説明

産業材料の保護のためのフェノール含有アゾール組成物

【課題】産業材料の保護のためのフェノール含有アゾール組成物を提供する。
【解決手段】a)少なくとも1種のアゾールと、b)少なくとも1種の式(I):


(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、水素、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C18アルキルアリールまたはC〜C20シクロアルキルを表し、ただし、R〜R基の少なくとも1つは水素ではないことを条件とし、かつ、R〜R基がいずれも、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキルまたは水素を表す場合には、− R〜R基の少なくとも1つは、フェニル基で置換されたC〜Cアルキル基を表し、ここで、前記フェニル基は、ヒドロキシルおよび/またはC〜Cアルキルで任意に置換されていてもよく、− 式(I)の化合物は少なくとも1個のメチル基を有することを条件とする)のフェノールまたはその塩とを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の置換フェノール(I)と、少なくとも1種のアゾールとを含む組成物、産業材料の保護のためのこれらの組成物の使用、および産業材料に関する。
【背景技術】
【0002】
特に真菌類から材料を保護するための活性化合物は、多数の化合物部類に由来する。例えば、アゾール、特にトリアゾールは、木材の保護のために特に重要である。しかし、個々の活性化合物は、有害な真菌類の全スペクトルをカバーせず、その結果、頻繁に活性化合物の組み合わせが適用されなければならないか、または活性化合物が適切な高用量で使用されなければならない。
【0003】
活性化合物のこれらの弱点を克服するために、活性を高める様々な代替手段が、材料の保護のために、特に木材の保護のために既に検討されてきた。
【0004】
(特許文献1)には、木材の保護のためのアゾールの活性を高めるためにアミンオキシドの使用が記載されている。しかし、アミンオキシドが水溶性であるという事実は、アミンオキシドが処理木材から水で容易に浸出されるという結果をもたらし、高められた活性はこうして再び失われる。
【0005】
(特許文献2)には、トリアゾールの活性を高めるためのアルコキシル化アミンの使用が記載されている。しかし、これらの活性エンハンサーの水への溶解性は同様に、それらが処理木材から水で容易に浸出されることにつながる。
【0006】
(特許文献3)には、木材の保護において特にプロピコナゾールおよびテブコナゾールの活性を高めるための、立体障害のあるフェノールの使用が記載されている。しかし、この目的のために使用する酸化防止剤(例えば、BHTなど)は、最高で約450:1(アゾールを基準とする質量比)までの非常に高過剰で用いられる。これは、経済的な観点および生態学的観点の両方からの大きな不利点である。
【0007】
加えて、錯体形成剤〔例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)〕と組み合わせたテブコナゾールおよびプロピコナゾールのための活性エンハンサーとしての、フェノール系酸化防止剤の使用も公知である(非特許文献1)。しかし、この場合にもまた、木材の1m当たり最高で約26kgまでの非常に高い保持率のBHTが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第0071314号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03065807号パンフレット
【特許文献3】米国特許第6,231,651−B1号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Phytochemistry、61(2002)、555−560ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、微生物による攻撃および/または破壊からの産業材料の保護、特に木材の保護のためのアゾールの活性エンハンサーであって、第1に、産業材料から少量しか浸出せず、かつ、第2に、アゾールに対して経済的な比で用いることができるものを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、我々は、意外にも、
a)少なくとも1種のアゾールと
b)少なくとも1種の式(I):
【化1】

(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、水素、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C18アルキルアリールまたはC〜C20シクロアルキルを表し、ただし、R〜R基の少なくとも1つは水素ではないことを条件とし、かつ、R〜R基がいずれも、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキルまたは水素を表す場合には、
− R〜R基の少なくとも1つは、フェニル基で置換されたC〜Cアルキル基を表し、ここで、前記フェニル基は、ヒドロキシルおよび/またはC〜Cアルキルで任意に置換されていてもよく、
− 式(I)の化合物は少なくとも1個のメチル基を有することを条件とする)
のフェノールまたはその塩と
を含む組成物を見いだした。
【発明を実施するための形態】
【0012】
使用するアゾールは、好ましくは、殺真菌活性アゾール、特に、少なくとも1種のトリアゾールまたは少なくとも1種のイミダゾールである。トリアゾールが特に好ましい。この点において、本発明に従う用途のための組成物は、殺菌性組成物として、特に殺真菌性組成物として用いることが好ましい。
【0013】
特に好ましいアゾールは、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、マイクロブタニル、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾールおよびウニコナゾールならびにそれらの金属塩および酸付加物からなる群から選択されるトリアゾールである。
【0014】
a1)アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、マイクロブタニル、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリチコナゾールおよびウニコナゾールならびにそれらの金属塩および酸付加物からなる群から選択される少なくとも1種のアゾールと
