説明

生物電気浸透圧エンジンを使用した流体送達装置

本発明は、埋め込み可能な流体送達装置(100)に関する。本発明の1実施態様としては、流体送達装置(100)は、体液を酸化するように構成された生体適合性電極(140)を有する電気浸透圧ポンプ(122)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2005年7月15日出願の米国仮特許出願60/700022号(発明の名称:生物電気浸透圧エンジンを使用した流体送達装置)の米国特許庁に提出した仮出願に基づく優先権を主張した出願であり、本発明に参照として引用される。
【背景技術】
【0002】
本発明の流体送達装置の流体動力源の引用文献として、特許文献1:米国特許出願公開第2003/0205582号明細書(発明の名称:陰イオン交換膜を有する電気化学的ポンプを有する流体送達装置および流体送達方法)、特許文献2:米国特許第5744014号明細書(発明の名称:流体送達用貯蔵安定な電気化学的ガス発生装置)、特許文献3:米国特許第5707499号明細書(発明の名称:水素ガス発生装置を使用した貯蔵安定な流体送達装置)が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0205582号明細書
【特許文献2】米国特許第5744014号明細書
【特許文献3】米国特許第5707499号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特に体内に埋め込んで使用できる流体送達装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨は、送出すべき流体を貯蔵する流体貯蔵室と、流体貯蔵室から流体を送出する様に構成された電気化学的ポンプとから成る流体送達装置であって、上記電気化学的ポンプは、駆動室と、カソードから成る第1電極と、動物の体内に存在する燃料源を酸化する様に構成されたアノードから成る第2電極とから成り、一方の電極が駆動室内に配置され、他方の電極が駆動室外に配置されることを特徴とする流体送達装置に存する。
【0006】
本発明の他の要旨は、有効薬剤を貯蔵する流体貯蔵室と、流体貯蔵室から有効薬剤を送出する様に構成された電気化学的ポンプとから成る有効薬剤を送出するための埋め込み可能な流体送達装置であって、上記電気化学的ポンプは、金属塩化物カソードから成る第1電極と、グルコース酸化アノードから成る第2電極とから成ることを特徴とする埋め込み可能な流体送達装置に存する。
【0007】
本発明の他の要旨は、有効薬剤を貯蔵する装置内に設けられた貯蔵手段と、貯蔵手段から有効薬剤を送出させる駆動手段と、駆動手段に圧力を負荷する圧力負荷手段とから成る流体送達装置であって、圧力負荷手段は、カソードから成る第1電極と酵素アノードから成る第2電極とから成り、一方の電極は直接体液に露出しており、他方の電極はイオン交換膜により直接体液に露出している場所と隔離されていることを特徴とする流体送達装置に存する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の、流体送達装置は、特に体内に埋め込んで使用することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を以下に示す図面を使用して説明するが、これらの図面は本発明の好ましい実施態様を示すものであり、本発明はこれらの図面に記載の実施態様に限定されるものではなく、これらの図面を介して更に種々の具体的実施態様が記載され、説明されると考えるべきである。
【0010】
また、以下に記載する具体的な好ましい態様を介して、種々の具体的態様が与えられると考えられるべきである。そして、当業者ならば、更に具体的な記載を必要とせずに実施態様を実施することが出来、また、他の方法、構成要素、材料などを用いて実施することが出来る。いくつかの事例においては、好ましい実施態様の要旨を曖昧にすることを避けるために、よく知られた構造、材料、操作などを記載していない。更に、記載された要旨、構造、性質などは適当な方法により、種々の組合せ、交換が可能である。
【0011】
本発明は流体送達に関するシステム、方法および装置に関する。なお、本発明において「流体」とは、液体、ゲル、ペースト、半固体または流動可能な貯蔵室から送出できる物質を意味する。ある実施態様においては、流体送達装置は、一定期間に渡って少量ずつ有効薬剤を送出できる。本発明において「有効薬剤」とは、特に制限は無く、治療薬または薬剤、医療薬剤、ビタミン、滑剤、化学薬品または化学薬液などの、目的とする有用な効果を達成できる物を意味する。
