説明

生産工程スケジューリング方法

【課題】需給調整と生産設備能力や資材供給計画などの操業制約を満たすだけではなく、生産工程のスケジュールに影響を与えるプロセス条件面の制約を盛り込んで、製品の高品質を確保しつつ、生産ラインの効率的活用を図る簡便な生産工程スケジューリング方法を提供すること。
【解決手段】複数の工程からなる製品の生産計画を作成し、ネットワークを通じて生産計画表を提供する生産工程スケジューリング方法であって、工程の開始時刻を決める条件として、プロセス条件面の制約を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ラインにおいて工程間の滞留時間の制約または装置使用上の制約がある場合に、ラインの稼働を円滑に行うための生産工程スケジューリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や電子部品の製造に関わる生産ラインを始めとして、近年、製造業における多種多様な仕様や製造条件の異なるロットを組み合わせて投入するような複雑な生産形態が多くなってきた。上記の複雑な生産形態に対応して、特許文献1に提案される生産工程スケジューラを利用して、製造装置やオペレータ等のライン上の資源を効率的に割り当てることができるようになった。
【0003】
また、ほぼ確定した工程フローの確定ロットの他に、研究開発の実験結果を反映させることを想定してライン投入時にはまだ工程フローが確定されていない未確定ロットが存在する場合もある。特許文献2では、上記のように未確定ロットを含む場合に、確定ロットに対しては生産工程スケジューラを用いてその製造スケジュールを自動作成し、未確定ロットに対しては手入力によりその製造スケジュールを手動作成し、この自動作成した製造スケジュールと手動作成した製造スケジュールとを結合し、修正を加えて、全ロットに対する製造スケジュールを完成させる方法が提案された。
【0004】
さらに、納期の充足など生産に伴う制約条件を満たしながら、同時により少ないオペレータ配置で生産可能な生産工程スケジュールを得ることを可能にする2段階の生産工程スケジューリング方法が提案された(特許文献3参照)。
【0005】
上記の生産工程スケジューリング方法に関する従来技術は、様々な組み立てラインからなる生産工程に対して、需給調整と生産設備能力や資材供給計画などの操業制約を満たして、装置または人の効率的活用を図るための最適化に対して有効である。しかし、例えばCCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化物半導体)等の光電変換素子を形成した基板上に入射光を色分解して選択的に取り込むための着色画素を形成してカラー固体撮像デバイスを形成するオンチップカラーフィルタ生産ラインにおいては、フォトリソグラフィー法の工程間の滞留時間や使用する装置固有の性能差が、使用材料の特性に応じて、製品の出来上がり品質に影響を及ぼすことがある。
【0006】
特に、図2の模式断面図に示すカラー固体撮像デバイス1を製造する例で、光電変換素子3上の各色の着色画素5に対応させて効率良く入射光を取り込むためのマイクロレンズ7を画素上に形成する場合は、その形成工程において、材料レジストの塗布から露光までの滞留時間や露光後現像までの滞留時間が変化すると、使用材料の特性に応じて、マイクロレンズの平面サイズや高さのサブミクロンレベルでの変化が避けられない。しかも、比較的後の工程であるため、不具合が生じた場合のやり直し再生は特に負荷が大きかったり、不可能であったりして、最終製品の製造コストに与える影響も大きい。
【0007】
従来は、前記カラー固体撮像デバイス用のカラーフィルタ生産ラインのように特別の事情がある場合には、一般的な生産工程スケジューリング方法により生産工程スケジュールを形成した後に、工程間の滞留時間に制約を課したり、塗布や露光の条件出しで使用した装置と同一の装置を各ロットのマイクロレンズを含めた各色毎の同一工程で使用する等の制約を満たすように、手作業により改めてスケジュール修正を行う。修正後のスケジュールを用いて実際の運用を行うことにより、パターン形成されるマイクロレンズ付き画素形状の品質を均一に揃え、カラー固体撮像デバイスを良好な品質の製品として生み出すこと
ができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−324664号公報
【特許文献2】特開平8−88157号公報
【特許文献3】特開平7−244692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のように、一般の組み立てラインとは異なり、生産工程のスケジュールに影響を与えるプロセス条件を考慮しなければならないパターン形成ラインからなるような生産工程において、例えば、上記の工程間の滞留時間の制約や同一の装置使用の条件等の生産工程のスケジュールに影響を与えるプロセス条件を盛り込んで、生産ラインの効率的活用を図る簡便な方式の生産工程スケジューリング方法は完成されておらず、個別のスケジュール修正に頼って対応していたため、生産工程スケジューリング方法が繁雑で熟練を要するものとなり、スケジューリングに対応する人の制約と時間的負荷が大きかった。
