生物活性油
【課題】脂質基材から生物活性化学物質を含有する脂肪または油およびその抽出物を製造するための方法を提供する。
【解決手段】以下の段階を含む方法:a)真菌由来の脂肪分解酵素を脂質基材に接種する段階、b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、およびc)当該基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階よりなる。
【解決手段】以下の段階を含む方法:a)真菌由来の脂肪分解酵素を脂質基材に接種する段階、b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、およびc)当該基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階よりなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質基材(lipid substrates)の真菌(菌類)による代謝/変換であって、ヒトおよび他の動物の疾患、障害または症状を処置または予防するための生物活性化学物質を含有する脂肪および特に油およびその抽出物を生産する代謝/変換に関する。
【背景技術】
【0002】
代替/相補医薬産業の発達およびある部分でその製品が「当てにならない」治療薬であると一般に認識されていることを受けて、この代替産業によって供給される製品が再現性のある効力を有し、かつ一般の人々による使用に関して安全であることを保証する差し迫った必要性が存在する。しかし、最近の報道機関および政府の規制当局による酷評のせいで、代替医薬が原材料の質および製造方法に関する厳格な指針を満たす絶対的な必要条件が存在する。代替医薬に伴う主要な問題の1つは、使用される成分が、ほとんどの場合、多数の異なる化学物質を含有するであろう材料からなることが多いことである。ゆえに、社会の使用に関する製品の効力および安全性を保証することに関する重大な問題が存在する。これらの製品の有効性についての知識が欠乏している主な理由の1つは、代替および相補医療産業は一般にこれらの製品が動物試験に付されていない事実を誇り、ゆえにその主張が検証できないことである。
【0003】
歴史的に、動物および植物油産業は世界中で最も古い部類に属し、ゆえに該業界において使用される手順は確立されている。加えて、産業上および医療上の適用が多数存在し、文献に詳細に記録されている。しかし、多数の油、例えばオリーブ、月見草油、アマニ油、(タラ)肝油およびエミュー油は種々の医学的症状および疾患を処置するために使用されるが、これらのタイプの製品に関する効力および安全性データの再現に関する問題に対して実質的にまったく注意が払われてこなかった。実際には、多種多様の多数の異なるタイプおよび群の動物および植物油についての過去13年の動物および化学試験期間中に、生物活性および化学組成に関する大きなバリエーションが観察されている。
【0004】
本領域では、動物性および植物性抽出物、特に油に基づく相補/代替医薬の信頼性を高めるために、当タイプの製品に関する効力および安全性データの再現性に関する品質管理が第一に取り組むべき事柄であるとますます認められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患および症状に関する治療活性および予防活性を有する生物活性化学物質を含有する動物および植物由来の油およびその抽出物を製造するための方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、任意の経路、例えば非限定的に、経口、口腔、舌下、経直腸、非経口、局所、吸入、注射および経皮、好ましくは経口または局所経路による投与用に製剤化された医薬組成物であって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害または症状にわたる効力を示す生物活性油および/またはその抽出物を、製薬的に許容される賦形剤、担体または補助剤(アジュバント)とともに含む医薬組成物を提供することである。
【0007】
また本発明の目的は、本発明の方法にしたがって取得される生物活性油および/またはその抽出物を投与することによって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための方法を提供することである。
【0008】
また本発明の目的は、生物活性油および/またはその抽出物の脂肪酸エステルおよびアミドを投与することによって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための方法を提供することである。
【0009】
さらに別の本発明の目的は、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患および症状を処置または予防するための医薬製剤の製造に関する、生物活性油および/またはその抽出物の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、植物および動物由来の油の質に関する変動の原因である主要な要因/群、すなわち脂質基材中および上で生育する真菌による脂質基材の変換、の同定に基づく。生産される脂肪または油の質は、真菌(酵素)のタイプおよび数、脂質基材、精製(rendering)前のインキュベーションの温度、湿度および長さ(時間)に依存する。したがって本発明の基礎は、真菌の制御された使用であって、脂質基材/群を変換して、生物活性化学物質を含有する油を生産する使用に関する。処理および保存中の温度、酸素および光は何らかのささいな影響を有するかもしれないが、これらの要因よりも脂質基材を真菌に曝露することが生物活性(効力)に関する主要な変動の原因であることが本発明者らによって確立されている。
【0011】
したがって本発明の第一の側面は、脂質基材から生物活性化学物質を含有する脂肪または油およびその抽出物を製造するための方法であって、以下の段階を含む方法を提供することである:
a)真菌の混合物を脂質基材に接種する段階、
b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、および
c)当該インキュベート後の基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【0012】
本発明の関連の側面は、脂質基材から生物活性化学物質を含有する油およびその抽出物を製造するための方法であって、以下の段階を含む方法を提供することである:
a)真菌由来の脂肪分解酵素を脂質基材に接種する段階
b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、および
c)当該基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【0013】
段階b)では典型的にインキュベーション期間は約80〜100%の範囲の高湿度で約7〜28日の範囲である。
【0014】
段階c)では、脂質が動物由来である場合、生成物は当該接種後の基材を精製することによって得られる生物活性油であるのが典型的である。あるいは、当該脂質が植物または種子由来である場合、生物活性油は当該接種後の基材混合物の冷却圧縮または溶媒抽出によって得られる。
【0015】
また、上記本発明の第一の側面の方法によって製造される場合の生物活性生成物、特に油が提供される。
【0016】
生物活性油および脂肪を製造するために実施する必要がある典型的な段階/手順は;保存状態の純粋な真菌を有していると仮定すれば、以下に挙げるものである:
1.滅菌された脂質基材(例えば動物性脂質)に適切な真菌混合物を接種する;
2.上記混合物を所定の期間および湿度でインキュベートする;
3.上記混合物を精製する;
4.段階3で得られた精製混合物を遠心分離する;
5.遠心分離段階から得られた油をろ過する;
6.油を135℃で2時間滅菌する;
7.滅菌後に油をろ過する;
8.油を保存する;
9.必要であれば油を抽出する。
【発明の効果】
【0017】
これは生物学的過程であり、いくらかの変動が間違いなく生じるが、上記手順を繰り返せば、生産される油は実験誤差の範囲内で再現可能である。
【0018】
細菌はこの変換過程に関与しない。いかなる理論に拘束されることも望まないが、真菌は脂質細胞に浸透し、細胞内で脂質を消化する酵素を排出するようである。分解産物が放出され、そのいくつかは真菌によって吸収されて内部的に変換される。一方、その他のものは上清中に出現する。
【0019】
脂質基材の接種に使用される、真菌由来の脂肪分解酵素の供給源である真菌混合物は、無傷の/完全な真菌生物体、純粋な真菌、単一の真菌または混合された真菌、活性なその酵素抽出物、遺伝子改変生物体または修飾された酵素であってよい。本発明の方法では、脂質を変換して、広範囲のヒトおよび動物の疾患を処置するのに適した生物活性化学物質を含有する脂肪または油を得る。周知のように、油およびその抽出物を製造する本方法を使用すれば、遊離脂肪酸、モノおよびジグリセリドの量が濃縮され、例えば総遊離脂肪酸 何らかの植物動物および植物油のレベルは14%までであるか、あるいはそれを超える。油およびその抽出物中に認められる化合物は相乗的に作用して、ヒトおよび動物において広範囲の疾患および症状を処置するための所望の生化学的作用を提供する。
【0020】
典型的に脂質基材は陸生または海洋起源の動物または植物性供給源から選択することができ、あるいは基材は、無機および有機の修正物が補充された人工基材上へ浸透された脂質またはその抽出物から構成され得る(Waller et al 2002,「植物病理学者ハンドブック第3版(Plant Pathologists Pocketbook 3rd Edition)」, CABI, New Yorkを参照のこと)。動物性脂質の供給源には、オオトカゲ、ヒツジ、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、ラクダ、アヒル、ガン、ブタ、ウシ、ウマ、マトン鳥類(mutton bird)、魚類および甲殻類、例えばイガイ(イシガイ)が含まれる。植物油の供給源には、Macadamia sp、Canarium spp、ピーナッツ、ヒマワリ、ベニバナ、アマニ、ダイズ、コムギ、カラスムギ、オオムギ、アーモンド、アボカド、カシュー、クアンドン、トウモロコシ、ワットル、オリーブ、ヤシおよびコメの種子/ナッツが含まれる。他の野菜/植物/種子性供給源には、ココナツ、ピリナッツ(pili nut)、ガリナッツ(ngali nut)、ニーム種子、ゴマおよびカノーラが含まれる。
【0021】
典型的に、脂質基材上に接種される真菌は該基材から単離されたものであり(すなわち脂質基材に内因的であり)、特定または類似の基材を変換することが認められている。このような真菌は典型的に有性および無性状態のZygomycotina、AscomycotinaおよびBasidiomycotina門に認められる。したがってこれは無性状態の主要な門である不完全菌類(Deuteromycetes)の真菌を含むことが理解される。また脂質基材を変換することが典型的に認められる真菌には、Phoma sp、Cladosporium sp、Rhodotorula mucilaginosa、Cryptococcus albidus、Trichosporon pullulans、Mucor spp、Epicoccom purpurescens、Rhizopus stolonifer、Penicillium chrysogenum、Nigrospora sphaerica、Chaetomium globosumが含まれる。変換能を示すか、あるいはその潜在能力を有する真菌を従来技術または分子遺伝学的技術によって典型的に改良して、酵素形成および活性を向上させてよい。
【0022】
基材には、さらにまたは代わりに、真菌由来の酵素を接種してよい。典型的に追加用の酵素は真菌に内因的であるが、代替の供給源または遺伝子改変された単離体から開発することもできる。また該酵素を精製してよく、物理的、化学的または他の技術を使用してその構造を変化させることによってその活性を増大させてよい。
【0023】
典型的には、脂質基材を滅菌し、そして1種またはそれ以上の真菌またはその酵素を必要に応じて接種する。この基材をスライスし、細かく刻み、切り刻み、または砕いて、固形シートであってよい表面上の典型的に0.5〜10cmの範囲の層中で拡散することを可能にしてよく、あるいは孔をあけて、酸素が下部表面へ入り、油が基材から落ちて適切な容器に回収されることを許容してよい。接種には標準的手順(Waller et al 2002を参照のこと)を使用する。この手順には、滅菌水に懸濁された真菌胞子を脂質表面にスプレーまたは塗布することが含まれる。そして典型的に約7日〜約120日の範囲、より典型的には約7〜65日、または約7〜56日、または約7〜42日、または約7〜35日の範囲の期間、基材をインキュベートする。さらにより典型的には、約7〜28日または約7〜21日の範囲および最も典型的には14、21、28、35、42、56、および65日の範囲の期間、基材をインキュベートする。接種後の脂質基材を4〜35℃の範囲、典型的には約15〜20℃の範囲の温度、および80〜100%の範囲、典型的には95%の相対湿度でインキュベートする。
【0024】
インキュベーション後に真菌を含有する動物性脂質基材を細かく刻み、または砕き、そして精製過程の前にステンレス容器へ移す。典型的に本過程は、一定の緩徐な速度で撹拌しながら脂質基材が融解して油になるまで40〜80℃の範囲、典型的には約70〜75℃の範囲の温度で精製することを含む。そしてこの油を典型的に遠心分離および濾過し、そしてさらに抽出することができる。そして生物活性油を含有するろ液を典型的に約15分〜約8時間の範囲、より典型的には約1時間〜6時間の範囲、さらにより典型的には約1時間〜4時間の範囲の期間加熱することによってさらに滅菌する。典型的には、約100〜160℃の範囲、より典型的には約110〜150℃の範囲およびさらにより典型的には約120〜140℃の範囲、最も典型的には約130〜135℃の温度にろ液を加熱する。
【0025】
植物種子、ナッツ油または動物起源でない他の脂質供給源の場合、接種およびインキュベーション後の真菌を含有する脂質基材/群を細かく刻み、または砕いた後にスクリュープレスを使用して冷却圧縮してよく、そしてスクリュープレス由来の油を遠心分離およびろ過する。そしてこの油を典型的に約15分〜約8時間の範囲、より典型的には約1時間〜6時間の範囲、さらにより典型的には約1時間〜4時間の範囲の期間加熱することによって滅菌する。典型的にこの油を約100〜160℃の範囲、より典型的には約110〜150℃の範囲およびさらにより典型的には約120〜140℃の範囲、最も典型的には約130〜135℃の温度に加熱する。そして得られた油を動物性基材と同様に処理する。
【0026】
そして上記過程から得られた油を溶媒抽出に付してよい。溶媒抽出は典型的に質量または容量ベースで1/1または2/1の溶媒対油比で油を混合し、次いで20℃〜−40℃の温度範囲にわたって30分〜24時間の期間冷却することを含む。溶媒をデカントし、または捨て、必要であれば内容物を遠心分離し、そして蒸発乾燥して抽出物を得る。生じた残留物は生物活性化学物質を含有する。
【0027】
また上記過程由来の油または抽出物(油およびその抽出物の化学処理によって得られる任意の誘導体を含む)を以下の過程に付して、特定フラクションまたは化学物質を得てよい:
(1)高速液体クロマトグラフィ、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(2)超流動体クロマトグラフィ(super fluid chromatography)、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(3)薄膜分子蒸留装置または蒸発装置(例えばPope)、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(4)薄膜蒸発装置および分別蒸留カラムを内蔵するハイブリッド蒸留装置。
(5)分子蒸留プラントまたは(3)、(4)および(5)における上記項目の任意の組み合わせ、使用される実験的条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
【0028】
本発明の第二の側面は、生物活性油および/またはその抽出物の脂肪酸エステルおよび/またはアミドを投与することによってヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防する方法を提供することである。エステルには、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピル基が含まれる。当該油の抽出物のメチルおよびイソプロピルエステルはラットの関節炎の処置に関して首尾良くin−vivo試験され、良好な結果を示している。
【0029】
本発明の関連の側面は、本発明にしたがって製造される生物活性油の脂肪酸エステルおよび/またはアミド、および/またはその抽出物の使用であって、その投与によってヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための薬物の製造に関する使用を提供することである。
【0030】
典型的に、製造される生物活性油を使用してヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害または症状を処置および/または予防することができる。処置または予防される可能性がある典型的な疾患、障害または症状には以下に挙げるものが含まれる:呼吸器疾患または症状、例えば喘息、気管支疾患および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管疾患または症状、例えばアテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、高血圧症および鎌形赤血球疾患関連血管閉塞、皮膚疾患または症状、例えば諸皮膚炎、乾癬およびアトピー性湿疹、すべてのタイプのやけど、胃腸疾患または症状、例えば潰瘍、胃(液)の逆流(gastric reflux)、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎および歯周病、癌、例えば腸癌および前立腺癌、サルコイドーシス、敗血性ショック、筋骨格疾患または症状、例えば関節炎、例えば骨関節炎および関節リウマチ、慢性関節および靭帯痛、白血病、糖尿病、アレルギー、例えば中耳炎および眼アレルギー、ブドウ膜炎、月経困難症、腎疾患または症状、例えば糸球体腎炎および腎炎症候群および前立腺疾患または症状、例えば良性前立腺肥大、および多種多様な炎症性障害。また、製造される生物活性油は骨密度(bone mass density)を増加させ、骨強度および結合組織障害を改善させることができる。
【0031】
生物活性油およびその抽出物はC反応性タンパク質の合成を阻害し、すなわちC反応性タンパク質阻害剤であるようである。(治療活性についての下記実施例の患者7に関する試験結果を参照のこと)。ゆえにこれらの油およびその抽出物を使用して、C反応性タンパク質の産生に関連する広範囲のヒトおよび動物疾患および症状を処置してよい。
【0032】
C反応性タンパク質(CRP)はいわゆるペントラキシンファミリーのタンパク質に属する。その理由は、5個の同一のサブユニットを有するからである。第一染色体上の単一遺伝子によってエンコードされるこのサブユニットは会合して安定なディスク状の5量体構造を形成する。該タンパク質はStreptococcus pneumoniaeの体細胞性C多糖と反応するのでそのように命名された。該タンパク質は1930年にTilletおよびFrancesによって最初に発見された。カルシウムの存在下で、CRPはホスホコリン部分に特異的に結合する。これによりCRPは宿主防御の役割を与えられる。その理由はホスホコリンが微生物の多糖(この場合CRP結合は従来の補体経路を活性化し、食作用のためにリガンドをオプソニン化する)、炎症誘発性(pro-inflammatory)血小板活性化因子(PAF)(中和される)、および多形体(下方制御される)に認められるからである。
【0033】
CRPは肝臓でのみ生産され、急性の炎症性刺激の6時間以内に増加した量で分泌される。血漿レベルは少なくとも8時間毎に倍増可能であり、約50時間後にピークに達する。炎症性刺激が有効に処置または除去されると、レベルは標識化外来性CRPの血漿半減期がほぼ5〜7時間である程度に急速に低下し得る。「正常な」CRP応答を妨害する唯一の条件は重篤な肝細胞機能障害である。
【0034】
CRPレベルの大きな上昇に関連するいくつかの最も一般的な条件は以下に挙げるものである:
(a)炎症性疾患、例えば諸形式の関節炎、例えば関節リウマチ、乾癬性関節炎および若年性慢性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、ライター病等。
(b)悪性腫瘍、例えばリンパ腫、肉腫。
(c)壊死、例えば心筋梗塞、腫瘍塞栓形成および急性膵炎。
(d)外傷、例えばやけどおよび骨折。
(e)リウマチ熱、結核、同種移植拒絶および白血病。
【0035】
生物活性油およびその抽出物はマウス線維芽細胞セルラインからのプロスタグランジンPGE2の分泌を阻害するようである。ゆえにこの結果(油抽出物に曝露された3T3細胞から分泌されるPGE2の阻害%をまとめた表9を参照のこと)はこれらの油および抽出物がシクロオキシゲナーゼ経路を阻害すると思われることを確認する(一方で、該アッセイはCOX−1およびCOX−2の両者に関する結果を提供する一般的アッセイであるが、特別なヒトのデータおよび動物実験によれば、これらの油および抽出物は出血を阻害し、ゆえにCOX−1経路は関与しないかもしれない)。ゆえにこれらの油および抽出物を使用して、COX経路に関連する広範囲のヒトおよび動物疾患および症状を処置することができる。これらのタイプの阻害剤を使用してヒトおよび動物の疾患および症状、例えば関節リウマチ、骨関節炎、痛み、等を処置してよい。
【0036】
該生物活性抽出物はロイコトリエン合成を阻害するようであり、すなわち5−リポキシゲナーゼ阻害剤である。
【0037】
また製造される生物活性油は種々の医薬品、例えばデキサメタゾンおよびプレドニゾンの効力を相乗的に増強することが知られている。このような相乗作用は重大な臨床上の利点である。その理由は、高レベルの炎症誘発性ロイコトリエンまたは5−リポキシゲナーゼは喘息だけでなく関節リウマチ、骨関節炎、強皮症および炎症性腸疾患、例えばクローン病に関連し、そして本発明の活性油を投与すると、より低用量のステロイドしか使用しなくてよいからである。(リポキシゲナーゼ阻害剤とステロイドの相乗作用に関する図4を参照のこと。)
【0038】
本発明の第三の側面は、生物活性油、または生物活性油の脂肪酸エステルおよび/またはアミドおよび/またはその抽出物を、製薬的に許容される担体、賦形剤または補助剤(アジュバント)とともに含む医薬組成物を提供することである。典型的に、本組成物は即効性(immediate release)、持続放出性(extended release)、パルス放出性(pulse release)、可変放出性(variable release)、制御放出性(controlled release)、持効性(timed release)、徐放性(sustained release)、遅延放出性(delayed release)、長時間作用性(long acting)、およびそれらの組み合わせの形式であり得る。
【0039】
以後、本発明の好ましい形式を例示によって説明する。説明中、添付の図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
前記内容から明瞭であるように、本発明は脂質基材の真菌による代謝/変換に関する。真菌は脂質基材に内因性または外来性の真菌であり得る。しかし、非常に特別な能力を有する真菌のみが脂質基材上で生育する。すべてがその単離元である脂質基材、または他の脂質基材を変換する能力を有するわけではない。したがって本発明で利用できるのは、脂質基材上で生育し、脂質基材を代謝/変換して生物活性化学物質を含有する油を生産するすべての真菌である。
【0041】
a)真菌の単離
標準的方法を使用して脂質から真菌を単離し、培養する(いくつかの一般的な方法に関してはWaller et al 2002を参照のこと)。自然にコロニー形成された脂質基材の表面上または表面近くで真菌の生育が認められる。典型的には、標準的技術を使用して、真菌によって自然にコロニー形成された脂質基材から種々の標準寒天培地上へ真菌を単離する。典型的に、滅菌プローブを用いて真菌の断片を取り出し、そしてこの断片を以後の生育および同定のために培地上にまくことによって脂質基材の表面上で生育する真菌を取得する。典型的には、アルコールまたは次亜塩素酸塩を用いて脂質基材の表面を滅菌した後に内因性の真菌を取得する。そして細菌生育を抑制する抗生物質を含有する培地上に脂質基材の断片をまく。培養および以後の同定のために、出現した真菌を新鮮な滅菌培地へ継代培養する。典型的な培地には、ポテトデキストロース寒天、麦芽抽出物寒天、V8ジュース寒天、コーンミール寒天、オートミール寒天が含まれる。典型的に、単離プレートから同一または他の標準培地上で真菌を継代培養することができる。
【0042】
該真菌は、標的化合物の形成および活性を増強する従来技術または遺伝的技術に付することができる。脂質基材から単離される真菌をその脂質基材の変換に関して試験することができる。最も効率的に変換することが認められる真菌を低効率の単離体ととり代えて、生物活性化合物の生産を増加させることができる。これらの過程は生物活性化合物の生産を増強するのに広く使用されており、例えばペニシリンの生産を増強するのに使用された。真菌から酵素を単離精製することができ、物理的または化学的処理技術を使用してその活性を最大にすることができる。この過程はR. K. Saxena, Anita Sheoran, Bhoopander Giri, W. Sheba Davidson, (2003)「微生物リパーゼに関する精製ストラテジーのレビュー(Review of Purification Strategies for Microbial Lipases)」, 52, 1-18にしたがって行う。この文献は引用により本明細書中に包含される。酵素は、脂質基材上で生育し、脂質基材を変換/代謝して生物活性化学物質を含有する油を生産することが既知である真菌から単離されるのみである。
【0043】
b)真菌および酵素の保存
標準的技術、例えば凍結乾燥、低温保存、滅菌水中での保存、油環境下の栄養寒天上での保存、または乾燥条件での保存を使用して真菌を保存する(真菌保存のいくつかの標準的技術に関してはWaller et al 2002を参照のこと)。
【0044】
c)脂質基材の保存
動物性および植物性の脂質基材は密閉容器中に保存する。動物性脂質は典型的に−18℃未満の温度で保存する。動物性脂質を凍結乾燥して砕き、または細かく刻んだ後に低温で保存してよい。植物性の脂質基材は典型的に9%未満の低湿度の標準的条件下で保存する。温度は30℃未満で維持する。
【0045】
d)(海洋および陸生起源の)動物および植物性脂質基材の接種前滅菌
変換前に、脂質基材を滅菌して内因性微生物を除去する。滅菌には、エタノールまたは次亜塩素酸塩溶液中での洗浄、ガンマ照射またはその同等処理、または加熱処理が含まれるであろう(慣用技術の例に関してはWaller et al 2002,「植物病理学者ハンドブック第3版(Plant Pathologists Pocketbook 3rd Edition)」, CABI, New Yorkを参照のこと)。加えて、ツァペックドックス(Czapek Dox)寒天に認められるような特定の無機および有機の添加物を加えることによって脂質基材/群を修飾してよい(慣用の無機補充物質であるツァペックドックスの調製に関してはWallerを参照のこと)。
【0046】
同様に変換前に、植物性基材を滅菌して内因性微生物を除去する。滅菌には、エタノールまたは次亜塩素酸塩溶液中での洗浄、ガンマ照射またはその同等処理、または加熱処理が含まれるであろう(慣用技術の例に関してはWaller et al 2002,「植物病理学者ハンドブック第3版(Plant Pathologists Pocketbook 3rd Edition)」, CABI, New Yorkを参照のこと)。加えて、ツァペックドックス寒天に認められるような特定の無機および有機の添加物を加えることによって脂質基材/群を修飾してよい(ツァペックドックスの調製に関してはWallerを参照のこと)。
【0047】
e)脂質基材の接種
脂質基材に1種またはそれ以上の真菌またはその酵素を必要に応じて接種する。この基材をスライスし、細かく刻み、切り刻み、または砕いて、固形シートであってよい表面上の典型的に0.5〜10cmの範囲の層中で拡散することを可能にしてよく、あるいは孔をあけて、酸素が下部表面へ入り、油が基材から落ちて適切な容器に回収されることを許容してよい。接種には標準的手順(Waller et al 2002を参照のこと)を使用する。この手順には、滅菌水に懸濁された真菌胞子を脂質表面にスプレーまたは塗布することが含まれる。接種後の脂質基材を4〜35℃の範囲、一般的には約15〜20℃の温度、および80〜100%の範囲、典型的には95%の相対湿度でインキュベートする。そして典型的にこの基材は、7日〜約120日の範囲、および典型的には7、14、28、35、42、56、65日の範囲の期間インキュベートする。
【0048】
f)油の製造および生物活性化合物の抽出
真菌の代謝中に使用される脂質基材に応じて、生物活性油を抽出するのに使用される方法が決定される。使用してよい3つの主な方法は以下に挙げるものである:温度精製(temperature rendering)、溶媒抽出および冷却圧縮。後者の2方法は植物油の製造に関してのみ使用される。
【0049】
インキュベーション後に真菌を含有する動物性脂質基材を細かく刻み、または砕き、精製過程の前にステンレス容器へ移す。典型的に本過程は、一定の緩徐な速度で撹拌しながら脂質基材が融解して油になるまで、40〜80℃の範囲の温度、通常は約70〜75℃の温度設定で精製することを含む;加熱は電気的に、あるいは蒸気または熱水によって行ってよい。そして油を含有する容器中の液状物を遠心分離し、次いでろ過する。そして遠心分離段階から残存する残留物をさらに抽出に付してよい。この場合、一般に植物種子油および医薬品工業で使用される標準的手順ならびに研究で使用される天然産物の単離における標準的手順を使用する。そして生物活性油を含有するろ液を、不活性ガス雰囲気下または通常の雰囲気条件で100〜約160℃の範囲の温度でさらに15分〜約8時間の範囲の期間加熱する。一般に使用される典型的条件は、不活性ガス雰囲気、例えば窒素下で、135℃で2時間である。この段階では油を滅菌し、さらに、存在する任意のタンパク質/群を変性させる。熱交換器を使用して適切な温度に冷却した後に、油を再度ろ過して、存在する可能性がある任意の残留沈殿タンパク質および/または真菌微粒子を除去する。この油を20およびまたは200リットルの医薬品等級の保存用ドラム内にパッケージする。油からの生物活性化合物の抽出に関しては図1を参照のこと。
【0050】
植物種子、ナッツ油または動物起源でない他の脂質供給源の場合、接種およびインキュベーション後の真菌を含有する脂質基材/群を細かく刻み、または砕いた後にスクリュープレスを使用して冷却圧縮してよく、そしてスクリュープレス由来の油を遠心分離およびろ過する。この油を不活性ガス雰囲気下または通常の雰囲気条件で100〜約160℃の範囲の温度でさらに15分〜約8時間の範囲の期間加熱する。一般に使用される典型的条件は、不活性ガス雰囲気、例えば窒素下で、135℃で2時間である。この段階では油を滅菌し、さらに、存在する可能性がある任意のタンパク質/群を変性させる。熱交換器を使用して適切な温度に冷却した後に、油を再度ろ過して、任意の残留沈殿タンパク質および/または真菌微粒子を除去する。この油を20およびまたは200リットルの医薬品等級の保存用ドラム内にパッケージする。圧搾器由来のケーキを、例えばヘキサン、イソヘキサン、ペトロリウムスピリット、メタノール、イソプロパノール、プロパノール、エタノールおよびジエチルエーテルから選択される一定の種類の一般的な溶媒を使用して溶媒抽出する。そしてこの溶媒を蒸発によって除去し、将来の使用のために回収する。使用される技術は植物油工業において標準的である。そして得られた油を動物性基材に関して記載されるように処理する。
【0051】
そして上記過程から得られた油を種々の温度で溶媒抽出に付してよい。この場合、典型的に1種またはそれ以上の以下の溶媒を使用する:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、軽ペトロリウムスピリット、ブタノール、アセトンおよびアセトニトリル。この手順は、質量または容量ベースで1/1または2/1の溶媒対油比で油を混合し、そして20℃〜−40℃の温度範囲にわたって30分〜24時間までの期間冷却することを含む。この溶媒をデカントし、または捨て、必要であれば生物活性分子含有物を遠心分離し、蒸発乾燥して抽出物を得る。典型的条件では、油100gをメタノール100gと十分に混合し、0℃で16時間保持し、そして必要であれば遠心分離し、実験室規模で回転式フィルム蒸発装置を使用して溶媒抽出する。生じた残留物は生物活性化学物質を含有する。再利用のために溶媒を回収すべきであろう。
【0052】
投与形式:
発明対象の医薬組成物では、剤形が種々の放出形式を兼ね備えることが可能である。この放出形式には、非限定的に、即効性、持続放出、パルス放出、可変放出、制御放出、持効性、徐放、遅延放出、長時間作用性、およびその組み合わせが含まれる。即効性、持続放出、パルス放出、可変放出、制御放出、持効性、徐放、遅延放出、長時間作用性特性およびその組み合わせの取得は、通常の当業者が利用可能な周知の手順および技術を使用して実施することができる。放出特性を取得するためのこれらの各具体的技術または手順は当業者に周知である。本明細書中で使用される「制御放出形式(剤形)」とは、少なくとも1成分が制御放出用に製剤化されている任意の形式(剤形)を意味する。本明細書中で使用される「即効性形式(剤形)」とは、少なくともいくつかのその医薬活性成分が即時放出用に製剤化されている任意の形式(剤形)を意味する。
【0053】
種々の投与経路が利用可能であり、経路の選択は処置対象の具体的症状および治療効力に必要な用量(投与)に依存する。本発明の方法および組成物では、任意の投与様式が許容され、この様式には、経口、経直腸、局所、鼻腔、経皮または非経口(例えば皮下、筋肉内および静脈内)経路が含まれる。
【0054】
発明の対象は任意の生物学的に許容される剤形およびその組み合わせを意図する。このような剤形の例には、非限定的に、チュアブル錠、高速溶解錠剤、発泡(effervescent)錠、再組成用粉末剤、エリキシル剤、液状剤、溶液剤、懸濁液剤、乳剤、錠剤、多層錠、二層錠、カプセル剤、軟(ゼラチン)カプセル剤、硬(lard)(ゼラチン)カプセル剤、カプレット、トローチ剤、チュアブルトローチ剤、ビーズ、粉末剤、顆粒剤、粒子、微粒子、分散性顆粒剤、カシェ剤、圧注、坐剤、クリーム剤、ローション剤、局所用剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、デポーインプラント、摂取剤(ingestibles)、注射剤、注入剤、機能性食物およびその組み合わせが含まれる。上記投与剤の調製は当業者に周知である。一般に、各投与剤はあらかじめ定められた量の活性成分を1種またはそれ以上の適切な成分を構成する担体と併せて含有するであろう。
【0055】
非経口投与に適した組成物は、既知の方法にしたがって適切な分散剤および懸濁化剤を使用して製剤化された活性成分の滅菌水性調製物を含むのが好都合である。滅菌注射用調製物は、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒(例えば水、等張性塩化ナトリウム溶液)中で溶液または懸濁液として製剤化してよい。また滅菌固定油を溶媒または懸濁培地として使用することができる。
【0056】
典型的な用量は0.01mg〜1000mg/キログラムから選択される。1日を通じて数回の投与が必要であろう。すなわち5mLの投与量で5mL〜20mL/日の油を投与する。また初期の日用量が30または40mlの純粋な油であることも典型的である。1日当たり複数回の投与によって活性成分の適切な全身性レベルを達成することが意図される。治療用組成物の製剤化は当業者に周知である。適切な製薬的に許容される担体および/または希釈剤には、任意およびすべての慣用溶媒、分散媒、賦形剤(fillers)、固形担体、水性溶液、コーティング、等張液および吸収遅延剤等が含まれる。このような製剤および製剤化はRemingtons's Pharmaceutical Sciences (18th Edn), Mack Publishing CO, Pennsylvania, USAに記載されている。
実施例
【実施例1】
【0057】
A)生物活性油を使用する局所用薬物の調製
局所適用のためのクリーム剤の例を以下のプロトコルにしたがって調製した:
製剤例1
【0058】
製造手順
1.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
2.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
3.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
4.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
5.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
6.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
7.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
8.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験(challenge testing)後に保存剤量の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0059】
製剤例2
【0060】
製造手順
9.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
10.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
11.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
12.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
13.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
14.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
15.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
16.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0061】
製剤例3
【0062】
製造手順
17.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
18.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
19.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
20.B相をA相に加え、15分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
21.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
22.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
23.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
24.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤量の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 945、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0063】
製剤例4
【0064】
製造手順
25.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
26.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
27.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
28.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
29.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
30.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
31.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
32.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0065】
製剤例5
【0066】
製造手順
33.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
34.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
35.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
36.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
37.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
38.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
39.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
40.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0067】
製剤例6
【0068】
製造手順
41.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
42.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
43.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
44.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
45.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
46.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
47.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
48.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0069】
製剤例7
【0070】
製造手順
49.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
50.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
51.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
52.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
53.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
54.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
55.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
56.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0071】
製剤例8
【0072】
製造手順
57.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
58.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
59.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
60.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
61.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
62.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
63.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
64.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(e)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0073】
製剤例9
【0074】
製造手順
65.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
66.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
67.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
68.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
69.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
70.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
71.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
72.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0075】
製剤例10
【0076】
製造手順
73.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
74.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
75.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
76.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
77.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
78.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
79.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
80.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0077】
製剤例11
【0078】
製造手順
81.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
82.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
83.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
84.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
85.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
86.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
87.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
88.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【実施例2】
【0079】
B)生物活性油を含有する経口製剤:
1.0.1%酢酸トコフェロールを含有する油約0.9gを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ハードゲルカプセル(0.95mL)。
2.マカデミア油または同等物中に分散された油0.50gを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ハードゲルカプセル(0.95mL)。
3.100μL〜1.0mLの油を含有し、必要であれば0.1%抗酸化剤が添加されているゼラチンまたは同等のポリマー製ソフトゲルカプセル(100μL〜1.0mL容量)。
4.必要であれば抗酸化剤および別の油、例えばマカデミア油、ダイズ油または同等物を含有する油由来の抽出物10mg〜1000mgを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ソフトゲルカプセル(100μL〜1.0mL容量)。
5.上記3および4と同様のソフトゲル坐剤。
6.他の油、例えばオリーブ、マカデミアおよび香味、例えばキイチゴ、イチゴ、バナナが添加され、必要であれば抗酸化剤が添加されている油および抽出物製シロップ剤およびローション剤。スプーンまたはシリンジによって投与する。
7.油5.0mLをスプーンまたはシリンジによって経口投与する。
【実施例3】
【0080】
C)種々の動物および植物油およびその抽出物の生物学的活性を分析するために使用されるin vivoラットモデルでの試験手順
1.アジュバント誘発多発性関節炎を発症しているラットにおいて抗炎症性効力を測定した。関節炎が最初に発症した時点から試験薬剤を経皮または経口投与した。低用量ステロイドとの相乗的活性を以下のラットにおいて測定した:i)完全に確立されたアジュバント関節炎を伴うラットまたはii)0.5mgザイモサン(生理食塩水0.2mL中)を注射し、そして急性浮腫が(ヒスタミン/セロトニン放出に関連する)ピークに達するまで3時間待ち、残留する足膨潤を21〜45時間後に測定することによって誘発された慢性足浮腫を伴うラット。経皮投与では、油を0.15容量のシネオールで希釈して皮膚浸透を促進し、剪毛された背側の皮膚(6cm2)に1日1回短時間こすりつけて適用した。(以下の表1および2を参照のこと)。
【0081】
2.同時関節炎原性(co-arthritigenic)活性をダークアグーチ(Dark Agouti)ラットにおいて測定した。この測定はまず試験用油(10mg/kg)中に細かく砕かれた加熱死菌のMycobacterium tuberculosis(結核菌)を分散させ、次いで0.1mLを雌性ダークアグーチラットの尾の基部内へ注射することによって行った。関節炎の徴候を15日目に記録した。エミュー油由来の抽出物の取得は、等しい質量の油およびメタノールを混合し、次いで低温室またはフリーザー中に0℃で少なくとも12時間保存し、液層をデカントし、回転式フィルム蒸発装置を使用して溶媒を蒸発させることによって行った。フラスコ中に残存する残留物は抽出物を含有する。これらの抽出物をまずホホバマメ油(jojoba bean oil)に溶解し、ホホバマメ油中で新たに調製された等しい容量のMycobacterium tuberculosisの分散物(10mg/ml)で希釈した。(以下の表3を参照のこと)。
【0082】
3.胃保護活性を以下のラットにおいて確認した:a)疾患ストレスを受けている(未処置)多発性関節炎の雌性ダークアグーチまたはウィスター(Wistar)ラットおよびb)一晩絶食され、コリン作動薬である、メタコリン塩酸塩(5mg/kg i.p.)を注射された正常なダークアグーチまたはウィスターラット。ボルテックス(Vortex)ホモジナイザーを使用して試験材料を0.04%v/vのTween-20で乳化し、次いでガストロトキシンとして使用されるOTCイブプロフェン(NUROFEN)55mg/kgの分散物と同時投与した。2.5時間後に胃を取り出し、生理食塩水中で短時間すすぎ、胃粘膜の巨視的な出血性損傷の数および重症度をスコアした。(以下の表4および5を参照のこと)。
【0083】
4.ラットにおけるザイモサン誘発性足浮腫の抑制に関するエミューおよびマカデミア油とコルチコステロイドの相乗的活性。ザイモサン0.5mgを各後ろ足内へ注射した3時間後に、Tween-20中のP=プレドニゾン2.5mg/kgまたはD=デキサメタゾン0.1mg/kgを加えた油全体、または抽出物の1回の処置量を経口投与した。データはオリーブ油のみで処置されたコントロールと比較された足膨潤の相対的減少であり、阻害パーセントとして示される。(以下の表6を参照のこと)。
【0084】
5.in vitro試験用に、低温での溶媒抽出または固相抽出を通常の実験室手順にしたがって使用して油を処理し、大部分のトリグリセリドを除去した。in vivo試験用に、この油を22℃でろ過して、重量基準で5〜45%で変動する固形物を除去した。例外的に、0.1容量のn−オクタノールまたは0.5容量までのミリスチン酸イソプロピルで堅いサンプルを希釈して、その「液化」を支援した。これらの溶媒は記載されるアッセイに関して不活性な媒体である。
注記:使用されるすべてのMycobacterium tuberculosisは、細かく砕き、加熱して死滅させて使用する。
【0085】
結果
1.ウィスターラットの尾の基部にスクアレン0.1mL中のMycobacterium tuberculosis 0.8mgを注射した(0日目)。生物活性油での処置は以下の様式で行った:
A)10〜13日目に単独で経皮投与(4ラット/gp)または
B)15〜17日目にプレドニゾン(2.5mg/kg)とともに経口投与(3ラット/gp)。
【0086】
関節炎の徴候の変化を以下に示す。体重(重量)が増加すれば良好であり、減少すれば毒性の可能性を示す。関節炎のスコアが低いほど良好である:
注記:油の情報に関してはクロマトグラム番号および加工条件を含有する表6を参照のこと。
【0087】
表1〜8の各サンプルに関する加工条件およびクロマトグラフを表11にまとめる。対応するクロマトグラムには1〜32の番号を付する。例として、表3のエミュー−type 2の油の取得は、表11の第4行に記載の加工条件にしたがって行った(サンプルコードType 2)。このサンプルの生物学的活性はクロマトグラム4に示される。
表1.
