのOSHA指針にしたがって潜在的に危険であるとみなされる。
【0006】
標準方法では、緩衝活性炭酵母抽出物(buffered charcoal yeast extract)(BCYE)培地がレジオネラ属を増殖させ、そして培養するために用いられる。種々の改善および改良は、選択的な抗菌物質およびインジケーター色素(indicator dye)を有する場合も有しない場合も、α−ケトグルタレートに富む、現在においては好ましいBCYE培地(Edelstein BCYE−α培地)をもたらした。この培地はいくつかの場合においてウシ血清アルビミンで補充され得る。
【0007】
スイス、ジュネーブの国際標準化機構による「Water QualityDetection and Enumeration of Legionella」という題目の1998年刊行物に開示される標準方法は、一般的にISO 11731 standardのことを言い、アンモニア非含有グリシン、バンコマイシン、ポリミキシンB、およびシクロヘキシミド(GVPC)で補充されたBCYE−α培地の使用を明記している。これらの補充物に加えて、GVPCは、ピロリン酸第二鉄、L−システイン、α−ケトグルタレートを含む。この方法は、疾病予防管理センターにより開発された独自の方法、ならびにオーストラリアおよびシンガポールで用いられる標準方法(AU/NZ 3896)と一致している。これらの方法と実質的に類似する方法が、フランスで使用されている(AFNOR T90431)。他の方法と同じように、この標準方法は、試料中のレジオネラ属を圧倒し得る、より速く増殖する細菌からの競合を阻害するために、酸処理および/または熱処理のような選択工程を必要とする。
【0008】
標準方法は、試料を得て、それらを分析実験室へ運ぶためのプロトコールを必要とし、特殊な培地を用いる。その方法は、小容量の試料(0.1ml)を、増殖因子および抗生物質で補充された緩衝活性炭酵母抽出物寒天の表面の上に広げ、次にその培地および試料を、一定の温度および湿度で最長10日間にわたってインキュベートする工程を必要とする。レジオネラ属菌はこの増殖培地上でゆっくりと増殖するので、長いインキュベーション時間が必要である。寒天の表面上での増殖は、微生物学者が最長10日間のインキュベーション後の寒天の表面上でのコロニー形成単位(CFU)の数をカウントするために、十分でなければならない。CFUの計数は生存可能な細胞濃度を、単位容量当たりのその値を計算することで、決定するために用いられる。例えば、0.1mlの希釈していない試料からの10CFUを有するプレートは、100CFU/ml試料の生存可能なレジオネラ属濃度を示す。
【0009】
しかしながら、種々の要因が標準な培養方法の使用を制限する。第一に、標準方法を用いる分析者の経験は、病原体の定量化と直接関連する。第二に、標準方法は、寒天プレート上でのレジオネラ属の増殖の遅さおよび確認試験の必要のため、確定された結果を得るために10日間を必要とする。第三に、培地の調製は間違いを起こしやすく、大規模な品質管理を必要とする。第四に、病原体は試料の運搬の間、制御することが難しい要因に敏感である。第五に、より低い検出限界を達成するために用いられる濃縮の工程は、非効率的であり、必ずしも信頼できるとは限らない(例えば、試料の濃縮プロセスの間、回収される生存可能なレジオネラ属は50%より少ない)。第六に、その方法は、寒天プレートの表面上の、数百万のまたは数十億の潜在的に感染性の病原体をそれぞれ含む、目に見える多くのコロニーを生成する程度まで、病原体を増殖させる工程を必要とする。この操作は危険であり、したがって分析者および周囲のコミュニティーの安全性を確保するために、適切に設備が整った実験室で特別に訓練を受けた分析者により行われるべきである。
【0010】
上記の標準方法に加えて、用いられる他の方法として、分子的な方法(molecular method)がある。分子的な方法は、より迅速で、安価で、主観的ではなく、より敏感であり、そして現場で行うことができる。しかしながら、それらはすべて二つの重大な制限がある−市販されているか、または他に利用可能な分子的な方法のいずれも、1)生存可能なレジオネラ属(すなわち、標準方法において明記された条件(培地、インキュベーション温度)下で増殖し得、そして定量され得るレジオネラ細胞)と生存不可能な、または死滅したレジオネラ属のバックグラウンドを区別することができず、かつ2)データから単位容量(例えば、ミリリットル、またはリットル)当たりのレジオネラ属の細胞の定量的な測定は、なされ得ない。したがって、実際のところ、上述の標準方法のみが、汚染された、または疑わしい場所の消毒の効果を検出し得る。なぜなら、それが生存可能なレジオネラ属菌と生存不可能なレジオネラ属菌を区別することができ、そしてその危険を定量することができる唯一の方法であるからである。そのような示差的かつ定量可能な検出は、人工的な給水系統において効果的な危険制御を確実にするために必要不可欠な要件である。しかしながら生存可能なレジオネラ属の定量的な区別は、たいていの臨床上の適用において必要とされない。
【0011】
レジオネラ属検出の分子的な方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または蛍光in situハイブリッド形成法(FISH)を用いる核酸検出、および酵素結合免疫特異的アッセイ(ELISA)または示差蛍光抗体直接細胞計数(differential fluorescent antibody direct cell counting)で検出される抗原/抗体反応による血清学的方法が挙げられる。これらの分子検出システムは、レジオネラ属の診断および血清分類のための臨床実験室において有用である。しかしながら、環境試料または産業試料に対しては、核酸法または血清学的方法は、レジオネラ属を全く含まない試料を同定するための迅速なふるいとしてのみ用いられるべきであり、生存可能かつ培養可能なレジオネラ属を検出もしくは定量するための基礎として用いられるべきではない。
【0012】
すべての他の方法と比較した標準方法の特性のいくつかは;1)生存可能なレジオネラ属を生存不可能なレジオネラ属から区別する;2)レジオネラのすべての培養可能な種および血清群を測定する;3)試料の単位容量または単位重量当たりで表され得る生存可能なレジオネラ属の数を提供する;4)有効性の広範囲な認知、である。
【0013】
すべての他の方法と比較した標準方法の深刻な制限のいくつかは:1)レジオネラ属が固体培地上でゆっくりと増殖するため、CFUが視覚的に計数され得る前に、10日間の長いインキュベーション期間を必要とする;2)インキュベーションの間の10日間にわたる寒天プレートの保存は、顕著なインキュベータースペースおよび湿度が制御された条件を必要とする;3)冷却水、家庭用水、土壌など(そこから試料が採取されている)のような系は、10日のインキュベーション期間の間、通常は著しく変化する;4)環境から採取し、数百万のまたは数十億の、より感染性の生存可能な菌からなる目に見えるコロニーへと、生物学的危険を増大させる行為は危険であり、したがって、訓練された人および特別な装置によって実験室内で行われなければならない;そして5)レジオネラ属で汚染された、または汚染されていると疑われる施設での、生産を休業し、生物学的危険が制御されているという裏づけを待つ間、10日間にわたってその施設を閉鎖するか、またはその施設への接近を制限することは、顕著な経済的損失をもたらす。そのような施設の閉鎖および制限に由来する非常に顕著な経済的損失について多くの例がある。
