説明

用紙搬送装置および画像形成装置

【課題】定着装置の熱により蒸発した、用紙に含まれていた水分の水蒸気が定着装置後のガイド板や搬送ローラに結露して水滴が付着し、従って、搬送される用紙がその水滴を拾うことにより異常画像が発生しまたは用紙の波打ちやジャム等の不具合が発生するのを防止する。
【解決手段】用紙を搬送する用紙搬送路を形成する搬送ガイド板と、水分を含んだ空気に接し結露させる結露手段とを有する用紙搬送装置であって、搬送ガイド板に開口部が設けられ、結露手段は、開口部を介して用紙搬送路における水分を含んだ空気に接し、結露手段の熱容量が、搬送ガイド板の熱容量よりも大きく、結露手段は、搬送される用紙と接触しないように搬送ガイド板の搬送面から離間した位置に設けられた用紙搬送装置によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置用の用紙搬送装置および当該用紙搬送装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機やプリンタ等の画像形成装置では省エネルギー化が促進され、一定時間印刷ジョブがない状態が続くと省エネルギーモード/スリープモードに移行するような機能が一般的に付加されているため、ここからの機械の立ち上がり時間の短縮が必須となっている。特に需要が増加してきているカラー機では定着装置で必要となる熱量が増加する傾向にあるため、急速に加熱するための機構が設けられている。この場合、定着装置は高温になっているが、他の部分は外気温程度に冷えている。
【0003】
このように機内温度が十分温まっていない状況下で印刷を実施すると、定着装置を用紙が通過する際に用紙に含まれる水分が蒸発し、定着装置下流側に多量の水蒸気が発生する。発生した水蒸気は、飽和水蒸気量を超えてしまうと搬送路上のガイド板等に結露となって付着し、搬送される用紙がその結露した水滴を拾ってしまうために異常画像が発生し、または用紙の波打ちやジャム等の不具合が生じる。
【0004】
近年加速する省スペース化のため、用紙を機械の側面に略鉛直方向に送って画像形成する構成の複写機やプリンタ等が増えている。このため、定着装置で発生した水蒸気は用紙と共に上昇して容易に下流の搬送路に流れ、ガイド板が結露し易くなっている。また環境対応のために両面装置を標準装備しているものも増え、排紙トレイの多様化も含めて定着後の搬送路は多岐に亘り、それぞれの搬送路が省スペース化のために急激にカーブして構成されているのが実情である。従って、このような搬送路のガイド板が結露すると、用紙通過の際に用紙が結露水分を拾い、異常画像が発生する恐れがある。
これを解消するには定着装置とその近傍を十分に暖めるのがよいが、立ち上がり時間を延ばして定着装置の熱を十分行き渡らせて暖める必要があるため、迅速性の観点からユーザの要求に応えられないことになる。
【0005】
従来、定着後のガイド板にスリットを設けて水蒸気を機外に逃がすように構成される場合もあるが、画像形成スピードが速い場合には発生する水蒸気量に対してそれらの構成では間に合わず結露してしまう。また流量を増やそうとすると、ファンを追加したり、高速で回転させたりする必要があるため、コストアップになるばかりか定着部の温度が下がる、騒音が発生するなどのデメリットが生じる。
【0006】
特許文献1は、定着装置に冷却装置を設け、定着装置で発生する水蒸気をその冷却部の表面全体に結露させて水分を除去する技術を開示しているが、定着装置で加熱された用紙はその水分を蒸発・発散させながら搬送されるため、水蒸気は定着後の搬送路にまで及ぶことになり、定着後の搬送路における用紙への結露の付着を防止するものではない。
特許文献2は、定着装置内の紙ガイドに発熱抵抗体を用いたヒーターHを設け、これを発熱させてガイド板を加熱することで、定着装置における結露の発生を防止しているが、定着後の搬送路における用紙への結露の付着防止については詳述されていない。
【0007】
また、特許文献3では、用紙への画像定着後に冷却した搬送ローラを用紙に接触させるとともに、冷却した搬送ローラに結露した水分を除去する装置が開示されているが、除去しきれない水分や除去後に結露した水分が用紙に再付着することを防止するために負荷トルクが上がり、または搬送路近くに大掛かりな除去装置が必要となり、省スペース化が妨げられることになる。さらに近年の低融点トナーでは冷却した搬送ローラにトナーが付着して、画像剥がれなどの不具合を生じる場合があり、搬送ローラに付着したトナーのために水分除去も不完全になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、定着装置の熱により蒸発した、用紙に含まれていた水分の水蒸気が定着装置後のガイド板や搬送ローラに結露して水滴が付着し、従って、搬送される用紙がその水滴を拾うことにより異常画像が発生しまたは用紙の波打ちやジャム等の不具合が発生するのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、飽和水蒸気量の高くなる部位の近傍に、用紙の接触する部材に先んじて水分を結露させる部材を設置することで達成される。本発明によれば、用紙を搬送する用紙搬送路を形成する搬送ガイド板と、水分を含んだ空気に接し結露させる結露手段とを有する用紙搬送装置であって、搬送ガイド板に開口部が設けられ、結露手段は、開口部を介して用紙搬送路における水分を含んだ空気に接し、結露手段の熱容量が、搬送ガイド板の熱容量よりも大きく、結露手段は、搬送される用紙と接触しないように搬送ガイド板の搬送面から離間した位置に設けられることを特徴とする用紙搬送装置によって達成される。
