説明

画像処理システム、画像処理装置及びプログラム

【課題】サーバ装置の機能を試用させる際に、画像処理装置での機能の使用許諾を制御する。
【解決手段】選択的に使用許諾が可能となっている複数の情報処理機能のうち、使用許諾されている情報処理機能に係る処理を行う画像処理装置が、試用開始の通知を受けて、情報処理機能のうち試用する処理に対応して使用許諾を要する情報処理機能であって、使用が許諾されていない情報処理機能を特定し、当該特定した情報処理機能の使用を一時的に許諾する。また試用が終了したか否かを判断し、試用が終了したと判断したときに、特定した情報処理機能の使用許諾を取り消す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置におけるお試し機能の使用状況に基づいて通知メッセージを作成し、ネットワーク回線を介して監視サイトに送信し、監視サイトにあっては通知メッセージを試用して生成された表示画面を解析して、お試し機能の試用期間が終了したことを認識し、ユーザがどのお試し機能を正規のオプション機能として継続使用するのが望ましいかを認識する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
また、ネットワークを介して管理サーバと画像形成装置とを接続し、画像形成装置は、個体識別情報を管理サーバに送信し、管理サーバは画像形成装置の個体識別情報を受信し、この個体識別情報が試用を制限すべきものとしてDBに登録されているかを判定し、制限すべきものであれば、画像形成制限情報を送信し、画像形成装置は、画像形成制限情報を受信すると画像形成を制限するという技術が特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2006−344214号公報
【特許文献2】特開2002−259107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーバ装置の機能を試用させる際に、画像処理装置での機能の使用許諾を制御する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、画像処理装置と、サーバ装置とを含む画像処理システムであって、前記サーバ装置が、前記画像処理装置からの要求に応じて行う処理を試用させるべき旨の指示を受けて、前記画像処理装置に対して試用開始を通知する通知手段を有し、前記画像処理装置が、選択的に使用許諾が可能となっている複数の情報処理機能のうち、使用許諾されている情報処理機能に係る処理を行う手段と、前記サーバ装置からの試用開始の通知を受けて、前記情報処理機能のうち試用する処理に対応して使用許諾を要する情報処理機能であって、使用が許諾されていない情報処理機能を特定し、当該特定した情報処理機能の使用を一時的に許諾する許諾手段と、試用が終了したか否かを判断し、試用が終了したと判断したときに、前記特定した情報処理機能の使用許諾を取り消す取消手段と、を有することとしたものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、画像処理装置であって、選択的に使用許諾が可能となっている複数の情報処理機能のうち、使用許諾されている情報処理機能に係る処理を行う手段と、試用開始の通知を受けて、前記情報処理機能のうち試用する処理に対応して使用許諾を要する情報処理機能であって、使用が許諾されていない情報処理機能を特定し、当該特定した情報処理機能の使用を一時的に許諾する許諾手段と、試用が終了したか否かを判断し、試用が終了したと判断したときに、前記特定した情報処理機能の使用許諾を取り消す取消手段と、を有することとしたものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像処理装置であって、前記試用開始の通知には、試用期間に係る情報が含まれ、前記取消手段は、試用開始の通知を受けてから、試用期間が経過したか否かにより試用が終了したか否かを判断することとしたものである。
【0008】
請求項4記載の発明はプログラムであって、コンピュータを、選択的に使用許諾が可能となっている複数の情報処理機能のうち、使用許諾されている情報処理機能に係る処理を行う手段と、試用開始の通知を受けて、前記情報処理機能のうち試用する処理に対応して使用許諾を要する情報処理機能であって、使用が許諾されていない情報処理機能を特定し、当該特定した情報処理機能の使用を一時的に許諾する許諾手段と、試用が終了したか否かを判断し、試用が終了したと判断したときに、前記特定した情報処理機能の使用許諾を取り消す取消手段と、として機能させることとしたものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、2、4記載の発明によると、サーバ装置の機能を試用させる際に、画像処理装置での機能の使用許諾を制御できる。
【0010】
