説明

生物活性剤を含むポリマー組成物、医療用物品、および方法

親水性ポリマー、任意の二次有機ポリマー、および中に分配された生物活性剤を含み、該生物活性剤は、銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、ポリマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
生物活性剤(たとえば、抗菌剤)を含むポリマー組成物は、様々な用途、特に創傷被覆材および創部充填材などの医療用途に使用される。従来の抗菌剤は、イオン化可能な銀化合物(たとえば、硝酸銀などの銀塩類)を含む。しかし、それらは、一般的に光安定性ではなく、また、それらが接触する皮膚上に染みを残す。したがって、安定した抗菌性ポリマー組成物が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、やや溶けにくい銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、またはそれらの組み合わせを含む、ポリマー組成物、ならびにそれらを製造および使用する方法に関する。これらの中で、より一般的なものは銀化合物である。このような組成物は、医療用物品、特に創傷被覆材、創部充填材、局所用クリーム剤、および局所用ローション剤で有用であるが、多種多様な他の製品が、該ポリマー組成物を含むことができる。このような組成物は、安定であることが好ましい。これは、該組成物が、以下のタイプの放射線:可視光線、紫外線、電子ビーム、およびガンマ線滅菌の少なくとも1つに安定であることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態では、該ポリマー組成物は、親水性ポリマー、および銀、銅、亜鉛、およびそれらの組み合わせの金属酸化物からなる群から選択される生物活性剤を含む。該生物活性剤は、1μm未満の粒度を有し、かつ該親水性ポリマー内に分散されている。
【0004】
ある実施形態では、該親水性ポリマーは、ポリ(第四級アミン類)、ポリラクタム類、ポリアミド類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、アミン含有有機ポリマーである。ある実施形態では、該親水性ポリマーは、カルボン酸含有有機ポリマーである。
【0005】
別の実施形態では、該ポリマー組成物は、該親水性ポリマー;銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属化合物(ここで、該銀化合物は、水中で1リットル当たり少なくとも0.1gの溶解度を有する);および該金属化合物を、対応する金属酸化物に変換する、水酸化物源;を混合させることを含む方法で調製できる。該成分は、該金属酸化物を該親水性ポリマー内に分散させる方法で混合される。
【0006】
別の実施形態では、該ポリマー組成物は、該親水性ポリマー;アンモニア源;銀酸化物、銅酸化物、亜鉛酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物;を混合することを含む方法で調製できる。該親水性ポリマー内に分散される該金属酸化物は、1μm未満の粒度を有する。該アンモニア源は、アンモニアおよび/またはアンモニウム塩類であってもよい。混合するとき、該アンモニアおよび金属酸化物は、水中で1リットル当たり0.1gより大きい溶解度を有するアンモニア−金属錯体を形成する。
【0007】
一実施形態では、該ポリマー組成物は、吸水性親水性微粒子を含む分散体;銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属化合物(ここで、該銀化合物は、水中に少なくとも1リットル当たり0.1gの溶解度を有する);および金属化合物を、対応する金属酸化物に変換する、水酸化物源;を混合させることを含む方法で調製できる。該成分は、該金属酸化物を該微粒子内に組み込む方法で混合される。該微粒子は、実質的に非水和形であるとき、10μm以下の平均粒度を有する。
【0008】
別の実施形態では、ポリマー組成物は、有機ポリマー・マトリックス;吸水性親水性微粒子を含む分散体;銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属化合物(ここで、該銀化合物は、水1リットルにつき少なくとも0.1gの溶解度を有する);および該金属化合物を、対応する金属酸化物に変換する、水酸化物源;を混合させることを含む方法で調製できる。該金属酸化物は、該微粒子内に組み込まれる。該有機ポリマー・マトリックスは、好ましくは、疎水性ポリマーを含む。
【0009】
別の実施形態では、該親水性ポリマーは、ポリ(第四級アミン類)、ポリラクタム類、ポリアミド類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミン含有ポリマーである。
【0010】
好ましくは、該ポリマー組成物は、場合により第2の有機ポリマーを含み、それによってポリマーの混合物または配合物を形成する。該第2の有機ポリマーは、好ましくは、疎水性材料である。一実施形態では、該疎水性材料は、連続マトリックスを形成し、該親水性ポリマーは、不連続相(たとえば、微粒子)を形成する。別の実施形態では、該疎水性材料は、不連続相を形成し、該水性ポリマーは、連続マトリックスを形成する。また別の実施形態では、該疎水性材料は、親水性アミン含有ポリマーと二連続相または共連続相を形成する。
【0011】
別の態様において、該ポリマー組成物を製造する方法もまた提供される。一実施形態では、該方法は、金属化合物の実質的に全部を親水性有機微粒子中に分布させるのに有効な条件で、親水性有機微粒子を含む分散体を、水、および水中で1リットル当たり少なくとも0.1gの溶解度を有する銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属化合物と、混合させること;該金属化合物を、該対応する金属酸化物に変換するために、水酸化物源を加えることと;場合により、二次有機ポリマーを該分散体に加えること;および、場合により、該水のかなりの部分を除去することを含む。該方法はまた、酸化剤を合わせて、より高い原子価の金属酸化物を形成することも含むことができる。
【0012】
別の実施形態では、該方法は、モノマーを重合し、金属化合物の実質的に全部を該親水性有機微粒子中に撒き散らすのに有効な条件で、親水性有機ポリマー用のモノマーを、水中に少なくとも1リットル当たり0.1gの溶解度を有する銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属化合物と混合させること;該金属化合物を、該対応する金属酸化物に変換するために、水酸化物源を加えること;および、場合により二次有機ポリマーを該親水性有機ポリマーに加えることを含む。
【0013】
別の実施形態では、該方法は、親水性ポリマー;アンモニア源;および銀酸化物、銅酸化物、亜鉛酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物を混合させることを含む。該親水性ポリマー中に分散した該金属酸化物は、1μm未満の粒度を有する。
【0014】
本発明はまた、該ポリマー組成物を含む医療用物品も提供する。該医療用物品は、多種多様な製品のいずれであってもよいが、好ましくは創傷被覆材、創部充填材、局所用クリーム剤、または局所用ローション剤である。
【0015】
ある実施形態では、本発明は、本発明の液体透過性の開口基材および非粘着性組成物を含む、創傷被覆材を提供する。
【0016】
本明細書で使用されるとき、単数形(「a」、「an」、「the」)、「少なくとも1つ」および「1つまたは複数の」は、同義的に使用される。また本明細書では、端点による数値範囲の詳述は、その範囲内の全ての数値を含む(たとえば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「溶解度」は、室温の、一般的には23℃の、水中での溶解度であると推定される。
【0018】
本発明の上記概要は、開示された各実施形態または本発明の各実施について記述することを目的とするのではない。以下の記述は、説明に役立つ実施形態をさらに詳細に例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、親水性ポリマー、任意の第2の有機ポリマー、およびその中に分散された生物活性剤を含むポリマー組成物を提供する。該ポリマー組成物は、たとえば、押出フィルム(たとえば、0.5ミリメートル(mm)〜10mmの厚さを有する)、コーティング、フォーム、粒子、親水コロイド(すなわち、第2相中に分散された粒子を含む材料、一般的には、親油性相に分散された親水性粒子)、ゲル、ローション、クリーム、成形品などの、多種多様な形態であってもよい。
【0020】
ある実施形態では、該親水性ポリマーは、ポリ(第四級アミン類)、ポリラクタム類、ポリアミド類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミン含有ポリマーである。ある実施形態では、該親水性ポリマーは、カルボン酸含有有機ポリマーである。ある実施形態では、該親水性ポリマーは、微粒子の形態である。該第2の有機ポリマーは、ある実施形態では連続マトリックスを形成し、またある実施形態では、疎水性材料である。
【0021】
該生物活性剤は、一般的には銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属化合物である。これらの中で、より一般的なのは銀化合物である。ある実施形態では、該ポリマー組成物は、吸水性の親水性微粒子を含む分散体から調製できる。他の実施形態では、該ポリマー組成物はさらに、有機ポリマー・マトリックスを含む。
【0022】
本発明の組成物は、安定していることが好ましい。これは、該組成物が、以下のタイプの放射線:可視光線、紫外線、電子ビーム、およびガンマ線滅菌の少なくとも1つに安定であることを意味する。このような組成物は、医療用物品、特に創傷被覆材、創部充填材、局所用クリーム剤、および局所用ローション剤で有用であるが、多種多様な他の製品が、該ポリマー組成物を組み込むことができる。該創傷被覆材は、必要に応じて、それらの水和した形態または膨潤した形態で使用することができる。
【0023】
ある実施形態では、本発明の組成物は、非粘着性であるが、該組成物を含む物品に接着剤(たとえば、感圧接着剤)を加えることもできることを理解すべきである。本明細書で使用されるとき、基材上に塗布された本発明の非粘着性組成物は、実施例のセクションに記載のテスト方法に従って、スチールから1N/cm未満の180°剥離強さを示す。好ましくは、本発明の組成物は、除去に際して創傷組織の痛みおよび/または破壊を引き起こさないように、創傷組織に著しく接着しない。
【0024】
親水性ポリマー
該親水性ポリマーは、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、両性ポリマー、非イオン性ポリマー、またはそれらの組み合わせを含むことができる。一般的に、ポリマーのタイプおよび量は、本発明のポリマー組成物に所望の吸水性を提供するように選択される。
【0025】
好ましくは、該親水性ポリマーは、少なくとも1000の重量平均分子量を有する。好ましくは、該ポリマーはまた、皮膚科学的に許容でき、かつ患者の皮膚、または中に存在する可能性がある抗菌剤を含む組成物の他成分と反応しない。
【0026】
本発明で有用な親水性ポリマー(すなわち、水親和性、吸水性を有し、水で順調に湿潤し、水と結合する傾向、または水に溶解する能力を有する)は、多種多様な合成で調製されたポリマー、天然ポリマー、または化学的に改変された天然の親水性ポリマーから製造することが可能である。使用できる様々なポリマーは、単一のモノマーまたは多数のモノマーから調製される合成ポリマーを含むことができる。該親水性ポリマーは、吸水性親水性微粒子を含む分散体などの、分散体であってもよい。
【0027】
