説明

画像センサ付きトラックボール

【課題】 簡易な構成によって水平軸回転、垂直軸回転の両方を検出することを可能とする、画像センサ付きトラックボールを提供すること。
【解決手段】 画像センサ付きトラックボール10は、トラックボールのボール1の近傍に、ボール1を対象物とする画像センサ5が設けられている構成である。画像センサ5によって、ボール1の水平軸回転H1、H2、垂直軸回転Vを検出することができる。画像センサ5としては特に、レーザー変位センサを好適に用いることができる。また、画像センサ5の設置数は2個とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像センサ付きトラックボールに係り、特に、簡易な構成によって水平軸回転、垂直軸回転の両方を検出することを可能とする、画像センサ付きトラックボールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ、医療機器、遊技機器、携帯型情報端末装置などを初めとして、広く用いられているポインティングデバイスであるトラックボールは、通常、操作者の掌や親指以外の指先にて操作される。操作者の身体はトラックボールのボールに対して概略その垂直軸方向から触れられるため、ボールは概略水平軸回りに回転するように操作されるのが通常である。
【0003】
さて後掲特許文献1は、このようなトラックボール技術として提案・開示されたものの一つである。ここでは、直交する2方向に項目が配列されたメニュー選択において、快適な操作性を得られるトラックボール型入力装置の提供を目的とした構成として、入力手段・検出手段・触覚フィードバック付与手段・カバー部を含むブロックと、直交する2方向に設けられたスリットと、操作者がカバー部を通じてブロックを垂直軸周りに回転操作するためのブロック収容部とからなる構成を開示している。
【0004】
そして、該技術を用いた携帯情報端末では、ユーザが該端末をいずれの手で持った場合であっても、端末を把持する手の親指で操作しやすい向きにスリットの方向を変えることができるため、操作性が向上する効果を得られるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−38264号公報「トラックボール型入力装置及び携帯情報端末」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記文献開示技術にあるように、トラックボールのボールを垂直軸回りにも回転可能な構成とすることには、技術的に有意義である。つまり、トラックボールのポインティングデバイスとしての機能性を多様化できる。たとえば、手中に把持して用いる携帯型端末装置であれ、静止状態に設置されたコンピュータ・医療機器・遊戯機器等の装置であれ、そのポインティングデバイスたるトラックボールのボールを親指で操作することも可能となる。
【0007】
また、親指以外の指を用いて操作する場合であっても、たとえば、ボールをその周囲のリングに沿って指で回す操作による位置指示も可能となる。また、身体障害者や傷病者による利用時における操作方法の多様化も可能となる。
【0008】
しかしながら上記特許文献も含め、従来のトラックボールにおいては、垂直軸回転の検出をしようとする場合には、水平軸回転用のセンサとは別に、垂直軸回転専用のセンサ、または専用の機構を備えることが必要であった。専用のセンサを用いることなく垂直軸回転を検出できれば、トラックボールのポインティングデバイスとしての機能性多様化をより簡易な構成にて実現することができる。
【0009】
そこで本発明が解決しようとする課題は、簡易な構成によって水平軸回転、垂直軸回転の両方を検出することを可能とする、画像センサ付きトラックボールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は上記課題について検討した結果、画像センサを用いることによってこれを解決できることに想到し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0011】
(1) トラックボールにおいて、ボールの近傍に該ボールを対象物とする画像センサが設けられており、これにより該ボールの水平軸回転および垂直軸回転の両方を検出可能である、画像センサ付きトラックボール。
(2) 前記画像センサは2個以上設けられていることを特徴とする、(1)に記載の画像センサ付きトラックボール。
(3) 前記画像センサはレーザー変位センサであることを特徴とする、(1)または(2)に記載の画像センサ付きトラックボール。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像センサ付きトラックボールは上述のように構成されるため、これによれば、簡易な構成によって水平軸回転、垂直軸回転の両方を検出することができる。また、構成が簡易であるため、その分製造容易であり、装置の小型化も可能であり、製造コスト低減にも効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明画像センサ付きトラックボールの外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1の本発明画像センサ付きトラックボールの平面(上面)図である。
【図3】図1と同一方向斜視の内部構成説明図である。
【図4】図1に係る画像センサの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明画像センサ付きトラックボールの外観構成を示す斜視図である。また、
図2は同じく平面(上面)図、
図3は図1と同一方向斜視の内部構成説明図、そして、
図4は画像センサの説明図である。これらに図示するように、本発明の画像センサ付きトラックボール10は、トラックボールのボール1の近傍に、ボール1を対象物とする画像センサ5が設けられていることを、主たる構成とする。
【0015】
かかる構成により本画像センサ付きトラックボール10では、画像センサ5によって、ボール1の水平軸回転H1、H2を検出できることはもちろんのこと、垂直軸回転Vをも検出することができる。つまり、水平軸回転と垂直軸回転の両方を、画像センサ5によって検出することができる。
【0016】
図4に示すように、画像センサ5は、水平軸回転の検出(DV)、および垂直軸回転の検出(DH)の両方を検出可能である。
【0017】
なお用いる画像センサ5の仕様は、これが、ボール1の移動によるボール1表面上の特定位置の変化を検知できるセンサである限り、いかなるものであってもよい。画像センサ5としては特に、レーザー変位センサを好適に用いることができる。
【0018】
図3に示すように、画像センサ5の設置数は2個以上とする。X、Y方向を検出する画像センサ5を2個、ボール1の側方など近傍に設けて使用することによって、ボール1の回転軸が水平方向のものだけでなく垂直方向にもあることが認識され、それに伴って、水平軸回転による信号、および垂直軸回転による信号の双方を同時に出力させることができる。
【0019】
なお図に示すのは、2個の画像センサ5を設置した例である。3個以上を設置することももちろん本発明の範囲内であるが、通常は2個の設置で充分に実用的な効果を得られる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明によれば、パーソナルコンピュータ、医療機器、遊技機器、携帯型情報端末装置などを初めとして広く用いられているトラックボールの、ポインティングデバイスとしての機能性を多様化することができる。したがって、トラックボールを使用する機器・装置に関係するあらゆる産業分野において利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0021】
1…ボール
2…リング
3…ケース
4…内部の支持構造
5…画像センサ
10…画像センサ付きトラックボール
DH…垂直軸回転の検出
DV…水平軸回転の検出
H1、H2…水平軸回転
V…垂直軸回転

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックボールにおいて、ボールの近傍に該ボールを対象物とする画像センサが設けられており、これにより該ボールの水平軸回転および垂直軸回転の両方を検出可能である、画像センサ付きトラックボール。
【請求項2】
前記画像センサは2個以上設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の画像センサ付きトラックボール。
【請求項3】
前記画像センサはレーザー変位センサであることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像センサ付きトラックボール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−18653(P2012−18653A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157374(P2010−157374)
【出願日】平成22年7月10日(2010.7.10)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】