説明

生態系配慮型水路構造

【課題】魚類の生息に適した淀み空間と、貝類等の底生動物の生息に適した土砂の堆積部分を同時に形成できると共に、沈殿土砂の排除が適度に行われる水路構造を提供する。
【解決手段】水路底面3に、魚類が生息できる窪み5が形成され、窪み5の上流側の面は略垂直な窪み立面6として形成され、窪み立面6の下端に略水平な窪み底面9が連設されている。窪み底面9の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面11が連設されている。又、窪み立面6で開口する魚巣12が設けられると共に、窪み底面6及び魚巣12の内面側に逆止弁付き湧水部13が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類の生息に適した窪みを具える生態系配慮型水路構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚介類の生息に配慮した水路構造の一例としては、特開平8−224591号公報や特開平6−128929号公報が開示するような、水路底面に窪みを設けた水路構造が提案されている。
【0003】
前者の水路構造は、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、内壁面が垂直に形成された窪みを形成したものであり、該窪みに土砂を堆積させて魚介類の生息場所を形成せんとするものであった。かかる窪みは、その内壁面が垂直であったために土砂が堆積しやすく貝類や水生昆虫等の底生動物の生息には好適であったが、土砂が順次堆積して窪みの水深が浅くなりやすく魚類の生息には不向きであり、魚類が寄り付かなくなる問題があった。
【0004】
又後者の水路構造は、水路底面に窪みが形成されてはいるが落差工を前提としたものであるので、その窪みでは、落水の水の勢いによって渦流状の乱流が発生して淀み部分は存在しない。そのため該窪みは、魚類の遡上の為には好都合であっても魚類の生息場所(休息場所や産卵場所、越冬場所等)としては不適切であった。
【0005】
又特開平9−165733号公報が開示するように、水路側部に魚巣を設けて魚類の休息場所や隠れ家、産卵場所を形成することも行われているが、かかる水路側部の魚巣は、その開口周辺の流速が速いために生息場所としての機能を有効に発揮しない問題があった他、魚巣に泥が堆積して生息空間が減少しやすく魚類の生息に不向きであり、折角設けた魚巣に魚類が寄り付かなくなる問題があった。
【特許文献1】特開平8−224591号公報(第6頁、図11)
【特許文献2】特開平6−128929号公報(第2頁、図6)
【特許文献3】特開平9−165733号公報(第3頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、魚類の生息に適した淀み空間と、貝類や水生昆虫等の底生動物の生息に適した土砂の堆積部分を同時に形成できると共に、沈澱した土砂の排除が適度に行われて長期間に亘ってメンテナンスを要さない生態系配慮型水路構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記課題を解決するため以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る生態系配慮型水路構造は、河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に略水平の窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されていることを特徴とするものである。
【0008】
又本発明に係る生態系配慮型水路構造のより好ましい態様は、河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に、下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る生態系配慮型水路構造のより具体的な態様は、河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に略水平の窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されている。そして、前記窪み立面の高さをHとしたとき、前記窪み底面の水路延長方向の長さ及び前記窪み傾斜面の水路延長方向の長さは共にH〜8Hに設定され、且つ前記窪み立面の高さHが30〜65cmに設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
又本発明に係る生態系配慮型水路構造のより具体的な他の態様は、河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に、下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されている。そして前記窪み立面の高さをHとしたとき、前記窪み底面の水路延長方向の長さ及び前記窪み傾斜面の水路延長方向の長さは共にH〜8Hに設定され、且つ前記窪み立面の高さHが30〜65cmに設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
前記各生態系配慮型水路構造において、窪み底面の前記窪み立面側に泥溜め凹部を設けるのがよい。又前記各生態系配慮型水路構造において、窪み立面で開口する魚巣を設けるのがよい。又前記各生態系配慮型水路構造において、窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けるのがよい。
【0012】
又、窪み立面で開口する魚巣を設ける場合、前記窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けると共に、前記魚巣の内面側に、該魚巣に向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けるのがよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る水路構造は、落差工にならない状態で窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面が略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に、略水平な窪み底面が連設され、或いは、下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する窪み底面が連設され、又、該窪み底面の下流端に下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設された構成を有する。
従って本発明に係る水路構造によるときは、流速が遅く魚類の生息に適した淀み空間を窪み立面の近傍に形成できると共に、貝類や水生昆虫等の底生動物の生息に適した土砂の堆積部を該淀み空間の下流側に同時に形成でき、生態系上好ましい。
又前記窪みは、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面を具えるため、該窪み傾斜面に沿って上昇する水流の勢いによって、窪みに沈殿した土砂を下流側に排出する作用が適度に得られ、長期間に亘ってメンテナンスを要さない利点がある。
【0014】
(2) 前記窪み底面を下流に向かって略一定勾配で傾斜する如く構成した場合は、前記淀み空間の底面に沈殿した土砂が下流側に移動し易くなるため、前記淀み空間の容積が減少するのを効果的に防止でき、又、土砂が堆積して水深が小さくなることによって淀み空間の流速が早くなるのを防止できる。かかることから、魚類の生息空間を良好に維持できる利点がある。又、該淀み空間の底面に土砂が堆積しにくいことから魚巣底面にも土砂が堆積しにくい利点がある。
【0015】
(3) 前記窪み底面の前記窪み立面側に泥溜め凹部を設けた場合は、該泥溜め凹部を魚類の産卵場所や越冬場所となし得て魚類の生息環境を向上させ得る。
【0016】
(4) 魚巣を前記窪みに設ける場合、該魚巣を前記窪み立面で開口するように設ける場合は、該魚巣が淀み空間に連通する状態となる。又、該淀み空間の底面に土砂が堆積しにくいことから魚巣底面に土砂が堆積しにくく、魚巣内の生息空間容積が減少するのを防止できる。かかることから、形成された魚巣は、流速が早く且つ土砂が堆積しやすい従来魚巣の問題点を解決でき、休息場所や産卵場所、避難場所としての魚巣本来の機能を有効に発揮できる。
【0017】
(5) 前記窪み底面の前記窪み立面側に逆止弁付き湧水部を設けた場合は、前記淀み空間に新鮮な地下水を供給できることになり、淀み空間における魚類の生息環境を向上させ得る。併せて魚巣の内面側にも逆止弁付き湧水部を設ける場合は、魚巣にも新鮮な地下水を供給できることとなり、魚巣内の生息環境も向上させ得る。
【実施例1】
【0018】