【0010】
本発明は、前記の問題点に鑑みて提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、需給調整と生産設備能力や資材供給計画などの操業制約を満たすだけではなく、生産工程のスケジュールに影響を与えるプロセス条件面の制約を盛り込んで、製品の高品質を確保しつつ、生産ラインの効率的活用を図る簡便な生産工程スケジューリング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、複数の工程からなる製品の生産計画を作成し、ネットワークを通じて生産計画表を提供する生産工程スケジューリング方法であって、工程の開始時刻を決める条件として、プロセス条件面の制約を含むことを特徴とする生産工程スケジューリング方法である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記プロセス条件に、該当工程から次工程までの製品の工程間滞留時間を含むことにより次工程の開始時刻を決めることを特徴とする請求項1に記載の生産工程スケジューリング方法である。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、前記プロセス条件に、該当工程にて使用する特定装置の使用可能開始時刻を含むことにより該当工程の開始時刻を決めることを特徴とする請求項1または2に記載の生産工程スケジューリング方法である。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、前記生産計画表を自動作成するために、生産管理用コンピュータからの指示に基いてスケジューラサーバを働かせ、各工程の開始予定/実績を一覧表にて提示し、修正可能とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生産工程スケジューリング方法である。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、前記生産工程が、光電変換素子上に入射光を色分解して選択的に取り込むための着色画素を形成してカラー固体撮像デバイスを形成するオンチップカラーフィルタ生産工程であって、前記開始時刻を決める条件を含む該当工程が塗布工程と露光工程のいずれか一方または両方に関することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の生産工程スケジューリング方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、プロセス条件面の制約を反映させて関連する工程の開始時刻を決めるように、生産工程をスケジューリングする方法を提供するので、製品の高品質を確保しつつ、生産ラインを効率的に活用することができる。
特に、請求項5によれば、カラー固体撮像デバイス用のカラーフィルタを均一で良好な品質で効率良く安定生産するための生産工程スケジュールを容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の生産工程スケジューリング方法の主な手順を示して説明するためのフロー図である。
【図2】本発明の適用例として、カラー固体撮像デバイスの生産工程を説明するためのカラー固体撮像デバイスの模式断面図である。
【図3】本発明により提供される生産計画表の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の生産工程スケジューリング方法の中で、該当工程から次工程までの工程開始時刻の関係を時系列で説明するための概念図である。
【図5】本発明を実行するためのネットワーク連結を説明するためのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、カラー固体撮像デバイス用のカラーフィルタの生産工程スケジューリング方法を一例として、図面に従って、本発明を実施するための形態について説明する。
【0019】
カラー固体撮像デバイスは、図2の模式断面図でその一部を拡大して示すように、光電変換素子3が形成された半導体基板2上に、入射光を色分解して選択的な波長範囲の光を取り込むための着色画素5の繰り返し色配列からなるカラーフィルタをフォトリソグラフィー法により製造するものである。前記生産工程は、着色顔料を含む感光性樹脂の塗布、乾燥、パターン露光、現像、の各工程を、例えば赤色(R)層51、緑色(G)層52、青色(B)層53の各色からなる着色画素の配列パターンを繰り返すが、カラーフィルタの色としては、上記のように赤色(R)、青色(B)、緑色(G)の3色の色層で構成された3原色系、の他に、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロー色(Y)の3色の色層で構成された補色系が一般的に用いられるが、限定されない。
