説明

生物粒子評価装置及び生物粒子評価方法

【課題】洗剤の蛍光増白剤に由来する蛍光か生物に由来する蛍光かを判別し、より精度良く生物粒子を検出する生物粒子評価装置を提供する。
【解決手段】レーザー光源12がレーザー光を励起し、測定ポイントPとダイクロイックミラー18との間に、被測定粒子からの蛍光をコリメートする導入側凸レンズ14及び、励起波長をカットするノッチフィルタ16が配置される。ダイクロイックミラー18と第1光センサ23との間に、干渉フィルタ21及び第凸レンズ22が配置される。ダイクロイックミラー18と第2光センサ26との間に、干渉フィルタ24及び凸レンズ25が配置される。第1光センサ23及び第2光センサ26は、コンピュータ28に接続され、コンピュータ28が第1光センサ23の検出データと第2光センサ26の検出データとを比較して各被測定粒子の性質を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤の蛍光増白剤に由来する蛍光か生物に由来する蛍光かを判別し、より精度良く生物粒子を検出する生物粒子評価装置及び生物粒子評価方法に関し、例えば食品や医薬品等の製造工程での生物粒子の評価及び、室内環境での生物粒子の評価に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品等の製造は通常クリーンルーム内において行われていて、このクリーンルーム内に存在する粒子の評価方法としては、各々の粒子の粒径を光散乱方式パーティクルカウンター等により評価するのが一般的である。一般に市販されている光散乱方式パーティクルカウンターは、粒子からの散乱光の強度を基にして粒子の粒径を求めているが、この方式では粒子が生物粒子か否かは評価できなかった。これに対して、粒径分布から生物粒子か否かを判別する手法が提案されているが、この手法では多数の粒子数が必要になる欠点がある。
【0003】
食品や医薬品の製造工程或いはオフィス等の室内環境においては、菌等の生物粒子の存在が問題となることがあり、特に食品や医薬品の所定の製造工程においては、菌等の生物粒子が基本的に存在してはならないことになっている。
【0004】
この一方、生物粒子は代謝があり、この代謝に関連する物質には蛍光を示すものがあり、ある波長域の光を照射した際、蛍光を示すものを生物粒子と判別する手法が知られていて、実際に製品化されている。この他に、生物粒子からの蛍光を捉えて、その蛍光スペクトルの複数波長での強度比から生物粒子の代謝に関連する物質の比を推察し、大雑把に生物粒子の種別を判別する方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−508527号公報
【特許文献2】特表2009−501907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの環境において例えば浮遊等する塵埃は、外気由来のものや機器等からの発塵したものの他に、作業者等の人からの発塵により発生するものもある。すなわち、作業者等が用いるクリーンスーツ類は、清浄性を考慮したクリーニングがなされているものの、クリーンスーツの下に着衣する肌着等は、作業者が各自洗濯しているのが、通常である。そして、通常の洗濯においては、衣類は一般の洗剤で洗濯されるが、洗剤には蛍光を発する蛍光増白剤が添加されているものがある。
【0007】
そのような洗剤で洗濯された衣類からの塵埃には、蛍光増白剤が付着しており、蛍光を用いた生物粒子の検出技術において、蛍光増白剤が付着した衣類からの塵埃と生物粒子とを混同する恐れがある。
【0008】
例えば、図24に示すグラフによれば、生物粒子であるNADHやRiboflavinと蛍光増白剤を含む洗剤の蛍光スペクトルは、類似していることがわかる。仮に蛍光の有無だけで生物粒子が存在しているか否かを判定した場合、洗濯された衣類からの塵埃を生物粒子と判定する可能性があることが、このグラフから分かる。尚、本グラフは355nmの波長の光で励起した場合である。
【0009】
但し、蛍光増白剤を含む洗剤の蛍光スペクトルが洗剤相互間で相違している可能性がある為、現在市販されている複数種の洗濯用洗剤について蛍光スペクトルを計測してみた。尚、サンプルとしてはA、B、C、Dの四種類とし、各洗剤溶液に355nmのパルスレーザーを照射したときの蛍光スペクトルを図25のグラフに示す。
【0010】
このグラフから洗剤A、B、Cは、それぞれ蛍光を示しているだけでなくそのピーク波長は433nm前後であり、相互にピーク値が大きく相違しないことが確認された。この際、洗剤Aと洗剤Cは強い蛍光を示したのに対し、洗剤Bの蛍光は比較的弱いことが読み取れる。また、蛍光増白剤を含んでいない洗剤Dについては殆ど蛍光を示さなかった。
【0011】
したがって本発明の主たる課題は、洗剤の蛍光増白剤に由来する蛍光か生物に由来する蛍光かを判別し、より精度良く生物粒子を検出する生物粒子評価装置及び生物粒子評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る生物粒子評価装置は、被測定粒子の存在し得る箇所に光線を送り出して、被測定粒子から蛍光を発生させる光源と、
被測定粒子で発生した蛍光のうちの、検出用短波長光とこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光をそれぞれ受光する光センサと、
検出用短波長光の検出データと検出用長波長光の検出データとを比較して各被測定粒子が生物粒子か否かを判別する判別手段と、
を含む。
【0013】
本請求項の生物粒子評価装置によれば、光源が光線を被測定粒子の存在する箇所に送り出すのに伴い、蛍光を発生する被測定粒子があり、被測定粒子で発生したこの蛍光のうちの、少なくとも検出用短波長光とこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光を光センサがそれぞれ受光する。また、検出用短波長光の検出データと検出用長波長光の検出データとを判別手段が比較して、各被測定粒子の性質を判別する。
【0014】
従って、本請求項では、同一の被測定粒子からの蛍光を光センサにより長短2波長の領域でそれぞれ受光するのに伴い、浮遊塵埃等の被測定粒子からの蛍光を長短2波長の光の輝度比である強度比により評価することになる。この結果として、蛍光スペクトルの相違を有する洗剤の蛍光増白剤に由来する蛍光か生物に由来する蛍光かの判別ができ、より精度良く生物粒子を検出することが可能になる。これに伴い、生物粒子が検出されたとの誤警報の発生や、誤警報の発生による不必要な点検及びメンテナンスを避けることが可能となる。
【0015】
請求項2に係る生物粒子評価装置は、被測定粒子で発生した蛍光を受光し、検出用短波長光とこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光に区分してそれぞれ排出するフィルタ手段を有し、光センサが、検出用短波長光を検出する第1光センサおよび、検出用長波長光を検出する第2光センサを含み、判別手段が、第1光センサの検出データと第2光センサの検出データとを比較して各被測定粒子の性質を判別するという構成を有する。
【0016】
