説明

画像再生装置

【課題】透過型の画像再生装置において、背景に存在する実体物に合わせた画像を表示する画像再生装置を提供する。
【解決手段】透過型の画像再生装置(透明ビュワー)1において、前面側に画像を表示するともに、背面側からの光を前面側に透過させて前面側から背面側が視認可能な光透過性を有する画像表示手段2と、前記背面側に存在する実体物10の無線タグ13から発信された信号を受信する受信部18と、前記受信されたリンク情報に基づき前記背面側に存在する実体物10に関連する画像を検索して前記画像表示手段2に表示する表示制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背面側が視認できる光透過型の表示部からなる画像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラが一般的に広く利用されるようになっている。そして、撮影された画像データを表示する装置についても、単なる机の上に置く形式の表示装置ばかりではなく、色々な形式が製品化あるいは提案されている。
【0003】
その中でも、LCD(liquid crystal display)やEL(electro luminescent )を表示素子とする薄型タイプの表示装置が携帯性の利点もあり、開発が活発である。例えばELを利用した表示装置としては、シート状の表示媒体が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
そして更に、そのELを表示素子とするものの中で、電極等を透明材で構成して直接画像を表示する範囲以外が透明性を有するようなEL表示体から構成される透過型の表示装置がある。
【0005】
そして、例えば、この透明な画像表示装置に表示される情報の変更あるいは修正が容易なタッチパネルセンサが付いた画像表示装置も提案されている(例えば、特許文献2参照。)
【0006】
このような装置では、従来出来なかった実体物と撮影画像を相互に比較観察することも容易にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−150100号公報
【特許文献2】特開2000−331557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の先行例にあるような透過型の表示装置では、背景に存在する物が透過で確認できるという点で通常の表示装置にはない大きな利点がある。
【0009】
本発明の課題は、透過型の画像再生装置において、背景に存在する実体物に合わせた画像を表示する画像再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の画像再生装置は、前面側に画像を表示するともに、背面側からの光を前面側に透過させて前面側から背面側が視認可能な光透過性を有する画像表示手段と、前記背面側に存在する実体物から発信された信号を受信する受信部と、前記受信された信号に基づき前記背面側に存在する実体物に関連する画像を、前記画像表示手段に表示する表示制御手段を備えて構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、透過型の画像再生装置において、背景に存在する実体物に合わせた画像を表示する画像再生装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における背後の実体物(例としてチケット)と表示画面の画像とを同時に観賞できる透明ビュワーの外観斜視図である。
【図2】実施例1における透明ビュワーの構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1における透明ビュワーにおいて無線タグの位置を検出するための9個のアンテナの配置構成を示す図である。
【図4】透明ビュワーにおいて無線タグからの信号電波の強弱によってチケットが在る範囲を表示画像の非表示領域に設定する方法を説明する図である。
【図5】透明ビュワーのB−CPUによる画像表示部への画像表示処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】透明ビュワーの画像表示部に非表示位置を避けて且つ設定された表示態様で画像が表示される例を2例示す図である。
【図7】透明ビュワーの使用者による領域規制指示の結果とその領域規制指示に応じた表示態様に基づく画像表示の例を2例示す図である。
【図8】タッチパネルでの画像接触でメニューの選択が行われたときの処理に従って透明ビュワーに表示される表示態様の例を示す図である。
【図9】無線タグの無い実体物を透明ビュワーが検出する方法を示す図である。
【図10】実施例2における眼鏡型ビュワーの例を模式的に示す図である。
【図11】実施例2における眼鏡型ビュワーの構成ブロック図である。
【図12】実施例2における眼鏡型ビュワーのLCDの表示画面の表示例を示す図である。
【図13】実施例4におけるカメラによる撮影からその撮影に関連して入手したチケットに無線タグを貼付するまでの操作手順を説明する図である。