【0020】
固体撮像デバイスは、一般に入射する光への感度を向上させることが重要である。一方、撮影した画像の情報量を多くするためには受光部となる光電変換素子3を微細化して高集積化する必要があり、カラー固体撮像デバイスでは、光電変換素子3に対応して配置される着色画素5も高集積化されて一辺が数μmの微細なパターンとすることが多い。上記のような微細化された固体撮像デバイスの光の入射効率を高めて感度の向上を図るための手段として、光電変換素子に効率良く光を取り込むために、対象物から入射される光を集光して光電変換素子3に導くマイクロレンズ7を形成することが通常行われている。マイクロレンズ7で光を集光して、受光部としての光電変換素子3に導くことで、受光部の見かけ上の開口率(面積)を大きくすることが可能になり、固体撮像デバイスの感度を向上させることが可能になる。本発明の生産工程スケジューリング方法を適用する例として挙げるカラー固体撮像デバイス1においても、上記の理由でマイクロレンズ7を構成に含み、カラーフィルタ部分の生産工程の中で、マイクロレンズ7を形成するために、適正な屈折率を有する透明材料からなる感光性樹脂を用いて、着色画素5の形成工程と同様に、塗布、乾燥、パターン露光、現像、の各工程を含む。なお、上記各工程の区分けは便宜的であって、スケジューリングを実施する上で、工程区切りの新設や統合は自在に行うことができる。
【0021】
また、上記着色画素5およびマイクロレンズ7の形成に先立って、微細なパターンを形状良く形成するための準備として下地の凹凸を平坦化する目的で、透明平坦化層(下部)
4および透明平坦化層(上部)6を形成することが多い。なお、上記デバイスの電気的接続端子およびデバイス全体を覆う外装部もカラー固体撮像デバイスの構成に含むが、説明を省略し、図示しない。
【0022】
図1は、本発明の生産工程スケジューリング方法の主な手順を示して説明するためのフロー図であって、需給調整と生産設備能力や資材供給計画などの操業制約を満たして、装置または人の効率的活用を図るための従来の生産工程スケジューラに、図1に示す本発明の手順を組み込んで、プロセス条件面の制約を反映させて関連する工程の開始時刻を決めるように、機能向上を図ることが可能である。また、従来の生産工程スケジューラにより一旦導いた生産計画表を、プロセス条件面の制約に基いて修正するツールとして利用することもできる。すなわち、本発明は、上述のような複数の工程からなる製品の生産計画を作成し、ネットワークを通じて生産計画表を提供する生産工程スケジューリング方法であって、工程の開始時刻を決める条件として、プロセス条件面の制約を含むことを特徴とする生産工程スケジューリング方法である。
【0023】
複数の工程からなる生産工程において、一般に第n工程の工程開始時刻をSとする。工程開始時刻Sは、特別のプロセス条件面の制約がなければ、前工程の工程能力により、通常は前の工程から順送りに決められる。なお、時刻とは、年/月/日を含む広範囲の時系列の一点を意味する。
【0024】
プロセス条件面の制約の一つとして、第n工程で使用する装置が限定されており、該当する装置の使用可能開始時刻Mが、前述のように仮設定された第n工程の工程開始時刻Sより早い場合(等しい場合も含める)を、M≦Sで表すと、上記の関係が成り立つ場合は次の計算手順に進む(H1)が、M>S(該当する装置の使用可能開始時刻Mが仮設定された第n工程の工程開始時刻Sより遅い場合)では第n工程の工程開始時刻Sを改めてMに遅らせることを目的として、Sの時刻として新たにMの時刻を代入する(S1)。
【0025】
次に、第n工程の次工程である第n+1工程の工程開始時刻Sn+1の決め方について、本発明の生産工程スケジューリング方法の中で、該当工程から次工程までの工程開始時刻の関係を時系列で説明するための概念図である図4に従って別途説明する。
【0026】
なお、各工程の中での状態の呼称を第n工程を例に述べると、投入可能時刻I、工程開始時刻S、工程終了時刻Eが時間経過を時刻順に配列した上方右向き矢印で示す時系列直線tに沿って並び、工程終了時刻Eは次の第n+1工程の投入可能時刻In+1と同一点を指す。工程投入から工程開始までの太い点線で示した時間は、準備等に必要な間接時間Aであって、Aは0であることも可能である。また、工程開始時刻Sから工程終了時刻Eに至る太い実線の区間が実稼働時間であり、投入ロット枚数がXの時、工程の単位処理時間をaとすると、一般に実稼働時間はaXに等しい。
【0027】
次の第n+1工程に相当する次工程開始時刻Sn+1の決め方は、図4に示すとおり、(a)(b)(c)の3通りが可能である。すなわち、(a)は、本発明で考慮すべきプロセス条件面の制約を結果的に受けない場合であって、投入可能時刻In+1に間接時間An+1(太い点線)を加えたSn+1をそのまま工程開始時刻として設定できる。また、(b)は、プロセス条件面の制約の一つとしての工程滞留時間の下限値がT(太い破線)と設定される場合は最速でも、SからTの滞留時間を経過した後に、第n+1工程の工程開始時刻S’n+1を設定できる。但しTの設定時間がaX+An+1より小さい場合は、後述のように後者が律速となり、上記(a)の場合と同じ結果になることは容易に判る。最後に(c)は、第n+1工程で使用予定の装置の使用可能開始時刻Mn+1が前述の(a)(b)で仮設定された第n+1工程の工程開始時刻Sn+1やS’
