説明

用紙処理装置及び画像形成システム

【課題】用紙束の厚さ方向に膨らみを生じさせることなく綴じ処理を行う。
【解決手段】後処理装置FSは、複数枚の用紙Sが集積された用紙束SAを支持するストッパー72a,72bと、用紙束SAの少なくとも二箇所の綴じ位置t1,t2に綴じ処理を行うステープラー71と、用紙束SAをストッパー72a,72bに対して押圧して押さえる押さえ部703a,703bと、用紙束SAの綴じ位置t1,t2が並ぶ方向において、押さえ部703a,703bのうち少なくとも一方を他方から離れるように移動させる移動機構74と、押さえ部703a,703bに用紙束SAを押さえさせ、用紙束SAを押さえた状態の押さえ部703a,703bのうち少なくとも一方を移動機構74により移動させ、ステープラー71により用紙束SAの押さえ部703a,703bの間に綴じ処理を行わせる制御部90と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置等から搬出された複数の用紙に種々の後処理を行う後処理装置の一つとして、必要枚数の用紙を集積して整合した後、整合された用紙に対して綴じ針を打ち込んで綴じ処理を行う用紙処理装置が知られている。
【0003】
このような用紙処理装置において、集積され整合された用紙を押さえ部材により用紙の厚さ方向に押さえて支持し、当該押さえられた状態の用紙に対して綴じ処理を行うことにより、用紙のばらつきを抑制し、正確な綴じ処理を行うことのできる技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−284767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の用紙処理装置のように、押さえ部材により用紙束を押さえたとしても、用紙束の一番上に積載された用紙が用紙束の厚さ方向に膨らむ場合がある。例えば図9に示すように、用紙束SA1にそのような膨らみが生じた状態で、用紙束SA1の所定の二箇所に間隔を空けて綴じ針201,202を打ち込むと、当該綴じ針201と202との間で用紙束SA1に膨らみが残ってしまうため、見栄えが悪く好ましくない。
【0006】
そこで、本発明は、用紙束の厚さ方向に膨らみを生じさせることなく綴じ処理を行うことができる用紙処理装置及び画像形成システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
複数枚の用紙が集積された用紙束を支持する支持部と、
前記用紙束の少なくとも二箇所の綴じ位置に綴じ処理を行う綴じ処理部と、
前記用紙束を前記支持部に対して押圧して押さえる一対の押さえ部と、
前記用紙束の前記綴じ位置が並ぶ方向において、前記一対の押さえ部のうち少なくとも一方を他方から離れるように移動させる移動部と、
前記一対の押さえ部に前記用紙束を押さえさせ、前記用紙束を押さえた状態の前記一対の押さえ部のうち少なくとも一方を前記移動部により移動させ、前記綴じ処理部により前記用紙束の前記一対の押さえ部の間に綴じ処理を行わせる制御部と、を備えることを特徴とする用紙処理装置が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
上記用紙処理装置と、を備え、
前記用紙処理装置は、前記画像形成装置により画像形成された用紙が集積された用紙束に対して綴じ処理を行うことを特徴とする画像形成システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙束の厚さ方向に膨らみを生じさせることなく綴じ処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る画像形成システムを示す概略図である。
【図2】画像形成システムを構成する後処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】ステープラー及びその周辺構成を示す概略図である。
【図4】用紙搬送方向から見た用紙押さえ機構及び移動機構を示す概略図である。
【図5】用紙押さえ機構の用紙押さえ駆動部を示す概略斜視図である。
【図6】用紙面に対して平行な方向であって用紙搬送方向に直交する方向から見た用紙押さえ機構及び移動機構を示す概略図である。
【図7】用紙の厚さ方向から見た用紙押さえ機構及び移動機構を示す概略図である。
