説明

生産管理システムおよび生産管理方法

【課題】マニュアル搬送/オフライン装置がある生産ラインで、装置状態をオンライン管理し、装置管理や省人化に向けたナビゲーション機能を低投資で行うことにより、オフライン装置がある生産ラインであっても、生産管理システムによる疑似的なオンライン管理を実現する。
【解決手段】ロットの処理フロー進捗管理機能を有したホスト装置3と、オフライン装置6に付加されている装置稼働状況を点灯で知らせるシグナルタワー信号を読み取って、オフライン装置6の装置状態情報(異常(アラーム)や稼働・非稼働状態情報;装置が空いているかどうかの情報)をホスト装置3に送信する管理パーソナルコンピュータ2とを有しており、ホスト装置3は、オフライン装置6の装置状態情報(異常(アラーム)や稼働・非稼働状態情報;装置が空いているかどうかの情報)に基づいて、各管理パーソナルコンピュータ2にオフライン装置6のロットの作業指示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばLSI製造工場の化合物半導体工場などへの再開発やマニュアル工場において、少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置を用いて、発光ダイオード(LED)や半導体レーザ素子などの半導体発光素子などの半導体素子を製造する際の生産を管理する生産管理システムおよびこれを用いた生産管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLSI製造工場などにおいて、特許文献1では、半導体製造装置で設定されたウェハ処理条件からウェハ処理に要する時間を算出する機能と、レシピで設定されないウェハ搬送時間や、チャンバの処理条件安定化時間を同条件の実績値の統計に基づいて算出する機能と、この2つの機能によって求めた時間からウェハ処理の終了予測時刻を算出する機能と、予測時刻が半導体製造装置の問題にて当初予測から逸脱する場合に、予測時刻を補正する機能と、補正の有無に関わらないこの終了予測時刻から半導体製造装置のユーザが指定した一定時間遡ったタイミングで特定の信号をMESまたはMCSに通知する機能、またはシグナルタワーの点灯状態の変化または装置付帯のブザーの鳴動によってユーザに通知する機能を有している。
【0003】
また、オフライン装置をオンライン管理するために、従来では、図5に示すように、工程管理を行うホスト装置101にオンライン可能なパーソナルコンピュータ102をオフライン装置103に組み込み、パーソナルコンピュータ102を介してオフライン装置103の装置状態情報を読み取る方法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−43950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成では、パーソナルコンピュータ102などのオンライン機器をオフライン装置103に組み込むには、装置の改造を伴い、開発費用がかかるだけではなく、装置毎に開発が必要となる部分が多く、オフライン装置103が多い生産工程への適用が困難であった。
【0006】
LSI工場の化合物半導体工場への再開発やマニュアル工場の活用に際し、オフラインのマニュアル処理を低投資でオンラインに準じた管理を行い、省人化や作業ミス防止を実現する技術が求められている。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、マニュアル搬送/オフライン装置がある生産ラインで、装置状態をオンライン管理し、装置管理や省人化に向けたナビゲーション機能を低投資で行うことにより、オフライン装置がある生産ラインであっても、生産管理システムによる疑似的なオンライン管理を実現することができる生産管理システムおよびこれを用いた生産管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の生産管理システムは、少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置を用いて半導体素子を製造する半導体製造工程において、該一または複数の処理装置に対してロットの処理フロー進捗管理機能を有したホスト装置と、該オフライン装置に付加されている装置稼働状況を点灯・非点灯で知らせるシグナルタワー信号を読み取って、該オフライン装置の装置状態情報を該ホスト装置に送信する管理パーソナルコンピュータとを有し、該ホスト装置は、該少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置の装置状態情報に基づいて、対応する該処理装置の該管理パーソナルコンピュータを介して、該オフライン装置を含む一または複数の処理装置の各ロットの作業指示情報を出力させるものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0009】
