説明

生産計画システムおよび生産計画方法、制御プログラム、可読記憶媒体

【課題】複数生産拠点(工程)に跨った生産を行う場合の在庫量など、生産全体の最適化、例えば、最終工程の出荷計画に従い、前工程のランク派生率を最適化して、素子ランク在庫、例えば組み合わせて残った良品ではあるが販売できない在庫を削減すると共に、デリバリ(納期)リスクを低減する。
【解決手段】LED素子生産工程11のランク在庫量111が使えるように、素子生産パラーメータとしてのチップ素子の発光特性や蛍光体の発光特性および発光量(樹脂配合)を最適値に制御して、余ったランク在庫量111を消化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばLSI製造工場の化合物半導体工場などへの再開発やマニュアル工場において、例えば発光ダイオード(LED)や半導体レーザ素子などの半導体発光素子などの半導体素子を製造する際の生産を計画する生産計画システムおよびこれを用いた生産計画方法、この生産計画方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム、この制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLSI製造工場などにおいて、特許文献1では、生産計画システムにおいて、受注する製品を標準ユニットと特注ユニットとに区分して、標準ユニットと特注ユニットに対して受注を示す受注コードに対応する製造管理番号を付与し、標準ユニットについては在庫品の引当てまたは購買手配を行い、特注ユニットについては個別受注を待って設計製造を行い、管理番号を有する生産された特注ユニットと、製造管理番号を有する引当てまたは購買された標準ユニットとを用いて受注コードを有する製品を組立てる工程を有している。
【0003】
特許文献2では、生産計画作成システムにおいて、生産プラントにおける生産設備のそれぞれにおける生産処理の順序、および、各生産処理における生産量からなる時系列の生産計画を、予め定められる生産設備に対応する生産順序パターン情報と、この生産設備における生産所要量とに基づいて時系列生産計画を設定する順序計画作成部と、この順序計画作成部により設定された生産設備のそれぞれにおける時系列の生産計画を、生産設備の前段および後段のタンクの時系列の在庫状況と、生産設備の前段および後段の生産設備における時系列の生産計画との少なくともいずれかに基づいて生産計画を調整する自律協調山崩部とを有している。
【0004】
特許文献3では、生産計画システムにおいて、消費材の生産に用いられる生産材の生産量と在庫量とを、所定数量の生産材毎に付けられた情報伝達ツールから得られる情報と消費材の予測需要とに基づいて管理する生産・在庫管理装置と、生産材のうちで消費材の生産に実際に使用されたものの数量を、所定数量の生産材毎に付けられた情報伝達ツールから得られる情報に基づいて集計する払出管理装置と生産計画システムに具備させ、生産・在庫管理装置には、払出管理装置の集計結果から求めた消費財の実需要が予測需要から外れていたときに、上記の集計結果に基づいて生産材の生産量を修正する計画修正部を設けている。
【0005】
特許文献4では、分散型生産計画システムにおいて、受注情報や販売戦略を基に生産計画、発注計画、工程計画の策定を行う計画系モジュール群と、施設内の物流管理、製造管理の策定を行う管理系モジュール群と、施設内の設備の監視制御を行う制御系モジュール群と、これらの3つのモジュール群が取り扱うデータ群を格納し相互に結合させるデータベースと、このデータベースに格納するデータ群を管理するデータベースサーバとを備え、データベースを介して各機能モジュールを結合しシステム機能を分散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−58225号公報
【特許文献2】特開2006−227704号公報
【特許文献3】特開2009−169826号公報
【特許文献4】特開平10−40298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている従来技術では、例えば少量生産時に受注に対して製品区分を行い在庫引当てや購買手配を行うことにより在庫発生を防止するシステムであって、単独の生産拠点(工程)内を対象とした管理技術であって、複数生産拠点(工程)に跨った生産を行う場合の管理技術ではない。このように、他の特許文献2〜4に開示されている従来技術においても、複数生産拠点(工程)に跨って生産を行う場合に、生産計画や在庫管理とプロセス制御を連動させて、在庫が発生しない総合的な生産計画の技術については何ら報告されていない。
