用紙穿孔装置および画像形成システム
【課題】簡易かつ信頼性の高い機構を用い、穿孔数を簡易に切り替えて用紙を穿孔する用紙穿孔装置を提供する。
【解決手段】本発明が適用される穿孔装置100は、ラック歯車A103,ラック歯車B104が形成され軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピン101と、第1のスライダ歯車128,第2のスライダ歯車129が形成されモータ121等の駆動源からの駆動力を受けて前記パンチピン101の移動方向と交差する方向に往復動作するスライダ127と、前記スライダ127の第1のスライダ歯車128,第2のスライダ歯車129および前記パンチピン101のラック歯車A103,ラック歯車B104に噛み合って当該スライダ127の往復動作を当該パンチピン101の移動動作に変換する第1ピニオン歯車機構130,第2ピニオン歯車機構140とを備えた。
【解決手段】本発明が適用される穿孔装置100は、ラック歯車A103,ラック歯車B104が形成され軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピン101と、第1のスライダ歯車128,第2のスライダ歯車129が形成されモータ121等の駆動源からの駆動力を受けて前記パンチピン101の移動方向と交差する方向に往復動作するスライダ127と、前記スライダ127の第1のスライダ歯車128,第2のスライダ歯車129および前記パンチピン101のラック歯車A103,ラック歯車B104に噛み合って当該スライダ127の往復動作を当該パンチピン101の移動動作に変換する第1ピニオン歯車機構130,第2ピニオン歯車機構140とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙(シート)に対して孔あけ処理を施す用紙穿孔装置および該用紙穿孔装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機等の画像形成装置から排出される記録済みの用紙に、折りや穿孔、ステープル等の処理を施す用紙穿孔装置については、従来から多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1では、往復運動するパンチおよび該パンチと対応するダイス孔で協働してシート材(用紙)に孔列を形成するシート材穿孔装置において、穿孔反力の一部をテコの如く回転支点で受け止める構造を採用し、駆動源の駆動力によって前記孔列の方向に往復動作をする駆動アームと、回転支点を有し、前記駆動アームと係合して回転動作する連結体と、該連結体の回転動作をパンチの穿孔方向動作に変換するカム機構とを備えたものが提案されている。
【0003】
また、他の特許文献として、用紙にあける孔の位置と数を変更するために、複数のパンチを第1グループと第2グループとに分け、それぞれカムを駆動させて作動させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、カムを二種類用意し、これらを駆動軸に沿って同時に往復摺動させて、用紙にあける穿孔穴数を変更する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。更に、カム及びフォロワーを用いて、往復移動部材の第1可動範囲での往復移動により第1グループのパンチを昇降移動させて所定数の穿孔状態を現出し、往復移動部材の第2可動範囲での往復移動により第2グループのパンチを昇降移動させて所定数より少数の穿孔状態を現出するとき、往復移動部材の移動に応じて第1及び第2グループの各パンチを選択的に作動させて、異なる個数の穿孔工程を実施する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第3995193号公報
【特許文献2】特開2001−198889号公報
【特許文献3】特開2002−219693号公報
【特許文献4】WO2004/035274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、穿孔の数を調整したいという要望を受け、従来から2孔用、3孔用、4孔用といった専用のユニットが用紙穿孔装置に用意されていたが、商品構成が複雑で部品が増えることが問題となっていた。また、この穿孔の数を切り替える従来技術は、カムやフォロワー等の複雑な機構が用いられているため、装置のコストが大幅に上昇するだけでなく、装置の信頼性の低下が避けられないという問題もあった。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたものであって、簡易かつ信頼性の高い機構を用い、穿孔の数を簡易に切り替えて用紙を穿孔する装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明が適用される用紙穿孔装置は、第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンと、第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けてパンチピンの移動方向と交差する方向に往復動作するスライダと、扇形ピニオン歯車および/または歯欠けピニオン歯車とを有し、第1のラック歯車および第2のラック歯車に噛み合ってスライダの往復動作をパンチピンの移動動作に変換する歯車変換機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、前記スライダは、一方向を使った往復動作と他方向を使った往復動作とを行ない、前記歯車変換機構は、前記スライダが前記一方向を使った往復動作をする際に前記パンチピンを移動させ、前記スライダが前記他方向を使った往復動作をする際には当該パンチピンを移動させないことを特徴とすれば、歯車変換機構とパンチピンとの組み合わせによって、穿孔動作させるパンチピンを任意に選択することができる。
【0008】
また、前記歯車変換機構は、前記スライダの前記第2のラック歯車に噛み合う第1扇形ピニオン歯車と、前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合う第2扇形ピニオン歯車とを含み、前記第2扇形ピニオン歯車は、前記第1扇形ピニオン歯車に対して回転の自由度が一部にて許容されることを特徴とすることができる。この歯車変換機構の用い方によっては、例えば一方向を使った往復動作と他方向を使った往復動作の両方に対応させて1つのパンチピンを動作させることも実現できる。
【0009】
更に、前記パンチピンは、前記スライダが往復動作する方向に複数、配置され、当該複数のパンチピンの少なくとも何れか1つは、当該パンチピンの軸心を挟んだ一方側にラック歯車Aを有し、当該軸心を挟んだ他方側にラック歯車Bを有し、前記歯車変換機構を構成する第1の歯車変換機構を前記パンチピンの前記ラック歯車Aに対峙させ、当該第1の歯車変換機構を反転させた第2の歯車変換機構を当該パンチピンの前記ラック歯車Bに対峙させることを特徴とすれば、一方向を使った往復動作と他方向を使った往復動作に伴いパンチピンに穿孔動作させることが可能となる。
【0010】
また更に、前記歯車変換機構は、前記スライダが前記他方向に往復動作をする際に、前記歯欠けピニオン歯車の歯欠け部分を当該スライダに対峙させることで、前記パンチピンを移動させないことを特徴とすれば、簡易な構成にて、スライダの往復動作に伴うパンチピンの動作制御が実現できる。
【0011】
一方、他の観点から把えると、本発明が適用される用紙穿孔装置は、第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けて一方向へ往って帰る第1の往復動作と他方向へ往って帰る第2の往復動作とを行なうスライダと、第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンを前記スライダが動作する方向に当該軸心方向を交差させて複数、配置するパンチピン群と、前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第1の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第2の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第1の歯車機構と、前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第2の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第1の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第2の歯車機構とを有し、前記パンチピン群を構成する前記パンチピンについて、前記第1の歯車機構および/または前記第2の歯車機構を噛み合わせることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記パンチピン群の中の第1のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第1の歯車機構だけを噛み合わせ、前記パンチピン群の中の第2のパンチピン群を構成するパンチピンには、前記第2の歯車機構だけ、または前記第1の歯車機構と当該第2の歯車機構とを共に噛み合わせることを特徴とすれば、歯車機構の組み合わせにより、往復動作に合わせて例えば2連穿孔と4連穿孔とを選択すること等が可能となる。
【0013】
また、前記第2のパンチピン群を構成するパンチピンの軸心を挟んだ一方側に前記第1の歯車機構を噛み合わせ、当該パンチピンの当該軸心を挟んだ他方側に前記第2の歯車機構を噛み合わせ、前記スライダの前記第1の往復動作と前記第2の往復動作との両者の往復動作により、前記第2のパンチピン群を構成する前記パンチピンを動作させることを特徴とすることができる。
【0014】
更に、本発明が適用される画像形成システムは、用紙に画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置から出力された用紙の所定箇所に孔を空ける用紙穿孔装置とを備え、前記用紙穿孔装置は、第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けて一方向へ往って帰る第1の往復動作と他方向へ往って帰る第2の往復動作とを行なうスライダと、第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンを前記スライダが動作する方向に当該軸心方向を交差させて複数、配置するパンチピン群と、前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第1の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第2の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第1の歯車機構と、前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第2の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第1の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第2の歯車機構とを有し、前記パンチピン群の中の所定のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第1の歯車機構だけを噛み合わせ、前記パンチピン群の中の前記所定のパンチピン群を除く他のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第2の歯車機構だけ、または前記第1の歯車機構および当該第2の歯車機構の両者を噛み合わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易かつ信頼性の高い機構を用い、穿孔数を簡易に切り替えて用紙を穿孔する装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔実施の形態1〕
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(画像形成システム)
図1は、本実施の形態が適用される画像形成システム1の全体構成を示した図である。図1に示す画像形成システム1は、例えば電子写真方式によってカラー画像を形成するプリンタや複写機等の画像形成装置2と、画像形成装置2によって例えばトナー像が形成された用紙に対して後処理を施す用紙処理装置3とを備えている。そして、この用紙処理装置3は、画像形成装置2から出力された用紙を更に下流側に搬送する搬送装置10と、例えば端綴じ用のステープラや用紙を集めて束ねるコンパイルトレイ、用紙に折り筋を付ける折筋ユニットなどを備えた第1後処理装置30と、この第1後処理装置30の更に下流側に設けられ、例えば中綴じ用のステープラを備えた第2後処理装置50とを備えている。また、用紙処理装置3は、用紙処理装置3の全体を制御する制御部20を有し、この制御部20は、例えば第1後処理装置30に設けられている。
【0017】
図1に示すように、用紙処理装置3の搬送装置10は、画像形成装置2の排出ローラ9を介して出力される印刷(プリント)済の用紙を受け取る一対のローラである入口ローラ11と、この入口ローラ11にて受け取られた用紙に穴あけを施す穿孔装置(用紙穿孔装置)100を備えている。この入口ローラ11は、穿孔装置100に用紙を受け渡す際に例えば用紙の停止/搬送制御によって用紙の位置合わせを行うレジストレーション機能を備えることも可能である。また、搬送装置10は、穿孔装置100のさらに下流側に、用紙を下流側へと搬送する一対のローラである第1搬送ローラ13と、第1後処理装置30に向けて用紙を搬送する一対のローラである第2搬送ローラ14とを有する。
【0018】
用紙処理装置3の第1後処理装置30は、搬送装置10から用紙を受け取る一対のローラである受け取りローラ31と、搬送される用紙に折り筋を付ける折り筋ユニット32とを備えている。また、第1後処理装置30は、搬送路の折り筋ユニット32の下流側に設けられ用紙を検知するイクジット(exit)センサ33と、用紙を複数枚集めて収容するコンパイルトレイ35と、コンパイルトレイ35に向けて用紙を排出する一対のローラであるイクジットロール34を備えている。また、用紙の後端をコンパイルトレイ35のエンドガイド(後述)に向けて押し込むための回転するパドルで構成されるメインパドル36およびサブパドル37を備えている。更に、コンパイルトレイ35にて集積された用紙束を下流側の第2後処理装置50へ搬送するイジェクト(eject)ロール38を備えている。