図1〜4において本発明に係る生態系配慮型水路構造(以下水路構造という)1は、1〜10m程度の水路幅(例えば2mの水路幅)を有する河川等の水路2の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配(例えば1/300程度の勾配)で傾斜する水路底面3に、魚類が生息できる窪み5が形成されてなり、該窪み5の水路上流側の面は略垂直な窪み立面6として形成されている。又、前記窪み立面6の下端8に略水平の窪み底面9が連設されると共に該窪み底面9の下流端10に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面11が連設されている。そして前記窪み立面6の高さをHとしたとき、前記窪み底面9の水路延長方向の長さL1及び前記窪み傾斜面11の水路延長方向の長さL2は共にH〜8Hに設定され、且つ前記窪み立面6の高さHが30〜65cm(例えば50cm)に設定されている。又、窪み立面6の左右に位置させて該窪み立面6で開口する魚巣12,12が設けられると共に、前記窪み底面9の前記窪み立面6側に、及び、該魚巣12,12の内面側に逆止弁付き湧水部13が設けられている。
【0019】
前記水路2は、その全体がプレキャストコンクリート製のブロック15を用いて構築されており、該ブロック15は、本実施例においては図3、図5に示すように、水路本体16を構築する水路ブロック17と、前記窪み5を構築する窪み形成ブロック19と、前記魚巣12を形成する魚巣形成ブロック20とからなる。
【0020】
前記水路ブロック15は、本実施例においては図5に示すように、底板21の両側で側板22,22が立設され且つ前後端(下流側が前)が開放されたU字溝状を呈し、ブロックの前後長さ及び水路幅が共に2mに設定されると共に、水路深さが1mに設定され、部材厚さが10cmに設定されている。
【0021】
又前記窪み形成ブロック19は、本実施例においては図5〜6に示すように、底板部23の両側で側板部25,25が立設され且つ前後端(下流側が前)が開放されている。そして、両側板部25,25の内面間は2mに設定され、ブロックの前後長さは4mに設定され、前記側板部25,25の高さは等しく、両側板部25,25の後端高さは1m50cmに設定されると共に前端高さは1mに設定されている。又、前記底板部23及び前記両側板部25,25の肉厚は10cmに設定されている。そして、前記底板部23の後側の半分はその上面が水平な窪み底面9として形成されると共に該底板部23の前側部分の上面は、下流に向かって上向きに10〜25度の略一定勾配で緩く傾斜する前記窪み傾斜面11として形成されている。該窪み形成ブロック19の底板部23の前面26、両側板部25,25の前面27,27は図2に示すように、夫々、前記水路ブロック17の前記底板21の後面29、両側板22,22の後面30,30と当接でき、又、該窪み形成ブロック19の底板部23の後面31、両側板部25,25の後面32,32の上側部分32a,32aは、夫々、前記水路ブロック17の底板21の前面33、両側板22,22の前面35,35と当接し得る。
【0022】
又前記魚巣形成ブロック20は、本実施例においては図5、図7に示すように、左右方向の長さが2m20cmに設定されると共に高さが50cmに設定され、全体が一体に形成されている。より具体的には、下流に向けて開口する角形空所としての前記魚巣12を有する左右の魚巣部36,36の向き合う側面37,37の前端部(下流側が前)39,39相互が連結片40で連結されると共に、両魚巣部36,36の外側面41,41の前端部42,42に張出片43,43が突設されている。該連結片40の下面45及び両張出片43,43の下面46,46は、両魚巣部36,36の下面47,47と面一であり、又該連結片40の上面49及び両張出片43,43の上面50,50は,両魚巣部36,36の上面51,51と面一である。又、両魚巣部36,36の前面52,52と前記連結片40の前面53と両張出片43,43の前面55,55は、面一の垂直面として形成されている。そして該前面52,52,53,55,55(以下、全体をまとめて前面56という)の下端部分57は、前記窪み形成ブロック19の底板部23の後面31(図5〜6)に当接し得ると共に、前記両張出片43,43の前面55,55の端部側の上側部分55a,55aは、前記窪み形成ブロック19の両側板部25,25の後面32の下側部分32b,32b(図5〜6)に当接し得る。前記魚巣部36の各部の寸法を例示すれば、肉厚が10cmに設定され、前記角形空所(魚巣12)は、上下高さが30cm、左右幅が40cm,奥行きが40cmに設定されている。
【0023】
前記逆止弁付き湧水部13は、図8に示すように、前記窪み形成ブロック19と前記魚巣部36,36に設けられている。又、窪み形成ブロック19に関しては、前記底板部23の後端34から約25cm前側に位置した部分の中央部位と、その両側に約50cm間隔を隔てた部位に設けられており、一方前記魚巣部36,36に関しては、底面部57の中央部位及び後面部58の中央部位に設けられている。
【0024】
該逆止弁付き湧水部13の構成は、図9〜11に示すように、上下方向又は前後方向に貫設した例えば直径60mmの装着孔59に湧水具60を装着して構成されており、該湧水具60は、図9〜10に示すように、塩化ビニール製等の筒状体(例えば円筒体)61の一方の端部側に、底部分62に円形孔63が多数設けられた上端開放の偏平な弁収容部65が設けられ、該弁収容部65に弁体66が付設されている。該弁体66は、例えば、ゴム製の円板体として形成され、その上面の端部側にV字溝67が形成されることにより固定部69と弁本体70が設けられている。そして該固定部69が前記底部分62の縁側にビス68で固定されることにより、前記弁本体70が、図11に示すように、前記窪み5や前記魚巣12における水圧によって前記底部分62の全ての円形孔63を塞ぐと共に、図12に示すように、前記V字溝67の溝底部71を蝶番として開くことができ、前記窪み5や前記魚巣12に向けての湧水の吐出を許容する。又前記円筒体61の上端には、図9に示すように、係合鍔部72が周設されている。
【0025】
かかる構成の湧水具60を前記底板部23、前記底面部57、前記後面部58に装着して図8に示す前記逆止弁付き湧水部13を構成するには、図11に示すように、該円筒体61を前記装着孔59に挿入すると共に、前記係合鍔部72を、前記装着孔59の上端周縁部分又は前端周縁部分に設けられた周方向の嵌合溝73(図9)に嵌め入れた状態で該円筒体61を前記底板部23や底面部57、後面部58に固定する。これにより、図11に示すように、前記円筒体61の下端73が前記底板部23の下面75と面一となり且つ該円筒体61の上端76が前記底板部23の上面77と面一となる。
【0026】
前記構成を有する水路ブロック17と窪み形成ブロック19と魚巣形成ブロック20を用いて、魚巣付きの窪みが形成された水路構造1を構築するには、図1〜2に示すように、地盤を掘削して形成した水路構築部の底部80に、例えば30〜40mに1箇所の割合で、その全幅に亘って所要形状且つ所要深さで掘り下げて窪み部81を形成する。該窪み部81の上面82の形状は、前記窪み形成ブロック19の底板部23の下面形状に合致させる。そして、該上面82に例えば15cmの厚さで砕石層83を形成する。なお該砕石層83は前記底板部23の後端34よりも後側に稍延長されている。該砕石層83の上面85に前記窪み形成ブロック19の底板部23を密着状態で載置する。その後、前記魚巣形成ブロック20を、前記砕石層83の後側の延長部の上面86に、前記魚巣12を前方に開口させて載置し、前記前面56の下端部分57(図7)を前記底板部23の後面31に当接させると共に、前記両張出片43,43の前面55,55の端部側の上側部分55a,55a(図7)を前記両側板部25,25の後面の下側部分32b,32b(図5〜6)に当接させる。これにより、図2に示すように、魚巣12の底面87が前記底板部23の上面77と面一になる。
【0027】
その後、図1〜2に示すように、このように敷設された窪み形成ブロック19の下流側において、該窪み形成ブロック19の前端に連なるように前記水路ブロック17の底板21を前記水路構築部の前記底部80に載置する。この際、該底板21の後面29を前記底板部23の前面26に当接させると共に(図2)、前記両側板22,22の後面30,30を前記両側板部25,25の前面27,27に当接させる。その後、図1に示すように、別の水路ブロック17を、該敷設された水路ブロック17の前端に、端部相互を当接状態にして敷設し、順次同様にして水路ブロック17を敷設する。
【0028】
又、敷設された前記窪み形成ブロック19の上流側においては、図1〜2に示すように、前記水路ブロック17の底板21の前側部分21aを、敷設された魚巣形成ブロック20の上面89に載置すると共にその後側部分21bを前記底部80に載置する。この際、図4に示すように、該水路ブロック17の底板21の前面33の両側部分33aを前記窪み形成ブロック19の側板部25の後面32に当接させ、且つ該水路ブロック17の両側板22,22の前面35,35を、前記窪み形成ブロック19の両側板部25,25の後面の上側部分32a,32aに当接させる。その後、別の水路ブロック17を、該敷設された水路ブロック17の後端に、端部相互を当接状態にして敷設し、順次同様にして水路ブロック17を敷設する。