また、好ましくは、本発明の生産管理システムにおいて、前記少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置から同時に作業が必要な信号が検出されたときに、前記ホスト装置は、ロットの処理優先順位、作業者現在地点などの生産条件を総合的に判断して、該少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置のそれぞれの管理パーソナルコンピュータを介して作業指示情報を出力させる。
【0010】
さらに、好ましくは、本発明の生産管理システムにおいて、前記ホスト装置は、前記少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置からそれぞれ読み取った処理開始信号と、予め登録されたプロセス時間とから処理終了時刻を予測して、該少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置のそれぞれの管理パーソナルコンピュータを介して作業予約指示情報を出力させる。
【0011】
さらに、好ましくは、本発明の生産管理システムにおいて、前記管理パーソナルコンピュータは前記ホスト装置に前記装置状態情報をアップロードし、アップロードした装置状態情報に基づいて、該ホスト装置はロットの作業指示情報をそれに対応する管理パーソナルコンピュータにダウンロードする。
【0012】
本発明の生産管理方法は、本発明の上記生産管理システムを用いた生産管理方法であって、前記オフライン装置に付加されている装置稼働状況を点灯・非点灯で知らせるシグナルタワー信号を読み取って、該オフライン装置の装置状態情報を管理パーソナルコンピュータが該ホスト装置に転送し、該ホスト装置は、該オフライン装置の装置状態情報に基づいて、該管理パーソナルコンピュータを介して該オフライン装置のロットの作業指示情報を出力させるものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0013】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0014】
本発明においては、一または複数の処理装置に対してロットの処理フロー進捗管理機能を有したホスト装置と、オフライン装置に付加されている装置稼働状況を点灯・非点灯で知らせるシグナルタワー信号を読み取って、オフライン装置の装置状態情報をホスト装置に送信する管理パーソナルコンピュータとを有し、ホスト装置は、少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置の装置状態情報に基づいて、対応する処理装置の管理パーソナルコンピュータを介して、オフライン装置を含む一または複数の処理装置の各ロットの作業指示情報を出力させる。
【0015】
これによって、オフライン装置のシグナルタワー信号(警告信号を含む)を読み出して、管理パーソナルコンピュータから、工程管理を行うホスト装置に装置状態情報を送ってホスト装置でオフライン装置をも含めて生産管理することができて、オフライン装置がある生産ラインであっても、生産管理システムによる疑似的なオンライン管理を実現することができる。したがって、低投資で、小規模ライン・局所的な分散ラインにおいて、オンライン制御と同等の生産管理を効率よく確実に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上により、本発明によれば、オフライン装置のシグナルタワー信号(警告信号を含む)を読み出して、管理パーソナルコンピュータから、工程管理を行うホスト装置に装置状態情報を送ってホスト装置でオフライン装置をも含めて生産管理するため、オフライン装置がある生産ラインであっても、生産管理システムによる疑似的なオンライン管理を実現することができて、低投資で、小規模ライン・局所的な分散ラインにおいて、オンライン制御と同等の生産管理を効率よく確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態における生産管理システムの要部構成例およびその動作を示すブロック図である。
【図2】図1の生産管理システムにおける管理パーソナルコンピュータとホスト装置のソフト構成例を示すブロック図である。
【図3】図1の生産管理システムを用いて生産処理を行う場合の作業者の作業処理を含む生産管理システムの動作例を示すフローチャートである。