【0088】
【表1】
表2.
【0089】
【表2】
【0090】
表3:いくつかのエミュー/他の油の関節炎原性活性
細かく砕かれた加熱死菌のM. tuberculosis(10mg/mL)と油を混合し、0.1mLを雌性ダークアグーチラットの尾の基部内へ注射した。
【0091】
ホホバマメ油での分散物は終濃度5mg/mLのM. tuberculosisしか含有しなかった。15日目に3ラットからなる群に関して関節炎の徴候をスコアした。
【0092】
【表3】
【0093】
表4/5:ラットにおけるいくつかのエミュー油の胃保護活性
0.04%v/vのTween-20を用いて調製された試験用乳剤=0.4mLの油/kgとともに胃刺激物=55mg/kgのイブプロフェンを一晩絶食させた動物に経口投与した。この場合、メタコリンのi.p.投与を伴うか、または伴わない。
【0094】
A.疾患ストレス状態の、(15日目に、または15日より後に)完全に発症した多発性関節炎を伴う雌性ウィスターまたはダークアグーチラットにおける実験。メタコリンなし。
表4:
【0095】
【表4】
【0096】
B.ベータ−メタコリン(ウィスターラットでは5mg/kgまたはダークアグーチラットでは8mg/kg)で刺激された正常ラットにおける実験。
表5:
【0097】
【表5】
【0098】
表6:ラットにおけるザイモサン誘発性足浮腫の抑制に関するエミューおよびマカデミア油とコルチコステロイドの相乗的活性。
【0099】
ザイモサン0.5mgを各後ろ足内へ注射した3時間後に、Tween-20中のP=プレドニゾン2.5mg/kgまたはD=デキサメタゾン0.1mg/kgを加えた油全体、または抽出物の1回の処置量を経口投与した。データはオリーブ油のみで処置されたコントロールと比較された足膨潤の相対的減少であり、阻害パーセントとして示される。
【0100】
【表6】
【実施例4】
【0101】
D)いくつかの諸油サンプルのin−vitro LOXアッセイ
好中球5−リポキシゲナーゼ経路
【0102】
概要
アラキドン酸は以下の2つの主要な経路によってエイコサノイド(またはプロスタノイド)に変換される:ロイコトリエン形成を生じさせる5−リポキシゲナーゼ経路、およびプロスタグランジンおよびトロンボキサン形成を生じさせるシクロオキシゲナーゼ経路。これらの両経路の、すべてではないがいくつかの産物は強力な炎症誘発性を有する。例えば、LTB4は非常に強力な走化性物質であり、またそのペプチド代謝産物である、元来は「アナフィラキシーの遅反応性物質」またはSRS−Aとして知られていたLTC4、LTD4およびLTE4は強力な気管支収縮物質である。
【0103】
多数の現在使用されている抗炎症剤、特に非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)はシクロオキシゲナーゼ経路を阻害することによって機能する。最近では、リポキシゲナーゼ経路の阻害剤または両経路をブロックする二重阻害剤の開発に焦点を合わせた相当の努力が世界中で施されている。
【0104】
これらの細胞の5−リポキシゲナーゼ経路の主な段階を図3に示す。この経路では、ホスホリパーゼA2(PLA2)の作用を介して膜リン脂質からアラキドン酸(AA)が放出される。そしてこのAAは当経路の第一の酵素−5 リポキシゲナーゼの基質である。この酵素は基質を5−ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸(5−HPETE)に変換する。次いで5−HPETEは酵素的に変換され、グルタチオンペルオキシダーゼによって5−ヒドロキシエイコサテトラエン酸(5−HETE)になるか、あるいはLTA4シンターゼによってロイコトリエンA4(LTA4)になる。次いでLTA4は非酵素的にLTB4のオールトランス異性体に変換されるか、あるいはLTA4加水分解酵素によってロイコトリエンB4(LTB4)に加水分解される。ヒトPMNによるLTB4のそれ以上の代謝は認められない。一方、他の細胞、例えば好酸球はそれを強力な血管収縮剤であるペプチド−ロイコトリエン、SRS−Aに変換する。
【0105】
リポキシゲナーゼ経路(ロイコトリエンおよびHETE)アッセイ
HPLCアッセイでは、5−HETE、12−HETE、LTB4、およびLTB−4の2種のオールトランス−異性体が容易に定量化でき、したがって好中球の5−リポキシゲナーゼにおける酵素の相対的活性に関する定量的データ、ならびに血小板の12−リポキシゲナーゼ経路に関するデータが得られる。したがってこれは前記経路の阻害剤候補を試験するために理想的な系である。
【0106】
阻害化合物の効果を単離されたヒトPMNおよび血小板に関して試験してよい。この場合、経路はPMNまたは血小板をアラキドン酸およびカルシウムイオノフォアA23187で処理することによって活性化される。アラキドン酸を加えると、PLA−2段階が排除され、またこの経路に関する高レベルの基質が提供される。さらにまた、前記活性化は経路を最大に駆動させてすべての代謝産物の最大合成を生じさせることが既知であり、ゆえにまたこの活性化は阻害に対する感受性が最も低い。したがって、この様式で活性化された経路を実際に阻害する化合物は強力な阻害剤候補である。
【0107】
試験サンプルの調製
すべてのサンプルをエタノールに溶解して10mg/mLの原液を得た。各原液をさらに希釈して、エタノール中の5および1mg/mLの2種の希釈物を作成し、合計で10種の試験サンプルを作成した。
【0108】
各希釈原液10μLをハンクスバッファー(Hank's Buffer)中のPMN懸濁液1000μLに加えて、分析に必要な最終試験濃度5、10および50ug/mLにした。
【0109】
ヒト好中球(PMN)の調製
1.正常なボランティアから100mLまでの血液を採取し、EDTAで抗凝固処理した。水中の4.5%EDTA2mLを各10mLの血液と混合した。
2.さらに2mLの6.0%デキストランT500(Dextran T500)を上記1の各12mLの混合物に加え、37℃の水浴中に置いて赤血球を沈降させた。
3.上記2の沈降後、上清を密度1.070のパーコール(Percoll)5mL上に慎重に重ねた。次いでこれを500gで35分間で回転させた。
4.パーコール界面下のすべての細胞(PMNおよび残留RBC)をプラスチックピペットで除去し、Ca2+/Mg2+を含まないダルベッコ(Dulbecco's)リン酸バッファーで少なくとも3倍希釈し、600gで10分間遠心分離した。
5.上記4の後、上清を慎重に吸引し、ペレットを1ml使い捨てプラスチックピペット内へ吸引/脱吸引することによって1mLのCa2+/Mg2+を含まないダルベッコリン酸バッファーと穏やかに混合した。次いでさらに40mLのCa2+/Mg2+を含まないダルベッコリン酸バッファーを加え、反転によって混合した。次いでこの細胞懸濁液を600gで10分間遠心分離した。
6.遠心分離後、上清を除去し、PMNペレットを10mLの0.2%冷塩化ナトリウム溶液で20秒間溶解し、次いで10mLの1.6%冷塩化ナトリウム溶液を加え、600gで10分間遠心分離した。
7.上記6の後、PMNペレットを1mL使い捨てプラスチックピペット内へすばやく吸引/脱吸引することによって1mLのハンクスバッファーと強く混合し、そして最終的に、ロイコトリエンアッセイ用の調製物において、ハンクスバッファー中に2.4x106PMN/ml(コールターカウンター(Coulter counter)を使用して測定)で懸濁した。
【0110】
ロイコトリエン経路の活性化
1.1mLのPMN懸濁液(2.4x106PMN/ml)を13mLガラス管(クロム酸洗浄済)へ移し、37℃の水浴中に置き、5分間予熱した。
2.予熱後、0時点で、メタノール中の各試験化合物10μL(またはコントロールである同容量のメタノール)を4つの試験管に20秒間かけて加えた。
3.5分の時点で、5mLの2mMアラキドン酸(最終10μM)を加えた(4試験管/20秒)。
4.10分の時点で、5mlの1mMカルシウムイオノフォア(A23187)(最終5μM)を加えた(4試験管/20秒)。
5.15分の時点で100μLの100mMクエン酸を加えることによって反応を停止させた。これにより水相のpHは3未満に低下する。これは有機相内へロイコトリエンを抽出するのに必要である。
6.いくつかのサンプルのpHを検査し、pH<3.0を確保した。(重要である)。
7.各試験管にそれぞれLTB4および5−HETEに関する内部標準として40ngのプロスタグランジンB2および166ngの15−HETEを加え、サンプルを混合した。
8.検量線用に、1mLのPMN、100μLの100mMクエン酸および40ngのPGB2および166ngの15−HETEを含有する試験管にLTB4[1ng/μl](0〜50ngの範囲の検量線に関して)および5−HETE[5ng/μL](検量線範囲0〜250ng)を加えた。
9.すべての試験管をボルテックスにかけた。
10.5mLのクロロホルム/メタノール(7:3)を加え、試験管を30秒間強くボルテックスにかけ、そして2000rpmで10分間遠心分離した。
11.約3.5mLの下部クロロホルム層(抽出されたロイコトリエンおよびヒドロキシ酸(HETES)、ならびに内部標準を含有する)を3mLホウケイ酸ガラス管に移し、クロロホルムをSavant遠心蒸発装置中、減圧下、室温で蒸発させた。
12.サンプルを100μLのLTB4移動相中で再組成し、ボルテックスにかけ、そして注射用のWaters低容量挿入物(通常<25μl)に移した。
13.HPLCをLTB4条件用に設定し、すべてのサンプルをLTB4およびLTB4のオールトランス異性体に関してアッセイした。
【0111】
ロイコトリエンおよびヒドロキシ酸に関するHPLCアッセイ
移動相
LTB4アッセイ:70%メタノール/30%H2O/0.08%酢酸(水酸化アンモニウムでpH6.2に調節)。
5−HETEアッセイ:80%メタノール/20%H2O/0.08%酢酸(水酸化アンモニウムでpH6.2に調節)。
【0112】
HPLC条件
波長:270nm(LTB4)、234nm(5−HETE)
分析:Water's Millenium
流速:1mL/分
カラムおよびガードパック(Guard Pak):C18 Nova Pak
【0113】
LTB4アッセイ
保持時間
プロスタグランジンB2−4.6分
6−トランス−ロイコトリエンB4−6.6分
6−トランス−エピ−ロイコトリエンB4−7.4分
ロイコトリエンB4−8.7分
【0114】
LTB4およびその6−トランス異性体の正式な化学名
ロイコトリエンB4:(5S,12R)−ジヒドロキシ−(Z,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
6−トランス−ロイコトリエンB4:(5S,12R)−ジヒドロキシ−(E,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
6−トランス−12−エピ−ロイコトリエンB4:(5S,12S)−ジヒドロキシ−(E,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
【0115】
5−HETEアッセイ
保持時間
15−HETE−6.3分
5−HETE−8.5分
正式な化学名
15−HETE:15(S)−ヒドロキシ−(Z,Z,Z,E)−5,8,11,13−エイコサテトラエン酸
5−HETE:5(S)−ヒドロキシ−(E,Z,Z,Z)−6,8,11,14−エイコサテトラエン酸
ロイコトリエン合成に関するエミュー油メタノール抽出物および純粋な12−メチルテトラデカン酸(12−MTA)の効果
(メタノールコントロールについてのパーセントとして示す)
表7
【0116】
【表7】
*抽出前に、高速撹拌しながら、135℃で加熱された油に高速の窒素ガスを2時間通すことによって元の油サンプルを処理し、揮発性化合物を除去した。
ロイコトリエン合成に関するエミュー油の脂肪酸メチルエステル、真菌の接種およびインキュベーションによって製造されたエミューおよびダチョウ油のメタノール抽出物の効果
(メタノールコントロールについてのパーセントとして示す)
表8
【0117】
【表8】
*エミュー油サンプルA、クロマトグラム1の脂肪酸メチルエステル(FAME)。
【0118】
結果および考察
データは表中の全3サンプルが5−LOZ経路の強力な阻害剤であったことを示す。20μg/mLの低用量で100%阻害を示した12−メチルテトラデカン酸とデータを比較する。
【0119】
表8のサンプルではFAMEサンプルが最も低効率であった。一方、エミュー油−WBおよびダチョウ油サンプルは表7の3サンプルと同等である。これにより生物活性油の製造過程は種々の脂質基材等を使用して再現可能であろうことが確認される。
【実施例5】
【0120】
E)油サンプルのIn−vitroプロスタグランジンPGE2(COX経路)アッセイ
本アッセイは、Cayman chemicalsのプロスタグランジンE2EIAキットモノクローナル(EIA Kit Monoclonal)をキットプロトコルにしたがって使用して実施した。各サンプルを3種の希釈率で2通りにアッセイした。表9から理解されるように、アスピリン(50μM)に対するPGE2応答の阻害はコントロール値の約72.6%であった。具体的には、この2種のサンプルは、試験条件下でアスピリンと同等またはそれ以上にマウス線維芽細胞セルラインから分泌されるPGE2の用量依存的阻害を生じさせた。
表9.油抽出物に曝露された3T3細胞から分泌されるPGE2の阻害パーセント
【0121】
【表9】
【実施例6】
【0122】
F)治療活性についての例
1)7年間潰瘍性大腸炎を患っている患者は慢性の下痢および日常的な直腸出血を経験していた。患者は5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取した。潰瘍性大腸炎に関連するすべての肛門の出血は2か月後に消失した。該患者は真菌によって誘導された生物活性ダチョウ油にも応答している。
【0123】
2)腸および十二指腸潰瘍を原因とする慢性痛を患っている患者は5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取し、痛みが止んでいる。また患者は自身の不安定型糖尿病がインシュリンに対してより応答性になり、必要な用量が減少したことを観察した。
【0124】
3)患者は5年前にクローン病と診断され、持続性の腹痛、下痢または便秘、直腸出血、冷や汗および嗜眠を患っていた。数週間にわたり5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取した。その後、該患者のクローン病は緩解し(これは医学的試験によって確認されている)、もはや腹痛、下痢または便秘はない。
【0125】
4)患者は乳癌と診断され、ランペクトミー、放射線および化学療法を受けた。真菌によって誘導された生物活性油から製造されたクリーム剤を1日3回局所適用した。これにより乳房の痛みおよび炎症が減少した。
【0126】
5)患者は10年の軽度〜中度の喘息歴を有する54歳のコーカサス人男性である。この喘息は1日2回の400ugのベクロメタゾンおよび必要な場合にはサルブタモールまたはturbutamine気管支拡張剤吸入器を用いて抑制されていた。これは冬季感染後のウイルス誘発性喘息を抑制するのに不適切であり、この場合、慢性喘鳴および咳嗽を許容レベルに減少させるには5mg/日の経口プレドニゾンが必要であった。該患者に8g/日の真菌によって誘導された生物活性エミュー油を分割用量−朝および夜の各4g−で投与した。3週間以内にすべての喘息症状が減少し、エアロゾルステロイドの休止後も改善が継続した。油を適用して2か月後、他の投薬を行わずに4g/日の油を用いて患者のすべての喘息症状が抑制された。加えて、油の投与により、患者の胃液逆流に対するLOSEC摂取の必要性が減少している。
【0127】
6)患者は51年の慢性喘息(慢性気道狭窄(chronic airways limited)として分類される)歴を有する62歳の女性である。この喘息は10〜50mg/日の経口プレドニゾン、900mg/日のネブリン(neulin)によって抑制され、さらにベントリン/アトロベント吸入器(puffers)および噴霧器(nebules)を頻繁に使用して、慢性喘鳴および咳嗽を許容レベルに抑制する必要があった。該患者に6mlの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を分割用量−朝および夜の各3mL−で投与した。この用量の油を患者に11か月間適用し、これにより実質的に喘鳴雑音が排除され、咳嗽のレベルが減少しており、さらにプレドニゾンのレベルが5mg/日に減少している。また吸入器および噴霧器の使用が減少している。もはや胃液逆流に対するLosec摂取の必要はない。エミュー油を9mL/日、3回の3mL用量/日に増加させ、プレドニゾンをわずかに増加させて10mg/日にすることによって、すべての喘息発作を抑制することができる(ラットモデルによって確認されるようにこの油は相乗的にプレドニゾンの活性を増大させる)。この油の使用を開始して以来、患者の日常の生活スタイルは大きく改善されている。
【0128】
7)患者は23歳のユーラシア人男性患者であり、結腸鏡検査によって診断され、1日40mgのプレドニゾン、1日2グラムのメサラミンを処方されている。プレドニゾンは2週間毎に5mg減らされる。血液検査の結果を受け取った6週間後に、患者を入院させ、ヒドロコルチゾンIVを7日間投与すると、患者の体重は4kg減少し、投薬の結果生じた副作用として寛骨の頭部が死滅剥離し始めた。該患者に以下の入院後投薬(post-hospital medication)を処方する:
1日100mgのイムラン(4年の処置が予定される)
1日50mgのプレドニゾン(2週間毎に5mg減少)。
【0129】
その後、患者は5mlの油(バッチ365)を1日3回摂取し始め、そしてこの油の適用開始から1か月以内にすべての他の投薬を停止した。患者の医学的問題の重症度は減少し続けた。油の適用を開始して3か月後に、1日ティースプーン2杯の油(バッチ365)の抽出物を摂取するよう患者に指示した。そして患者は4か月慢性症状を経験していない。該患者の健康は改善し続け(消化器系、スタミナ、体力(fitness)等)、体重は5kg増加した。累積のC反応性タンパク質は6か月間にわたって65.1〜5.3mg/L、範囲(0.0〜5.0)mg/Lに減少した。この患者の結果を以下の表10にまとめる。
CRPおよびESRの結果
表10
【0130】
【表10】
表11
【0131】
【表11】
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1は、粗製油/ろ液から生物活性油を抽出する過程のフローチャートである。
【図2】図2は、本発明に記載の生物活性油を製造する過程のフローチャートである。
【図3】図3は、炎症誘発性ロイコトリエンを抑制する生物活性油によって影響される酵素経路の概要である。
【図4】図4は、ステロイドおよび生物活性エミュー油由来のリポキシゲナーゼ阻害剤(群)(LI)が協同して作用し、炎症誘発性ロイコトリエンを抑制することができる仕組みを示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質基材(lipid substrates)の真菌(菌類)による代謝/変換であって、ヒトおよび他の動物の疾患、障害または症状を処置または予防するための生物活性化学物質を含有する脂肪および特に油およびその抽出物を生産する代謝/変換に関する。
【背景技術】
【0002】
代替/相補医薬産業の発達およびある部分でその製品が「当てにならない」治療薬であると一般に認識されていることを受けて、この代替産業によって供給される製品が再現性のある効力を有し、かつ一般の人々による使用に関して安全であることを保証する差し迫った必要性が存在する。しかし、最近の報道機関および政府の規制当局による酷評のせいで、代替医薬が原材料の質および製造方法に関する厳格な指針を満たす絶対的な必要条件が存在する。代替医薬に伴う主要な問題の1つは、使用される成分が、ほとんどの場合、多数の異なる化学物質を含有するであろう材料からなることが多いことである。ゆえに、社会の使用に関する製品の効力および安全性を保証することに関する重大な問題が存在する。これらの製品の有効性についての知識が欠乏している主な理由の1つは、代替および相補医療産業は一般にこれらの製品が動物試験に付されていない事実を誇り、ゆえにその主張が検証できないことである。
【0003】
歴史的に、動物および植物油産業は世界中で最も古い部類に属し、ゆえに該業界において使用される手順は確立されている。加えて、産業上および医療上の適用が多数存在し、文献に詳細に記録されている。しかし、多数の油、例えばオリーブ、月見草油、アマニ油、(タラ)肝油およびエミュー油は種々の医学的症状および疾患を処置するために使用されるが、これらのタイプの製品に関する効力および安全性データの再現に関する問題に対して実質的にまったく注意が払われてこなかった。実際には、多種多様の多数の異なるタイプおよび群の動物および植物油についての過去13年の動物および化学試験期間中に、生物活性および化学組成に関する大きなバリエーションが観察されている。
【0004】
本領域では、動物性および植物性抽出物、特に油に基づく相補/代替医薬の信頼性を高めるために、当タイプの製品に関する効力および安全性データの再現性に関する品質管理が第一に取り組むべき事柄であるとますます認められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の目的
したがって本発明の目的は、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患および症状に関する治療活性および予防活性を有する生物活性化学物質を含有する動物および植物由来の油およびその抽出物を製造するための方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、任意の経路、例えば非限定的に、経口、口腔、舌下、経直腸、非経口、局所、吸入、注射および経皮、好ましくは経口または局所経路による投与用に製剤化された医薬組成物であって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害または症状にわたる効力を示す生物活性油および/またはその抽出物(治療用油およびその抽出物)を、製薬的に許容される賦形剤、担体または補助剤(アジュバント)とともに含む医薬組成物を提供することである。
【0007】
また本発明の目的は、本発明の方法にしたがって取得される生物活性油および/またはその抽出物を投与することによって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための方法を提供することである。
【0008】
また本発明の目的は、生物活性油および/またはその抽出物の脂肪酸エステルおよびアミドを投与することによって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための方法を提供することである。
【0009】
さらに別の本発明の目的は、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患および症状を処置または予防するための医薬製剤の製造に関する、生物活性油および/またはその抽出物の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
本発明は、植物および動物由来の油の質に関する変動の原因である主要な要因/群、すなわち脂質基材中および上で生育する真菌による脂質基材の変換、の同定に基づく。使用される脂質基剤は、動物および鳥類の脂肪(脂肪組織をカット/スライスすることによって取得)、植物組織、種子、ナッツ等から取得され、これらは(カット、押しつぶし等によって)適切に処理されている。本固相法によって生産される脂肪または油の質は、真菌のタイプおよび数、脂質基材、精製(rendering)、冷却(常温)圧縮、溶媒抽出または超臨界流体抽出前のインキュベーションの温度、湿度および長さ(時間)に依存する。したがって本発明の基礎は、真菌の制御された使用であって、脂質基材/群を変換して、生物活性化学物質を含有する油を固相法/群によって生産する使用に関する。処理および保存中の温度、酸素および光は何らかのささいな影響を有するかもしれないが、これらの要因よりも脂質基材を真菌に曝露することが諸治療用油の生物活性(効力)に関する主要な変動の原因であることが本発明者らによって確立されている。
【0011】
したがって本発明の第一の側面は、脂質基材から生物活性化学物質を含有する脂肪または油およびその抽出物を製造するための方法であって、以下の段階を含む方法を提供することである:
a)真菌の混合物を脂質基材に接種する段階、
b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、および
c)当該インキュベート後の基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【0012】
また種々の生物活性化学物質を含有する脂肪または油は、スライスされ、砕かれ、細かく刻まれ、または切り刻まれた調製済みの動物または植物性の脂質基材を単にインキュベートし、ならびに温度、時間および湿度を慎重に調節して上記段階2〜3を実施することによって製造してよい。
【0013】
本発明の関連の側面は、脂質基材から生物活性化学物質を含有する油およびその抽出物を製造するための固相法であって、以下の段階を含む方法を提供することである:
a)脂質基材に、該基材由来の真菌混合物又は、酵素活性を有する真菌混合物を接種する段階
b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、および
c)当該基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【0014】
段階b)では典型的にインキュベーション期間は、約5〜20℃の範囲の温度ならびに約80〜100%の範囲の高湿度で約7〜56日の範囲である。
【0015】
段階c)では、脂質基材が動物由来である場合、生成物は当該接種後の基材を精製することによって得られる生物活性油であるのが典型的である。あるいは、当該脂質基材が植物または種子由来である場合、生物活性油は当該接種後の基材混合物の冷却圧縮、溶媒抽出または超臨界流体抽出によって得られる。
【0016】
また、上記本発明の第一の側面の方法によって製造される場合の生物活性生成物、特に油が提供される。
【0017】
生物活性油および脂肪を製造するために実施する必要がある典型的な段階/手順は;保存状態の諸真菌株の純粋な培養を有していると仮定すれば、以下に挙げるものである:
1.滅菌された脂質基材(例えば動物または植物性脂質)に適切な真菌混合物を接種する;
2.上記混合物を所定の温度範囲、期間および湿度でインキュベートする;
3.上記混合物を精製する;
4.段階3で得られた精製混合物を遠心分離する;
5.遠心分離段階から得られた油をろ過する;
6.油を135℃で2時間滅菌する;
7.滅菌後に油をろ過する;
8.油を保存する;
9.必要であれば油を抽出する。
【発明の効果】
【0018】
これは生物学的過程であり、いくらかの変動が間違いなく生じるが、上記手順を繰り返せば、生産される油は実験誤差の範囲内で再現可能である。
【0019】
また上記油または脂肪は、スライスし、砕き、細かく刻み、または切り刻むことによって動物または植物性の脂質源を単純に調製し、その後、必要性に応じて打ち抜き孔を有するか、あるいは有さないポリマーまたはステンレス鋼のトレイに置き、その後上記段階2〜9を実施することによって製造することができる。この段階は、単に、脂質基材の代謝/変換を生じさせるための温度、湿度および時間の調節を含む。
【0020】
細菌はこの変換過程に関与しない。いかなる理論に拘束されることも望まないが、真菌は脂質細胞壁に浸透し、細胞内で脂質を変換/代謝する酵素を分泌するようである。いくつかの代謝産物は脂質細胞から媒質中に放出され、一方別のいくつかは真菌によって吸収されて内部的にさらに変換され、そこで保存されるか、あるいは細胞から分泌される。
【0021】
脂質基材の接種に使用される、真菌由来の脂肪分解酵素の供給源である真菌混合物は、無傷の/完全な真菌生物体、純粋な真菌、単一の真菌または混合された真菌、活性なその酵素抽出物、遺伝子改変生物体または修飾された酵素であってよい。本発明の方法では、脂質基材を変換して、広範囲のヒトおよび動物の疾患を処置するのに適した生物活性化学物質を含有する脂肪または油にする。周知のように、油およびその抽出物を製造する本方法を使用すれば、遊離脂肪酸、モノおよびジグリセリドの量が濃縮される。例えば何らかの動物および植物油中の総遊離脂肪酸のレベルは14%に増加するか、あるいはそれを超える。油およびその抽出物中に認められる化合物は相乗的に作用して、ヒトおよび動物において広範囲の疾患および症状を処置するための所望の生化学的作用を提供する。
【0022】
典型的に脂質基材は陸生または海洋起源の動物または植物性供給源から選択することができ、あるいは基材は、無機および有機の修正物が補充された人工基材上へ浸透された脂質またはその抽出物から構成され得る(Waller et al 2002,「植物病理学者ハンドブック第3版(Plant Pathologists Pocketbook 3rd Edition)」, CABI, New Yorkを参照のこと)。動物性脂質の供給源には、オオトカゲ、ヒツジ、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、ラクダ、アヒル、ガン、ブタ、ウシ、ウマ、マトン鳥類(mutton bird)、ナマコ、魚類および甲殻類、例えばイガイ(イシガイ)が含まれる。植物油の供給源には、マカデミア種(macadamia sp)、Canarium spp、ピーナッツ、ヒマワリ、ベニバナ、アマニ、ダイズ、コムギ、カラスムギ、オオムギ、アーモンド、アボカド、カシュー、クアンドン、トウモロコシ、ワットル、オリーブ、ヤシおよびコメの種子/ナッツが含まれる。他の野菜/植物/種子性供給源には、ココナツ、ピリナッツ(pili nut)、ガリナッツ(ngali nut)、タマヌナッツ(tamanu nut)、ニーム種子、ゴマおよびカノーラが含まれる。
【0023】
典型的に、脂質基材上に接種される真菌は該基材から単離されたものであり(すなわち脂質基材に内因的であり)、宿主脂質基材中に見出せる特定または類似の基材を変換することが認められている。このような真菌は典型的に有性および無性状態のZygomycotina、AscomycotinaおよびBasidiomycotina門に認められる。したがってこれは無性状態の主要な門である不完全菌類(Deuteromycetes)の真菌を含むことが理解される。また脂質基材を変換することが典型的に認められる真菌には、Phoma sp、Cladosporium sp、Rhodotorula mucilaginosa、Cryptococcus albidus、Trichosporon pullulans、Mucor spp、Epicoccom purpurescens、Rhizopus stolonifer、Penicillium chrysogenum、Nigrospora sphaerica、Chaetomium globosumが含まれる。変換能を示すか、あるいはその潜在能力を有する真菌を従来技術または分子遺伝学的技術によって典型的に改良して、真菌遺伝子型を変更してよい。
【0024】
基材には、さらにまたは代わりに、真菌由来の酵素を接種してよい。典型的にこれらの酵素は真菌に内因的であるが、代替の供給源または遺伝子改変された単離体から開発することもできる。また該酵素を精製してよく、物理的、化学的、分子的または他の技術を使用してその構造を変化させることによってその活性を増大させてよい。
【0025】
典型的には、脂質基材を滅菌し、そして1種またはそれ以上の真菌またはその酵素を必要に応じて接種する。この基材をスライスし、細かく刻み、切り刻み、または砕いて、ステンレス鋼のトレイであってよい表面上の典型的に0.5〜10cmの範囲の層中で拡散することを可能にしてよく、あるいは基部に孔をあけて、酸素が下部表面へ入り、油が基材から落ちて適切な容器または同等の系に回収されることを許容してよい。接種には標準的手順(Waller et al 2002を参照のこと)を使用する。この手順には、滅菌水に懸濁された真菌胞子を脂質表面にスプレーまたは塗布することが含まれる。そして典型的に約7日〜約120日の範囲、より典型的には約7〜63日、または約7〜56日、または約7〜42日、または約7〜35日の範囲の期間、基材をインキュベートする。さらにより典型的には、約7〜28日または約7〜21日の範囲および最も典型的には14、21、28、35、42、56、および63日の範囲の期間、基材をインキュベートする。接種後の脂質基材を4〜35℃の範囲、典型的には約5〜20℃の範囲の温度、および80〜100%の範囲、典型的には95%の相対湿度でインキュベートする。
【0026】
インキュベーション後に、真菌を含有する、変換または代謝された基材を含む動物性脂質基材を細かく刻み、または砕き、そして精製過程の前にステンレス容器へ移す。典型的に本過程は、一定の緩徐な速度で撹拌しながら脂質基材が融解して油になるまで40〜80℃の範囲、典型的には約70〜75℃の範囲の温度で精製することを含む。そしてこの油を典型的に遠心分離および濾過し、そしてさらに抽出することができる。そして生物活性油を含有するろ液を典型的に約15分〜約8時間の範囲、より典型的には約1時間〜6時間の範囲、さらにより典型的には約1時間〜4時間の範囲の期間加熱することによってさらに滅菌する。典型的には、約100〜160℃の範囲、より典型的には約110〜150℃の範囲およびさらにより典型的には約120〜140℃の範囲、最も典型的には約130〜135℃の温度にろ液を加熱する。
【0027】
植物種子、ナッツ油または動物起源でない他の脂質供給源の場合、接種およびインキュベーション後の真菌を含有する脂質基材/群を細かく刻み、または砕いた後にスクリュープレスを使用して冷却圧縮してよく、そしてスクリュープレス由来の油を遠心分離およびろ過する。そしてこの油を典型的に約15分〜約8時間の範囲、より典型的には約1時間〜6時間の範囲、さらにより典型的には約1時間〜4時間の範囲の期間加熱することによって滅菌する。典型的にこの油を約100〜160℃の範囲、より典型的には約110〜150℃の範囲およびさらにより典型的には約120〜140℃の範囲、最も典型的には約130〜135℃の温度に加熱する。そして得られた油を動物性基材と同様に処理する。
【0028】
そして上記過程から得られた油を溶媒抽出に付してよい。溶媒抽出は典型的に質量または容量ベースで1/1または2/1の溶媒対油比で油を混合し、次いで0℃〜−40℃の範囲の温度で30分〜24時間の期間、典型的には0℃で16時間冷却することを含む。溶媒をデカントし、または捨て、必要であれば内容物を遠心分離し、そして蒸発乾燥して抽出物を得る。生じた残留物は生物活性化学物質を含有する。
【0029】
また上記過程由来の油または抽出物(油およびその抽出物の化学処理によって得られる任意の誘導体を含む)を以下の過程に付して、特定フラクションまたは化学物質を得てよい:
(1)高速液体クロマトグラフィ、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(2)超流動体クロマトグラフィ(super fluid chromatography)、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(3)薄膜分子蒸留装置または蒸発装置(例えばPope)、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(4)薄膜蒸発装置および分別蒸留カラムを内蔵するハイブリッド蒸留装置。
(5)分子蒸留プラントまたは(3)、(4)および(5)における上記項目の任意の組み合わせ、使用される実験的条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
【0030】
本発明の第二の側面は、生物活性油および/またはその抽出物(治療用油およびその抽出物)の脂肪酸エステルおよび/またはアミドを投与することによってヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防する方法を提供することである。エステルには、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピル基が含まれる。当該油の抽出物のメチルおよびイソプロピルエステルはラットの関節炎の処置に関して首尾良くin−vivo試験され、良好な結果を示している。
【0031】
本発明の関連の側面は、本発明にしたがって製造される生物活性油の脂肪酸エステルおよび/またはアミド、および/またはその抽出物の使用であって、その投与によってヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための薬物の製造に関する使用を提供することである。
【0032】