【0029】
なお、前記のようにして敷設された水路ブロック17,17相互及び水路ブロック17と前記窪み形成ブロック19相互は、例えば図3に示すような連結金具90を用いてボルト91で連結する。このようにしてブロック相互を連結することにより、図1に示すような水路構造1を構築できる。
【0030】
このように構成された水路構造1は、前記魚巣形成ブロック20の前記前面56と前記水路ブロック17の底板21の前面3とが形成する前記窪み立面6は略垂直を呈し、又該窪み立面6の高さHは50cmに設定されており、この寸法は前記Hの寸法範囲にある。本実施例において前記窪み立面6の高さHを50cmに設定した理由は、前記窪み5に生息する魚類の必要な生活水深(通常、その場所で生息する魚類の体長の約3倍として設定される)を保ち、且つ、該窪み5に生息する魚類を鳥類、特にサギ類等の外敵から効果的に保護できるようにする(通常、サギ類の足の長さ以上に設定される)ためである。
【0031】
又、前記窪み底面9の水路延長方向の長さは2m(4H)であり、この寸法は前記長さH〜8Hの寸法範囲にある。又、前記窪み傾斜面11の水路延長方向の長さは2m(4H)であることから、これは前記長さH〜8Hの寸法範囲にあり、該窪み傾斜面11の傾斜角度は約15度である。
【0032】
かかる構成を有する水路構造1によるときは、前記窪み5の上流側の水路2aを流れる水路水(通常、毎秒0.2〜3m、例えば毎秒0.7m程度)が該窪み5に達したとき、前記窪み立面6が略垂直に形成されていることから、該上流側の水路2aの水深の下側の流水92は、図13、図8に矢印で示すように窪み5に斜め下方に流入して前方に移動する。そして該流入流92aは、前記窪み傾斜面11の下側部分94で、該下側部分94に沿って上昇する上昇流92bと、該下側部分94に沿って下降する下降流92cに分かれる。該上昇流92bは窪み傾斜面11を上昇して下流側の水路2bに流入する。一方前記下降流92cは、前記窪み底面9に沿って前方に移動し、その後、前記窪み立面6寄り部分で上昇し、該上昇流92dは、前記斜め下方の流入流92aに合流して前方に移動する。これにより、前記斜め下方の流入流92aの下側の、前記窪み立面6と前記上昇流92dとの間に三角形状の淀み空間96が形成される。この淀み空間96は、流速が遅く、しかも空間底面97に土砂も堆積しにくいことから、魚類にとって良好な生息空間となり得る。該空間底面97に土砂が堆積しにくいのは、前記上流側の水路2aの流水に混入していた土砂は、窪み5内を前記流水に乗って移動しやすいことから、前記窪み立面6側では堆積しにくく(通常、該窪み立面6から前方にH〜2Hの範囲には堆積しにくい)、それより先の窪み底面9で沈殿しやすいからである。そして、このような土砂の堆積は一定厚さ以上には成長しにくい。その理由は、土砂が一定厚さ、例えば10〜20cm程度の厚さに堆積した後は、該堆積層98の上側の土砂が、前記斜め下方の流入流92aに乗って下流側に流され、その後、前記窪み傾斜面11を上昇する上昇流92bに乗って下流側の水路2bに排出されるからである。
【0033】
従って、内壁面が垂直に形成された前記従来の窪みにおけるような、窪み5が短期間の内に土砂で埋まってしまうという事態が回避され、魚類の生息に必要な生息空間容積が該窪み5に長期間に亘って確保されることになる。そして前記土砂の堆積層98は、貝類や水性昆虫等の底生動物にとって良好な生息場所となり得る。又前記魚巣12は、魚類の休息場所や隠れ家、産卵場所として有効に機能し得る。なお本実施例においては、魚巣12を、流速の特に遅い淀み空間の両側に設けているため、魚巣機能が一層良好に発揮される。
【0034】
又本実施例においては前記のように、前記窪み立面6の下端近傍や前記魚巣12の底面部57及び後面部58に逆止弁付き湧水部13を設けているため、図8に矢印で示すように、該湧水部13において新鮮な地下水を前記淀み空間96に供給できると共に、前記魚巣12にも新鮮な地下水を供給できる。前記淀み空間96の水や前記魚巣12の水は淀んで劣化し易いが、このように淀み空間96や魚巣12に新鮮な地下水が供給されることからこれらの場所の水質を向上させることができ、魚類の生息環境を向上させ得る。そして前記弁体66の逆流防止作用によって、窪み5や魚巣12内の水が地下水の水位低下に伴って湧水部13を通して外部に流出するのを防止できる。
【実施例2】
【0035】
図14〜16は本発明に係る水路構造1の他の実施例を示すものであり、前記実施例における場合と相違するのは、前記と同様の構成を有する窪み形成ブロック19の前記底板部23の後側部分に泥溜め凹部101を設けた点にあり、その余の構成は前記と同様である。
【0036】
該泥溜め凹部101を形成するために、前記窪み形成ブロック19の前記底板部23の略全幅に亘って、前後幅が例えば70cm程度の矩形状の欠切部102を設けると共に、該欠切部102に、上端が開放し且つ深さが10〜20cm程度(例えば10cm程度)の前記泥溜め凹部101を有する泥溜めピット103を嵌め入れ、該泥溜めピット103を前記砕石層83に載置してなり、該泥溜めピット103の上面105は前記底板部23の上面77と面一状態にある。
【0037】
かかる構成の水路構造1によるときは、前記泥溜め凹部101に予め、例えば施工時に発生した土(現地発生土)を充填しておくことにより、前記淀み空間96の底部に図14に示す泥溜まり106が存在するため、頭部を泥に突っ込んで越冬したり泥に潜って越冬する魚類に対して、好適な越冬場所を提供できることになる。又該泥溜まり106は、魚類の産卵場所ともなり得る。
【0038】
なお図15においては、前記泥溜め凹部101が前記底板部23の略全幅に亘って設けられているために、底板部23には前記逆止弁付き湧水部13は設けられていないが、該泥溜め凹部101が底板部23の左右部分や中間部分に設けられたり、該泥溜め凹部101の前後幅が小さい場合は、該泥溜め凹部101の周辺に逆止弁付き湧水部13が設けられることがある。
【実施例3】
【0039】
図17 は本発明に係る水路構造1の他の実施例を示すものであり、第1実施例の水路構造1と相違するのは、前記窪み形成ブロック19を構成する窪み底面9を、その後端34から下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜させた点にある。この傾斜角度θは、3〜10度程度に好ましくは5度程度に設定される。この場合も前記と同様にして、前記底板部23の前記窪み立面6側に逆止弁付き湧水部13が設けられている。
【0040】
前記のように、窪み立面6の近傍には流速の遅い淀み空間96が形成されるため、その空間底面97には土砂が堆積しにくいのであるが、前記窪み底面9が下流に向かって下向きに傾斜することから該空間底面97に沈殿した土砂は、傾斜した窪み底面9に沿って下流側に移動し易く、それだけ前記淀み空間96の容積減少が生じにくい。かかることから、魚類の必要な生息空間を長期間に亘って確保できることとなる。又、このように傾斜面を形成する結果、魚巣12内への土砂の流入も防止できる。
【0041】
図18〜19は、前記窪み底面9を、前記のように下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜させることに加え、前記窪み立面6側に、図14に示すと同様にして、窪み形成ブロック19を用いて泥溜め凹部101を形成した場合を示すものである。
【実施例4】
【0042】
本発明は、前記実施例に示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であるのはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0043】
(1) 図20、図21は、前記窪み立面6で開口する魚巣12の他の態様を示すものであり、左右に角形状の魚巣12a,12aを具える前記魚巣形成ブロック20において、その中央部分107に、内径が10cmで長さが40cm程度の筒状魚巣(例えば円筒状魚巣)12bを、上下2段で且つ左右方向に3列で設けた場合を示している。なお該筒状魚巣12bの長さは50〜70cmに設定されることもある。かかる構成の魚巣12は、前記のように、窪み底面9が下流に向かって下向きに傾斜する場合にも応用され得る。
該筒状魚巣109は本実施例においては、図22〜23に示すように、左右の魚巣部36,36間をなす中間部110に、前端開放の6個の盲孔111を設けると共に各盲孔111に、塩化ビニル製の円筒パイプ112を挿入して形成されている。
【0044】
前記窪み立面6で開口するように設けられる魚巣12は、構築する水路の幅(例えば1〜7m程度)や流速等を考慮して形状や大きさ、個数、配置状態が設定されるものである。例えば、窪み立面6の全体に左右幅の大なる魚巣を設けたり、中央部分に比較的大きな魚巣を設けその両側には前記筒状魚巣12bを配置したり、或いは、窪み立面6の一方の側部には比較的大きな魚巣を設け、他方の側部には筒状魚巣12bを設けたり、比較的大きな魚巣を、窪み立面6の左右方向に間隔を置いて3個以上設けたりする等、各種に魚巣を構成できる。
【0045】
