説明

用紙処理装置

【課題】帳票を給紙するための機構を効率的に動作させることで、スキャナ装置全体の稼動効率を向上させる。
【解決手段】本発明のスキャナ装置は、帳票が積載されるホッパテーブル2と、ホッパテーブル2上の最上部の帳票が装置内部に取り込まれる給紙位置と給紙位置の下方の初期待機位置との間でホッパテーブル2を昇降移動させるホッパベルト51やホッパ駆動モータ40を備えた昇降機構14と、ホッパテーブル2上の帳票3の積載量に応じた当該ホッパテーブル2の昇降速度を昇降機構14に対して設定する速度設定部72とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば帳票などの用紙からイメージの読み取り処理などを行う用紙処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホッパテーブルに積載された帳票を装置内部に取り込み、取り込んだ帳票を装置内部で搬送しつつこの帳票の紙面に記された文字や記号などをイメージとして光学的に読み取る帳票搬送式のスキャナ装置が利用されている。
【0003】
この種のスキャナ装置は、例えば、ホッパテーブル上の最上部に位置する帳票を、所定の給紙位置から一枚ずつ装置内部に取り込む機構などを有し、さらに、積載された最上部の帳票を給紙位置に移動させるために、ホッパテーブルを昇降移動させる昇降機構などを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平6−10452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような昇降機構では、駆動源として例えばモータなどを備えており、ホッパテーブル上に仕様上最も重い帳票を最も多く積載した場合でも、ホッパテーブルを正常に昇降移動できるトルクを上記モータが発生し得るように、ホッパテーブルの昇降速度(モータの回転速度)は、比較的遅い一定速度に設定されている。
【0005】
したがって、上述したような昇降機構により動作するホッパテーブルは、給紙を全て終えた後の帳票が積載されていない場合や少量の帳票しか積載していない場合、つまり、昇降移動に多くの駆動力(トルク)を必要としない場合でも、遅い速度で移動することになり、装置全体の稼動効率の低下を招いている。
【0006】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、用紙を給紙するための機構を効率的に動作させることで、装置全体の稼動効率を向上させることができる用紙処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る用紙処理装置は、用紙が積載される給紙台と、前記給紙台上の最上部の用紙が装置内部に取り込まれる給紙位置と前記給紙位置の下方の初期待機位置との間で前記給紙台を昇降移動させる昇降機構と、前記給紙台上の前記用紙の積載量に応じた当該給紙台の昇降速度を前記昇降機構に対して設定する速度設定部と、を具備することを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明の用紙処理装置は、給紙台に積載された用紙の積載量に応じて給紙台の昇降速度を適宜変更することができるので、積載された用紙と共に給紙台を正常動作させるのに必要な駆動力を確保した上で給紙台を昇降移動させることができる。したがって、本発明では、例えば給紙台に積載された用紙が少なく昇降機構を駆動させるために多くの駆動力を必要としない場合には、給紙台を高速に移動させ、一方、給紙台上に多数の用紙が積載され多くの駆動力が必要となる場合には、給紙台を低速に移動させる制御を行うことなどが可能となる。これにより、本発明によれば、用紙を給紙するための機構を効率的に動作させることができ、用紙処理装置全体の稼動効率を向上させることができる。
【0009】
ここで、用紙の積載量に応じた例えば給紙台の上昇速度の設定としては、互いに異なる複数の上昇速度を順次仮設定して給紙台が正常に上昇し得た上限の上昇速度を求め、この上限の上昇速度を当該給紙台にとって適正な上昇速度として本設定する制御などが例示される。また一方で、用紙の積載量に応じた給紙台の例えば下降速度を設定する場合には、初期待機位置からの給紙台の上昇量と積載された最上部の用紙の検出結果とに基づいて、実質的に用紙の積載量を求め、この積載量に対応する駆動力が確保された下降速度を当該給紙台にとって適正な下降速度として設定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、用紙を給紙するための機構を効率的に動作させることで、装置全体の稼動効率を向上させることが可能な用紙処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る用紙処理装置としてのスキャナ装置1を示す外観図であり、図2は、このスキャナ装置1の内部構造を示す図である。また、図3は、このスキャナ装置1が備えるホッパテーブル2の昇降機構14を概略的に示す斜視図であり、図4は、図3の昇降機構14を示す側面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、この実施形態のスキャナ装置1は、用紙としての例えば帳票3を装置内部で搬送しつつこの帳票3の紙面に記された文字や記号などをイメージとして光学的に読み取る帳票搬送式の光学的文字読取装置である。
【0013】