【0010】
また、用紙搬送装置は、結露部材を、搬送路から流入した空気を再び搬送路に還流させる環流路に配置すると好ましい。
さらに、用紙搬送装置は、結露部材が、結露した水分を所定の箇所に移動させる水分移動手段を有すると好ましい。
【0011】
また、用紙搬送装置は、結露部材に結露した水分を除去する水分除去手段が設けられると好ましい。
さらに、用紙搬送装置は、結露部材を冷却する冷却手段が設けられると好ましい。
【0012】
また、用紙搬送装置は、画像形成装置における定着装置の搬送下流側直後の部分に設けられると好ましい。
さらに、用紙搬送装置は、画像形成装置における排紙部の排紙ローラ対の近傍に設けられると好ましい。
【0013】
また、用紙搬送装置は、画像形成装置における用紙を反転させるスイッチバック搬送路に設けられると好ましい。
本発明に従う画像形成装置は、前記の用紙搬送装置を備えることで、搬送される用紙に水滴が付着することによる異常画像の発生および用紙の波打ちやジャム等の不具合の発生が防止される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、飽和水蒸気量の高くなる部位の近傍に、用紙の接触する部材に先んじて水分を結露させる部材を設置して周囲の湿度を下げることで、定着装置の熱により蒸発した用紙に含まれていた水分の水蒸気が定着装置後のガイド板や搬送ローラに結露して水滴が付着することなく、従って、搬送される用紙がその水滴を拾うことによる異常画像の発生および用紙の波打ちやジャム等の不具合の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの概略断面図である。
【図2】図1に示すフルカラープリンタにおける用紙搬送路を示す図である。
【図3】図1に示すフルカラープリンタにおける両面ユニットを開放した様子を示す図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の別な例であるフルカラープリンタの概略断面図である。
【図5】図4に示すフルカラープリンタにおける両面ユニットを開放した様子を示す図である。
【図6】本発明に係る用紙搬送装置の第1実施例の概略断面図である。
【図7】図6に示す用紙搬送装置を搬送路側から見た概略正面図である。
【図8】本発明に係る用紙搬送装置の第2実施例の概略断面図である。
【図9】図8に示す用紙搬送装置を搬送路側から見た概略正面図である。
【図10】本発明に係るローラ部材としての結露部材の変形例を示す図である。
【図11】本発明に係る画像形成装置における定着装置と分岐排紙部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の第1実施例であるフルカラープリンタの概略を示す断面構成図である。フルカラープリンタ100では、装置本体50の略中央部に、複数のローラに巻き掛けられた中間転写ベルト11が配設されており、その中間転写ベルト11の下側走行辺に沿って4個の作像ユニット10が配設されている。
【0017】
各作像ユニット10は像担持体としての感光体ドラム1を具備している。この感光体ドラム1の周りには、帯電手段、現像装置、クリーニング手段等が配置され、さらに各感光体ドラム1に対向する位置には中間転写ベルト11の内側に一次転写手段としての転写ローラ12が設けられている。本実施例の場合、4個の作像ユニット10は同一構造に構成されているが、各作像ユニットの現像装置で扱う現像剤の色がマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の4色に異なっている。そして、図示のように4個の作像ユニット10は、左からマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの色順に配置されている。各作像ユニット10はプロセスカートリッジとして装置本体50に着脱可能に設けられている。
【0018】