典型的に、製造される生物活性油およびその抽出物(治療用油およびその抽出物)を使用してヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害または症状を処置および/または予防することができる。処置または予防される可能性がある典型的な疾患、障害または症状には以下に挙げるものが含まれる:呼吸器疾患または症状、例えば喘息、気管支疾患および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管疾患または症状、例えばアテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、高血圧症および鎌形赤血球疾患関連血管閉塞、皮膚疾患または症状、例えば諸皮膚炎、乾癬およびアトピー性湿疹、すべてのタイプのやけど、胃腸疾患または症状、例えば潰瘍、胃(液)の逆流(gastric reflux)、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎および歯周病、癌、例えば腸癌および前立腺癌、サルコイドーシス、敗血性ショック、筋骨格疾患または症状、例えば関節炎、例えば骨関節炎および関節リウマチ、慢性関節および靭帯痛、白血病、糖尿病、アレルギー、例えば中耳炎および眼アレルギー、ブドウ膜炎、月経困難症、腎疾患または症状、例えば糸球体腎炎および腎炎症候群および前立腺疾患または症状、例えば良性前立腺肥大、および多種多様な炎症性障害。また、製造される生物活性油は骨密度(bone mass density)を増加させ、骨強度および結合組織障害を改善させることができる。
【0033】
生物活性油およびその抽出物(治療用油およびその抽出物)は、動物およびヒト血中のC反応性タンパク質(CRP)のレベルを減少させるようである。(治療活性についての下記実施例の患者7に関する試験結果を参照のこと)。ゆえにこれらの油およびその抽出物を使用して、CRPの増加に関連する広範囲のヒトおよび動物疾患および症状を処置してよい。
【0034】
CRPはいわゆるペントラキシンファミリーのタンパク質に属する。その理由は、5個の同一のサブユニットを有するからである。第一染色体上の単一遺伝子によってエンコードされるこのサブユニットは会合して安定なディスク状の5量体構造を形成する。該タンパク質はStreptococcus pneumoniaeの体細胞性C多糖と反応するのでそのように命名された。該タンパク質は1930年にTilletおよびFrancesによって最初に発見された。カルシウムの存在下で、CRPはホスホコリン部分に特異的に結合する。これによりCRPは宿主防御の役割を与えられる。その理由はホスホコリンが微生物の多糖(この場合CRP結合は従来の補体経路を活性化し、食作用のためにリガンドをオプソニン化する)、血小板活性化因子(PAF)(中和される)、および多形体(下方制御を生じさせる)に認められるからである。
【0035】
CRPは肝臓でのみ生産され、急性の炎症性刺激の6時間以内に増加した量で分泌される。血漿レベルは少なくとも8時間毎に倍増可能であり、約50時間後にピークに達する。炎症性刺激が有効に処置または除去されると、レベルはほぼ急速に低下し得る。その理由は、CRPが5〜7時間の血漿半減期を有するからである。
【0036】
CRPレベルの大きな上昇に関連するいくつかの最も一般的な条件は以下に挙げるものである:
(a)炎症性疾患、例えば諸形式の関節炎、例えば関節リウマチ、乾癬性関節炎および若年性慢性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、ライター病等。
(b)悪性腫瘍、例えばリンパ腫、肉腫。
(c)壊死、例えば心筋梗塞、腫瘍塞栓形成および急性膵炎。
(d)外傷、例えばやけどおよび骨折。
(e)リウマチ熱、結核、同種移植拒絶および白血病。
【0037】
さらに、生物活性油およびその抽出物(治療用油およびその抽出物)はマウス線維芽細胞セルラインからのプロスタグランジンPGE2の分泌を阻害する(油抽出物に曝露された3T3細胞から分泌されるPGE2の阻害%をまとめた表9を参照のこと)。このデータは、これらの油およびその抽出物がシクロオキシゲナーゼ経路を阻害すると思われることを示す。ゆえにこれらの油およびその抽出物を使用して、COX経路活性の増加に関連する広範囲のヒトおよび動物疾患および症状を処置することができる。これらのタイプの阻害剤を使用してヒトおよび動物の疾患および症状、例えば関節リウマチ、骨関節炎、痛み、等を処置してよい。
【0038】
該生物活性抽出物は、リポキシゲナーゼ経路(5−、12−および15−LOX経路を含む)を阻害することによってロイコトリエン合成を阻害する。
【0039】
また製造される生物活性油は種々の医薬品、例えばコルチコステロイド、デキサメタゾンおよびプレドニゾロンの効力を相乗的に増強することが知られている。このような相乗作用は重大な臨床上の利点である。その理由は、高レベルの炎症誘発性ロイコトリエンまたは5−リポキシゲナーゼは喘息だけでなく関節リウマチ、骨関節炎、強皮症および炎症性腸疾患、例えばクローン病に関連し、そして本発明の活性油を投与すると、より低用量のステロイドしか使用しなくてよいからである。(リポキシゲナーゼ阻害剤とステロイドの相乗作用に関する図4を参照のこと。)
【0040】
本発明の第三の側面は、生物活性油、または生物活性油の脂肪酸エステルおよび/またはアミドおよび/またはその抽出物を、製薬的に許容される担体、賦形剤または補助剤(アジュバント)とともに含む医薬組成物を提供することである。典型的に、本組成物は即効性(immediate release)、持続放出性(extended release)、パルス放出性(pulse release)、可変放出性(variable release)、制御放出性(controlled release)、持効性(timed release)、徐放性(sustained release)、遅延放出性(delayed release)、長時間作用性(long acting)、およびそれらの組み合わせの形式であり得る。
【0041】
以後、本発明の好ましい形式を例示によって説明する。説明中、添付の図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
前記内容から明瞭であるように、本発明は脂質基材の真菌による代謝/変換に関する。真菌は脂質基材に内因性または外来性の真菌であり得る。しかし、非常に特別な能力を有する真菌のみが脂質基材上で生育する。すべてがその単離元である脂質基材、または他の脂質基材を変換する能力を有するわけではない。したがって本発明で利用できるのは、脂質基材上で生育し、脂質基材を代謝/変換して生物活性化学物質を含有する油を生産するすべての真菌である。
【0043】
a)真菌の単離
標準的方法を使用して脂質から真菌を単離し、培養する(いくつかの一般的な方法に関してはWaller et al 2002を参照のこと)。自然にコロニー形成された脂質基材の表面上または表面近くで真菌の生育が認められる。典型的には、標準的技術を使用して、真菌によって自然にコロニー形成された脂質基材から真菌を単離し、標準寒天培地上で培養する。典型的に、滅菌プローブを用いて真菌の断片を取り出し、そしてこの断片を以後の生育および同定のために培地上にまくことによって脂質基材の表面上で生育する真菌を取得する。典型的には、アルコールまたは次亜塩素酸塩を用いて脂質基材の表面を滅菌した後に内因性の真菌を単離し、培養する。そして細菌生育を抑制する抗生物質を含有する培地上に脂質基材の断片をまく。培養および以後の同定のために、出現した真菌を新鮮な滅菌培地へ継代培養する。典型的な培地には、ポテトデキストロース寒天、麦芽抽出物寒天、V8ジュース寒天、コーンミール寒天、オートミール寒天が含まれる。典型的に、単離プレートから同一または他の標準培地上で真菌を継代培養することができる。
【0044】
該真菌は、標的化合物の形成および活性を増強する従来の、または遺伝子の修飾に付することができる。種々の脂質基材から単離される真菌を種々の脂質基材を変換するその能力に関して試験することができる。最も効率的に変換することが認められる真菌を低効率の単離体ととり代えて、生物活性化合物の生産を増加させることができる。これらの過程は生物活性化合物の生産を増強するのに広く使用されており、例えばペニシリンの生産を増強するのに使用された。真菌から酵素を単離精製することができ、物理的または化学的処理技術を使用してその活性を最大にすることができる。この過程はR. K. Saxena, Anita Sheoran, Bhoopander Giri, W. Sheba Davidson, (2003)「微生物リパーゼに関する精製ストラテジーのレビュー(Review of Purification Strategies for Microbial Lipases)」, 52, 1-18にしたがって行う。この文献は引用により本明細書中に包含される。酵素は、脂質基材上で生育し、脂質基材を変換/代謝して生物活性化学物質を含有する油を生産することが既知である真菌から単離されるのみである。
【0045】
b)真菌および酵素の保存
標準的技術、例えば凍結乾燥、低温保存、滅菌水中での保存、油環境下の栄養寒天上での保存、または乾燥条件での保存を使用して真菌を保存する(真菌保存のいくつかの標準的技術に関してはWaller et al 2002を参照のこと)。
【0046】
c)脂質基材の保存
動物性および植物性の脂質基材は密閉容器中に保存する。動物性脂質は典型的に−18℃未満の温度で保存する。動物性脂質基材を凍結乾燥して砕き、または細かく刻んだ後に低温で保存してよい。植物性の脂質基材は典型的に9%未満の低湿度、および典型的に30℃未満の温度の標準的条件下で保存する。
【0047】
d)(海洋および陸生起源の)動物および植物性脂質基材の接種前滅菌
変換前に、動物または植物性の脂質基材を滅菌して内因性および外来性の微生物をいずれも除去する。滅菌には、エタノールまたは次亜塩素酸塩溶液中での洗浄、ガンマ照射またはその同等処理、または加熱処理が含まれるであろう(慣用技術の例に関してはWaller et al 2002,「植物病理学者ハンドブック第3版(Plant Pathologists Pocketbook 3rd Edition)」, CABI, New Yorkを参照のこと)。加えて、ツァペックドックス(Czapek Dox)寒天に認められるような特定の無機および有機の添加物を加えることによって脂質基材/群を修飾してよい(慣用の無機補充物質であるツァペックドックスの調製に関してはWallerを参照のこと)。
【0048】
e)脂質基材の接種
脂質基材の真菌集団に依存して、基材に追加の接種を行わずに、以下に特定する条件を使用して脂質基材を単純に代謝/変換することが可能であることが多い。
【0049】
脂質基材に1種またはそれ以上の真菌またはその酵素を必要に応じて接種する。この基材をスライスし、細かく刻み、切り刻み、または砕いて、ステンレス鋼のトレイであってよい表面上の典型的に0.5〜10cmの範囲の層中で拡散することを可能にしてよく、あるいは基部に孔をあけて、酸素が下部表面へ入り、油が基材から落ちて適切な容器または同等の系に回収されることを許容してよい。接種には標準的手順(Waller et al 2002を参照のこと)を使用する。この手順には、滅菌水に懸濁された真菌胞子を脂質表面にスプレーまたは塗布することが含まれる。接種後の脂質基材を4〜35℃の範囲、一般的には約5〜20℃の温度、および80〜100%の範囲、典型的には95%の相対湿度でインキュベートする。そして典型的にこの基材は、7日〜約120日の範囲、および典型的には7、14、28、35、42、56、63日の範囲の期間インキュベートする。
【0050】
f)油の製造および生物活性化合物の抽出
真菌の代謝中に使用される脂質基材に応じて、生物活性油を抽出するのに使用される方法が決定される。使用してよい4つの主な方法は以下に挙げるものである:温度精製(temperature rendering)、超臨界流体抽出、溶媒抽出および冷却圧縮。最後の方法は植物油の製造に関してのみ使用される。
【0051】
インキュベーション後に真菌を含有する動物性脂質基材を細かく刻み、または砕き、精製過程の前にステンレス容器へ移す。典型的に本過程は、一定の緩徐な速度で撹拌しながら脂質基材が融解して油になるまで、40〜80℃の範囲の温度、通常は約70〜75℃の温度設定で精製することを含む;加熱は電気的に、あるいは蒸気または熱水によって行ってよい。そして油を含有する容器中の液状物を遠心分離し、次いでろ過する。そして遠心分離段階から残存する残留物をさらに抽出に付してよい。この場合、一般に植物種子油および医薬品工業で使用される標準的手順ならびに研究で使用される天然産物の単離における標準的手順を使用する。そして生物活性油を含有するろ液を、不活性ガス雰囲気下または通常の雰囲気条件で100〜約160℃の範囲の温度でさらに15分〜約8時間の範囲の期間加熱する。一般に使用される典型的条件は、不活性ガス雰囲気、例えば窒素下で、135℃で2時間である。この段階では油を滅菌し、さらに、存在する任意のタンパク質/群を変性させる。熱交換器を使用して適切な温度に冷却した後に、油を再度ろ過して、存在する可能性がある任意の残留沈殿タンパク質および/または真菌微粒子を除去する。この油を20およびまたは200リットルの医薬品等級の保存用ドラム内にパッケージする。油からの生物活性化合物の抽出に関しては図1を参照のこと。
【0052】
植物種子、ナッツ油または動物起源でない他の脂質供給源の場合、接種およびインキュベーション後の真菌を含有する脂質基材/群を細かく刻み、または砕いた後にスクリュープレスを使用して冷却圧縮してよく、そしてスクリュープレス由来の油を遠心分離およびろ過する。この油を不活性ガス雰囲気下または通常の雰囲気条件で100〜約160℃の範囲の温度でさらに15分〜約8時間の範囲の期間加熱する。一般に使用される典型的条件は、不活性ガス雰囲気、例えば窒素下で、135℃で2時間である。この段階では油を滅菌し、さらに、存在する可能性がある任意のタンパク質/群を変性させる。熱交換器を使用して適切な温度に冷却した後に、油を再度ろ過して、任意の残留沈殿タンパク質および/または真菌微粒子を除去する。この油を20およびまたは200リットルの医薬品等級の保存用ドラム内にパッケージする。圧搾器由来のケーキを、例えばヘキサン、イソヘキサン、ペトロリウムスピリット、メタノール、イソプロパノール、プロパノール、エタノールおよびジエチルエーテルから選択される一定の種類の一般的な溶媒を使用して溶媒抽出する。そしてこの溶媒を蒸発によって除去し、将来の使用のために回収する。使用される技術は植物油工業において標準的である。そして得られた油を動物性基材に関して記載されるように処理する。
【0053】
そして上記過程から得られた油を種々の温度で溶媒抽出に付してよい。この場合、典型的に1種またはそれ以上の以下の溶媒を使用する:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、軽ペトロリウムスピリット、ブタノール、アセトンおよびアセトニトリル。この手順は、質量または容量ベースで1/1または2/1の溶媒対油比で油を混合し、そして0℃〜−40℃の範囲の温度に30分〜24時間までの期間冷却することを含む。生物活性分子を含有する溶媒をデカントし、または捨て、(必要であれば)遠心分離し、蒸発乾燥して抽出物を得る。実験室規模の典型的条件では、油100gをメタノール100gと十分に混合し、0℃で16時間保持し、そして必要であれば遠心分離し、回転式フィルム蒸発装置を使用して溶媒を蒸発させる。生じた残留物は生物活性化学物質を含有する。再利用のために溶媒を回収すべきであろう。
【0054】
投与形式:
発明対象の医薬組成物では、剤形が種々の放出形式を兼ね備えることが可能である。この放出形式には、非限定的に、即効性、持続放出、パルス放出、可変放出、制御放出、持効性、徐放、遅延放出、長時間作用性、およびその組み合わせが含まれる。即効性、持続放出、パルス放出、可変放出、制御放出、持効性、徐放、遅延放出、長時間作用性特性およびその組み合わせの取得は、通常の当業者が利用可能な周知の手順および技術を使用して実施することができる。放出特性を取得するためのこれらの各具体的技術または手順は当業者に周知である。本明細書中で使用される「制御放出形式(剤形)」とは、少なくとも1成分が制御放出用に製剤化されている任意の形式(剤形)を意味する。本明細書中で使用される「即効性形式(剤形)」とは、少なくともいくつかのその医薬活性成分が即時放出用に製剤化されている任意の形式(剤形)を意味する。
【0055】
種々の投与経路が利用可能であり、経路の選択は処置対象の具体的症状および治療効力に必要な用量(投与)に依存する。本発明の方法および組成物では、任意の投与様式が許容され、この様式には、経口、経直腸、局所、鼻腔、経皮または非経口(例えば皮下、筋肉内および静脈内)経路が含まれる。
【0056】
発明の対象は任意の生物学的に許容される剤形およびその組み合わせを意図する。このような剤形の例には、非限定的に、チュアブル錠、高速溶解錠剤、発泡(effervescent)錠、再組成用粉末剤、エリキシル剤、液状剤、溶液剤、懸濁液剤、乳剤、錠剤、多層錠、二層錠、カプセル剤、軟(ゼラチン)カプセル剤、硬(lard)(ゼラチン)カプセル剤、カプレット、トローチ剤、チュアブルトローチ剤、ビーズ、粉末剤、顆粒剤、粒子、微粒子、分散性顆粒剤、カシェ剤、圧注、坐剤、クリーム剤、ローション剤、局所用剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、デポーインプラント、摂取剤(ingestibles)、注射剤、注入剤、機能性食物およびその組み合わせが含まれる。上記投与剤の調製は当業者に周知である。一般に、各投与剤はあらかじめ定められた量の活性成分を1種またはそれ以上の適切な成分を構成する担体と併せて含有するであろう。
【0057】
非経口投与に適した組成物は、既知の方法にしたがって適切な分散剤および懸濁化剤を使用して製剤化された活性成分の滅菌水性調製物を含むのが好都合である。滅菌注射用調製物は、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒(例えば水、等張性塩化ナトリウム溶液)中で溶液または懸濁液として製剤化してよい。また滅菌固定油を溶媒または懸濁培地として使用することができる。
【0058】
典型的な用量:(a)抽出物(0.01mg〜1000mg/キログラム)、1日を通じて経口摂取による数回の投与が必要であろう。(b)油(5mL〜20mL/日)、5mL用量で経口摂取。また1日当たりの純粋な油の初期負荷量は30または40mlまでであることが典型的である。複数回の日用量によって活性成分の適切な全身性レベルを達成することが意図される。治療用組成物の製剤化は当業者に周知である。適切な製薬的に許容される担体および/または希釈剤には、任意およびすべての慣用溶媒、分散媒、賦形剤(fillers)、固形担体、水性溶液、コーティング、等張液および吸収遅延剤等が含まれる。このような製剤および製剤化はRemingtons's Pharmaceutical Sciences (18th Edn), Mack Publishing CO, Pennsylvania, USAに記載されている。
実施例
【実施例1】
【0059】
A)生物活性油を使用する局所用薬物の調製
局所適用のためのクリーム剤の例を以下のプロトコルにしたがって調製した:
製剤例1
【0060】
製造手順
1.A相において水、EDTA2ナトリウム、およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
2.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
3.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
4.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
5.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
6.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
7.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
8.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験(challenge testing)後に保存剤量の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0061】
製剤例2
【0062】
製造手順
9.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
10.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
11.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
12.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
13.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
14.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
15.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
16.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0063】
製剤例3
【0064】
製造手順
17.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
18.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
19.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
20.B相をA相に加え、15分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
21.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
22.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
23.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
24.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤量の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 945、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0065】
製剤例4
【0066】
製造手順
25.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
26.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
27.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
28.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
29.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
30.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
31.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
32.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0067】
製剤例5
【0068】
製造手順
33.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
34.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
35.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
36.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
37.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
38.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
39.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
40.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0069】
製剤例6
【0070】
製造手順
41.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
42.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
43.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
44.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
45.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
46.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
47.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
48.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0071】
製剤例7
【0072】
製造手順
49.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
50.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
51.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
52.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
53.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
54.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
55.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
56.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0073】
製剤例8
【0074】
製造手順
57.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
58.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
59.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
60.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
61.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
62.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
63.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
64.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(e)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0075】
製剤例9
【0076】
製造手順
65.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
66.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
67.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
68.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
69.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
70.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
71.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
72.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0077】
製剤例10
【0078】
製造手順
73.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
74.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
75.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
76.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
77.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
78.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
79.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
80.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0079】
製剤例11
【0080】
製造手順
81.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
82.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
83.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
84.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
85.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
86.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
87.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
88.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【実施例2】
【0081】
B)生物活性油を含有する経口製剤:
1.0.1%酢酸トコフェロールを含有する油約0.9gを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ハードゲルカプセル(0.95mL)。
2.マカデミア油または同等物中に分散された油0.50gを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ハードゲルカプセル(0.95mL)。
3.100μL〜1.0mLの油を含有し、必要であれば0.1%抗酸化剤が添加されているゼラチンまたは同等のポリマー製ソフトゲルカプセル(100μL〜1.0mL容量)。
4.必要であれば抗酸化剤および別の油、例えばマカデミア油、ダイズ油または同等物を含有する油由来の抽出物10mg〜1000mgを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ソフトゲルカプセル(100μL〜1.0mL容量)。
5.上記3および4と同様のソフトゲル坐剤。
6.他の油、例えばオリーブ、マカデミアおよび香味、例えばキイチゴ、イチゴ、バナナが添加され、必要であれば抗酸化剤が添加されている油および抽出物製シロップ剤およびローション剤。スプーンまたはシリンジによって投与する。
7.油5.0mLをスプーンまたはシリンジによって経口投与する。
【実施例3】
【0082】
C)種々の動物および植物油およびその抽出物の生物学的活性を分析するために使用されるin vivoラットモデルでの試験手順
1.アジュバント誘発多発性関節炎を発症しているラットにおいて抗炎症性効力を測定した。関節炎が最初に発症した時点から試験薬剤を経皮または経口投与した。低用量ステロイドとの相乗的活性を以下のラットにおいて測定した:i)完全に確立されたアジュバント関節炎を伴うラットまたはii)0.5mgザイモサン(生理食塩水0.2mL中)を注射し、そして急性浮腫が(ヒスタミン/セロトニン放出に関連する)ピークに達するまで3時間待ち、残留する足膨潤を21〜45時間後に測定することによって誘発された慢性足浮腫を伴うラット。経皮投与では、油を0.15容量のシネオールで希釈して皮膚浸透を促進し、剪毛された背側の皮膚(6cm2)に1日1回短時間こすりつけて適用した。(以下の表1および2を参照のこと)。
【0083】
2.同時関節炎原性(co-arthritigenic)活性をダークアグーチ(Dark Agouti)ラットにおいて測定した。この測定はまず試験用油(10mg/kg)中に細かく砕かれた加熱死菌のMycobacterium tuberculosis(結核菌)を分散させ、次いで0.1mLを雌性ダークアグーチラットの尾の基部内へ注射することによって行った。関節炎の徴候を15日目に記録した。エミュー油由来の抽出物の取得は、等しい質量の油およびメタノールを混合し、次いで低温室またはフリーザー中に0℃で少なくとも12時間保存し、液層をデカントし、回転式フィルム蒸発装置を使用して溶媒を蒸発させることによって行った。フラスコ中に残存する残留物は抽出物を含有する。これらの抽出物をまずホホバマメ油(jojoba bean oil)に溶解し、ホホバマメ油中で新たに調製された等しい容量のMycobacterium tuberculosisの分散物(10mg/ml)で希釈した。(以下の表3を参照のこと)。
【0084】
3.胃保護活性を以下のラットにおいて確認した:a)疾患ストレスを受けている(未処置)多発性関節炎の雌性ダークアグーチまたはウィスター(Wistar)ラットおよびb)一晩絶食され、コリン作動薬である、メタコリン塩酸塩(5mg/kg i.p.)を注射された正常なダークアグーチまたはウィスターラット。ボルテックス(Vortex)ホモジナイザーを使用して試験材料を0.04%v/vのTween-20で乳化し、次いでガストロトキシンとして使用されるOTCイブプロフェン(NUROFEN)55mg/kgの分散物と同時投与した。2.5時間後に胃を取り出し、生理食塩水中で短時間すすぎ、胃粘膜の巨視的な出血性損傷の数および重症度をスコアした。(以下の表4および5を参照のこと)。
【0085】
4.ラットにおけるザイモサン誘発性足浮腫の抑制に関するエミューおよびマカデミア油とコルチコステロイドの相乗的活性。ザイモサン0.5mgを各後ろ足内へ注射した3時間後に、Tween-20中のP=プレドニゾン2.5mg/kgまたはD=デキサメタゾン0.1mg/kgを加えた油全体、または抽出物の1回の処置量を経口投与した。データはオリーブ油のみで処置されたコントロールと比較された足膨潤の相対的減少であり、阻害パーセントとして示される。(以下の表6を参照のこと)。
【0086】
5.in vitro試験用に、低温での溶媒抽出または固相抽出を通常の実験室手順にしたがって使用して油を処理し、大部分のトリグリセリドを除去した。in vivo試験用に、この油を22℃でろ過して、重量基準で5〜45%で変動する固形物を除去した。例外的に、0.1容量のn−オクタノールまたは0.5容量までのミリスチン酸イソプロピルで堅いサンプルを希釈して、その「液化」を支援した。これらの溶媒は記載されるアッセイに関して不活性な媒体である。
注記:使用されるすべてのMycobacterium tuberculosisは、細かく砕き、加熱して死滅させて使用する。
【0087】
結果
1.ウィスターラットの尾の基部にスクアレン0.1mL中のMycobacterium tuberculosis 0.8mgを注射した(0日目)。生物活性油での処置は以下の様式で行った:
A)10〜13日目に単独で経皮投与(4ラット/gp)または
B)15〜17日目にプレドニゾン(2.5mg/kg)とともに経口投与(3ラット/gp)。
【0088】
関節炎の徴候の変化を以下に示す。体重(重量)が増加すれば良好であり、減少すれば毒性の可能性を示す。関節炎のスコアが低いほど良好である:
注記:油の情報に関してはクロマトグラム番号および加工条件を含有する表6を参照のこと。
【0089】
表1〜8の各サンプルに関する加工条件およびクロマトグラフを表11にまとめる。対応するクロマトグラムには1〜32の番号を付する。例として、表3のエミュー−type 2の油の取得は、表11の第4行に記載の加工条件にしたがって行った(サンプルコードType 2)。このサンプルの生物学的活性はクロマトグラム4に示される。
表1.