【0012】
ある実施態様において、流体送達装置は動物の体内に埋め込んで使用する。またある実施態様においては注射針やカテーテル等を介して動物の体表面や体内と流体の流通を保持しながら動物の体外に設置して使用する。本発明において「動物」とは、動物界における有機的組織体を含むことを意味し、哺乳類、鳥類、魚類などを含むがこれらに限定されない。
【0013】
ある実施態様において、流体送達装置は、体内に埋め込んで使用する際に、人間の体内に金属イオンの露出を防ぐような構成を取る。このような実施態様は、特別な埋め込み型の装置として使用する際に、毒物学的、組織の反応、カプセル化、たんぱく質の相互作用などの面から有利である。ある実施態様において、上記の目的は生体適合性の部材を使用することにより達成される。ここで生体適合性とは、部材またはシステムが、生体組織に対して傷つけたり、毒性を有したり、免疫学的な反応を有したりしないことである。
【0014】
流体動力源20としては、システム、装置、方法などの種々の組合せにより、種々の物が使用でき、例えば、米国特許出願公開第2003/0205582号明細書(発明の名称:陰イオン交換膜を有する電気化学的ポンプを有する流体送達装置および流体送達方法)、米国特許第5744014号明細書(発明の名称:流体送達用貯蔵安定な電気化学的ガス発生装置)、米国特許第5707499号明細書(発明の名称:水素ガス発生装置を使用した貯蔵安定な流体送達装置)およびに記載されている物が使用でき、本発明に参照により引用する。
【0015】
本発明を更に図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の1実施態様の流体送達装置100を示す。流体送達装置100は貯蔵室110を有する。貯蔵室110は室内に固定された、又は強固な、或いは半固定の壁を有する、もしくは袋、嚢蛇腹などから成る。
【0016】
流体貯蔵室110は薬剤の様な有効成分を貯蔵する。貯蔵室110は、ポート115又はオリフィスを有し、そこから流体貯蔵室110に貯蔵されている流体を送出する。ある実施態様においては、ポート115は、カテーテル、チューブ又は他の流体送出部材と流体的に接続されていてもよい。ピストン120又は他の可動部材は、貯蔵室110内の流体をポート115を介して移送できるように貯蔵室内110をスライド移動できる圧力をかけることができる。可動部材としては、他に蛇腹、嚢、袋、ダイアフラム(隔膜)、プランジャ、それらの組合せ等が挙げられるがこれら限定されない。
【0017】
流体送達装置100は電気化学的エンジン又はポンプ122の様な電気化学的装置を有する。この電気化学的装置は、ポート115から流体を容易に送出できるためのピストン120に対して力を負荷するような可動部材から構成される。図1に示すような1実施態様において、電気化学的ポンプ122は、水を移送できる電気浸透圧ポンプである。電気浸透圧ポンプは、電気浸透圧のメカニズムを通じた電気分野における応用で、流体を移送させる。
【0018】
図1に示す電気化学的ポンプ122はカチオン電気動力学的(CATEK)システムである。しかしながら、以下に説明するようにアニオン電気動力学的(ANEK)システムもCATEKシステムと同様に使用できる。
【0019】
電気化学的ポンプ122は、カソードから成る第1電極130とアノードから成る第2電極140とから成る。第1電極130と第2電極140とは、回路145と接続している。回路145は抵抗または一連の抵抗群から成っていてもよい。ある実施態様においては、電気化学的装置を種々の性能で作動させるために抵抗を取り換え可能にして可変可能にしてもよい。例えば、可変の抵抗器を使用することによって流体送出速度を調節できる。また、他の実施態様では、回路145は、スイッチや、電極130と140とを連結させるための他の部材であってもよい。
【0020】
イオン交換膜150は電極130と140との間に設けられ、イオン交換膜150がイオン的な連絡通路を形成する。図1の実施態様では、カチオン交換膜を使用している。陽イオン交換膜150は、アノード140からカソード130を有する駆動室125にカチオンを通過させることが出来る。図1の実施態様では、アノード140が駆動室125の外側に露出している。