【0019】
更に、第1後処理装置30は、用紙束の端を綴じるための端綴じステープラ40と、後処理後の用紙束をユーザが取りやすいようにして積み重ねるスタッカトレイ(積載部)70と、制御部20による制御下にて、スタッカトレイ70を上昇/下降させるためのトレイ駆動用モータ71を備えている。また更に、第1後処理装置30は、スタッカトレイ70の上面高さを検知する上面検知センサ72を有しており、制御部20にて、用紙束の上面高さを一定の高さとなるように制御している。
【0020】
また、第2後処理装置50は、搬送される用紙束の略中央部をステープルする中綴じステープラとしてステープラユニット60を有している。このステープラユニット60の下方にスタッカトレイ70が位置しており、ステープラユニット60によりステープル処理が施された後の用紙がスタッカトレイ70に順次、積載される。ステープラユニット60は、ステープルに際して用紙搬送路上に位置し、ステープルを終了して排紙する際には用紙搬送路上から退避する。
【0021】
(穿孔装置の構成)
次に、穿孔装置100について詳述する。
図2〜図6は、本実施の形態1が適用される穿孔装置100の構成を示した説明図である。図2は穿孔装置100の斜視図、図3(a),(b)はモータ121を含む穿孔装置100の構成を示した説明図、図4(a),(b)は穿孔装置100の特徴的な動きを説明するための説明図である。また、この図3および図4では、説明を分かりやすくするため、第3のパンチピン101cと第4のパンチピン101dとを省略している。更に、図5および図6では、本実施の形態1が適用されるパンチピン群の全体的な動きを説明している。
【0022】
穿孔装置100は、図2に示すように、軸心方向に移動して用紙に孔を形成する複数(本実施の形態1では4個)のパンチピン101(第1のパンチピン101a、第2のパンチピン101b、第3のパンチピン101c、第4のパンチピン101d)を配置し、パンチピン群を構成している。本実施の形態1では、第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101dとが第1のパンチピン群を構成し、第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとが第2のパンチピン群を構成している。
【0023】
図3に示すように、これらのパンチピン101は、用紙に当接して切り込みを開始するピン先端102と、後述する駆動源からの駆動力をピン先端102に伝達する第1のラック歯車150とを有している。そして、この第1のラック歯車150は、パンチピン101の軸心(軸の中心)を挟んだ一方側に形成されるラック歯車A103と、このラック歯車A103に対してパンチピン101の軸心を挟んだ他方側に形成されるラック歯車B104とを有している。この第1のラック歯車150は、固定部材であるネジ106によりパンチピン101に固定されている。また、穿孔装置100は、パンチピン101に対して軸心方向に付勢し、パンチピン101の動作後にパンチピン101を元に戻すための付勢部材として機能するスプリング105を有している。ここで、付勢とは、 ある方向へ向けて弾性的な力が与えられている状態のことをいう。
【0024】
また、穿孔装置100は、パンチピン101や各種駆動機構を支持する支持部111と、パンチ部における用紙の搬送路を形成する上側シュート112および下側シュート113を備えている。搬送される用紙は、上側シュート112と下側シュート113との間を搬送され、パンチピン101によって穿孔される。
【0025】
また、穿孔装置100は、穿孔装置100の駆動源であるモータ121と、このモータ121の図示しない回転軸に固定された図示しない歯車からの駆動力を伝達する歯車122と、この歯車122と噛み合う小歯車が略中央に固定され歯車122に従動して回転する円盤123と、この円盤123の回転により長手方向にのみ往復動するように構成されたスライダ127とを備えている。また、この円盤123の軸に偏心した位置にはクランクピン124が設けられている。さらに、スライダ127にはスライダ127の一端にスライダ127の往復動方向とは直交する方向にアーム125が形成され、このアーム125には円盤123の回転により回転するクランクピン124が摺動する溝126が形成されている。つまり、円盤123の回転によりクランクピン124が溝126を摺動し、クランクピン124の回転に伴って長手方向にスライダ127が往復動することにより、モータ121からの回転力をスライダ127の往復運動に変えることができる。また、スライダ127には、スライダ127の一方向へ往って帰る第1の往復動作を行う際に有効に機能する第1のスライダ歯車128と、スライダ127の他方向へ往って帰る第2の往復動作を行う際に有効に機能する第2のスライダ歯車129とが設けられている。本実施の形態1において、この第1のスライダ歯車128と、第2のスライダ歯車129とを併せ総称したものが第2のラック歯車である。
【0026】
本実施の形態1では、スライダ127が動作する方向(長手方向)にパンチピン101の軸心方向を交差させて複数(本実施の形態1では4個)のパンチピン101を設けているが、これらを全て動作させるために、スライダ127の長手方向に4個の第1のスライダ歯車128が設けられている。一方、4個のパンチピン101のうち、第2のパンチピン101bおよび第3のパンチピン101c(第2のパンチピン群)がスライダ127の他方向を使った往復動により用紙を穿孔するように構成することから、この第2のパンチピン101bおよび第3のパンチピン101c(第2のパンチピン群)に対応して、スライダ127の長手方向に2個の第2のスライダ歯車129が設けられている。
【0027】
更に、穿孔装置100は、第1の歯車機構を構成する第1ピニオン歯車機構130と、第2の歯車機構を構成する第2ピニオン歯車機構140とを有している。本実施の形態1において、この第1ピニオン歯車機構130と、第2ピニオン歯車機構140とを併せ総称したものが歯車変換機構である。
図3に示すように、第1ピニオン歯車機構130は、軸130aを共通の中心軸として、スライダ127の第2のラック歯車の第1のスライダ歯車128と噛み合う第1の扇形ピニオン歯車131と、パンチピン101の第1のラック歯車のラック歯車A103と噛み合う第2の扇形ピニオン歯車132とを備えている。また、第1の扇形ピニオン歯車131は、第1の扇形ピニオン歯車131と一体となって回転し、第2の扇形ピニオン歯車132の回転を制御する伝達選択機構の一つとして機能する突出部133を備えている。第2の扇形ピニオン歯車132は、切り欠かれた扇形の歯車であり、軸130aを中心軸として所定角度内を浮遊する浮遊歯車として機能する。第2の扇形ピニオン歯車132の浮遊角度(範囲)の一方は、突出部133によって規制される。即ち、第1ピニオン歯車機構130の軸130aを中心軸とする図3の時計回りの回転によって、第2の扇形ピニオン歯車132は、突出部133に押されて時計回りに連れ回る(回転する)。一方、第1ピニオン歯車機構130の図3の反時計回りの回転では、第1の扇形ピニオン歯車131と突出部133とは軸130aを中心軸として回転するが、第2の扇形ピニオン歯車132は突出部133に押されることはなく、第1ピニオン歯車機構130の回転とは無関係に回転し、浮遊歯車として機能する。
【0028】
また、第1ピニオン歯車機構130を反転させた対称の位置構造を有する第2ピニオン歯車機構140は、軸140aを中心軸として、スライダ127の第2のラック歯車の第2のスライダ歯車129と噛み合う第1の扇形ピニオン歯車141と、パンチピン101の第1のラック歯車のラック歯車B104と噛み合う第2の扇形ピニオン歯車142とを備えている。また、第1の扇形ピニオン歯車141は、第1の扇形ピニオン歯車141と一体となって回転し、第2の扇形ピニオン歯車142の回転を制御する伝達選択機構の一つとして機能する突出部143を備えている。第2の扇形ピニオン歯車142は、切り欠かれた扇形の歯車であり、軸140aを中心軸として所定角度内を浮遊する浮遊歯車として機能する。第2の扇形ピニオン歯車142の浮遊角度(範囲)の一方は、突出部143によって規制される。即ち、第2ピニオン歯車機構140の軸140aを中心軸とする図3の反時計回りの回転によって、第2の扇形ピニオン歯車142は、突出部143に押されて反時計回りに連れ回る(回転する)。一方、第2ピニオン歯車機構140の図3の時計回りの回転では、第1の扇形ピニオン歯車141と突出部143とは軸140aを中心軸として回転するが、第2の扇形ピニオン歯車142は突出部143に押されることはなく、第2ピニオン歯車機構140の回転とは無関係に回転し、浮遊歯車として機能する。
【0029】
第2のパンチピン群には、上述の第1ピニオン歯車機構130と第2ピニオン歯車機構140とが共に配置されている。図3(a)には、この第2のパンチピン群を構成する第2のパンチピン101bが示されている。図3(b)には、第2のパンチピン101bの部分断面(断面A−A)が示されている。スライダ127の動きとパンチピン101bの動きとは交差する(本実施の形態1では直交する)ので、第1の扇形ピニオン歯車131,141と第2の扇形ピニオン歯車132,142とは、軸130a,140aに対して同軸ではあるが同面ではなく、立体的に配置されている。一方、第2の扇形ピニオン歯車132,142と突出部133,143とは同面の部分を有しており、突出部133,143による回転制御を可能としている。
【0030】
(穿孔装置の作用)
次に、穿孔装置100の作用について説明する。
図4(a),(b)は、図2および図3(a)に示す基本姿勢(初期状態)からの穿孔装置100の動きを説明するための図である。ここでは、図4(a)は第1の往復動作を説明するために用い、図4(b)は第2の往復動作を説明するために用いる。
【0031】
まず、第1の往復動作について説明する。
図3(a)の初期状態から図4(a)の状態へ移行するのに際し、穿孔装置100では、モータ121の回転を受けて、円盤123が図4(a)のE方向(図の時計回り)に回転する。円盤123のE方向の回転により、クランクピン124もE方向に回転し、同時にクランクピン124は溝126を摺動して、アーム125をF方向(図の右方向)に移動させる。これにより、スライダ127が一方向であるF方向に移動する。スライダ127によるF方向の移動により第1のスライダ歯車128もF方向に移動し、第1のスライダ歯車128に噛み合っている第1の扇形ピニオン歯車131により、第1ピニオン歯車機構130がG方向(図の時計回り)に回転する。第1の扇形ピニオン歯車131と一体である突出部133もG方向に回転し、回転駆動力を第2の扇形ピニオン歯車132に伝達して、第2の扇形ピニオン歯車132がG方向に回転する。第2の扇形ピニオン歯車132のG方向の回転により、パンチピン101(図4(a)では101aと101b)がH方向に動作し、上側シュート112と下側シュート113との間にある用紙の所定の位置を穿孔する。
【0032】
このとき、第2のパンチピン101bの第2ピニオン歯車機構140は、第2のパンチピン101bのH方向への動作を妨げないように機能する。即ち、スライダ127のF方向への移動により第2のスライダ歯車129もF方向へ移動し、第2のスライダ歯車129に噛み合っている第1の扇形ピニオン歯車141により、第2ピニオン歯車機構140がI方向(図4の時計回り)に回転する。しかしながら、第2の扇形ピニオン歯車142は、突出部143に押されることがなく、I方向には回転しない。その一方で、第2の扇形ピニオン歯車142はラック歯車B104に噛み合っており、また浮遊歯車であることから、第2のパンチピン101bのH方向の動きを妨げることなく、この動きに追従してJ方向(図の反時計回り)に回転する。
【0033】
本実施の形態では、図3(a)状態から図4(a)状態への往きの動作と、図4(a)状態から図3(a)状態への帰りの動作とによって、一方向へ往って帰る第1の往復動作を行う。この図4(a)状態から図3(a)状態への「帰り」の動作では、スライダ127のF方向と反対方向(図4(a)の左方向)の動きにより、第1のスライダ歯車128と第2のスライダ歯車129とがF方向と反対方向に動き、第1の扇形ピニオン歯車131,141をG方向とは逆方向(反時計回り)に回転させる。この回転により突出部133,143も回転し、突出部133,143の押し付けが解除された第2の扇形ピニオン歯車132,142は、パンチピン101a,101bのH方向への押し付けを解除する。一方、図4(a)状態にて縮められた状態にあったスプリング105は、第2の扇形ピニオン歯車132,142の押し付け解除によってH方向とは逆方向にパンチピン101a,101bを付勢し、パンチピン101a,101bを元に戻すように作用する。このスプリング105の付勢によってパンチピン101a,101bが上昇し、ラック歯車A103に噛み合っていた第2の扇形ピニオン歯車132がG方向とは逆方向(反時計回り)に回転し、ラック歯車B104に噛み合っていた第2の扇形ピニオン歯車142がJ方向とは逆方向(時計回り)に回転する。以上によって、図2および図3(a)に示す初期状態に戻ることができる。
【0034】
次に、第2の往復動作について説明する。
図3(a)の初期状態から図4(b)の状態へ移行するのに際し、穿孔装置100では、モータ121の回転を受けて、円盤123が図4(b)のK方向(図の反時計回り)に回転する。円盤123のK方向の回転により、クランクピン124もK方向に回転し、同時にクランクピン124は溝126を摺動して、アーム125をL方向(図の左方向)に移動させる。これにより、スライダ127が他方向であるL方向に移動する。スライダ127によるL方向の移動により第1のスライダ歯車128もL方向に移動し、第1のスライダ歯車128に噛み合っている第1の扇形ピニオン歯車131がM方向(図の反時計回り)に回転する。第2の扇形ピニオン歯車132は、第1の扇形ピニオン歯車131の回転に無関係であり、駆動力は伝達されない。その結果、スプリング105により上方に付勢されている第1のパンチピン101aは動作せず、第1のパンチピン101aは上方の待機場所に位置したまま(図3(a)の状態のまま)である。
【0035】