このようなポリマーの非限定的な例は、以下のものを包含する:ポリヒドロキシアルキルアクリレート類およびメタクリレート類(たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレートから調製されるもの);ポリ(メタ)アクリル酸およびそれらの塩類(ここで、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸およびアクリル酸を指す);ポリビニルラクタム類(たとえば、N−ビニル−2−ピロリドン、5−メチル−N−ビニル−2−ピロリドン、5−エチル−N−ビニル−2−ピロリドン、3,3−ジメチル−N−ビニル−2−ピロリドン、3−メチル−N−ビニル−2−ピロリドン、3−エチル−N−ビニル−2−ピロリドン、4−メチル−N−ビニル−2−ピロリドン、4−エチル−N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−バレロラクタム、およびN−ビニル−2−カプロラクタムなどのN−ビニルラクタム類から調製されるもの);ポリビニルアルコール類;ポリオキシアルキレン類;ポリアクリルアミド類;スルホン酸ポリスチレン、天然または合成的に修飾された多糖類(たとえば、スターチ、グリコーゲン、ヘミセルロース類、ペントサン類、ゼラチン、セルロース類、ペクチン、キトサン、およびキチン)、アルギネート類、ガム類(たとえば、ローカストビーンガム、グアーガム、アガーガム、カラギーナンガム、キサンタンガム、カラヤガム、アルギネートガム、トラガカントガム、ガッチガム、およびファーセレランガム)、セルロース誘導体(たとえば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩類、ならびにヒドロキシプロピルセルロースから調製されるもの);水溶性アミド類(たとえば、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドおよびN−メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキサブチル)アクリルアミドN−[2−(ジメチルアミン)エチルアクリルアミドおよび−メタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、およびN−[1,1−ジメチル−2−(ヒドロキシメチル)−3−オキサブチルアクリルアミド))から調製されるポリマー;水溶性ヒドラジン誘導体(たとえば、トリアルキルアミンメタクリルイミド、およびジメチル−(2−ヒドロキシプロピル)アミンメタクリルイミド)から調製されるポリマー;モノオレフィン系スルホン酸およびそれらの塩類、(たとえばエチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウムおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸))。他のポリマーは、モノマーの非環状主鎖または環状主鎖に窒素を含有する、下記のモノマーから調製されるものを包含する:1−ビニル−イミダゾール、1−ビニル−インドール、2−ビニルイミダゾール、4(5)−ビニル−イミダゾール、2−ビニル−l−メチル−イミダゾール、5−ビニル−ピラゾリン、3−メチル−5−イソプロペニル−ピラゾール、5−メチレン−ヒダントイン、3−ビニル−2−オキサゾリドン、3−メタクリリル−2−オキサゾリドン、3−メタクリリル−5−メチル−2−オキサゾリドン、3−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリドン、2−および4−ビニル−ピリジン、5−ビニル−2−メチル−ピリジン、2−ビニル−ピリジン−l−オキシド、3−イソプロペニル−ピリジン、2−および4−ビニル−ピペリジン、2−および4−ビニル−キノリン、2,4−ジメチル−6−ビニル−s−トリアジン、および4−アクリリル−モルホリン。
【0028】
ある実施形態の場合、該親水性ポリマーは、アミン含有有機ポリマーで調製される。該アミン含有有機ポリマーは、ポリ(第四級アミン類)、ポリラクタム類、ポリアミド類、およびそれらの組み合わせ(それらの配合物、混合物、またはコポリマーを含む)を包含する。
【0029】
好ましくは、該アミン含有ポリマーは、少なくとも1000の重量平均分子量を有する。例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリ−N−ビニルホルムアミド、ポリアクリルアミドなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
好ましくは、該アミン含有有機ポリマーは、第四級アミンを含み、より好ましくは、該アミン含有ポリマーは、有機ポリマーの第四級アンモニウム塩である。このようなポリマーは一般的に、生物活性化合物(特に、銀化合物)を効果的に安定化させることが可能であり、生物活性化合物の良好な剥離をもたらし、水または体液(たとえば、創傷滲出液)を吸収するため、好ましい。例としては、欧州特許出願公開第0 489 967 A1号明細書に開示されているような、カチオン性ビニルモノマーの重合生成物、および米国特許第6,039,940号明細書に記載されているような本質的に抗菌性の第四級アミンポリマーなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0031】
他の適当なアミン含有ポリマーは、有機アンモニウム基およびモノエチレン性不飽和基を有する塩である、第四級アンモニウムモノマーから調製することができる。ある実施形態の場合、該第四級アンモニウムモノマーは、以下の一般式(I):
【化1】

(式中:nは、2〜10、好ましくは2〜3であり;R1は、HまたはCH3であり;R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、好ましくは1〜16個の炭素原子(平均して)を有する、直鎖状または分岐鎖状の有機基であり;Xは、OまたはNHであり;Y-は、第四級アンモニウム基のN+に対する、許容し得るアニオン性対イオン(たとえば、該モノマーの重合または添加された抗菌剤の抗菌活性に悪影響を及ぼさないものである)を有する。
【0032】
好ましくは、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、アルカリール基、またはアラルキル基である。アルキル基は、好ましくは、1〜16個の炭素原子(平均して)を有する、低級アルキルであり、メチル基およびエチル基が特に好ましい。アリールは、好ましくはフェニルであるが、フェニル、チオフェニル、ナフチル、ビフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジル、ピリダジニル、フリル、チエニル、ピリル、キノリニル、ビピリジルなどからなる群から選択されるものなどの、任意の適当な芳香族部分であってもよい。アラルキル基の代表はベンジルであり、アルカリール基の代表はトリルである。Xは、好ましくはOである。代表的な対イオン(Y-)は、Cl-、Br-、HSO4-、CH3CH2OSO3-、およびCH3OSO3-であり、塩化物塩類が特に好ましい。アルキル基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、またアルキル基およびアリール基は、該ポリマーの官能性を妨害しない非妨害置換基で置換されていてもよい。
【0033】
有用な重合可能な第四級アンモニウムモノマーは、2−(メタ)アクリルオキシエチルトリアルキルアンモニウムハライド類およびサルフェート類、ならびにそれらの混合物から選択されるものを包含するが、それらに限定されない。このような化合物の例としては、2−(メタ)アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、CH2=C(HまたはCH3)CO2CH2CH2N(CH33Cl;2−(メタ)アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、CH2=C(HまたはCH3)CO2CH2CH2N(CH33OSO2OCH3;2−(メタ)アクリルオキシエチルメチルジエチルアンモニウムメチルサルフェート、CH2=C(HまたはCH3)CO2CH2CH2N(CH3)(C252OSO2OCH3;2−(メタ)アクリルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、CH2=C(HまたはCH3)CO2CH2CH2N(CH32(C65CH2)Cl(上記モノマーは全て、ニュージャージー州ウッドブリッジにあるチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals,Woodbridge,NJ)から販売されている);2−(メチルアクリルオキシ)エチルジメチルヘキサデシルアンモニウムブロミド、CH2=C(CH3)CO2CH2CH2N(CH32(C1633)Br(米国特許第5,437,932号明細書(アリ(Ali)ら、)に記載)などが挙げられるが、それらに限定されない。必要に応じて、これらのモノマーの様々な組み合わせを使用することができる。
【0034】
入手可能であり、強化(メタ)アクリレートポリマーに有効であり、また抗菌活性を有するため、特に好ましい第四級アンモニウムモノマーは、2−アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルクロリドおよび2−アクリルオキシエチルメチルジエチルアンモニウムメチルクロリドである。このようなモノマーは、一般的に親水性である。強化モノマーである他のモノエチレン性不飽和モノマーの様々な組み合わせを、本発明のポリマーに使用することができる。このような強化モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、エチレンビニルアセテート、およびN,N−ジメチルアクリルアミドを包含するが、それらに限定されない。
【0035】
第四級アンモニウム官能単位を含有するポリマーを提供するための代替手法として、アミンモノマーから出発して、重合後、第四級アンモニウム単位を形成することが可能である。ある実施形態の場合、該アミンモノマーは、下記の一般式(II):
【化2】

(式中、n、R1、R2、R3、およびXは、式(I)に関する定義通りである)
を有する。
【0036】
ある実施形態の場合、該親水性ポリマーは、カルボン酸含有有機ポリマーから調製される。このようなポリマーの例としては、ノースカロライナ州ハイ・ポイントにあるチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals,High Point,NC)からソールケア(SALCARE)SC91の商品名で市販されているものなどの、ポリアクリル酸ナトリウム(すなわち、アクリル酸ナトリウムおよびアクリル酸のコポリマー)微粒子などが挙げられる。
【0037】
ある実施形態の場合、該親水性ポリマーは、粒子の形態である。該親水性ポリマーは、粒子の形態であれば、一般的には、微粒子の形態である。好ましくは、該微粒子は、実質的に非水和型であるとき、10μm以下、より好ましくは、1μm以下の平均粒度を有する。一般的には、また好ましくは、該微粒子は、実質的に非水和型であるとき、0.5μm以上の平均粒度を有する。好ましい微粒子は、欧州特許出願公開第172 724 A2号明細書および欧州特許出願公開第126 528 A2号明細書に記載されている通り、逆相重合で製造され、4μm未満の乾燥粒度を有する。
【0038】
ある実施形態の場合、該親水性ポリマー(好ましくは、微粒子の形態である)は、吸水性(たとえば、水または体液を吸収することができる)である。より好ましくは、該親水性ポリマー(好ましくは、微粒子の形態である)は、超吸水性である。これに関連して、「超吸水性」は、該材料がその重量の少なくとも100%を吸収することを意味する。
【0039】
ある実施形態では、該親水性ポリマーは、粒子、好ましくは、分散体中の、微粒子の形態の粒子であってもよい。該親水性粒子は、一般的には、連続した疎水性相中に分散される。
【0040】
分散体の一種は連続した疎水性液体相(たとえば、鉱油)および該疎水性液体相内に分散された親水性ポリマー粒子として提供される。このような材料の適当な例は、欧州特許出願公開第0 126 528 A2号明細書に記載されている。このような材料は、ノースカロライナ州ハイ・ポイントにあるチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals,High Point,NC)からソールケア(SALCARE)の商品名で販売されている。適当な例は、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートの塩化メチル四級塩(CAS No.26161−33−1)のカチオン性ホモポリマーを含むソールケア(SALCARE)SC95およびSC96を包含する。他の適当な例としては、アクリル酸ナトリウムおよびアクリル酸のコポリマーである、ソールケア(SALCARE)SC91などが挙げられる。
【0041】
モノマーは、溶液重合法、エマルジョン重合法、塊状重合法、懸濁重合法などの技術を使用して重合することができる。特に、エマルジョン重合法および懸濁重合法は、該ポリマーの分子量が高くなるため、好ましく;溶液重合は、分子量分布が比較的狭いため、好ましく;塊状重合は、溶剤を使用しないため、好適である。
【0042】
このような重合では、エチレン性不飽和モノマーの重合で従来使用されていたものなどの、活性化エネルギーの使用に際して、フリーラジカルを発生させるために、開始剤を使用することができる。有用なフリーラジカル開始剤の中には、有機ペルオキシド、有機ヒドロペルオキシド、およびアゾ化合物などの熱活性化開始剤が含まれる。このような開始剤の代表例としては、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、アゾビス(イソブチロニトリル)などが挙げられるが、それらに限定されない。概して、該熱開始剤は一般的に、モノマーの0.01〜5質量%の量で使用される。
【0043】
該ポリマーの重合はまた、光開始剤でも開始することが可能である。このような光化学的に活性化された開始剤は周知であり、重合技術、たとえば、Calvert and Pitts,John Wiley and Sons(1966年)による「Photochemistry」のII章およびProgress in Organic Coating,13,123−150(1985年)に記載されている。このような開始剤の代表例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン、ベンジルジメチルケタールおよびベンジルジエチルケタール、2−ヒドロキシ−1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−メチル−1−プロパノンなどが挙げられる。現在好ましい光開始剤は、2−ヒドロキシ−1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−メチル−1−プロパノンである。概して、光開始剤は、モノマーの0.01〜5質量%の量で使用される。
【0044】
該ポリマーの重合はまた、電子ビームおよびコバルト60のガンマ線などの電磁放射線で開始することも可能である。照射線量派一般的に、1〜100kGyである。
【0045】
