説明

用紙搬送装置、原稿読取装置および用紙搬送方法

【課題】用紙の後端が一対の搬送ローラから離脱するとき安定した搬送を確保させるようにした用紙搬送装置、原稿読取装置および用紙搬送方法を得ること。
【解決手段】原稿読取装置20の画像読取手段21の手前に配置された従動ローラ23は、押圧手段24によって駆動ローラ22に押し付けられている。従動ローラ保持手段25は、従動ローラ23のローラ表面を構成する円の接線方向に往復動自在にこの従動ローラを保持し、原稿の後端離脱時の搬送速度の変動を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿等のシート状の用紙を搬送する用紙搬送装置、原稿読取装置および用紙搬送方法に係わり、特に用紙を定速で搬送することが好適な用紙搬送装置、原稿読取装置および用紙搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を移動させながら1次元イメージセンサで画像を走査して読み取る原稿読取装置では、画像の読み取りを行う箇所で原稿が常に定速で移動する必要がある。
【0003】
図8は、本発明の第1の関連技術における原稿読取装置の構成を表わしたものである。原稿搬送装置100は、原稿の搬送空間を形成するための3つのユニットを備えている。図で一番上にはアッパユニット101が配置されている。アッパユニット101は、原稿トレイ102に沿って矢印103方向に送り込まれる原稿(図示せず)の上面側に、原稿挿入口104から順に、原稿の先端を案内するガイドロール106、原稿を内部に送り込む主送りローラ107および搬送ローラ108の合計3つのローラを配置している。
【0004】
アッパユニット101のすぐ下には、ミドルユニット109が配置されている。ミドルユニット109もアッパユニット101と同様に図示しない支点を中心に回動する機構となっている。このミドルユニット109には、アッパユニット101の主送りローラ107と転接するリタードローラ111と、スタッカ124側に原稿を排出したり、原稿の両面読み取りの際に原稿を再度、装置内部に送り込む排出側ローラ112が備えられている。排出側ローラ112は、図示しない駆動源によって駆動される駆動ローラである。
【0005】
ミドルユニット109の更に下方にはロワーユニット114が配置されている。ロワーユニット114の底部の開口部にはプラテンガラス115が配置されている。このプラテンガラス115の下方の図示しない装置本体部分には、光学系および読取素子が配置されていて、プラテンガラス115の上部を通過する原稿の画像情報を読み取るようになっている。ロワーユニット114には、アッパユニット101の搬送ローラ108と転接する搬送ローラ116と、排出側ローラ117と転接する排出側ローラ117および他の2つの搬送ローラ対(118、119)、(120、121)が配置されている。また、ロワーユニット114における排出側ローラ112の手前の位置には、原稿の搬送方向を切り替えるための断面が楔状をしたフラッパ122が配置されている。
【0006】
このような構成の原稿搬送装置100における原稿の搬送の様子を簡単に説明する。まず、図示しない原稿の片面のみを読み取る動作を説明する。原稿トレイ102上にセットされた図示しない原稿は、ガイドロール106が原稿の最上層と接触するまで降下して回転することにより、主送りローラ107とリタードローラ111のニップ領域に向けて送り出される。そして、主送りローラ107とリタードローラ111の回転によって1枚ずつ装置内部(図で左側の方向)に送り込まれる。リタードローラ111は主送りローラ107と逆方向に回転するようになっており、送り込みの際の重送を防止するようになっている。
【0007】
主送りローラ107とリタードローラ111の間を通過した原稿は、1対の搬送ローラ108、116の間を通過し、更に搬送ローラ対118、119の間を通過してプラテンガラス115の上を搬送される。このとき、図示しない読取素子を用いて原稿の第1面の画像情報の読み取りが行われる。この原稿は、搬送ローラ対120、121の間を通過して、弁状のフラッパ122を下から押し上げて、1対の排出側ローラ112、117の間を通過して、スタッカ124上に排出される。このようにして、原稿トレイ102上にセットされた原稿が1枚ずつ原稿搬送装置100の内部に送り込まれて、それぞれの片面(原稿トレイ102上にセットされた原稿の上側の面)の画像情報の読み取りが行われる。
【0008】
次に、原稿の両面を読み取る場合を説明する。この場合、原稿トレイ102から原稿搬送装置100の内部に送り込まれた原稿は、前記したようにして第1面の画像情報が読み取られる。原稿は読み取りの進行と共にその先端から1対の排出側ローラ112、117によってスタッカ124に送り込まれる。このとき、読み取りの終了した第1面は原稿の下方に配置されている。
【0009】
原稿の後端が1対の排出側ローラ112、117のニップ領域まで達すると、そのタイミングでこれら1対の排出側ローラ112、117が逆転を開始する。すると、原稿の後端はフラッパ122の上面を通過して、ミドルユニット109とロワーユニット114の境界部分をほぼ水平方向に進行し、1対の搬送ローラ108、116の間を通過する。そして再び搬送ローラ対118、119を通過してプラテンガラス115の上を搬送される。このとき、前記した読取素子が原稿の第2面の画像情報の読み取りを行う。この原稿は、搬送ローラ対120、121を通過して、弁状のフラッパ122を下から押し上げて、1対の排出側ローラ112、117の間を通過して、スタッカ124上に排出されることになる。このようにして、原稿の両面の画像情報の読み取りが行われることになる。
