説明

用紙処理装置、画像形成システム及び用紙整合方法

【課題】用紙を押さえるために独立した駆動源が不要で、用紙後端の浮き上がりが大きい場合でも後端の浮き上がりを押さえて用紙又は用紙束を精度よく積載できるようにする。
【解決手段】搬入されてきた用紙に予め設定された処理を施して排紙する用紙処理装置であって、排紙された用紙又は用紙束を積載する排紙トレイ203と、搬入されてきた用紙を一時的に積載するスティプルトレイ219と、搬入されてきた用紙を排紙トレイ203に排紙し、あるいはスティプルトレイ219に積載された用紙束を前記排紙トレイ203に排紙する排紙ローラ206と、排紙ローラ206の駆動軸223に取り付けられ、排紙トレイ203の可動トレイ208bの端部との相対的な距離に応じて用紙又は用紙束の搬送方向後端部を押さえ、あるいは可動トレイ208bと接触することなく駆動軸223を中心として回転する用紙押さえ部材209と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理装置、画像形成装置及び用紙整合方法に係り、特に、搬入されてきたシート状記録媒体(本明細書では、「用紙」と称す)に対して所定の処理を施す用紙処理装置、この用紙処理装置と複写機、プリンタ、ファクシミリ、デジタル複合機などの画像形成装置を備えた画像形成システム、及び前記用紙処理装置で実行される用紙整合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置から排紙された複数枚の用紙について、用紙整合手段によって用紙搬送方向及び用紙幅方向(用紙搬送方向と直行する方向)を整合し、綴じ処理など、所定の後処理を施して排出する用紙処理装置、所謂、用紙後処理装置がある。このような用紙後処理装置では、画像形成装置により画像が形成された用紙を複数枚排出して、排紙トレイに積載する場合、用紙後処理装置から排出した用紙が、先に排出され積載されている用紙をずらしてしまい、積載用紙の揃え品質を低下させるということがあった。これを防ぐため、用紙押さえレバーを設け、排出口から用紙が排出されるときに、先に積載されている用紙の後端を用紙押さえレバーで押え付けることにより、積載用紙のずれを防ぐようにした発明が、例えば、特許文献1(特開2011−020775号公報)に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に記載された発明では、排紙トレイに排出された用紙の後端を押さえる用紙押さえレバーを駆動させるために、モータやソレノイドなど独立した駆動源を設ける必要があった。また、前記特許文献1に記載されているような構成では、用紙押さえレバーの退避位置は用紙搬送の妨げにならないよう、排紙ローラと同じか、より低い位置にしなければならなかった。そのため用紙のカールなどによって用紙後端が大きく浮き上がって、排紙ローラ付近まで達していると、用紙押さえレバーでは押さえられなかった。
【0004】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、用紙を押さえるために独立した駆動源が不要で、用紙後端の浮き上がりが大きい場合でも後端の浮き上がりを押さえて用紙又は用紙束を精度よく積載できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、第1の手段は、搬入されてきた用紙に予め設定された処理を施して排紙する用紙処理装置であって、排紙された用紙又は用紙束を積載する第1の積載手段と、搬入されてきた用紙を一時的に積載する第2の積載手段と、搬入されてきた用紙を前記第1の積載手段に排紙し、あるいは前記第2の積載手段に積載された用紙束を前記第1の積載手段に排出する排出手段と、前記排出手段の回転駆動軸に取り付けられ、前記第1の積載手段の用紙搬送方向上流側の端部との相対的な距離に応じて前記用紙又は用紙束の搬送方向後端部を押さえ、あるいは駆動軸を中心として回転する用紙押さえ手段と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段に係る用紙処理装置を備えた画像形成システムを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、排紙された用紙又は用紙束を積載する第1の積載手段と、搬入されてきた用紙を一時的に積載する第2の積載手段と、を備え、搬入されてきた用紙に予め設定された処理を施して排紙する用紙処理方法であって、搬入されてきた用紙を排出手段により前記第1の積載手段に排紙し、あるいは前記第2の積載手段に積載された用紙束を前記排出手段により前記第1の積載手段に排出する工程と、前記第1の積載手段の用紙搬送方向後端部を前記排紙手段に対して近接離間させ、前記第1の積載手段の用紙搬送方向上流側の端部との相対的な距離を近接させて前記排出手段の回転駆動軸に取り付けられた用紙押さえ手段により前記用紙又は用紙束の搬送方向後端部を押さえ、あるいは前記相対的な距離を離間させ、前記用紙押さえ手段が前記用紙又は用紙束の搬送方向後端部と接触しない位置まで退避させる工程と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、用紙を押さえるために独立した駆動源が不要で、用紙後端の浮き上がりが大きい場合でも後端の浮き上がりを押さえて用紙又は用紙束を精度よく積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置における用紙押さえ機構を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【図5】シフトモード時の動作を示す動作説明図で、用紙が用紙後処理装置に搬送されてきたときの状態を示す。
【図6】シフトモード時の動作を示す動作説明図で、用紙がシフト搬送ローラから排紙ローラに受け渡されたときの状態を示す。
【図7】シフトモード時の動作を示す動作説明図で、用紙が排紙ローラから排紙トレイに排紙されたときの状態を示す。
