説明

生態学的に危険な物質を地下に保管するための方法及び方法を実施するための装置

本発明は、生態学的に危険な物質を地下に保管する方法及び方法を実施するための装置に関する。これらの物質は、有利には放射性廃棄物、燃焼された燃料エレメント、核弾頭、兵器ウラン及びプルトニウム、並びに化学兵器、又は生態学的に危険な物質を含めたその他の多くの有毒物質である。さらに本発明は多くの特殊な別の対象物、有利には特に高価な金属、鉱物、及びこれらから作製された装飾品並びに有価証券、銀行幣、長期に保管されるべき保存文書、歴史的文書などの保管のために使用することができる。保管は、地下の深い孔を有する保管場所内で、地下の保管場所の使用範囲を著しく制限する汎用の機械的な充填及び取出し装置を用いて、例えばシャフトエレベータ、リフトなどを使用することなしに、特殊なガス圧式のシステム及び不可欠な全ての深部充填及び深部からの取出し作業の遠隔操作により行われる。さらに保管対象物に対する権限のないアクセスが排除され、例えば放射性の廃棄物、燃焼された燃料エレメント、さらに兵器ウラン及び兵器プルトニウムをも保管する場合の核及び放射に対する安全性、化学兵器及び/又は化学兵器の危険なコンポーネント並びに他の多くの有毒物質の蓄えの安全性、及び保管コストの低下が保証される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に生態学的に危険な物質及び/又はこのような物質を含む生産物を保管するために、特に放射性廃棄物、燃焼された燃料エレメント、任意の形の兵器ウラン及び兵器プルトニウムから成る核弾頭、並びに化学兵器又はその他の多くの有毒物質を、生態学的に危険な物質をも含めて保管するための、種々異なった物質及び具体的な対象物の保管の分野に関する。さらに本発明は多くの特殊な別の対象物、例えば、特に高価な金属、鉱物、及びこれらから作製された装飾品並びに有価証券、銀行幣、長期に保管される保存文書、歴史的文書などを保管するために使用することができる。
【0002】
本発明による方法及び装置には、「核分裂可能な物質のための保管場所」のタイトルを有する04.07.2001のロシア特許第2193799号明細書に開示されている発明が特に近い。この発明による保管場所はシャフトタイプの形で形成されており、保管場所の鉄筋コンクリート中実体内の垂直方向の管巣内に核分裂可能な物質の離隔された格納部を備えた容器を有している。これらの容器は細長い円筒状の形状を有しており、この容器は、容器直径の大きさを上回る長さを有している。この保管場所のフレームは、垂直方向の保管管巣のための開口を備えた離隔する金属ブロック及び/又は離隔部材を備えた金属管を有している。これらの金属ブロック及び/又は金属管は、核分裂可能な物質の保管管巣の周囲に内室を有するセル状の金属マトリクスを形成している。この内室内には、コンクリートと、中性子のための高い吸収能力を保証する一連の物質が充填されている。前記離隔金属ブロックには、中性子吸収器を有するコンクリート装置のための凹部が設けられている。
【0003】
しかしながら、この保管形式の場合には、しかも保管対象物がチャンバに格納される場合には、かなりの地下のシャフト形成が必要である。この方法では容器に対応して空間的に分配された保管箇所が問題となるので、さらに充填及び取出し機構をも使用する必要がある。これらのことは全て、物質保管の複雑さ及びコスト上昇並びに生態学的に危険な物質の不十分な保管安全性をもたらす。
【0004】
本発明が次の課題、すなわち、
保管対象物に対する権限のないアクセスが排除されるべきであり、
テロリズムによる驚異の考えられる重大なあらゆるシナリオの実質的な実現可能性が排除されるべきであり、
例えば放射線廃棄物、燃焼された燃料エレメント、核弾頭並びに兵器ウラン及び兵器プルトニウムをも保管する場合に絶対的な原子及び放射線に対する安全性が得られるべきであり、
例えば化学兵器のストック及び/又は化学兵器の危険なコンポーネント並びに別の有毒物質の最も安全な保管が得られるべきであり、
潜在的な敵の公知のあらゆる空襲手段に対して保管対象物の完全な保護が得られるべきであり、
地下保管領域において絶対的な防火性が得られるべきであり、
保管コストが公知の保管場所に比較して減じられるべきであり、この場合に生態学的に危険な物質のみならず、別の特殊な保管対象物、特に例えば高価な金属、鉱物、及びこれらの金属及び鉱物から作製された装飾品並びに有価証券、銀行券、長期保管したい保管文書などを保管することもできる、
という課題を満たすことが望ましい。
【0005】
設定されたこの課題は、容器内に位置しているか、かつ/又はこのような物質を含む生産物内に位置している生態学的に危険な物質並びに別の特殊な保管対象物をも地下に保管する方法において、次のことにより特徴づけられている方法、すなわち、保管が深い孔及び/又はシャフト内で行われ、これらの深い孔及び/又はシャフトのケーシング管が気密にシールされており、保管対象物がケーシング管内へ、自体公知のロック装置を介して挿入される方法により解決される。保管対象物は、あらかじめ下方から開かれた技術的な補助容器内に載置される。これらの補助容器は構造的に変更されたケーソンである。さらにこれらのケーソンはこれらのケーソン内に既に載置された保管対象物と共に充填孔のケーシング管の内部に載置される。しかしながら、このことは、公知の地下の対象物を搬送するために設けられた汎用の機構的な装置、例えば、シャフトエレベータ、リフトなどによっては実施されず、孔の内部で必要な全ての充填及び取出し工程を実際に行うためにはガス圧式の複合システムが使用される。この複合スシステム(処理はさらに具体的に説明する。)により、この複合システムの構造的なエレメント及び機能的なサブシステムが遠隔操作され、しかもこれにより、孔内部へ導入するための機械的な装置は必要とされない。必要な技術的な全ての作業工程、例えば、保管対象物による孔の完全な充填及び孔からの取出しが実施され、この場合にこれらの作業工程は、基本的には地下の保管場所の容量及びキロメータで測定された孔深さの制限なしに実施される。
【0006】
さらなる特徴は次のとおりである。
【0007】
ガス圧式の複合スシステムが機能的に3つのメインシステムグループ、すなわち、液圧式のサブシステム、公知の完全な装置を使用したガスサブシステム、及び具体的な保管対象物のための公知のロック装置又は構造的により完全化されたロック装置が収容される第3のサブシステム、並びに上記技術的な補助容器をも統合している。これらの補助容器は、外観的にはケーソンに類似しているが、しかしながら、特殊な構造特性により構成されている。すなわち、これらの補助容器内では、機能的に最も重要な処理、すなわち目標算定が行われる。この目標算定では、使用されるケーソンと、これらのケーソン内に配置された保管対象物の正の浮力の値が遠隔操作される。この場合に、基本的に前記処理は、孔をあらかじめ充填した液状の媒体内で続いて行われる強制的な沈設の任意の深さで実施される。
【0008】