【0014】
したがって、生存可能なレジオネラ属を生存率単位(それは標準方法において用いられるものと同等である)で定量し得、そして、また現場環境においても安全に使用され得るレジオネラ属に対する迅速な検出システムが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
(要旨)
生存可能かつ培養可能なレジオネラ属を検出かつ定量するための方法および組成物として、水試料を吸収するための吸収培地(absorbent medium)を含むディップスライド(dip−slide)が挙げられる。本明細書中に開示されるディップスライドおよび定量化方法は標準方法により必要とされる10日間と比較して、数時間以内に生存可能かつ培養可能なレジオネラ属の数の評価を可能にする。ディップスライドを基礎としたレジオネラ属の検出および定量化は、(i)現場で実施され得る迅速な手順である;(ii)顕微鏡または特別な保護装置のような高度な実験室装置を必要としない;(iii)安全である;そして(iv)微生物学者のような高度に訓練を受けた専門家なしで行われ得る。
【0016】
本明細書中に開示される装置は、数時間のうちに、微小コロニー形成単位(MFU)の増殖及び検出を補助し、それによって初期の検出および定量化を可能にする。本明細書中に開示される方法および組成物による、より初期の微小コロニーの検出は、レジオネラ属汚染を最小限にし、工場施設の起こりえる、より長い休業による経済的損失を低下させ、より速い除染手順を可能にする。
【0017】
別の局面において、生存可能なレジオネラ属を定量するための「最確数」(MPN)法が用いられ、それは生存可能なレジオネラ属菌の存在および量を迅速に(数時間以内に)決定するための分析方法である。
【0018】
本明細書中で用いられる用語「生存可能な」は、本明細書中で与えられた増殖条件下で、またはレジオネラ属の増殖を補助することの出来る培地中で、増殖することができること、および培養され得ることを意味する。生存可能な細胞は、固体の増殖培地上にコロニーを形成する。用語「培養可能」は、この微生物が、本明細書中で与えられた増殖培地中で、またはレジオネラ属の増殖を補助することの出来る培地中で、増殖可能であることを意味する。
【0019】
用語「ディップスライド」または「パドル(paddle)」または「ディップスライドサンプラー(dip−slide sampler)」または「パドルサンプラー(paddle sampler)」または「ディップスライドテスター(dip−slide tester)」は、簡単な取り扱いおよび保存のためにスライドのような、もしくはパドルのような形状で組み立てられた、固体の支持体、吸収培地、および微生物のための増殖促進物質を含む装置を意味する。
【0020】
本明細書中で用いられる用語「標準方法」は、スイス、ジュネーブの国際標準化機構により公開される標準的なレジオネラ属検出方法および定量化方法のことをいい、一般的にISO 11731基準のことをいう。そしてそれはフランスのAFNOR方法、AU/NZの基準、およびCDCの方法のような方法と実質的に類似している。標準方法はレジオネラ属のインキュベーションおよび定量化のために約10日間を必要とする。
【0021】
用語「吸収培地」は、特定の量の生物学的試料を吸収、または受容、または保持することのできる任意の固体、半固体(semi−solid)、ゲル、ポリマー、マトリクス、膜層または構造のことをいう。
【0022】
用語「微小コロニー形成単位」(MFU)は、約2倍〜約10倍の倍率で目に見えるようになる細菌細胞の小さな集合体(目に見えるコロニー中の0.01%より少ない数の細菌細胞)のことを言う。微小コロニーの大きさは直径数ミクロン〜直径約500ミクロンの範囲である。通常、細菌コロニーは直径0.5mmから10mmまで、または15mmまでであり得、そして一般的に数百万または数十億の細菌を含む。微小コロニーはより小さく、一般的に数百または数千の細菌を含む。微小コロニーは、約24時間〜44時間後に、直接、またはデジタルカメラで一般的に利用可能な倍率(2×〜10×)によりディップスライドの表面上で観察され、そして本明細書中に開示される検出物質および画像化方法の補助により、レジオネラ属の微小コロニーの検出は数時間、例えば約6時間〜8時間以内に達成される。
【0023】
用語「検出試薬」は、選択的にレジオネラ属を同定することができる任意の物質をいう。
【0024】
試料中の生存可能なレジオネラ属菌を迅速に定量する方法は、以下の工程:
(a)吸収培地を含むディップスライドを提供する工程、ここでこの吸収培地は、レジオネラ属を培養するための栄養素を含む吸収培地、および非レジオネラ属微生物の増殖を選択的に阻害するための少なくとも一種の物質を含む、工程;
(b)このディップスライドを、所定量の時間にわたって試料と接触させる工程、ここでディップスライドは、所定量の試料を吸収するように較正される、工程;
(c)このディップスライドを、約6時間〜約48時間の間、約30℃〜約45℃の範囲の温度でインキュベートする工程;
(d)このディップスライド上のレジオネラ属菌の増殖の検出を、レジオネラ属を選択的に同定する検出物質で検出する工程;そして
(e)この試料中の生存可能なレジオネラ属菌を定量する工程;
を包含する。
【0025】
吸収培地は、約0.5重量%〜約10.0重量%の範囲のアガロースを含む。検出試薬は、抗体、抗体混合物、プローブ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0026】
抗体は、Legionella pneumophila血清群1〜13、L.longbeachae、L.bozemanii、L.micdadei、L.dumoffii、L.feeleii、L.wadsworthii、およびL.anisa、ならびにレジオネラ属の他の種、部分群、および血清群を含む群から選択されるレジオネラ属に対して特異的である。
【0027】
プローブは、色素、色彩増強色素(color enhancing dye)、位相コントラスト色素(phase contrast dye)、標識プローブ、蛍光プローブ、比色プローブ、核酸プローブ、およびそれらの組み合わせを含む群より選択される。レジオネラ属の検出は、紫外光源による。
【0028】
吸収培地は、約60秒間で約0.3mlの試料を吸収するために較正される。検出試薬は、レジオネラ属の増殖を画像化するためのコントラストを増加させる。その検出試薬はレジオネラ属を殺傷する。その検出試薬は、イソチアゾロン、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、四級化アンモニウム化合物、ジブロモニトリロプロピオンアミド、β−ブロモニトロスチレン、カルバマート抗菌剤、トリス−ニトロメタン抗菌剤、安息香酸ナトリウム、有機酸、エタノール、イソプロパノール、グルコン酸クロルヘキシジン、二酢酸クロルヘキシジン、o−フェニルフェノール、および任意の適切な抗菌化合物を含む群より選択される抗菌化合物を含む。
