説明

生物導管への治療物質の局所的適用のための治療薬送達システム、デバイス、および方法

本発明は、生物導管内の治療物質の局所的適用のためのシステム、デバイス、および方法を提供する。種々の実施形態では、少なくとも1つの治療薬の溶解性のバッグまたはボーラスが導入され、導管の壁に対して押圧および/または密閉される。他の実施形態では、少なくとも1つの治療薬から形成される溶解性のバーブが、流圧によってカテーテルから射出され、導管の壁に埋め込まれる。一実施形態において、システムは、半径方向に積み重ねられた配置で提供される一連のバーブを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療薬の局所的送達により、生物導管、血管を治療するためのシステム、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物導管、例えば、限定するものではないが、血管および同様の身体通路における組織の切除または修復に使用するために、多種多様の技術および器具が開発されてきた。そのような技術および器具の主な目的は、患者の動脈における動脈硬化プラークの切除である。アテローム性動脈硬化は、患者の血管の内膜層(内皮の下)における脂肪性沈着物(アテローム)の蓄積を特徴とする。多くの場合、比較的軟性でコレステロールを多く含むアテローム様物質として初めに沈着したものは、経時的に硬化し、石灰化動脈硬化プラークになる。このようなアテロームは、血流を制限するため、しばしば、狭窄性病変または狭窄と呼ばれ、閉鎖物質は、狭窄物質と呼ばれる。処置せずに放置すると、そのような狭窄は、狭心症、高血圧症、心筋梗塞、脳卒中、下肢痛および同等物を引き起こし得る。
【0003】
回転式アテローム切除手技は、そのような狭窄物質を切除するための一般的な技術である。そのような手技は、冠状動脈における石灰化病変の開口を開始するために、最も頻繁に使用される。最も頻繁には、回転式アテローム切除手技は単独で使用されないが、その後にバルーン血管形成手技が続き、順に、その後には、非常に頻繁に、開口した動脈の開存性の維持を支援するようにステントの留置が続く。非石灰化病変については、バルーン血管形成術は、最も頻繁には、動脈を開口するために単独で使用され、開口した動脈の開存性を維持するように、しばしばステントが留置される。しかしながら、研究によると、バルーン血管形成術を受け、かつステントを動脈に留置した患者のうちの有意な割合が、ステント再狭窄、すなわち、ステント内の瘢痕組織の過度な成長の結果として一定の期間にわたって最も頻繁に発現する、ステントの閉塞を体験することが示されている。そのような状況では、アテローム切除手技が、ステントから過剰な瘢痕組織を切除するための好ましい手技であり(バルーン血管形成術がステント内であまり効果的ではない)、それにより、動脈の開存性を修復する。
【0004】
いくつかの種類の回転式アテローム切除術用デバイスが、狭窄物質の切除を試行するために開発されてきた。特許文献1(Auth)に示されるようなある種類のデバイスでは、ダイヤモンド粒子等の研磨材で被覆されたバー(burr)が、可撓性駆動シャフトの遠位端に保持される。バーは、狭窄を横断して前進させられる間に、高速で回転する(典型的には、例えば、約150,000〜190,000rpmの範囲)。バーは、狭窄組織を切除するが、血流を閉鎖する。いったんバーが狭窄を横断して前進させられると、動脈は、バーの最大外径と同等であるか、またはそれよりもわずかに大きい直径まで開口される。頻繁に、動脈を所望の直径まで開口するために、1つより多くのサイズのバーが利用されなければならない。
【0005】
特許文献2(Shturman)は、拡大直径を有する駆動シャフトの部分を伴う駆動シャフトを有する、別のアテローム切除術用デバイスを開示し、この拡大表面の少なくとも一区分は、駆動シャフトの研磨区分を規定するように研磨材で被覆される。高速回転させられると、研磨区分は、動脈から狭窄組織を切除することが可能である。このアテローム切除術用デバイスは、その可撓性により、Authのデバイスよりも特定の利点を保有し、また、デバイスが本質的に非偏心性であることから、駆動シャフトの拡大研磨面の直径にほぼ等しい直径まで動脈を開口することしかできない。
【0006】
特許文献3(Shturman)は、拡大偏心部を伴う駆動シャフトを有する、既知のアテローム切除術用デバイスを開示し、この拡大部の少なくとも一区分は、研磨材で被覆される。高速回転させられると、研磨区分は、動脈から狭窄組織を切除することが可能である。デバイスは、部分的には、高速動作中の軌道回転運動により、拡大偏心部の静止直径よりも大きい直径まで動脈を開口することが可能である。拡大偏心部が、結合されていない駆動シャフトワイヤを備えているため、駆動シャフトの拡大偏心部は、狭窄内の配置中または高速動作中に屈曲し得る。この屈曲は、高速動作中に、より大きい直径の開口が可能にするが、実際に研磨される動脈の直径に対して所望される制御を提供しない場合がある。加えて、いくつかの狭窄組織は、通路を完全に閉鎖する場合があるため、それを通してShturmanのデバイスを配置することができない。Shturmanは、研磨を達成するために、駆動シャフトの拡大偏心部が狭窄組織内に配置されることを要求するため、拡大偏心部が狭窄の中へ移動することができない場合には、あまり効果的ではなくなる。特許文献3の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0007】
