説明

生産管理装置および部品実装システム

【課題】より効率よく基板に電子部品を実装することができる生産管理装置および部品実装システムを提供することを課題とする。
【解決手段】通信部と、複数の生産プログラムを記憶する記憶部と、通信部で電子部品実装装置に送信する生産管理プログラムを管理するプログラム管理部、記憶部に記憶した複数の生産プログラムのうち部品供給装置に保持されている電子部品の構成が同一の構成のままで実行される複数の生産プログラムを抽出した予約ファイルに含まれる生産プログラムで基板に実装する電子部品に関連するティーチング項目を全て抽出するティーチング項目抽出部、およびティーチング項目抽出部で抽出したティーチング項目に対して入力されたティーチング結果を取得し、前記ティーチング結果を反映させる反映処理部を備える制御部と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品をノズルで吸着して移動させ、基板上に搭載する電子部品実装装置を管理する生産管理装置およびこれを有する部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に電子部品を搭載(実装)する装置としては、ノズルを備えるヘッドを有し、部品供給装置に保持された電子部品を当該ノズルで吸着して基板上に搭載する電子部品実装装置がある。また、この電子部品実装装置を1つ以上用いて電子部品を基板に実装する部品実装システムもある。
【0003】
次に、基板上に電子部品を搭載(実装)する装置としては、部品実装装置と、電子部品実装装置の動作を制御する生産プログラムを管理する生産管理装置と、を有する部品実装システムがある。部品実装システムは、生産管理装置から電子部品実装装置に生産管理プログラムをダウンロードし、電子部品実装装置でダウンロードされた生産プログラムを実行することで、基板に電子部品を実装する。また、部品実装システムは、複数の生産プログラムを順次実施して電子部品実装装置の部品供給装置のフィーダ部から供給される部品を所定の基板位置に実装することができる。
また、特許文献1には、1クラスタ内で使用されるフィーダ種類が所定数内に収まるように、複数の生産プログラムをクラスタに分けて編集する手段と、連続する2つのクラスタ間で共通のフィーダが存在するときは、この共通のフィーダを同一の取り付け位置に配置し、残りのフィーダの配置を最適化してクラスタを最適化する手段と、を有する部品実装システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4050524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部品実装システムは、特許文献1に記載されているように、一部のフィーダ部を共有化し、複数のクラスタ(複数のプログラム)に対して部品供給装置を共通とすることで、部品供給装置を交換せずに、複数のプログラムを実行可能となる。
【0006】
ここで、部品実装システムは、生産プログラムが基準値(デフォルト値)で作成される。このため、部品実装システムは、生産プログラムを電子部品実装装置にダウンロードした後に、駆動する電子部品実装装置に固有の特性等に合わせて値を調整するティーチング処理を実行し、基板への実装処理を行う。ここで、ティーチング処理は、オペレータによる操作を検出することで各種入力値を取得する。このため、部品実装システムは、実行するプログラムを切り換える毎に、オペレータによるティーチング処理の各値の入力する待ち時間が発生してしまう。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より効率よく基板に電子部品を実装することを可能とするデータ管理装置およびこれを有する部品実装システム部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、部品供給装置に保持される電子部品を吸着して移動させて基板に実装する電子部品実装装置に、前記基板に前記電子部品を実装する動作を実行させる生産プログラムを管理し、前記電子部品実装装置で実行する実装動作を管理する生産管理装置であって、前記電子部品実装装置と情報の送受信を行う通信部と、前記電子部品実装装置で実行する複数の生産プログラムを記憶する記憶部と、前記通信部で前記電子部品実装装置に送信する生産管理プログラムを管理するプログラム管理部、前記記憶部に記憶した複数の生産プログラムのうち前記部品供給装置に保持されている電子部品の構成が同一の構成のままで実行される複数の前記生産プログラムを抽出した予約ファイルに含まれる生産プログラムで前記基板に実装する電子部品に関連するティーチング項目を全て抽出するティーチング項目抽出部、および前記ティーチング項目抽出部で抽出したティーチング項目に対して入力されたティーチング結果を取得し、前記ティーチング結果を反映させる反映処理部を備える制御部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記ティーチング項目抽出部は、複数の生産プログラム間で重複するティーチング項目を、1つのティーチング項目として抽出することが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記ティーチング項目抽出部で抽出したティーチング項目を全て含むダミー生産プログラムを生成するダミー生産プログラム生成部をさらに有し、前記プログラム管理部は、前記電子部品実装装置に前記ダミー生産プログラムを送信し、前記反映処理部は、前記電子部品実装装置が前記ダミー生産プログラムに対して入力した結果を前記ティーチング結果として取得することが好ましい。
【0011】
また、前記記憶部は、前記ティーチング項目を記憶するティーチングデータベースを有し、前記ティーチング項目抽出部は、抽出した前記ティーチング項目を前記ティーチングデータベースに記憶させ、前記プログラム管理部は、前記電子部品実装装置に前記データベースを送信し、前記反映処理部は、前記電子部品実装装置が前記データベースに対して入力した結果を前記ティーチング結果として取得することが好ましい。
【0012】
また、前記反映処理部は、前記ティーチング結果を前記予約プログラムの前記生産プログラムに反映させ、前記プログラム管理部は、前記電子部品実装装置にティーチング結果を反映させた前記生産プログラムを送信することが好ましい。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は部品実装システムであって、電子部品を吸着するノズルを備えるヘッド本体と、前記ノズルで吸着される電子部品を保持するフィーダ部を複数備える部品供給装置と、を備える少なくとも1つの電子部品実装装置と、上記のいずれかに記載の生産管理装置と、を有することを特徴とする。