a2)トリアジメノールおよびトリアジメホンからなる群から選択される少なくとも1種のアゾールと
を含む、組成物も好ましい。
【0015】
テブコナゾール、プロピコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノールおよびシプロコナゾールからなる群から選択される少なくとも1種のアゾールを含む組成物を、本発明に従って使用することが好ましい。
【0016】
テブコナゾール、プロピコナゾールおよびシプロコナゾールからなる群から選択される少なくとも1種のアゾールを含み、任意選択的にトリアジメノールおよびトリアジメホンからなる群から選択されるさらなるアゾールを含んでいてもよい組成物が特に好ましい。
【0017】
次のアゾール組み合わせ:テブコナゾールおよびトリアジメホン、テブコナゾールおよびプロピコナゾール、テブコナゾールおよびシプロコナゾール、ならびに、プロピコナゾールおよびシプロコナゾールが、ここでは特に好ましい。
【0018】
特に好ましいイミダゾールは、例えば、クロトリマゾール、ビホナゾール、クリムバゾール、エコナゾール、フェナパニル、イマザリル、イソコナゾール、ケトコナゾール、ロムバゾール、ミコナゾール、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾールならびにそれらの金属塩および酸付加物である。
【0019】
成分b)のフェノールであって、式(I)のR〜R基の少なくとも1つが
−CHR−フェニル
(式中、Rは、水素またはメチルを表し、
フェニルは、非置換であるかまたはヒドロキシルおよび少なくとも1個のC1〜C4アルキル基で置換されている)
を表すものが好ましい。
【0020】
成分b)として、少なくとも1種のスチレン化フェノールまたは6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジ−p−クレゾールを含む組成物が特に好ましい。
【0021】
使用するスチレン化フェノールは、1種、2種、および/または3種のスチレン化フェノールの混合物、例えば、式(I)のR〜R基の1〜3つが意味−CH(CH)フェニルを有する式(I)の化合物の混合物であるLANXESS製のVulkanox(登録商標)SPとして知られる製品などであってもよい。
【0022】
6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジ−p−クレゾールは、例えば、LANXESSから名称Vulkanox(登録商標)BKFで商業的に入手可能である。
【0023】
使用する成分a)のアゾールは、b)に対して、50:1〜1:50、特に10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5の質量比で用いることが好ましい。特に好ましくは、b)を、アゾールに対して、1:1〜5:1の比で用いる。
【0024】
本発明に従って使用する組成物は、固体または液体形態で用いることができる。溶液、乳濁液、懸濁液、粉末、顆粒、ペースト、エアゾールおよびまたポリマー物質中の非常に微細なカプセル化物などの調合物がこの目的のために好適である。
【0025】
かかる調合物は、公知の方法で、例えば組成物を、増量剤すなわち液体溶剤、圧力下の液化ガス、および/または固体キャリアと混合する(任意選択的に、界面活性剤すなわち乳化剤および/または分散剤、および/または泡形成剤を使用してもよい)ことによって製造することができる。使用する増量剤が水である場合、補助溶剤として有機溶剤を用いることもできる。本質的に、好適な液体溶剤は、キシレン、トルエンまたはアルキルナフタレンなどの芳香族化合物、クロロベンゼン、クロロエチレンまたは塩化メチレンなどの塩素化芳香族化合物または塩素化脂肪族炭化水素、シクロヘキサンまたはパラフィン、例えば石油留分などの脂肪族炭化水素、ブタノールまたはグリセロールおよびそれらのエーテルおよびエステルなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノンなどのケトン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドなどの強極性溶剤、あるいは水である。液化ガス増量剤またはキャリアは、標準温度および大気圧下でガス状である液体、例えば、ハロゲン化炭化水素などのエアゾール噴射剤、あるいはブタン、プロパン、窒素および二酸化炭素を意味すると理解されるべきである。好適な固体キャリアは、例えば、カオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイトまたは珪藻土などの粉砕された天然鉱物、ならびに細分されたシリカ、アルミナおよびシリケートなどの粉砕された合成鉱物である。顆粒用の好適な固体キャリアは、例えば、方解石、大理石、軽石、セピオライト、ドロマイトなどの、破砕されて分画された天然岩石、ならびに無機および有機材料の合成顆粒、そしてまたおがくず、ココナツ殻、トウモロコシ穂軸およびタバコ茎などの有機材料の顆粒である。好適な乳化剤および/または泡形成剤は、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、例えばアルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルホネネート、あるいはタンパク質加水分解物などの、非イオン性および陰イオン性乳化剤である。好適な分散剤は、例えばリグノサルファイト廃液およびメチルセルロースである。
【0026】
カルボキシメチルセルロースなどの粘着付与剤、アラビアゴム、ポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニルなどの、粉末、顆粒またはラテックスの形態での天然および合成ポリマー、ならびにまた、ケファリンおよびレシチンなどの天然リン脂質、および合成リン脂質を、さらに調合物に用いることができる。他の可能な添加剤は、鉱油および植物油である。
【0027】
使用する組成物は、キレート剤(例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)もしくはクエン酸またはこれらの塩)を、アゾールに対して、1:20〜20:1、好ましくは5:1〜1:5の量比で好適に含むことができる。
【0028】
組成物はさらに、着色剤、例えば、無機顔料(例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルー、酸化銅など)、および有機染料(例えば、アリザリン、アゾおよびメタロフタロシアニン染料など)を含んでいてもよい。
【0029】
使用する組成物は一般に、好ましくは、0.1〜95質量パーセント、好ましくは0.5〜90質量%の成分a)およびb)を含む。