特許文献4(Clement)は、好適な結合材料によってその外面の一部分に固定される研磨粒子の塗膜を伴う、偏心組織切除バーを提供する。しかしながら、非対称バーが、「熱または不均衡を補うために、高速焼灼デバイスとともに使用されるよりも低速」で回転させられることを、Clementが第3コラムの53〜55行において説明していることから、この構造は限定される。つまり、中実バーのサイズおよび質量の両方を考慮すると、アテローム切除手技中に使用される高速、すなわち、20,000〜200,000rpmで、バーを回転させることは実行不可能である。本質的に、駆動シャフトの回転軸からの質量中心オフセットにより、有意な遠心力が発達し、動脈壁に過度な圧力を及ぼし、過度な熱および過度に大きい粒子を生成する。
【0008】
閉塞血管の治療の別の方法は、ステントの使用を含み得る。ステントは、狭窄の部位に留置され、血管を広げるように拡張され、インプラントとして定位置にとどまり得る。
【0009】
閉塞導管、例えば、血管を開き、それを通る正常な流体流動を修復するために、どんな技術が使用されても、再狭窄という1つの問題が残る。治療された導管および血管のある割合が、一定の期間後に再閉塞(再狭窄)し、40−50%もの症例で発生する。再狭窄が発生する場合に、元の手技が繰り返されるか、または流体、例えば、血液の流れを再確立するために、代替的な方法が使用され得る。
【0010】
上記治療方法のそれぞれによって共有される関連共通性は、各自が導管壁になんらかの外傷をもたらすことである。再狭窄は、種々の理由で発生し、それぞれ外傷を伴う。小さい血栓が動脈壁上に形成する場合がある。壁の小さな裂傷は、高血栓形成性である異物およびタンパク質に血液を暴露させる。結果として生じる血栓は、徐々に成長する場合があり、血栓内の血小板によって放出される成長ホルモンを含有する場合さえある。また、他の細胞、例えば、マクロファージによって放出される成長ホルモンは、罹患領域中の平滑筋細胞および線維芽細胞を異常に増殖させる場合がある。新しい細胞の成長をもたらす場合がある、炎症をもたらす、上記の方法による導管壁の負傷が存在する場合がある。
【0011】
ある治療物質が、再狭窄の防止および/または阻害に良い影響を及ぼし得ることが知られている。治療用量での罹患領域へのこれらの物質の適用において、いくつかの困難が現れる。例えば、治療の必要がある領域は、非常に小さく、局所的である。導管の中の流体、例えば、血液の流れは、連続的であり、治療物質が、治療的と考えられる用量範囲内で局所的領域に到達し得るように、乱されなければならない壁に沿った流れ境界をもたらす。当技術分野は、関心の領域を標的にするように、この流れ境界を突破するための機構を適切に提供することができず、代わりに、治療物質の大部分が単純に下流に流れ、全身的に吸収されるか、または廃棄物として排除されるため、治療的であるよりもはるかに高い用量で、静脈内手段または管腔内注入によって、導管の全般的流動の中へ治療物質を概して配置することを選択する。例えば、静脈内薬剤は、対象領域を標的にすることなく、静脈によって、または経口で全身的に、あるいは、例えば、管腔内注入を通して局部的に、送達される。そのような不必要な全身暴露は、関心の領域から遠くにある領域、組織、および/または器官で、未知かつ不必要な有害結果を生じる。明らかに、全身送達および暴露は、単一の関心の管腔内領域を有する疾患または症状の治療には適していない。
【0012】
治療用量の治療物質の局所的適用の潜在的な有用性は、冠状動脈の治療に限定されない。冠状動脈送達を越えて、アテローム性動脈硬化の他の部位、例えば、腎臓、腸骨、大腿、遠位脚、および頸動脈、ならびに伏在静脈グラフト、人工グラフト、および血液透析に使用される動静脈シャントが、局部的治療物質送達方法および機構のための適切な生物導管であろう。また、潜在的な有用性は、血管に限定されず、治療の影響を受けやすい関心の領域を有する、任意の生物導管が、そのような治療方法および機構から利益を享受し得る。
【0013】
本発明は、これらの不足を克服する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,990,134号明細書
【特許文献2】米国特許第5,314,438号明細書
【特許文献3】米国特許第6,494,890号明細書
【特許文献4】米国特許第5,681,336号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、生物導管内の治療物質の局所的適用のためのシステム、デバイス、および方法を提供する。種々の実施形態では、少なくとも1つの治療薬の溶解性のバッグまたはボーラスが導入され、導管の壁に対して押圧および/または密閉される。他の実施形態では、少なくとも1つの治療薬から形成される溶解性のバーブが、流圧によってカテーテルから射出され、導管の壁に埋め込まれる。
【0016】
このようにして、不要な全身暴露および付随する望ましくない副作用を最小限化しながら、罹患領域における少なくとも1つの治療用量の治療物質の適用が達成される。結果として、超過治療用量を投与する必要性が排除される。
【0017】
以下の図および発明を実施するための形態は、本発明のこれらの実施形態および他の実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下の添付の図面に関連する本発明の種々の実施形態に関する以下の発明を実施するための形態を考慮して、本発明がより完全に理解され得る。
【図1】図1は、本発明の一実施形態の側面図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施形態の側面部分切断図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施形態の側面部分切断図である。