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は部品実装システムであって、電子部品を吸着するノズルを備えるヘッド本体と、前記ノズルで吸着される電子部品を保持するフィーダ部を複数備える部品供給装置と、を備える少なくとも1つの電子部品実装装置と、上記のいずれかに記載の生産管理装置と、を有し、前記反映処理部は、前記ティーチング結果を前記通信部により前記電子部品実装装置に出力し、前記電子部品実装装置は、前記生産管理装置から供給された前記ティーチング結果を保存し、保存した前記ティーチング結果を前記生産管理装置から供給された前記生産プログラムに反映させることを特徴とする。
【0015】
また、前記電子部品実装装置は、ティーチングデータの入力を検出する操作部をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる電子部品実装システムは、ティーチング処理を一括で実施可能とすることで、生産プログラム切替時のオペレータ作業を排除し、連続生産が可能となることにより効率よく基板に電子部品を実装することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、部品実装システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、生産管理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、電子部品実装装置の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有するヘッドの説明図である。
【図5】図5は、電子部品実装装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、生産管理装置の処理動作の一例を説明するための説明図である。
【図7】図7は、生産管理装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【図8】図8は、電子部品実装装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【図9】図9は、生産管理装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【図10】図10は、生産管理装置および電子部品実装装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0019】
以下に、本発明にかかる生産管理装置および部品実装システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。図1は、部品実装システムの概略構成を示す模式図である。
【0020】
図1は、部品実装システムの概略構成を示す模式図である。図1に示すように、部品実装システム1は、基板に電子部品を実装するシステムであり、生産管理装置2と、基板供給装置4と、電子部品実装装置10、10aと、基板回収装置11と、基板搬送装置12と、を有する。なお、基板搬送装置12は、基板供給装置4と電子部品実装装置10との間、電子部品実装装置10と電子部品実装装置10aとの間、電子部品実装装置10aと基板回収装置11との間に配置され、基板を一方の装置から他方の装置に搬送する。
【0021】
生産管理装置2は、基板供給装置4と電子部品実装装置10、10aと基板回収装置11と通信を行い、情報を送受信して各部の動作を管理し、部品実装システム1での基板への電子部品の実装処理を管理する。生産管理装置2は、基板への電子部品の実装動作を実行させる生産プログラムを電子部品実装装置10、10aに供給する。生産管理装置2の構成については後述する。
【0022】
基板供給装置4は、電子部品を搭載する前の基板を保管しており、生産時に保管している基板を供給する。電子部品実装装置10、10aは、基板に電子部品を実装する装置である。電子部品実装装置10、10aは、生産管理装置2から供給される生産プログラムに基づいて動作を実行する。電子部品実装装置10、10aの構成については、後述する。基板回収装置11は、電子部品実装装置10aから排出され、基板搬送装置12で搬送される基板を回収する装置である。
【0023】
部品実装システム1は、以上のような構成であり、生産が開始されると、基板供給装置4が保管している基板を供給する。基板供給装置4から供給された基板は、基板搬送装置12で電子部品実装装置10に供給される。電子部品実装装置10は、搬送された基板に電子部品を実装し、実装が完了した基板を排出する。電子部品実装装置10から排出された基板は、基板搬送装置12で電子部品実装装置10aに搬送される。電子部品実装装置10aは、搬送された基板に電子部品を実装し、実装が完了した基板を排出する。なお、電子部品実装装置10、10aは、生産管理装置2から供給される生産プログラムに基づいて処理を実行する。電子部品実装装置10aから排出された基板は、基板搬送装置12で基板回収装置11に搬送される。基板回収装置10は、回収した基板を次の工程に搬送する。
【0024】
なお、本実施形態の、部品実装システム1は、電子部品実装装置10、10aとの2つの電子部品実装装置を設けたが、電子部品実装装置は、少なくとも1つあればよくその数は限定されない。また、部品実装システム1は、各部の間で基板を受け渡しができればよく基板搬送装置12を設けない構成とすることもできる。また、部品実装システム1は、基板供給装置4と基板搬送装置12を設けない構成とすることもできる。また、基板実装システム1は、基板の搬送方向において電子部品実装装置10の上流に、電子部品の実装工程の前工程の処理を行う装置を設けても良いし、基板の搬送方向において電子部品実装装置10aの下流に、電子部品の実装工程の後工程の処理を行う装置、例えばリフローを実行する装置を配置してもよい。
【0025】
次に、図2を用いて生産管理装置2について説明する。図2は、生産管理装置の概略構成を示すブロック図である。図2に示す生産管理装置2は、いわゆるパーソナルコンピュータ等のオペレータが各種情報処理を実行する演算処理装置であり、表示部22と、操作部24と、通信部26と、制御部28と、記憶部30と、を有する。
【0026】
表示部22は、部品実装システム1の各部の動作状態、設定画面、記憶部30に記憶されている情報を表示させる表示装置である。表示部22は、制御部28の制御に基づいて、画像を表示させる。
【0027】
操作部24は、オペレータ(ユーザ)が操作を入力する入力装置であり、入力された操作を操作信号として制御部28に送る。操作部24としては、コントローラ、操作パネル、スイッチ、レバー、キーボード、マウス等、種々の入力デバイスを用いることができる。また、表示部22と操作部24とは、両者を一体化させたタッチパネルとしてもよい。
【0028】
通信部26は、基板供給装置4と電子部品実装装置10、10aと基板回収装置11と情報の送受信を行う通信機器である。ここで、通信部26は、基板供給装置4と電子部品実装装置10、10aと基板回収装置11と有線の通信回線で接続されている。
【0029】