【0090】
【表1】
表2.
【0091】
【表2】
【0092】
表3:いくつかのエミュー/他の油の関節炎原性活性
細かく砕かれた加熱死菌のM. tuberculosis(10mg/mL)と油を混合し、0.1mLを雌性ダークアグーチラットの尾の基部内へ注射した。
【0093】
ホホバマメ油での分散物は終濃度5mg/mLのM. tuberculosisしか含有しなかった。15日目に3ラットからなる群に関して関節炎の徴候をスコアした。
【0094】
【表3】
【0095】
表4/5:ラットにおけるいくつかのエミュー油の胃保護活性
0.04%v/vのTween-20を用いて調製された試験用乳剤=0.4mLの油/kgとともに胃刺激物=55mg/kgのイブプロフェンを一晩絶食させた動物に経口投与した。この場合、メタコリンのi.p.投与を伴うか、または伴わない。
【0096】
A.疾患ストレス状態の、(15日目に、または15日より後に)完全に発症した多発性関節炎を伴う雌性ウィスターまたはダークアグーチラットにおける実験。メタコリンなし。
表4:
【0097】
【表4】
【0098】
B.ベータ−メタコリン(ウィスターラットでは5mg/kgまたはダークアグーチラットでは8mg/kg)で刺激された正常ラットにおける実験。
表5:
【0099】
【表5】
【0100】
表6:ラットにおけるザイモサン誘発性足浮腫の抑制に関するエミューおよびマカデミア油とコルチコステロイドの相乗的活性。
【0101】
ザイモサン0.5mgを各後ろ足内へ注射した3時間後に、Tween-20中のP=プレドニゾン2.5mg/kgまたはD=デキサメタゾン0.1mg/kgを加えた油全体、または抽出物の1回の処置量を経口投与した。データはオリーブ油のみで処置されたコントロールと比較された足膨潤の相対的減少であり、阻害パーセントとして示される。
【0102】
【表6】
【実施例4】
【0103】
D)いくつかの諸油サンプルのin−vitroリポキシゲナーゼアッセイ
好中球5−リポキシゲナーゼ経路
【0104】
概要
アラキドン酸は以下の2つの主要な経路によってエイコサノイド(またはプロスタノイド)に変換される:ロイコトリエン形成を生じさせる5−リポキシゲナーゼ経路、およびプロスタグランジンおよびトロンボキサン形成を生じさせるシクロオキシゲナーゼ経路。これらの両経路の、すべてではないがいくつかの産物は強力な炎症誘発性を有する。例えば、LTB4は非常に強力な走化性物質であり、またそのペプチド代謝産物である、元来は「アナフィラキシーの遅反応性物質」またはSRS−Aとして知られていたLTC4、LTD4およびLTE4は強力な気管支収縮物質である。
【0105】
多数の現在使用されている抗炎症剤、特に非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)はシクロオキシゲナーゼ経路を阻害することによって機能する。最近では、リポキシゲナーゼ経路の阻害剤または両経路をブロックする二重阻害剤の開発に焦点を合わせた相当の努力が世界中で施されている。
【0106】
これらの細胞の5−リポキシゲナーゼ経路の主な段階を図3に示す。この経路では、ホスホリパーゼA2(PLA2)の作用を介して膜リン脂質からアラキドン酸(AA)が放出される。そしてこのAAは当経路の第一の酵素−5 リポキシゲナーゼの基質である。この酵素は基質を5−ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸(5−HPETE)に変換する。次いで5−HPETEは酵素的に変換され、グルタチオンペルオキシダーゼによって5−ヒドロキシエイコサテトラエン酸(5−HETE)になるか、あるいはLTA4シンターゼによってロイコトリエンA4(LTA4)になる。次いでLTA4は非酵素的にLTB4のオールトランス異性体に変換されるか、あるいはLTA4加水分解酵素によってロイコトリエンB4(LTB4)に加水分解される。ヒトPMNによるLTB4のそれ以上の代謝は認められない。一方、他の細胞、例えば好酸球はそれを強力な血管収縮剤であるペプチド−ロイコトリエン、SRS−Aに変換する。
【0107】
リポキシゲナーゼ経路(ロイコトリエンおよびHETE)アッセイ
HPLCアッセイでは、5−HETE、12−HETE、LTB4、およびLTB−4の2種のオールトランス−異性体が容易に定量化でき、したがって好中球の5−リポキシゲナーゼにおける酵素の相対的活性に関する定量的データ、ならびに血小板の12−リポキシゲナーゼ経路に関するデータが得られる。したがってこれは前記経路の阻害剤候補を試験するために理想的な系である。
【0108】
阻害化合物の効果を単離されたヒトPMNおよび血小板に関して試験してよい。この場合、経路はPMNまたは血小板をアラキドン酸およびカルシウムイオノフォアA23187で処理することによって活性化される。アラキドン酸を加えると、PLA−2段階が排除され、またこの経路に関する高レベルの基質が提供される。さらにまた、前記活性化は経路を最大に駆動させてすべての代謝産物の最大合成を生じさせることが既知であり、ゆえにまたこの活性化は阻害に対する感受性が最も低い。したがって、この様式で活性化された経路を実際に阻害する化合物は強力な阻害剤候補である。
【0109】
試験サンプルの調製
すべてのサンプルをエタノールに溶解して10mg/mLの原液を得た。各原液をさらに希釈して、エタノール中の5および1mg/mLの2種の希釈物を作成し、合計で10種の試験サンプルを作成した。
【0110】
各希釈原液10μLをハンクスバッファー(Hank's Buffer)中のPMN懸濁液1000μLに加えて、分析に必要な最終試験濃度5、10および50ug/mLにした。
【0111】
ヒト好中球(PMN)の調製
1.正常なボランティアから100mLまでの血液を採取し、EDTAで抗凝固処理した。水中の4.5%EDTA2mLを各10mLの血液と混合した。
2.さらに2mLの6.0%デキストランT500(Dextran T500)を上記1の各12mLの混合物に加え、37℃の水浴中に置いて赤血球を沈降させた。
3.上記2の沈降後、上清を密度1.070のパーコール(Percoll)5mL上に慎重に重ねた。次いでこれを500gで35分間で回転させた。
4.パーコール界面下のすべての細胞(PMNおよび残留RBC)をプラスチックピペットで除去し、Ca2+/Mg2+を含まないダルベッコ(Dulbecco's)リン酸バッファーで少なくとも3倍希釈し、600gで10分間遠心分離した。
5.上記4の後、上清を慎重に吸引し、ペレットを1ml使い捨てプラスチックピペット内へ吸引/脱吸引することによって1mLのCa2+/Mg2+を含まないダルベッコリン酸バッファーと穏やかに混合した。次いでさらに40mLのCa2+/Mg2+を含まないダルベッコリン酸バッファーを加え、反転によって混合した。次いでこの細胞懸濁液を600gで10分間遠心分離した。
6.遠心分離後、上清を除去し、PMNペレットを10mLの0.2%冷塩化ナトリウム溶液で20秒間溶解し、次いで10mLの1.6%冷塩化ナトリウム溶液を加え、600gで10分間遠心分離した。
7.上記6の後、PMNペレットを1mL使い捨てプラスチックピペット内へすばやく吸引/脱吸引することによって1mLのハンクスバッファーと強く混合し、そして最終的に、ロイコトリエンアッセイ用の調製物において、ハンクスバッファー中に2.4x106PMN/ml(コールターカウンター(Coulter counter)を使用して測定)で懸濁した。
【0112】
ロイコトリエン経路の活性化
1.1mLのPMN懸濁液(2.4x106PMN/ml)を13mLガラス管(クロム酸洗浄済)へ移し、37℃の水浴中に置き、5分間予熱した。
2.予熱後、0時点で、メタノール中の各試験化合物10μL(またはコントロールである同容量のメタノール)を4つの試験管に20秒間かけて加えた。
3.5分の時点で、5μLの2mMアラキドン酸(最終10μM)を加えた(4試験管/20秒)。
4.10分の時点で、5μLの1mMカルシウムイオノフォア(A23187)(最終5μM)を加えた(4試験管/20秒)。
5.15分の時点で100μLの100mMクエン酸を加えることによって反応を停止させた。これにより水相のpHは3未満に低下する。これは有機相内へロイコトリエンを抽出するのに必要である。
6.いくつかのサンプルのpHを検査し、pH<3.0を確保した。(重要である)。
7.各試験管にそれぞれLTB4および5−HETEに関する内部標準として40ngのプロスタグランジンB2および166ngの15−HETEを加え、サンプルを混合した。
8.検量線用に、1mLのPMN、100μLの100mMクエン酸および40ngのPGB2および166ngの15−HETEを含有する試験管にLTB4[1ng/μl](0〜50ngの範囲の検量線に関して)および5−HETE[5ng/μL](検量線範囲0〜250ng)を加えた。
9.すべての試験管をボルテックスにかけた。
10.5mLのクロロホルム/メタノール(7:3)を加え、試験管を30秒間強くボルテックスにかけ、そして2000rpmで10分間遠心分離した。
11.約3.5mLの下部クロロホルム層(抽出されたロイコトリエンおよびヒドロキシ酸(HETES)、ならびに内部標準を含有する)を3mLホウケイ酸ガラス管に移し、クロロホルムをSavant遠心蒸発装置中、減圧下、室温で蒸発させた。
12.サンプルを100μLのLTB4移動相中で再組成し、ボルテックスにかけ、そして注射用のWaters低容量挿入物(通常<25μl)に移した。
13.HPLCをLTB4条件用に設定し、すべてのサンプルをLTB4およびLTB4のオールトランス異性体に関してアッセイした。
【0113】
ロイコトリエンおよびヒドロキシ酸に関するHPLCアッセイ
移動相
LTB4アッセイ:70%メタノール/30%H2O/0.08%酢酸(水酸化アンモニウムでpH6.2に調節)。
5−HETEアッセイ:80%メタノール/20%H2O/0.08%酢酸(水酸化アンモニウムでpH6.2に調節)。
【0114】
HPLC条件
波長:270nm(LTB4)、234nm(5−HETE)
分析:Water's Millenium
流速:1mL/分
カラムおよびガードパック(Guard Pak):C18 Nova Pak
【0115】
LTB4アッセイ
保持時間
プロスタグランジンB2−4.6分
6−トランス−ロイコトリエンB4−6.6分
6−トランス−エピ−ロイコトリエンB4−7.4分
ロイコトリエンB4−8.7分
【0116】
LTB4およびその6−トランス異性体の正式な化学名
ロイコトリエンB4:(5S,12R)−ジヒドロキシ−(Z,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
6−トランス−ロイコトリエンB4:(5S,12R)−ジヒドロキシ−(E,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
6−トランス−12−エピ−ロイコトリエンB4:(5S,12S)−ジヒドロキシ−(E,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
【0117】
5−HETEアッセイ
保持時間
15−HETE−6.3分
5−HETE−8.5分
正式な化学名
15−HETE:15(S)−ヒドロキシ−(Z,Z,Z,E)−5,8,11,13−エイコサテトラエン酸
5−HETE:5(S)−ヒドロキシ−(E,Z,Z,Z)−6,8,11,14−エイコサテトラエン酸
【0118】
表7 ロイコトリエン合成に関するエミュー油メタノール抽出物および純粋な12−メチルテトラデカン酸(12−MTA)の効果
(メタノールコントロールについてのパーセントとして示す)
【0119】
【表7】
*抽出前に、高速撹拌しながら、135℃で加熱された油に高速の窒素ガスを2時間通すことによって元の油サンプルを処理し、揮発性化合物を除去した。
【0120】
表8 ロイコトリエン合成に関するエミュー油の脂肪酸メチルエステル、真菌の接種およびインキュベーションによって製造されたエミューおよびダチョウ油のメタノール抽出物の効果
(メタノールコントロールについてのパーセントとして示す)
【0121】
【表8】
*エミュー油サンプルA、クロマトグラム1の脂肪酸メチルエステル(FAME)。
【0122】
結果および考察
データは表中の全3サンプルが5−LOX経路の強力な阻害剤であったことを示す。20μg/mLの低用量で100%阻害を示した12−メチルテトラデカン酸とデータを比較する。
【0123】
表8のサンプルではFAMEサンプルが最も低効率であった。一方、エミュー油−WBおよびダチョウ油サンプルは表7の3サンプルと同等である。これにより生物活性油の製造過程は種々の脂質基材等を使用して再現可能であろうことが確認される。
【実施例5】
【0124】
E)油サンプルのIn−vitroプロスタグランジンPGE2(COX経路)アッセイ
本アッセイは、Cayman chemicalsのプロスタグランジンE2EIAキットモノクローナル(EIA Kit Monoclonal)をキットプロトコルにしたがって使用して実施した。各サンプルを3種の希釈率で2通りにアッセイした。表9から理解されるように、アスピリン(50μM)に対するPGE2応答の阻害はコントロール値の約72.6%であった。具体的には、この2種のサンプルは、試験条件下でアスピリンと同等またはそれ以上にマウス線維芽細胞セルラインから分泌されるPGE2の用量依存的阻害を生じさせた。
表9.油抽出物に曝露された3T3細胞から分泌されるPGE2の阻害パーセント
【0125】
【表9】
【実施例6】
【0126】
F)治療活性についての例
1)7年間潰瘍性大腸炎を患っている患者は慢性の下痢および日常的な直腸出血を経験していた。患者は5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取した。潰瘍性大腸炎に関連するすべての肛門の出血は2か月後に消失した。該患者は真菌によって誘導された生物活性ダチョウ油にも応答している。
【0127】
2)腸および十二指腸潰瘍を原因とする慢性痛を患っている患者は5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取し、痛みが止んでいる。また患者は自身の不安定型糖尿病がインシュリンに対してより応答性になり、必要な用量が減少したことを観察した。
【0128】
3)患者は5年前にクローン病と診断され、持続性の腹痛、下痢または便秘、直腸出血、冷や汗および嗜眠を患っていた。数週間にわたり5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取した。その後、該患者のクローン病は緩解し(これは医学的試験によって確認されている)、もはや腹痛、下痢または便秘はない。
【0129】
4)患者は乳癌と診断され、ランペクトミー、放射線および化学療法を受けた。真菌によって誘導された生物活性油から製造されたクリーム剤を1日3回局所適用した。これにより乳房の痛みおよび炎症が減少した。
【0130】
5)患者は10年の軽度〜中度の喘息歴を有する54歳のコーカサス人男性である。この喘息は1日2回の400ugのベクロメタゾンおよび必要な場合にはサルブタモールまたはturbutamine気管支拡張剤吸入器を用いて抑制されていた。これは冬季感染後のウイルス誘発性喘息を抑制するのに不適切であり、この場合、慢性喘鳴および咳嗽を許容レベルに減少させるには5mg/日の経口プレドニゾンが必要であった。該患者に8g/日の真菌によって誘導された生物活性エミュー油を分割用量−朝および夜の各4g−で投与した。3週間以内にすべての喘息症状が減少し、エアロゾルステロイドの休止後も改善が継続した。油を適用して2か月後、他の投薬を行わずに4g/日の油を用いて患者のすべての喘息症状が抑制された。加えて、油の投与により、患者の胃液逆流に対するLOSEC摂取の必要性が減少している。
【0131】
6)患者は51年の慢性喘息(慢性気道狭窄(chronic airways limited)として分類される)歴を有する62歳の女性である。この喘息は10〜50mg/日の経口プレドニゾン、900mg/日のネブリン(neulin)によって抑制され、さらにベントリン/アトロベント吸入器(puffers)および噴霧器(nebules)を頻繁に使用して、慢性喘鳴および咳嗽を許容レベルに抑制する必要があった。該患者に6mlの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を分割用量−朝および夜の各3mL−で投与した。この用量の油を患者に11か月間適用し、これにより実質的に喘鳴雑音が排除され、咳嗽のレベルが減少しており、さらにプレドニゾンのレベルが5mg/日に減少している。また吸入器および噴霧器の使用が減少している。もはや胃液逆流に対するLosec摂取の必要はない。エミュー油を9mL/日、3回の3mL用量/日に増加させ、プレドニゾンをわずかに増加させて10mg/日にすることによって、すべての喘息発作を抑制することができる(ラットモデルによって確認されるようにこの油は相乗的にプレドニゾンの活性を増大させる)。この油の使用を開始して以来、患者の日常の生活スタイルは大きく改善されている。
【0132】
7)患者は23歳のユーラシア人男性患者であり、結腸鏡検査によって診断され、1日40mgのプレドニゾン、1日2グラムのメサラミンを処方されている。プレドニゾンは2週間毎に5mg減らされる。血液検査の結果を受け取った6週間後に、患者を入院させ、ヒドロコルチゾンIVを7日間投与すると、患者の体重は4kg減少し、投薬の結果生じた副作用として寛骨の頭部が死滅剥離し始めた。該患者に以下の入院後投薬(post-hospital medication)を処方する:
1日100mgのイムラン(4年の処置が予定される)
1日50mgのプレドニゾン(2週間毎に5mg減少)。
【0133】
その後、患者は5mlの油(バッチ365)を1日3回摂取し始め、そしてこの油の適用開始から1か月以内にすべての他の投薬を停止した。患者の医学的問題の重症度は減少し続けた。油の適用を開始して3か月後に、1日ティースプーン2杯の油(バッチ365)の抽出物を摂取するよう患者に指示した。そして患者は4か月慢性症状を経験していない。該患者の健康は改善し続け(消化器系、スタミナ、体力(fitness)等)、体重は5kg増加した。累積のC反応性タンパク質は6か月間にわたって65.1〜5.3mg/L、範囲(0.0〜5.0)mg/Lに減少した。この患者の結果を以下の表10にまとめる。
CRPおよびESRの結果
表10
【0134】
【表10】
表11
【0135】
【表11】
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】図1は、粗製油/ろ液から生物活性油を抽出する過程のフローチャートである。
【図2】図2は、本発明に記載の生物活性油を製造する過程のフローチャートである。
【図3】図3は、炎症誘発性ロイコトリエンを抑制する生物活性油によって影響される酵素経路の概要である。
【図4】図4は、ステロイドおよび生物活性エミュー油(治療用油)由来のリポキシゲナーゼ阻害剤(群)(LI)が協同して作用し、炎症誘発性ロイコトリエンを抑制することができる仕組みを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質基材(lipid substrates)の真菌(菌類)による代謝/変換であって、ヒトおよび他の動物の疾患、障害または症状を処置または予防するための生物活性化学物質を含有する脂肪および特に油およびその抽出物を生産する代謝/変換に関する。
【背景技術】
【0002】
代替/相補医薬産業の発達およびある部分でその製品が「当てにならない」治療薬であると一般に認識されていることを受けて、この代替産業によって供給される製品が再現性のある効力を有し、かつ一般の人々による使用に関して安全であることを保証する差し迫った必要性が存在する。しかし、最近の報道機関および政府の規制当局による酷評のせいで、代替医薬が原材料の質および製造方法に関する厳格な指針を満たす絶対的な必要条件が存在する。代替医薬に伴う主要な問題の1つは、使用される成分が、ほとんどの場合、多数の異なる化学物質を含有するであろう材料からなることが多いことである。ゆえに、社会の使用に関する製品の効力および安全性を保証することに関する重大な問題が存在する。これらの製品の有効性についての知識が欠乏している主な理由の1つは、代替および相補医療産業は一般にこれらの製品が動物試験に付されていない事実を誇り、ゆえにその主張が検証できないことである。
【0003】
歴史的に、動物および植物油産業は世界中で最も古い部類に属し、ゆえに該業界において使用される手順は確立されている。加えて、産業上および医療上の適用が多数存在し、文献に詳細に記録されている。しかし、多数の油、例えばオリーブ、月見草油、アマニ油、(タラ)肝油およびエミュー油は種々の医学的症状および疾患を処置するために使用されるが、これらのタイプの製品に関する効力および安全性データの再現に関する問題に対して実質的にまったく注意が払われてこなかった。実際には、多種多様の多数の異なるタイプおよび群の動物および植物油についての過去13年の動物および化学試験期間中に、生物活性および化学組成に関する大きなバリエーションが観察されている。
【0004】
本領域では、動物性および植物性抽出物、特に油に基づく相補/代替医薬の信頼性を高めるために、当タイプの製品に関する効力および安全性データの再現性に関する品質管理が第一に取り組むべき事柄であるとますます認められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患および症状に関する治療活性および予防活性を有する生物活性化学物質を含有する動物および植物由来の油およびその抽出物を製造するための方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、任意の経路、例えば非限定的に、経口、口腔、舌下、経直腸、非経口、局所、吸入、注射および経皮、好ましくは経口または局所経路による投与用に製剤化された医薬組成物であって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害または症状にわたる効力を示す生物活性油および/またはその抽出物を、製薬的に許容される賦形剤、担体または補助剤(アジュバント)とともに含む医薬組成物を提供することである。
【0007】
また本発明の目的は、本発明の方法にしたがって取得される生物活性油および/またはその抽出物を投与することによって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための方法を提供することである。
【0008】
また本発明の目的は、生物活性油および/またはその抽出物の脂肪酸エステルおよびアミドを投与することによって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための方法を提供することである。
【0009】
さらに別の本発明の目的は、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患および症状を処置または予防するための医薬製剤の製造に関する、生物活性油および/またはその抽出物の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、植物および動物由来の油の質に関する変動の原因である主要な要因/群、すなわち脂質基材中および上で生育する真菌による脂質基材の変換、の同定に基づく。生産される脂肪または油の質は、真菌(酵素)のタイプおよび数、脂質基材、精製(rendering)前のインキュベーションの温度、湿度および長さ(時間)に依存する。したがって本発明の基礎は、真菌の制御された使用であって、脂質基材/群を変換して、生物活性化学物質を含有する油を生産する使用に関する。処理および保存中の温度、酸素および光は何らかのささいな影響を有するかもしれないが、これらの要因よりも脂質基材を真菌に曝露することが生物活性(効力)に関する主要な変動の原因であることが本発明者らによって確立されている。
【0011】
したがって本発明の第一の側面は、脂質基材から生物活性化学物質を含有する脂肪または油およびその抽出物を製造するための方法であって、以下の段階を含む方法を提供することである:
a)真菌の混合物を脂質基材に接種する段階、
b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、および
c)当該インキュベート後の基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【0012】
本発明の関連の側面は、脂質基材から生物活性化学物質を含有する油およびその抽出物を製造するための方法であって、以下の段階を含む方法を提供することである:
a)真菌由来の脂肪分解酵素を脂質基材に接種する段階
b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、および
c)当該基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【0013】
段階b)では典型的にインキュベーション期間は約80〜100%の範囲の高湿度で約7〜28日の範囲である。
【0014】
段階c)では、脂質が動物由来である場合、生成物は当該接種後の基材を精製することによって得られる生物活性油であるのが典型的である。あるいは、当該脂質が植物または種子由来である場合、生物活性油は当該接種後の基材混合物の冷却圧縮または溶媒抽出によって得られる。
【0015】
また、上記本発明の第一の側面の方法によって製造される場合の生物活性生成物、特に油が提供される。
【0016】
生物活性油および脂肪を製造するために実施する必要がある典型的な段階/手順は;保存状態の純粋な真菌を有していると仮定すれば、以下に挙げるものである:
1.滅菌された脂質基材(例えば動物性脂質)に適切な真菌混合物を接種する;
2.上記混合物を所定の期間および湿度でインキュベートする;
3.上記混合物を精製する;
4.段階3で得られた精製混合物を遠心分離する;
5.遠心分離段階から得られた油をろ過する;
6.油を135℃で2時間滅菌する;
7.滅菌後に油をろ過する;
8.油を保存する;
9.必要であれば油を抽出する。
【発明の効果】
【0017】
これは生物学的過程であり、いくらかの変動が間違いなく生じるが、上記手順を繰り返せば、生産される油は実験誤差の範囲内で再現可能である。
【0018】
細菌はこの変換過程に関与しない。いかなる理論に拘束されることも望まないが、真菌は脂質細胞に浸透し、細胞内で脂質を消化する酵素を排出するようである。分解産物が放出され、そのいくつかは真菌によって吸収されて内部的に変換される。一方、その他のものは上清中に出現する。
【0019】
脂質基材の接種に使用される、真菌由来の脂肪分解酵素の供給源である真菌混合物は、無傷の/完全な真菌生物体、純粋な真菌、単一の真菌または混合された真菌、活性なその酵素抽出物、遺伝子改変生物体または修飾された酵素であってよい。本発明の方法では、脂質を変換して、広範囲のヒトおよび動物の疾患を処置するのに適した生物活性化学物質を含有する脂肪または油を得る。周知のように、油およびその抽出物を製造する本方法を使用すれば、遊離脂肪酸、モノおよびジグリセリドの量が濃縮され、例えば総遊離脂肪酸 何らかの植物動物および植物油のレベルは14%までであるか、あるいはそれを超える。油およびその抽出物中に認められる化合物は相乗的に作用して、ヒトおよび動物において広範囲の疾患および症状を処置するための所望の生化学的作用を提供する。
【0020】
典型的に脂質基材は陸生または海洋起源の動物または植物性供給源から選択することができ、あるいは基材は、無機および有機の修正物が補充された人工基材上へ浸透された脂質またはその抽出物から構成され得る(Waller et al 2002,「植物病理学者ハンドブック第3版(Plant Pathologists Pocketbook 3rd Edition)」, CABI, New Yorkを参照のこと)。動物性脂質の供給源には、オオトカゲ、ヒツジ、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、ラクダ、アヒル、ガン、ブタ、ウシ、ウマ、マトン鳥類(mutton bird)、魚類および甲殻類、例えばイガイ(イシガイ)が含まれる。植物油の供給源には、Macadamia sp、Canarium spp、ピーナッツ、ヒマワリ、ベニバナ、アマニ、ダイズ、コムギ、カラスムギ、オオムギ、アーモンド、アボカド、カシュー、クアンドン、トウモロコシ、ワットル、オリーブ、ヤシおよびコメの種子/ナッツが含まれる。他の野菜/植物/種子性供給源には、ココナツ、ピリナッツ(pili nut)、ガリナッツ(ngali nut)、ニーム種子、ゴマおよびカノーラが含まれる。
【0021】
典型的に、脂質基材上に接種される真菌は該基材から単離されたものであり(すなわち脂質基材に内因的であり)、特定または類似の基材を変換することが認められている。このような真菌は典型的に有性および無性状態のZygomycotina、AscomycotinaおよびBasidiomycotina門に認められる。したがってこれは無性状態の主要な門である不完全菌類(Deuteromycetes)の真菌を含むことが理解される。また脂質基材を変換することが典型的に認められる真菌には、Phoma sp、Cladosporium sp、Rhodotorula mucilaginosa、Cryptococcus albidus、Trichosporon pullulans、Mucor spp、Epicoccom purpurescens、Rhizopus stolonifer、Penicillium chrysogenum、Nigrospora sphaerica、Chaetomium globosumが含まれる。変換能を示すか、あるいはその潜在能力を有する真菌を従来技術または分子遺伝学的技術によって典型的に改良して、酵素形成および活性を向上させてよい。
【0022】
基材には、さらにまたは代わりに、真菌由来の酵素を接種してよい。典型的に追加用の酵素は真菌に内因的であるが、代替の供給源または遺伝子改変された単離体から開発することもできる。また該酵素を精製してよく、物理的、化学的または他の技術を使用してその構造を変化させることによってその活性を増大させてよい。
【0023】
典型的には、脂質基材を滅菌し、そして1種またはそれ以上の真菌またはその酵素を必要に応じて接種する。この基材をスライスし、細かく刻み、切り刻み、または砕いて、固形シートであってよい表面上の典型的に0.5〜10cmの範囲の層中で拡散することを可能にしてよく、あるいは孔をあけて、酸素が下部表面へ入り、油が基材から落ちて適切な容器に回収されることを許容してよい。接種には標準的手順(Waller et al 2002を参照のこと)を使用する。この手順には、滅菌水に懸濁された真菌胞子を脂質表面にスプレーまたは塗布することが含まれる。そして典型的に約7日〜約120日の範囲、より典型的には約7〜65日、または約7〜56日、または約7〜42日、または約7〜35日の範囲の期間、基材をインキュベートする。さらにより典型的には、約7〜28日または約7〜21日の範囲および最も典型的には14、21、28、35、42、56、および65日の範囲の期間、基材をインキュベートする。接種後の脂質基材を4〜35℃の範囲、典型的には約15〜20℃の範囲の温度、および80〜100%の範囲、典型的には95%の相対湿度でインキュベートする。
【0024】
インキュベーション後に真菌を含有する動物性脂質基材を細かく刻み、または砕き、そして精製過程の前にステンレス容器へ移す。典型的に本過程は、一定の緩徐な速度で撹拌しながら脂質基材が融解して油になるまで40〜80℃の範囲、典型的には約70〜75℃の範囲の温度で精製することを含む。そしてこの油を典型的に遠心分離および濾過し、そしてさらに抽出することができる。そして生物活性油を含有するろ液を典型的に約15分〜約8時間の範囲、より典型的には約1時間〜6時間の範囲、さらにより典型的には約1時間〜4時間の範囲の期間加熱することによってさらに滅菌する。典型的には、約100〜160℃の範囲、より典型的には約110〜150℃の範囲およびさらにより典型的には約120〜140℃の範囲、最も典型的には約130〜135℃の温度にろ液を加熱する。
【0025】
植物種子、ナッツ油または動物起源でない他の脂質供給源の場合、接種およびインキュベーション後の真菌を含有する脂質基材/群を細かく刻み、または砕いた後にスクリュープレスを使用して冷却圧縮してよく、そしてスクリュープレス由来の油を遠心分離およびろ過する。そしてこの油を典型的に約15分〜約8時間の範囲、より典型的には約1時間〜6時間の範囲、さらにより典型的には約1時間〜4時間の範囲の期間加熱することによって滅菌する。典型的にこの油を約100〜160℃の範囲、より典型的には約110〜150℃の範囲およびさらにより典型的には約120〜140℃の範囲、最も典型的には約130〜135℃の温度に加熱する。そして得られた油を動物性基材と同様に処理する。
【0026】
そして上記過程から得られた油を溶媒抽出に付してよい。溶媒抽出は典型的に質量または容量ベースで1/1または2/1の溶媒対油比で油を混合し、次いで20℃〜−40℃の温度範囲にわたって30分〜24時間の期間冷却することを含む。溶媒をデカントし、または捨て、必要であれば内容物を遠心分離し、そして蒸発乾燥して抽出物を得る。生じた残留物は生物活性化学物質を含有する。
【0027】
また上記過程由来の油または抽出物(油およびその抽出物の化学処理によって得られる任意の誘導体を含む)を以下の過程に付して、特定フラクションまたは化学物質を得てよい:
(1)高速液体クロマトグラフィ、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(2)超流動体クロマトグラフィ(super fluid chromatography)、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(3)薄膜分子蒸留装置または蒸発装置(例えばPope)、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(4)薄膜蒸発装置および分別蒸留カラムを内蔵するハイブリッド蒸留装置。
(5)分子蒸留プラントまたは(3)、(4)および(5)における上記項目の任意の組み合わせ、使用される実験的条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
【0028】
本発明の第二の側面は、生物活性油および/またはその抽出物の脂肪酸エステルおよび/またはアミドを投与することによってヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防する方法を提供することである。エステルには、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピル基が含まれる。当該油の抽出物のメチルおよびイソプロピルエステルはラットの関節炎の処置に関して首尾良くin−vivo試験され、良好な結果を示している。
【0029】
本発明の関連の側面は、本発明にしたがって製造される生物活性油の脂肪酸エステルおよび/またはアミド、および/またはその抽出物の使用であって、その投与によってヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための薬物の製造に関する使用を提供することである。
【0030】
典型的に、製造される生物活性油を使用してヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害または症状を処置および/または予防することができる。処置または予防される可能性がある典型的な疾患、障害または症状には以下に挙げるものが含まれる:呼吸器疾患または症状、例えば喘息、気管支疾患および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管疾患または症状、例えばアテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、高血圧症および鎌形赤血球疾患関連血管閉塞、皮膚疾患または症状、例えば諸皮膚炎、乾癬およびアトピー性湿疹、すべてのタイプのやけど、胃腸疾患または症状、例えば潰瘍、胃(液)の逆流(gastric reflux)、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎および歯周病、癌、例えば腸癌および前立腺癌、サルコイドーシス、敗血性ショック、筋骨格疾患または症状、例えば関節炎、例えば骨関節炎および関節リウマチ、慢性関節および靭帯痛、白血病、糖尿病、アレルギー、例えば中耳炎および眼アレルギー、ブドウ膜炎、月経困難症、腎疾患または症状、例えば糸球体腎炎および腎炎症候群および前立腺疾患または症状、例えば良性前立腺肥大、および多種多様な炎症性障害。また、製造される生物活性油は骨密度(bone mass density)を増加させ、骨強度および結合組織障害を改善させることができる。