すなわち、スキャナ装置1は、図1〜図4に示すように、給紙台としてのホッパテーブル2、ホッパテーブル2を矢印Z1−Z2方向に昇降移動させる昇降機構14、ピックアップローラ5、フィードローラ6、セパレートローラ7、ドライブローラ8、ピンチローラ9、搬送路10、イメージ読取部16、印字ヘッド17、入力操作部18、駆動排出ローラ11、従動排出ローラ12、スタッカ19、センサ20〜25などを備える。
【0014】
図1に示すように、入力操作部18は、スキャナ装置1の筐体15の前面に設けられており、装置本体を動作させるための案内情報が可視表示されると共にこの案内情報を参照しつつユーザが入力操作を行うためのオペレーションパネルや、スイッチ類を備えたインターフェースである。図1及び図2に示すように、ホッパテーブル2には、装置内部に取り込まれる複数の帳票3が積載される。ピックアップローラ5は、昇降機構14により給紙位置に移送されたホッパテーブル2上の最上部の帳票3の上面に摺接して最上部の帳票3を順次装置内部に取り込む(給紙する)。
【0015】
セパレートローラ7は、図2に示すように、ピックアップローラ5によって装置内部に取込まれる帳票3の下面に接触し、(帳票3が複数枚重なっている場合)フィードローラ6と協働しつつ帳票3を一枚ずつに分離する。搬送路10は、所定の間隔を空けて対向配置されたプレート状の搬送ガイド(図示せず)によって、スキャナ装置1内を搬送される帳票3の搬送経路を構成する。それぞれ複数個ずつ設けられたドライブローラ(駆動ローラ)8及びピンチローラ(従動ローラ)9は、搬送路10上において互いに対向するように配置され、帳票3を両面から挟持しつつ下流側へと搬送する。ドライブローラ8には、図示しない搬送モータからの駆動力が伝達される。
【0016】
イメージ読取部16は、図2に示すように、CCDラインイメージセンサ、ランプ、各種の光学系などから構成されており、搬送路10上を搬送される帳票3の紙面上の画像(イメージ)を読み取る。印字ヘッド17は、イメージ読取部16による読み取り処理を終えた帳票3に対しナンバリング(例えば連続番号などの印字)などを行う。駆動排出ローラ11及び従動排出ローラ12は、印字ヘッド17の後段に設けられており、フラッパ(図示せず)と協働しつつ、複数のスタッカ19へ選択的に帳票3を排出する(帳票3の仕分けを行う)。これらのスタッカ19は、例えばリジェクトスタッカやアクセプトスタッカなどで構成される。リジェクトスタッカには、イメージの読み取り処理が正常に行われなかった帳票3が集積される。一方、アクセプトスタッカには、イメージの読み取り処理が正常に行われた帳票3が集積される。
【0017】
センサ22は、装置内部に取り込まれた帳票3の重送を検出するダブルフィード検出用のセンサであり、また、センサ23は、イメージ読取部16や印字ヘッド17側へ向かって搬送される帳票3の通過を検出する。センサ24は、スタッカ19へ通じるゲート制御用のフォトセンサであり、また、センサ25は、スタッカ19へ帳票3を振り分けて搬送するためのゲート振り分け用のフォトセンサである。センサ21は、昇降機構14によりZ1方向に上昇させたホッパテーブル2上の最上部の帳票3が、ピックアップローラ5の周面(底面)と接触する給紙位置に到達したことを検出する。センサ20は、ホッパテーブル2が、給紙位置の下方の初期待機位置に定位していることを検出する。
【0018】
次に、スキャナ装置1が備える昇降機構14の構成を、上述した図1〜図4に加え、図5〜図7に基づき詳述する。ここで、図5は、図3の昇降機構14を構成するホッパベルト51の構造を示す図であり、また、図6は、昇降機構14の動作を制御する制御系を機能的に示すブロック図である。さらに、図7は、昇降機構14の制御プログラム33により実現されるパルスレートテーブル34の内容を示す図である。
【0019】
すなわち、給紙機構の一部として機能する昇降機構14は、図3〜図6に示すように、ホッパ駆動モータ40、モータプーリ31、中継プーリ32、ホッパベルト51、ガイドシャフト53、54、軸受部材55、ホッパベルト変位センサ41、制御基板30などから構成される。ホッパ駆動モータ40は、図3、図4に示すように、昇降機構14の駆動源であり、ホッパテーブル2を矢印Z1−Z2方向に昇降移動させるための駆動力(トルク)を発生させる。ここで、ホッパ駆動モータ40は、おおまかには回転速度を上昇させていった場合に、発生し得るトルクが低下する駆動特性を有する。また、このホッパ駆動モータ40には、例えばステッピングモータなどが適用されている。
【0020】
モータプーリ31は、ホッパ駆動モータ40の駆動軸(出力軸)31aに取り付けられている。中継プーリ32は、ホッパ駆動モータ40及びモータプーリ31の上方に配置されており、筐体15上に固定された軸32aに対し回転可能に支持されている。無端ベルトであるホッパベルト51は、これらモータプーリ31及び中継プーリ32間に架け渡されている。軸受部材55は、ホッパベルト51の外周面の一部に固定されている。また、軸受部材55には、ホッパテーブル2の端部が固定されている。つまり、ホッパテーブル2は、軸受部材55を介してホッパベルト51の一部分に固定されている。
【0021】
また、軸受部材55が摺動するガイドシャフト53、54は、互いに起立した姿勢で配置されており、軸受部材55に固定されたホッパテーブル2の昇降移動を、これらシャフト本体の軸方向に沿って案内する。したがって、ホッパ駆動モータ40の回転に伴ってモータプーリ31及び中継プーリ32間に架け渡されたホッパベルト51が駆動され、さらに、このホッパベルト51の移動に伴い、このホッパベルト51に軸受部材55を介して固定されたホッパテーブル2は、軸受部材55と摺動するガイドシャフト53、54の軸方向(Z1−Z2方向)に沿って昇降移動することになる。