そして、作像ユニット10の下方には光書き込み装置14が設けられている。光書き込み装置14はポリゴンミラーやミラー群(図示せず)等を有しており、光変調されたレーザ光を各色作像ユニット10の感光体ドラム1の表面に照射する。光書き込み装置は、各作像ユニット10に個別に設けてもよいが、共通の光書き込み装置を用いればコストの点で有利である。なお、本実施例では、中間転写ベルト11および光書き込み装置14もユニット化されており、それぞれ装置本体50に着脱可能に構成されている。
【0019】
装置の下部には2段の給紙カセット15a,bがセットされており、各給紙カセットに対応する給紙手段16a,bが設けられている。給紙手段16a,bはそれぞれ、呼び出しローラ、供給ローラおよび分離ローラから構成されている。その給紙手段16a,bによって給送される転写紙等の記録媒体(以下、用紙という)を搬送するために、搬送ローラ対17,17が設けられている。上側の搬送ローラ対17の上方(用紙搬送方向の下流側)にはレジストローラ対18が設けられている。そのレジストローラ対18の上方には、二次転写手段としての転写ローラ19が、中間転写ベルト11が掛け渡されるローラの一つである転写対向ローラ13に対向して設けられている。
【0020】
二次転写手段部の上側には定着装置20が設けられており、その定着装置20の上方には、用紙搬送方向を切り替えるための第1、第2、第3切替爪21,22,23が配置されている。各切替爪21,22,23は、図2に実線と破線で示す位置に、図示しないソレノイド等のアクチュエータにより切り替えられる。符号24,25,26,27は、用紙搬送路中に適宜配置された搬送ローラ対を示す。また、符号35,36,37,38,39,40,41は、用紙搬送路中に適宜配置された用紙センサを示す。なお、用紙搬送路は、ガイド板等の部材(符号付さず)により適宜ガイドされている。
【0021】
装置本体50の上面は排紙トレイ30として構成されており、その排紙トレイ30に用紙を排出するための排紙ローラ対29が、定着装置20の左上方に位置して設けられている。
両面ユニット60内には、スイッチバック搬送路61および再給紙路62が形成されている。スイッチバック搬送路61の入口部(装置上側)には第1反転ローラ対31が設けられ、スイッチバック搬送路61の中途には第2反転ローラ対32が設けられている。第1および第2反転ローラ対31,32は、正逆回転可能に構成されている。そして、再給紙路62を略三等分する位置に、搬送ローラ対26,27が配置されている。上記第3切替爪23は、第1反転ローラ対31のすぐ隣、かつスイッチバック搬送路61から再給紙路62への進入部に位置して配置されている。
【0022】
両面ユニット60の側面には手差しトレイ33が引き出しおよび収納可能に設けられている。図1は、手差しトレイ33を引き出した状態を示している。この手差しトレイ33から用紙を給紙するために、呼び出しローラ、供給ローラおよび分離ローラからなる給紙手段34が設けられている。その給紙手段34の側方、装置内側に位置して再給紙ローラ28が配設されている。再給紙ローラ28の上下両側には従動ローラがそれぞれ圧接している。この再給紙ローラ28は正逆回転可能に構成されており、再給紙路62から用紙を再給紙する場合は図中反時計回りに回転駆動され、手差しトレイ33から用紙を給紙する場合は図中時計回りに回転駆動される。
【0023】
次に、上記のように構成された本実施例のフルカラープリンタ100における画像形成動作について簡単に説明する。
上記作像ユニット10の感光体ドラム1が図示しない駆動手段によって図中時計方向に回転駆動され、その感光体ドラム1の表面が帯電手段によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体表面には、光書き込み装置14からのレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム1表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム1に露光される画像情報は所望のフルカラー画像をマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像に現像装置から各色トナーが付与され、トナー像として可視化される。
【0024】
また、中間転写ベルト11が矢印で示すように図中反時計回りに走行駆動され、各作像ユニット10において一次転写ローラ12の作用により感光体ドラム1から中間転写ベルト12に各色トナー像が順次重ね転写される。このようにして中間転写ベルト11はその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
なお、作像ユニット10のいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色または3色の画像を形成したりすることもできる。モノクロプリントの場合は、4個の作像ユニットのうち、図の一番右側のブラック作像ユニット10Bkを用いて画像形成を行う。