一方、第2のパンチピン101bに噛み合っている第2ピニオン歯車機構140は、スライダ127によるL方向の移動により同様に移動する第2のスライダ歯車129の移動を受け、第1の扇形ピニオン歯車141により、第2ピニオン歯車機構140がM方向(図の反時計回り)に回転する。第1の扇形ピニオン歯車141と一体である突出部143もM方向に回転し、回転駆動力を第2の扇形ピニオン歯車142に伝達して、第2の扇形ピニオン歯車142がM方向に回転する。第2の扇形ピニオン歯車142のM方向の回転により、第2のパンチピン101bがN方向に動作し、上側シュート112と下側シュート113との間にある用紙の所定の位置を穿孔する。このとき、第1ピニオン歯車機構130の第2の扇形ピニオン歯車132は、第2のパンチピン101bのラック歯車A103のN方向への動作によってO方向に回転するが、単に連動するだけであり、他に影響を与える動作ではない。
【0036】
尚、穿孔装置100は、図3(a)状態から図4(b)状態への往きの動作と、図4(b)状態から図3(a)状態への帰りの動作とによって、他方向へ往って帰る第2の往復動作を行う。この図4(b)状態から図3(a)状態への「帰り」の動作では、スライダ127のL方向と反対方向(図4(b)の右方向)の動きにより、第1のスライダ歯車128と第2のスライダ歯車129とがL方向と反対方向に動き、第1の扇形ピニオン歯車131,141 と突出部133,143とをM方向とは逆方向(図の時計回り)に回転させる。これによって、まず第1のパンチピン101aは図3(a)に示す初期状態に戻ることができる。
【0037】
第2のパンチピン101bの作動箇所では、第2ピニオン歯車機構140の突出部143の押し付けが解除された第2の扇形ピニオン歯車142は、第2のパンチピン101bのN方向への押し付けを解除する。一方、図4(b)状態にて縮められた状態にあったスプリング105は、第2の扇形ピニオン歯車142の押し付け解除によってN方向とは逆方向に第2のパンチピン101bを付勢し、第2のパンチピン101bを元に戻すように作用する。このスプリング105の付勢によって第2のパンチピン101bが上昇し、第1のラック歯車のラック歯車A103に噛み合っていた第2の扇形ピニオン歯車132がO方向とは逆方向(反時計回り)に回転し、ラック歯車B104に噛み合っていた第2の扇形ピニオン歯車142がM方向とは逆方向(時計回り)に回転する。以上によって、第2のパンチピン101bは図3(a)に示す初期状態に戻ることができる。
【0038】
次に、図5および図6を参照して、4つのパンチピン101(101a〜101d)の動きについて説明する。
図5(a),(b)は一方向へ往って帰る第1の往復動作を説明するための図である。図5(a)に示す初期状態では、スプリング105に付勢され、4つのパンチピン101(101a〜101d)は全て上昇した待機位置にあり、上側シュート112と下側シュート113との間に用紙が搬送可能である。
【0039】
その後、第1の往復動作の往きとして、スライダ127がF方向(図5(b)の右方向)に移動すると、図5(b)に示すように、第1のスライダ歯車128もF方向に移動し、4つのパンチピン101(101a〜101d)に各々噛み合っている第1ピニオン歯車機構130がG方向に回転する。第1ピニオン歯車機構130と噛み合う第1のラック歯車のラック歯車A103により、4つのパンチピン101(101a〜101d)は全てH方向に動作する。これによって、用紙の4箇所を全て穿孔する。
【0040】
その後、第1の往復動作の帰りでは、スライダ127がF方向とは逆の方向に移動する。これによって、第1ピニオン歯車機構130によるH方向への押し付けが解かれ、4つのパンチピン101(101a〜101d)はスプリング105に付勢されて図5(a)の待機位置に戻る。
このように、一方向へ往って帰る第1の往復動作により、4つのパンチピン101(101a〜101d)を全て動作させることが可能となり、用紙の4箇所を同時に穿孔することができる。
【0041】
図6(a),(b)は、他方向へ往って帰る第2の往復動作を説明するための図である。図6(a)に示す初期状態では、スプリング105に付勢され、4つのパンチピン101(101a〜101d)は全て上昇した待機位置にあり、上側シュート112と下側シュート113との間に用紙が搬送可能である。
【0042】
その後、第2の往復動作の往きとして、スライダ127がL方向(図6(b)の左方向)に移動すると、図6(b)に示すように、第2のスライダ歯車129もL方向に移動し、第2のパンチピン群である第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとに各々噛み合っている第2ピニオン歯車機構140がM方向に回転する。第2ピニオン歯車機構140と噛み合う第1のラック歯車のラック歯車B104により、第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとがN方向に動作する。これによって、用紙の中央側2箇所を穿孔する。
【0043】
その後、第2の往復動作の帰りでは、スライダ127がL方向とは逆の方向(図6(b)の右方向)に移動する。これによって、第2ピニオン歯車機構140によるN方向への押し付けが解かれ、第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとはスプリング105に付勢されて図6(a)の待機位置に戻る。
このように、一方向へ往って帰る第2の往復動作により、第2のパンチピン群である第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとを動作させることが可能となり、用紙の2箇所を穿孔することができる。
【0044】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、実施の形態1の歯車機構(第1ピニオン歯車機構130および第2ピニオン歯車機構140)を用いた構成に代わり、歯欠けピニオン歯車(第1の歯欠けピニオン歯車210と第2の歯欠けピニオン歯車220)を用いた穿孔装置100に関する。尚、実施の形態1と同様の機能については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
【0045】
(穿孔装置の構成)
図7〜図9は、実施の形態2が適用される穿孔装置100の構成を示した説明図である。図7は穿孔装置100の斜視図、図8(a)〜(c)は穿孔装置100の構成を示した説明図、図9(a),(b)、図10(a),(b)は穿孔装置100の作用を説明するための図である。
【0046】
図7および図8(a)〜(c)に示すように、実施の形態2の穿孔装置100は、実施の形態1と同様に複数(本実施の形態では4個)のパンチピン101(第1のパンチピン101a、第2のパンチピン101b、第3のパンチピン101c、第4のパンチピン101d)が配置されており、同様に、第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101dとが第1のパンチピン群を構成し、第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとが第2のパンチピン群を構成している。また、図7および図8(a)〜(c)では、実施の形態1と同様、スライダ127を備えている。ここでは、図3および図4にて説明した駆動源の説明を省略しているが、このスライダ127をスライドさせるために、実施の形態1と同様の機能(モータ121、歯車122、円盤123、クランクピン124、アーム125、溝126)を全て備えている。
【0047】
この実施の形態2では、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)の位置に対応して第1の歯欠けピニオン歯車210が設けられ、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)の位置に対応して第2の歯欠けピニオン歯車220が設けられている。本実施の形態2において、この第1の歯欠けピニオン歯車210と、第2の歯欠けピニオン歯車220とを併せ総称したものが歯車変換機構である。
【0048】
図8(b)では第1のパンチピン群を動作させる機構を詳述し、図8(c)では第2のパンチピン群を動作させる機構を詳述している。
図8(b)に示すように、スライダ127は、第1の歯欠けピニオン歯車210に噛み合って駆動する第1のスライダ歯車201と、第1の歯欠けピニオン歯車210の静止位置を制御(決定)する平坦突出部202と、第1の歯欠けピニオン歯車210の回転開始を制御する切り上げ部203とを備えている。スライダ127のP方向やQ方向の動きに連動して、第1のスライダ歯車201、平坦突出部202、および切り上げ部203もP方向およびQ方向に移動する。
【0049】
第1の歯欠けピニオン歯車210は、スライダ127の第1のスライダ歯車201に噛み合う第1のピニオン歯車列211と、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)の各々にネジ106によって取り付けられる第1のラック歯車のラック歯車A103と噛み合う第2のピニオン歯車列212とを備えている。そして、この第1のピニオン歯車列211と第2のピニオン歯車列212との間には、歯車列が所定範囲だけ取り除かれた歯欠け部213が設けられている。更に、第1の歯欠けピニオン歯車210には、スライダ127の切り上げ部203に押されることで、第1の歯欠けピニオン歯車210の軸210aを中心軸とする回転を開始させるレバー215が設けられている。第1の歯欠けピニオン歯車210の第1のピニオン歯車列211、第2のピニオン歯車列212、歯欠け部213、およびレバー215は、軸210aを中心として一体となって回転する。
【0050】
尚、図8に示す実施の形態2には、実施の形態1に示したスプリング105が設けられていない。これは、図8(b)に示す第1のピニオン歯車列211の先端部211aが平坦突出部202に当接することで、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)の各々のパンチピン101が自重による下降を防いでいるためである。これにより、スプリング105を特に設けなくてもパンチピン101が自重で下方に落下(移動)することがない。
【0051】
また、図8(c)に示すように、スライダ127は、第2の歯欠けピニオン歯車220に噛み合って駆動する第2のスライダ歯車205と、第2の歯欠けピニオン歯車220の静止位置を制御(決定)する平坦突出部206と、第2の歯欠けピニオン歯車220の回転開始を制御する切り上げ部207とを備えている。スライダ127のP方向やQ方向の動きに連動して、第2のスライダ歯車205、平坦突出部206、および切り上げ部207もP方向およびQ方向に移動する。
【0052】
第2の歯欠けピニオン歯車220は、スライダ127の第2のスライダ歯車205に噛み合う第1のピニオン歯車列221と、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)の各々にネジ106によって取り付けられる第1のラック歯車のラック歯車B104と噛み合う第2のピニオン歯車列222とを備えている。そして、この第1のピニオン歯車列221と第2のピニオン歯車列222との間には、歯車列が所定範囲だけ取り除かれた歯欠け部223が設けられている。更に、第2の歯欠けピニオン歯車220には、スライダ127の切り上げ部207に押されることで、第2の歯欠けピニオン歯車220の軸220aを中心軸とする回転を開始させるレバー225が設けられている。第2の歯欠けピニオン歯車220の第1のピニオン歯車列221、第2のピニオン歯車列222、歯欠け部223、およびレバー225は、軸220aを中心として一体となって回転する。
【0053】
そして、実施の形態2が適用される穿孔装置100は、上述のような構造を有しているが、図8(b)に示す第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)を駆動する構造と、図8(c)に示す第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)を駆動する構造とは、ほぼ左右対称である。これによって、後述するような穿孔動作を実現できる。
尚、図8(c)に示す第1のピニオン歯車列221の先端部221aが平坦突出部206に当接することで、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)の各々のパンチピン101が自重により下降することが防止され、初期状態を維持できる。
本実施の形態2において、第1のスライダ歯車201と、第2のスライダ歯車205とを併せ総称したものが第2のラック歯車である。
【0054】
(穿孔装置の作用)
次に、実施の形態2に係る穿孔装置100の作用について、図9(a),(b)、図10(a),(b)を用いて説明する。図9(a),(b)はスライダ127が一方向へ往って帰る第1の往復動作の説明図、図9(a)は初期状態(最初と帰りの状態)の説明図、図9(b)は往きの状態の説明図である。図9(a)に示す初期状態では、4つのパンチピン101(101a〜101d)は全て上昇した待機位置にあり、上側シュート112と下側シュート113との間に用紙が搬送可能である。第1の歯欠けピニオン歯車210の先端部211a、および第2の歯欠けピニオン歯車220の先端部221aが、平坦突出部202,206(図8(b),(c)参照)に各々、当接することで、パンチピン101(101a〜101d)の上昇位置が保たれている。
【0055】
その後、第1の往復動作の往きとして、スライダ127がP方向(図9(b)の右方向)に移動すると、図9(b)に示すように、第1のスライダ歯車201もP方向に移動し、切り上げ部203(図8(b)参照)もP方向へ移動する。そして、レバー215が切り上げ部203に押され、第1のスライダ歯車201に噛み合っている第1の歯欠けピニオン歯車210がR1方向に回転する。そして、この第1の歯欠けピニオン歯車210に第1のラック歯車のラック歯車A103が噛み合っている第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)が、S1方向に動作する。これによって、用紙の2箇所に対して穿孔処理が施される。このとき、第2の歯欠けピニオン歯車220の先端部221aは平坦突出部206(図8(c)参照)に当接しており、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)は下降せず、上昇位置が保たれる。
【0056】