【0030】
本発明に従う用途のための組成物は、例えば活性スペクトルを広げるために、あるいは耐性の発現を防ぐために、さらなる活性化合物、例えば、殺真菌剤、殺菌剤、および/または殺虫剤を含んでいてもよい。多くの場合において、相乗効果が得られる。すなわち組み合わせた活性化合物の活性は、個々の成分の活性より大きい。
【0031】
混合物中の特に好都合な共成分は、例えば、下記の化合物である:
アンシミドール、ブチオベート、フェナリモル、メパニピリン、ヌアリモル、ピロキシフル、トリアミロール
などのピリジン類およびピリミジン類;
ベノダニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシム、カルボキシムスルホキシド、シクラフルアミド、フェンフラム、フルタニル、フラメトピル、フルカルバニル、フルメシクロックス、メベニル、メプロニル、メトフロキサム、メトスルホバックス、ニコビフェン、ピロカルボリド、オキシカルボキシン、シードバックス
などのコハク酸デヒドロゲナーゼ阻害剤;
テルビナフィン、ナフチフィン、ブテナフィン
などのナフタレン誘導体;
ジクロフルアニド、トリルフルアニド、フォルペット、フルオロフォルペット、キャプタン、カプトフォル
などのスルフェンアミド;
カルベンダジム、ベノミル、フベリダゾール、チアベンダゾールまたはそれらの塩
などのベンズイミダゾール類;
アルジモルフ、ジメトモルフ、ドデモルフ、ファリモルフ、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、トリモルファミドならびに、例えば、p−トルエンスルホン酸およびp−ドデシルフェニルスルホン酸などのそれらのアリールスルホネート塩
などのモルホリン誘導体;
2−メルカプトベンゾチアゾール
などのベンゾチアゾール類;
N−シクロヘキシル−ベンゾ[b]チオフェンカルボキサミドS,S−ジオキシド
などのベンゾチオフェンジオキシド類;
2,6−ジクロロ−N−(4−トリフルオロメチルベンジル)−ベンズアミド、テクロフタラム
などのベンズアミド類;
ホウ酸、ホウ酸エステル、ホウ砂
などのホウ素化合物;
ベンジルアルコールモノ−(ポリ)−ヘミホルマール、n−ブタノールヘミホルマール、ダゾメット、エチレングリコールヘミホルマール、ヘキサヒドロ−S−トリアジン、ヘキサメチレンテトラミン、N−ヒドロキシメチル−N’−メチルチオウレア、N−メチロールクロロアセトアミド、オキサゾリジン、パラホルムアルデヒド、タウロリン、テトラヒドロ−1,3−オキサジン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−アミン−メタノール、テトラメチロールアセチレンジウレア
などのホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド放出化合物;
N−メチルイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−N−メチルイソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−N−オクチルイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−N−オクチルイソチアゾリノン、N−オクチル−イソチアゾリン−3−オン、4,5−トリメチレン−イソチアゾリノン、4,5−ベンゾイソチアゾリノン
などのイソチアゾリノン類;
シンナムアルデヒド、ホルムアルデヒド、グルタルジアルデヒド、β−ブロモシンナムアルデヒド、o−フタルジアルデヒド
などのアルデヒド;
チオシアナトメチルチオベンゾチアゾール、メチレンビスチオシアネート
などのチオシアネート;
塩化ベンザルコニウム、塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、塩化ジクロロベンジルジメチルアルキルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化N−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化1−ヘキサデシルピリジニウム、イミノクタジントリス(アルベシレート)
などの第四級アンモニウム化合物およびグアニジン類;
ジヨードメチルp−トリルスルホン、3−ヨード−2−プロピニルアルコール、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニル エチルカルバメート、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルアルコール、3−ヨード−2−プロピニル n−ブチルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル n−ヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル シクロヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル フェニルカルバメート
などのヨウ素誘導体;
トリブロモフェノール、テトラクロロフェノール、3−メチル−4−クロロフェノール、3,5−ジメチル−4−クロロフェノール、ジクロルフェン、2−ベンジル−4−クロロフェノール、トリクロサン、ジクロサン、ヘキサクロロフェン、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、4−(2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)フェノール、4−(2−イソプロピル−4−メチルフェノキシ)フェノール、4−(2,4−ジメチルフェノキシ)フェノールならびにそれらのアルカリおよびアルカリ土類金属塩
などのフェノール類;
ブロノポル、ブロニドックス、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2−ブロモ−4’−ヒドロキシ−アセトフェノン、1−ブロモ−3−クロロ−4,4,5,5−テトラメチル−2−イミダゾリジノン、β−ブロモ−β−ニトロスチレン、クロルアセタミド、クロラミンT、1,3−ジブロモ−4,4,5,5−テトラメチル−2−イミダゾリジノン、ジクロラミンT、3,4−ジクロロ−(3H)−1,2−ジチオール−3−オン、2,2−ジブロモ−3−ニトリル−プロピオンアミド、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、ハラン(halane)、ハラゾン、ムコクロル酸、フェニル(2−クロロシアノビニル)スルホン、フェニル(1,2−ジクロロ−2−シアノビニル)スルホン、トリクロロイソシアヌル酸