【0010】
図9は、図8に示した原稿の読取位置とその手前の一対の搬送ローラとの関係を示したものである。搬送ローラ118は駆動側のローラであり、その回転軸131は図示しない不動部材に回動自在に軸支されている。
【0011】
搬送ローラ118と転接する搬送ローラ119は、従動ローラである。搬送ローラ119の回転軸132は、不動部材133にネジ等の固定手段134によって取り付けられた支持金具135に穿たれた穴に回動自在に嵌合している。支持金具135は、そのコ字状に折れ曲がった箇所がバネ材として作用し、一点鎖線で示した原稿の搬送経路136を挟んで搬送ローラ119を搬送ローラ118方向に所定の圧力で押圧している。
【0012】
図示しない原稿は、搬送ローラ118の回転によって搬送経路136を矢印137方向に搬送される。そして、プラテンガラス115上を移動し、三角形で示した読取位置138で紙面に垂直方向に1ラインずつ画像の読取が行われることになる。
【0013】
図10は、第1の関連技術の原稿搬送装置における原稿の後端が1対の搬送ローラから離れるときの挙動を表わしたものである。前記したように駆動側の搬送ローラ118はその中心軸が変位することなく図で矢印141で示したように反時計方向に回転する。
【0014】
従動側の搬送ローラ119は、原稿142が搬送ローラ118によって矢印137方向に搬送されるのに応じて矢印143で示したように時計方向に回転する。実線で示した原稿142は、その後端がちょうど一対の搬送ローラ118、119の中心144、145を結ぶ仮想線146と一致している。原稿142の厚さをdとする。この時点までは厚さdだけ一対の搬送ローラ118、119の間隔が開いており、この間に原稿142が挟まっていることになる。
【0015】
この直後、一対の搬送ローラ118、119の回転に伴って原稿142の後端がこれらの搬送ローラ118、119から離脱する。これにより、従動側の搬送ローラ119と駆動側の搬送ローラ119との間に間隔dの隙間が一時的に発生する。
【0016】
従動側の搬送ローラ119は、支持金具135(図9)のバネとしての習性によって駆動側の搬送ローラ118の方向に押圧されている。したがって、図10で一点鎖線で示したように従動側の搬送ローラ119Aは図で上方向に距離dだけ瞬時に移動し、駆動側の搬送ローラ119と接触する。この結果、原稿142の後端は、搬送ローラ119に押されて一対の搬送ローラ118、119のニップ領域から弾き出されることになる。これにより、原稿142Aは一点鎖線で示す位置まで急速に変位する。
【0017】
図10では、原稿142の移動を原理的に単純に示した。一対の搬送ローラ118、119を通過した後の原稿142は、実際には図9に示したようにプラテンガラス115上を移動するようになっており、読取位置138で画像情報の読み取りが行われる。したがって、原稿142が一対の搬送ローラ118、119から離脱する際の急激な変位は、画像の読み取りに各種の不具合を生じさせる。たとえば、原稿142に存在する直線が曲がって読み取られたり、多くの漢字のように平行線の間隔が狭い画像部分ではこれらの隙間が引き延ばされた状態で読み取られたり、反対に潰れて読み取られる。3原色を分解して読み取るカラー画像の読み取りの場合には、色ずれが生じることになる。
【0018】
特に最近では画像の読み取りが高精細に行われることが多い。このため、原稿142の読み取の際の速度の変動がわずかに生じても、画質の劣化は従来よりも顕著に現われることになる。また、原稿142の厚さが厚くなるほど、画像の読み取りの際の不具合は顕著となる。
【0019】
以上説明した問題を解決するために、ペーパパンとレリーズ板にガタを設けるようにした記録装置が第2の関連技術として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この第2の関連技術でペーパパンは図8における従動ローラとしての搬送ローラ119の保持部材に相当する。また、レリーズ板は装置本体側の部材に相当する。第2の関連技術では、ペーパパンの一部が下方に延在することによって形成される矩形の突設部に矩形の孔が設けられている。この孔と、底板に立設される突起とが所定量のガタを有して係合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】(特許第2931347号公報第6ページ第11欄第6行目〜第38行目、第8図、第9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
この第2の関連技術では、従動ローラとしての搬送ローラを保持するペーパパンが、記録紙を搬送する駆動ローラとしての大径の搬送ローラのほぼ下半分を覆うように配置された大型の部品となっている。したがって、重量のかなりあるペーパパンという大型の部品を移動させることにより、記録紙の後端が1対の搬送ローラから離脱するときの「けとばし現象」を防止する効果は限定的となる。
【0022】
