説明

生物相容性の止血、癒着防止、癒合促進、外科密封可能な変性澱粉材料

ある生物相容性止血、生物相容性癒着防止、組織癒合の促進、吸収可能な外科密封及び組織接着に用いる変性澱粉材料であって、ある生物相容変性澱粉を動物の組織に施して、その内、該変性澱粉材料は、その分子量が15,000ダルトン以上で、粒の粒径が1〜1000μmである。本発明の変性澱粉止血材料は、止血作用を果たすことができ、傷口からの出血、血液滲出、組織液の滲出が減少でき、しかも傷表面又は傷口に適当な湿潤や乾燥を維持させることができ、細菌成長及び炎症反応が抑制でき、傷口の局部消炎に効いて、患者の痛みを減少することができる。手術が完成した後、局部を洗浄することができ、余計な変性しない澱粉が除去でき、そして戦争傷や自救及び救急処理をしてからの傷表面を再処理する時、止血剤を簡単に取り除くことができ、そして残留した少量の変性澱粉止血材料は機体に吸収できる為、ガーゼや包帯を引き剥がす時、人にもたらす痛みを避けることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物相容性止血、生物相容性癒着防止、組織癒合の促進、吸収可能な外科密封剤及び組織接着に用いる変性澱粉材料に関して(を提供して)、特に直接、人や哺乳動物などの傷表面に用いられて、該傷表面は出血傷表面又は滲出液のある傷表面を含み、止血、癒着防止、組織癒合の促進、傷組織断面の密封作用を持ち、それに出血及び組織液の滲出が防止でき、外傷や手術によって引き起こした損傷組織器官を接着することができ、組織の修復を助けることができ、外科縫合が避けられ又は減少でき、しかも人や動物体に吸収される変性澱粉材料である。
【背景技術】
【0002】
外科手術及び外傷は皆血傷表面が形成できて、その時、血液が大量に流失した為、至急に止血手段を採用しなければならない。生物相容性の吸収可能な止血材料を血傷表面に用いるのは普通の止血手段で、それは外科手術や外傷、救急、家庭自救の時、皆切実な需要となる。その為、ある安全、有効、使用し易く、且つコストの安い止血材料を提供するのは人類に対して非常に重要である。
【0003】
現在、よく用いられる吸収可能な止血材料は下記種類を含む:
1.止血スポンジ(SPONGE)類:ゼラチンスポンジ、コラーゲンタンパクスポンジ、キトサン止血スポンジ、カルボキシメチル繊維素止血スポンジ、トロンビン又は繊維タンパク含有の止血スポンジ
2.止血ガーゼ/止血膜(GAUZE,FILM)類:酸化繊維素、酸化再生繊維素の止血ガーゼ、カルボキシメチル繊維素含有の酸化繊維素止血ガーゼ。
3.止血膠類:線維素膠、人工合成膠。
4.多糖止血粉類:微孔多糖止血粉、キトサン止血粉、藻類止血粉。
【0004】
以下は常用生物相容性止血材料に対して具体的に分析する:
【0005】
1.吸収可能なゼラチンスポンジ及びコラーゲンタンパクスポンジ
ゼラチンスポンジは動物組織からの抽出物で、その主な成分は動物コラーゲンである。その親水性及び多孔構造は速やかに血液の水分が吸収できる為、それにより血液が濃縮でき、止血の目的に達成できる。しかし、ゼラチンは動物からのコラーゲン抽出物で、異種タンパクを含むから、過敏反応を引き起こし易く、臨床で患者に発熱症をもたらすことがある。同時に、人体はゼラチンスポンジを吸収するのが比較的に遅くて、一般的に4週間以上が必要で、それにより、傷口の感染率が増し、傷口の癒合に影響がある。
【0006】
コラーゲンタンパクスポンジも動物組織からのコラーゲン抽出物で、それは血液水分の吸収を通じて血液を濃縮するほかに、内因性凝血機制の活性化を通じて凝血を促進することができる。
【0007】
ゼラチンスポンジと同じように、コラーゲンタンパクスポンジの原料由来も動物で、異種タンパクに属し、人体吸収は遅い。臨床での表現は患者の過敏反応や傷口癒合の遅さ及び傷口が感染しやすい等の合併症で、それにより臨床での使用は大きく局限されている。
【0008】
2.酸化繊維素(Oxidized Cellulose)、酸化再生繊維素(Oxidized regenerated cellulose)の止血ガーゼ
酸化繊維素は繊維素誘導体の1種類で、材料の吸水特性を通じて血液を濃縮し、凝血機制を起動するのがその止血機制である。同時にカルボキシルはヘモグロビンFeと結合し、血液に酸性鉄ヘモグロビンを産生させ、茶色の膠塊を形成し、毛細血管末端を密封することを通じて止血の目的に達成できる。酸化再生繊維素は酸化繊維素の止血機制と同じである。
【0009】
酸化繊維素は人工合成の物で、正常な人体組織には酸化繊維素を代謝する酵素が乏しい為、当該類製品を分解する速度が比較的に遅く、使用量及び使用部位によって体内での吸収時間が少なくとも3〜6週が必要である。臨床では局部感染の引き起こしや局部組織の癒合にも影響がある。公開番号がCN1533751Aの特許は止血可能な傷表面包帯を開示し、その商品名はSURGICELで、それは織物、傷と接触する織物表面に塗装し、しかも少なくとも一部が織物に分散した多孔重合体基質を含み、該基質は生物相容の水溶性又は水溶膨張性の重合体を含み、そして織物繊維は酸化再生繊維で、水溶性又は水溶膨張性の重合体は多糖である。しかしながら、該止血包帯が選択した主体材料は酸化繊維素で、人体吸収が遅く、それにより臨床での応用も制限されている。
【0010】
3.線維素膠(Fibrin glue)
線維素膠は線維素原、凝血酵素、アプロチニン及び塩化カルシウムから組成し、その止血作用としては主に凝血酵素が線維素原を活性化することを通じて機体凝血を促進する。近年来、臨床でよく使われる線維素密封剤は線維素原と凝血酵素の混合装置である。線維素膠にある凝血酵素及び線維素は人体又は動物からの抽出物で、患者に過敏反応を引き起こし易く、それに人源性又は動物源性の病気を感染しやすく、例えば、肝炎、エイズ、狂牛病等。線維素膠は湿潤の組織傷表面に用いる時、接着性が弱く、活動性出血を有効に制御できなく、しかも貯蔵や運送しにくい為、使用に不便である。
【0011】
4.天然生物多糖類製品
近年来、天然生物多糖類製品の発展が速くて注目されている。目前、止血に用いる天然生物多糖類製品は植物多糖及びキトサンで、それらの生物相容性が良くて、無毒、刺激は無く、機体の過敏反応を引き起こしにくく、同時に伝染や人源性及び動物源性病気の感染を引き起こすことができない。
【0012】
(1)キトサン/キチン類製品
キトサン/キチン類製品の代表的な製品は高膨張水溶のキトサンスポンジで、それは天然海洋生物の抽出物のキトサンを原料として製作され、キトサンは比較的に良い吸水性を持ち、機体自身凝血機制を引き起こし、そしてそれを加速起動することを通じて凝血が促進でき、それにより外用止血剤に用いられる。しかし、人体にはそれを快速分解できる酵素が乏しい為、今は外科手術に用いられず、目前、国内外はそれをIII類止血材料として臨床外科手術の止血に用いる報道はまだなかった。
【0013】
(2)微孔多糖―(Microporous Polysaccharide Hemospheres,MPH)
2002年、アメリカのMedafor会社はAristaTMと呼ばれる吸収可能な止血材料(アメリカ特許がUS6060461である)を開発した。その有効成分は微孔多糖で、グルカンを含む。該微孔多糖は多糖及びエピクロルヒドリンの反応を経て得られ、ヒドロキシル基付きのエピクロルヒドリンは澱粉分子と反応してエチルプロパントリオールを生成し、それは葡萄糖分子を3D網状構造に架橋できる。
【0014】
AristaTM止血材料は一部の問題を持っている。先ず、応用面から見れば、該止血材料はただ皮膚や軟組織傷表面の止血だけに限り、体腔深部組織器官の止血や特に内視鏡の下での止血(例えば胃鏡、腸鏡及び腹腔鏡などの低侵襲手術を行う時)にまだ有効な手段ではなかった。第二、調製方法から見れば、エピクロルヒドリンは無色油状液体で、毒性と麻痺性を持ち、その為、該製品を生産すると環境に不利で、生産コストも高い。第三、止血効果から見れば、その吸水性は十分に強くなく、吸水倍率は低く、しかも吸水速度は比較的に遅く、その為止血効果は理想ではなく、特に活動性出血に対する止血効果は良くない。第四、その粘度が低い為、吸水してから形成したゼラチンの接着性は弱く、その為、血と反応してから形成した凝血塊も組織との接着性は弱く、破損組織や血管に有効に接着密封できず、それにより止血効果に影響がある。第五、活動性出血の場合、止血粉は出血点に接着しがたく、血流に流されやすく、そして止血粉の上に補助材料を押えれば、補助材料が凝血塊と癒着しやすく、補助材料を引き剥がす時、再出血を形成しやすく、それにより、活動性出血に効果は良くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は生物相容性変性澱粉材料を提供し、該変性澱粉材料は止血材料として直接、人や動物の血傷表面に用いられ、体表、体内及び体腔内組織、器官への止血を含み、止血効果が迅速で有効である。
【0016】
本発明は血傷表面に止血作用を持つ他に、又手術後の組織癒着の防止、組織癒合の促進、傷口及び出血血管の密封、せき止及び組織接着の作用を持ち、しかも血傷表面に対して細菌抑制及び炎症抵抗の作用を持ち、該血傷表面は人体体表、体内組織器官及び体腔内組織や器官に属する場合、しかも外科手術、創傷治療、喉頭鏡や内視鏡及び腔鏡の下での手術に用いる場合、止血、癒着防止、組織癒合の促進、外科密封、傷口組織の接着作用がある。
【0017】
本発明は又、変性澱粉止血材料の調製方法及び工法を提供し、変性澱粉を粉剤、スポンジ、コロイド、膜等の形式に調製でき、様々な手術止血需要に適用でき、使用にも便利である。
【0018】
本発明は又、澱粉変性の不同方法及び工法の選択を通じて、変性澱粉に止血、癒着防止、密封、せき止、癒合促進、接着の要求を満足させ、及び応用環境に要求された重要な理化性質、性状、技術パラメーター及び技術指標に達成させることができる。該変性澱粉止血材料は人や動物に吸収されることができ、分解が速く、安全で信頼できる。
【0019】
同時に、本発明が提供した変性澱粉は生物相容性癒着防止材料、組織癒合促進材料、外科密封剤及び組織修復に有益な組織接着剤として用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述技術問題を解決する時、本発明が採用した技術方案とは、変性澱粉を生物相容性止血材料に用いることで、その原理としては、該変性澱粉は変性を経て水中に溶解又は溶解膨張して、粘性膠又は粘性液が形成できる。
【0021】
原理は又下記の内容を含む:上述変性澱粉は変性を経て親水原子団付きの変性澱粉である。
【0022】
吸水性付きの、吸水した後形成した高粘性変性澱粉は出血傷口に用いる時、速やかに血液の中の水分が吸収でき、血液が濃縮でき、同時に、血液、血漿と一緒に形成した膠性混合物を出血傷口に接着すれば、機械的に破損した血管及び傷口をせき止めることができ、止血の目的に達することができる。
【0023】
上述変性澱粉材料は物理変性、化学変性、酵素処理変性、天然変性及び上述1種類の方法の幾度もの変性、又は少なくとも上述2種類の方法の複合変性を通じて得られた変性澱粉を含む。
【0024】
その内、上述物理変性は輻射、機械、湿熱処理を含む。
純物理変性で調製した変性澱粉は、例えば干法、輻射法で調製した予糊化澱粉は、如何なる化学試薬の処理を受けなかった為、生物吸収可能な止血材料として用いられる時、その安全性が特に著しい。
【0025】
予糊化澱粉は比較的に典型的な物理変性澱粉で、その調製方法は干法変性でもよく、それは押出法、ロール乾燥法を含み、又は湿法変性でもよく、それは噴霧乾燥法を含む。
具体的に述べると、原澱粉を一定量の水分が存在する情況で加熱し、澱粉粒が糊状に溶解膨張され、規則に配列した膠束が破壊され、微晶が無くなり、しかも澱粉酵素の作用を受けやすく分解されやすくなる。予糊化澱粉は冷水や常温水の中で溶解膨張でき、一定粘度の糊液が形成でき、そしてその凝集沈殿性は原澱粉より小さい為、加工調製にも便利である。
【0026】
予糊化方式とは如何なる化学試薬を添加しない条件で、ただ純物理方法で、天然澱粉を変性し、天然澱粉が変性後の吸水性及び粘度が増した特徴を利用して製作した止血材料は安全、毒副作用は無く、そして予糊化後の澱粉は更に人体に酵素分解され代謝されやすくなり、しかもその生物相容性が良く、使用も安全である。
【0027】
上述化学変性は化学試薬で行った酸解、酸化、エステル化、エーテル化、架橋、移植変性処理、又は少なくとも上述2種類の方法を用いて行った複合変性処理、又は上述1種類の方法で行った少なくとも2回変性処理を含む。
【発明の効果】
【0028】
澱粉葡萄糖ユニットの官能団が化学試薬との反応を通じて、例えばカルボキシル化の改質、ビドロキシル化の改質を通じて、澱粉に親水原子団を持たせることができ、ダブル官能団又は多官能団の試薬を通じて原澱粉大分子の間に架橋体が形成でき、又は移植を通じて大分子の親水原子団が得られ、それにより澱粉の吸水特性を増やすことができ、そしてその粘度を高めることができる。変性澱粉の粘度は原澱粉の種類、代替度及び架橋又は移植面の機能原子団などの要素と関係がある。変性澱粉の吸水性及び吸水後粘性は、血液と接触し形成した「澱粉―凝血混合物」に高い粘性を持たせ、或いは形成した凝血混合物は組織タンパク質の機能原子団と反応し、「澱粉―凝血混合物」を破損傷口の組織に接着させることができ、止血及び密封目的に達成できる。
【0029】
具体的に述べると、上述変性澱粉は予糊化澱粉、酸変性澱粉、デキストリン、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉の中の1種類又はその組合せである。
2種類又はそれ以上の変性澱粉構成を含む止血材料は、止血材料理化性質の要求に基づき、その2種類変性澱粉の重量%は99:1〜1:99である。
【0030】
具体的に95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、50:50が含まれる。
【0031】
本発明の変性澱粉の主なパラメーター:
上述変性澱粉の分子量は15,000ダルトン以上(例えば15,000〜2,000,000ダルトン)である。
【0032】
上述変性澱粉の吸水倍率は1倍より低くなくて、一般的に1〜500倍でも良いが、2〜100は最良である。
【0033】
上述エーテル化澱粉は少なくともカルボキシメチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、カチオン澱粉の中の1種類又はその組合せを含む。
【0034】
その内、カルボキシメチル澱粉を例として、それはリニア構造重合体で、構造式は下記の通りである:
【化1】