などの活性ハロゲン基を持った殺微生物剤;
1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン(およびそれらのCu、Na、Fe、Mn、Zn塩)、テトラクロロ−4−メチル−スルホニルピリジン、ピリメタノール、メパニピリム、ジピリチオン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)−ピリジン
などのピリジン類;
アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン
などのメトキシアクリレートまたは類似体;
例えば、ナフテン酸スズ、オクタン酸スズ、2−エチルヘキサン酸スズ、オレイン酸スズ、リン酸スズ、安息香酸スズ、ナフテン酸銅、オクタン酸銅、2−エチルヘキサン酸銅、オレイン酸銅、リン酸銅、安息香酸銅、ナフテン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、リン酸亜鉛、安息香酸亜鉛などの、高級脂肪酸、樹脂酸、ナフテン酸およびリン酸との金属スズ、銅および亜鉛の塩
などの金属石鹸;
例えば、ヒドロキシ炭酸銅、重クロム酸ナトリウム、重クロム酸カリウム、クロム酸カリウム、硫酸銅、塩化銅、ホウ酸銅、フルオロケイ酸亜鉛、フルオロケイ酸銅などの、金属スズ、銅、亜鉛の塩、ならびにまたクロム酸塩および重クロム酸塩
などの金属塩;
例えば、酸化トリブチルスズ、CuO、CuO、ZnOなどの、金属スズ、銅および亜鉛の酸化物
などの酸化物;
過酸化水素、過酢酸、過硫酸カリウム
などの酸化剤;
クフラネブ、フェルバン、N−ヒドロキシメチル−N’−メチル−ジチオカルバミン酸カリウム、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸カリウム、マンコゼブ、マネブ、メタム、メチラム、チラム、ジネブ、ジラム
などのジチオカルバメート;
2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、シアノ−ジチオイミドカルバミン酸ジナトリウム
などのニトリル;
8−ヒドロキシキノリンおよびその銅塩
などのキノリン類;
ベソザキシン、5−ヒドロキシ−2(5H)フラノン、4,5−ベンゾジチアゾリノン、4,5−トリメチレンジチアゾリノン、N−(2−p−クロロベンゾイルエチル)ヘキサミニウムクロリド、2−オキソ−2−(4−ヒドロキシフェニル)アセトヒドロキシシンナモイルクロリド、トリス−N−(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)アルミニウム、N−(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)トリブチルスズまたはそのカリウム塩、ビス−N−(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ)銅;イプロバリカルブ、フェンヘキサミド、スピロキサミン、カプロパミド、ジフルメトリン、キノキシフェン、ファモキサドン、ポリオキソリム、アシベンゾラーS−メチル、フラメトピル、チフルザミド、メタラキシル−M、ベンチアバリカルブ、メトラフェノン、シフルフェンアミド、チアジニル、ティー・ツリー油、フェノキシエタノール
などの他の殺真菌剤および殺菌剤、
単独またはポリマー材料へ組み込まれたAg−、Zn−またはCu−含有ゼオライト。
【0032】
殺虫剤:
アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アセトプロール、アクリナチリン、アラニカルブ、アルジカルブ、アルドキシカルブ、アルドリン、アレスリン、アルファ−シペルメトリン、アミドフルメット、アミトラズ、アベルメクチン、アザジラクチン、アジンホスA、アジンホスM、アゾシクロチン、
バチルス・チューリンゲンシス、バルスリン、4−ブロモ−2(4−クロロフェニル)−1−(エトキシメチル)−5−(トリフルオロ−メチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ベンスルタップ、ベータシフルトリン、ビフェントリン、ビオレスメトリン、ビオアレトリン、ビストリフルロン、ブロモホスA、ブロモホスM、ブフェンカルブ、ブプロフェジン、ブタチオホス、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、
カズサホス、カルバリル、カルボフラン、カルボフェノチオン、カルボスルファン、カルタップ、キノメチオナート、クロエトカルブ、4−クロロ−2−(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−[(6−ヨード−3−ピリジニル)メトキシ]−3(2H)−ピリダジノン(CAS−RN:120955−77−3)、クロルデン、クロルエトキシホス、クロルフェナピル、クロルフェンビンホス、クロルフルアズロン、クロルメホス、N−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−N’−シアノ−N−メチルエタンイミダミド、クロルピクリン、クロルピリホスA,クロルピリホスM、シス−レスメトリン、クロシスリン、クロチアゾベン、シポフェノトリン、クロフェンテジン、クマホス、シアノホス、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シヘキサチン、シペルメトリン、シロマジン、
デカメトリン、デルタメトリン、デメトンM、デメトンS、デメトン−S−メチル、ジアフェンチウロン、ジアリホス、ジアジノン、1,2−ジベンゾイル−1(1,1−ジメチル)ヒドラジン、DNOC、ジクロフェンチオン、ジクロルボス、ジクリフォス、ジクロトホス、ジフェチアロン、ジフルベンズロン、ジメトエート、3,5−ジメチルフェニル メチルカルバメート、ジメチル(フェニル)シリルメチル−3−フェノキシベンジルエーテル、ジメチル(4−エトキシフェニル)シリルメチル−3−フェノキシベンジルエーテル、ジメチルビンホス、ジオキサチオン、ジスルホトン、
エフルシラナート、エマメクチン、エムペントリン、エンドスルファン、EPN、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチオン、エトフェンプロックス、エトリムホス、エトキサゾール、エトベンザニド、