【図2C】図2Cは、本発明の一実施形態の側面部分切断図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態の側面部分切断図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態の側面部分切断図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態の側面部分切断図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態の側面部分切断図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態の側面部分切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、種々の修正および代替形態を受けることができるが、その仕様は、図面中で一例として図示され、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本発明を説明される特定の実施形態に限定することを意図しないことを理解されたい。反対に、本発明の精神および範囲内に入る全ての修正、同等物、および代替案を対象とすることを意図する。
【0020】
本発明の目的のために、以下の用語および定義が適用される。
【0021】
「身体障害」とは、身体の機能に悪影響を及ぼす任意の症状を指す。
【0022】
「治療」という用語は、身体疾患、例えば、血管障害の予防、低減、遅延、安定化、および/または排除を含む。ある実施形態では、治療は、身体、例えば、血管障害によって引き起こされる損傷を修復すること、および/または機械的介入を含むが、治療の介入を含む。
【0023】
「治療薬」は、治療的、予防的、または診断的を含むが、それらに限定されない効果を発揮することが可能な任意の物質を含む。したがって、治療薬は、抗炎症薬、抗感染薬、鎮痛剤、抗増殖剤、および抗再狭窄薬を含むが、それらに限定されない、同等物を含み得る。治療薬はさらに、ほ乳類の幹細胞を含む。本明細書で使用されるような治療薬はさらに、他の薬剤、遺伝物質、および生物物質を含む。遺伝物質は、限定するものではないが、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターを含む人体に挿入されることを目的としている、有用なタンパク質を符号化するDNA/RNAを含むDNAまたはRNAを意味する。ウイルスベクターは、アデノウイルス、次世代アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、レトロウイルス、アルファウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス、生体外修飾細胞(例えば、幹細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、衛星細胞、周皮細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、マクロファージ)、複製可能ウイルス、およびハイブリッドベクターを含む。非ウイルスベクターは、タンパク質形質導入領域(PTD)等の標的配列を伴う、および伴わない、人工染色体およびミニ染色体、プラスミドDNAベクトル、カチオン性ポリマー、グラフト共重合体、中性ポリマーPVP、SP1017、脂質またはリポプレックス、ナノ粒子、および微粒子を含む。生物物質は、細胞、酵母、細菌、タンパク質、ペプチド、サイトカイン、およびホルモンを含む。ペプチドおよびタンパク質の例は、成長因子(FGF、FGF−1、FGF−2、VEGF、内皮マイトジェン成長因子、および表皮成長因子、形質転換成長因子アルファおよびベータ、血小板由来内皮成長因子、血小板由来成長因子、腫瘍壊死因子アルファ、幹細胞成長因子、およびインスリン様成長因子)、転写因子、タンパク質キナーゼ、CD阻害物質、チミジンキナーゼ、および骨形態形成タンパク質を含む。これらの二量体タンパク質は、単独で、または他の分子と一緒に、ホモ二量体、ヘテロ二量体、またはそれらの組み合わせとして提供することができる。
【0024】
治療薬はさらに、移植部位にタンパク質を送達するように、所望であれば遺伝子組み換えが行われている、ヒト由来(自己または同種異系)または動物源由来(異種)であり得る細胞を含む。本明細書の治療薬の定義内の細胞はさらに、骨髄、骨髄由来端核細胞、前駆細胞(例えば、内皮前駆細胞)、幹細胞(例えば、間葉、造血、神経)、多能性幹細胞、線維芽細胞、マクロファージ、および衛星細胞を含む。
【0025】
治療薬はまた、ヘパリン、ヘパリン誘導体、およびウロキナーゼ等の抗血栓薬、エノキサパリン、アンギオペプチン、または平滑筋細胞増殖を阻止することが可能なモノクローナル抗体等の抗増殖剤、ヒルジン、およびアセチルサリル酸、アムロジピンおよびドキサゾシン、グルココルチコイド、ベータメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、およびメサラミン等の抗炎症薬、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、メトトレキサート、アザチオプリン、アドリアマイシン、およびムタマイシン等の抗腫瘍/抗増殖/抗縮瞳薬、エンドスタチン、アンギオスタチン、およびチミジンキナーゼ阻害剤、タキソールおよびその類自体または誘導体、リドカイン、ブピバカイン、およびロピバカイン等の麻酔薬、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、ジピリダモール、プロタミン、ヒルジン