【0035】
長い間臨床で既知の血漿代用品として使われている変性澱粉を採用すれば、例えばカルボキシメチル澱粉(CMS)とヒドロキシエチル澱粉を採用すれば、その生物相容性が良く、人体血管の内部に用いられ、毒副作用は無く、安全性が高い。本発明の止血材料はその他の血漿代用品までに用いられて、その周知の薬品代用ルート及び理化性質を利用し、安全信頼の止血材料が調製できる。
【0036】
変性澱粉の中のカチオン澱粉を止血材料として使用する時、その表面は正電荷を持っている為、負電荷付きの赤血球を吸引することができ、相互作用を通じて更に凝血過程が速やかにできる。もう一方、正電荷付きの変性澱粉は血液と接触するとしっかりと組織や密封傷口に接着できる為、快速に止血できる。カチオン澱粉は単独に止血材料に用いられ、又はその他の変性澱粉と混合して止血材料に用いられる。
【0037】
上述複合変性澱粉は少なくとも予糊化したヒドロキシプロピル二澱粉燐酸エステルを含み、具体的に述べると、ヒドロキシプロピル二澱粉燐酸エステルとは、澱粉はエポキシプロパン及び燐酸が架橋エーテル化の後、更に噴霧乾燥法の予糊化変性を経て調製した物で、それは酸性、アルカリ性条件の下で皆比較的に安定し、粘度が高く、吸水性が強く、止血効果が良く、その為、生物相容の止血材料、外科密封剤、組織癒合促進材料、組織修復に有益な接着剤及び癒着防止材料などに用いられる。
【0038】
上述移植澱粉は少なくともアクリル酸−カルボキシメチル澱粉移植重合体を含み、移植澱粉は極めて強い吸水能力及び粘性を持ち、傷表面に用いれば、迅速に止血目的に達成できて、特に戦争傷の処理や、救急及び臨床手術の時、動、静脈腫瘍の破裂などの大動脈、静脈の出血情況に適用する。
【0039】
本発明の変性澱粉止血材料は止血粉剤、止血球、止血噴霧剤に調製でき、それに直接に血傷表面に撒くことができ、又は気霧状に調製して血傷表面に吹き散らして止血できる。
大面積の火傷表面に対して、気霧、噴霧方法を採用すれば、傷表面に止血させることができるだけではなく、組織液の滲出が減少でき、傷表面の湿潤を保つことができ、組織の癒合に有益である。
【0040】
上述止血材料は止血スポンジ、止血膜、止血テープに製作しても良いし、それとも直接、血傷表面と接触させて止血してもよく、その内、スポンジ、止血膜、止血テープは膜状又は層状に製作でき、繊維織物内部又は繊維織物表面に附着させて、例えば、包帯、バンドエイド等。上述止血スポンジ、止血膜、止血テープは又、柱状、片状、塊状、綿状又は膜状に製作してもよい。
【0041】
上述変性澱粉止血スポンジは活動性出血に対して操作しやすく、良い治療効果を持つ。上述止血スポンジは1種類又はそれ以上の変性澱粉によって真空冷凍乾燥を経て製作し、上述止血スポンジは1種類又はそれ以上の変性澱粉と変性澱粉以外のその他の生物相容性止血材料によって真空冷凍乾燥及びその他の乾燥技術を経て製作した複合止血スポンジである。
【0042】
その内、上述変性澱粉以外の生物相容性止血材料はゼラチン、コラーゲンタンパク、カルボキシメチル繊維素、酸化繊維素、酸化再生繊維素、キトサンの中の1種類又はその組合せを含む。
【0043】
一部の変性澱粉をスポンジに製作する時の成型不良問題を解決する為に、本発明は既知の生物相容性のわりに良く、臨床で広く受けられたその他の生物吸収可能の止血材料及び変性澱粉を利用し、複合止血スポンジを製作した。その内、その他の生物吸収可能の止血材料は1種類又は多種類が採用でき、変性澱粉は1種類又は多種類も採用できる。具体的に例を挙げると:変性澱粉+ゼラチン、変性澱粉+コラーゲンタンパク、変性澱粉+キトサン、変性澱粉+カルボキシメチル繊維素、変性澱粉+ヒアルロン酸等がある。それらはスポンジの成型に便利で、臨床需要に満足できる。
【0044】
変性澱粉はその他の生物相容性止血材料の重量%は99.9:0.1〜1:99である。
具体的に述べると、変性澱粉がその他の生物相容性止血材料との優先選択した重量%は、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80を含む。
【0045】
上述変性澱粉止血スポンジを調製する時、直接、凝血剤が添加でき、又はその他の生物相容性止血材料と複合止血スポンジを調製する時、凝血剤も添加できて、真空冷凍乾燥を経て凝血剤含有の止血スポンジが調製できる。調製方法としては凝血剤を直接、変性澱粉と混合して冷凍乾燥を行うことで、但し上述調製工法には限らない。
【0046】
その内、上述凝血剤は凝血因子、凝血酵素、線維素、カルシウム剤、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸、魚精タンパクの1種類又はその組合せを含む。
【0047】
上述変性澱粉は成型剤、可塑剤と一緒に真空冷凍乾燥を経て止血スポンジが製作できる。
その内、上述成型剤は有機成型剤、無機成型剤、天然成型剤、人工合成可塑剤を含み、グリセリン、カオリン、ソルビトール、エチルアルコール、アンモニア水、ポリシュウ酸の1種類又はその組合せを含むけれどそれらに限らない。
【0048】
具体的に述べると、真空冷凍乾燥技術とは、湿っぽい材料又は溶液を比較的に低い温度(−10〜50℃)で固体状態に凍結させ、それから真空(1.3〜15Pa)の下でその中の水分を液態を通らず直接、気態に昇華させ、最後に材料を脱水させる乾燥技術である。真空冷凍乾燥は低温、低圧の下で行う為、しかも水分が直接に昇華され、その為、製品に多くの特殊性能が与えられた。
【0049】
真空冷凍乾燥技術の基本的なパラメーターは物性パラメーターと過程パラメーターを含み、物性パラメーターとは材料の熱伝導係数、伝達係数等を指し、過程パラメーターは冷凍、熱提供及び材料形態などの関係係数を含む。冷凍過程を研究するのは、システムに最良な冷凍曲線を見つける為である。
【0050】
上述生物相容の変性澱粉止血材料は止血膠に調製された物で、その物理形態は膠状、ゾル状、溶融膠状、半流体状、ゼラチン状等を含む。
【0051】
止血膠は変性澱粉に水に限らないその他の液体を加えて、そして一定の比例に従い希釈、溶解膨張、溶解してから得られる。
【0052】
本発明の変性澱粉材料は止血材料として、哺乳動物(人類を含み)、鳥類、爬虫類動物の血傷表面の止血に用いられて、そして人体体表、体内組織器官及び体腔内組織又は器官の血傷表面に用いられ、又は外科手術、傷救急、鼻鏡、喉頭鏡、内視鏡、腔鏡の下での止血に用いられる。
【0053】
本発明の変性澱粉止血材料は外科手術や外傷によってもたらした骨組織損傷の止血に用いられ、特に海綿骨部位の止血に用いられる。一部の患者は例えば子供、年寄り、骨粗しょう症患者は開胸、開頭手術を受ける時、胸骨、頭蓋骨断面の出血を制御しにくい為、臨床ではよく骨ろう(BONEWAX)を用いて胸骨、頭蓋骨の断面を処理する。しかし、骨ろうは吸収されにくく、骨の癒着不能、感染などの合併症を引き起こしやすい。本発明の変性澱粉生物材料は骨ろうを替えることができて、その強吸水性、強粘性及び強成型性特徴を利用し、骨折や手術で形成した骨断面に止血、機械密封、せき止の作用を果たすことができる。手術の後、速く代謝され分解されて、骨ろうによってもたらした骨癒着不能、感染合併症の医学問題を避けることができる。
【0054】
変性澱粉を止血材料として止血に用いると同時に、変性澱粉が所有するその他の生物学特性も極めて重要で注目すべきである。変性澱粉止血材料を使用すると、傷口を感染させ癒着させることができるかどうか、そして組織癒合への影響、傷口炎性反応の抑制及び傷表面組織液滲出の減少、組織への修復作用などは手術、外傷、救急等の処理に対して皆重大な意味を持っている。
【0055】
本発明の変性澱粉材料は更なる用途を持ち、それは手術の後、吸収可能の組織癒着防止材料に用いられることで、その作用原理とは本発明の変性澱粉は局部出血、滲出の減少を通じて、そして傷口又は傷表面に隣接の組織器官と、例えば腹膜等と機械隔離を形成させ、それにより創傷組織又は器官が周囲のその他の組織又は器官との癒着防止目的に達成できる。
【0056】
本発明の変性澱粉材料は又、組織癒合が促進でき、適当な操作方法を用いて、適当な変性澱粉を選択し及び適切な用量を用いれば、皮膚、皮下軟組織、筋肉組織、骨組織、脳組織、神経組織、肝臓、腎臓、脾臓などの臓器損傷組織に癒合作用が持たせる。例えば大面積火傷患者の傷表面に用いる場合、皮膚組織細胞の成長「ブラケット」として皮膚組織の癒合成長が促進でき、外傷や骨腫瘍切除術によってもたらした骨欠損の所に用いる場合、骨細胞の成長、爬行の「ブラケット」として骨組織の癒合成長に助けることができ、脳外傷や脳腫瘍切除等によってもたらした脳組織欠損の所に用いる場合、脳組織細胞の成長、爬行の「ブラケット」として、脳組織の癒合成長に助けることができる。
【0057】
本発明の変性澱粉材料のもう1つの用途とは、生物相容の外科密封剤として、傷口又は傷表面に保護コロイド又は膜が形成できて、手術や外傷などの原因で引き起こした血液、組織液、リンパ液、脳脊髄液、胆汁、胃液、腸液の滲出を密封することができて、それにより、リンパ瘻孔、胆瘻孔、胸膜瘻孔、腸瘻孔、脳脊髄液瘻孔、血管瘻孔などの発生が防止できる。
【0058】
本発明の変性澱粉材料のもう1つの用途とは、生物相容の組織接着剤として、損傷した神経組織、筋肉組織、骨組織、皮膚、皮下組織、臓器等の接着、修復、修繕に用いられて、そしてその他の医療用材料を修繕しようとする組織、器官及び傷表面に接着することができる。
【0059】
本発明の変性澱粉材料は臨床で使用する時、又、出血した傷表面に対して細菌抑制及び炎症抵抗の役割を果たすことができる。本発明の変性澱粉止血材料は止血作用を持っている為、傷口の出血、血液滲出、組織液の滲出が減少でき、しかも傷表面や傷口に適当な湿潤又は乾燥を維持させることができ、それにより、細菌の成長及び炎症反応が抑制でき、傷口の局部消炎に有利で、患者の苦痛を減少することができる。それ以外に、炎症抵抗効果を強化する為に、変性澱粉止血粉、スポンジ、止血膠などの材料を製作する時、材料の中に既知の抗生物質やその他の消炎剤を入れて、体表用、体内用の消炎止血複合材料が製作できる。
【0060】
本発明のもう1つのメリットは下記の通りである:本発明の変性澱粉材料は溶解膨張しやすく又は水に溶解しやすい為、止血目的に達成した後、生理食塩水などの液体で傷表面が洗浄でき、止血に参与しない変性澱粉止血材料は簡単に流され、吸引器に吸引され又は補助材料に拭き取られることができ、体内の残留が減少でき、快速な代謝及び吸収に有利で、異物反応が減少でき、傷口癒合に有利である。戦争傷、自救及び救急処理の後、傷表面を再処理する時、簡単に止血剤が除去でき、少量の変性澱粉止血材料が体内に残されても、機体に吸収でき、ガーゼや包帯を引き剥がす時患者にもたらす苦痛を避けることができる。
【0061】
変性澱粉止血材料は又、安定、分解しにくく、保証期間が長く、貯蔵に便利、耐高圧、耐低圧、耐高温(60℃以上)、耐低温(−40℃以下)、理化特性が変わりにくい等の特徴を持ち、軍隊や消防者、救急車、家庭、特に寒冷、炎熱地区及び砂漠、南極、北極、高山、宇宙、水中などの極端条件での止血に適合する。
【0062】
変性澱粉とするスポンジ澱粉材料は、柔軟、弾性を持ち、成型しやすく、巻きしやすい等の特徴を持つ為、各形状、各特徴の傷口に適用でき、例えば、深部、彎曲、異常形状の傷口や生理器官、生理腔隙の内外表面、腔鏡及び内視鏡の下での止血や処理に適用し、医者の操作にも便利である。
【0063】
更に変性澱粉が傷表面や組織などに直接、使用する安全性を強化する為に、本発明の変性澱粉材料は包装された後消毒処理が行えて、消毒方法はγ射線輻射消毒、オキシラン消毒、オゾン消毒を含むが、それらに限らない。
【0064】
本発明のある生物相容性澱粉材料の調製方法は、下記の手順を含む:
(a)ある変性した吸水性生物相容性澱粉原料を提供し、沸騰機に入れて、40〜50℃以下で、
(b)蒸留水を入れて、凝集、丸薬製作を経て、変性澱粉材料製品が出来上がる。
【0065】
その中、該変性澱粉材料は、その分子量が15,000ダルトン以上(例えば15,000〜2,000,000ダルトン)で、粒の粒径は10〜1000μmで、その内、粒の粒径が30〜500μmの澱粉粒は澱粉粒総量の95%以上を占め、その内、該変性澱粉材料は、血傷表面に止血作用や癒着防止、組織癒合の促進、密封、せき止、接着作用が提供でき、それに血傷表面に細菌抑制及び炎症抵抗の作用が提供でき、該血傷表面は人体体表、体内組織器官及び体腔内組織又は器官に属し、そして外科手術、傷救急、喉頭鏡、内視鏡及び腔鏡の下での手術に用いる場合、止血、癒着防止、組織癒合の促進、外科傷口密封、傷口組織接着等の作用を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】兔肝出血陽性対照組(AristaTM)の止血効果図
【図2】兔肝出血カルボキシメチル澱粉66#変性澱粉サンプル組の止血効果図
【図3】兔肝出血陰性対照組(原澱粉)の止血効果図
【図4】カルボキシメチル澱粉66#実験組24時間小鼠腹腔内癒着情況図
【図5】カルボキシメチル澱粉66#実験組24時間小鼠腹腔内分解情況図
【図6】大鼠腸癒着対照組(空白)の癒着効果図
【図7】大鼠腸癒着カルボキシメチル澱粉66#変性澱粉癒着防止効果図
【図8】大鼠腸癒着陽性対照組ヒアルロン酸Na癒着防止効果図
【図9】家兎骨癒合指標比較図
【図10】予糊化ジヒドロヒドロキシプロピル澱粉燐酸アステル(51#)止血スポンジA断面のスキャン電子顕微鏡の写真
【図11】予糊化ジヒドロヒドロキシプロピル澱粉燐酸エステル(51#)止血スポンジB断面のスキャン電子顕微鏡の写真
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明は生物相容性止血、生物相容性癒着防止、組織癒合の促進、吸収可能な外科密封剤及び組織接着に用いる変性澱粉材料に関して、特に直接、人や哺乳動物などの傷表面に用いられて、該傷表面は出血傷表面又は滲出液のある傷表面を含み、止血、癒着防止、組織癒合の促進、傷組織断面の密封作用を持ち、それに出血及び組織液の滲出が防止でき、外傷や手術によって引き起こした損傷組織器官を接着することができ、組織の修復を助けることができ、外科縫合が避けられ又は減少でき、しかも人や動物体に吸収される変性澱粉材料である。
【0068】
澱粉はグルカンの1種類で、普通は水に溶解できなく、常温で吸水できなく又は吸水しにくくて、天然澱粉は60℃以上の熱水の中で吸水膨張して粘性のある半透明なコロイド溶液に変えられる。原澱粉は加工処理を経てその分子に異常構成を発生させ、新しい化学物理特性が得られ、変性澱粉に変わった。澱粉は由来によって、イモ類澱粉、トウモロコシ澱粉などに分けられ、アミロースとアミロペクチンを含む。粒の大小は1〜100μmで、平均直径は15〜30μmである。
【0069】
天然澱粉はその粒が小さく、軽く、常温での吸水性が悪い事が原因で、止血目的に達成しがたい。
変性澱粉は澱粉分子チェーンを切断し、改めて配列し又はその他の化学原子団を導入して、その構造を変えることを通じて得られ、変性された澱粉は原澱粉と比べてもっと優れた性能を持ち、変性方法で区分すると、主に物理変性澱粉、化学変性澱粉、酵素変性澱粉及び天然変性澱粉と分けられる。
【0070】
物理変性澱粉とは、加熱、押付け、輻射等の物理方法を用いて澱粉結晶構造を変え、必要性能のある変性澱粉を生成し、具体的にいうと、物理変性を経て製作した変性スポンジは主に予糊化(α化)澱粉、γ射線、マイクロウェーブ又は高周波輻射澱粉、機械研磨澱粉、湿熱処理澱粉などを含む。
【0071】
化学変性澱粉とは、原澱粉を化学試薬で処理し、その構造を変えることによって性質を変え、応用要求に達成し、具体的に言うと、化学変性を経て製作した変性澱粉は主に酸変性澱粉、酸化澱粉、焙焼デキストリン、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、移植澱粉などを含む。
【0072】
酵素変性澱粉とは、酵素の作用を通じて原澱粉を変性澱粉に変え、例えばα、β、γ-シクロデキストリン、マルトデキストリン、アミロペクチン等。
【0073】
天然変性澱粉とは、品種栽培及び遺伝技術を通じて澱粉の構造を変え、化学変性澱粉と相同特性を持たせる天然澱粉である。
【0074】
変性澱粉は通常、原澱粉を何回も変性させて要求した理化性状になり、即ち2種類又は2種類以上の変性方法を通じて変性を行い、製作した変性澱粉は複合性変性澱粉と呼ばれ、現在よく使われている変性澱粉の中は、大部分が多数変性を経た複合性変性澱粉である。
【0075】
本発明が提供した生物相容性変性澱粉材料は止血材料として直接、人や動物の血傷表面に用いられ、体表、体内及び体腔内組織、器官への止血を含み、止血効果が迅速で有効である。
【0076】
本発明が提供した変性澱粉止血材料を調製する方法及び工法は、変性澱粉を粉剤、スポンジ、コロイド、膜等の形式に調製でき、様々な手術止血需要に適用でき、使用にも便利である。
【0077】
本発明は又、澱粉変性の不同方法及び工法の選択を通じて、変性澱粉に止血、密封、せき止、癒合促進、接着の要求を満足させ、及び応用環境に要求された重要な理化性質、性状、技術パラメーター及び技術指標に達成させることができる。該変性澱粉止血材料は人や動物に吸収されることができ、分解が速く、安全で信頼できる。
【0078】
同時に、本発明が提供した変性澱粉は生物相容性癒着防止材料、組織癒合促進材料、外科密封剤及び組織修復に有益な組織接着剤として用いられる。
【0079】
上述技術問題を解決する時、本発明が採用した技術方案とは、変性澱粉を生物相容性止血材料に用いることで、その原理としては、該変性澱粉は変性を経て水中に溶解又は溶解膨張して、粘性膠又は粘性液が形成できる。
【0080】
原理は又下記の内容を含む:上述変性澱粉は変性を経て親水原子団付きの変性澱粉である。
吸水性付きの、吸水した後形成した高粘性変性澱粉は出血傷口に用いる時、速やかに血液の中の水分が吸収でき、血液が濃縮でき、同時に、血液、血漿と一緒に形成した膠性混合物を出血傷口に接着すると、機械的に破損した血管及び傷口をせき止めることができ、止血の目的に達することができる。
【0081】
上述変性澱粉材料は物理変性、化学変性、酵素処理変性、天然変性及び上述1種類の方法の幾度もの変性、又は少なくとも上述2種類の方法の複合変性を通じて得られた変性澱粉を含む。
その内、上述物理変性は輻射、機械、湿熱処理を含む。
【0082】
純物理変性で調製した変性澱粉は、例えば干法、輻射法で調製した予糊化澱粉は、如何なる化学試薬の処理を受けなかった為、生物吸収可能な止血材料として用いられる時、その安全性が特に著しい。
予糊化澱粉は比較的に典型的な物理変性澱粉で、その調製方法は干法変性でも良いし、それは押出法、ロール乾燥法を含み、又は湿法変性でもよく、それは噴霧乾燥法を含む。
【0083】
具体的に述べると、原澱粉を一定量の水分が存在する情況で加熱し、澱粉粒が糊状に溶解膨張され、規則に配列した膠束が破壊され、微晶が無くなり、しかも澱粉酵素の作用を受けやすく分解されやすくなる。予糊化澱粉は冷水や常温水の中で溶解膨張でき、一定粘度の糊液が形成でき、そしてその凝集沈殿性は原澱粉より小さい為、加工調製にも便利である。
【0084】
予糊化方式とは如何なる化学試薬を添加しない条件で、ただ純物理方法で、天然澱粉を変性し、天然澱粉が変性後の吸水性及び粘度が増やした特徴を利用して製作した止血材料は安全、毒副作用は無く、そして予糊化後の澱粉は更に人体に酵素分解され代謝されやすくなり、しかもその生物相容性が良く、使用も安全である。
【0085】
上述化学変性は化学試薬で行った酸解、酸化、エステル化、エーテル化、架橋、移植変性処理、又は少なくとも上述2種類の方法を用いて行った複合変性処理、又は上述1種類の方法で行った少なくとも2回変性処理を含む。
【0086】
澱粉葡萄糖ユニットの官能団が化学試薬との反応を通じて、例えばカルボキシル化の改質、ビドロキシル化の改質を通じて、澱粉に親水原子団を持たせることができ、ダブル官能団又は多官能団の試薬を通じて原澱粉大分子の間に架橋体が形成でき、又は移植を通じて大分子の親水原子団が得られ、それにより澱粉の吸水特性を増やすことができ、そしてその粘度を高めることができる。変性澱粉の粘度は原澱粉の種類、代替度及び架橋又は移植面の機能原子団などの要素と関係がある。変性澱粉の吸水性及び吸水後粘性は、血液と接触し形成した「澱粉―凝血混合物」に高い粘性を持たせ、或いは形成した凝血混合物は組織タンパク質の機能原子団と反応し、「澱粉―凝血混合物」を破損傷口の組織に接着させることができ、止血及び密封目的に達成できる。
【0087】
本発明のもう1つのメリットは下記の通りである:本発明の変性澱粉材料は溶解膨張しやすく又は水に溶解しやすい為、止血目的に達成した後、生理食塩水などの液体で傷表面が洗浄でき、止血に参与しない変性澱粉止血材料は簡単に流され、吸引器に吸引され又は補助材料に拭き取られることができ、体内の残留が減少でき、快速な代謝及び吸収に有利で、異物反応が減少でき、傷口癒合に有利である。
【0088】
具体的に述べると、上述変性澱粉は予糊化澱粉、酸変性澱粉、デキストリン、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉の中の1種類又はその組合せである。
【0089】
2種類又はそれ以上の変性澱粉構成を含む止血材料は、止血材料理化性質の要求に基づき、その2種類変性澱粉の重量%は99:1〜1:99である。
具体的に95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、50:50が含まれる。
【0090】
本発明の変性澱粉の主なパラメーター:
上述変性澱粉の分子量は15,000ダルトン以上(例えば15,000〜2,000,000ダルトン)である。
上述変性澱粉の吸水倍率は1倍より低くなく、一般的に1〜500倍にしてもよいが、2〜100は最良である。
【0091】
上述エーテル化澱粉は少なくともカルボキシメチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、カチオン澱粉の中の1種類又はその組合せを含む。
その内、カルボキシメチル澱粉を例として、それはリニア構造重合体で、構造式は下記の通りである:
【化2】