【図8】用紙綴じ制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】従来の装置により綴じ処理を行った場合の用紙束を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
<画像形成システム>
本発明の実施の形態に係る画像形成システム100は、図1に示すように、画像形成装置Aと用紙処理装置としての後処理装置FSとを備えて構成されている。
【0013】
<画像形成装置>
画像形成装置Aは、画像読取部1、画像処理部2、画像書込部3、画像形成部4、給紙カセット5、給紙部6、定着部7、排紙部8、自動両面コピー給紙部(ADU)9等を具備している。
【0014】
画像形成装置Aの上部には、自動原稿送り装置DFが搭載されている。画像形成装置Aの図1中の左側面の排紙部8側には、後処理装置FSが連結されている。
【0015】
画像読取部1は、所定の光学系により、自動原稿送り装置DFの原稿台に載置され搬入される原稿の片面又は両面の画像を光学像として読み取り、読み取られた光学像をCCDイメージセンサー1Aにより光電変換する。
【0016】
画像処理部2は、CCDイメージセンサー1Aにより光電変換されたアナログ信号に対し、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像信号を画像書込部3に送る。
【0017】
画像書込部3は、取得した画像信号に基づいて、半導体レーザーにより画像形成部4の感光体ドラム4Aに出力光を照射し、感光体ドラム4Aの表面上に静電潜像を形成する。
【0018】
画像形成部4は、感光体ドラム4A上に形成された潜像に、現像処理を施し、トナー像を形成する。画像形成部4は、転写部4Bにより、給紙カセット5から給紙部6により給送された記録用紙S1を感光体ドラム4Aに押し付け、記録用紙S1上にトナー像を転写する。トナー像が転写された記録用紙S1は、定着部7に搬送される。
【0019】
定着部7は、画像形成部4によりトナー像が転写された記録用紙S1に対し熱と圧力を加えて定着処理を施し、これにより記録用紙S1上に画像を形成する。画像形成がなされた記録用紙S1は、排紙部8から後処理装置FSに搬送される。
【0020】
記録用紙S1に対して両面コピーを行う場合には、定着部7を通過して一方の面に画像が形成された記録用紙S1が搬送路切り替え板8Aにより自動両面コピー給紙部9に搬送され、記録用紙S1の表裏が反転された後に、再び画像形成部4及び定着部7により記録用紙S1の他方の面に画像が形成される。両面に画像形成がなされた記録用紙S1は、排紙部8から後処理装置FSに搬送される。
【0021】
<後処理装置>
次に、本発明の実施の形態に係る後処理装置FSについて図1を参照して説明する。
【0022】
後処理装置FSは、用紙搬入部20、挿入用紙給紙部30a,30b、穴あけ処理部40、折り処理部50、重ね合わせ処理部60、ステープラー71,103及び排紙部80等を具備している。
【0023】
用紙搬入部20は、後処理装置FSにおける画像形成装置Aと対向する側面に設けられ、画像形成装置Aに連結されている。用紙搬入部20には、画像形成装置A内で画像形成がなされた記録用紙S1が排紙部8を介して搬入される。
【0024】
挿入用紙給紙部30a,30bは、後処理装置FSの上部に設けられ、挿入用紙給紙部30aには挿入用紙S2が装填され、挿入用紙給紙部30bには他の挿入用紙S3が装填される。挿入用紙S2,S3は、画像形成装置Aから排出される複数の記録用紙S1同士の間に挿入される表紙用紙やインサート紙等の挿入用紙であり、記録用紙S1と同様に、穴あけ処理や折り処理を施すことができる。挿入用紙給紙部30a,30bから送り出される挿入用紙S2,S3は、下方に向かう搬送路を経て用紙搬入部20に搬送される。
なお、以下の説明では、記録用紙S1及び挿入用紙S2,S3を総称して用紙Sと称する。
【0025】
穴あけ処理部40は、用紙搬入部20の近傍に設けられている。穴あけ処理部40は、所定の駆動機構によりパンチが上下動し、用紙Sの所定位置にパンチ穴を穿孔する。
【0026】
重ね合わせ処理部60は、用紙搬入部20から上方に分岐した搬送路H2の搬送方向下流側に配設され、ステープラー71における用紙Sの綴じ処理時間を確保するためのものである。
ここで、搬送路H2は、搬送方向下流側において、搬送路H3と搬送路H4とに分岐しており、搬送路H3は更に搬送路H5と搬送路H6とに分岐している。搬送路H4の末端には搬送ローラー21が設けられ、当該搬送ローラー21において搬送路H4の末端と搬送路H5の末端とが合流している。これら搬送路H3〜H5及び搬送ローラー21により、重ね合わせ処理部60が構成されている。