制御部28は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)であり、操作部24に入力された操作に基づいて、各部の動作を制御する。また、制御部28は、通信部26を介して基板供給装置4と電子部品実装装置10、10aと基板回収装置11とに各種情報、例えば加工した情報、記憶部30に記憶されている情報を供給する。また、制御部28は、電子部品実装装置10、10aに供給する生産プログラムを管理、調整し、電子部品実装装置10、10aでの電子部品の実装動作を制御する機能として、プログラム管理部28aと、ティーチング項目抽出部28bと、ダミー生産プログラム生成部28cと、反映処理部28dと、を有する。
【0030】
プログラム管理部28aは、入力された操作や条件に基づいて、電子部品実装装置10、10aにどの生産プログラムを送信するか、どの生産プログラムに関する情報を送信するかを管理する。また、プログラム管理部28aは、入力された操作や条件に基づいて、後述する生産プログラムデータベース30aに記憶されている生産プログラムも管理する。
【0031】
ティーチング項目抽出部28bは、生産プログラムを解析し、生産プログラムの実行時に電子部品実装装置10、10aで設定する必要がある各種要素をティーチング項目として、抽出する。つまり、ティーチング項目抽出部28bは、生産プログラムの作成時に基準値が設定されており、電子部品実装装置10、10aで実行する場合には、電子部品実装装置10、10aの特性に基づいて補正する必要がある情報を抽出する。
【0032】
ここで、ティーチング項目としては、電子部品の実際の寸法(部品横方向、部品縦方向、部品高さ)、電子部品実装に最適なノズルのノズル番号、電子部品の実際のリード寸法(リードピッチ、リード長、リード本数/欠落情報)、実際の電子部品の吸着時の吸着バキューム圧、電子部品の検出時のレーザセンタリング(レーザ高さ、チップ立ち判定値)、ビジョンセンタリング値、照明設定、コプラナリティ検査に必要な各種パラメータ、実際の部品吸着座標(X座標、Y座標、Z座標)、電子部品毎の吸着、搭載動作時のヘッド速度設定(XY動作速度、θ回転速度、吸着時のZ方向上昇速度、搭載時のZ方向下降速度)等がある。
【0033】
ダミー生産プログラム生成部28cは、対象となる生産プログラムを混合し、必要な情報が含まれたダミー生産プログラムを生成する。ここで、ダミー生産プログラムは、対象の生産プログラムのティーチング項目をすべて含むプログラムである。
【0034】
反映処理部28dは、電子部品実装装置10、10aで、ティーチング項目に対して入力されたティーチング結果を反映させる、なお、本実施形態の反映処理部28dは、ティーチング結果を所定の生産プログラムに反映させる。なお、制御部28の各部の動作については、生産管理装置2の動作ともに説明する。
【0035】
記憶部30は、メモリ等の一次記憶装置(主記憶装置)や、ストレージ等の二次記憶装置(補助記憶装置)であり、RAM(Random Access Memory)若しくはROM(Read Only Memory)若しくは半導体記憶デバイス又はこれらを組み合わせたものである。記憶部30は、生産管理装置2の動作を制御するためのコンピュータプログラムや、各種情報を記憶している。なお、一次記憶装置は、記憶部30だけでなく、制御部28にも備えられていてもよい。記憶部30は、生産プログラムデータベース30aと、部品データベース30bと、装置データベース30cと、予約ファイル30dと、ティーチングデータベース30eと、を有する。
【0036】
生産プログラムデータベース30aは、複数の生産プログラムをデータベースとして記憶している。部品データベース30は、基板に搭載する複数の電子部品に対する各種情報(大きさ、形状、重さ、使用用途、電子部品実装装置での保管状態等)がデータベースとして記憶されている。装置データベース30cは、電子部品実装装置10、10aに関する各種情報(個体識別番号、機能、能力等)がデータベースとして記憶されている。生産プログラムデータベース30aと、部品データベース30bと、装置データベース30cと、は、本実施形態では使用しない、生産プログラム、部品、装置の情報を記憶していてもよい。これにより、使用時の条件や制御対象が変化しても円滑に対応することができる。
【0037】
予約ファイル30dは、複数の生産プログラムから使用対象の生産プログラムを抽出して記憶するファイルである。つまり、電子部品実装装置10または電子部品実装装置10aで使用する生産プログラムの情報を保存する。
【0038】
ティーチングデータベース30eは、電子部品実装装置10、10aで入力されたティーチング結果をデータベースとて記憶する。生産管理装置2は、以上のような構成である。
【0039】
次に、図3から図5を用いて、電子部品実装装置10、10aについて説明する。図3は、電子部品実装装置の概略構成を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有するヘッドの説明図である。図5は、電子部品実装装置の概略構成を示すブロック図である。なお、電子部品実装装置10と電子部品実装装置10aとは、配置位置が異なるのみで基本的に同様の構成である。以下、代表して電子部品実装装置10について説明する。図3に示す電子部品実装装置10は、基板108の上に電子部品を搭載(実装)する装置である。図3に示すように、電子部品実装装置10は、基板搬送部112と、部品供給装置114と、ヘッド115と、XY移動機構116と、を有する。なお、基板108は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板108は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板108に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材(はんだ等)が付着している。
【0040】
基板搬送部112は、基板108を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部112は、X軸方向に延在するレールと、基板108を支持し、基板108をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部112は、基板108の面積が広い面(表面)がヘッド115と対面する向きで、基板108を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板108をX軸方向に搬送する。基板搬送部112は、基板108を電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板108を、レール上の所定の位置まで搬送する。ヘッド115は、前記所定の位置で、電子部品を基板108の表面に搭載する。基板搬送部112は、前記所定の位置まで搬送した基板108上に電子部品が搭載されたら、基板108を、次の工程(例えば、リフロー)を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部112の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板108の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組み合わせ、前記エンドレスベルトに基板108を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