【0008】
このような生産拠点(工程)内の生産および購買管理では、垂直統合で各生産拠点に跨った全体的な最適管理ができないため、前工程で不動在庫が発生してしまうという問題があった。
【0009】
特に、例えば液晶表示装置などに用いるLED発光素子を用いた照明装置(バックライト)などにおいて、視覚に影響する用途で使用する場合に、発光特性を均一にするため、LED素子の発光特性をランク分けし、発光ランクを組み合わせて、例えば照明装置(バックライト)などとして、液晶表示装置などの各種電子機器に使用する必要があるが、一方、LED素子製造時の発光特性のばらつきから一定割合で各ランク素子が生産されるため、組み合わせて残った売れないランク在庫が発生していた。
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、複数生産拠点(工程)に跨った生産を行う場合の在庫量など、生産全体の最適化、例えば、最終工程の出荷計画に従い、前工程のランク派生率を最適化して、素子ランク在庫、例えば組み合わせて残った良品ではあるが販売できない在庫を削減すると共に、デリバリ(納期)リスクを低減することができる生産計画システムおよびこれを用いた生産計画方法、この生産計画方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム、この制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の生産計画システムは、素子生産で素子特性のランク分けを伴う生産において、出荷製品の出荷計画から素子ランク毎の素子所要量を算出する素子所要量算出手段と、該出荷製品の出荷計画から製品機種毎の生産計画を算出する製品生産計画算出手段と、素子在庫を差し引いた素子の生産計画を算出する素子生産計画算出手段と、該素子ランクの取れ数を予測し、素子総ランク在庫を算出する素子総ランク在庫算出手段と、素子ランク在庫が最小となるように素子生産パラーメータの最適値を求める素子生産パラーメータ最適値算出手段と、該素子生産パラーメータの最適値を各生産拠点に指示する素子生産パラーメータ最適値指示手段とを有したものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0012】
また、好ましくは、本発明の生産計画システムにおいて、前記出荷製品の出荷計画から前記素子ランク在庫が最小となる製品機種割り当てを計算する第1製品機種割当計算手段と、該出荷製品の出荷計画と前記素子ランク在庫から製品デリバリー日程を優先して製品機種割り当てを計算する第2製品機種割当計算手段と、該出荷製品の出荷計画と前記素子ランク在庫から製品生産数量が最大となる製品機種割り当てを計算する第3製品機種割当計算手段とのうちのいずれかを更に有する。
【0013】
さらに、好ましくは、本発明の生産計画システムにおける特定ユーザ向けの出荷製品を優先して素子生産を割り当てる特定素子生産割当手段を更に有する。
【0014】
本発明の生産計画方法は、素子所要量算出手段が、素子生産で素子特性のランク分けを伴う生産において、出荷製品の出荷計画から素子ランク毎の素子所要量を算出する素子所要量算出工程と、製品生産計画算出手段が、該出荷製品の出荷計画から製品機種毎の生産計画を算出する製品生産計画算出工程と、素子生産計画算出手段が、素子在庫を差し引いた素子の生産計画を算出する素子生産計画算出工程と、素子総ランク在庫算出手段が、該素子ランクの取れ数を予測し、素子総ランク在庫を算出する素子総ランク在庫算出工程と、素子生産パラーメータ最適値算出手段が、素子ランク在庫が最小となるように素子生産パラーメータの最適値を求める素子生産パラーメータ最適値算出工程と、素子生産パラーメータ最適値指示手段が、該素子生産パラーメータの最適値を各生産拠点に指示する素子生産パラーメータ最適値指示工程とを有したものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0015】