【0029】
非レジオネラ属微生物の増殖を選択的に阻害する物質としては、色素、グリシン、バンコマイシン、およびポリミキシン(DGVP)および/または無機酸もしくは有機酸が挙げられる。非レジオネラ属微生物の増殖を選択的に阻害する物質としては、セファロチン、コリスチン、バンコマイシン、およびシクロヘキシミド(CCVC)が挙げられる。
【0030】
レジオネラ属の増殖は、直径約10〜500ミクロンの微小コロニーとして検出される。レジオネラ属の増殖は、約2×〜約10×のオーダーの倍率の下で微小コロニーとして検出される。
【0031】
試料中の生存可能なレジオネラ属菌を迅速に定量するためのディップスライド検出システムは:
(a)吸収培地を含むディップスライド、ここでこの吸収培地は、レジオネラ属を培養するための栄養素、非レジオネラ属微生物の増殖を選択的に阻害するための少なくとも一種の物質を含み、ここでこのディップスライドは、所定量のこの試料を吸収するように適合される、ディップスライド;そして
(b)この試料中の生存可能なレジオネラ属菌の量を定量するための検出試薬、ここでこの検出試薬はレジオネラ属の増殖を阻害する、検出試薬;
を含む。
【0032】
試料中の生存可能なレジオネラ属菌を迅速に定量するためのディップスライドであって、このスライドは、吸収培地、レジオネラ属菌のための栄養素、非レジオネラ属微生物の増殖を選択的に阻害するための少なくとも一種の物質を含み、ここでそのディップスライドは、所定量のこの試料を吸収するように適合される。
【0033】
試料中の生存可能なレジオネラ属菌を迅速に定量する方法は:
(a)非レジオネラ属菌に対する増殖防止物質を含む、レジオネラ属菌のための液体増殖培地を提供する、工程;
(b)この試料の連続希釈を行う工程であって、ここでこの連続希釈は、レジオネラ属菌を含まない希釈物をもたらすように意図される、工程;
(c)この連続希釈物を約6〜8時間から約44時間の間、約30℃〜約45℃の範囲の温度でインキュベートする工程;
(d)この連続希釈物中のレジオネラ属増殖の存在を検出物質で検出する工程;そして
(e)この試料中に存在する生存可能なレジオネラ属菌の量を定量するために、最確数(MPN)統計学的方法を適用する工程;
を包含する。
【0034】
L.pneumophilaの15の血清群が存在し、そしてレジオネラ属に関して総計で約70の血清群が存在する。感染の原因となるレジオネラ分離菌および血清群のいくつかとして、L.longbeachae、L.bozemanii、L.micdadei、L.dumoffii、L.feeleii、L.wadsworthii、およびL.anisaが挙げられる。二つの他の属が提案されている;L.bozemaniiのような青白色蛍光種Fluoribacter、および種L.micdadeiに対するTatlockia。レジオネラの系統発生学的に近い同類の菌もまた検出され得、そして本明細書中に開示される方法を用いて定量され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(詳細な説明)
迅速なディップスライドを利用する、迅速な分析的実地方法およびシステムが提供される。生存可能なレジオネラ属を定量するための迅速なディップスライド方法は、生存可能なレジオネラ属菌の存在および量を迅速に(数時間以内に)決定する分析方法である。生存可能なレジオネラ属は、試料が採取される日と同じ日に数えられ得る。標準方法と異なり、本明細書中に開示される方法および装置は、試料が採取される場所で現場において行われる。結果は、標準方法で得られる結果と統計学的に同等であり、現場で試料が採取される日と同じ日に得られ、運搬を必要とせず、かつその結果を解釈するための特別な試薬も装置も必要としない。
【0036】
ディップスライドは以下のように調製される。標準BCYE培地は、ディップスライド様式における仕様のために適切となるように改変して調製される。その培地の改変は、本明細書中に提供される。
【0037】
吸収培地の調製は、アガロースまたは任意の適切な吸収培地の使用を包含する。標準方法と比較して、約0.5%〜約10%より多いアガロースが、本明細書中で用いられるディップスライドのための吸収培地を調製するために用いられる。例えば、1.3%のアガロースが、約60秒間で約0.3mlまたは約0.3gの試料を吸収するために較正される。アガロース濃度の増加は、吸収されている試料の量の低下をもたらす。要求に応じて、0.5%〜約10%のアガロース濃度が、吸収培地を較正するために用いられ得る。例えば、アガロース濃度を調整することで、約0.1mlの試料が、所定の時間内に、例えば1分以内に、吸収される。ユーザーはまた、アガロース濃度を変更する代わりに、ディッピング(dipping)時間を変更するように指示され得る。例えば、アガロース濃度を常に1.5%に保つことで、試料の質、細菌数および試料の容量に応じて、ディップスライドは、約30秒〜約2.0分の間、ディップされ得る。生存可能なレジオネラ属を定量する実験において、多くのディップスライドが、種々の時間にわたって試料中にディップされ得、そして比較され得る。一つの局面において、アガロース濃度は、約0.2%〜約5.0%の範囲であり得る。アガロース濃度はまた、約0.8%〜約1.6%の範囲、および約1.0%〜約2.0%の範囲であり得る。ディップスライドで用いられ得る、考えられる最も低いアガロースまたは任意の適切なポリマーまたはゲル化物質の濃度は、生じた重合された吸収培地の安定性、およびサンプリング取り扱いの工程の間、ディップスライドアセンブリ(dip−slide assembly)において保持されるその能力に依存する。ディップスライド中で細菌増殖を補助することのできる吸収培地は、本開示の範囲内にある。
【0038】
吸収培地の調製の間、増殖促進物質が取り込まれる。レジオネラ属のための増殖促進物質は、緩衝活性炭酵母抽出物(BCYE)培地の成分を含む。BCYE培地は、α−ケトグルタレートに富み(Edelstein BCYE−α培地)、そして他の増殖促進アミノ酸および代謝産物がレジオネラ属の増殖を選択的に増進するために取り込まれ得る。レジオネラ属の増殖を補助する増殖培地は、本開示の範囲内にある。その増殖培地は、一種以上のアミノ酸、微量栄養素および主要栄養素、ならびに選択的な補充物で補充され得る。例えば、Oxoid Limited(英国;製品コード SR0118)からのレジオネラ属MWY選択的補充培地は、培地100ml当たり、グリシン0.3g;ポリミキシンB 5,000IU;アニソマイシン8.0mg;バンコマイシン100μg;ブロモチモールブルー1.0mg;およびブロモクレゾールパープル1.0mgを含む。
【0039】
一つの局面において、吸収培地の調製の間、抗生物質のような増殖選択性物質が取り込まれ得る。非レジオネラ属微生物の増殖を防止するための酸放出化合物および抗生物質のような増殖選択性物質は、吸収培地中に取り込まれる。これらの化合物はまた、吸収培地が作製された後に加えられ得る。