【0031】
生物活性油およびその抽出物はC反応性タンパク質の合成を阻害し、すなわちC反応性タンパク質阻害剤であるようである。(治療活性についての下記実施例の患者7に関する試験結果を参照のこと)。ゆえにこれらの油およびその抽出物を使用して、C反応性タンパク質の産生に関連する広範囲のヒトおよび動物疾患および症状を処置してよい。
【0032】
C反応性タンパク質(CRP)はいわゆるペントラキシンファミリーのタンパク質に属する。その理由は、5個の同一のサブユニットを有するからである。第一染色体上の単一遺伝子によってエンコードされるこのサブユニットは会合して安定なディスク状の5量体構造を形成する。該タンパク質はStreptococcus pneumoniaeの体細胞性C多糖と反応するのでそのように命名された。該タンパク質は1930年にTilletおよびFrancesによって最初に発見された。カルシウムの存在下で、CRPはホスホコリン部分に特異的に結合する。これによりCRPは宿主防御の役割を与えられる。その理由はホスホコリンが微生物の多糖(この場合CRP結合は従来の補体経路を活性化し、食作用のためにリガンドをオプソニン化する)、炎症誘発性(pro-inflammatory)血小板活性化因子(PAF)(中和される)、および多形体(下方制御される)に認められるからである。
【0033】
CRPは肝臓でのみ生産され、急性の炎症性刺激の6時間以内に増加した量で分泌される。血漿レベルは少なくとも8時間毎に倍増可能であり、約50時間後にピークに達する。炎症性刺激が有効に処置または除去されると、レベルは標識化外来性CRPの血漿半減期がほぼ5〜7時間である程度に急速に低下し得る。「正常な」CRP応答を妨害する唯一の条件は重篤な肝細胞機能障害である。
【0034】
CRPレベルの大きな上昇に関連するいくつかの最も一般的な条件は以下に挙げるものである:
(a)炎症性疾患、例えば諸形式の関節炎、例えば関節リウマチ、乾癬性関節炎および若年性慢性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、ライター病等。
(b)悪性腫瘍、例えばリンパ腫、肉腫。
(c)壊死、例えば心筋梗塞、腫瘍塞栓形成および急性膵炎。
(d)外傷、例えばやけどおよび骨折。
(e)リウマチ熱、結核、同種移植拒絶および白血病。
【0035】
生物活性油およびその抽出物はマウス線維芽細胞セルラインからのプロスタグランジンPGE2の分泌を阻害するようである。ゆえにこの結果(油抽出物に曝露された3T3細胞から分泌されるPGE2の阻害%をまとめた表9を参照のこと)はこれらの油および抽出物がシクロオキシゲナーゼ経路を阻害すると思われることを確認する(一方で、該アッセイはCOX−1およびCOX−2の両者に関する結果を提供する一般的アッセイであるが、特別なヒトのデータおよび動物実験によれば、これらの油および抽出物は出血を阻害し、ゆえにCOX−1経路は関与しないかもしれない)。ゆえにこれらの油および抽出物を使用して、COX経路に関連する広範囲のヒトおよび動物疾患および症状を処置することができる。これらのタイプの阻害剤を使用してヒトおよび動物の疾患および症状、例えば関節リウマチ、骨関節炎、痛み、等を処置してよい。
【0036】
該生物活性抽出物はロイコトリエン合成を阻害するようであり、すなわち5−リポキシゲナーゼ阻害剤である。
【0037】
また製造される生物活性油は種々の医薬品、例えばデキサメタゾンおよびプレドニゾンの効力を相乗的に増強することが知られている。このような相乗作用は重大な臨床上の利点である。その理由は、高レベルの炎症誘発性ロイコトリエンまたは5−リポキシゲナーゼは喘息だけでなく関節リウマチ、骨関節炎、強皮症および炎症性腸疾患、例えばクローン病に関連し、そして本発明の活性油を投与すると、より低用量のステロイドしか使用しなくてよいからである。(リポキシゲナーゼ阻害剤とステロイドの相乗作用に関する図4を参照のこと。)
【0038】
本発明の第三の側面は、生物活性油、または生物活性油の脂肪酸エステルおよび/またはアミドおよび/またはその抽出物を、製薬的に許容される担体、賦形剤または補助剤(アジュバント)とともに含む医薬組成物を提供することである。典型的に、本組成物は即効性(immediate release)、持続放出性(extended release)、パルス放出性(pulse release)、可変放出性(variable release)、制御放出性(controlled release)、持効性(timed release)、徐放性(sustained release)、遅延放出性(delayed release)、長時間作用性(long acting)、およびそれらの組み合わせの形式であり得る。
【0039】
以後、本発明の好ましい形式を例示によって説明する。説明中、添付の図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
前記内容から明瞭であるように、本発明は脂質基材の真菌による代謝/変換に関する。真菌は脂質基材に内因性または外来性の真菌であり得る。しかし、非常に特別な能力を有する真菌のみが脂質基材上で生育する。すべてがその単離元である脂質基材、または他の脂質基材を変換する能力を有するわけではない。したがって本発明で利用できるのは、脂質基材上で生育し、脂質基材を代謝/変換して生物活性化学物質を含有する油を生産するすべての真菌である。
【0041】
a)真菌の単離
標準的方法を使用して脂質から真菌を単離し、培養する(いくつかの一般的な方法に関してはWaller et al 2002を参照のこと)。自然にコロニー形成された脂質基材の表面上または表面近くで真菌の生育が認められる。典型的には、標準的技術を使用して、真菌によって自然にコロニー形成された脂質基材から種々の標準寒天培地上へ真菌を単離する。典型的に、滅菌プローブを用いて真菌の断片を取り出し、そしてこの断片を以後の生育および同定のために培地上にまくことによって脂質基材の表面上で生育する真菌を取得する。典型的には、アルコールまたは次亜塩素酸塩を用いて脂質基材の表面を滅菌した後に内因性の真菌を取得する。そして細菌生育を抑制する抗生物質を含有する培地上に脂質基材の断片をまく。培養および以後の同定のために、出現した真菌を新鮮な滅菌培地へ継代培養する。典型的な培地には、ポテトデキストロース寒天、麦芽抽出物寒天、V8ジュース寒天、コーンミール寒天、オートミール寒天が含まれる。典型的に、単離プレートから同一または他の標準培地上で真菌を継代培養することができる。
【0042】
該真菌は、標的化合物の形成および活性を増強する従来技術または遺伝的技術に付することができる。脂質基材から単離される真菌をその脂質基材の変換に関して試験することができる。最も効率的に変換することが認められる真菌を低効率の単離体ととり代えて、生物活性化合物の生産を増加させることができる。これらの過程は生物活性化合物の生産を増強するのに広く使用されており、例えばペニシリンの生産を増強するのに使用された。真菌から酵素を単離精製することができ、物理的または化学的処理技術を使用してその活性を最大にすることができる。この過程はR. K. Saxena, Anita Sheoran, Bhoopander Giri, W. Sheba Davidson, (2003)「微生物リパーゼに関する精製ストラテジーのレビュー(Review of Purification Strategies for Microbial Lipases)」, 52, 1-18にしたがって行う。この文献は引用により本明細書中に包含される。酵素は、脂質基材上で生育し、脂質基材を変換/代謝して生物活性化学物質を含有する油を生産することが既知である真菌から単離されるのみである。
【0043】
b)真菌および酵素の保存
標準的技術、例えば凍結乾燥、低温保存、滅菌水中での保存、油環境下の栄養寒天上での保存、または乾燥条件での保存を使用して真菌を保存する(真菌保存のいくつかの標準的技術に関してはWaller et al 2002を参照のこと)。
【0044】
c)脂質基材の保存
動物性および植物性の脂質基材は密閉容器中に保存する。動物性脂質は典型的に−18℃未満の温度で保存する。動物性脂質を凍結乾燥して砕き、または細かく刻んだ後に低温で保存してよい。植物性の脂質基材は典型的に9%未満の低湿度の標準的条件下で保存する。温度は30℃未満で維持する。
【0045】
d)(海洋および陸生起源の)動物および植物性脂質基材の接種前滅菌
変換前に、脂質基材を滅菌して内因性微生物を除去する。滅菌には、エタノールまたは次亜塩素酸塩溶液中での洗浄、ガンマ照射またはその同等処理、または加熱処理が含まれるであろう(慣用技術の例に関してはWaller et al 2002,「植物病理学者ハンドブック第3版(Plant Pathologists Pocketbook 3rd Edition)」, CABI, New Yorkを参照のこと)。加えて、ツァペックドックス(Czapek Dox)寒天に認められるような特定の無機および有機の添加物を加えることによって脂質基材/群を修飾してよい(慣用の無機補充物質であるツァペックドックスの調製に関してはWallerを参照のこと)。
【0046】
同様に変換前に、植物性基材を滅菌して内因性微生物を除去する。滅菌には、エタノールまたは次亜塩素酸塩溶液中での洗浄、ガンマ照射またはその同等処理、または加熱処理が含まれるであろう(慣用技術の例に関してはWaller et al 2002,「植物病理学者ハンドブック第3版(Plant Pathologists Pocketbook 3rd Edition)」, CABI, New Yorkを参照のこと)。加えて、ツァペックドックス寒天に認められるような特定の無機および有機の添加物を加えることによって脂質基材/群を修飾してよい(ツァペックドックスの調製に関してはWallerを参照のこと)。
【0047】
e)脂質基材の接種
脂質基材に1種またはそれ以上の真菌またはその酵素を必要に応じて接種する。この基材をスライスし、細かく刻み、切り刻み、または砕いて、固形シートであってよい表面上の典型的に0.5〜10cmの範囲の層中で拡散することを可能にしてよく、あるいは孔をあけて、酸素が下部表面へ入り、油が基材から落ちて適切な容器に回収されることを許容してよい。接種には標準的手順(Waller et al 2002を参照のこと)を使用する。この手順には、滅菌水に懸濁された真菌胞子を脂質表面にスプレーまたは塗布することが含まれる。接種後の脂質基材を4〜35℃の範囲、一般的には約15〜20℃の温度、および80〜100%の範囲、典型的には95%の相対湿度でインキュベートする。そして典型的にこの基材は、7日〜約120日の範囲、および典型的には7、14、28、35、42、56、65日の範囲の期間インキュベートする。
【0048】
f)油の製造および生物活性化合物の抽出
真菌の代謝中に使用される脂質基材に応じて、生物活性油を抽出するのに使用される方法が決定される。使用してよい3つの主な方法は以下に挙げるものである:温度精製(temperature rendering)、溶媒抽出および冷却圧縮。後者の2方法は植物油の製造に関してのみ使用される。
【0049】
インキュベーション後に真菌を含有する動物性脂質基材を細かく刻み、または砕き、精製過程の前にステンレス容器へ移す。典型的に本過程は、一定の緩徐な速度で撹拌しながら脂質基材が融解して油になるまで、40〜80℃の範囲の温度、通常は約70〜75℃の温度設定で精製することを含む;加熱は電気的に、あるいは蒸気または熱水によって行ってよい。そして油を含有する容器中の液状物を遠心分離し、次いでろ過する。そして遠心分離段階から残存する残留物をさらに抽出に付してよい。この場合、一般に植物種子油および医薬品工業で使用される標準的手順ならびに研究で使用される天然産物の単離における標準的手順を使用する。そして生物活性油を含有するろ液を、不活性ガス雰囲気下または通常の雰囲気条件で100〜約160℃の範囲の温度でさらに15分〜約8時間の範囲の期間加熱する。一般に使用される典型的条件は、不活性ガス雰囲気、例えば窒素下で、135℃で2時間である。この段階では油を滅菌し、さらに、存在する任意のタンパク質/群を変性させる。熱交換器を使用して適切な温度に冷却した後に、油を再度ろ過して、存在する可能性がある任意の残留沈殿タンパク質および/または真菌微粒子を除去する。この油を20およびまたは200リットルの医薬品等級の保存用ドラム内にパッケージする。油からの生物活性化合物の抽出に関しては図1を参照のこと。
【0050】
植物種子、ナッツ油または動物起源でない他の脂質供給源の場合、接種およびインキュベーション後の真菌を含有する脂質基材/群を細かく刻み、または砕いた後にスクリュープレスを使用して冷却圧縮してよく、そしてスクリュープレス由来の油を遠心分離およびろ過する。この油を不活性ガス雰囲気下または通常の雰囲気条件で100〜約160℃の範囲の温度でさらに15分〜約8時間の範囲の期間加熱する。一般に使用される典型的条件は、不活性ガス雰囲気、例えば窒素下で、135℃で2時間である。この段階では油を滅菌し、さらに、存在する可能性がある任意のタンパク質/群を変性させる。熱交換器を使用して適切な温度に冷却した後に、油を再度ろ過して、任意の残留沈殿タンパク質および/または真菌微粒子を除去する。この油を20およびまたは200リットルの医薬品等級の保存用ドラム内にパッケージする。圧搾器由来のケーキを、例えばヘキサン、イソヘキサン、ペトロリウムスピリット、メタノール、イソプロパノール、プロパノール、エタノールおよびジエチルエーテルから選択される一定の種類の一般的な溶媒を使用して溶媒抽出する。そしてこの溶媒を蒸発によって除去し、将来の使用のために回収する。使用される技術は植物油工業において標準的である。そして得られた油を動物性基材に関して記載されるように処理する。
【0051】
そして上記過程から得られた油を種々の温度で溶媒抽出に付してよい。この場合、典型的に1種またはそれ以上の以下の溶媒を使用する:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、軽ペトロリウムスピリット、ブタノール、アセトンおよびアセトニトリル。この手順は、質量または容量ベースで1/1または2/1の溶媒対油比で油を混合し、そして20℃〜−40℃の温度範囲にわたって30分〜24時間までの期間冷却することを含む。この溶媒をデカントし、または捨て、必要であれば生物活性分子含有物を遠心分離し、蒸発乾燥して抽出物を得る。典型的条件では、油100gをメタノール100gと十分に混合し、0℃で16時間保持し、そして必要であれば遠心分離し、実験室規模で回転式フィルム蒸発装置を使用して溶媒抽出する。生じた残留物は生物活性化学物質を含有する。再利用のために溶媒を回収すべきであろう。
【0052】
投与形式:
発明対象の医薬組成物では、剤形が種々の放出形式を兼ね備えることが可能である。この放出形式には、非限定的に、即効性、持続放出、パルス放出、可変放出、制御放出、持効性、徐放、遅延放出、長時間作用性、およびその組み合わせが含まれる。即効性、持続放出、パルス放出、可変放出、制御放出、持効性、徐放、遅延放出、長時間作用性特性およびその組み合わせの取得は、通常の当業者が利用可能な周知の手順および技術を使用して実施することができる。放出特性を取得するためのこれらの各具体的技術または手順は当業者に周知である。本明細書中で使用される「制御放出形式(剤形)」とは、少なくとも1成分が制御放出用に製剤化されている任意の形式(剤形)を意味する。本明細書中で使用される「即効性形式(剤形)」とは、少なくともいくつかのその医薬活性成分が即時放出用に製剤化されている任意の形式(剤形)を意味する。
【0053】
種々の投与経路が利用可能であり、経路の選択は処置対象の具体的症状および治療効力に必要な用量(投与)に依存する。本発明の方法および組成物では、任意の投与様式が許容され、この様式には、経口、経直腸、局所、鼻腔、経皮または非経口(例えば皮下、筋肉内および静脈内)経路が含まれる。
【0054】
発明の対象は任意の生物学的に許容される剤形およびその組み合わせを意図する。このような剤形の例には、非限定的に、チュアブル錠、高速溶解錠剤、発泡(effervescent)錠、再組成用粉末剤、エリキシル剤、液状剤、溶液剤、懸濁液剤、乳剤、錠剤、多層錠、二層錠、カプセル剤、軟(ゼラチン)カプセル剤、硬(lard)(ゼラチン)カプセル剤、カプレット、トローチ剤、チュアブルトローチ剤、ビーズ、粉末剤、顆粒剤、粒子、微粒子、分散性顆粒剤、カシェ剤、圧注、坐剤、クリーム剤、ローション剤、局所用剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、デポーインプラント、摂取剤(ingestibles)、注射剤、注入剤、機能性食物およびその組み合わせが含まれる。上記投与剤の調製は当業者に周知である。一般に、各投与剤はあらかじめ定められた量の活性成分を1種またはそれ以上の適切な成分を構成する担体と併せて含有するであろう。
【0055】
非経口投与に適した組成物は、既知の方法にしたがって適切な分散剤および懸濁化剤を使用して製剤化された活性成分の滅菌水性調製物を含むのが好都合である。滅菌注射用調製物は、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒(例えば水、等張性塩化ナトリウム溶液)中で溶液または懸濁液として製剤化してよい。また滅菌固定油を溶媒または懸濁培地として使用することができる。
【0056】
典型的な用量は0.01mg〜1000mg/キログラムから選択される。1日を通じて数回の投与が必要であろう。すなわち5mLの投与量で5mL〜20mL/日の油を投与する。また初期の日用量が30または40mlの純粋な油であることも典型的である。1日当たり複数回の投与によって活性成分の適切な全身性レベルを達成することが意図される。治療用組成物の製剤化は当業者に周知である。適切な製薬的に許容される担体および/または希釈剤には、任意およびすべての慣用溶媒、分散媒、賦形剤(fillers)、固形担体、水性溶液、コーティング、等張液および吸収遅延剤等が含まれる。このような製剤および製剤化はRemingtons's Pharmaceutical Sciences (18th Edn), Mack Publishing CO, Pennsylvania, USAに記載されている。
実施例
【実施例1】
【0057】
A)生物活性油を使用する局所用薬物の調製
局所適用のためのクリーム剤の例を以下のプロトコルにしたがって調製した:
製剤例1
【0058】
製造手順
1.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
2.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
3.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
4.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
5.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
6.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
7.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
8.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験(challenge testing)後に保存剤量の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0059】
製剤例2
【0060】
製造手順
9.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
10.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
11.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
12.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
13.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
14.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
15.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
16.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0061】
製剤例3
【0062】
製造手順
17.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
18.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
19.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
20.B相をA相に加え、15分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
21.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
22.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
23.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
24.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤量の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 945、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0063】
製剤例4
【0064】
製造手順
25.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
26.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
27.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
28.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
29.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
30.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
31.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
32.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0065】
製剤例5
【0066】
製造手順
33.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
34.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
35.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
36.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
37.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
38.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
39.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
40.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0067】
製剤例6
【0068】
製造手順
41.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
42.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
43.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
44.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
45.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
46.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
47.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
48.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0069】
製剤例7
【0070】
製造手順
49.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
50.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
51.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
52.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
53.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
54.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
55.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
56.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0071】
製剤例8
【0072】
製造手順
57.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
58.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
59.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
60.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
61.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
62.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
63.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
64.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(e)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0073】
製剤例9
【0074】
製造手順
65.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
66.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
67.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
68.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
69.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
70.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
71.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
72.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0075】
製剤例10
【0076】
製造手順
73.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
74.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
75.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
76.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
77.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
78.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
79.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
80.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0077】
製剤例11
【0078】
製造手順
81.A相において水およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
82.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
83.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
84.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
85.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
86.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
87.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
88.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【実施例2】
【0079】
B)生物活性油を含有する経口製剤:
1.0.1%酢酸トコフェロールを含有する油約0.9gを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ハードゲルカプセル(0.95mL)。
2.マカデミア油または同等物中に分散された油0.50gを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ハードゲルカプセル(0.95mL)。
3.100μL〜1.0mLの油を含有し、必要であれば0.1%抗酸化剤が添加されているゼラチンまたは同等のポリマー製ソフトゲルカプセル(100μL〜1.0mL容量)。
4.必要であれば抗酸化剤および別の油、例えばマカデミア油、ダイズ油または同等物を含有する油由来の抽出物10mg〜1000mgを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ソフトゲルカプセル(100μL〜1.0mL容量)。
5.上記3および4と同様のソフトゲル坐剤。
6.他の油、例えばオリーブ、マカデミアおよび香味、例えばキイチゴ、イチゴ、バナナが添加され、必要であれば抗酸化剤が添加されている油および抽出物製シロップ剤およびローション剤。スプーンまたはシリンジによって投与する。
7.油5.0mLをスプーンまたはシリンジによって経口投与する。
【実施例3】
【0080】
C)種々の動物および植物油およびその抽出物の生物学的活性を分析するために使用されるin vivoラットモデルでの試験手順
1.アジュバント誘発多発性関節炎を発症しているラットにおいて抗炎症性効力を測定した。関節炎が最初に発症した時点から試験薬剤を経皮または経口投与した。低用量ステロイドとの相乗的活性を以下のラットにおいて測定した:i)完全に確立されたアジュバント関節炎を伴うラットまたはii)0.5mgザイモサン(生理食塩水0.2mL中)を注射し、そして急性浮腫が(ヒスタミン/セロトニン放出に関連する)ピークに達するまで3時間待ち、残留する足膨潤を21〜45時間後に測定することによって誘発された慢性足浮腫を伴うラット。経皮投与では、油を0.15容量のシネオールで希釈して皮膚浸透を促進し、剪毛された背側の皮膚(6cm2)に1日1回短時間こすりつけて適用した。(以下の表1および2を参照のこと)。
【0081】
2.同時関節炎原性(co-arthritigenic)活性をダークアグーチ(Dark Agouti)ラットにおいて測定した。この測定はまず試験用油(10mg/kg)中に細かく砕かれた加熱死菌のMycobacterium tuberculosis(結核菌)を分散させ、次いで0.1mLを雌性ダークアグーチラットの尾の基部内へ注射することによって行った。関節炎の徴候を15日目に記録した。エミュー油由来の抽出物の取得は、等しい質量の油およびメタノールを混合し、次いで低温室またはフリーザー中に0℃で少なくとも12時間保存し、液層をデカントし、回転式フィルム蒸発装置を使用して溶媒を蒸発させることによって行った。フラスコ中に残存する残留物は抽出物を含有する。これらの抽出物をまずホホバマメ油(jojoba bean oil)に溶解し、ホホバマメ油中で新たに調製された等しい容量のMycobacterium tuberculosisの分散物(10mg/ml)で希釈した。(以下の表3を参照のこと)。
【0082】
3.胃保護活性を以下のラットにおいて確認した:a)疾患ストレスを受けている(未処置)多発性関節炎の雌性ダークアグーチまたはウィスター(Wistar)ラットおよびb)一晩絶食され、コリン作動薬である、メタコリン塩酸塩(5mg/kg i.p.)を注射された正常なダークアグーチまたはウィスターラット。ボルテックス(Vortex)ホモジナイザーを使用して試験材料を0.04%v/vのTween-20で乳化し、次いでガストロトキシンとして使用されるOTCイブプロフェン(NUROFEN)55mg/kgの分散物と同時投与した。2.5時間後に胃を取り出し、生理食塩水中で短時間すすぎ、胃粘膜の巨視的な出血性損傷の数および重症度をスコアした。(以下の表4および5を参照のこと)。
【0083】
4.ラットにおけるザイモサン誘発性足浮腫の抑制に関するエミューおよびマカデミア油とコルチコステロイドの相乗的活性。ザイモサン0.5mgを各後ろ足内へ注射した3時間後に、Tween-20中のP=プレドニゾン2.5mg/kgまたはD=デキサメタゾン0.1mg/kgを加えた油全体、または抽出物の1回の処置量を経口投与した。データはオリーブ油のみで処置されたコントロールと比較された足膨潤の相対的減少であり、阻害パーセントとして示される。(以下の表6を参照のこと)。
【0084】
5.in vitro試験用に、低温での溶媒抽出または固相抽出を通常の実験室手順にしたがって使用して油を処理し、大部分のトリグリセリドを除去した。in vivo試験用に、この油を22℃でろ過して、重量基準で5〜45%で変動する固形物を除去した。例外的に、0.1容量のn−オクタノールまたは0.5容量までのミリスチン酸イソプロピルで堅いサンプルを希釈して、その「液化」を支援した。これらの溶媒は記載されるアッセイに関して不活性な媒体である。
注記:使用されるすべてのMycobacterium tuberculosisは、細かく砕き、加熱して死滅させて使用する。
【0085】
結果
1.ウィスターラットの尾の基部にスクアレン0.1mL中のMycobacterium tuberculosis 0.8mgを注射した(0日目)。生物活性油での処置は以下の様式で行った:
A)10〜13日目に単独で経皮投与(4ラット/gp)または
B)15〜17日目にプレドニゾン(2.5mg/kg)とともに経口投与(3ラット/gp)。
【0086】
関節炎の徴候の変化を以下に示す。体重(重量)が増加すれば良好であり、減少すれば毒性の可能性を示す。関節炎のスコアが低いほど良好である:
注記:油の情報に関してはクロマトグラム番号および加工条件を含有する表6を参照のこと。
【0087】
表1〜8の各サンプルに関する加工条件およびクロマトグラフを表11にまとめる。対応するクロマトグラムには1〜32の番号を付する。例として、表3のエミュー−type 2の油の取得は、表11の第4行に記載の加工条件にしたがって行った(サンプルコードType 2)。このサンプルの生物学的活性はクロマトグラム4に示される。
表1.