【図4】図1の生産管理システムにおけるオフライン装置である複数の処理装置、管理パーソナルコンピュータおよびホスト装置の配置図である。
【図5】従来の生産管理システムでオフライン装置がある生産ラインであっても疑似的なオンライン管理を実現する場合を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の生産管理システムおよびこれを用いた生産管理方法の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態における生産管理システムの要部構成例およびその動作を示すブロック図である。
【0020】
図1において、本実施形態の生産管理システム1は、オフライン装置を含む複数の処理装置のそれぞれに固有のIDが付された各管理パーソナルコンピュータ2と、各管理パーソナルコンピュータ2とそれぞれ情報交換を可能とするホスト装置3と、複数の生産ワーク(複数の生産ロット)に各々固有のIDおよび処理情報(フロー)を付したデータカード(RF−ID)をデータカード付与装置(図示せず)から作業者に付与し、そのデータカードから作業者毎の生産情報を読み取り可能とするカードリーダ4とを有している。
【0021】
データカードには、タグチップと呼ばれるメモリを搭載したICチップおよびアンテナが埋め込まれており、「どのストッカのどの生産ワークであるカセット(ロット)をどの処理装置にマニュアル搬送して作業を行うか」を作業者が目で見て分かるようにカード表面に記載されている。データカードは、処理装置での入力ミスを回避するようにデータがICチップ内に登録されてカードリーダ4により容易かつ確実に読み取りが可能であったり、バーコードで生産条件が表記されてバーコードーダにより容易かつ確実に読み取りが可能であったりする。ICチップ内の登録データは、例えば処理が必要なロットがどういうものでどのような処理が必要であるのかが分かるデータである。
【0022】
生産ワークとしてのカセット(ロット)の作業指示情報は、管理パーソナルコンピュータ2の表示画面上に表示されるかまたは、管理パーソナルコンピュータ2に接続されたデータカード付与装置によりデータカードの内容が書き換えられて表示される。
【0023】
例えばオフライン装置などの処理装置の近傍に設けられた管理パーソナルコンピュータ2はホスト装置3とカードリーダ4にそれぞれ接続されている。管理パーソナルコンピュータ2はホスト装置3に作業者毎の生産情報をアップロードし、アップロードした生産情報に基づいて、ホスト装置3は作業指示情報をそれに対応する管理パーソナルコンピュータ2にダウンロードする。要するに、管理パーソナルコンピュータ2は、処理開始/終了時に生産ロット情報(ロットID/フロー情報)が書き込まれた作業者のデータカードをカードリーダ4にタッチするかまたは近づけることにより、そのデータカードの内容を読み取って管理パーソナルコンピュータ2を介してホスト装置3に送信する。ホスト装置3は、その送信されたデータカードの内容(生産ロット情報)に基づいて、各ロットの処理状況(進捗管理、正常処理のチェック)を把握し、そのロット進捗状況に合わせた作業指示、カセット(ロット)の取り出し指示、次工程の処理装置選定とその搬送指示を管理パーソナルコンピュータ3の表示画面に表示させると共に、ホスト装置3のデータベースに作業履歴を自動で収集する。
【0024】
図2は、図1の生産管理システム1における管理パーソナルコンピュータ2とホスト装置3のソフト構成例を示すブロック図である。
【0025】
本実施形態の生産管理システム1における管理パーソナルコンピュータ2は、全体の制御を行う制御部としてのCPU(中央演算処理装置)21と、CPU21に対して入力指令を行うためのキーボード、マウス、タッチパネルおよびペン入力装置、さらには通信ネットワーク(例えばインターネットやイントラネット)を介して受信入力する入力装置22と、表示画面上に、初期画面、選択場面、CPU21による制御結果画面および操作入力画面などを表示する表示部23と、制御プログラムおよびそのデータなどが記憶されたコンピュータ読み出し可能な可読記録媒体としてのROM24と、起動時に制御プログラムおよびそのデータなどが読み出されて、CPU21による制御毎にデータを読み出し・記憶するワークメモリとして働く記憶部としてのRAM25とを有している。
【0026】
本実施形態の生産管理システム1におけるホスト装置3は、全体の制御を行う制御部としてのCPU(中央演算処理装置)31と、制御プログラムおよびそのデータなどが記憶されたコンピュータ読み出し可能な可読記録媒体としてのROMおよび、起動時に制御プログラムおよびそのデータなどが読み出されて、CPU31による制御毎にデータを読み出し・記憶するワークメモリとして働く記憶部としてのRAMの他、膨大な生産情報を記憶するデータベース32とを有している。