そして、第1の往復動作の帰りでは、スライダ127がP方向とは逆の方向に移動する。これによって、第1の歯欠けピニオン歯車210が逆転し(図8(b)のR2方向に回転し)、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)が元に戻る。これによって、図9(a)の状態となる。
【0057】
次に、他方向へ往って帰る第2の往復動作について、図10(a),(b)を用いて説明する。図10(a),(b)はスライダ127が他方向へ往って帰る第2の往復動作を示しており、図10(a)は初期状態(最初と帰りの状態)、図10(b)は往きの状態を示している。図10(a)に示す初期状態では、4つのパンチピン101(101a〜101d)は全て上昇した待機位置にあり、上側シュート112と下側シュート113との間に用紙が搬送可能である。第1の歯欠けピニオン歯車210の先端部211a、および第2の歯欠けピニオン歯車220の先端部221aが、平坦突出部202,206(図8(b),(c)参照)に各々、当接することで、パンチピン101(101a〜101d)の上昇位置が保たれている。
【0058】
その後、第2の往復動作の往きとして、スライダ127がQ方向(図10(b)の左方向)に移動すると、図10(b)に示すように、第2のスライダ歯車205もQ方向に移動し、切り上げ部207(図8(c)参照)もQ方向へ移動する。そして、レバー225が切り上げ部205に押され、第2のスライダ歯車205に噛み合っている第2の歯欠けピニオン歯車220がT1方向に回転する。そして、この第2の歯欠けピニオン歯車220に第1のラック歯車のラック歯車B104が噛み合っている第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)が、U1方向に動作する。これによって、用紙の2箇所に対して穿孔処理が施される。このとき、第1の歯欠けピニオン歯車210の先端部211aは平坦突出部202(図8(b)参照)に当接しており、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)は下降せず、上昇位置が保たれる。
【0059】
そして、第2の往復動作の帰りでは、スライダ127がQ方向とは逆の方向に移動する。これによって、第2の歯欠けピニオン歯車220が逆転し(図8(c)のT2方向に回転し)、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)が元に戻る。これによって、図10(a)の状態となる。
【0060】
実施の形態2では、図9(a),(b)に示すスライダ127の一方向へ往って帰る第1の往復動作と、図10(a),(b)に示すスライダ127の他方向へ往って帰る第2の往復動作とを繰り返すことで、用紙の4箇所への穿孔が可能となる。前述のように、この実施の形態2では、スライダ127をスライドさせるために、実施の形態1と同様の機能(モータ121、歯車122、円盤123、クランクピン124、アーム125、溝126)を備えている。この4箇所への穿孔は、図4(a),(b)に示すように、例えばモータ121の180度回転毎の反転により行うことも可能であるが、例えばモータ121を一回転させることによっても行うことができる。
尚、用紙の4箇所ではなく2箇所だけを穿孔する場合には、モータ121の反転だけを繰り返し、スライダ127の一方向または他方向の何れかを繰り返し行えば良い。
【0061】
〔実施の形態3〕
実施の形態3では、主に、実施の形態1の構造と実施の形態2の構造とを組み合わせて、穿孔装置100を構成している。
図11は、実施の形態3の穿孔装置100を示す構成図である。この実施の形態3にて、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)には第1の歯欠けピニオン歯車210が設けられ、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)には、第1ピニオン歯車機構130と第2ピニオン歯車機構140とが設けられている。この実施の形態3では、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)にて、実施の形態1のスプリング105(図3(a)参照)が設けられていない。その代わりに、第1ピニオン歯車機構130の第1の扇形ピニオン歯車131と第2の扇形ピニオン歯車132とを付勢するスプリング139、第2ピニオン歯車機構140の第1の扇形ピニオン歯車141と第2の扇形ピニオン歯車142とを付勢するスプリング149とが設けられている。尚、図示は省略しているが、スライダ127をスライドさせるための機構として、実施の形態1と同様の機能(モータ121、歯車122、円盤123、クランクピン124、アーム125、溝126)を備えている。
【0062】
スライダ127の一方向(F方向)へ往って帰る第1の往復動作では、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)および第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)が作動し、4つのパンチピン101(101a〜101d)が全て用紙の穿孔動作を行なう。
一方、スライダ127の他方向(L方向)へ往って帰る第2の往復動作では、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)が作動し、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)は作動しない。即ち、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)によって2つの孔あけ動作が行なわれる。
このように、実施の形態3によっても、スライダ127の一方向(F方向)への往復動作と他方向(L方向)への往復動作を行なうことで、パンチピン群の中で穿孔動作を行なうパンチピン101を切り替えることが可能となる。
【0063】
上述の実施の形態は、説明のために例示したものであって、本発明はそれに限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載から当事者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。
例えば、前記した実施の形態においては、4個のパンチピンを用いた穿孔装置を示したが、4個に限定されるものではなく、2個であっても6個であっても良い。さらに、偶数個ではなく、3個、5個等の奇数個であっても良い。
また、前記した実施の形態においては、パンチピン101に第1のラック歯車150(左側のラック歯車A103と右側のラック歯車B104)をネジ106により固定した構成を示したが、これに限定されるものではなく、パンチピン101に第1のラック歯車150を機械加工等により直接形成しても良い。
【0064】
また、前記した実施の形態は、用紙処理装置として、搬送装置10と、第1後処理装置30と、第2後処理装置50とを備えたものを示したが、特開2008−94612号公報、特開2008−001518号公報に記載されている用紙処理装置(後処理装置)のように、画像形成装置から排出された用紙を直接、第1後処理装置30が受け入れ、その用紙搬送路に穿孔装置100が設置されているタイプの用紙処理装置であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態(実施の形態1)が適用される画像形成システムの全体構成を示した図である。
【図2】本実施の形態が適用される穿孔装置の斜視図である。
【図3】(a),(b)はモータを含む穿孔装置の構成を示した説明図である。
【図4】(a),(b)は、穿孔装置の特徴的な動きを説明するための説明図である。
【図5】(a),(b)は、穿孔装置の特徴的な動きを説明するための説明図である。
【図6】(a)、(b)は、このスタッカトレイの上昇/下降動作を説明するための図である。
【図7】本実施の形態2が適用される穿孔装置の斜視図である。
【図8】(a)〜(c)は実施の形態2が適用される穿孔装置の構成を示した説明図である。
【図9】(a),(b)は、実施の形態2が適用される穿孔装置の作用を説明するための図である。
【図10】(a),(b)は、実施の形態2が適用される穿孔装置の作用を説明するための図である。
【図11】実施の形態3の穿孔装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、3…用紙処理装置、10…搬送装置、100…穿孔装置、101…パンチピン、101a…第1のパンチピン、101b…第2のパンチピン、101c…第3のパンチピン、101d…第4のパンチピン、127…スライダ、130…第1ピニオン歯車機構、140…第2ピニオン歯車機構、210…第1の歯欠けピニオン歯車、220…第2の歯欠けピニオン歯車
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙(シート)に対して孔あけ処理を施す用紙穿孔装置および該用紙穿孔装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機等の画像形成装置から排出される記録済みの用紙に、折りや穿孔、ステープル等の処理を施す用紙穿孔装置については、従来から多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1では、往復運動するパンチおよび該パンチと対応するダイス孔で協働してシート材(用紙)に孔列を形成するシート材穿孔装置において、穿孔反力の一部をテコの如く回転支点で受け止める構造を採用し、駆動源の駆動力によって前記孔列の方向に往復動作をする駆動アームと、回転支点を有し、前記駆動アームと係合して回転動作する連結体と、該連結体の回転動作をパンチの穿孔方向動作に変換するカム機構とを備えたものが提案されている。
【0003】
また、他の特許文献として、用紙にあける孔の位置と数を変更するために、複数のパンチを第1グループと第2グループとに分け、それぞれカムを駆動させて作動させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、カムを二種類用意し、これらを駆動軸に沿って同時に往復摺動させて、用紙にあける穿孔穴数を変更する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。更に、カム及びフォロワーを用いて、往復移動部材の第1可動範囲での往復移動により第1グループのパンチを昇降移動させて所定数の穿孔状態を現出し、往復移動部材の第2可動範囲での往復移動により第2グループのパンチを昇降移動させて所定数より少数の穿孔状態を現出するとき、往復移動部材の移動に応じて第1及び第2グループの各パンチを選択的に作動させて、異なる個数の穿孔工程を実施する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第3995193号公報
【特許文献2】特開2001−198889号公報
【特許文献3】特開2002−219693号公報
【特許文献4】WO2004/035274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、穿孔の数を調整したいという要望を受け、従来から2孔用、3孔用、4孔用といった専用のユニットが用紙穿孔装置に用意されていたが、商品構成が複雑で部品が増えることが問題となっていた。また、この穿孔の数を切り替える従来技術は、カムやフォロワー等の複雑な機構が用いられているため、装置のコストが大幅に上昇するだけでなく、装置の信頼性の低下が避けられないという問題もあった。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたものであって、簡易かつ信頼性の高い機構を用い、穿孔の数を簡易に切り替えて用紙を穿孔する装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明が適用される用紙穿孔装置は、第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンと、第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けてパンチピンの移動方向と交差する方向に往復動作するスライダと、扇形ピニオン歯車および/または歯欠けピニオン歯車とを有し、第1のラック歯車および第2のラック歯車に噛み合ってスライダの往復動作をパンチピンの移動動作に変換する歯車変換機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、前記スライダは、一方向を使った往復動作と他方向を使った往復動作とを行ない、前記歯車変換機構は、前記スライダが前記一方向を使った往復動作をする際に前記パンチピンを移動させ、前記スライダが前記他方向を使った往復動作をする際には当該パンチピンを移動させないことを特徴とすれば、歯車変換機構とパンチピンとの組み合わせによって、穿孔動作させるパンチピンを任意に選択することができる。
【0008】
また、前記歯車変換機構は、前記スライダの前記第2のラック歯車に噛み合う第1扇形ピニオン歯車と、前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合う第2扇形ピニオン歯車とを含み、前記第2扇形ピニオン歯車は、前記第1扇形ピニオン歯車に対して回転の自由度が一部にて許容されることを特徴とすることができる。この歯車変換機構の用い方によっては、例えば一方向を使った往復動作と他方向を使った往復動作の両方に対応させて1つのパンチピンを動作させることも実現できる。
【0009】
更に、前記パンチピンは、前記スライダが往復動作する方向に複数、配置され、当該複数のパンチピンの少なくとも何れか1つは、当該パンチピンの軸心を挟んだ一方側にラック歯車Aを有し、当該軸心を挟んだ他方側にラック歯車Bを有し、前記歯車変換機構を構成する第1の歯車変換機構を前記パンチピンの前記ラック歯車Aに対峙させ、当該第1の歯車変換機構を反転させた第2の歯車変換機構を当該パンチピンの前記ラック歯車Bに対峙させることを特徴とすれば、一方向を使った往復動作と他方向を使った往復動作に伴いパンチピンに穿孔動作させることが可能となる。
【0010】
また更に、前記歯車変換機構は、前記スライダが前記他方向に往復動作をする際に、前記歯欠けピニオン歯車の歯欠け部分を当該スライダに対峙させることで、前記パンチピンを移動させないことを特徴とすれば、簡易な構成にて、スライダの往復動作に伴うパンチピンの動作制御が実現できる。
