説明

生物学的流体試料を移送するための方法及びデバイス

生物学的流体試料移送デバイス及び方法が提供される。デバイスは外筒とランスを含む。外筒は、外表面を有する先端と、先端を通じて縦方向及び外表面に開口を形成するために先端の外表面の外方に伸びる穴とを有する。ランスは、操作端と試料端との間に亘る長さを有している。ランスは試料端に隣接するシール部分を含む。シール部分は、縦方向距離に広がると共に一定の断面形状を有する。移送デバイスは、外筒とランスとの間の相対的な縦方向への移動によってエンプティボリューム位置及びサンプルボリューム位置において選択的に使用することができる。エンプティボリューム位置では、試料端は開口の外側に伸びる。サンプルボリューム位置では、ランスの試料端は開口から距離を隔てて穴内に配置される。ランスのシール部分は、穴と嵌合を形成し、その嵌合は、シール部分と穴との間のシールを作り出すのに使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年4月2日に出願された米国特許出願第12/417,399号明細書に開示された本質的内容の利益を享受し、それを参照により援用される。
【0002】
本発明は、一般に生物学的試料容器のための装置及び方法に係り、特に正確な量の試料を移送するのに使用可能な生物学的試料容器に関する。
【背景技術】
【0003】
閉管血液採取システムは、血液小滴がエアゾル化される可能性、及び続いて起こる汚染又は伝染のリスクを減らす真空採血管(例えば、アメリカ合衆国、ニュージャージ州、ベクトン・ディキンソンアンドカンパニによって販売されたVacutainer(登録商標)試料採取デバイス)を開発しなければならないことを回避するので、最も近代的な臨床検査血液分析器に不可欠な部分である。一般に、これらのシステムは、そのような採血管のストッパ(又は他のクロージャ)を介して中空トロカールを押し、その後、トロカールの穴を介して分析試料のいくらかを抜き出すために中空プローブを挿入することによって動作する。その他、単一又は多数の穴ニードルはストッパを介して挿入され、また試料は全血珠算定(CBC)を測定する機器の場合には約50マイクロリットルから200マイクロリットルの様々な量で直接に引き出される。試料採取装置の内部及び外部の両方が汚染されるので、交差汚染を回避すべく試料採取後毎にトロカール及び試料採取管を洗浄しなければならないことは実質的に複雑性を増し、試料採取メカニズムにとって負担が大きい。そのような試料採取段取りの更なる欠点は、プローブが試料に到達することができるように、試料採取管が物質のいくらかの最小量を保持しなければならないということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現存システム(例えば、米国特許出願公開第2007/0243117号及び米国特許第6,866,823号に記載されていたもの)よりも遙かに少ない量の血液を必要とする分析システムでは、別のより効果的な手段は閉じた試料採取管から試料を抜き出し、分析システムに試料を移送するために用いることができる。キャリーオーバ及び多くの最小試料必要量の欠点を克服することは、偉大な利益になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によれば、生物学的流体試料移送デバイスが提供される。デバイスは、外筒とランスとを含む。外筒は、外表面を有する先端と、先端を通じて縦方向及び外表面に開口を形成するために先端の外表面の外方に伸びる穴とを有する。ランスは、操作端と試料端との間に亘る長さを有する。ランスは、試料端に隣接するシール部分を含む。シール部分は、縦方向距離に広がると共に一定の断面形状を有する。移送デバイスは、外筒とランスとの間の相対的な縦方向への移動によってエンプティボリューム位置及びサンプルボリューム位置において選択的に使用することができる。エンプティボリューム位置では、試料端は開口の外側に伸びる。サンプルボリューム位置では、ランスの試料端は開口から距離を隔てて穴内に配置される。ランスのシール部分は、穴と嵌合を形成し、その嵌合は、シール部分と穴との間のシールを作り出すのに使用可能である。
【0006】