該ポリマーは、架橋化合物を加えることにより、または電子ビームまたはガンマ線により、架橋することが可能である。架橋化合物は、エチレン基が、窒素または酸素原子に結合されたビニル基、アリル基、および/またはメタリル基である、多エチレン性不飽和化合物であってもよい。例となる化合物としては、ジビニルエステル、ジアリルエステルまたはジメタリルエステル(たとえば、コハク酸ジビニル、アジピン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、シュウ酸ジビニル、マロン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、ジグリコール酸ジアリル、シュウ酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、コハク酸ジアリル、アゼライン酸ジアリル、マロン酸ジアリル、グルタル酸ジアリル、マレイン酸ジメタリル、シュウ酸ジメタリル、マロン酸ジメタリル、コハク酸ジメタリル、グルタル酸ジメタリル、およびアジピン酸ジメタリル)、ジビニルエーテル、ジアリルエーテルまたはジメタリルエーテル(たとえば、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ブタンジオールジアリルエーテル、エチレングリコールジメタリルエーテル、ジエチレングリコールジメタリルエーテル、およびブタンジオールジメタリルエーテル)、ビス(N−ビニルラクタム類)、(たとえば、3,3’−エチリデン ビス(N−ビニル−2−ピロリドン))を含むジビニルアミド、ジアリルアミドまたはジメタリルアミド、およびジビニル、ジアリルまたはジメタリル尿素などが挙げられる。
【0046】
該親水性ポリマーは、様々な組み合わせで使用することができる。親水性ポリマー(たとえば、微粒子)の総量は、該ポリマー組成物の総質量を基準にして、好ましくは、少なくとも1質量%であり、より好ましくは、少なくとも5質量%である。親水性ポリマー(たとえば、微粒子)の総量は、該ポリマー組成物の総質量を基準にして、好ましくは、多くとも60質量%である。
【0047】
生物活性剤
本発明のポリマー組成物は、一般的に、銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属化合物である生物活性剤を含む。該親水性ポリマー内に分散されるとき、該銀化合物、銅化合物、および亜鉛化合物は、一般的に、金属酸化物の形態である。該金属化合物は、一般的に抗菌性であるが、抗真菌活性などの、他の活性を示してもよい。好ましくは、該生物活性剤は、銀化合物である。
【0048】
該分散された銀、亜鉛、および銅化合物の実質的に全部が、1μm未満の平均粒度を有する。水酸化物源を用いて対応する金属酸化物にin situで変換される可溶性金属化合物を使用するか、またはアンモニア源をin situで使用して金属酸化物を錯化するかのいずれかによって、該金属化合物を可溶化する方法を使用することにより、結果として生じる分散された金属酸化物は、親水性ポリマー内に粒子を形成する。1μm未満の平均粒度は、ある程度、親水性ポリマーと錯体を形成する金属酸化物の傾向によって提供される。小さい粒度は、該粒子の質量に対して表面積が大きいことに基づいて、溶解促進を可能にする。
【0049】
この種の1つまたは複数の生物活性剤を使用することができる。本明細書では、これらを、一次生物活性剤と考える。場合により、1つまたは複数の二次生物活性剤(たとえば、抗菌剤、抗生物質)を、これらの一次生物活性剤と組み合せて使用することができる。好ましい組成物は、2つ以上の生物活性剤を有する。
【0050】
該生物活性剤は、所望の効果(たとえば、抗菌作用)をもたらす量で、該ポリマー組成物中に存在することができる。好ましくは、該生物活性剤は、該ポリマー組成物が安定な量で存在する。これに関連して、「安定な」は、以下のタイプの放射線:可視光線、紫外線、電子ビーム、およびガンマ線滅菌の少なくとも1つの存在下で、一般的な曝露時間が終わるまで、該組成物が黒変しないことを意味する。
【0051】
親水性モノマーに対する該金属化合物の好ましいモル比(該ポリマーをin situで調製する実施形態の場合)は、500モルの親水性モノマーに対して少なくとも1モルの金属化合物である。本質的に上限はないものの、好ましいモル比は、20モルの親水性モノマーに対して1モル以下の生物活性剤である。
【0052】
親水性ポリマーに対する該金属化合物の好ましい重質比(金属化合物を、予め調製したポリマーと混合する実施形態の場合)は、該親水性ポリマーの総質量を基準にして少なくとも0.1質量%(より好ましくは少なくとも1質量%)の金属化合物である。本質的に上限はないものの、好ましい質量比は、該親水性ポリマーの総質量を基準にして10質量%以下(より好ましくは8質量%以下)の金属化合物である。
【0053】
二次ポリマー
該ポリマー組成物は、1つまたは複数の親水性ポリマーに加えて、1つまたは複数の二次有機ポリマーを含むことができる。これらは、室温で液体であってもよく、固体であってもよい。この二次ポリマーは、疎水性であってもよく、親水性であってもよいが、好ましくは、疎水性である(すなわち、水に拮抗し、撥水し、水と結合しない傾向があり、または水に溶解できない)。
【0054】
親水性材料の例としては、多糖類、ポリエーテル類、ポリウレタン類、ポリアクリレート類、セルロース誘導体、およびアルギネート類などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0055】
疎水性材料の例としては、ポリイソブチレン、ポリエチレン−プロピレンゴム、ポリエチレン−プロピレン ジエン−修飾(EPDM)ゴム、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、およびスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンなどが挙げられるが、それらに限定されない。疎水性材料は、非粘着性組成物および非粘着性物品に特に望ましい。特に好ましい疎水性材料としては、スチレン−イソプレン−スチレンおよびスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンなどがあり、またさらにより好ましい材料としては、スチレン−イソプレン−スチレンなどがある。
【0056】
該二次ポリマーは、連続マトリックス(すなわち、相)の形態であってもよく、不連続マトリックス(たとえば、粒子の形態)であってもよい。該二次ポリマーは、一次親水性ポリマーと二連続相または共連続相を形成することができる。該二次有機ポリマーは、弾性、熱可塑性、またはその両者であってもよい。
【0057】
本発明における任意の二次ポリマーとして有用な弾性ポリマーは一般的に、21℃で一相を形成し、0℃未満のガラス転移温度を有し、また弾性特性を示す、材料である。該弾性ポリマーとしては、ポリイソプレン、スチレン−ジエンブロックコポリマー、天然ゴム、ポリウレタン類、ポリエーテル−ブロック−アミド類、ポリ−α−オレフィン類、メタ(アクリル)酸の(C1〜C20)アクリル酸エステル類、エチレン−オクテンコポリマー類、およびそれらの組み合わせなどがあるが、それらに限定されない。
【0058】
本発明で有用なエラストマー材料としては、たとえば、CV−60(100℃で、ムーニー粘度60+/−5ML、1+4を有する、粘度調節等級の天然ゴム、国際商品として入手可能)などの、天然ゴム;テキサス州ハウストンにあるエクソン・ケミカル・カンパニー(Exxon Chemical Co.)から販売されているエクソン(Exxon)ブチル268などのブチルゴム;テキサス州ハウストンにあるクラトン・ポリマーズ(Kraton Polymers,Houston,Texas)から販売されているカリフレックス(CARIFLEX)IR309、およびオハイオ州アクロンにあるグッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(Goodyear Tire and Rubber Co.,Akron,Ohio)から市販されているナットシン(NATSYN)2210などの、合成ポリ−イソプレン類;エチレン−プロピレン類;ポリブタジエン類;エクソン・モービル・ケミカル・カンパニー(ExxonMobil Chemical Co.)から販売されているビスタネクス(VISTANEX) MM L−80などの、ポリイソブチレン;およびオハイオ州アクロンにあるBFグッドリッチ(BF Goodrich of Akron,Ohio)から販売されているアメリポール(AMERIPOL)1011Aなどの、スチレン−ブタジエンランダムコポリマーゴムなどがある。
【0059】
本発明における任意の二次ポリマーとして有用な熱可塑性ポリマーとしては、たとえば、イソタクティックポリプロピレンなどのポリオレフィン類;低密度または線状低密度ポリエチレン;中密度ポリエチレン;高密度ポリエチレン;ポリブチレン;エチレン/プロピレンコポリマーおよびそれらの配合物などの、ポリオレフィンコポリマーまたはターポリマー;デラウェア州ウィルミントンにあるE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours & Co.,Wilmington,Delaware)から販売されているエルバクス(ELVAX)260などの、エチレン−酢酸ビニルコポリマー;エチレンアクリル酸コポリマー;E.I.・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours & Co.)から販売されているサーリン(SURLYN)1702などの、エチレンメタクリル酸コポリマー;ポリメチルメタクリレート;ポリスチレン;エチレンビニルアルコール;ポリエステル;非晶質ポリエステル;ポリアミド類;フッ化ポリビニリデンなどの、フッ素化された熱可塑性物質;ポリテトラフルオロエチレン;フッ素化されたエチレン/プロピレンコポリマー;塩素化されたポリエチレンなどの、ハロゲン化された熱可塑性物質;およびそれらの組み合わせなどがある。他の典型的な熱可塑性ポリマーは、国際公開第97/23577号パンフレットに開示されている。
【0060】
本発明における任意の二次ポリマーとして有用な熱可塑性弾性ポリマーは一般的に、21℃で少なくとも2つの相を形成し、50℃より高温で流動し、また弾性特性を示す、材料である。本発明で有用な熱可塑性エラストマー材料としては、たとえば、クラトン・ポリマーズ(Kraton Polymers)から販売されているクラトン(KRATON) D1107Pなどの、線状、放射状、星状およびテーパード・スチレン−イソプレン・ブロックコポリマー、およびテキサス州ハウストンにあるエニケム・エラストマーズ・アメリカズ・インコーポレーテッド(EniChem Elastomers Americas,Inc.Houston,Texas)から販売されている、ユーロプレン・ゾル(EUROPRENE SOL)TE 9110、クラトン・ポリマーズ(Kraton Polymers)から販売されているクラトン(KRATON)G1657などの、線状スチレン−(エチレン/ブチレン)ブロックコポリマー、クラトン・ポリマーズ(Kraton Polymers)から販売されているクラトン(KRATON)G1657Xなどの、線状スチレン−(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー、クラトン・ポリマーズ(Kraton Polymers)から販売されているクラトン(KRATON)D1119Pなどの、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、クラトン・ポリマーズ(Kraton Polymers)から販売されているクラトン(KRATON)D1118Xなどおよびエニケム・エラストマーズ・アメリカズ・インコーポレーテッド(EniChem Elastomers Americas,Inc.)から販売されているユーロプレン・ゾル(EUROPRENE SOL)TE 6205の、線状、放射状、および星状スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.DuPont de Nemours & Co.)から販売されているハイトレル(HYTREL)G3548などのポリエーテルエステル類、ならびに式−(CH2−CHR)(ここで、Rは、2〜10個の炭素原子を含むアルキル基である)で表されるものなどの、ポリ−α−オレフィン系熱可塑性エラストマー材料、およびデラウェア州ウィルミントンにあるデュポン・ダウ・エラストマーズ・カンパニー(DuPont Dow Elastomers Co.,Wilmington,Delaware)から販売されているエンゲージ(ENGAGE)EG8200(エチレン/l−オクテンコポリマー)などの、メタロセン触媒反応に基づくポリ−α−オレフィンなどがある。他の典型的な熱可塑性エラストマーは、国際公開第96/25469号パンフレットに開示されている。
【0061】
様々な量で二次有機ポリマーの様々な組み合わせを使用して、所望の作用をもたらすことができる。当業者は、本明細書の教示に基づいて、これを容易に決定することができる。
【0062】
任意の添加物
本発明のポリマー組成物は、多種多様な任意の添加物を含むことができる。例としては、二次生物活性剤、二次吸水性粒子、発泡剤、膨張剤、充填剤、顔料、染料、可塑剤(たとえば、鉱油および流動パラフィン)、粘着付与剤、架橋剤、安定剤、混和化剤、押出助剤、連鎖移動剤、およびそれらの組み合わせなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0063】
上述の生物活性剤(たとえば、銀化合物、銅化合物、および亜鉛化合物)に加えて、他の(二次)生物活性剤を、本発明のポリマー組成物に組み込むことができる。例としては、パラクロロメタキシレノール、クロルヘキシチジンおよびそれらの塩類、ヨード、およびヨードフォアなどの、抗菌剤、ならびにネオマイシン、バシトラシン、およびポリミキシンBなどの抗生物質などが挙げられるが、それらに限定されない。好ましい組成物は、2つ以上の生物活性剤を有する。