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、およびダニ抗血小板ペプチド等の抗凝固剤、成長因子、血管内皮成長因子、成長因子受容体、転写活性化因子、および翻訳促進剤等の血管細胞成長促進剤、抗増殖剤、成長因子、成長因子受容体拮抗薬、転写抑制剤、翻訳抑制剤、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対する抗体、成長因子および細胞毒素から成る二官能性分子、抗体および細胞毒素から成る二官能性分子、コレステロール降下剤、血管拡張剤、内因性血管作動機構に干渉する作用物質、プロブコール等の酸化防止剤、ペニシリン、セフォキシチン、オキサシリン、トブラマイシン等の抗生剤、酸性および塩基性線維芽細胞成長因子等の血管形成物質、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)、および17−ベータエストラジオールを含むエストロゲン、ならびにジゴキシン、ベータ遮断薬、アンギオテンシン変換酵素、カプトプリルおよびエナロプリルを含む阻害剤等の心不全のための薬剤等の、非遺伝物質を含む。生物活性物質は、スクロースジアセタートヘキサイソブチラート、エタノール、n−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、安息香酸ベンジル、および酢酸ベンジルを含む、生物非活性物質とともに使用することができる。
【0026】
さらに、「治療薬」は、とくに、再狭窄を阻止するように、例えば、血管形成術またはアテローム切除手技によって、手技で外傷を与えられたほ乳類の血管への少なくとも1つの治療薬の投与を含む、本発明の好ましい治療方法を含む。好ましくは、治療薬は、例えば、タキソールおよび機能的類自体、タキソテール等のそれらの同等物または類自体、パクリタキセル、アブラキサンTM、コロキサンTM、またはサイトカラシンB、サイトカラシンC、サイトカラシンA、サイトカラシンD、またはそれらの類自体あるいは誘導体等のサイトカラシンを含む、細胞骨格阻害剤または平滑筋阻害剤である。
【0027】
本発明の種々の実施形態を使用して身体管腔に適用され得る、「治療薬」の付加的な具体例は、多くの治療薬の中でも、限定するものではないが、以下を含む。
L−アルギニン、
脂肪細胞、
遺伝子組み換え細胞、例えば、負傷した動脈表面上にベータガラクトシダーゼ遺伝子が導入された自己内皮細胞、
エリスロマイシン、
ペニシリン、
ヘパリン、
アスピリン、
ヒドロコルチゾン、
デキサメタゾン、
ホルスコリン、
GP IIb−IIIa阻害剤、
シクロヘキサン、
ローキナーゼ阻害剤、
ラパマイシン、
ヒスタミン、
ニトログリセリン、
ビタミンE、
ビタミンC、
幹細胞、
成長ホルモン、
ヒルジン、
ヒルログ、
アルガトロバン、
バピプロスト、
プロスタサイクリン、
デキストラン、
エリスロポエチン、
内皮成長因子、
表皮成長因子、
核結合因子A、
血管内皮成長因子、
線維芽細胞成長因子、
トロンビン、
トロンビン阻害剤、
グルコサミン。
【0028】
本発明のデバイスは、カテーテルを挿入することができる身体管腔の任意の表面に生物活性物質を適用するために使用することができる。そのような身体導管は、とりわけ、血管、尿路、冠状血管系、食道、気管、結腸、および胆管を含む。
【0029】
図1は、生物導管160への少なくとも1つの治療薬10の局所送達および適用のための送達システム100の一実施形態を図示する。システム100は、溶解性または生分解性材料を備え、少なくとも1つの治療薬10を含むバッグ20を備え、バッグ20は、拡張可能ステント30の外面に取り付けられ、代替として、拡張可能バルーンがステント30の代わりに使用され得る。バッグ20は、拡張可能ステント30の外面を連続的に放射状に包み込み、好ましい実施形態では、1つより多くのバッグ20が、拡張可能ステント30の外面の周囲で放射状に配置される。ステント30は、生物導管内で任意の既知の方法によって拡張され、生物導管の壁Wの内面に対して、その中に治療薬10を伴う溶解性バッグ20を加圧する。バッグ20は、バッグ20の導管壁W側の第1の溶解性または生分解性材料40、およびバッグ20のステント側の第2の溶解性または生分解性材料50といった、2つの別個の溶解性または生分解性材料で形成され得る。好ましくは、第1の溶解性または生分解性材料は、第2の溶解性または生分解性材料が溶解または生分解する前に溶解または生分解する。この区別された材料の配置は、少なくとも1つの治療薬10がステントおよび第2の溶解性または生分解性材料によって定位置で保持されている間に、第1の材料が溶解または生分解する場合に、少なくとも1つの治療薬10に導管160の壁Wへのアクセスを可能にする。
【0030】
ここで図2A−2Cを参照すると、生物導管160への少なくとも1つの治療薬10の局所送達および適用のための送達システム200の別の実施形態である。システム200は、導管160内に位置付けられ、それを通る管腔と、導管160と流体連通している複数の開口70とを備えている、カテーテル60を備えている。送達シース80は、カテーテル60の管腔内に摺動可能に配置される。治療薬送達管腔90は、送達シース80とカテーテル60との間の空間によって規定される。送達管腔90は、複数の開口70と流体連通している。
【0031】
システム200はさらに、送達シース80の遠位端に取り付けられる膨張式バルーンを備え、膨張式バルーン110は、当技術分野で周知であるような膨張媒体および膨張デバイスで膨張させられる。膨張バルーン110は、拡張可能ステント120で少なくとも部分的に覆われ、拡張可能ステントは、プラスチックまたは同等材料から成る拡張可能管130で覆われる。少なくとも1つの治療薬10を備えているシリンジ170は、治療薬送達管腔90と流体連通している。