また、この第2の関連技術では、「けとばし現象」を発生させるときに、ペーパパン自体が変位することになる。このため、記録紙の後端が一対の搬送ローラのニップ領域を通過する際に、これらの搬送ローラによる記録紙への押圧が不安定となる。これは、記録紙の定速による送り出しを不安定とさせる新たな原因となる。
【0023】
そこで本発明の目的は、用紙の後端が一対の搬送ローラから離脱するとき安定した搬送を確保させるようにした用紙搬送装置、原稿読取装置および用紙搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明では、(イ)所定の駆動源によって駆動され定速で回転する駆動ローラと、(ロ)この駆動ローラと対向して配置され、駆動ローラのローラ表面と転接する部材の動きに追随して回転する従動ローラと、(ハ)この従動ローラのローラ表面を前記した駆動ローラのローラ表面に向けて所定の圧力で押圧する押圧手段と、(ニ)この押圧手段によって前記した駆動ローラのローラ表面と接触する前記した従動ローラのローラ表面あるいは用紙搬送時の前記した用紙との接触箇所における従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向にこの従動ローラを予め定めた範囲内で往復動自在に保持する従動ローラ保持手段とを用紙搬送装置が具備する。
【0025】
また、本発明では、(イ)搬送される原稿のその搬送方向と直交する方向にライン単位で画像の読み取りを行う画像読取手段と、(ロ)この画像読取手段の手前に配置され、所定の駆動源によって駆動され前記した原稿を前記した画像読取手段の配置されている箇所に送りだすために定速で回転する駆動ローラと、(ハ)この駆動ローラと対向して配置され、駆動ローラのローラ表面と転接する部材の動きに追随して回転する従動ローラと、(ニ)この従動ローラのローラ表面を前記した駆動ローラのローラ表面に向けて所定の圧力で押圧する押圧手段と、(ホ)この押圧手段によって前記した駆動ローラのローラ表面と接触する前記した従動ローラのローラ表面あるいは原稿搬送時の前記した原稿との接触箇所における従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向にこの従動ローラを予め定めた範囲内で往復動自在に保持する従動ローラ保持手段とを原稿読取装置が具備する。
【0026】
更に本発明では、(イ)駆動ローラに対して従動ローラを所定の圧力で押し付け、これらのローラの間に用紙を挟んだ状態で、駆動ローラを定速で搬送することによって前記した用紙を所定方向に搬送する用紙搬送ステップと、(ロ)前記した用紙の後端が前記した駆動ローラと従動ローラの間から離脱する時点で前記した従動ローラが駆動ローラの方向に移動する力で前記した用紙の後端を前記した所定方向に蹴り出す力の反力を用いて、前記した用紙の搬送方向と逆方向に移動自在となった前記した従動ローラを前記した用紙の搬送方向と逆方向に移動させる従動ローラ移動ステップとを用紙搬送方法が具備する。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、1対のローラで挟持して搬送する原稿等の用紙の搬送速度のむらが抑制されるという効果がある。したがって、原稿の読み取りであれば画像情報に忠実な読み取りが可能になる。
【0028】
また、本発明によれば、簡単な機構を用いて原稿等の用紙の搬送速度のむらを抑制するので、大がかりな装置と比べると部品点数を削減し安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の用紙搬送装置のクレーム対応図である。
【図2】本発明の原稿読取装置のクレーム対応図である。
【図3】本発明の用紙搬送方法のクレーム対応図である。
【図4】本発明の実施の形態における原稿読取装置の構成の概要を、原稿の搬送系を中心として表わした概略構成図である。
【図5】本実施の形態におけるプラテンガラスの手前に配置された一対の搬送ローラの周辺を表わした概略構成図である。
【図6】本実施の形態におけるプラテンガラスの直前に配置された搬送ローラ対から原稿が送り出されている状態を原理的に示した概略構成図である。
【図7】図6に示した時点からわずか後に原稿の後端が搬送ローラ対のニップ領域を外れた直後の状態を表わした概略構成図である。
【図8】本発明の第1の関連技術における原稿読取装置の構成を表わした概略構成図である。
【図9】図8に示した原稿の読取位置とその手前の一対の搬送ローラとの関係を示した要部概略構成図である。
【図10】第1の関連技術の原稿搬送装置における原稿の後端が1対の搬送ローラから離れるときの挙動を表わした説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の用紙搬送装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の用紙搬送装置10は駆動ローラ11と、従動ローラ12と、押圧手段13と、従動ローラ保持手段14を備えている。ここで、駆動ローラ11は、所定の駆動源によって駆動され定速で回転する。従動ローラ12は、駆動ローラ11と対向して配置され、駆動ローラのローラ表面と転接する部材の動きに追随して回転する。押圧手段13は、従動ローラ12のローラ表面を駆動ローラ11のローラ表面に向けて所定の圧力で押圧する。従動ローラ保持手段14は、押圧手段13によって駆動ローラ11のローラ表面と接触する従動ローラ12のローラ表面あるいは用紙搬送時の前記した用紙との接触箇所における従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向にこの従動ローラ12を予め定めた範囲内で往復動自在に保持する。
