説明

生物を収納するための容器、ドッキングステーションおよび運搬システム

【課題】低コストの生物運搬用コンテナを提供する。
【解決手段】本発明は、生物を収納するためのコンテナ(5)、コンテナ(5)をドッキングするためのドッキングステーション(100)、コンテナおよびドッキングステーションを含む運搬システム(200)に関する。コンテナは、ドッキングステーションにコンテナをドッキングするためのドッキング手段(40、42)を備え、このドッキングステーションは、発光器(110)を備える。コンテナは、発光器が発生した光の少なくとも一部を生物までガイドするための光ガイド手段(30、32、34、36)を備える。本発明によれば、生物を照明するのに必要な光がドッキングステーションの発光器によって発生されるという効果がある。この結果、本発明に係わるコンテナでは発光器が不要となり、これによってコンテナのコストを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物を収納するためのコンテナに関する。
【0002】
本発明は、コンテナをドッキングするためのドッキングステーションおよびコンテナとドッキングステーションとを含む運搬システムにも関する。
【背景技術】
【0003】
コンテナは、それ自体公知であり、特に大洋を越えて大量の荷物を出荷したり、トラックにより貨物を運搬したりするために使用されている。コンテナは、一時的な居住または作業環境としても知られており、この環境はポータキャビンと称されている。生物を収容し、運搬するためのコンテナも知られている。かかるコンテナは、例えば比較的大きい哺乳類、例えば馬を出荷したり、または園芸用植物を保管し、および/または運搬するために使用できる。
【0004】
かかるコンテナは、例えば米国特許第5,321,907号から知られている。この特許には、園芸用植物を保管するための方法およびそのための装置が開示されている。この公知の方法では、生きている園芸用植物を運搬用コンテナに入れるようになっており、コンテナ内の温度および湿度が、園芸用植物に適した条件に維持される。園芸用植物が発生する揮発性ガスは除去され、容器内の空気は循環され、赤色光および青色光から主に構成された光を園芸用植物に照射するようになっている。この公知の装置は、園芸用植物を保管するためのコンテナを備える。この公知のコンテナは、コンテナ内の温度を制御するための温度コントローラと、コンテナ内の湿度を制御するための湿度コントローラと、コンテナ内の揮発性ガスを吸収するための揮発性ガス吸収器と、コンテナ内で空気を循環させるためのウィンドブロワーと、主に赤色光と青色光とから成る光を照射するための露光器とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知の照明システムの欠点は、この公知のコンテナが比較的高価となることである。
【0006】
本発明の課題は、低コストのコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の様相によれば、この課題は、生物を収納するためのコンテナであって、このコンテナは、発光器を含むドッキングステーションに前記コンテナをドッキングするためのドッキング手段を備え、前記コンテナは、前記発光器が発生した光の少なくとも一部を前記生物までガイドするための光ガイド手段を更に備えるコンテナによって達成される。
【0008】
本発明に係わるコンテナの効果は、生物を照明するのに必要な光がドッキングステーションの発光器によって発生されることである。この結果、本発明に係わるコンテナでは発光器が不要となり、これによって、コンテナのコストを低減できる。コンテナを運搬するとき、コンテナをドッキングステーションにドッキングでき、ドッキングステーションは、生物の照明するよう、発光器を介して光を伝えるようになっている。
【0009】
公知のコンテナは、生物を照明するための照明システムを含む。この公知の照明システムは、一般に光源と、この光源を制御するためのコントローラを備えるので、比較的高価となっている。コンテナ内部の公知の照明システムは、比較的長い時間にわたって、生物、例えば園芸用植物の新しい貨物を積み込むまで、公知のコンテナが待機中であるときにアイドル状態となっている。このアイドル時間は比較的長くなることがあり、公知のコンテナのこのアイドル時間の間、公知の照明システムのための投資は、最適には使用されないことになる。本発明に係わるコンテナでは、生物を照明するための発光器は、ドッキングステーションの一部となっている。かかる構成では、本発明に係わるコンテナは、ドッキングステーションにドッキングされているときに発光器が発生した光の少なくとも一部を生物に提供する、光ガイド手段を含むだけでよい。本発明に係わるコンテナは、光ガイド手段しか含まず、発光器およびオプションの制御電子回路は含まないので、本発明に係わるコンテナのコストは、実質的に低減される。本発明に係わるコンテナは、生物を照明するための発光器を含むドッキングステーションで運搬することが好ましい。この結果、運搬中に生物の必要な照明を行う一方で、コンテナのコストを低減できる。