形成されたガス圧式のシステムにより、孔保管場所への技術的な補助容器の遠隔操作された充填が実施される。しかしながら、まず孔のシールされたケーシング管の内室全体が開口までも、前記液圧式のサブシステムから、保管場所の構造内で全体として使用される何らかの技術的な流体、例えば水、又は特に保管された物質又は材料に化学的に最も相容性のある別の流体が充填される。次いで前記第3のサブシステムによりロック装置を介して、流体により溢れた孔内へまず下方のケーソンが導入される。ただし、このケーソン内には保管対象物が載置されず、このケーソンは構造的に正の浮力の保持下に最も深く沈むまで直接に孔底へもたらすことが可能である。
【0009】
対応したプッシュロッドを有するロック装置により、さらに前記ケーソンの上方に、既に第2の技術的なケーソンとこのケーソン内の保管対象物とが、元の正の目標浮力よりも比較的小さい値以下で載置されることにより、さらに前記ケーソンは孔内の技術的な流体内へ沈められる。
【0010】
次いで第3のケーソンが類似の形式で載置され、次いでさらなるケーソンが載置される。最終的には孔の内部に位置する技術的な流体内ではケーソンから成る算定セット全体が沈められ、対応して孔から押しのけられた技術的な流体が液圧式のサブシステムの外部捕集器へ、又は例えば、将来的な充填のために準備されたか、又は取出し領域内に位置する隣接した別の孔内へ案内される。しかしながら、前記処理時には、ケーソンの規定された垂直方向の組付け部全体の、ケーソンの沈下に応じて生じる、総体的な正の浮力の減少が常に監視される。
【0011】
これに続いて、値が計算により次のことにより保持される。すなわち、上記ガスシステムが始動し、空気、又は保管対象物のために化学的に有利な別のガス、例えば窒素、アルゴン又はヘリウムが、孔の内部の算定深さに基づき技術的な流体の層を介して下方のケーソン内へ案内されることにより、保持される。互いに結びついた前記処理により、垂直方向のケーソン組付け部全体の規定された正の浮力が、沈下に応じて下方のケーソンが孔底部に当接するまで維持される。これにより、ケーソン及びケーソンの内部の保管対象物の、算定され、遠隔操作された、孔への充填が終了する。
【0012】
孔保管場所において「乾燥した」保管の条件が得られるように、深い孔の充填の終了後には、得られたガス圧式の制御システムを上記のように使用して、孔の開口が対応した遮断装置により気密に閉じられ、ケーシング管の内部へは、前記ガスシステムからガスが、既に使用された技術的な流体が孔の内部から保証されて「押し出されること」により、このために孔の下側の底部に固定された周辺部通路を介して除去されるような圧力下に案内される。これにより、一種の連絡した容器が生じる。技術的な流体の、外部の捕集器内へのこの最終的な除去後には、前記管通路も気密に閉じられる。保管部の孔の内部には、さらに技術的に推奨される、孔保管場所内に対応して「乾燥した」保護雰囲気が完璧に形成されることを技術的に考慮したことからも選択される所定のガスの過圧が形成される。
【0013】
保管対象物を有するケーソンを孔保管場所から取り出すプロセスは、形成されたガス圧式のシステムの使用下に次のことにより実施される。すなわち、まず孔内に、以前この孔内で規定されたガス保護雰囲気の圧力が算定値まで、例えば雰囲気の外圧まで下げられ、次いで液圧式のサブシステムから孔が底部に関して技術的な流体により充填される。このためには、上に述べた周辺部通路が使用される。同時に底部からはガスサブシステムから吹抜けガスも下方のケーソン内へ案内される。前記ガスサブシステムは、ガスがさらに順次に、上方に配置された全てのケーソン内へ案内されるように形成されている。これにより、垂直方向のケーソン組付け部全体内に計算による正の浮力が形成され、この浮力に基づき、さらにケーソン柱全体の制御された全般的な浮揚も、孔開口の上方のレベルまで、かつ/又はロック装置内の入口までもたらされる。このロック装置からは、ケーソンが対応した係合機構により点検室内へ周期的に案内される。これにより、地下の保管場所の内部では、包括的な終了を把握するための、又は(保管対象物の幾つかのために)、例えば隣接した孔保管場所内において深部保管時間を延長するための、又は対応した決定に基づき、例えば技術的な処理のために取り除きたい保管対象物をバンカから取り出すための、ケーソン及びこれらのケーソン内に位置する保管対象物の機器点検が保証される。
【0014】
保管対象物、例えば放射性廃棄物又は燃焼された燃料エレメント、さらにまた兵器プルトニウム及び別の放射性物質の熱が絶対に導出される必要がある場合には、孔保管場所の構造内で公知の物理的な「超熱伝導」効果が実施される。さらに孔の内部では、穿孔管の上方領域の内壁への、かつ/又は穿孔管の壁を介した外部の熱伝導体への熱導出による「ヒートパイプ」が実施される。さらにこれに対応して孔の内部の保護大気内のこのために不可欠なガス圧が調整される。
【0015】
特に危険な保管対象物、例えば核分裂物質が、最も安全なタイプの技術的なケーソン内に充填される。このためには、延長された円筒状の容器が使用される。これらの容器は、「核分裂物質の保管場所」のタイトルを有する以前のロシア特許第2193799号明細書により開示された。
【0016】
保管対象物、例えば核分裂物質の実施された充填が外部の物理的な影響から、孔内への対応した沈設によって保護されるのみならず、公知の保護物質、例えば水酸化リチウム、ガドリニウム、鉛などを上方のケーソンの充填時に使用することによっても保護され、これを基盤として外部の中性子線及び/又は強いガンマ線に対する「影保護」が形成される。
【0017】
使用される地下のバンカの内部には、2つ又はこれよりも多い複数の孔保管場所が形成される。これらの孔保管場所のロック装置は、ケーソン及びこれらのケーソン内に含まれる保管対象物の遠隔操作された機器全体点検の共通のロボット室、並びに地下のバンカ内に具体的な保管対象物を有するケーソンを収容し、かつバンカから取り出す共通の領域を有する搬送通路により統合される。
【0018】
孔保管場所内に位置する保管対象物に対して権限のないアクセスを実質的に完全に排除するためには、保管対象物の充填及び孔開口の気密な閉鎖後に、使用されたロック装置が解体され、外部の中央の倉庫内に格納されることにより地下のバンカから除去される。この場合にユニット式の別の保管場所の作業プロセスが少なくとも一時的に実施可能である。さらにガス圧式の案内システムが、例えば自動搬送トレーラに設置されて、許可された、計画に基づく作業を実施する時間のためにだけ具体的な孔保管場所の設置場所へもたらされ、作業終了後には前記案内システムは同様に上に述べた中央の倉庫内へ走入される。
【0019】
比較的浅い深さを有する孔保管場所が使用される場合には、上に述べた、ガス吹抜け部を有するケーソンの代わりに、ポンツーンのような気密な浮揚タンクを使用することが可能である。これらの浮揚タンクには保管対象物が固定される。この場合に前記ガスサブシステムを限定的に使用した孔の充填及び取出しの手順が、「乾燥した」保管部の形成が適切である場合に技術的な流体を孔から「押し出す」ためにのみ実施される。
【0020】