【0064】
ある実施形態では、本発明のポリマー組成物は、二次吸水性粒子を有することができる。このような二次粒子は、実質的に非水和型であるとき、10μmより大きい平均粒度を有する粒子であってもよい。好ましくは、このような粒子は、超吸水性である。例としては、米国特許第5,369,155号明細書に記載のものなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0065】
ある実施形態では、本発明のポリマー組成物は、膨張剤、好ましくは不揮発性の膨張剤を含むことができる。膨張剤の例としては、ポリオール類、単糖類、エーテルアルコール類およびそれらの組み合わせなどが挙げられるが、それらに限定されない。具体例は、米国特許第5,270,358号明細書に記載されている。
【0066】
ある実施形態では、本発明のポリマー組成物は、無機であってもよく有機であってもよい、充填剤を含むことができる。無機充填剤の例としては、バライト、チョーク、石膏、キーゼライト、炭酸ナトリウム、二酸化チタン、酸化セリウム、二酸化ケイ素、カオリン、カーボンブラック、および中空ガラスマイクロビーズなどが挙げられるが、それらに限定されない。有機充填剤の例としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、尿素−ホルムアルデヒド、およびポリエチレンを主成分とする粉末などが挙げられるが、それらに限定されない。該充填剤は、短繊維などの、繊維の形態であってもよい。適する短繊維の例としては、ガラス繊維(一般的に0.1ミリメートル(mm)〜1mmの長さ)、またはたとえば、ポリエステル繊維またはポリアミド繊維などの、有機起源の繊維などが挙げられる。
【0067】
該ポリマー組成物に色を与えるために、たとえば、酸化鉄顔料、酸化クロム顔料、フタロシアニン系顔料またはモノアゾ系顔料などの、有機ベースまたは無機ベースの色素または有色顔料を使用することが可能である。
【0068】
ポリマー組成物および物品の作製方法
モノマーから始めて、該生物活性剤の存在下で該モノマーを重合するにしても、または予め調製したポリマーに生物活性剤を加えるにしても、生物活性剤が中に分散されたポリマー組成物を製造する方法で、該成分を混合する。
【0069】
本発明の組成物を作製するために使用される生物活性剤は、銀化合物、亜鉛化合物、銅化合物、およびそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、少なくとも該銀化合物は、水中に、1リットル当たり少なくとも0.1gの溶解度を有し、より好ましくは、該銀化合物、銅化合物、および亜鉛化合物は、それぞれ、水中に、1リットル当たり少なくとも0.1gの溶解度を有する。該化合物が該親水性ポリマー相に溶解するように、十分な溶解度、すなわち、水中に、1リットル当たり少なくとも0.1gの溶解度が望ましい。このような金属化合物の例としては、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、硫酸銀、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅、乳酸銅、硫酸銅、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、および硫酸亜鉛などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0070】
親水性相に溶解する金属化合物を使用するとき、該銀化合物、亜鉛化合物、および/または銅化合物を、対応する金属酸化物に変換するために、水酸化物源を加える。適する水酸化物源としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化カルシウムなどがあるが、それらに限定されない。好ましい実施形態、特に医療用途で使用されるものでは、該水酸化物源は水酸化ナトリウムである。
【0071】
別の実施形態では、該親水性ポリマー中に該金属化合物を分散させることができるように、該金属化合物は、不十分な溶解度、すなわち、水1リットルにつき0.1g未満の溶解度を有する。このような金属化合物の例としては、酸化銀、塩化銀、酸化亜鉛、酸化銅などが挙げられるが、それらに限定されない。これらの場合、該金属化合物は、アンモニアまたはアンモニウム化合物に溶解され、該親水性相に溶解するアンモニアと錯体を形成する。適するアンモニア源としては、アンモニアおよびアンモニウム塩類、たとえば五ホウ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ペルオキシホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、およびそれらの混合物などがある。
【0072】
別の実施形態では、低溶解度を有する該金属化合物を、硝酸または硫酸などの強酸に溶解することができる。該金属化合物は、該親水性ポリマー中に分散する可溶性の塩を形成する。水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウムなどの、中和剤を加えて、該強酸を中和することができる。
【0073】
幾つかの実施形態では、たとえば、銀の酸化状態が、Ag(II)、Ag(III)、またはAg(IV)である場合、より高い原子価の金属酸化物が望ましい可能性がある。該金属酸化物の原子価状態は、酸化剤を加えることによって高めることができる。適する酸化剤としては、過酸化水素およびアルカリ金属過硫酸塩、たとえば、米国特許第6,436,420号明細書(アンテルマン(Antelman))で論じられているような、過硫酸ナトリウムなどがある。他の適する酸化剤としては、過マンガン酸塩、次亜塩素酸塩、過塩素酸塩、および硝酸などがある。
【0074】
該生物活性剤、すなわち、該金属化合物を該親水性ポリマー内に組み込む、ポリマー組成物を製造する方法で、該成分を混合する。好ましくは、これは、水(たとえば、該組成物の総質量を基準にして、1〜20質量%)の存在下で合わせ、次いで、場合により、(該組成物の総質量を基準にして、1質量%未満の水が残存するように)水の大部分を除去することによって生じる。必要に応じて、水を全部除去してもよい。
【0075】
ある実施形態では、金属化合物を親水性有機微粒子中に分散させる(好ましくは、溶解する)のに有効な条件で、親水性有機微粒子を含む分散体を、水、金属化合物、水酸化物源、および場合により酸化剤と混合する。場合により、該分散体、水、水酸化物源および生物活性剤の混合物に、二次有機ポリマーを加えてもよい。いったん十分に混合して、生物活性剤(たとえば、銀化合物)の少なくとも一部を該親水性粒子中に充満させたら、必要に応じて水を除去する。
【0076】
ある実施形態では、金属薬剤を親水性有機微粒子中に分散させる(好ましくは、溶解する)のに有効な条件で、親水性有機微粒子を含む分散体を、水、低溶解度すなわち水1リットル当たり0.1g未満の溶解度を有する金属化合物、アンモニア源、および場合により酸化剤と合わせる。場合により、二次有機ポリマーを、該分散体、水、アンモニア源および低溶解度を有する金属化合物の混合物に加えてもよい。いったん十分に混合して、該不溶性の生物活性剤(たとえば、銀化合物)の少なくとも一部を、該親水性粒子中に充満させたら、アンモニアを除去し、必要に応じて水を除去する。
【0077】
他の実施形態では、モノマーを重合して、親水性有機ポリマー中に該金属の少なくとも一部を分布させる(好ましくは溶解する)のに有効な条件で、親水性有機ポリマー用のモノマーを可溶形の金属化合物と合わせる。該可溶形の金属化合物は、重合工程の間ずっと存在してもよく、重合が完了した後に加えてもよい。いったん分散させると、該可溶形の金属化合物を、対応する金属酸化物に変換することができる。場合により、該生物活性剤が中に分布された親水性有機ポリマーに、二次有機ポリマーを加えてもよい。
【0078】
生物活性剤が中に含まれたポリマー組成物を溶融加工(たとえば、押出または成形)または溶液流延して、所望の製品(たとえば、創傷被覆材)を形成することができる。
【0079】
本発明のポリマー組成物を調製するために使用される材料は、該組成物を溶融加工(たとえば、押出またはコンパウンド)するために使用される温度(たとえば、少なくとも50℃かつ300℃まで)で、流体であるかまたはポンプ輸送可能であり、顕著に分解しないかまたはゲルであれば、溶融加工可能である。好ましくは、このような材料は、毛管溶融流量計により、押出で使用される加工温度および剪断速度で測定するとき、少なくとも10ポアズ、かつ多くの場合、1,000,000ポアズまでの溶融粘度を有する。一般的に、適する材料は、少なくとも175℃、かつ多くの場合、225℃までの温度、および100/秒-1の剪断速度で、この範囲内の溶融粘度を有する。
【0080】
連続溶融加工成形方法は、押し出された組成物をフィルムダイから取り出し、次に移動しているプラスチック・ウェブまたは他の適当な裏材に接触させることを含む。別の連続成形方法は、該押し出された組成物を、急速に移動しているプラスチック・ウェブまたは他の適当な基材に直接接触させることを含む。この方法では、リバース・オリフィス・コーティング・ダイなどの可撓性ダイ・リップを有するダイおよび回転ロッドを使用する他のコンタクト・ダイを使用して、該押し出された組成物を移動しているウェブに付けることができる。該組成物はまた、Wente,Van A.,「超微細熱可塑性繊維(Superfine Thermoplastic Fibers)」,Industrial Engineering Chemistry,48巻,1342〜1346頁;Wente,Van A.ら、「超微細有機繊維の製造(Manufacture of Superfine Organic Fibers)」、1954年5月25日に発行された米国海軍研究試験所(Naval Research Laboratories)のレポート第4364号;米国特許第5,176,952号明細書および米国特許第3,841,953号明細書に開示されているような、連続繊維およびブロー・マイクロファイバーウェブの形態で押し出すこともできる。溶融加工成形後、チル・ロールまたは水浴などの直接的方法、あるいは空気または気体衝突などの間接的方法、または両者のいずれかを使用して急冷することにより、該組成物を凝固させる。
【0081】
幾つかの実施形態では、非粘着性または粘着性の組成物(ゲルの形態であってもよい)は、エラストマーを油性の可塑剤および酸化防止剤と配合し、次いで、微細粉末または分散体のいずれかとして親水コロイドを加えることにより、溶剤を用いない熱混合(いわゆるホットメルト法)で得られることが好ましい。有効成分を提供する場合、これらを、該エラストマーまたは該親水コロイドのいずれに加えてもよい。
【0082】
様々な方法、特にコーティング方法に従って、本明細書に記載の組成物を使用して、物品を作製することができる。多孔性の基材をコーティングするとき、該多孔性の基材を該組成物でコーティングする方法は、一般的に、糸、フィラメント、またはフィルムを該組成物中に適切に捕捉するが、開口部の大部分は該組成物により閉塞されないままにしておくことが可能である。使用する支持体の構造によって、組成物の使用量は大幅に変化する(一般的に、50〜300g/m2、好ましくは60〜160g/m2)。
【0083】
ある実施形態では、該基材を、所定の厚さを有する溶融組成物の層で覆われた第1のコーティングロール上に送り、次いで、該基材の開口内にある該組成物を除去する第2のロール上に送る連続方法を使用して、溶剤なしで、熱いうちに該コーティングを実行することができる。このようにして、糸、フィラメント、またはフィルム上のみがゲルで覆われた基材を、次には、該組成物は流れることができず、糸、フィラメント、またはフィルムの周りに一様に分配されて残るように、空気流の中で冷却する。必要に応じて、層流を引き起こすシステムを提供するが、このシステムは、糸、フィラメント、またはフィルムの周りの該組成物の分布を補正し、併せて、本方法の前工程では開いていなかったであろう、基材開口から障害物を除去することができる。
【0084】
この方法の変法によれば、基材を、溶融ポリマー組成物液(たとえば、120〜200℃の温度)を通過させることができる。次いで、溶融組成物で覆われた該基材を、余分の組成物を除去するために、所定の間隙で互いに押し付けられた2つの固定ロールの間を通過させる。糸、フィラメント、またはフィルム上に残存する組成物の量は本質的に、固定ロール間の設定された間隙に左右される。次いで、覆われた加工物を冷却し、先の工程と類似した方法で処理する。
【0085】
必要に応じて、冷却した、被覆された基材を、2枚の保護膜(たとえば、ポリエステル薄膜)で覆ってもよい。これらの膜は、非粘着処理を必要とすることも必要としないこともあり、パッケージからの抜き出しおよび物品の取扱いを容易にする働きをすることができる。必要に応じて、該被覆された基材を、使用に適したサイズの、個々の圧定布に切断し、密封された小袋に詰め、滅菌することができる。
【0086】
溶液流延を使用して、本発明の物品を作製することも可能である。この方法は一般的に、ポリマー組成物成分との相溶性のために選択された、共通溶媒を使用する。このような共通溶媒としては、たとえばトルエンおよびテトラヒドロフランなどがある。本発明のある特定のサブセットのための共通溶媒の具体的な選択は、当該技術の技量の範囲内である。溶液流延方法では、該組成物中に含まれる材料を配合して一様な混合物を形成し、次いで、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、ナイフコーティング、ロールコーティング、またはスプレーコーティングなどの、公知のコーティング技法を使用して、担体ウェブまたは裏材(後述する)上に塗布する。好ましいコーティング方法は、ナイフコーティングである。次いで、通常は、しばらくの間、乾燥炉の助けを借りて、望ましくないレベルの残留溶媒を除去するために選択された温度で、塗布された裏材から溶剤を除去する。