【0010】
生物は、例えば園芸用植物または動物、例えば馬でよい。生物が比較的長い距離にわたって移動しなければならないときに、本発明のコンテナは特に有益である。
【0011】
園芸用植物の栽培は、賃金が比較的低い国に徐々に移っている。これら国で積み込んだり、積み降ろしをおこなったりするコンテナは、比較的低コストでかつ頑丈にすることが好ましく、かつ複雑で高価な電子回路を含まないことが好ましい。本発明に係わるコンテナは、ドッキングステーションの発光器が発生する光の少なくとも一部を生物までガイドするための光ガイド手段を備える。このように、容器は発光器および発光器を制御するためのオプションの照明電子回路は含まないので、このことは電子回路を少なくし、コンテナのコストを低減できる。運搬中、本発明に係わるコンテナは、コンテナ内の生物を照明するための発光器を含むドッキングステーション内で運搬することが好ましい。従って、園芸用植物を運搬するときに、ドッキングステーションの発光器が照明を行い、この照明によって園芸用植物は運搬中に成長できる。特に運搬が海をわたって行われるときに、運搬に必要とされる時間は相当長い時間となり得る。ドッキングステーションから発光を使用するので、園芸用植物は運搬中に成長することができ、運搬用に比較的安価なコンテナを使用しながら、より成熟し、強くなった状態で目的地に到着できる。
【0012】
本発明に係わる容器の別の利点は、本発明に係わるコンテナではメンテナンスコスト、例えば光源のクリーニングコストおよび/または較正コストが低減されたことである。更にコンテナでは、故障、例えば光源をドライブするための電子回路の故障が起きにくい。光源をドライブする電子回路は、一般にドッキングステーションに含まれるので、故障管理が容易となるようにドッキングステーションを設計できる。
【0013】
コンテナの一実施形態では、光ガイド手段は、反射性要素および/または光波ガイドおよび/または可撓性ファイバーおよび/または中空チューブを備える。反射性要素は、例えばミラーでもよいし、全部もしくは一部が反射性の誘電膜でもよい。光波ガイドは、例えばPMMAとも表示されるポリメチルメタクリレートから構成された固体の光伝導体を含むことができ、反射性要素および/または光波ガイドおよび/または可撓性ファイバーおよび/または中空チューブを使用する利点は、これら光ガイド手段を比較的頑丈にできることである。
【0014】
コンテナの一実施形態では、ドッキング手段は、コンテナの外形部分と、レールシステムと、コネクタと、整合手段とを含むグループから選択されたものである。ドッキング手段が、例えばレールシステムであるとき、コンテナはレールまたは突状体を含むことができ、レールまたは突状体は、ドッキングステーション上のローリング運動するホイールに支持されている。この実施形態は、例えば発光器と光ガイド手段との間の結合を可能にする上で、ドッキングステーション内のコンテナの高さが重要であるときに有益である。このドッキング手段は、例えばコンテナの発光器と光ガイド手段との間の結合を可能にする光ファイバーを含むようなコネクタでもよい。このコネクタは、ドッキングステーション内のソケットに嵌合する、コンテナに取り付けられたプラグでもよいし、またはドッキングステーションのプラグに嵌合する、コンテナに取り付けられたソケットでもよい。
【0015】
コンテナの一実施形態では、発光器によって発生される光の少なくとも一部を光ガイド手段内に結合するよう、コンテナの光ガイド手段をドッキングステーションの発光器へ整合するための整合手段をコンテナが備える。この実施形態の利点は、コンテナの整合手段を使って光ガイド手段と発光器とを結合できるので、コンテナとドッキングステーションとの間の位置決めがあまりクリティカルではないことである。これとは異なり、ドッキングステーションは、発光器をコンテナの光ガイド手段に整合するための整合手段を含むことができる。
【0016】