【0027】
可読記録媒体としてのROMは、ハードディスクの他、形態自在な光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどで構成されていてもよい。この制御プログラムおよびそのデータなどがROMに記憶されるが、この制御プログラムおよびそのデータは、他の可読記録媒体から、または、無線、有線またはインターネットなどを介してROMにダウンロードされてもよい。
【0028】
管理パーソナルコンピュータ2におけるCPU21は、制御プログラムおよびそのデータに基づいて、カードリーダ4で読み取ったロットIDとその工程内容をデータ入力させるデータ入力手段211と、データ入力手段211がデータ入力したロットIDとその工程内容を生産情報として正しいかどうかをフロー照合するフロー照合手段212と、フロー照合手段212が行った照合結果および次の処理内容(処理レシピ)を表示画面上に表示する照合結果表示制御手段213と、照合結果が作業指示として正しければ、ロットIDに対応したレシピ番号を発行するレシピ番号発行手段214と、そのロットIDに対する処理が終了したことをホスト装置3に通知する処理終了通知手段215と、処理履歴書込後、ホスト装置3にその処理装置の処理履歴データを転送する処理履歴転送手段216と、表示画面上に「カセットの取出」のメッセージを表示制御すると共に「入庫ストッカ」または「次工程の処理装置」を表示させる次工程内容表示制御手段217とを有している。
【0029】
照合結果表示制御手段213は、照合結果が作業指示として正しくなければ、「警告」およびその「搬送先」を表示画面上に表示制御する。
【0030】
ホスト装置3におけるCPU31は、制御プログラムおよびそのデータに基づいて、管理パーソナルコンピュータ2のロットIDに対応したレシピ番号の発行を受けて、レシピ番号に対応したレシピ(工程内容)をデータベース32に登録するレシピ登録手段311と、レシピ登録手段311によるレシピ番号に対応したレシピ内容(工程内容)の登録後、処理装置に対して「処理開始」を、管理パーソナルコンピュータ2を介して指示する処理開始指示手段312と、処理終了通知を受けて、その処理装置の管理パーソナルコンピュータ2に対してその処理装置の処理履歴データを書き込むように指示する処理履歴書込指示手段313と、管理パーソナルコンピュータ2からの転送処理履歴データを受けてデータベース32にその処理装置の処理履歴データを登録する処理履歴登録手段314と、管理パーソナルコンピュータ2に次工程内容の表示指示を行う次工程内容表示指示手段315とを有している。
【0031】
上記構成により、本実施形態の生産管理システム1を用いて作業者が生産処理をする場合の一例について説明する。
【0032】
図3は、図1の生産管理システム1を用いて生産処理を行う場合の作業者の作業処理を含む生産管理システム1の動作例を示すフローチャートである。
【0033】
まず、図3に示すように、ステップS1で、作業者により、データカード付与装置5を構成するストッカ管理パーソナルコンピュータ51が操作されて「カード出力情報」が選択される。作業者に対して、「カード出力情報」として、どのカセット(ロット)をどのストッカから取り出してどの処理装置にマニュアル搬送するかが指示される。
【0034】
次に、ステップS2で、作業者は、ストッカ管理パーソナルコンピュータ51を操作してデータカードプリンタ52からデータカード53をプリント出力する。
【0035】
続いて、ステップS3で、作業者は、プリント出力されたデータカード53の内容に応じてソースストッカ54からその指示されたカセット(ロット)を出庫する。
【0036】
その後、ステップS4で、作業者は、出庫したカセット(ロット)を所定の処理装置にマニュアル搬送する。
【0037】
さらに、ステップS5で、作業者は、マニュアル搬送したカセット(ロット)を装置ローダにセットすると共に、カードリーダ4にてデータカード53の内容を読み取る。即ち、作業者が「カセットのセット」として、その処理装置にカセット(ロット)をセットする。その処理装置に設けられたカードリーダ4にデータカードを接近させることにより、「ロットID/工程読取」を行って、その処理装置で処理を行うロットIDとその工程内容を読み取りミスなく正確にカードリーダ4が読み取ることができる。
【0038】
以上のステップS1〜S5は、ストッカ管理パーソナルコンピュータ51およびデータカード53により指示されたイベントを作業者が実行すると共に、カードリーダ4にデータカード53の内容を読み取らせる作業者の作業である。
【0039】