従って、本請求項では、被測定粒子で発生したこの蛍光をフィルタ手段が受光し、検出用短波長光とこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光とに区分する。また、検出用短波長光を検出する第1光センサの検出データと検出用長波長光を検出する第2光センサの検出データとを判別手段が比較して、各被測定粒子の性質を判別する。
【0017】
請求項3に係る生物粒子評価装置は、フィルタ手段が、一定の波長より短い波長の蛍光を反射すると共にこの波長より長い波長の蛍光を透過するダイクロイックミラーと、検出用短波長光のみを透過する第1干渉フィルタと、検出用長波長光のみを透過する第2干渉フィルタと、を含むという構成を有する。
【0018】
従って、本請求項によれば、フィルタ手段が、ダイクロイックミラー、第1干渉フィルタ及び第2干渉フィルタを有することで、被測定粒子で発生した蛍光を受光した際に、フィルタ手段が検出用短波長光と検出用長波長光に確実に区分して、それぞれ排出できるようになる。
【0019】
請求項4に係る生物粒子評価装置は、検出用短波長光が、380〜440nmの内の波長域とされ、検出用長波長光が、440〜650nmの内の波長域とされるという構成を有する。
【0020】
従って、本請求項によれば、検出用短波長光を380〜440nmの内の何れかの波長域とし、検出用長波長光を440〜650nmの内の何れかの波長域としたことで、フィルタ手段の調整を単にするのみで、検出用短波長光及び検出用長波長光の波長域を容易に変更可能となる。この為、生物粒子評価装置の調整が容易となる。
【0021】
請求項5に係る生物粒子評価装置は、所定の波長域の光のみ透過するように、各光センサの前面に干渉フィルタをそれぞれ設け、検出用短波長光と検出用長波長光との間の蛍光強度比に対する閾値を判別手段が有し、この閾値以上か否かにより各被測定粒子の性質を判別するという構成を有する。
従って、本請求項によれば、所定の波長域の光のみを第1光センサ及び第2光センサが検出するような干渉フィルタを採用し、検出用短波長光と検出用長波長光との間の蛍光強度比に対する閾値を判別手段が有し、この閾値以上か否かにより各被測定粒子の性質を判別することで、従来の手法に対して、より一層精度良く生物粒子を検出することが可能になる。
【0022】
請求項6に係る生物粒子評価装置は、光源から送り出される光線が、レーザーライトシート或いは拡散レーザ光とされて、各光センサが、二次元的な面での検出できるイメージングセンサとされるという構成を有する。
従って、本請求項によれば、生物粒子評価装置内に被測定粒子を単に取り込んで、判別するだけでなく、外部に存在する被測定粒子をそのまま判別する事が可能となる。
【0023】
請求項7に係る生物粒子評価装置は、光センサが、蛍光のうちの、検出用短波長光の信号とされる青色信号と検出用長波長光の信号とされる緑色信号を画素毎に検出し得るカラーCCDとされ、判別手段が、カラーCCDで検出される青色信号の輝度データと緑色信号の輝度データとを比較して、各被測定粒子の性質を判別するという構成を有する。
従って、本請求項によれば、判別手段がこれらの輝度データを比較した値が所定の閾値を越えているか否かで、各被測定粒子の性質を判別する。
【0024】
請求項8に係る生物粒子評価装置は、光センサが、蛍光のうちの、検出用短波長光の信号とされる緑色信号と検出用長波長光の信号とされる赤色信号を画素毎に検出し得るカラーCCDとされ、判別手段が、カラーCCDで検出される緑色信号の輝度データと赤色信号の輝度データとを比較して、各被測定粒子の性質を判別するという構成を有する。
従って、本請求項によれば、判別手段がこれらの輝度データを比較した値が所定の閾値を越えているか否かで、前記と同様に各被測定粒子の性質を判別する。
【0025】
請求項9に係る生物粒子評価装置は、カラーCCDが、1CCD或いは3CCDとされるという構成を有する。
つまり、いずれかのCCDを用いても、上記請求項の発明を実行可能となる。
【0026】
請求項10に係る生物粒子評価装置は、被測定粒子の存在し得る箇所とカラーCCDとの間に、光源から送り出された波長の光線を取り除くロングパスフィルタもしくはノッチフィルタを配置したという構成を有する。
従って、本請求項によれば、光源から送り出された光線が取り除かれて、より高い精度で被測定粒子の性質を判別可能になる。
請求項11に係る生物粒子評価装置は、光源から送り出される光線が、レーザーライトシート或いは拡散レーザ光とされて、この光線をカラーCCDが二次元的な面で検出するという構成を有する。
従って、本請求項によれば、請求項6と同様に、生物粒子評価装置内に被測定粒子を単に取り込んで、判別するだけでなく、外部に存在する被測定粒子をそのまま判別する事が可能となる。
【0027】
請求項12に係る生物粒子評価方法は、被測定粒子の存在し得る箇所に光線を送り出して被測定粒子から蛍光を発生させた後、
次に、被測定粒子で発生した蛍光のうちの、検出用短波長光とこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光を光センサがそれぞれ受光し、
この後、検出用短波長光の検出データと検出用長波長光の検出データとを判別手段が比較して、各被測定粒子が生物粒子か否かを判別する。
【0028】
本請求項の生物粒子評価方法によれば、上記の内容を有することから、請求項1に係る生物粒子評価装置と同様の作用を奏するようになる。
【0029】
請求項13に係る生物粒子評価方法は、被測定粒子で発生した蛍光をフィルタ手段が受光し、検出用短波長光とこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光に区分してそれぞれ排出してから、光センサのうちの第1光センサが検出用短波長光を検出すると共に、光センサのうちの第2光センサが検出用長波長光を検出し、この後、判別手段が第1光センサの検出データと第2光センサの検出データとを比較するという構成を有する。
【0030】
本請求項の生物粒子評価方法によれば、上記の内容を有することから、請求項2に係る生物粒子評価装置と同様の作用を奏するようになる。
【発明の効果】
【0031】
以上のとおり本発明の生物粒子評価装置及び生物粒子評価方法によれば、洗剤の蛍光増白剤に由来する蛍光か生物に由来する蛍光かを判別し、より精度良く生物粒子を検出できるなどの優れた効果を奏するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る生物粒子評価装置の概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における出力信号のピーク値とピーク時刻との関係を表わすグラフを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における一方の光センサの出力信号のみの閾値を超えた際の信号抽出を説明するグラフを示す図であって、(A)は出力信号S1が閾値を超えたことを表わし、(B)は出力信号S2が閾値を超えていないことを表わす。