保管対象物を有するケーソン又は浮揚ポンツーンを孔保管場所の技術的な流体内へ沈めるために不可欠な力の値を減じるためには、孔から前記流体の一部の、例えばこの流体内へ沈められる次の対象物の容積分の流体の、外部からの取り出しが対応したポンプにより実施される。
【0021】
ケーソンの垂直方向の組付けにより生じ、当然のことながら技術的な流体内へ次第に沈められることに伴い減じられる全体的な正の浮力の値が遠隔操作され、この場合に例えば側方からロック装置のプッシュロッドにより、ケーソンの前記周期的な沈下により得られた垂直方向の前記組付けの過程で側方から作用する力の値が測定され、算定される。
【0022】
孔保管場所で許可された作業の終了後に孔保管場所の遠隔操作された監視を行うためには、地下のバンカが気密に閉じられ、この場所にも直接に孔内にも、推奨されるガス過圧が技術的及構造的に形成され、このガス過圧の入力された大きさが保持され、例えば中央の保護拠点の無線通信路を介してさらに自動的に維持される。
【0023】
例えば、生態学的に危険な物質を地下に保管するための上記方法を実施するための保管場所の装置には、孔、及びこの孔の穿孔管(柱)が設けられているか、又はシャフト柱が設けられており、これらのシャフト柱に対応した管柱が設けられているか、又はシャフト柱内に埋め込まれた、管柱を備えた複数の個々の孔を有している。しかしながら、いずれの場合にもケーシング管の底部は気密に閉じられている。簡易化のために、前記個々の孔の開口の上方には1つの地下のバンカが組み付けられ、このバンカ内には、ケーソンの形で形成された、保管対象物自体が格納された技術的な補助容器の、外部からの充填及び取出しを行うためのロック装置が配置されている。この場合に、孔の内部には穿孔管に対して付加的に技術的な管柱が組み付けられており、これらの管柱の外側には管通路が固定されている。これらの管通路の一部は液圧式のサブシステムに接続されており、かつ別の管通路はガスサブシステムに接続されている。これらの全てのコンポーネントは、さらに具合的に説明する、付随する構造的なエレメントを含めて、形成された複合的なガス圧式のシステムの構造内に、孔の内部で不可欠な全ての充填及び取出しを遠隔操作し、かつ対応して実施するために、しかも通例では全ての公知の地下の保管場所内で充填及び取出しのために用いられる、孔内へ案内される必要のある機械的な装置、例えばシャフトエレベータ、リフトなどを前記地下の保管場所内で使用することなしに、機能的に統合されている。
【0024】
装置のさらなる特徴は次の通りである。
【0025】
保管場所内で遠隔操作された作業を行うためのガス圧式の複合スシステムが3つのメインサブシステム、すなわち、液圧式のサブシステムとガスサブシステムと第3のサブシステムとから成っており、前記液圧式のサブシステム及びガスシステムにはそれぞれ公知の機能エレメント、特に対応した弁付属品を有する液圧式のポンプ及びガスコンプレッサが装着されている。これらの2つのサブシステムは、例えば自動トレーラの基盤上に、地下のバンカの外部に配置されており、許可された作業の継続時間のためにのみ共通の制御複合体に接続されている。第3のサブシステムは孔保管場所の内部に配置されており、公知のタイプ又は具体的な保管対象物のために適合されたタイプのロック装置並びにケーソンの形で形成された技術的な補助容器のセットをも有しているが、しかしながら、さらに具体的に説明する識別特徴を有している。すなわち、これらの特殊なケーソン内には保管対象物が直接に配置されている。
【0026】
ケーソンの形で形成された、技術的な補助容器が、上記第3の機能的なサブシステムの一部として次の形で構成されている、すなわち、それぞれのケーソンに、開口を有する上側のカバーが設けられている形で構成されており、これらの開口には下方から内部の吹込み管(沈設管)が気密に接続されている。これらの吹込み管の下側の端部は、ケーソンの下側のカバーの前に配置されており、この下側のカバー自身にも開口が設けられており、この場合に開口の中心はケーソンの上側のカバーに設けられた開口の中心と互いに重なり合っている。円筒形の外壁により結合されたこれらのカバーの間には、さらに前記ケーソンの内部に保管対象物が固定されている。
【0027】
最下位のケーソンは最大の算定された浮力により構成されており、この浮力の正の大きさが孔底部に載置されるまで構造的に沈下の全てのレベルにおいて保証されている。また前記ケーソン内には保管対象物は固定されておらず、中央の支持部及び液圧式のダンパが設けられている。
【0028】
孔の底部領域内には技術的な孔管縦列に組み付けられており、上側の領域が液圧式のサブシステムに接続された管通路の一部が、下側の端部によりケーシング管の底部平面で固定されている。この部分は、孔の内周と共に一種の連絡した容器を形成している。外部のガスサブシステムに接続された別の管通路の下側の端部には、噴射流の形で技術的な流体を介して下方のケーソン内に供給される吹抜けガスのためのアングル状開口(ノズル)が設けられている。さらに下方のケーソンを介してガスは、既に保管対象物を備えたより高い位置に配置された全てのケーソン内へ続いて案内される。この場合に、孔の深さに分配された、下方のケーソンのガス吹抜けのための複数の中間領域を有する特に深い孔が設けられている。これらの中間領域には対応したガス通路が設けられており、これらのガス通路も、例えばこのケーソンがまさにこのような中間領域内へ沈められた場合若しくは中間領域に接近せしめられた場合に、下方のケーソン内に吹抜けガスを類似した形で供給するための下側のアングル状開口(ノズル)を有している。
【0029】
液圧式のサブシステムに接続された1つ又は複数の管通路が、沈下レベルの孔から技術的な流体を周期的に排出するための独立したポンプユニットに接続されている。この孔は前記流体のバロメータ柱の大きさよりもわずかである。
【0030】
孔の開口レベルには、孔のシールされた上方の遮断カバーの前に摺動支持体、例えば充填された上方のケーソンの制御不能な浮揚を阻止するため、及びロック装置の下側の遮断カバーの配置領域内のケーソン組付け部全体のための一種の一方側の錠装置が固定されている。
【0031】
本発明による地下の保管場所の方法及び対応した装置の実施を、まず本発明において用いられた主要コンセプト及びこの主要コンセプトにより要求された技術的な操作の短くまとめた考察に基づき、さらに前記主要コンセプトのために形成された基本的に新しいメイン機能サブシステム全体及びこれらのメイン機能サブシステムの構造的なメインエレメントに基づき説明する。
【0032】
全体として、例えば上に述べた生態学的に特に危険な物質の地下の保管及び別の特殊な保管対象物の地下の保管も提案される。これらの危険な物質及び別の特殊な保管対象物は対応したパッケージ内に位置しているか、かつ/又はむきだしの生産物である。これらの保管対象物は特別に形成された深い孔内に、又は操業されていないが、しかしながら対応した再構築を施された深い孔内に持ち込まれる。さらに本発明による保管場所を得るためには、何らかの地下構造物のかつての運転に由来するシャフトを使用することが原理的には可能である。この場合には、大スペースのシャフト内に複数の別個のケーシング管(沈設管)が埋め込まれる変化態様が可能である。これらのケーシング管(沈設管)は別の対応した孔保管場所を形成するが、しかしながら、既に孔を従来のように穿孔することなしに使用することができる。この観点では、例えば峡谷(Canons)内及び海溝内などに本発明による地下の保管場所を形成することも基本的には可能である。しかしながら、いずれの場合にもコンセプトとして対応したケーシング管の絶対的なシールが要請される。このことは、本発明を実施する場合の第1の主要コンセプトである。