【0087】
幾つかの実施形態では、酸化銀を含有する組成物を、出願人の同時係属中の出願第10/728,446号明細書に記載されているような、ポリマー組成物上に塗布することができる。該金属化合物をアンモニウム塩で錯化することにより、該金属酸化物を溶液に溶解する。適当なアンモニウム塩としては、五ホウ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ペルオキシホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、およびそれらの混合物などがある。結果として得られる溶液を、少なくとも40℃未満で塗布し、160℃未満の温度で乾燥させる。いったん乾燥すると、基材は、金属酸化物で被覆された状態のままである。
【0088】
好ましい実施形態では、該溶液は、酸化銀および炭酸アンモニウムの組み合わせで形成される。次いで、該被覆された基材を、場合により熱の存在下で、乾燥させる。本質的に、該基材上に残存する酸化銀を残して、アンモニアおよび二酸化炭素を追い出す。
【0089】
当業者に公知であり、また、たとえば、米国特許第6,379,791号明細書に記載のラミネーション技術、コーティング技術、または押出技術を使用して、層状構築物を作製することもできる。
【0090】
必要に応じて、本発明の組成物は、滅菌することができる。滅菌方法としては、電子ビームまたはガンマ線による処理などがある。
【0091】
医療用物品
本発明のポリマー組成物は、多種多様な製品で使用することができるが、医療用物品で使用されることが好ましい。このような医療用物品は、創傷被覆材、創部充填材、または創傷に直接当てられたり創傷に接触したりする他の材料の形態であってもよい。
【0092】
このような物品は、裏材(すなわち、支持基材)を含んでも含まなくてもよい。裏材または支持基材が望ましい場合、裏材または支持基材は、多孔性であっても非多孔性であってもよい。本発明の組成物は、たとえば、該支持基材上に塗布することもでき、該支持基材に含浸させることもできる。
【0093】
適する材料は、好ましくは可撓性であり、また編織物、不織または織ったポリマーフィルム、金属箔、紙、および/またはそれらの組み合わせであってもよい。より具体的には、本発明のポリマー組成物が付いたフィルム裏材が有用である。ある実施形態の場合、透過性の(たとえば、水蒸気に関して)、目の粗い開口基材(すなわち、スクリム)を使用することが望ましい。ある実施形態の場合、米国特許第6,548,727号明細書(スウェンソン(Swenson))に開示されているものなどの、開放気泡型フォームまたは独立気泡型フォームを使用することが望ましい。
【0094】
該基材(すなわち、裏材)は、創傷液、水蒸気、および空気の通過を可能にするために、好ましくは多孔性である。ある実施形態では、該基剤は、液体、特に創傷滲出液を実質的に通さない。ある実施形態では、該基材は、液体、特に創傷滲出液を吸収することができる。ある実施形態では、該基材は、液体透過性の開口基材である。
【0095】
適当な多孔性基剤としては、編物、織布(たとえば、チーズ・クロスおよびガーゼ)、不織布(スパンボンデッド不織布を含む)、押出多孔性シート、および穿孔シートなどがある。多孔性基材の開口(アパーチャー)(すなわち、開口部(オープニング))は、高通気性を助けるために、十分なサイズおよび十分な数のものである。ある実施形態の場合、該多孔性基材は、1平方センチメートル当たり少なくとも1つの開口を有する。ある実施形態の場合、該多孔性基材は、1平方センチメートル当たり225以下の開口を有する。ある実施形態の場合、該開口は、少なくとも0.1ミリメートル(mm)の平均開口サイズ(すなわち、開口部の最大寸法)を有する。ある実施形態の場合、該開口は、0.5cm以下の平均開口サイズ(すなわち、開口部の最大寸法)を有する。
【0096】
ある実施形態の場合、該多孔性基材は、少なくとも5g/m2の秤量を有する。ある実施形態の場合、該多孔性基材は、200g/m2以下の秤量を有する。
【0097】
該多孔性基材(すなわち、裏材)は、好ましくは可撓性であり、さらに裂けに強い。ある実施形態の場合、多孔性基材の厚さは、少なくとも0.0125mmである。ある実施形態の場合、該多孔性基材の厚さは、3mm以下である。
【0098】
裏材または支持基材の材料は、紙、ならびにコットン、レーヨン、ウール、麻、ジュート、ナイロン、ポリエステル類、ポリアセテート類、ポリアクリル類、アルギネート類、エチレン−プロピレン−ジエンゴム類、天然ゴム、ポリエステル類、ポリイソブチレン類、ポリオレフィン類(たとえば、ポリプロピレン ポリエチレン、エチレン プロピレンコポリマー、およびエチレン ブチレンコポリマー)、ポリウレタン類(ポリウレタンフォームを含む)、ポリ塩化ビニルおよびエチレン−酢酸ビニルを含むビニル類、ポリアミド類、ポリスチレン類、グラスファイバー、セラミック繊維、および/またはそれらの組み合わせなどの材料から作られる天然または合成の繊維、撚糸および糸を含む多種多様な材料を包含する。
【0099】
該裏材には、伸長−剥離特性もまた提供することができる。伸長−剥離は、該物品が表面から引っ張られるとき、該物品は、かなりの目に見える残留物を残さずに、該表面から引き離されることを特徴とする、接着剤物品の特性を指す。たとえば、フィルム裏材は、低ゴムモジュラス、少なくとも200%の破断までの縦方向の伸長、および2,000ポンド/平方インチ(13.8メガパスカル(MPa))を超えない50%ゴムモジュラスを有する、弾性かつ熱可塑性のA−B−Aブロックコポリマーを含む、非常に伸張性がありかつ非常に弾性がある組成物から形成することができる。このような裏材は、米国特許第4,024,312号(コープマン(Korpman))明細書に記載されている。あるいは、該裏材は、米国特許第5,516,581号(Kreckelら)明細書に記載されているもののような、非常に伸長性がありかつ実質的に非復元性であってもよい。
【0100】
医療用物品で使用される感圧接着剤を、本発明の物品で使用することができる。すなわち、該物品を皮膚に接着するために、感圧接着材料を本発明の物品に、たとえば周辺に、付けることも可能であろう。
【0101】
別の態様では、本発明の組成物は、水性ゲルの形態であろう。適当なゲル化剤としては、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンジオール・ブロックコポリマー、アルカリ金属水酸化物を使用して中和されていたトリアリルスクロースと軽く架橋したポリアクリル酸、セルロース系誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、天然ゴム類などがある。銀化合物などの生物活性剤と配合禁忌であるゲル化剤を使用しないように注意しなければならないことは、十分に理解されるであろう。ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンの適当なゲル形成ブロックコポリマーは、4,600〜13,500(およそ)の分子量を有し、局所的に塗布したとき、ゲルが堅すぎることも流動的すぎることもないように、低分子量コポリマーでは50%から、より高分子量のコポリマーでは20%までの量のゲルで存在する。一般的に、該ゲルは、コポリマーおよび水を一緒に混合して温度2℃の水溶液を形成し、生物活性剤(たとえば、銀化合物)を加え、次いで、該溶液が環境温度まで温まるにつれてゲルになるに任せておくことによって形成される。ゲル化剤の好ましいグループは、BASFワイアンドット(BASF−Wyandotte)からプルロニクス(PLURONICS)の商品名(たとえば、PLURONICS F108、F127、およびP105)で販売されている、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンジオール・ブロックコポリマーである。
【実施例】
【0102】
本発明の目的および利点を以下の実施例でさらに説明するが、これらの実施例で列挙されたその特定の材料および量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を不当に制限すると解釈してはならない。
【0103】
材料
クラトン(KRATON)D4433−予めコンパウンドされたクラトン(KRATON)D1112および鉱油(77/23)配合物。クラトン(KRATON)D1112は、1.5質量%のポリスチレンを有する、線状ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)熱可塑性弾性コポリマーである。該配合物は、テキサス州ハウストンのクラトン・ポリマーズ(Kraton Polymers,Houston,Texas)から販売されている。
【0104】
クラトン(KRATON)D1124K−テキサス州ハウストンのクラトン・ポリマーズ(Kraton Polymers,Houston,Texas)から販売されている、30質量%のポリスチレンを有する放射状4アーム星状ポリスチレン−ポリイソプレン(SI)4熱可塑性弾性コポリマー。
【0105】
ケイドル(KAYDOL)−クロンプトン・コーポレーション(Crompton Corporation)(以前は、ウィトコ・コーポレーション(Witco Corporation))から販売されている鉱油。
【0106】
イルガノクス(IRGANOX)1010−ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,New York)から販売されている酸化防止剤。
【0107】
ソールケア(SALCARE)SC91−ノースカロライナ州ハイ・ポイントのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals,High Point,North Carolina)から販売されている、鉱油およびパラフィンオイル中に、化学的に架橋した親水性アニオン性アクリル酸ナトリウムコポリマーの微粒子を有する、固形分50質量%の化粧品等級のエマルジョン。
【0108】
ソールケア(SALCARE)SC95−ノースカロライナ州ハイ・ポイントのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals,High Point,North Carolina)から販売されている、鉱油およびパラフィンオイル中に、化学的に架橋した親水性カチオン性第四級アンモニウムアクリレートポリマー(DMAEMAの塩化メチル第四級アンモニウム塩)の微粒子を有する、固形分50質量%の化粧品等級のエマルジョン。
【0109】
硝酸銀(AgNO3)−受け取ったままのAgNO3を水に溶解することによって、5.6M AgNO3溶液を作るために、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ(Aldrich,Milwaukee,Wisconsin)から販売されている99+%試薬等級を使用した。脱イオン(DI)水100gおよび硝酸銀95.2gを溶解して、5.6モル濃度(M)の硝酸銀溶液を作った。
【0110】
トリプチカーゼ(トリプティック)ソイ・ブロス(Trypticase(Tryptic)Soy Broth)(TSB)−マサチューセッツ州ベッドフォードのベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー(Becton Dickinson & Company,Bedford,Massachusetts)から販売されている培地。
【0111】
ポリエステル・ニッティド・ファブリック(Polyester Knitted Fabric)は、オハイオ州クリーブランドのランポーツ・フィルター・メディア・インコーポレーテッド(Lamports Filter Media,Inc,Cleveland,OH.)から購入した、24メッシュのポリエステル・ニット(61g/m2)であった。
【0112】
10%過酸化水素溶液(Hydrogen Peroxide Solution)は、30質量%の過酸化水素(H22−ミズーリ州セントルイスのマリンクロット(Mallinckrodt,St Louis,MO)から販売されている)100gを、脱イオン水200gで希釈して、10質量%のH22溶液にすることによって作った。
【0113】
5.6M NaOH溶液は、脱イオン水100gおよび水酸化ナトリウム22.4gを混合して、5.6M NaOH溶液にすることによって作った。
【0114】
酸化銀(I)(Ag2O)水溶液[Ag2O 1.3質量%、(NH4)2CO3 4.4重量%および水94.3質量%]は、Ag2O(マサチューセッツ州ワード・ヒルのアルファ・エイサー(Alfa Aesar,Ward Hill,MA)と炭酸アンモニウム溶液とを、完全に溶解するまで混合することによって作った。
【0115】
炭酸アンモニウム、ニュージャージー州フィリップスバーグのマリンクロット・ベーカー・インコーポレーテッド(Mallinkrodt Baker,Inc.,Phillipsburg,New Jersey)から販売されている。
【0116】
テスト手順
抗菌性能テスト
%生菌テスト
オレゴン州ユージーンのモレキュラー・プローブズ(Molecular Probes、Eugene,Oregon)から販売されている、L−7012、バクテリアル・バイアビリティ・キット(Bacterial Viability Kit)を使用して、サンプルの有効性をテストした。生菌および死菌を染色するために該キットに入っている、赤色の、ヨウ化プロピジウム色素、および緑色の、SYTO9色素を使用する方法を、以下に略述する。