【0031】
図2は、本発明の原稿読取装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の原稿読取装置20は、画像読取手段21と、駆動ローラ22と、従動ローラ23と、押圧手段24と、従動ローラ保持手段25を備えている。ここで、画像読取手段21は搬送される原稿のその搬送方向と直交する方向にライン単位で画像の読み取りを行う。駆動ローラ22は、画像読取手段21の手前に配置され、所定の駆動源によって駆動され前記した原稿を画像読取手段21の配置されている箇所に送りだすために定速で回転する。従動ローラ23は、駆動ローラ22と対向して配置され、駆動ローラのローラ表面と転接する部材の動きに追随して回転する。押圧手段24は、従動ローラ23のローラ表面を駆動ローラ22のローラ表面に向けて所定の圧力で押圧する。従動ローラ保持手段25は、押圧手段24によって駆動ローラ22のローラ表面と接触する従動ローラ23のローラ表面あるいは原稿搬送時の前記した原稿との接触箇所における従動ローラ23のローラ表面を構成する円の接線方向にこの従動ローラ23を予め定めた範囲内で往復動自在に保持する。
【0032】
図3は、本発明の用紙搬送方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の用紙搬送方法30は、用紙搬送ステップ31と、従動ローラ移動ステップ32を備えている。ここで、用紙搬送ステップ31では、駆動ローラに対して従動ローラを所定の圧力で押し付け、これらのローラの間に用紙を挟んだ状態で、駆動ローラを定速で搬送することによって前記した用紙を所定方向に搬送する。従動ローラ移動ステップ32では、前記した用紙の後端が前記した駆動ローラと従動ローラの間から離脱する時点で前記した従動ローラが駆動ローラの方向に移動する力で前記した用紙の後端を前記した所定方向に蹴り出す力の反力を用いて、前記した用紙の搬送方向と逆方向に移動自在となった前記した従動ローラを前記した用紙の搬送方向と逆方向に移動させる。
【0033】
<発明の実施の形態>
【0034】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
図4は、本発明の実施の形態による原稿読取装置の構成の概要を、原稿の搬送系を中心として表わしたものである。本実施の形態の原稿読取装置200の一番上にはアッパユニット201が配置されている。アッパユニット201は、原稿トレイ202に沿って矢印203方向に送り込まれる原稿(図示せず)の上面側に、原稿挿入口204から順に、挿入される原稿の先端を案内するガイドロール206、原稿を装置内部に送り込む主送りローラ207および搬送ローラ208の合計3つのローラを配置している。
【0036】
ガイドロール206の下に配置されたミドルユニット209の更に下方には、駆動側の排出側ローラ212が配置されている。主送りローラ207にはリタードローラ211が転接している。
【0037】
画像の読取位置230の直上に配置されたプラテンガラス215の上方には、ロワーユニット214が配置されている。ロワーユニット214には、アッパユニット201の搬送ローラ208と転接する従動側の搬送ローラ216と、排出側ローラ212と転接する排出側ローラ217および他の2つの搬送ローラ対(218、219)、(220、221)が配置されている。
【0038】
このような構成の原稿搬送装置200における原稿の搬送の様子を簡単に説明する。まず、図示しない原稿の片面のみを読み取る動作を説明する。原稿トレイ202上にセットされた図示しない原稿は、ガイドロール206が原稿の最上層と接触するまで降下して回転することにより主送りローラ207とリタードローラ211のニップ領域に向けて送り出される。そして、これら主送りローラ207とリタードローラ211によって1枚ずつ装置内部(図で左側の方向)に送り込まれる。リタードローラ211は主送りローラ207と逆方向に回転するようになっており、送り込みの際の重送を防止するようになっている。
【0039】
主送りローラ207とリタードローラ211の間を通過した原稿は、1対の搬送ローラ208、216の間を通過し、更に搬送ローラ対218、219を通過してプラテンガラス215の上を搬送される。このとき、図示しない読取素子を用いて原稿の第1面の画像情報の読み取りが行われる。この原稿は、搬送ローラ対220、221を通過した後、1対の排出側ローラ212、217の間を通過して、図示しないスタッカ上に排出される。このようにして、原稿トレイ202上にセットされた原稿が1枚ずつ原稿搬送装置200の内部に送り込まれて、それぞれの片面(原稿トレイ202上にセットされた原稿の上側の面)の画像情報の読み取りが行われる。
【0040】
次に、原稿の両面を読み取る場合を説明する。この場合、原稿トレイ202から原稿搬送装置200の内部に送り込まれた原稿は、前記したようにして第1面の画像情報が読み取られる。原稿は読み取りの進行と共にその先端から1対の排出側ローラ212、217によって前記したスタッカに送り込まれる。このとき、読み取りの終了した第1面は原稿の下方に配置されている。
