説明

生活支援報知システム

【課題】住居人の、睡眠行動に関する異常を住居人に報知することができる生活支援報知システムを提供する。
【解決手段】制御装置1およびセンサ端末2により住宅内の寝室以外の部屋に設置されたテレビ100の稼動状態を検出する稼動検出手段と、テレビ100が設置された部屋の照度を計測する照度計測手段と、テレビ100が設置された部屋において人の動きを検出する人検出手段と、稼動検出手段によりテレビ100の稼動状態を検出した状態であり、かつ照度計測手段を用いて計測した照度が所定閾値以上である状態であり、かつ人検出手段により人の動きを検出しない状態が所定時間継続した場合に、寝室外睡眠行動であると判断する睡眠行動判断手段と、睡眠行動判断手段により寝室外睡眠行動であると判断されると寝室外睡眠行動であることを報知する報知手段と、を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、生活支援報知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者の人口増加に伴い、高齢者の独居世帯が増加する傾向にある。高齢者が一人暮らしをしていると、例えば、寝室外での睡眠行為等の睡眠行動に関する異常が発生することが懸念される。寝室外での睡眠行為は短時間であれば問題ないが、長時間に亘ると生活の乱れにつながり、睡眠による疲労回復が十分になされないため高齢者の体調悪化を招く可能性が有る。
同居人がいれば同居人の声かけによって、高齢者自身に睡眠行動に関する異常を認識させ、問題点を改善することができるが、高齢者の独居世帯では高齢者の日常生活を見てくれる同居人がいないため、高齢者に対して、睡眠行動に関する異常を気付かせることができないという問題があり、問題点を高齢者に報知して、睡眠行動に関する異常を防ぎたいという要望があった。
ところで、住居人の生活を支援するシステムとして、例えば特許文献1に示されるような支援システムが従来提案されている。この支援システムは、リモートコントロール操作が可能な各種生活設備機器の動作状況を収集するとともに、収集データから時系列に沿った一連の動作パターンを抽出し、抽出した動作パターンを予め登録された動作パターンとマッチングすることで、次の動作を予測して、生活設備機器の操作を提案したり、代行するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−191109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の支援システムは、住居人が生活設備機器を操作した動作パターンをもとに次の動作を予測して、生活設備機器の操作を提案したり、代行することで、住居人による生活設備機器の操作を支援するものであるが、住居人が日常的に行う生活行動の異常を検知して、異常を報知する機能は備えておらず、このような生活行動の異常を報知するシステムが要望されていた。
本願発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その課題は、住居人の、睡眠行動に関する異常を住居人に報知することができる生活支援報知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、住宅内の寝室以外の部屋に設置された映像表示装置の稼動状態を検出する稼動検出手段と、前記映像表示装置が設置された部屋の照度を計測する照度計測手段と、前記映像表示装置が設置された部屋において人の動きを検出する人検出手段と、稼動検出手段により映像表示装置の稼動状態を検出した状態であり、かつ照度計測手段を用いて計測した照度が所定閾値以上である状態であり、かつ人検出手段により人の動きを検出しない状態が所定時間継続した場合に、寝室外睡眠行動であると判断する睡眠行動判断手段と、睡眠行動判断手段により寝室外睡眠行動であると判断されると寝室外睡眠行動であることを報知する報知手段と、を備えることを特徴とした。
【0006】
又、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の生活支援報知システムにおいて、報知手段により寝室外睡眠行動が報知された場合に映像表示装置を停止する制御を行う制御手段を備えることを特徴とした。
【発明の効果】
【0007】
本願請求項1記載の発明の生活支援報知システムにおいては、稼動検出手段により映像表示装置の稼動状態を検出した状態であり、かつ照度計測手段を用いて計測した照度が所定閾値以上である状態であり、かつ人検出手段により人の動きを検出しない状態が所定時間継続した場合に、寝室外睡眠行動であると判断する睡眠行動判断手段と、睡眠行動判断手段により寝室外睡眠行動であると判断されると寝室外睡眠行動であることを報知する報知手段と、を備えるので、住居人に寝室外睡眠行動を報知することができる。
【0008】
又、本願請求項2記載の発明の生活支援報知システムにおいては、特に、報知手段により寝室外睡眠行動が報知された場合に映像表示装置を停止する制御を行う制御手段を備えるので、映像表示装置が停止されることによって無駄なエネルギーの消費を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の実施形態である生活支援報知システムのシステム構成図である。
【図2】本願発明の実施形態である生活支援報知システムのセンサ状態格納部の内部構成図である。