請求項3記載の発明によると、試用開始通知により試用期間を設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る画像処理システムは、図1に例示するように、画像処理装置1と、サーバ装置2とを含んで構成される。ここで画像処理装置1は、制御部11と、記憶部12と、画像処理部13と、機能部14と、操作部15と、表示部16と、通信部17とを含んで構成される。
【0012】
また、サーバ装置2は、画像処理装置1に対して認証管理、集計管理、ウェブ化などのサービスを提供する。本実施の形態では、これらのサービスのいずれかを試用させる際に、画像処理装置1側で使用の許諾を要する情報処理機能の使用の許否を制御するものである。
【0013】
画像処理装置1の制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等のプログラム制御デバイスを含んで構成される。この制御部11は、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作し、複数の情報処理機能としての処理を行う。本実施の形態では、各情報処理機能について、使用の許諾が設定されており、制御部11は、情報処理機能のうち、使用許諾がされている情報処理機能に係る処理を実行する。
【0014】
また、この制御部11は、試用するサーバ装置2でのサービスの処理に対応して、使用許諾を要する情報処理機能であって、使用が許諾されていない情報処理機能を特定し、当該特定した情報処理機能の使用を一時的に許諾する。また、制御部11は、サーバ装置2でのサービスの試用が終了したか否かを判断し、試用が終了したと判断したときに、一時的に許諾した情報処理機能の使用許諾を取り消す処理を行う。これらの制御部11の処理については、後に述べる。
【0015】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)や、ハードディスク等のメモリデバイスやストレージデバイスを含む。この記憶部12は、制御部11によって実行されるプログラムを保持する。このプログラムは、例えばDVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等のコンピュータ可読な記録媒体に格納されて提供され、この記憶部12に複写されたものであってもよい。
【0016】
また、この記憶部12には、制御部11によって実行される情報処理機能についての使用許諾の情報が保持される。一例として記憶部12は、図2に例示するように、情報処理機能ごとに、使用の許否の情報を関連づけて保持している。さらにこの記憶部12は、制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0017】
画像処理部13は、制御部11からの指示に従って機能部14において利用される画像情報を処理する。機能部14は、例えば、スキャナやプリンタ、ファクシミリなどの各種機能を提供するデバイスを含んで構成される。この機能部14の各デバイスは、制御部11から入力される指示に従って、画像情報の処理を行う。
【0018】
操作部15は、キーボードや、タッチパネルなどであり、利用者の指示操作を受け入れて、その内容を制御部11に出力する。表示部16は、制御部11から入力される指示に従って、情報を表示する液晶ディスプレイ等である。通信部17は、例えばネットワークインタフェース等であり、制御部11から入力される指示に従い、ネットワークなどの通信手段を介してサーバ装置2等との間で情報の送受を行う。
【0019】
[基本処理]
次に制御部11の処理の内容について説明する。以下の例では、オペレータが、サーバ装置2にて提供されるサービスの試用をさせるため、サーバ装置2側にてサービス・ソフトウエアの設定を行い、当該サービスを試用する画像処理装置1を特定する情報(画像処理装置1のネットワークアドレスなど)を設定したものとする。この設定を行うと、サーバ装置2は、試用先である画像処理装置1に対して、試用の開始を通知する。この試用開始の通知(以下、試用開始通知と呼ぶ)には、図3に例示するように、サービス・ソフトウエアの認証情報(P)、発行元であるサーバ装置2を特定する情報(Q)、試用期間を特定する情報(R)が含まれる。
【0020】
画像処理装置1の制御部11は、試用開始通知を受けて、図4に示す処理を開始し、まず試用開始通知の内容を検証する(S1)。この検証では、サービス・ソフトウエアの認証情報が確認され、有効なサービス・ソフトウエアであるか否かが調べられる。また、発行元であるサーバ装置2を特定する情報と、試用期間を特定する情報とを読み出す。制御部11は、サービス・ソフトウエアの認証情報を元に、試用開始通知が有効でない認証情報を含む場合は、処理を中断する。
【0021】
制御部11は、認証情報により特定されるサービス・ソフトウエアを試用するため、必要とされる設定や情報処理機能があるか否かを調べる。具体的には、サービス・ソフトウエアに関連づけて必要とされる設定内容や情報処理機能を関連づけたテーブルを、予め記憶部12に保持しておく。このテーブルは、例えば図5に示すように、サービス・ソフトウエアごと(サービス・ソフトウエアの名称や種別の情報ごと)に、設定項目と設定内容とを関連づけた設定変更指定のリスト、及び必要となる情報処理機能のリストを関連づけたものである。