【0022】
また、上述したセンサ20及びセンサ21は、図2及び図4に示すように、昇降機構14により動作するホッパテーブル2の可動範囲を定めている。つまり、センサ20は、ホッパテーブル2の下限の下降位置を定めるためのものであり、この下降位置が上記した初期待機位置となる。この初期待機位置は、ホッパテーブル2が上昇を開始する基準のスタート位置であって、また例えば、ホッパテーブル2に積載された全ての帳票3の給紙が終わった場合(ホッパエンプティの場合)や、スキャナ装置1本体による帳票3の処理にエラーが生じた場合などにおいて、後述するCPU31によりホッパテーブル2の帰還要求が発せられたときにホッパテーブル2が帰還するスタンバイ位置である。
【0023】
一方、センサ21は、図2及び図4に示すように、ホッパテーブル2の上限の上昇位置を定めるためのものであり、上記したようにホッパテーブル2上の最上部の帳票3が給紙位置に到達したことを検出する。したがって、ホッパテーブル2上の帳票3の積載量が多い場合には、ホッパテーブル2の前記上限の上昇位置が下降方向(Z2方向)にシフトし、一方、帳票3の積載量が少ない場合には、ホッパテーブル2の前記上限の上昇位置が上昇方向(Z1方向)にシフトすることなる。ここで、ピックアップローラ5は、昇降方向に僅かに変位可能に支持されており、センサ21は、ホッパテーブル2上の最上部の帳票3によってピックアップローラ5が所定量以上押し上げられたことを検出することで、ホッパテーブル2(に積載された最上部の帳票3)が、給紙位置に到達したことを検知する。この給紙位置は、後述するCPU31により給紙要求が発せられたときにホッパテーブル2が初期待機位置から上昇して停止する位置となる。
【0024】
これにより、昇降機構14は、ホッパテーブル2上に積載された最上部に位置する帳票3が装置内部に取り込まれる給紙位置(センサ21による検出位置)と、この給紙位置の下方の初期待機位置(センサ20による検出位置)と、の間でホッパテーブル2を昇降移動させる。
【0025】
ホッパベルト変位センサ41は、図3及び図5に示すように、ホッパ駆動モータ40を通じて駆動力を付与されるホッパベルト51の移動状況を検知し、この移動状況に応じた検知信号を出力する。また、ホッパベルト51には、図5に示すように、ベルト本体の周回する方向(長手方向)に沿って、複数の貫通穴(矩形穴)52が穿孔されている。詳細には、ホッパベルト51は、その長手方向に沿って一定間隔で区画された穿孔パターンの異なる複数(三種類の)の穿孔エリア51a、52b、51cが繰り返し配列されている。例えば、穿孔エリア51aには、貫通穴52が三つ設けられ、また、穿孔エリア51bには、貫通穴52が二つ設けられている。さらに、穿孔エリア51cには、貫通穴52が一つ設けられている。
【0026】
ここで、ホッパベルト変位センサ41は、図3及び図5に示すように、例えばLEDなどの発光素子41aと透過型のフォトトランジスタなどの受光素子41bとで構成される遮光センサなどである。ホッパベルト51の貫通穴52の移動軌跡上に発光素子41aの照射スポット41cが形成されるように(図5参照)、発光素子41aと受光素子41bとは、ホッパベルト51を挟んで互いに対向する位置にそれぞれ配置されている。
【0027】
したがって、ホッパベルト変位センサ41は、発光素子41a側から発光されて、貫通穴52を通過する光が、所定の時間間隔で受光素子41b側に受光されたか否かで、ホッパベルト51の移動(搬送)状況を実質的に検出する。また、図5に示すように、発光素子41aの照射スポット41cを基準にみて、ホッパベルト51が矢印Z1方向に移動した場合、穿孔エリア51a、穿孔エリア52b、穿孔エリア51cの順番で各穿孔エリアが検出される。一方、照射スポット41cを基準にみて、ホッパベルト51が矢印Z2方向に移動した場合、穿孔エリア51c、穿孔エリア52b、穿孔エリア51aの順番で各穿孔エリアが検出されることになる。すなわち、ホッパベルト変位センサ41は、図3、図5に示したホッパベルト51の矢印Z2方向への移動を検出することで、図3に示すように、ホッパテーブル2が矢印Z1方向に上昇していることを実質的に検出することができる。一方、ホッパベルト変位センサ41は、図3、図5に示したホッパベルト51の矢印Z1方向への移動を検出することで、図3に示すように、ホッパテーブル2が矢印Z2方向に下降していることを実質的に検出することができる。
【0028】
なお、このようなホッパベルト変位センサ41としては、発光部と受光部とを一つのユニットで構成したフォトインタラプタなどを適用することもできる。この1ユニットで構成されるフォトインタラプタを適用した場合、変位センサの部品実装が容易となる。また一方で、上述したLEDなどの発光素子と透過型のフォトトランジスタなどの受光素子とをホッパベルトの変位センサとして適用した場合には、検出結果をレベル値として得ることができるため、ホッパベルト51の移動状況をより詳細に検出することができる。また、貫通穴52の穿孔数が各々異なる穿孔エリア51a、52b、51cなどをホッパベルト51上に敢えて設けることなしに、個々の貫通穴52をホッパベルト51の全周にわたって等間隔に配置してもよい。さらに、ホッパベルト変位センサ41に代えて、例えば正転/逆転を検出可能なロータリエンコーダなどをホッパ駆動モータ40の駆動軸31aに実装してもよい。この場合、ホッパベルト51に貫通穴52を設けることなしに、ホッパベルト51の移動方向を含む移動状況を検出することができる。さらに、上述したロータリエンコーダなどを適用した場合には、ベルトの変位を検出することなどが不要となるので、ホッパベルトなどに代えて、いわゆるボールねじなどを昇降機構の構成部品として利用することもできる。