【0021】
電気化学的ポンプ122が駆動させると、体液155内および/または食塩水中に存在するナトリウムイオンが、電場の影響により、陽イオン交換膜150(例えば市販品として、Nafion(登録商標)を介して駆動室125内のカソード150に向かって移動する。陽イオン交換膜150を介してナトリウムイオンが移動する際、水分子もナトリウムイオンと共に移動する。その結果、陽イオン交換膜150と反対側で追加量の水が発生する。この電気化学的水の移送は、電気浸透圧輸送の分野でよく知られている。駆動室125内に移送された水は、ピストン120(又は他の可動部材)を動かすために使われる圧力を発生させ、貯蔵室110内の流体を移送する。
【0022】
駆動室125内での安定したイオン生成はナトリウムイオンに依存し、カソード130で発生するアニオンは浸透圧の効果により更なる水の輸送を導く。例えば、金属塩化物から成るカソードをカソード130として使用した場合、ある時間作動させた後に、浸透圧の効果により水の移送が行われ、塩化ナトリウムの等濃度の溶液が駆動室125に形成される。陽イオン交換膜150は、駆動室125からアノード140に向かっての塩化ナトリウムの逆流が可能である。それゆえ、駆動室125への水の移送の定常的な流れを電気浸透圧および浸透圧効果の組合せによって達成できる。
【0023】
アノードは、亜鉛または他の電気陽性金属もしくは金属含有電極から成る。通常のアノードシステムでは酸化が起こり、亜鉛は以下の式(1)の様に溶解する。
【0024】
Zn → Zn2+ + 2e (1)
【0025】
しかしながら、埋込み型の装置では、亜鉛電極が体液155に露出してしまう。すなわち、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛などの亜鉛の酸化物が、その周りの体液中に染出す可能性がある。亜鉛や他の金属含有成分は、周囲の組織に対して毒性の反応を起こすかもしれない。更に、亜鉛の存在により、カプセル化やたんぱく質への好ましくない相互作用が生じるかもしれない。それゆえ、アノード140として、生体適合性の物が使用されることが好ましい。
【0026】
上述により、生体適合性アノード140としては、人間などの動物の体内に存在する燃料成分を酸化して使用されるような生体適合性アノードが挙げられる。ある実施態様では、アノードは電気化学的ポンプ122の別室内に設けるのではなく、体液155に露出して設けられる。更に、消費される亜鉛電極は、グルコースを酸化する電気化学的触媒などから成る小さな集電体のような物で置き換えてもよい。それにより、従来の装置と比較して、電気浸透圧エンジンと送出されるべき流体との体積比を減少させることが出来る。また、アノード140は、膜、浸透可能な膜などを介して体液に露出されていてもよく、また、浸透可能で陽極液または他の好ましい溶液が収納されている様な別室に配置されていてもよい。
【0027】
体内に存在する燃料を使用するアノードの1実施態様として、体液155中に存在するグルコースを酸化するグルコースアノードを使用する。更に、遷移金属、ポリマー、炭素、セラミック等を基にした電気触媒を酵素電極の代りとして使用してもよい。グルコースを燃料として使用する1実施態様として、グルコースの酸化は以下の式(2)により行われる。
【0028】
グルコース → グルコノラクトン + 2H +2e (2)
【0029】
グルコースは酸化されてCO、プロトン及び電子を生成する。グルコース酸化の酵素系電気触媒の例としては、グルコースオキシダーゼ(Gox)の静電的付加物、生理活性pHにおけるポリアニオン、ポリ(N−ビニルイミダゾール)等のポリカチオン系レドックスポリマー、部分4級化2−ブロモエチルアミン、部分錯体化[Os(da−bpy)Cl]+/2+(da−bpyは4,4’−ジアミノ−2,2’−ビピリジンを表す)等が挙げられる。
【0030】
ある実施態様においては、酵素アノードは、金属、カーボン等の導電基材に酵素を埋め込んで成る。酵素はグルコースの体内の燃料を直接酸化してもよく、又、電子移動メカニズム等のように直接電子移動に使われてもよく、更に電子移動メカニズムにおける電子移動錯体を経由してレドックス媒体として使われていてもよい。
【0031】