又前記魚巣12は、前記のように、魚巣形成ブロック20に組み込まれることによって該ブロックの前面56が前記窪み立面6を形成することの他、魚巣12が設けられた魚巣ブロック113の1個乃至複数個を用い、例えば図24に示すように該魚巣ブロック113を左右に配置した後、両魚巣ブロック113,113間の部分及び左右の魚巣ブロックの外側部分に、両魚巣ブロックの前面114,114と面一状態にコンクリートを現場打ちすることによって前記窪み立面6を形成することもある。図24においては、説明の便宜上、コンクリートの現場打ち部分115を散点を付して示している。
【0046】
(2) 本発明において、略垂直な窪み立面6は、垂直な面の他、垂直線に対して上流側及び下流側に夫々10度程度までの範囲で傾斜したものも含む。
【0047】
(3) 本発明に係る水路構造1を構築する水路は、前記実施例で示したようなプレキャストコンクリート製のブロックを接合して構築されることの他、図25に示すような、立上がり片116,116を両側に有するコ字状支持枠117を所要間隔を置いて並設すると共に、水路の長さ方向で隣り合う立上がり片116,116で側板119の両側部分を支持させて構成した水路に対しても応用できる他、現場打ち施工によっても構築される。又本発明に係る水路構造は、既設の水路に対しても応用できる。そして、かかる水路の水路底面3に、前記のようなプレキャストコンクリート製のブロック15を用いて窪み5が構築され、或いは、現場打ち施工によって窪み5が構築される。
【0048】
(4) 本発明に係る水路構造1は、前記窪み立面6の高さをHとしたとき、前記窪み底面9の水路延長方向の長さ及び前記窪み傾斜面11の水路延長方向の長さが共にH〜8Hに設定され、且つ前記窪み立面6の高さHが30〜65cmに設定されるのであるが、該窪み立面6の高さHの寸法範囲は、該窪みに生息する魚類の生活水深(通常、その場所で生息する魚類の体長の約3倍として設定される)を保ち、且つ、該窪みに生息する魚類を鳥類、特にサギ類等の外敵から保護できるように(通常、サギ類の足の長さ以上に設定される)設定される。そして、窪み底面9の水路延長方向の長さをHよりも小さくすることは、流速の遅い淀み空間96の容積が小さくなるために好ましくなく、逆に8Hよりも大きくすることは、窪み傾斜面11を上昇する上昇水の勢いが小さくなって該窪み傾斜面11等に沈殿した土砂を排出し難くなって好ましくない。又、窪み傾斜面11の水路延長方向の長さをHよりも小さくすることは、該窪み傾斜面11が急角度になって沈殿土砂の排出が円滑に行われ難くなるために好ましくない。逆に8Hよりも大きくすることは、窪み傾斜面11の長さが長くなるために、窪み傾斜面11を上昇する上昇水の勢いが小さくなって該窪み傾斜面11に沈殿した土砂を排出し難くなって好ましくない。
【0049】
(5) 前記窪み立面6の下端8から下流側に向かってH〜2Hまでの範囲は、流速の遅い空間を形成できることから、前記窪み底面9に設ける泥溜め凹部101は、前記窪み立面6の下端8から下流側に向かってH〜2Hまでの範囲で設けるのがよい。又前記泥溜め凹部101は、窪み底面9の全幅に亘って設けることの他、前記のように部分的に設けてもよい。
【0050】
(6) 図26は、前記窪み形成ブロック19及び前記魚巣形成ブロック20を基礎コンクリート119上に載置した状態を示す断面図であり、逆止弁付き湧水部13を設けるべき部位において、前記底板部23及び底面部57に装着孔59,59を貫設すると共に、各装着孔59に連通させて前記基礎コンクリート119に貫通孔120を設けている。そして各装着孔59に、前記と同様にして湧水具60を装着することにより逆止弁付き湧水部13を構成している。このように構成した場合は、地下水が、前記貫通孔120及び前記湧水具の筒状体61を通して前記窪み5や魚巣12に流入できる。
逆止弁付き湧水部13は、前記窪み5や前記魚巣12に向けての湧水の吐出を許容するがその逆の流れは阻止する弁体66を具えるものであれば各種の公知手段を用いて構成できる。
【0051】
(7) 前記窪み5は、図3に示すように水路2の全幅に亘って形成されることの他、水路に棲息する魚類の特性等を考慮して流速の遅い部分に部分的に設けられることもある。例えば図27においては、湾曲する水路2の湾曲部の内側部分2Aに窪み5を設けており、図28においては、直線状の水路2の両側部分2B,2Bに窪み5を設けている。この場合、一方の側部分にのみ窪みが設けられることもある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る水路構造を説明する断面図である。
【図2】その部分拡大図である。
【図3】その部分斜視図である。
【図4】その一部欠切の部分斜視図である。
【図5】水路構造を構成するブロックを分解して示す斜視図である。
【図6】窪み形成ブロックを示す斜視図である。
【図7】魚巣形成ブロックを示す斜視図である。
【図8】逆止弁付き湧水部における地下水の吐出状態を示す断面図である。
【図9】逆止弁付き湧水部の構成を説明する分解斜視図である。
【図10】逆止弁付き湧水部を弁体が開いた状態で示す斜視図である。
【図11】逆止弁付き湧水部を、弁体が閉じた状態で示す断面図である。
【図12】逆止弁付き湧水部を、弁体が開いた状態で示す断面図である。
【図13】水路構造の窪みにおける流水の流れ状態を示す断面図である。
【図14】泥溜め凹部を具える水路構造を示す断面図である。
【図15】その一部欠切斜視図である。
【図16】その水路構造を構成する窪み形成ブロックと泥溜めピットを示す斜視図である。
【図17】窪み底面が傾斜する水路構造を示す断面図である。
【図18】窪み底面が傾斜し且つ該窪み底面に泥溜め凹部が設けられた水路構造を示す断面図である。
【図19】その一部欠切の部分斜視図である。
【図20】筒状魚巣を具える水路構造を示す一部欠切斜視図である。
【図21】筒状魚巣を具える水路構造のその他の態様を示す一部欠切斜視図である。
【図22】筒状魚巣の構成を説明する分解斜視図である。
【図23】筒状魚巣を示す断面図である。
【図24】窪み立面の他の構成を説明する正面図である。
【図25】水路の他の構成を説明する斜視図である。
【図26】基礎コンクリート上に魚巣形成ブロックを載置した場合の逆止弁付き湧水部を示す断面図である。
【図27】水路における窪みの他の配置状態を示す平面図である。
【図28】水路における窪みのその他の配置状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 水路構造
2 水路
3 水路底面
5 窪み
6 窪み立面
9 窪み底面
11 窪み傾斜面
12 魚巣
13 逆止弁付き湧水部
17 水路ブロック
19 窪み形成ブロック
20 魚巣形成ブロック
23 底板部
25 側板部
60 湧水具
66 弁体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類の生息に適した窪みを具える生態系配慮型水路構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚介類の生息に配慮した水路構造の一例としては、特開平8−224591号公報や特開平6−128929号公報が開示するような、水路底面に窪みを設けた水路構造が提案されている。
【0003】
前者の水路構造は、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、内壁面が垂直に形成された窪みを形成したものであり、該窪みに土砂を堆積させて魚介類の生息場所を形成せんとするものであった。かかる窪みは、その内壁面が垂直であったために土砂が堆積しやすく貝類や水生昆虫等の底生動物の生息には好適であったが、土砂が順次堆積して窪みの水深が浅くなりやすく魚類の生息には不向きであり、魚類が寄り付かなくなる問題があった。
【0004】
又後者の水路構造は、水路底面に窪みが形成されてはいるが落差工を前提としたものであるので、その窪みでは、落水の水の勢いによって渦流状の乱流が発生して淀み部分は存在しない。そのため該窪みは、魚類の遡上の為には好都合であっても魚類の生息場所(休息場所や産卵場所、越冬場所等)としては不適切であった。
【0005】
又特開平9−165733号公報が開示するように、水路側部に魚巣を設けて魚類の休息場所や隠れ家、産卵場所を形成することも行われているが、かかる水路側部の魚巣は、その開口周辺の流速が速いために生息場所としての機能を有効に発揮しない問題があった他、魚巣に泥が堆積して生息空間が減少しやすく魚類の生息に不向きであり、折角設けた魚巣に魚類が寄り付かなくなる問題があった。
【特許文献1】特開平8−224591号公報(第6頁、図11)
【特許文献2】特開平6−128929号公報(第2頁、図6)