【図8】シフトモード時の動作を示す動作説明図で、可動トレイ部が下降し、用紙押さえ部材が回転を開始したときの状態を示す。
【図9】シフトモード時の動作を示す動作説明図で、可動トレイ部が用紙押さえ回避位置への移動を完了し、排紙モータが所定ステップ数駆動されるときの状態を示す。
【図10】シフトモード時の動作を示す動作説明図で、用紙押さえ部材が可動トレイ部に接触しない位置まで移動し、可動トレイ部が用紙押さえ位置に上昇したときの状態を示す。
【図11】シフトモード時の動作を示す動作説明図で、用紙押さえ部材が可動トレイに当接するまで回転したときの状態を示す。
【図12】シフトモード時の動作を示す動作説明図で、用紙が排紙トレイ上に積載され、次紙の先端が排紙トレイに達したときの状態を示す。
【図13】スティプルモード時の動作を示す動作説明図で、用紙が用紙後処理装置に搬送されてきたときの状態を示す。
【図14】スティプルモード時の動作を示す動作説明図で、用紙の後端がシフト搬送ローラを通過したタイミングで叩きコロを下降させたときの状態を示す。
【図15】スティプルモード時の動作を示す動作説明図で、叩きコロによって用紙をスイッチバックさせたときの状態を示す。
【図16】スティプルモード時の動作を示す動作説明図で、ジョガーフェンスによる用紙幅方向の整合を行うときの状態を示す。
【図17】スティプルモード時の動作を示す動作説明図で、綴じ処理後、排紙開閉ガイド板を下降させたときの状態を示す。
【図18】スティプルモード時の動作を示す動作説明図で、閉じられた用紙束を排紙トレイに排紙するときの状態を示す。
【図19】スティプルモード時の動作を示す動作説明図で、用紙押さえ動作開始時の状態を示す。
【図20】スティプルモード時の動作を示す動作説明図で、可動トレイ部の自由端側を下降させ、用紙押さえ回避位置に移動させたときの状態を示す。
【図21】スティプルモード時の動作を示す動作説明図で、用紙押さえ部材が可動トレイ部に接触しない用紙押さえ回避位置まで移動したときの状態を示す。
【図22】スティプルモード時の動作を示す動作説明図で、可動トレイ部を上昇させ、用紙押さえ位置に移動させたときの状態を示す。
【図23】スティプルモード時の動作を示す動作説明図で、浮き上がった状態の用紙後端に上方から当接し、可動トレイ部に当接するまで回転して用紙束を押さえたときの状態を示す。
【図24】シフトモード時の排紙、用紙押さえ、積載動作時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図25】スティプルモード時の排紙、用紙押さえ、積載動作時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図26】用紙押さえ機構の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、用紙を排紙トレイに排出する排出手段の駆動軸に所謂トルクリミッタを介して用紙押さえ部材を設け、排紙トレイが用紙押さえ位置にあるとき、用紙押さえ部材の回転を排紙トレイによって規制し、積載されている用紙の後端を排紙トレイ上に押し当てるようにしたことを特徴とする。
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成の概略を示す図である。同図において、本実施形態に係る画像形成システムは画像形成装置100、用紙処理装置(本実施形態では、画像形成された用紙の後処理を行うので、以下「用紙後処理装置」と称す。)200、及び画像読み取り装置300から構成されている。
【0013】
画像形成装置100は、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置であり、図においてほぼ中央部に4色の作像ステーション111が配置された作像部110、この作像部110の下方に隣接して設けられた光書き込み部(不図示)、作像部110の下方に設けられた給紙部120、給紙部120でピックアップされた用紙を2次転写部140及び定着部150に搬送する給紙搬送路(縦搬送路)130、画像が定着された用紙を用紙後処理装置200側に搬送する排紙経路160、一面に画像が形成された用紙を反転し、他面に画像形成させるための両面搬送路170を備えている。
【0014】
作像部110は、前記作像ステーション111のYMCK各色用の感光体ドラムと、この感光体ドラムの外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニットと、感光体ドラムに形成された画像を1次転写ユニットによって中間転写する中間転写ベルト112と、感光体ドラムに色毎に画像を書き込む光書き込みユニットとを備えている。光書き込みユニットは、作像ステーション111の下側に配置され、中間転写ベルト112は作像ステーション111の上側に配置されている。
【0015】
中間転写ベルト112は複数の支持ローラによって回転可能に支持され、そのうちの1つの支持ローラ114は2次転写部140で中間転写ベルト112を介して2次転写ローラ115と対向し、中間転写ベルト112上の画像を用紙に2次転写できるようになっている。
【0016】
なお、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置の画像形成プロセスは公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0017】
給紙部120は給紙トレイ121、ピックアップローラ122、給紙搬送ローラ123を備え、給紙トレイ121からピックアップした用紙を縦搬送路130に沿って上方に送り出す。送り出された用紙は2次転写部140で画像が転写され、定着部150に送られる。定着部150は定着ローラと加圧ローラとからなるローラ対151を備え、用紙が当該ローラ対151間のニップを通過する過程で、加熱及び加圧が行われ、トナーが用紙に定着される。
【0018】