【図14】実施例4において無線タグが貼着されたシールを排出するカメラの構成を示すブロック図である。
【図15】実施例4においてメモリカードに記録される画像データファイルのデータ構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、背後の実体物(例としてチケット)と表示画面の画像とを同時に観賞できる透明ビュワーの外観斜視図である。同図に示すように、透明ビュワー1は、例えば略A4判程度の大きさの透明な画像表示部2と、この画像表示部2の右端側部に沿って形成されている把持部3を備えている。
【0015】
把持部3は、これを右手4で把持すれば、透明ビュワー1を空中に容易に保持することができるようになっている。把持部3の上端部にスピーカ5が配設され、その下方の、把持部3を把持する右手4の親指で容易に操作が可能な位置に、上下2個の操作ボタン6が配設されている。また、把持部3には、複数の画像データファイルが記録されているメモリカード7を、下部の開口8から矢印aで示すように着脱自在に装着可能なメモリ装着部9が設けられている。
【0016】
この透明ビュワー1を用いることによって、例えばスクラップブックのページのようにA4判程度の適宜のシート11に貼って保管されているチケット10を、半分は透明ビュワー1の画像表示部2越しに眺めながら、他方ではその画像表示部2に表示されている複数の画像12(12a、12b、12c、12d)をチケット10が見える位置を避ける位置に表示させて、チケット10と画像12とを共に観賞することができる。
【0017】
尚、同図に示すチケット10の例では、無線タグ13を取り付けられたシール14がチケット10の左上角に貼着されている。
【0018】
ここで、上記の無線タグ13について説明する。
一般に、無線タグは、交信距離により分類され、密着型、近傍型(数ミリから数メートル)、遠隔型に分類される。本実施例において用いられる無線タグ13は、電磁結合型からなる密着型(ISO 10536)又は電磁誘導型から成る近傍型(ISO 15696)と呼ばれる分類に属し(本例では電磁誘導型から成る近傍型を用いる)、利用周波数は例えば13.56MHzの規格がある。また、一度だけ情報が書き込める安価なワンタイム型が好適である。
【0019】
また、これらのタグの通信方式は、基本的には同一の原理で動作する。すなわち、電源方式は、無線タグリーダ又は無線タグライタからコイルアンテナを介しての電磁誘導による誘起電圧で電力を受けるパッシブ型であり、この型は、短距離で通信が可能であり、低コスト且つ小型化に適している。
【0020】
図2は、上記透明ビュワーの構成を示すブロック図である。同図に示すように、透明ビュワー1には、B−CPU14と、このB−CPU14にバス15を介して接続された音声処理部16、画像処理部17、送受信部18のコントローラ19、図1に示した画像表示部2、及び着脱自在なメモリカード7が備えられている。B−CPU14は不図示のROMに記憶されたプログラムを読み出して、ビュワー1の全体の制御処理を行うコンピュータである。
【0021】
更にB−CPU14には、本体操作部21と位置検出部22が直接接続されており、位置検出部22にはタッチパネル23が接続されている。このタッチパネル23は図1において画像表示部(EL表示装置)2の上面に重ねて配設されている。
【0022】
また、音声処理部17には、音声出力部24を介して図1にも示したスピーカ5が接続されている。更に、送受信部18には、無線タグ13からの信号を復調して読み出したり無線タグ13の位置を検出するための9個のループアンテナ25(25−1〜25−9)が接続されている。
【0023】
B−CPU14は、本体操作部21から入力される操作イベントに基づく不図示の電源部の接続/遮断、及び本体操作部21又はタッチパネル23から入力される操作イベントに基づいて、無線タグ13から送信される信号電波に基づく位置の検出や無線タグ13の信号電波の復調とを行うことをコントローラ19に指示する。
【0024】
また、B−CPU14は、本体操作部21又はタッチパネル23から入力される操作イベントに基づいて、メモリカード7のデータフォルダから画像データファイルを読み出したり、その読み出した画像データファイルによる画像を画像表示部2の所定の位置に表示することを画像処理部17に指示する。
【0025】
更に、B−CPU14は、上記画像表示部2に表示された画像の画像データファイルに関連する音声データファイルがメモリカード7のデータフォルダ中にあるときは、音声出力部24を介してスピーカ5から上記音声データファイルに基づく音声の放音を行うことを音声処理部16に指示する。
【0026】
図3は、上記の透明ビュワー1において上記の無線タグ13の位置を検出するための9個のアンテナ25(25−1〜25−9)の配置構成を示す図であり、右に透明ビュワー1の模式的側面図を示し、左にその背面図を示している。
【0027】