コンテナの一実施形態では、コンテナは、生物の生物学的状態を検出するための、および/またはコンテナ内の温度を検出するための、および/またはコンテナ内の水分レベルを検出するための、および/またはコンテナ内の照明レベルを検出するための、および/またはコンテナ内の二酸化炭素のレベルを検出するための、および/またはコンテナ内の栄養分のレベルを検出するための、および/またはコンテナ内の殺虫剤および/または殺菌剤のレベルを検出するためのセンサを備える。コンテナのセンサ(単数または複数)は、例えばドッキングステーション内に位置するコントローラに、検出した情報を提供できる。このコントローラは、例えば照明レベル、温度、水分などに関する現在の条件が、コンテナ内に含まれる生物に対して適当であるかどうかを判断できる。検出されたレベルが必要なレベルから偏位している場合、コントローラが照明レベル、温度、水分レベルなどに関与し、これらを適合させるようになっている。生物の近くの発光器によって発生される光の、例えばカラーおよび/または強度の変化の効果を示すのに、フィードバック制御として更にセンサを使用できる。発光器と光ガイド手段との間の結合効率は、常に同じとはなり得ないので、このことは有利である。生物の近くのカラーおよび強度の変化にどんな効果があるかを検出することによって、発光器と光ガイド手段との間の結合の効率を推定し、生物の上および/またはその近くに、必要な量およびカラーの光が入射するようにできる。特に、比較的長い期間移動する園芸用植物の場合、植物が良好に存在し、植物の商業的価値を維持できるようにするには、植物に必要な量の光が入射すること、および所定のシーケンスのカラーおよび/または強度を使用することが重要である。
【0017】
本発明の第2の様相によれば、この課題は、生物を収納するためのコンテナをドッキングするためのドッキングステーションであって、ドッキングステーションは、コンテナをドッキングステーションにドッキングするよう、コンテナのドッキング手段と協働するための相補的ドッキング手段を備え、ドッキングステーションは、コンテナがドッキングステーションにドッキングされたときに、発光器が発生した光の少なくとも一部をコンテナの光ガイド手段内に結合するようになっている発光器を備える、ドッキングステーションによって達成される。
【0018】
ドッキングステーションの一実施形態では、発光器は、この発光器が発生する光のスペクトルおよび/または強度を変えるように構成される。この実施形態の利点は、生物が、自身の自然のバイオリズムを維持するよう、発光器によって例えば太陽が発生する日光にスペクトルおよび/または強度をエミュレートできることである。これとは異なり、特別な効果が得られるよう、例えば園芸用植物の成長条件を改善するよう、または運搬中の植物がわずかなエネルギーしか消費しないよう、園芸用植物の成長を抑制し、ある種の休眠状態を生じさせるように発光器が発生する光のカラーおよび/または強度を選択できる。例えば青色光の量を減少させると、植物の成長速度が遅くなる。
【0019】
ドッキングステーションの一実施形態では、ドッキングステーションは、発光器が発生する光の強度および/またはスペクトルを制御するためのコントローラを備える。この実施形態の利点は、コントローラが所定の効果を得るための最適な強度および/またはスペクトルを選択できることである。例えば、動物が大洋を越えて運搬されるとき、動物が目的地で昼/夜のリズムに適応できるよう、コントローラで昼/夜のリズムを徐々に変えることができる。コントローラは例えばコンテナのセンサからの別の信号を使用し、このセンサからの信号に基づき、生物に対するスペクトルおよび/または強度の効果を制御し、スペクトルおよび/または強度を適合させることができる。
【0020】
ドッキングステーションの一実施形態では、ドッキングステーションは、生物を検査するよう、コンテナの光ガイド手段に接続される検査カメラを備える。この実施形態の利点は、オペレータにより、生物の質を視覚的に検査できることである。更に、生物の他のパラメータを検出するのにもこの検査カメラを使用できる。例えばコンテナが複数の生物、例えば複数の植物を含む場合、複数の植物のうちの異なる植物を検査するように、単一の検査カメラを逐次接続し、個々の植物の成長速度の表示を提供するように検査カメラを使用できる。例えばサブグループの植物が異なる速度で成長している場合、コントローラへこの情報を提供し、例えば実質的にすべての植物の成長速度が同じとなるよう、複数の植物の条件に局部的に適応させることができる。
【0021】
本発明の第3の様相によれば、この課題は、コンテナとドッキングシステムとを備える、生物を運搬するための運搬システムにより達成される。
