説明

用紙裁断装置

【課題】用紙から切り取られ不要となった紙を、より小さく切断する切断刃の耐久性を向上できる用紙裁断装置を提供する。
【解決手段】用紙裁断装置101は、用紙Pを所定方向に裁断処理する裁断刃37を設けてなる用紙裁断機構18と、前記用紙裁断機構18において切り取られ不要となった紙片をより小さく切断する切断刃19及び前記切断刃19の駆動部を設けてなる紙片切断機構28と、前記紙片切断機構28に前記紙片が供給されない場合には前記駆動部を停止するよう制御する制御部45とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙裁断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙裁断装置に関し、下記特許文献1には、画像情報を記録した記録シートの不要部分を切り取り、切断するための切断手段を備える技術が開示されている。この切断手段によって、帯状の記録シートの幅方向両端縁にある不要部分が記録シートの搬送方向に平行に切り取られ、幅狭で長尺の帯状紙とされ、この切り取った帯状紙を搬送方向に直交する幅方向に沿って切断することで、複数のより小さな紙片に切断することとされ、これにより、不要部分が嵩張ることなく容易に廃棄できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−80795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の装置では、記録シートを搬送する搬送ローラと、切断手段の切断刃とが連動して作動している。そして、不要部分である長尺の帯状紙が切り取られた直後、切断刃によってすぐに小さな紙片に切断されるので、記録シートの搬送中は切断刃の切断動作が途切れることなく連続して行われる。このため切断刃が磨耗しやすいという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、用紙から切り取られ不要となった紙を、より小さく切断する切断刃の耐久性を向上できる用紙裁断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の用紙裁断装置は、用紙を所定方向に裁断処理する裁断刃を設けてなる用紙裁断機構と、前記用紙裁断機構において切り取られ不要となった紙片を、より小さく切断する切断刃及び前記切断刃の駆動部を設けてなる紙片切断機構とを備えた用紙裁断装置であって、前記紙片切断機構に前記紙片が供給されない場合には、前記駆動部を停止するよう制御する制御部とを備えたものである。
【0007】
本発明は、上記内容に加え、好ましくは、次の構成を備えている。(a)紙片を用紙裁断機構から紙片切断機構へ供給する紙片供給経路上に設置され、前記紙片切断機構において前記紙片の切断処理を行わない場合には、前記紙片を紙片回収部へ案内する案内部材を設けている。
【0008】
(b)制御部は、紙片の大きさに基づいて、紙片切断機構における紙片の切断処理を行うかどうかを判断している。
【0009】
(c)紙片切断機構における紙片の切断処理を行うかどうかを、使用者が設定可能に構成している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、紙片切断機構に不要となった紙片が供給されない場合には、制御部が駆動部を停止するよう制御するので、切断刃の磨耗を防止することができ、耐久性を向上できる。
【0011】
また、紙片を用紙裁断機構から紙片切断機構へ供給する紙片供給経路上に、紙片切断機構において紙片の切断処理を行わないとき、紙片を紙片回収部へ案内する案内部材を設けた場合は、切断処理を行わない紙片を容易に紙片回収部へ回収することができる。
【0012】
そして、制御部は、紙片の大きさに基づいて、紙片切断機構における紙片の切断処理を行うかどうかを判断する場合は、紙片を回収した際に嵩高くなりうる紙片のみを自動で紙片切断機構へ供給し、切断処理することができ、使用者の作業負担の軽減が可能である。