本発明の別の態様によれば、生物学的流体試料解析システムが提供される。システムは、生物学的流体試料容器、移送デバイス、及び生物学的流体解析容器を含む。生物学的流体試料容器は、チャンバとエラストマのシールとを有する。移送デバイスは、外筒とランスとを有する。外筒は、外表面を有する先端と、先端を通じて縦方向及び外表面に開口を形成するために先端の外表面の外方に伸びる穴とを有する。ランスは、操作端と試料端との間に亘る長さを有する。ランスは試料端に隣接するシール部分を含み、そのシール部分は、縦方向距離に広がると共に一定の断面形状を有する。シール部分は、穴内に収容される。移送デバイスは、外筒とランスとの間の相対的な縦方向への移動によってエンプティボリューム位置及びサンプルボリューム位置において選択的に使用することができる。エンプティボリューム位置では、試料端は開口の外側に伸びる。サンプルボリューム位置では、ランスの試料端は開口から距離を隔てて穴内に配置される。ランスのシール部分は、穴と嵌合を形成し、その嵌合は、シール部分と穴との間のシールを作り出すのに使用可能である。生物学的流体試料解析容器は、移送デバイスの先端から試料を収容するために大きさを合わせられたポートと、ポートから試料を収容するためのチャンバとを有する。
【0007】
本発明の別の態様によれば、生物学的流体を移送する方法が提供される。方法は、a)貫通可能なシールを有する密封容器内に生物学的流体試料を提供するステップと、b)外筒とランスとを有する移送デバイスであって、外筒は、外表面を有する先端と、先端を通じて縦方向及び外表面に開口を形成するために先端の外表面の外方に伸びる穴とを有し、ランスは、操作端と試料端との間に亘る長さを有し、ランスは、試料端に隣接するシール部分を含み、そのシール部分は、縦方向距離に広がると共に一定の断面形状を有し、移送デバイスは、外筒とランスとの間の相対的な縦方向への移動によってエンプティボリューム位置及びサンプルボリューム位置において選択的に使用することができ、エンプティボリューム位置では、試料端は開口の外側に伸び、サンプルボリューム位置では、ランスの試料端は開口から距離を隔てて穴内に配置され、ランスのシール部分は、穴と嵌合を形成し、その嵌合がシール部分と穴との間のシールを作り出すのに使用可能である移送デバイスを提供するステップと、c)エンプティボリューム位置に移送デバイスを配置し、貫通可能なシールを介して先端を挿入し、及び生物学的試料との接触を行うステップと、d)ランス及び外筒の一方又は両方を他方に対してサンプルボリューム位置に移動させ、その結果として穴内に試料を引き出すステップと、e)容器から先端を引き出すステップと、及びf)ランス及び外筒の一方又は両方を他方に対してエンプティボリューム位置に移動させ、その結果として穴から試料を放出するステップとを含む。
【0008】
本方法及びそれに関連する利点が、添付の図面を含め、以下に提供される詳細な説明を考慮することで更に容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】エンプティボリューム位置に配置されたランス及び外筒を有する本移送デバイスの実施の形態の概略断面図である。
【図2】サンプルボリューム位置に配置されたランス及び外筒を有する本移送デバイスの実施の形態の概略断面図である。
【図3】図2に示される移送デバイスの実施の形態の部分拡大図である。
【図4】試料チャンバのシールに挿入されたデバイスの先端を有するエンプティボリューム位置の本移送デバイスの実施の形態の概略断面図である。
【図5】試料チャンバのシールに挿入されたデバイスの先端を有するエンプティボリューム位置の本移送デバイスの実施の形態の概略断面図である。
【図6】生物学的流体解析チャンバの概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
今、図1及び2を参照すると、本発明の態様に従って、生物学的流体試料移送デバイス10が提供される。デバイス10は、外筒12とランス14とを含む。
【0011】
外筒12は、バレル16と、互いに接続され(例えば、一体型として形成された)、縦方向に伸びる中心軸20に沿って配置された先端18とを含む。バレル16は、その長さに沿って一定の断面形状を有する内部キャビティ22を備える。図1〜5に示されるキャビティ22の断面形状は円形である。他の実施の形態では、バレル16は異なる(例えば、非円形)断面形状を有する。先端18は、外表面24と、先端18を通じて縦方向に伸びる、中心に配置された穴26とを有する。図1〜5に示される先端外表面24は、ストッパ28(又は他のクロージャ)への先端18の挿入を容易にするために先細りである。しかしながら、先端18は先細りの外表面形状に限定されない。穴26は、その長さに沿って一定の断面形状、例えば円筒形を有する。穴26は、先端18の外表面24を通って伸び、そこでは、それは外表面24の開口30を形成する。開口30は、穴26と同一の断面形状及びサイズ(例えば、同一の直径)である。いくつかの実施の形態では、穴26及びキャビティ22は同一の断面形状を有する。穴26及びキャビティ22が円筒形状を有する実施の形態では、それぞれの直径は互いに同じかもしれないし、又は互いに異なるかもしれない。
【0012】