【0033】
第2の極めて重要なキーコンセプトは、本発明による地下の保管場所のための特殊なガス圧式のシステムの形成である。このシステムは、運転操作のために地下の構造物の内部に到達する機械的な充填及び取出し装置、例えば汎用の様々なシャフトエレベータ、リフトなどを完全に排除するという課題を有している。前記汎用の機械的な装置を排除することにまさに公知の全ての地下の保管場所に対して本発明の根本的に最も重要な相違及び決定的な利点がある。そしてまさにこのことが本発明を実施した場合に上に述べた特に重要な技術的な成果の前提となる。
【0034】
前記ガス圧式の複合システムは、この複合システム内に機能的に統合された3つのメインサブシステム、すなわち、液圧式のサブシステム、公知の装置を使用したガスサブシステム、及び極めて特殊な第3のサブシステムから成っている。この第3のサブシステムは、公知のタイプのロック装置を有しているが、しかしながらこのロック装置は具体的な保管対象物のために構造的に適合されている。さらに前記第3のサブシステムは技術的な補助容器のセットをも有しており、これらの補助容器は、外見的はケーソンに類似しているが、しかしながら構造的には著しく際立った特殊性をもって構成されている。この特殊性は、このようなケーソン内に保管対象物が格納され、形成されたガス圧式のシステムが続いて始動された場合に、全体として、入力された算定により、孔を充填する液状媒体内にケーソンが強制的に沈められた場合に前記ケーソンの正の浮力の大きさを遠隔操作により支援する可能性が生じることである。
【0035】
次に本発明の実施の形態を図面につきさらに詳しく説明する。
【0036】
付属の図面は本発明の方法及びこの方法を実施するための装置の以下の説明のための構造的及び機能的な主要エレメントを示す。
【0037】
形成されたガス圧式の複合システム及びこの複合システムの機能を、本発明の実際の実施の形態の以下に示す主要部分及び付属の図面により説明する。
【0038】
図1から判るように、提案された地下の保管場所が、バンカ1及びこのバンカ1内に組み込まれた、孔3の開口の上方に設けられたロック装置2を使用して、上側の区分4及びケーシング管10により形成される。このケーシング管10は原理的には制限されていない深さまで通じている。ケーソンと呼ばれ、保管対象物が格納されている技術的な容器12が、上に述べた第3のサブシステムのコンポーネントとして、鉛直方向のセット(図2及び図5)を有するケーシング管の内部に、特殊な下方のケーソンの上方に載置されている。
【0039】
構造的には、技術的なケーソン(図6参照)には開口26を備えた上側カバー8が装着されている。これらの開口26は沈設管9に気密に接続されており、これらの沈設管9の下端18は下側カバー20の前に位置している。この下側カバー20には、ケーソン内への下側ガス入口の開口28が設けられている。これらの開口28の鉛直方向の軸線は上側カバー8内に設けられた開口26の軸線と互いに重なり合っている。前記カバーは、ケーソンの円筒状の外壁7に固定されており、このケーソン内には保管対象物27が直接に位置している。
【0040】
下方のケーソン21には、技術的なケーソンの場合と同様の上側カバーのみが装着されており、内部には類似の沈設管9が装着されているが、しかしながらほかのケーソンとは異なり、このケーソン21内には保管対象物は配置されておらず、液圧式のダンパ22を有する下側の堅固な支持体23が固定されている(図2及び図6参照)。
【0041】
ケーシング管10の内部には技術的な環状二重管33が付加的に組み込まれており、この環状二重管33内には管通路32が配置されている。これらの管通路32の一部は上方で液圧式のサブシステムに接続されており、管通路32の下端は底部領域24内へ導入されている。しかしながら、別のガス通路29が上方でガスサブシステムに接続されており、このガス通路29の下端には、下方のケーソン内の前記底部領域24内でも中間領域14でもガスを噴出するためのアングル状開口(ノズル)30が設けられている。これらのアングル状開口(ノズル)30は、孔深さに基づき記載されたグリッドに合わせて設けられている。
【0042】
ケーシング管10の内面には、断熱層31及び/又は毛管冷却システムが付加的に装着されている。
【0043】
形成されたガス圧式のシステムによって、技術的な補助ケーソンの、孔保管場所への遠隔操作による充填が実施される。まず孔のシールされたケーシング管10の内室全体が開口3までも、前記液圧式のサブシステムから、例えば水又は保管される物質又は材料のために化学的に最適な別の流体から成る幾らか技術的な流体により充填される。この水又は別の流体は保管場所の構造内で全体的に使用される。
【0044】
次いで、請求項2に記載した第3のサブシステムによって、まず下方のケーソン21が、ロック装置を介して、流体により溢れた孔内へ、ただしこのケーソン21内には保管対象物が配置されないという特殊性をもって、導入される。このケーソンは構造的に最も深く沈められるまで正の浮力を維持しながら直接に孔底部25へもたらされる。前記ケーソン21は、さらに上方からこのケーソンに、対応したプッシュロッドを有するロック装置によって、既に第2の技術的なケーソン7がこのケーソン7内の保管対象物27と共に載置されることにより、孔内の技術的な流体内へ沈められる。前記ケーソン7は、このケーソン7のために構造的に付与された元の正の浮力よりも比較的小さい値を有している。次いで類似の形式で第3のケーソンが持ち込まれ、このようにしてさらなるケーソンが持ち込まれる。このようにして、孔の内部に位置する技術的な流体内には、ケーソン12から成る算定セット(Berechnungssatz)が沈められる。
【0045】
この場合に孔から押しのけられた技術的な流体は液圧式のサブシステムの外部の捕集器へ案内されるか、又は例えば将来の充填のために準備された、又は取出し領域内に位置している別の隣接する孔内へ案内される。
【0046】
前述の処理時には、ケーソンの沈設に応じて生じる、ケーソンの継ぎ足された鉛直方向の組付け部全体の総体的な正の浮力の減少が常に監視され、次いで上に(請求項2に)記載のガスサブシステムが始動され、孔の内部の算定深さ(14,24)で、下方のケーソン内の技術的な流体の層を介して、空気、又は保管対象物のために化学的に有利な別のガス、例えば窒素、アルゴン又はヘリウムが案内されることにより、計算により値が保持される。
【0047】
前記互いに結びついた前述の処理により、ケーソンの沈設に応じた、ケーソンの、継ぎ足された鉛直方向の組付け部全体の付与された正の浮力が、下側のケーソン21が孔底部25に当接するまで保持される。これにより、保管対象物が配置されたケーソンの、算定され、遠隔操作された孔への充填が終了した。