【0013】
更に、紙片切断機構における紙片の切断処理を行うかどうかを、使用者が設定可能に構成した場合は、用紙の厚さ等に応じて実際に切断処理が必要であると使用者が判断した場合にのみ切断処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る用紙裁断装置を備えた用紙加工装置の模式縦断面図である。
【図2】用紙の加工品配列パターンの一例を示す平面図である。
【図3】用紙の加工品配列パターンの他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)[用紙加工装置の全体構成] 本発明にかかる用紙裁断装置の第1の実施形態を、図面を用いて説明する。図1は本発明に係る用紙裁断装置を備えた用紙加工装置の模式縦断面図である。この図1において、用紙加工装置100は、装置本体1の用紙Pの搬送方向Fの上流端部に給紙部3を備え、搬送方向Fの下流端部に紙受け部2を備え、該給紙部3と紙受け部2との間に、略水平な搬送経路5が構成されている。給紙部3には給紙ローラ対8が配置され、搬送経路5には、複数の搬送ローラ対9〜17が搬送方向Fに間隔をおいて配置されると共に、主たる加工機構として、用紙搬送上流側から用紙搬送下流側に向けて、スリッター機構20、クリース機構21及びカッター機構22が配置されている。
【0016】
スリッター機構20、クリース機構21及びカッター機構22は、それぞれ着脱可能なユニットとして構成されており、カセット方式により、装置本体1内の所望の位置に着脱できる構造となっている。したがって、加工の種類に応じて、各機構20,21,22の配置順序を変更したり、あるいは他の機構(面取り機構、ミシン目形成機構等)と取り替えたり、追加したりすることができる。
【0017】
スリッター機構20の用紙搬送上流側には、読取手段26及びリジェクト機構25が配置され、スリッター機構20の用紙搬送下流側には、紙片落とし機構27が配置されている。また、装置本体1内の下部には、紙片切断機構28及び紙片回収部23が配置されている。スリッター機構20、紙片切断機構28は、用紙裁断装置101を構成している。
【0018】
各搬送ローラ対9〜17は、動力伝達機構を介して各ローラ駆動部41〜44にそれぞれ連結されており、各ローラ駆動部41〜44は制御部45に電気的に接続されている。制御部45には、CPUや、RAM及びROM等の記憶装置が内蔵されており、制御部45のインターフェースには、各種作業設定情報を入力し、かつ、表示するための操作パネル46並びに読取手段26が電気的に接続されている。
【0019】
搬送経路5には、さらに、用紙Pの前端縁(用紙搬送下流端縁)Paあるいは用紙後端縁(用紙搬送上流端縁)Pbを検出する複数の光透過式の用紙検出センサー31〜35が配置されており、それぞれ制御部45のインターフェースに電気的に接続されている。最も用紙搬送上流側の第1の用紙検出センサー31は、読取手段26の用紙搬送上流側近傍に配置され、次の第2の用紙検出センサー32は、スリッター機構20の用紙搬送上流側近傍に配置され、次の第3の用紙検出センサー33は,スリッター機構20の途中に配置され、次の第4の用紙検出センサー34は、クリース機構21の用紙搬送上流側近傍に配置され、最も用紙搬送下流側の第5の用紙検出センサー35は、紙受け部2の用紙搬送上流側近傍に配置されている。
【0020】
最も搬送方向上流側の第1の用紙検出センサー31は、給紙部3から用紙Pが供給された後、搬送ローラ対9で把持された用紙Pの前端縁Pa又は後端縁Pbを検出し、検出した用紙位置を基準にして、搬送経路5上で搬送されている各用紙Pの位置を一義的に検出する。
【0021】
第2の用紙検出センサー32及び第3の用紙検出センサー33は、用紙Pの詰まりを検出する。第4の用紙検出センサー34は、搬送経路5が長くなって搬送経路5上の用紙Pの搬送方向Fの位置ずれ(搬送誤差)の累積が起こった場合に備えて、第1の用紙検出センサー31で得られた用紙位置情報を修正して、当該用紙位置情報をより正確なものにするために補助的に設置している。第5の用紙検出センサー35は、紙受け部2への加工品Qの搬出を検出したり、詰まり等を検出する。