定着部150の下流には、排紙搬送路160と両面搬送路170が設けられ、両者は分岐爪161によって2方向に分岐し、用紙後処理装置200側に搬送される場合と、両面搬送路170に搬送される場合とで搬送路が選択される。なお、分岐爪161の用紙搬送方向上流側の直近には分岐搬送ローラ162が設けられ、用紙へ搬送力を付与している。
【0019】
用紙後処理装置200は、画像形成装置100の内部に配置され、あるいは画像形成装置100の排紙トレイ(筐体トレイ)上に装着され、画像形成装置100から搬送された画像形成済み用紙に所定の処理を施し、最下流に位置する排紙トレイ203に積載するもので、詳細については後述する。なお、図1に示すように画像読み取り装置300を備えた場合には、用紙後処理装置200は、画像形成装置100と画像読み取り装置300との間であって、画像形成装置100の筐体の上面に形成された排紙トレイ、所謂筐体トレイ上の本来空間部であった部分に装着される。これにより、空間の有効利用を図り、省スペース化を促進することができる。
【0020】
画像読み取り装置300は、コンタクトガラス上にセットされた原稿を光走査して原稿面の画像を読み取る公知のものである。画像読み取り装置300自体の構成及び機能は公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0021】
大略前記のように構成された画像形成装置100では、画像読み取り装置300から読み取られた原稿データあるいは外部のPCなどから転送された印刷データに基づいて書き込みに使用する画像データを生成し、その画像データに基づいて光書き込みユニットから各感光体ドラムに対して光書き込みが行われ、各作像ステーション111で色毎に形成された画像が順次中間転写ベルト112に転写され、中間転写ベルト112上に4色の画像が重畳されたカラー画像が形成される。一方、給紙トレイ121からは前記画像形成に応じて用紙が給送される。用紙は、中間転写部140の直前の図示しないレジストローラ位置で一旦停止し、中間転写ベルト112上の画像先端とタイミングを合わせて送り出され、中間転写部140で2次転写され、定着部150へと送り込まれる。
【0022】
定着部150で画像が定着された用紙は、片面印刷の場合及び両面印刷の両面印刷後の場合には、分岐爪161の切り替え動作により排紙経路160側へ搬送され、両面印刷の場合には両面搬送路170側へ搬送される。両面搬送路170に搬送された用紙は、反転後、最後中間転写部140に送り込まれて、他側の面に画像が形成された後、排紙経路160側に返送される。排紙経路160側に搬送された用紙は、用紙後処理装置200に搬送され、用紙後処理装置200で所定の用紙処理を施し、あるいは、処理なしで排紙トレイ203に排紙される。
【0023】
排紙ローラ206の下流に配置された排紙トレイ203は、搬送方向下流側の固定トレイ部208aと上流側の可動トレイ部208bを備え、可動トレイ部208bは排紙トレイモータ221a及びカム・リンク機構221bにより上下動する。可動トレイ部208bは上流側の端部を支点として支軸221cを介して固定トレイ部208aに揺動可能に軸支され、カム・リンク機構221bの作動端がこの可動トレイ208bに連結されている。これにより、排紙トレイモータ221aが回転し、この回転に応じて可動トレイ部208bが前記支軸221cを中心に揺動する。
【0024】
図2は本実施形態に係る用紙後処理装置200の概略構成を示す図である。
用紙後処理装置200は、用紙搬送方向上流側から入口ローラ対201、排紙搬送路202、シフト排紙ローラ対204、スティプルトレイ219、叩きコロ211、後端基準フェンス220、ジョガーフェンス212、排出手段としての排紙ローラ206及び排紙従動ローラ205aを備えた排紙開閉ガイド板205、並びに排紙トレイ203から主に構成されている。
【0025】
すなわち、用紙後処理装置200の用紙受け入れ部には画像形成装置100の排紙搬送路160から用紙を受け入れる入口ローラ対201、受け入れた用紙をシフト排紙ローラ対204側に搬送する排紙搬送路202、及び排紙トレイ203に用紙をシフトして排紙する機能を有するシフト排紙ローラ対204が設けられ、入口モータ216により入口ローラ対201及びシフト排紙ローラ対204を回転させることによって排紙搬送路202に沿って用紙を搬送する。
【0026】
また、排紙搬送路202には用紙位置検出手段としての入口センサ207が配置され、用紙の先端と後端を検知し、後述のCPU401が検知された用紙の先端と後端の検知タイミングと、ステッピングモータである入口モータ216及び後述の排紙モータ217の駆動ステップ数に基づいて各用紙処理を行う際のタイミングをとっている。
【0027】
なお、排紙搬送路202に沿って設けられた入口ローラ対201及びシフト排紙ローラ対204が搬送手段として機能する。
【0028】
図3は、本実施形態に係る用紙後処理装置における用紙押さえ機構を示す図である。
【0029】
用紙押さえ機構M1は、排紙ローラ206の(回転)駆動軸223に設けられたトルクリミッタ230と、トルクリミッタ230を介して前記駆動軸223に設けられた用紙押さえ部材209とから構成されている。
【0030】
用紙押さえ部材209は、本実施形態では、駆動軸223に並列に2個配置されている。用紙押さえ部材209の用紙P又は用紙束P’に接触する先端(接触部)には図3(a)に示すようにスポンジ材224が取り付けられている。駆動軸に矢印R21方向の回転力を与えた場合、排紙トレイ203の可動トレイ部208bが、用紙押さえ部材209の先端と接触する位置、すなわち用紙押さえ位置にあるとき、用紙押さえ部材209の回転は排紙トレイ可動部208bによって規制される。このとき排紙トレイ203上に用紙があれば、図3(b)に示すように排紙トレイ203に積載されている用紙の後端が可動トレイ部208bに押し当てられる。
【0031】