【0088】
【表1】
表2.
【0089】
【表2】
【0090】
表3:いくつかのエミュー/他の油の関節炎原性活性
細かく砕かれた加熱死菌のM. tuberculosis(10mg/mL)と油を混合し、0.1mLを雌性ダークアグーチラットの尾の基部内へ注射した。
【0091】
ホホバマメ油での分散物は終濃度5mg/mLのM. tuberculosisしか含有しなかった。15日目に3ラットからなる群に関して関節炎の徴候をスコアした。
【0092】
【表3】
【0093】
表4/5:ラットにおけるいくつかのエミュー油の胃保護活性
0.04%v/vのTween-20を用いて調製された試験用乳剤=0.4mLの油/kgとともに胃刺激物=55mg/kgのイブプロフェンを一晩絶食させた動物に経口投与した。この場合、メタコリンのi.p.投与を伴うか、または伴わない。
【0094】
A.疾患ストレス状態の、(15日目に、または15日より後に)完全に発症した多発性関節炎を伴う雌性ウィスターまたはダークアグーチラットにおける実験。メタコリンなし。
表4:
【0095】
【表4】
【0096】
B.ベータ−メタコリン(ウィスターラットでは5mg/kgまたはダークアグーチラットでは8mg/kg)で刺激された正常ラットにおける実験。
表5:
【0097】
【表5】
【0098】
表6:ラットにおけるザイモサン誘発性足浮腫の抑制に関するエミューおよびマカデミア油とコルチコステロイドの相乗的活性。
【0099】
ザイモサン0.5mgを各後ろ足内へ注射した3時間後に、Tween-20中のP=プレドニゾン2.5mg/kgまたはD=デキサメタゾン0.1mg/kgを加えた油全体、または抽出物の1回の処置量を経口投与した。データはオリーブ油のみで処置されたコントロールと比較された足膨潤の相対的減少であり、阻害パーセントとして示される。
【0100】
【表6】
【実施例4】
【0101】
D)いくつかの諸油サンプルのin−vitro LOXアッセイ
好中球5−リポキシゲナーゼ経路
【0102】
概要
アラキドン酸は以下の2つの主要な経路によってエイコサノイド(またはプロスタノイド)に変換される:ロイコトリエン形成を生じさせる5−リポキシゲナーゼ経路、およびプロスタグランジンおよびトロンボキサン形成を生じさせるシクロオキシゲナーゼ経路。これらの両経路の、すべてではないがいくつかの産物は強力な炎症誘発性を有する。例えば、LTB4は非常に強力な走化性物質であり、またそのペプチド代謝産物である、元来は「アナフィラキシーの遅反応性物質」またはSRS−Aとして知られていたLTC4、LTD4およびLTE4は強力な気管支収縮物質である。
【0103】
多数の現在使用されている抗炎症剤、特に非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)はシクロオキシゲナーゼ経路を阻害することによって機能する。最近では、リポキシゲナーゼ経路の阻害剤または両経路をブロックする二重阻害剤の開発に焦点を合わせた相当の努力が世界中で施されている。
【0104】
これらの細胞の5−リポキシゲナーゼ経路の主な段階を図3に示す。この経路では、ホスホリパーゼA2(PLA2)の作用を介して膜リン脂質からアラキドン酸(AA)が放出される。そしてこのAAは当経路の第一の酵素−5 リポキシゲナーゼの基質である。この酵素は基質を5−ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸(5−HPETE)に変換する。次いで5−HPETEは酵素的に変換され、グルタチオンペルオキシダーゼによって5−ヒドロキシエイコサテトラエン酸(5−HETE)になるか、あるいはLTA4シンターゼによってロイコトリエンA4(LTA4)になる。次いでLTA4は非酵素的にLTB4のオールトランス異性体に変換されるか、あるいはLTA4加水分解酵素によってロイコトリエンB4(LTB4)に加水分解される。ヒトPMNによるLTB4のそれ以上の代謝は認められない。一方、他の細胞、例えば好酸球はそれを強力な血管収縮剤であるペプチド−ロイコトリエン、SRS−Aに変換する。
【0105】
リポキシゲナーゼ経路(ロイコトリエンおよびHETE)アッセイ
HPLCアッセイでは、5−HETE、12−HETE、LTB4、およびLTB−4の2種のオールトランス−異性体が容易に定量化でき、したがって好中球の5−リポキシゲナーゼにおける酵素の相対的活性に関する定量的データ、ならびに血小板の12−リポキシゲナーゼ経路に関するデータが得られる。したがってこれは前記経路の阻害剤候補を試験するために理想的な系である。
【0106】
阻害化合物の効果を単離されたヒトPMNおよび血小板に関して試験してよい。この場合、経路はPMNまたは血小板をアラキドン酸およびカルシウムイオノフォアA23187で処理することによって活性化される。アラキドン酸を加えると、PLA−2段階が排除され、またこの経路に関する高レベルの基質が提供される。さらにまた、前記活性化は経路を最大に駆動させてすべての代謝産物の最大合成を生じさせることが既知であり、ゆえにまたこの活性化は阻害に対する感受性が最も低い。したがって、この様式で活性化された経路を実際に阻害する化合物は強力な阻害剤候補である。
【0107】
試験サンプルの調製
すべてのサンプルをエタノールに溶解して10mg/mLの原液を得た。各原液をさらに希釈して、エタノール中の5および1mg/mLの2種の希釈物を作成し、合計で10種の試験サンプルを作成した。
【0108】
各希釈原液10μLをハンクスバッファー(Hank's Buffer)中のPMN懸濁液1000μLに加えて、分析に必要な最終試験濃度5、10および50ug/mLにした。
【0109】
ヒト好中球(PMN)の調製
1.正常なボランティアから100mLまでの血液を採取し、EDTAで抗凝固処理した。水中の4.5%EDTA2mLを各10mLの血液と混合した。
2.さらに2mLの6.0%デキストランT500(Dextran T500)を上記1の各12mLの混合物に加え、37℃の水浴中に置いて赤血球を沈降させた。
3.上記2の沈降後、上清を密度1.070のパーコール(Percoll)5mL上に慎重に重ねた。次いでこれを500gで35分間で回転させた。
4.パーコール界面下のすべての細胞(PMNおよび残留RBC)をプラスチックピペットで除去し、Ca2+/Mg2+を含まないダルベッコ(Dulbecco's)リン酸バッファーで少なくとも3倍希釈し、600gで10分間遠心分離した。
5.上記4の後、上清を慎重に吸引し、ペレットを1ml使い捨てプラスチックピペット内へ吸引/脱吸引することによって1mLのCa2+/Mg2+を含まないダルベッコリン酸バッファーと穏やかに混合した。次いでさらに40mLのCa2+/Mg2+を含まないダルベッコリン酸バッファーを加え、反転によって混合した。次いでこの細胞懸濁液を600gで10分間遠心分離した。
6.遠心分離後、上清を除去し、PMNペレットを10mLの0.2%冷塩化ナトリウム溶液で20秒間溶解し、次いで10mLの1.6%冷塩化ナトリウム溶液を加え、600gで10分間遠心分離した。
7.上記6の後、PMNペレットを1mL使い捨てプラスチックピペット内へすばやく吸引/脱吸引することによって1mLのハンクスバッファーと強く混合し、そして最終的に、ロイコトリエンアッセイ用の調製物において、ハンクスバッファー中に2.4x106PMN/ml(コールターカウンター(Coulter counter)を使用して測定)で懸濁した。
【0110】
ロイコトリエン経路の活性化
1.1mLのPMN懸濁液(2.4x106PMN/ml)を13mLガラス管(クロム酸洗浄済)へ移し、37℃の水浴中に置き、5分間予熱した。
2.予熱後、0時点で、メタノール中の各試験化合物10μL(またはコントロールである同容量のメタノール)を4つの試験管に20秒間かけて加えた。
3.5分の時点で、5mLの2mMアラキドン酸(最終10μM)を加えた(4試験管/20秒)。
4.10分の時点で、5mlの1mMカルシウムイオノフォア(A23187)(最終5μM)を加えた(4試験管/20秒)。
5.15分の時点で100μLの100mMクエン酸を加えることによって反応を停止させた。これにより水相のpHは3未満に低下する。これは有機相内へロイコトリエンを抽出するのに必要である。
6.いくつかのサンプルのpHを検査し、pH<3.0を確保した。(重要である)。
7.各試験管にそれぞれLTB4および5−HETEに関する内部標準として40ngのプロスタグランジンB2および166ngの15−HETEを加え、サンプルを混合した。
8.検量線用に、1mLのPMN、100μLの100mMクエン酸および40ngのPGB2および166ngの15−HETEを含有する試験管にLTB4[1ng/μl](0〜50ngの範囲の検量線に関して)および5−HETE[5ng/μL](検量線範囲0〜250ng)を加えた。
9.すべての試験管をボルテックスにかけた。
10.5mLのクロロホルム/メタノール(7:3)を加え、試験管を30秒間強くボルテックスにかけ、そして2000rpmで10分間遠心分離した。
11.約3.5mLの下部クロロホルム層(抽出されたロイコトリエンおよびヒドロキシ酸(HETES)、ならびに内部標準を含有する)を3mLホウケイ酸ガラス管に移し、クロロホルムをSavant遠心蒸発装置中、減圧下、室温で蒸発させた。
12.サンプルを100μLのLTB4移動相中で再組成し、ボルテックスにかけ、そして注射用のWaters低容量挿入物(通常<25μl)に移した。
13.HPLCをLTB4条件用に設定し、すべてのサンプルをLTB4およびLTB4のオールトランス異性体に関してアッセイした。
【0111】
ロイコトリエンおよびヒドロキシ酸に関するHPLCアッセイ
移動相
LTB4アッセイ:70%メタノール/30%H2O/0.08%酢酸(水酸化アンモニウムでpH6.2に調節)。
5−HETEアッセイ:80%メタノール/20%H2O/0.08%酢酸(水酸化アンモニウムでpH6.2に調節)。
【0112】
HPLC条件
波長:270nm(LTB4)、234nm(5−HETE)
分析:Water's Millenium
流速:1mL/分
カラムおよびガードパック(Guard Pak):C18 Nova Pak
【0113】
LTB4アッセイ
保持時間
プロスタグランジンB2−4.6分
6−トランス−ロイコトリエンB4−6.6分
6−トランス−エピ−ロイコトリエンB4−7.4分
ロイコトリエンB4−8.7分
【0114】
LTB4およびその6−トランス異性体の正式な化学名
ロイコトリエンB4:(5S,12R)−ジヒドロキシ−(Z,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
6−トランス−ロイコトリエンB4:(5S,12R)−ジヒドロキシ−(E,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
6−トランス−12−エピ−ロイコトリエンB4:(5S,12S)−ジヒドロキシ−(E,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
【0115】
5−HETEアッセイ
保持時間
15−HETE−6.3分
5−HETE−8.5分
正式な化学名
15−HETE:15(S)−ヒドロキシ−(Z,Z,Z,E)−5,8,11,13−エイコサテトラエン酸
5−HETE:5(S)−ヒドロキシ−(E,Z,Z,Z)−6,8,11,14−エイコサテトラエン酸
ロイコトリエン合成に関するエミュー油メタノール抽出物および純粋な12−メチルテトラデカン酸(12−MTA)の効果
(メタノールコントロールについてのパーセントとして示す)
表7
【0116】
【表7】
*抽出前に、高速撹拌しながら、135℃で加熱された油に高速の窒素ガスを2時間通すことによって元の油サンプルを処理し、揮発性化合物を除去した。
ロイコトリエン合成に関するエミュー油の脂肪酸メチルエステル、真菌の接種およびインキュベーションによって製造されたエミューおよびダチョウ油のメタノール抽出物の効果
(メタノールコントロールについてのパーセントとして示す)
表8
【0117】
【表8】
*エミュー油サンプルA、クロマトグラム1の脂肪酸メチルエステル(FAME)。
【0118】
結果および考察
データは表中の全3サンプルが5−LOZ経路の強力な阻害剤であったことを示す。20μg/mLの低用量で100%阻害を示した12−メチルテトラデカン酸とデータを比較する。
【0119】
表8のサンプルではFAMEサンプルが最も低効率であった。一方、エミュー油−WBおよびダチョウ油サンプルは表7の3サンプルと同等である。これにより生物活性油の製造過程は種々の脂質基材等を使用して再現可能であろうことが確認される。
【実施例5】
【0120】
E)油サンプルのIn−vitroプロスタグランジンPGE2(COX経路)アッセイ
本アッセイは、Cayman chemicalsのプロスタグランジンE2EIAキットモノクローナル(EIA Kit Monoclonal)をキットプロトコルにしたがって使用して実施した。各サンプルを3種の希釈率で2通りにアッセイした。表9から理解されるように、アスピリン(50μM)に対するPGE2応答の阻害はコントロール値の約72.6%であった。具体的には、この2種のサンプルは、試験条件下でアスピリンと同等またはそれ以上にマウス線維芽細胞セルラインから分泌されるPGE2の用量依存的阻害を生じさせた。
表9.油抽出物に曝露された3T3細胞から分泌されるPGE2の阻害パーセント
【0121】
【表9】
【実施例6】
【0122】
F)治療活性についての例
1)7年間潰瘍性大腸炎を患っている患者は慢性の下痢および日常的な直腸出血を経験していた。患者は5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取した。潰瘍性大腸炎に関連するすべての肛門の出血は2か月後に消失した。該患者は真菌によって誘導された生物活性ダチョウ油にも応答している。
【0123】
2)腸および十二指腸潰瘍を原因とする慢性痛を患っている患者は5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取し、痛みが止んでいる。また患者は自身の不安定型糖尿病がインシュリンに対してより応答性になり、必要な用量が減少したことを観察した。
【0124】
3)患者は5年前にクローン病と診断され、持続性の腹痛、下痢または便秘、直腸出血、冷や汗および嗜眠を患っていた。数週間にわたり5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取した。その後、該患者のクローン病は緩解し(これは医学的試験によって確認されている)、もはや腹痛、下痢または便秘はない。
【0125】
4)患者は乳癌と診断され、ランペクトミー、放射線および化学療法を受けた。真菌によって誘導された生物活性油から製造されたクリーム剤を1日3回局所適用した。これにより乳房の痛みおよび炎症が減少した。
【0126】
5)患者は10年の軽度〜中度の喘息歴を有する54歳のコーカサス人男性である。この喘息は1日2回の400ugのベクロメタゾンおよび必要な場合にはサルブタモールまたはturbutamine気管支拡張剤吸入器を用いて抑制されていた。これは冬季感染後のウイルス誘発性喘息を抑制するのに不適切であり、この場合、慢性喘鳴および咳嗽を許容レベルに減少させるには5mg/日の経口プレドニゾンが必要であった。該患者に8g/日の真菌によって誘導された生物活性エミュー油を分割用量−朝および夜の各4g−で投与した。3週間以内にすべての喘息症状が減少し、エアロゾルステロイドの休止後も改善が継続した。油を適用して2か月後、他の投薬を行わずに4g/日の油を用いて患者のすべての喘息症状が抑制された。加えて、油の投与により、患者の胃液逆流に対するLOSEC摂取の必要性が減少している。
【0127】
6)患者は51年の慢性喘息(慢性気道狭窄(chronic airways limited)として分類される)歴を有する62歳の女性である。この喘息は10〜50mg/日の経口プレドニゾン、900mg/日のネブリン(neulin)によって抑制され、さらにベントリン/アトロベント吸入器(puffers)および噴霧器(nebules)を頻繁に使用して、慢性喘鳴および咳嗽を許容レベルに抑制する必要があった。該患者に6mlの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を分割用量−朝および夜の各3mL−で投与した。この用量の油を患者に11か月間適用し、これにより実質的に喘鳴雑音が排除され、咳嗽のレベルが減少しており、さらにプレドニゾンのレベルが5mg/日に減少している。また吸入器および噴霧器の使用が減少している。もはや胃液逆流に対するLosec摂取の必要はない。エミュー油を9mL/日、3回の3mL用量/日に増加させ、プレドニゾンをわずかに増加させて10mg/日にすることによって、すべての喘息発作を抑制することができる(ラットモデルによって確認されるようにこの油は相乗的にプレドニゾンの活性を増大させる)。この油の使用を開始して以来、患者の日常の生活スタイルは大きく改善されている。
【0128】
7)患者は23歳のユーラシア人男性患者であり、結腸鏡検査によって診断され、1日40mgのプレドニゾン、1日2グラムのメサラミンを処方されている。プレドニゾンは2週間毎に5mg減らされる。血液検査の結果を受け取った6週間後に、患者を入院させ、ヒドロコルチゾンIVを7日間投与すると、患者の体重は4kg減少し、投薬の結果生じた副作用として寛骨の頭部が死滅剥離し始めた。該患者に以下の入院後投薬(post-hospital medication)を処方する:
1日100mgのイムラン(4年の処置が予定される)
1日50mgのプレドニゾン(2週間毎に5mg減少)。
【0129】
その後、患者は5mlの油(バッチ365)を1日3回摂取し始め、そしてこの油の適用開始から1か月以内にすべての他の投薬を停止した。患者の医学的問題の重症度は減少し続けた。油の適用を開始して3か月後に、1日ティースプーン2杯の油(バッチ365)の抽出物を摂取するよう患者に指示した。そして患者は4か月慢性症状を経験していない。該患者の健康は改善し続け(消化器系、スタミナ、体力(fitness)等)、体重は5kg増加した。累積のC反応性タンパク質は6か月間にわたって65.1〜5.3mg/L、範囲(0.0〜5.0)mg/Lに減少した。この患者の結果を以下の表10にまとめる。
CRPおよびESRの結果
表10
【0130】
【表10】
表11
【0131】
【表11】
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1は、粗製油/ろ液から生物活性油を抽出する過程のフローチャートである。
【図2】図2は、本発明に記載の生物活性油を製造する過程のフローチャートである。
【図3】図3は、炎症誘発性ロイコトリエンを抑制する生物活性油によって影響される酵素経路の概要である。
【図4】図4は、ステロイドおよび生物活性エミュー油由来のリポキシゲナーゼ阻害剤(群)(LI)が協同して作用し、炎症誘発性ロイコトリエンを抑制することができる仕組みを示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質基材(lipid substrates)の真菌(菌類)による代謝/変換であって、ヒトおよび他の動物の疾患、障害または症状を処置または予防するための生物活性化学物質を含有する脂肪および特に油およびその抽出物を生産する代謝/変換に関する。
【背景技術】
【0002】
代替/相補医薬産業の発達およびある部分でその製品が「当てにならない」治療薬であると一般に認識されていることを受けて、この代替産業によって供給される製品が再現性のある効力を有し、かつ一般の人々による使用に関して安全であることを保証する差し迫った必要性が存在する。しかし、最近の報道機関および政府の規制当局による酷評のせいで、代替医薬が原材料の質および製造方法に関する厳格な指針を満たす絶対的な必要条件が存在する。代替医薬に伴う主要な問題の1つは、使用される成分が、ほとんどの場合、多数の異なる化学物質を含有するであろう材料からなることが多いことである。ゆえに、社会の使用に関する製品の効力および安全性を保証することに関する重大な問題が存在する。これらの製品の有効性についての知識が欠乏している主な理由の1つは、代替および相補医療産業は一般にこれらの製品が動物試験に付されていない事実を誇り、ゆえにその主張が検証できないことである。
【0003】
歴史的に、動物および植物油産業は世界中で最も古い部類に属し、ゆえに該業界において使用される手順は確立されている。加えて、産業上および医療上の適用が多数存在し、文献に詳細に記録されている。しかし、多数の油、例えばオリーブ、月見草油、アマニ油、(タラ)肝油およびエミュー油は種々の医学的症状および疾患を処置するために使用されるが、これらのタイプの製品に関する効力および安全性データの再現に関する問題に対して実質的にまったく注意が払われてこなかった。実際には、多種多様の多数の異なるタイプおよび群の動物および植物油についての過去13年の動物および化学試験期間中に、生物活性および化学組成に関する大きなバリエーションが観察されている。
【0004】
本領域では、動物性および植物性抽出物、特に油に基づく相補/代替医薬の信頼性を高めるために、当タイプの製品に関する効力および安全性データの再現性に関する品質管理が第一に取り組むべき事柄であるとますます認められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の目的
したがって本発明の目的は、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患および症状に関する治療活性および予防活性を有する生物活性化学物質を含有する動物および植物由来の油およびその抽出物を製造するための方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、任意の経路、例えば非限定的に、経口、口腔、舌下、経直腸、非経口、局所、吸入、注射および経皮、好ましくは経口または局所経路による投与用に製剤化された医薬組成物であって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害または症状にわたる効力を示す生物活性油および/またはその抽出物(治療用油およびその抽出物)を、製薬的に許容される賦形剤、担体または補助剤(アジュバント)とともに含む医薬組成物を提供することである。
【0007】
また本発明の目的は、本発明の方法にしたがって取得される生物活性油および/またはその抽出物を投与することによって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための方法を提供することである。
【0008】
また本発明の目的は、生物活性油および/またはその抽出物の脂肪酸エステルおよびアミドを投与することによって、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための方法を提供することである。
【0009】
さらに別の本発明の目的は、ヒトおよび他の動物の広範囲の疾患および症状を処置または予防するための医薬製剤の製造に関する、生物活性油および/またはその抽出物の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
本発明は、植物および動物由来の油の質に関する変動の原因である主要な要因/群、すなわち脂質基材中および上で生育する真菌による脂質基材の変換、の同定に基づく。使用される脂質基剤は、動物および鳥類の脂肪(脂肪組織をカット/スライスすることによって取得)、植物組織、種子、ナッツ等から取得され、これらは(カット、押しつぶし等によって)適切に処理されている。本固相法によって生産される脂肪または油の質は、真菌のタイプおよび数、脂質基材、精製(rendering)、冷却(常温)圧縮、溶媒抽出または超臨界流体抽出前のインキュベーションの温度、湿度および長さ(時間)に依存する。したがって本発明の基礎は、真菌の制御された使用であって、脂質基材/群を変換して、生物活性化学物質を含有する油を固相法/群によって生産する使用に関する。処理および保存中の温度、酸素および光は何らかのささいな影響を有するかもしれないが、これらの要因よりも脂質基材を真菌に曝露することが諸治療用油の生物活性(効力)に関する主要な変動の原因であることが本発明者らによって確立されている。
【0011】
したがって本発明の第一の側面は、脂質基材から生物活性化学物質を含有する脂肪または油およびその抽出物を製造するための方法であって、以下の段階を含む方法を提供することである:
a)真菌の混合物を脂質基材に接種する段階、
b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、および
c)当該インキュベート後の基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【0012】
また種々の生物活性化学物質を含有する脂肪または油は、スライスされ、砕かれ、細かく刻まれ、または切り刻まれた調製済みの動物または植物性の脂質基材を単にインキュベートし、ならびに温度、時間および湿度を慎重に調節して上記段階2〜3を実施することによって製造してよい。
【0013】
本発明の関連の側面は、脂質基材から生物活性化学物質を含有する油およびその抽出物を製造するための固相法であって、以下の段階を含む方法を提供することである:
a)脂質基材に、該基材由来の真菌混合物又は、酵素活性を有する真菌混合物を接種する段階
b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、および
c)当該基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【0014】
段階b)では典型的にインキュベーション期間は、約5〜20℃の範囲の温度ならびに約80〜100%の範囲の高湿度で約7〜56日の範囲である。
【0015】
段階c)では、脂質基材が動物由来である場合、生成物は当該接種後の基材を精製することによって得られる生物活性油であるのが典型的である。あるいは、当該脂質基材が植物または種子由来である場合、生物活性油は当該接種後の基材混合物の冷却圧縮、溶媒抽出または超臨界流体抽出によって得られる。
【0016】
また、上記本発明の第一の側面の方法によって製造される場合の生物活性生成物、特に油が提供される。
【0017】
生物活性油および脂肪を製造するために実施する必要がある典型的な段階/手順は;保存状態の諸真菌株の純粋な培養を有していると仮定すれば、以下に挙げるものである:
1.滅菌された脂質基材(例えば動物または植物性脂質)に適切な真菌混合物を接種する;
2.上記混合物を所定の温度範囲、期間および湿度でインキュベートする;
3.上記混合物を精製する;
4.段階3で得られた精製混合物を遠心分離する;
5.遠心分離段階から得られた油をろ過する;
6.油を135℃で2時間滅菌する;
7.滅菌後に油をろ過する;
8.油を保存する;
9.必要であれば油を抽出する。
【発明の効果】
【0018】
これは生物学的過程であり、いくらかの変動が間違いなく生じるが、上記手順を繰り返せば、生産される油は実験誤差の範囲内で再現可能である。
【0019】
また上記油または脂肪は、スライスし、砕き、細かく刻み、または切り刻むことによって動物または植物性の脂質源を単純に調製し、その後、必要性に応じて打ち抜き孔を有するか、あるいは有さないポリマーまたはステンレス鋼のトレイに置き、その後上記段階2〜9を実施することによって製造することができる。この段階は、単に、脂質基材の代謝/変換を生じさせるための温度、湿度および時間の調節を含む。
【0020】
細菌はこの変換過程に関与しない。いかなる理論に拘束されることも望まないが、真菌は脂質細胞壁に浸透し、細胞内で脂質を変換/代謝する酵素を分泌するようである。いくつかの代謝産物は脂質細胞から媒質中に放出され、一方別のいくつかは真菌によって吸収されて内部的にさらに変換され、そこで保存されるか、あるいは細胞から分泌される。
【0021】
脂質基材の接種に使用される、真菌由来の脂肪分解酵素の供給源である真菌混合物は、無傷の/完全な真菌生物体、純粋な真菌、単一の真菌または混合された真菌、活性なその酵素抽出物、遺伝子改変生物体または修飾された酵素であってよい。本発明の方法では、脂質基材を変換して、広範囲のヒトおよび動物の疾患を処置するのに適した生物活性化学物質を含有する脂肪または油にする。周知のように、油およびその抽出物を製造する本方法を使用すれば、遊離脂肪酸、モノおよびジグリセリドの量が濃縮される。例えば何らかの動物および植物油中の総遊離脂肪酸のレベルは14%に増加するか、あるいはそれを超える。油およびその抽出物中に認められる化合物は相乗的に作用して、ヒトおよび動物において広範囲の疾患および症状を処置するための所望の生化学的作用を提供する。
【0022】
典型的に脂質基材は陸生または海洋起源の動物または植物性供給源から選択することができ、あるいは基材は、無機および有機の修正物が補充された人工基材上へ浸透された脂質またはその抽出物から構成され得る(Waller et al 2002,「植物病理学者ハンドブック第3版(Plant Pathologists Pocketbook 3rd Edition)」, CABI, New Yorkを参照のこと)。動物性脂質の供給源には、オオトカゲ、ヒツジ、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、ラクダ、アヒル、ガン、ブタ、ウシ、ウマ、マトン鳥類(mutton bird)、ナマコ、魚類および甲殻類、例えばイガイ(イシガイ)が含まれる。植物油の供給源には、マカデミア種(macadamia sp)、Canarium spp、ピーナッツ、ヒマワリ、ベニバナ、アマニ、ダイズ、コムギ、カラスムギ、オオムギ、アーモンド、アボカド、カシュー、クアンドン、トウモロコシ、ワットル、オリーブ、ヤシおよびコメの種子/ナッツが含まれる。他の野菜/植物/種子性供給源には、ココナツ、ピリナッツ(pili nut)、ガリナッツ(ngali nut)、タマヌナッツ(tamanu nut)、ニーム種子、ゴマおよびカノーラが含まれる。
【0023】
典型的に、脂質基材上に接種される真菌は該基材から単離されたものであり(すなわち脂質基材に内因的であり)、宿主脂質基材中に見出せる特定または類似の基材を変換することが認められている。このような真菌は典型的に有性および無性状態のZygomycotina、AscomycotinaおよびBasidiomycotina門に認められる。したがってこれは無性状態の主要な門である不完全菌類(Deuteromycetes)の真菌を含むことが理解される。また脂質基材を変換することが典型的に認められる真菌には、Phoma sp、Cladosporium sp、Rhodotorula mucilaginosa、Cryptococcus albidus、Trichosporon pullulans、Mucor spp、Epicoccom purpurescens、Rhizopus stolonifer、Penicillium chrysogenum、Nigrospora sphaerica、Chaetomium globosumが含まれる。変換能を示すか、あるいはその潜在能力を有する真菌を従来技術または分子遺伝学的技術によって典型的に改良して、真菌遺伝子型を変更してよい。
【0024】
基材には、さらにまたは代わりに、真菌由来の酵素を接種してよい。典型的にこれらの酵素は真菌に内因的であるが、代替の供給源または遺伝子改変された単離体から開発することもできる。また該酵素を精製してよく、物理的、化学的、分子的または他の技術を使用してその構造を変化させることによってその活性を増大させてよい。
【0025】
典型的には、脂質基材を滅菌し、そして1種またはそれ以上の真菌またはその酵素を必要に応じて接種する。この基材をスライスし、細かく刻み、切り刻み、または砕いて、ステンレス鋼のトレイであってよい表面上の典型的に0.5〜10cmの範囲の層中で拡散することを可能にしてよく、あるいは基部に孔をあけて、酸素が下部表面へ入り、油が基材から落ちて適切な容器または同等の系に回収されることを許容してよい。接種には標準的手順(Waller et al 2002を参照のこと)を使用する。この手順には、滅菌水に懸濁された真菌胞子を脂質表面にスプレーまたは塗布することが含まれる。そして典型的に約7日〜約120日の範囲、より典型的には約7〜63日、または約7〜56日、または約7〜42日、または約7〜35日の範囲の期間、基材をインキュベートする。さらにより典型的には、約7〜28日または約7〜21日の範囲および最も典型的には14、21、28、35、42、56、および63日の範囲の期間、基材をインキュベートする。接種後の脂質基材を4〜35℃の範囲、典型的には約5〜20℃の範囲の温度、および80〜100%の範囲、典型的には95%の相対湿度でインキュベートする。
【0026】
インキュベーション後に、真菌を含有する、変換または代謝された基材を含む動物性脂質基材を細かく刻み、または砕き、そして精製過程の前にステンレス容器へ移す。典型的に本過程は、一定の緩徐な速度で撹拌しながら脂質基材が融解して油になるまで40〜80℃の範囲、典型的には約70〜75℃の範囲の温度で精製することを含む。そしてこの油を典型的に遠心分離および濾過し、そしてさらに抽出することができる。そして生物活性油を含有するろ液を典型的に約15分〜約8時間の範囲、より典型的には約1時間〜6時間の範囲、さらにより典型的には約1時間〜4時間の範囲の期間加熱することによってさらに滅菌する。典型的には、約100〜160℃の範囲、より典型的には約110〜150℃の範囲およびさらにより典型的には約120〜140℃の範囲、最も典型的には約130〜135℃の温度にろ液を加熱する。
【0027】
植物種子、ナッツ油または動物起源でない他の脂質供給源の場合、接種およびインキュベーション後の真菌を含有する脂質基材/群を細かく刻み、または砕いた後にスクリュープレスを使用して冷却圧縮してよく、そしてスクリュープレス由来の油を遠心分離およびろ過する。そしてこの油を典型的に約15分〜約8時間の範囲、より典型的には約1時間〜6時間の範囲、さらにより典型的には約1時間〜4時間の範囲の期間加熱することによって滅菌する。典型的にこの油を約100〜160℃の範囲、より典型的には約110〜150℃の範囲およびさらにより典型的には約120〜140℃の範囲、最も典型的には約130〜135℃の温度に加熱する。そして得られた油を動物性基材と同様に処理する。
【0028】
そして上記過程から得られた油を溶媒抽出に付してよい。溶媒抽出は典型的に質量または容量ベースで1/1または2/1の溶媒対油比で油を混合し、次いで0℃〜−40℃の範囲の温度で30分〜24時間の期間、典型的には0℃で16時間冷却することを含む。溶媒をデカントし、または捨て、必要であれば内容物を遠心分離し、そして蒸発乾燥して抽出物を得る。生じた残留物は生物活性化学物質を含有する。
【0029】
また上記過程由来の油または抽出物(油およびその抽出物の化学処理によって得られる任意の誘導体を含む)を以下の過程に付して、特定フラクションまたは化学物質を得てよい:
(1)高速液体クロマトグラフィ、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(2)超流動体クロマトグラフィ(super fluid chromatography)、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(3)薄膜分子蒸留装置または蒸発装置(例えばPope)、使用される実験条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
(4)薄膜蒸発装置および分別蒸留カラムを内蔵するハイブリッド蒸留装置。
(5)分子蒸留プラントまたは(3)、(4)および(5)における上記項目の任意の組み合わせ、使用される実験的条件は具体的なヒトおよび動物疾患および症状の処置に必要な化学物質の化学的および物理的特性に依存する。
【0030】
本発明の第二の側面は、生物活性油および/またはその抽出物(治療用油およびその抽出物)の脂肪酸エステルおよび/またはアミドを投与することによってヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防する方法を提供することである。エステルには、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピル基が含まれる。当該油の抽出物のメチルおよびイソプロピルエステルはラットの関節炎の処置に関して首尾良くin−vivo試験され、良好な結果を示している。
【0031】
本発明の関連の側面は、本発明にしたがって製造される生物活性油の脂肪酸エステルおよび/またはアミド、および/またはその抽出物の使用であって、その投与によってヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害および症状を処置または予防するための薬物の製造に関する使用を提供することである。
【0032】
典型的に、製造される生物活性油およびその抽出物(治療用油およびその抽出物)を使用してヒトおよび他の動物の広範囲の疾患、障害または症状を処置および/または予防することができる。処置または予防される可能性がある典型的な疾患、障害または症状には以下に挙げるものが含まれる:呼吸器疾患または症状、例えば喘息、気管支疾患および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管疾患または症状、例えばアテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、高血圧症および鎌形赤血球疾患関連血管閉塞、皮膚疾患または症状、例えば諸皮膚炎、乾癬およびアトピー性湿疹、すべてのタイプのやけど、胃腸疾患または症状、例えば潰瘍、胃(液)の逆流(gastric reflux)、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎および歯周病、癌、例えば腸癌および前立腺癌、サルコイドーシス、敗血性ショック、筋骨格疾患または症状、例えば関節炎、例えば骨関節炎および関節リウマチ、慢性関節および靭帯痛、白血病、糖尿病、アレルギー、例えば中耳炎および眼アレルギー、ブドウ膜炎、月経困難症、腎疾患または症状、例えば糸球体腎炎および腎炎症候群および前立腺疾患または症状、例えば良性前立腺肥大、および多種多様な炎症性障害。また、製造される生物活性油は骨密度(bone mass density)を増加させ、骨強度および結合組織障害を改善させることができる。