ランス14は、操作端32と試料端34との間に亘る長さを有する。試料端34は、操作端32と比較するとランス14の反対端に配置される。図1〜5では、ランス14と外筒12との間の相対的な移動を容易にするために、ハンドル42が操作端32に接続されている。図1〜5に示される実施の形態では、ランス14の試料端34は、後述するがストッパ28へのランス14及び外筒先端18の挿入を容易にするために鋭く形成される。
【0013】
ランス14は、案内部分36とシール部分38とを含む。シール部分38は、シール部分38と先端穴26との間で僅かな嵌合を形成するために先端18(例えば、円筒状の両方)の穴26と対となる形状を有している。穴26の形状がシール部分38と対となることもまた後述される。嵌合は、ランス14及び先端18の相対的な移動が可能なようにされるが、それでもシール部分38の表面と先端穴26の表面との間のシールを形成するように十分にきつい。シールは、シール部分(即ち、円筒形のシール部分の周囲)の全境界を巡って連続的であり、シール部分38と穴26との間で流体の通過を防ぐのに十分であり、最も好ましくはシール部分38と穴26との間に流体が残留しないように穴26から流体を追い出すのに十分である。より具体的に述べると、シール部分38と穴26との間のシールは、移送デバイス10が穴26に配置された試料を有するサンプルボリューム位置からエンプティボリューム位置に移動されるとき、穴26に存在している試料の相当量が(たとえあるにしても)最も分析的な利用のために移送デバイス10を汚染するには少なすぎる量となるようになっている。全血と共に用いられるとき、我々は如何なる介在する洗浄工程の必要なしに、本移送デバイスが50ppm程度のキャリーオーバを有する試料採取を可能にすると判断した。シール部分38と穴26との間のシールは、エンプティボリューム位置、如何なるサンプルボリューム位置、及びその間のランス14及び外筒12の全ての相対位置において使用可能である。
【0014】
図1〜5に示されるような案内部分36は、外筒12のバレル16の内部キャビティ22内に配置された固形物である。この実施の形態において、滑りばめを形成するように内部キャビティ22と対となる案内部分36の断面領域は、ランス14と外筒12との間の相対的な移動のために適切な並進運動の案内を提供するように十分にきついが、そのような移動を妨害しないように十分に緩い。内部キャビティ22が案内部分36と対となることも同様に説明される。他の実施の形態では、案内部分36が固形物(例えば、中空体)以外であり得、内部キャビティ22と案内部分36との間のインタフェースの案内表面で幾何学図形(例えば、「×」又は「+」)を含んでもよい。
【0015】
いくつかの実施の形態では、ランス14及び外筒12の一方又は両方(又はそのいくらかの組み合わせ)は、ランス14と外筒12との間の相対位置を限定する物理的ストップ装置40又は移動止め手段を含む。例えば、図1〜5に示される移送デバイス10は、更に以下に説明されるようにエンプティボリューム位置と関連付けられたポジティブストップとして作用するように位置決めされたハンドル42を含む。
【0016】
ランス14及び外筒12は、穴26とシール部分38との間の前述したシールを可能にするあらゆる物品を備える。例えば、外筒12は、ランス14を備える物品に関連して弾性の材料からなるか、又はその逆も成立する。物品間で相対的弾力性は、シール部分38と、所望のシールを作り出す先端18の穴26との間の僅かな嵌合を容易にする。具体例を挙げると、外筒12はエラストマ材料(例えば、ポリプロピレン)からなり、ランス14は金属材料(例えば、ステンレス鋼)からなる。これらの材料は一例である。また、本発明はそれに限定されない。
【0017】
外筒12及びランス14は縦方向において互いに関連して移動可能である。試料端34が先端開口30の外側に伸びるように、ランス14が外筒12内に位置するとき、移送デバイス10は「エンプティボリューム位置」として指称される位置にある。この位置では、シール部分38の部分は開口30内に配置される。図1,3B及び4に示される移送デバイス10は、「エンプティボリューム位置」で表現される。この位置では、少なくとも開口30に隣接する穴26の部分は、ランス14のシール部分38で満たされ、ランス14の試料端34は開口30及び先端18の外方に通りすぎて伸びる。その結果、生物学的流体試料で満たすことができる穴26の容量はない。シール部分38と穴26との間のシールは、正常動作条件の下で移送デバイス10への試料の移動を防ぐ。
【0018】