そして、トナー像を転写した後の感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング装置によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が除電器の作用を受けて表面電位が初期化されて次の画像形成に備える。
【0025】
一方、給紙カセット15a,bまたは手差しトレイ33から用紙が選択的に給送され、レジストローラ対18によって、中間転写ベルト11上に担持されたトナー像とのタイミングを取って二次転写位置に向けて送出される。本実施例では転写ローラ19には中間転写ベルト表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト表面のトナー像が用紙上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置20を通過するとき、熱と圧力によってトナー像が用紙に熔融定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙ローラ対29により装置本体50の上面に構成された排紙部30に排出される。片面プリント時の用紙搬送路(ただし、給紙カセット15a,bから給紙した場合)を、図2に実線[1]で示す。
【0026】
なお、上記第2切替爪22の上方の装置上面にオプションの排紙トレイ(例えばソート機能を有する4ビントレイ)を装着可能であり、その図示しないオプショントレイに定着後の用紙を排出することも可能である。オプショントレイに用紙を排出する場合の用紙搬送路(ただし、定着装置通過後)を、図2に破線[2]で示す。
【0027】
用紙両面にプリントを行う場合は、用紙片面にトナー像を定着した用紙を、第1〜第3切替爪21〜23を適切に切り替えることにより、スイッチバック搬送路61内に進入させる。この場合の第1および第2切替爪21,22は、図2の破線の位置に切り替えられる。また、第3切替爪23は、図2の実線の位置に切り替えられる。また、第1および第2反転ローラ対31,32は時計回りに回転される。用紙をスイッチバック搬送路61内に進入させるときの搬送路(ただし、搬送ローラ対25以降)を、図2に2点鎖線[3]で示す。
【0028】
スイッチバック搬送路61内に進入した用紙後端をセンサ40で検知したら、第1および第2反転ローラ対31,32を反時計回りに回転させ、用紙を反転させる。このとき、第3切替爪23を図2の破線の位置に切り替えることで、反転させた用紙を再給紙路62へと送り込む。
【0029】
再給紙路62は、その下端部で手差しトレイ33からの用紙搬送路と合流し、さらに、再給紙ローラ28の奥側で給紙カセット15a,bからの用紙搬送路と合流している。再給紙路62内を用紙は搬送ローラ対26,27により搬送され、さらに再給紙ローラ28によりレジストローラ18へと送られる。再給紙路62を通る用紙搬送路(ただし、第3切替爪23から実線[1]と合流する部分まで)を、図2に1点鎖線[4]で示す。また、手差しトレイ33から用紙を給紙する場合の用紙搬送路(ただし、再給紙ローラ28を抜けた位置まで)を、図2に点線[5]で示す。
【0030】
スイッチバック搬送路61で反転させた用紙を再給紙路62を通過させることで用紙の表裏が逆にされ、その用紙裏面に中間転写ベルト11からトナー像が転写され、その裏面画像を定着装置20で定着することにより、表裏両面に画像を担持する用紙を、排紙トレイ30または図示しないオプショントレイに排出することで、両面プリントが完成する。
【0031】
さて、本実施例のプリンタ100において、両面ユニット60はその下部に設けられた回動軸63を支点として揺動可能に設けられ、装置本体50に対して両面ユニット60を開閉可能に設けている。両面ユニット60を開放した様子を図3に示す。なお、両面ユニット60は図示しないリンク機構により装置本体50に支持され、開放時に所定の位置で止まるようになっている。また、両面ユニット60の開閉力を軽減させるために、両面ユニット60を支持するリンク機構にダンパ手段を設けると好適である。ダンパ手段としては、スプリングを使ったものや、オイルダンパ等を用いることができる。
【0032】
両面ユニット60に含まれ、装置本体50に対して開閉されるものとしては、スイッチバック搬送路61を形成するガイド板、再給紙路62を形成する一部のガイド板66、副回動ユニット64の他に、第3切替爪23、第1および第2反転ローラ対31,32、手差しトレイ33、その給紙手段34、再給紙ローラ28等がある。また、2つの搬送ローラ対17,17の各従動側ローラ17b,17bも両面ユニット60に含まれる部材である。
【0033】
副回動ユニット64は、二次転写ローラ19、搬送ローラ対27の従動側ローラ27b、再給紙ローラ28の従動側ローラ28bおよび用紙センサ41を支持して、回動軸65を支点として揺動可能に構成されている。副回動ユニットの回動軸65は、両面ユニットの構造部材(側板)や、搬送ガイド板に支持されている。