+1より早い場合を、Mn+1≦Sn+1で表すと、上記の関係が成り立つ場合はSn+1を変える必要はない。しかし、Mn+1>Sn+1(該当する装置の使用可能開始時刻Mn+1が仮設定された第n+1工程の工程開始時刻Sn+1より遅い場合)では、第n+1工程の工程開始時刻Sn+1を改めてMn+1に遅らせるために、Sn+1の時刻としてMn+1の時刻を設定し直す必要がある。
【0028】
上記の説明に基き、図1のフロー図に戻って本発明の生産工程スケジューリング方法の主な手順を辿る。第n工程の工程開始時刻Sを確定させた後、工程滞留時間Tの指定が該当する工程でなされるかを確認する(H2)。指定がある場合には、Tが下限値を指示しているかどうかを問い(H3)、下限値の場合には、T≧aX+An+1を判定し(H4)、いずれも肯定される場合には、Sn+1=S+Tと設定する(S2)。また、H2でTの指定がなされない場合や、T≧aX+An+1が否定される場合は、次工程の開始時刻に工程滞留時間Tを反映させる必要はなく、Sn+1=S+aX+An+1と設定する(S4)。さらに、H3において、Tが下限値でない場合は、通常はT≧aX+An+1を満たす(H5)ので、Sn+1=S+aX+An+1と設定する(S4)。H5において万一、T<aX+An+1となる場合には、Tは上限値として意味を成さないことになり、工程能力からもこのままのTの設定値で遂行することができない。従って、Tの設定ミスを修正するか、間接時間も含めた工程能力を見直すかの何らかの条件異常処理を行うことが求められる(S3)。その上で、Sn+1=S+aX+An+1と設定する(S4)。
【0029】
次に、第n+1工程で使用する装置が限定されており、該当する装置の使用可能開始時刻Mn+1が前述のように仮設定された第n+1工程の工程開始時刻Sn+1より早い場合を、Mn+1≦Sn+1で表すと、上記の関係が成り立つ場合(H6)は、適用している範囲の手順を終了する。一方、Mn+1>Sn+1の場合(次工程で使用する装置の使用可能開始時刻Mn+1が仮設定された第n+1工程の工程開始時刻Sn+1より遅い場合)では第n+1工程の工程開始時刻Sn+1を改めてMn+1に遅らせるために、Sn+1の時刻としてMn+1の時刻を代入して(S5)適用している範囲の手順を終了する。
【0030】
本発明を適用する具体的な例として、前記フォトリソグラフィー法を用いてカラー固体撮像デバイスを形成するオンチップカラーフィルタの生産工程の場合について述べる。上記第n工程がレジスト塗布工程であったり、パターン露光工程であり、特に前述のように、平面サイズや高さのサブミクロンレベルでの変化を避けたいマイクロレンズの形成工程における場合には、工程滞留時間Tが、塗布から露光までの滞留時間と露光から現像までの滞留時間のいずれか一方または両方に相当し、使用開始可能時刻Mが、特定使用したい塗布装置や露光装置のいずれか一方または両方の使用開始可能時刻に相当する。
【0031】
通常は、上記の工程滞留時間に関して、塗布から露光までの滞留時間は1〜3時間程度を下限値とし、露光から現像までの滞留時間は12時間程度を上限値とすることが多い。具体的な設定数値はレジストの加工特性に基いて経験的に決めることができる。また、塗布装置や露光装置において、使用する装置固有の性能差に特に注目するのは、数ロットの処理を連続して行う同一グループに属する製品群であって、これらのグループ内では、製品の性能検査を代表する1ロットにて行うため、グループ内では特定した装置を使うことを原則とし、代替装置使用の場合の製品の性能差を同一グループ内から排除することができる。
【0032】
なお、例外的なトラブル等により、次工程の限定使用装置の使用開始可能時刻Mn+1が大幅に延長される場合には、該当工程から次工程までの滞留時間の上限を超えないことをチェックする必要が生じる。上記のような特殊状態では、本発明のフローから外れた運
用も必要になるが、例えば、図1のH5の判定をNoとするように、次工程の間接時間であるAn+1をトラブルによる影響時間を見込んだ大きい値に再入力して、条件異常処理(S3)に導くことにより、トラブルから一定時間経過した後の手作業により自動運用と連動させることも可能である。
【0033】
次に、本発明を実施するためのシステム構成について述べる。図5は、本発明を実行するためのネットワーク連結を説明するためのブロック構成図である。
本発明の方法により生産工程のスケジューリングを行い、その結果を生産計画表として自動作成するために、生産管理用コンピュータ31からの指示に基いてスケジューラサーバ32を働かせ、各工程の開始予定/実績を一覧表にて提示し、修正可能とすることができる。