また、好ましくは、本発明の生産計画方法において、第1製品機種割当計算手段が、前記出荷製品の出荷計画から前記素子ランク在庫が最小となる製品機種割り当てを計算する第1製品機種割当計算工程と、第2製品機種割当計算手段が、該出荷製品の出荷計画と前記素子ランク在庫から製品デリバリー日程を優先して製品機種割り当てを計算する第2製品機種割当計算工程と、第3製品機種割当計算手段が、該出荷製品の出荷計画と前記素子ランク在庫から製品生産数量が最大となる製品機種割り当てを計算する第3製品機種割当計算工程とのうちのいずれかを更に有する。
【0016】
さらに、好ましくは、本発明の生産計画方法において、特定素子生産割当手段が、特定ユーザ向けの出荷製品を優先して素子生産を割り当てる特定素子生産割当工程を更に有する。
【0017】
本発明の制御プログラムは、本発明の上記生産計画方法の各工程をコンピュータに実行させるための処理手順が記述されたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0018】
本発明の可読記憶媒体は、本発明の上記制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能なものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0019】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0020】
本発明においては、素子生産で素子特性のランク分けを伴う生産において、出荷製品の出荷計画から素子ランク毎の素子所要量(パッケージをどれだけ作ろうとしたらどれだけの素子所要量がいるか:複数パラメータの考慮必要)を算出する素子所要量算出手段と、出荷製品の出荷計画から製品機種毎の生産計画を算出する製品生産計画算出手段と、素子在庫を差し引いた素子の生産計画を算出(不足分を算出、どれだけ作る必要があるか)する素子生産計画算出手段と、素子ランクの取れ数を予測し(所定条件で作っているのでどのようなランクのものがどれだけできるか)、素子総ランク在庫を算出する素子総ランク在庫算出手段と、素子ランク在庫が最小となるように素子生産パラーメータの最適値(最適条件)を求める素子生産パラーメータ最適値算出手段と、素子生産パラーメータの最適値を各生産拠点に指示する素子生産パラーメータ最適値指示手段とを有している。
【0021】
これによって、複数生産拠点(工程)に跨った生産を行う場合の在庫量など、生産全体の最適化、例えば、最終工程の出荷計画に従い、前工程のランク派生率予測+素子ランク在庫から最終工程の出荷計画を満足し、且つ、最終工程の生産可能数量を最大化する事を目的に、前工程のランク派生率を最適化して、素子ランク在庫、例えば組み合わせて残った良品ではあるが販売できない在庫を削減すると共に、デリバリ(納期)リスクを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上により、本発明によれば、複数の生産拠点(工程)に跨った生産計画の最適化と、生産パラメータ制御機能を融合した生産計画システムにより、ランク管理が必要なデバイスカテゴリにおいて、複数生産拠点(工程)に跨った生産を行う場合の在庫量など生産全体の最適化、例えば、最終工程の出荷計画に従い、前工程のランク派生率を最適化して、素子ランク在庫、例えば組み合わせて残った良品ではあるが販売できない在庫を削減すると共に、デリバリ(納期)リスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態における生産計画システムの要部ハード構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の生産計画システムを用いた生産計画方法を説明するためのブロック図である。
【図3】LED素子の生産実績例における各チップランク毎の生産パーセントを示す図である。
【図4】生産LED素子の色ランクを模式的に示す色度図である。
【図5】生産LED素子をパッケージした在庫a〜cをモジュール工程で組み合わせる場合を簡単に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の生産計画システムおよびこれを用いた生産計画方法の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態における生産計画システムの要部ハード構成例を示すブロック図である。