フェナミホス、フェナザキン、フェンブタチンオキサイド、フェンフルトリン、フェニトロチオン、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンピラド、フェンピロキシメート、フェンスルホチオン、フェンチオン、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルアクリピリム、フルアズロン、フルシクロクスロン、フルシトリネート、フルフェネリム、フルフェノクスロン、フルピラゾホス、フルフェンジン、フルメトリン、フルフェンプロックス、フルバリネート、フォノホス、ホルメタネート、ホルモチオン、ホスメチラン、ホスチアゼート、フブフェンプロックス、フラチオカルブ、
ハロフェノジド、HCH(CAS RN:58−89−9)、ヘプテノホス、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾックス、ヒドラメチルノン、ハイドロプレン、
イミダクロプリド、イミプロトリン、インドキシカルブ、ヨードフェンフォス、イプリノメクチン、イプロベンホス、イサゾホス、イソアミドホス、イソフェンホス、イソプロカルブ、イソプロチオラン、イソキサチオン、イベルメクチン、ラマ(lama)−シハロトリン、ルフェヌロン、
カデドリン、
ラムダ−シハロトリン、ルフェヌロン、
マラチオン、メカルバム、メルビンホス、メスルフェンホス、メタアルデヒド、メタクリホス、メタミドホス、メチダチオン、メチオカルブ、メソミル、メタルカルブ、ミルベメクチン、モノクロトホス、モキシエクチン、
ナレド、NI 125、ニコチン、ニテンピラム、ノビフルムロン、
オメトエート、オキサミル、オキシデメトンM、オキシデプロホス、
パラチオンA、パラチオンM、ペンフルロン、パーメトリン、2−(4−フェノキシフェノキシ)エチル エチルカルバメート、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホキシム、ピリミカーブ、ピリミホスM、ピリミホスA、プラレトリン、プロフェノホス、プロメカルブ、プロパホス、プロポクスル、プロチオホス、プロトエート、ピメトロジン、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピレスメトリン、ピレトラム、ピリダベン、ピリダリル、ピリミジフェン、ピリプロキシフェン、ピリチオバック−ナトリウム、
キナルホス、
レスメトリン、ロテノン、
サリチオン、セブホス、シラフルオフェン、スピノサッド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スルホテップ、スルプロホス、
タウ−フルバリネート、タロイルス(taroils)、テブフェノジド、テブフェンピラド、テブピリムホス、テフルベンズロン、テフルトリン、テメホス、ターバム、テルブホス、テトラクロルビンホス、テトラメトリン、テトラメタカルブ、チアクロプリド、チアフェノックス、チアメトキサム、チアプロニル、チオジカルブ、チオファノックス、チアゾホス、チオシクラム、チオメトン、チオナジン、チューリンギエンシン、トラロメトリン、トランスフルトリン、トリアラテン、トリアゾホス、トリアザメート、トリアズロン、トリクロルホン、トリフルムロン、トリメタカルブ、
バミドチオン、キシリルカルブ、ゼタメトリン;
除草剤および他の殺藻剤:
アセトクロール、アシフルオルフェン、アクロニフェン、アクロレイン、アラクロール、アロキシジム、アメトリン、アミドスルフロン、アミトロール、スルファミン酸アンモニウム、アニロホス、アシュラム、アトラジン、アザフェニジン、アジプトロトリン、アジムスルフロン、
ベナゾリン、ベンフルラリン、ベンフレセート、ベンスルフロン、ベンスルフィド、ベンタゾン、ベンゾフェンキャップ、ベンズチアズロン、ビフェノックス、ビスピリバック、ビスピリバック−ナトリウム、ボラックス、ブロマシル、ブロモブチド、ブロモフェノキシム、ブロモキシニル、ブタクロル、ブタミホス、ブトラリン、ブチラート、ビアラホス、ベンゾイルプロップ、ブロモブチド、ブトロキシジム、
カルベタミド、カルフェントラゾンエチル、カルフェンストロール、クロメトキシフェン、クロラムベン、クロルブロムロン、クロルフルレノール、クロリダゾン、クロリムロン、クロルニトロフェン、クロロ酢酸、クロランスラムメチル、シニドンエチル、クロロトルロン、クロロクスロン、クロルプロファム、クロルスルフロン、クロルタール、クロルチアミド、シンメチリン、シノフルスロン、クレフォキシジム、クレトジム、クロマゾン、クロメプロップ、クロピラリド、シアナミド、シアナジン、シクロエート、シクロキシジム、クロロキシニル、クロジナホッププロパルギル、クミルロン、クロメトキシフェン、シブトリン、シハロホップ、シハロホップブチル、クロピラスルロン、シクロスルファムロン、
ジクロスラム、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ−P、ジクロホップ、ジエタチル、ジフェノクスロン、ジフェンゾコート、ジフルフェニカン、ジフルフェンゾピル、ジメフロン、ジメピペレート、ジメタクロル、ジメチピン、ジニトラミン、ジノセブ、ジノセブアセテート、ジノテルブ、ジフェナミド、ジプロペトリン、ジクワット、ジチオピル、ジウロン、DNOC、DSMA、2,4−D、ダイムロン、ダラポン、ダゾメット、2,4−DB、デスメジファム、デスメトリン、ジカンバ、ジクロベニル、ジメタミド、ジチオピル、ジメタメトリン、
エグリナジン、エンドタール、EPTC、エスプロカルブ、エタルフルラリン、エチジムロン、エトフメセート、エトベンザミド、エトキシフェン、エタメツルフロン、エトキシスルフロン、
フェノキサプロップ、フェノキサプロップ−P、フェニュロン、フラムプロップ、フラムプロップ−M、フラザスルフロン、フルアジホップ、フルアジホップ−P、フエナクロール、フルクロラリン、フルフェナセット、フルメツロン、フルオロクグリコフェン、フルオロニトロフェン、フルプロパネート、フルレノール、フルリドン、フルロクロリドン、フルロキシピル、フォメサフェン、フォサミン、フォサメチン、フラムプロップイソプロピル、フラムプロップイソプロピル−L、フルフェンピル、フルミクロラックペンチル、フルミプロピン、フルミオキシジム、フルルタモン、フルミオキシジム、フルピルスルフロンメチル、フルチアセットメチル、
グリホサート、グルホシネートアンモニウム、
ハロキシホップ、ヘキサジノン、
イマザメタベンズ、イソプロツロン、イソキサベン、イソキサピリホップ、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、アイオキシニル、イソプロパリン、イマゾスルフロン、イマゾモックス、イソキサフルトール、イマザピック、
ケトスピラドックス、
ラクトフェン、レナシル、リヌロン、