【0117】
細菌溶液の調製:黄色ブドウ球菌を、トリプチカーゼ(トリプティック)ソイ・ブロス(Trypticase(Tryptic)Soy Broth)(TSB)培地で一晩増殖させた。細菌を、10,000×gで15分間の遠心分離によって濃縮した。上澄を除去し、ペレットを、ミリQ(MilliQ)水(ポアサイズ0.2μmのフィルターを通してろ過した)またはバターフィールド(Butterfield)リン酸緩衝溶液(カリフォルニア州サンタ・マリアのハーディー・ダイアグノースティックス(Hardy Diagnostics,Santa Maria,California)から販売されている)に再懸濁した。670nmで光学濃度(OD)を測定することにより、細菌溶液を所望の細菌濃度(107細胞/ミリリットル(ml))に希釈した。対照実験の場合、死滅細胞対照を測定するために、該細菌溶液を70%イソプロピルアルコールと共に室温で1時間インキュベートした。異なる体積の生菌溶液および死菌溶液を混合して、検量用の一連の%生存溶液を作成した。
【0118】
細菌標識および抗菌性テスト:サンプルが入っている50ml円錐管に、初期濃度およそ1×108細菌/mlの細菌溶液7mlを正確に計量した。指定された時刻(たとえば、2時間)に、ミリQ(MiliQ)水450μLが既に入っている蛍光測定管に上澄50μLを正確に計量し、予混した緑色色素溶液および赤色色素溶液(細菌溶液500μLに対して色素混合物1.5μL)を加え、該混合物を室温の暗所で15分間、インキュベートした。次いで、これらの溶液を、フローサイトメトリーで測定した。細胞生存率は、BDファクス・キャリバー(BD FACS Caliber)フローサイトメーター(ニュージャージー州フランクリン・レークスのベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー(Becton Dickinson & Company,Franklin Lakes,New Jersey)製)を使用して測定した。該フローサイトメーターは、488ナノメートル(nm)および15ミリワット(mW)出力のアルゴン−イオンレーザーを備える。データ取得および分析は、セルクエスト(CellQuest)ソフトウェアおよびPBPACハードウェア・インターフェースを使用して管理した。該ライトパスは、488/10nmブロッキングフィルター、次いで緑色PMTの前に530/30nmフィルター、および赤色PMTの前に585/42nmロングパス・フィルターを含んでいた。サンプリング速度は、約3000〜7000粒子/秒であった。シース液は、ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)によるファクスフロー(FACSFlow)であった。該機器電圧は5.5ボルトであった。
【0119】
生細胞応答および死細胞応答は、100%生細胞サンプルおよび100%死細胞サンプル(死滅細胞の場合、細菌溶液を、70%イソプロピルアルコールと共に室温で1時間、インキュベートした)で確定された。異なる体積の生細胞溶液および死細胞溶液を混合して、検量用の、一連の%生存溶液を作成した。殺菌能力に関するサンプルの結果は、検量用サンプルから作成した標準曲線から補間した。総細菌濃度は、670nmで細菌溶液のODを測定することによって決定した。
【0120】
阻止帯テスト
抗菌性能は、下記の方法で実施される阻止帯テスト(ZOI)を使用して測定した。ミューラー・ヒントン(Mueller−Hinton)寒天を調製して滅菌し、48〜50℃の水浴中で柔らかくした。滅菌したリン酸緩衝水中の細菌懸濁液は、およそ108CFU/mlで調製した。該寒天に、105CFU/ml(1:1000)の近似濃度まで、細菌懸濁液を接種した。接種した寒天をぐるぐるかき混ぜて混合し、滅菌ペトリ皿(15×100mm)中に正確に計量した(〜14ml)。播種した寒天を約20分間、硬化させて、固めた。アルコール消毒したダイおよびカッティング・ボードを使用して、編織布サンプルを所望のサイズに切断した。滅菌ピンセットを使用して、プレートの中心の、該サンプルを播種して固めた寒天に載せた。次いで、一晩(16〜24時間)インキュベーションのために、プレートを35〜37℃のインキュベーターに入れた。インキュベーション後、目に見えるコロニーが全く形成されなかった、透明帯を、カリパスを用いてmmで測定した。
次いで、次式で阻止帯(ZOI)を算出した。
ZOI=[透明帯の直径(mm)−サンプルの直径(mm)]/2
【0121】
食塩水吸収性テスト
サンプル(2.54cm×2.54cm)を食塩水に浸漬した。該サンプルを様々な時刻に食塩水から取り出し、紙タオルで軽く押さえた。重量を記録し、該サンプルを食塩水中に戻した。次式:
(食塩水吸収重量)/(乾燥コーティングサンプルの重量)=[(食塩水膨潤重量)−(乾燥サンプル重量)]/[(乾燥サンプル重量)−(基材の重量)]
を使用して、乾燥コーティングの重量当たりの、吸収された食塩水の重量を、食塩水中の膨潤時間の関数として算出した。
【0122】
剥離接着テスト
モデル3M90 スリップ/ピール(Slip/Peel)テスター(マサチューセッツ州アコードのIMASSインコーポレーテッド(IMASS,Inc.,Accord,MA))を使用して、剥離接着を、23℃、50%RH、305mm/分、25mm幅で、スチールプレートからの180°剥離として測定した。該サンプルを、管理された温度および湿度で24時間、状態調節した。状態調節後、2kgローラーおよび4パスを使用して、該サンプルを、ステンレススチールパネルに接着した。15分のドウェル時間後、0.305メートル(m)/分の剥離速度を使用して、該サンプルを該ステンレススチールプレートから剥離した。一般的に、2つの0.13m長のサンプルを測定し、平均剥離力をオンス/インチ(oz/in)で記録し、ニュートン・パー・センチメートル(N/cm)に換算した。
【0123】
実施例の調製
実施例1〜3は、後述の通りに先ずゲルを調製し、以下に略述する通りに調製された、あるロットの銀修飾ソールケア(SALCARE)と合わせることによって調製した。
【0124】
ゲルの調製
3ロットのスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ゲルを下記の方法で調製した。SISペレットとして、ロット1および2は、クラトン(KRATON)D4433−16を使用し、ロット3はクラトン(KRATON)D1124を使用した。SISペレットは、直径30mmのバレルおよび15のバレルセクションを具有するワーナー・フライダー(Werner Pfleiderer)ZSK30共回転二軸押出機(TSE)の供給口(バレル1)に、重力測定法的に給送された。各温度帯域は、2つのバレルセクションの組み合わせであった(たとえば、帯域1は、バレルセクション2および3に対応していた)。全てのSISゲルロットで、バレルセクションは、最大冷却能力に制御されていた。SISゲルロット3では、粉末の酸化防止剤(イルガノクス(IRGANOX)1010)もまた、バレルセクション1に重力測定法的に給送された。ケイドル(KAYDOL)鉱油を加熱し、国際公開第97/00163号パンフレットに記載の通りにTSEに加えた。開示されたコンパウンド方法は、SISエラストマーの溶融に続いて加熱した鉱油を加えることにより、ゲルを製造する方法を提供する。加熱した鉱油を、それぞれ、バレルセクション4、6、8、10および12に順次射出した。ロット1〜3では、TSEスクリュー速度を400rpmに制御した。ロット1および2では、帯域1〜7のTSE温度プロフィールを、それぞれ204℃、204℃、204℃、191℃、177℃、149℃および149℃に制御した。ロット1では、加熱された油の射出を、それぞれ、204℃、204℃、177℃、149℃および149℃に制御した。ロット3では、帯域1〜7のTSE温度プロフィールを、それぞれ、204℃、227℃、227℃、204℃、182℃、171℃および93℃に制御した。ロット3では、加熱された油の射出を、それぞれ、204℃、204℃、204℃、177℃および177℃に制御した。表1に、材料流量を記載し、表2に、SISゲルロット1〜3に関する組成情報を記載する。
【0125】
【表1】

【0126】
【表2】

【0127】
粒子の調製
ソールケア(SALCARE)SC95中に分散した硝酸銀を3ロット調製した。ロット1は、直径2インチ(5.08cm)、3枚羽根のステンレススチール製パドルミキサーを使用して、高速で、SC95 100gを、5.6モル濃度(M)の硝酸銀2ミリリットル(ml)と混合することにより調製した。硝酸銀溶液は、溶液全部を10分にわたって加えるように、滴加した。硝酸銀溶液を全部加えた後、混合物をさらに10分間、混合した。次いで、水酸化ナトリウム溶液(5.6M、1.0ml)を10分にわたって加え、全成分をさらに10分間、混合した。ロット3では、2倍の硝酸銀溶液を加え、またより多い水酸化ナトリウム(ロット2では1.8ml、およびロット3では、3.0ml)を加えたこと以外は、ロット1と同様の方法でロット2および3を調製した。ロット3はまた、60℃、11ヘルツで動作するロス(Ross)ミキサーおよび28インチ水銀の真空で6時間、脱水した。表3に、ソールケア(SALCARE)SC95/AgNO3ロット1〜3に関する組成情報を記載する。
【0128】
【表3】

【0129】
実施例1〜3の作製
実施例1〜3は、ハーケ(Haake)直径25mmの、完全にかみ合う逆回転TSE内で、予めコンパウンドしたSISゲルロット1〜3を、予めコンパウンドしたソールケア(SALCARE)SC95/AgNO3ロット1〜3と合わせることによって作製した。実施例1は、SISゲルロット1を、127℃で動作するボノット(Bonnot)押出機内で再溶融することにより作製した。該溶融ゲルを、TSEのバレルセクション1内に、22.8g/分で射出した。ソールケア(SALCARE)SC95ロット1は、ゼニス(Zenith)ギヤーポンプを使用して、環境温度で、バレルセクション3内に15.2g/分で射出した。該TSEは、スクリュー速度300rpmおよび温度149℃に制御した。全材料スループットは、全実施例で、38.0g/分であった。ゼニス(Zenith)ギヤーポンプを使用して、SISゲル/ソールケア(SALCARE)配合物を、TSEから輸送ホースに排出した。該輸送ホースは、溶融ゲル配合物を、幅0.15メートル(m)の単一オリフィスフィルムダイに運んだ。該輸送ホースおよびダイを、それぞれ、157℃および159℃に制御した。該溶融ゲル配合物を、106℃に制御された、間隙0.25mmの2つの研磨されたスチールロールで形成されるニップ内に押し出した。0.8mm×0.7mm(0.56mm2)の矩形の粗い開口、厚さ0.20mmおよび幅0.15mを有するポリエステル(PET)ニット生地(オハイオ州クリーブランドのランポーツ・フィルター・メディア・インコーポレーテッド(Lamports Filter Media,Inc,Cleveland,OH))を、1.4m/分の速度で、該ニップに給送した。該生地が該溶融ゲル配合物/ニップから出るとすぐに、該物品を空中で冷却してから、挿入された紙剥離ライナーと共に巻き上げた。冷却されると、78g/m2のコーティング重量、および0.75mm×0.6mm(0.45mm2)の矩形の粗い開口を有する、被覆された生地が得られた。実施例2では、ゲルロット2およびソールケア(SALCARE)ロット2を使用し、また実施例3では、ゲルロット3およびソールケア(SALCARE)ロット3を使用しただけで、実施例2および3は、同じ方法で作製した。表4に、加工条件を記載し、表5に、実施例1〜3に関する組成情報を記載する。
【0130】
【表4】

【0131】
【表5】

【0132】
実施例4の作製
実施例4は、実施例1を、酸化銀(I)水溶液中に2分間、浸漬することによって作製した。次いで、浸漬したフィルムを、100℃で動作している炉に30分間、入れた。
【0133】
実施例3 接着力のテスト
剥離接着テストを使用して、実施例3(ゲル被覆PET生地)および実施例3の組成物を有するスラブ(厚さ1mm)を、ステンレススチールからの180°剥離接着力についてテストした。長さ0.13mの2サンプルについて、瞬間的剥離力を測定し、平均した。ステンレススチールからの180°剥離接着力は、実施例3の該スラブおよびゲル被覆PET生地の両者とも0.0N/cmであった。極めて低い180°剥離接着力は、本発明の組成物および物品が、強い接着剤結合を形成できないことを示す。該組成物および物品に関するこうした低値は、非接着性(non−adhesive)または非粘着性(non−adherent)であると考えられる。
【0134】
実施例1〜3 吸収性のテスト
実施例1〜3を、それらが0.8質量%のNaCl(食塩水)を吸収する能力について、食塩水吸収テスト(Saline Absorbency test)に略述されている通りにテストした。表6に、吸収された食塩水の量を時間の関数として記載する。
【0135】
【表6】

【0136】
食塩水吸収性データから、本発明の組成物および物品は、それらの乾燥重量の1〜3倍の量の食塩水を吸収できることがわかる。食塩水曝露後、全てのサンプルは、無傷のままであった。
【0137】
食塩水に2時間曝露する前後の、実施例1の光学顕微鏡写真(反射型で倍率2.5×)を入手し、結果として得られた顕微鏡写真を測定することにより、開口の大きさについて解析した。実施例1では、開口面積は、被覆されたままで0.45mm2であり、平衡食塩水和状態で0.35mm2であった。
【0138】
実施例のテスト−抗菌性能