【図3】本願発明の実施形態である生活支援報知システムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明に係る生活支援報知システムは、住居内の寝室以外の部屋で住居人が睡眠する行為である寝室外睡眠行動を検出し、住居人に報知するシステムであり、以下に生活支援報知システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の概略的なシステム構成図であり、住居人が多くの時間を過ごす部屋、例えば映像表示装置であるテレビ100が設置された居間に配設された制御装置1と、居間に設置されたセンサ端末2と、を主要な構成として備えている。センサ端末2は、住居内の居間に設置され、住居人の生活行動により発生する事象を検出して、検出結果を制御装置1に出力するものである。このセンサ端末2は全体的な制御を行うCPU30と、例えば人体から放出される熱線を検出する焦電型の赤外線検出素子からなり、設置場所付近の検知エリアにおける人の存否を検出する人感センサ31と、設置場所付近の明るさを検出する照度センサ32と、アンテナ33aを介して無線信号(電波信号)を送受信する無線通信部33と、無線通信部33が送信する送信データを格納する送信データ格納部34とを備え、人感センサ31、照度センサ32の検出信号を定期的に制御装置1に無線送信するものである。すなわち人感センサ31およびCPU30から人検出手段が、照度センサ31およびCPU30から照度計測手段が構成されている。
制御装置1は、AC100V用の電源コンセント(図示せず)に接続される一対の栓刃3と、テレビ100の電源プラグ100aが接続されるコンセント口4とを備え、栓刃3が電源コンセントに接続されるとともに、電源プラグ100aがコンセント口4に接続されると、栓刃3を介して入力される交流電源から制御装置1の動作電源を得るとともに制御装置1を介してテレビ100に交流電源が供給される。
また、制御装置1は全体的な制御を行うCPU5と、栓刃3とコンセント口4との間を接続する電路に流れる電流を検出するカレントトランスのような電流センサ6と、電流センサ6のアナログ出力をデジタル信号に変換してCPU5に出力するA/D変換部7と、栓刃3とコンセント口4との間を接続する電路に流れる電流を遮断するリレー8と、A/D変換部7によりデジタル信号に変換されたテレビ100の入力電流値を記憶する電流値格納部9と、テレビ100との間でHDMI(High Definition Multimedia Interface)規格の通信を行うHDMI通信部10と、HDMI通信部10からテレビ100へ出力させる制御データを格納するHDMI制御データ格納部11と、HDMI通信部10からテレビ100へ出力させる映像、音声の信号(AVデータ)を格納するHDMIAVデータ格納部12と、リレー8の制御を行うリレー制御部13と、アンテナ14aを介して無線信号(電波信号)を送受信する無線通信部14と、無線通信部14が受信した受信データを格納する受信データ格納部15と、前日および当日のそれぞれについてセンサ端末2により検出された居間の状態データを格納するセンサ状態格納部16と、テレビ100を用いて映像や音声で通知する通知内容を格納するTV通知内容格納部17と、を備えている。また、CPU5は、動作クロックをカウントすることによって現在の時刻情報を取得するタイマ5aを備えている。
制御装置1では、無線通信部14が居間に配設されたセンサ端末2から送信された無線信号を受信すると、受信データを受信データ格納部15に一旦格納しており、CPU5では受信データ格納部15に格納されたデータを受信時刻と対応付けてセンシング情報としてセンサ状態格納部16に格納している。また、CPU5は、A/D変換部7から入力された電流センサ6の検出情報をセンシング情報としてセンサ状態格納部16に格納している。図2は、居間の当日のセンシング情報を示しており、各種のセンシング情報が4分間隔で格納されている。なお、図2では、当日の23時(午後11時)までのセンシング情報を示しているが、制御装置1は逐次センシング情報を取得しており、センサ状態格納部16には、23時以降のセンシング情報も所定の時間間隔(例えば4分間隔)で格納される。
そして、睡眠行動判断手段としてのCPU5は、センサ状態格納部16に格納されたセンシング情報(電流センサ6の検出情報やセンサ端末2から入力された情報)をもとに住居人の寝室外睡眠行動を検出している。また、本システムでは、報知の形態としてテレビ100を用いて映像や音声で住居人に報知しており、CPU5はHDMIAVデータ格納部12に格納された通知内容をHDMI通信部10からテレビ100に出力してテレビ100から映像や音声で寝室外睡眠行動を報知している。ここにおいて本実施形態では制御装置1のCPU5、HDMI通信部10、テレビ100などから報知手段が構成されている。