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるNADH、Riboflavin、洗剤(蛍光増白剤)の蛍光スペクトルの関係を表わすグラフを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る生物粒子評価装置の全体図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る生物粒子評価装置を構成する撮像システムの概念図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る生物粒子評価装置による同時刻取得画像を表わす図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る生物粒子評価装置による同時刻取得画像を表わす図であって、背景の除去した状態から粒子毎の蛍光強度比の算出を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る生物粒子評価装置による粒子像輝度値合計を説明する図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る生物粒子評価装置による生物粒子を表示する映像を表わす図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る生物粒子評価装置の全体図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る生物粒子評価装置の全体図である。
【図13】本発明の変形例1に係る生物粒子評価装置の全体図である。
【図14】本発明の変形例2に係る生物粒子評価装置の全体図である。
【図15】本発明の変形例3に係る生物粒子評価装置の全体図である。
【図16】本発明の変形例4に係る生物粒子評価装置の全体図である。
【図17】本発明の変形例5に係る生物粒子評価装置の全体図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態に係る生物粒子評価装置の概念図である。
【図19】本発明の第5の実施の形態に係る生物粒子評価装置による実験を説明する説明図である。
【図20】本発明の第5の実施の形態に係る生物粒子評価装置により各対象液の蛍光画像から算出したB/G値を表わすグラフを示す図である。
【図21】本発明の第5の実施の形態に係る生物粒子評価装置により各対象液の蛍光画像から算出したR/G値を表わすグラフを示す図である。
【図22】本発明の第5の実施の形態に係る生物粒子評価装置に適用される1CCDによるカラーCCDのフィルタの配列を表わす説明図である。
【図23】本発明の第5の実施の形態に係る生物粒子評価装置に適用される3CCDによるカラーCCDのフィルタの配列を表わす説明図である。
【図24】NADH、Riboflavin、洗剤(蛍光増白剤)の蛍光スペクトルの関係を表わすグラフを示す図である。
【図25】洗剤(蛍光増白剤)の蛍光スペクトル間での相違を表わすグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る生物粒子評価装置及び生物粒子評価方法の第1の実施の形態を図1〜図4に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
本実施の形態に係る生物粒子評価装置10は、評価対象空間の内のサンプリングポイントからの空気を一定流量でサンプリングするためのエアポンプ(図示せず)を有し、このエアポンプにより測定ポイントPまで空気を搬送している。
【0034】
図1に示すように、この生物粒子評価装置10には、概ね350nm〜410nmの波長のレーザー光を被測定粒子の存在するこの測定ポイントPに送り出して、少なくとも380〜650nmの範囲の波長を有する蛍光を被測定粒子から発生させるように、このレーザー光を送り出すレーザー光源12が配置されている。
【0035】
測定ポイントPの直下の位置には、被測定粒子で発生した蛍光の内の凡そ380〜440nmの短波長光を導入光軸Xに対して直交する方向に反射すると共に、凡そ440〜650nmの長波長光を透過させ導入光軸Xに沿ってそのまま直進させて、短波長光と長波長光とに分離するダイクロイックミラー18が配置されている。
【0036】
但し、これら測定ポイントPとダイクロイックミラー18との間には、被測定粒子からの蛍光をコリメートする導入側凸レンズ14及び、レーザー光源12の励起光と同波長の弾性散乱光を除去するために励起波長をカットするノッチフィルタ16がそれぞれ配置されている。尚、ノッチフィルタ16の替りにロングパスフィルタを設けても良い。
【0037】
また、ダイクロイックミラー18からの反射光を受光する位置には、蛍光の内の検出用短波長光を検出するような第1光センサ23が配置されており、ダイクロイックミラー18からの透過光を受光する位置には、蛍光の内のこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光を検出するような第2光センサ26が配置されている。
【0038】
但し、これらダイクロイックミラー18と第1光センサ23との間には、433nmの透過波長域を持つ干渉フィルタ21及びこの第1光センサ23へ集光する凸レンズ22が配置されている。同様に、これらダイクロイックミラー18と第2光センサ26との間には、526nmの透過波長域を持つ干渉フィルタ24及びこの第2光センサ26へ集光する凸レンズ25が配置されている。従って、これらダイクロイックミラー18、干渉フィルタ21、凸レンズ22、干渉フィルタ24、凸レンズ25が、検出用短波長光である433nmの蛍光と検出用長波長光である526nmの蛍光と二区分してそれぞれ排出するフィルタ手段とされる。
【0039】
つまり、本実施の形態では、短波長光、長波長光それぞれから所定の波長域のみ取り出して、第1光センサ23及び第2光センサ26に蛍光を送り込むようになっている。尚、これら第1光センサ23及び第2光センサ26は、PMT(Photo Multiplier Tube:光電子増倍管(フォトマルチプライヤー))、APD(Avalanche Photodiode:アバランシェフォトダイオード)、PD(Photodiode:フォトダイオード)等により例えば構成されている。また、これら第1光センサ23及び第2光センサ26は、判別手段であるコンピュータ28に接続されていて、このコンピュータ28が第1光センサ23の検出データと第2光センサ26の検出データとを比較して各被測定粒子の性質を判別することになる。
【0040】
次に、本実施の形態に係る生物粒子評価方法の手順について説明する。
本実施の形態の生物粒子評価装置10のレーザー光源12がレーザー光を被測定粒子の存在する箇所に送り出すのに伴い、蛍光を発生するものがあり、被測定粒子で発生したこの蛍光をダイクロイックミラー18、干渉フィルタ21、凸レンズ22、干渉フィルタ24、凸レンズ25等で受光すると共に、検出用短波長光とこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光とに区分してこれらから排出する。
【0041】
この後、検出用短波長光を第1光センサ23が検出すると共に検出用長波長光を第2光センサ26が検出した後、これらの検出データをコンピュータ28が比較して各被測定粒子の性質を判別する。
【0042】
ここで、被測定粒子からの蛍光を2つの光センサ23、26で捕捉した後、コンピュータ28内でデータ処理を実行し、被測定粒子中における生物粒子の数をリアルタイムにカウントする手順を以下に具体的に説明する。
【0043】