【0022】
運搬システムの一実施形態では、コンテナの整合手段は、ドッキングステーションの相補的整合手段と協働するようになっている。整合手段と相補的整合手段の双方を使用することにより、コンテナをドッキングステーションに比較的正確に整合することができ、よって発光器から光ガイド手段への光の結合効率を比較的高くすることができる。
【0023】
運搬システムの一実施形態では、コンテナは、コンテナのドッキングステーションに結合するためのドッキングステーションの相補的コネクタに接続可能なコネクタを備え、このコネクタと相補的コネクタとは、空調された空気を前記コンテナに供給するように構成されている。空調された空気は、所定の効果を得るためにあらかじめ定められた湿度および/または温度にすることができる。空調された空気を使用することにより、例えば運搬終了時に、植物が開花サイクルを開始するように、冬の休眠時期をシミュレートできる。このようにして、運搬中に植物の商業的価値が高まる。
【0024】
コンテナに栄養分を提供するようにコネクタとその相補的コネクタとを構成できる。コンテナが複数の生物、例えば植物を含むとき、各植物に提供される栄養分の量を制御できるように、栄養分の供給量を調節できる。かかる実施形態では、ドッキングステーションのコントローラは、植物の各々の条件を個々に調節し、各植物に対する条件を個々に最適にできる。
【0025】
コネクタとその相補的コネクタは、コンテナに水を供給するように構成できる。再びこのコンテナが複数の生物を含む場合、生きている各生物に対して提供される水の量を制御できるように給水を調節でき、よって各生物に対する条件を別々に最適にできる。
【0026】
コネクタとその相補的コネクタとは、殺虫剤および/または殺菌剤をコンテナに供給するように構成できる。殺虫剤および/または殺菌剤の使用量は、できるだけ少なくしなければならない。その理由は、一般に殺虫剤および/または殺菌剤は環境に悪く、かつコンテナへ積み込みを行ったり、積み降ろしを行う人が触れる殺虫剤および/または殺菌剤の量をできるだけ少なくしなければならないからである。使用される殺虫剤および/または殺菌剤の全体の量をできるだけ少なくするように、殺虫剤および/または殺菌剤の量、および/またはコンテナ内で殺虫剤および/または殺菌剤を使用する場所を比較的正確に決定することができる。
【0027】
コネクタとその相補的コネクタは、二酸化炭素をコンテナに供給するように構成できる。多量の二酸化炭素は、植物の成長速度に対する効果を改善できることがこれまで証明されている。かかる多量の二酸化炭素は、コネクタおよび相補的コネクタを介してコンテナに供給できる。
【0028】
コネクタとその相補的コネクタは、センサからドッキングステーションへ検出信号を提供するように構成できる。この検出信号は、例えば生物の生物学的状態、および/またはコンテナ内部および/または生物の近くの温度、および/またはコンテナ内または生物の近くの水分レベル、温度コンテナ内または生物の近くの照明レベル、および/またはコンテナ内の二酸化炭素のレベル、および/またはコンテナ内の殺虫剤および/または殺菌剤のレベルを示す、いくつかのパラレルまたはシーケンシャルな検出信号を含むことができる。センサからドッキングステーションへの検出信号をフィードバック信号として使用することにより、例えば温度、栄養分、水、光、二酸化炭素、殺虫剤および/または殺菌剤の変化の効果を制御するフィードバック制御シーケンスを発生するように、コントローラによってこの情報を使用できる。
【0029】
運搬システムの一実施形態では、コンテナは、識別タグを備え、ドッキングステーションは、コンテナを識別するための識別タグを読み出すための識別ユニットを備える。識別ユニットにより特定の識別タグを認識することによって、ドッキングステーションのコントローラ内で所定の制御シーケンスをトリガーできる。例えば識別タグは、コンテナ内の植物が特定の照明シーケンス、温度および湿度を必要とする蘭であることを表示できる。識別タグを認識した後に、コントローラはコンテナ内の環境が蘭に対してあらかじめ定められた条件を実質的に満たすように、コンテナの内部の照明、温度および湿度を制御することを開始する。別の識別タグでコンテナ内の植物が運搬中の冬のシミュレーションプログラムを必要とするバラであることを表示してもよい。コントローラが識別タグを認識し、例えば運搬終了時にバラが開花を始め、よって運搬中に植物の商業的価値を高めるよう、冬のシミュレーションプログラムを開始する。この識別タグを無線識別ユニットと協働する無線タグとしてもよいし。これとは異なり、識別タグを、機械式鍵または電子鍵、またはコードワードもしくはパスワードとしてもよく、これら各々は適当な識別ユニットと協働する。識別タグは特定の所定の制御シーケンスを実行するように、コントローラにプログラムを組むためのプログラム情報またはプログラムを含むこともできる。