【0022】
[給紙部3] 給紙部3は、吸引搬送ベルト機構8aを内蔵しており、給紙トレイ3a上に積載された所定枚数の用紙Pを、吸引搬送ベルト機構8a及び給紙ローラ対8により、上端から順に、一枚ずつ搬送経路5に供給する。給紙ローラ対8のうち下方の給紙ローラ8b及び吸引搬送ベルト機構8aは、給紙用駆動部47に接続され、該給紙用駆動部47は制御部45に電気的に接続されている。
【0023】
[読取手段26] 読取手段26は、前記操作パネル46による各種作業設定情報の手動入力とは別に、自動的に作業設定情報を読み取ることができるように設置されている。具体的には、図2に示すような用紙Pの前端隅部に印刷された位置マークM1の画像を読み取って、用紙Pの搬送方向F及び搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wの加工の基準位置を検出するとともに、用紙Pの前端部に印刷されたバーコードM2の画像を読み取って用紙Pに施されるべき各種作業設定情報を取得するCCDセンサー等により構成される。作業設定情報としては、たとえば、用紙Pの搬送方向Fの全長Lf及び全幅Lwに加え、加工されることで得られる加工品Qの寸法、数及び配置に応じた折り線Cの位置情報、用紙裁断機構18としてのスリッター機構20及びカッター機構22により裁断される位置の情報等が挙げられる。
【0024】
[リジェクト機構25] 図1のリジェクト機構25は、印刷された位置マークM1やバーコードM2が不鮮明であるために読取手段26による読取が不能であった場合、その用紙Pに対して、作動し、読取不能の用紙Pを落下させて廃棄トレイ25aで回収する。
【0025】
[スリッター機構20] スリッター機構20は、搬送方向Fに3つのユニット部を並べており、各ユニット部には、上下の回転刃からなる回転刃対36が、それぞれ搬送幅方向Wに間隔を置いて2組ずつ配置されている。この回転刃対36は、用紙Pを搬送方向Fに沿って予め設定された所定位置で裁断処理する裁断刃37として構成され、スリッター機構20は、用紙裁断機構18を構成する。下側の回転刃は、動力伝達機構を介してモータ等の回転刃駆動部48に連結されている。すなわち、回転刃駆動部48の駆動力で下側の各回転刃を回転させることにより、用紙Pに対して、搬送方向Fと平行にスリットを形成するようになっている。前記各回転刃対36の搬送幅方向Wの間隔は任意に変更可能である。
【0026】
最上流のユニット部20aには、回転刃の下流側にマージン落し部材55が設置されている。最上流のユニット部20aでは、主として用紙Pの左右両端縁の不要な紙片Jaが切り取れられる。マージン落し部材55は、この左右両端縁の紙片Jaを回転刃対36によって切り取った直後に、下方に設置したベルトコンベアー61へと落下させる。尚、前記ベルトコンベアー61のローラは、モータ等の紙片搬送駆動部51に動力伝達機構を介して連結される。
【0027】
[紙片落とし機構27] 紙片落とし機構27は、前記スリッター機構20の3つのユニット部のうち、搬送方向F中央のユニット部20b及び最下流のユニット部20cで、搬送方向Fに沿って切り取られ不要となった用紙Pのなかほどの紙片Jbを、搬送経路5の下方へ排除する。紙片落とし機構27は、用紙Pが紙片落とし機構27を通過する際に、前記紙片Jbをベルトコンベアー61へ案内する。
【0028】
[紙片切断機構28]紙片切断機構28は、用紙裁断機構18としてのスリッター機構20において切り取られ不要となった紙片Ja,Jbを、より小さく切断する切断刃19、及び前記切断刃19の駆動部としての紙片切断駆動部52を設けてなる。この紙片切断機構28は、ベルトコンベアー61の近傍に設置される。切断刃19は、固定刃38と、前記固定刃38に摺接するとともに、回転体39に固設された3枚の回転刃40とを備える。紙片切断駆動部52は、回転体39に動力伝達機構を介して連結されたモータ等を備える。紙片切断駆動部52の駆動力で回転体39を回転させ、固定刃38に対し3枚の回転刃40が順次摺接することで、ベルトコンベアー61により運ばれた紙片Ja,Jbがより小さな紙片に切断され、下方に設置された紙片回収部23へ排出される。