【0040】
分子免疫学的な抗体/抗原系において用いられるレジオネラ属抗原系、またはFISH系において用いられるような蛍光抗体のような比色インジケーターの取り込みは、レジオネラ属の初期の検出および定量化を補助し、そして増進する。いくつかのインジケーターは、吸収培地自体に直接取り込まれ得るか、または後に別の試薬としての検出工程の間に加えられ得る。レジオネラ属特異的抗体試薬は直接ディップスライド表面に加えられ、続いて標識された検出試薬が添加される。例えば、試料とともにスライドを約6〜10時間または約40時間までインキュベートした後、ホースラディッシュペルオキシダーゼ酵素に結合体化したウサギまたはマウス抗レジオネラ属ポリクロナール抗体が、ディップスライドの表面に加えられ得る。抗体のレジオネラ属特異タンパク質への結合後、TMBのような色素原基質が、抗原抗体結合を検出するために加えられる。TMBは、過酸化水素で酸化された場合(HRPで触媒される)、370nmおよび652nmでの主な吸光度で、青色を生成する色素原である(Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL)。次に、その色は450nmでの最大吸光度で、硫酸またはリン酸の添加により、黄色に変わる。本明細書中に記述される抗原抗体結合分析はまた、細菌コロニーを含むナイロン膜またはニトロセルロース膜でも行われ得る。膜は細菌コロニーを持ち上げるために用いられ(実施例4参照のこと)、そして、本明細書中に記述される手順は、膜に移したレジオネラ属の検出および定量化に適用可能である。
【0041】
この同じ方法は、抗体が、CDCからのMab2のようなレジオネラ症の深刻な大流行と関連していることが公知である株(stain)のエピトープに対するモノクローナル抗体である場合、非常に有用である。
【0042】
一つの局面において、DNAプローブもまた、レジオネラ属を検出かつ定量するために用いられ得る。例えば、レジオネラ属DNAの固有な領域に特異的または相補的である蛍光標識されたDNAプローブは、蛍光in situハイブリッド形成法(FISH)を実行するために有用である。FISHは、ディップスライドの表面上で直接的にか、またはコロニーが移された膜上のどちらかで実施され得る。細胞浸透化および細胞固定化物質は、蛍光プローブの適用の前に、細菌微小コロニーを、アガロース表面上に、または膜上に固定化するために用いられ得る。蛍光標識されたプローブは、UVまたは他の適切な光源下で可視化され得る。
【0043】
一つの局面において、抗菌物質(antimicrobial agent)、生物殺傷物質、殺菌物質、抗菌物質(anti−bacterial agent)のような増殖阻害物質は、レジオネラ属を同時に検出し、そのさらなる増殖を阻害する(したがって、汚染を最小化する)ための検出試薬に含まれる。例えば、抗菌物質(イソチアゾロン(Rohm and Haas、Philadelphia、PA)は、病原性菌の微小コロニーを完全に殺傷し、装置を安全に廃棄され得るようにするために、検出段階の間で、または検出段階の後のどちらかで加えられ得る適切な増殖阻害物質である。
【0044】
本明細書中で開示されるディップスライドは、以下のように用いられ得る:水試料を無菌技術を用いて得る。ディップスライドをカバーから取り外し、そしてディップスライドおよび試料に応じて、約30秒〜60秒にわたって試料中に浸される。ディップスライドをカバーの中に置き、そして約30℃で約4〜40時間にわたってインキュベートする。約4〜40時間後、数百〜数千の細胞が寒天の表面上で増殖する。この細菌の量は、本明細書中に開示される方法により処理されない限り、高度な拡大装置の補助がなければ、小さすぎて見ることができない。標準方法においてはそれらをカウントすることが求められる約0.01%未満の数の病原体を含むこれらの微小コロニーは、顕微鏡を用いずに、デジタルカメラを用いて、および/または本明細書中に開示される検出試薬の補助もしくはこれらの方法の組み合わせにより、可視化される。微小コロニーまたは微小コロニー形成単位(MFU)は、ディップスライドの表面上でカウントされ、データはさらなる参考のためのデジタル画像として保存される。
【0045】
ディップスライド上のレジオネラ属の検出および定量化のために適切な、少なくとも5つの型の発色物質(developing agent)が存在する。レジオネラ属のLp抗原を検出するために用いられる抗体の溶液が適切である。尿素抗原試験において用いられる比色検出システムが用いられ得る(Binax,Inc.,Scarborough,ME)。加えて、抗体がレジオネラ属の種々の種および血清群と反応することができる抗原抗体系が用いられる。例えば、手動UVダイオードおよび水銀ランプは、レジオネラ属の微小コロニーを可視化するために、ディップスライドの表面を照らすために用いられる。FISH(蛍光in situハイブリッド形成法)システムで使用される試薬システムは、本明細書中で開示されるディップスライド上のレジオネラ属を検出するために適切である(VermiconAG、Munich、Germany)。タンパク質と反応させるためニンヒドリンを表面に噴射すること、またはバイオマス(biomass)と反応させるためのメチレンブルーのような生体染色のような、ディップスライドの表面上の微小コロニーの存在を可視化するための簡単なバイオマス比色システム(biomass colorimetric method)もまた適切である。
【0046】
本明細書中に記述されるように、ディップスライド方法はまた、無菌の濾紙片または膜片をディップスライド上にゆっくりと置き、次にそれを注意深くはぎ、ディップスライドの表面上で微小コロニーに増殖した細胞をそれとともに採取することによる、「レプリカブロット(replica blot)」を用い得る。濾紙または膜レプリカは、本明細書中で開示される試薬で発色される。レプリカブロットは、BCYE寒天中に存在し得るような培地の内容物から、バックグラウンド干渉を除去し得る。別の局面において、この方法は、約1秒間の間、ディップスライドへ、ディップスライドの表面面積と等しい表面面積の寸法を有する無菌のガラス片をゆっくりと置き、次にそのスライドを除去することによる、「レプリカスライド」を必要とする。ディップスライドの微小コロニーからのバイオマスは、ガラス表面に付着する。次にバイオマスは、約1秒間にわたってガラスの下にオープンフレーム(open frame)を保つことで、「熱固定」される。スライドに付着した熱固定されたタンパク質、炭水化物、および脂質は、現在本明細書中で開示される検出システムにより検出され得る。
【0047】
膜レプリカは、検出および定量化が、ディップスライドの表面上で直接行われない場合は、必要とされない。例えば、約6〜8時間のインキュベーション期間の後、現場でのユーザーは、レジオネラ属特異的抗体または核酸プローブまたは着色増進物質のような適切な検出物質を有し得る試薬溶液中にスライドをディップする。ディップスライドは、数分間から数時間にわたって試薬にさらされる。その試薬はまた、レジオネラ属を殺傷するか、またはレジオネラ属の増殖を阻害する殺菌物質を有し得る。次に、ディップスライドは、裸眼で直接観察されるか、またはデジタルカメラのデジタルまたは光学的ズームのような拡大装置の補助により観察される。デジタルイメージは2×〜10×の倍率で捉えられ、微小コロニー形成単位をカウントすることで定量される。