可動トレイ部208bは前述のように排紙トレイモータ221aが回転し、この回転に応じて可動トレイ部208bが前記支軸221cを中心に揺動する。そこで、用紙の後端が用紙押さえ部材209によって可動トレイ部208bに押し当てられると、可動トレイ部208bの自由端をQ21のように下降させることができる。そして、可動トレイ部208bが、用紙押さえ部材209の先端と接触しない位置、すなわち用紙押さえ回避位置に移動すると、用紙押さえ部材209は、図3(c)に示すように排紙ローラ206の駆動軸223の動き(矢印R21方向)に従って矢印R21aに回転可能となる。
【0032】
図4は本実施形態に係る画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【0033】
同図において、画像形成装置100の制御はCPU411、ROM412、RAM413、不揮発RAM414、シリアルI/F415、タイマ416などを内蔵した画像形成装置制御部410によって実行される。
【0034】
制御のためのプログラムコードはROM412に格納され、CPU411はプログラムコードをRAM413に展開し、制御に必要なデータをRAM413に記憶し、当該RAMをワークエリアとして使用しながら前記プログラムコードによって定義されたプログラムを実行し、各部を制御する。
【0035】
画像形成装置制御部410には、感光体などの作像部110で使用されるモータ、給紙部120、給紙搬送路130、両面搬送路170における各種モータやクラッチなどの各種直流負荷450、各種交流負荷470、定着ローラの温度を検出する温度センサなどの各種センサ460が接続されている。また、画像読み取り装置300、及び操作表示部440が接続され、画像形成装置制御部407を介して各部が制御される。
【0036】
用紙後処理装置200の制御は、CPU401、ROM402、RAM403、シリアルI/F404、タイマ405などを内蔵した用紙処理装置制御部400によって実行される。制御のためのプログラムコードはROM402に格納され、CPU401はプログラムコードをRAM403に展開し、制御に必要なデータをRAM403に記憶し、当該RAMをワークエリアとして使用しながら前記プログラムコードによって定義される制御を実行し、各種直流負荷420の制御を行っている。各種直流負荷420としては、例えば入口モータ216、排紙モータ217、シフトモータ420a、排紙開閉ガイド板駆動モータ420b、排紙トレイモータ221a等々がある。
【0037】
画像形成装置100と用紙後処理装置200は、シリアルI/F415及び404を介して用紙搬送制御に必要なコマンドを送受し、用紙後処理装置200のCPU401は該コマンド及び各種センサ430から得られる用紙位置情報により、排紙開閉ガイド板204の駆動制御、スティプル排紙ローラ203の駆動制御、図示しないシフト機構のシフト駆動制御、排紙トレイ206の高さ位置の制御、排紙トレイ可動部207の回動制御、用紙後端押さえ208の回動制御、ジョガーフェンス212の整合制御、叩きコロ211による整合制御、ソレノイド229による揺動部材228の揺動制御、リンクによる排紙ローラ206の昇降制御、叩きコロ211による用紙の突き当て制御、スティプラ215の綴じ制御を含む各種制御を実行する。
【0038】
本実施形態では、画像読み取り装置300と画像形成装置100の画像形成部を有する本体部との間の空間に用紙後処理装置200が設けられているが、用紙後処理装置200の取り付け空間は、この実施形態に限られるものではなく、例えば、画像形成装置100本体側面から排紙される形式のものでは、本体側面に設置される。いずれにしても、画像形成装置100の本体形状、本体構造、排紙位置に応じて設置位置は設定される。但し、どの位置に設置しても、画像形成装置100の排紙トレイ(筐体トレイ)上に装着しても、用紙後処理装置200の構成、動作、及び制御は同等である。
【0039】
画像形成装置100から排紙された用紙を受け入れた後の用紙後処理装置200の動作は、用紙をシフトして排紙するシフトモードと、複数の用紙を綴じて排紙するスティプルモードで異なるので、モード毎に各部構成を加えて説明する。
【0040】
図5ないし図12は本実施形態に係る用紙後処理装置のシフトモード時の用紙搬送、排紙、用紙押さえ、積載動作の各動作を示す動作説明図である。
【0041】
シフトモードは、画像形成装置100から排紙された用紙Pを所定枚数毎に用紙搬送方向と垂直な方向に用紙の排紙位置をずらし、このずれにより用紙Pを仕分けするモードである。
【0042】
シフト搬送ローラ対204は、排紙搬送路202の最下流の端部に設けられ、不図示のシフトモータにより用紙搬送方向に対して垂直な方向に往復駆動される。すなわち、シフトモードで用紙Pの仕分けを行う際、シフト搬送ローラ対204は所定枚数毎に用紙搬送方向と垂直な方向に移動し、用紙Pの搬送方向を垂直な方向に移動した分だけずらして排紙トレイ203に排紙する。これにより用紙Pが排紙トレイ203に積載されたとき、前記所定枚数毎に排紙位置が交互にずれ、用紙Pの仕分けが行われる。
【0043】
また、シフト搬送ローラ対204の下流には排紙開閉ガイド板205と排紙手段としての排紙ローラ206が配置されている。排紙ローラ206は排出手段の駆動源としての排紙モータ217により駆動され、排紙開閉ガイド板205は不図示の排紙開閉ガイド板駆動モータにより上下動可能であり、排紙ローラ206と排紙開閉ガイド板205に取り付けられた従動コロにより用紙を挟持して搬送し、用紙Pを排紙トレイ203へと排紙し、排紙トレイ203上に積載する。
【0044】
すなわち、図5に示すように、画像形成装置100から排紙搬送路202に搬送されてきた用紙Pはシフト搬送ローラ対204によって搬送される間に用紙搬送方向を直交する方向に予め設定された量移動し、排紙ローラ206と排紙従動ローラ205aに受け渡す。このとき、用紙押さえ部材209の先端部は上昇した可動トレイ部208bと接触している。
【0045】
シフト搬送ローラ対204から排紙ローラ206と排紙従動ローラ205aに受け渡された用紙Pは図6に示すように両ローラ206,205aによって排紙トレイ203側に排紙され、図7に示すように排紙トレイ203上に放出される。