直接電子移動に使われる場合、酵素が化学的信号を伝記的信号に変換する分子変換器を形成している基材に直接反応するために、媒体(メディエーター)は必要とされない。直接的電子移動酵素の例としては、以下に限定されないが、ラッカーゼ、乳酸脱水素酵素、ペルオキシダーゼ及びヒドロゲナーゼが挙げられる。ラッカーゼ系酵素アノードは、グルコースと乳酸の両方を酸化することが出来る。一方、乳酸脱水素酵素系電極は、乳酸と選択的に反応し、グルコースとは反応しない。
【0032】
電子的移動酵素の媒体(メディエーター)としては、以下に限定されないが、グルコースオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ等が挙げられる。アノード媒体(メディエーター)としては、NAD(P)+が挙げられ、カソード媒体(メディエーター)としては、ABTS(2,2’−アジノビス−(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルフォネート)が挙げられ、アノードとカソードの両方に使用できる媒体としては、不安定オスミウム錯体(labile osmium complex)が挙げられる。
【0033】
ある実施態様において、カソード130は、塩化銀などの金属塩化物から成る。カソード電極130上で、以下の式(3)に示すように、塩化銀は銀金属に還元され、塩素イオンが電極130の周りに放出される。又、他の金属塩化物もカソード130に使用できる。例えば、高酸化状態の銅、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム又は金の塩化物が使用できる。更に、二酸化マンガンや酸化銀などの還元性のカソードも使用できる。他の実施態様として、カソード130は酸素還元カソードである。体液155中に存在する溶存酸素が陽イオン交換膜を介して拡散し、カソード130において還元される。1例として、酸素還元カソード130は酵素カソードである。酸素還元酵素電極の例としては、以下に限定されないが、ビリルビン酸化酵素、ラッカーゼ、チトクロームc酸化酵素などが挙げられる。さらに導電性カーボン基材の上に設けられた銀、白金、金属酸化物などの従来の燃料電池のカソードも酸素還元カソードとして使用できる。ポルフィリン酸素還元カソードも使用できる。アノードについても説明したように、カソードにおいても生体適合性のものが使用できる。
【0034】
アノード140及び/又はカソード130として酵素電極を使用することにより、電気浸透圧エンジンの体積に対する送出されるべき流体の体積の比を大幅に減少させることが出来る。酵素系の電気触媒は、一般に、従来の金属電極の表面積と比較して小さな表面積を有する。例えば、ある実施態様において、オスミウム錯体媒体を使用した酸素還元酵素カソードは、急速に電子を拡散するポリマーを使用して接続される。その接続構造は、白金カソードと比較して、生物的酸素要求量の100倍もの酸素還元を行うことができる。
【0035】
更に、酵素電極は別電源を必要としないという利点を有する。酵素電極は、数年前までは代用可能ではなかったが、現在では実用化されている。
【0036】
図2は別の実施態様である流体送達装置200を示す。流体送達装置100と似ており、貯蔵室210、ポート215、貯蔵室210内の流体を送出するピストン220等の構成部材から成る。流体送達装置200は電気化学的ポンプ222を有し、1実施態様において、電気化学的ポンプ222は、回路245を介して連結されている第1電極230と第2電極240とから成る電気浸透圧ポンプである。しかしながら、図2の実施態様において、第1電極230と第2電極240との間に陰イオン交換膜が配置されている。電極230は、駆動室225の外側に配置されたカソードである。電極240は、駆動室225の内側に配置された、又は、陰イオン交換膜250を介して体液255に直接露出されることから隔離されているようなアノードである。流体送達装置200はANEKシステムである。
【0037】
ANEKシステムにおいて、まず電気化学的ポンプ222が駆動し、体液255中に存在するCl等のアニオン及び/又は金属塩化物カソードの還元生成物が、電場の影響に陰イオン交換膜を介して駆動室225内のアノード240に向かって滲み出す。
【0038】
図1と関連した実施態様として、図2に示す流体送達装置200は、装置における浸透圧の発生を損なうことなく、Zn2+の患者の体内への露出を最小または防ぐようにするための方法を付与してもよい。上述のように、駆動室225内の安定したイオン発生により、浸透圧効果を経て更なる水の移送が行われる。
【0039】