【0041】
部品供給装置114は、電子部品実装装置10の他の構成要素に対して着脱可能で、移動可能な支持台125と、支持台125に支持され、基板108上に搭載する電子部品を多数保持する保持部126と、支持台125に支持され保持部126が保持する電子部品をヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド115で吸着可能な状態とするフィーダ部128と、を有する。なお、部品供給装置114は、保持部126とフィーダ部128とが1つのユニットとなり、支持台125上に一列で多数配置されている。保持部126とフィーダ部128で構成されるユニットは、支持台125に対して着脱可能であり、ユニット毎に入れ換えを行うことができるなお、部品供給装置114の保持部126とフィーダ部126で構成される部分には、としては、種々の構成を用いることができるが、本実施形態は、テープに電子部品を貼り付けた保持部126と、テープを一定量送り、電子部品を所定位置に露出した状態にするフィーダ部128とで構成されたテープフィーダである。
【0042】
ヘッド115は、部品供給装置114に保持された電子部品を吸着し、吸着した電子部品を基板搬送部112によって所定位置に移動された基板108上に搭載する機構である。ヘッド115については後述する。
【0043】
XY移動機構116は、ヘッド15を図3中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板108の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部122とY軸駆動部124とを有する。X軸駆動部122は、ヘッド115と連結しており、ヘッド115をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部124は、X軸駆動部122を介してヘッド115と連結しており、X軸駆動部122をY軸方向に移動させることで、ヘッド115をY軸方向に移動させる。XY移動機構116は、ヘッド115をXY軸方向に移動させることで、ヘッド115を基板108と対面する位置、または、部品供給装置114のフィーダ部128と対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構116は、ヘッド115を移動させることで、ヘッド115と基板108との相対位置を調整する。これにより、ヘッド115が保持した電子部品を基板108の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板108の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。なお、X軸駆動部122としては、ヘッド115を所定の方向(双方向)に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部124としては、X軸駆動部122を所定の方向(双方向)に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向(双方向)に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
【0044】
次に、図4を用いて、ヘッド115について説明する。図4は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有するヘッドの説明図である。ヘッド115は、X軸駆動部122によって駆動される。ヘッド115は、制御基板160と、Z軸モータ161と、θモータ162と、エア制御弁163と、基板認識カメラ164と、レーザアラインセンサ165と、電子部品を吸着するノズル(吸着ノズル)とを含む。制御基板160は、Z軸モータ161、エア制御弁163及びθモータ162等を駆動するための駆動回路を有している。
【0045】
Z軸モータ161は、吸着ノズルをZ軸方向に移動させる。この機能により、Z軸モータ161は、吸着ノズルを基板に接近させ、また、基板に接近させた吸着ノズルを基板から遠ざける。Z軸モータ161は、電子部品を吸着した吸着ノズルを基板に接近させ、電子部品を基板の端子電極に接触させることにより、電子部品を基板に搭載する。θモータ162は、Z軸を中心として吸着ノズルを、回転させる。Z軸は、XY平面に直交するが、XY平面は電子部品が搭載される基板の表面と平行であるため、θモータ162は、前記基板の表面と直交する軸を中心として前記ノズルを回転させる。θモータ162は、この機能により、電子部品と基板との位置関係を調整することができる。
【0046】
エア制御弁163は、吸着ノズルの吸引と吸引停止とを切り替える。すなわち、エア制御弁163は、吸着ノズルの開口部から空気を吸引させることによって、電子部品を吸着ノズルの開口部に吸着させる。また、エア制御弁163は、前記吸引を停止させることによって、吸着ノズルの開口部に吸着させられている電子部品を前記開口部から開放する。エア制御弁163は、このような動作を吸着ノズルにさせることによって、吸着ノズルによる電子部品の吸着と開放とを制御する。
【0047】
基板認識カメラ64は、基板108に設けられたアライメントマークの他、吸着位置基準等に設けられた認識マークを撮像する。この動作によって、基板認識カメラ164は、基板および基板を保持するステージの位置についての情報(位置情報)を検出する。基板認識カメラ164は、基板に電子部品を搭載している最中に前記位置情報を検出したり、電子部品の吸着位置のティーチング及び搭載位置の検査等において前記位置情報を検出したりする。レーザアラインセンサ165は、レーザ測定機能を有している。この機能により、ヘッド115と基板との距離、ヘッド115の傾斜等の情報を検出する。ヘッド115が有するZ軸モータ161及びθモータ162等の制御、吸着ノズルからの空気の吸引、基板認識カメラ164が検出した情報の伝送等のために、ヘッド115には、フレキシブルケーブル及び吸引チューブが束ねられたフレキシブルケーブル群166が接続されている。
【0048】
図5に示すように、電子部品実装装置10は、基板搬送部112と、部品供給装置114と、ヘッド115と、XY移動機構116と、に加え、表示部132と、操作部134と、通信部136と、制御部138と、記憶部140と、を有する。基板搬送部112と、ヘッド115と、XY移動機構116とは、上述したとおりである。また、図5に示すように部品制御装置114は、上述した構成に加え制御機能として供給制御部129を備える。供給制御部129は、保持部126に保持された電子部品の情報や、フィーダ部128の部品の供給動作を制御する。供給制御部129は、CPU等の演算と各種情報を記憶するメモリ等で構成される。