【特許文献3】特開平9−165733号公報(第3頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、魚類の生息に適した淀み空間と、貝類や水生昆虫等の底生動物の生息に適した土砂の堆積部分を同時に形成できると共に、沈澱した土砂の排除が適度に行われて長期間に亘ってメンテナンスを要さない生態系配慮型水路構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記課題を解決するため以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る生態系配慮型水路構造は、河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に略水平の窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されており、又、前記窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
又本発明に係る生態系配慮型水路構造のより好ましい態様は、河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に、下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されており、又、前記窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る生態系配慮型水路構造のより具体的な態様は、河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に略水平の窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されており、又、前記窪み立面で開口する魚巣が設けられると共に、前記窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けると共に、前記魚巣の内面側に、該魚巣に向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
又本発明に係る生態系配慮型水路構造のより具体的な他の態様は、河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に、下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されており、又、前記窪み立面で開口する魚巣が設けられると共に、前記窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けると共に、前記魚巣の内面側に、該魚巣に向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る水路構造は、落差工にならない状態で窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面が略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に、略水平な窪み底面が連設され、或いは、下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する窪み底面が連設され、又、該窪み底面の下流端に下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設された構成を有する。
従って本発明に係る水路構造によるときは、流速が遅く魚類の生息に適した淀み空間を窪み立面の近傍に形成できると共に、貝類や水生昆虫等の底生動物の生息に適した土砂の堆積部を該淀み空間の下流側に同時に形成でき、生態系上好ましい。
又前記窪みは、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面を具えるため、該窪み傾斜面に沿って上昇する水流の勢いによって、窪みに沈殿した土砂を下流側に排出する作用が適度に得られ、長期間に亘ってメンテナンスを要さない利点がある。
【0012】
(2) 前記窪み底面を下流に向かって略一定勾配で傾斜する如く構成した場合は、前記淀み空間の底面に沈殿した土砂が下流側に移動し易くなるため、前記淀み空間の容積が減少するのを効果的に防止でき、又、土砂が堆積して水深が小さくなることによって淀み空間の流速が早くなるのを防止できる。かかることから、魚類の生息空間を良好に維持できる利点がある。又、該淀み空間の底面に土砂が堆積しにくいことから魚巣底面にも土砂が堆積しにくい利点がある。
【0013】
(3) 前記窪み底面の前記窪み立面側に泥溜め凹部を設けた場合は、該泥溜め凹部を魚類の産卵場所や越冬場所となし得て魚類の生息環境を向上させ得る。
【0014】
(4) 魚巣を前記窪みに設ける場合、該魚巣を前記窪み立面で開口するように設ける場合は、該魚巣が淀み空間に連通する状態となる。又、該淀み空間の底面に土砂が堆積しにくいことから魚巣底面に土砂が堆積しにくく、魚巣内の生息空間容積が減少するのを防止できる。かかることから、形成された魚巣は、流速が早く且つ土砂が堆積しやすい従来魚巣の問題点を解決でき、休息場所や産卵場所、避難場所としての魚巣本来の機能を有効に発揮できる。
【0015】
(5) 前記窪み底面の前記窪み立面側に逆止弁付き湧水部を設けた場合は、前記淀み空間に新鮮な地下水を供給できることになり、淀み空間における魚類の生息環境を向上させ得る。併せて魚巣の内面側にも逆止弁付き湧水部を設ける場合は、魚巣にも新鮮な地下水を供給できることとなり、魚巣内の生息環境も向上させ得る。
【実施例1】
【0016】
図1〜4において本発明に係る生態系配慮型水路構造(以下水路構造という)1は、1〜10m程度の水路幅(例えば2mの水路幅)を有する河川等の水路2の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配(例えば1/300程度の勾配)で傾斜する水路底面3に、魚類が生息できる窪み5が形成されてなり、該窪み5の水路上流側の面は略垂直な窪み立面6として形成されている。又、前記窪み立面6の下端8に略水平の窪み底面9が連設されると共に該窪み底面9の下流端10に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面11が連設されている。そして前記窪み立面6の高さをHとしたとき、前記窪み底面9の水路延長方向の長さL1及び前記窪み傾斜面11の水路延長方向の長さL2は共にH〜8Hに設定され、且つ前記窪み立面6の高さHが30〜65cm(例えば50cm)に設定されている。又、窪み立面6の左右に位置させて該窪み立面6で開口する魚巣12,12が設けられると共に、前記窪み底面9の前記窪み立面6側に、及び、該魚巣12,12の内面側に逆止弁付き湧水部13が設けられている。
【0017】
前記水路2は、その全体がプレキャストコンクリート製のブロック15を用いて構築されており、該ブロック15は、本実施例においては図3、図5に示すように、水路本体16を構築する水路ブロック17と、前記窪み5を構築する窪み形成ブロック19と、前記魚巣12を形成する魚巣形成ブロック20とからなる。
【0018】
前記水路ブロック15は、本実施例においては図5に示すように、底板21の両側で側板22,22が立設され且つ前後端(下流側が前)が開放されたU字溝状を呈し、ブロックの前後長さ及び水路幅が共に2mに設定されると共に、水路深さが1mに設定され、部材厚さが10cmに設定されている。
【0019】
又前記窪み形成ブロック19は、本実施例においては図5〜6に示すように、底板部23の両側で側板部25,25が立設され且つ前後端(下流側が前)が開放されている。そして、両側板部25,25の内面間は2mに設定され、ブロックの前後長さは4mに設定され、前記側板部25,25の高さは等しく、両側板部25,25の後端高さは1m50cmに設定されると共に前端高さは1mに設定されている。又、前記底板部23及び前記両側板部25,25の肉厚は10cmに設定されている。そして、前記底板部23の後側の半分はその上面が水平な窪み底面9として形成されると共に該底板部23の前側部分の上面は、下流に向かって上向きに10〜25度の略一定勾配で緩く傾斜する前記窪み傾斜面11として形成されている。該窪み形成ブロック19の底板部23の前面26、両側板部25,25の前面27,27は図2に示すように、夫々、前記水路ブロック17の前記底板21の後面29、両側板22,22の後面30,30と当接でき、又、該窪み形成ブロック19の底板部23の後面31、両側板部25,25の後面32,32の上側部分32a,32aは、夫々、前記水路ブロック17の底板21の前面33、両側板22,22の前面35,35と当接し得る。
【0020】