まず、第1光センサ23で検出した検出用短波長光である433nmの蛍光の強度と第2光センサ26で検出した検出用長波長光である526nmの蛍光の強度とに基づき、電圧信号V1、V2をコンピュータ28にそれぞれ送り出す。そして、光センサ23、26からの電圧信号V1、V2それぞれに対し、光センサ23、26の分光感度特性に応じた補正、バンドパスフィルタの特性に応じた補正、その他光学系の特性に応じた補正をコンピュータ28において行い、補正後の光センサ23、26の出力信号をS1、S2とする。
【0044】
次に、図2に示すグラフのように、第1光センサ23および第2光センサ26の時系列出力信号S1、S2に閾値S0を設け、これら出力信号S1、S2が閾値S0を超えてから閾値S0を下回るまでの間は、蛍光を検知していると判断し、その間の出力信号S1、S2における最大値が生じた時刻をTPとする。尚ここで、閾値S0の値は、バックグラウンドノイズを検知しないレベルとする。
【0045】
また、第1光センサ23で検知された出力信号S1の最大値であるピーク値をS1Pとし、第2光センサ26で検知された出力信号S2の最大値であるピーク値をS2Pとする。例えば、光センサ23、26の出力信号S1、S2がともに閾値S0を超え、同時にピークを示した場合はそれぞれの信号出力ピーク値S1P、S2Pを抽出する。
【0046】
但し、図3(A)(B)に示すグラフのように、例えば第1光センサ23の出力信号S1のみ閾値S0を超えて時刻TPにおいてピーク値S1Pを示したような、どちらか一方の光センサの出力信号のみが閾値S0を超えてピークを示した場合には、この時刻TPにおける図3(B)に示す第2光センサ26の出力信号S2の値を抽出して、信号出力ピーク値S2Pとする。
【0047】
上記のようにして求められたピーク値S1P、S2Pから、光センサ23、26の出力信号S1、S2において定常的に観測されるバックグラウンドノイズB1、B2をそれぞれ下記の式のように減算することで、正味ピーク値NS1P、NS2Pをそれぞれ求め、これに伴い、ピーク時刻TPにおける蛍光強度比Rを下記の式のようにして算出する。
NS1P=S1P−B1
NS2P=S2P−B2
R=NS2P/NS1P
【0048】
さらに、上記のように求められたピーク時刻TP における蛍光強度比Rを、生物粒子と蛍光増白剤を判別するための閾値RTHと比較する。そして、以下のように蛍光強度比Rが閾値RTH以上の値の場合には、生物粒子に由来する蛍光であると判断し、蛍光強度比Rが閾値RTHより小さい場合には洗剤に含まれる蛍光増白剤に由来する蛍光であると判別する。尚ここで、閾値RTHの値は、凡そ0.5とされる。
R ≧ RTH ・・・生物粒子
R < RTH ・・・蛍光増白剤
【0049】
以上の結果、サンプリングポイントからの空気を一定流量で測定ポイントPに導入し、この導入された空気中に含まれる粒子からの蛍光を一定時間計測することで、サンプリングポイントにおける気中の生物粒子個数濃度Caを下記の式に基づき、コンピュータ28で算出することが出来る。
Ca=na/(Fs×Ts)
Ca: 生物粒子個数濃度
Ts: サンプリング時間
na: サンプリング時間中に計測された生物粒子数
Fs: 単位時間当たりのサンプリング空気量
【0050】
例えば、図4に示すように、生物粒子に含まれるNADHの蛍光スペクトルと蛍光増白剤を含む洗剤の蛍光スペクトルとにおける433nmの波長に対する526nmの波長の蛍光強度比Rを求めた場合、NADHの蛍光スペクトルでは凡そ1.0であるのに対して、洗剤の蛍光スペクトルでは凡そ0.24であった。また、生物粒子に含まれるRiboflavinの蛍光スペクトルの場合、蛍光強度比Rは400以上になった。従って、生物粒子からはNADH、Riboflavinが共に蛍光を出すため、その蛍光強度比は、凡そ1.0よりも大きくなる。
【0051】
以上より、蛍光スペクトルのピーク等の相違から、380nm〜440nmの範囲内の所定の波長域とされる433nmと526nmとで蛍光強度比Rを求めることにより、蛍光増白剤に起因する蛍光かNADH、Riboflavin等の生物粒子に起因する蛍光かを判別することが可能となる。
【0052】
つまり、本実施の形態によれば、同一の被測定粒子からの蛍光を第1光センサ23と第2光センサ26とにより長短2波長の領域でそれぞれ蛍光の強度を検出するのに伴い、コンピュータ28において、浮遊塵埃等の被測定粒子からの蛍光の内の長短2波長の光の強度比で評価することになる。
【0053】
この結果として、蛍光スペクトルの相違を有する洗剤の蛍光増白剤に由来する蛍光か生物に由来する蛍光かの判別ができ、より精度良く生物粒子を検出することが可能になるのに伴い、生物粒子が検出されたとの誤警報の発生や、誤警報の発生による不必要な点検及びメンテナンスを避けることが可能となる。
【0054】
次に、本発明に係る生物粒子評価装置及び生物粒子評価方法の第2の実施の形態を図5から図10に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第1の実施の形態で説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
第1の実施の形態では、評価対象空間の空気をサンプリングするためのエアポンプを有し、このエアポンプにより測定ポイントPまで空気を搬送していたが、本実施の形態では、評価対象空間の空気をサンプリングせずに、評価対象空間にレーザーライトシートを照射し、撮像管、CCD、CMOSといった撮像素子を用いて蛍光を検出する空中生物粒子評価用イメージングシステムとしている。
【0055】
つまり、本実施の形態に係る生物粒子評価装置30では、図5に示すように光源であるレーザーヘッド32から射出されたレーザー光Lを、反射ミラー33を介してガルバノミラー34に送り込み、これに伴い、このガルバノミラー34でレーザーライトシートLSを生成して評価対象空間に送り出すことにしている。但し、ガルバノミラー34によりレーザーライトシートLSである走査光を生成する方法の他に、レンズを用いること等が考えられる。
【0056】
このレーザーライトシートLS上の被測定粒子Gからの蛍光Kを撮像システム36で撮像して二次元的に検出し、各被測定粒子Gが映し出される2波長での画像の強度比から生物粒子からの蛍光か蛍光増白剤の入った洗剤からの蛍光かを判別することになる。そして、本実施の形態では撮像システム36を用いているが、この撮像システム36の基本構造は第1の実施の形態に係る生物粒子評価装置10とほぼ同様である。但し、この撮像システム36内の入口部分には、図6に示すように蛍光等の光が入射されるカメラレンズ38が配置されている。
【0057】
また、ダイクロイックミラー18から蛍光Kが反射して送り出される方向には、短波長光の光軸を長波長光と平行にするための反射ミラー40が配置されていて、これに伴い第1光センサである第1イメージングセンサ41が第2光センサである第2イメージングセンサ42と並行に配置されている。尚、これらイメージングセンサ41、42は、上記のように一般的な撮像管、CCD、CMOS等により構成することができる他、短波長光と長波長光の2波長の光を分離して撮像するための他の光学系や2波長を分離して撮像するカメラユニットであってもよく、これら市販されたものを用いても良い。
【0058】