【0049】
表示部132は、ヘッド115で撮影した画像の情報や、制御部138から送られた情報を表示させる表示装置である。操作部134は、オペレータ(ユーザ)が操作を入力する入力装置である。操作部134の構成は、上述した生産管理装置2と同様に各種入力デバイスを用いることができる。操作部134は、入力された操作を操作信号として制御部138に送る。通信部136は、生産管理装置2と情報の送受信を行う通信機器である。ここで、通信部136は、生産管理装置2と有線の通信回線で接続されている。なお、通信回線は、無線通信の通信回線としてもよい。
【0050】
制御部138は、例えば、CPUである。制御部138は、各種情報また操作部134に入力された操作に基づいて、基板搬送部112、部品供給装置114、ヘッド115、XY移動機構116の動作を制御する。制御部138は、部品情報検出部138aを有する。制御部138は、部品供給装置114の供給制御部129から送られる情報や、ヘッド115で撮影した画像に基づいて、部品供給装置114のフィーダ部128に保持され、ヘッド115で吸着し基板に搭載可能な電子部品の情報を検出する。つまり部品情報検出部138は、部品供給装置114に備えられたフィーダ部128の配置構成、電子部品の供給体制を検出する。
【0051】
記憶部140は、メモリ等の一次記憶装置(主記憶装置)や、ストレージ等の二次記憶装置(補助記憶装置)であり、RAM(Random Access Memory)若しくはROM(Read Only Memory)若しくは半導体記憶デバイス又はこれらを組み合わせたものである。記憶部149は、電子部品供給装置10の動作を制御するためのコンピュータプログラムや、基板や電子部品の種類についての情報及び電子部品を基板に搭載する際に必要な情報等を記憶している。なお、一次記憶装置は、記憶部30だけでなく、制御部28にも備えられていてもよい。部品実装システム1は、以上のような構成である。
【0052】
次に、図6から図8を用いて、部品実装システム1の処理動作について説明する。図6は、生産管理装置の処理動作の一例を説明するための説明図である。図7は、生産管理装置の処理動作の一例を示すフロー図である。図8は、電子部品実装装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【0053】
部品実装システム1は、電子部品実装装置10、10aの部品供給装置114の保持部126およびフィーダ部128の構成を変更せずに複数の生産プログラムを実行することができる。つまり、部品実装システム1は、部品供給部114の保持部126およびフィーダ部128の構成を複数種類の実装パターンに対応可能な構成とすることで、部品供給装置114を交換せずに複数種類の基板に電子部品を実装することができる。
【0054】
本実施形態の生産管理装置2は、部品供給装置114の構成を変更せずに複数の生産プログラムを実行する場合、制御部28の各部で処理を実行し、ダミー生産プログラムを生成する。まず、制御部28は、実行する対象の生産プログラムが記憶されている予約ファイルから生産プログラムを読み出す。次に、制御部28は、ティーチング項目抽出部28bにより、読み出した生産プログラムの処理に必要な基板に実装する電子部品に関連するティーチング項目を全て抽出する。つまり、生産プログラムを実行するために準備する必要があるティーチング項目を全て抽出する。制御部28は、ダミー生産プログラム生成部28cにより、抽出した全てのティーチング項目を含むダミー生産プログラムを生成する。
【0055】
例えば、制御部28は、図6に示すように、第1生産プログラム210と第2生産プログラム220とが予約ファイルに記憶されている場合、ダミー生産プログラム生成部28cにより、第1生産プログラム210と第2生産プログラム220とに基づいてダミー生産プログラム230を生成する。
【0056】
第1生産プログラム210は、部品データリスト212と、フィーダ部データリスト214と、を備える。なお、第1生産プログラム210は、部品データリスト212と、フィーダ部データリスト214と、に加え、各電子部品を基板のどの位置に、どの順序で実装するか等の動作指示の情報を備えている。部品データリスト212は、実装する対象の電子部品のリストであり、「Compo−A」とそれに対応する各種データが記憶された項目212aと、「Compo−B」とそれに対応する各種データが記憶された項目212bと、「Compo−C」とそれに対応する各種データが記憶された項目212cと、を有する。なお、「Compo−アルファベット」は電子部品の名称の一例である。フィーダ部データリスト214は、部品データリスト212に記憶された電子部品を供給するフィーダ部の位置情報のリストであり、「Compo−A」を供給するフィーダ部の位置情報214aと、「Compo−A」を供給するフィーダ部の位置情報214bと、「Compo−B」を供給するフィーダ部の位置情報214cと、「Compo−C」を供給するフィーダ部の位置情報214dと、を有する。つまり、本実施形態の部品供給装置は、「Compo−A」を供給するフィーダ部を2つ備えている。
【0057】
第2生産プログラム220は、部品データリスト222と、フィーダ部データリスト224と、を備える。なお、第2生産プログラム220も、部品データリスト222と、フィーダ部データリスト224と、に加え、各電子部品を基板のどの位置に、どの順序で実装するか等の動作指示の情報を備えている。部品データリスト212は、「Compo−B」とそれに対応する各種データが記憶された項目222aと、「Compo−C」とそれに対応する各種データが記憶された項目222bと、「Compo−D」とそれに対応する各種データが記憶された項目222cと、「Compo−D」とそれに対応する各種データが記憶された項目222dと、を有する。フィーダ部データリスト224は、「Compo−B」を供給するフィーダ部の位置情報224aと、「Compo−C」を供給するフィーダ部の位置情報224bと、「Compo−D」を供給するフィーダ部の位置情報224cと、「Compo−E」を供給するフィーダ部の位置情報224dと、を有する。
【0058】
ダミー生産プログラム生成部28cは、第1生産プログラム210の部品データリスト212およびフィーダ部データリスト214と、第2生産プログラム220の部品データリスト222およびフィーダ部データリスト224と、を比較し、両方の項目を含むと部品データリスト232と、両方の位置情報を含むフィーダ部データリスト234を含むダミー生産プログラム230を生成する。
【0059】