次に、ステップS6で、管理パーソナルコンピュータ2では、カードリーダ4で読み取ったその処理装置で処理を行うロットIDとその工程内容をデータ入力手段211がデータ入力し、フロー照合手段212が、その処理装置毎のフロー照合を行って、「カセット検証、レシピチェック」を行い、照合結果表示制御手段213がその照合結果および次の作業内容を表示部23に表示する。即ち、その処理装置に設けられた管理パーソナルコンピュータ2は、カードリーダ4が読み取ったロットIDおよびその工程内容が作業指示として正しいかどうかを確認する。カードリーダ4が読み込んだロットIDおよびその工程内容(フロー)が正しければ、管理パーソナルコンピュータ2は、その表示画面上で作業者に対して受付確認を行う。即ち、そのロットIDおよびその工程内容が正しければ、受付確認として作業者が処理開始を処理装置に対して指示しても良いし、管理パーソナルコンピュータ2のレシピ番号発行手段214が、ロットIDに対応したレシピ番号を発行し、ステップS7で、ホスト装置3がそのロットIDに対応したレシピ番号を受け付けてカセット(ロット)およびレシピ(工程内容)をホスト装置3のレシピ登録手段311がデータベース32に登録する。
【0040】
ステップS8で、ホスト装置3のレシピ登録手段311によるロットIDに対応したレシピ番号の登録後、処理開始指示手段312が処理装置に対して「処理開始」を自動で指示する。
【0041】
ステップS6で、フロー照合手段212が照合した結果として、そのロットIDおよびその工程内容が正しくなければ(否)、照合結果表示制御手段213が「警告」およびその「搬送先」をその管理パーソナルコンピュータ2の表示画面上に表示制御する。
【0042】
以上のステップS6〜S8は、管理パーソナルコンピュータ2およびホスト装置3が行う動作である。
【0043】
次に、ステップS9で、表示画面上に「警告」が発せられた場合には、作業者は、その処理装置からカセット(ロット)を取り外して、そのカセット(ロット)を正規の搬送先の処理装置にマニュアル搬送する。
【0044】
さらに、ステップS8で、処理開始指示手段312の「処理開始指示」によって処理装置が処理を開始し、一定時間後に処理装置はその処理を終了する。処理装置は、ステップS10で、管理パーソナルコンピュータ2の処理終了通知手段215は、そのカセット(ロット)に対する処理が終了したことをホスト装置3に通知し、ホスト装置3の処理履歴書込指示手段313は、この処理終了通知を受けて、ステップS11で、その処理装置の管理パーソナルコンピュータ2に対して処理履歴のデータを書き込むように指示し、管理パーソナルコンピュータ2の処理履歴転送手段216がホスト装置3にその処理装置の処理履歴データを転送する。ホスト装置3では、管理パーソナルコンピュータ2からの処理履歴データを受けて、ホスト装置3の処理履歴登録手段314がデータベース32にその処理装置の処理履歴データを登録する。
【0045】
さらに、ステップS12で、ホスト装置3は、そのカセット(ロット)に対して処理が終了したかどうかを判断して、そのカセット(ロット)に対して処理が終了したならば(YES)、ホスト装置3の次工程内容表示指示手段315は、ステップS13で、管理パーソナルコンピュータ2に次工程内容の表示指示を行って、管理パーソナルコンピュータ2の次工程内容表示制御手段217は、その表示画面上に「カセットの取出」のメッセージを表示制御すると共に、管理パーソナルコンピュータ2の表示画面上に「入庫ストッカ」を表示させる。この指示に従って、作業者は、そのカセット(ロット)を装置ローダから取り外して所定指示ストッカまで搬送し、そのカセット(ロット)を所定指示ストッカに入庫する。
【0046】
また、ステップS12で、そのカセット(ロット)に対して処理が終了していなければ(NO)、ホスト装置3の次工程内容表示指示手段315は、ステップS14で、管理パーソナルコンピュータ2に次工程内容の表示指示を行って、管理パーソナルコンピュータ2の次工程内容表示制御手段217は、その表示画面上に「カセットの取出」のメッセージを表示すると共に、管理パーソナルコンピュータ2の表示画面上に「次工程の処理装置」を表示させる。この指示に従って、作業者は、そのカセット(ロット)を装置ローダから取り外して次工程の処理装置まで搬送して、作業者はステップS5で、そのカセット(ロット)を装置ローダにセットすると共に、データカードをカードリーダ4に近づけてカードリーダ4がカード情報を読み取る。
【0047】
以上のステップS10〜S14は、管理パーソナルコンピュータ2およびホスト装置3が行う動作である。
【0048】