【0027】
重ね合わせ処理部60は、ステープラー71による綴じ処理の対象となる用紙束に後続する次の用紙束の第一枚目の用紙Sを搬送路H4に進入させ、回転を停止した搬送ローラー21に当該第一枚目の用紙Sの先端を当接させて第一枚目の用紙Sを待機させる。また、重ね合わせ処理部60は、当該用紙束の第二枚目の用紙Sを搬送路H5に進入させ、搬送ローラー21に当該第二枚目の用紙Sの先端部を当接させて第二枚目の用紙Sを待機させる。前の用紙束に対するステープラー71の綴じ処理が終了すると、重ね合わせ処理部60は、搬送ローラー21の回転を再開し、第一枚目の用紙Sと第二枚目の用紙Sとを重ね合わせて、重ね合わせ処理部60よりも用紙搬送方向の下流側に搬送する。
【0028】
搬送ローラー21により搬送される用紙Sは、先端が図1中の左方向に移動し、用紙Sの後端が搬送ローラー21から離脱したときに、傾斜して設けられた集積部70に搬入される。次いで、集積部70に搬入された用紙Sは、集積部70の傾斜に沿って用紙Sの後端側を下方として滑落し、用紙Sの後端が集積部70の下端部に設けられたストッパー(支持部)72a,72bに突き当たることにより受け止められる。ストッパー72a,72bは、用紙面に対して平行な方向であって用紙搬送方向に対して直交する方向から見て断面略「コ」の字型に設けられている。
【0029】
ここで、ステープラー71及びその周辺構成について、図3〜図7を参照して以下説明する。
【0030】
ステープラー71は、集積部70上に用紙Sが設定枚数集積された用紙束SAに対して、少なくとも二箇所の綴じ位置(例えば、図4に示す綴じ位置t1,t2)に綴じ針を打ち込む綴じ処理を行う。ここで、綴じ位置t1,t2が並ぶ方向(用紙面に対して平行な方向であって用紙搬送方向に対して直交する方向)をY方向とし、用紙搬送方向をX方向とする。ステープラー71は、例えば、所定の駆動モーター(図示略)によりY方向に移動し(図4(b)参照)、用紙束SAの後端部においてY方向に所定間隔を空けて綴じ位置t1,t2の二箇所にそれぞれ綴じ針を打ち込む綴じ処理を行う。ステープラー71により綴じ処理がなされた用紙束SAは、集積部70の下端部から上方へと搬送され、排紙部80により機外へ排出される。
【0031】
図3に示すように、ステープラー71及びストッパー72a,72bの近傍には、用紙押さえ機構73及び移動機構(移動部)74等が設けられている。
【0032】
用紙押さえ機構73は、集積部70のストッパー72a,72bに受け止められ集積された用紙Sの用紙束SAを、用紙束SAの厚さ方向において用紙束SAをストッパー72a,72bに押圧し、用紙束SAを押さえる。用紙押さえ機構73は、支持軸701、駆動軸702、押さえ部703a,703b及び押さえ駆動部704等を具備している。
【0033】
支持軸701及び駆動軸702は、ストッパー72a,72bの上方に設けられ、Y方向に延在している。押さえ部703a,703bは、駆動軸702の軸方向(Y方向)に摺動自在に支持され、駆動軸702の軸方向に並んで設けられている。押さえ部703a,703bは、それぞれストッパー72a,72bの上端部と連結されており、ストッパー72a,72bとともに駆動軸702に沿ってY方向に移動可能となっている。また、押さえ部703a,703bは、ストッパー72a,72bに対して用紙束SAの厚さ方向に摺動可能に構成されており、ストッパー72a,72bに受け止められ支持された用紙束SAの最上面を用紙束SAの厚さ方向においてストッパー72a,72bに押圧し、当該用紙束SAを押さえることができる。
【0034】
支持軸701及び駆動軸702の一端部側には、図4及び図7に示すように、押さえ駆動部704が設けられている。押さえ駆動部704は、図5に示すように、駆動モーター711、駆動モーター711の駆動ギア711aと噛合する従動ギア712、支持軸701の一端部に固定される従動ローラー713、従動ギア712と従動ローラー713とに張架されるベルト714、駆動軸702の一端部が挿通されて駆動軸702の移動方向を規制する位置規制ガイド715、支持軸701と駆動軸702との間を架け渡すようにして設けられたレバー716、これらの各部材を支持する支持板717等を具備している。