また副回動ユニットには、図示しないストッパ部材が設けられており、図3に示す角度以上に副回動ユニット64が開放される(図3において図示状態よりも反時計回りに回動する)ことはない。
【0034】
再給紙路62は、その一方側(装置外側)をガイド板66により規定され、反対側(装置内部側)を上から順にガイド部材42の一面、定着装置20の一面、副回動ユニット64の一面により規定され、両面ユニット60を閉じたときに上記の部材により再給紙路62が形成される。
【0035】
本実施例のフルカラープリンタ100においては、プリント動作中に用紙ジャムが発生した場合は、両面ユニット60を図3に示すように開放してジャム処理を行なう。その際、上述したように、両面ユニット60を開放するだけの1アクションの動作により通常用紙搬送路43と再給紙路62の2つの用紙搬送路が同時に開放されるため、ジャムした用紙を容易に視認することができ、また、搬送ローラ対17,17,26,27、転写ローラ19と中間転写ベルト11、再給紙ローラ28と上側の従動ローラ28bにおける圧接が解除されるため、ジャム処理が非常に容易となっている。
【0036】
しかも、片面プリント時のジャム処理においても、両面プリント時のジャム処理においても、両面ユニット60を開放するという同じ動作を行なってジャム紙を取り除くという処理になるため、記録形態にかかわらずジャム処理時に開放するユニットが一元化されることになる。従って、ジャム処理に際してユーザが戸惑うことが無く、優れたジャム処理性を有するものである。また、両面ユニットにスイッチバック搬送路と再給紙路とを設けているので、スイッチバック搬送路から再給紙路に用紙が跨るジャムが発生した場合でも、両面ユニット60の開放によりジャム紙が引っ張られて切れてしまうことがない。
【0037】
次に、用紙搬送路に沿って複数の作像ユニット10を並設し、搬送される用紙上に各作像ユニット10から直接トナー像を転写する方式の本発明に係る画像形成装置の第2実施例について図4および図5を参照して説明する。なお、前記第1実施例と同一または同等の部分には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0038】
図4は、第2実施例のフルカラープリンタ200の構成を模式的に示す図である。本実施例では、装置本体50の略中央部に4つの作像ユニット10が、下からマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の順に並べて配設されている。4つの作像ユニット10の左側には、各作像ユニットに光書き込み装置14が設けられ、この光書き込み装置14から各作像ユニット10の感光体ドラム1に書き込み光が照射される。また、各作像ユニット10の感光体ドラム1に対向して搬送ベルト11’が配設されている。その搬送ベルト11’内には、各感光体ドラムに対向して転写ローラ12が配置されている。
【0039】
本実施例において、片面プリント時、給紙部15から給送された用紙は、レジストローラ対18によりタイミングを取って送出され、搬送ベルト11’と各感光体ドラム1とに挟持されて搬送されながら、各感光体ドラム1より各色トナー像が用紙上に直接重ね転写される。トナー像転写後の用紙は定着装置によりトナーが定着され、装置上面の排紙トレイに排出される。このときの用紙搬送路を図4,5に実線[1]で示す。
【0040】
両面ユニット60内には、前記第1実施例と同様にスイッチバック搬送路および再給紙路が形成されており、用紙をスイッチバック搬送路内に進入させるときの搬送路を図4,5に2点鎖線[3]で示す。また、再給紙路を通る用紙搬送路を図4,5に1点鎖線[4]で示す。なお、各用紙搬送路には搬送ローラ対やセンサ類が前記第1実施例と同様に配置されているが、ここでは図示および説明を省略する。
【0041】
図5は、第2実施例のフルカラープリンタ200において両面ユニット60を開放した様子を示す模式図である。図示のように、両面ユニット60には副回動ユニット64’が回動可能に支持されており、両面ユニット60の開放時には、前記第1実施例の副回動ユニット64と同様に常に再給紙路を開放する方向に付勢された副回動ユニット64’が矢印のように図中反時計回りに回動し、通常用紙搬送路および再給紙路を同時に開放することは前記第1実施例と同様である。なお、本実施例では、副回動ユニット64’に搬送ベルト11’を搭載している。
【0042】
上記のように構成された、搬送される用紙上に複数の作像ユニットから直接トナー像を転写する方式の画像形成装置においても、両面ユニット60の開放により通常用紙搬送路43と再給紙路62を同時に解放することができるので、記録態様にかかわらずジャム処理時に開放すべきユニットを一元化してジャム処理を容易にすることができる。その他の作用も前記第1実施例と同様である。
【0043】