なお、作業者は、その処理装置の処理の間は他の仕事を行い、管理パーソナルコンピュータ2の表示画面上に「カセットの取出」および「次工程への搬送」の指示が表示されれば、その処理装置から「カセットの取出」を行って、次工程にそのカセット(ロット)をマニュアル搬送をする。
【0049】
要するに、管理パーソナルコンピュータ2において、データ入力手段211が、カードリーダ4で読み取ったロットIDとその工程内容をデータ入力させるデータ入力工程と、フロー照合手段212が、入力されたロットIDとその工程内容を生産情報として正しいかどうかをフロー照合するフロー照合工程と、照合結果表示制御手段213が、フロー照合手段212が行った照合結果および次の作業内容を表示画面上に表示制御する照合結果表示制御工程と、照合結果が作業指示として正しければ、レシピ番号発行手段214が、ロットIDに対応したレシピ番号を発行するレシピ番号発行工程と、処理終了通知手段215が、ロットIDに対して処理装置の処理が終了したことをホスト装置3に通知する処理終了通知工程と、処理装置の処理履歴書込後、処理履歴転送手段216が、ホスト装置3に当該処理装置の処理履歴データを転送する処理履歴転送工程と、次工程内容表示制御手段217が、表示画面上に「カセットの取出」のメッセージを表示制御すると共に「入庫ストッカ」または「次工程の処理装置」を表示制御する次工程内容表示制御工程とを有している。
【0050】
ホスト装置3において、レシピ番号の発行を受けて、レシピ登録手段311が、レシピ番号に対応したレシピ内容をデータベースに登録するレシピ登録工程と、レシピ内容の登録後、処理開始指示手段312が、処理装置に対して「処理開始」を指示する処理開始指示工程と、処理終了通知を受けて、処理履歴書込指示手段313が、管理パーソナルコンピュータ2に対して処理履歴データを書き込むように指示する処理履歴書込指示工程と、処理履歴登録手段314が、管理パーソナルコンピュータ2からの転送処理履歴データを受けてデータベース32に処理装置の処理履歴データを登録する処理履歴登録工程と、次工程内容表示指示手段315が、管理パーソナルコンピュータ2に次工程内容の表示指示する次工程内容表示指示工程とを有している。
【0051】
以上は、ホスト装置3と作業者との作業インターフェースとしての管理パーソナルコンピュータ2およびカードリーダ4について説明してきたが、次は、処理装置としてオフライン装置がある生産ラインであっても、生産管理システム1による疑似的なオンライン管理を実現する管理パーソナルコンピュータ2の別の機能について図4を用いて詳細に説明する。
【0052】
以上の本実施形態の生産管理システム1により、オペレータである作業者は予め決められたルートを決められた周期でマニュアル搬送で巡回することにより、管理パーソナルコンピュータ3の表示画面またはデータカード(RF−IDタグ)の作業指示用画面に表示される生産情報に従って、オフライン装置で自動的にロットを受け取れない処理装置であっても正確な作業処理とロット運搬・次工程処理を確実に行うことができる。これによって、マニュアル搬送/オフライン装置がある生産ラインにおいて、作業管理および省人化に向けたナビゲーションを行って作業の効率化および作業ミスの防止を確実に実現することができる。
【0053】
図4は、図1の生産管理システムにおけるオフライン装置である複数の処理装置、管理パーソナルコンピュータ2およびホスト装置3の配置図である。
【0054】
図4において、オフライン装置6には、処理装置が異常(アラーム)や稼働・非稼働(メンテナンス(強制停止)、処理可能、処理中、処理終了、処理待ち)などを確認可能なように点灯表示するシグナルタワー61が設けられている。このオフライン装置6のシグナルタワー61は、本来の目的である稼働・非稼働などの装置状態の検知に広く用いられている。この装置ステータス情報を含むシグナルタワー信号/警告信号(以下、単にシグナルタワー信号という)を読み取って、オフライン装置6を疑似的にオンライン化してオフライン装置6の装置状態をリアルタイムに情報入手することができる。このシグナルタワー61と接続された信号線62に、各種信号を読み取るデコーダ装置63を設け、管理パーソナルコンピュータ2のオンライン通信可能な電子機器で読み取ることにより、オフライン装置6の装置本体を改造せずに、オフライン装置6の装置状態を、工程管理を行うホスト装置3に管理パーソナルコンピュータ2から装置状態情報を送信する。
【0055】
この生産管理システム1は、少なくともオフライン装置6を一または複数含む一または複数の処理装置に対して、ロットの処理フロー進捗管理機能を有したホスト装置3と、オフライン装置6に付加されている装置稼働状況を点灯・非点灯で知らせるシグナルタワー信号(アラーム信号を含む)を読み取って、オフライン装置6の装置状態情報(異常(アラーム)や稼働・非稼働状態情報;装置が空いているかどうかの情報)をホスト装置3に送信する各管理パーソナルコンピュータ2とを有しており、ホスト装置3は、少なくともオフライン装置6を含む一または複数の処理装置の各装置状態情報(異常(アラーム)や稼働・非稼働状態情報;装置が空いているかどうかの情報)に基づいて、各管理パーソナルコンピュータ2を介してロットの作業指示情報を出力する。