亜鉛や同様の金属をカソードとして用いる従来のシステムでは、イオン交換膜250のそれぞれの側におけるイオン濃度の差が、駆動室225からカソード230へのZnClの移動のための逆拡散駆動力を生み出す。亜鉛や類似の金属の体液255への逆拡散は、前述のように、周囲の組織への毒性反応、カプセル化の影響および/またはたんぱく質の好ましくない相互作用などの諸問題の要因となる。
【0040】
アノードは図1に基づいて説明したアノード等の生体適合性アノードであってもよい。例えば、アノードは、グルコースを酸化するように構成された酵素アノードであってもよい。図2における駆動室225内には、装置200の操作寿命内において、アニオン電荷濃度が十分保てるようなグルコース水溶液を有する。また、体液中に存在するグルコースや乳酸が陰イオン交換膜を介して拡散し、カソードを還元してもよい。
【0041】
体液255に露出しているカソード255に露出しているカソード230は、図1に示した態様のカソードから成っていてもよい。例えば、カソード230が塩化銀などの金属塩化物であってもよい。又、カソード230は酵素還元カソードであってもよい。更に、酵素還元カソード230は、従来の装置と比較して、電気浸透圧エンジンと送出されるべき流体との体積比を減少させたような酵素カソードであってもよい。
【0042】
以上、幾つかの具体的な組成や材料を記載したが、これらは種々の変更が可能である。例えば、上記に記載のそれぞれの流体貯蔵室、袋、嚢などは、有効薬剤を保持する手段として考えられるべきである。同様に、上記に記載のそれぞれのピストン、プランジャ、隔膜、ブラダー、蛇腹などは、有効薬剤を保持する手段から有効薬剤を送出する手段として考えられるべきである。更に、上記に記載のそれぞれの電気化学的装置、ポンプ、エンジン等は、送出する手段に負荷される圧力手段と考えられるべきである。
【0043】
当業者は、更なる詳述を必要とすること無く、上記の記載を最大限に実施することが出来るものである。したがって、上記の実施態様は、本発明の単なる事例であって、本発明の要旨はこれらの実施態様に限定されるものではない。そして、当業者は、特許請求の範囲から逸脱することなく、上記の実施態様の詳細について種々の変更が可能であることは明らかである。なお、機能的限定を有する手段によって規定される構成要素は、米国特許法35U.S.C.§112第6パラグラフに規定されている内容に従っている。本発明の要旨は特許請求の範囲で規定される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】生体適合性電極を有する電気浸透圧エンジンを含むカチオン同力学的流体送達装置の1実施態様を示すブロック図
【図2】生体適合性電極を有する電気浸透圧エンジンを含むアニオン同力学的流体送達装置の1実施態様を示すブロック図
【符号の説明】
【0045】
100:流体送達装置
110:貯蔵室
115:ポート
120:ピストン
122:電気化学的エンジン又はポンプ
125:駆動室
130:第1電極
140:第2電極
145:回路
150:イオン交換膜
155:体液
200:流体送達装置
210:貯蔵室
215:ポート
220:ピストン
222:電気化学的ポンプ
225:駆動室
230:第1電極
240:第2電極
245:回路
255:体液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送出すべき流体を貯蔵する流体貯蔵室と、流体貯蔵室から流体を送出する様に構成された電気化学的ポンプとから成る流体送達装置であって、上記電気化学的ポンプは、駆動室と、カソードから成る第1電極と、動物の体内に存在する燃料源を酸化する様に構成されたアノードから成る第2電極とから成り、一方の電極が駆動室内に配置され、他方の電極が駆動室外に配置されることを特徴とする流体送達装置。
【請求項2】
電気化学的ポンプが浸透圧ポンプであり、駆動室は、イオン交換膜を通過して駆動室内に移送された水を保持して流体貯蔵室に圧力を負荷できる請求項1に記載の流体送達装置。
【請求項3】
駆動室は、イオン交換膜を通過して駆動室内に移送された水により可動する可動部材を有し、可動部材は流体貯蔵室に圧力を負荷して流体貯蔵室から流体を送出する請求項2に記載の流体送達装置。
【請求項4】
イオン交換膜が陰イオン交換膜であり、アノードが駆動室内に配置される請求項2に記載の流体送達装置。
【請求項5】