又前記魚巣形成ブロック20は、本実施例においては図5、図7に示すように、左右方向の長さが2m20cmに設定されると共に高さが50cmに設定され、全体が一体に形成されている。より具体的には、下流に向けて開口する角形空所としての前記魚巣12を有する左右の魚巣部36,36の向き合う側面37,37の前端部(下流側が前)39,39相互が連結片40で連結されると共に、両魚巣部36,36の外側面41,41の前端部42,42に張出片43,43が突設されている。該連結片40の下面45及び両張出片43,43の下面46,46は、両魚巣部36,36の下面47,47と面一であり、又該連結片40の上面49及び両張出片43,43の上面50,50は,両魚巣部36,36の上面51,51と面一である。又、両魚巣部36,36の前面52,52と前記連結片40の前面53と両張出片43,43の前面55,55は、面一の垂直面として形成されている。そして該前面52,52,53,55,55(以下、全体をまとめて前面56という)の下端部分57は、前記窪み形成ブロック19の底板部23の後面31(図5〜6)に当接し得ると共に、前記両張出片43,43の前面55,55の端部側の上側部分55a,55aは、前記窪み形成ブロック19の両側板部25,25の後面32の下側部分32b,32b(図5〜6)に当接し得る。前記魚巣部36の各部の寸法を例示すれば、肉厚が10cmに設定され、前記角形空所(魚巣12)は、上下高さが30cm、左右幅が40cm,奥行きが40cmに設定されている。
【0021】
前記逆止弁付き湧水部13は、図8に示すように、前記窪み形成ブロック19と前記魚巣部36,36に設けられている。又、窪み形成ブロック19に関しては、前記底板部23の後端34から約25cm前側に位置した部分の中央部位と、その両側に約50cm間隔を隔てた部位に設けられており、一方前記魚巣部36,36に関しては、底面部57の中央部位及び後面部58の中央部位に設けられている。
【0022】
該逆止弁付き湧水部13の構成は、図9〜11に示すように、上下方向又は前後方向に貫設した例えば直径60mmの装着孔59に湧水具60を装着して構成されており、該湧水具60は、図9〜10に示すように、塩化ビニール製等の筒状体(例えば円筒体)61の一方の端部側に、底部分62に円形孔63が多数設けられた上端開放の偏平な弁収容部65が設けられ、該弁収容部65に弁体66が付設されている。該弁体66は、例えば、ゴム製の円板体として形成され、その上面の端部側にV字溝67が形成されることにより固定部69と弁本体70が設けられている。そして該固定部69が前記底部分62の縁側にビス68で固定されることにより、前記弁本体70が、図11に示すように、前記窪み5や前記魚巣12における水圧によって前記底部分62の全ての円形孔63を塞ぐと共に、図12に示すように、前記V字溝67の溝底部71を蝶番として開くことができ、前記窪み5や前記魚巣12に向けての湧水の吐出を許容する。又前記円筒体61の上端には、図9に示すように、係合鍔部72が周設されている。
【0023】
かかる構成の湧水具60を前記底板部23、前記底面部57、前記後面部58に装着して図8に示す前記逆止弁付き湧水部13を構成するには、図11に示すように、該円筒体61を前記装着孔59に挿入すると共に、前記係合鍔部72を、前記装着孔59の上端周縁部分又は前端周縁部分に設けられた周方向の嵌合溝73(図9)に嵌め入れた状態で該円筒体61を前記底板部23や底面部57、後面部58に固定する。これにより、図11に示すように、前記円筒体61の下端73が前記底板部23の下面75と面一となり且つ該円筒体61の上端76が前記底板部23の上面77と面一となる。
【0024】
前記構成を有する水路ブロック17と窪み形成ブロック19と魚巣形成ブロック20を用いて、魚巣付きの窪みが形成された水路構造1を構築するには、図1〜2に示すように、地盤を掘削して形成した水路構築部の底部80に、例えば30〜40mに1箇所の割合で、その全幅に亘って所要形状且つ所要深さで掘り下げて窪み部81を形成する。該窪み部81の上面82の形状は、前記窪み形成ブロック19の底板部23の下面形状に合致させる。そして、該上面82に例えば15cmの厚さで砕石層83を形成する。なお該砕石層83は前記底板部23の後端34よりも後側に稍延長されている。該砕石層83の上面85に前記窪み形成ブロック19の底板部23を密着状態で載置する。その後、前記魚巣形成ブロック20を、前記砕石層83の後側の延長部の上面86に、前記魚巣12を前方に開口させて載置し、前記前面56の下端部分57(図7)を前記底板部23の後面31に当接させると共に、前記両張出片43,43の前面55,55の端部側の上側部分55a,55a(図7)を前記両側板部25,25の後面の下側部分32b,32b(図5〜6)に当接させる。これにより、図2に示すように、魚巣12の底面87が前記底板部23の上面77と面一になる。
【0025】
その後、図1〜2に示すように、このように敷設された窪み形成ブロック19の下流側において、該窪み形成ブロック19の前端に連なるように前記水路ブロック17の底板21を前記水路構築部の前記底部80に載置する。この際、該底板21の後面29を前記底板部23の前面26に当接させると共に(図2)、前記両側板22,22の後面30,30を前記両側板部25,25の前面27,27に当接させる。その後、図1に示すように、別の水路ブロック17を、該敷設された水路ブロック17の前端に、端部相互を当接状態にして敷設し、順次同様にして水路ブロック17を敷設する。
【0026】
又、敷設された前記窪み形成ブロック19の上流側においては、図1〜2に示すように、前記水路ブロック17の底板21の前側部分21aを、敷設された魚巣形成ブロック20の上面89に載置すると共にその後側部分21bを前記底部80に載置する。この際、図4に示すように、該水路ブロック17の底板21の前面33の両側部分33aを前記窪み形成ブロック19の側板部25の後面32に当接させ、且つ該水路ブロック17の両側板22,22の前面35,35を、前記窪み形成ブロック19の両側板部25,25の後面の上側部分32a,32aに当接させる。その後、別の水路ブロック17を、該敷設された水路ブロック17の後端に、端部相互を当接状態にして敷設し、順次同様にして水路ブロック17を敷設する。
【0027】
なお、前記のようにして敷設された水路ブロック17,17相互及び水路ブロック17と前記窪み形成ブロック19相互は、例えば図3に示すような連結金具90を用いてボルト91で連結する。このようにしてブロック相互を連結することにより、図1に示すような水路構造1を構築できる。
【0028】
このように構成された水路構造1は、前記魚巣形成ブロック20の前記前面56と前記水路ブロック17の底板21の前面3とが形成する前記窪み立面6は略垂直を呈し、又該窪み立面6の高さHは50cmに設定されており、この寸法は前記Hの寸法範囲にある。本実施例において前記窪み立面6の高さHを50cmに設定した理由は、前記窪み5に生息する魚類の必要な生活水深(通常、その場所で生息する魚類の体長の約3倍として設定される)を保ち、且つ、該窪み5に生息する魚類を鳥類、特にサギ類等の外敵から効果的に保護できるようにする(通常、サギ類の足の長さ以上に設定される)ためである。
【0029】
又、前記窪み底面9の水路延長方向の長さは2m(4H)であり、この寸法は前記長さH〜8Hの寸法範囲にある。又、前記窪み傾斜面11の水路延長方向の長さは2m(4H)であることから、これは前記長さH〜8Hの寸法範囲にあり、該窪み傾斜面11の傾斜角度は約15度である。
【0030】
かかる構成を有する水路構造1によるときは、前記窪み5の上流側の水路2aを流れる水路水(通常、毎秒0.2〜3m、例えば毎秒0.7m程度)が該窪み5に達したとき、前記窪み立面6が略垂直に形成されていることから、該上流側の水路2aの水深の下側の流水92は、図13、図8に矢印で示すように窪み5に斜め下方に流入して前方に移動する。そして該流入流92aは、前記窪み傾斜面11の下側部分94で、該下側部分94に沿って上昇する上昇流92bと、該下側部分94に沿って下降する下降流92cに分かれる。該上昇流92bは窪み傾斜面11を上昇して下流側の水路2bに流入する。一方前記下降流92cは、前記窪み底面9に沿って前方に移動し、その後、前記窪み立面6寄り部分で上昇し、該上昇流92dは、前記斜め下方の流入流92aに合流して前方に移動する。これにより、前記斜め下方の流入流92aの下側の、前記窪み立面6と前記上昇流92dとの間に三角形状の淀み空間96が形成される。この淀み空間96は、流速が遅く、しかも空間底面97に土砂も堆積しにくいことから、魚類にとって良好な生息空間となり得る。該空間底面97に土砂が堆積しにくいのは、前記上流側の水路2aの流水に混入していた土砂は、窪み5内を前記流水に乗って移動しやすいことから、前記窪み立面6側では堆積しにくく(通常、該窪み立面6から前方にH〜2Hの範囲には堆積しにくい)、それより先の窪み底面9で沈殿しやすいからである。そして、このような土砂の堆積は一定厚さ以上には成長しにくい。その理由は、土砂が一定厚さ、例えば10〜20cm程度の厚さに堆積した後は、該堆積層98の上側の土砂が、前記斜め下方の流入流92aに乗って下流側に流され、その後、前記窪み傾斜面11を上昇する上昇流92bに乗って下流側の水路2bに排出されるからである。
【0031】
従って、内壁面が垂直に形成された前記従来の窪みにおけるような、窪み5が短期間の内に土砂で埋まってしまうという事態が回避され、魚類の生息に必要な生息空間容積が該窪み5に長期間に亘って確保されることになる。そして前記土砂の堆積層98は、貝類や水性昆虫等の底生動物にとって良好な生息場所となり得る。又前記魚巣12は、魚類の休息場所や隠れ家、産卵場所として有効に機能し得る。なお本実施例においては、魚巣12を、流速の特に遅い淀み空間の両側に設けているため、魚巣機能が一層良好に発揮される。