【0029】
また、図6に示すように、制御基板30上には、CPU31、ROM32、メモリ(メインメモリ)35、タイマ36、モータドライバ37、モータパルスレート生成部38及びセンサ信号入力部39が搭載されている。CPU31には、所定のバスを介して上位装置であるホスト装置50が接続されている。ホスト装置50は、例えばPCなどのコンピュータ装置で構成されており、そのメインメモリ上では文字認識プログラムなどが実行されている。メインメモリ上で動作するこの文字認識プログラムは、ホスト装置50内の外部記憶装置やCPUと協働しつつ、文字認識部や辞書などをソフトウェアとして実現する。すなわち、前記の文字認識部は、イメージ読取部16で読み取られた帳票3のイメージを入力すると共に、入力した帳票イメージ中の一文字ごとの文字イメージと辞書内の文字イメージとのマッチングを行い、一致した文字イメージに対応するテキストデータ(文字コード)を文字認識結果として出力する。
【0030】
センサ信号入力部39は、ホッパベルト変位センサ41から出力される、ホッパベルト51の移動状況を検知した検知信号を入力する。ROM32には、昇降機構14の動作を制御するための制御プログラム33が格納されている。このROM32内に格納された制御プログラム33がロードされることによって、メモリ35上には、適正動作判定部73及び上限速度検出部74を有する上昇動作検出部71、パルスレートテーブル34、並びに速度設定部72が、ソフトウェアにより実現される。なお、これら速度設定部72、パルスレートテーブル34、上昇動作検出部71は、各種の電子部品を組み合わせて構成したハードウェアにより実現されるものであってもよい。
【0031】
メモリ35上に構築されるパルスレートテーブル34は、ホッパテーブル2を昇降移動(本実施形態では主に上昇)させる際のホッパ駆動モータ40の回転速度を定めるための速度テーブルとして機能する。すなわち、パルスレートテーブル34には、図7に示すように、速度レンジ1、速度レンジ2…速度レンジi…速度レンジnと、個々の速度レンジに各々に対応したホッパ駆動モータ40の回転速度(回転方向の情報を含む)である速度V1、速度V2…速度Vi…速度Vnと、が一対一で対応付けられて記憶されている。具体的には、速度レンジ1に対応する速度V1は、ホッパ駆動モータ40における最も遅い回転速度の設定であり、ホッパテーブル2上に仕様上最も重い帳票3を最も多く積載した場合でも、ホッパテーブル2を正常に昇降移動(本実施形態では主に上昇)させることのできるトルクをホッパ駆動モータ40が発生し得る回転速度である。また、速度レンジ2に対応する速度V2は、ホッパ駆動モータ40おける速度V1よりも一段階速い回転速度の設定である。つまり、速度V1から順に、速度V2、速度Vi、速度Vnは、ホッパ駆動モータ40の回転速度を段階的に上昇させて行くように設定されている。
【0032】
例えば、速度設定部72は、速度レンジ1を選択した場合、パルスレートテーブル34を参照し、これに対応するホッパ駆動モータ40の回転速度として速度V1をモータパルスレート生成部38に通知する。同様に、速度設定部72は、速度レンジ2…i…nを選択した場合、パルスレートテーブル34を参照して、これらの速度レンジに各々対応するホッパ駆動モータ40の回転速度として速度V2…Vi…Vnをモータパルスレート生成部38に通知する。
【0033】
モータパルスレート生成部38は、速度設定部72から通知されたホッパ駆動モータ40(ステッピングモータ)の回転速度に対応する駆動用パルス(回転方向の情報を含む)を生成する。モータドライバ37は、モータパルスレート生成部38を通じて生成された駆動用パルスによって、ホッパ駆動モータ40を回転させる駆動回路である。タイマ36は、主に、ホッパベルト変位センサ41の発光素子41aから発光され、移動中のホッパベルト51上の貫通穴52を通過する光が、所定の時間間隔で受光素子41b側に受光されることを検出するために設けられている。
【0034】
ここで、速度設定部72及び上昇動作検出部71について詳述する。すなわち、速度設定部72は、ホッパテーブル2上の帳票3の積載量に応じた当該ホッパテーブル2の昇降速度(本実施形態では上昇速度)を昇降機構14に対して設定する。換言すると、速度設定部72は、積載された帳票3と共にホッパテーブル2を正常に上昇させるのに必要な駆動力(モータトルク)を発生し得る回転速度を、モータパルスレート生成部38やモータドライバ37などと協働しつつ、ホッパ駆動モータ40に対して設定する。また、上昇動作検出部71は、ホッパベルト変位センサ41や上記したタイマ36などと協働しつつ、昇降機構14を通じて上昇方向に駆動制御された(帳票3を積載する)ホッパテーブル2の上昇動作の状況を検出する。つまり、速度設定部72は、ホッパテーブル2における上昇動作の状況の検出結果に基づいて、ホッパテーブル2の適正な上昇速度を求め、求めたこの上昇速度を昇降機構14に対して設定する。
【0035】