【0026】
図1において、本実施形態の生産計画システム1は、全体の制御を行う制御部としてのCPU(中央演算処理装置)2と、CPU2に対して入力指令を行うためのキーボード、マウス、タッチパネルおよびペン入力装置、さらには通信ネットワーク(例えばインターネットやイントラネット)を介して受信入力する入力装置3と、表示画面上に、初期画面、選択場面、CPU2による制御結果画面および操作入力画面などを表示する表示部4と、他の生産計画システムと情報交換可能とする通信部5と、制御プログラムおよびそのデータなどが記憶されたコンピュータ読み出し可能な可読記録媒体としてのROM6と、起動時に制御プログラムおよびそのデータなどが読み出されて、CPU2による制御毎にデータを読み出し・記憶するワークメモリとして働く記憶部としてのRAM7と、他の生産計画システムから受信した生産計画情報を含み、生産計画処理における各種データを記憶すると共にこれを参照可能とするためのデータベース8とを有している。
【0027】
CPU2(制御部)は、入力装置3からの入力指令の他、ROM6内からRAM7内に読み出された制御プログラムおよびこれに用いる各種データに基づいて、素子生産で素子特性のランク分けを伴う生産において、出荷製品の出荷計画から素子ランク毎の素子所要量を算出する素子所要量算出手段21と、出荷製品の出荷計画から製品機種毎の生産計画を算出する製品生産計画算出手段22と、素子在庫を差し引いた素子の生産計画を算出する素子生産計画算出手段23と、素子ランクの取れ数を予測し、素子総ランク在庫を算出する素子総ランク在庫算出手段24と、素子ランク在庫が最小となるように素子生産パラーメータの最適値を求める素子生産パラーメータ最適値算出手段25と、素子生産パラーメータの最適値を各生産拠点に指示する素子生産パラーメータ最適値指示手段26と、出荷製品の出荷計画から製品機種割り当てを計算する製品機種割当計算手段27と、特定ユーザ向けの出荷製品を優先して素子生産を割り当てる特定素子生産割当手段28とを有している。
【0028】
製品機種割当計算手段27は、出荷製品の出荷計画から素子ランク在庫が最小となる製品機種割り当てを計算する第1製品機種割当計算手段と、出荷製品の出荷計画と素子ランク在庫から製品デリバリー日程を優先して製品機種割り当てを計算する第2製品機種割当計算手段と、出荷製品の出荷計画と素子ランク在庫から製品生産数量が最大となる製品機種割り当てを計算する第3製品機種割当計算手段とを有している。
【0029】
ROM6は、ハードディスク、光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどの可読記録媒体(記憶手段)で構成されている。この制御プログラムおよびこれに用いる各種データは、携帯自在な光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどからROM6にダウンロードされてもよいし、コンピュータのハードディスクからROM6にダウンロードされてもよいし、無線または有線、インターネットなどを介してROM6にダウンロードされてもよい。後述する生産計画方法をコンピュータに実行させるための処理手順が記述された制御プログラムをコンピュータ読み取り可能な可読記憶媒体に格納して、コンピュータ(CPU2)により生産計画立案するものである。
【0030】
データベース8は、CPU2による生産計画中に中間データとして生成される各種データを、その都度格納すると共に、必要に応じてこれらを参照可能としている。なお、データベース8はRAM7と一体で同じ記憶手段として構成されていてもよい。
【0031】
図2は、図1の生産計画システム1を用いた生産計画方法を説明するためのブロック図である。
【0032】
図2に示すように、例えばLED素子を生産するLED素子生産工程11(LED素子生産工場)や、生産されたLED素子がパッケージングされた後、発光特性を均一にするため、LED素子の発光特性をランク分けし、異なる発光ランクを組み合わせて、例えば照明装置(例えば矩形面発光用の透明導光板のエッジ部に向けて、各発光ランクのLED素子が配列されたバー基板から光入射させて面発光させるバックライトの他に、各発光ランクのLED素子が2次元状でマトリクス状に配列された面発光のバックライトなど)などの素子モジュールとしてのLEDモジュールを生産するLEDモジュール生産工程12(LEDモジュール生産工場)などの複数生産拠点(工程)に跨って生産を行っている。