MCPA、MCPA−ヒドラジド、MCPA−チオエチル、MCPB、メコプロップ、メコプロップ−P、メフェナセット、メフルイジド、メソスルフロン、メタム、メタミホップ、メタミトロン、メタザクロル、メタベンズチアズロン、メタゾール、メトロプトリン、メチルダイムロン、メチル イソチオシアネート、メトブロムロン、メトクスロン、メトリブジン、メトスルフロン、モリネート、モナリド、モナリヌロン(monalinuron)、MSMA、メトラクロル、メトスラム、メトベンズロン、
ナプロアニリド、ナプロパミド、ナプタラム、ネブロン、ニコスルフロン、ノルフルラゾン、塩素酸ナトリウム、
オキサジアゾン、オキシフルオルフェン、オキシスルフロン、オルベンカルブ、オリザリン、オキサジアルギル、
プロピザミド、プロスルホカルブ、ピラゾレート、ピラゾールスルフロン、ピラゾキシフェン、ピリベンゾキシム、ピリブチカルブ、ピリデート、パラコート、ペブレート、ペンジメタリン、ペンタクロロフェノール、ペントキサゾン、ペンタノクロル、石油、フェンメディファム、ピクロラム、ピペロホス、プレチラクロール、プリミスルフロン、プロジアミン、プロホキシジム、プロメトリン、プロパクロール、プロパニル、プロパキザフォブ、プロパジン、プロファム、プロピソクロル、プリミノバックメチル、ペラルゴン酸、ピリチオバック、ピラフルフェンエチル、
キンメラック、キノクロアミン、キザロホップ、キザロホップ−P,キンクロラック、
リムスルフロン、
セトキシジム、シフロン、シマジン、シメトリン、スルホスルフロン、スルホメツロン、スルフェントラゾン、スルコトリオン、スルホサート、
タール油、TCA、TCAナトリウム、テブタム、テブチウロン、ターバシル、テルブメトン、テルブチラジン、テルブトリン、チアザフルオロン、チフェンスルフロン、チオベンカルブ、チオカルバジル、トラルコキシジム、トリアレート、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリクロピル、トリジファン、トリエタジン、トリフルラリン、タイコル(tycor)、チジアジミン、チアゾピル、トリフルスルフロン、
ベルノレート。
【0033】
本発明はさらに、産業材料を微生物による攻撃および/または破壊から保護するための本発明による組成物の使用に関する。
【0034】
本発明との関連での産業材料は、産業で用いるために製造された非生物材料を意味すると理解される。微生物的変化または破壊から本発明によって保護するべき産業材料は、例えば、接着剤、サイズ、紙およびボード、織物、皮革、木材、木工製品、木材−プラスチック複合材料、ペイント、合成品、冷却潤滑油ならびに微生物によって攻撃または破壊され得る他の材料である。微生物の増殖によって損なわれる可能性がある、生産プラントの部品、例えば、冷却水回路もまた、保護するべき材料の範囲内に挙げることができる。本発明との関連での産業材料は、好ましくは接着剤、サイズ、紙およびボード、皮革、木材、木工製品、木材−プラスチック複合材料、ペイント、冷却潤滑油ならびに伝熱液体であり;特に好ましい産業材料は、木材、木工製品および木材−プラスチック複合材料(WPC)である。
【0035】
木材は、特に:建設木材、木の梁、鉄道の枕木、橋梁構成材、桟橋、木製車両、箱、パレット、コンテナ、電柱、木材フェンス、木の断熱材、木製の窓およびドア、家庭建造物または木工品および建具類に使用する指物師作品および木材ベースの材料を意味すると理解されるべきである。
【0036】
木工製品は、特に:合板、チップボード、繊維板、配向性ストランドボード(OSB)または複合板を意味すると理解されるべきである。
【0037】
木材−プラスチック複合材料は、特に:木材、プラスチックおよび接着剤からなる熱可塑的に加工可能な複合材料を意味すると理解されるべきである。
【0038】
木材が特に好ましい。
【0039】
産業材料を劣化または変化させ得る微生物としては、例えば、細菌、真菌類、酵母、藻類およびスライム微生物を挙げることができる。本発明による組成物は、好ましくは、木材腐朽担子菌類、好ましくはホロ担子菌類に対して作用する。
【0040】
ここでは、特に、次の属の真菌類を挙げることができる:
コニオフォラ・プエタナ(Coniophora puetana)などの、コニオフォラ属、
レンチヌス・チグリヌス(Lentinus tigrinus)などの、レンチヌス属、
ポリポラス・バーシカラー(Polyporus versicolor)などの、ポリポラス属、
グロエオフィラム・トラベウム(Gloeophyllum trabeum)などの、グロエオフィラム属、
ポリア・プラセンタ(Poria placenta)などの、ポリア属、
コリオルス・バーシカラー(Coriolus versicolor)などの、コリオルス属、
ステレウム・サンギノレンタム(Stereum sanguinolentum)などの、ステレウム属。
【0041】
加えて、本発明に従って使用するべき組成物は、木材腐朽および軟腐病誘発子嚢菌ならびに、例えば:
グレノスポラ・グラフィイ(Glenospora graphii)などの、グレノスポラ属の種、
ケトミウム・グロボスム(Chaetomium globosum)などの、ケトミウム属の種、
フミコーラ・グリセア(Humicola grisea)などの、フミコーラ属の種、
ペトリエラ・セチフェラ(Petriella setifera)などの、ペトリエラ属の種、
トリチュルス・スピラリス(Trichurus spiralis)などの、トリチュルス属の種、
レシトフォーラ・ムタビリス(Lecythophora mutabilis)などの、レシトフォーラ属の種、
スクレロフォマ・ピチオフィラ(Sclerophoma pityophila)などの、スクレロフォマ属の種、
オーレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)などの、オーレオバシジウム属の種
などの、関連不完全菌類に対して作用する。
【0042】
本発明はさらに、
a)少なくとも1種のアゾールと
b)少なくとも1種の式(I):
【化2】

(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、水素、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C18アルキルアリールまたはC〜C20シクロアルキルを表し、ただし、R〜R基がいずれも、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキルまたは水素を表す場合には、
− R〜R基の少なくとも1つは、フェニル基で置換されたC〜Cアルキル基を表し、ここで、前記フェニル基は、ヒドロキシルおよび/またはC〜Cアルキルで任意に置換されていてもよく、
− 式(I)の化合物は少なくとも1個のメチル基を有することを条件とする)