レバー716の一端部は、支持軸701に固定され、レバー716の他端部には駆動軸702が挿通する孔部716aが形成されている。位置規制ガイド715には、駆動軸702が挿通する孔部715aが設けられ、当該孔部715aは用紙束SAの厚さ方向に延びて形成されている。
【0035】
このように構成されていることにより、駆動モーター711が駆動ギア711aを図5中の矢印b1の方向に回転駆動することにより、従動ギア712及び従動ローラー713が従動し、従動ローラー713に固定された支持軸701が軸回りに図5中の矢印c1の方向に回転する。支持軸701が軸回りに回転することにより、レバー716が支持軸701に固定された一端部を支点に回動し、レバー716の他端部が用紙束SAに近付く方向に移動する。そして、レバー716の他端部に形成された孔部716aに挿通された駆動軸702が位置規制ガイド715の孔部715aにガイドされながら、用紙束SAに近付く方向に移動する(図6(a)参照)。これにより、駆動軸702に支持された押さえ部703a,703bが用紙束SAに近付く方向に移動して、ストッパー72a,72bに対して用紙束SAを押し付ける。
【0036】
また、駆動モーター711が駆動ギア711aを図5中の矢印b2の方向に回転駆動することにより、従動ギア712及び従動ローラー713が従動し、従動ローラー713に固定された支持軸701が軸回りに図5中の矢印c2の方向に回転する。支持軸701が軸回りに回転することにより、レバー716が支持軸701に固定された一端部を支点に回動し、レバー716の他端部が用紙束SAから離れる方向に移動する。そして、レバー716の他端部に形成された孔部716aに挿通された駆動軸702が位置規制ガイド715の孔部715aにガイドされながら、用紙束SAから離れる方向に移動する(図6(b)参照)。これにより、駆動軸702に支持された押さえ部703a,703bが用紙束SAから離れる方向に移動して、ストッパー72a,72bに対する用紙束SAの押し付けを解除する。
【0037】
移動機構74は、用紙押さえ機構73及びストッパー72a,72bの下方に設けられ、用紙束SAを押さえた状態の押さえ部703a,703b及び押さえ部703a,703bに連結されているストッパー72a,72bをY方向に互いに離れるように移動させる。移動機構74は、図7に示すように、ストッパー72a,72bの下方において支持軸701及び駆動軸702と平行な方向に延設されるガイドレール726、ガイドレール726の一端部側に設けられる駆動モーター721及び従動ローラー723、駆動モーター721の駆動ローラー721aと従動ローラー723に張架される駆動ベルト722、ガイドレール726の他端部側に設けられる従動ローラー724、従動ローラー723と従動ローラー724に張架される移動ベルト725等を具備している。
ガイドレール726には、ストッパー72a,72bがガイドレール726の延在方向に摺動自在な状態で取り付けられている。駆動モーター721及び従動ローラー723,724は、回転軸方向が用紙束SAの厚さ方向に平行となるように配設されている。移動ベルト725はガイドレール726の延在方向に沿って延設されており、図7に示すように、移動ベルト725のベルト部725aにはストッパー72aが固定され、ベルト部725bにはストッパー72bが固定されている。
【0038】
移動機構74がこのように構成されていることにより、駆動モーター721が駆動ローラー721aを図7中の矢印d1の方向に回転駆動することにより、従動ローラー723が図7中の矢印e1の方向に回動し、移動ベルト725が回動する。移動ベルト725が回動すると、移動ベルト725のベルト部725aに取り付けられたストッパー72a及び押さえ部703aは図7中の矢印f1の方向に移動し、移動ベルト725のベルト部725bに取り付けられたストッパー72b及び押さえ部703bは図7中の矢印f2の方向に移動する。これにより、移動機構74は、押さえ部703a,703bを、Y方向において用紙束SAの中央部から用紙束SAの両縁部まで、互いに離れるように移動させる(図4(b)参照)。
なお、移動機構74は、Y方向において、押さえ部703a,703bを、用紙束SAの綴じ位置t1,t2の内側から外側まで、互いに離れるように移動させるものとしても良い。また、その場合には、移動機構74は、Y方向において押さえ部703a,703bを用紙束SAの両縁部まで移動させなくとも良く、少なくとも綴じ位置t1,t2よりも外側(用紙束SAの両縁部寄り)の位置まで移動させれば良い。
【0039】