本実施の形態のように空中生物粒子の評価の為にレーザーライトシートLS及び撮像システム36を用いて画像処理すると、次のような利点がある。空気をサンプリングしてくる方式では、一定空気量中に含まれる菌の数を定量的に評価することができるものの、空気をサンプリングしてくる方式のために、空間的や時間的に平均化された出力となる傾向がある。これに対して、空間中の生物粒子からの蛍光を画像処理する場合、測定対象空間から空気をサンプリングしてくる機構が不要であるだけでなく、突発的、局所的な生物粒子の発生や挙動も捉えることができる。
【0059】
次に、本実施の形態におけるコンピュータ28内でのデータ処理について説明する。
本実施の形態の生物粒子評価装置30のレーザーヘッド32から射出されたレーザー光Lがガルバノミラー34によりレーザーライトシートLSとされ、このレーザーライトシートLSを被測定粒子の存在する評価対象空間に送り出す。これに伴い、被測定粒子からの蛍光を撮像システム36で撮影し、第1の実施の形態とほぼ同様な経路を通過し、検出用短波長光と検出用長波長光とに区分された蛍光を含む2つの画像を2台のイメージングセンサ41、42でそれぞれ捕捉する。
【0060】
ここで、被測定粒子からの蛍光を2つのイメージングセンサ41、42で捕捉した後、コンピュータ28にて画像処理を行い、被測定粒子中における生物粒子のみをディスプレイ29に表示しあるいは録画すると同時に、コンピュータ28内でデータ処理を実行し、映像に映った被測定粒子中において生物粒子の数をリアルタイムにカウントする手順を以下に具体的に説明する。
【0061】
まず、第1イメージングセンサ41で検出した433nmの映像信号と第2イメージングセンサ42で検出した526nmの映像信号とをイメージングセンサ41、42からコンピュータ28にそれぞれ送り出す。そして、これらイメージングセンサ41、42からの映像信号それぞれに対し、イメージングセンサ41、42の分光感度特性に応じた補正、バンドパスフィルタの特性に応じた補正、その他光学系の特性に応じた補正をコンピュータ28において行い、補正後の映像信号をイメージングセンサ41、42において抽出する。
【0062】
次に、イメージングセンサ41およびイメージングセンサ42の映像からの相互に同期している同時刻の画像である画像1、画像2を、コンピュータ28内でのデータ処理で図7に示す画像のように取得する。この際、画像1及び画像2には、生物粒子および蛍光増白剤が付着した粒子からの蛍光のうち、それぞれ検出用短波長光の蛍光と検出用長波長光の蛍光が撮像されている。
【0063】
さらに、これら2枚の画像1、2に対しそれぞれ背景を除去するために、輝度値に閾値を設け、画像1、2内のピクセル毎に輝度値を判断して、輝度値が閾値以下である場合には背景と推定されて、図8に示すように輝度値を0とする。尚ここで、この閾値の値は、バックグラウンドノイズを検知しないレベルとする。
【0064】
このように背景を除去したそれぞれの画像1、2に対し、ラベリング(連続領域探索の画像処理)を施して、連続領域を1つの粒子像と認識し、1つの粒子像を模したものの拡大図を例えば図9に示すが、この図の例では1つの粒子像の合計輝度値は1555となる。尚、図9中の各数値は、連続領域中の各画素の輝度値から、各画素において粒子が存在しないときでも定常的に観測されるバックグラウンドノイズをそれぞれ減算した後の値であり、この減算した後の連続領域の各画素の輝度値を合計したものが1555となる。
【0065】
具体的には、画像1、画像2それぞれにラベリングを施して各粒子像の輝度値の合計を求めた上で、2枚の画像上の同一位置にある粒子像の合計輝度値からその比を算出する。これが生物粒子と蛍光増白剤を判別するための蛍光強度比R(n)となる。
【0066】
例えば図8において、画像1に撮像された粒子の合計輝度値をY1(n)とし、画像2で同一位置に撮像された粒子像の合計輝度値をY2(n)とした場合、蛍光強度比R(n)は、下記の式より求まる。
R(n)=Y2(n)/Y1(n)
n:ラベリング処理によりカウントされた粒子像の数
【0067】
そして、粒子毎に求められた蛍光強度比R(n)について、生物粒子と蛍光増白剤を判別するための閾値RTHと比較し、以下のように、蛍光強度比Rが閾値RTH以上の値の場合には生物粒子に由来する蛍光であると判別し、蛍光強度比Rが閾値RTHより小さい場合には洗剤に含まれる蛍光増白剤に由来する蛍光であると判別する。尚ここで、閾値RTHの値は、凡そ0.5とされる。
R(n)≧RTH・・・生物粒子
R(n)<RTH・・・蛍光増白剤
これに伴い、画像1、2中の全ての粒子像に対してこの判別を行うと同時に、生物粒子として判別された粒子数をカウントする。
【0068】
また、コンピュータ28により生物粒子として判別された粒子像のみをディスプレイ29に図10に示すような画像として表示あるいは録画すると同時に、表示画像中の「生物粒子数」をディスプレイ29に表示する。さらに、上記一連の操作をイメージングセンサ41、42のフレームレート内で行い、イメージングセンサ41、42からの信号を受け取るたびにコンピュータ28で繰り返すことで、被測定粒子中における映像中に映っている生物粒子の数をリアルタイムに計測可能となる。
【0069】
次に、本発明に係る生物粒子評価装置及び生物粒子評価方法の第3の実施の形態を図11に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第1、第2の実施の形態で説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
上記実施の形態では、空中生物粒子評価用のイメージング方式を説明したが、本実施の形態では、表面付着生物粒子評価用のイメージング方式を説明する。従来の表面付着生物粒子の評価方法としては、コンタクトプレート法や拭き取り法といったように評価対象となる表面にコンタクトプレートもしくはガーゼ等を接触させ、これらに付着した生物粒子を培養し、培養後に生物粒子数を計数するが、この従来方法では即時性がなくまた培養等の手間がかかる。
【0070】
本実施の形態では、対象表面である例えばテーブル40の表面に対して、レーザーライトシートLSをほぼ平行に舐めるように照射し、第2の実施の形態と同様に、被測定粒子中における映像中に映っている生物粒子の数をリアルタイムに計測するものである。従って、本実施の形態によれば生物粒子数の計数に即時性があり、また生物粒子の培養の必要性がない利点がある。
【0071】
次に、本発明に係る生物粒子評価装置及び生物粒子評価方法の第4の実施の形態を図12に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第1、第2の実施の形態で説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
上記実施の形態では、表面付着生物粒子評価用のイメージング方式を説明したが、本実施の形態でも同様に表面付着生物粒子評価用のイメージング方式を採用している。
【0072】
但し、レンズ等で拡散させたレーザー光Lを対象表面である例えばテーブル40の表面に対して照射し、第2の実施の形態と同様に被測定粒子中における映像中に映っている生物粒子の数をリアルタイムに計測するものである。従って、本実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様に、生物粒子数の計数に即時性があり、また生物粒子の培養の必要性がない利点がある。