【0029】
紙片Ja,Jbを用紙裁断機構18としてのスリッター機構20から紙片切断機構28へ供給する紙片供給経路上であるベルトコンベアー61と紙片切断機構28との間の位置には、案内部材62が設置されている。この案内部材62は、紙片切断機構28において紙片Ja,Jbの
切断処理を行わない場合に、ベルトコンベアー61により運ばれた紙片Ja,Jbを、下方の紙片回収部23へ案内する。案内部材62は、揺動自在に設置され、案内部材62を揺動させる揺動軸62aは、モータ等の案内部材駆動部53にカム、歯車等の動力伝達機構を介して連結される。案内部材駆動部53が作動し、図1において破線で示すように、案内部材62が水平姿勢から傾斜姿勢へ揺動すると、紙片Ja,Jbを紙片切断機構28の手前で下方の紙片回収部23へ案内する。
【0030】
[クリース機構21] クリース機構21は、上端凹部を有する下型21Bと、前記凹部に嵌合する下端凸部を有する上型21Aとを備えており、前記上型21Aは、モータ等の折り型駆動部49に動力伝達機構を介して連結されている。すなわち、折り型駆動部49の駆動力で上型21Aを下降させることにより、用紙Pに対して、搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wに折り目を形成する。
【0031】
[カッター機構22] カッター機構22は、用紙裁断機構18を構成し、用紙搬送幅方向Wに延び、相対向する上側可動刃22A及び下側固定刃22Bからなる一対の裁断刃を備える。上側可動刃22Aは下側固定刃22Bに対し近接離間し、これにより、用紙Pを搬送方向Fと直交する搬送幅方向Wに沿って予め設定された所定位置で裁断する。上側可動刃22Aは、動力伝達機構を介してモータ等の裁断駆動部50に連結されている。カッター機構22の下方には、裁断によって生じた紙片Jcを紙片回収部23へ送るガイド70が傾斜して設置されている。
【0032】
[用紙の加工品配列パターン]図2は、用紙Pの加工品Qの配列パターンの一例を示す平面図である。同図に示す加工品Qの配列パターンは、一枚の用紙Pから折り目を有する4枚の加工品Qを製作するようになっている。基本的には、搬送方向Fと平行に延びる4本の裁断線Sと、用紙搬送幅方向Wに延びる4本の折り線C及び8本の裁断線Kが設定されている。搬送方向Fにおける位置が等しい折り線C及び裁断線Kは、一回のクリース処理及び裁断処理によって同時に形成される。これらの裁断線S,Kで用紙Pを裁断し、折り線Cで折り目を形成することにより、折り目を有する4枚の加工品Qを製作する。尚、図2に示す加工品の配列パターンでは、スリッター機構20による搬送方向Fと平行な裁断線Sが4本となっているので、スリッター機構20のうち中央のユニット部20bまたは最下流のユニット部20cのいずれか一方のみ幅方向Wの所定位置に移動して裁断処理し、他方は、用紙搬送路5の外側へ移動して待機させる。
【0033】
このような加工品Qの配列パターンについての用紙Pに施されるべき各種作業設定情報は、使用者によって操作パネル46を用いて設定されるか、または、用紙PのバーコードM2に記録される。この各種設定情報には、用紙裁断機構18において切り取られ不要となった紙片Ja,Jbが、紙片切断機構28へ送られ、該紙片の切断処理が行われるかどうかに関する情報を含む。例えば、切り取った紙片が、コシが強く、厚さが比較的厚い等といった場合には、紙片の切断処理を行うよう設定し、そうでなければ、切断処理を行わないよう設定することが可能である。
【0034】