【0046】
用紙押さえ動作は、排紙された用紙Pの後端が用紙押さえ開始位置を通過したときに実行する。用紙押さえ開始位置は、用紙位置検出手段としての入口センサ207がOFFしてから、排紙モータ217が所定のステップ数ST1駆動したら、用紙後端が排紙ローラ206位置を通過する距離D1mm搬送されたと見なす(図24参照)。
【0047】
次いで、図8に示すように可動トレイ部208bが下降(回転)し(矢印D21方向)、用紙押さえ部材209は図示反時計回り方向(矢印R11方向)に回転する。図では、用紙Pの後端はカールして排紙ローラ206とほぼ同じ高さに位置している。
【0048】
次いで、図9に示すように可動トレイ部208bが最下端まで下降し、可動トレイ部208bが用紙押さえ回避位置への移動を完了後、排紙モータ217が所定のステップ数ST2駆動されるのを待つ。用紙押さえ部材209がさらに反時計回り方向に回転し、可動トレイ部208bに接触しない位置まで移動したら、図10に示すように可動トレイ部208bを上昇させ(矢印22方向)、用紙押さえ位置に移動させる。
【0049】
この動作を並行して用紙押さえ部材209は駆動軸223の回転に従って一回転し、図10に示すように浮き上がった状態の用紙後端に上方から当接し、図11に示すようにさらに可動トレイ部208bに当接するまで回転する。用紙押さえ部材209はトルクリミッタ230を介して駆動軸223に取り付けられているため、排紙ローラ206の回転を阻害することなく、可動トレイ部208bに当接した状態で停止する。
【0050】
このようにして用紙の後端は、用紙押さえ部材209によって可動トレイ部208bに押し当てられ、図12に示すように排紙トレイ203上に積載される。用紙Pの積載が完了し、後続の用紙がなければ、排紙モータ217の動作を停止する。なお、図12は排紙トレイ203上に積載された用紙の上に次紙が搬送されてきたときの状態を示す。
【0051】
図13ないし図23は本実施形態に係る用紙後処理装置のスティプルモード時の用紙搬送、排紙、用紙押さえ、積載動作の各動作を示す動作説明図である。
【0052】
スティプルモードは、画像形成装置100から排紙された用紙Pをスティプルトレイ219に一時積載し、所定枚数毎にスティプラ215によって綴じて、綴じた用紙束P’を排紙トレイ203に排紙するモードである。
【0053】
排紙搬送路202の最下流の端部に設けられたシフト搬送ローラ対204と排紙トレイ203に排紙する直前に設けられた排紙開閉ガイド板205との間には、不図示のステッピングモータ(叩きコロ駆動モータ:図25−420c)により上下方向に駆動される叩きコロ211が配置されている。叩きコロ211は上下動を行うレバー部分とコロ部分からなり、コロ部分は排紙モータ217により、用紙搬送方向と逆方向に回転駆動される。
【0054】
スティプルモードでは、図13に示すように画像形成装置100から排紙搬送路202に搬送されてきた用紙Pは、図14に示すように用紙Pの後端がシフト搬送ローラ対204を通過したタイミングで叩きコロ211を下降させ(矢印D31方向)、図15に示すようにコロ部分で用紙Pをスティプルトレイ219に押し付け、さらにコロ部分を回転させて用紙Pの後端が後端基準フェンス220に突き当たるまでスイッチバックさせる。
【0055】
また、後端基準フェンス220の上部には、入口モータ216で駆動される戻しコロ214が配置されており、用紙のスイッチバックの補助を行い、用紙搬送方向の整合を行う。この整合は、後端基準フェンス220に突き当てることにより、後端基準フェンス220を基準に行われる。
【0056】
用紙のスイッチバックが完了すると、図16に示すように叩きコロ211を上昇させ(矢印D32方向D)、スティプルトレイ219に配置されているジョガーフェンス212による用紙搬送方向と垂直な用紙幅方向の整合を行う。ジョガーフェンス212は、固定側と可動側の2つの部分からなり、可動側の部分が不図示のジョガー駆動モータ(図25−符号420d)用紙搬送方向と垂直な方向に移動して用紙Pの端部を固定側の部分と挟むように移動し、用紙Pの側端部に当接して用紙を基準位置に揃え、整合する。その際、用紙後端の一側の端面は、スティプラ215の綴じ針の打ち込み位置まで挿入され、指定枚数の用紙の搬送動作、スイッチバック動作、及び整合動作が完了した後、不図示のスティプラモータ(図25−符号420e)綴じ処理される。
【0057】
綴じ処理後、図2において鎖線で示すように排紙開閉ガイド板205を下降させ(図17:矢印D11方向)、排紙ローラ206と排紙従動ローラ205aによって用紙束P’を挟持し、排紙モータ217を駆動することにより、図18に示すように用紙束P’を排紙トレイ203に排紙する。なお、紙有無センサ213はスティプルトレイ219上に一時積載された用紙の有無の検知するセンサであり、電源ON時やジャム発生時の機内残紙検知に使用される。
【0058】
図19以降の用紙押さえ動作は、排紙された用紙束P’の後端が用紙押さえ開始位置を通過したときに実行する。後端が用紙押さえ開始位置を通過したときとは、用紙位置検出手段としての排紙センサ210がOFFしてから排紙モータ217の駆動ステップ数が予め設定されたステップ数ST3だけ駆動された場合に、用紙束P’が排紙ローラ206位置を通過する距離D2mm搬送されたと見なす。
【0059】
用紙束P’が前記排紙ローラ206位置と見なされた位置を通過したら、制御部からの指令により排紙トレイモータ221aが所定の時間Taの間だけ回転し、図20に示すように可動トレイ部208bの自由端側を下降させ(矢印D21方向)、用紙押さえ回避位置に移動させる。可動トレイ部208bが用紙押さえ回避位置にあるとき、用紙押さえ部材209は排紙ローラ206の駆動軸223の動きに従って回転可能になる。
【0060】
可動トレイ部208bの用紙押さえ回避位置への移動完了後、排紙モータ217が予め設定されたステップ数ST4駆動されるのを待つ。そして、図21に示すように用紙押さえ部材209が可動トレイ部208bに接触しない用紙押さえ回避位置まで移動したら、可動トレイ部208bを上昇させ、図22に示すように用紙押さえ位置に移動させる。