【0033】
生物活性油およびその抽出物(治療用油およびその抽出物)は、動物およびヒト血中のC反応性タンパク質(CRP)のレベルを減少させるようである。(治療活性についての下記実施例の患者7に関する試験結果を参照のこと)。ゆえにこれらの油およびその抽出物を使用して、CRPの増加に関連する広範囲のヒトおよび動物疾患および症状を処置してよい。
【0034】
CRPはいわゆるペントラキシンファミリーのタンパク質に属する。その理由は、5個の同一のサブユニットを有するからである。第一染色体上の単一遺伝子によってエンコードされるこのサブユニットは会合して安定なディスク状の5量体構造を形成する。該タンパク質はStreptococcus pneumoniaeの体細胞性C多糖と反応するのでそのように命名された。該タンパク質は1930年にTilletおよびFrancesによって最初に発見された。カルシウムの存在下で、CRPはホスホコリン部分に特異的に結合する。これによりCRPは宿主防御の役割を与えられる。その理由はホスホコリンが微生物の多糖(この場合CRP結合は従来の補体経路を活性化し、食作用のためにリガンドをオプソニン化する)、血小板活性化因子(PAF)(中和される)、および多形体(下方制御を生じさせる)に認められるからである。
【0035】
CRPは肝臓でのみ生産され、急性の炎症性刺激の6時間以内に増加した量で分泌される。血漿レベルは少なくとも8時間毎に倍増可能であり、約50時間後にピークに達する。炎症性刺激が有効に処置または除去されると、レベルはほぼ急速に低下し得る。その理由は、CRPが5〜7時間の血漿半減期を有するからである。
【0036】
CRPレベルの大きな上昇に関連するいくつかの最も一般的な条件は以下に挙げるものである:
(a)炎症性疾患、例えば諸形式の関節炎、例えば関節リウマチ、乾癬性関節炎および若年性慢性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、ライター病等。
(b)悪性腫瘍、例えばリンパ腫、肉腫。
(c)壊死、例えば心筋梗塞、腫瘍塞栓形成および急性膵炎。
(d)外傷、例えばやけどおよび骨折。
(e)リウマチ熱、結核、同種移植拒絶および白血病。
【0037】
さらに、生物活性油およびその抽出物(治療用油およびその抽出物)はマウス線維芽細胞セルラインからのプロスタグランジンPGE2の分泌を阻害する(油抽出物に曝露された3T3細胞から分泌されるPGE2の阻害%をまとめた表9を参照のこと)。このデータは、これらの油およびその抽出物がシクロオキシゲナーゼ経路を阻害すると思われることを示す。ゆえにこれらの油およびその抽出物を使用して、COX経路活性の増加に関連する広範囲のヒトおよび動物疾患および症状を処置することができる。これらのタイプの阻害剤を使用してヒトおよび動物の疾患および症状、例えば関節リウマチ、骨関節炎、痛み、等を処置してよい。
【0038】
該生物活性抽出物は、リポキシゲナーゼ経路(5−、12−および15−LOX経路を含む)を阻害することによってロイコトリエン合成を阻害する。
【0039】
また製造される生物活性油は種々の医薬品、例えばコルチコステロイド、デキサメタゾンおよびプレドニゾロンの効力を相乗的に増強することが知られている。このような相乗作用は重大な臨床上の利点である。その理由は、高レベルの炎症誘発性ロイコトリエンまたは5−リポキシゲナーゼは喘息だけでなく関節リウマチ、骨関節炎、強皮症および炎症性腸疾患、例えばクローン病に関連し、そして本発明の活性油を投与すると、より低用量のステロイドしか使用しなくてよいからである。(リポキシゲナーゼ阻害剤とステロイドの相乗作用に関する図4を参照のこと。)
【0040】
本発明の第三の側面は、生物活性油、または生物活性油の脂肪酸エステルおよび/またはアミドおよび/またはその抽出物を、製薬的に許容される担体、賦形剤または補助剤(アジュバント)とともに含む医薬組成物を提供することである。典型的に、本組成物は即効性(immediate release)、持続放出性(extended release)、パルス放出性(pulse release)、可変放出性(variable release)、制御放出性(controlled release)、持効性(timed release)、徐放性(sustained release)、遅延放出性(delayed release)、長時間作用性(long acting)、およびそれらの組み合わせの形式であり得る。
【0041】
以後、本発明の好ましい形式を例示によって説明する。説明中、添付の図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
前記内容から明瞭であるように、本発明は脂質基材の真菌による代謝/変換に関する。真菌は脂質基材に内因性または外来性の真菌であり得る。しかし、非常に特別な能力を有する真菌のみが脂質基材上で生育する。すべてがその単離元である脂質基材、または他の脂質基材を変換する能力を有するわけではない。したがって本発明で利用できるのは、脂質基材上で生育し、脂質基材を代謝/変換して生物活性化学物質を含有する油を生産するすべての真菌である。
【0043】
a)真菌の単離
標準的方法を使用して脂質から真菌を単離し、培養する(いくつかの一般的な方法に関してはWaller et al 2002を参照のこと)。自然にコロニー形成された脂質基材の表面上または表面近くで真菌の生育が認められる。典型的には、標準的技術を使用して、真菌によって自然にコロニー形成された脂質基材から真菌を単離し、標準寒天培地上で培養する。典型的に、滅菌プローブを用いて真菌の断片を取り出し、そしてこの断片を以後の生育および同定のために培地上にまくことによって脂質基材の表面上で生育する真菌を取得する。典型的には、アルコールまたは次亜塩素酸塩を用いて脂質基材の表面を滅菌した後に内因性の真菌を単離し、培養する。そして細菌生育を抑制する抗生物質を含有する培地上に脂質基材の断片をまく。培養および以後の同定のために、出現した真菌を新鮮な滅菌培地へ継代培養する。典型的な培地には、ポテトデキストロース寒天、麦芽抽出物寒天、V8ジュース寒天、コーンミール寒天、オートミール寒天が含まれる。典型的に、単離プレートから同一または他の標準培地上で真菌を継代培養することができる。
【0044】
該真菌は、標的化合物の形成および活性を増強する従来の、または遺伝子の修飾に付することができる。種々の脂質基材から単離される真菌を種々の脂質基材を変換するその能力に関して試験することができる。最も効率的に変換することが認められる真菌を低効率の単離体ととり代えて、生物活性化合物の生産を増加させることができる。これらの過程は生物活性化合物の生産を増強するのに広く使用されており、例えばペニシリンの生産を増強するのに使用された。真菌から酵素を単離精製することができ、物理的または化学的処理技術を使用してその活性を最大にすることができる。この過程はR. K. Saxena, Anita Sheoran, Bhoopander Giri, W. Sheba Davidson, (2003)「微生物リパーゼに関する精製ストラテジーのレビュー(Review of Purification Strategies for Microbial Lipases)」, 52, 1-18にしたがって行う。この文献は引用により本明細書中に包含される。酵素は、脂質基材上で生育し、脂質基材を変換/代謝して生物活性化学物質を含有する油を生産することが既知である真菌から単離されるのみである。
【0045】
b)真菌および酵素の保存
標準的技術、例えば凍結乾燥、低温保存、滅菌水中での保存、油環境下の栄養寒天上での保存、または乾燥条件での保存を使用して真菌を保存する(真菌保存のいくつかの標準的技術に関してはWaller et al 2002を参照のこと)。
【0046】
c)脂質基材の保存
動物性および植物性の脂質基材は密閉容器中に保存する。動物性脂質は典型的に−18℃未満の温度で保存する。動物性脂質基材を凍結乾燥して砕き、または細かく刻んだ後に低温で保存してよい。植物性の脂質基材は典型的に9%未満の低湿度、および典型的に30℃未満の温度の標準的条件下で保存する。
【0047】
d)(海洋および陸生起源の)動物および植物性脂質基材の接種前滅菌
変換前に、動物または植物性の脂質基材を滅菌して内因性および外来性の微生物をいずれも除去する。滅菌には、エタノールまたは次亜塩素酸塩溶液中での洗浄、ガンマ照射またはその同等処理、または加熱処理が含まれるであろう(慣用技術の例に関してはWaller et al 2002,「植物病理学者ハンドブック第3版(Plant Pathologists Pocketbook 3rd Edition)」, CABI, New Yorkを参照のこと)。加えて、ツァペックドックス(Czapek Dox)寒天に認められるような特定の無機および有機の添加物を加えることによって脂質基材/群を修飾してよい(慣用の無機補充物質であるツァペックドックスの調製に関してはWallerを参照のこと)。
【0048】
e)脂質基材の接種
脂質基材の真菌集団に依存して、基材に追加の接種を行わずに、以下に特定する条件を使用して脂質基材を単純に代謝/変換することが可能であることが多い。
【0049】
脂質基材に1種またはそれ以上の真菌またはその酵素を必要に応じて接種する。この基材をスライスし、細かく刻み、切り刻み、または砕いて、ステンレス鋼のトレイであってよい表面上の典型的に0.5〜10cmの範囲の層中で拡散することを可能にしてよく、あるいは基部に孔をあけて、酸素が下部表面へ入り、油が基材から落ちて適切な容器または同等の系に回収されることを許容してよい。接種には標準的手順(Waller et al 2002を参照のこと)を使用する。この手順には、滅菌水に懸濁された真菌胞子を脂質表面にスプレーまたは塗布することが含まれる。接種後の脂質基材を4〜35℃の範囲、一般的には約5〜20℃の温度、および80〜100%の範囲、典型的には95%の相対湿度でインキュベートする。そして典型的にこの基材は、7日〜約120日の範囲、および典型的には7、14、28、35、42、56、63日の範囲の期間インキュベートする。
【0050】
f)油の製造および生物活性化合物の抽出
真菌の代謝中に使用される脂質基材に応じて、生物活性油を抽出するのに使用される方法が決定される。使用してよい4つの主な方法は以下に挙げるものである:温度精製(temperature rendering)、超臨界流体抽出、溶媒抽出および冷却圧縮。最後の方法は植物油の製造に関してのみ使用される。
【0051】
インキュベーション後に真菌を含有する動物性脂質基材を細かく刻み、または砕き、精製過程の前にステンレス容器へ移す。典型的に本過程は、一定の緩徐な速度で撹拌しながら脂質基材が融解して油になるまで、40〜80℃の範囲の温度、通常は約70〜75℃の温度設定で精製することを含む;加熱は電気的に、あるいは蒸気または熱水によって行ってよい。そして油を含有する容器中の液状物を遠心分離し、次いでろ過する。そして遠心分離段階から残存する残留物をさらに抽出に付してよい。この場合、一般に植物種子油および医薬品工業で使用される標準的手順ならびに研究で使用される天然産物の単離における標準的手順を使用する。そして生物活性油を含有するろ液を、不活性ガス雰囲気下または通常の雰囲気条件で100〜約160℃の範囲の温度でさらに15分〜約8時間の範囲の期間加熱する。一般に使用される典型的条件は、不活性ガス雰囲気、例えば窒素下で、135℃で2時間である。この段階では油を滅菌し、さらに、存在する任意のタンパク質/群を変性させる。熱交換器を使用して適切な温度に冷却した後に、油を再度ろ過して、存在する可能性がある任意の残留沈殿タンパク質および/または真菌微粒子を除去する。この油を20およびまたは200リットルの医薬品等級の保存用ドラム内にパッケージする。油からの生物活性化合物の抽出に関しては図1を参照のこと。
【0052】
植物種子、ナッツ油または動物起源でない他の脂質供給源の場合、接種およびインキュベーション後の真菌を含有する脂質基材/群を細かく刻み、または砕いた後にスクリュープレスを使用して冷却圧縮してよく、そしてスクリュープレス由来の油を遠心分離およびろ過する。この油を不活性ガス雰囲気下または通常の雰囲気条件で100〜約160℃の範囲の温度でさらに15分〜約8時間の範囲の期間加熱する。一般に使用される典型的条件は、不活性ガス雰囲気、例えば窒素下で、135℃で2時間である。この段階では油を滅菌し、さらに、存在する可能性がある任意のタンパク質/群を変性させる。熱交換器を使用して適切な温度に冷却した後に、油を再度ろ過して、任意の残留沈殿タンパク質および/または真菌微粒子を除去する。この油を20およびまたは200リットルの医薬品等級の保存用ドラム内にパッケージする。圧搾器由来のケーキを、例えばヘキサン、イソヘキサン、ペトロリウムスピリット、メタノール、イソプロパノール、プロパノール、エタノールおよびジエチルエーテルから選択される一定の種類の一般的な溶媒を使用して溶媒抽出する。そしてこの溶媒を蒸発によって除去し、将来の使用のために回収する。使用される技術は植物油工業において標準的である。そして得られた油を動物性基材に関して記載されるように処理する。
【0053】
そして上記過程から得られた油を種々の温度で溶媒抽出に付してよい。この場合、典型的に1種またはそれ以上の以下の溶媒を使用する:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、軽ペトロリウムスピリット、ブタノール、アセトンおよびアセトニトリル。この手順は、質量または容量ベースで1/1または2/1の溶媒対油比で油を混合し、そして0℃〜−40℃の範囲の温度に30分〜24時間までの期間冷却することを含む。生物活性分子を含有する溶媒をデカントし、または捨て、(必要であれば)遠心分離し、蒸発乾燥して抽出物を得る。実験室規模の典型的条件では、油100gをメタノール100gと十分に混合し、0℃で16時間保持し、そして必要であれば遠心分離し、回転式フィルム蒸発装置を使用して溶媒を蒸発させる。生じた残留物は生物活性化学物質を含有する。再利用のために溶媒を回収すべきであろう。
【0054】
投与形式:
発明対象の医薬組成物では、剤形が種々の放出形式を兼ね備えることが可能である。この放出形式には、非限定的に、即効性、持続放出、パルス放出、可変放出、制御放出、持効性、徐放、遅延放出、長時間作用性、およびその組み合わせが含まれる。即効性、持続放出、パルス放出、可変放出、制御放出、持効性、徐放、遅延放出、長時間作用性特性およびその組み合わせの取得は、通常の当業者が利用可能な周知の手順および技術を使用して実施することができる。放出特性を取得するためのこれらの各具体的技術または手順は当業者に周知である。本明細書中で使用される「制御放出形式(剤形)」とは、少なくとも1成分が制御放出用に製剤化されている任意の形式(剤形)を意味する。本明細書中で使用される「即効性形式(剤形)」とは、少なくともいくつかのその医薬活性成分が即時放出用に製剤化されている任意の形式(剤形)を意味する。
【0055】
種々の投与経路が利用可能であり、経路の選択は処置対象の具体的症状および治療効力に必要な用量(投与)に依存する。本発明の方法および組成物では、任意の投与様式が許容され、この様式には、経口、経直腸、局所、鼻腔、経皮または非経口(例えば皮下、筋肉内および静脈内)経路が含まれる。
【0056】
発明の対象は任意の生物学的に許容される剤形およびその組み合わせを意図する。このような剤形の例には、非限定的に、チュアブル錠、高速溶解錠剤、発泡(effervescent)錠、再組成用粉末剤、エリキシル剤、液状剤、溶液剤、懸濁液剤、乳剤、錠剤、多層錠、二層錠、カプセル剤、軟(ゼラチン)カプセル剤、硬(lard)(ゼラチン)カプセル剤、カプレット、トローチ剤、チュアブルトローチ剤、ビーズ、粉末剤、顆粒剤、粒子、微粒子、分散性顆粒剤、カシェ剤、圧注、坐剤、クリーム剤、ローション剤、局所用剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、デポーインプラント、摂取剤(ingestibles)、注射剤、注入剤、機能性食物およびその組み合わせが含まれる。上記投与剤の調製は当業者に周知である。一般に、各投与剤はあらかじめ定められた量の活性成分を1種またはそれ以上の適切な成分を構成する担体と併せて含有するであろう。
【0057】
非経口投与に適した組成物は、既知の方法にしたがって適切な分散剤および懸濁化剤を使用して製剤化された活性成分の滅菌水性調製物を含むのが好都合である。滅菌注射用調製物は、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒(例えば水、等張性塩化ナトリウム溶液)中で溶液または懸濁液として製剤化してよい。また滅菌固定油を溶媒または懸濁培地として使用することができる。
【0058】
典型的な用量:(a)抽出物(0.01mg〜1000mg/キログラム)、1日を通じて経口摂取による数回の投与が必要であろう。(b)油(5mL〜20mL/日)、5mL用量で経口摂取。また1日当たりの純粋な油の初期負荷量は30または40mlまでであることが典型的である。複数回の日用量によって活性成分の適切な全身性レベルを達成することが意図される。治療用組成物の製剤化は当業者に周知である。適切な製薬的に許容される担体および/または希釈剤には、任意およびすべての慣用溶媒、分散媒、賦形剤(fillers)、固形担体、水性溶液、コーティング、等張液および吸収遅延剤等が含まれる。このような製剤および製剤化はRemingtons's Pharmaceutical Sciences (18th Edn), Mack Publishing CO, Pennsylvania, USAに記載されている。
実施例
【実施例1】
【0059】
A)生物活性油を使用する局所用薬物の調製
局所適用のためのクリーム剤の例を以下のプロトコルにしたがって調製した:
製剤例1
【0060】
製造手順
1.A相において水、EDTA2ナトリウム、およびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
2.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
3.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
4.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
5.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
6.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
7.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
8.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験(challenge testing)後に保存剤量の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0061】
製剤例2
【0062】
製造手順
9.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
10.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
11.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
12.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
13.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
14.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
15.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
16.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0063】
製剤例3
【0064】
製造手順
17.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
18.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
19.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
20.B相をA相に加え、15分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
21.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
22.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
23.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
24.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤量の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 945、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0065】
製剤例4
【0066】
製造手順
25.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
26.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させる。その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
27.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
28.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
29.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
30.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
31.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
32.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0067】
製剤例5
【0068】
製造手順
33.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
34.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
35.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
36.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
37.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
38.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
39.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
40.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Cerasynt 840、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0069】
製剤例6
【0070】
製造手順
41.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
42.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
43.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
44.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
45.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
46.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
47.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
48.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 230、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0071】
製剤例7
【0072】
製造手順
49.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
50.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
51.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
52.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
53.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
54.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
55.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
56.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0073】
製剤例8
【0074】
製造手順
57.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
58.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
59.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
60.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
61.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
62.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
63.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
64.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(e)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0075】
製剤例9
【0076】
製造手順
65.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
66.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
67.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
68.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
69.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
70.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
71.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
72.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0077】
製剤例10
【0078】
製造手順
73.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
74.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
75.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
76.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
77.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
78.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
79.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
80.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Ceraphyl 140A、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【0079】
製剤例11
【0080】
製造手順
81.A相において水、EDTA2ナトリウムおよびグリセロールを組み合わせ、十分に混合する。
82.上記過程で混合された溶液中に、室温で撹拌しながらStabileze QMTMをまき、均一に分散させ、その後、撹拌しながら少なくとも30分間75〜80℃に加熱する。
83.別の容器中で、B相の成分を組み合わせ;混合し、75〜80℃に加熱する。
84.B相をA相に加え、3〜5分間ホモジナイズし、熱源をオフにする。
85.AおよびB相のホモジネート中にC相を加え、そして追加加熱を行わずに3〜5分間ホモジナイズする。
86.ホモジナイザーを取り除き、38〜40℃に冷却しながら十分に混合する。
87.バッチにD相を加え、均一になるまで混合する。
88.水の喪失を調節し、均一になるまで混合する。
注記
(a)負荷試験後に保存剤の調節を行う必要があるかもしれない。
(b)Stabileze QMTM濃度を少し調節して、適用に応じて適正な粘性を提供する必要があるかもしれない。
(c)必要であれば芳香を提供するために組成を少し調節する必要がある。
(d)Stabileze QM、Prolipid 141およびLiquapar OptimaはInternational Specialty Products, Inc. 1361 Alps Road Wayne NJ 07470の商標である。
【実施例2】
【0081】
B)生物活性油を含有する経口製剤:
1.0.1%酢酸トコフェロールを含有する油約0.9gを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ハードゲルカプセル(0.95mL)。
2.マカデミア油または同等物中に分散された油0.50gを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ハードゲルカプセル(0.95mL)。
3.100μL〜1.0mLの油を含有し、必要であれば0.1%抗酸化剤が添加されているゼラチンまたは同等のポリマー製ソフトゲルカプセル(100μL〜1.0mL容量)。
4.必要であれば抗酸化剤および別の油、例えばマカデミア油、ダイズ油または同等物を含有する油由来の抽出物10mg〜1000mgを含有するゼラチンまたは同等のポリマー製ソフトゲルカプセル(100μL〜1.0mL容量)。
5.上記3および4と同様のソフトゲル坐剤。
6.他の油、例えばオリーブ、マカデミアおよび香味、例えばキイチゴ、イチゴ、バナナが添加され、必要であれば抗酸化剤が添加されている油および抽出物製シロップ剤およびローション剤。スプーンまたはシリンジによって投与する。
7.油5.0mLをスプーンまたはシリンジによって経口投与する。
【実施例3】
【0082】
C)種々の動物および植物油およびその抽出物の生物学的活性を分析するために使用されるin vivoラットモデルでの試験手順
1.アジュバント誘発多発性関節炎を発症しているラットにおいて抗炎症性効力を測定した。関節炎が最初に発症した時点から試験薬剤を経皮または経口投与した。低用量ステロイドとの相乗的活性を以下のラットにおいて測定した:i)完全に確立されたアジュバント関節炎を伴うラットまたはii)0.5mgザイモサン(生理食塩水0.2mL中)を注射し、そして急性浮腫が(ヒスタミン/セロトニン放出に関連する)ピークに達するまで3時間待ち、残留する足膨潤を21〜45時間後に測定することによって誘発された慢性足浮腫を伴うラット。経皮投与では、油を0.15容量のシネオールで希釈して皮膚浸透を促進し、剪毛された背側の皮膚(6cm2)に1日1回短時間こすりつけて適用した。(以下の表1および2を参照のこと)。
【0083】
2.同時関節炎原性(co-arthritigenic)活性をダークアグーチ(Dark Agouti)ラットにおいて測定した。この測定はまず試験用油(10mg/kg)中に細かく砕かれた加熱死菌のMycobacterium tuberculosis(結核菌)を分散させ、次いで0.1mLを雌性ダークアグーチラットの尾の基部内へ注射することによって行った。関節炎の徴候を15日目に記録した。エミュー油由来の抽出物の取得は、等しい質量の油およびメタノールを混合し、次いで低温室またはフリーザー中に0℃で少なくとも12時間保存し、液層をデカントし、回転式フィルム蒸発装置を使用して溶媒を蒸発させることによって行った。フラスコ中に残存する残留物は抽出物を含有する。これらの抽出物をまずホホバマメ油(jojoba bean oil)に溶解し、ホホバマメ油中で新たに調製された等しい容量のMycobacterium tuberculosisの分散物(10mg/ml)で希釈した。(以下の表3を参照のこと)。
【0084】
3.胃保護活性を以下のラットにおいて確認した:a)疾患ストレスを受けている(未処置)多発性関節炎の雌性ダークアグーチまたはウィスター(Wistar)ラットおよびb)一晩絶食され、コリン作動薬である、メタコリン塩酸塩(5mg/kg i.p.)を注射された正常なダークアグーチまたはウィスターラット。ボルテックス(Vortex)ホモジナイザーを使用して試験材料を0.04%v/vのTween-20で乳化し、次いでガストロトキシンとして使用されるOTCイブプロフェン(NUROFEN)55mg/kgの分散物と同時投与した。2.5時間後に胃を取り出し、生理食塩水中で短時間すすぎ、胃粘膜の巨視的な出血性損傷の数および重症度をスコアした。(以下の表4および5を参照のこと)。
【0085】
4.ラットにおけるザイモサン誘発性足浮腫の抑制に関するエミューおよびマカデミア油とコルチコステロイドの相乗的活性。ザイモサン0.5mgを各後ろ足内へ注射した3時間後に、Tween-20中のP=プレドニゾン2.5mg/kgまたはD=デキサメタゾン0.1mg/kgを加えた油全体、または抽出物の1回の処置量を経口投与した。データはオリーブ油のみで処置されたコントロールと比較された足膨潤の相対的減少であり、阻害パーセントとして示される。(以下の表6を参照のこと)。
【0086】
5.in vitro試験用に、低温での溶媒抽出または固相抽出を通常の実験室手順にしたがって使用して油を処理し、大部分のトリグリセリドを除去した。in vivo試験用に、この油を22℃でろ過して、重量基準で5〜45%で変動する固形物を除去した。例外的に、0.1容量のn−オクタノールまたは0.5容量までのミリスチン酸イソプロピルで堅いサンプルを希釈して、その「液化」を支援した。これらの溶媒は記載されるアッセイに関して不活性な媒体である。
注記:使用されるすべてのMycobacterium tuberculosisは、細かく砕き、加熱して死滅させて使用する。
【0087】
結果
1.ウィスターラットの尾の基部にスクアレン0.1mL中のMycobacterium tuberculosis 0.8mgを注射した(0日目)。生物活性油での処置は以下の様式で行った:
A)10〜13日目に単独で経皮投与(4ラット/gp)または
B)15〜17日目にプレドニゾン(2.5mg/kg)とともに経口投与(3ラット/gp)。
【0088】
関節炎の徴候の変化を以下に示す。体重(重量)が増加すれば良好であり、減少すれば毒性の可能性を示す。関節炎のスコアが低いほど良好である:
注記:油の情報に関してはクロマトグラム番号および加工条件を含有する表6を参照のこと。
【0089】
表1〜8の各サンプルに関する加工条件およびクロマトグラフを表11にまとめる。対応するクロマトグラムには1〜32の番号を付する。例として、表3のエミュー−type 2の油の取得は、表11の第4行に記載の加工条件にしたがって行った(サンプルコードType 2)。このサンプルの生物学的活性はクロマトグラム4に示される。
表1.