部品データリスト232は、「Compo−A」とそれに対応する各種データが記憶された項目232aと、「Compo−B」とそれに対応する各種データが記憶された項目232bと、「Compo−C」とそれに対応する各種データが記憶された項目232cと、「Compo−D」とそれに対応する各種データが記憶された項目232dと、「Compo−E」とそれに対応する各種データが記憶された項目232eと、を有する。フィーダ部データリスト234は、「Compo−A」を供給するフィーダ部の位置情報234aと、「Compo−A」を供給するフィーダ部の位置情報234bと、「Compo−B」を供給するフィーダ部の位置情報234cと、「Compo−C」を供給するフィーダ部の位置情報234dと、「Compo−D」を供給するフィーダ部の位置情報234eと、「Compo−E」を供給するフィーダ部の位置情報234fと、を有する。
【0060】
なお、ダミー生産プログラム234は、項目212bと項目222a、項目212cと222bが、同一の項目であるので、部品データリスト232は、項目232b、項目232cとにまとめている。また、位置情報214cと位置情報224a、位置情報214dと位置情報224bが同一のフィーダ部の位置情報であるので、フィーダ部データリスト234は、位置情報234c、位置情報234dとにまとめている。
【0061】
ダミー生産プログラム生成部28cは、このようにして第1生産プログラム210、第2生産プログラム220で用いられる部品データの項目と、フィーダ部の位置情報を含有させてダミー生産プログラム230を生成する。これにより、ダミー生産プログラム生成部28cは、ダミー生産プログラム230を第1生産プログラム210および第2生産プログラム220の全てのティーチング項目を含む生産プログラムとすることができる。つまり、ダミー生産プログラム生成部28cは、第1生産プログラム210および第2生産プログラム220で使用する電子部品、フィーダ部を全て使用する生産プログラムであるため、第1生産プログラム210および第2生産プログラム220で使用する全ての電子部品、フィーダ部に対するティーチング項目を含ませることができる。
【0062】
次に、図7を用いて部品供給装置114の構成を変更せずに複数の生産プログラムを実行する場合の生産管理装置2の制御部28の処理動作を説明する。なお、図7に示す処理は、制御部28がプログラム管理部28aと、ティーチング項目抽出部28bと、ダミー生産プログラム生成部28cと、反映処理部28dを動作させることで各種処理を実行する。制御部28は、ステップS12として、ティーチング項目抽出部28aおよびダミープログラム生成部28cにより、予約ファイル内の生産プログラムからダミー生産プログラムを生成する。具体的には、図6で説明したように、複数の生産プログラムを対比し、予約ファイル内の生産プログラムで使用する電子部品、フィーダ部を全て使用する生産プログラムを作成する。
【0063】
制御部28は、ステップS12でダミー生産プログラムを生成したら、ステップS14として、プログラム管理部28aによりダミー生産プログラムを電子部品実装装置10、10aに送信する。つまり、予約フォルダ内に記憶された生産プログラムを実行する電子部品実装装置10、10aにダミー生産プログラムを送信する。制御部28は、ステップS14でダミー生産プログラムを送信したら、ステップS16として、ティーチング検出処理を実行する。具体的には、送信したダミー生産プログラムに対するティーチングを検出する処理を実行する。なお、ティーチング検出処理は、ダミー生産プログラムを受信した電子部品実装装置10、10aで実行され、制御部28は、ティーチング検出処理時は待機している。
【0064】
電子部品実装装置10、10aは、ティーチングを検出する処理を実行する。ここで、ティーチングとは、電子部品実装装置10、10aがダミー生産プログラムに含まれるティーチング項目に対して、当該電子部品実装装置10、10aに固有の値を入力する処理である。なお、ティーチング項目に対する入力は、オペレータが操作部134へ行なった入力操作を用いても、制御部138が各部から取得した情報を用いてもよい。
【0065】
電子部品実装装置10、10aは、ティーチング処理が行われた結果をティーチング結果として検出する。ティーチング結果は、電子部品実装装置10、10aがダミー生産プログラムを実行するために入力が必要なティーチング項目に対する入力結果である。電子部品実装装置10、10aは、ティーチング結果に基づいてダミー生産プログラムを更新し、更新したダミー生産プログラムを生産管理装置2に送信する。
【0066】
制御部28は、ステップS16でティーチング検出処理を実行したら、ステップS18として、電子部品実装装置10、10aから送信されるダミー生産プログラムを受信する。つまり、制御部28は、ステップS14でダミー生産プログラムを送信した後、待機しており、電子部品実装装置10、10aからダミー生産プログラムが送信されたらステップS18の処理を実行する。
【0067】
制御部28は、ステップS18でダミー生産プログラム(電子部品実装装置10、10aでティーチング項目が更新されたダミー生産プログラム)を受信したら、ステップS20として、反映処理部28dにより、ダミー生産プログラム情報を各生産プログラムへ反映させる。つまり、ステップS18で受信したダミー生産プログラムで更新されているティーチング項目の情報を予約ファイル30dに記憶されている生産プログラムのティーチング項目に反映させる。つまり、反映処理部28dは、ティーチング結果に基づいてデフォルト値で設定されている予約ファイル30dに記憶されている生産プログラムのティーチング項目を、電子部品実装装置10、10aの固有の特性に対応した情報に更新する。制御部28は、各生産プログラムにダミー生産プログラムの情報(ティーチング結果)を反映させたら、本処理を終了する。
【0068】
次に、図8を用いて部品実装処理時の電子部品実装装置10の処理動作を説明する。電子部品実装装置10aも電子部品実装装置10と同様の処理を行う。なお、図8に示すよりは、図7の処理が終了した後の処理である。電子部品実装装置10は、ステップS32として生産管理装置2から生産プログラムをダウンロードする。このとき、ダウンロードした生産プログラムは図7のステプS20でティーチング結果が反映された生産プログラムとなる。
【0069】
電子部品実装装置10は、ステップS32で生産プログラムをダウンロードしたら、ステップS34として、生産処理を実行する。つまり、電子部品実装装置10は、生産プログラムを処理して、各部を動作させ、基板に電子部品を実装させる。電子部品実装装置10は、ステップS34で生産処理を実行したら、ステップS36として、予約ファイル内の生産プログラム分の生産処理が終了したかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS36で終了していない(No)と判定した場合、ステップS32に進み、次の生産プログラムをダウンロードし、ステップS34でダウンロードした次の生産プログラムに基づいた生産処理を実行する。このように電子部品実装装置10は、予約ファイル内の生産プログラムによる生産処理が終了するまでステップS32、ステップS34の処理を繰り返す。電子部品実装装置10は、ステップS36で終了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0070】