「サンプルボリューム位置」に移送デバイス10を至らせるために、ランス14及び外筒12は互いに関連して移動させることができる。サンプルボリューム位置では、試料端34が先端18の穴26にいくらかの距離だけ引き出されるまで、ランス14は縦方向に移動される。試料端34が穴26に引き出される距離は、移送デバイス10に引き出された流体試料の容量を規定する、例えば、ランス14の試料端34の形状を考慮に入れると、穴26の直径は露出される穴26の長さを調整する。図2,3A及び5に示される移送デバイス10は、「サンプルボリューム位置」で表現される。先に示されるように、シール部分38と穴26との間のシールは、正常動作条件の下で移送デバイス10への試料の移動を防ぐ。移送デバイス10は、単一のサンプルボリューム位置に限定されず、穴26内に配置された試料の異なる容量と関連付けられたような複数の位置を想定する。先に示されるように、移送デバイス10は、特定のサンプルボリューム位置を識別する1つ以上の物理的ストップ装置又は移動止め手段を含む。
【0019】
今、図6を参照すると、生物学的流体試料の解析を行う際に、試料は典型的に解析に有用な特定の指標(形状、試薬など)を有する分析チャンバ46内に配置される。分析チャンバの一例は、米国特許出願公開第2007/0243117号、米国特許出願公開第2007/0087442号、及び米国特許第6,723,290号に記載されるものを含み、それらの全ては、それら全体の参照により援用される。試料の解析は、「生物学的流体を分析するための装置」と題し、2005年3月15日に発行された米国特許第6,866,823号に記載されるような分析デバイスを用いて行うことができ、それも全体の参照により援用される。
【0020】
しかしながら、全ての生物学的流体試料が分析チャンバ46に直接採取され、配置されるとは限らない。流体試料(例えば、全血検体)は、被検体からしばしば採取され、シール容器44に配置される。Vacutainer(登録商標)型の生物学的試料容器(アメリカ合衆国、ニュージャージ州、ベクトン・ディキンソンアンドカンパニから入手可能)は、被検体から試料を集めるために用いることができる容器44の一例である。
【0021】
本移送デバイスは、そのような容器44から試料を移送し、先に説明されるような分析チャンバ46にそれを配置するための望ましいツールを提供する。本移送デバイス10は、また正確な量の試料の移送のための手段にその試料の汚染、又は移送手順の後の移送デバイス10の汚染の最小の可能性を提供する。本発明は如何なる特定の容器44と共に用いるように限定されない。以下は、本発明の有用性を図示するためにVacutainer(登録商標)のような容器と協力して用いられる本移送デバイス10の一例である。
【0022】
試料容器44は、開口部に亘って密閉するストッパ28又は他のクロージャを有する。Vacutainer(登録商標)の場合には、シールは管状容器の開口部を密閉するエラストマのストッパ28である。移送デバイス10は、エンプティボリューム位置に配置される。容器が試料で満たされない場合、容器はストッパ28に接して試料を配置するために適応させられる、これは先行技術の試料採取システムで容易に達成されない動作である。移送デバイス10の先端18は、ストッパ28を介して挿入され、それによって少なくとも流体試料に接してランス14の試料端34、同様に外筒先端18の部分を配置する。先端18から伸びる試料端34の位置は、挿入を容易にする。試料端34の突起、及びシール部分38と穴26との間のシールは、穴26への流体試料の如何なる移動も防ぐ。貫通する行為が外側シース、内側ランス又は2つの組み合わせの機能であることが理解されるべきである。アセンブリの小さな外径のために、外筒12の開口38と少なくとも同一面上、又は僅かに伸びる試料端34と完全に連動したランスを有することによってデバイスの強度を最大限にすることが望ましい。これはまたストッパ28を貫通する力による外側端18の歪みを防ぐ。
【0023】
ランス14は、続いて穴26に少し引き出され、その結果として移送デバイス10をサンプルボリューム位置に配置する。この位置では、試料の特定の容量が穴26に引き出され、その容量は識別されるか又は決定できる。移送デバイス10は、容器から引き出される。先端18が引き出されるとき、エラストマのストッパ28は先端18の外表面24から如何なる残留性の試料も拭い去る。試料は毛細管力によって穴26内に支持される。
【0024】
移送デバイス10は続いて、先に説明されるように、典型的に生物学的流体試料を収容するように設計され、好ましくは移送デバイス10の先端18と対となるように大きさを合わせられたポート48を有する分析チャンバ46(図6を参照)と連動される。ランス14及び外筒12は、続いて穴26から流体試料50を放出するために互いに関連して移動される。試料の全て又はいくらかが放出される。ランス14が穴26に関連する特定のサンプルボリューム位置に配置される適用において、その位置は試料の特定のボリュームと関連付けられ、サンプルボリューム位置からエンプティボリューム位置にランス14を移動させることによって正確な量の試料を放出することができる。複数のサンプルボリューム位置を有する実施の形態では、複数のサンプルボリュームを放出することができる。