長い間臨床で既知の血漿代用品として使われている変性澱粉を採用すれば、例えばカルボキシメチル澱粉(CMS)とヒドロキシエチル澱粉を採用すれば、その生物相容性が良く、人体血管の内部に用いられ、毒副作用は無く、安全性が高い。本発明の止血材料はその他の血漿代用品までに用いられ、その周知の薬品代用ルート及び理化性質を利用し、安全信頼の止血材料が調製できる。
【0092】
変性澱粉の中のカチオン澱粉を止血材料として使用する時、その表面は正電荷を持っている為、負電荷付きの赤血球を吸引することができ、相互作用を通じて更に凝血過程が速やかにできる。もう一方、正電荷付きの変性澱粉は血液と接触するとしっかりと組織や密封傷口に接着できる為、快速に止血できる。カチオン澱粉は単独に止血材料に用いられ、又はその他の変性澱粉と混合して止血材料に用いられる。
【0093】
上述複合変性澱粉は少なくとも予糊化したヒドロキシプロピル二澱粉燐酸エステルを含み、具体的に述べると、ヒドロキシプロピル二澱粉燐酸エステルとは、澱粉はエポキシプロパン及び燐酸が架橋エーテル化の後、更に噴霧乾燥法の予糊化変性を経て調製した物で、それは酸性、アルカリ性条件の下で皆比較的に安定で、粘度が高く、吸水性が強く、止血効果が良く、その為、生物相容の止血材料、外科密封剤、組織癒合促進材料、組織修復に有益な接着剤及び癒着防止材料などに用いられる。
上述架橋澱粉は少なくともエピクロルヒドリン架橋澱粉、架橋カルボキシメチル澱粉の中の1種類を含む。
【0094】
上述移植澱粉は少なくともアクリル酸−カルボキシメチル澱粉移植重合体を含み、移植澱粉は極めて強い吸水能力及び粘性を持ち、傷表面に用いれば、迅速に止血目的に達成できて、特に戦争傷の処理や、救急及び臨床手術の時、動、静脈腫瘍の破裂などの大動脈、静脈の出血情況に適用する。
本発明の変性澱粉止血材料は止血粉剤、止血球、止血噴霧剤に調製でき、それに直接、血傷表面に撒くことができ、又は気霧状に調製して血傷表面に吹き散らして止血できる。
【0095】
大面積火傷した傷表面に対して、気霧変性澱粉止血粉を噴射する方法及び傷表面に変性澱粉スポンジ、膜を被覆する方法を用いて、傷表面が止血できるだけではなく、組織液の滲出が減少でき、傷表面に湿潤を持たせ、繊維細胞が成長する時の爬行「ブラケット」にでき、組織の癒合にも有利である。
具体的に述べると、上述止血粉剤は変性澱粉が凝集、丸薬製作を経て製作された物で、変性澱粉の種類により、一部の変性澱粉の粒が比較的小さい為、凝集工法でその粒径を増やすことを通じてその止血性能が向上できる。それに対して変性澱粉の粒径が大きい場合、例えば架橋澱粉、移植澱粉の場合、該工法は必ず必要でなない。
【0096】
凝集を経て製作された上述変性澱粉は粒径が10〜1000μmで、優先選択した粒径が30〜500μmで、しかも粒径が30〜500μmの澱粉粒は澱粉粒総量の95%以上を占め、最良の粒径は50〜250μmである。
【0097】
具体的に述べると、凝集造粒をしていない原変性澱粉はその粒が小さくて軽く、吸水後、粒表面又は血液にある水分の間にコロイドが形成でき、それにより更に水分子がその他の澱粉粒の中へ入るのを妨げることができ、その為、止血効果に影響できる。但し、本発明は食品及び製薬工業の造粒技術を利用し、普通は細かい変性澱粉粒を5〜50μmで凝集を行い、臨床で応用できる粒径を製作し、同時にロール、篩い分けを経て流動可能の均一粒が得られ、その一般的な粒径が30〜500μmである。上述工法で製作した変性澱粉粒は、吸水速度が速く、吸水性が強く、粒が血液の中で速やかに拡散でき、コロイド保護層を形成しにくく、止血効果に影響できず、その為、止血効果がもっと良い。
【0098】
臨床手術の必要を満足する為に、本発明は違った方法及び工法条件を通じて違った性状の止血材料を調製して、医師の各手術の止血必要に応対できる。粉剤は大面積の弥漫性血液滲出、又は腹腔鏡、鼻鏡、内視鏡を経て止血粉剤を出血傷表面に噴射するのに適合する。粉剤は又、密封効果を持ち、手術後の胆瘻孔、胸腔瘻孔、リンパ瘻孔、腸瘻孔及び傷表面の血液、組織液の滲出などが防止でき、手術の後、生理食塩水で余計な粉剤を流すことを通じて、残留が避けられ、異物反応が減少でき、安全が保証できる。
【0099】
上述止血材料には止血スポンジ、止血膜、止血テープがあり、直接、血傷表面との接触を通じて止血できる。その中、スポンジ、止血膜、止血テープは膜状又は層状に製作でき、繊維織物の内部又は表面に附着できる。例えば包帯、バンドエイド等。
上述止血スポンジ、止血膜、止血テープは柱状、片状、塊状、綿状、膜状に製作できるが、上述形式には限らない。
【0100】
活動性出血及び血管圧力の高い出血に対して、手術者又は救護人員は出血点に圧力を施さないと血流を遮断できない。その場合、出血速度が速くて血管圧力が高い為、止血粉及び止血粉と血液が形成した凝血塊が血流に流されやすくなり、止血効果が達成できない。もし、止血粉の上で直接、出血点に圧力を施すと、血液と粉剤によって形成した凝血塊コロイドは、手袋や止血ガーゼ、包帯等の補助材料に癒着しやすく、手袋や補助材料を退かす時、凝血塊を引き離れて再出血を起こすことがある。本発明は、変性澱粉を直接に出血点と接触できる止血スポンジに製作し、スポンジの上で出血点を押付ければ、上述情況をよく避けることができる。その為、変性澱粉止血スポンジは活動性出血に対して、操作しやすく、優れた治療効果を持っている。
【0101】
上述止血スポンジは1種類又は1種類以上の変性澱粉で、真空冷凍乾燥を経て製作したが、上述調製工法には限らない。
【0102】
上述止血スポンジは1種類又は1種類以上の変性澱粉と変性澱粉以外のその他の生物相容性止血材料で、真空冷凍乾燥を経て製作した複合止血スポンジで、但し上述調製工法には限らない。
【0103】
その中、上述変性澱粉以外の生物相容性止血材料は、ゼラチン、コラーゲンタンパク、カルボキシメチル繊維素、酸化繊維素、酸化再生繊維素、キトサン、アルギン酸ナトリウムの中の1種類又は多種類の組合せを含み、但しそれらには限らない。
【0104】
一部の変性澱粉をスポンジに製作する時の成型不良問題を解決する為に、本発明は既知の生物相容性のわりに良く、臨床で広く受けられたその他の生物吸収可能の止血材料及び変性澱粉を利用し、複合止血スポンジを製作した。その内、その他の生物吸収可能な止血材料は1種類又は多種類が採用でき、変性澱粉は1種類又は多種類も採用できる。具体的に例を挙げると:変性澱粉+ゼラチン、変性澱粉+コラーゲンタンパク、変性澱粉+キトサン、変性澱粉+カルボキシメチル繊維素、変性澱粉+ヒアルロン酸等がある。それらはスポンジの成型に便利で、臨床需要に満足できる。
【0105】
変性澱粉はその他の生物相容性止血材料の重量%は99.9:0.1〜1:99である。
具体的に述べると、変性澱粉がその他の生物相容性止血材料との優先選択した重量%は、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80を含む。
上述変性澱粉止血スポンジを調製する時、直接に凝血剤が添加でき、又はその他の生物相容性止血材料と複合止血スポンジを調製する時、凝血剤も添加でき、真空冷凍乾燥を経て凝血剤含有の止血スポンジが調製できる。調製方法としては凝血剤を直接に変性澱粉と混合して冷凍乾燥を行うことで、但し上述調製工法には限らない。
【0106】
その内、上述凝血剤は凝血因子、凝血酵素、線維素、カルシウム剤、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸、魚精タンパクの1種類又はその組合を含むが、それらに限らない。
【0107】
上述変性澱粉は成型剤、可塑剤と一緒に真空冷凍乾燥を経て止血スポンジが製作できる。
その内、上述成型剤は有機成型剤、無機成型剤、天然成型剤、人工合成可塑剤を含み、グリセリン、カオリン、ソルビトール、エチルアルコール、アンモニア水、ポリシュウ酸の1種類又はその組合せを含むがそれらに限らない。
【0108】
具体的に述べると、真空冷凍乾燥技術とは、湿っぽい材料又は溶液を比較的に低い温度(−10〜50℃)で固体状態に凍結させ、それから真空(1.3〜15Pa)の下でその中の水分を液態を通らず直接、気態に昇華させ、最後に材料を脱水させる乾燥技術である。真空冷凍乾燥は低温、低圧の下で行う為、しかも水分が直接、昇華され、その為、製品に多くの特殊性能が与えられた。
【0109】
真空冷凍乾燥技術の基本的なパラメーターは物性パラメーターと過程パラメーターを含み、物性パラメーターとは材料の熱伝導係数、伝達係数等を指し、過程パラメーターは冷凍、熱提供及び材料形態などの関係係数を含む。冷凍過程を研究するのは、システムに最良な冷凍曲線を見つける為である。
上述生物相容の変性澱粉止血材料は止血膠に調製された物で、その物理形態は膠状、ゾル状、溶融膠状、半流体状、ゼラチン状等を含む。
【0110】
止血膠は変性澱粉に水に限らないその他の液体を加えて、そして一定の比例に従い希釈、溶解膨張、溶解してから得られる。
【0111】
本発明の変性澱粉材料は止血材料として、哺乳動物(人類を含み)、鳥類、爬虫類動物の血傷表面の止血に用いられて、そして人体体表、体内組織器官及び体腔内組織又は器官の血傷表面に用いられ、又は外科手術、傷救急、鼻鏡、喉頭鏡、内視鏡、腔鏡の下での止血に用いられる。
【0112】
特別に、本発明の変性澱粉止血材料は外科手術や外傷によってもたらした骨組織損傷の止血に用いられ、特に海綿骨部位の止血に用いられる。一部の患者は例えば子供、年寄り、骨粗しょう症患者は開胸、開頭手術を受ける時、胸骨、頭蓋骨断面の出血を制御しにくい為、臨床ではよく骨ろう(BONEWAX)を用いて胸骨、頭蓋骨の断面を処理する。しかし、骨ろうは吸収されにくく、骨の癒着不能、感染などの合併症を引き起こしやすい。本発明の変性澱粉生物材料は骨ろうを替えることができ、その強吸水性、強粘性及び強成型性特徴を利用し、骨折や手術で形成した骨断面に止血、機械密封、せき止の作用を果たすことができる。手術の後、速く代謝され分解されて、骨ろうによってもたらした骨癒着不能、感染合併症の医学問題を避けることができる。
【0113】
変性澱粉を止血材料として止血に用いると同時に、変性澱粉が所有するその他の生物学特性も極めて重要で注目すべきである。変性澱粉止血材料を使用すると、傷口を感染させ癒着させることができるかどうか、そして組織癒合への影響、傷口炎性反応の抑制及び傷表面組織液滲出の減少、組織への修復作用などは手術、外傷、救急等の処理に対して皆重大な意味を持っている。
【0114】
実験から見ると、本発明の変性澱粉材料は更なる用途を持ち、それは手術の後、吸収可能の組織癒着防止材料に用いられることで、その作用原理とは本発明の変性澱粉は局部出血、滲出の減少を通じて、そして傷口又は傷表面に隣接の組織器官と、例えば腹膜等と機械隔離を形成させ、それにより創傷組織又は器官が周囲のその他の組織又は器官との癒着防止目的に達成できる。
【0115】
本発明の変性澱粉材料は又、組織癒合が促進でき、適当な操作方法を用いて、適当な変性澱粉を選択し及び適切な用量を用いれば、皮膚、皮下軟組織、筋肉組織、骨組織、脳組織、神経組織、肝臓、腎臓、脾臓などの臓器損傷組織に癒合作用が持たせる。例えば大面積火傷患者の傷表面に用いる場合、皮膚組織細胞の成長「ブラケット」として皮膚組織の癒合成長が促進でき、外傷や骨腫瘍切除術によってもたらした骨欠損の所に用いる場合、骨細胞の成長、爬行の「ブラケット」として骨組織の癒合成長に助けることができ、脳外傷や脳腫瘍切除等によってもたらした脳組織欠損の所に用いる場合、脳組織細胞の成長、爬行の「ブラケット」として、脳組織の癒合成長を助けることができる。
【0116】
その原理は下記の通りである:変性澱粉と血液が混合して形成した「ゼリー状物」は、傷口に「ブラケット」として骨芽細胞や線維芽細胞等のその他の組織細胞の附着、爬行、連接及び成長に有利で、それ以外に、傷口局部の血小板凝集や局部血小板濃度の増加、血小板活性化を通じて、血小板に組織因子を釈放させ、組織の癒合が促進できる。
【0117】
本発明の変性澱粉材料のもう1つの用途とは、生物相容の外科密封剤として、傷口又は傷表面に保護コロイド又は膜が形成できて、手術や外傷などの原因で引き起こした血液、組織液、リンパ液、脳脊髄液、胆汁、胃液、腸液の滲出を密封することができ、それにより、リンパ瘻孔、胆瘻孔、胸膜瘻孔、腸瘻孔、脳脊髄液瘻孔、血管瘻孔などの発生が防止できる。
【0118】
本発明の変性澱粉材料のもう1つの用途とは、生物相容の組織接着剤として、損傷した神経組織、筋肉組織、骨組織、皮膚、皮下組織、臓器等の接着、修復、修繕に用いられて、そしてその他の医療用材料を修繕しようとする組織、器官及び傷表面に接着することができる。
【0119】
本発明が既存止血材料との区別は下記の通りである:
アメリカの特許US6060461多微孔多糖も、生物相容性止血材料であって、それは澱粉とエピクロルヒドリンが架橋して形成した物で、体内でも吸収される。その原理は下記の通りである:該止血材料の表面又は内部は微孔を持ち、微孔は分子篩の役割を果たし、水分子等の小分子が粒の中へ入れられるかどうかは孔の大小によって決定し、赤細胞や血小板、繊維タンパク等の大分子物質は粒の外に隔てられ、それにより凝血が促進できる。
【0120】
該特許の多微孔多糖はある特殊工法を経て製作したもので、これが該特許の中では公開していない。架橋変性澱粉を含む普通の変性澱粉は、多くは該多微孔構造を持っていない。本発明でも、変性澱粉の多微孔分子篩特性を利用し止血目的に達成したのではなく、その他の工法手段を通じて原澱粉に親水原子団を持たせ、直接、水分子と水合作用を発生させ、それにより血液を濃縮し、凝血を促進する効果に達成したので、変性澱粉の表面に微孔があるかどうかとは関係はない。
【0121】
その他に、本発明は代替度の改変や、アミロペクチンとアミロースの含量比例の選択、及び官能原子団の改変等の手段を通じて澱粉の吸水性及び吸水後の粘度を高め、変性澱粉は血液と接触した後、澱粉−血液混合物の「粘性コロイド」が形成でき、組織と接着でき、機械的に血管割れ目及び傷口をせき止めることできる。これはUS6060461特許の多微孔多糖では言及していない特性で、本発明の伝統的な止血方法より優れた大きな特徴でもある。変性澱粉を止血粉剤、止血スポンジ、止血膠に製作するのは澱粉表面に微孔があるかどうかとは関係は無くて、そして粉剤、スポンジ又は膠の止血効果はそれらを作製した変性澱粉の特性とは関係がある。
【0122】
公開番号がCN1533751Aの特許に対して、該特許の止血包帯は欠くことのできない2つの組成部分を含み、1つは織物で、もう1つは織物に塗布した多孔重合物基質である。それらは構造上の複合形式を形成し、具体的に述べると織物は酸化再生繊維素によって製作し、前記でご紹介したように、人体は該止血材料を分解する酵素が乏しい為、人体に吸収されにくく、組織の癒合に影響し、局部の感染を引き起こしやすく、その為、該製品は比較的に大きな局限性がある。基質への説明には、該特許はグルカンとカルボキシメチル繊維素を言及し、カルボキシメチル繊維素はグルカンの1種類で、繊維素と澱粉はグルカンの中の2種類である。それらは皆葡萄糖単体が脱水され重縮合した多糖で、しかし、その性質はまったく違っている。先ず、澱粉の重合度は普通は何百〜何千で、分子量は何万〜何十万ダルトンで、繊維素の重合度は普通は何千で、分子量は約何十万〜百万ダルトンである。次に、澱粉に含有された葡萄糖重合ユニットは皆同じ方向に配列することに対して、繊維素の重複ユニットはお互いに軸方向に沿って180度旋回してから連接し、それにより両方の構造が違いとなり、そして、澱粉は人体に多く含有された澱粉酵素及びカルボヒドラーゼによって分解し代謝しやすく、繊維素は、人体にそれと相応する分解酵素が乏しい為、代謝され吸収されにくい。
【0123】
その為、止血に用いる生物相容性吸収可能の材料を調製する時、澱粉の特性が繊維素より遥かに優れて、変性澱粉は人体に多く含有された澱粉酵素によって葡萄糖に分解しやすく、吸収も速い為、その生物相容性の優勢も明らかに分かり、これは繊維素が達成できない優勢である。それ以外に、上述止血包帯の粘性が弱く、組織と接着しにくく、外部から圧力を施さないと組織と緊密に接触できず、有効に血管や傷表面、傷をせき止めることができず、それにより臨床で使われている技術手段は制限されている。
【0124】
上述差別の他に、本発明の変性澱粉は臨床で使う時、又血傷表面に細菌抑制及び炎症抵抗の作用を持つ。本発明の変性澱粉止血材料は止血作用を持っている為、傷口の出血、血液滲出、組織液の滲出が減少でき、しかも傷表面や傷口に適当な湿潤又は乾燥を維持させることができ、それにより、細菌の成長及び炎症反応が抑制でき、傷口の局部消炎に有利で、患者の苦痛を減少することができる。それ以外に、炎症抵抗効果を強化する為に、変性澱粉止血粉、スポンジ、止血膠などの材料を製作する時、材料の中に既知の抗生物質やその他の消炎剤を入れて、体表用、体内用の消炎止血複合材料が製作できる。
【0125】
変性澱粉止血材料のもう1つのメリットは、発明された変性澱粉が水に当たると溶解しやすく又は水中に懸濁しやすい。その為、手術完了後、局部に残余された変性澱粉止血材料の洗浄、及び傷救護後の2次傷処理に便利である。手術が完成した後、局部を洗浄することができ、余計な変性しない澱粉が除去でき、そして戦争傷や自救及び救急処理をしてからの傷表面を再処理する時、止血剤を簡単に取り除くことができ、そして残留した少量の変性澱粉止血材料は機体に吸収できる為、ガーゼや包帯を引き剥がす時、人にもたらす痛みを避けることができる。
【0126】
変性澱粉止血材料は又、安定、分解しにくく、保証期間が長く、貯蔵に便利、耐高圧、耐低圧、耐高温(60℃以上)、耐低温(−40℃以下)、理化特性が変わりにくい等の特徴を持ち、軍隊や消防者、救急車、家庭、特に寒冷、炎熱地区及び砂漠、南極、北極、高山、宇宙、水中などの極端条件での止血に適合する。
【0127】
変性澱粉とするスポンジ澱粉材料は、柔軟、弾性を持ち、成型しやすく、巻きやすい等の特徴を持つ為、各形状、各特徴の傷口に適用でき、例えば、深部、彎曲、異常形状の傷口や生理器官、生理腔隙の内外表面、腔鏡及び内視鏡の下での止血や処理に適用し、医者の操作にも便利である。
更に変性澱粉が傷表面や組織などに直接、使用する安全性を強化する為に、本発明の変性澱粉材料は包装された後消毒処理が行えて、消毒方法はγ射線輻射消毒、オキシラン消毒、オゾン消毒を含むが、それらに限らない。
【0128】
但し、アルコール又は高温、水蒸気で消毒することは進めない、そうすると、変性澱粉の物理化学特性を変えて、その止血効果に影響をもたらす恐れがある。
【0129】
一、変性澱粉粉剤の調製
(第1実施形態)
止血材料に用いる生物相容性変性澱粉材料であって、カルボキシメチル澱粉(66#)を含み、カルボキシメチル澱粉原料を沸騰機の中へ入れ、40〜50℃の下で、蒸留水を入れ、凝集、丸薬製作を経て、変性澱粉材料66#が出来上がり、その分子量は15,000〜2,000,000ダルトンで、粒の粒径は10〜1000μmで、その中、粒径が30〜500μmの澱粉粒は澱粉粒総量の95%以上を占めて、37℃及び6.67%の懸濁液の中でその粘度は557.9mPa.sで、常温での変性吸水飽和粘性ワーク指数は68.1g.secである。
【0130】
(第2実施形態)
変性澱粉の吸収可能止血材料であって、ヒドロキシエチル澱粉(88#)を含み、ヒドロキシエチル澱粉を沸騰機の中へ入れ、40〜50℃の下で、蒸留水を入れ、凝集、丸薬製作を経て、変性澱粉材料88#が出来上がり、その分子量は15,000〜1,000,000ダルトンで、粒の粒径は10〜1000μmで、その中、粒径が50〜500μmの澱粉粒は澱粉粒総量の95%以上を占めて、常温での変性吸水飽和粘性ワーク指数は420.9g.secである。
本発明の吸水性能は毛細管法測定装置で測定し、酸式ビュレットの中へ水を入れ、酸式ビュレットのゼロ目盛りの液面をコア漏斗板の下端と1つの表面にさせて、2.25cmを半径として濾紙を裁断し、量ってからコア漏斗の中へ入れて、濾過板と完全に接触させ、栓を開け、濾紙に水を完全に吸収させるのを待つ。酸式ビュレットをゼロ目盛りに調整し、0.1gの粉末を量り、濾紙の上に均一に散らし、コア漏斗の中へ入れて、液面から下がり始め、20s、40s、60sで時間を計算し、液面の降下距離を観察、記録し、サンプルの吸水速度及び単位時間での吸水飽和情況を計算する。
【0131】
本発明のカルボキシメチル澱粉(66#)とAristaTMの吸水性能対照は表1の通りである。
【0132】
【表1】