【0011】
一方、他の観点から把えると、本発明が適用される用紙穿孔装置は、第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けて一方向へ往って帰る第1の往復動作と他方向へ往って帰る第2の往復動作とを行なうスライダと、第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンを前記スライダが動作する方向に当該軸心方向を交差させて複数、配置するパンチピン群と、前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第1の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第2の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第1の歯車機構と、前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第2の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第1の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第2の歯車機構とを有し、前記パンチピン群を構成する前記パンチピンについて、前記第1の歯車機構および/または前記第2の歯車機構を噛み合わせることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記パンチピン群の中の第1のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第1の歯車機構だけを噛み合わせ、前記パンチピン群の中の第2のパンチピン群を構成するパンチピンには、前記第2の歯車機構だけ、または前記第1の歯車機構と当該第2の歯車機構とを共に噛み合わせることを特徴とすれば、歯車機構の組み合わせにより、往復動作に合わせて例えば2連穿孔と4連穿孔とを選択すること等が可能となる。
【0013】
また、前記第2のパンチピン群を構成するパンチピンの軸心を挟んだ一方側に前記第1の歯車機構を噛み合わせ、当該パンチピンの当該軸心を挟んだ他方側に前記第2の歯車機構を噛み合わせ、前記スライダの前記第1の往復動作と前記第2の往復動作との両者の往復動作により、前記第2のパンチピン群を構成する前記パンチピンを動作させることを特徴とすることができる。
【0014】
更に、本発明が適用される画像形成システムは、用紙に画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置から出力された用紙の所定箇所に孔を空ける用紙穿孔装置とを備え、前記用紙穿孔装置は、第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けて一方向へ往って帰る第1の往復動作と他方向へ往って帰る第2の往復動作とを行なうスライダと、第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンを前記スライダが動作する方向に当該軸心方向を交差させて複数、配置するパンチピン群と、前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第1の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第2の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第1の歯車機構と、前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第2の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第1の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第2の歯車機構とを有し、前記パンチピン群の中の所定のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第1の歯車機構だけを噛み合わせ、前記パンチピン群の中の前記所定のパンチピン群を除く他のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第2の歯車機構だけ、または前記第1の歯車機構および当該第2の歯車機構の両者を噛み合わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易かつ信頼性の高い機構を用い、穿孔数を簡易に切り替えて用紙を穿孔する装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔実施の形態1〕
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(画像形成システム)
図1は、本実施の形態が適用される画像形成システム1の全体構成を示した図である。図1に示す画像形成システム1は、例えば電子写真方式によってカラー画像を形成するプリンタや複写機等の画像形成装置2と、画像形成装置2によって例えばトナー像が形成された用紙に対して後処理を施す用紙処理装置3とを備えている。そして、この用紙処理装置3は、画像形成装置2から出力された用紙を更に下流側に搬送する搬送装置10と、例えば端綴じ用のステープラや用紙を集めて束ねるコンパイルトレイ、用紙に折り筋を付ける折筋ユニットなどを備えた第1後処理装置30と、この第1後処理装置30の更に下流側に設けられ、例えば中綴じ用のステープラを備えた第2後処理装置50とを備えている。また、用紙処理装置3は、用紙処理装置3の全体を制御する制御部20を有し、この制御部20は、例えば第1後処理装置30に設けられている。
【0017】
図1に示すように、用紙処理装置3の搬送装置10は、画像形成装置2の排出ローラ9を介して出力される印刷(プリント)済の用紙を受け取る一対のローラである入口ローラ11と、この入口ローラ11にて受け取られた用紙に穴あけを施す穿孔装置(用紙穿孔装置)100を備えている。この入口ローラ11は、穿孔装置100に用紙を受け渡す際に例えば用紙の停止/搬送制御によって用紙の位置合わせを行うレジストレーション機能を備えることも可能である。また、搬送装置10は、穿孔装置100のさらに下流側に、用紙を下流側へと搬送する一対のローラである第1搬送ローラ13と、第1後処理装置30に向けて用紙を搬送する一対のローラである第2搬送ローラ14とを有する。
【0018】
用紙処理装置3の第1後処理装置30は、搬送装置10から用紙を受け取る一対のローラである受け取りローラ31と、搬送される用紙に折り筋を付ける折り筋ユニット32とを備えている。また、第1後処理装置30は、搬送路の折り筋ユニット32の下流側に設けられ用紙を検知するイクジット(exit)センサ33と、用紙を複数枚集めて収容するコンパイルトレイ35と、コンパイルトレイ35に向けて用紙を排出する一対のローラであるイクジットロール34を備えている。また、用紙の後端をコンパイルトレイ35のエンドガイド(後述)に向けて押し込むための回転するパドルで構成されるメインパドル36およびサブパドル37を備えている。更に、コンパイルトレイ35にて集積された用紙束を下流側の第2後処理装置50へ搬送するイジェクト(eject)ロール38を備えている。
【0019】
更に、第1後処理装置30は、用紙束の端を綴じるための端綴じステープラ40と、後処理後の用紙束をユーザが取りやすいようにして積み重ねるスタッカトレイ(積載部)70と、制御部20による制御下にて、スタッカトレイ70を上昇/下降させるためのトレイ駆動用モータ71を備えている。また更に、第1後処理装置30は、スタッカトレイ70の上面高さを検知する上面検知センサ72を有しており、制御部20にて、用紙束の上面高さを一定の高さとなるように制御している。
【0020】
また、第2後処理装置50は、搬送される用紙束の略中央部をステープルする中綴じステープラとしてステープラユニット60を有している。このステープラユニット60の下方にスタッカトレイ70が位置しており、ステープラユニット60によりステープル処理が施された後の用紙がスタッカトレイ70に順次、積載される。ステープラユニット60は、ステープルに際して用紙搬送路上に位置し、ステープルを終了して排紙する際には用紙搬送路上から退避する。
【0021】
(穿孔装置の構成)
次に、穿孔装置100について詳述する。
図2〜図6は、本実施の形態1が適用される穿孔装置100の構成を示した説明図である。図2は穿孔装置100の斜視図、図3(a),(b)はモータ121を含む穿孔装置100の構成を示した説明図、図4(a),(b)は穿孔装置100の特徴的な動きを説明するための説明図である。また、この図3および図4では、説明を分かりやすくするため、第3のパンチピン101cと第4のパンチピン101dとを省略している。更に、図5および図6では、本実施の形態1が適用されるパンチピン群の全体的な動きを説明している。
【0022】
穿孔装置100は、図2に示すように、軸心方向に移動して用紙に孔を形成する複数(本実施の形態1では4個)のパンチピン101(第1のパンチピン101a、第2のパンチピン101b、第3のパンチピン101c、第4のパンチピン101d)を配置し、パンチピン群を構成している。本実施の形態1では、第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101dとが第1のパンチピン群を構成し、第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとが第2のパンチピン群を構成している。
【0023】
図3に示すように、これらのパンチピン101は、用紙に当接して切り込みを開始するピン先端102と、後述する駆動源からの駆動力をピン先端102に伝達する第1のラック歯車150とを有している。そして、この第1のラック歯車150は、パンチピン101の軸心(軸の中心)を挟んだ一方側に形成されるラック歯車A103と、このラック歯車A103に対してパンチピン101の軸心を挟んだ他方側に形成されるラック歯車B104とを有している。この第1のラック歯車150は、固定部材であるネジ106によりパンチピン101に固定されている。また、穿孔装置100は、パンチピン101に対して軸心方向に付勢し、パンチピン101の動作後にパンチピン101を元に戻すための付勢部材として機能するスプリング105を有している。ここで、付勢とは、 ある方向へ向けて弾性的な力が与えられている状態のことをいう。
【0024】
また、穿孔装置100は、パンチピン101や各種駆動機構を支持する支持部111と、パンチ部における用紙の搬送路を形成する上側シュート112および下側シュート113を備えている。搬送される用紙は、上側シュート112と下側シュート113との間を搬送され、パンチピン101によって穿孔される。
【0025】
また、穿孔装置100は、穿孔装置100の駆動源であるモータ121と、このモータ121の図示しない回転軸に固定された図示しない歯車からの駆動力を伝達する歯車122と、この歯車122と噛み合う小歯車が略中央に固定され歯車122に従動して回転する円盤123と、この円盤123の回転により長手方向にのみ往復動するように構成されたスライダ127とを備えている。また、この円盤123の軸に偏心した位置にはクランクピン124が設けられている。さらに、スライダ127にはスライダ127の一端にスライダ127の往復動方向とは直交する方向にアーム125が形成され、このアーム125には円盤123の回転により回転するクランクピン124が摺動する溝126が形成されている。つまり、円盤123の回転によりクランクピン124が溝126を摺動し、クランクピン124の回転に伴って長手方向にスライダ127が往復動することにより、モータ121からの回転力をスライダ127の往復運動に変えることができる。また、スライダ127には、スライダ127の一方向へ往って帰る第1の往復動作を行う際に有効に機能する第1のスライダ歯車128と、スライダ127の他方向へ往って帰る第2の往復動作を行う際に有効に機能する第2のスライダ歯車129とが設けられている。本実施の形態1において、この第1のスライダ歯車128と、第2のスライダ歯車129とを併せ総称したものが第2のラック歯車である。
【0026】
本実施の形態1では、スライダ127が動作する方向(長手方向)にパンチピン101の軸心方向を交差させて複数(本実施の形態1では4個)のパンチピン101を設けているが、これらを全て動作させるために、スライダ127の長手方向に4個の第1のスライダ歯車128が設けられている。一方、4個のパンチピン101のうち、第2のパンチピン101bおよび第3のパンチピン101c(第2のパンチピン群)がスライダ127の他方向を使った往復動により用紙を穿孔するように構成することから、この第2のパンチピン101bおよび第3のパンチピン101c(第2のパンチピン群)に対応して、スライダ127の長手方向に2個の第2のスライダ歯車129が設けられている。
【0027】
更に、穿孔装置100は、第1の歯車機構を構成する第1ピニオン歯車機構130と、第2の歯車機構を構成する第2ピニオン歯車機構140とを有している。本実施の形態1において、この第1ピニオン歯車機構130と、第2ピニオン歯車機構140とを併せ総称したものが歯車変換機構である。
図3に示すように、第1ピニオン歯車機構130は、軸130aを共通の中心軸として、スライダ127の第2のラック歯車の第1のスライダ歯車128と噛み合う第1の扇形ピニオン歯車131と、パンチピン101の第1のラック歯車のラック歯車A103と噛み合う第2の扇形ピニオン歯車132とを備えている。また、第1の扇形ピニオン歯車131は、第1の扇形ピニオン歯車131と一体となって回転し、第2の扇形ピニオン歯車132の回転を制御する伝達選択機構の一つとして機能する突出部133を備えている。第2の扇形ピニオン歯車132は、切り欠かれた扇形の歯車であり、軸130aを中心軸として所定角度内を浮遊する浮遊歯車として機能する。第2の扇形ピニオン歯車132の浮遊角度(範囲)の一方は、突出部133によって規制される。即ち、第1ピニオン歯車機構130の軸130aを中心軸とする図3の時計回りの回転によって、第2の扇形ピニオン歯車132は、突出部133に押されて時計回りに連れ回る(回転する)。一方、第1ピニオン歯車機構130の図3の反時計回りの回転では、第1の扇形ピニオン歯車131と突出部133とは軸130aを中心軸として回転するが、第2の扇形ピニオン歯車132は突出部133に押されることはなく、第1ピニオン歯車機構130の回転とは無関係に回転し、浮遊歯車として機能する。