【0073】
次に、本発明の各変形例に係る生物粒子評価装置を説明する。
まず、変形例1は、図13に示すように容器を連続して搬送しつつ薬液を充填する充填ラインに生物粒子評価装置を適用する例である。従来は、フィルタのバリデーションが必要なため、充填ラインの上に無菌ブースをかぶせて定期バリデーションしているが、生物粒子評価装置で充填直上の空間を常時監視しておくことにより、生物粒子の異物混入が無いことを保証している。
【0074】
具体的には、空気を吹き出すファンフィルターユニット(FFU)60の下部に、コンベア62を配置し、容器64を連続して搬送しつつ薬液を充填するだけでなく、打栓機66により、容器64に栓をして封止するようになっている。この際、レーザーヘッド32から射出されたレーザー光が照射される領域LR内に、複数の撮像システム36が配置されて、生物粒子の異物混入が無いことを確認している。
以上の結果として、充填ラインのフィルタバリデーションが不要となり、維持費の削減に繋がると共に、無菌管理領域の縮小により、ラインのコンパクト化が可能になる。さらに、リアルタイムな完全性管理にて、生産性が向上して、薬品製造原価の低減に繋がる。
【0075】
次に、変形例2は、図14に示すように光膜式パーティクル濃度計に生物粒子評価装置を適用し、光膜式バイオカウンタとする例である。この例では、光源51から送り出されたレーザーライトシートLSにより生じる蛍光を撮像システム36で撮影するようになっている。
つまり、枠体53内にレーザーライトシートLSを照射し、上下方向に沿って存在している気流内の生物粒子を撮像システム36で撮影して検出する構造とされている。尚、枠体53内の各フラップ52は無くとも良い。
【0076】
次に、変形例3は、図15に示すように製品の表面異物検査装置に生物粒子評価装置を適用する例である。この例では、変形例2の光膜式バイオカウンタを上下動させて、透明容器53の内外表面が無菌になっているかの検査をするようになっている。
【0077】
次に、変形例4は、図16に示すように無菌保証面センサーとして生物粒子評価装置を適用する例である。この例では、開口68から陰圧室55に送り込まれて、排気口56から排出される空気に対し、送り込まれる空気が無菌状態になっているか検査する場合に用いられている。
【0078】
次に、変形例5は、図17に示すように同じく無菌保証面センサーとして生物粒子評価装置を適用する例である。この例では、給排気ダクト58内に矢印のように送り込まれる空気をフィルタ59で濾過した後に、この空気が無菌状態になっているか検査する場合に用いられている。
【0079】
以下、本発明に係る生物粒子評価装置及び生物粒子評価方法の第5の実施の形態を図18〜図23に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
本実施の形態に係る生物粒子評価装置70は、評価対象空間の内の図18に示すサンプリングポイントからの空気を一定流量でサンプリングするためのエアポンプ(図示せず)を有し、このエアポンプにより測定ポイントPまで空気を搬送している。また、この生物粒子評価装置70は、405nmの波長のレーザー光Lを発振する半導体レーザーであるレーザー光源72を有し、蛍光を被測定粒子から発生させるように、このレーザー光源72から被測定粒子の存在する測定ポイントPにレーザー光Lを送り出すようにしている。
【0080】
このレーザー光源72と測定ポイントPとの間には、405nm以外の波長の光線を低減して半値幅を狭くするためのクリーンアップフィルタ76及び、直交する偏光成分の間に180°の位相差を生じさせるためのλ/2波長板78が、レーザー光源72側から順に配置されている。
【0081】
図18において、測定ポイントPの直下の位置には、被測定粒子から発生した蛍光を検出するための光センサとして一般的で安価なカラーCCD80が、蛍光を導入するための導入光軸Xに沿って配置されている。このカラーCCD80の上部には、励起波長である405nmと同波長の弾性散乱光の入射を阻止するための420nmロングパスフィルタ84を上に載せた形のCマウントレンズ82が搭載されている。このため、この420nmロングパスフィルタ84が420nm以上の長波長の光のみをCマウントレンズ82を介してカラーCCD80内に送り込むようになっている。ただし、420nmロングパスフィルタ84の替りにノッチフィルタを採用しても、励起波長である405nmと同波長の弾性散乱光を除去することができるので、ノッチフィルタとしても良い。
【0082】
ここで、カラーCCD80とは、固体撮像素子のひとつであって半導体素子であるCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いたビデオカメラである。このカラーCCD80によれば各画素について、赤色信号、緑色信号、青色信号における輝度が得られることになる。なお、以下適宜、赤色信号をR、緑色信号をG、青色信号をB等と言う。さらに、RGB値とは、所定の画素における赤色信号、緑色信号及び青色信号の各輝度をいい、R/G値とは、(赤色信号の輝度)/(緑色信号の輝度)の値をいい、B/G値とは、(青色信号の輝度)/(緑色信号の輝度)の値をいう。
【0083】
また、カラーCCD80は、判別手段であるコンピュータ28に接続されていて、このコンピュータ28がカラーCCD80内から送り出される赤色信号、緑色信号、青色信号の輝度を基にして、R/G値(赤色信号/緑色信号)及び、B/G値(青色信号/緑色信号)の各値を求めている。つまり、各画素のRGB値から各画素におけるB/G値及びR/G値を算出することになる。
【0084】
この際、このカラーCCD80としては、各信号は8ビットでそれぞれ検出されるので、赤色信号、緑色信号、青色信号の各信号は、256階調となって0から255までのいずれかの値を取ることになる。以上に伴い、青色信号と緑色信号との比であるB/G値により、各被測定粒子の性質を判別できることになる。同様に、赤色信号と緑色信号との比であるR/G値によっても、各被測定粒子の性質を判別できることになる。
【0085】
ただし、このカラーCCD80を使用する際には、一般に青色信号と赤色信号のゲインを調整することにより、ホワイトバランスを調整する必要がある。このホワイトバランスの調整には、カラーCCD80の装置内で自動的判断して調整するオートモードも存在しているが、青色信号と赤色信号のゲインをマニュアルで、使用するカラーCCD80におけるゲイン設定範囲0〜95のうちの50に今回は設定した。つまり、Bのゲインを50/95とし、Rのゲインを50/95とした。
【0086】
次に、本実施の形態に係る生物粒子評価装置70の作用及び生物粒子評価方法の手順について説明する。
本実施の形態の生物粒子評価装置70のレーザー光源72がレーザー光Lを被測定粒子の存在する測定ポイントPに送り出すのに伴い、クリーンアップフィルタ76及びλ/2波長板78を介してこの測定ポイントPに到達する。そして、この測定ポイントPに蛍光を発生する被測定粒子があることから、この被測定粒子で発生した蛍光が、420nmロングパスフィルタ84及びCマウントレンズ82を通過してカラーCCD80内に送り込まれる。この後、カラーCCD80が赤色信号、緑色信号、青色信号の各信号を検出した後、これらの色信号の輝度の検出データをコンピュータ28が比較して各被測定粒子の性質を判別する。