【0061】
用紙押さえ部材209は駆動軸223の動きに従って一回転して、浮き上がった状態の用紙後端に上方から当接し、図23に示すようにさらに可動トレイ部208bに当接するまで回転する。用紙押さえ部材209はトルクリミッタ230を介して駆動軸223に取り付けられているため、排紙ローラ206の回転を阻害することなく、可動トレイ部208bに当接した状態で停止する。このようにして用紙束P’の後端は、用紙押さえ部材209によって可動トレイ部208bに押し当てられ、排紙トレイ203上に積載される。用紙束P’の積載が完了し、後続の用紙がなければ、排紙モータ217の動作を停止する。
【0062】
以上の動作を繰り返すことにより排紙トレイ203上に仕分けされた用紙、及び綴じ処理された用紙束が積載される。
【0063】
なお、本実施形態においては、用紙後端が排紙ローラ206位置(排紙センサ210で用紙束P’後端を検知した位置:図25参照)を通過する位置を用紙押さえ開始位置としている。これにより、薄紙などの腰の弱い用紙が排紙されてきた際、用紙Pは図20に示したように排紙トレイ203の可動トレイ部208b上で停止している用紙押さえ部材209の上を通過するため、用紙Pがへたって折れてしまうのを防ぎ、スタック不良を発生させず、用紙Pを排紙トレイ203上に良好に排出できる。
【0064】
図24はシフトモード時の排紙、用紙押さえ、積載動作時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【0065】
このタイミングチャートは、画像形成装置100のCPU411から用紙後処理装置200のCPU401のコマンドのタイミングと、入口センサ207、入口モータ216、排紙モータ217、シフトモータ420a、排紙開閉ガイド板駆動モータ420b、排紙トレイモータ420cの駆動タイミングの関係を示している。
【0066】
このタイミングチャートでは、画像形成装置100から用紙後処理装置200に排紙信号ONが入力されると(T1)、入口モータ216がONされ(T2)、本体排紙速度(線速)で駆動され、画像形成装置100からの用紙Pを受け入れて搬送する。そして、入口センサ207が用紙Pの先端を検知し(T3)、予め設定されたタイミングが経過した時点で排紙モータ217が本体排紙速度と同速で搬送方向に回転を開始する(T4)。画像形成装置100からの排紙信号がOFFになると(T5)、すなわち、用紙Pが画像形成装置100を抜けると、入口モータ216と排紙モータ217が増速され、シフトモータ420aが駆動され(T6)、用紙搬送方向を直交する方向(ここでは、装置の手間側から奥側)にシフトローラ204を予め設定された距離だけ移動させ、用紙Pのシフト動作を行う。
【0067】
シフト動作開始後、入口センサ207を用紙後端が抜けると(T7)排紙開閉ガイド板205を下降させ(T8)閉じ、排紙モータ217によって増速された排紙ローラ206と排紙従動ローラ205aによって用紙Pを排紙トレイ203側に排紙する。
【0068】
次いで、用紙押さえ動作を実行するが、用紙押さえ動作は排紙された用紙Pの後端が用紙押さえ開始位置を通過したとき(T9)に実行する。用紙押さえ開始位置は、入口センサ207がOFFしてから、排紙モータ217が所定のステップ数ST1駆動されたら、用紙後端が排紙ローラ206位置を通過する距離D1mm搬送されたと見なし、排紙トレイモータ221aを下降方向に駆動して(T10)可動トレイ部208bを下降させ、用紙押さえ回避位置へ移動させる。そして、排紙モータ217が排紙線速で所定のステップ数ST2駆動されると(T11)、排紙トレイモータ221aを上昇方向に駆動して可動トレイ部208bを上昇させ、用紙Pを押さえる。なお、排紙モータ217が前記所定のステップ数ST2駆動されている間に、排紙ガイド板駆動モータ420bが上昇方向に駆動され(T12)、排紙従動ローラ205aは用紙Pから離間する。また、この押さえ動作の間に次ぎの用紙Pが画像形成装置100から搬入され、シフトON信号(T13)によって逆方向のシフト動作が行われ、搬送されてくる枚数分同じ動作が繰り返される。
【0069】
図25はスティプルモード時の排紙、用紙押さえ、積載動作時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【0070】
このタイミングチャートは、画像形成装置100のCPU411から用紙後処理装置200のCPU401のコマンドのタイミングと、入口センサ207、入口モータ216、排紙モータ217、シフトモータ420a、排紙開閉ガイド板駆動モータ420b、叩きコロ駆動モータ420c、ジョガー駆動モータ420d、排紙トレイモータ221a、排紙センサ210及びスティプラモータ420eの駆動タイミングの関係を示している。
【0071】
このタイミングチャートでは、画像形成装置100から用紙後処理装置200に排紙信号ONが入力されると(T21)、入口モータ216がONされ(T22)、本体排紙速度(線速)で駆動され、画像形成装置100からの用紙Pを受け入れて搬送する。そして、入口センサ207が用紙Pの先端を検知し(T23)、予め設定されたタイミングが経過した時点で排紙モータ217が本体排紙速度と同速で回転を開始する(T24)。画像形成装置100からの排紙信号がOFFになり(T25)、用紙Pが画像形成装置100を抜けると、入口モータ216と排紙モータ217が増速され、シフトモータ420aが駆動され(T26)、用紙搬送方向と直交する方向(ここでは、装置の手間側から奥側)にシフトローラ204を予め設定された距離だけ移動させ、用紙Pのシフト動作を行う。なお、スティプルモードでは、複数枚同じ位置で用紙Pを揃えて用紙束P’とスティプルので、シフト方向は同じ方向である。
【0072】