【0048】
具体的な保管対象物のための孔保管場所内で「乾燥した」保管の条件が得られることが適切である場合には、形成されたガス圧式の制御システムを上述のように使用することにより孔の充填が完了した後に、孔の開口3が対応した遮断装置により気密に閉じられる。次いでガスが(請求項2の)前記のガスサブシステムからケーシング管の内部へ次のような圧力下に、すなわち、以前に使用された技術的な流体が、孔の内部から、周縁部管通路32を介して外側方向へ「押し出されること」により除去されることを保証するような圧力下に案内される。このためには、前記通路が孔の下側底部25内に設けられた凹部に固定され、これにより、一種の連絡した容器が生じる。
【0049】
技術的な流体が外部の捕集器内へ最終的に除去された後には、前記管通路も気密に閉じられる。保管孔の内部では、孔保管場所内に対応して「乾燥した」保護雰囲気を完全に形成するための技術的な考慮からも選択されるガス、技術的に奨励される計算された過圧がさらに規定される。
【0050】
保管対象物を有するケーソンの、孔保管場所からの取出しプロセスは、形成されたガス圧式のシステムを使用した場合には次のように実施される。
【0051】
まず孔内で、以前にこの孔内で規定されたガス保護雰囲気の圧力が、算定値まで、例えば外部の雰囲気の圧力まで下げられる。次いで、液圧式のサブシステムから孔に底部側から技術的な流体が充填される。このためには、上に述べた周縁部管通路が使用される。
【0052】
同時に底部24からもガスサブシステムから吹抜けガスが下側のケーソン21内へ圧送される。このケーソン21の構造は、ガス緩衝領域16から沈設管9の下側の横断面18を介して進入するガスが、ケーソン内のガス・流体の境界17を下方へ押しのけ、所定の方向15に管9を介してさらに緩衝領域16の入口開口28内を方向19に、より高い位置に配置された技術的なケーソン内へまでも進入するようになっている。
【0053】
このようにしてガスは順次にケーソンの全ての鉛直方向の組付け部へ流入し、計算による正の浮力を形成し、さらにこの浮力に基づき、孔開口の上側のレベルまで、かつ/又はロック装置2内への開口まで、ケーソンの柱全体の制御された全体的な浮揚が生じる。ロック装置から、ケーソンは把持機構により周期的に点検室(図示していない)内へもたらされ、これにより、地下のバンカ1の内部でケーソン及びこれらのケーソン内に位置する保管対象物の機器点検が保証される。
【0054】
この段階では、幾つかの対象物が、例えば隣接する孔保管場所内に、さらに深部保管されるかどうか、又は具体的な保管対象物が対応した決定に基づき、例えば技術的な処理のためにバンカから取り出されるかどうかが決定される。
【0055】
保管対象物、例えば放射性廃棄物又は燃焼された燃料エレメント並びに兵器プルトニウム及び別の放射性物質からも熱が絶対に導出される必要がある場合には、孔保管場所の構造内で「超熱伝導率」の公知の物理的な作用が用いられ、孔の内部では、「ヒートパイプ」が、ケーシング管10の上側の領域4の内壁へ、かつ/又は壁を介して外部の熱伝達体への(対応した毛管下層31を利用して)熱導出により実施され、これに応じてこのために孔の内部の保護雰囲気内に不可欠なガス圧が調整される。
【0056】
保管対象物が、特別な危険物、例えば兵器ウラン及び/又は兵器プルトニウムを含む核分裂物質である場合には、最も安全なタイプの前記保管対象物の本来の容器に収容されたまま技術的なケーソン内へ積み込まれる。このためには、例えば延長された円筒状の容器が使用される。このような容器は、タイトル「核分裂物質の保管場所」を有するロシア特許第2193799号明細書に既に開示されている。
【0057】
本発明による保管場所内に案内された核分裂物質充填物は、外部の物理的な影響に対して、孔内への対応した沈設(図1に短縮して示した平面6まで)によってのみならず、上方のケーソンの充填時に公知の保護物質、例えば、水酸化リチウム、炭化ホウ素、ガドリニウム、鉛及び別の保護物質が使用され、これらを基盤としていわば「影保護」が(限定的に示した平面5まで)外部の中性子線及び/又は強いガンマ線に対して形成されることによっても保護される。
【0058】
使用される地下のバンカ1の内部には、考察したタイプの2つ又はそれよりも多い複数の孔保管場所が形成され、これらの孔保管場所のロック装置が回廊により、ケーソン及びこれらのケーソン内に含まれる保管対象物の遠隔操作される機器全体の点検を行う共通のロボット室、並びに具体的な保管対象物を有するケーソンを地下のバンカ内へ収容し、かつ地下のバンカから取り出すための共通の領域と統合されている。
【0059】
孔保管場所内に位置する保管対象物に対する権限のないアクセスを実質的に完全に排除するためには、対象物の充填後及び孔開口の気密な閉鎖後に、使用されたロック装置が解体され、地下のバンカから除去される。これらのロック装置は、次いで中央の外部倉庫内に格納される。一時的にこれらのロック装置は別のユニット式の保管場所内で作業プロセスを実施するためにも使用される。同じ目的で、ガス圧式の案内システムが、例えば自動搬送トレーラにより搬送される。これらの自動搬送トレーラは、許可された計画に基づく作業を実施する時間のためにのみ具体的な孔保管場所の設置場所へもたらされる。作業終了後には、前記システムは同様に中央の倉庫内へもたらされる。
【0060】
比較的わずかな深さを有する孔保存場所が使用された場合には、上に述べた、ガス吹抜け部を有する技術的なケーソン12の代わりに、ポンツーンのような、気密な浮揚タンクを使用することができる。これらの浮揚タンクには保管対象物が固定される。この場合に請求項2に記載のガスサブシステムを限定的に使用した、孔の充填及び取出しの手順が、「乾燥した」保管部の形成が適切な場合に技術的な流体を孔から「押し出す」ためにのみ実施される。
【0061】
保管対象物を有するケーソン又は浮揚ポンツーンを孔保管場所の技術的な流体内へ沈めるために不可欠な力の値を減じるためには、孔から、例えば1つ又は幾つかの通路32を介して、前記流体の一部、例えば、この流体内へ沈められる次の対象物の容積分の流体の、外部からの取出しが対応したポンプにより実施される。
【0062】
鉛直方向のケーソン組付け部12を孔に充填する過程で、技術的な流体内へケーソンが次第に沈められるのに伴い減少する正の浮力の値は、例えばロック装置2のプッシュロッドの側から、請求項3に記載した、形成される垂直方向のケーソン組付け部の周期的な沈設の過程で生じる力の値の対応した規定に基づき、遠隔操作されて測定される。
【0063】
孔保管場所の遠隔操作された監視を実施するためには、この場所で許可された作業の終了後に地下のバンカが気密にシールされ、この場所並びに孔内でも直接に、技術的及び構造的に、推奨される余剰のガス圧が形成され、このガス圧の入力された大きさが保持され、例えば中央の保護拠点の無線通信路を介して保持される。
【0064】