【0034】
生産管理用コンピュータ31は、ネットワーク34による通信により、スケジューラサーバ32への指示のための入力と、スケジューリング結果としての生産計画表ないしはその途中段階の各工程の開始予定/実績の一覧表を出力することができる。複数台のコンピュータを適宜配置することにより、生産ライン内の複数箇所から、また、生産管理のための集中管理室等からのアクセスが可能である。
【0035】
スケジューラサーバ32は、別に設けたデータベースサーバ33とのネットワーク34による通信により、製品ロットに関するID情報や品名、納期、に加えて、工程と人員の配置に関する情報や工程条件等の諸情報を適宜集めることができ、各種情報を用いて、スケジューラとして組み込まれた従来のプログラムおよび本発明の新たに組み込まれた追加プログラムに従って、スケジューリングを実行する。また、生産管理用コンピュータ31からの実績値および修正データの入力を受け入れることができる。結果の出力は前述のように生産管理用コンピュータ31に送出するとともに、必要に応じて、データベースサーバ33にもフィードバックすることができる。
【0036】
ネットワーク34は、LAN(Local Area Network)等の回線によるものが一般に利用できるが、LANに限定されず、公衆回線を含む各種回線を利用でき、接続された要素間で相互に通信可能な構成とする。
【0037】
図3は、本発明により提供される生産計画表の一例を示す模式図である。
生産計画表は、ロット番号毎に時系列の工程線表で表示し、あるロットが特定の工程に投入される日時を一覧できる形態のものが使われる。表示例以外に、複数のロットを組み合わせてグループ構成とし、各グループの第一ロットを、グループを代表して特性検査の対象として、そのロットのみ検査工程を別に設けることも可能である。また、図示する生産計画表と同様の形態で、スケジューリングの途中段階の各工程の開始予定/実績の一覧表として表示し、修正を行うためのツールとして使うことができる。
【0038】
なお、本発明は、必要に応じて各工程の稼働状態を監視する機構を追加して、前記ネットワーク34により、スケジューラサーバ32に接続することにより、稼働実績を直接入力して、スケジューリングの予定と修正予定が実際にどのように実行されたかをチェックし、工程のトラブル等による遅延異常に対しても早急な対応を取れるようなシステムで運用することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1・・・・カラー固体撮像デバイス
2・・・・半導体基板
3・・・・光電変換素子
4・・・・透明平坦化層(下部)
5・・・・着色画素
6・・・・透明平坦化層(上部)
7・・・・マイクロレンズ
31・・・生産管理用コンピュータ
32・・・スケジューラサーバ
33・・・データベースサーバ
34・・・ネットワーク
51・・・赤色(R)層
52・・・緑色(G)層
53・・・青色(B)層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程からなる製品の生産計画を作成し、ネットワークを通じて生産計画表を提供する生産工程スケジューリング方法であって、工程の開始時刻を決める条件として、プロセス条件面の制約を含むことを特徴とする生産工程スケジューリング方法。
【請求項2】
前記プロセス条件に、該当工程から次工程までの製品の工程間滞留時間を含むことにより次工程の開始時刻を決めることを特徴とする請求項1に記載の生産工程スケジューリング方法。
【請求項3】
前記プロセス条件に、該当工程にて使用する特定装置の使用可能開始時刻を含むことにより該当工程の開始時刻を決めることを特徴とする請求項1または2に記載の生産工程スケジューリング方法。
【請求項4】
前記生産計画表を自動作成するために、生産管理用コンピュータからの指示に基いてスケジューラサーバを働かせ、各工程の開始予定/実績を一覧表にて提示し、修正可能とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生産工程スケジューリング方法。
【請求項5】
前記生産工程が、光電変換素子上に入射光を色分解して選択的に取り込むための着色画素を形成してカラー固体撮像デバイスを形成するオンチップカラーフィルタ生産工程であって、前記開始時刻を決める条件を含む該当工程が塗布工程と露光工程のいずれか一方または両方に関することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の生産工程スケジューリング方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−168849(P2012−168849A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30694(P2011−30694)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】