説明

産業廃棄物の資源化システム

【課題】 製鉄工場にて発生する産業廃棄物としてのスケールとヘドロを資源として再利用することにより、産業廃棄物として処理する量と処理に要する費用を削減すると共に、資源化したものを低価格の代替資源として利用することにより省資源にも寄与し得るようにする。
【解決手段】 製鉄工場2にて発生する産業廃棄物としての、鉄製品生産過程で発生する鉄粉屑であるスケール3と、機械設備等のグリースに油分や水分等の種々な物質が混入した状態の物質であるヘドロ4とを、製鉄工場2自身又は加工処理業者5において所定の割合で混合して製鉄工場における溶鉱炉の温度調整材等の資源となし、該資源を再び製鉄工場にて製鉄時に用いる低価格の代替資源として利用するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物の資源化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
製鉄工場においては、鉄製品生産過程で発生する鉄粉屑であるスケールと、機械設備等のグリースに油分や水分等の種々な物質が混入した状態の物質であるヘドロが産業廃棄物として大量に発生する。
【0003】
そして、斯かる大量に発生する産業廃棄物は、製鉄工場においては清掃業者及び産業廃棄物処理業者への費用が嵩み、また、環境問題から産業廃棄物処理業者においても処分に困るものである。
【0004】
而して、斯かる大量に発生する産業廃棄物を、資源化して再利用することにより、産業廃棄物として処理する量を大幅に削減することができ、且つまた資源化したものを低価格の代替資源として利用することにより、省資源化にも寄与し得ることになる。
【0005】
ところで、近時の不況により鉄鋼業界も生産量が激減し、利益率が大幅に落ち込んでいる。そして、このような状況においても発生する産業廃棄物の処理には依然として大きなコストを要していた。そこで、この産業廃棄物の処理に要するコストの軽減と、製鉄時に要する材料コストの軽減が切に要望されている。そしてまた、これを実現するためには、これを確実に且つスムーズに行うことができるようにするシステムを構築することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、製鉄工場において大量に発生する産業廃棄物としてのスケールとヘドロを、資源として再利用することにより、産業廃棄物として処理する量を大幅に削減することができ、且つまた資源化したものを低価格の代替資源として利用することにより、省資源化にも寄与し得ることができ、加えて製鉄工場における産業廃棄物の処理費用と製鉄時に要する材料コストの軽減を図ることができるようになし、そしてこれらを確実に且つスムーズに行うことができるようにするためのシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して、本発明の要旨とするところは、製鉄工場にて発生する産業廃棄物としての、鉄製品生産過程で発生する鉄粉屑であるスケールと、機械設備等のグリースに油分や水分等の種々な物質が混入した状態の物質であるヘドロとを、所定の割合で混合して製鉄工場における溶鉱炉の温度調整材等の資源となし、該資源を再び製鉄工場にて製鉄時に用いる低価格の代替資源として利用するようになしたことを特徴とする産業廃棄物の資源化システムにある。
【0008】
そして、上記構成において、スケールとヘドロとを所定の割合で混合し、再利用する手段として、スケールとヘドロとをホッパーを介して所定の割合でミキサーに投入して混合し、混合によって生成した資源をコンベアにて運搬車輛に搬送し、更に該運搬車輛によって所定の場所に運搬するようになしてもよい。
【0009】
そして、上記構成において、スケールとヘドロとを所定の割合で混合し、再利用する手段として、スケールとヘドロとをホッパーを介してコンベア上に積載すると共にミキサーに搬送し、該ミキサーにより所定の割合で混合し、混合によって生成した資源をコンベアにて運搬車輛に積載して所定の場所に運搬するようになしてもよい。
【0010】
そして、上記構成において、製鉄工場にて発生する産業廃棄物としてのスケールとヘドロとを、製鉄工場自身又は加工処理業者において所定の割合で混合して資源となし、該資源を前記製鉄工場又は加工処理業者から譲り受けた者において、製鉄工場に譲渡するようになしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記の如き構成であるから、製鉄工場において大量に発生する産業廃棄物としてのスケールとヘドロとを、資源として再利用することにより、産業廃棄物として処理する量を大幅に削減することができ、且つまた資源化したものを低価格の代替資源として利用することにより、省資源化にも寄与し得るものである。加えて、製鉄工場における産業廃棄物の処理費用と製鉄時に要する材料コストの軽減を図ることができるものである。そしてまた、これらを確実に且つスムーズに行うことができるようにするためのシステムを提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る産業廃棄物の資源化システムの概略的説明図である。
【図2】本発明におけるスケールとヘドロとを所定の割合で混合し、再利用する手段の説明図である。
【図3】本発明におけるスケールとヘドロとを所定の割合で混合し、再利用する手段の他の例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図中、1は産業廃棄物の資源化システムである。2は製鉄工場、3、4は該製鉄工場1において産業廃棄物として発生するスケールとヘドロである。また、該製鉄工場2は、それ自身においてスケール3とヘドロ4の混合を行う場合もある。
【0015】
5は加工処理業者であり、前記スケール3とヘドロ4とを所定の割合で混合し、製鉄工場における溶鉱炉の温度調整材等の資源として加工するものである。また、本実施形態においては、スケール3とヘドロ4とを9:1の割合で混合し、製鉄工場における溶鉱炉の温度調整材となしている。
【0016】
6は前記製鉄工場2又は加工処理業者5からそこで加工した資源を譲り受ける業者であり、譲り受けた資源を前記製鉄工場等に製鉄時に用いる低価格の代替資源として譲渡するものである。
【0017】
而して、該産業廃棄物の資源化システム1は、先ず、製鉄工場2において発生したスケール3とヘドロ4とを、製鉄工場2自身又は加工処理業者5が、所定の割合で混合して製鉄工場における溶鉱炉の温度調整材等の資源として加工する。
【0018】
図2は製鉄工場2自身が加工を行う場合を示しており、ミキサー7を製鉄工場2の内部に設置し、スケール3とヘドロ4とをホッパー8、9を介して所定の割合(本実施形態では9:1)で該ミキサー7に投入して混合するものである。そして、混合によって生成した資源(本実施形態では溶鉱炉の温度調整材)をコンベア(本実施形態ではベルトコンベア)10にて加工処理業者5の運搬車輛11に搬送し、更に運搬車両11によって資源の譲り受け業者6に運搬するものである。また、12はスケール3をホッパー8に入れるローダー、13はヘドロ4をホッパー9に入れるダンプカー、14は搬送された資源を運搬車両11に所定量積載するホッパーである。また、前記ホッパー8、9には定量供給装置(図示せず。)が設置され、また、前記ホッパー14にも定量供給装置15、15が設置されている。尚、該定量供給装置15、15に代えて車体の下部に設置する車体重量計測装置16を用いるようにしてもよい。
【0019】
斯かる場合においては、製鉄工場2自身において、本来産業廃棄物として処理すべきものを有用な資源として加工することにより、産業廃棄物処理に要していた多大なコストを削減することができる上に、加工した資源を商品として販売することにより多大な利益を得ることもできるものである。
【0020】
次に、図3に示した加工処理業者5が加工を行う場合について説明する。
この場合には、ミキサー7を製鉄工場2の外部に設置し、製鉄工場2はスケール3とヘドロ4とをホッパー8、9を介してコンベア10上に積載し、ミキサー7に搬送するだけの作業を行うものである。そして、コンベア10によって搬送されたスケール3とヘドロ4は、加工処理業者5によりミキサー7をもって所定の割合で混合され、資源に加工されるものである。
【0021】
そして、上記の如くして加工された資源は、資源を譲り受ける業者6を経て製鉄工場2に製鉄時に用いる低価格の代替資源として譲渡されるものである。尚、製鉄工場2において、溶鉱炉にて溶融する際の炉内温度は上限1,500℃となっており、操作基準により炉内温度を1,400℃に保つため、1,450℃前後にて生石灰を投入している。しかし、溶鉱炉の温度調整材として用いる斯かる生石灰は、11,200円〜14,400円/tにて取引され、月間使用量は約500〜800tであり、相当なコストがかかっていた。そこで、斯かる生石灰の代替資源として上記加工資源を用いることにより、該加工資源は生石灰よりもはるかに低価格(4,800円/t〜8,500円/t)にて入手することができることから、製鉄工場2においてはその分のコストの軽減を図ることができる。また、同時に生石灰の使用量を減らすことができることから、省資源にも寄与し得るものである。尚、資源の使用量は生石灰と同程度で足りるものである。また、該業者6においても、低価格で入手し、それよりも高い価格で販売することができることから利益を得ることができるものである。
【符号の説明】
【0022】
1 産業廃棄物の資源化システム
2 製鉄工場
3 スケール
4 ヘドロ
5 加工処理業者
6 加工資源を譲り受ける業者
7 ミキサー
8、9 ホッパー
10 コンベア
11 運搬車両