【0032】
動作中に、カテーテル60は、導管160内に位置付けられ、送達シース80は、カテーテル60内に位置付けられる。送達シース80は、膨張式バルーン110の先端がカテーテル60の管腔の外側に出るまで、遠位に軸方向に平行移動させられる。次いで、バルーン110の露出した先端は、膨張媒体で膨張させられ、少なくとも1つの治療薬10は、薬剤10が複数の開口70に到達し、薬剤10が生物導管160に送達されるまで、圧力下で治療薬送達管腔90の下方に送達される。手順のこの時点で、送達シース80が、さらに遠位に平行移動させられるか、または代替として、カテーテル60が、近位に平行移動させられ得る。いずれにしても、膨張式バルーン110の残りの部分は、カテーテル60の管腔の外側に遠位に平行移動させられ、完全に膨張させられ、導管160の壁Wとステント120を覆う拡張可能管130との間に少なくとも1つの治療薬を閉じ込める。膨張式バルーン110は、治療作用のために、ステント120、管130、および薬剤10を定位置に残して、収縮させられ、引き抜かれ得る。
【0033】
図3は、生物導管160への少なくとも1つの治療薬10の局所送達および適用のための送達システム300の別の実施形態を提供する。システム300は、当技術分野で周知であるように注射シリンジ170を備え、少なくとも1つの治療薬10が貯蔵される。システム300はさらに、細長い可撓性カテーテル302と、カテーテル302上の膨張式バルーン等の当技術分野で周知の手段によって、または自己拡張手段によって拡張可能である拡張可能ステント304と、壁を備えている細長い可撓性送達シース306とを備え、シース壁307は、シース壁307の中を通る管腔を備え、管腔は、注射シリンジ170と流体連通し、シース壁307の管腔と流体連通している可撓性ノズル308において終端する。システム300はさらに、遠位拡張可能管状領域310を備え、可撓性ノズル308は、遠位拡張可能管状領域310の外面上に配置され、シース306の分岐312は、遠位拡張可能管状領域310および可撓性ノズル308を規定する。
【0034】
動作中、カテーテル302、ステント304、および送達シース306は、生物導管160内の関心の領域に位置付けられる。ステント304は、生物管腔160の壁Wに対して遠位拡張可能管状領域306および可撓性ノズル308を押圧している際に、遠位拡張可能管状領域306と同じように拡張される。次いで、操作者は、シース壁307の管腔を通して、薬剤10が送達される可撓性ノズル308へ、少なくとも1つの治療薬10を送達し、拡張したステント304の周囲で放射状に送達ポケット314を形成するように、シリンジ170を作動させ得る。この時点で、カテーテル302およびシース306は、薬剤が治療可能性を実現することを可能にするように、除去され得る。ある実施形態では、遠位拡張可能管状領域310は、送達シース306から離れ、放射状ポケット314内で薬剤を保持するように、および生物導管160の壁Wに対して略均一に薬剤を加圧するように障壁を形成し得る。代替として、送達シース306は、その全体で近位に除去される。
【0035】
図4は、生物導管160への少なくとも1つの治療薬10の局所送達および適用のための送達システム400の別の実施形態を図示する。システム400は、導管160内で摺動して位置付けられ、それを通る管腔を有する、可撓性の細長いカテーテル402を備えている。膨張式送達シース404は、カテーテル402の管腔内に摺動して配置される。膨張式送達シース404は、膨張管腔406および治療薬送達管腔408といった、それを通る別個の管腔を備えている。膨張式送達シース404はさらに、膨張管腔406および膨張ポンプ412と流体連通している遠位膨張式バルーン410を備えている。膨張管腔408は、膨張式バルーン410の中に配置された開口414において遠位に終端し、少なくとも1つの治療薬10を含むシリンジ170または同等物と流体連通している。
【0036】
動作中、カテーテル402は、導管160内に位置付けられ、膨張式送達シース404は、収縮したバルーン410がカテーテル402の遠位端から遠位に延在するまで、カテーテル402の管腔内で遠位に平行移動させられる。膨張ポンプ412は、作動させられ、膨張管腔406を通して膨張媒体を送出し、それにより、膨張式バルーン410を膨張させる。次いで、操作者は、シリンジ170を作動させ、治療薬送達管腔408へ、および開口414を通して少なくとも1つの治療薬10を送達し、膨張したバルーン410の周囲で放射状に薄い治療薬ポケット416を作成し、バルーン410は、導管160の壁Wに治療薬10を押し込む。次いで、バルーン410が、収縮させられ、カテーテル402の管腔の中へ後退させられ、デバイスが引き抜かれ得る。
【0037】
図5−7は、生物導管160への少なくとも1つの治療薬10の局所送達および適用のための送達システム500の別の実施形態を図示する。システム500は、それを通る管腔を伴う可撓性の細長いカテーテル502を備えている。システム500はさらに、カテーテル502の管腔内に摺動可能に配置される、送達シース504を備えている。複数の放射状に位置付けられたポケット506は、送達シース504の遠位端の付近に配置される。ポケット506は、送達シース504内で、薄い基礎膜508および薄いカバー膜510によって規定され、薄い基礎膜508および薄いカバー膜510はそれぞれ、膜508、510が容易に破壊され得るように、非常に低い破壊強度を備えている。送達シース504はさらに、その遠位端で末端512を有し、流体貯留部514、例えば、管腔510の中へ流体を送出するためのポンプ416と動作接続および連通している、生理食塩水または同等物の流体貯留部と流体連通している、流体注射管腔510を備えている。送出時間の長さ、ポンプの圧力、および管腔510を通って送出する流体の量の制御を提供する、制御システム518が採用され得る。