表1から、本発明のカルボキシメチル澱粉(66#)は3つの20sで、その吸水速度が皆AristaTMより大きく、66#の吸水性能がAristaTMよりもっと速く、もっと効果があることが分かった。66#は初めての20sでの吸水量は約AristaTMの5倍である。
【0133】
吸水速度とは1番目、2番目及び3番目の20sの吸水速度の平均速度であって、V20s=20s以内の吸水量/20(s)。
【0134】
吸水飽和率とは、サンプルが一定時間以内の吸水量がその最大吸水能力(即ち吸水速度の絶対値)との比率であって、それはある側面からサンプルの吸水速度情況が反映できる。
表1から、66#は20s、40s、60sでの吸水飽和率が皆AristaTMより大きいことが分かり、同じ時間で66#の吸水量はAristaTMよりもっと多く、20s以内の吸水倍率は吸水総倍率の58%に達成でき、1分間の吸水率は吸水総倍率の95%に近づき、その吸水速度比はAristaTMよりもっと速いことを表明した
【0135】
本発明の粘性性能測定方法は粘性ワーク指数測定法を採用し、採用した物質構成計器(物性測定計器)はStable Micro System会社によって生産し、製品タイプはTA-XT plusで、実験探針はA/BE(逆押出探針)及びP36R(円柱形探針)である。
測定条件としては、試験前速度:0.5mm/sec、測定速度:10.0mm/sec、応力:100g、回復距離:5.0mm、接触時間:10.0sec、誘発類型:自動5gである。
本発明のカルボキシメチル澱粉(66#)、ヒドロキシエチル澱粉(88#)とAristaTMの吸水性能対照は表2の通りである。
【0136】
【表2】