【0056】
この場合、ホスト装置3において、複数のオフライン装置6から同時に作業が必要な信号が検出されたとき、ロットの処理優先順位、作業者現在地点などを総合的に判断してオフライン装置6毎の管理パーソナルコンピュータ2に作業指示情報を出力する。即ち、少なくともオフライン装置6を含む一または複数の処理装置から同時に作業が必要な信号が検出されたときに、ホスト装置3は、ロットの処理優先順位、作業者現在地点などの生産条件を総合的に判断して、少なくともオフライン装置6を含む一または複数の処理装置のそれぞれの各管理パーソナルコンピュータ2を介して作業指示情報を出力させる。また、オフライン装置6から読み取ったシグナルタワー信号に含まれる処理開始信号と、予め登録されたオフライン装置6のプロセス時間から処理終了時刻を予測して、オフライン装置6毎の管理パーソナルコンピュータ2に作業予約指示を出力する。ホスト装置3は、少なくともオフライン装置6を含む一または複数の処理装置からそれぞれ読み取った処理開始信号と、予め登録されたプロセス時間とから処理終了時刻を予測して、少なくともオフライン装置6を含む一または複数の処理装置のそれぞれの各管理パーソナルコンピュータ2を介して作業予約指示情報を出力させる。
【0057】
この各管理パーソナルコンピュータ2を介したロットの作業指示情報は、各管理パーソナルコンピュータ2の表示部23の表示画面上に、文章や絵柄などで表示出力したり、異常(アラーム)時などブザーなどによって音声出力したり、作業者に対して各種の指示出力が考えられる。
【0058】
この生産管理システム1を用いた生産管理方法としては、オフライン装置6に付加されている装置稼働状況を点灯・非点灯で知らせるシグナルタワー信号(アラーム信号を含む)を読み取って、オフライン装置6の装置状態情報を管理パーソナルコンピュータ2がホスト装置3に転送し、ホスト装置3は、オフライン装置6の装置状態情報に基づいて、管理パーソナルコンピュータ2を介してオフライン装置のロットの作業指示情報を出力させる。即ち、本実施形態の生産管理方法は、オフライン装置6に付加されている装置稼働状況を点灯・非点灯で知らせるシグナルタワー信号(アラーム信号を含む)を読み取って、少なくともオフライン装置6を含む一または複数の処理装置の装置状態情報を各管理パーソナルコンピュータ2がそれぞれホスト装置3に転送し、ホスト装置3は、少なくともオフライン装置6を含む一または複数の処理装置の装置状態情報に基づいて、対応した各管理パーソナルコンピュータ2を介して、少なくともオフライン装置6を含む一または複数の処理装置のロットの作業指示情報を出力させる。この場合、管理パーソナルコンピュータ2はホスト装置3に装置状態情報をアップロードし、アップロードした装置状態情報に基づいて、ホスト装置3はロットの作業指示情報をそれに対応する各管理パーソナルコンピュータ2にそれぞれダウンロードする。
【0059】
以上によって、オフライン装置6の装置状態情報(稼働・非稼働状態情報)を含むシグナルタワー信号からリアルタイムに装置の稼働・非稼働状態を把握することにより、工程管理を行うホスト装置3は、オフライン装置6毎の管理パーソナルコンピュータ2の表示画面に仕掛りの生産ワーク(ロット)搬送/処理指示を的確に表示指示することができる。また、シグナルタワー61の見えない位置にいる作業者に対しても、オフライン装置6毎の管理パーソナルコンピュータ2の表示画面への表示によって処理終了を確実に知らせることができる。これと同時に、作業に必要な信号が発生した場合に、工程管理を行うホスト装置3が優先順位を判断し、オフライン装置6毎の管理パーソナルコンピュータ2の表示画面への表示指示によって作業の優先順位を管理することができる。さらに、処理開始時刻から処理終了時刻を予測できるため、作業者へ先行(予定)作業指示が出せるなどの機能を組み込むことにより、作業者の作業効率を高めること(省人化)が可能となる。さらに、ホスト装置3は、オフライン装置6の装置稼働状況データの自動集計が可能となって、従来手集計されていた稼働率管理がリアルタイムでかつ正確に行えるようになって、ラインバランスなどの工程改善が可能となる。
【0060】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