シールされた上側の遮断カバーの前の、孔の開口平面3に設けられた、ロック装置の下側の遮断カバーの配置領域内にも、さらに可能であれば上側の充填限界(図1参照)の平面5にも、充填された上方のケーソン及び/又はケーソン組付け部全体の制御不能な浮揚を阻止するために、ケーシング管10の内部に、摺動支持体、例えば、一種の一方側の錠装置が固定されている。
【0065】
全体として、対応したパッケージ内に位置しているか、及び/又はむきだしの生産物である、例えば生態学的に特に危険な物質又は別の特殊な保管対象物生産物が、特別に形成された深い孔内に保管されるか、又は操業停止されているが、しかしながら、対応した再構築を施された深い孔内で地下保管されることが提案される。さらに、本発明によれば保管場所を形成するためには、例えば何らかの地下構造物のかつての運転に由来するシャフトを使用することも原理的には可能である。この場合には、大スペースのシャフト内に複数の独立したケーシング管(ケーシング管塔)が埋め込まれる変化態様が可能である。これらのケーシング管はさらに対応した孔保管場所を形成しているが、しかしながら、通例のような穿孔なしに済む。この観点では、例えば、大砲内、又は海溝及びこれに類するもの内に本発明による地下の保管場所を形成することも基本的には可能である。しかしながら、いずれの場合にも、設計上、対応したケーシング管の義務的なシールが必要とされる。
【0066】
本発明は産業に使用可能である。なぜならば、特殊な材料、装備及び新しい技術が本発明の実施のために必要とされないからである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】孔保管場所の概略的な長手方向断面図である。
【図2】下方のケーソンを有する保管孔の気密な底部の一部を示す長手方向断面図である。
【図3】ガス吹抜け部の図示の中間領域の孔及び下方のケーソンの一部を示す長手方向断面図である。
【図4】ケーソン連結領域の一部及びガス圧式のシステムの作用を示す断面図である。
【図5】鉛直方向に格納されたケーソンを有する保管孔の一部を示す長手方向断面図である。
【図6】下方のケーソン及びこのケーソンの上方に配置された技術的な保管ケーソンを示す長手方向断面図である。
【図7】ケーソンの上側のカバーを示す平面図である。
【図8】ケーソン及びこのケーソン内に配置された保管対象物の横断面図である。
【図9】ケーソンの下側のカバーを下方から見た平面図である。
【図10】下方のケーソンのガス吹抜け領域の一部を示す長手方向断面図である。
【図11】ケーソン及び保管孔の一部を示す壁横断面図である。
【図12】下方のケーソンのガス吹抜け領域内の孔を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 地下のバンカ、 2 制限して示したロック装置、 3 保管孔の開口、 4 保管孔の上側領域、 5 保管孔の保護カバー材料を有するケーソンの、制限して示した上側のレベル、 6 保管対象物を有するケーソンの、限定して示した孔の上側の充填レベル、 7 ケーソンの円筒状の壁(コンソール)、 8 ケーソンの上側のカバー、 9 ケーソンの沈設管、 10 孔のケーシング管(孔塔)、 11 堅牢コンクリート、 12 保管対象物を有するケーソン、 13 周辺の地質の岩石、 14 ガス吹抜け部の中間領域、 15 ケーソンからのガスの沈設管出口、 16 ケーソンのガス領域、 17 ケーソン内のガス・流体境界、 18 ケーソンの沈設管の下側の区分、 19 ケーソン内へのガスの沈設管入口、 20 ケーソンの下側のカバー、 21 下側のケーソン、 22 液圧式のダンパ、 23 下側の支持コラム、 24 下側のガス吹抜け領域、 25 孔のケーシング管の底部、 26 ケーソンの沈設管の上側の開口、 27 ケーソン内に固定された保管対象物、 28 ケーソン内への下側のガス入口の開口、 29 下方のケーソンのガス吹抜け管通路、 30 下方のケーソン内へガスを噴射供給するためのアングル状開口、 31 断熱及び/又は毛管冷却システムの層、 32 技術的な流体の底部供給管通路及び戻し導出部、 33 孔の技術的な管塔(二重管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に位置しているか、かつ/又は前記のような物質を含むむきだしの生産物である、生態学的に危険な物質並びに別の特殊な多くの保管対象物をも地下に保管する方法において、
保管を、穿孔管を有する深い孔及び/又はシャフト内で行い、該深い孔及び/又はシャフトをシールし、該深い孔/又はシャフト内へ保管対象物をロック、例えば自体公知のロック装置により挿入し、保管対象物を下方から開かれた技術的な補助容器内にあらかじめ配置し、これらの補助容器として構造的に変更されたケーソンを用い、次いで該ケーソンと、ケーソン内に配置された保管対象物とを、汎用の機械的な装置、例えばシャフトエレベータ又はリフトの使用を避けて、孔のケーシング管の内部に互いに重ねて載置し、公知の全ての地下の対象物の操作、有利には孔の内部で必要な全ての充填及び取出し作業工程のためにガス圧式の複合システムを使用し、該ガス圧式の複合システムにより、該複合システムの構成内へ進入する構造的なエレメント及び前記システムの機能的なサブシステムを遠隔操作することを特徴とする、生態学的に危険な物質並びに別の特殊な多くの保管対象物をも地下に保管する方法。
【請求項2】
前記ガス圧式の複合システムが、該複合システム内に機能的に3つのメインシステムグループ、すなわち、液圧式のサブシステムとガスサブシステムと第3のサブシステムとを統合しているようにし、前記両液圧式のサブシステム及びガスシステムに、自体公知の、しかしながら、完全なものに改善された装置を設け、前記第3のサブシステムが、自体公知のタイプの、又は構造的に完全化された、所定の保管対象物のために規定されたタイプのロック装置及び前記技術的なケーソンを有しているようにし、しかしながら、該ケーソンを、特殊な構造特性をもって構成し、該構造特性に基づき、形成されたガス圧式の複合システムにより、ケーソン内で機能的に最も重要な処理、すなわち目標算定を実施し、該目標算定時に、使用されるケーソン及び該ケーソン内に配置された保管対象物の正の浮力の値を遠隔操作により調整し、前記処理を、孔があらかじめ充填されている任意の液状媒体内への引き続く強制的な沈設の任意の深さに基本的に関連づける、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ガス圧式のシステムにより、技術的なケーソン孔の、保管場所への遠隔操作された充填を原理的に次のことにより行う、すなわち、孔の、シールされたケーシング管の内室全体を、該ケーシング管の開口までも、前記液圧式のサブシステムから、何らかの技術的な流体、例えば水、又は特に保管された物質又は材料と化学的に最も相容性のある別の流体を充填し、該流体を保管場所の構造内で全体的に使用し、
次いで前記第3のサブシステムによりロックシステムを介して、流体により溢れた孔内へまず特殊性を有する下方のケーソンを充填し、
該下方のケーソン内に保管対象物を配置せず、前記ケーソンを、孔底部にまで直接に最も深く沈むまで正の浮力が保持されるように構成し、