のフェノールまたはその塩と
を含む、産業材料、特に木材、木工製品または木材/プラスチック複合材料に関し、上述の好ましい実施形態がここでもまた適用される。
【0043】
本発明はさらに、
a)少なくとも1種のアゾールと
b)少なくとも1種の式(I):
【化3】

(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、水素、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C18アルキルアリールまたはC〜C20シクロアルキルを表し、ただし、R〜R基がいずれも、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキルまたは水素を表す場合には、
− R〜R基の少なくとも1つは、フェニル基で置換されたC〜Cアルキル基を表し、ここで、前記フェニル基は、ヒドロキシルおよび/またはC〜Cアルキルで任意に置換されていてもよく、
− 式(I)の化合物は少なくとも1個のメチル基を有することを条件とする)
のフェノールまたはその塩と
を含む少なくとも1つの組成物を微生物またはその生息場所に作用させることを特徴とする、産業材料を微生物による攻撃および/または破壊から保護するための方法に関し、上述の好ましい実施形態がここでもまた適用される。
【0044】
意外にも、本発明による組成物はアゾールの活性を高め、これによって活性の弱点を軽減することができ、その結果、より少ない活性化合物を用いることができるか、あるいはより広いスペクトルの有害な真菌類がカバーされることが今見いだされた。6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジ−p−クレゾールは、1ppm未満の水への非常に低い溶解度および低い蒸気圧(50℃で0.0001hPa)を有し、浸出および/または蒸発による損失が最小限となる。米国特許第6,231,651号明細書に記載されているBHTでの活性強化と比較してかなり少ない量の成分b)の活性エンハンサーをことが可能であり、使用がより経済的になる。加えて、スチレン化フェノールおよび6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジ−p−クレゾールの両者は、アゾールとの組み合わせで、様々な真菌類に対する相乗作用を示す。
【0045】
本発明による方法または本発明による使用では、本組成物は、塗装、浸漬、吹き付け、含浸、あるいは異なる方法で、産業材料に適用することが好ましい。
【0046】
木材については、工業的含浸法、例えば、真空、二重真空、真空−加圧または加圧法が好ましい。
【0047】
木材−プラスチック複合材料は、例えば、木材粒子、熱可塑性ポリマーおよび本組成物を、熱エネルギーの入力と共に混合すること、特に押出または射出成形することによって製造することができる。
【0048】
木材複合材料は、例えば、膠組み込み法によって処理することができる。ここで、本発明による組成物は、適切な場合、膠液の調合物の形態で加えられ、この殺菌仕上げされた膠は、慣習的な方法でチップに適用される。特に、(例えばチップボードまたはOSBボードの場合には)ノズルを使用して適用され、あるいは(例えば合板の場合には)ロールによってベニヤに適用される。かかる表面プロセスでは、本発明による組成物は、適切な場合、調合物の形態で木工製品に吹き付けられるかまたはロールを使用して適用される。
【0049】
本発明による活性化合物の使用濃度は、抑制されるべき微生物のタイプおよび発生状況、ならびに保護されるべき材料の組成次第である。最適な率は、一連の試験によって決定することができる。一般に、使用濃度は、保護するべき材料を基準として、0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜1.0質量%の範囲の活性化合物であり、活性エンハンサーおよび任意選択的な他の添加剤が加えられる。
【0050】
木材の工業的保護では、例えば、木材の1m当たり10〜500g、好ましくは50〜300g/mの活性化合物が適用され、活性エンハンサーおよび任意選択的な他の添加剤が加えられる。
【実施例】
【0051】
実施例1:木材腐朽微生物コリオルス・バーシカラー(Coriolus versicolor)に対するテブコナゾールと6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジ−p−クレゾール(Vulkanox(登録商標)BKF)との組み合わせ
菌糸体片を、木材腐朽微生物コリオルス・バーシカラー(Coriolus versicolor)のコロニーから打ち抜き、麦芽エキス/ペプトン−含有栄養寒天培地上26℃で培養した。菌糸の増殖を、活性化合物および6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジ−p−クレゾールのありおよびなしで比較した。提示した最小阻止濃度(MIC)は、放射状の菌糸増殖が完全に抑えられる濃度であった(培養時間:活性化合物なしの比較サンプルの真菌増殖とは無関係に、約1週間)。
【0052】
相乗作用は、Kullらにより記載された方法によって測定した(F.C.Kull、P.C.Eismann、H.D.Sylvestrowicz、R.L.Mayer、Applied Microbiology 1961、9、538−541ページ)。次の関係が適用される:
【数1】

SI=1は加法性を意味する
SI>1は拮抗作用を意味する
SI<1は相乗作用を意味する
=MICである物質Aの濃度
=MICである物質Bの濃度
=微生物増殖が抑えられるA/Bの濃度における物質Aの濃度
=微生物増殖が抑えられるA/Bの濃度における物質Bの濃度
【0053】
結果:
【0054】
【表1】

【0055】
木材腐朽微生物コリオルス・バーシカラー(Coriolus versicolor)の場合に、テブコナゾールおよび6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジ−p−クレゾールは、様々な混合比で顕著な相乗効果を示す。
【0056】
実施例2:木材腐朽微生物コリオルス・バーシカラー(Coriolus versicolor)に対するテブコナゾールとスチレン化フェノール(Vulkanox(登録商標)SP)との組み合わせ
【0057】
【表2】

【0058】
木材腐朽微生物コリオルス・バーシカラー(Coriolus versicolor)の場合に、テブコナゾールおよびスチレン化フェノールは顕著な相乗効果を示す。
【0059】