[カッター機構22に関する制御部45による制御内容] 図1の制御部45には、次のような制御を行うプログラムが組み込まれている。すなわち、用紙Pの各種作業設定情報で、紙片Ja,Jbの切断処理を行うよう設定された場合には、制御部45は、紙片搬送駆動部51及び紙片切断駆動部52を駆動し、ベルトコンベアー61により紙片切断機構28へと運ばれた紙片Ja,Jbをより小さな紙片に切断するよう制御する。一方、用紙Pの各種作業設定情報で、紙片Ja,Jbの切断処理を行わないよう設定された場合、制御部45は、紙片搬送駆動部51及び案内部材駆動部53を駆動し、案内部材62を図1において破線で示すように傾斜姿勢に揺動し、ベルトコンベアー61により運ばれた紙片Ja,Jbを下方の紙片回収部23へ案内する。そして、このように紙片Ja,Jbの切断処理を行わず、紙片切断機構28に紙片Ja,Jbが供給されない場合には、制御部45は、駆動部としての紙片切断駆動部52を停止するよう制御する。
【0035】
[用紙加工装置の全体作業の概要](1)図1に示す操作パネル46より、使用者が用紙Pの大きさ及び種類、加工品Qの配列、数及び寸法等に関する各種作業設定情報を入力する。なお、この手動入力の代わり、あるいは、手動入力と協働して、読取手段26によるバーコードM2等の読み取りにより、作業設定情報を自動的に入力させることもできる。
【0036】
(2)図1の給紙部3の給紙トレイ3a上に積載された複数の用紙Pを、吸引搬送ベルト機構8a及び給紙ローラ8bにより、上端から一枚ずつ搬送経路5に供給する。
【0037】
(3)読取手段26では、必要により、用紙Pの位置マークM1並びに、必要に応じてバーコードM2を読み取って用紙Pに施されるべき各種作業設定情報を取得する。
【0038】
(4)リジェクト機構25では、仮に、読取手段26による読取が不能であり、加工条件が不明である場合には、その用紙Pに対して、作動し、読取不能の用紙Pを落下させて廃棄トレイ25aで回収する。
【0039】
(5)スリッター機構20では、回転刃対36により搬送方向Fと平行な複数の裁断線Sで用紙Pを裁断する。最上流のユニット部20aで切り取られた左右両端縁の紙片Jaは、マージン落し部材55によって下方のベルトコンベアー61へ落とされ、該ベルトコンベアー61により紙片切断機構28に運ばれ、切断刃19により切断された後、紙片回収部23に回収される。
【0040】
(6)紙片落とし機構27では、スリッター機構20のうち中央のユニット部20b及び最下流のユニット部20cによって切り取られ不要となった紙片Jbが、下方のベルトコンベアー61へ落とされ、該ベルトコンベアー61により紙片切断機構28に運ばれ、切断刃19により切断された後、紙片回収部23に回収される。
【0041】
(7)クリース機構21では、用紙搬送幅方向Wの折り線Cで、折り目を形成する。
【0042】
(8)カッター機構22では、各裁断線Kで順次用紙Pが裁断され、用紙Pから切り取られ不要となった紙片Jcはガイド70により案内され、紙片回収部23に回収される。裁断及びクリース処理によって得られた加工品Qは紙受け部2に搬送され、積載される。
【0043】
以上の工程中、使用者により設定され、または読み取り手段26によって読み取られた用紙Pの各種作業設定情報で、スリッター機構20において切り取られ不要となった紙片Ja,Jbを、紙片切断機構28において切断しないこととされていた場合には、制御部45は、紙片搬送駆動部51及び案内部材駆動部53を駆動するとともに、紙片切断駆動部52を停止する。案内部材駆動部53の駆動により、案内部材62が水平姿勢から傾斜姿勢へ揺動され、ベルトコンベアー61により運ばれた紙片Ja,Jbを紙片切断機構28の手前で下方の紙片回収部23へ案内し、落下させる。また、制御部45が紙片切断駆動部52を停止することで、回転体39が停止する。これにより、従来のように、用紙Pを搬送する搬送ローラ対9〜14と、紙片切断機構28の固定刃38及び回転刃40からなる切断刃とが連動して作動することがなく、紙片Ja,Jbの切断処理を行わないときには回転刃40の回転を停止する。よって、固定刃38と回転刃40とが常時擦れ合うわけではないので、刃の磨耗を抑制し、耐久性を向上させることができる。また、固定刃38と回転刃40との接触を原因とする騒音の発生を防止することができ、電力消費量を軽減することでランニングコストを抑えることも可能である。