【0041】
原稿の後端が1対の排出側ローラ212、217のニップ領域まで達すると、そのタイミングで1対の排出側ローラ212、217が逆転を開始する。すると、原稿の後端は搬送ローラ220の上方に配置されたガイド板231に案内されて1対の搬送ローラ208、216の方向に進み、これら搬送ローラ208、216の間を通過する。そして再び搬送ローラ対218、219の間を通過してプラテンガラス215の上を搬送される。このとき、前記した読取素子が原稿の第2面の画像情報の読み取りを行う。この原稿は、搬送ローラ対220、221の間を通過した後、1対の排出側ローラ212、217の間を通過して前記したスタッカ上に排出されることになる。このようにして、原稿の両面の画像情報の読み取りが行われる。
【0042】
図5は、本実施の形態におけるプラテンガラスの手前に配置された一対の搬送ローラの周辺を表わしたものである。図示しない駆動源によって回転力を与えられる駆動側の搬送ローラ218は、装置本体の定位置に回動自在に配置されている。搬送ローラ218に転接する従動側の搬送ローラ219は、従動ローラホルダ242によって回動自在に保持されている。
【0043】
搬送ローラ218は原稿の搬送路の全幅を覆う長いローラが使用されてもよいが、本実施の形態では搬送路における原稿の送り方向と直交する方向に間隔を置いて比較的短い幅の搬送ローラ218が複数配置されるようになっている。この場合、従動側の搬送ローラ219も駆動側の搬送ローラ218とそれぞれ対となるように複数配置されることになる。図5では1対の搬送ローラ218、219についてのみ説明を行う。
【0044】
従動ローラホルダ242は左右対称の金属板部分242A、242B(ただし、金属板部分242Bは図示せず。)を有する1枚の金属板を、これら金属板部分242A、242B同士が所定間隔を置いて対向するように折り曲げた部品である。この従動ローラホルダ242の金属板部分242A、242Bの図で下端近傍には、これらが対向する位置に長穴243が1つずつ穿たれている。搬送ローラ219の回転軸241は、これら1対の長穴243に掛け渡すようにして、回動自在に配置されている。また、回転軸241は長穴243の範囲内でその長手方向に往復動自在となっている。
【0045】
金属板部分242A、242Bのそれぞれ上端部には、回転軸245がこれらを貫通するように取り付けられており、支持金具246の長穴247に回動自在に保持されている。ここで支持金具246は、左右対称の金属板部分246A、246B(ただし、金属板部分246Bは図示せず。)を有する1枚の金属板を、これら金属板部分246A、246B同士が所定間隔を置いて対向するように折り曲げた部品である。この支持金具246の金属板部分246A、246Bの所定の互いに対向する位置に長穴247が1つずつ穿たれている。従動ローラホルダ242の回転軸245は、これら1対の長穴247に掛け渡すようにして、長穴247の範囲内でその長手方向に往復動自在となっている。
【0046】
従動ローラホルダ242における金属板部分242A、242Bを連結する連結部242Cと支持金具246の対向する位置の間には圧縮バネ248が取り付けられている。搬送ローラ219は、この圧縮バネ248によって、回転軸245を支点として所定の圧力で駆動側の搬送ローラ218の方向に回転する力を常に受けている。
【0047】
図6は、プラテンガラスの直前に配置された搬送ローラ対から原稿が送り出されている状態を原理的に示したものである。この図6と次の図7では、説明を分かりやすくするために原稿の厚さを誇張して通常よりも厚く示している。
【0048】
図6に示した状態では、原稿261が搬送ローラ対218、219のニップ領域の全域に挟まった状態で矢印262方向に定速で搬送されている。図4に示したようにこの状態で原稿261はプラテンガラス215の上を摺動するように移動しており、画像の読取位置230で1ラインごとに画像の読み取りが行われている。
【0049】
原稿261のこのような搬送状態で、駆動側の搬送ローラ218は反時計方向に定速で回転し、ニップ領域でこれと接触する原稿261を矢印262方向に送り出す。従動側の搬送ローラ219はニップ領域で圧縮バネ248によって原稿261に圧接している。したがって、搬送ローラ219は、原稿261の矢印262方向の移動に伴って時計方向に回転する。また、搬送ローラ219は原稿261の搬送に伴う斜め下側に向かう力を受けることによって、図6に示したようにその回転軸241が長穴243の内部でその下限位置まで下降している。搬送ローラ219は、このような配置状態で原稿261の搬送を継続させ、1対のガイド板263、264の間を通過して図4に示す画像の読取位置230で1ラインごとに画像の読み取りが行われる。
【0050】
図7は、図6に示した時点からわずか後に原稿の後端が搬送ローラ対のニップ領域を外れた直後の状態を表わしたものである。金属板部分242Aに穿たれた長穴243はその長手方向が搬送ローラ対218、219の間を通過する原稿261の搬送方向と平行あるいはほぼ平行となっている。このため、従動側の搬送ローラ219は原稿261の後端が搬送ローラ対218、219のニップ領域から抜け出るとき、図10で説明したと同様に駆動側の搬送ローラ218が駆動側の搬送ローラ218と接触する方向に原稿161の厚さ分の距離だけ瞬時に移動する。このとき、原稿261の後端は、搬送ローラ219の移動と共に一対の搬送ローラ218、219のニップ領域から矢印262方向に弾き出される力を受ける。