阻止帯テストを使用して、黄色ブドウ球菌に対する抗菌性能について、実施例3をテストした。25および40キログレイ(kGy)の両コバルト−γ源を使用して、実施例3を滅菌した。サンプルを、乾燥状態でテストした。全てのサンプルは、直径24mmであった。表7に、2つの滅菌曝露レベルの実施例3、および市販の銀包帯剤、実施例5(比較用−フロリダ州ラルゴにあるスミス・アンド・ネヒュー(Smith and Nephew,Largo,Florida)から販売されているアクチコート(ACTICOAT))に関する、阻止帯テストの結果を記載する。
【0139】
【表7】

【0140】
実施例3の銀含有包帯剤は、市販の包帯剤である実施例5より高いZOI測定値を有する。包帯剤の1平方インチ部分における総銀の相対量は、実施例3ではAgNO3 0.9ミリグラム(mg)(Ag+ 0.6mg)であり(既知の材料投入量およびコーティング重量から算出)、実施例5では、総銀2.9mg(アンモニア可溶性銀−「活性」形−1.3mg)である(Wounds 10(6),179−188,1988 Health Management Publications)。実施例3の包帯剤は、総量または活性形のいずれも、有意に少ない銀を有するが、それにもかかわらず、ZOIテストで比較例より効果的に作用する。
【0141】
%生菌テストを使用して、実施例1、2および4をテストした。0.125インチ(3.2mm)の直径を有するサンプルを、およそ108個の細菌を有する細菌溶液7mlと接触させて置く。表8に、実施例1、2および4を細菌溶液と2時間接触させたときの、%生菌テストの結果を記載する。
【0142】
【表8】

【0143】
実施例6〜10の作製
比較例6は、圧縮空気駆動で作動する、直径5.08cm、3枚羽根のステンレススチールパドルを使用して、カチオン性分散体(ソールケア(SALCARE)SC95)100gと、5.6M AgNO3 4ミリリットル(mL)とを、およそ1000rpmで混合することにより作製した。5.6M AgNO3を10分にわたって滴加した。該エマルジョンをさらに10分間混合し、次に60℃および圧力50.8水銀柱で5時間、真空乾燥した。実施例7は、5.6M AgNO3を加えた後で、5.6M NaOH 3mLを10分にわたって滴加したこと以外は、比較例6と同じ方法で作製した。実施例8は、カチオン性分散体(ソールケア(SALCARE)SC95)の代わりにアニオン性分散体(ソールケア(SALCARE)SC91)を使用し、温度および真空下で脱イオン水を排出する代わりに、該溶液を130℃の空気対流炉に30分間、暴露したこと以外は、実施例7と同じ方法で作製した。実施例9は、5.6M AgNO3 4mLおよび5.6M NaOH 4mLを、該分散体に加えたこと以外は、実施例8と同じ方法で作製した。実施例10は、10質量%H22 3.9mLを該配合物に加えてから空気対流炉に曝露したこと以外は、実施例8と同じ方法で作製した。表9に、比較6および実施例7〜10に関する、組成情報を記載する。
【0144】
【表9】

【0145】
%生菌テストを使用して、黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性について、比較例実施例6および実施例7〜10をテストした。実施例分散体1滴を、細菌溶液中に滴下して混合した。2時間における%生菌を測定した。全ての細菌溶液体積は、7mLであった。初期生菌濃度は、1.0×108細菌/mLであった。表10に、結果を一覧にする。
【0146】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性ポリマー;および
銀、銅、亜鉛、およびそれらの組み合わせの金属酸化物からなる群から選択される生物活性剤;
を含み、
前記生物活性剤は、親水性ポリマー内に分散され;
前記生物活性剤の実質的に全部が、1μm未満の粒度を有する、
ポリマー組成物。
【請求項2】
前記親水性ポリマーは、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、両性ポリマー、およびそれらの組み合わせである、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記親水性ポリマーは、ポリヒドロキシアルキルアクリレート類およびメタクリレート類;ポリ(メタ)アクリル酸およびその塩類;ポリビニルアルコール類;ポリオキシアルキレン類;スルホン酸ポリスチレン類;多糖類;アルギネート類;ガム類;セルロース誘導体;水溶性ヒドラジン誘導体から調製されるポリマー;ポリウレタン類、モノオレフィン系スルホン酸およびそれらの塩類;およびそれらの組み合わせ;からなる群から選択される、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記親水性ポリマーは、ポリ(第四級アミン類)、ポリラクタム類、ポリアミド類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミン含有有機ポリマーである、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記親水性ポリマーは、有機ポリマーの第四級アンモニウム塩である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記親水性ポリマーは、カルボン酸含有有機ポリマーである、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
親水性ポリマー;
銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属化合物(ここで、前記銀化合物は、水中に少なくとも1リットル当たり0.1gの溶解度を有する);および
前記金属化合物を、対応する金属酸化物に変換する水酸化物源;
を含む成分を混合させることを含む方法で調製できるポリマー組成物であって、
前記成分は、前記金属酸化物を前記親水性ポリマー内に分散させる方法で混合される、
ポリマー組成物。
【請求項8】
前記親水性ポリマーは、ポリヒドロキシアルキルアクリレート類およびメタクリレート類;ポリ(メタ)アクリル酸およびその塩類;ポリビニルアルコール類;ポリオキシアルキレン類;スルホン酸ポリスチレン類;多糖類;アルギネート類;ガム類;セルロース誘導体;水溶性ヒドラジン誘導体から調製されるポリマー;ポリウレタン類、モノオレフィン系スルホン酸およびそれらの塩類;およびそれらの組み合わせ;からなる群から選択される、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記親水性ポリマーは、ポリ(第四級アミン類)、ポリラクタム類、ポリアミド類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミン含有有機ポリマーである、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記アミン含有有機ポリマーは、有機ポリマーの第四級アンモニウム塩である、請求項9に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記組成物は、前記親水性ポリマー組成物の総質量を基準にして、1〜20質量%の量の水を含む、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記親水性ポリマーは、カルボン酸含有有機ポリマーである、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
親水性ポリマー;
アンモニア源;
銀酸化物、銅酸化物、亜鉛酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物;
を含む成分を混合させることを含む方法で調製できるポリマー組成物であって、
前記成分は、前記金属酸化物を前記親水性ポリマー内に分散させる方法で混合され;
前記金属酸化物粒度は1μm未満である、
ポリマー組成物。
【請求項14】
前記親水性ポリマーは、ポリヒドロキシアルキルアクリレート類およびメタクリレート類;ポリ(メタ)アクリル酸およびその塩類;ポリビニルアルコール類;ポリオキシアルキレン類;スルホン酸ポリスチレン類;多糖類;アルギネート類;ガム類;セルロース誘導体;水溶性ヒドラジン誘導体から調製されるポリマー;ポリウレタン類、モノオレフィン系スルホン酸およびそれらの塩類;およびそれらの組み合わせ;からなる群から選択される、請求項13に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記アンモニア源は、アンモニアおよびアンモニウム塩類からなる群から選択される、請求項13に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
前記アンモニウム塩は、五ホウ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ペルオキシホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項15に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
前記アンモニア源および金属酸化物は、水中で1リットル当たり0.1gを超える溶解度を有するアンモニア−金属錯体を形成する、請求項13に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
前記親水性ポリマーは、カルボン酸含有有機ポリマーである、請求項13に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
吸水性親水性微粒子を含む分散体であって、前記微粒子は、実質的に非水和型であるとき、10μm以下の平均粒度を有する分散体;
銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属化合物(ここで、前記銀化合物は、水1リットル中に少なくとも0.1gの水中溶解度を有する);および
前記金属化合物を対応する金属酸化物に変換する水酸化物源;
を含む成分を混合させることを含む方法で調製できる組成物であって、
前記成分は、前記金属酸化物が前記微粒子内に取り込まれる、ポリマー組成物を製造する方法で混合される、
組成物。
【請求項20】
前記分散体は、吸水性親水性微粒子を含み、前記微粒子は、ポリ(第四級アミン)、ポリラクタム、ポリアミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミン含有有機ポリマーを含む、請求項19に記載のポリマー組成物。
【請求項21】
前記分散体は吸水性親水性微粒子を含み、前記微粒子はカルボン酸含有有機ポリマーを含む、請求項19に記載のポリマー組成物。
【請求項22】
前記微粒子は、実質的に非水和型であるとき、1μm以下の平均粒度を有する、請求項19に記載のポリマー組成物。
【請求項23】
前記微粒子は、実質的に非水和型であるとき、0.5μm以上の平均粒度を有する、請求項19に記載のポリマー組成物。
【請求項24】
実質的に非水和型であるとき、10μmより大きい平均粒度を有する二次吸水性粒子をさらに含む、請求項19に記載のポリマー組成物。
【請求項25】
10μmより大きい平均粒度を有する前記二次吸水性粒子は、超吸水性である、請求項24に記載のポリマー組成物。
【請求項26】
前記微粒子は、超吸水性である、請求項19に記載のポリマー組成物。
【請求項27】
有機ポリマー・マトリックス;
吸水性の親水性微粒子を含む分散体であって、前記微粒子は、実質的に非水和型であるとき、10μm以下の平均粒度を有する分散体;
銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属化合物(ここで、該銀化合物は、水中に少なくとも1リットル当たり0.1gの溶解度を有する);および
前記金属化合物を前記対応する金属酸化物に変換する水酸化物源;
を含む成分を混合させることを含む方法で調製できるポリマー組成物であって、
前記成分は、前記金属酸化物が前記微粒子内に組み込まれる、ポリマー組成物を製造する方法で混合される、ポリマー組成物。
【請求項28】
前記分散体は、吸水性親水性微粒子を含み、前記微粒子は、ポリ(第四級アミン)、ポリラクタム、ポリアミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミン含有有機ポリマーを含む、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項29】
前記分散体は、吸水性親水性微粒子を含み、前記微粒子は、カルボン酸含有有機ポリマーを含む、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項30】
前記微粒子は、実質的に非水和型であるとき、1μm以下の平均粒度を有する、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項31】
前記微粒子は、実質的に非水和型であるとき、0.5μm以上の平均粒度を有する、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項32】
実質的に非水和型であるとき、10μmより大きい平均粒度を有する二次吸水性粒子をさらに含む、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項33】
10μmより大きい平均粒度を有する前記二次吸水性粒子は、超吸水性である、請求項32に記載のポリマー組成物。
【請求項34】
前記微粒子は超吸水性である、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項35】
前記有機ポリマー・マトリックスは、弾性ポリマーを含む、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項36】