【0032】
又本実施例においては前記のように、前記窪み立面6の下端近傍や前記魚巣12の底面部57及び後面部58に逆止弁付き湧水部13を設けているため、図8に矢印で示すように、該湧水部13において新鮮な地下水を前記淀み空間96に供給できると共に、前記魚巣12にも新鮮な地下水を供給できる。前記淀み空間96の水や前記魚巣12の水は淀んで劣化し易いが、このように淀み空間96や魚巣12に新鮮な地下水が供給されることからこれらの場所の水質を向上させることができ、魚類の生息環境を向上させ得る。そして前記弁体66の逆流防止作用によって、窪み5や魚巣12内の水が地下水の水位低下に伴って湧水部13を通して外部に流出するのを防止できる。
【実施例2】
【0033】
図14〜16は本発明に係る水路構造1の他の実施例を示すものであり、前記実施例における場合と相違するのは、前記と同様の構成を有する窪み形成ブロック19の前記底板部23の後側部分に泥溜め凹部101を設けた点にあり、その余の構成は前記と同様である。
【0034】
該泥溜め凹部101を形成するために、前記窪み形成ブロック19の前記底板部23の略全幅に亘って、前後幅が例えば70cm程度の矩形状の欠切部102を設けると共に、該欠切部102に、上端が開放し且つ深さが10〜20cm程度(例えば10cm程度)の前記泥溜め凹部101を有する泥溜めピット103を嵌め入れ、該泥溜めピット103を前記砕石層83に載置してなり、該泥溜めピット103の上面105は前記底板部23の上面77と面一状態にある。
【0035】
かかる構成の水路構造1によるときは、前記泥溜め凹部101に予め、例えば施工時に発生した土(現地発生土)を充填しておくことにより、前記淀み空間96の底部に図14に示す泥溜まり106が存在するため、頭部を泥に突っ込んで越冬したり泥に潜って越冬する魚類に対して、好適な越冬場所を提供できることになる。又該泥溜まり106は、魚類の産卵場所ともなり得る。
【0036】
なお図15においては、前記泥溜め凹部101が前記底板部23の略全幅に亘って設けられているために、底板部23には前記逆止弁付き湧水部13は設けられていないが、該泥溜め凹部101が底板部23の左右部分や中間部分に設けられたり、該泥溜め凹部101の前後幅が小さい場合は、該泥溜め凹部101の周辺に逆止弁付き湧水部13が設けられることがある。
【実施例3】
【0037】
図17 は本発明に係る水路構造1の他の実施例を示すものであり、第1実施例の水路構造1と相違するのは、前記窪み形成ブロック19を構成する窪み底面9を、その後端34から下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜させた点にある。この傾斜角度θは、3〜10度程度に好ましくは5度程度に設定される。この場合も前記と同様にして、前記底板部23の前記窪み立面6側に逆止弁付き湧水部13が設けられている。
【0038】
前記のように、窪み立面6の近傍には流速の遅い淀み空間96が形成されるため、その空間底面97には土砂が堆積しにくいのであるが、前記窪み底面9が下流に向かって下向きに傾斜することから該空間底面97に沈殿した土砂は、傾斜した窪み底面9に沿って下流側に移動し易く、それだけ前記淀み空間96の容積減少が生じにくい。かかることから、魚類の必要な生息空間を長期間に亘って確保できることとなる。又、このように傾斜面を形成する結果、魚巣12内への土砂の流入も防止できる。
【0039】
図18〜19は、前記窪み底面9を、前記のように下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜させることに加え、前記窪み立面6側に、図14に示すと同様にして、窪み形成ブロック19を用いて泥溜め凹部101を形成した場合を示すものである。
【実施例4】
【0040】
本発明は、前記実施例に示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であるのはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0041】
(1) 図20、図21は、前記窪み立面6で開口する魚巣12の他の態様を示すものであり、左右に角形状の魚巣12a,12aを具える前記魚巣形成ブロック20において、その中央部分107に、内径が10cmで長さが40cm程度の筒状魚巣(例えば円筒状魚巣)12bを、上下2段で且つ左右方向に3列で設けた場合を示している。なお該筒状魚巣12bの長さは50〜70cmに設定されることもある。かかる構成の魚巣12は、前記のように、窪み底面9が下流に向かって下向きに傾斜する場合にも応用され得る。
該筒状魚巣109は本実施例においては、図22〜23に示すように、左右の魚巣部36,36間をなす中間部110に、前端開放の6個の盲孔111を設けると共に各盲孔111に、塩化ビニル製の円筒パイプ112を挿入して形成されている。
【0042】
前記窪み立面6で開口するように設けられる魚巣12は、構築する水路の幅(例えば1〜7m程度)や流速等を考慮して形状や大きさ、個数、配置状態が設定されるものである。例えば、窪み立面6の全体に左右幅の大なる魚巣を設けたり、中央部分に比較的大きな魚巣を設けその両側には前記筒状魚巣12bを配置したり、或いは、窪み立面6の一方の側部には比較的大きな魚巣を設け、他方の側部には筒状魚巣12bを設けたり、比較的大きな魚巣を、窪み立面6の左右方向に間隔を置いて3個以上設けたりする等、各種に魚巣を構成できる。
【0043】
又前記魚巣12は、前記のように、魚巣形成ブロック20に組み込まれることによって該ブロックの前面56が前記窪み立面6を形成することの他、魚巣12が設けられた魚巣ブロック113の1個乃至複数個を用い、例えば図24に示すように該魚巣ブロック113を左右に配置した後、両魚巣ブロック113,113間の部分及び左右の魚巣ブロックの外側部分に、両魚巣ブロックの前面114,114と面一状態にコンクリートを現場打ちすることによって前記窪み立面6を形成することもある。図24においては、説明の便宜上、コンクリートの現場打ち部分115を散点を付して示している。
【0044】
(2) 本発明において、略垂直な窪み立面6は、垂直な面の他、垂直線に対して上流側及び下流側に夫々10度程度までの範囲で傾斜したものも含む。
【0045】
(3) 本発明に係る水路構造1を構築する水路は、前記実施例で示したようなプレキャストコンクリート製のブロックを接合して構築されることの他、図25に示すような、立上がり片116,116を両側に有するコ字状支持枠117を所要間隔を置いて並設すると共に、水路の長さ方向で隣り合う立上がり片116,116で側板119の両側部分を支持させて構成した水路に対しても応用できる他、現場打ち施工によっても構築される。又本発明に係る水路構造は、既設の水路に対しても応用できる。そして、かかる水路の水路底面3に、前記のようなプレキャストコンクリート製のブロック15を用いて窪み5が構築され、或いは、現場打ち施工によって窪み5が構築される。
【0046】
(4) 本発明に係る水路構造1は、前記窪み立面6の高さをHとしたとき、前記窪み底面9の水路延長方向の長さ及び前記窪み傾斜面11の水路延長方向の長さが共にH〜8Hに設定され、且つ前記窪み立面6の高さHが30〜65cmに設定されるのであるが、該窪み立面6の高さHの寸法範囲は、該窪みに生息する魚類の生活水深(通常、その場所で生息する魚類の体長の約3倍として設定される)を保ち、且つ、該窪みに生息する魚類を鳥類、特にサギ類等の外敵から保護できるように(通常、サギ類の足の長さ以上に設定される)設定される。そして、窪み底面9の水路延長方向の長さをHよりも小さくすることは、流速の遅い淀み空間96の容積が小さくなるために好ましくなく、逆に8Hよりも大きくすることは、窪み傾斜面11を上昇する上昇水の勢いが小さくなって該窪み傾斜面11等に沈殿した土砂を排出し難くなって好ましくない。又、窪み傾斜面11の水路延長方向の長さをHよりも小さくすることは、該窪み傾斜面11が急角度になって沈殿土砂の排出が円滑に行われ難くなるために好ましくない。逆に8Hよりも大きくすることは、窪み傾斜面11の長さが長くなるために、窪み傾斜面11を上昇する上昇水の勢いが小さくなって該窪み傾斜面11に沈殿した土砂を排出し難くなって好ましくない。
【0047】
(5) 前記窪み立面6の下端8から下流側に向かってH〜2Hまでの範囲は、流速の遅い空間を形成できることから、前記窪み底面9に設ける泥溜め凹部101は、前記窪み立面6の下端8から下流側に向かってH〜2Hまでの範囲で設けるのがよい。又前記泥溜め凹部101は、窪み底面9の全幅に亘って設けることの他、前記のように部分的に設けてもよい。
【0048】
(6) 図26は、前記窪み形成ブロック19及び前記魚巣形成ブロック20を基礎コンクリート119上に載置した状態を示す断面図であり、逆止弁付き湧水部13を設けるべき部位において、前記底板部23及び底面部57に装着孔59,59を貫設すると共に、各装着孔59に連通させて前記基礎コンクリート119に貫通孔120を設けている。そして各装着孔59に、前記と同様にして湧水具60を装着することにより逆止弁付き湧水部13を構成している。このように構成した場合は、地下水が、前記貫通孔120及び前記湧水具の筒状体61を通して前記窪み5や魚巣12に流入できる。