【0030】
以下、説明する実施形態を参照すれば、本発明の上記およびそれ以外の特徴は明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】コンテナと、このコンテナにドッキングするためのドッキングステーションとを含む、本発明に係わる運搬システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付図面は略図であり、実寸どおりに描かれているわけではない。特に明瞭にするために、一部の寸法は大きく誇張されている。図中の同様な部品にはできるだけ同じ参照番号が付けられている。
【0033】
図1は、本発明に係わる運搬システム200の概略図であり、この運搬システム200は、コンテナ10と、コンテナをドッキングするためのドッキングステーション100とを備える。このドッキングステーション100は、コンテナ10をドッキングするようになっており、発光器110を備える。コンテナ10は、生物5、例えば図1に示されるような植物5を収納するようになっており、このコンテナ10は、発光器110が発生した光の少なくとも一部を生物5までガイドするための光ガイド手段30、32、34、36を更に備える。この光ガイド手段は、例えば反射性要素36および/または光波ガイド30、32、34を備える。反射性要素36は、例えばキャリアプレート(図示せず)に張り付けられたミラー36または誘電層36とすることができる。かかる反射性要素36は、実質的に全体が反射性、または一部が反射性とのものにすることができる。光波ガイド30、32、34は、例えばPMMAから構成された固体の光伝導体30、34を備えてもよいし、または発光器110が発生した光の少なくとも一部をガイドするための中空チューブ32を備えてもよい。中空チューブ32は、例えばガイドされる光の一部を生物5のうちの1つに向け直すための半透明ミラー36を含むことができ、光の残りの部分はこの中空チューブを通って別の生物5に向けられる。光ガイド手段30、32、34、36を使用することによって、コンテナ10は比較的頑丈となっている。コンテナ10は更にドッキング手段40、42を含むことができる。これらドッキング手段40、42は、コンテナ10をドッキングステーション100にドッキングするための機械的なドッキング手段40、42、例えばレールシステム42とすることができる。これとは異なり、ドッキング手段40、42を、ドッキングステーション100の相補的なコネクタ140に接続できるコンテナ10のコネクタ40から構成してもよい。このコネクタ40は、ドッキングステーション100に対するコンテナ10の高さが最適でないときでも、このコネクタ40を相補的コネクタ140に接続できるようにするための可撓性光ガイド35または可撓性ファイバー35を含むことができる。これとは異なり(図示せず)、可撓性光ガイドまたはファイバーを相補的コネクタ140の一部としてもよい。コネクタ40および相補的コネクタ140を介したドッキングステーション100とコンテナ10との間の結合は、更にドッキングステーション100がコンテナ10に追加供給物、例えば空調ユニット122からの空調された空気、水供給部124からの水、栄養供給部126からの栄養分を提供できるようにする。発光器110が発生する光を制御し、かつ空調ユニット122、水供給部124および栄養分供給部126を制御するために、ドッキングステーション100は、コントローラ120を含む。コントローラ120は、例えば発光器110が発生する光の強度および/またはスペクトルを制御でき、コントローラ120は、例えば所定の効果を得るために最適な強度および/またはスペクトルを選択できる。例えば大洋を横断して動物を運搬するとき、コントローラ120は動物が目的地における日中/夜間のリズムに適応できるよう、日中/夜間のリズムを徐々に変えることができる。コントローラ120は例えばコンテナ10のセンサ60からの信号を使って、生物5に対するスペクトルおよび/または強度の効果を制御し、センサ60からの信号に基づき、スペクトルおよび/または強度を合わせることができる。
【0034】