また、本実施例では、両面ユニット60の開放により、用紙搬送路中に配置されている各感光体ドラム1と搬送ベルト11’の圧接が解除されるので、ジャム処理時の用紙除去性が高められる。また、ユニット閉鎖により各感光体ドラム1と搬送ベルト11’が圧接されるので、自動的に動作可能状態に戻すことができる。
【0044】
さらに、本実施例では、搬送ベルト11’を副回動ユニット64’に支持させたので、構造が複雑で調整作業の頻度が高い搬送ベルトユニットのメンテナンスが容易になる。また、その搬送ベルト内に転写手段を配置したことにより、転写部のメンテナンスも容易になる。
【0045】
次に、本発明に係る用紙搬送装置の第1実施例を図6,7に示す。
図示のように、前述した画像形成装置における用紙を搬送する任意の搬送ローラ対A,B間で構成される搬送路において、搬送ガイド板300に開口部302を設け、そこに通常樹脂からなる搬送ガイド板300,301よりも熱容量の大きい金属からなる結露部材303を配置する。搬送ローラ対A,Bは図示しない駆動源により図中矢印方向に回転し、用紙は下側から上側に搬送される。結露部材303は、プレート状の冷却部304とそこから略鉛直方向に上下に延在する複数の延在部で形成され、搬送路に最も近い延在部の部分は、搬送ガイド板300の搬送面から凹方向に隙間αだけ離間して設置されている。結露部材303は搬送路内の空気に晒されているため、搬送路内の湿度が高い場合は搬送ガイド板300,301よりも熱容量の大きい結露部材303が、搬送ガイド板に先んじて積極的に結露し、それにより搬送路内の湿度を下げることになる。よって、搬送ガイド板300,301の結露を抑制でき、用紙に結露が付着することが防止される。
ここでは、直線搬送路における、プレート状の冷却部とそこから略鉛直方向に上下に延在する複数の延在部で形成された結露部材の例を示したが、屈曲搬送路においてこれを用いてもよい。
【0046】
隙間αは、結露部材303の表面に水滴が付着しても、用紙が水滴を拾わないよう設定される。開口部302を搬送路幅方向に複数箇所配置したスリット状開口とすれば用紙の入り込みが少なくなる。結露部材303をスリット間で突出させれば、隙間αをより小さく設定でき、結露部材303の表面積も大きくなるので、より搬送路内空気に触れ易くなる。
【0047】
結露部材303には結露した水分が自重で搬送面から離れる方向に移動する勾配を設けている。この水分移動手段として機能する勾配により、結露量が多くなった場合の水分の搬送路側への移動を防ぎ、用紙への水分付着が防止される。
【0048】
結露部材303には冷却部304を設け、冷却ファン305で冷却する。これにより結露部材303の昇温を防ぎ、結露効果を持続させることができる。冷却ファン305は画像形成装置内気流用のファンを兼用し、結露部材303の冷却部304を機内気流ファンまで延出させればコストアップを抑えることができる。またヒートパイプを利用すれば冷却効率がよい。
また、結露部材303の先細りになっている下端部の下側に、自重により落下する水滴を回収する回収容器306を設けてもよい。回収された水滴は、蒸発して再び回収容器外に発散しないようになっており、例えばメンテナンスにより定期的に廃棄される。
【0049】
図7は、図6の結露部材303を搬送路側から見た概略正面図である。複数のスリット状の開口部302が搬送ガイド板300に幅方向に設けられ、結露部材303の延在部が、搬送ガイド板300の搬送面から凹方向に隙間αだけ離間するように個々の開口部302において突出している。
【0050】
次に、本発明に係る用紙搬送装置の第2実施例を図8,9に示す。
図示のように、前述した画像形成装置における用紙を搬送する任意の搬送ローラ対C,D間で構成される搬送路において、搬送ガイド板310に開口部312を設け、そこに通常樹脂からなる搬送ガイド板310,311よりも熱容量の大きい金属からなる結露部材313を配置する。搬送ローラ対C,Dは図示しない駆動源により図中矢印方向に回転し、用紙は下側から上側に搬送される。結露部材313は、図9に示すように小径の軸部分に複数の大径突出部319が設けられたローラ部材であり、図示しない駆動源によって図中矢印方向に回転することができる。搬送路に最も近い大径突出部分319は、搬送ガイド板310の搬送面から凹方向に隙間βだけ離間して設置されている。結露部材313は搬送路内の空気に晒されているため、搬送路内の湿度が高い場合は搬送ガイド板310,311よりも熱容量の大きい結露部材313が優先的に結露して搬送路内の湿度を低下させるため、搬送ガイド板310,311の結露を抑制できる。
ここでは、屈曲搬送路におけるローラ部材としての結露部材の例を示したが、直線搬送路においてこれを用いてもよい。
【0051】
隙間βは、結露部材313の表面に水滴が付着しても、搬送される用紙が水滴を拾わないよう設定される。開口部312を搬送路幅方向に複数箇所配置したスリット状開口とすれば用紙の入り込みが少なくなる。結露部材313をスリット間で突出させれば、隙間βをより小さく設定でき、結露部材313は搬送路内空気に触れ易くなる。