図3に示すように、透明ビュワー1の画像表示部2は、その手前側の面2−1にタッチパネル23が重ねて配設され、背面側の面2−2には、透明電極がループ状に形成されて成る9個のループアンテナ25が、均等な間隔で後述する仕切り升目の角部に配設されている。
【0028】
これら9個のループアンテナ25は、図1に示した状態において、シート11に取り付けられて保管されていたチケット10に貼着されているシール14の無線タグ13から送信されるリンク情報の信号電波をそれぞれ受信する。
【0029】
尚、チケット10は、スクラップブックのページのようなシート11に貼って保管されると限るものではなく、説明ラベルなどを取り付けた袋に入れて保管されていてもよい。この場合は、袋から取り出したチケット10を机の上などに置いて、その上から透明ビュワー1を透して見ることになる。
【0030】
図2に示すB−CPU14、9個のループアンテナ25がそれぞれ受信する無線タグ13からの信号電波の強弱によって、無線タグ13の位置、延いてはチケット10が在る位置を認識し、そのチケット10が在る位置つまり範囲を、表示画像の非表示領域に設定する。
【0031】
図4は、上記無線タグ13からの信号電波の強弱によってチケット10が在る範囲を表示画像の非表示領域に設定する方法を説明する図である。同図に示すように、透明ビュワー1の画像表示部2は、縦横それぞれ6個の升目になるように仕切られている。
【0032】
中央の4個の升目の角が集まる画像表示部2の中心に、図3に示したループアンテナ25−5が配置されている。そして、その中央の4個の升目の周囲を反時計回り方向に取り巻く4個一組の升目の角が集まる8箇所に、図3に示したループアンテナ25−1、25−2、25−3、25−6、25−9、25−8、25−7、及び25−4がそれぞれ配置されている。
【0033】
いま、図1に示した状態において、上記9個のループアンテナ25(25−1〜25−9)が、無線タグ13から受信した信号電波の受信強度をH(high)、L(Low )及び0の3段階として、無線タグ13から受信した信号電波の強弱が、図4に示すように、ループアンテナ25−1〜25−4、及び25−7については強度0、ループアンテナ25−5、25−8、及び25−9については強度L、そして、ループアンテナ25−6については強度Hであるとする。
【0034】
B−CPU14は、上記9個のループアンテナ25が受信したリンク情報の信号電波の強弱の分布から、例えば強度Hの信号電波を受信したループアンテナ25−6を中心とする4個の升目領域26、及び、強度0の信号電波を受信したループアンテナ25−i(図4の例では、i=1、2、3、4、7)から最も遠い位置に在って強度Lの信号電波を受信したループアンテナ25−9を中心とする4個の升目のうち、上記強度Hの信号電波を受信したループアンテナ25−6を中心とする4個の升目に隣接する2個の升目領域27を、透明ビュワー1の画像表示部2を透して見えるチケット10の在る範囲であるとして、この範囲を表示画像の非表示位置28として設定する。
【0035】
図5は、上記透明ビュワー1のB−CPU14による画像表示部2への画像表示処理の動作を示すフローチャートである。尚、この処理は透明ビュワー1の電源スイッチが操作されて、透明ビュワー1に電源が入力されることにより開始される。
【0036】
同図において、先ず表示画像が選択される(S1)。この処理では、メモリカード7に記録されている画像データファイルに基づいて例えばサムネイル画像が画像表示部2に表示され、そのサムネイル画像を見ながら、透明ビュワー1の使用者が本体操作部21又はタッチパネル23からの入力操作で、見たい画像を選択する。
【0037】
続いて、画像の読み出しが行われる(S2)。この処理では、上記の使用者による入力操作で選択された画像の画像データファイルがメモリカード7から読み出される。そして、画像処理部17において画像データの伸長処理等を行い、その画像データを不図示の表示用メモリに格納する処理である。
【0038】
次に、B−CPU14は、領域規制指示が行われているか否かを判別する(S3)。この処理では、使用者は、本体操作部21又はタッチパネル23によって、マニュアルで非表示領域の指定が可能である。
【0039】
そして、使用者からの非表示領域の指定が無ければ(S3がN)、続いて、タグ有り検出を行う(S4)。この処理は、実体物であるチケット10に、無線タグ13が取り付けられているか否かを判別する処理であり、9個のループアンテナ25の全てが受信する信号電波の強度が段階0の強度であれば、B−CPU14は、チケット10に無線タグ13は無いと判断する。
【0040】
そして、そのようにチケット10に無線タグ13が無いときは(S4がN)、通常位置に画像を表示する(S5)。この処理では、選択されている画像が1枚であれば、その画像が画像表示部2の中央に大きく表示される。また、画像が複数であれば、画像表示部2の全面に均等に配分されて表示される。
【0041】
その後、B−CPU14は、タッチパネルで画像接触有りか否かを判別する(S6)。この処理は、表示されている画像に対して使用者による指先での又は専用ペンでの接触が行われているか否かを判断する処理である。