【0028】
また、第1ピニオン歯車機構130を反転させた対称の位置構造を有する第2ピニオン歯車機構140は、軸140aを中心軸として、スライダ127の第2のラック歯車の第2のスライダ歯車129と噛み合う第1の扇形ピニオン歯車141と、パンチピン101の第1のラック歯車のラック歯車B104と噛み合う第2の扇形ピニオン歯車142とを備えている。また、第1の扇形ピニオン歯車141は、第1の扇形ピニオン歯車141と一体となって回転し、第2の扇形ピニオン歯車142の回転を制御する伝達選択機構の一つとして機能する突出部143を備えている。第2の扇形ピニオン歯車142は、切り欠かれた扇形の歯車であり、軸140aを中心軸として所定角度内を浮遊する浮遊歯車として機能する。第2の扇形ピニオン歯車142の浮遊角度(範囲)の一方は、突出部143によって規制される。即ち、第2ピニオン歯車機構140の軸140aを中心軸とする図3の反時計回りの回転によって、第2の扇形ピニオン歯車142は、突出部143に押されて反時計回りに連れ回る(回転する)。一方、第2ピニオン歯車機構140の図3の時計回りの回転では、第1の扇形ピニオン歯車141と突出部143とは軸140aを中心軸として回転するが、第2の扇形ピニオン歯車142は突出部143に押されることはなく、第2ピニオン歯車機構140の回転とは無関係に回転し、浮遊歯車として機能する。
【0029】
第2のパンチピン群には、上述の第1ピニオン歯車機構130と第2ピニオン歯車機構140とが共に配置されている。図3(a)には、この第2のパンチピン群を構成する第2のパンチピン101bが示されている。図3(b)には、第2のパンチピン101bの部分断面(断面A−A)が示されている。スライダ127の動きとパンチピン101bの動きとは交差する(本実施の形態1では直交する)ので、第1の扇形ピニオン歯車131,141と第2の扇形ピニオン歯車132,142とは、軸130a,140aに対して同軸ではあるが同面ではなく、立体的に配置されている。一方、第2の扇形ピニオン歯車132,142と突出部133,143とは同面の部分を有しており、突出部133,143による回転制御を可能としている。
【0030】
(穿孔装置の作用)
次に、穿孔装置100の作用について説明する。
図4(a),(b)は、図2および図3(a)に示す基本姿勢(初期状態)からの穿孔装置100の動きを説明するための図である。ここでは、図4(a)は第1の往復動作を説明するために用い、図4(b)は第2の往復動作を説明するために用いる。
【0031】
まず、第1の往復動作について説明する。
図3(a)の初期状態から図4(a)の状態へ移行するのに際し、穿孔装置100では、モータ121の回転を受けて、円盤123が図4(a)のE方向(図の時計回り)に回転する。円盤123のE方向の回転により、クランクピン124もE方向に回転し、同時にクランクピン124は溝126を摺動して、アーム125をF方向(図の右方向)に移動させる。これにより、スライダ127が一方向であるF方向に移動する。スライダ127によるF方向の移動により第1のスライダ歯車128もF方向に移動し、第1のスライダ歯車128に噛み合っている第1の扇形ピニオン歯車131により、第1ピニオン歯車機構130がG方向(図の時計回り)に回転する。第1の扇形ピニオン歯車131と一体である突出部133もG方向に回転し、回転駆動力を第2の扇形ピニオン歯車132に伝達して、第2の扇形ピニオン歯車132がG方向に回転する。第2の扇形ピニオン歯車132のG方向の回転により、パンチピン101(図4(a)では101aと101b)がH方向に動作し、上側シュート112と下側シュート113との間にある用紙の所定の位置を穿孔する。
【0032】
このとき、第2のパンチピン101bの第2ピニオン歯車機構140は、第2のパンチピン101bのH方向への動作を妨げないように機能する。即ち、スライダ127のF方向への移動により第2のスライダ歯車129もF方向へ移動し、第2のスライダ歯車129に噛み合っている第1の扇形ピニオン歯車141により、第2ピニオン歯車機構140がI方向(図4の時計回り)に回転する。しかしながら、第2の扇形ピニオン歯車142は、突出部143に押されることがなく、I方向には回転しない。その一方で、第2の扇形ピニオン歯車142はラック歯車B104に噛み合っており、また浮遊歯車であることから、第2のパンチピン101bのH方向の動きを妨げることなく、この動きに追従してJ方向(図の反時計回り)に回転する。
【0033】
本実施の形態では、図3(a)状態から図4(a)状態への往きの動作と、図4(a)状態から図3(a)状態への帰りの動作とによって、一方向へ往って帰る第1の往復動作を行う。この図4(a)状態から図3(a)状態への「帰り」の動作では、スライダ127のF方向と反対方向(図4(a)の左方向)の動きにより、第1のスライダ歯車128と第2のスライダ歯車129とがF方向と反対方向に動き、第1の扇形ピニオン歯車131,141をG方向とは逆方向(反時計回り)に回転させる。この回転により突出部133,143も回転し、突出部133,143の押し付けが解除された第2の扇形ピニオン歯車132,142は、パンチピン101a,101bのH方向への押し付けを解除する。一方、図4(a)状態にて縮められた状態にあったスプリング105は、第2の扇形ピニオン歯車132,142の押し付け解除によってH方向とは逆方向にパンチピン101a,101bを付勢し、パンチピン101a,101bを元に戻すように作用する。このスプリング105の付勢によってパンチピン101a,101bが上昇し、ラック歯車A103に噛み合っていた第2の扇形ピニオン歯車132がG方向とは逆方向(反時計回り)に回転し、ラック歯車B104に噛み合っていた第2の扇形ピニオン歯車142がJ方向とは逆方向(時計回り)に回転する。以上によって、図2および図3(a)に示す初期状態に戻ることができる。
【0034】
次に、第2の往復動作について説明する。
図3(a)の初期状態から図4(b)の状態へ移行するのに際し、穿孔装置100では、モータ121の回転を受けて、円盤123が図4(b)のK方向(図の反時計回り)に回転する。円盤123のK方向の回転により、クランクピン124もK方向に回転し、同時にクランクピン124は溝126を摺動して、アーム125をL方向(図の左方向)に移動させる。これにより、スライダ127が他方向であるL方向に移動する。スライダ127によるL方向の移動により第1のスライダ歯車128もL方向に移動し、第1のスライダ歯車128に噛み合っている第1の扇形ピニオン歯車131がM方向(図の反時計回り)に回転する。第2の扇形ピニオン歯車132は、第1の扇形ピニオン歯車131の回転に無関係であり、駆動力は伝達されない。その結果、スプリング105により上方に付勢されている第1のパンチピン101aは動作せず、第1のパンチピン101aは上方の待機場所に位置したまま(図3(a)の状態のまま)である。
【0035】
一方、第2のパンチピン101bに噛み合っている第2ピニオン歯車機構140は、スライダ127によるL方向の移動により同様に移動する第2のスライダ歯車129の移動を受け、第1の扇形ピニオン歯車141により、第2ピニオン歯車機構140がM方向(図の反時計回り)に回転する。第1の扇形ピニオン歯車141と一体である突出部143もM方向に回転し、回転駆動力を第2の扇形ピニオン歯車142に伝達して、第2の扇形ピニオン歯車142がM方向に回転する。第2の扇形ピニオン歯車142のM方向の回転により、第2のパンチピン101bがN方向に動作し、上側シュート112と下側シュート113との間にある用紙の所定の位置を穿孔する。このとき、第1ピニオン歯車機構130の第2の扇形ピニオン歯車132は、第2のパンチピン101bのラック歯車A103のN方向への動作によってO方向に回転するが、単に連動するだけであり、他に影響を与える動作ではない。
【0036】
尚、穿孔装置100は、図3(a)状態から図4(b)状態への往きの動作と、図4(b)状態から図3(a)状態への帰りの動作とによって、他方向へ往って帰る第2の往復動作を行う。この図4(b)状態から図3(a)状態への「帰り」の動作では、スライダ127のL方向と反対方向(図4(b)の右方向)の動きにより、第1のスライダ歯車128と第2のスライダ歯車129とがL方向と反対方向に動き、第1の扇形ピニオン歯車131,141 と突出部133,143とをM方向とは逆方向(図の時計回り)に回転させる。これによって、まず第1のパンチピン101aは図3(a)に示す初期状態に戻ることができる。
【0037】
第2のパンチピン101bの作動箇所では、第2ピニオン歯車機構140の突出部143の押し付けが解除された第2の扇形ピニオン歯車142は、第2のパンチピン101bのN方向への押し付けを解除する。一方、図4(b)状態にて縮められた状態にあったスプリング105は、第2の扇形ピニオン歯車142の押し付け解除によってN方向とは逆方向に第2のパンチピン101bを付勢し、第2のパンチピン101bを元に戻すように作用する。このスプリング105の付勢によって第2のパンチピン101bが上昇し、第1のラック歯車のラック歯車A103に噛み合っていた第2の扇形ピニオン歯車132がO方向とは逆方向(反時計回り)に回転し、ラック歯車B104に噛み合っていた第2の扇形ピニオン歯車142がM方向とは逆方向(時計回り)に回転する。以上によって、第2のパンチピン101bは図3(a)に示す初期状態に戻ることができる。
【0038】
次に、図5および図6を参照して、4つのパンチピン101(101a〜101d)の動きについて説明する。
図5(a),(b)は一方向へ往って帰る第1の往復動作を説明するための図である。図5(a)に示す初期状態では、スプリング105に付勢され、4つのパンチピン101(101a〜101d)は全て上昇した待機位置にあり、上側シュート112と下側シュート113との間に用紙が搬送可能である。
【0039】
その後、第1の往復動作の往きとして、スライダ127がF方向(図5(b)の右方向)に移動すると、図5(b)に示すように、第1のスライダ歯車128もF方向に移動し、4つのパンチピン101(101a〜101d)に各々噛み合っている第1ピニオン歯車機構130がG方向に回転する。第1ピニオン歯車機構130と噛み合う第1のラック歯車のラック歯車A103により、4つのパンチピン101(101a〜101d)は全てH方向に動作する。これによって、用紙の4箇所を全て穿孔する。
【0040】
その後、第1の往復動作の帰りでは、スライダ127がF方向とは逆の方向に移動する。これによって、第1ピニオン歯車機構130によるH方向への押し付けが解かれ、4つのパンチピン101(101a〜101d)はスプリング105に付勢されて図5(a)の待機位置に戻る。
このように、一方向へ往って帰る第1の往復動作により、4つのパンチピン101(101a〜101d)を全て動作させることが可能となり、用紙の4箇所を同時に穿孔することができる。
【0041】
図6(a),(b)は、他方向へ往って帰る第2の往復動作を説明するための図である。図6(a)に示す初期状態では、スプリング105に付勢され、4つのパンチピン101(101a〜101d)は全て上昇した待機位置にあり、上側シュート112と下側シュート113との間に用紙が搬送可能である。
【0042】
その後、第2の往復動作の往きとして、スライダ127がL方向(図6(b)の左方向)に移動すると、図6(b)に示すように、第2のスライダ歯車129もL方向に移動し、第2のパンチピン群である第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとに各々噛み合っている第2ピニオン歯車機構140がM方向に回転する。第2ピニオン歯車機構140と噛み合う第1のラック歯車のラック歯車B104により、第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとがN方向に動作する。これによって、用紙の中央側2箇所を穿孔する。
【0043】
その後、第2の往復動作の帰りでは、スライダ127がL方向とは逆の方向(図6(b)の右方向)に移動する。これによって、第2ピニオン歯車機構140によるN方向への押し付けが解かれ、第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとはスプリング105に付勢されて図6(a)の待機位置に戻る。
このように、一方向へ往って帰る第2の往復動作により、第2のパンチピン群である第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとを動作させることが可能となり、用紙の2箇所を穿孔することができる。
【0044】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、実施の形態1の歯車機構(第1ピニオン歯車機構130および第2ピニオン歯車機構140)を用いた構成に代わり、歯欠けピニオン歯車(第1の歯欠けピニオン歯車210と第2の歯欠けピニオン歯車220)を用いた穿孔装置100に関する。尚、実施の形態1と同様の機能については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
【0045】
(穿孔装置の構成)
図7〜図9は、実施の形態2が適用される穿孔装置100の構成を示した説明図である。図7は穿孔装置100の斜視図、図8(a)〜(c)は穿孔装置100の構成を示した説明図、図9(a),(b)、図10(a),(b)は穿孔装置100の作用を説明するための図である。
【0046】
図7および図8(a)〜(c)に示すように、実施の形態2の穿孔装置100は、実施の形態1と同様に複数(本実施の形態では4個)のパンチピン101(第1のパンチピン101a、第2のパンチピン101b、第3のパンチピン101c、第4のパンチピン101d)が配置されており、同様に、第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101dとが第1のパンチピン群を構成し、第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101cとが第2のパンチピン群を構成している。また、図7および図8(a)〜(c)では、実施の形態1と同様、スライダ127を備えている。ここでは、図3および図4にて説明した駆動源の説明を省略しているが、このスライダ127をスライドさせるために、実施の形態1と同様の機能(モータ121、歯車122、円盤123、クランクピン124、アーム125、溝126)を全て備えている。