詳述すると、上昇動作検出部71の適正動作判定部73は、ホッパテーブル2を上昇させる所定の上昇速度を昇降機構14に対して仮設定しこの仮設定した上昇速度を段階的に増加させると共に、タイマ36を参照しつつ予め決められた時間内にホッパテーブル2が所定量上昇し得たか否かを、段階的に仮設定した上昇速度ごとに判定する。また、上昇動作検出部71が有する上限速度検出部74は、この判定結果から、予め決められた時間内にホッパテーブル2が所定量上昇し得た上限の上昇速度を求め、この上限の上昇速度を、ホッパテーブル2の最終的に到達させるべき目標の上昇速度として昇降機構14に対して設定する。
【0036】
より具体的には、適正動作判定部73は、ホッパテーブル2が初期待機位置に定位している場合において、まず、最も遅い速度レンジ1を選択し、速度V1で回転させるホッパ駆動モータ40によりホッパベルト51の穿孔エリア51c、52b、51aが一巡する分だけ、当該ホッパベルト51を矢印Z2方向に移動(ホッパテーブル2が矢印Z1方向に上昇)させるための駆動パルスをモータパルスレート生成部38に生成させる。さらに、適正動作判定部73は、モータパルスレート生成部38に生成された駆動パルスをモータドライバ37に供給してホッパ駆動モータ40を駆動制御する。
【0037】
ここで、上限速度検出部74は、ホッパベルト変位センサ41の検出結果が入力されるセンサ信号入力部39、及びタイマ36を監視しており、予め決められた時間内にホッパベルト51の穿孔エリア51c、52b、51aが一巡したか否か(穿孔エリア51c、52b、51aが一巡する量だけホッパテーブル2が上昇し得たか否か)を判定する。すなわち、上限速度検出部74は、図5に示すように、タイマ36、ホッパベルト変位センサ41の検出結果から、予め決められた時間内に、照射スポット41cを基準にみて穿孔エリア51c、52b、51aの順番で、各穿孔エリアが検出できなかった場合には、ホッパ駆動モータ40の駆動を停止させると共に、ホッパテーブル2の上昇エラー(タイムアウトエラー)を例えば、図1に示す入力操作部18のオペレーションパネルなどに通知する。
【0038】
ホッパテーブル2の上昇エラーの具体例としては、例えば、ホッパベルト51上の一種類の穿孔エリアが絶えず検出[ホッパテーブル2の停滞が検出]されたり、穿孔エリアが、穿孔エリア51a、52b、51cの順番で検出[ホッパテーブル2の下降が検出]されることなどが例示される。なお、速度レンジ1に対応する速度V1は、上述したようにホッパテーブル2上に仕様上最も重い帳票3を最も多く積載した場合でも、ホッパテーブル2を上昇可能なトルクをホッパ駆動モータ40が発生させ得る速度設定であり、予期せぬ障害が生じない限り、ホッパテーブル2を正常に昇降移動させることが可能となる。
【0039】
一方、上限速度検出部74は、予め決められた時間内にホッパベルト51上の穿孔エリア51c、52b、51aが一巡したことを検出した場合、つまり、ホッパテーブル2が正常に上昇したことを検出した場合には、速度レンジ1よりも一段階速い速度レンジ2を選択(速度レンジ2に変更)し、この速度レンジ2に対応する速度V2でホッパ駆動モータ40を駆動制御する。この場合も同様に、上限速度検出部74は、予め決められた時間内に、穿孔エリア51c、52b、51aの順番で各穿孔エリアが検出できたか否かを判定し、この結果に応じてホッパテーブル2が正常に上昇し得たか否かを判別する。
【0040】
このようにして適正動作判定部73及び上限速度検出部74を有する上昇動作検出部71は、速度レンジ(ホッパ駆動モータ40の回転速度)を段階的に切り換えつつ上昇させて行き、ホッパテーブル2が正常に上昇し得なかった速度レンジを求め、さらに、速度設定部72は、上昇動作検出部71により求められたこの速度レンジよりも一段階遅い速度レンジを、ホッパテーブル2を最終的に上昇動作させるべき目標の速度レンジとして設定する。また、速度設定部72は、最も速い速度レンジの設定でホッパテーブル2が正常に上昇したことを上昇動作検出部71が検出した場合には、この最も速い速度レンジを最終目標の速度レンジとして設定する。
【0041】
ここで、上述したように、ホッパ駆動モータ40には、ステッピングモータが適用されているので、いわゆるスローアップ処理が必要となる。このため、速度設定部72は、上記した最終目標の速度レンジに対応する速度で、直ちにホッパ駆動モータ40を駆動制御するのではなく、最も遅い速度レンジV1から順に段階的に速度レンジを上昇させ、最終的に上記目標の速度レンジ(目標のモータ回転速度)に到達させる制御を行う。また、上記の上昇動作検出部71は、CPU31が給紙要求を発生させてから、ホッパテーブル2が初期待機位置を離れて給紙位置に到達するまで、トータルの時間をタイマ36を通じて計測しており、この計測時間が予め決められた時間間隔を超えた場合に、上記同様、ホッパテーブル2の上昇エラー(タイムアウトエラー)を報知する。
【0042】
次に、このように構成されたスキャナ装置1内の昇降機構14の動作を図8に基づき説明する。ここで、図8は、本実施形態のスキャナ装置1内の制御プログラム33による昇降機構14の動作制御を示すフローチャートである。
【0043】