【0042】
尚、上記の処理S4の判別でチケット10に無線タグ13が有ると判断されたときは(S4がY)、先ず、非表示位置の設定を行う(S7)。この処理では、図4で説明した方法により、例えば図4に示すように非表示位置28が設定される。
【0043】
上記に続いて B−CPU14は、表示態様の設定を行う(S8)。この処理では、画像の表示位置が上記の非表示位置28とオーバーラップしないように画像表示領域の座標が演算される。
【0044】
そして、B−CPU14は、画像表示を行う(S9)。この処理では、上記座標が演算された画像表示領域に画像が表示される。
【0045】
図6は、非表示位置28を避けて且つ設定された表示態様で画像が表示される例を2例示す図である。同図の上は、表示画像が1枚の場合の例であり、非表示位置28を避けて非表示位置28の上方に1枚の画像29aが表示されている。
【0046】
また、同図の下は、表示画像が3枚の場合の例であり、非表示位置28を避けて非表示位置28の周囲に分散して3枚の画像29b、29c、及び29dが表示されている。
【0047】
これにより、透明ビュワー1の使用者は、例えば図1に示したように、チケット10の透明ビュワー1の陰になる部分を図6の非表示位置28を透して見ることにより、チケット10の透明ビュワー1の陰になる部分と陰にならない部分を連続して完全な1枚のチケット10として眺めることができると共に、自分が選択した1枚又は複数の画像を同時に眺めることができる。
【0048】
再び図5に戻り、図5における処理S3の判別で、領域規制指示があったときは(S3がY)、表示態様の設定をする(S10)。そして、その表示態様に基づく画像の表示を行う(S11)。
【0049】
図7は、透明ビュワー1の使用者による領域規制指示の結果と、その領域規制指示に応じた表示態様に基づく画像表示の例を2例示す図である。この例では、先ず透明ビュワー1の適宜の表示領域に領域規制指示を行うか否かを選択するボタンが表示され、使用者30が本体操作部21又はタッチパネル23で、領域規制指示を行うボタンを選択して確定し、任意の境界線31を指示して、更に規制領域がその境界線31よりも上であるか下であるかを指示入力する。
【0050】
同図の上は、規制領域を境界線31よりも下に指定したときであり、同図の下は、規制領域を境界線31よりも上に指定したときである。B−CPU14は、規制領域が境界線31よりも下に指定されているときは、同図の上に示すように、上記指定された境界線31の上の領域に画像32の表示を行う。
【0051】
また、B−CPU14は、規制領域が境界線31よりも上に指定されているときは、同図の下に示すように、上記指定された境界線31の下の領域に画像32の表示を行う。
【0052】
上述した処理S5、S9、又はS11の3通りのいずれかの画像表示処理の後、処理S6のタッチパネルで画像接触有りか否かの判別で、使用者によるタッチパネルでの画像接触が有れば(S6がY)、位置移動であるか否かを判別する(S12)。この処理は、使用者が画像に接触させたままの指先を、そのまま所望の方向へ移動させたか否かを判別する処理である。
【0053】
そして、使用者が画像に接触させたままの指先を所望の方向へ移動させているときは(S12がY)、その移動先の位置を検出し(S13)、その検出した位置に新たな表示位置を設定し、すなわち表示画像の座標を補正して、その設定位置に画像を表示する(S15)。
【0054】
また、処理S12の判別で、使用者が画像に接触させたままの指先をそのまま動かさずにいるときは(S12がN)、その画像に関わる所定のメニューを表示し(S16)、使用者がメニューを選択したならば(S17)、その選択されたメニューの画像を表示する(S18)。
【0055】
図8は、上記の処理S12、S16、S17、及びS18の処理に従って透明ビュワー1に表示される表示態様の例を示す図である。同図は右から左へ、使用者が画像に接触させたままの指先をそのまま動かさずにいる状態33−1を示し、次に、その画像に関わる所定のメニューが表示された状態33−2を示し、更に、使用者がメニューを選択している状態33−3を示し、そして、その選択されたメニューの画像が表示された状態33−4を示している。
【実施例2】
【0056】
上記の実施の形態では、実体物(チケット)に無線タグが取り付けられている例を示しているが、実体物には必ずしも無線タグが取り付けられている訳ではない。
【0057】
図9は、無線タグの無い実体物を透明ビュワーが検出する方法を示す図である。同図の上は実体物検出時の外観斜視図(図1と逆の方向から見た図)を示し、同図の下は検出部の内部構造と検出方法の原理を示している。
【0058】
同図において、透明ビュワー1´は、把持部3の内部に検出部34を備え、検出部34には、投光窓35と受光窓36が設けられ、投光窓35の背後には赤外LED(liquid crystal display)37が配置されている。投光窓35と受光窓36は把持部3のそれぞれ背面の両端部の近くに配置されている。
【0059】
