説明

画像再生システム

本発明は、画像源(1)によって各1つのRGB線路対(7、8、9)を介してディジタルRGB映像信号(R、G、B)の供給と通信信号(SDA)の供給とを受けることのできる画像再生システム(3)であって、画像再生システム(3)を作動させるのに必要なプログラマブルモジュール(21)の構成データを格納したプログラム記憶装置(18)を有するものに関する。画像再生システムの改良されたファームウェア更新を可能とする措置が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像源によって各1つのRGB線路対を介してディジタルRGB映像信号の供給と通信信号の供給とを受けることのできる画像再生システムであって、画像再生システムを作動させるのに必要なプログラマブルモジュールの構成データを格納したプログラム記憶装置を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル画像再生システム、例えばLCDディスプレイモジュールまたはLCDテレビ受信機の態様の画像再生システムに関して、表示品質への要求はますます厳しくなる。これらの要求を満たすためにさまざまな補正もしくは調整、例えば画像再生特性の補正が必要であり、そのため大データ量が画像再生システムに伝送されねばならない。さらに、特に医療分野で利用する枠内で画像再生システムの信頼性および可用性に対する要求も真に厳しい。例えば、画像再生システムのいわゆるファームウェアが迅速かつエラーなしに最新状態にもたらされることが保証されねばならない(ファームウェア更新)。換言するなら、画像再生システムを作動させるのに必要な新規構成データもしくはその変更データを迅速かつエラーなしにシステムにロードできることが保証されねばならない。
【0003】
データは普通例えば画像源、例えばパーソナルコンピュータのグラフィックカードの態様の画像源とLCDディスプレイモジュールとの間でディジタル交換される。パーソナルコンピュータは特殊ないわゆるDVI(ディジタルビデオインタフェース)ケーブルを介してディジタルRGB映像信号をLCDディスプレイモジュールに転送し、このケーブルは各RGBチャネル毎に1つの線路対を有する。さらにこのDVIケーブルは、特にDVIクロック信号を伝送しかついわゆるDDC(ディスプレイデータチャネル)データを伝送するために他の線路対を備えている。このDDC線路対はパーソナルコンピュータとLCDディスプレイモジュールとの間でシリアル通信を可能とし、特にLCDディスプレイモジュールの仕様書情報、例えばデータ伝送速度、LCDディスプレイの解像度または同期周波数に関する情報はデータ線路を介して転送され、DDCクロック信号はクロック線路を介して転送される。DDC線路対は画像再生特性を適合させるためのデータをLCDディスプレイモジュールに転送するのにもしばしば利用され、I2Cバス仕様書によればこのDDC線路対を介したデータ伝送速度は僅か100kBit/秒であり、これはデータ伝送が多くの時間を必要とすることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ファームウェア更新を改良された冒頭に指摘した種類の画像再生システムを明示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴部分に明示した措置によって解決される。
【0006】
ファームウェア更新がシステムの動作に悪く作用しないことが有利である。さらに、それ自体公知の広く普及したDVIケーブルを利用することができ、このケーブルは、構成データおよび/またはその変更データを高いデータ伝送速度で画像源から画像再生システムへと転送するために、基本的にディジタルRGB映像信号の伝送用に設けられている。付加的ケーブルは必要ない。
【0007】
構成データおよび/またはその変更データをプログラム記憶装置に格納する前に、これらのデータはまず伝送エラーに関して点検される。伝送エラーが検出されなかった場合にはじめてデータはプログラム記憶装置に格納され、これによりファームウェア更新は終了する。更新されたファームウェアはシステム始動後の始動段階中にプログラマブルモジュールに、例えばそれ自体公知のFPGAモジュールにロードされる。
【0008】
本発明の1構成においてプログラム記憶装置は、支障のない動作のために必要なテスト済み構成データを格納したバックアップ記憶領域を有する。伝送されたデータをプログラム記憶装置の一次記憶領域に記憶するときプログラマブルモジュール内でエラーまたはエラー領域が検知される場合、システム始動後にバックアップ記憶領域の内容はプログラマブルモジュールにロードされる。
【0009】
本発明のその他の構成は他の従属請求項から明らかとなる。
【0010】