図8に示すように、まず、上昇動作検出部71の適正動作判定部73は、最も遅い速度レンジ1に対応する最低速の速度V1でホッパ駆動モータ40を駆動制御し(S[ステップ]1)、ホッパテーブル2が正常に上昇したか否かを判定する(S2)。ホッパテーブル2の正常な上昇が認められた場合には(S2のYES)、より速い速度設定(速度レンジ)があるか否かが検索される(S3)。適正動作判定部73は、より速い速度設定があることを検出した場合には(S3のYES)、ホッパ駆動モータ40を一段階速い速度で駆動制御する(S4)。このようにして適正動作判定部73は、ホッパ駆動モータ40の回転速度を、速度V1、V2…Vi…Vnの順に段階的に上昇させて行き、また、上昇動作検出部71の上限速度検出部74は、ホッパテーブル2が正常に上昇し得なかったホッパ駆動モータ40の回転速度(速度レンジ)を得る(S2のNO)。
【0044】
この場合、速度設定部72は、一旦、最低速の速度V1に戻し、この速度V1から、ホッパテーブル2が正常に動作しなかった速度よりも一段階遅い速度まで、ホッパ駆動モータ40の回転速度を段階的に加速(スローアップ処理)させる(S5)。この一段階遅い速度でホッパテーブル2が正常に動作した場合には(S6のYES)、この速度(ホッパテーブル2を最終的に上昇動作させるべき目標の速度レンジ)で、ホッパ駆動モータ40が継続的に駆動される(S7)。なお、この一段階遅い速度でホッパテーブル2が正常に動作しなかった場合には(S6のNO)、適正動作判定部73は、もう一段階遅い速度でホッパテーブル2を駆動し、ホッパテーブル2が正常に上昇し得たか否かを再度判定する(S6)。
【0045】
この後、CPU31は、ホッパテーブル2が給紙位置に到達する前に、予め決められた所定時間の経過をタイマ36を通じて検出した場合には(S8のYES)、ホッパテーブル2の上昇エラーを報知する処理を行う(S9)。一方、所定時間が経過する前にホッパテーブル2が給紙位置まで到達し(S8のNO)、この状態がセンサ21に検出されると(S10)、ホッパテーブル2の上昇が停止される。さらにこの後、ホッパテーブル2上の最上部の帳票3から順にスキャナ装置1の内部への給紙が開始される。
【0046】
既述したように、本実施形態に係るスキャナ装置1は、ホッパテーブル2に積載された帳票3の積載量(積載重量)に応じてホッパテーブル2の上昇速度を適宜変更することができるので、積載された帳票3と共にホッパテーブル2を正常動作させるのに必要な駆動力(ホッパ駆動モータ40のトルク)を確保した上でホッパテーブル2を移動制御することができる。したがって、本実施形態のスキャナ装置1では、例えばホッパテーブル2に積載された帳票3が少なく昇降機構14を駆動させるために多くの駆動力を必要としない場合には、ホッパテーブル2を高速に移動させ、一方、ホッパテーブル2上に多数の帳票3が積載され多くの駆動力が必要となる場合には、ホッパテーブル2を低速で移動させることができる。これにより、帳票3の給紙機構部分の一部を担う昇降機構14を効率的に動作させることができ、スキャナ装置1全体の稼動効率を向上させることができる。
【0047】
なお、上記した実施態様では、帳票3を積載するホッパテーブル2の上昇動作の状況を検出し、この検出結果に基づいてホッパテーブル2の適正な上昇速度を求め、求めたこの上昇速度を昇降機構14に対して設定するものであったが、これに代えて、帳票3を積載するホッパテーブル2の下降動作の状況を検出し、この検出結果に基づいてホッパテーブル2の適正な下降速度を求め、求めたこの下降速度を昇降機構14に対して設定できるようにスキャナ装置1を構成してもよい。
【0048】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施形態を図9〜図11に基づき説明する。ここで、図9は、この実施形態のスキャナ装置が備えた昇降機構の動作を制御する制御系を機能的に示すブロック図である。さらに、図10は、本実施形態のスキャナ装置が備えた昇降機構の制御プログラム61により実現されるパルスレートテーブル63の内容を示す図である。また、図11は、本実施形態のスキャナ装置内の制御プログラム61による昇降機構の動作制御を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、第1の実施形態で参照した図2〜図4などを流用して説明を行うと共に、上記の図9、図10において、図6、図7に示した第1の実施形態の昇降機構14の制御系に設けられていたものと同一の構成要素については、同一の符号、名称を付与しその説明を省略する。
【0049】
すなわち、この実施形態に係るスキャナ装置は、図9に示すように、第1の実施形態のスキャナ装置が有していた制御プログラム33に代えて、制御プログラム61がROM32内に格納されていると共に、さらにカウンタ62を追加して構成されている。前記のROM32内に格納された制御プログラム61がロードされることによって、メモリ35上には、図10に示すように、第1の実施形態の速度設定部72及びパルスレートテーブル34と構成の各々異なる速度設定部75及びパルスレートテーブル63が、ソフトウェアにより実現される。
【0050】
上昇量カウント部として機能するカウンタ62は、昇降機構により上昇させたホッパテーブル2の初期待機位置からの上昇量をカウントする。詳細には、カウンタ62は、ステッピングモータであるホッパ駆動モータ40が実際に回転する際に発生させる駆動パルス数を検出し、この検出した駆動パルスを基にホッパ駆動モータ40の回転数を求める。さらに、カウンタ62は、ホッパ駆動モータ40のこの回転数からホッパベルト51の移動量を求め、これにより、ホッパベルト51の移動量に等しいホッパテーブル2の上昇量を得る。このようにして得られたホッパテーブル2の上昇量は、メモリ35内に記憶される。なお、回転駆動されるホッパ駆動モータ40の駆動時間とホッパ駆動モータ40の回転速度に対応するホッパベルト51の移動速度とをカウンタ62に積算させることで、ホッパテーブル2の上昇量を求めるようにしてもよい。