ドッキングステーション100とコンテナ10との間の結合を使用して、コンテナ内のセンサ60からドッキングステーション100へ検出信号(図示せず)を交換できる。コンテナはセンサ60を備え、このセンサは図1に示されている実施携帯では無線センサ60として図示されている。このセンサ60は、生物5の生物学的状態の検出および/またはコンテナ10内の温度を検出し、および/またはコンテナ10内の水分レベルを検出し、および/またはコンテナ10内の照明レベルを検出し、および/またはコンテナ10内の二酸化炭素のレベルを検出し、および/またはコンテナ10内の栄養分のレベルを検出し、および/または殺虫剤のレベルを検出し、および/またはコンテナ10内の殺菌剤のレベルを検出するように構成できる。複数のセンサ60が使用されるとき、これら複数のセンサ60は、複数の生物内の個々の生物5の生物学的状態に関する情報を提供し、コンテナ内の異なるロケーションにおける温度に関する情報を提供し、コンテナ10内の水分、栄養分、殺虫剤および/または殺菌剤の分布に関する情報を提供できる。これによって、例えば各植物5が最適な成長条件を有するように、コンテナ10全体にわたる条件にコントローラが適合できるようになる。
【0035】
無線センサ60は、アンテナ160に無線接続でき、アンテナ160は、センサ60が検出した情報をドッキングステーション100のコントローラ120へ提供する。これとは異なり、コネクタ40および相補的コネクタ140を通してワイヤー(図示せず)を介し、センサ60をコントローラ120に接続してもよい。
【0036】
ドッキング手段40、42は、例えばレールシステム42とすることができる。かかる実施形態では、コンテナはレール42または突状体42を含むことができ、このレールは、例えばコンテナ10の側壁(図示せず)に接続できる。ドッキングステーション100は、例えば相補的ドッキング手段142を含むことができ、この相補的ドッキング手段142は、例えば複数のホイール143を備え、これらホイールの上にレール142が支持され、ホイールは、例えばドッキングステーション10の上でコンテナ10が比較的正確に移動できるようにしており、よって発光器100が発生する光の少なくとも一部が発光手段110により、生物5までガイドされるように発光器110に対して光ガイド手段30、32、34、36が位置決めされている。
【0037】
ドッキングステーション100の発光器110は、この発光器110が発生する光のスペクトルおよび/または強度を変えることができ、発光器110は、例えば異なるカラーの光を発生する複数の光源(図示せず)から構成できる。複数の光源のうちの異なる光源の強度を変更することにより、発光器110が発生する光のカラーに影響を与えることができる。発光器110は、光源として発光ダイオードを含むことが好ましい。その理由は、発光ダイオードは比較的頑丈であり、比較的寿命が長いからである。しかしながら発光器110として他の光源、例えば高圧放電ランプ、低圧放電ランプ、白熱ランプおよび/またはハロゲンランプなども使用できる。発光器110が発生する光の強度および/またはカラーを変更することにより、発光器110は、例えば生物5が自身の自然のバイオリズムを維持するよう太陽が発生する日光のスペクトルおよび/または強度変化をエミュレートしてもよい。これとは異なり、特定の効果が得られるよう、例えば園芸用植物5のための成長条件を改良するようまたは園芸用植物の成長を抑制し、運搬中の植物が少ないエネルギーしか消費しないよう、ある種の休眠状態となるように、発光器110が発生する光のカラーおよび/または強度を選択してもよい。発光器110が発生する光のカラーおよび/または強度変化を自動化するのにコントローラ120を使用できる。
【0038】
ドッキングステーション100は、生物5を検査するための検査カメラ130を更に含むことができる。この検査カメラ130は、例えばコンテナ10の光ガイド手段30、32、34、36に接続できる。この検査カメラ130はオペレータが生物5を視覚的に検査するのに使用してもよい。更に、この検査カメラは、生物5の他のパラメータを検出するのにも使用できる。例えば複数の植物5から異なる植物5を検査するように、1つの検査カメラ130を逐次接続でき、例えば個々の植物5の成長速度の表示を提供するのに使用できる。例えば植物5のサブグループが異なる速度で成長している場合、この情報をコントローラ120に提供し、例えば実質的にすべての植物5が同じ成長速度となるように、植物5の条件を局部的に適合させてもよい。これとは異なり、ドッキングステーション100の検査カメラの位置に整合できる光ガイド手段30、32、34、36を介し、例えばコンテナ10内のウィンドーを介し、異なる態様で検査カメラにより生物5を検査してもよい。