また、駆動モーター721が駆動ローラー721aを図7中の矢印d2の方向に回転駆動することにより、従動ローラー723が図7中の矢印e2の方向に回動し、移動ベルト725が回動する。移動ベルト725が回動すると、移動ベルト725のベルト部725aに取り付けられたストッパー72a及び押さえ部703aは図7中の矢印f2の方向に移動し、移動ベルト725のベルト部725bに取り付けられたストッパー72b及び押さえ部703bは図7中の矢印f1の方向に移動する。これにより、移動機構74は、ステープラー71の綴じ処理終了後に、用紙束SAに対する押さえを解除した押さえ部703a,703bを、Y方向において用紙束SAの両縁部から用紙束SAの中央部まで互いに近付く方向に移動させ、押さえ部703a,703bをホームポジション位置に復帰させる(図4(a)参照)。
【0040】
排紙部80は、重ね合わせ処理部60及びステープラー71よりも搬送方向下流側に配設され、排紙ローラー22を介して用紙束SAを機外に排出する。排紙ローラー22は、一対のローラーからなり、非排紙時には離間し、排紙時には当接して用紙Sをニップするように構成されている。ステープラー71により綴じ処理がなされた用紙束SAは、集積部70から搬送されて排紙ローラー22にニップされ、更に用紙搬送方向の下流側に搬送されて、昇降排紙皿82に排出される。昇降排紙皿82は、後処理装置FSの機外に突出して配設され、排出される用紙束SAの最上面が常に一定の高さになるように上下方向に移動可能である。例えば、昇降排紙皿82は、図1中の矢印aの方向に移動し、図1中の二点鎖線で示す位置に移動することが可能である。
【0041】
搬送路H3から分岐した搬送路H6は、固定排紙皿81に用紙Sを排出する排紙路を形成している。固定排紙皿81は、搬送路H6の下流側で、後処理装置FSの機外に突出して配設されている。固定排紙皿81は、搬送路H2,H3,H6を経て搬送され排出された用紙Sを集積する。
【0042】
折り処理部50は、用紙搬入部20から下方に分岐した搬送路H1の用紙搬送方向の下流側に配設されている。また、搬送路H1の用紙搬送方向の下流側には中間スタックトレイ107及びステープラー103等が設けられている。これら折り処理部50及びステープラー103は、中間スタックトレイ107に集積された用紙束に対し、中折り処理、中折り・中綴じ処理又は三つ折り処理等を行う。
なお、ステープラー103の近傍には、上記したような用紙押さえ機構73及び移動機構74と同様の構成が設けられていても良い。
【0043】
制御部90は、図2に示すように、後処理装置FSの各部を制御する。制御部90は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備え、後処理装置FS用の各種処理プログラムに従って各種動作を行う。
本実施形態においては、制御部90は、押さえ部703a,703bに用紙束SAを押さえさせ、当該用紙束SAを押さえた状態の押さえ部703a,703bを移動機構74によりY方向において互いに離れるように移動させ、ステープラー71により用紙束SAの押さえ部703a,703bの間に綴じ処理を行わせる。
【0044】
以上のようにして構成された後処理装置FSにおいて、制御部90により行われる用紙綴じ制御処理の一例について、図8を参照して以下説明する。以下に説明する用紙綴じ制御処理は、予め設定された枚数の用紙束SAの一束毎に行われるものである。
【0045】
先ず、制御部90は、予め設定された枚数の用紙Sを集積部70に集積する(ステップS101)。搬送路H4又はH5から排出された用紙Sは、集積部70を滑落し、用紙Sの後端部がストッパー72a,72bにより受け止められ支持される。これにより、用紙SがX方向において整合される。
【0046】
次に、制御部90は、集積部70に集積された用紙束SAの後端部のY方向中央部を、押さえ部703a,703bにより押さえさせる(ステップS102)。具体的には、例えば、制御部90は、駆動モーター711を駆動させ駆動ギア711aを図5中の矢印b1の方向に回転駆動させることにより、従動ギア712及び従動ローラー713を回転させる。これにより、従動ローラー713に固定された支持軸701が図5中の矢印c1の方向に回動し、支持軸701に固定されたレバー716が支持軸701に固定された一端部を支点にレバー716の他端部が回動する。レバー716の他端部に取り付けられた駆動軸702は、位置規制ガイド715の孔部715aによりガイドされて用紙束SAに近付く方向に下降する(図6(a)参照)。駆動軸702が下降することにより、駆動軸702に取り付けられた押さえ部703a,703bが用紙束SAを押さえる。