【0033】
この場合、生産計画システム1は、製品(モジュール)出荷計画13およびモジュール在庫121に基づいて、製品(モジュール)生産計画14を実行する。また、生産計画システム1は、製品(モジュール)生産計画14と、素子ランク在庫量111および、ランク取れ数予測量15に基づく素子ランク供給見込みとに基づいて、モジュール機種割り当て16(ランク使用量に基づいた生産機種割り当て)を最適化すると共に、新規投入必要な素子ランク毎の必要量を算出する素子ランク毎素子必要数量計算17を実行する。さらに、生産計画システム1は、素子出荷歩留りが最も良くなるように、LED素子生産工程11に対して素子ランク毎素子必要数量計算17による計算結果に基づいてLED素子生産投入112を行うと共に、モジュール機種割り当て16によるランク取れ数予測量15から、素子生産パラメータ113を調整制御し、かつ、LEDモジュール生産工程12に対してモジュール機種割り当て16に基づいてLEDモジュール生産投入122を行うことによって、生産計画機能と生産パラメータ調整機能とを統合している。
【0034】
生産計画システム1では、どういう素子ランクのものをどのようにバー基板として組み付けていけば、素子出荷歩留りが最も良くなり、かつ最も生産効率が上がるのかを解決している。この素子ランクの組み合わせにより、バックライトを構成するバー基板ができるので、どの素子ランクのLED素子をどのように使うのかの組み合わせ計算をすれば、在庫量が減るのかまたはより多くの製品(モジュール)が作れるのかが分かる。この素子ランクの割り当て調整だけでは素子在庫量111の削減は不十分であり、素子生産パラメータ113として、支給/投入チップランクを制御すると共に、パッケージ工程における樹脂配合量(蛍光体配合量)の適正化/管理を行う必要がある。チップ素子はエネルギーの最も高い青色光を用い、赤と緑の蛍光体を透明樹脂に混合して白色光が出射するようにしている。例えば赤と緑の蛍光体を混合する比率や、LED素子の色や発光波長が変わっても素子ランクが変わることから、余ったランク在庫量111が使えるように、チップ素子の発光特性や蛍光体の発光特性および発光量を制御して、余ったランク在庫量111を消化するようにしている。
【0035】
要するに、生産計画システム1を用いた生産計画方法は、素子所要量算出手段21が、素子生産で素子特性のランク分けを伴う生産において、出荷製品の出荷計画から素子ランク(明るさ等の複数のパラメータ)毎の素子所要量を算出する素子所要量算出工程と、製品生産計画算出手段22が、出荷製品の出荷計画から製品機種毎の生産計画を算出する製品生産計画算出工程と、素子生産計画算出手段23が、素子在庫を差し引いた素子の生産計画を算出(不足分を算出、どれだけ作る必要があるか)する素子生産計画算出工程と、素子総ランク在庫算出手段24が、素子生産パラーメータから素子ランクの取れ数を予測(素子生産パラーメータとしての所定条件で素子を作っているのでどのような素子ランクのものがどれだけ作れるか)して、素子総ランク在庫を算出する素子総ランク在庫算出工程と、素子生産パラーメータ最適値算出手段25が、素子ランク在庫が最小となるように素子生産パラーメータの最適値(最適生産条件)を求める素子生産パラーメータ最適値算出工程と、素子生産パラーメータ最適値指示手段26が、素子生産パラーメータの最適値を各生産拠点(LED素子生産工程11)に指示する素子生産パラーメータ最適値指示工程と、製品機種割当計算手段27が、出荷製品の出荷計画から製品機種割り当てを計算する製品機種割当計算工程と、特定素子生産割当手段28が、特定ユーザ向けの出荷製品を優先して素子生産を割り当てる特定素子生産割当工程とを有している。
【0036】
図3は、LED素子の生産実績例における各チップランク毎の生産パーセントを示す図である。
【0037】