【0039】
本発明に係わる運搬システム200では、ドッキングステーション100の相補的整合手段150と協働するように、コンテナ10の整合手段50を構成できる。図1に示された実施形態では、この整合手段50と相補的整合手段150は、ドッキングステーション100に対してコンテナ10を機械的に整合するようになっている。機械式整合手段50、150を使用すると、一般にコンテナ10とドッキングステーション100との間の整合の精度が制限される。また、機械式整合手段50、150は、比較的安価であり、発光器110が発生する光の一部をコンテナ10の光ガイド手段30、32、34、36に結合できるよう十分正確にできる。図1に示されるような機械式整合手段50、150は、コンテナ10に接続されたピン状整合手段50と、ドッキングステーション100に接続された円錐形状の相補的整合手段150とを含む。整合手段50と相補的な整合手段150を使用することにより、ドッキングスーション100に対するコンテナ10の比較的正確な整合を達成できるので、発光器110から光ガイド手段30、32、34、36への、比較的高い効率の光の結合が可能となる。これとは異なり、ドッキングステーション100に対するコンテナ10の位置を整合するのに、別の整合手段50および相補的整合手段150を使用してもよい。
【0040】
本発明に係わる運搬システム200では、容器10は、識別タグ70を備え、ドッキングステーション100は、識別タグ70を読み取るための識別ユニット170を備える。識別タグ70および識別ユニット170を使用するとき、ドッキングステーション100により容器10を識別でき、この識別を使用して、例えばドッキングステーション100のコントローラ120内の所定の固有の制御シーケンスをトリガーできる。これとは異なり、識別タグ70は、識別情報の他にコンテナ10内の生物5に必要な所定の固有の制御シーケンスも含むこともできる。例えば識別タグ70は、コンテナ10内の植物5が所定の固有の照明シーケンス、温度および湿度を必要とする蘭であることを表示できる。識別タグ70を認識した後に、コントローラ120はコンテナ10内の環境が蘭に対してあらかじめ定められた条件を実質的に満たすよう、コンテナ10の内部の照明、温度、湿度を制御することを開始する。別の識別タグ70は、例えばコンテナ10の内部のバラに適した冬のシミュレーションプログラムを含むことができる。コントローラ120は、この冬のシミュレーションプログラムを読み出し、例えば運搬の終了時にバラの開花を開始させ、よって運搬中に植物5の商業的価値を高めるよう、冬のシミュレーションプログラムを開始する。
【0041】
これまで述べた実施形態は、発明を限定するものではなく、発明を説明するためのものであり、当業者であれば、特許請求の範囲から逸脱することなく、別の多くの実施形態を想到できると理解すべきである。
【0042】
特許請求の範囲において、括弧内に記載した参照符号は、特許請求の範囲を限定すると見なしてはならない。「含む」または「備える」なる動詞およびその活用語の使用は、特許請求の範囲に記載以外の要素またはステップが存在することを排除するものではない。要素の前に記載した「ある」または「1つの」なる定冠詞は、かかる要素が複数存在することを排除するものではない。本発明はいくつかの異なる要素を含むハードウェアによって実施でき、また適当にプログラムされたコンピュータによっても実施できる。いくつかの手段を列挙した装置クレームにおいて、これら手段のいくつかはハードウェアの1つの同じアイテムによって実施できる。互いに異なる従属項に所定の手段を記載したことは、これら手段の組み合わせを有利に使用できないことを表示するものではない。
【符号の説明】
【0043】
5 生物
10 コンテナ
30,32,34,36 光ガイド手段
35 光ガイド
36 反射性要素
40,42 ドッキング手段
50,150 機械式整合手段
60 センサ
70 識別タグ
100 ドッキングステーション
110 発光器
120 コントローラ
122 空調ユニット
124 水供給部
126 栄養分供給部
142 相補的ドッキング手段
170 識別ユニット
200 運搬システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物を収納するためのコンテナであって、このコンテナは、発光器を含むドッキングステーションに前記コンテナをドッキングするためのドッキング手段を備え、前記コンテナは、更に、前記発光器が発生した光の少なくとも一部を前記生物までガイドするための光ガイド手段を備えるコンテナ。