【0052】
結露部材313を回転可能に支持し、搬送路に面した部分が用紙の搬送方向と同じ方向に移動するように時計方向に回転させる。これにより、結露部材313は、結露した水分を所定の箇所に移動させる水分移動手段として機能するため、結露量が多くなった場合の水分の搬送路側への移動を防ぎ、用紙への水分付着が防止される。結露部材313にはスクレーパ314が当接し、結露部材表面に結露した水分を除去するとともに、除去された水分は回収容器315に回収される。スクレーパ314を、開口部312よりも上流側、例えば結露部材313の軸心を通る鉛直方向下側に配置すれば、結露部材が搬送路に面する側は常に水分除去され、結露量が多くなった場合の水分の搬送路側への流出や装置内部への滴下を防ぐことができる。
【0053】
また、本実施例の場合、結露部材313を搬送路内へ突出させて吸湿効果を高めることも可能である。但し、定着装置直後に配置する場合は低融点トナーが付着するので、非画像面側に結露部材を配置するとよい。結露部材313の周速を搬送速度と同じにすれば、より搬送に支障がなくなることは言うまでも無い。
水分除去手段は上記スクレーパ314の他にウェブなどの吸水部材でもよい。本実施例においても図6と同様に、結露部材313の一部を延出して空冷する冷却装置を構成すると結露効果を持続させることができる。
【0054】
また、図8において結露部材313の後方には、搬送路から流入した空気を再び搬送路に還流させる環流路316を構成し、結露部材313に触れた空気を下流の搬送ガイド板318の開口部317から搬送路へ流すように環流路316を構成する。これにより、結露部材313によって水分除去された空気を搬送路の他の部分へ供給して湿度を下げ、そこでの結露も防止することができる。
ここで、暖かい空気が上昇することによって生じる自然対流、または機外排出用のファンが機内気流発生用のファンとして兼用できる場合は当該機内気流を還流路316における気流として利用することで、送風ファンを追加する必要なくコストアップを避けることができる。
【0055】
図9は、図8の結露部材313を搬送路側から見た概略正面図である。複数のスリット状の開口部312が搬送ガイド板310に幅方向に設けられ、結露部材313の大径突出部分319が、搬送ガイド板310の搬送面から凹方向に隙間βだけ離間するように個々の開口部312において突出している。スクレーパ314は、大径突出部分319の下側においてこれに当接しており、大径突出部分319表面に結露した水分を除去する。回収容器315は、スクレーパ314のさらに下に設けられ、水分を回収する。
【0056】
図10は、ローラ部材としての結露部材323の変形例を示す。結露部材323は図示しない駆動源により図中矢印方向に回転することができる。図示のように、大径突出部324の間に、小径の軸部分から外側に延在するギザギザの羽状部材325が設けられている。これにより、結露部材323が回転すると、羽状部材325は空気を回転方向下流側、すなわち還流路側に押し出すため、還流路における通気が促進される。また、結露部材323の表面積が増大するため結露も促進される。スクレーパ326は、大径突出部分324の下側においてこれに当接しており、大径突出部分324表面に結露した水分を除去する。回収容器327は、スクレーパ326のさらに下に設けられ、水分を回収する。
図10の右側図は軸部分の断面図であり、小径の軸部分に外側に延在する羽状部材を設けても、軸部分自体の形状を外側に突出する形状に構成してもよい。
【0057】
図11は、本発明に従う画像形成装置100における定着装置と分岐排紙部分の拡大図である。
定着装置20の搬送方向下流側直後の部分は最も水蒸気量の多い箇所であり、ここに結露部材330,331を配置することで効果的に湿度を低下させることができる。搬送ガイド板332には搬送幅方向の複数箇所にスリット開口333が設けられているため、これらスリット開口333から空気が取り込まれ、結露部材330,331で結露することで吸湿される。その後、結露部材330で吸湿された空気は上部の開口334を介して下流搬送路へ還流する。図8に示すように分岐爪やセンサが密集して結露部材を設置できない部分に吸湿された空気を還流すれば、有効的に湿度の上昇を抑えることができる。
【0058】
また、排紙部における排紙ローラ対29の近傍にも結露部材335,336が配置されてもよい。搬送路上側の結露部材335は上昇してくる水蒸気を捕捉して積極的に結露させることができ、下側の結露部材334は用紙に阻まれて滞留している水蒸気を効率的に捕捉して積極的に結露させることができる。これにより空気中の水蒸気量は低下し、搬送ガイド板における結露を防止でき、用紙排出まで用紙の水滴付着を防止することができる。なお、結露部材330,331,335は図示しない駆動源により図中矢印方向に回転することができ、これらにはそれぞれ水分除去手段としてのスクレーパおよび回収容器が適宜設けられてもよい。