本発明は以下、1実施例に基づいて図面の単一の図を参考に詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】構成データおよび/またはその変更データを伝送するための装置を簡略化して示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好適なグラフィックカードを有するパーソナルコンピュータ1の態様の画像源が、それ自体公知のDVIケーブル2を介して、LCDディスプレイモジュール3の態様の画像再生システムと結合されている。DVIケーブル2が好適な接続手段4a、4bを有し、そのうち接続手段4aはパーソナルコンピュータ1の接続手段5と、また接続手段4bはLCDディスプレイモジュール3の接続手段6と電気的および機械的に作用結合されている。それ自体公知の差込接点もしくはこれに対応したソケットとして形成しておくことのできるこれらの接続手段4a、4b、5、6を介して、またDVIケーブル2を介して、パーソナルコンピュータ1とLCDディスプレイモジュール3との間で情報が交換され、そのことが図面には破線と点線で示してある。
【0013】
DVIケーブル2はディジタルRGB映像信号を伝送するための3つの線路対(チャネル)7、8、9を有し、さらに例えば165MHzの第1クロック周波数でDVIクロック信号DVI‐Clockを伝送するための他の線路対10を有する。DVIケーブル2はさらにDDC(ディスプレイデータチャネル)ディスプレイデータ線路11とDDCクロック線路12とを備えており、映像動作モードのとき普通LCDディスプレイモジュールの仕様書情報SDA、例えばLCDディスプレイの解像度または同期周波数に関する情報はディスプレイデータ線路11を介して転送され、100kHzの第2クロック周波数を有するDDCクロック信号SCLはクロック線路12を介して転送される。
【0014】
映像動作モードのとき普通‐既に述べたように‐仕様書データを伝送するための通信線路として設けられたディスプレイデータ線路11と、この映像動作モードのとき普通RGB映像信号を伝送するために設けられた線路対7、8、9は、以下に示すように構成データおよび/またはその変更データを伝送するのに利用される。このため通信動作モードが設定可能であり、この通信動作モードのときRGB線路対7、8、9の少なくとも1つの線路対7を介して大きなデータ量の伝送が予定されている。
【0015】
簡略化のためこの実施例では、線路対7を介してのみデータが転送されると仮定される。本発明の実際的実施例においてデータはRGB映像チャネルのすべてを介して伝送され、これにより一層高いデータ伝送速度が達成される。パーソナルコンピュータ1で実行可能な、当然にグラフィック処理プログラムの構成要素であり得るデータ伝送プログラム13は、ディスプレイデータ線路11を介してマイクロコントローラ14に対して、後続のデータ伝送サイクルでは映像動作モードでディジタルRGB映像信号が転送されるのでなく、通信動作モードで例えば構成データが線路対7を介して転送されることを指示する。この指示をマイクロコントローラ14はデータ伝送プログラム13に肯定応答し、かつ第1電子スイッチ15を制御して、データ伝送サイクル中にパーソナルコンピュータ1から線路対7を介してLCDディスプレイモジュール3に供給された構成データが電子映像装置(図示せず)に転送されるのでなく揮発性データ記憶装置16に書き込まれるようにする。構成データが正しく伝送されたか否かを点検できるようにするために、構成データは数回伝送され、まず各伝送後にデータはデータ記憶装置16の所定の領域に格納されるようになっている。データが例えば3回伝送される場合、3つの領域が設けられており、そのうち第1領域は第1伝送サイクルで伝送されたデータを格納し、第2領域は第2伝送サイクルで伝送されたデータを格納し、第3領域は第3伝送サイクルで伝送されたデータを格納するように指定されている。引き続きマイクロコントローラ14は格納された構成データを例えばビット毎にまたはバイト毎に比較し、比較したデータが一致する場合にはじめてマイクロコントローラ14は第2電子スイッチ17を制御して、データ記憶装置16の第1、第2または第3領域に書き込まれた構成データがプログラム記憶装置18の一次記憶領域19に書き込まれるようにする。こうしてプログラム記憶装置18の一次記憶領域19に書き込まれた構成データは次のシステム始動後にプログラマブルモジュール21にロードされる。さらに、データ伝送エラーが確実に検知されることを保証するために、本来の構成データの他にチェックサムが伝送されるようになっており、所定数の伝送されるべきバイトがそれぞれチェックサムで保護されている。マイクロコントローラ14によるこのチェックサムの点検がエラーを指摘しない場合にはじめて、データ記憶装置16の領域に格納された構成データはプログラム記憶装置18に転送される。
【0016】