【0137】
粘性ワーク指数とは、探針が戻り運動を行う時、サンプルからの接着力を受け、探針が完全に実験サンプルから離れようとすれば、ワークしなければならなく、この間のワークは粘性ワークといい、それは粘性剤及び探針表面の結合強度(堅固程度)が反映できる。
25%飽和度はサンプルの最大吸水能力の1/4程度の飽和情況を代表する。
50%飽和度はサンプルの最大吸水能力の1/2程度の飽和情況を代表する。
100%飽和度はサンプルの最大吸水能力程度の飽和情況を代表する。
【0138】
表2から、AristaTMの粘性性能は遥かに66#及び88#に及ばないことが分か、88#の粘性ワークは飽和度の増加に従い低減し、飽和度が比較的に低い時、88#の粘性が特に高く、それに対して66#は飽和度の増加に従い粘性ワークが増し、しかも両方の吸水飽和粘性ワークは皆AristaTMより著しく高く、それにより、止血過程で、更に粘性せき止めの役割を果たすことができる。
【0139】
本発明の粘度性能測定方法は粘度計(brookfiled Dv−2)と回転子3号を採用し、その回転速度は60、変性澱粉溶液の濃度は6.67%、温度は37℃である。
本発明のカルボキシメチル澱粉(66#)とAristaTMの粘度性能対照は表3の通りである。
【0140】
【表3】


表3から、66#の粘度はAristaTMより著しく大きいことが分かった。

【0141】
(第3実施形態)
止血に用いる生物相容性変性澱粉材料であって、それは予糊化したヒドロキシプロピル二澱粉燐酸エステル(51#)を含み、その分子量は15,000ダルトン以上(15,000〜2,000,000ダルトン)で、粒の粒径は10〜1000μmで、その中、粒径が50〜500μmの澱粉粒は澱粉粒総量の95%以上を占めること。
【0142】
(第4実施形態)
止血に用いる生物相容性変性澱粉であって、それは架橋カルボキシメチル澱粉(66#+)を含み、その分子量は15,000ダルトン以上(15,000〜2,000,000ダルトン)で、粒の粒径は10〜1000μmで、その中、粒径が50〜500μmの澱粉粒は澱粉粒総量の95%以上を占めること。
【0143】
(第5実施形態)
止血に用いる生物相容性変性澱粉であって、それは予糊化澱粉を含み、噴霧乾燥法で製作され、その分子量は15,000ダルトン以上(15,000〜2,000,000ダルトン)で、粒の粒径は10〜1000μmで、その中、粒径が50〜500μmの澱粉粒は澱粉粒総量の95%以上を占めること。
【0144】
各変性澱粉に対して遠心法でその吸水倍率を測定し、結果は表4の通りである。
【0145】
【表4】