【0051】
図10に示した従来の原稿搬送装置100の場合、従動側の搬送ローラ119の中心145は、駆動側の搬送ローラ118の中心144とを結ぶ直線上でしか移動する自由度を持っていない。したがって、原稿142の後端は搬送ローラ119の搬送ローラ218方向への移動時にこの移動方向と直交する方向に生じる力を全部受け取って、通常の搬送速度よりも速い速度で矢印137方向に押し出される。
【0052】
一方、本実施の形態の場合には従動側の搬送ローラ119の回転軸241は長穴243の長手方向に往復動自在に嵌合している。このため、従動側の搬送ローラ219は駆動側の搬送ローラ218の方向に移動する過程で原稿261の後端を矢印262方向に押すと共に、作用反作用の関係でこの逆の矢印271方向(上流側)に回転軸241を移動させる。
【0053】
この結果、従動側の搬送ローラ219による原稿261の後端を矢印262方向に押し出す力は大幅に減少する。しかも、原稿261はその後端が1対のガイド板263、264の隙間で一時的にカールを生じさせることで矢印262方向の急激な搬送速度の変動を吸収する。この結果、図4に示したプラテンガラス215と摺接状態にある原稿261の画像の読取位置230における画像のぶれを許容範囲内に納めることができる。
【0054】
したがって、本実施の形態によれば、原稿261の後端が搬送路上でのニップ領域を抜けるときの画像の読取位置230(図4)における副走査方向の移動速度の変動を最小限に抑えることができ、高精度の画像の読み取りが可能になる。また、厚い原稿261が使用された場合でも、原稿の特定位置に生じる画質の劣化を最小限なものとすることができる。
【0055】
しかも、本実施の形態によれば受動側のローラの軸受け部の形状を長穴とするだけなので、機構が簡単であり、安価に実現できて信頼性も高いという利点がある。したがって、複雑な機構を設けて搬送路上の原稿261の搬送速度を一定にする機構を設ける場合と比較すると、原稿読取装置200等の用紙搬送装置を安価に製造することができることになる。
【0056】
更に本発明の関連技術で説明したようなペーパパンという大きな塊を移動させることが不要であり、小型の装置であっても実現が可能である。また、本実施の形態によれば、バネ荷重を受ける従動ローラ保持部材が移動しないため、安定した荷重(押圧)となる。ペーパパンを用いる関連技術ではこのペーパパン自体が動くので、搬送ローラとフィードローラ間の押圧が不明確となり、安定しないという問題がある。
【0057】
なお、原稿261はその搬送時に従動側の搬送ローラ219を図6で時計方向に回転させるようになっている。したがって、長穴243の下限位置まで搬送ローラ219の回転軸241が移動する。この一方で原稿261の後端が搬送ローラ219から離れるとき、原稿261の厚さに相当する分だけ搬送ローラ219が搬送ローラ218の方向に移動して、このときの反力で搬送ローラ219の回転軸241が長穴243の内部を矢印271方向に所定距離だけ移動する。したがって、長穴243の長さは、取り扱う原稿261の厚さおよび搬送速度ならびに圧縮バネ248の強さによって設定する。また、長穴243における回転軸241の移動の下限位置は、その位置で一対の搬送ローラ218、219が原稿261の搬送に十分機能する場所に設定する。
【0058】
以上説明した実施の形態では、プラテンガラス215に搬送路上で一番近い一対の搬送ローラ218、219における従動ローラの軸受けを原稿261の搬送方向に沿って移動自在としたが、これに限るものではない。原稿261の先端がプラテンガラス215における画像の読取位置230に到達した時点で、その後端までを搬送中の搬送路に存在する他の従動側の搬送ローラの全部または一部(複数)についても、同様にこれらの軸受けを搬送方向に往復動自在としてもよい。
【0059】
また、実施の形態では従動ローラの軸受け部の形状を長穴としたが、従動ローラホルダを装置本体のフレーム等の不動部材上に取り付けるネジの遊嵌する穴を長穴としても同様の効果が得られる。この場合には、長穴の方向が原稿の搬送方向と一致あるいはほぼ一致することが好ましいことも同様である。この変形例の場合には、従動ローラと従動ローラホルダが一体となって、原稿搬送ローラから原稿が離れる際の原稿の厚さ分だけの隙間の移動に基づく搬送速度の変動を防止することができる。
【0060】
以上説明した実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0061】
(付記1)
所定の駆動源によって駆動され定速で回転する駆動ローラと、
この駆動ローラと対向して配置され、駆動ローラのローラ表面と転接する部材の動きに追随して回転する従動ローラと、
この従動ローラのローラ表面を前記駆動ローラのローラ表面に向けて所定の圧力で押圧する押圧手段と、
この押圧手段によって前記駆動ローラのローラ表面と接触する前記従動ローラのローラ表面あるいは用紙搬送時の前記用紙との接触箇所における従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向にこの従動ローラを予め定めた範囲内で往復動自在に保持する従動ローラ保持手段