【0038】
このシステム500では、少なくとも1つの治療薬バーブ(barb)520が、各ポケット506内に配置され、薄い膜508、510によってその中で保持される。バーブ520は、凍結治療薬10を備え、または導管の壁Wの中への進入を促進するようにバーブの形状で溶解性または生分解性材料から形成され、薬剤10は、バーブ520内に配置され得る。
【0039】
動作中、カテーテル502は、導管160内に位置付けられ、送達シース504は、ポケット506がカテーテル502の管腔から遠位に出現するまで、カテーテル502の管腔を通して摺動可能に平行移動させられる。次いで、操作者は、流体貯留部515から流体を注射し、流体注射管腔510の中へ急速で噴出する流圧を生成するために、手動で、または制御システム518を介して、ポンプ516を作動させ得る。流体注射管腔510の末端512は、部分的に、注射された流体に流体注射管腔510からの出口を捜し求めることを強要する働きをする。この基礎膜508は、弱く、したがって、注射された流体からの圧力が膜508を破壊し、ポケット520の中でバーブ520を半径方向外向きに加圧する。カバー膜510もまた、バーブ520および流体の半径方向外向きの加圧によって容易に破壊される。したがって、バーブ520は、図6で最も良く図示されるように、ポケット506から導管160の壁Wの中へ射出される。
【0040】
図7は、システム500の代替実施形態を図示し、1つより多くのバーブ520が、ポケット506の中で提供され得る。したがって、一連のバーブ520が、半径方向に積み重ねられた配置で提供される。流体注射管腔510を通した流体注射は、この実施形態では、現在最も半径方向外向きであるバーブ520に、その外側保護膜510を突き破らせ得る。所望であれば、貯留部514からの第2(または第3等)の噴出する注射流体が、管腔510に送達されく、それにより、次の一群のバーブ520を注射し得る。このようにして、一連のバーブ520が、連続した噴出する注射流体によって導管160の壁Wに送達され得る。
【0041】
本発明は、上記で説明される特定の実施例に限定されると考えられるべきではないが、むしろ、本発明の全側面を対象にすると理解されるべきである。本発明が適用可能であってもよい、種々の修正、同等のプロセス、ならびに多数の構造は、本明細書を考察することによって、本発明を対象とする当業者にとって容易に明白になるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物導管の壁への少なくとも1つの治療薬の局所送達および適用のためのシステムであって、
外面を有する拡張可能ステントであって、前記生物導管への送達が可能であり、前記導管内で拡張する、ステントと、
前記拡張可能ステントの外面に取り付けらている少なくとも1つのバッグと
を備え、
前記少なくとも1つのバッグは、第1の溶解性または生分解性材料と、第2の溶解性または生分解性材料とを備え、かつ、前記少なくとも1つのバッグの中に前記少なくとも1つの治療薬を備え、前記第2の溶解性または生分解性材料は、前記拡張可能ステントの外面上に配置され、前記第1の溶解性または生分解性材料は、前記生物導管の壁に対して配置され、前記第1の溶解性または生分解性材料は、前記第2の溶解性または生分解性材料が溶解または生分解する前に溶解または生分解する、システム。
【請求項2】
生物導管の壁への少なくとも1つの治療薬の局所送達および適用の方法であって、
外面を有する拡張可能ステントを提供することであって、前記ステントは、前記生物導管への送達が可能であり、前記導管内で拡張する、ことと、
前記拡張可能ステントの外面に取り付けられている少なくとも1つのバッグを提供することであって、前記少なくとも1つのバッグは、第1の溶解性または生分解性材料と、第2の溶解性または生分解性材料とを備え、かつ、前記少なくとも1つのバッグの中に前記少なくとも1つの治療薬を備えている、ことと、
前記拡張可能ステントの外面に対して前記第2の溶解性または生分解性材料を配置することと、
前記生物導管の壁に対して前記第1の溶解性または生分解性材料を配置することと、
前記第2の溶解性または生分解性材料が溶解または生分解する前に、前記第1の溶解性または生分解性材料が溶解または生分解することを可能にすることと
を含む、方法。
【請求項3】
生物導管の壁への少なくとも1つの治療薬の局所送達および適用のためのシステムであって、
細長い可撓性カテーテルであって、前記細長い可撓性カテーテルを通る管腔と、遠位端と、前記遠位端の付近でカテーテルを通り、生物管腔と流体連通している複数の開口とを有している細長い可撓性カテーテルと、
送達シースであって、遠位端と、前記送達シースを通る管腔とを備え、前記カテーテル管腔内に摺動可能に配置されている送達シースと、
前記送達シースと前記カテーテルとの間の空間によって規定される治療薬送達管腔であって、前記送達管腔は、前記カテーテルを通る前記複数の開口と流体連通している、治療薬送達管腔と、
前記送達シースの遠位端に取り付けられ、前記送達シースを通る管腔と流体連通している膨張式バルーンと、
前記膨張式バルーンを覆う拡張可能ステントと、
前記拡張可能ステントを覆う拡張可能管と、
シリンジと
を備え、
前記シリンジは、前記少なくとも1つの治療薬を備え、前記治療薬送達管腔と流体連通し、前記少なくとも1つの治療薬は、前記シリンジから前記治療薬送達管腔と前記カテーテルを通る複数の開口とを通して送達され、前記導管の壁と前記ステントを覆う前記拡張可能管との間に閉じ込められる、システム。