【0059】
図示しないが、用紙を反転させる反転部であるスイッチバック搬送路61にも同様に結露部材を配置すれば、搬送された用紙から発する水蒸気を捕捉して空気中の水蒸気量を低下させ、手差し台などで開口部を作りにくいスイッチバック搬送路内の搬送ガイド板の結露を防止することができる。反転部に結露部材を設けるので、両面第二面印字への結露による悪影響を防止できる。
これらの結露部材は単独で設置してもよいし、効果的な複数部分に組み合わせ配置してもよい。
【0060】
以上、本発明を実施例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、画像形成装置として単数の像担持体を有するモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置はプリンタに限らず、複写装置やファクシミリであっても構わないし、複数の機能を有する複合機であってもよい。また、作像方式は電子写真方式に限らず、任意の作像方式の装置にも本発明を適用可能である。
また、両面ユニット側に搭載する部材等は適宜設定することができる。また、定着装置の構成等も任意である。その定着装置における、定着部材と加圧部材の加圧力を解除する構成も、任意の構成を採用することができる。
また、1または複数の用紙搬送装置を定着装置の搬送上流側に設けてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 感光体ドラム
10 作像ユニット
11 中間転写ベルト
11’ 搬送ベルト
12 転写ローラ
14 光書き込み装置
18 レジストローラ対
19 二次転写ローラ
20 定着装置
21,22,23 切替爪
24,25,26,27 搬送ローラ対
28 再給紙ローラ
60 両面ユニット
61 スイッチバック搬送路
62 再給紙路
64,64’ 副回動ユニット
100,200 フルカラープリンタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2007−293111号明細書
【特許文献2】特開2000−89594号明細書
【特許文献3】特開2007−86310号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する用紙搬送路を形成する搬送ガイド板と、水分を含んだ空気に接し結露させる結露手段とを有する用紙搬送装置であって、
前記搬送ガイド板に開口部が設けられ、前記結露手段は、当該開口部を介して前記用紙搬送路における水分を含んだ空気に接し、
前記結露手段の熱容量が、前記搬送ガイド板の熱容量よりも大きく、
前記結露手段は、搬送される用紙と接触しないように前記搬送ガイド板の搬送面から離間した位置に設けられることを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記結露部材は、搬送路から流入した空気を再び搬送路に還流させる環流路に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記結露部材は、結露した水分を所定の箇所に移動させる水分移動手段を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記結露部材に結露した水分を除去する水分除去手段が設けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記結露部材を冷却する冷却手段が設けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
画像形成装置における定着装置の搬送方向下流側直後の部分に設けられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
画像形成装置における排紙部の排紙ローラ対の近傍に設けられることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項8】
画像形成装置における用紙を反転させるスイッチバック搬送路に設けられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の用紙搬送装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の用紙搬送装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−59483(P2011−59483A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210363(P2009−210363)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】