また、受光窓36の背後には、受光レンズ38とラインセンサ39が配置されている。赤外LED37から投光窓35を介して外部に対し所定の角度で照射された投光光41は、近接した位置に在る実体物10−1に当たって反射光42−1、又は離れた位置にある実体物10−2に当たって反射光42−2となって、受光窓36に入射し、受光レンズ38を介してラインセンサ39上に結像する。
【0060】
このラインセンサ39上に結像する受光位置によって、透明ビュワー1´と、実体物10−1又は10−2との距離が算出される。この方法はカメラの測距装置として周知の技術である。
【0061】
尚、この方法で実体物の存在を検出する場合は、近接位置に実体物が在るか否かを知ることができるだけであり、図4で説明したような在り場所までは検知できないので、本例では、非表示領域を実体物の在り場所に合わせて種々設定することはせずに、近接の実体物の検出時に、透明ビュワー1´の表示画面全体の例えば下1/3を非表示領域とするように、処理にを実行するとよい。
【実施例3】
【0062】
図10は、実施例2における眼鏡型ビュワーの例を模式的に示す図である。同図に示すように、眼鏡型ビュワー43は、人44の鼻44−1と耳44−2の間に掛け渡され、一方の眼(同図の例では左眼)44−3で虚像を眺め、他方の眼(図外左方の右眼)では通常の視野で物を見ることが出来る形態のものである。
【0063】
同図に示すように、眼鏡型ビュワー43は、画像表示部を構成する画像表示素子であるLCD(liquid crystal display:液晶表示装置)45、その画像表示面の前方に配置されたレンズ群46、その前方に、左眼44−3の前まで延在する自由曲面プリズム47、及びアンテナ送受信部48を備えている。レンズ群46と自由曲面プリズム47で光学手段を構成する。
【0064】
人44は、左眼44−3で、外部から入射する背景光線49とオーバーラップさせて、レンズ群46及び自由曲面プリズム47を介して、LCD44に表示される画像の虚像51を見ることが出来る。
【0065】
図11は、上記の眼鏡型ビュワー43の構成ブロック図である。同図に示すように、眼鏡型ビュワー43には、G−CPU52と、このG−CPU52にバス53を介して接続された画像処理部54、図10にも示したLCD45、図10では図示を省略したメモリカード55、及びコントローラ56が備えられている。G−CPU52は、不図示のROMに記憶されたプログラムを読み出して、眼鏡型ビュワー43の全体制御処理を行うコンピュータである。
【0066】
更にB−CPU52には、本体操作部57が直接接続され、また、コントローラ56には、図10に示したアンテナ送受信部48を構成する送受信部58及びこの送受信部58を介してアンテナ59が接続されている。上記の送受信部58は、コントローラ56の制御のもとに、アンテナ48を介して実体物10の無線タグ13からの信号を復調して読み出し、無線タグ13の存在を検出する。
【0067】
G−CPU52は、本体操作部57から入力される操作イベントに基づき、不図示の電源部の接続/遮断、コントローラ56を介して無線タグ13の信号電波の復調と無線タグ13の存在検出を行う。
【0068】
また、G−CPU52は、本体操作部57から入力される操作イベントに基づいて、メモリカード55のデータフォルダから画像データファイルを読み出し、その読み出した画像データファイルによる画像をLCD45に表示する。
【0069】
このとき、G−CPU52は上記無線タグ13の存在が検出されていれば、LCD45の表示画面の所定の領域を非表示領域に設定して、上記の画像を再生表示する。
【0070】
図12は、上記眼鏡型ビュワー43のLCD45の表示画面の表示例を示す図である。同図に示すLCD45の表示画面61において、G−CPU52は、コントローラ56が無線タグ13の存在を検出しなかったときは、表示画面61の中央に大きく画像62(62−1)を表示し、コントローラ56が無線タグ13の存在を検出しているときは、表示画面61の右下部分の一定領域を非表示領域63に設定し、この非表示領域63とオーバーラップしない位置に画像62(62−2)を表示する。
【0071】
これにより、図10に示す人44は、左眼44−3で画像62−2の虚像51を眺めると同時に、非表示領域63を透して、図外の右眼目と共に図11に実体物10を眺めることができる。
【実施例4】
【0072】
ところで、図1に示したチケット10に貼着されたシール14に取り付けられている無線タグ13については、単に透明ビュワー1に位置を知らせるだけでなく、チケット10に関連する画像データファイルをメモリカード7から読み出すためのリンク情報を発信するように設定することもできる。以下、これを第4の実施の形態として説明する。
【0073】
図13は、実施例4としての、カメラによる風景、人物、閲覧物、観覧物、その他の撮影から、その撮影に関連して入手した記念物(例えばチケット)に無線タグを貼付するまでの操作手順を説明する図である。
【0074】