【0025】
試料を放出するためにランス14が穴26と関連して移動されるとき、シール部分38と穴26との間のシールはその間の流体洩れを防ぐ。その結果、移送デバイス10から放出される試料の量を正確に決定することができ、試料は移送デバイス10から除去され、その結果として試料の汚染なく移送デバイス10の複数回使用を可能にする。全血と共に用いられるとき、我々は如何なる介在する洗浄工程の必要なしに、本移送デバイスが50ppm程度のキャリーオーバを有する試料採取を可能にすると判断した。
【0026】
本発明はその詳細な実施の形態に関して示され説明されたが、発明の趣旨及び範囲から外れることなく形態と細部に様々な変更をなし得ることが当業者によって理解されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的流体試料移送デバイスであって、
外表面を有する先端と、前記先端を通じて縦方向及び前記外表面に開口を形成するために前記先端の前記外表面の外方に伸びる穴とを有する外筒と;
操作端と試料端との間に亘る長さを有するランスであって、前記試料端に隣接するシール部分を含み、そのシール部分は、縦方向距離に広がると共に一定の断面形状を有し、そのシール部分は、穴内に収容されるランスと;を備え、
前記移送デバイスは、前記外筒と前記ランスとの間の相対的な縦方向への移動によってエンプティボリューム位置及びサンプルボリューム位置において選択的に使用することができることを特徴とし;
前記エンプティボリューム位置では、前記試料端は少なくとも外表面と同一面上に伸び、前記サンプルボリューム位置では、前記ランスの前記試料端は前記開口から距離を隔てて前記穴内に配置されることを特徴とし;
前記ランスの前記シール部分は、前記穴と嵌合を形成し、その嵌合は、前記シール部分と前記穴との間にシールを作り出すのに使用可能であることを特徴とする生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項2】
前記先端及び前記ランスの前記試料端は、生物学的試料採取管のエラストマのクロージャ内に挿入することができるように構成されることを特徴とする請求項1の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項3】
前記試料端は、鋭くされることを特徴とする請求項2の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項4】
前記穴と前記シール部分は、対となる形状を有することを特徴とする請求項1の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項5】
前記シール部分と前記穴との間の前記シールは、前記シール部分の全境界を巡って連続的であることを特徴とする請求項4の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項6】
前記シール部分と前記穴との間の前記シールは、前記移送デバイスが前記穴に配置された試料を有するサンプルボリューム位置からエンプティボリューム位置に移動されるとき、前記穴に存在する試料の相当量が前記移送デバイスを汚染するには少なすぎる量となるようになっていることを特徴とする請求項5の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項7】
前記シール部分と前記穴との間の前記シールは、前記エンプティボリューム位置、1つ以上のサンプルボリューム位置、及びその間の前記ランスと前記外筒の相対位置において損なわれないことを特徴とする請求項5の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項8】
前記穴と前記シール部分は、円筒形であることを特徴とする請求項4の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項9】
前記開口と前記穴は、同一の直径であることを特徴とする請求項8の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項10】
前記シール部分の部分は、前記エンプティボリューム位置において前記開口に配置されることを特徴とする請求項9の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項11】
前記ランスは、更に案内部分を含み、前記外筒は、内部キャビティを有するバレルを含み、前記案内部分は、前記バレルの前記内部キャビティ内に収容可能であることを特徴とする請求項1の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項12】