LSI製造工場の化合物半導体工場などへの再開発やマニュアル工場において、オフライン装置を含む一または複数の処理装置を用いて、発光ダイオード(LED)や半導体レーザ素子などの半導体発光素子などの半導体素子を製造する際の生産を管理する生産管理システムおよび生産管理方法の分野において、オフライン装置のシグナルタワー信号(警告信号を含む)を読み出して、管理パーソナルコンピュータから、工程管理を行うホスト装置に装置状態情報を送ってホスト装置でオフライン装置をも含めて生産管理するため、オフライン装置がある生産ラインであっても、生産管理システムによる疑似的なオンライン管理を実現することができて、低投資で、小規模ライン・局所的な分散ラインにおいて、オンライン制御と同等の生産管理を効率よく確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1 生産管理システム
2 管理パーソナルコンピュータ
21,31 CPU(中央演算処理装置)
22 入力装置
23 表示部
24 ROM
25 RAM
32 データベース
211 データ入力手段
212 フロー照合手段
213 照合結果表示制御手段
214 レシピ番号発行手段
215 処理終了通知手段
216 処理履歴転送手段
217 次工程内容表示制御手段
3 ホスト装置
311 レシピ登録手段
312 処理開始指示手段
313 処理履歴書込指示手段
314 処理履歴登録手段
315 次工程内容表示指示手段
4 カードリーダ
5 データカード付与装置
51 ストッカ管理パーソナルコンピュータ
52 データカードプリンタ
53 データカード
54 ソースストッカ
6 オフライン装置
61 シグナルタワー
62 信号線
63 デコーダ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置を用いて半導体素子を製造する半導体製造工程において、
該一または複数の処理装置に対してロットの処理フロー進捗管理機能を有したホスト装置と、該オフライン装置に付加されている装置稼働状況を点灯・非点灯で知らせるシグナルタワー信号を読み取って、該オフライン装置の装置状態情報を該ホスト装置に送信する管理パーソナルコンピュータとを有し、該ホスト装置は、該少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置の装置状態情報に基づいて、対応する該処理装置の該管理パーソナルコンピュータを介して、該オフライン装置を含む一または複数の処理装置の各ロットの作業指示情報を出力させる生産管理システム。
【請求項2】
前記少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置から同時に作業が必要な信号が検出されたときに、前記ホスト装置は、ロットの処理優先順位、作業者現在地点などの生産条件を総合的に判断して、該少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置のそれぞれの管理パーソナルコンピュータを介して作業指示情報を出力させる請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記ホスト装置は、前記少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置からそれぞれ読み取った処理開始信号と、予め登録されたプロセス時間とから処理終了時刻を予測して、該少なくともオフライン装置を含む一または複数の処理装置のそれぞれの管理パーソナルコンピュータを介して作業予約指示情報を出力させる請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記管理パーソナルコンピュータは前記ホスト装置に前記装置状態情報をアップロードし、アップロードした装置状態情報に基づいて、該ホスト装置はロットの作業指示情報をそれに対応する管理パーソナルコンピュータにダウンロードする請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の生産管理システムを用いた生産管理方法であって、
前記オフライン装置に付加されている装置稼働状況を点灯・非点灯で知らせるシグナルタワー信号を読み取って、該オフライン装置の装置状態情報を管理パーソナルコンピュータが該ホスト装置に転送し、該ホスト装置は、該オフライン装置の装置状態情報に基づいて、該管理パーソナルコンピュータを介して該オフライン装置のロットの作業指示情報を出力させる生産管理方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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