プログラム記憶装置18に格納されたチェックサムはさらに、それ自体周知の如くに、記憶された構成データのエラーを点検するのに利用される。プログラム記憶装置18の一次記憶領域19に構成データを記憶するときのエラーに関して、マイクロコントローラ14がエラーを検知する場合、マイクロコントローラ14は制御可能な第3スイッチ22を制御して、バックアップ記憶領域20に格納されたバックアップ構成データがプログラマブルモジュール21にロードされるようにする。このバックアップ構成データは支障のない動作を保証するテスト済み構成データを実現し、これによりLCDディスプレイモジュール3の機能信頼性はプログラム記憶装置18の一次記憶領域19に構成データが間違って格納される場合でも維持される。パーソナルコンピュータ1によって伝送されてプログラム記憶装置18に格納されるチェックサムの代わりに、マイクロコントローラ14によって新たに算出したチェックサムをプログラム記憶装置18に格納し、構成データの間違いのない記憶を点検するのにこのチェックサムを利用することがもちろん可能である。マイクロコントローラ14はさらに、プログラマブルモジュール21のセクタの間違ったセルを検知するように形成されている。システム始動中、マイクロコントローラ14はプログラマブルモジュール21にテストマトリックスをロードし、モジュール21のセルを点検する。マイクロコントローラ14がエラーを検出しない場合、マイクロコントローラはプログラム記憶装置18の一次記憶領域19に格納された構成データでモジュール21をプログラミングする。しかしながらマイクロコントローラ14がプログラマブルモジュール21内にエラーを検知する場合、マイクロコントローラ14はパーソナルコンピュータ1に接続された表示ユニットでエラー通知を表示するための信号をパーソナルコンピュータ1に転送する。
【符号の説明】
【0017】
1 画像源
3 画像再生システム
7、8、9 線路対
14 マイクロコントローラ
15 データ切換器
16 データ記憶装置
18 プログラム記憶装置
19 一次記憶領域
20 バックアップ記憶領域
21 モジュール
B、G、R 映像信号
SDA 通信信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像源(1)によって各1つのRGB線路対(7、8、9)を介してディジタルRGB映像信号(R、G、B)の供給と通信信号(SDA)の供給とを受けることのできる画像再生システムであって、画像再生システム(3)を作動させるのに必要なプログラマブルモジュール(21)の構成データを格納したプログラム記憶装置(18)を有するものにおいて、通信信号(SDA)が構成データないしその変更データの伝送を指示し、これらのデータを画像源(1)がRGB線路対(7、8、9)の少なくとも1つの線路対(7)を介して画像再生システム(3)のデータ記憶装置(16)内に伝送し、画像再生システム(3)が手段(14)を備えており、該手段(14)が伝送エラーを検出しない場合にのみ、データ記憶装置(16)に格納されたデータをこの手段がプログラム記憶装置(18)に書き込むことを特徴とする画像再生システム。
【請求項2】
前記手段(14)がデータをプログラム記憶装置(18)の一次記憶領域(19)に書き込み、このプログラム記憶装置がさらに、エラーのないバックアップ構成データを格納したバックアップ記憶領域(20)を有し、前記手段(14)が前記一次記憶領域(19)に格納されたデータないしプログラマブルモジュール(21)の領域を点検し、かつエラーの場合にプログラマブルモジュール(21)をバックアップ構成データでプログラミングすることを特徴とする請求項1記載の画像再生システム。
【請求項3】
手段(14)が画像源(1)または他のユニットにエラーの場合を表示することを特徴とする請求項1記載の画像再生システム。
【請求項4】
画像再生システムがデータ切換器(15)を備えており、画像源(1)が画像再生システム(3)に構成データないしその変更データの伝送を指示する場合、データ切換器(15)がRGB線路対(7、8、9)の少なくとも1つの線路対(7)をデータ記憶装置(16)と結合することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像再生システム。

【図1】
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【公表番号】特表2010−508595(P2010−508595A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535089(P2009−535089)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061929
【国際公開番号】WO2008/055897
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(508041976)エイゾー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【Fターム(参考)】