次いで前記下方のケーソンを、孔内の技術的な流体内へ沈め、
再び前記ケーソンの上方に、対応したプッシュロッドを有するロック装置によって、内部に保管対象物を有する、ケーソンのために算定された元の正の浮力よりも比較的わずかな値を有する第2の技術的なケーソンを載置し、
第3のケーソンを類似の形式で載置し、孔の内部に位置する技術的な流体内でケーソンの算定セット全体が沈められ、対応して孔から押しのけられた技術的な流体が液圧式のサブシステムの外部の捕集器、又は、例えば、将来の充填のために準備されたか、又は取出し領域内に位置する別の隣接する孔内へ案内されるまでさらなるケーソンを載置し、
前記処理時に、垂直方向に設けられたケーソン組付け部全体の、ケーソンの沈下に応じて生じる、減じられた総体的な正の浮力を常に監視し、次いで監視装置を用いて浮力の値を算定により獲得し、
次いでガスサブシステムを始動し、
孔の内部の算定深さ内へ、技術的な流体の層を介して下方のケーソン内へ空気、又は保管対象物のために化学的に有利な別のガス、有利には窒素、アルゴン又はヘリウムを案内し、
前記互いに結びついた処理により、規定された垂直方向のケーソン組付け部全体の付与された正の浮力を、ケーソン組付け部の沈下に応じて下方のケーソンが孔底部に当接するまで保持し、これにより、ケーソン及び該ケーソン内の保管対象物の、算定され、遠隔操作された孔への充填を終了する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
孔保管場所において「乾燥した」保管の条件を得るために、深い孔の充填の終了後に、ガス圧式の制御システムを使用して、孔の開口を対応した遮断装置により気密にシールし、
ケーシング管の内部へガスを前記ガスシステムから次のような圧力下に案内する、すなわち、孔の内部からの、使用された技術的な流体の除去が、周辺通路を介した外側方向への「押出し」により保証されているような圧力下に案内し、このために前記周辺通路を孔の下側の底部に固定し、一種の連絡した容器を形成し、
外部の捕集器内への、技術的な流体の最終的に除去後に、周辺通路を同様に気密に閉鎖し、
さらに保管孔の内部に、孔保管場所内に対応して「乾燥した」保護雰囲気が完璧に形成されるための技術的な考慮からも選択されるガスの技術的に奨励される過圧を形成する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
ガス圧式のシステムを使用した場合に、保管対象物を有するケーソンの、孔保管場所からの取出しプロセスを、は次のように実施する、すなわち、
まず孔内で、以前に該孔内で規定されたガス保護雰囲気の圧力を、算定値まで、有利には外部の雰囲気の圧力まで下げ、
次いで、液圧式のサブシステムから、孔に、底部の側方から技術的な流体を充填し、このために、前記周縁部管通路を使用し、
同時に底部からもガスサブシステムから吹抜けガスを下方のケーソン内へ案内し、該ケーソンを次のように形成する、すなわち、ガスが上方に配置された全てのケーソン内へさらに順次に流入し、これにより、垂直方向のケーソン組付け部全体内に計算による正の浮力を形成し、該浮力に基づき、さらに孔開口の上方のレベルまで、かつ/又はロック装置内の入口までケーソン柱全体の制御された全般的な浮揚をももたらし、前記ロック装置から、ケーソンを点検室内の対応した把持機構により周期的に外側へ案内し、これにより、地下のバンカの内部でケーソン及びケーソン内に位置する保管対象物の機器点検を、最終的な決定の把握のために、又は、例えば隣接する孔保管場所内で深部保管を(幾つかの対象物のために)延長するために、又は有利には技術的な処理のための、対応した決定に基づきバンカから取り除きたい保管対象物の取出しために行う、請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
保管対象物、例えば放射性廃棄物又は燃焼された燃料エレメント、さらにまた兵器プルトニウム及び別の放射性物質から熱が絶対に導出される必要がある場合に、孔保管場所の構造内で公知の物理的な「超熱伝導」の効果を実施し、孔の内部で、ケーシング管の上方領域の内壁への、かつ/又はケーシング管の壁を介して外部の熱伝導体への熱導出による「ヒートパイプ」を実施し、これに対応して孔の内部の保護雰囲気内のこのために不可欠なガス圧を調整する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項7】
特に危険な保管対象物、例えば核分裂物質を、最も安全なタイプの容器である技術的なケーソン内に充填し、このために、ロシア特許第2193799号明細書に「核分裂物質の保管場所」のタイトルにより開示された延長された円筒状の容器を使用する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項8】
保管対象物、例えば核分裂物質の案内された充填物を、外部の物理的な影響に対して、孔内への対応した沈下によってのみ保護するのではなく、公知の保護物質、例えば水酸化リチウム、ガドリニウム、鉛などを、上方のケーソンの充填時に使用することによっても保護し、これを基盤として外部の中性子線及び/又は強いガンマ線に対する「影保護」を形成する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項9】
使用される地下のバンカの内部に、2つ又はこれよりも多い複数の孔保管場所を形成し、該孔保管場所のロック装置を搬送回廊により、ケーソン及び該ケーソン内に含まれる保管対象物の遠隔操作された機器全体点検を行う共通のロボット室、並びに地下のバンカ内へ保管対象物を有するケーソンを収容し、かつバンカから取り出す共通の領域と統合する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項10】
孔保管場所内に位置する保管対象物に対して権限のないアクセスを実質的に完全に排除するために、保管対象物の充填及び孔開口の気密な閉鎖後に、使用されたロック装置を解体し、外部の中央の倉庫内に格納することにより地下のバンカから除去し、場合によっては作業プロセスを実施するためにユニット式の別の保管場所に一時的に格納可能にし、ガス圧式の案内システムを、車両、有利には自動搬送トレーラに配置し、該自動搬送トレーラを、許可された計画に基づく作業を実施する時間のためにのみ、具体的な孔保管場所の設置場所へもたらし、その後には同様に前記中央の倉庫内へ走入する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項11】
比較的浅い深さを有する孔保管場所が使用される場合に、上記のガス吹抜け部により作動されるケーソンの代わりに、ポンツーンのような気密の浮揚タンクを使用し、該浮揚タンクに保管対象物を固定し、前記ガスサブシステムを限定的に使用した孔の充填及び取出しの全ての手順を、「乾燥した」保管の場合のために孔からの、技術的な流体の「押出し」のためにのみ実施する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項12】