【0047】
次に、制御部90は、移動機構74により、用紙束SAを押さえた状態の押さえ部703a,703bを、Y方向において用紙束SAの中央部から用紙束SAの両縁部まで互いに離れるように移動させる(ステップS103)。具体的には、例えば、制御部90は、駆動モーター721を駆動させ駆動ローラー721aを図7中の矢印d1の方向に回転駆動させることにより、従動ローラー723を図7中の矢印e1の方向に回動させ、従動ローラー723及び724に張架された移動ベルト725を回動させる。移動ベルト725にはストッパー72a及び72bが取り付けられ、ストッパー72a,72bには押さえ部703a,703bが取り付けられているため、制御部90は、移動ベルト725を回動させることにより、押さえ部703aが図7中の矢印f1の方向に移動させるとともに、押さえ部703bが図7中の矢印f2の方向に移動させる(図4(b)参照)。
制御部90は、用紙束SAの上面を押さえた状態の押さえ部703a,703bを移動機構74によりY方向に移動させるので、用紙束SAの一番上に積載される用紙SがY方向に引っ張られ、当該用紙Sが引っ張られた状態で用紙束SAの押さえが維持される。
【0048】
最後に、制御部90は、押さえ部703a,703bにより押さえられた状態の用紙束SAに対し、ステープラー71に用紙束SAの後端部に対してY方向に間隔を空けて綴じ位置t1,t2に綴じ処理を行わせる(ステップS104)。これにより、用紙束SAの一番上に積載される用紙SがY方向に引っ張られた状態で、当該用紙束SAに綴じ処理を行うことができ、用紙束SAの厚さ方向の膨らみを抑制することができる。
また、ステープラー71による綴じ処理を行った後、制御部90は、押さえ部703a,703bに用紙束SAの押さえ状態を解除させるとともに、移動機構74により押さえ部703a,703bをホームポジション位置に復帰させる(図4(b)参照)。
【0049】
これにより、用紙綴じ制御処理を終了する。
【0050】
以上、本実施形態によれば、一対の押さえ部703a,703bにより用紙束SAを押さえ、綴じ位置t1,t2が並ぶ方向において、用紙束SAを押さえた状態の押さえ部703a,703bを移動させた後、ステープラー71により用紙束SAの押さえ部703a,703bの間に綴じ処理を行うので、用紙束SAの一番上に積載される用紙Sが綴じ位置t1,t2が並ぶ方向に引っ張られ、当該用紙Sが引っ張られた状態で用紙束SAを厚さ方向に押さえることができる。これにより、用紙束SAの厚さ方向に膨らみを生じさせることを抑制することができ、用紙束SAに膨らみを生じさせることなく綴じ処理を行うことができる。
【0051】
また、綴じ位置t1,t2が並ぶ方向において、押さえ部703a,703bを互いに離れるように移動させるので、押さえ部703a,703bを所定距離移動させるのに要する時間を短縮させることができ、用紙束SAに対して綴じ処理を行う時間を短縮することができる。
【0052】
また、綴じ位置t1,t2が並ぶ方向において、押さえ部703a,703bを用紙束SAの中央部から用紙束SAの両縁部まで移動させるので、当該方向において、用紙束SAの一番上に積載された用紙Sの全体が引っ張られ、用紙束SAの厚さ方向に膨らみを生じさせることをより確実に抑制することができる。また、綴じ位置t1,t2が並ぶ方向において用紙束SAの一番上に積載された用紙Sの全体が引っ張られるので、当該方向において用紙束SAの何れの位置に綴じ処理を行っても用紙束SAの厚さ方向に膨らみを生じさせることを抑制できる。
【0053】
また、綴じ位置t1,t2が並ぶ方向において、押さえ部703a,703bを用紙束SAの綴じ位置t1,t2の内側から外側まで移動させる場合には、綴じ位置t1,t2が並ぶ方向において用紙束SAの一番上に積載された用紙Sの綴じ位置t1,t2周辺を引っ張ることができ、当該用紙Sを確実に引っ張ることができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、ステープラーが用紙束の二箇所の綴じ位置に綴じ処理を行うものとしたが、所定方向に沿って用紙束の三箇所以上の綴じ位置に綴じ処理を行うものとしても良い。
【0055】