同図において、先ず、手順S1において「TICKET」というチケット61を入手する。このチケット61は、行楽地の遊園地、記念館などの入場料、あるいはお寺の拝観料などを支払った後で手元に残る半券などである。勿論、使い終わった後の割り箸の名入りの箸袋やサービスマッチの小箱などであってもよい。
【0075】
次に、手順S2において、デジタルカメラで写真62を撮影する。この写真62は、遊園地であれば自分の子供が遊び興じている姿、記念館であれば撮影が許可されているものに限るが興味深く感じたもの、お寺であればこれも撮影が許可されているものに限るが屋内では陳列物、屋外では由緒のある池、庭などの庭園のしつらえを背景とした家族の写真、などが一般的に多い。
【0076】
続いて、手順S3において、撮影した写真62をカメラ63の表示画面64でプレビューする。このプレビューは、撮影直後でもよく、また撮影が一段落した後でもよく、あるいは旅館やホテルに戻ってからでもよい。要は撮影した写真62と入手したチケット61との関連性への記憶が失われないうちであれば何時でもよい。
【0077】
そして、手順S4において、上記のプレビューにより所望の画像データ(写真62)がカメラ63の表示画面64に表示されたならば、シャッタボタン65を押す。これにより、カメラ63のシール排出口66から、シール67が排出される。このシール67は、シール本体67−1と台紙(剥離紙)67−2とからなり、シール本体67−1には無線タグ68が予め貼着されている。
【0078】
この後、手順S5において、写真の撮影者は、上記のシール67から台紙(剥離紙)67−2を剥ぎ取って取り除き、シール本体67−1をチケット61の適宜の余白部(図では左上角部)に貼り付ける。
【0079】
図14は、実施例4において、無線タグ68が貼着されたシール67を排出するカメラ63の構成を示すブロック図である。同図に示すように、カメラ63は、カメラ本体69とリンク情報出力部71とから成る。
【0080】
カメラ本体69には、C−CPU72と、このC−CPU72にバス73を介して接続された撮像部74、音声処理部75、本実施例のリンク情報出力部71を構成するタグライタ76のコントローラ77、画像処理部78、画像表示部79、及び着脱自在なメモリカード81が備えられている。
【0081】
更にカメラ本体69には、C−CPU72に直接接続された本体操作部82、音声処理部75に接続された音声出力部83、この音声出力部83に接続されたスピーカ接続端子84、撮像部74に接続された撮像素子85、及びこの撮像素子85の撮像面前方に配置されたレンズ86が備えられている。
【0082】
C−CPU72は、本体操作部82から入力される操作イベントに基づいて、不図示の電源部の接続/遮断、レンズ駆動部によるレンズ86のズーム又は焦点の制御、撮像部74を介しての撮像素子85の駆動すなわち画像の撮影の制御、画像処理部78で処理された撮像画像データのメモリカード81への記録の制御、画像表示部79を介しての表示装置の表示画面64(図13参照)への画像表示の制御、音声出力部83及びスピーカ接続端子84を介してスピーカを放音駆動するための音声処理部75への制御、タグライタ76のコントローラ77への指示等を行う。C−CPU72は、不図示のROMに記憶されたプログラムを読み出して、カメラ63の全体制御処理を行うコンピュータである。
【0083】
リンク情報出力部71は、上述したタグライタ76の他に、連続シール87と送り部88とを備えている。タグライタ76は、上述したコントローラ77の他に、送受信部91とアンテナ92を備えている。
【0084】
連続シール87は、図13に示したタグ68をそれぞれ貼着された複数枚のシール67が連続して例えばロール状に巻かれた状態で、消耗品としてリンク情報出力部71に着脱自在に装着されているものである。
【0085】
タグライタ76のコントローラ77は、送受信部91及びアンテナ92を介して、無線タグ68と交信し、無線タグ68に、画像データとその画像データに関係する実体物とを関係付けるためのリンク情報を書き込む。このリンク情報として画像データのファイル名を用いるとタグのリンク情報に基づいて画像データベースを検索して直ちに画像データファイルを読み出すことができる。
【0086】
また、リンク情報を所定桁数の番号としてもよい、この場合の画像データファイルとの関連付けについては後述する。
【0087】
送り部88は、特には図示しないが、カッター装置、ローラ対、モータ、駆動部、シート位置検出センサ等から成るシール排出装置を備えており、上記のようにリンク情報を書き込まれた無線タグ68を有するシール67を、連続シール87から切り離して、その切り離したシール67を図13に示したシール排出口66から、図14に示すように外部に排出する。
【0088】
C−CPU72は、上記無線タグ68に書き込まれたリンク情報を、画像処理部78を介してメモリカード81に格納される上記の画像データの所定のデータ書込み領域に書き込む。これにより、撮影した写真(画像データ、以下同様)62とチケット61との関連付けが完了する。すなわち、無線タグ68を貼着されたシール67及び無線タグ68に書き込まれたリンク情報を介して、実体物としてのチケット61と、写真62とがリンクされる。