部品実装システム1は、このように生産管理装置2で、予約ファイル内の生産プログラムに基づいて、当該生産プログラムに含まれるティーチング項目を全て含むダミー生産プログラムを作成する。部品実装システム1は、電子部品実装装置10でダミー生産プログラムに対するティーチング処理を実行してダミー生産プログラムを更新する。部品実装システム1は、生産管理装置2で更新したダミー生産プログラムからティーチング結果を抽出し、生産プログラムに反映させ、生産処理時は、反映させた生産プログラムを使用して電子部品を実装する。
【0071】
これにより、部品実装システム1は、ティーチング処理をダミー生産プログラムにて一括で実施することができ、生産プログラム切換時に毎回ティーチング処理を実行しなくても、生産プログラムを実行させることができる。これにより、生産プログラム切換時のティーチング作業(段取り作業)を排除し、オペレータ作業の介在なしでの連続生産が可能となる。これにより、作業効率を向上させることができる。また、ティーチング処理をダミー生産プログラムにて一括で実施する事により、複数の生産プログラム間で重複した部品データや吸着データのティーチング作業を一度に実施する事ができ、ティーチング作業(段取り作業)の作業時間を短縮することができ、オペレータの作業負荷を軽減することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、ダミー生産プログラム生成部28cがティーチング項目抽出部28bの機能を兼ねてもよい。つまり、ダミー生産プログラムの生成によりティーチング項目の抽出を実行するようにしてもよい。
【0073】
また、本実施形態のように、ダミー生産プログラムを生成し、ダミー生産プログラムにティーチング処理を実行することで、オペレータは、生産プログラムに対してティーチング処理を実行している操作と同様の操作で、予約フォルダ内の生産プログラムに対するティーチング処理を実行することができる。これより、オペレータは、通常のティーチングと同様に操作を実行することができ、慣れない作業を行うことを抑制でき、作業負荷の増加を抑制できる。上記実施形態では、ダミー生産プログラム生産部28cでダミー生産プログラムを生成したがこれに限定されない。
【0074】
ここで、図9は、生産管理装置の処理動作の一例を示すフロー図である。なお、図9に示す処理は、制御部28がプログラム管理部28aと、ティーチング項目抽出部28bと、反映処理部28dを動作させることで各種処理を実行する。制御部28は、ステップS40として、ティーチング項目抽出部28aにより、予約ファイル内の生産プログラムからティーチングが必要な項目を抽出する。具体的には、複数の生産プログラムを対比し、予約ファイル内の生産プログラムで使用する全ての電子部品、フィーダ部に対するティーチング項目を抽出する。
【0075】
制御部28は、ステップS40でティーチング項目を抽出したら、ステップS42として、ティーチング項目抽出部28aにより、ティーチング項目をデータベース(ティーチングデータベース)に格納する。制御部28は、ステップS42の処理を行ったら、ステップS44として実装装置(電子部品実装装置10)にティーチング開始コマンドを送信する。なお、ティーチング開始コマンドとは、電子部品実装装置10がティーチング処理を開始させる指示である。電子部品実装装置10は、ティーチング開始コマンドを受信した場合、ティーチング処理を開始する。
【0076】
制御部28は、ステップS44でティーチング開始コマンドを送信したら、ステップS46として、ティーチング検出処理を実行する。ここで、ステップS46のティーチング検出処理は、制御部28からティーチングデータベース30eに格納されたティーチング項目を電子部品実装装置10に送信し、電子部品実装装置10で受信したティーチング項目に対するティーチングを実行し、ティーチング結果を検出する処理である。なお、ティチング検出処理は、ティーチングデータベース30eに格納された全てのティーチング項目に対して、ティーチング結果を検出するまで実行される。
【0077】
制御部28は、ステップS46でティーチング検出処理を実行したら、ステップS48として、電子部品実装装置10から送信されるティーチング結果を受信する。制御部28は、ステップS48でティーチング結果を受信したら、ステップS50として、反映処理部28dにより、ティーチング情報(ティーチング結果に対応する情報)を各生産プログラムへ反映させる。つまり、ステップS48で受信したティーチング項目の情報を予約ファイル30dに記憶されている生産プログラムのティーチング項目に反映させる。つまり、反映処理部28dは、ティーチング結果に基づいてデフォルト値で設定されている予約ファイル30dに記憶されている生産プログラムのティーチング項目を、電子部品実装装置10、10aの固有の特性に対応した情報に更新する。制御部28は、各生産プログラムにティーチング結果を反映させたら、本処理を終了する。
【0078】
部品実装システム1(生産管理装置2)は、このように抽出したティーチング項目をそのまま電子部品実装装置10、10aに送信し、ティーチングを実行するようにしてもよい。つまりダミー生産プログラムを生成せずに、電子部品実装装置10でティーチングを実行するモードを起動させ、ティーチング項目に対する入力を実行させ、当該入力結果を生産プログラムに反映させるようにしてもよい。この場合も、予約ファイルに記憶されている生産プログラムに対するティーチング項目へのティーチングを一括で行うことで同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、上記実施形態では、一括で検出したティーチング結果を生産プログラムに反映させて、生産プログラムの切換時のティーチング操作を省略可能としたがこれに限定されない。
【0080】
図10は、生産管理装置および電子部品実装装置の処理動作の一例を示すフロー図である。図10に示す処理は、ティーチング結果を生産プログラムに反映させない場合の動作の一例である。なお、図10に示す処理は、部品実装システム1の生産管理装置4および電子部品実装装置10、10aで各種処理が実行される。なお、図10に示す処理の一部は、図9に示す処理同様である。
【0081】
部品実装システム1は、生産管理装置4により図9と同様にステップS40からステップS48の処理を実行し、ティーチング結果を受信する。なお、ステップS40からステップS48の処理は、図9の処理と同様であるので、説明は省略する。
【0082】
部品実装システム1は、ステップS48でティーチング結果を受信したら、ステップS60として、反映処理部28dによりティーチング情報(ティーチング結果に対応する情報)を電子部品実装装置10のメモリに保存する。ここで、メモリとしては、制御部138のメモリ、記憶部140のメモリまたは供給制御部129のメモリを用いることができる。供給制御部129のメモリを用いる場合、各フィーダ部に当該フィーダ部に対応するティーチング情報を保存することができる。