保管対象物を有するケーソン又は浮揚ポンツーンを孔保管場所の技術的な流体内へ沈めるために不可欠な力の値を減じるために、孔から前記流体の一部の、有利には該流体内へ沈められる次の対象物の容積分の流体の、外部からの取出しを、対応したポンプにより実施する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項13】
ケーソンの垂直方向の組付けにより生じ、当然のことながら技術的な流体内へ次第に沈められるにつれて減じられる全体的な正の浮力の値を、有利には側方からロック装置のプッシュロッドにより、前記周期的な沈下時に得られる、ケーソンの垂直方向の組付けの過程で生じる力の値の算定により、遠隔操作して測定する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項14】
孔保管場所の遠隔操作された監視を行うために、孔保管場所で許可された作業の終了後に地下のバンカを気密にシールし、前記孔保管場所にも直接に孔内にも、技術的及び構造的に推奨される余剰のガス圧を形成し、該ガス圧の規定された大きさを保持し、有利には中央の保護拠点の無線通信路を介してさらに自動的に維持する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の、有利には生態学的に危険な物質を地下に保管する方法を実施するための装置において、該装置に、孔、及びこの孔の穿孔管(柱)又はシャフト柱が設けられており、該シャフト柱に、対応した管柱が設けられているか、又はシャフト柱内に埋め込まれた、管塔を備えた複数の孔が設けられており、いずれの場合にもケーシング管の底部が気密に閉鎖可能になっており、それぞれの孔の開口の上方に1つの地下のバンカが固定されており、該バンカ内に、使用される、ケーソンの形で形成された技術的な補助容器の、外部からの充填及び取出しを行うためのロック装置が配置されており、前記補助容器内に保管対象物自体が格納されており、孔の内部に穿孔管に対して付加的に技術的な管柱が固定されており、該管柱の外側に管通路が固定されており、該管通路の一部が、液圧式のサブシステムに接続されており、かつ残りの部分が、しかも形成された複合的なガス圧式のシステムの構成部分である随伴する構造的なエレメントを含めて、ガスサブシステムに接続されていることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の、有利には生態学的に危険な物質を地下に保管する方法を実施するための装置。
【請求項16】
保管場所内で遠隔操作された作業を行うためのガス圧式の複合スシステムが3つのメインサブシステム、すなわち、液圧式のサブシステムとガスサブシステムと第3のサブシステムとから成っており、前記両液圧式のサブシステム及びガスサブシステムには、それぞれ公知の機能エレメント、特に対応した弁付属品を有する液圧式のポンプ及びガスコンプレッサが装着されており、地下のバンカの外部で、例えば自動トレーラに固定されており、許可された作業の継続時間のためにのみ共通の制御コンプレックスに接続されており、前記第3のサブシステムが孔保管場所の内部に固定されており、公知のタイプ又は具体的な保管対象物のために適合されたタイプのロック装置並びにケーソンの形で形成された技術的な補助容器のセットをも有しており、しかしながら、該補助容器が特別な特徴を有しており、該補助容器内に保管対象物が直接に配置されている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
ケーソンの形で形成された、技術的な補助容器が、前記第3の機能的なサブシステムの一部として次の形で構成されている、すなわち、それぞれのケーソンに、開口を有する上側のカバーが設けられている形で構成されており、該開口に、下方から内部の吹込み管が気密に接続されており、該吹込み管の下側の横断面が、ケーソンの下側のカバーの前に配置されており、該下側のカバー自身にも開口が設けられており、開口中心部が、ケーソンの上側のカバーに設けられた開口の中心部と互いに重なり合っており、円筒形の外壁により結合された前記カバーの間の保管対象物が、前記ケーソンの内部に固定されている、請求項15又は16記載の装置。
【請求項18】
最下位のケーソンに最大の算定浮力が付与されており、該算定浮力の正の大きさが、孔底部に載置されるまで沈下の全てのレベルにおいて構造的に保証されており、前記ケーソン内に保管対象物が固定されておらず、中央の支持部及び液圧式のダンパが設けられている、請求項15又は16記載の装置。
【請求項19】
孔の底部領域内に、技術的な孔管柱に固定されており、上側の領域が液圧式のサブシステムに接続された複数の管通路の一部が、下側の端部によりケーシング管の底部平面で固定されており、孔の内周と共に一種の連絡した容器を形成しており、外部のガスサブシステムに接続された別の管通路の下側の端部に、噴射流の形で技術的な流体を介して下方のケーソン内に供給される吹抜けガスのためのアングル状開口(ノズル)が設けられており、前記ケーソンを介して、ガスが続いて保管対象物を有する全てのより高い位置に配置されたケーソン内へ供給され、特に深い孔に、下方のケーソンのガス吹抜けの複数の中間領域が形成されており、前記複数の中間領域が、孔の深さに分配されており、対応したガス通路を有する前記領域にも、前記下方のケーソンの場合にように吹抜けガスを類似に供給するための下側のアングル状開口(ノズル)が設けられている、請求項15又は16記載の装置。
【請求項20】
液圧式のサブシステムに接続された1つ又は複数の管通路が、沈下レベルの孔から技術的な流体を周期的に排出するための独立したポンプユニットに接続されており、前記孔が、前記流体のバロメータ柱の大きさよりも小さい、請求項15又は16記載の装置。
【請求項21】
孔の開口レベルに、孔のシールされた上方の遮断カバーの前に摺動支持体、有利には一種の一方側の錠装置が、充填された上方のケーソン及びケーソン組付け部全体の制御不能な浮揚を阻止するために、ロック装置の下側の遮断カバーの配置領域内に、固定されている、請求項15又は16記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−528289(P2007−528289A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500709(P2007−500709)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/RU2005/000069
【国際公開番号】WO2005/081262
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506290833)
【氏名又は名称原語表記】Lev Nikolaevich Maksimov
【住所又は居所原語表記】ul. Krasny prospect, 87/1−23, 630049 Novosibirsk, Russian Federation
【Fターム(参考)】