【請求項4】
生物導管の壁への少なくとも1つの治療薬の局所送達および適用の方法であって、
細長い可撓性カテーテルを提供することであって、前記細長い可撓性カテーテルは、前記細長い可撓性カテーテルを通る管腔と、遠位端と、前記遠位端の付近でカテーテルを通り、生物管腔と流体連通している複数の開口とを有している、ことと、
送達シースを提供することてあって、前記送達シースは、遠位端と、前記送達シースを通る管腔とを備え、前記カテーテル管腔内に摺動可能に配置されている、ことと、
前記送達シースと前記カテーテルとの間の空間によって規定される治療薬送達管腔を提供することであって、前記送達管腔は、前記カテーテルを通る前記複数の開口と流体連通している、ことと、
前記送達シースの遠位端に取り付けられ、前記送達シースを通る管腔と流体連通している膨張式バルーンを提供することと、
前記膨張式バルーンを覆う拡張可能ステントを提供することと、
前記拡張可能ステントを覆う拡張可能管を提供することと、
前記少なくとも1つの治療薬を備えているシリンジを提供することであって、前記シリンジは、前記治療薬送達管腔と流体連通している、ことと、
前記シリンジから前記治療薬送達管腔と前記カテーテルを通る複数の開口とを通して前記少なくとも1つの治療薬を送達することと、
前記導管の壁と前記ステントを覆う前記拡張可能管との間に前記少なくとも1つの治療薬を閉じ込めることと
を含む、方法。
【請求項5】
生物導管の壁への少なくとも1つの治療薬の局所送達および適用のためのシステムであって、
注射シリンジであって、前記注射シリンジの中に前記少なくとも1つの治療薬を備えている注射シリンジと、
細長い可撓性カテーテルであって、前記細長い可撓性カテーテルを通る管腔と、遠位端とを有している細長い可撓性カテーテルと、
拡張するために、前記カテーテルと動作的に接続している拡張可能ステントと、
シース壁を備えている細長い可撓性送達シースであって、前記シース壁は、
管腔であって、前記管腔は、前記注射シリンジと流体連通し、前記管腔の中に前記少なくとも1つの治療薬を備えている、管腔と、
可撓性注射ノズルであって、前記可撓性注射ノズルは、前記シース壁の管腔と流体連通している、可撓性注射ノズルと
を備えている可撓性送達シースと、
外面を有する遠位拡張可能管状領域であって、前記可撓性ノズルは、前記遠位拡張可能管状領域の外面上に配置されている、遠位拡張可能管状領域と、
前記送達シース上の分岐であって、前記遠位拡張可能管状領域および前記可撓性ノズルを規定する分岐と
を備えている、システム。
【請求項6】
生物導管の壁への少なくとも1つの治療薬の局所送達および適用の方法であって、
注射シリンジを提供することであって、前記注射シリンジは、前記注射シリンジの中に前記少なくとも1つの治療薬を備えている、ことと、
細長い可撓性カテーテルを提供することであって、前記細長い可撓性カテーテルは、前記細長い可撓性カテーテルを通る管腔と、遠位端とを有している、ことと、
拡張するために前記カテーテルと動作的に接続している拡張可能ステントを提供することと、
シース壁を備えている細長い可撓性送達シースを提供することであって、前記シース壁は、
管腔であって、前記管腔は、前記注射シリンジと流体連通し、前記管腔の中に前記少なくとも1つの治療薬を備えている、管腔と、
可撓性注射ノズルであって、前記可撓性注射ノズルは、前記シース壁の管腔と流体連通している、可撓性注射ノズルと
を備えている、ことと
外面を有する遠位拡張可能管状領域を提供することであって、前記可撓性ノズルは、前記遠位拡張可能管状領域の外面上に配置されている、ことと、
前記送達シース上の分岐を提供することであって、前記送達シース上の分岐は、前記遠位拡張可能管状領域および前記可撓性ノズルを規定する、ことと、
前記拡張可能ステントを拡張することと、
前記生物導管の壁に対して前記遠位拡張可能管状領域および前記可撓性ノズルを押圧することと、
前記シリンジから前記シースの前記管腔を通して前記可撓性ノズルへ前記少なくとも1つの治療薬を送達することと、
前記可撓性ノズルから前記生物導管へ前記少なくとも1つの治療薬を送達することと、
前記拡張したステントの周囲に前記少なくとも1つの治療薬で充填された送達ポケットを作成することと、
前記送達ポケット内に前記少なくとも1つの治療薬を保持するために、前記遠位拡張管状領域によって障壁を形成することと
を含む、方法。
【請求項7】
生物導管の壁への少なくとも1つの治療薬の局所送達および適用のためのシステムであって、
細長い可撓性カテーテルであって、前記細長い可撓性カテーテルを通る管腔と、遠位端とを有している細長い可撓性カテーテルと、
前記カテーテル管腔内に摺動して配置され、膨張管腔と、治療薬送達管腔とを備えている膨張式送達シースと、
前記膨張管腔と流体連通している遠位膨張式バルーンであって、前記遠位膨張式バルーンは、前記バルーンを通る開口を備え、前記開口は、前記治療薬送達管腔と前記生物導管との間の流体連通を可能にする、遠位膨張式バルーンと、
前記膨張管腔と流体連通している膨張ポンプと、
前記少なくとも1つの治療薬を備えているシリンジと
を備え、
前記シリンジが、前記治療薬送達管腔と流体連通し、前記膨張式バルーンが、膨張ポンプによって膨張させられ、前記生物導管の壁に対して前記開口を押圧することが可能であり、前記シリンジの作動が、前記治療薬送達管腔および前記膨張式バルーンの開口を通して前記生物導管に前記少なくとも1つの治療薬を送達することにより、薄い治療薬ポケットが、膨張したバルーンの周囲で放射状に作成される、システム。
【請求項8】