【0051】
また、本実施形態のCPU31は、図2、図4などに示したセンサ21により最上部の帳票3が給紙位置に到達したことが検出されたホッパテーブル2の初期待機位置への帰還を要求する帰還要求部として機能する。また、本実施形態の速度設定部75は、CPU31によりホッパテーブル2の帰還を要求されてホッパテーブル2が下降する場合のホッパ駆動モータ40の回転速度を設定する。詳細には、CPU31は、ホッパテーブル2に積載された全ての帳票3の給紙が終わった場合(ホッパエンプティの場合)や、スキャナ装置内を搬送される帳票3の搬送エラーが生じた場合などに初期待機位置へのホッパテーブル2の帰還を要求する。また、速度設定部75は、センサ21による検出結果とカウンタ62によりカウントされたホッパテーブル2の上昇量とに基づいて、帰還を要求されたホッパテーブル2上の帳票3の積載量に対応する当該ホッパテーブル2の適正な下降速度を求め、求めたこの下降速度を図2〜図4に示す昇降機構14に対して設定する。
【0052】
ここで、上述したパルスレートテーブル63は、実質的に、初期待機位置からのホッパテーブル2の上昇量とホッパテーブル2の適正な下降速度とを互いに対応付けて記憶する速度テーブルである。具体的には、図10に示すように、パルスレートテーブル63には、ホッパテーブル2が初期待機位置から上昇した上昇位置(高さ方向の位置)としての例えば5cm、10cm…i cm…n cmと、個々の上昇位置に各々に対応したホッパ駆動モータ40の回転速度(回転方向の情報を含む)である速度V1、速度V2…速度Vi…速度Vnと、が一対一で対応付けられて記憶されている。
【0053】
さらに詳述すると、最も低い上昇位置である例えば5cmに対応する速度V1は、ホッパ駆動モータ40における最も遅い回転速度の設定であり、ホッパテーブル2上に仕様上最も重い帳票3を最も多く積載した場合でも、ホッパテーブル2を正常に下降させることのできるトルクをホッパ駆動モータ40が発生し得る回転速度である。また、二番目に低い上昇位置である例えば10cmに対応する速度V2は、ホッパ駆動モータ40おける速度V1よりも一段階速い回転速度の設定である。つまり、速度V1から順に、速度V2、速度Vi、速度Vnは、ホッパ駆動モータ40の回転速度を段階的に高速にして行くように設定されている。
【0054】
したがって、速度設定部75は、ホッパテーブル2上の帳票3の積載量(積載重量)に応じた当該ホッパテーブル2の下降速度を昇降機構14に対して設定する。言い換えれば、速度設定部75は、積載された帳票3と共にホッパテーブル2を正常に下降させるのに必要な駆動力(モータトルク)を発生し得る回転速度を、ホッパ駆動モータ40に対して設定する。
【0055】
次に、このように構成された本実施形態のスキャナ装置内の昇降機構の動作を図11に基づき説明する。ここで、図11は、このスキャナ装置内のCPU31による昇降機構の動作制御を示すフローチャートである。
【0056】
図11に示すように、スキャナ装置内部への給紙要求が生じた場合(S21のYES)、ホッパ駆動モータ40は、ホッパテーブル2が上昇する方向に回転駆動する(S22)。この際、カウンタ62は、ホッパテーブル2の上昇量をカウントする(S23)。この後、ホッパテーブル2が給紙位置に到達し(S24のYES)、さらにこの後、ホッパエンプティの場合や帳票3の処理にエラーが生じた場合など、初期待機位置へのホッパテーブル2の帰還要求が生じた場合(S25のYES)、速度設定部75は、ホッパテーブル2の上昇位置に対応するホッパ駆動モータ40の回転速度(回転方向を含む)を設定する(S26)。
【0057】
詳細には、速度設定部75は、カウンタ62により求められたホッパテーブル2の上昇位置とパルスレートテーブル63内の情報とに基づいて、ホッパテーブル2が正常に下降するように、ホッパ駆動モータ40の回転速度(回転方向を含む)を設定する。設定されたこの回転速度で、ホッパ駆動モータ40は、ホッパテーブル2が下降する方向に回転駆動する(S27)。この際、ホッパ駆動モータ40に対しスローアップ処理を付与できるように、最も遅い速度V1から順に段階的に速度を上昇させ、最終的に目標の速度に到達させる制御が行われるように速度設定部75を構成してもよい。この後、ホッパテーブル2が初期待機位置に到達したことがセンサ20に検出されると(S28)、ホッパテーブル2の下降が停止される。
【0058】
以上のように、第2の実施形態に係るスキャナ装置は、ホッパテーブル2に積載された帳票3の積載量(積載重量)に応じてホッパテーブル2の下降速度を適宜設定することができるので、積載された帳票3と共にホッパテーブル2を正常に下降させるのに必要な駆動力(ホッパ駆動モータ40のトルク)を確保した上で、ホッパテーブル2を所定の上昇位置から初期待機位置側へ帰還させることができる。すなわち、この実施形態のスキャナ装置では、ホッパテーブル2上の帳票3の残留(積載)量が多い場合(多くのモータトルクを必要とする場合)には、ホッパテーブル2を低速で下降させ、一方、ホッパテーブル2上の帳票3の残留量が少ない場合(多くのモータトルクを必要としない場合)には、ホッパテーブル2を高速に下降させることができる。したがって、このように効率的に動作制御されるホッパテーブル2上に、例えば次バッチ(次に処理すべき)の帳票3を短い時間間隔で順次積載して行くことなどが可能になるので、実質的にスキャナ装置の稼動率を向上させることができる。