【0044】
(第2の実施形態)本発明にかかる用紙裁断装置の第2の実施形態を説明する。上記第1の実施形態では、スリッター機構20において切り取られ不要となった紙片Ja,Jbを、紙片切断機構28に供給し切断処理するかどうかを、使用者により設定され、または読み取り手段26によって読み取られる用紙Pの各種作業設定情報を基に判断したが、本第2の実施形態では、用紙裁断機構18において切り取られ不要となった紙片Ja,Jbの大きさに基づいて、制御部45が、紙片切断機構28における紙片Ja,Jbの切断処理を行うかどうかを判断する。
【0045】
紙片Ja,Jbの大きさが、予め設定した所定の大きさを超える場合には、紙片切断機構28へ紙片Ja,Jbを供給して切断処理を行い、所定の大きさより小さい場合には、紙片切断機構28へ紙片Ja,Jbを供給せず、切断処理を行わない。紙片切断機構28へ紙片Ja,Jbを供給するときには、制御部45は、案内部材62を水平姿勢とし、一方、紙片切断機構28へ紙片Ja,Jbを供給しないときには、案内部材駆動部53によって、案内部材62を水平姿勢から傾斜姿勢へ揺動させ、紙片Ja,Jbを下方の紙片回収部23へ案内する。
【0046】
紙片切断機構28へ紙片Ja,Jbを供給するかどうかの判断の基準となる大きさは、例えば、図2に示す配列パターンにおいて、切り取った3本の紙片Ja,Jbの幅方向Wの長さLsのうち一番短い値が、用紙Pの厚さ、コシの強さ、紙質等により紙片回収部23へ回収したときに嵩高くなり、紙片供給経路上で紙詰まりを生じる恐れがあることとなる値を設定することができる。
【0047】
そして、紙片Ja,Jbの大きさが所定の大きさを超える場合には、制御部45は、紙片切断機構28における切断処理を行うことを決定し、案内部材62を水平姿勢とし、ベルトコンベアー61によって紙片Ja,Jbを紙片切断機構28へ供給し、切断処理を行うことで、紙片Ja,Jbをより小さくした後、紙片回収部23に排出する。これにより、紙片回収部23により多くの紙片を収容可能となる。そして、スリッター機構20において切り取られた紙片の大きさが所定の大きさより小さい場合には、紙片切断機構28における紙片Ja,Jbの切断処理を行わないことを決定し、案内部材62を揺動し、紙片Ja,Jbを紙片回収部23へ落下させる。また、紙片切断機構28に紙片Ja,Jbが供給されないので、制御部45は、紙片切断駆動部52を停止するよう制御し、これにより、切断刃の磨耗を防止して、耐久性を向上可能である。
【0048】
このように、用紙裁断機構18において切り取られ不要となった紙片Ja,Jbの大きさに基づいて、制御部45が、紙片切断機構28における紙片Ja,Jbの切断処理を行うかどうかを判断するので、使用者の操作パネル46から入力操作、またはバーコードM2により読み取り手段26によって読み取られる用紙Pの各種作業設定情報として予め設定しておかなくても、切断処理の必要な嵩張る紙片Ja,Jbのみを自動で紙片切断機構28へ供給し、切断処理することができ、作業負担が軽減される。
【0049】
(第3の実施形態)本発明にかかる用紙裁断装置の第3の実施形態を説明する。本第3の実施形態にかかる用紙裁断装置では、加工品Qの配列パターンが、上記第1の実施形態における図2に示すパターンに替えて、図3に示すものとなり、図3では、搬送方向Fと平行に延びる4本の裁断線Sがなく、用紙搬送幅方向Wに延びる2本の折り線C及び4本の裁断線Kのみが設定されている。このように、幅方向Wに平行なクリース機構21での折れ線C及びカッター機構22での裁断線Kのみが設定され、スリッター機構20での搬送方向Fに平行な裁断線Sが設定されていない場合には、制御部45は、用紙Pの加工処理の際、紙片搬送駆動部51及び紙片切断駆動部52を停止する。即ち、用紙Pに、搬送方向Fに平行な裁断線Sが形成されず、不要な紙片Ja,Jbが切り取られないときには、紙片落とし機構27によってベルトコンベアー61上へ紙片Ja,Jbが排出されることもなく、紙片切断機構28に紙片Ja,Jbが供給されることもないので、紙片搬送駆動部51及び紙片切断駆動部52を停止することによって、切断刃19の磨耗を防止し、耐久性を向上させ、騒音防止及びランニングコストの低減が可能である。