図3に示すように、LED素子の生産実績例において、ランク9やランク10が最も多く生産され、ランク3やランク4が次に多く生産されていることが分かる。この他、複数のパラメータを考慮する必要がある。LEDモジュール生産工程12において、ランクの組み合わせにより、バックライトを構成するバー基板を作製するが、ダイオード順方向電圧Vfはトータルの順方向電圧Vfを一定にする。色温度「い」は色温度ランクの真ん中位置であるから全て色温度「い」でもよいが、色温度「う」を混ぜたときは色温度「あ」も混ぜるとその平均が色温度「い」になるようにしている。チップ素子はエネルギーの高い青色光を用いており、赤と緑の蛍光体を透明樹脂に混合して白色光が出射するようにしている。要するに、出荷可能な素子ランクが生産できるように素子生産パラーメータとしてのチップランク(チップ素子の発光特性)や樹脂配合(蛍光体の発光特性および発光量)を制御している。即ち、LED素子生産工程11のランク在庫量111が使えるように、素子生産パラーメータとしてのチップ素子の発光特性や蛍光体の発光特性および発光量を最適値に制御して、余ったランク在庫量111を消化する。
【0038】
図4は、生産LED素子のあるランクを模式的に示す図である。
【0039】
図4に示すように、図において、生産LED素子のあるランクを「あ」、「い」、「う」に区分けすることができる。赤と緑の樹脂配合比を変えると色度が変化し、樹脂配合量自体を変えると蛍光の明るさも変化する。光の明るさ(輝度)は、樹脂量(蛍光体の量)によって明るさが強くなるし、チップ自体の発光調整でも明るさを変化させることができる。
【0040】
図5は、生産LED素子をパッケージした在庫a〜cをモジュール工程で組み合わせる場合を簡単に示す図である。
【0041】
図5に示すように、生産LED素子をパッケージ化したパッケージ在庫a〜cをモジュール工程において、パッケージ在庫a、bを組み合わせてモジュール11とし、パッケージ在庫b、aを組み合わせてモジュール12とし、パッケージ在庫c、aを組み合わせてモジュール13として出荷している。
【0042】
以上により、本実施形態1によれば、LED素子生産工程11のランク在庫量111が使えるように、素子生産パラーメータとしてのチップ素子の発光特性や蛍光体の発光特性および発光量(樹脂配合)を最適値に制御して、余ったランク在庫量111を消化するため、複数の生産拠点(工程)に跨った生産計画の最適化と、生産パラメータ制御機能を融合した生産計画システム1により、素子ランク管理が必要なデバイスカテゴリにおいて、複数生産拠点(工程)に跨った生産を行う場合の在庫量など生産全体の最適化、例えば、最終工程の出荷計画に従い、前工程のランク派生率を最適化して、素子ランク在庫、例えば各素子ランクを組み合わせて残った良品ではあるが販売できない在庫を削減すると共に、デリバリ(納期)リスクをも低減することができる。
【0043】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば、LEDパッケージ工場、LEDモジュール工場において、ランクの異なる半導体素子を用いた生産を行う際の生産を管理する生産計画システムおよびこれを用いた生産計画方法、この生産計画方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム、この制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記憶媒体の分野において、LED素子生産工程のランク在庫量が使えるように、素子生産パラーメータとしてのチップ素子の発光特性や蛍光体の発光特性および発光量(樹脂配合)を最適値に制御して、余ったランク在庫量を消化するため、複数の生産拠点(工程)に跨った生産計画の最適化と、生産パラメータ制御機能を融合した生産計画システム1により、素子ランク管理が必要なデバイスカテゴリにおいて、複数生産拠点(工程)に跨った生産を行う場合の在庫量など生産全体の最適化、例えば、最終工程の出荷計画に従い、前工程のランク派生率を最適化して、素子ランク在庫、例えば各素子ランクを組み合わせて残った良品ではあるが販売できない在庫を削減すると共に、デリバリ(納期)リスクをも低減することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 生産計画システム
2 CPU(中央演算処理装置;制御部)
3 入力装置
4 表示部
5 通信部
6 ROM
7 RAM
8 データベース
11 LED素子生産工程
111 素子ランク在庫量
112 LED素子生産投入
113 素子生産パラメータ