前記案内部分は、前記バレルと滑りばめを形成することを特徴とする請求項11の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項13】
前記案内部分は、円筒形であることを特徴とする請求項12の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項14】
前記穴と前記シール部分は、対となる形状を有することを特徴とする請求項13の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項15】
前記穴と前記シール部分は、円筒形であることを特徴とする請求項14の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項16】
前記シール部分と前記案内部分は、異径を有することを特徴とする請求項15の生物学的流体試料移送デバイス。
【請求項17】
生物学的流体試料分析システムであって、
エラストマのシールを有する生物学的流体試料容器と;
外筒とランスとを有する移送デバイスであって、前記外筒は、外表面を有する先端と、前記先端を通じて縦方向及び前記外表面に開口を形成するために前記先端の前記外表面の外方に伸びる穴とを有し、前記ランスは、操作端と試料端との間に亘る長さを有し、前記ランスは、前記試料端に隣接するシール部分を含み、そのシール部分は、縦方向距離に広がると共に一定の断面形状を有し、そのシール部分は、穴内に収容されることを特徴とし、前記移送デバイスは、前記外筒と前記ランスとの間の相対的な縦方向への移動によってエンプティボリューム位置及びサンプルボリューム位置において選択的に使用することができ、前記エンプティボリューム位置では、前記試料端は少なくとも外表面と同一面上に伸び、前記サンプルボリューム位置では、前記ランスの前記試料端は前記開口から距離を隔てて前記穴内に配置されることを特徴とし、前記ランスの前記シール部分は、前記穴と嵌合を形成し、その嵌合は、前記シール部分と前記穴との間にシールを作り出すのに使用可能であることを特徴とする移送デバイスと;
前記移送デバイスの前記先端から試料を収容するために大きさを合わせられたポートを有する生物学的流体試料分析チャンバとを備える生物学的流体試料分析システム。
【請求項18】
生物学的流体を移送する方法であって、
貫通可能なシールを有する密封容器内に生物学的流体試料の提供するステップと;
外筒とランスとを有する移送デバイスであって、前記外筒は、外表面を有する先端と、前記先端を通じて縦方向及び前記外表面に開口を形成するために前記先端の前記外表面の外方に伸びる穴とを有し、前記ランスは、操作端と試料端との間に亘る長さを有し、前記ランスは、前記試料端に隣接するシール部分を含み、そのシール部分は、縦方向距離に広がると共に一定の断面形状を有することを特徴とし、前記移送デバイスは、前記外筒と前記ランスとの間の相対的な縦方向への移動によってエンプティボリューム位置及びサンプルボリューム位置において選択的に使用することができることを特徴とし、前記エンプティボリューム位置では、前記試料端は少なくとも外表面と同一面上に伸び、前記サンプルボリューム位置では、前記ランスの前記試料端は前記開口から距離を隔てて前記穴内に配置されることを特徴とし、前記ランスの前記シール部分は前記穴と嵌合を形成し、その嵌合は前記シール部分と前記穴との間にシールを作り出すのに使用可能であることを特徴とする移送デバイスを提供するステップと;
前記エンプティボリューム位置に前記移送デバイスを配置し、前記貫通可能なシールを介して前記先端を挿入し、前記生物学的試料との接触を行うステップと;
前記ランス及び前記外筒の一方又は両方を他方に対して前記サンプルボリューム位置に移動させ、その結果として前記穴に試料を引き出すステップと;
前記容器から前記先端を引き出すステップと;
前記ランス及び前記外筒の一方又は両方を他方に対して前記エンプティボリューム位置に移動させ、その結果として前記穴から試料を放出するステップとを備える生物学的流体を移送する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−522993(P2012−522993A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503711(P2012−503711)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/029664
【国際公開番号】WO2010/115026
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(501354521)アボット ポイント オブ ケア インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】