【0059】
以上、本発明を第1、第2の実施形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した実施形態では、本発明をスキャナ装置に適用した場合を例示したが、給紙機構部分に昇降機構を備える、例えば複写機、ファックス機、プリンタなどにも本発明を適用することができる。また、このような装置に処理される対象の紙媒体としては、帳票にのみならず、所定のサイズで規定された、あらゆる用紙を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るスキャナ装置を示す外観図。
【図2】図1のスキャナ装置の内部構造を示す図。
【図3】図1のスキャナ装置が備えるホッパテーブルの昇降機構を概略的に示す斜視図。
【図4】図3の昇降機構を示す側面図。
【図5】図3の昇降機構を構成するホッパベルトの構造を示す図。
【図6】図3の昇降機構の動作を制御する制御系を機能的に示すブロック図。
【図7】図3の昇降機構の制御プログラムにより実現されるパルスレートテーブルの内容を示す図。
【図8】図1のスキャナ装置内の制御プログラムによる昇降機構の動作制御を示すフローチャート。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るスキャナ装置が備えた昇降機構の動作を制御する制御系を機能的に示すブロック図。
【図10】第2の実施形態に係るスキャナ装置が備えた昇降機構のプログラムにより実現されるパルスレートテーブルの内容を示す図。
【図11】第2の実施形態に係るスキャナ装置内の制御プログラムによる昇降機構の動作制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0061】
1…スキャナ装置、2…ホッパテーブル、3…帳票、14…昇降機構、16…イメージ読取部、20〜25…センサ、33,61…制御プログラム、34,63…パルスレートテーブル、35…メモリ、36…タイマ、37…モータドライバ、38…モータパルスレート生成部、39…センサ信号入力部、40…ホッパ駆動モータ、41…ホッパベルト変位センサ、51…ホッパベルト、51a,51b,51c…穿孔エリア、52…貫通穴、62…カウンタ、71…上昇動作検出部、72,75…速度設定部、73…適正動作判定部、74…上限速度検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が積載される給紙台と、
前記給紙台上の最上部の用紙が装置内部に取り込まれる給紙位置と前記給紙位置の下方の初期待機位置との間で前記給紙台を昇降移動させる昇降機構と、
前記給紙台上の前記用紙の積載量に応じた当該給紙台の昇降速度を前記昇降機構に対して設定する速度設定部と、
を具備することを特徴とする用紙処理装置。
【請求項2】
前記昇降機構により上昇方向に駆動制御された前記用紙を積載する前記給紙台の上昇動作の状況を検出する上昇動作検出部をさらに備え、
前記速度設定部は、前記上昇動作検出部による検出結果に基づいて、前記給紙台の適正な上昇速度を求め、求めたこの上昇速度を前記昇降機構に対して設定することを特徴とする請求項1記載の用紙処理装置。
【請求項3】
前記上昇動作検出部は、
前記給紙台を上昇させる所定の上昇速度を前記昇降機構に対して仮設定しこの仮設定した上昇速度を段階的に増加させると共に、予め決められた時間内に前記給紙台が所定量上昇し得たか否かを、前記段階的に仮設定した上昇速度ごとに判定する適正動作判定部と、
前記適正動作判定部による判定結果から、予め決められた時間内に前記給紙台が所定量上昇し得た上限の上昇速度を求める上限速度検出部と、
を備え、
前記速度設定部は、前記上限速度検出部により求められた前記上限の上昇速度を、前記給紙台の最終的に到達させるべき目標の上昇速度として前記昇降機構に対して設定する
ことを特徴とする請求項2記載の用紙処理装置。
【請求項4】
前記昇降機構により上昇させた前記給紙台の前記初期待機位置からの上昇量をカウントする上昇量カウント部と、
前記昇降機構により上昇させた前記給紙台上の最上部の用紙が前記給紙位置に到達したことを検出するセンサと、
前記センサにより前記最上部の用紙が前記給紙位置に到達したことが検出された前記給紙台の前記初期待機位置への帰還を要求する帰還要求部と、
をさらに備え、
前記速度設定部は、前記センサによる検出結果と前記上昇量カウント部によりカウントされた前記給紙台の上昇量とに基づいて、前記帰還を要求された前記給紙台上の前記用紙の積載量に対応する当該給紙台の適正な下降速度を求め、求めたこの下降速度を前記昇降機構に対して設定する
ことを特徴とする請求項1記載の用紙処理装置。
【請求項5】
前記速度設定部は、前記初期待機位置からの前記給紙台の上昇量と前記給紙台の適正な下降速度とを互いに対応付けて記憶する速度テーブルを参照して、前記給紙台の適正な下降速度を求めることを特徴とする請求項4記載の用紙処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−150148(P2008−150148A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338940(P2006−338940)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】