【0089】
このように、実施例4のカメラ63によれば、無線タグ付きシールにより、チケット、入場券の半券、拝観券、あるいはカタログ類等の実体物に貼着可能な状態で、その実体物の入手に関わる風景、人物、拝観物等を撮影した写真の画像データとを関連付けるリンク情報を出力するので、写真撮影者は、カメラからの出力(タグ付きシール)を実体物に貼着することにより、後日そのリンク情報を読み取るだけで、実体物から画像データを検索する等が容易に出来るようになる。また、無線タグの情報は非接触で容易に検出できるので極めて便利であり、使い勝手がよい。
【0090】
図15は、メモリカード81に記録される画像データファイルのデータ構成を示す図である。同図に示す例では、ルートディレクトリDCIMに作成されているフォルダ001TAMABに、3種類のファイルが格納されている。
【0091】
ファイル領域の先頭には画像データファイルが格納される。同図の例では、画像データファイルP7010001.JPG、P7010002.JPG、P7010003.JPG、・・・が格納されている。
【0092】
ファイル領域の中間には、拡張子がWAVで示されるアフレコの音声データが格納される。同図の例では、音声データファイルP7010001.WAV、P7010005.WAB、・・・が格納されている。音声データファイルP7010001.WAVは画像データファイルP7010001.JPGに対応し、音声データファイルP7010005.WAVは画像データファイルP7010005.JPGに対応している。
【0093】
また、ファイル領域の後方には、画像に関わるコメントや覚え書きとしてのテキストデータファイルが格納される。同図の例ではテキストデータファイルP7010001.TXT、・・・が格納されている。テキストデータファイルP7010001.TXTは画像データファイルP7010001.JPGに対応している。
【0094】
すなわち、音声データファイル、音声データファイル、テキストデータファイルは、拡張子を除いたファイル名が同一のもの同士がそれぞれ対応している。
【0095】
また、上記の画像データファイルには、メーカーノートと呼ばれる付帯データ領域93が設けられている。この付帯データ領域93は、カメラメーカーが任意に利用できる領域であり、本例のカメラ63においては、同図に示すように、リンクフラグ、リンク情報、撮影日時、撮影場所、撮影者、ジャンルの各データ領域が設けられている。
【0096】
ここで、リンク情報データ領域には、本例では「1」、「2」、「3」、・・・のように連番で構成される番号データが格納される。この番号データは、例えば図13及び図14に示したシール67の無線タグ68に書き込まれたリンク情報である。
【0097】
これによって、例えばリンク情報「2」を書き込まれた無線タグ68の付いたシール67を貼着されたチケット61と、付帯データ領域93のリンク情報データ領域にリンク情報「2」を格納されている画像データファイルP7010002.JPGが関連付けがなされるようになっている。
【0098】
また、リンク情報データ領域に「0」が格納されている例えば画像データファイルP7010003.JPGは、この写真と関連付けられる実体物が無いことを示している。
【0099】
また、付帯データ領域93のリンクフラグデータ領域には、リンク情報データ領域にリンク情報が格納されている全ての画像データファイルに対して「1」が格納される。これにより実体物に関連のある画像データであるか否かの確認が容易にできるようになる。
【0100】
尚、実体物を代表的にチケットに置き換えて説明しているが、これに限ることなく、例えば前述したように、使い終わった後の割り箸の名入りの箸袋やサービスマッチの小箱などの、スクラップブックやA4判程度の適宜のシートに貼って(サービスマッチ等は平らに展開してから貼る)保管できる記念物になるものであれば何でもよい。
【0101】
また、リンク情報を1桁の番号として説明したが、2桁以上の番号でも良いことは言うまでも無い。
【0102】
このようにしてリンク情報によって画像データファイルとの関連付けが行われたチケット61を、図1に示した透明ビュワー1を透して眺めると、透明ビュワー1の送受信部18がアンテナ25を介して、チケット61の無線タグ68のリンク情報を読み出し、このリンク情報に基づいて、チケット61に関連する画像データファイルをメモリカード7(カメラ63から取り出されて透明ビュワー1に装着されたメモリカード81)から自動的に読み出し、その読み出した画像データファイルの画像を、図6又は図7に示した表示態様で、透明ビュワー1の画像表示部2に表示する。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、背面側が視認できる光透過型の表示部からなる画像再生装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1、1´ 透明ビュワー
2 画像表示部
2−1 手前側の面
2−2 背面側の面
3 把持部
4 右手
5 スピーカ
6 操作ボタン