前記弾性ポリマーは、ポリイソプレン、スチレン−ジエン・ブロックコポリマー、天然ゴム、ポリウレタン、ポリエーテル−ブロック−アミド、ポリ−α−オレフィン、メタ(アクリル)酸の(C1−C20)アクリルエステル、エチレン−オクテンコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項35に記載のポリマー組成物。
【請求項37】
前記有機ポリマー・マトリックスは、熱可塑性ポリマーを含む、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項38】
前記熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィンである、請求項37に記載のポリマー組成物。
【請求項39】
前記有機ポリマー・マトリックスは、多糖、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、セルロース誘導体、およびアルギネートからなる群から選択される親水性ポリマーを含む、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項40】
前記親水性ポリマー微粒子は、有機ポリマーの第四級アンモニウム塩を含む、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項41】
前記微粒子は、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートの塩化メチル第四級塩のカチオン性ホモポリマーを含む、請求項40に記載のポリマー組成物。
【請求項42】
可塑剤、粘着付与剤、架橋剤、安定剤、押出助剤、充填剤、顔料、色素、膨張剤、発泡剤、連鎖移動剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される添加物をさらに含む、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項43】
前記有機ポリマー・マトリックスは、2つ以上のポリマーの混合物を含む、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項44】
前記微粒子は、前記ポリマー組成物の総質量を基準にして、1〜60質量%の量で存在する、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項45】
前記組成物は、前記ポリマー組成物の総質量を基準にして、1〜20質量%の量の水を含む、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項46】
押出フィルムの形態である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項47】
フォームの形態である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項48】
前記組成物は安定である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項49】
前記組成物は、親水コロイドの形態である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項50】
前記ポリマー組成物の総質量を基準にして、1質量%未満の量の水を含む、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項51】
前記疎水性材料は、不連続相を形成し、前記親水性ポリマーは、連続相を形成する、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項52】
前記親水性ポリマーは、不連続相を形成し、前記疎水性材料は、連続マトリックスを形成する、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項53】
前記疎水性材料は、室温で液体である、請求項52に記載のポリマー組成物。
【請求項54】
前記疎水性材料は、鉱油である、請求項53に記載のポリマー組成物。
【請求項55】
前記疎水性材料は、室温で固体である、請求項52に記載のポリマー組成物。
【請求項56】
前記疎水性材料は、弾性ポリマーを含む、請求項52に記載のポリマー組成物。
【請求項57】
前記弾性ポリマーは、ポリイソプレン、スチレン−ジエン・ブロックコポリマー、天然ゴム、ポリウレタン、ポリエーテル−ブロック−アミド、ポリ−α−オレフィン、メタ(アクリル)酸の(C1−C20)アクリルエステル、エチレン−オクテンコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項56に記載のポリマー組成物。
【請求項58】
前記弾性ポリマーは、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)、およびスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)からなる群から選択される、請求項56に記載のポリマー組成物。
【請求項59】
膨張剤をさらに含む、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項60】
請求項1に記載のポリマー組成物を含む、医療用物品。
【請求項61】
請求項1に記載の前記ポリマー組成物を、創傷に付けることを含む、ポリマー組成物を使用する方法。
【請求項62】
ポリマー組成物を製造する方法であって、
金属化合物の実質的に全てを、親水性有機微粒子中に分布させるのに有効な条件で、前記親水性有機微粒子を含む分散体を、水および前記金属化合物と混合すること(ここで、前記金属化合物は、銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記銀化合物は、水中で1リットル当たり少なくとも0.1gの水中溶解度を有する);
前記金属化合物を、前記対応する金属酸化物に変換するために、水酸化物源を加えること;
場合により、二次有機ポリマーを前記分散体に加えること;および
場合により、前記水のかなりの部分を除去すること;
を含む、方法。
【請求項63】
酸化剤を加えて、より高い原子価の金属酸化物を形成する工程をさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ポリマー組成物を、放射線に当てることをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記組成物を押し出すかまたは成形することをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
ポリマー組成物を製造する方法であって、
モノマーを重合し、金属化合物の実質的に全部を前記親水性有機ポリマー中に分布させるのに有効な条件で、親水性有機ポリマー用モノマーを、金属化合物と混合すること(ここで、前記金属化合物は、銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記銀化合物は、水中で1リットル当たり少なくとも0.1gの水中溶解度を有する);
前記生物活性剤を前記対応する金属酸化物に変換するために、水酸化物源を加えること;および
場合により、二次有機ポリマーを前記親水性有機ポリマーに加えること;
を含む、方法。
【請求項67】
前記組成物は非粘着性である、液体透過性の開口基材上に請求項27に記載の組成物を含む、創傷被覆材。
【請求項68】
銀、銅および亜鉛の1つまたは複数の金属酸化物を含浸させた基材を含み、前記含浸された基材は、スチールに対して1N/cm未満の剥離強さを有し、かつ創傷組織に付着しない、医療用物品。
【請求項69】
親水コロイド内に分散された1μm未満の平均粒度を有する、銀、銅および亜鉛の1つまたは複数の金属酸化物を含浸させた基材を含む、医療用物品。
【請求項70】
親水コロイド中で酸化銀を形成する方法であって、
親水コロイドと、水中で1リットル当たり少なくとも0.1gの溶解度を有する銀化合物の溶液との、混合物を提供すること;
水酸化物源を加えて、銀(I)の金属酸化物を形成すること;
を含み、
前記酸化銀は、前記親水コロイド内に分散される、
方法。
【請求項71】
酸化剤を加えて、より高い原子価の銀酸化物を形成する工程をさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
疎水性ポリマーを加える工程をさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記親水コロイドは、10μm未満の粒度を有する、請求項70に記載の医療用物品。
【請求項74】
前記疎水性ポリマーは、スチレン−イソプレン−スチレンを含む、請求項72に記載の医療用物品。
【請求項75】
親水性ポリマー;および
酸化銀;
を含み、
前記酸化銀は、前記親水性ポリマー内に分散され;かつ
前記酸化銀の実質的に全部が、1μm未満の平均粒度を有する、
ポリマー組成物。
【請求項76】
親水性ポリマー;
銀化合物、銅化合物、亜鉛化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属化合物(ここで、前記銀化合物は、水に1リットル当たり少なくとも0.1gの水中溶解度を有する);および
前記金属化合物を対応する金属酸化物に変換する水酸化物源;
を合わせること;および
前記金属酸化物を親水性ポリマー内に分散させること;
を含む、ポリマー組成物を製造する方法。
【請求項77】
前記親水性ポリマーは、ポリヒドロキシアルキルアクリレート類およびメタクリレート類;ポリ(メタ)アクリル酸およびその塩類;ポリビニルアルコール類;ポリオキシアルキレン類;スルホン酸ポリスチレン類;多糖類;アルギネート類;ガム類;セルロース誘導体;水溶性ヒドラジン誘導体から調製されるポリマー;ポリウレタン類、モノオレフィン系スルホン酸およびそれらの塩類;およびそれらの組み合わせ;からなる群から選択される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記親水性ポリマーは、ポリ(第四級アミン類)、ポリラクタム類、ポリアミド類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミン含有有機ポリマーである、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記アミン含有有機ポリマーは、有機ポリマーの第四級アンモニウム塩である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記親水性ポリマーは、吸水性親水性微粒子を含み、前記微粒子は、カルボン酸含有有機ポリマーを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記水酸化物源は、前記生物活性剤および前記親水性ポリマーを合わせた後で加えられる、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
酸化剤を、前記親水性ポリマー、前記生物活性剤、および前記水酸化物源と合わせることをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
前記酸化剤は、前記親水性ポリマー、前記生物活性剤、および前記水酸化物源を合わせた後で加えられる、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
親水性ポリマー;
アンモニア源;および
銀酸化物、銅酸化物、亜鉛酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属酸化物;
を合わせること;および、
前記金属酸化物を前記親水性ポリマー内に分散させること;
を含み、
前記金属酸化物粒度は、1μm未満である、
ポリマー組成物を製造する方法。
【請求項85】
前記アンモニア源および金属酸化物を混合してから、前記親水性ポリマーと混合する、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
酸化剤を前記親水性ポリマー、前記アンモニア源、および前記金属酸化物と混合することをさらに含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記酸化剤は、前記親水性ポリマー、前記アンモニア源、および前記金属酸化物を混合した後で加えられる、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
水の存在下で前記成分を混合することおよび前記水のかなりの部分を除去することをさらに含む、請求項84に記載の方法。
【請求項89】
請求項7に記載のポリマー組成物を含む、医療用物品。
【請求項90】
請求項7に記載のポリマー組成物を創傷に付けることを含む、ポリマー組成物の使用方法。
【請求項91】
請求項13に記載のポリマー組成物を含む、医療用物品。
【請求項92】
請求項13に記載のポリマー組成物を創傷に付けることを含む、ポリマー組成物の使用方法。
【請求項93】
液体透過性の開口基材上に被覆された請求項13に記載の組成物を含み、前記組成物は非粘着性である、創傷被覆材。

【公表番号】特表2007−513252(P2007−513252A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542836(P2006−542836)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/040706
【国際公開番号】WO2005/056070
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】