【0048】
レジオネラ属ディップスライドの表面上の検出された微小コロニーの数は、所定量の試料を吸収するように寒天が較正される方法に応じて、mlの試料当たりの生存可能な細胞数を評価するために用いられる。例えば、1.3重量%の寒天濃度を有し、60秒間にわたってディップされたディップスライドの表面上での10時間のインキュベーション後に、100個の微小コロニー形成単位(MFU)が現れる場合、約0.3mlの試料が吸収されており、したがってml当たりのコロニー数は約333である。
【0049】
レジオネラ属は、膜(例えば、ニトロセルロース)の頂部で直接増殖する。ここで、この膜の細片は、栄養素の吸収のために、寒天層の頂部に置かれる。膜細片は、本明細書中に開示されるさらなる検出のために直接用いられる。検出試薬のいくつか(例えば、TMB)は、後の検出のために、アガロース自体の中に取り込まれる。
【0050】
実地使用のための迅速−分析的なレジオネラ属検出システムはまた、生存可能なレジオネラ属を定量するために、「最確数」(MPN)法を用いる。この方法は、迅速に(数時間以内に)生存可能なレジオネラ属菌の存在および量を決定するための分析方法である。生存可能なレジオネラ属は試料が採取される日と同じ日に数えられ得る。MPN技術は、統計学的方法であり、水、空気、食物、および他の物質の試料中の生存可能な細菌(原核生物)を数えるために用いられている。簡潔に言うと、MPN法は、3連または5連または7連で行われる連続希釈物の使用を包含する。試験管を9mLの無菌培地で満たし、沈殿スラリーによって接種するか、5mLシリンジを用いた沈殿により直接接種する。10倍希釈を3回〜6回の工程(最後の希釈物が増殖する原核生物をほぼ間違いなく含まないような十分な回数)にわたって行う。インキュベーション後に混濁することにより陽性の増殖を示す試験管は記録され、確率関数に基づく従来の統計学的表にしたがって、元の試料における生存可能な細胞の最確数を算定するために用いられる。
【0051】
どの実地MPN法も、レジオネラ属定量のために考案されていない。最確数(MPN)法は、食物微生物学および衛生的応用において用いられる。標準的なMPN法によるレジオネラ属の従来の検出は、レジオネラ属の増殖の遅さのため、数日を要する。本明細書中に開示される方法は、MPNが、数時間〜約2日間以内に細菌数を数えるために有用であるスピードまで高める。
【0052】
MPNを基礎とした検出方法の一つの例は以下の通りである。レジオネラ属のための標準的な液体培地は以下のように調製される−5g ウシ血清アルブミン、画分V;10g N−2−アセトアミド−2−アミノエタンスルホン酸(ACES);10g 酵母抽出物;0.4g L−システイン−HCl;0.25g 可溶性ピロリン酸塩第二鉄を800mlの蒸留水に溶解させ、pHを1N水酸化カリウムでpH6.9に調整した。溶液を無菌濾過し、光の暴露から保護しつつ、4℃で6ヶ月間まで保存した。保存溶液は3×の強度まで作製され得、後に必要な際に希釈され得る。本明細書中に記述される標準培地の改変は、さらなる栄養素のような増殖加速物質の組み込み;レジオネラ属抗原系または蛍光抗体インジケーターのような比色インジケーターの組み込み;および顕微鏡的なコロニーの存在を示すために、抗原に対する発色試薬および手動UV−ダイオード照明器のような検出システムの使用が挙げられる。
【0053】
MPN法の例は、以下の工程を包含する−水試料を得る;この試料を3連で接種する;試料を3連で連続希釈する。さらに4回の希釈を3連で行う。約4〜約8時間後、数百〜数千の細胞が陽性の試験管内で増殖している。一般的に、この数字は非常に小さくて、裸眼では混濁していると見ることが出来ない。しかしながら、本明細書中に開示される検出試薬および可視化試薬を用いることにより、陽性試験管中の数百〜数千の細胞が可視化される。本明細書中に開示されるように、レジオネラ属を可視化するために適切な数種の型の検出物質が存在する。これらには、抗体試薬、比色検出システム、手動UVダイオードランプ、FISH(蛍光in situハイブリッド形成法)システム、およびバイオマスと反応するための、ニンヒドリンまたはメチレンブルーのような生体染色などのタンパク質検出システム、が挙げられる。
【0054】
この方法は、シリンジ濾過を必要とする。各試験管からの1ccの試料は、シリンジチップフィルターを通して濾過される。ここで、濾紙は、本明細書中に開示される試薬で発色される。
濾過工程は、培地の内容物からのバックグラウンド干渉を除去し得る。
【0055】
データは以下のように解釈される−一連の陽性試験管のパターンは、試料中の生存可能な細胞の「最確数」(MPN)を算出するために用いられる。その算出は、確率関数に基づいている。MPN計算機は利用可能であり、それは当業者に公知である。MPN値は、CFUレジオネラ属spp/mlとして標準方法から報告された情報と実質的に同等である。
【0056】
本明細書中に開示された方法および組成物は、レジオネラ属の数種の血清群および分離菌を検出し、そのレジオネラ属としては、Legionella adelaidensis、Legionella anisa、Legionella beliardensis、Legionella birminghamensis、Legionella bozemanae、Legionella bozemanii、Legionella brunensis、Legionella busanensis、Legionella cherrii、Legionella pneumophila、Legionella pneumophila subsp.fi−fraseri、Legionella pneumophila subsp.pascullei、Legionella pneumophila subsp.pneumophila、Legionella rowbothamii、Legionella taurinensis、Legionella worsleiensis、およびLegionella nautarumが挙げられる。
【0057】
本発明の特定の実施形態が示され、かつ記述されているが、数多くの変化および改変は、本発明の範囲および趣旨から外れずに行われ得ることが理解されるべきである。
【実施例】
【0058】
以下の実施例は、本発明の説明するのみであり、いかなる場合にも本開示の範囲を制限しない。
【0059】
(実施例1)
本実施例は、生存可能かつ培養可能なレジオネラ属を検出するための本明細書中に開示された方法および組成物が、標準方法による水試料中の生存可能なレジオネラ属を定量するために必要な時間を、少なくとも80%改善することを実証した。
【0060】