7 メモリカード
8 開口
9 メモリ装着部
10 チケット
10−1、10−2 実体物
11 シート
12(12a、12b、12c、12d) 画像
13 無線タグ
14 B−CPU
15 バス
16 音声処理部
17 画像処理部
18 タグリーダ(送受信部)
19 コントローラ
21 本体操作部
22 位置検出部
23 タッチパネル
24 音声出力部
25(25−1〜25−9) ループアンテナ
26、27 升目領域
28 非表示位置
29a、29b、29c、29d 画像
31 境界線
32 画像
33−1〜33−4 表示態様(透明ビュワーの表示状態)
34 検出部
35 投光窓
36 受光窓
37 赤外LED(liquid crystal display)
38 受光レンズ
39 ラインセンサ
41 投光光
42−1、42−2 反射光
43 眼鏡型ビュワー
44 人
44−1 鼻
44−2 耳
44−3 左眼
45 LCD(liquid crystal display:液晶表示装置)
46 レンズ群
47 自由曲面プリズム
48 アンテナ送受信部
49 背景光線
51 虚像
52 G−CPU
53 バス
54 画像処理部
55 メモリカード
56 コントローラ
57 本体操作部
58 送受信部
59 アンテナ
61 チケット
61a 余白部
62 写真(画像データ)
63 カメラ
64 表示画面
65 シャッタボタン
66 シール排出口
67 シール
67−1 シール本体
67−2 台紙(剥離紙)
68 無線タグ
69 カメラ本体
71 リンク情報出力部
72 CPU
73 バス
74 撮像部
75 音声処理部
76 タグライタ
77 コントローラ
78 画像処理部
79 画像表示部
81 メモリカード
82 本体操作部
83 音声出力部
84 スピーカ接続端子
85 撮像素子
86 レンズ
87 連続シール
88 送り部
91 送受信部
92 アンテナ
93 付帯データ領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側に画像を表示するともに、背面側からの光を前面側に透過させて前面側から背面
側が視認可能な光透過性を有する画像表示手段と、
前記背面側に存在する実体物から発信された信号を受信する受信部と、
前記受信された信号に基づき前記背面側に存在する実体物に関連する画像を、前記画像表示手段に表示する表示制御手段を備える
ことを特徴とする画像再生装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記発信された信号の中に含まれる前記実体物と前記画像を関連づけるリンク情報に基づいて、前記関連する画像を検索して表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像再生装置。
【請求項3】
前記画像表示手段の画面の中で、前記背面側の実体物を透して見る範囲を画像表示をさせない非表示領域として設定する設定手段と、備え
前記表示制御手段は、前記関連する画像を前記非表示領域以外の領域に表示するよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像再生装置。
【請求項4】
前記受信部は、前記画像表示手段の画面上に複数配置され、
前記設定手段は、前記受信した信号の分布に基づいて前記非表示領域を設定する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像再生装置。
【請求項5】
前記画像表示手段の前面側にタッチパネルを備え、
前記設定手段は、前記タッチパネルからの操作指示によって前記非表示領域を設定する
ことを特徴とする請求項3記載の画像再生装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記非表示領域以外の領域である表示許可領域に、当該表示許可
領域の大きさと表示する画像数に応じて画像を表示させるよう制御する、
ことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像再生装置。
【請求項7】
画像が記録される記録媒体を装着する装着部を備え、
前記表示制御手段は、前記装着部に装着された記録媒体から前記関連する画像を検索して表示する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像再生装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−138141(P2011−138141A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9964(P2011−9964)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【分割の表示】特願2004−336842(P2004−336842)の分割
【原出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】