逆止弁付き湧水部13は、前記窪み5や前記魚巣12に向けての湧水の吐出を許容するがその逆の流れは阻止する弁体66を具えるものであれば各種の公知手段を用いて構成できる。
【0049】
(7) 前記窪み5は、図3に示すように水路2の全幅に亘って形成されることの他、水路に棲息する魚類の特性等を考慮して流速の遅い部分に部分的に設けられることもある。例えば図27においては、湾曲する水路2の湾曲部の内側部分2Aに窪み5を設けており、図28においては、直線状の水路2の両側部分2B,2Bに窪み5を設けている。この場合、一方の側部分にのみ窪みが設けられることもある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る水路構造を説明する断面図である。
【図2】その部分拡大図である。
【図3】その部分斜視図である。
【図4】その一部欠切の部分斜視図である。
【図5】水路構造を構成するブロックを分解して示す斜視図である。
【図6】窪み形成ブロックを示す斜視図である。
【図7】魚巣形成ブロックを示す斜視図である。
【図8】逆止弁付き湧水部における地下水の吐出状態を示す断面図である。
【図9】逆止弁付き湧水部の構成を説明する分解斜視図である。
【図10】逆止弁付き湧水部を弁体が開いた状態で示す斜視図である。
【図11】逆止弁付き湧水部を、弁体が閉じた状態で示す断面図である。
【図12】逆止弁付き湧水部を、弁体が開いた状態で示す断面図である。
【図13】水路構造の窪みにおける流水の流れ状態を示す断面図である。
【図14】泥溜め凹部を具える水路構造を示す断面図である。
【図15】その一部欠切斜視図である。
【図16】その水路構造を構成する窪み形成ブロックと泥溜めピットを示す斜視図である。
【図17】窪み底面が傾斜する水路構造を示す断面図である。
【図18】窪み底面が傾斜し且つ該窪み底面に泥溜め凹部が設けられた水路構造を示す断面図である。
【図19】その一部欠切の部分斜視図である。
【図20】筒状魚巣を具える水路構造を示す一部欠切斜視図である。
【図21】筒状魚巣を具える水路構造のその他の態様を示す一部欠切斜視図である。
【図22】筒状魚巣の構成を説明する分解斜視図である。
【図23】筒状魚巣を示す断面図である。
【図24】窪み立面の他の構成を説明する正面図である。
【図25】水路の他の構成を説明する斜視図である。
【図26】基礎コンクリート上に魚巣形成ブロックを載置した場合の逆止弁付き湧水部を示す断面図である。
【図27】水路における窪みの他の配置状態を示す平面図である。
【図28】水路における窪みのその他の配置状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 水路構造
2 水路
3 水路底面
5 窪み
6 窪み立面
9 窪み底面
11 窪み傾斜面
12 魚巣
13 逆止弁付き湧水部
17 水路ブロック
19 窪み形成ブロック
20 魚巣形成ブロック
23 底板部
25 側板部
60 湧水具
66 弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に略水平の窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されていることを特徴とする生態系配慮型水路構造。
【請求項2】
河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に、下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されていることを特徴とする生態系配慮型水路構造。
【請求項3】
河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に略水平の窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されており、前記窪み立面の高さをHとしたとき、前記窪み底面の水路延長方向の長さ及び前記窪み傾斜面の水路延長方向の長さは共にH〜8Hに設定され、且つ前記窪み立面の高さHが30〜65cmに設定されていることを特徴とする生態系配慮型水路構造。
【請求項4】
河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に、下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されており、前記窪み立面の高さをHとしたとき、前記窪み底面の水路延長方向の長さ及び前記窪み傾斜面の水路延長方向の長さは共にH〜8Hに設定され、且つ前記窪み立面の高さHが30〜65cmに設定されていることを特徴とする生態系配慮型水路構造。
【請求項5】
前記窪み底面の前記窪み立面側に泥溜め凹部が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の生態系配慮型水路構造。
【請求項6】
前記窪み立面で開口する魚巣が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の生態系配慮型水路構造。
【請求項7】
前記窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の生態系配慮型水路構造。
【請求項8】
前記窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けると共に、前記魚巣の内面側に、該魚巣に向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けたことを特徴とする請求項6記載の生態系配慮型水路構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に略水平の窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されており、又、前記窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けたことを特徴とする生態系配慮型水路構造。
【請求項2】
河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に、下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されており、又、前記窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けたことを特徴とする生態系配慮型水路構造。
【請求項3】
河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に略水平の窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されており、又、前記窪み立面で開口する魚巣が設けられると共に、前記窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けると共に、前記魚巣の内面側に、該魚巣に向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けたことを特徴とする生態系配慮型水路構造。
【請求項4】
河川等の水路の、水平乃至下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する水路底面に、魚類が生息できる窪みが形成され、該窪みの水路上流側の面は略垂直な窪み立面に形成されると共に、該窪み立面の下端に、下流に向かって下向きに略一定勾配で傾斜する窪み底面が連設され、又該窪み底面の下流端に、下流に向かって上向きに略一定勾配で傾斜する窪み傾斜面が連設されており、又、前記窪み立面で開口する魚巣が設けられると共に、前記窪み底面の前記窪み立面側に、前記窪みに向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けると共に、前記魚巣の内面側に、該魚巣に向けての湧水の吐出を許容するが逆の流れは阻止する逆止弁付き湧水部を設けたことを特徴とする生態系配慮型水路構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−138168(P2006−138168A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330539(P2004−330539)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【特許番号】特許第3748878号(P3748878)
【特許公報発行日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(305011400)福井県土地改良事業団体連合会 (2)
【出願人】(000137074)株式会社ホクコン (40)
【Fターム(参考)】