Napervlle,ILにおいてDuPage川の水をサンプリングした。その川の水に、ある量のLegionella pneumophila(ATCC 33152)を無菌で加えた。次に、接種した河川水を混合し、平衡状態にした。試料のアリコートを、無菌のリン酸緩衝生理食塩水中の1:10、1:100、および1:1000の最終希釈溶液で、増殖培地の上に置いた。その実験を2回反復した。生存可能な細胞を、「微小コロニー形成単位」(MFU)およびコロニー形成単位(標準方法)をカウントすることで測定した。MFUはまた、デジタル的に拡大された画像(10×ズーム)から裸眼でカウントされ得る。Legionella pneumophilaの微小コロニーを、35℃での42時間、65時間、および93時間のインキュベーション後に、標準方法で数えた。Legionella pneumophilaのコロニーを、35℃での10日間のインキュベーション後に、数えた。表1は、そのデータおよび統計学的分析の結果を示している。サンプリングした水の1ミリリットル当たりの微小コロニー形成単位(MFU/ml)の数は、標準方法により必要とされる10日後のサンプリングした水の1ミリリットル当たりのコロニー形成単位(CFU/ml)の数と統計学的に異なっていなかった。したがって、本明細書中に開示される迅速な方法によるMFUの検出は、長くかつ困難な標準方法と同等の分析的方法である。
【0061】
表1は、標準方法による10日目のカウントと比較した、本明細書中に開示される迅速な方法により測定される、河川水中の生存可能なLegionella pneumophilaの数を示している。10日目の細菌数と、より早い時間に行った分析からの細菌数に、統計学的に有意な差はなかった。これらのデータより、42時間後に得られたデータは、10日後に得られたデータと同等であることが示された。このことは、河川中のレジオネラ属の生存可能な細胞濃度を得るために必要とされる時間が、83%改善されたことを示す。
【0062】
(表1.10日目のインキュベーションでの標準方法の結果と比較した迅速な方法によるレジオネラ属検出の比較)
【0063】
【表1】

MFU=微小コロニー形成単位
CFU=10日目の標準方法において測定されたコロニー形成単位
SD=標準偏差。
【0064】
本明細書中に開示される組成物および方法は、標準方法と匹敵する、生存可能かつ培養可能なレジオネラ属の検出を可能にする。標準方法と異なり、本明細書中に開示される迅速な方法は、数時間以内の検出を可能にする。
【0065】
(実施例2)
本実施例は、本明細書中に開示されるディップスライドおよび方法が、消毒手順後のレジオネラ属菌の定量に有用であることを説明する。一つの局面において、塩素消毒の効果を測定するため、Legionella pneumophilaに対するディップスライドを用いた(表2、図1A、図1Bおよび図2)。BCYE/BCYE+DGVPディップスライドの重量を、試料の導入の前に、測定した。ディップスライドを、約60秒間にわたって試料中にディップし、そしてこのディップスライドを再度計算し、約0.3gの試料がディップスライドに吸収されたことを確かめた。試料を載せたディップスライドを35℃で約45時間にわたってインキュベートした。ディップスライドをインキュベーターから取り出し、デジタル写真を撮影した。
【0066】
飲料水配水系統または冷却水使用系統のような、給水系統がレジオネラ属の危険で汚染される場合、給水系統は直ちに消毒されなければならない。例えば、職業安全衛生管理局(OSHA)は、水試料中の生存可能なレジオネラ属濃度(ミリリットル当たりのコロニー形成単位として測定される、CFU/ml)に対する標準方法より得られる定量分析からの結果に応じて、従われるべき手順のための指針を公開している。例えば、これらの指針は、飲料水中の生存可能なレジオネラ属濃度が、10CFU/mlより高い場合、水を消毒する手順に従うべきであることを示している。検出の程度および効率を決定するため、消毒した水試料は、任意の残留レジオネラ属菌について、分析される必要がある。
【0067】
しかしながら、消毒の程度を決定するため、定量的な結果を得るためには、標準方法では10日間を必要とする。多くの場合において、標準方法からの結果が、消毒が十分であり、そして建物が居住者およびユーザーに対して安全であることを保証するために利用可能であるまでに、施設は立ち退きかつ閉鎖をしなければならない。いくつかの国では(例えば、フランスにおいては)、消毒が効果的であるという定量的な証拠が存在するまで、給水系統は使用を中止したままで、かつ施設から立ち退かなくてはならないという法律的要件がある。
【0068】
本明細書中に開示される迅速なディップスライド方法を用いることで、標準方法と統計学的に同等なデータをずっと早く得ることが出来る(実施例1、表1参照のこと)。表2、図1〜2におけるデータから、新規のレジオネラ属ディップスライドを用いる有効な消毒が首尾よく観察、定量および書面で実証されたことが示された。これらの結果は、危険(レジオネラ属菌)の蔓延を防いだという定量的な保証を提供している。
【0069】
ml当たり約8〜25個の生存可能なレジオネラ属菌を含む100ミリリットル(ml)の水試料を、0.17mg/l遊離残留酸化剤(HACH DR−890手動比色計を用いる比色試験により、Clとして測定した)で処理した。ディップスライドを、1分間、5分間、および10分間の塩素消毒剤との接触後、生存可能なレジオネラ属濃度を測定するために用い、同様に調製された未処理のコントロールから得られたディップスライドによる結果と比較した。
【0070】
表2は、新規のレジオネラ属のディップスライドを用いることで、有効な消毒が観察されたことを示す。
【0071】
【表2】

MFU=微小コロニー形成単位;ディップスライドを、室温で30秒間の「ディップ」において、0.3mlの試料を吸収するように較正した。
*遊離残留酸化剤濃度=Clとして0.17mg/l(ppm);全残留酸化剤濃度=Clとして0.25mg/l(ppm)
**「消毒された%」を、MFU/ml測定、[(コントロール−処理)/コントロール]×100で計算した。
【0072】
本明細書中に開示されるディップスライドおよび方法を使用して、消毒の効率を決定するため、消毒手順の後の試料由来のレジオネラ属を定量および検出した。レジオネラ属の増殖は、消毒手順の性質により影響され得る。
【0073】
(実施例3)
本実施例は、レジオネラ属の検出および定量化のためのディップスライドおよびディップスライドアセンブリ中のディップスライドチェンバーの説明を提供している。
【0074】
本実施例で説明されるディップスライドはまた、「パドルディップスライドサンプラー(paddle dip−slide sampler)」と呼ばれている。これらのパドルディップスライドおよびチェンバーを、以下のような寸法で作製した。プラスチックのパドルは長さ6cm、幅2.75cm、そして奥行きは0.5cmであった(図2B)。増殖培地および吸収培地を保持するため、パドルサンプラーの両側面に、奥行きが1mmの4.75cm×2.25cmの長方形のレザーバー(reservoir)を作製した。パドルは、直径4cmのねじ切りされたネジ式キャップに嵌まり、このキャップは長さ7.5cmのねじ切りされた透明なプラスチック管に嵌まった(図2A)。パドル(ディップスライド)およびレザーバーは、ディップスライドアセンブリを構成する。アセンブリ全体をオートクレーブで殺菌した。パドルの一方の側面上で、無菌の標準培地緩衝活性炭酵母抽出物(BCYE)寒天を、レザーバーに無菌で注いだ。他方の側面には、無菌のBCYEと抗生物質(標準方法で明記されるように)をレザーバーに無菌で注ぎ、抗生物質を有する側を、識別可能な目に見える印によって、特定した。図2は、迅速な方法のレジオネラ属ディップスライドサンプラーを説明している。