シフト動作開始後、叩きコロ駆動モータ420cを駆動し(T27)、用紙Pを後端フェンス220側に移動させて搬送方向の整合を行うと共に、ジョガー駆動モータ420dを駆動して(T28)幅方向の整合も行う。ジョガーフェンス212は待機(ホーム)位置と揃え位置(ホーム外)との間を往復動し、固定側のジョガーフェンスに用紙を押し当て、用紙の幅方向が揃えられる。
【0073】
排紙モータ217は1回目のシフト動作を行った時点で叩きコロ211のローラ部を用紙搬送方向とは逆方向に回転駆動し(T29)、叩きコロ駆動モータ420cが駆動され、ローラ部が用紙Pに接触したときに、用紙を戻し方向に移動させる。これらの動作はここでは2枚分繰り返し、2枚で1部の整合された用紙束P’を作成する。
【0074】
2枚の整合された用紙束P’が作成されると、スティプル動作が開始される。スティプル開始信号が出力され(T30)、スティプル動作が開始されると、ジョガー駆動モータ420dが駆動され(T31)、用紙束P’の幅方向を整合し、その後、排紙モータ217が停止して(T32)スティプル可能な状態となる。この状態となった後、スティプルモータ420eが駆動され(T33)、スティプルの実打、すなわちスティプル処理が行われる。
【0075】
スティプル処理が行われた後、排紙開閉ガイド駆動モータ420bが駆動され(T34)、叩きコロ211を下降させる。そして、下降が完了すると排紙モータ217を用紙束P’の排紙線速で駆動し(T35)、用紙束P’を排紙トレイ203側に移動させる。
【0076】
次いで、用紙束P’の押さえ処理が実行される。押さえ処理は、前述のように排紙センサ210がOFFして(T36)から排紙モータ217の駆動ステップ数が予め設定されたステップ数ST3だけ駆動されると(T37)、排紙トレイモータ221aを所定の時間Taの間だけ回転させ(T38)、可動トレイ部208bの自由端側を用紙押さえ回避位置に移動させる。
【0077】
可動トレイ部208bの用紙押さえ回避位置への移動完了後、排紙モータ217が予め設定されたステップ数ST4駆動されると(T39)、可動トレイ部208bを上昇させ、用紙押さえ位置に移動させる。なお、排紙モータ217は、前記ステップ数ST3分の駆動が終了すると停止し(T40)、その後、排紙開閉ガイド板駆動モータ420bが駆動され排紙従動ローラ205aを上昇させる(T41)。
【0078】
図26は、用紙押さえ機構の他の例を示す図である。
同図に示した用紙押さえ機構M2は、図3に示した用紙押さえ機構M1に対して、排紙ローラ206の駆動軸223からの駆動力を、トルクリミッタ230及び変速手段としての歯車列240を介して用紙押さえ部材209に伝達するように構成したものである。
【0079】
歯車列240は、第1歯車241、第2歯車242、第3歯車244、第4歯車245及び回転軸243から構成される減速機構250である。回転軸243には、第2歯車242と第3歯車244が取り付けられており、第2歯車242の回転に従い、回転軸243及び第3歯車244が回転する。第2歯車242は大歯車と小歯車からなる2段歯車であり、第2歯車242の小歯車242aは第3歯車244と等しい直径と歯数を備えている。
【0080】
第4歯車245a,245bはそれぞれ、第2歯車242の小歯車242a及び第3歯車244から駆動力を受け、用紙押さえ部材209a,209bを回転駆動する。
【0081】
トルクリミッタ230の外輪には第1歯車241が取り付けられており、排紙ローラ206の駆動軸223の動きに従い、V1の速度で矢印R71の方向に回転駆動される。第1歯車241は第2歯車242に駆動力を伝達し、第2歯車242は、V2の速度で排紙ローラ206とは逆の矢印R72の方向に回転駆動される。第2歯車242は回転軸243を介して第3歯車244に駆動力を伝達し、さらに第2歯車242の小歯車242a及び第3歯車244は第4歯車245に駆動力を伝達し、第4歯車245は用紙押さえ部材209に駆動力を伝達する。最終的に用紙押さえ部材209a,209bは、V1よりも低いV3の速度で、排紙ローラ206と同じ矢印R73方向に回転駆動される。
【0082】
このような減速機構250を設けると、用紙押さえ部材209の回転速度が排紙ローラ206の回転速度よりも低いため、用紙押さえ部材209を用紙に当接する際の衝撃を小さくすることができ、従って用紙にダメージを与えることがない。
【0083】
以上のように、本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0084】
1)排紙ローラ206と同期して回転する押さえ部材209の用紙Pとの接触部224が、排紙ローラ206の配置位置よりも高い位置から降りてきて、用紙P又は用紙束P’を押さえるので、独立した駆動源を設けることなく用紙カールなどによる用紙後端の浮き上がりを確実に押さえることができる。
【0085】
2)その際、入口センサ207による用紙Pの後端検知信号、あるいは排紙センサ210による用紙束P’の後端検知信号をトリガーとして所定の駆動ステップをカウントし、そのカウント値に基づいて可動トレイ部208bを下降(排紙ローラ206から離間)させるので、独立した制御信号を用いることなく用紙カールなどによる用紙後端の浮き上がりを確実に押さえることができ、また、排紙トレイ上に排出された用紙を精度よく積載できる。
【0086】
3)用紙P又は用紙束P’の後端が排出ローラ206を通過した後、排紙トレイ203の後端部側である可動トレイ部208bを用紙押さえ回避位置に設定するので、排紙トレイ203上で停止している前記用紙押さえ部材がガイドの役割を果たし、薄紙などの腰の弱い用紙が折れてしまい、スタック不良が発生するのを防ぐことができる。
【0087】
4)用紙押さえ部材209の先端部であって、用紙P又は用紙束P’の後端に当接する接触部224を弾性素材によって構成したので、用紙押さえ部材209が用紙P又は用紙束P’の後端にある程度の荷重で接触したとき弾性変形することができる。これにより、用紙P又は用紙束P’にダメージを与えることなく用紙後端を押さえることができる。
【0088】