【0047】
この実施の形態2では、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)の位置に対応して第1の歯欠けピニオン歯車210が設けられ、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)の位置に対応して第2の歯欠けピニオン歯車220が設けられている。本実施の形態2において、この第1の歯欠けピニオン歯車210と、第2の歯欠けピニオン歯車220とを併せ総称したものが歯車変換機構である。
【0048】
図8(b)では第1のパンチピン群を動作させる機構を詳述し、図8(c)では第2のパンチピン群を動作させる機構を詳述している。
図8(b)に示すように、スライダ127は、第1の歯欠けピニオン歯車210に噛み合って駆動する第1のスライダ歯車201と、第1の歯欠けピニオン歯車210の静止位置を制御(決定)する平坦突出部202と、第1の歯欠けピニオン歯車210の回転開始を制御する切り上げ部203とを備えている。スライダ127のP方向やQ方向の動きに連動して、第1のスライダ歯車201、平坦突出部202、および切り上げ部203もP方向およびQ方向に移動する。
【0049】
第1の歯欠けピニオン歯車210は、スライダ127の第1のスライダ歯車201に噛み合う第1のピニオン歯車列211と、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)の各々にネジ106によって取り付けられる第1のラック歯車のラック歯車A103と噛み合う第2のピニオン歯車列212とを備えている。そして、この第1のピニオン歯車列211と第2のピニオン歯車列212との間には、歯車列が所定範囲だけ取り除かれた歯欠け部213が設けられている。更に、第1の歯欠けピニオン歯車210には、スライダ127の切り上げ部203に押されることで、第1の歯欠けピニオン歯車210の軸210aを中心軸とする回転を開始させるレバー215が設けられている。第1の歯欠けピニオン歯車210の第1のピニオン歯車列211、第2のピニオン歯車列212、歯欠け部213、およびレバー215は、軸210aを中心として一体となって回転する。
【0050】
尚、図8に示す実施の形態2には、実施の形態1に示したスプリング105が設けられていない。これは、図8(b)に示す第1のピニオン歯車列211の先端部211aが平坦突出部202に当接することで、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)の各々のパンチピン101が自重による下降を防いでいるためである。これにより、スプリング105を特に設けなくてもパンチピン101が自重で下方に落下(移動)することがない。
【0051】
また、図8(c)に示すように、スライダ127は、第2の歯欠けピニオン歯車220に噛み合って駆動する第2のスライダ歯車205と、第2の歯欠けピニオン歯車220の静止位置を制御(決定)する平坦突出部206と、第2の歯欠けピニオン歯車220の回転開始を制御する切り上げ部207とを備えている。スライダ127のP方向やQ方向の動きに連動して、第2のスライダ歯車205、平坦突出部206、および切り上げ部207もP方向およびQ方向に移動する。
【0052】
第2の歯欠けピニオン歯車220は、スライダ127の第2のスライダ歯車205に噛み合う第1のピニオン歯車列221と、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)の各々にネジ106によって取り付けられる第1のラック歯車のラック歯車B104と噛み合う第2のピニオン歯車列222とを備えている。そして、この第1のピニオン歯車列221と第2のピニオン歯車列222との間には、歯車列が所定範囲だけ取り除かれた歯欠け部223が設けられている。更に、第2の歯欠けピニオン歯車220には、スライダ127の切り上げ部207に押されることで、第2の歯欠けピニオン歯車220の軸220aを中心軸とする回転を開始させるレバー225が設けられている。第2の歯欠けピニオン歯車220の第1のピニオン歯車列221、第2のピニオン歯車列222、歯欠け部223、およびレバー225は、軸220aを中心として一体となって回転する。
【0053】
そして、実施の形態2が適用される穿孔装置100は、上述のような構造を有しているが、図8(b)に示す第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)を駆動する構造と、図8(c)に示す第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)を駆動する構造とは、ほぼ左右対称である。これによって、後述するような穿孔動作を実現できる。
尚、図8(c)に示す第1のピニオン歯車列221の先端部221aが平坦突出部206に当接することで、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)の各々のパンチピン101が自重により下降することが防止され、初期状態を維持できる。
本実施の形態2において、第1のスライダ歯車201と、第2のスライダ歯車205とを併せ総称したものが第2のラック歯車である。
【0054】
(穿孔装置の作用)
次に、実施の形態2に係る穿孔装置100の作用について、図9(a),(b)、図10(a),(b)を用いて説明する。図9(a),(b)はスライダ127が一方向へ往って帰る第1の往復動作の説明図、図9(a)は初期状態(最初と帰りの状態)の説明図、図9(b)は往きの状態の説明図である。図9(a)に示す初期状態では、4つのパンチピン101(101a〜101d)は全て上昇した待機位置にあり、上側シュート112と下側シュート113との間に用紙が搬送可能である。第1の歯欠けピニオン歯車210の先端部211a、および第2の歯欠けピニオン歯車220の先端部221aが、平坦突出部202,206(図8(b),(c)参照)に各々、当接することで、パンチピン101(101a〜101d)の上昇位置が保たれている。
【0055】
その後、第1の往復動作の往きとして、スライダ127がP方向(図9(b)の右方向)に移動すると、図9(b)に示すように、第1のスライダ歯車201もP方向に移動し、切り上げ部203(図8(b)参照)もP方向へ移動する。そして、レバー215が切り上げ部203に押され、第1のスライダ歯車201に噛み合っている第1の歯欠けピニオン歯車210がR1方向に回転する。そして、この第1の歯欠けピニオン歯車210に第1のラック歯車のラック歯車A103が噛み合っている第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)が、S1方向に動作する。これによって、用紙の2箇所に対して穿孔処理が施される。このとき、第2の歯欠けピニオン歯車220の先端部221aは平坦突出部206(図8(c)参照)に当接しており、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)は下降せず、上昇位置が保たれる。
【0056】
そして、第1の往復動作の帰りでは、スライダ127がP方向とは逆の方向に移動する。これによって、第1の歯欠けピニオン歯車210が逆転し(図8(b)のR2方向に回転し)、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)が元に戻る。これによって、図9(a)の状態となる。
【0057】
次に、他方向へ往って帰る第2の往復動作について、図10(a),(b)を用いて説明する。図10(a),(b)はスライダ127が他方向へ往って帰る第2の往復動作を示しており、図10(a)は初期状態(最初と帰りの状態)、図10(b)は往きの状態を示している。図10(a)に示す初期状態では、4つのパンチピン101(101a〜101d)は全て上昇した待機位置にあり、上側シュート112と下側シュート113との間に用紙が搬送可能である。第1の歯欠けピニオン歯車210の先端部211a、および第2の歯欠けピニオン歯車220の先端部221aが、平坦突出部202,206(図8(b),(c)参照)に各々、当接することで、パンチピン101(101a〜101d)の上昇位置が保たれている。
【0058】
その後、第2の往復動作の往きとして、スライダ127がQ方向(図10(b)の左方向)に移動すると、図10(b)に示すように、第2のスライダ歯車205もQ方向に移動し、切り上げ部207(図8(c)参照)もQ方向へ移動する。そして、レバー225が切り上げ部205に押され、第2のスライダ歯車205に噛み合っている第2の歯欠けピニオン歯車220がT1方向に回転する。そして、この第2の歯欠けピニオン歯車220に第1のラック歯車のラック歯車B104が噛み合っている第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)が、U1方向に動作する。これによって、用紙の2箇所に対して穿孔処理が施される。このとき、第1の歯欠けピニオン歯車210の先端部211aは平坦突出部202(図8(b)参照)に当接しており、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)は下降せず、上昇位置が保たれる。
【0059】
そして、第2の往復動作の帰りでは、スライダ127がQ方向とは逆の方向に移動する。これによって、第2の歯欠けピニオン歯車220が逆転し(図8(c)のT2方向に回転し)、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)が元に戻る。これによって、図10(a)の状態となる。
【0060】
実施の形態2では、図9(a),(b)に示すスライダ127の一方向へ往って帰る第1の往復動作と、図10(a),(b)に示すスライダ127の他方向へ往って帰る第2の往復動作とを繰り返すことで、用紙の4箇所への穿孔が可能となる。前述のように、この実施の形態2では、スライダ127をスライドさせるために、実施の形態1と同様の機能(モータ121、歯車122、円盤123、クランクピン124、アーム125、溝126)を備えている。この4箇所への穿孔は、図4(a),(b)に示すように、例えばモータ121の180度回転毎の反転により行うことも可能であるが、例えばモータ121を一回転させることによっても行うことができる。
尚、用紙の4箇所ではなく2箇所だけを穿孔する場合には、モータ121の反転だけを繰り返し、スライダ127の一方向または他方向の何れかを繰り返し行えば良い。
【0061】
〔実施の形態3〕
実施の形態3では、主に、実施の形態1の構造と実施の形態2の構造とを組み合わせて、穿孔装置100を構成している。
図11は、実施の形態3の穿孔装置100を示す構成図である。この実施の形態3にて、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)には第1の歯欠けピニオン歯車210が設けられ、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)には、第1ピニオン歯車機構130と第2ピニオン歯車機構140とが設けられている。この実施の形態3では、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)にて、実施の形態1のスプリング105(図3(a)参照)が設けられていない。その代わりに、第1ピニオン歯車機構130の第1の扇形ピニオン歯車131と第2の扇形ピニオン歯車132とを付勢するスプリング139、第2ピニオン歯車機構140の第1の扇形ピニオン歯車141と第2の扇形ピニオン歯車142とを付勢するスプリング149とが設けられている。尚、図示は省略しているが、スライダ127をスライドさせるための機構として、実施の形態1と同様の機能(モータ121、歯車122、円盤123、クランクピン124、アーム125、溝126)を備えている。
【0062】
スライダ127の一方向(F方向)へ往って帰る第1の往復動作では、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)および第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)が作動し、4つのパンチピン101(101a〜101d)が全て用紙の穿孔動作を行なう。
一方、スライダ127の他方向(L方向)へ往って帰る第2の往復動作では、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)が作動し、第1のパンチピン群(第1のパンチピン101aと第4のパンチピン101d)は作動しない。即ち、第2のパンチピン群(第2のパンチピン101bと第3のパンチピン101c)によって2つの孔あけ動作が行なわれる。
このように、実施の形態3によっても、スライダ127の一方向(F方向)への往復動作と他方向(L方向)への往復動作を行なうことで、パンチピン群の中で穿孔動作を行なうパンチピン101を切り替えることが可能となる。
【0063】
上述の実施の形態は、説明のために例示したものであって、本発明はそれに限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載から当事者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。
例えば、前記した実施の形態においては、4個のパンチピンを用いた穿孔装置を示したが、4個に限定されるものではなく、2個であっても6個であっても良い。さらに、偶数個ではなく、3個、5個等の奇数個であっても良い。
また、前記した実施の形態においては、パンチピン101に第1のラック歯車150(左側のラック歯車A103と右側のラック歯車B104)をネジ106により固定した構成を示したが、これに限定されるものではなく、パンチピン101に第1のラック歯車150を機械加工等により直接形成しても良い。
【0064】
また、前記した実施の形態は、用紙処理装置として、搬送装置10と、第1後処理装置30と、第2後処理装置50とを備えたものを示したが、特開2008−94612号公報、特開2008−001518号公報に記載されている用紙処理装置(後処理装置)のように、画像形成装置から排出された用紙を直接、第1後処理装置30が受け入れ、その用紙搬送路に穿孔装置100が設置されているタイプの用紙処理装置であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態(実施の形態1)が適用される画像形成システムの全体構成を示した図である。