【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鉄工場にて発生する産業廃棄物としての、鉄製品生産過程で発生する鉄粉屑であるスケールと、機械設備等のグリースに油分や水分等の種々な物質が混入した状態の物質であるヘドロとを、所定の割合で混合して製鉄工場における溶鉱炉の温度調整材等の資源となし、該資源を再び製鉄工場にて製鉄時に用いる低価格の代替資源として利用するようになしたことを特徴とする産業廃棄物の資源化システム。
【請求項2】
スケールとヘドロとを所定の割合で混合し、再利用する手段として、スケールとヘドロとをホッパーを介して所定の割合でミキサーに投入して混合し、混合によって生成した資源をコンベアにて運搬車輛に搬送し、更に該運搬車輛によって所定の場所に運搬するようになした請求項1記載の産業廃棄物の資源化システム。
【請求項3】
スケールとヘドロとを所定の割合で混合し、再利用する手段として、スケールとヘドロとをホッパーを介してコンベア上に積載すると共にミキサーに搬送し、該ミキサーにより所定の割合で混合し、混合によって生成した資源をコンベアにて運搬車輛に積載して所定の場所に運搬するようになした請求項1記載の産業廃棄物の資源化システム。
【請求項4】
製鉄工場にて発生する産業廃棄物としてのスケールとヘドロとを、製鉄工場自身又は加工処理業者において所定の割合で混合して資源となし、該資源を前記製鉄工場又は加工処理業者から譲り受けた者において製鉄工場に譲渡するようになした請求項1、2又は3記載の産業廃棄物の資源化システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−161388(P2011−161388A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28415(P2010−28415)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(510040352)株式会社環境リスクマネージメント (1)
【Fターム(参考)】