【0075】
レジオネラ属以外の細菌のための、寒天培地を有するディップスライドサンプラーまたはパドルテスターは、種々の商業的供給者(例えば、Biosan Laboratories,Inc(Warren,MI)から入手可能である。本明細書中に開示される増殖培地、吸収培地、および試薬に関する指示、仕様に基づいて、レジオネラ属のためのディップスライドまたはパドルテスターを構築することができる。
【0076】
ディップスライドの他の適切な寸法は、例えば、一つの局面において、長さが約2〜10cm、幅が1.0〜4.0cm、および奥行きが0.1〜1.0cmであり、ならびに長さが約5〜15cm、幅が2〜10cm、および奥行きが1.0〜2.0cmを含む。したがって、本明細書中に開示されるディップスライドに対する適切なレザーバーは、種々の寸法を有し得る。例えば、一つの局面において、増殖培地および吸収物質を保持するために、レザーバーは、奥行きが1〜5mmの約2.0〜10.0cm×1.0〜4.0cmの長方形のレザーバーとなるような寸法である。レザーバーとともにディップスライドと適合する容器および管もまた、種々の寸法を有し得る。例えば、一つの局面において、容器は長さが約5〜12cmであり、直径の長さが適切なシリンダーであり得る。
【0077】
ディップスライド、レザーバー、および容器は、任意の適切な物質から作製され得、それは、プラスチック、ポリマー、アクリル、およびネオプレンを含むが、それらに限定されない。また、パドルまたはディップスライドは、任意の適切な形、例えば、長方形、長円形、円形、および正方形であり得る。
【0078】
(実施例4)
本実施例は、標識抗レジオネラ属抗体を用いる、ディップスライド上のレジオネラ属の微小コロニーを選択的に同定するための工程を説明している。
【0079】
本明細書に開示される、迅速な方法のレジオネラ属ディップスライドサンプラーの表面上の、細菌微小コロニー(2日間より短い増殖)を、1分間にわたってディップスライド上の膜に置くことで、ニトロセルロース膜(ウェスタンブロット用の0.22マイクロメーター細孔サイズ、Biolad)へ移動した。十分な量の微小コロニーを取り、膜に移動した。膜を20分間にわたって空気乾燥させ、細菌タンパク質を膜へ固定した。次に、膜を1%スキムミルク(Difco)、0.1%Tween20(Sigma)に浸し、残留タンパク質結合部位をブロックした。次に、膜を二つにカットし、片方の半分の膜(膜「A」)は、特異的な検出のために用いられるディップスライドの上側を表す。もう片方の半分の膜(膜「B」)を、コントロールのために用いた。微小コロニー(約20)の分布は、ディップスライド全体で、ほぼ一様であった。
【0080】
膜Aを、3mlの、1%スキムミルク、0.1%Tween、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のホースラディッシュペルオキシダーゼ標識ウサギ抗レジオネラ属[Accurate Chemical&Science Corporation,Westbury,NY]の1/500希釈物を含むペトリ皿に移した。膜B(コントロール)を、ウサギ抗マウスIgGをコントロールとして含む同様の皿に移した。膜を、3分間わたって穏やかに振とうし、次に0.1%Tween含有PBSで5回リンスした。ブロットのための5mlのTMB基質色素原を、きれいな皿に置き、膜を発色のため5分間にわたって振とうした。発色を、簡単に水ですすぐことにより停止させた、コロニーが膜と接触した膜上のスポットは、膜A上の明らかな青紫色のスポットとして現れた(抗レジオネラ属処理)。コントロールのウサギ抗体でインキュベートしたコントロールの膜Bには、スポットは全く見られなかった。スポットは、デジタルカメラを用いて記録し、さらなる分析のためにカウントした。
【0081】
レジオネラ属の種々の血清群は、適切な血清群特異的抗体を選択することで同定され得る。マウス抗Legionella pneumophila血清群1モノクローナル抗体(結合体化している、または結合体化していない)はBIODESIGN International(Saco,Maine)から入手することができる。オーダーメードの抗体は、Strategic Diagnostics Inc.,(Newark,Delaware)を含む、種々の製造業者から入手することができる。血清群特異的抗体または分離菌特異的抗体または抗体の混合物は、レジオネラ属汚染が疑われる試料を検出するために用いられ得る。ポリクロナール抗体またはモノクローナル抗体は、それぞれ別個にか、または混合して、L.pneumophila血清群1〜13、L.longbeachae、L.bozemanii、L.micdadei、L.dumoffii、L.feeleii、L.wadsworthii、およびL.anisaを含むレジオネラ属の種々の血清群ならびに分離菌を検出することができる。
【0082】
(文献)
以下は、本明細書中に開示される物質および方法に関連する範囲で、本明細書中に参考として援用される。
【0083】
「Water QualityDetection and Enumeration of Legionella」(1998)、スイス、ジュネーブの国際標準化機構(ISO 11731)。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図面は、本開示のいくつかの実施形態を説明するために提供される。本開示の実施形態の代替の形態は本発明の範囲内にあると考えられる。
【図1】図1は、この試料中の生存可能な細胞濃度の迅速な決定のために用いられるレジオネラ属ディップスライドの表面を示している。このスライドを、Legionella pneumophilaATCC33152の約1000CFU/mlの生存可能な細胞懸濁液(無菌の0.1M KCl)中に、60秒間にわたってディップした。60秒間のディップの後、重量は約0.3g増加した。したがって、吸収された試料の容積は0.3mlであった。ディップスライドを45時間にわたって35℃でインキュベートした。デジタル写真を0%の彩度、最大コントラストで、そして明るさを、より明るく(B)または、暗く(A)調節することで、プリントした。ディップスライドのほぼ実際の大きさを示す。微小コロニー形成単位(MFU)を矢印で示す。
【図2】図2は、ディップスライドアセンブリの部分としてのパドルサンプラー(B)および容器(A)を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の生存可能なレジオネラ属菌を迅速に定量する方法であって、該方法は、