吸水倍率とは、1gのサンプルが吸水できる最大量をいう。
吸水倍率(ml/g)=吸水量(ml)/サンプル量(g)。
表4から、調製した変性澱粉は皆、比較的によい吸水倍率を持つことが分かった。
【0146】
(対照実験1)
ニュージランド兔肝止血モデルに対する止血効果実験への影響
【0147】
試験目的:66#製品がニュージランド兔肝止血モデルに対する止血効果を観察する
試験薬物:
名称:66#製品(即ちカルボキシメチル澱粉止血球)
動物:ニュージランド大白兔、中国第二軍医大学動物実験センターによって提供。
動物合格証番号:SCKK(滬)2002−0006
各組に動物5匹があり、共に15匹で、2.0±0.3kgで、雌雄が各半分である。
試験方法:ニュージランド大白兔15匹を選んで、ランダムに3組を分け、各組に5匹があり、それぞれに66#製品組、陽性対照組(AristaTM)及び陰性対照組(原澱粉)である。ペントバルビタールナトリウムを用いて試験用ニュージランド大白兔に耳縁静脈麻痺(40mg/kg)を実施し、仰ぎ位置で固定してから毛を剃って、消毒し、層毎に腹腔を切り開け、肝臓を十分に暴露し、兔肝表面にパンチで直径が1cm、深度が0.3cmの傷を造って、直ちに止血材料を噴射して止血し、20sを押してから、各組動物の止血効果を観察し、そして陽性対照組及び陰性対照材料組にそれぞれにAristaTMと原澱粉を施す。手術後、試験動物に自由に水を飲ませ飲食させて、手術後の半時間、1日、2日、3日、7日に、それぞれに各試験材料組から1匹を取り麻痺させ、ヨードチンキで肝臓の傷表面を色染め、止血材料の分解情況を観察し、そして肝臓傷表面の組織を取り、10%のホルムアルデヒドで固定してから、組織切片を行い及び止血材料の分解情況を観察する。
薬分量の設置:50mg/傷口
薬を与えるルート:噴射で薬を与える
薬を与える回数:1回/傷口
観察指標及び観察時間:薬が傷表面に噴射した後の止血情況を観察し、動物の肝臓が薬を吸収し分解する情況及び傷表面の回復情況を観察し、観察時間は手術後の半時間、1日、2日、3日、7日である。
【0148】
試験結果:
1.止血効果への影響
陽性対照組(AristaTM)の動物に止血材料を噴射してからすぐ止血でき、66#製品組も止血材料を噴射してからすぐ止血でき、原澱粉組の動物に止血材料を噴射して、一定の圧力を与えても止血できない(図1−3を参照)。
2.体内での分解情況
陽性対照組(AristaTM)と66#製品組は、半時間後のヨードチンキ色染めは顔色反応は無くて、陰性対照組は、半時間後のヨードチンキ色染めは顔色反応があり、24時間の後は顔色反応は無い。
【0149】
(対照実験2)
小鼠腹腔での分解情況
【0150】
試験目的:66#製品が小鼠腹腔の中での癒着情況及び分解情況を観察する。
試験薬物:
名称:66#製品(即ちカルボキシメチル澱粉止血球)
動物:ICR種の小鼠、中国第二軍医大学動物実験センターによって提供。
動物合格証番号:SCXK(滬)2002−0006
各組に動物10匹があり、共に30匹で、18±23gで、雌雄が各半分である。
試験方法:66#製品、陽性対照AristaTM及び陰性対照原澱粉は、それぞれに生理食塩水を用いて0.1g/mlの溶液に調製し、ICR小鼠30匹を選んで、ランダムに66#製品組、陽性対照組(AristaTM)及び陰性対照組(原澱粉)と分け、各小鼠の腹腔へlmlの対応溶液を注射し、24時間の後、腹腔を切開けて、ヨードチンキを滴入し、顔色の変化及び腹腔内臓器の癒着情況を観察する。陽性対照組と陰性対照材料組にそれぞれにAristaTMと原澱粉を与える。
薬分量の設置:1ml/傷口
薬を与えるルート:腹腔注射
薬を与える回数:1回/匹
観察指標及び観察時間:24時間の後腹腔を切開け、小鼠の腹腔内臓器の癒着情況及び分解情況を観察する。
【0151】
試験結果:
1.体内での癒着情況
24時間の後、66#実験組の小鼠の腹腔を切開け、中の臓器は皆癒着が発生していない。(図4を参考)
2.体内での分解情況
24時間の後、66#実験組の小鼠の腹腔を切開け、ヨードチンキ色染め法で色染めをして、皆顔色反応は無く、66#が小鼠の体内で完全に分解されたことを表明した。(図5を参考)
【0152】
(対照実験3)
犬股動脈損傷モデルの止血観察
【0153】
試験目的:66#と88#製品が重大創傷に対する止血効果を観察し、違った物理特性を持つ66#、88#及びAristaTMの止血効果の比較
試験動物:試験犬
各組に動物5匹があり、共に20匹で、20±25kgで、雄性である
試験方法:犬をランダムに対照組(ガーゼ押付け)、66#製品組、88#製品組及びAristaTM組と分け、股動脈を暴露し、18番注射針(直径が2Fである)を用いて暴露した股動脈を穿刺し、動脈血が穿刺孔から噴出し、自由に2秒を噴出させ、そうすると、股動脈損傷モデルが出来上がった。そして直ちに1gのAristaTM、66#及び88#を用いてそれぞれに出血点に噴射し、しかも手で押し付け、対照組は普通のガーゼだけで押し付け、それから、押した60秒、90秒、120秒及び180秒の時、止血情況を観察し、穿刺点の出血や血滲出が停止できれば止血成功だと認られ、止血成功の個数を記録し、試験動物が違った止血条件での止血状況は表5の通りである。
【0154】
【表5】

【0155】
試験結論:
66#組、88#組及びAristaTM組が犬の股動脈出血に対する止血効果は対照組と比べて著しい止血性を持ち、しかも66#組、88#組はAristaTM組と比べて、股動脈穿刺孔に対するせき止め効果がもっと良くて止血時間も著しく短縮された。更に、粘性の強い88#組は66#組及びAristaTM組と比べて、股動脈穿刺孔に対するせき止効果が良く、止血時間も短い。
【0156】
(対照実験4)
手術後の大鼠の腸癒着状況を観察する
実験組66#サンプル、陽性対照組の市販医療用ヒアルロン酸Na(Sodium Hyaluronate)と空白対照組の比較。
【0157】
実験動物及び組分け:
SD雄性大鼠34匹、体重が200〜250gで、第四軍医大学実験動物センターによって提供し、ランダムに空白対照組、66#組、陽性対照組の医療用ヒアルロン酸Na組(SH)の3組と分け、各組に11匹又は12匹がある。
大鼠腸癒着モデルの製作:
各組の全ての動物に12hを断食且つ非断水させ、3%のペントバルビタールナトリウム溶液を30mg/kg体重の目安で筋肉注射し麻痺させ、下腹部の真ん中で約2cmを切開け、盲腸を取出して、軽く盲腸の絨毛膜を血が滲出するまで剃り、そして無水エチルアルコールを傷表面に滴下し、それから五歯ピンセットで盲腸系の動脈を2min挟んで、一時の局部虚血を形成し、上述処理が終わってから、66#とSH組に対してそれぞれに相応の薬物を用いて傷表面を完全に覆い、空白対照組はどんな薬物も与えなく、薬を与えてから盲腸を腹腔の原位置に戻して、止血ピンセットで相応な腹壁に傷を造り、それから層毎に1〜10番の糸で腹腔を縫合し、手術後の連続3日に、感染を防ぐ為に毎日にゲンタマイシン4Uを筋肉注射し、14日の後に同じ麻痺方法で腹を開けて中を検査し、サンプリングする。
関係測定:
1)普通は、手術後の大鼠の生存情況を記録すること。
2)腸癒着情況
再び腹腔を切り開ける時、原の真ん中の切口を中に含めて、深さの「U」型切口で腹腔を切開け、腹壁組織弁を上へ巻き上げて腹腔を暴露させ、盲腸末端と腹壁創傷点の間の癒着情況を観察し、腸癒着程度はNair 5級の分級基準が参照できる:0級:まったく癒着は無い。1級:内臓間又は腹壁間に1つの癒着帯がある。2級:内臓間又は腹壁間に2つの癒着帯がある。3級:2つ以上の癒着帯があり、但し内臓は腹壁と癒着していない。4級:癒着帯の多少と関係無く、内臓は直接に腹壁と癒着した。
【0158】
【表6】

【0159】
図6は、空白対照組の大鼠腸癒着効果図で、図7は66#組の大鼠腸癒着の癒着防止効果図で、図8はヒアルロン酸Naが大鼠腸癒着の癒着防止効果図であって、ご参考下さい。
結果から見ると、ヒアルロン酸Naとカルボキシメチル澱粉66#は皆、手術後の大鼠腸癒着程度を著しく低減できることが分かった。
【0160】
(対照実験5)
手術後の家兔の骨癒合情況を観察する
【0161】
実験方法:
主要材料:カルボキシメチル澱粉66#、予糊化ジヒドロヒドロキシプロピル澱粉燐酸アステル51#、市販骨蝋(Bonewax)及び空白対照組。
実験動物と組み分け:
成年ニュージランド兔32匹、雌性、2.0〜2.5kgで、第四軍医大学実験動物センターによって提供し、各兔に2つの破損孔を開け、ランダムに空白対照組、66#組、51#組及び骨蝋組(Bonewax)の4組と分けて、各組に8匹がある。
手術方法:
3%のペントバルビタールナトリウム溶液を30mg/kg体重の目安で耳縁静脈注射をし麻痺させ、下向きに手術台に固定し、頭部の真ん中で約4cmの矢状切口を開け、頭蓋骨を暴露し、そして骨外膜を完全に剥き開けて、直径が6cmのビットで頭蓋骨中縫の両側に2つの円形破損孔を開け、破損孔は頂骨層全体を貫通し(頂骨の厚さが基本的に一致である)、中縫を跨らない。ランダムに破損点に上述材料の1種を分配し、対照組はどんな材料も使わず、そして4〜0番の吸収可能糸を用いて骨膜と頭皮を縫合し、無菌で包んでから兔を籠の中に戻して6週間を飼養し、手術後の連続3日に、感染を防ぐ為に毎日にゲンタマイシン4Uを筋肉注射し、毎日に動物の一般情況を観察する。
動物を殺す7日前に、カルセイン20mg/kg(Calcein、Sigma会社、2%のベーキング・ソーダで溶解)を片側のchac termをし、殺す1日前に、テトラサイクリン30mg/kg(Tetracycline、Sigma会社、双蒸留水で溶解)をもう1方のchac termをして、カルセインとテトラサイクリンは新しく形成した骨基質の鉱化前縁に沈積し、それを標識として骨質が6d期間の成長範囲を測定することができる。
サンプリングと骨癒合の評価方法:
1)サンプリング
手術してから6wの後、過量のペントバルビタールを用いて静脈注射を通じて動物を殺し、原の欠損辺縁から少なくとも1.5cmを広げた範囲の頭蓋骨を、そしてそれと繋がっている骨膜と硬脳膜を一緒にサンプリングして、頭蓋骨標本は70%のアルコールで固定する。
2)骨癒合評価
全ての欠損点の骨質癒合情況に対して癒合評価(healing score)を行い、癒合評価の基準:0=見える欠損は無い。1=欠損が比較的に少なく見える。2=見える欠損が中度である。3=欠損が広く見える。
3)病理及び免疫組の固定頭蓋骨標本はオレフィンで包まれ、常例切片を行い、蛍光顕微鏡の紫外線の下で観察し、カルセインとテトラサイクリンの2種類蛍光標識物は新生骨の骨質及び前骨質(鉱化しない骨質)の接境処に結合し、ライン式の蛍光が現れ、それにより、2本の蛍光標識ラインの間の距離は6d期間の鉱物質の沈積速度(mineral
apposition rate, MAR)が代表でき、それは骨芽細胞の活性、即ち骨の成長速度が反映できる。
【0162】
【数1】

【0163】
切片を脱蝋、脱水、透明させて、Goldner-Mason-Trichrome及び麗春紅色を用いて色染め、違った色で類骨質(osteoid)及び鉱化骨(mineralization bone)区域を表示し、光学顕微鏡を利用して観察、撮影し、画像分析ソフトで各色染め部分の面積を測定する。

【0164】
【数2】

【数3】

【数4】

4) 評価指標 骨癒合評価、鉱物質沈積速度、類骨質、鉱化骨及び欠損面積
5) 統計学処理
データはSPSS11.0統計ソフトで処理でき、各組データの比較はANOVA差異分析法を利用できる。
【0165】
実験結果
【表7】