実施例3:木材腐朽微生物レンチヌス・チグリヌス(Lentinus tigrinus)に対するテブコナゾールとスチレン化フェノール(Vulkanox(登録商標)SP)との組み合わせ
【0060】
【表3】

【0061】
木材腐朽微生物レンチヌス・チグリヌス(Lentinus tigrinus)の場合に、テブコナゾールおよびスチレン化フェノールは顕著な相乗効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種のアゾールと
b)少なくとも1種の式(I):
【化1】

(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、水素、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C18アルキルアリールまたはC〜C20シクロアルキルを表し、ただし、R〜R基の少なくとも1つは水素ではないことを条件とし、かつ、R〜R基がいずれも、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキルまたは水素を表す場合には、
− R〜R基の少なくとも1つは、フェニル基で置換されたC〜Cアルキル基を表し、ここで、前記フェニル基は、ヒドロキシルおよび/またはC〜Cアルキルで任意に置換されていてもよく、
− 式(I)の化合物は少なくとも1個のメチル基を有する
ことを条件とする)
のフェノールまたはその塩と
を含む組成物。
【請求項2】
成分a)として、少なくとも1種のトリアゾール、特に、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、マイクロブタニル、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾールおよびウニコナゾールならびにそれらの金属塩および酸付加物からなる群から選択されるトリアゾールを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
a1)アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、マイクロブタニル、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリチコナゾールおよびウニコナゾールならびにそれらの金属塩および酸付加物からなる群から選択される少なくとも1種のアゾールと
a2)トリアジメノールおよびトリアジメホンからなる群から選択される少なくとも1種のアゾールと
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
テブコナゾール、プロピコナゾールおよびシプロコナゾールからなる群から選択される少なくとも1種のアゾールを含み、任意選択的に、トリアジメノールおよびトリアジメホンからなる群から選択されるさらなるアゾールを含んでいてもよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記式(I)のR〜R基の少なくとも1つが、
−CHR−フェニル
(式中、Rは、水素またはメチルを表し、
フェニルは、非置換であるか、あるいはヒドロキシルおよび少なくとも1個のC〜Cアルキル基で置換されている)
を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
成分b)として、少なくとも1種のスチレン化フェノールまたは6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジ−p−クレゾールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
産業材料を微生物による攻撃および/または破壊から保護するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項8】
前記産業材料が、木材、木工製品または木材−プラスチック複合材料であることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
木材、木工製品または木材−プラスチック複合材料を、木材腐朽担子菌類、特にホロ担子菌類から保護するための、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
a)少なくとも1種のアゾールと
b)少なくとも1種の式(I):
【化2】

(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、水素、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C18アルキルアリールまたはC〜C20シクロアルキルを表し、ただし、R〜R基がいずれも、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキルまたは水素を表す場合には、
− R〜R基の少なくとも1つは、フェニル基で置換されたC〜Cアルキル基を表し、ここで、前記フェニル基は、ヒドロキシルおよび/またはC〜Cアルキルで任意に置換されていてもよく、
− 式(I)の化合物は少なくとも1個のメチル基を有する
ことを条件とする)
のフェノールまたはその塩と
を含む、産業材料、特に、木材、木工製品または木材−プラスチック複合材料。
【請求項11】
産業材料を微生物による攻撃および/または破壊から保護するための方法であって、
a)少なくとも1種のアゾールと
b)少なくとも1種の式(I):
【化3】

(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、水素、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C18アルキルアリールまたはC〜C20シクロアルキルを表し、ただし、R〜R基がいずれも、任意に置換されていてもよいC〜C20アルキルまたは水素を表す場合には、
− R〜R基の少なくとも1つは、フェニル基で置換されたC〜Cアルキル基を表し、ここで、前記フェニル基は、ヒドロキシルおよび/またはC〜Cアルキルで任意に置換されていてもよく、
− 式(I)の化合物は少なくとも1個のメチル基を有する
ことを条件とする)
のフェノールまたはその塩と
を含む少なくとも1種の組成物を、微生物またはその生息場所に作用させることを特徴とする、方法。

【公開番号】特開2011−57676(P2011−57676A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−204270(P2010−204270)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】