(a)吸収培地を含むディップスライドを提供する工程、ここで該吸収培地は、レジオネラ属を培養するための栄養素を含む吸収培地、および非レジオネラ属微生物の増殖を選択的に阻害するための少なくとも一種の物質を含む、工程;
(b)該ディップスライドを、所定量の時間にわたって該試料と接触させる工程、ここで該ディップスライドは、所定量の該試料を吸収するように較正される、工程;
(c)該ディップスライドを、約6時間〜約48時間の間、約30℃〜約45℃の範囲の温度でインキュベートする工程;
(d)該ディップスライド上のレジオネラ属菌の増殖を検出物質で検出する工程であって、該検出物質はレジオネラ属を選択的に同定する、工程;そして
(e)該試料中の生存可能なレジオネラ属菌を定量する工程;
を包含する、方法。
【請求項2】
前記吸収培地が、約0.5重量%〜約10重量%の範囲のアガロースを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出試薬が、抗体、抗体混合物、プローブ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体が、Legionella pneumophila血清群1〜15、L.longbeachae、L.bozemanii、L.micdadei、L.dumoffii、L.feeleii、L.wadsworthii、およびL.anisa、からなる群より選択されるレジオネラ属に対して特異的である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プローブが、色素、色彩増強色素、位相コントラスト色素、標識プローブ、蛍光プローブ、比色プローブ、核酸プローブ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記レジオネラ属の検出が、紫外光源による、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記吸収培地が、約60秒間以内に約0.3mlの前記試料を吸収するように較正される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記検出試薬が、レジオネラ属の増殖を画像化するためのコントラストを増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記検出試薬が、レジオネラ属を殺傷する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記検出試薬が、抗菌化合物を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗菌化合物が、イソチアゾロン、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、四級化アンモニウム化合物、ジブロモニトリロプロピオンアミド、β−ブロモニトロスチレン、カルバマート抗菌剤、トリス−ニトロメタン抗菌剤、安息香酸ナトリウム、有機酸、エタノール、イソプロパノール、グルコン酸クロルヘキシジン、二酢酸クロルヘキシジン、o−フェニルフェノールからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記非レジオネラ属微生物の増殖を選択的に阻害するための物質が、色素、グリシン、バンコマイシン、およびポリミキシン(DGVP)および/または無機酸もしくは有機酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記非レジオネラ属微生物の増殖を選択的に阻害する物質が、セファロチン、コリスチン、バンコマイシン、およびシクロヘキシミド(CCVC)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記レジオネラ属の増殖が、直径約10〜500ミクロンである微小コロニーとして検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記レジオネラ属の増殖が、約2×〜約10×のオーダーの倍率の下で、微小コロニーとして検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
試料中の生存可能なレジオネラ属菌を迅速に定量するためのディップスライド検出システムであって、該システムは:
(a)吸収培地を含むディップスライド、ここで該吸収培地は、レジオネラ属を培養するための栄養素、非レジオネラ属微生物の増殖を選択的に阻害するための少なくとも一種の物質を含み、ここで該ディップスライドは、所定量の該試料を吸収するように適合される、ディップスライド;そして
(b)該試料中の生存可能なレジオネラ属菌の量を定量するための検出試薬、ここで該検出試薬はレジオネラ属の増殖を阻害する、検出試薬;
を含む、ディップスライド検出システム。
【請求項17】
試料中の生存可能なレジオネラ属菌を迅速に定量するためのディップスライドであって、該スライドが、吸収培地、レジオネラ属菌のための栄養素、非レジオネラ属微生物の増殖を選択的に阻害するための少なくとも一種の物質を含み、ここで該ディップスライドは、所定量の該試料を吸収するように適合される、ディップスライド。
【請求項18】
前記吸収培地が、約0.5重量%〜約10.0重量%の濃度のアガロースを含む、請求項17に記載のディップスライド。
【請求項19】
前記ディップスライドが、約60秒間以内に、約0.3mlを吸収するように適合される、請求項17に記載のディップスライド。
【請求項20】
試料中の生存可能なレジオネラ属菌を迅速に定量する方法であって、該方法は、
(a)非レジオネラ属菌に対する増殖防止物質を含む、レジオネラ属菌のための液体増殖培地を提供する、工程;
(b)該試料の連続希釈を行う工程であって、ここで該連続希釈は、レジオネラ属菌を含まない希釈物をもたらすように意図される、工程;
(c)該連続希釈物を約6〜8時間から約44時間の間、約30℃〜約45℃の範囲の温度でインキュベートする工程;
(d)該連続希釈物中のレジオネラ属の増殖の存在を検出物質で検出する工程;そして
(e)該試料中に存在する生存可能なレジオネラ属菌の量を定量するために、最確数(MPN)統計学的方法を適用する工程;
を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−532551(P2008−532551A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502004(P2008−502004)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/009336
【国際公開番号】WO2006/099493
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(507298636)ファイジェニックス, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】