【0166】
結果:
手術後6w、欠損点に対する癒合評価が、51#及び66#組は皆、空白対照組及び骨蝋組より著しく低い。51#及び66#組の鉱物質沈積速度、類骨質面積及び鉱化骨面積などの指標は皆、空白対照組より著しく高い。51#及び66#組の欠損面積は対照組より著しく低い。
図9は家兔癒合指標の比較図で、結果から見ると、66#及び51#は家兔頭蓋骨に対する癒合作用が著しいことが分かった。ご参考下さい。
二、変性澱粉スポンジ
【0167】
(第6実施形態)
2gの予糊化ジヒドロヒドロキシプロピル澱粉燐酸エステル51#を30mlの水中に入れ、絶えず攪拌し、澱粉粒を十分に膨張させ且つ水中に分散させて、均一の懸濁液を形成し、そして数滴のグリセロールを可塑剤(成形剤)として懸濁液に加入し、懸濁液を容器の中にいれ、−40℃で22時間予め冷却した後、冷凍乾燥機の中に入れ、−40℃しかも真空度が20Pa以下で20時間冷凍乾燥し、そして変性澱粉止血スポンジAが得られる。
【0168】
(第7実施形態)
1gの予糊化ジヒドロヒドロキシプロピル澱粉燐酸エステル51#を30mlの水中に入れ、絶えず攪拌し、澱粉粒を十分に膨張させ且つ水中に分散させ、均一の懸濁液を形成し、そして数滴のグリセロールを可塑剤(成形剤)として懸濁液に加入し、懸濁液を容器の中にいれ、−40℃で22時間予め冷却した後、冷凍乾燥機の中に入れ、−50℃しかも真空度が20Pa以下で20時間冷凍乾燥し、そして変性澱粉止血スポンジBが得られる。
図10は止血スポンジAの断面スキャン電子顕微鏡写真で、図11は止血スポンジBの断面スキャン電子顕微鏡写真であって、調製する時、可塑剤を入れることを通じてスポンジ孔の直径を降下させ、それによりスポンジの密度と比表面積を増やすことができる。ご参考下さい。
【0169】
(第8実施形態)
2gのカルボキシメチル澱粉66#を30mlの水中に入れ、絶えず攪拌し、澱粉粒を十分に膨張させ且つ水中に分散させ、均一の懸濁液を形成し、そして懸濁液を容器の中にいれ、−40℃で22時間予め冷却した後、冷凍乾燥機の中に入れ、−50℃しかも真空度が20Pa以下で20時間冷凍乾燥し、そして変性澱粉止血スポンジCが得られる。
【0170】
(第9実施形態)
3gの架橋カルボキシメチル澱粉66#を30mlの水中に入れ、絶えず攪拌し、澱粉粒を十分に膨張させ且つ水中に分散させ、均一の懸濁液を形成し、そして懸濁液を容器の中にいれ、−40℃で22時間予め冷却した後、冷凍乾燥機の中に入れ、−45℃しかも真空度が20Pa以下で20時間冷凍乾燥し、そして変性澱粉止血スポンジDが得られる。
【0171】
(第10実施形態)
3gのヒドロキシエチル澱粉88#を30mlの水中に入れ、絶えず攪拌し、澱粉粒を十分に膨張させ且つ水中に分散させ、均一の懸濁液を形成し、そして懸濁液を容器の中にいれ、−40℃で22時間予め冷却した後、冷凍乾燥機の中に入れ、−50℃しかも真空度が20Pa以下で20時間冷凍乾燥し、そして変性澱粉止血スポンジEが得られる。
【0172】
(第11実施形態)
10gの医療用ゼラチンの中に100mlの水を入れ、ビーカーの中で60℃までに加熱し膠状物質を形成して、そして2gのカルボキシメチル澱粉66#を30mlの水中に入れ、絶えず攪拌し、澱粉粒を十分に膨張させ且つ水中に分散させ、均一の懸濁液を形成し、そして両方を同じ容器の中に入れて混合し、その中、66#とゼラチンの質量比は1:1であって、−40℃で22時間予め冷却した後、冷凍乾燥機の中に入れ、-45℃しかも真空度が20Pa以下で20時間冷凍乾燥し、そして変性澱粉複合止血スポンジFが得られる。
【0173】
(第12実施形態)
10gの医療用ゼラチンの中に100mlの水を入れ、ビーカーの中で60℃までに加熱し膠状物質を形成して、そして2gのカルボキシメチル澱粉66#を30mlの水中に入れ、絶えず攪拌し、澱粉粒を十分に膨張させ且つ水中に分散させ、均一の懸濁液を形成し、そして両方を同じ容器の中に入れて混合し、その中、66#とゼラチンの質量比は2:1であって、−40℃で22時間予め冷却した後、冷凍乾燥機の中に入れ、−45℃しかも真空度が20Pa以下で20時間冷凍乾燥し、そして変性澱粉複合止血スポンジGが得られる。
【0174】
(第13実施形態)
10gの医療用ゼラチンの中に100mlの水を入れ、ビーカーの中で60℃までに加熱し膠状物質を形成し、そして1gのジヒドロヒドロキシプロピル澱粉燐酸エステル51#を30mlの水中に入れ、絶えず攪拌し、澱粉粒を十分に膨張させ且つ水中に分散させ、均一の懸濁液を形成し、そして両方を同じ容器の中に入れて混合し、その中、51#とゼラチンの質量比は2:1であって、−40℃で22時間予め冷却した後、冷凍乾燥機の中に入れ、−45℃しかも真空度が20Pa以下で20時間冷凍乾燥し、そして変性澱粉複合止血スポンジHが得られる。
【0175】
(第14実施形態)
10gの医療用ゼラチンの中に100mlの水を入れ、ビーカーの中で60℃までに加熱し膠状物質を形成し、そして1gのジヒドロヒドロキシプロピル澱粉燐酸エステル51#を30mlの水中に入れ、絶えず攪拌し、澱粉粒を十分に膨張させ且つ水中に分散させ、均一の懸濁液を形成し、そして両方を同じ容器の中に入れて混合し、その中、51#とゼラチンの質量比は1:1であって、−40℃で22時間予め冷却した後、冷凍乾燥機の中に入れ、−45℃視かも真空度が20Pa以下で20時間冷凍乾燥し、そして変性澱粉複合止血スポンジHが得られる。
各止血スポンジを0.1gを取り、その他の止血スポンジと理化パラメータについて比較し、結果は表8の通りである。
【0176】
【表8】

【0177】
接触角測定方法の紹介
計器:ドイツDataphysics会社のOCA40Microビデオ接触角測定計器
方法:液滴法を採用し、動態記録機能及び映画機能を通じてスポンジの吸水情況を追跡し記録して、具体的な操作手順は下記の通りである:スポンジサンプルを持ち台に置いて、緩慢調節を通じて持ち台を視野の下1/3所に現れ、脱イオン水を入れた注射針を注射ユニットに固定し、サンプルの自動フィードシステムを通じて一定体積の水滴を注射針頭に掛け、レンズの焦点を調整し視野にあるスポンジサンプル及び水滴の画像を明晰させ、そして緩慢に持ち台を移動し、スポンジサンプルを水滴と接触させ、同時に撮影機能及び動態記録機能を起動し、水滴の吸入過程を観察し、且つ動態接触角の値が得られる。
各複合止血スポンジの吸水性能は表9の通りである。
【0178】
【表9】


その内、スポンジの吸水倍率は遠心法を採用して測定したので、即ち約0.025gのスポンジを2mlの水中に入れて、10分間平衡してから、遠心機の中に入れ、500rpmの回転スピードで10分間遠心した後取出し、残液量を量り計算し、各サンプルは6回を測定し、その平均値を取ること。
スポンジの体積密度を測定する時、一定長さと幅のスポンジサンプルを切り、ノギスでそれぞれに長さ、幅及び高さを測定し、そしてスポンジの重さを量り、それから密度を求めることができる。
スポンジの親水性及び吸水速度は、ドイツDataphysics会社のOCA40Microビデオ接触角測定計器を通じて観察できる。
各複合止血スポンジとその他の止血スポンジとの吸水速度の比較は表10の通りである。
【0179】
【表10】