次に、制御装置1が行う、住居人の寝室外睡眠行動の判断処理を図3のフローチャートを用いて説明する。CPU5は一定時間毎に(例えば1分毎)判断処理を実行しており、判断処理を開始すると、まずタイマ5aの取得した現在時刻が寝室外睡眠行動の判定を行う対象時間帯(例えば21時から24時までの間)であるか否かを判定し(S1)、対象時間帯でなければ、後述するS8の処理に移行する。一方、現在時刻が寝室外睡眠行動の判定を行う対象時間帯であれば、CPU5はセンサ状態格納部に格納された当日のセンシング情報(図2)を参照して(S2)、住居人が居間で寝入ってしまったか否かを判断する。住居人が居間で寝入ってしまった場合、人体の動きがないため、焦電素子を用いた人感センサ31では人の存在を検知することができず、テレビ100は稼動状態であり、また照明器具は点灯したままになっていると予想される。したがって、CPU5では、当日のセンシング情報をもとに、15分前から現在までの間(直近15分以内)にセンサ端末2の人感センサ31が人を検知した否かを判断し(S3)、人(すなわち人の動き)を検知していれば住居人は起きていると判断して、後述のS8の処理に移行する。一方直近15分以内に人を検知していなければ、CPU5は、A/D変換部7から入力された電流の検出結果から、直近15分間でテレビ100の電源がオフになることなく、稼動状態が継続しているか否か判断し(S4)、直近15分間でテレビ100の稼動状態が継続していない場合は、住居人がテレビ100のオン/オフ操作を行ったすなわち住居人は起きていると判断して後述のS8の処理に移行する。一方直近15分間でテレビ100の稼動状態が継続している場合は、CPU5は照度センサ32の検出した照度と所定の規定値との高低を比較し(S5)、直近15分間で照度が規定値より暗くなる期間があれば、住居人が照明器具のオン/オフ操作を行った、すなわち住居人が起きていると判断して、後述のS8の処理に移行する。そしてS5の判定の結果、直近15分以内に照度が規定値よりも常に明るいと判断された場合、CPU5は、照明器具を点灯させたまま、住居人が寝入ったものと判断し、当日、既に寝室外睡眠行動を報知したか否かを判断し(S6)、報知済みであれば後述のS8の処理に移行し、報知済みでなければ、TV通知内容格納部17から寝室外睡眠行動に対する通知内容を読み出して、HDMIAVデータ格納部12に格納する(S7)。
次にCPU5は、HDMIAVデータ格納部12を参照し(S8)、HDMIAVデータ格納部12に通知内容が格納されているか否かを判断する(S9)。S9の判定の結果、HDMIAVデータ格納部12に通知内容が格納されていれば、CPU5は、A/D変換部7から入力された電流の検出結果からテレビ100の電源がオンかオフか判定し(S10)、テレビ100の電源がオンであればHDMIAVデータ格納部12に格納された通知内容をHDMI通信部10からテレビ100に出力させて(S11)、テレビ100に住居人対する報知動作を行わせた後に、HDMIAVデータ格納部12の格納データをクリアして(S12)、S13の処理に移行する。S13ではCPU5は、リレー8を制御することによりテレビ100への電流を遮断し、テレビ100の電源をオフに制御して、判断処理を終了する。また、S9の判定でHDMIAVデータ格納部12に通知内容が格納されていない場合、またS10の判定でテレビ100の電源がオフの場合も、CPU5は判断処理を終了する。
以上説明したように本システムによれば、住居人が寝室以外の部屋で睡眠している(寝室外睡眠行動中である)と判断された場合に寝室外睡眠行動を住居人に知らしめることができる。特に住居人が一人暮らしの高齢者である場合は、同居人が不在のため、本システムにより寝室外睡眠行動を報知することで、住居人の寝室外睡眠行動を防止することができ、寝室外睡眠行動により疲労回復が十分になされず、体調の悪化を招くことを防ぐことができる。
また、寝室外睡眠行動を報知した後にリレー8を制御することによりテレビ100の電源をオフにするので、テレビ100の無駄なエネルギーの消費を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0011】
1 制御装置
2 センサ端末
3 栓刃
4 コンセント口
5 CPU
5a タイマ
6 電流センサ
7 A/D変換部
8 リレー
9 電流値格納部
10 HDMI通信部
11 HDMI制御データ格納部
12 HDMIAVデータ格納部
13 リレー制御部
14 無線通信部
15 受信データ格納部
16 センサ状態格納部
17 TV通知内容格納部
31 人感センサ
32 照度センサ
33 無線通信部
34 送信データ格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅内の寝室以外の部屋に設置された映像表示装置の稼動状態を検出する稼動検出手段と、
前記映像表示装置が設置された部屋の照度を計測する照度計測手段と、
前記映像表示装置が設置された部屋において人の動きを検出する人検出手段と、
稼動検出手段により映像表示装置の稼動状態を検出した状態であり、かつ照度計測手段を用いて計測した照度が所定閾値以上である状態であり、かつ人検出手段により人の動きを検出しない状態が所定時間継続した場合に、寝室外睡眠行動であると判断する睡眠行動判断手段と、
睡眠行動判断手段により寝室外睡眠行動であると判断されると寝室外睡眠行動であることを報知する報知手段と、を備えることを特徴とした生活支援報知システム。
【請求項2】
報知手段により寝室外睡眠行動が報知された場合に映像表示装置を停止する制御を行う制御手段を備えることを特徴とした請求項1記載の生活支援報知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−231453(P2010−231453A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77637(P2009−77637)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】