【0087】
ここで、被測定粒子からの蛍光をカラーCCD80で捕捉した後、コンピュータ28内でデータ処理を実行し、被測定粒子中における生物粒子の数をリアルタイムにカウントする手順を以下に具体的に説明する。
【0088】
まず、カラーCCD80で検出した青色信号を検出用短波長光とし、同じく緑色信号を検出用長波長光とする組み合わせが存在する。また、同じく検出した緑色信号を検出用短波長光とし、同じく赤色信号を検出用長波長光とする組み合わせが存在する。
【0089】
これら各色信号の強度に基づき各色での輝度信号Rr、Gr、Brをコンピュータ28にそれぞれ送り出す。そして、カラーCCD80からの輝度信号Rr、Gr、Brそれぞれに対し、背景減算等必要な補正をコンピュータ28において行い、補正後の出力信号をR値、G値、B値とする。
【0090】
ここで各出力信号R値、G値、B値とともに、閾値を予め設けておけば、これらの出力信号に基づき算出されたR/G値により被測定粒子からの蛍光が、洗剤の蛍光増白剤由来の蛍光か生物由来の蛍光かの判別が可能となる。同じく閾値を予め設けておけば、これらの出力信号に基づき算出されたB/G値により被測定粒子からの蛍光が、洗剤の蛍光増白剤由来の蛍光か生物由来の蛍光かの判別が可能となる。さらには、R/G値及びB/G値がそれぞれの閾値を越えているか否かにより、二重に判別可能ともなる。なお、閾値はB、Rのゲインの設定によって変動するので、予め適切に設定する必要がある。
【0091】
この結果として、蛍光スペクトルの相違を有する洗剤の蛍光増白剤に由来する蛍光か生物に由来する蛍光かの判別ができ、より精度良く生物粒子を検出することが可能になる。これに伴い、生物粒子が検出されたとの誤警報の発生や、誤警報の発生による不必要な点検及びメンテナンスを避けることが可能となる。
【0092】
次に、このカラーCCD80により洗剤の蛍光増白剤由来の蛍光及び生物由来の蛍光を実際に検出して判別できるかの実験を行ったので、この実験について以下に説明する。
上記実施の形態と同様の生物粒子評価装置70を用いたので、レーザー光源72、クリーンアップフィルタ76、λ/2波長板78、カラーCCD80等を有するが、図19に示すように測定ポイントPの箇所に、測定対象液Eが内部に入っている石英セル90を配置し、測定対象液Eからの赤色信号、緑色信号、青色信号の各信号データをカラーCCD80が得ると共に、コンピュータ28が取得する。つまり、レーザー光源72から送り出された405nmのレーザー光Lで、石英セル90中の測定対象液Eを励起し、その蛍光をカラーCCD80で捉えるようにした。
【0093】
ここで、測定対象液E内に含まれているサンプルの種類としては、以下のようなものである。
・洗剤
・NADH
・Riboflavin
・B.sub(枯草菌)
・E.coli(大腸菌)
【0094】
実験に際して、図22に示すベイヤ(Bayer)配列のフィルタを有した1CCDをカラーCCD80として実験を行った。この1CCDでは、図22に示すように、各画素はR、G、Bのうちのいずれか1つの信号の情報しか得られないが、周辺の画素の信号情報から補間演算を行うことで、各画素についてRGB値が得られるようになっている。
【0095】
【表1】

【0096】
具体的には、図20に示すグラフ及び表1に示す表から、B/G値の内の洗剤による蛍光は、何れも2.9以上であった。これに対して、NADH、Riboflavin、B.sub、E.coliによる蛍光のいずれも1.5以下であった。このため、標準偏差を考慮しても、これらの間の1.6〜2.8のいずれかの値を閾値Sとすれば、洗剤と各菌類との判別が可能となる。
【0097】
他方、図21に示すグラフ及び表1に示す表から、R/G値の内の洗剤による蛍光は、何れも0.15以下であった。これに対して、NADH、Riboflavin、B.sub、E.coliによる蛍光のいずれも0.27以上であった。このため、標準偏差を考慮しても、これらの間の0.16〜0.25のいずれかの値を閾値Sとすれば、洗剤と各菌類との判別が可能となる。
ただし、これらB/G値の閾値やR/G値の閾値は、励起光の波長が変わった場合等、若干異なる可能性があるだけでなく、またホワイトバランスの設定(BのゲインとRのゲイン)によって変わってくるため、ここで示した閾値は、当然に一例である。
【0098】
以上の結果として、本実験によれば、これらB/G値あるいはR/G値を求め、さらに閾値Sを適切に設定することにより、洗剤による蛍光と、NADH、Riboflavin、B.sub(枯草菌)、E.coli(大腸菌)による蛍光とを判別できることが確認された。
【0099】
また、これらを組み合わせて、B/G値とR/G値の両方で判別することにより、より一層確実な判別が可能となる。ここで、「1回目」〜「4回目」とデータがそれぞれ取られているが、同一サンプルを繰り返し測定した結果を示している。なお、「標準偏差」は、同一のサンプル内における各画素間でのデータのばらつきを表わしている。
【0100】
今回の結果から、安価で一般的なカラーCCD80を用いて評価対象からの蛍光を捉え、その取得画像のRGB値からR/G値、B/G値を算出し、判定基準としての閾値と比較することで、洗剤由来の蛍光か生物由来の蛍光かを判別できることが確認された。
なお、カラーCCD80としては、図22に示すベイヤ配列のフィルタによる1CCDを用いて実験を行ったが、図23に示す全ての画素が赤色信号を検出する第1素子81A、全ての画素が緑色信号を検出する第2素子81B、全ての画素が青色信号を検出する第2素子81Cを組み合わせた3CCD81を用いることもできる。この3CCDを用いた場合には、補間演算をすること無しに各画素のRGB値を取得することができ、より望ましい。これら図22及び図23において赤色信号をR、緑色信号をG、青色信号をBと表わす。
さらに、カラーCCDを用いる替りに、カラーCMOS等のその他のカラー撮像素子や装置を用いても良い。
【0101】
また、上記第5の実施の形態におけるカラーCCD80は、各信号を8ビットでそれぞれ検出できるものを採用したが、10ビットや12ビット等の8ビット以上のカラーCCDを採用しても良く、この場合には赤色信号、緑色信号、青色信号の各信号の階調数が増えて、R/G値、B/G値としてより細かい値を算出可能となる。また、上記第5の実施の形態に係る生物粒子評価装置70では、レーザー光源72からレーザー光Lを被測定粒子の存在する測定ポイントPに送り出すようにしたが、図5に示す実施の形態のように、さらにガルバノミラー等でレーザーライトシートを生成して評価対象空間に送り出すことで、幅広い空間での検出をすることもできる。なおこの際、図5に示す撮像システム36をカラーCCD80に代えることにより、図5に示す実施の形態と同様に、検出や計測が可能となる。
また、図11に示すように、対象表面である例えばテーブル40の表面に対して、レーザーシートLSをほぼ平行に舐めるように照射するか、図12に示すようにレンズ等で拡散させたレーザー光を対象表面である例えばテーブル40の表面に対して照射することにより表面付着生物粒子の評価が可能となる。なおこの際、図11、12に示す撮像システム36をカラーCCD80に代えることにより、図11、12に示す実施の形態と同様に、検出や計測が可能となる。
【0102】