【0090】
【表1】
表2.
【0091】
【表2】
【0092】
表3:いくつかのエミュー/他の油の関節炎原性活性
細かく砕かれた加熱死菌のM. tuberculosis(10mg/mL)と油を混合し、0.1mLを雌性ダークアグーチラットの尾の基部内へ注射した。
【0093】
ホホバマメ油での分散物は終濃度5mg/mLのM. tuberculosisしか含有しなかった。15日目に3ラットからなる群に関して関節炎の徴候をスコアした。
【0094】
【表3】
【0095】
表4/5:ラットにおけるいくつかのエミュー油の胃保護活性
0.04%v/vのTween-20を用いて調製された試験用乳剤=0.4mLの油/kgとともに胃刺激物=55mg/kgのイブプロフェンを一晩絶食させた動物に経口投与した。この場合、メタコリンのi.p.投与を伴うか、または伴わない。
【0096】
A.疾患ストレス状態の、(15日目に、または15日より後に)完全に発症した多発性関節炎を伴う雌性ウィスターまたはダークアグーチラットにおける実験。メタコリンなし。
表4:
【0097】
【表4】
【0098】
B.ベータ−メタコリン(ウィスターラットでは5mg/kgまたはダークアグーチラットでは8mg/kg)で刺激された正常ラットにおける実験。
表5:
【0099】
【表5】
【0100】
表6:ラットにおけるザイモサン誘発性足浮腫の抑制に関するエミューおよびマカデミア油とコルチコステロイドの相乗的活性。
【0101】
ザイモサン0.5mgを各後ろ足内へ注射した3時間後に、Tween-20中のP=プレドニゾン2.5mg/kgまたはD=デキサメタゾン0.1mg/kgを加えた油全体、または抽出物の1回の処置量を経口投与した。データはオリーブ油のみで処置されたコントロールと比較された足膨潤の相対的減少であり、阻害パーセントとして示される。
【0102】
【表6】
【実施例4】
【0103】
D)いくつかの諸油サンプルのin−vitroリポキシゲナーゼアッセイ
好中球5−リポキシゲナーゼ経路
【0104】
概要
アラキドン酸は以下の2つの主要な経路によってエイコサノイド(またはプロスタノイド)に変換される:ロイコトリエン形成を生じさせる5−リポキシゲナーゼ経路、およびプロスタグランジンおよびトロンボキサン形成を生じさせるシクロオキシゲナーゼ経路。これらの両経路の、すべてではないがいくつかの産物は強力な炎症誘発性を有する。例えば、LTB4は非常に強力な走化性物質であり、またそのペプチド代謝産物である、元来は「アナフィラキシーの遅反応性物質」またはSRS−Aとして知られていたLTC4、LTD4およびLTE4は強力な気管支収縮物質である。
【0105】
多数の現在使用されている抗炎症剤、特に非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)はシクロオキシゲナーゼ経路を阻害することによって機能する。最近では、リポキシゲナーゼ経路の阻害剤または両経路をブロックする二重阻害剤の開発に焦点を合わせた相当の努力が世界中で施されている。
【0106】
これらの細胞の5−リポキシゲナーゼ経路の主な段階を図3に示す。この経路では、ホスホリパーゼA2(PLA2)の作用を介して膜リン脂質からアラキドン酸(AA)が放出される。そしてこのAAは当経路の第一の酵素−5 リポキシゲナーゼの基質である。この酵素は基質を5−ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸(5−HPETE)に変換する。次いで5−HPETEは酵素的に変換され、グルタチオンペルオキシダーゼによって5−ヒドロキシエイコサテトラエン酸(5−HETE)になるか、あるいはLTA4シンターゼによってロイコトリエンA4(LTA4)になる。次いでLTA4は非酵素的にLTB4のオールトランス異性体に変換されるか、あるいはLTA4加水分解酵素によってロイコトリエンB4(LTB4)に加水分解される。ヒトPMNによるLTB4のそれ以上の代謝は認められない。一方、他の細胞、例えば好酸球はそれを強力な血管収縮剤であるペプチド−ロイコトリエン、SRS−Aに変換する。
【0107】
リポキシゲナーゼ経路(ロイコトリエンおよびHETE)アッセイ
HPLCアッセイでは、5−HETE、12−HETE、LTB4、およびLTB−4の2種のオールトランス−異性体が容易に定量化でき、したがって好中球の5−リポキシゲナーゼにおける酵素の相対的活性に関する定量的データ、ならびに血小板の12−リポキシゲナーゼ経路に関するデータが得られる。したがってこれは前記経路の阻害剤候補を試験するために理想的な系である。
【0108】
阻害化合物の効果を単離されたヒトPMNおよび血小板に関して試験してよい。この場合、経路はPMNまたは血小板をアラキドン酸およびカルシウムイオノフォアA23187で処理することによって活性化される。アラキドン酸を加えると、PLA−2段階が排除され、またこの経路に関する高レベルの基質が提供される。さらにまた、前記活性化は経路を最大に駆動させてすべての代謝産物の最大合成を生じさせることが既知であり、ゆえにまたこの活性化は阻害に対する感受性が最も低い。したがって、この様式で活性化された経路を実際に阻害する化合物は強力な阻害剤候補である。
【0109】
試験サンプルの調製
すべてのサンプルをエタノールに溶解して10mg/mLの原液を得た。各原液をさらに希釈して、エタノール中の5および1mg/mLの2種の希釈物を作成し、合計で10種の試験サンプルを作成した。
【0110】
各希釈原液10μLをハンクスバッファー(Hank's Buffer)中のPMN懸濁液1000μLに加えて、分析に必要な最終試験濃度5、10および50ug/mLにした。
【0111】
ヒト好中球(PMN)の調製
1.正常なボランティアから100mLまでの血液を採取し、EDTAで抗凝固処理した。水中の4.5%EDTA2mLを各10mLの血液と混合した。
2.さらに2mLの6.0%デキストランT500(Dextran T500)を上記1の各12mLの混合物に加え、37℃の水浴中に置いて赤血球を沈降させた。
3.上記2の沈降後、上清を密度1.070のパーコール(Percoll)5mL上に慎重に重ねた。次いでこれを500gで35分間で回転させた。
4.パーコール界面下のすべての細胞(PMNおよび残留RBC)をプラスチックピペットで除去し、Ca2+/Mg2+を含まないダルベッコ(Dulbecco's)リン酸バッファーで少なくとも3倍希釈し、600gで10分間遠心分離した。
5.上記4の後、上清を慎重に吸引し、ペレットを1ml使い捨てプラスチックピペット内へ吸引/脱吸引することによって1mLのCa2+/Mg2+を含まないダルベッコリン酸バッファーと穏やかに混合した。次いでさらに40mLのCa2+/Mg2+を含まないダルベッコリン酸バッファーを加え、反転によって混合した。次いでこの細胞懸濁液を600gで10分間遠心分離した。
6.遠心分離後、上清を除去し、PMNペレットを10mLの0.2%冷塩化ナトリウム溶液で20秒間溶解し、次いで10mLの1.6%冷塩化ナトリウム溶液を加え、600gで10分間遠心分離した。
7.上記6の後、PMNペレットを1mL使い捨てプラスチックピペット内へすばやく吸引/脱吸引することによって1mLのハンクスバッファーと強く混合し、そして最終的に、ロイコトリエンアッセイ用の調製物において、ハンクスバッファー中に2.4x106PMN/ml(コールターカウンター(Coulter counter)を使用して測定)で懸濁した。
【0112】
ロイコトリエン経路の活性化
1.1mLのPMN懸濁液(2.4x106PMN/ml)を13mLガラス管(クロム酸洗浄済)へ移し、37℃の水浴中に置き、5分間予熱した。
2.予熱後、0時点で、メタノール中の各試験化合物10μL(またはコントロールである同容量のメタノール)を4つの試験管に20秒間かけて加えた。
3.5分の時点で、5μLの2mMアラキドン酸(最終10μM)を加えた(4試験管/20秒)。
4.10分の時点で、5μLの1mMカルシウムイオノフォア(A23187)(最終5μM)を加えた(4試験管/20秒)。
5.15分の時点で100μLの100mMクエン酸を加えることによって反応を停止させた。これにより水相のpHは3未満に低下する。これは有機相内へロイコトリエンを抽出するのに必要である。
6.いくつかのサンプルのpHを検査し、pH<3.0を確保した。(重要である)。
7.各試験管にそれぞれLTB4および5−HETEに関する内部標準として40ngのプロスタグランジンB2および166ngの15−HETEを加え、サンプルを混合した。
8.検量線用に、1mLのPMN、100μLの100mMクエン酸および40ngのPGB2および166ngの15−HETEを含有する試験管にLTB4[1ng/μl](0〜50ngの範囲の検量線に関して)および5−HETE[5ng/μL](検量線範囲0〜250ng)を加えた。
9.すべての試験管をボルテックスにかけた。
10.5mLのクロロホルム/メタノール(7:3)を加え、試験管を30秒間強くボルテックスにかけ、そして2000rpmで10分間遠心分離した。
11.約3.5mLの下部クロロホルム層(抽出されたロイコトリエンおよびヒドロキシ酸(HETES)、ならびに内部標準を含有する)を3mLホウケイ酸ガラス管に移し、クロロホルムをSavant遠心蒸発装置中、減圧下、室温で蒸発させた。
12.サンプルを100μLのLTB4移動相中で再組成し、ボルテックスにかけ、そして注射用のWaters低容量挿入物(通常<25μl)に移した。
13.HPLCをLTB4条件用に設定し、すべてのサンプルをLTB4およびLTB4のオールトランス異性体に関してアッセイした。
【0113】
ロイコトリエンおよびヒドロキシ酸に関するHPLCアッセイ
移動相
LTB4アッセイ:70%メタノール/30%H2O/0.08%酢酸(水酸化アンモニウムでpH6.2に調節)。
5−HETEアッセイ:80%メタノール/20%H2O/0.08%酢酸(水酸化アンモニウムでpH6.2に調節)。
【0114】
HPLC条件
波長:270nm(LTB4)、234nm(5−HETE)
分析:Water's Millenium
流速:1mL/分
カラムおよびガードパック(Guard Pak):C18 Nova Pak
【0115】
LTB4アッセイ
保持時間
プロスタグランジンB2−4.6分
6−トランス−ロイコトリエンB4−6.6分
6−トランス−エピ−ロイコトリエンB4−7.4分
ロイコトリエンB4−8.7分
【0116】
LTB4およびその6−トランス異性体の正式な化学名
ロイコトリエンB4:(5S,12R)−ジヒドロキシ−(Z,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
6−トランス−ロイコトリエンB4:(5S,12R)−ジヒドロキシ−(E,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
6−トランス−12−エピ−ロイコトリエンB4:(5S,12S)−ジヒドロキシ−(E,E,E,Z)−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸。
【0117】
5−HETEアッセイ
保持時間
15−HETE−6.3分
5−HETE−8.5分
正式な化学名
15−HETE:15(S)−ヒドロキシ−(Z,Z,Z,E)−5,8,11,13−エイコサテトラエン酸
5−HETE:5(S)−ヒドロキシ−(E,Z,Z,Z)−6,8,11,14−エイコサテトラエン酸
【0118】
表7 ロイコトリエン合成に関するエミュー油メタノール抽出物および純粋な12−メチルテトラデカン酸(12−MTA)の効果
(メタノールコントロールについてのパーセントとして示す)
【0119】
【表7】
*抽出前に、高速撹拌しながら、135℃で加熱された油に高速の窒素ガスを2時間通すことによって元の油サンプルを処理し、揮発性化合物を除去した。
【0120】
表8 ロイコトリエン合成に関するエミュー油の脂肪酸メチルエステル、真菌の接種およびインキュベーションによって製造されたエミューおよびダチョウ油のメタノール抽出物の効果
(メタノールコントロールについてのパーセントとして示す)
【0121】
【表8】
*エミュー油サンプルA、クロマトグラム1の脂肪酸メチルエステル(FAME)。
【0122】
結果および考察
データは表中の全3サンプルが5−LOX経路の強力な阻害剤であったことを示す。20μg/mLの低用量で100%阻害を示した12−メチルテトラデカン酸とデータを比較する。
【0123】
表8のサンプルではFAMEサンプルが最も低効率であった。一方、エミュー油−WBおよびダチョウ油サンプルは表7の3サンプルと同等である。これにより生物活性油の製造過程は種々の脂質基材等を使用して再現可能であろうことが確認される。
【実施例5】
【0124】
E)油サンプルのIn−vitroプロスタグランジンPGE2(COX経路)アッセイ
本アッセイは、Cayman chemicalsのプロスタグランジンE2EIAキットモノクローナル(EIA Kit Monoclonal)をキットプロトコルにしたがって使用して実施した。各サンプルを3種の希釈率で2通りにアッセイした。表9から理解されるように、アスピリン(50μM)に対するPGE2応答の阻害はコントロール値の約72.6%であった。具体的には、この2種のサンプルは、試験条件下でアスピリンと同等またはそれ以上にマウス線維芽細胞セルラインから分泌されるPGE2の用量依存的阻害を生じさせた。
表9.油抽出物に曝露された3T3細胞から分泌されるPGE2の阻害パーセント
【0125】
【表9】
【実施例6】
【0126】
F)治療活性についての例
1)7年間潰瘍性大腸炎を患っている患者は慢性の下痢および日常的な直腸出血を経験していた。患者は5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取した。潰瘍性大腸炎に関連するすべての肛門の出血は2か月後に消失した。該患者は真菌によって誘導された生物活性ダチョウ油にも応答している。
【0127】
2)腸および十二指腸潰瘍を原因とする慢性痛を患っている患者は5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取し、痛みが止んでいる。また患者は自身の不安定型糖尿病がインシュリンに対してより応答性になり、必要な用量が減少したことを観察した。
【0128】
3)患者は5年前にクローン病と診断され、持続性の腹痛、下痢または便秘、直腸出血、冷や汗および嗜眠を患っていた。数週間にわたり5mLの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を1日2回摂取した。その後、該患者のクローン病は緩解し(これは医学的試験によって確認されている)、もはや腹痛、下痢または便秘はない。
【0129】
4)患者は乳癌と診断され、ランペクトミー、放射線および化学療法を受けた。真菌によって誘導された生物活性油から製造されたクリーム剤を1日3回局所適用した。これにより乳房の痛みおよび炎症が減少した。
【0130】
5)患者は10年の軽度〜中度の喘息歴を有する54歳のコーカサス人男性である。この喘息は1日2回の400ugのベクロメタゾンおよび必要な場合にはサルブタモールまたはturbutamine気管支拡張剤吸入器を用いて抑制されていた。これは冬季感染後のウイルス誘発性喘息を抑制するのに不適切であり、この場合、慢性喘鳴および咳嗽を許容レベルに減少させるには5mg/日の経口プレドニゾンが必要であった。該患者に8g/日の真菌によって誘導された生物活性エミュー油を分割用量−朝および夜の各4g−で投与した。3週間以内にすべての喘息症状が減少し、エアロゾルステロイドの休止後も改善が継続した。油を適用して2か月後、他の投薬を行わずに4g/日の油を用いて患者のすべての喘息症状が抑制された。加えて、油の投与により、患者の胃液逆流に対するLOSEC摂取の必要性が減少している。
【0131】
6)患者は51年の慢性喘息(慢性気道狭窄(chronic airways limited)として分類される)歴を有する62歳の女性である。この喘息は10〜50mg/日の経口プレドニゾン、900mg/日のネブリン(neulin)によって抑制され、さらにベントリン/アトロベント吸入器(puffers)および噴霧器(nebules)を頻繁に使用して、慢性喘鳴および咳嗽を許容レベルに抑制する必要があった。該患者に6mlの真菌によって誘導された生物活性エミュー油を分割用量−朝および夜の各3mL−で投与した。この用量の油を患者に11か月間適用し、これにより実質的に喘鳴雑音が排除され、咳嗽のレベルが減少しており、さらにプレドニゾンのレベルが5mg/日に減少している。また吸入器および噴霧器の使用が減少している。もはや胃液逆流に対するLosec摂取の必要はない。エミュー油を9mL/日、3回の3mL用量/日に増加させ、プレドニゾンをわずかに増加させて10mg/日にすることによって、すべての喘息発作を抑制することができる(ラットモデルによって確認されるようにこの油は相乗的にプレドニゾンの活性を増大させる)。この油の使用を開始して以来、患者の日常の生活スタイルは大きく改善されている。
【0132】
7)患者は23歳のユーラシア人男性患者であり、結腸鏡検査によって診断され、1日40mgのプレドニゾン、1日2グラムのメサラミンを処方されている。プレドニゾンは2週間毎に5mg減らされる。血液検査の結果を受け取った6週間後に、患者を入院させ、ヒドロコルチゾンIVを7日間投与すると、患者の体重は4kg減少し、投薬の結果生じた副作用として寛骨の頭部が死滅剥離し始めた。該患者に以下の入院後投薬(post-hospital medication)を処方する:
1日100mgのイムラン(4年の処置が予定される)
1日50mgのプレドニゾン(2週間毎に5mg減少)。
【0133】
その後、患者は5mlの油(バッチ365)を1日3回摂取し始め、そしてこの油の適用開始から1か月以内にすべての他の投薬を停止した。患者の医学的問題の重症度は減少し続けた。油の適用を開始して3か月後に、1日ティースプーン2杯の油(バッチ365)の抽出物を摂取するよう患者に指示した。そして患者は4か月慢性症状を経験していない。該患者の健康は改善し続け(消化器系、スタミナ、体力(fitness)等)、体重は5kg増加した。累積のC反応性タンパク質は6か月間にわたって65.1〜5.3mg/L、範囲(0.0〜5.0)mg/Lに減少した。この患者の結果を以下の表10にまとめる。
CRPおよびESRの結果
表10
【0134】
【表10】
表11
【0135】
【表11】
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】図1は、粗製油/ろ液から生物活性油を抽出する過程のフローチャートである。
【図2】図2は、本発明に記載の生物活性油を製造する過程のフローチャートである。
【図3】図3は、炎症誘発性ロイコトリエンを抑制する生物活性油によって影響される酵素経路の概要である。
【図4】図4は、ステロイドおよび生物活性エミュー油(治療用油)由来のリポキシゲナーゼ阻害剤(群)(LI)が協同して作用し、炎症誘発性ロイコトリエンを抑制することができる仕組みを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質基材から生物活性化学物質を含有する脂肪または油およびその抽出物を製造するための方法であって、以下の段階を含む方法:
a)真菌由来の脂肪分解酵素を脂質基材に接種する段階
b)接種後の基材を、7〜120日の範囲の期間、4〜35℃の範囲の温度で、75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、および
c)当該基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【請求項2】
段階b)において、典型的にインキュベーション期間が80〜100%の範囲の高湿度で7〜28日の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階c)において、脂質が動物由来である場合、典型的に生成物が当該接種後の基材を精製することによって得られる生物活性油である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
段階c)において、脂質が植物または種子由来である場合、当該接種後の基材混合物を冷却圧縮または溶媒抽出することによって生物活性油を取得する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
メタノールを使用して低温で溶媒抽出することによって油を製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法にしたがって製造される生物活性脂肪または油およびその抽出物。
【請求項7】
ヒトまたは動物患者の炎症症状の処置方法であって、患者に有効量の生物活性油または抽出物を投与することを含み、この場合、該油は、真菌が脂質基材を代謝/変換して、生物活性化学物質を含有する脂肪および特に油およびその抽出物を生産することによって製造されるものである方法。
【請求項8】
該投与が経口、経皮または皮下投与である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該炎症症状が、関節リウマチおよび骨関節炎を含む関節炎のような筋骨格障害を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
該炎症症状が、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む過敏性腸疾患のような胃腸障害を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
該炎症症状が、喘息を含む呼吸器疾患である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
1種またはそれ以上の許容される担体または希釈剤とともに調製される医薬用クリームとして油または抽出物を使用する、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
5−HETEおよび/または12−HETEの阻害を含むLOX経路の阻害に使用するための薬物の製造に関する、請求項6に特許請求されている油および/または抽出物の使用。
【請求項14】
シクロオキシゲナーゼ酵素(COX)経路の阻害に使用するための薬物の製造に関する、請求項6に特許請求されている油および/または抽出物の使用。
【請求項15】
C反応性タンパク質経路を阻害するための薬物の製造に関する、請求項6に特許請求されている油および/または抽出物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質基材から生物活性化学物質を含有する脂肪または油および/またはその抽出物を製造するための固相法であって、以下の段階を含む方法:
a)脂質基材に、該基材由来の、酵素活性を有する真菌混合物を接種する段階、
b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートし、該真菌混合物が脂質基材を、生物活性化学物質を含有する該脂肪または油および/またはその抽出物に代謝/変換するようにする段階、および
c)該インキュベート後の基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【請求項2】
脂質基材から生物活性化学物質を含有する脂肪または油および/またはその抽出物を製造するための固相法であって、以下の段階を含む方法:
a)真菌混合物の接種を全く行わずに、脂質基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートし、脂質基材が、生物活性化学物質を含有する該脂肪または油および/またはその抽出物に変換されるようにする段階、および
b)該インキュベート後の基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【請求項3】
段階b)において、インキュベーション期間が、約5〜20℃の範囲の温度および約80〜100%の範囲の湿度で約7〜56日の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
段階a)において、インキュベーション期間が、約5〜20℃の範囲の温度および約80〜100%の範囲の湿度で約7〜56日の範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
段階c)において、脂質基材が動物由来であり、該代謝/変換された接種後の脂質基材を精製して生物活性油を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
段階b)において、脂質基材が動物由来であり、該代謝/変換された脂質基材を精製して生物活性油を得る、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
段階c)において、脂質基材が植物または種子由来であり、該接種後の基材混合物を冷却圧縮または溶媒抽出することによって該生物活性油を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
段階b)において、脂質基材が植物または種子由来であり、該基材混合物を冷却圧縮または溶媒抽出することによって該生物活性油を得る、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
得られた生物活性油を、低温のメタノールを使用して溶媒抽出することによって生物活性油の濃縮抽出物を製造する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項の方法にしたがって製造される生物活性脂肪または油およびその抽出物。
【請求項11】
ヒトまたは動物患者の疾患または症状の処置または予防方法であって、請求項1〜9のいずれか1項の方法にしたがって製造される生物活性脂肪または油またはその抽出物の有効量を患者に投与することを含む方法。
【請求項12】
該投与が経口、経皮または皮下投与である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該症状が、関節炎、関節リウマチおよび骨関節炎のような筋骨格障害を含む炎症症状である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該疾患または症状が、クローン病および潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患、胃潰瘍、胃液逆流および膵炎を含む胃腸障害である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
該疾患が、喘息、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む呼吸器疾患である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
該疾患が、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患および高血圧症を含む循環器疾患である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
該疾患が、皮膚炎、乾癬およびアトピー性湿疹を含む皮膚疾患である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
該疾患または症状が、腸癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌およびサルコイドーシスおよび、ホジキンリンパ腫のような非固形腫瘍を含む癌である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
該疾患または症状が、白血病、糖尿病、アレルギー(例えば中耳炎、眼アレルギー、ブドウ膜炎)、月経困難症、腎疾患(例えば糸球体腎炎、ネフローゼ症候群)、良性前立腺肥大、敗血性ショックを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
該疾患または症状の病理発生に、5−、12−および15−LOX経路を含むリポキシゲナーゼ(LOX)経路の活性化が関与する、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
該疾患または症状の病理発生に、COX−1およびCOX−2経路を含むシクロオキシゲナーゼ(COX)経路の活性化が関与する、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
該疾患または症状の病理発生が血中C反応性タンパク質レベルの増加を特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
1種またはそれ以上の許容される担体または希釈剤とともに調製される医薬用クリームの形式で該生物活性脂肪または油またはその抽出物を局所投与する、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
ヒトまたは動物の炎症性疾患または症状を処置するための薬物の製造に関する、請求項10で特許請求される生物活性脂肪または油およびその抽出物の使用。
【請求項25】
該生物活性脂肪または油が、5−、12−および15−LOX経路を含むリポキシゲナーゼ(LOX)経路を阻害する、請求項24に記載の使用。
【請求項1】
脂質基材から生物活性化学物質を含有する脂肪または油およびその抽出物を製造するための方法であって、以下の段階を含む方法:
a)真菌由来の脂肪分解酵素を脂質基材に接種する段階
b)接種後の基材を、7〜120日の範囲の期間、4〜35℃の範囲の温度で、75〜100%の範囲の湿度でインキュベートする段階、および
c)当該基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【請求項2】
段階b)において、典型的にインキュベーション期間が80〜100%の範囲の高湿度で7〜28日の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階c)において、脂質が動物由来である場合、典型的に生成物が当該接種後の基材を精製することによって得られる生物活性油である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
段階c)において、脂質が植物または種子由来である場合、当該接種後の基材混合物を冷却圧縮または溶媒抽出することによって生物活性油を取得する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
メタノールを使用して低温で溶媒抽出することによって油を製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法にしたがって製造される生物活性脂肪または油およびその抽出物。
【請求項7】
ヒトまたは動物患者の炎症症状の処置方法であって、患者に有効量の生物活性油または抽出物を投与することを含み、この場合、該油は、真菌が脂質基材を代謝/変換して、生物活性化学物質を含有する脂肪および特に油およびその抽出物を生産することによって製造されるものである方法。
【請求項8】
該投与が経口、経皮または皮下投与である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該炎症症状が、関節リウマチおよび骨関節炎を含む関節炎のような筋骨格障害を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
該炎症症状が、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む過敏性腸疾患のような胃腸障害を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
該炎症症状が、喘息を含む呼吸器疾患である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
1種またはそれ以上の許容される担体または希釈剤とともに調製される医薬用クリームとして油または抽出物を使用する、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
5−HETEおよび/または12−HETEの阻害を含むLOX経路の阻害に使用するための薬物の製造に関する、請求項6に特許請求されている油および/または抽出物の使用。
【請求項14】
シクロオキシゲナーゼ酵素(COX)経路の阻害に使用するための薬物の製造に関する、請求項6に特許請求されている油および/または抽出物の使用。
【請求項15】
C反応性タンパク質経路を阻害するための薬物の製造に関する、請求項6に特許請求されている油および/または抽出物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質基材から生物活性化学物質を含有する脂肪または油および/またはその抽出物を製造するための固相法であって、以下の段階を含む方法:
a)脂質基材に、該基材由来の、酵素活性を有する真菌混合物を接種する段階、
b)接種後の基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートし、該真菌混合物が脂質基材を、生物活性化学物質を含有する該脂肪または油および/またはその抽出物に代謝/変換するようにする段階、および
c)該インキュベート後の基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【請求項2】
脂質基材から生物活性化学物質を含有する脂肪または油および/またはその抽出物を製造するための固相法であって、以下の段階を含む方法:
a)真菌混合物の接種を全く行わずに、脂質基材を、約7〜120日の範囲の期間、約4〜35℃の範囲の温度で、約75〜100%の範囲の湿度でインキュベートし、脂質基材が、生物活性化学物質を含有する該脂肪または油および/またはその抽出物に変換されるようにする段階、および
b)該インキュベート後の基材混合物を処理して生物活性脂肪または油を得る段階。
【請求項3】
段階b)において、インキュベーション期間が、約5〜20℃の範囲の温度および約80〜100%の範囲の湿度で約7〜56日の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
段階a)において、インキュベーション期間が、約5〜20℃の範囲の温度および約80〜100%の範囲の湿度で約7〜56日の範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
段階c)において、脂質基材が動物由来であり、該代謝/変換された接種後の脂質基材を精製して生物活性油を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
段階b)において、脂質基材が動物由来であり、該代謝/変換された脂質基材を精製して生物活性油を得る、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
段階c)において、脂質基材が植物または種子由来であり、該接種後の基材混合物を冷却圧縮または溶媒抽出することによって該生物活性油を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
段階b)において、脂質基材が植物または種子由来であり、該基材混合物を冷却圧縮または溶媒抽出することによって該生物活性油を得る、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
得られた生物活性油を、低温のメタノールを使用して溶媒抽出することによって生物活性油の濃縮抽出物を製造する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項の方法にしたがって製造される生物活性脂肪または油およびその抽出物。
【請求項11】
ヒトまたは動物患者の疾患または症状の処置または予防方法であって、請求項1〜9のいずれか1項の方法にしたがって製造される生物活性脂肪または油またはその抽出物の有効量を患者に投与することを含む方法。
【請求項12】
該投与が経口、経皮または皮下投与である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該症状が、関節炎、関節リウマチおよび骨関節炎のような筋骨格障害を含む炎症症状である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該疾患または症状が、クローン病および潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患、胃潰瘍、胃液逆流および膵炎を含む胃腸障害である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
該疾患が、喘息、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む呼吸器疾患である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
該疾患が、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患および高血圧症を含む循環器疾患である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
該疾患が、皮膚炎、乾癬およびアトピー性湿疹を含む皮膚疾患である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
該疾患または症状が、腸癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌およびサルコイドーシスおよび、ホジキンリンパ腫のような非固形腫瘍を含む癌である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
該疾患または症状が、白血病、糖尿病、アレルギー(例えば中耳炎、眼アレルギー、ブドウ膜炎)、月経困難症、腎疾患(例えば糸球体腎炎、ネフローゼ症候群)、良性前立腺肥大、敗血性ショックを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
該疾患または症状の病理発生に、5−、12−および15−LOX経路を含むリポキシゲナーゼ(LOX)経路の活性化が関与する、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
該疾患または症状の病理発生に、COX−1およびCOX−2経路を含むシクロオキシゲナーゼ(COX)経路の活性化が関与する、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
該疾患または症状の病理発生が血中C反応性タンパク質レベルの増加を特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
1種またはそれ以上の許容される担体または希釈剤とともに調製される医薬用クリームの形式で該生物活性脂肪または油またはその抽出物を局所投与する、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
ヒトまたは動物の炎症性疾患または症状を処置するための薬物の製造に関する、請求項10で特許請求される生物活性脂肪または油およびその抽出物の使用。
【請求項25】
該生物活性脂肪または油が、5−、12−および15−LOX経路を含むリポキシゲナーゼ(LOX)経路を阻害する、請求項24に記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2006−526392(P2006−526392A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508082(P2006−508082)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000745
【国際公開番号】WO2004/108941
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505429049)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000745
【国際公開番号】WO2004/108941
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505429049)
【Fターム(参考)】
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