また、上記実施形態では、押さえ部が用紙束に直接当接し、当該用紙束をストッパーに対して押圧して押さえるように構成されているものとしたが、押さえ部の用紙束に接触する部分にコロ又はローラーが設けられ、押さえ部は当該コロ又はローラーを介して用紙束を押さえるように構成されていても良い。このコロ又はローラーは、移動機構による押さえ部の移動方向に対して回転自在に構成されていれば良く、これにより、押さえ部が用紙束を強く押さえ付けた場合であっても、押さえ部が移動することにより用紙束の一番上に積載された用紙に傷が付くことを抑制できる。
【0056】
また、上記実施形態では、移動機構が押さえ部とともにストッパーを移動させるものとしたが、移動機構は押さえ部のみを移動させるものとしても良い。
【0057】
また、上記実施形態では、移動機構が一対の押さえ部を用紙面に平行であって用紙搬送方向に直交する方向において互いに離れる方向に移動させるものとしたが、ステープラーによる綴じ位置が並ぶ方向であれば上記方向でなくとも良い。例えば、ステープラーが用紙搬送方向に沿った綴じ位置に綴じ処理を行う場合には、移動機構は一対の押さえ部を用紙搬送方向において互いに離れる方向に移動させる。
【0058】
また、上記実施形態では、移動機構が一対の押さえ部を互いに離れるように移動させるものとしたが、一対の押さえ部のうち一方の押さえ部を所定位置に固定し、他方の押さえ部のみを固定された一方の押さえ部から離れるように移動させるものとしても良い。更にこの場合、一方の押さえ部を用紙束の一方の縁部に固定し、他方の押さえ部を用紙束の他方の縁部に向けて移動させるようにすると、当該移動方向において用紙束の全体が引っ張られ、用紙束の幅方向における膨らみをより確実に抑制することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、一対の押さえ部が一組設けられているものとしたが、一対の押さえ部が複数組設けられていても良い。
【符号の説明】
【0060】
20 用紙搬入部
40 穴あけ処理部
50 折り処理部
60 重ね合わせ処理部
70 集積部
71 ステープラー(綴じ処理部)
72a,72b ストッパー(支持部)
73 用紙押さえ機構
74 移動機構(移動部)
80 排紙部
90 制御部
100 画像形成システム
701 支持軸
702 駆動軸
703a,703b 押さえ部
704 押さえ駆動部
A 画像形成装置
FS 後処理装置(用紙処理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の用紙が集積された用紙束を支持する支持部と、
前記用紙束の少なくとも二箇所の綴じ位置に綴じ処理を行う綴じ処理部と、
前記用紙束を前記支持部に対して押圧して押さえる一対の押さえ部と、
前記用紙束の前記綴じ位置が並ぶ方向において、前記一対の押さえ部のうち少なくとも一方を他方から離れるように移動させる移動部と、
前記一対の押さえ部に前記用紙束を押さえさせ、前記用紙束を押さえた状態の前記一対の押さえ部のうち少なくとも一方を前記移動部により移動させ、前記綴じ処理部により前記用紙束の前記一対の押さえ部の間に綴じ処理を行わせる制御部と、を備えることを特徴とする用紙処理装置。
【請求項2】
前記移動部は、前記用紙束の前記綴じ位置が並ぶ方向において、前記一対の押さえ部を互いに離れるように移動させることを特徴とする請求項1に記載の用紙処理装置。
【請求項3】
前記移動部は、前記綴じ位置が並ぶ方向において、前記一対の押さえ部を、前記用紙束の中央部から前記用紙束の両縁部まで互いに離れるように移動させることを特徴とする請求項2に記載の用紙処理装置。
【請求項4】
前記移動部は、前記綴じ位置が並ぶ方向において、前記一対の押さえ部を、前記用紙束の少なくとも二箇所の前記綴じ位置の内側から外側まで互いに離れるように移動させることを特徴とする請求項2又は3に記載の用紙処理装置。
【請求項5】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
請求項1から4の何れか一項に記載の用紙処理装置と、を備え、
前記用紙処理装置は、前記画像形成装置により画像形成された用紙が集積された用紙束に対して綴じ処理を行うことを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−49493(P2013−49493A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186662(P2011−186662)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】