【0050】
尚、上記実施形態では、スリッター機構20により、用紙Pが搬送方向Fに平行に予め設定された所定位置で裁断され、切り取られた紙片Ja,Jbのみが紙片切断機構28において切断処理されたが、本発明にかかる用紙切断装置はこれに限定されず、カッター機構により、用紙が搬送方向に直行する幅方向に予め設定された所定位置で裁断され、切り取られた紙片を紙片切断機構において切断処理しても構わない。この場合、カッター機構の上側可動刃及び下側固定刃は、用紙裁断機構の裁断刃として構成される。そして、例えば、図1に示すガイド70の傾斜角度を調整する等し、カッター機構の裁断刃によって切り取られた紙片を、ガイドによりベルトコンベアー上に送り、該ベルトコンベアーを用いて紙片切断機構へ搬送し、より小さな紙片に切断してもよい。
【0051】
また、各種作業設定情報は、操作パネル46より使用者が手動設定するかまたは読取手段26によりバーコードM2を読み取ることで自動的に入力したが、パソコンなどの情報処理装置と通信の可能な外部の装置から情報を送信し、設定してもよい。また、予め操作パネルからの手動入力によって、用紙の配列パターンを複数記憶手段に記憶しておき、各パターンを番号などによって呼出して、設定することとしてもよい。
【0052】
また、用紙裁断装置101を用紙加工装置100の一部として構成し、該用紙加工装置100は、スリッター機構20、カッター機構22及びクリース機構21を備えたが、少なくともスリッター機構及びカッター機構のいずれかを備えた用紙裁断装置のみを独立して備えてもよく、用紙裁断機構と他の加工機構(ミシン目形成機構、丸み形成機構等も含む)とを適宜組み合わせた用紙加工装置、更には加工機構、搬送ローラ対の数が前記実施の形態と異なる用紙加工装置にも、本発明を適用できることはいうまでもない。また、用紙の配列パターンは、図2,3に例示したものに限定されず、裁断線S,Kや折れ線Cの数について、他の種々のパターンが設定可能である。
【符号の説明】
【0053】
P 用紙 J,Ja,Jb,Jc 紙片 18 用紙裁断機構 19 切断刃 28 紙片切断機構 37 裁断刃 62 案内部材 45 制御部 101 用紙裁断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を所定方向に裁断処理する裁断刃を設けてなる用紙裁断機構と、前記用紙裁断機構において切り取られ不要となった紙片を、より小さく切断する切断刃及び前記切断刃の駆動部を設けてなる紙片切断機構とを備えた用紙裁断装置であって、前記紙片切断機構に前記紙片が供給されない場合には、前記駆動部を停止するよう制御する制御部とを備えた用紙裁断装置。
【請求項2】
紙片を用紙裁断機構から紙片切断機構へ供給する紙片供給経路上に設置され、前記紙片切断機構において前記紙片の切断処理を行わない場合には、前記紙片を紙片回収部へ案内する案内部材を設けた請求項1に記載の用紙裁断装置。
【請求項3】
制御部は、紙片の大きさに基づいて、紙片切断機構における紙片の切断処理を行うかどうかを判断する請求項1または請求項2に記載の用紙裁断装置。
【請求項4】
紙片切断機構における紙片の切断処理を行うかどうかを、使用者が設定可能に構成した請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の用紙裁断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−59821(P2013−59821A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198695(P2011−198695)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】