とを具備することを特徴とする用紙搬送装置。
【0062】
(付記2)
前記従動ローラ保持手段は、前記従動ローラの回転軸を保持する従動ローラ軸受け部を構成する穴を前記従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向に長くなった長穴としたことを特徴とする付記1記載の用紙搬送装置。
【0063】
(付記3)
前記従動ローラ保持手段は、これを所定の不動部材上に取り付けるネジの遊嵌する穴が前記従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向に長くなった長穴であることを特徴とする付記1記載の用紙搬送装置。
【0064】
(付記4)
前記従動ローラ保持手段は、前記従動ローラの回転軸と前記駆動ローラの回転軸とを結ぶ線分と直交する方向に往復動自在に保持する長穴を一端側に備え、他端側の所定位置を回転中心とした回動自在の部材で構成され、前記長穴と前記所定位置の間の任意の位置に一端を取り付けられたバネ材によって前記従動ローラが前記駆動ローラの配置されている方向に移動する力を与えられていることを特徴とする付記1記載の用紙搬送装置。
【0065】
(付記5)
搬送される原稿のその搬送方向と直交する方向にライン単位で画像の読み取りを行う画像読取手段と、
この画像読取手段の手前に配置され、所定の駆動源によって駆動され前記原稿を前記画像読取手段の配置されている箇所に送りだすために定速で回転する駆動ローラと、
この駆動ローラと対向して配置され、駆動ローラのローラ表面と転接する部材の動きに追随して回転する従動ローラと、
この従動ローラのローラ表面を前記駆動ローラのローラ表面に向けて所定の圧力で押圧する押圧手段と、
この押圧手段によって前記駆動ローラのローラ表面と接触する前記従動ローラのローラ表面あるいは原稿搬送時の前記原稿との接触箇所における従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向にこの従動ローラを予め定めた範囲内で往復動自在に保持する従動ローラ保持手段
とを具備することを特徴とする原稿読取装置。
【0066】
(付記6)
前記従動ローラ保持手段は、前記従動ローラの回転軸を保持する従動ローラ軸受け部を構成する穴を前記従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向に長くなった長穴としたことを特徴とする付記5記載の原稿読取装置。
【0067】
(付記7)
前記従動ローラ保持手段は、これを所定の不動部材上に取り付けるネジの遊嵌する穴が前記従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向に長くなった長穴であることを特徴とする付記5記載の原稿読取装置。
【0068】
(付記8)
前記従動ローラ保持手段によって保持された従動ローラは、前記画像読取手段の画像の読取位置に原稿の先端が存在するときのその原稿の後端が存在する位置までの搬送路上に複数存在することを特徴とする付記5記載の原稿読取装置。
【0069】
(付記9)
前記従動ローラ保持手段は、前記従動ローラの回転軸を前記駆動ローラの回転軸に向かう方向と直交する方向に往復動自在に保持する長穴を一端側に備え、他端側の所定位置を回転中心とした回動自在の部材で構成され、前記長穴と前記所定位置の間の任意の位置に一端を取り付けられたバネ材によって前記従動ローラが前記駆動ローラの配置されている方向に移動する力を与えられていることを特徴とする付記5記載の原稿読取装置。
【0070】
(付記10)
駆動ローラに対して従動ローラを所定の圧力で押し付け、これらのローラの間に用紙を挟んだ状態で、駆動ローラを定速で搬送することによって前記用紙を所定方向に搬送する用紙搬送ステップと、
前記用紙の後端が前記駆動ローラと従動ローラの間から離脱する時点で前記従動ローラが駆動ローラの方向に移動する力で前記用紙の後端を前記所定方向に蹴り出す力の反力を用いて、前記用紙の搬送方向と逆方向に移動自在となった前記従動ローラを前記用紙の搬送方向と逆方向に移動させる従動ローラ移動ステップ
とを具備することを特徴とする用紙搬送方法。
【産業上の利用可能性】
【0071】
なお、以上説明した実施の形態では原稿の読取時の搬送の安定性について説明したが、記録時の用紙の搬送の安定性についても本発明を適用することができる。すなわち本発明は、ファクシミリ装置、複写機、これらの複合機における原稿搬送装置に限らず、一般の各種記録装置に対しても適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 用紙搬送装置
11、22 駆動ローラ
12、23 従動ローラ
13、24 押圧手段
14、25 従動ローラ保持手段
20、200 原稿読取装置
21 画像読取手段
30 用紙搬送方法
31 用紙搬送ステップ
32 従動ローラ移動ステップ
208、218 (駆動側の)搬送ローラ
215 プラテンガラス
216、219 (従動側の)搬送ローラ
230 画像の読取位置
241、245 回転軸
242 従動ローラホルダ
243 長穴
246 支持金具
261 原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の駆動源によって駆動され定速で回転する駆動ローラと、