イオン交換膜が陽イオン交換膜であり、カソードが駆動室内に配置される請求項2に記載の流体送達装置。
【請求項6】
流体が有効薬剤から成る請求項1に記載の流体送達装置。
【請求項7】
アノードが酵素アノードである請求項1に記載の流体送達装置。
【請求項8】
酵素アノードが生体適合性である請求項7に記載の流体送達装置。
【請求項9】
酵素アノードが、ラッカーゼ、乳酸脱水素酵素、ペルオキシダーゼ及びヒドロゲナーゼから選択される電子伝達機構において直接電子移動体である請求項8に記載の流体送達装置。
【請求項10】
酵素アノードが、ビリルビンオキシダーゼ及びグルコースオキシダーゼから選択される電子伝達機構において電子移動メディエーターである請求項8に記載の流体送達装置。
【請求項11】
酵素アノードが、グルコースを酸化するように構成されている請求項8に記載の流体送達装置。
【請求項12】
酵素アノードが、乳酸を酸化するように構成されている請求項8に記載の流体送達装置。
【請求項13】
カソードが、還元性金属塩化物カソード及び還元性金属酸化物カソードから選択される請求項1に記載の流体送達装置。
【請求項14】
カソードが、酸素還元カソードである請求項1に記載の流体送達装置。
【請求項15】
カソードが、銀、白金および金属酸化物から選択される材料が炭素基材上に蒸着されている請求項1に記載の流体送達装置。
【請求項16】
カソードが、ビリルビン酸化酵素、ラッカーゼ及びチトクロームc酸化酵素から選択される酵素カソードである請求項14に記載の流体送達装置。
【請求項17】
カソードがポルフィリン系化合物である請求項14に記載の流体送達装置。
【請求項18】
更に、第1電極と第2電極との間を抵抗を介して接続されている請求項1に記載の流体送達装置。
【請求項19】
動物が人間である請求項1に記載の流体送達装置。
【請求項20】
有効薬剤を貯蔵する流体貯蔵室と、流体貯蔵室から有効薬剤を送出する様に構成された電気化学的ポンプとから成る有効薬剤を送出するための埋め込み可能な流体送達装置であって、上記電気化学的ポンプは、金属塩化物カソードから成る第1電極と、グルコース酸化アノードから成る第2電極とから成ることを特徴とする埋め込み可能な流体送達装置。
【請求項21】
金属塩化物カソードが塩化銀カソードである請求項20に記載の埋め込み可能な流体送達装置。
【請求項22】
グルコース酸化アノードは体液に直接露出しており、金属塩化物カソードは駆動室内に設けられ、陽イオン交換膜によってグルコース酸化アノードと隔離されている請求項20に記載の埋め込み可能な流体送達装置。
【請求項23】
金属塩化物カソードは体液に直接露出しており、グルコース酸化アノードは駆動室内に設けられ、陰イオン交換膜によって金属塩化物カソードと隔離されている請求項20に記載の埋め込み可能な流体送達装置。
【請求項24】
電気化学的ポンプが浸透圧ポンプであり、駆動室は、イオン交換膜を通過して駆動室内に移送された水を保持して流体貯蔵室に圧力を負荷できる請求項20に記載の流体送達装置。
【請求項25】
有効薬剤を貯蔵する装置内に設けられた貯蔵手段と、貯蔵手段から有効薬剤を送出させる駆動手段と、駆動手段に圧力を負荷する圧力負荷手段とから成る流体送達装置であって、圧力負荷手段は、カソードから成る第1電極と酵素アノードから成る第2電極とから成り、一方の電極は直接体液に露出しており、他方の電極はイオン交換膜により直接体液に露出している場所と隔離されていることを特徴とする流体送達装置。
【請求項26】
酵素アノードが生体適合性であり、グルコースを酸化する様に構成されている請求項25に記載の流体送達装置。
【請求項27】
カソードは金属塩化物から成る請求項25に記載の流体送達装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−501573(P2009−501573A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521712(P2008−521712)
【出願日】平成18年7月17日(2006.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/027799
【国際公開番号】WO2007/011922
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(500039371)ミクロリン・エルエルシー (9)
【Fターム(参考)】