【0083】
部品実装システム1は、ステップ60で、ティーチング情報をメモリに保存したら、ステップS62として、生産管理装置4から電子部品実装装置10に生産プログラムをダウンロードする。電子部品実装装置10は、ステップS62で生産プログラムをダウンロードしたら、ステップS64としてメモリのティーチング情報の反映処理を実行する。つまり、生産プログラムのティーチング項目に対してステップS60で保存されたティーチング情報を反映させる。部品実装システム1は、ステップS64で反映処理を行ったら、ステップS66として、生産処理を実行する。つまり、部品実装システム1は、電子部品実装装置10で生産プログラムを処理して、各部を動作させ、基板に電子部品を実装させる。部品実装システム1は、ステップS66で生産処理を実行したら、ステップS38として、電子部品実装装置10で予約ファイル内の生産プログラム分の生産処理が終了したかを判定する。部品実装システム1は、ステップS66で終了していない(No)と判定した場合、ステップ62に進み、次の生産プログラムをダウンロードし、ステップS64で反映処理を行い、ステップS66でダウンロードした次の生産プログラムに基づいた生産処理を実行する。このように、部品実装システム1は、予約ファイル内の生産プログラムによる生産処理が終了するまでステップS62、ステップS64、ステップS66の処理を繰り返す。部品実装システム1は、ステップS68で終了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0084】
このように、部品実装システム1は、一括して検出したティーチング結果を、生産プログラムが実行される毎に反映することでも、生産プログラムの切換毎にオペレータがティーチング処理を行う必要がなくなり、さらに共通するティーチング項目に対するティーチングを一度に済ませることができ、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 部品実装システム
2 生産管理装置
4 基板供給装置
10 電子部品実装装置
11 基板回収装置
12 基板搬送装置
22 表示部
24 操作部
26 通信部
28 制御部
28a プログラム管理部
28b ティーチング項目抽出部
28c ダミー生産プログラム生成部
28d 反映処理部
30 記憶部
30a 生産プログラムデータベース
30b 部品データベース
30c 装置データベース
30d 予約ファイル
30e ティーチングデータベース
108 基板
112 基板搬送部
114 部品供給装置
115 ヘッド
116 XY移動機構
122 X軸駆動部
124 Y軸駆動部
125 支持台
126 保持部
128 フィーダ部
129 供給制御部
210 第1生産プログラム
220 第2生産プログラム
230 ダミー生産プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給装置に保持される電子部品を吸着して移動させて基板に実装する電子部品実装装置に、前記基板に前記電子部品を実装する動作を実行させる生産プログラムを管理し、前記電子部品実装装置で実行する実装動作を管理する生産管理装置であって、
前記電子部品実装装置と情報の送受信を行う通信部と、
前記電子部品実装装置で実行する複数の生産プログラムを記憶する記憶部と、
前記通信部で前記電子部品実装装置に送信する生産管理プログラムを管理するプログラム管理部、前記記憶部に記憶した複数の生産プログラムのうち前記部品供給装置に保持されている電子部品の構成が同一の構成のままで実行される複数の前記生産プログラムを抽出した予約ファイルに含まれる生産プログラムで前記基板に実装する電子部品に関連するティーチング項目を全て抽出するティーチング項目抽出部、および前記ティーチング項目抽出部で抽出したティーチング項目に対して入力されたティーチング結果を取得し、前記ティーチング結果を反映させる反映処理部を備える制御部と、を有することを特徴とする生産管理装置。
【請求項2】
前記ティーチング項目抽出部は、複数の生産プログラム間で重複するティーチング項目を、1つのティーチング項目として抽出することを特徴とする請求項1に記載の生産管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ティーチング項目抽出部で抽出したティーチング項目を全て含むダミー生産プログラムを生成するダミー生産プログラム生成部をさらに有し、
前記プログラム管理部は、前記電子部品実装装置に前記ダミー生産プログラムを送信し、
前記反映処理部は、前記電子部品実装装置が前記ダミー生産プログラムに対して入力した結果を前記ティーチング結果として取得することを特徴とする請求項1または2に記載の生産管理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記ティーチング項目を記憶するティーチングデータベースを有し、
前記ティーチング項目抽出部は、抽出した前記ティーチング項目を前記ティーチングデータベースに記憶させ、
前記プログラム管理部は、前記電子部品実装装置に前記データベースを送信し、
前記反映処理部は、前記電子部品実装装置が前記データベースに対して入力した結果を前記ティーチング結果として取得することを特徴とする請求項1または2に記載の生産管理装置。
【請求項5】
前記反映処理部は、前記ティーチング結果を前記予約ファイルの前記生産プログラムに反映させ、
前記プログラム管理部は、前記電子部品実装装置にティーチング結果を反映させた前記生産プログラムを送信することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の生産管理装置。
【請求項6】
電子部品を吸着するノズルを備えるヘッド本体と、前記ノズルで吸着される電子部品を保持するフィーダ部を複数備える部品供給装置と、を備える少なくとも1つの電子部品実装装置と、
請求項1から5のいずれか一項に記載の生産管理装置と、を有することを特徴とする部品実装システム。
【請求項7】
電子部品を吸着するノズルを備えるヘッド本体と、前記ノズルで吸着される電子部品を保持するフィーダ部を複数備える部品供給装置と、を備える少なくとも1つの電子部品実装装置と、
請求項1から4のいずれか一項に記載の生産管理装置と、を有し、
前記反映処理部は、前記ティーチング結果を前記通信部により前記電子部品実装装置に出力し、
前記電子部品実装装置は、前記生産管理装置から供給された前記ティーチング結果を保存し、保存した前記ティーチング結果を前記生産管理装置から供給された前記生産プログラムに反映させることを特徴とする部品実装システム。
【請求項8】
前記電子部品実装装置は、ティーチングデータの入力を検出する操作部をさらに備えることを特徴とする請求項6または7に記載の部品実装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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