【図2】本実施の形態が適用される穿孔装置の斜視図である。
【図3】(a),(b)はモータを含む穿孔装置の構成を示した説明図である。
【図4】(a),(b)は、穿孔装置の特徴的な動きを説明するための説明図である。
【図5】(a),(b)は、穿孔装置の特徴的な動きを説明するための説明図である。
【図6】(a)、(b)は、このスタッカトレイの上昇/下降動作を説明するための図である。
【図7】本実施の形態2が適用される穿孔装置の斜視図である。
【図8】(a)〜(c)は実施の形態2が適用される穿孔装置の構成を示した説明図である。
【図9】(a),(b)は、実施の形態2が適用される穿孔装置の作用を説明するための図である。
【図10】(a),(b)は、実施の形態2が適用される穿孔装置の作用を説明するための図である。
【図11】実施の形態3の穿孔装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、3…用紙処理装置、10…搬送装置、100…穿孔装置、101…パンチピン、101a…第1のパンチピン、101b…第2のパンチピン、101c…第3のパンチピン、101d…第4のパンチピン、127…スライダ、130…第1ピニオン歯車機構、140…第2ピニオン歯車機構、210…第1の歯欠けピニオン歯車、220…第2の歯欠けピニオン歯車
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンと、
第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けて前記パンチピンの移動方向と交差する方向に往復動作するスライダと、
扇形ピニオン歯車および/または歯欠けピニオン歯車を有し、前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合って当該スライダの往復動作を当該パンチピンの移動動作に変換する歯車変換機構と、を備えたことを特徴とする用紙穿孔装置。
【請求項2】
前記スライダは、一方向を使った往復動作と他方向を使った往復動作とを行ない、
前記歯車変換機構は、前記スライダが前記一方向を使った往復動作をする際に前記パンチピンを移動させ、前記スライダが前記他方向を使った往復動作をする際には当該パンチピンを移動させないことを特徴とする請求項1に記載の用紙穿孔装置。
【請求項3】
前記歯車変換機構は、前記スライダの前記第2のラック歯車に噛み合う第1扇形ピニオン歯車と、前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合う第2扇形ピニオン歯車とを含み、
前記第2扇形ピニオン歯車は、前記第1扇形ピニオン歯車に対して回転の自由度が一部にて許容されることを特徴とする請求項2に記載の用紙穿孔装置。
【請求項4】
前記パンチピンは、前記スライダが往復動作する方向に複数、配置され、
当該複数のパンチピンの少なくとも何れか1つは、当該パンチピンの軸心を挟んだ一方側にラック歯車Aを有し、当該軸心を挟んだ他方側にラック歯車Bを有し、
前記歯車変換機構を構成する第1の歯車変換機構を前記パンチピンの前記ラック歯車Aに対峙させ、当該第1の歯車変換機構を反転させた第2の歯車変換機構を当該パンチピンの前記ラック歯車Bに対峙させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の用紙穿孔装置。
【請求項5】
前記歯車変換機構は、前記スライダが前記他方向に往復動作をする際に、前記歯欠けピニオン歯車の歯欠け部分を当該スライダに対峙させることで、前記パンチピンを移動させないことを特徴とする請求項2に記載の用紙穿孔装置。
【請求項6】
第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けて一方向へ往って帰る第1の往復動作と他方向へ往って帰る第2の往復動作とを行なうスライダと、
第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンを前記スライダが動作する方向に当該軸心方向を交差させて複数、配置するパンチピン群と、
前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第1の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第2の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第1の歯車機構と、
前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第2の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第1の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第2の歯車機構と、を有し、
前記パンチピン群を構成する前記パンチピンについて、前記第1の歯車機構および/または前記第2の歯車機構を噛み合わせることを特徴とする用紙穿孔装置。
【請求項7】
前記パンチピン群の中の第1のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第1の歯車機構だけを噛み合わせ、
前記パンチピン群の中の第2のパンチピン群を構成するパンチピンには、前記第2の歯車機構だけ、または前記第1の歯車機構と当該第2の歯車機構とを共に噛み合わせることを特徴とする請求項6に記載の用紙穿孔装置。
【請求項8】
前記第2のパンチピン群を構成するパンチピンの軸心を挟んだ一方側に前記第1の歯車機構を噛み合わせ、当該パンチピンの当該軸心を挟んだ他方側に前記第2の歯車機構を噛み合わせ、
前記スライダの前記第1の往復動作と前記第2の往復動作との両者の往復動作により、前記第2のパンチピン群を構成する前記パンチピンを動作させることを特徴とする請求項7に記載の用紙穿孔装置。
【請求項9】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から出力された用紙の所定箇所に孔を空ける用紙穿孔装置とを備え、
前記用紙穿孔装置は、
第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けて一方向へ往って帰る第1の往復動作と他方向へ往って帰る第2の往復動作とを行なうスライダと、
第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンを前記スライダが動作する方向に当該軸心方向を交差させて複数、配置するパンチピン群と、
前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第1の往復動作によって当該パンチピンを動作させ、前記第2の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第1の歯車機構と、
前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第2の往復動作によって当該パンチピンを動作させ、前記第1の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第2の歯車機構と、を有し、
前記パンチピン群の中の所定のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第1の歯車機構だけを噛み合わせ、
前記パンチピン群の中の前記所定のパンチピン群を除く他のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第2の歯車機構だけ、または前記第1の歯車機構および当該第2の歯車機構の両者を噛み合わせることを特徴とする画像形成システム。
【請求項1】
第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンと、
第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けて前記パンチピンの移動方向と交差する方向に往復動作するスライダと、
扇形ピニオン歯車および/または歯欠けピニオン歯車を有し、前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合って当該スライダの往復動作を当該パンチピンの移動動作に変換する歯車変換機構と、を備えたことを特徴とする用紙穿孔装置。
【請求項2】
前記スライダは、一方向を使った往復動作と他方向を使った往復動作とを行ない、
前記歯車変換機構は、前記スライダが前記一方向を使った往復動作をする際に前記パンチピンを移動させ、前記スライダが前記他方向を使った往復動作をする際には当該パンチピンを移動させないことを特徴とする請求項1に記載の用紙穿孔装置。
【請求項3】
前記歯車変換機構は、前記スライダの前記第2のラック歯車に噛み合う第1扇形ピニオン歯車と、前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合う第2扇形ピニオン歯車とを含み、
前記第2扇形ピニオン歯車は、前記第1扇形ピニオン歯車に対して回転の自由度が一部にて許容されることを特徴とする請求項2に記載の用紙穿孔装置。
【請求項4】
前記パンチピンは、前記スライダが往復動作する方向に複数、配置され、
当該複数のパンチピンの少なくとも何れか1つは、当該パンチピンの軸心を挟んだ一方側にラック歯車Aを有し、当該軸心を挟んだ他方側にラック歯車Bを有し、
前記歯車変換機構を構成する第1の歯車変換機構を前記パンチピンの前記ラック歯車Aに対峙させ、当該第1の歯車変換機構を反転させた第2の歯車変換機構を当該パンチピンの前記ラック歯車Bに対峙させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の用紙穿孔装置。
【請求項5】
前記歯車変換機構は、前記スライダが前記他方向に往復動作をする際に、前記歯欠けピニオン歯車の歯欠け部分を当該スライダに対峙させることで、前記パンチピンを移動させないことを特徴とする請求項2に記載の用紙穿孔装置。
【請求項6】
第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けて一方向へ往って帰る第1の往復動作と他方向へ往って帰る第2の往復動作とを行なうスライダと、
第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンを前記スライダが動作する方向に当該軸心方向を交差させて複数、配置するパンチピン群と、
前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第1の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第2の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第1の歯車機構と、
前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第2の往復動作によって当該パンチピンを動作させ前記第1の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第2の歯車機構と、を有し、
前記パンチピン群を構成する前記パンチピンについて、前記第1の歯車機構および/または前記第2の歯車機構を噛み合わせることを特徴とする用紙穿孔装置。
【請求項7】
前記パンチピン群の中の第1のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第1の歯車機構だけを噛み合わせ、
前記パンチピン群の中の第2のパンチピン群を構成するパンチピンには、前記第2の歯車機構だけ、または前記第1の歯車機構と当該第2の歯車機構とを共に噛み合わせることを特徴とする請求項6に記載の用紙穿孔装置。
【請求項8】
前記第2のパンチピン群を構成するパンチピンの軸心を挟んだ一方側に前記第1の歯車機構を噛み合わせ、当該パンチピンの当該軸心を挟んだ他方側に前記第2の歯車機構を噛み合わせ、
前記スライダの前記第1の往復動作と前記第2の往復動作との両者の往復動作により、前記第2のパンチピン群を構成する前記パンチピンを動作させることを特徴とする請求項7に記載の用紙穿孔装置。
【請求項9】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から出力された用紙の所定箇所に孔を空ける用紙穿孔装置とを備え、
前記用紙穿孔装置は、
第2のラック歯車を有し、駆動源からの駆動力を受けて一方向へ往って帰る第1の往復動作と他方向へ往って帰る第2の往復動作とを行なうスライダと、
第1のラック歯車を有し、軸心方向に移動することにより用紙に孔を形成するパンチピンを前記スライダが動作する方向に当該軸心方向を交差させて複数、配置するパンチピン群と、
前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第1の往復動作によって当該パンチピンを動作させ、前記第2の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第1の歯車機構と、
前記スライダの前記第2のラック歯車および前記パンチピンの前記第1のラック歯車に噛み合い、当該スライダの前記第2の往復動作によって当該パンチピンを動作させ、前記第1の往復動作によっては当該パンチピンを動作させない第2の歯車機構と、を有し、
前記パンチピン群の中の所定のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第1の歯車機構だけを噛み合わせ、
前記パンチピン群の中の前記所定のパンチピン群を除く他のパンチピン群を構成するパンチピンには前記第2の歯車機構だけ、または前記第1の歯車機構および当該第2の歯車機構の両者を噛み合わせることを特徴とする画像形成システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−291881(P2009−291881A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147392(P2008−147392)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
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