12 LEDモジュール生産工程
121 モジュール在庫
122 LEDモジュール生産投入
13 製品(モジュール)出荷計画
14 製品(モジュール)生産計画
15 ランク取れ数予測量
16 モジュール機種割り当て
17 素子ランク毎素子必要数量計算
21 素子所要量算出手段
22 製品生産計画算出手段
23 素子生産計画算出手段
24 素子総ランク在庫算出手段
25 素子生産パラーメータ最適値算出手段
26 素子生産パラーメータ最適値指示手段
27 製品機種割当計算手段(第1〜第3製品機種割当計算手段)
28 特定素子生産割当手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子生産で素子特性のランク分けを伴う生産において、出荷製品の出荷計画から素子ランク毎の素子所要量を算出する素子所要量算出手段と、
該出荷製品の出荷計画から製品機種毎の生産計画を算出する製品生産計画算出手段と、
素子在庫を差し引いた素子の生産計画を算出する素子生産計画算出手段と、
該素子ランクの取れ数を予測し、素子総ランク在庫を算出する素子総ランク在庫算出手段と、
素子ランク在庫が最小となるように素子生産パラーメータの最適値を求める素子生産パラーメータ最適値算出手段と、
該素子生産パラーメータの最適値を各生産拠点に指示する素子生産パラーメータ最適値指示手段とを有した生産計画システム。
【請求項2】
前記出荷製品の出荷計画から前記素子ランク在庫が最小となる製品機種割り当てを計算する第1製品機種割当計算手段と、
該出荷製品の出荷計画と前記素子ランク在庫から製品デリバリー日程を優先して製品機種割り当てを計算する第2製品機種割当計算手段と、
該出荷製品の出荷計画と前記素子ランク在庫から製品生産数量が最大となる製品機種割り当てを計算する第3製品機種割当計算手段とのうちのいずれかを更に有する請求項1に記載の生産計画システム。
【請求項3】
特定ユーザ向けの出荷製品を優先して素子生産を割り当てる特定素子生産割当手段を更に有する請求項1に記載の生産計画システム。
【請求項4】
素子所要量算出手段が、素子生産で素子特性のランク分けを伴う生産において、出荷製品の出荷計画から素子ランク毎の素子所要量を算出する素子所要量算出工程と、
製品生産計画算出手段が、該出荷製品の出荷計画から製品機種毎の生産計画を算出する製品生産計画算出工程と、
素子生産計画算出手段が、素子在庫を差し引いた素子の生産計画を算出する素子生産計画算出工程と、
素子総ランク在庫算出手段が、該素子ランクの取れ数を予測し、素子総ランク在庫を算出する素子総ランク在庫算出工程と、
素子生産パラーメータ最適値算出手段が、素子ランク在庫が最小となるように素子生産パラーメータの最適値を求める素子生産パラーメータ最適値算出工程と、
素子生産パラーメータ最適値指示手段が、該素子生産パラーメータの最適値を各生産拠点に指示する素子生産パラーメータ最適値指示工程とを有した生産計画方法。
【請求項5】
第1製品機種割当計算手段が、
前記出荷製品の出荷計画から前記素子ランク在庫が最小となる製品機種割り当てを計算する第1製品機種割当計算工程と、
第2製品機種割当計算手段が、該出荷製品の出荷計画と前記素子ランク在庫から製品デリバリー日程を優先して製品機種割り当てを計算する第2製品機種割当計算工程と、
第3製品機種割当計算手段が、該出荷製品の出荷計画と前記素子ランク在庫から製品生産数量が最大となる製品機種割り当てを計算する第3製品機種割当計算工程とのうちのいずれかを更に有する請求項4に記載の生産計画方法。
【請求項6】
特定素子生産割当手段が、特定ユーザ向けの出荷製品を優先して素子生産を割り当てる特定素子生産割当工程を更に有する請求項4に記載の生産計画方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の生産計画方法の各工程をコンピュータに実行させるための処理手順が記述された制御プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−141805(P2012−141805A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294311(P2010−294311)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】