【請求項2】
前記光ガイド手段は、反射性要素および/または光波ガイドおよび/または可撓性ファイバーおよび/または中空チューブを備える請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記ドッキング手段は、
前記コンテナの外形部分、
レールシステム、
コネクタ、及び、
整合手段、を含むグループから選択されたものである請求項1または2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記コンテナは、前記発光器によって発生された光の少なくとも一部を前記光ガイド手段内に結合するよう、前記コンテナの光ガイド手段を前記ドッキングステーションの前記発光器へ整合するための整合手段を備える請求項1乃至3の何れか1項に記載のコンテナ。
【請求項5】
前記コンテナは、前記生物の生物学的状態を検出するための、および/または前記コンテナ内の温度を検出するための、および/または前記コンテナ内の水分レベルを検出するための、および/または前記コンテナ内の照明レベルを検出するための、および/または前記コンテナ内の二酸化炭素のレベルを検出するための、および/または前記コンテナ内の栄養分のレベルを検出するための、および/または前記コンテナ内の殺虫剤および/または殺菌剤のレベルを検出するためのセンサを備える請求項1乃至4の何れか1項に記載のコンテナ。
【請求項6】
生物を収納するためのコンテナをドッキングするためのドッキングステーションであって、前記ドッキングステーションは、前記コンテナを前記ドッキングステーションにドッキングするよう、前記コンテナのドッキング手段と協働するための相補的ドッキング手段を備え、前記ドッキングステーションは、前記コンテナが前記ドッキングステーションにドッキングされたときに、発光器が発生した光の少なくとも一部を前記コンテナの光ガイド手段内に結合するようになっている発光器を備えるドッキングステーション。
【請求項7】
前記発光器は、この発光器が発生した光のスペクトルおよび/または強度を変更する請求項6に記載のドッキングステーション。
【請求項8】
前記ドッキングステーションは、前記発光器が発生する光の強度および/またはスペクトルを制御するためのコントローラを備える請求項6または7に記載のドッキングステーション。
【請求項9】
前記ドッキングステーションは、前記生物を検査するよう、前記コンテナの前記光ガイド手段に接続される検査カメラを備える、請求項6乃至8の何れか1項に記載のドッキングステーション。
【請求項10】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のコンテナと、請求項6乃至9の何れか1項に記載のドッキングステーションとを備える、生物を運搬するための運搬システム。
【請求項11】
前記コンテナの整合手段は、前記ドッキングステーションの相補的整合手段と協働するようになっている請求項10に記載の運搬システム。
【請求項12】
前記コンテナは、前記コンテナの前記ドッキングステーションに結合するための前記ドッキングステーションの相補的コネクタに接続可能なコネクタを備え、前記コネクタと前記相補的コネクタとは、空調された空気を前記コンテナに供給し、および/または栄養分を前記コンテナに供給し、および/または水を前記コンテナに供給し、および/または殺虫剤および/または殺菌剤を前記コンテナに供給し、および/または二酸化炭素を前記コンテナに供給し、および/または前記センサから前記ドッキングステーションに検出信号を提供するようになっている請求項10または11に記載の運搬システム。
【請求項13】
前記コンテナは、識別タグを備え、前記ドッキングステーションは、前記コンテナを識別するための識別タグを読み出すための識別ユニットを備える、請求項10乃至12の何れか1項に記載の運搬システム。

【図1】
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【公表番号】特表2011−515070(P2011−515070A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545581(P2010−545581)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050360
【国際公開番号】WO2009/098617
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】