この駆動ローラと対向して配置され、駆動ローラのローラ表面と転接する部材の動きに追随して回転する従動ローラと、
この従動ローラのローラ表面を前記駆動ローラのローラ表面に向けて所定の圧力で押圧する押圧手段と、
この押圧手段によって前記駆動ローラのローラ表面と接触する前記従動ローラのローラ表面あるいは用紙搬送時の前記用紙との接触箇所における従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向にこの従動ローラを予め定めた範囲内で往復動自在に保持する従動ローラ保持手段
とを具備することを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記従動ローラ保持手段は、前記従動ローラの回転軸を保持する従動ローラ軸受け部を構成する穴を前記従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向に長くなった長穴としたことを特徴とする請求項1記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記従動ローラ保持手段は、これを所定の不動部材上に取り付けるネジの遊嵌する穴が前記従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向に長くなった長穴であることを特徴とする請求項1記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記従動ローラ保持手段は、前記従動ローラの回転軸と前記駆動ローラの回転軸とを結ぶ線分と直交する方向に往復動自在に保持する長穴を一端側に備え、他端側の所定位置を回転中心とした回動自在の部材で構成され、前記長穴と前記所定位置の間の任意の位置に一端を取り付けられたバネ材によって前記従動ローラが前記駆動ローラの配置されている方向に移動する力を与えられていることを特徴とする請求項1記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
搬送される原稿のその搬送方向と直交する方向にライン単位で画像の読み取りを行う画像読取手段と、
この画像読取手段の手前に配置され、所定の駆動源によって駆動され前記原稿を前記画像読取手段の配置されている箇所に送りだすために定速で回転する駆動ローラと、
この駆動ローラと対向して配置され、駆動ローラのローラ表面と転接する部材の動きに追随して回転する従動ローラと、
この従動ローラのローラ表面を前記駆動ローラのローラ表面に向けて所定の圧力で押圧する押圧手段と、
この押圧手段によって前記駆動ローラのローラ表面と接触する前記従動ローラのローラ表面あるいは原稿搬送時の前記原稿との接触箇所における従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向にこの従動ローラを予め定めた範囲内で往復動自在に保持する従動ローラ保持手段
とを具備することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項6】
前記従動ローラ保持手段は、前記従動ローラの回転軸を保持する従動ローラ軸受け部を構成する穴を前記従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向に長くなった長穴としたことを特徴とする請求項5記載の原稿読取装置。
【請求項7】
前記従動ローラ保持手段は、これを所定の不動部材上に取り付けるネジの遊嵌する穴が前記従動ローラのローラ表面を構成する円の接線方向に長くなった長穴であることを特徴とする請求項5記載の原稿読取装置。
【請求項8】
前記従動ローラ保持手段によって保持された従動ローラは、前記画像読取手段の画像の読取位置に原稿の先端が存在するときのその原稿の後端が存在する位置までの搬送路上に複数存在することを特徴とする請求項5記載の原稿読取装置。
【請求項9】
前記従動ローラ保持手段は、前記従動ローラの回転軸を前記駆動ローラの回転軸に向かう方向と直交する方向に往復動自在に保持する長穴を一端側に備え、他端側の所定位置を回転中心とした回動自在の部材で構成され、前記長穴と前記所定位置の間の任意の位置に一端を取り付けられたバネ材によって前記従動ローラが前記駆動ローラの配置されている方向に移動する力を与えられていることを特徴とする請求項5記載の原稿読取装置。
【請求項10】
駆動ローラに対して従動ローラを所定の圧力で押し付け、これらのローラの間に用紙を挟んだ状態で、駆動ローラを定速で搬送することによって前記用紙を所定方向に搬送する用紙搬送ステップと、
前記用紙の後端が前記駆動ローラと従動ローラの間から離脱する時点で前記従動ローラが駆動ローラの方向に移動する力で前記用紙の後端を前記所定方向に蹴り出す力の反力を用いて、前記用紙の搬送方向と逆方向に移動自在となった前記従動ローラを前記用紙の搬送方向と逆方向に移動させる従動ローラ移動ステップ
とを具備することを特徴とする用紙搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−178478(P2011−178478A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41687(P2010−41687)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】