5)排紙ローラ206の(回転)駆動軸223に、当該駆動軸223の回転速度よりも低い回転速度で用紙押さえ手段を回転させる減速機構250を設けたので、排出ローラ206の排紙時の回転速度が速くても、用紙押さえ部材209の回転速度を適切に減速することができる。その結果、用紙にダメージを与えることなく用紙後端を押さえることが可能となる。
【0089】
6)本実施形態に係る画像形成システムにおいては、独立した駆動源及び制御信号を用いることなく、画像形成装置100によって画像が形成された用紙を、用紙処理装置20の排紙トレイ203上に1枚ずつ、あるいは用紙束として精度よく排紙トレイ203上に積載することができる。
【0090】
なお、後述の特許請求の範囲における用紙処理装置は本実施形態では、符号200に、用紙は符号Pに、用紙束は符号P’に、第1の積載手段は排紙トレイ203に、第2の積載手段はスティプルトレイ219に、排出手段は排紙ローラ206に、回転駆動軸は駆動軸223に、用紙押さえ手段は用紙押さえ部材209に、駆動力限定伝達手段はトルクリミッタ230に、第1の積載手段の後端部側は可動トレイ部208bに、用紙押さえ位置は図3(b)に示す位置に、用紙押さえ回避位置は図3(c)に示す位置に、接触部は符号224に、減速手段は減速機構250に、それぞれ対応する。
【0091】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
100 画像形成装置
200 用紙後処理装置(用紙処理装置)
203 排紙トレイ
206 排紙ローラ
208b 可動トレイ部
209 用紙押さえ部材
219 スティプルトレイ
223 駆動軸
224 接触部
230 トルクリミッタ
250 減速機構
P 用紙
P’ 用紙束
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2011−020775号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入されてきた用紙に予め設定された処理を施して排紙する用紙処理装置であって、
排紙された用紙又は用紙束を積載する第1の積載手段と、
搬入されてきた用紙を一時的に積載する第2の積載手段と、
搬入されてきた用紙を前記第1の積載手段に排紙し、あるいは前記第2の積載手段に積載された用紙束を前記第1の積載手段に排出する排出手段と、
前記排出手段の回転駆動軸に取り付けられ、前記第1の積載手段の用紙搬送方向上流側の端部との相対的な距離に応じて前記用紙又は用紙束の搬送方向後端部を押さえ、あるいは前記第1の積載手段の用紙搬送方向上流側の端部と接触することなく駆動軸を中心として回転する用紙押さえ手段と、
を備えていることを特徴とする用紙処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の用紙処理装置であって、
前記用紙押さえ手段は、回転駆動力を限定して伝達する駆動力限定伝達手段を介して前記回転駆動軸に取り付けられていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の用紙処理装置であって、
前記第1の積載手段の後端部側を前記駆動軸に対して近接離間させる駆動手段と、
前記駆動手段を駆動制御し、前記第1の積載手段の用紙搬送方向上流側の端部と前記用紙押さえ手段との間の相対的な距離を、前記用紙又は用紙束の後端部を押さえる用紙押さえ位置と、前記回転駆動軸を中心として回転し、用紙押さえを回避する用紙押さえ回避位置に設定する制御手段と、
を備えていることを特徴とする用紙処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の用紙処理装置であって、
前記制御手段は、前記用紙又は用紙束の後端が前記排出手段を通過した後、前記第1の積載手段の後端部側を前記用紙押さえ回避位置に設定すること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記用紙押さえ手段は、前記用紙又は用紙束の後端に当接する部分に弾性素材からなる接触部を備えていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記回転駆動軸に、当該回転駆動軸の回転速度よりも低い回転速度で前記用紙押さえ手段を回転させる減速手段が設けられていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の用紙処理装置を備えていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
排紙された用紙又は用紙束を積載する第1の積載手段と、
搬入されてきた用紙を一時的に積載する第2の積載手段と、
を備え、
搬入されてきた用紙に予め設定された処理を施して排紙する用紙処理方法であって、
搬入されてきた用紙を排出手段により前記第1の積載手段に排紙し、あるいは前記第2の積載手段に積載された用紙束を前記排出手段により前記第1の積載手段に排出する工程と、
前記第1の積載手段の用紙搬送方向後端部を前記排紙手段に対して近接離間させ、前記第1の積載手段の用紙搬送方向上流側の端部との相対的な距離を近接させて前記排出手段の回転駆動軸に取り付けられた用紙押さえ手段により前記用紙又は用紙束の搬送方向後端部を押さえ、あるいは前記相対的な距離を離間させ、前記用紙押さえ手段が前記用紙又は用紙束の搬送方向後端部と接触しないで回転可能な位置まで退避させる工程と、
を備えていることを特徴とする用紙処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図26】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−32197(P2013−32197A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168588(P2011−168588)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】