生物導管の壁への少なくとも1つの治療薬の局所送達および適用の方法であって、
細長い可撓性カテーテルを提供することであって、前記細長い可撓性カテーテルは、前記細長い可撓性カテーテルを通る管腔と、遠位端とを有している、ことと、
前記カテーテル管腔内に摺動して配置され、膨張管腔と、治療薬送達管腔とを備えている膨張式送達シースを提供することと、
遠位膨張式バルーンを提供することであって、前記遠位膨張式バルーンは、膨張管腔と流体連通し、前記バルーンを通る開口を備え、前記開口は、前記治療薬送達管腔と前記生物導管との間の流体連通を可能にする、ことと、
前記膨張管腔と流体連通している膨張ポンプを提供することと、
前記少なくとも1つの治療薬を備え、前記治療薬送達管腔と流体連通しているシリンジを提供することと、
前記膨張ポンプで前記膨張式バルーンを膨張させることと、
前記生物導管の壁に対して前記開口を押圧することと、
前記治療薬送達管腔および前記膨張式バルーンの開口を通して前記生物導管に前記少なくとも1つの治療薬を送達するために、前記シリンジを作動させることと、
膨張したバルーンの周囲で放射状に薄い治療薬ポケットを作成することと
を含む、方法。
【請求項9】
生物導管の壁への少なくとも1つの治療薬の局所送達および適用のためのシステムであって、
流体貯留部と、
前記流体貯留部と動作的に連通しているポンプと、
細長い可撓性カテーテルであって、前記細長い可撓性カテーテルは、前記細長い可撓性カテーテルを通る管腔を有している、細長い可撓性カテーテルと、
前記カテーテルの管腔内に摺動可能に配置されている送達シースと
を備え、
前記送達シースは、
遠位端と、
前記送達シースの遠位端の付近にあり、薄い基礎膜および薄いカバー膜によって規定される複数の放射状に位置付けられたポケットであって、前記薄い基礎およびカバー膜は、前記基礎およびカバー膜に破損しやすさを提供するために、非常に低い破壊強度を備えている、ポケットと、
前記送達シースを通る流体注射管腔であって、前記流体注射管腔は、前記複数のポケットに隣接し、遠位端と前記遠位端における末端とを有しており、前記流体貯留部と流体連通している、流体注射管腔と
前記複数のポケットのそれぞれの内側に配置され、前記薄いカバーおよび基礎膜によって前記ポケット内に保持されている少なくとも1つの治療薬バーブと
を備えている、システム。
【請求項10】
前記ポンプおよび前記流体貯留部と動作的に連通している制御システムをさらに備えている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体貯留部は、生理食塩水を備えている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
半径方向に積み重ねられた配置で提供される一連のバーブをさらに備えている、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
生物導管の壁への少なくとも1つの治療薬の局所送達および適用の方法であって、
流体貯留部を提供することと、
前記流体貯留部と動作的に連通しているポンプを提供することと、
細長い可撓性カテーテルを提供することであって、前記細長い可撓性カテーテルは、前記細長い可撓性カテーテルを通る管腔を有している、ことと、
前記カテーテル管腔内に摺動可能に配置されている送達シースを提供することであって、
前記送達シースは、
遠位端と、
前記送達シースの遠位端の付近にあり、薄い基礎膜および薄いカバー膜によって規定される複数の放射状に位置付けられたポケットであって、前記薄い基礎およびカバー膜は、前記基礎およびカバー膜に破損しやすさを提供するために、非常に低い破壊強度を備えている、ポケットと、
前記送達シースを通る流体注射管腔であって、前記流体注射管腔は、前記複数のポケットに隣接し、遠位端と前記遠位端における末端とを有しており、前記流体貯留部と流体連通している、流体注射管腔と、
を備えている、ことと、
前記複数のポケットのそれぞれの内側に配置され、前記薄いカバーおよび基礎膜によって前記ポケット内で保持されている少なくとも1つの治療薬バーブを提供することと、
ポンプを作動させることと、
前記流体貯留部から流体注射管腔の中へ流体を注射することと、
前記注射した流体で前記基礎膜を破壊することと、
前記注射した流体および前記バーブで前記カバー膜を破壊することと、
前記複数のポケットのそれぞれから前記少なくとも1つの治療薬バーブを射出することと、
前記生物導管の壁の中へ前記少なくとも1つの治療薬バーブを衝突させることと
を含む、方法。
【請求項14】
前記複数のポケットのそれぞれの内側に、一連の半径方向に積み重ねられた治療薬バーブを提供することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
連続して、各ポケットから最も半径方向外側の治療薬を射出することをさらに含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−520237(P2013−520237A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554048(P2012−554048)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2011/025372
【国際公開番号】WO2011/103380
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(508132034)カーディオバスキュラー システムズ, インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】