表10から下記のことが分かる:変性澱粉を含む複合止血スポンジはその吸水率がゼラチンスポンジ及びコラーゲンタンパクスポンジより著しく高く、その最大吸水速度は普通のゼラチンスポンジ及びコラーゲンタンパクスポンジの2〜5倍であって、吸水速度はもっと速く、もっと効率が良く、そして、その後の5番目、6番目の20s以内に、相変わらず比較的に高い吸水速度を持ている。
【0180】
(第15実施形態)
動物実験:
試験目的:変性澱粉止血スポンジは肝臓出血モデルに対する止血効果を観察する
【0181】
試験方法:
メスを用いて猪肝臓表面で面積が2cm×1cmの肝臓漿膜層を切り開け、深度が0.3cmの出血表面を造り、そして採用した実験用止血スポンジは、51#止血スポンジB、66#止血スポンジC、51#及び医療用ゼラチンの質量比が1:1である複合止血スポンジI、66#及び医療用ゼラチンの質量比が1:1である複合止血スポンジF、66#及びカルボキシメチル繊維素の質量比が1:1である複合止血スポンジ、66#及びコラーゲンタンパクの質量比が10:1である複合止血スポンジであって、これらの止血スポンジを用いて傷表面に止血作業を行い、それに単純のゼラチンスポンジとコラーゲンタンパクスポンジを対照組とする。出血した後、直ちに止血スポンジを傷口に置いて、しかも医療用外科手袋又は止血ガーゼを用いてスポンジに圧力を与え、血流を遮って、1〜2minの後、手袋又はガーゼを軽く取り離れ、止血効果、手袋やガーゼがスポンジ、凝血塊との癒着情況、引き剥がす時の再び出血情況を観察する。止血後、変性澱粉スポンジを取り離れ又は引き剥がす必要は無く、ただ生理食塩水で適当に浸潤洗浄しても良い。
【0182】
試験結果:
変性澱粉を含む止血スポンジ実験組の止血効果は皆理想で、しかも使用に便利である。実験組のスポンジは血に当たるとすぐに吸水/吸血でき、しかも血液と一緒に粘性のあるスポンジー凝血塊コロイドが形成でき、1〜2分間以内に皆、肝臓傷表面の出血が抑制できて、それに対して対照組のゼラチンスポンジ及びコラーゲンタンパクスポンジ組は皆3〜5分又はそれ以上の時間で出血が抑制できる。実験組の止血スポンジは血に当たると、肝臓傷表面の組織と緊密に接着でき、凝血に促進でき、しかも傷表面出血点の破損血管への密封作用が形成できる。実験組のスポンジは弾性がよく、操作しやすく、使用に便利で、押し付けた手袋やガーゼなどの包帯とは癒着できなく、手袋やガーゼを引き剥がす時、凝血塊を破壊することができなく、再びの出血をもたらすことができない。対照組のゼラチンスポンジ及びコラーゲンタンパクスポンジは吸水/吸血速度が遅く、何回もスポンジを押し付けなければならず、傷表面の組織との接着性が弱く、止血効果が比較的に悪い。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある動物組織の処理方法で、下記の手順を含む:
ある生物相容変性澱粉を動物の組織に施して、
その内、該変性澱粉材料は、その分子量が15,000ダルトン以上で、粒の粒径が1〜1000μmである。
【請求項2】
請求項1に述べたある動物組織の処理方法に基づき、更に下記の手順を含む:
該生物相容変性澱粉を血傷表面に施して、止血作用を果たす。
【請求項3】
請求項1に述べたある動物組織の処理方法に基づき、更に下記の手順を含む:
該生物相容変性澱粉を血傷表面に施して、癒着防止や組織癒合の作用を果たす。
【請求項4】
請求項1に述べたある動物組織の処理方法に基づき、更に下記の手順を含む:
該生物相容変性澱粉を血傷表面に施して、密封、せき止及び接着作用を果たす。
【請求項5】
請求項2に述べたある動物組織の処理方法に基づき、更に下記の手順を含む:
該生物相容変性澱粉を該血傷表面に含まれるアミラーゼ及びカルボヒドラーゼと分解作用を発生させ、単糖に転化して、機体に吸収させる。
【請求項6】
請求項2に述べたある動物組織の処理方法に基づき、更に下記の手順を含む:
該生物相容変性澱粉に該血傷表面に対して細菌抑制及炎症抵抗の作用を産出させる。
【請求項7】
請求項2に述べたある動物組織の処理方法に基づき、その内、該変性澱粉の吸水倍率は1〜100倍である。
【請求項8】
請求項1に述べたある動物組織の処理方法に基づき、その内、該動物は哺乳動物、鳥類、爬虫類動物と指す。
【請求項9】
請求項1に述べたある動物組織の処理方法に基づき、その内、該動物組織は人体体表、体内組織器官及び体腔内組織又は器官を含み、外科手術、傷救急、喉頭鏡、内視鏡及び腔鏡下の止血、癒着防止、組織癒合の促進、傷口密封、傷口組織の接着に用いられる。
【請求項10】
請求項2に述べたある動物組織の処理方法に基づき、その内、該生物相容変性澱粉は調製を経て得られた変性澱粉製品で、止血粉剤、止血粒、止血球、止血気霧剤及び噴霧剤を含む。
【請求項11】
請求項1に述べたある動物組織の処理方法に基づき、更に下記の手順を含む:
該変性澱粉は凝集、丸薬製作、篩い分けを経て作られた変性澱粉製品で、その内、該変性澱粉製品は止血粉剤で、該止血粉剤の止血粒直径が10〜1000μmで、そして粒径が30−500μmの澱粉粒は澱粉粒総量の95%以上を占めて、血傷表面に止血、癒着防止、組織癒合の促進、密封、せき止、接着作用を果たすことができる。
【請求項12】
請求項1に述べたある動物組織の処理方法に基づき、更に下記の手順を含む:
該生物相容変性澱粉をある血傷表面に施して、
該生物相容変性澱粉を該血傷表面に含まれるアミラーゼ及びカルボヒドラーゼと分解作用を発生させ、単糖に転化し、
機体に該単糖を吸収させる。
該生物相容変性澱粉に該血傷表面に対して細菌抑制及炎症抵抗の作用を産出させる。
該生物相容変性澱粉を水と接触させ溶解させて、又は水中に懸濁させ、それにより止血作用が終わってから残余した変性澱粉の取り除きに便利である。
【請求項13】
請求項11に述べたある動物組織の処理方法に基づき、その内、該血傷表面は、人体体表、体内組織器官及び体腔内組織又は器官に属し、外科手術、傷救急、喉頭鏡、内視鏡及び腔鏡下の止血、癒着防止、組織癒合の促進、傷口密封、傷口組織の接着に用いられる。
【請求項14】
請求項12に述べたある動物組織の処理方法に基づき、その内、該変性澱粉製品は止血粉剤で、該止血粉剤の止血粒直径が10〜1000μmである。
【請求項15】
請求項2に述べたある動物組織の処理方法に基づき、その内、該生物相容変性澱粉は調製を経て得られた変性澱粉製品で、止血スポンジ、止血膜及び止血テープの形態に製作でき、形状は柱状、片状、塊状、綿状、層状又は膜状に製作できる。
【請求項16】
請求項2に述べたある動物組織の処理方法に基づき、該生物変性澱粉は調製を経て得られた変性澱粉止血製品で、該変性澱粉止血製品は止血スポンジで、その内、該変性澱粉はエーテル化澱粉を含み、そして少なくともカルボキシメチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉及びカチオン澱粉の1種類を含み、又はその組合せである。
【請求項17】
請求項2に述べたある動物組織の処理方法に基づき、該生物変性澱粉は調製を経て得られた変性澱粉止血製品で、該変性澱粉止血製品は止血スポンジで、その内該変性澱粉は架橋澱粉を含み、少なくとも架橋カルボキシメチル澱粉を含む。
【請求項18】
請求項2に述べたある動物組織の処理方法に基づき、該生物変性澱粉は調製を経て得られた変性澱粉止血製品で、該変性澱粉止血製品は止血スポンジで、その内該変性澱粉は複合変性澱粉を含み、少なくとも予糊化のヒドロキシプロピル二澱粉燐酸エステルを含む。
【請求項19】
請求項2に述べたある動物組織の処理方法に基づき、該生物変性澱粉は調製を経て得られた変性澱粉止血製品で、該変性澱粉止血製品は止血膜で、その内、該変性澱粉はカルボキシメチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、カチオン澱粉、架橋カルボキシメチル澱粉、予糊化のヒドロキシプロピル二澱粉燐酸エステル及び移植澱粉の1種類を含み、又はその組合せである。
【請求項20】
請求項2に述べたある動物組織の処理方法に基づき、該生物相容性澱粉は変性澱粉止血製品で、それは下記の手順から組成する:
(a)液体で生物相容性変性澱粉を溶解させ又は膨張させて、変性澱粉溶液又は懸濁液を製作し、それに、
(b)変性澱粉溶液又は懸濁液を直接、真空冷凍乾燥又は真空乾燥し、該変性澱粉止血製品を製作して、
その内、該変性澱粉製品は止血スポンジ、止血膜又は止血テープに製作でき、該血傷表面は人体体表、体内組織器官及び体腔内組織又は器官に属し、外科手術、傷救急、喉頭鏡、内視鏡及び腔鏡下の止血、癒着防止、組織癒合の促進、傷口密封、傷口組織の接着に用いられる。
【請求項21】
請求項20に述べたある変性澱粉止血製品の調製方法に基づき、それは生物相容のゼラチンやコラーゲンタンパクの1種類又はその組合せを変性澱粉と混合でき希釈できて、真空冷凍乾燥を経て複合変性澱粉止血材料が製作できる。
【請求項22】
請求項20に述べたある変性澱粉止血製品の調製方法に基づき、それは凝血因素、繊維タンパク、カルシウム剤、魚精タンパク、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸の1種類又はその組合せを変性澱粉と混合でき希釈できて、真空冷凍乾燥を経て、凝血剤含有の変性澱粉止血材料が製作できる。
【請求項23】
請求項20に述べたある変性澱粉止血製品の調製方法に基づき、それはグリセリン、カオリン、ソルビトール、エチルアルコール、アンモニア水、ポリシュウ酸の1種類又はその組合せを変性澱粉と混合でき希釈できて、真空冷凍乾燥を経て、可塑剤含有の変性澱粉止血材料が製作できる。
【請求項24】
請求項20に述べたある変性澱粉止血製品の調製方法に基づき、それは生物相容の酸化繊維素、カルボキシメチル繊維素、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウムの1種類又はその組合せを変性澱粉と混合でき希釈できて、真空冷凍乾燥を経て、複合可塑剤変性澱粉止血材料が製作できる。
【請求項25】
生物相容性澱粉の調製方法であって、下記の手順を含む:
(a)ある生物相容澱粉に変性作用を提供し、それに、
(b)変性澱粉を産生して、
その内、該変性澱粉は、その分子量が15,000ダルトン以上で、粒の粒径が1〜1000μmである。
【請求項26】
請求項25に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該変性澱粉は血傷表面に止血作用が提供でき、そして手術後の癒着防止、組織癒合の促進、血管の密封、傷口のせき止、傷口の接着に作用が提供でき、それに血傷表面に対して細菌抑制及び炎症抵抗に用いられて、該血傷表面は人体体表、体内組織器官及び体腔内組織又は器官に属し、外科手術、傷救急、喉頭鏡、内視鏡及び腔鏡下の手術に用いる場合、止血、癒着防止、組織癒合の促進、傷口密封、傷口組織の接着などの作用が提供できる。
【請求項27】
請求項25に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該変性澱粉の分子量は15,000〜2,000,000ダルトンである。
【請求項28】
請求項25に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該変性澱粉の吸水倍率葉1〜500倍である。
【請求項29】
請求項25に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該変性澱粉は親水原子団含有の変性澱粉である。
【請求項30】
請求項25に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該変性澱粉は水中溶解又は膨張を通じて形成した粘性膠又は粘性液である。
【請求項31】
請求項27に述べたある生物相容変性澱粉材料の調製方法に基づき、その内、該変性作用は下記作用の1種類又は1種類以上を含み、それは物理変性作用、化学変性作用、酵素処理変性作用、天然変性作用を含む。
【請求項32】
請求項31に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該物理変性作用は輻射、機械、湿熱処理を含む。
【請求項33】
請求項31に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該化学変性作用は化学試薬で少なくとも1回を行った化学変性処理を含み、そして少なくとも下記1組の選定方法で取り扱った処理を含み、該選定方法は酸分解、酸化、エステル化、エーテル化、架橋、移植の変性処理を含む。
【請求項34】
請求項27に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該変性澱粉は少なくとも下記組合せ選定の1種類を含み、それは予糊化澱粉、酸変性澱粉、デキストリン、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、移植澱粉、架橋澱粉、複合変性澱粉を含む。
【請求項35】
請求項34に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該予糊化澱粉の調製方法は干法変性で、それは押出法、ロール乾燥法を含む。
【請求項36】
請求項34に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該予糊化澱粉の調製方法が湿法変性で、それは噴霧乾燥法を含む。
【請求項37】
請求項34に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該エーテル化澱粉は少なくともカルボキシメチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、カチオン澱粉又はその組合せを含む。
【請求項38】
請求項34に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該エステル澱粉は少なくともヒドロキシプロピル二澱粉燐酸エステルを含む。
【請求項39】
請求項34に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該架橋澱粉は少なくとも架橋カルボキシメチル澱粉を含む。
【請求項40】
請求項34に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該移植澱粉は少なくともアクリル酸―カルボキシメチル澱粉の架橋重合体及びアクリル エステル―カルボキシメチル澱粉の架橋重合体を含み、その内、該移植澱粉の分子量は50,000〜2,000,000ダルトンである。
【請求項41】
請求項34に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該エステル化澱粉は少なくともヒドロキシプロピル二澱粉燐酸エステルを含み、その内、該架橋澱粉は少なくとも架橋カルボキシメチル澱粉の中の1種類又はその組合せを含み、その内、該移植澱粉は少なくともアクリル酸―カルボキシメチル澱粉の移植重合体及びアクリル エステル―カルボキシメチル澱粉の移植重合体を含み、その内、該変性澱粉の吸水倍率は1倍より低くないこと。
【請求項42】
請求項34に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該変性澱粉の吸水倍率は1倍より低くないこと。
【請求項43】
請求項41に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該変性澱粉の吸水倍率は2〜500倍である。
【請求項44】
請求項33に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該手順(a)は下記の手順を含む:
予糊化ヒドロキシプロピル二澱粉燐酸エステルを用いて、複合変性澱粉止血材料を製作する。
【請求項45】
請求項42に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該手順(a)は下記の手順を含む:
予糊化ヒドロキシプロピル二澱粉燐酸エステルを用いて、複合変性澱粉止血材料を製作し、その内、該変性澱粉の吸水倍率は2〜50倍である。
【請求項46】
請求項33に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該手順(a)は下記の手順を含む:
カルボキシメチル澱粉にアクリル酸及びアクリル エステルを移植し、アクリル酸−カルボキシメチル澱粉の移植重合体及びアクリル エステル−カルボキシメチル澱粉の移植重合体の移植澱粉止血材料を製作する。
【請求項47】
請求項42に述べたある生物相容変性澱粉の調製方法に基づき、その内、該手順(a)は下記の手順を含む:
カルボキシメチル澱粉にアクリル酸及びアクリル エステルを移植し、アクリル酸−カルボキシメチル澱粉の移植重合体及びアクリル エステル−カルボキシメチル澱粉の移植重合体の移植澱粉止血材料を製作して、その内、該変性澱粉の吸水倍率は20〜500倍である。
【請求項48】
ある生物相容変性澱粉材料の調製方法で、請求項1に述べた動物組織の処理方法に用いて、下記の手順を含む:
(a)ある澱粉原料を提供し、沸騰機の温度が40〜50℃以下で、
(b)蒸留水を入れて、凝集、丸薬製作を経て、変性澱粉材料製品を製作する。
その内、該変性澱粉材料の分子量は15,000ダルトン以上で、粒の粒径は1〜1000μmで、その内、粒径が30〜500μmの澱粉粒は澱粉粒総量の95%以上を占めること。
その内、該変性澱粉材料は、血傷表面に止血作用が果たせて、そして、癒着防止、組織癒合の促進、密封、せき止、接着作用を持ち、それに血傷表面に対して細菌抑制及び炎症抵抗の作用が果たせて、該血傷表面は人体体表、体内組織器官及び体腔内組織又は器官に属し、そして外科手術、傷救急、喉頭鏡、内視鏡及び腔鏡下の手術に用いる場合、止血、癒着防止、組織癒合の促進、傷口密封、傷口組織の接着などの作用が提供できる。
【請求項49】
請求項48に述べたある生物相容変性澱粉材料の調製方法に基づき、その内、該澱粉原料はカルボキシメチル澱粉原料で、該変性澱粉材料製品はカルボキシメチル澱粉(66#)で、37℃及び6.67%の懸濁液での粘度葉30mPa.sより低くなく、常温の下で、変性吸水飽和の時の粘性ワーク指数は40g.sec(100%飽和度)を超えること。
【請求項50】
請求項48に述べたある生物相容変性澱粉材料の調製方法に基づき、その内、該澱粉原料はヒドロキシエチル澱粉原料で、該変性澱粉材料製品はヒドロキシエチル澱粉(88#)で、常温の下で、変性吸水飽和の時の粘性ワーク指数は60g.sec(100%飽和度)を超えること。
【請求項51】
請求項48に述べたある生物相容変性澱粉材料の調製方法に基づき、その内、該澱粉原料は架橋カルボキシメチル澱粉原料で、該変性澱粉材料製品は架橋カルボキシメチル澱粉で、37度及び6.67%の懸濁液での粘度は30mPa.sより低くなく、常温の下で、変性吸水飽和の時の粘性ワーク指数は40g.sec(100%飽和度)を超えること。
【請求項52】
ある生物相容変性澱粉材料の調製方法で、請求項1に述べた動物組織の処理方法に用いて、下記の手順を含む:
(a)ある生物相容の変性澱粉原料を提供し、その内、その分子量は15,000ダルトンで、粒の粒径は1〜1000μmである。
(b)水を入れて攪拌し、澱粉粒を十分に溶解させ膨張させて、しかも水中に分散させ、均一の懸濁液を形成する。
(c)−40℃の下で予め22時間冷却する。
(d)それから、冷凍乾燥機の中に入れ、−40〜50℃の下で、真空度が20Paより小さい環境の中で、20時間冷凍乾燥する。
(e)変性澱粉止血スポンジが得られる。
その内、該変性澱粉材料は血傷表面に止血作用、癒着防止、組織癒合の促進、密封、せき止、接着作用が提供できて、それに血傷表面に細菌抑制及び炎症抵抗の作用も提供できる。
【請求項53】
請求項52に述べた生物相容変性澱粉材料の調製方法に基づき、更に下記の手順を含む:
成型剤を手順(a)の変性澱粉原料の中に入れて均一に混合させ、成型剤含有の変性澱粉スポンジが得られ、人体体表、体内組織器官及び体腔内組織又は器官に属する血傷表面に用いて、止血、癒着防止、組織癒合の促進、傷口密封、傷口組織の接着などの作用が提供できる。
その内:
該成型剤はゼラチン、コラーゲンタンパク質、酸化繊維素、カルボキシメチル繊維素、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、グリセリン、カオリン、ソルビトール、エチルアルコール、アンモニア水、ポリシュウ酸の1種類又はその組合せを含む。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−509932(P2011−509932A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542290(P2010−542290)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/000227
【国際公開番号】WO2009/091549
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(510058564)スターチ メディカル インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】