他方、上記第1の実施の形態等では、光源としてレーザー光を発生させるものを採用したが、LED光を利用してもよい。さらに、上記実施の形態では、概ね350nm〜410nmの波長のレーザー光を送り出して、380〜650nmの範囲の波長を有する蛍光を被測定粒子から発生させるようにし、また、ダイクロイックミラー18により、蛍光の内の凡そ380〜440nmの短波長光を反射すると共に、凡そ440〜650nmの長波長光を透過させたが、波長はこれらの値に限定されるものではない。また、検出用短波長光を433nmとし検出用長波長光を526nmとしたが、これらの値は一例であり、他の波長としてもよい。
また、第5の実施の形態に関しても、光源としてレーザー光を発生させるものを採用したが、LED光を発生させるものを利用してもよい。さらに、上記実施の形態では、405nmのレーザーの波長のレーザー光を送り出していたが、例えば350nm〜410nmの範囲のレーザー光やLED光でも同様の効果が得られるので、波長は405nmに限定されるものではない。
【0103】
他方、上記実施の形態では、ダイクロイックミラー18により、380〜440nmの短波長光と440〜650nmの長波長光とに蛍光を分離したが、これらの値は一例であり、また、ダイクロイックミラーの替わりにハーフミラー等により蛍光を分離しても良い。また、上記実施の形態では、閾値RTHを「凡そ0.5」としたが、検出用長波長光と検出用短波長光を変えた場合、この閾値RTHの値は当然に変わることになる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、食品や医薬品等の製造工程だけでなく、半導体、液晶、医療等の清浄空間を必要とする全ての分野に適用可能なものである。
【符号の説明】
【0105】
10 生物粒子評価装置
12 レーザー光源(光源)
18 ダイクロイックミラー(フィルタ手段)
21 干渉フィルタ(フィルタ手段)
22 凸レンズ(フィルタ手段)
23 第1光センサ
24 干渉フィルタ(フィルタ手段)
25 凸レンズ(フィルタ手段)
26 第2光センサ
28 コンピュータ(判別手段)
30 生物粒子評価装置
32 レーザーヘッド(光源)
36 撮像システム
41 第1イメージングセンサ(第1光センサ)
42 第2イメージングセンサ(第2光センサ)
70 生物粒子評価装置
72 レーザー光源(光源)
80 カラーCCD(光センサ)
84 420nmロングパスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定粒子の存在し得る箇所に光線を送り出して、被測定粒子から蛍光を発生させる光源と、
被測定粒子で発生した蛍光のうちの、検出用短波長光とこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光をそれぞれ受光する光センサと、
検出用短波長光の検出データと検出用長波長光の検出データとを比較して各被測定粒子が生物粒子か否かを判別する判別手段と、
を含む生物粒子評価装置。
【請求項2】
被測定粒子で発生した蛍光を受光し、検出用短波長光とこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光に区分してそれぞれ排出するフィルタ手段を有し、
光センサが、検出用短波長光を検出する第1光センサおよび、検出用長波長光を検出する第2光センサを含み、
判別手段が、第1光センサの検出データと第2光センサの検出データとを比較して各被測定粒子の性質を判別する請求項1記載の生物粒子評価装置。
【請求項3】
フィルタ手段が、
一定の波長より短い波長の蛍光を反射すると共にこの波長より長い波長の蛍光を透過するダイクロイックミラーと、
検出用短波長光のみを透過する第1干渉フィルタと、
検出用長波長光のみを透過する第2干渉フィルタと、
を含む請求項2記載の生物粒子評価装置。
【請求項4】
検出用短波長光が、380〜440nmの内の波長域とされ、
検出用長波長光が、440〜650nmの内の波長域とされる請求項2または請求項3に記載の生物粒子評価装置。
【請求項5】
所定の波長域の光のみ透過するように、各光センサの前面に干渉フィルタをそれぞれ設け、検出用短波長光と検出用長波長光との間の蛍光強度比に対する閾値を判別手段が有し、この閾値以上か否かにより各被測定粒子の性質を判別する請求項2から請求項4の何れかに記載の生物粒子評価装置。
【請求項6】
光源から送り出される光線が、レーザーライトシート或いは拡散レーザ光とされて、
各光センサが、二次元的な面での検出できるイメージングセンサとされる請求項2から請求項5の何れかに記載の生物粒子評価装置。
【請求項7】
光センサが、蛍光のうちの、検出用短波長光の信号とされる青色信号と検出用長波長光の信号とされる緑色信号を画素毎に検出し得るカラーCCDとされ、
判別手段が、カラーCCDで検出される青色信号の輝度データと緑色信号の輝度データとを比較して、各被測定粒子の性質を判別する請求項1記載の生物粒子評価装置。
【請求項8】
光センサが、蛍光のうちの、検出用短波長光の信号とされる緑色信号と検出用長波長光の信号とされる赤色信号を画素毎に検出し得るカラーCCDとされ、
判別手段が、カラーCCDで検出される緑色信号の輝度データと赤色信号の輝度データとを比較して、各被測定粒子の性質を判別する請求項1記載の生物粒子評価装置。
【請求項9】
カラーCCDが、1CCD或いは3CCDとされる請求項7または請求項8に記載の生物粒子評価装置。
【請求項10】
被測定粒子の存在し得る箇所とカラーCCDとの間に、光源から送り出された波長の光線を取り除くロングパスフィルタもしくはノッチフィルタを配置した請求項7から請求項9の何れかに記載の生物粒子評価装置。
【請求項11】
光源から送り出される光線が、レーザーライトシート或いは拡散レーザ光とされて、
この光線をカラーCCDが二次元的な面で検出する請求項7から請求項10の何れかに記載の生物粒子評価装置。
【請求項12】
被測定粒子の存在し得る箇所に光線を送り出して被測定粒子から蛍光を発生させた後、
次に、被測定粒子で発生した蛍光のうちの、検出用短波長光とこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光を光センサがそれぞれ受光し、
この後、検出用短波長光の検出データと検出用長波長光の検出データとを判別手段が比較して、各被測定粒子が生物粒子か否かを判別する生物粒子評価方法。
【請求項13】
被測定粒子で発生した蛍光をフィルタ手段が受光し、検出用短波長光とこの検出用短波長光より長い波長の検出用長波長光に区分してそれぞれ排出してから、
光センサのうちの第1光センサが検出用短波長光を検出すると共に、光センサのうちの第2光センサが検出用長波長光を検出し、
この後、判別手段が第1光センサの検出データと第2光センサの検出データとを比較する請求項12記載の生物粒子評価方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2012−88304(P2012−88304A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207318(P2011−207318)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(390018474)新日本空調株式会社 (88)
【Fターム(参考)】