【0022】
制御部11は、このテーブルを記憶部12から読み出して参照し、認証情報により特定されるサービス・ソフトウエアに関連して必要となる設定変更指定のリストを読み出す。そして当該読み出したリストに含まれる各設定項目について、現在の設定内容と、読み出した設定内容とを比較し、設定内容を変更するべき設定項目があるか否かを調べる(S2)。制御部11は、ここで変更するべき設定項目があると判断すると(Yesであると)、変更するべき設定項目をテーブルに示された設定内容通りに変更する(S3)。
【0023】
さらに制御部11は、現在使用許諾されている情報処理機能のリストと、必要となる情報処理機能のリストとを比較して、テーブルから読み出したリストに含まれる情報処理機能のうちに、現在使用許諾がされていない情報処理機能(要許諾機能)があるか否かを調べる(S4)。
【0024】
ここで要許諾機能が存在する場合(Yesの場合)は、要許諾機能の使用許諾を「使用可」に設定して(S5)、処理を終了する。
【0025】
また、処理S2において変更するべき設定項目がなければ(Noであると)、制御部11は、処理S4に移行して処理を続ける。また、処理S4において、テーブルから読み出したリストに含まれる情報処理機能のうちに、要許諾機能がなければ(Noならば)、処理を終了する。
【0026】
なお、制御部11は、この処理により試用を開始したサービス・ソフトウエアを特定する情報を試用中情報として、記憶部12に蓄積して記録する。
【0027】
[履歴の記録]
また制御部11は、処理S3において設定を変更したときに、当該変更した設定項目を特定する情報と、変更前の設定内容の情報とを関連づけて、設定変更履歴として記憶部12に記録する。なお、制御部11は、処理S3を実行する前に、変更しようとする設定項目が、設定変更履歴に含まれているか否かを調べる。ここで、設定変更履歴に変更しようとする設定項目が含まれている場合は、設定されるべき内容と、現在の設定内容とが異なっており、かつ他の試用中のサービス・ソフトウエアによって設定内容が変更されていることを意味しているので、この設定内容を変更すると、現在試用中のサービス・ソフトウエアの試用に支障を来す可能性がある。そこで、制御部11は、このような場合は、その旨を利用者に通知して、それまでに変更した設定内容を元へ(変更前の設定内容に)戻し、戻した設定項目に係る設定変更履歴を記憶部12から削除して、処理を中断することとしてもよい。
【0028】
[使用許諾の単位]
なお、本実施の形態では、情報処理機能の使用許諾は通常、メーカーのオペレータが設定する。このとき、オペレータは情報処理機能の単位で使用許諾をするのではなく、予め定められた複数の情報処理機能をパッケージとして、このパッケージの単位で、複数の情報処理機能について一斉に使用許諾の設定を行う。
【0029】
例えば、情報処理機能として、ユーザ認証機能、パスワード保護機能、処理記録(ジョブログ)機能、処理した画像履歴の記録(イメージログ)機能、利用者毎複写使用量記録機能、印刷量集計機能、消耗品使用量統計機能などがある場合、個々の情報処理機能の使用許諾を設定するのではなく、「セキュリティパッケージ」として、ユーザ認証機能、パスワード保護機能、ジョブログ機能、及びイメージログ機能の使用許否を一斉に設定するものとする。すなわちオペレータは、ユーザ認証機能のみを単独で使用許諾することはない。
【0030】
そこで、上述の図4に示した処理S5では、制御部11は、予め定められたいずれかのパッケージに、要許諾機能からなるものがあるか否かを調べる。すなわち、いずれかのパッケージに、要許諾機能のみを含むものがあるか否かを調べる。そして要許諾機能のみを含むパッケージがあれば、制御部11は、当該パッケージ単位で要許諾機能の使用を許諾する。要許諾機能のみを含むパッケージがなければ、要許諾機能の単位で、使用を許諾する。
【0031】
[期間終了時の処理]
さらに本実施の形態では、制御部11は、読み出した試用期間を特定する情報に基づき、試用期間が経過した後に、試用を停止する処理を実行する。ここで試用期間を特定する情報は、例えば、試用の期限を表す情報や、試用の回数を表す情報などでよい。制御部11は、図4の処理S1において、サービス・ソフトウエアの認証情報とともに試用の期限を表す情報を取り出したときは、図4の処理を実行した日時を取得し(図示しない時計やカレンダーチップなどから取得する)、取得した日時に期限を表す情報を加えて、期限の終期を表す日時を算出して、読み出した認証情報で特定されるサービス・ソフトウエアを表す情報に関連づけて記憶部12に記憶する。
【0032】
以後、制御部11は、記憶部12に格納した期限の終期と、現在の日時(図示しない時計やカレンダーチップなどから得た日時の情報)とを参照し、到来している期限の終期があるか否かを調べる。ここで到来した期限の終期があれば、当該到来した期限の終期に関連づけられているサービス・ソフトウエアを試用終了対象として、当該試用終了対象のサービス・ソフトウエアを特定する情報を読み出して、図6に示す処理を行う。
【0033】
制御部11は、記憶部12に格納されているテーブルを参照し、試用終了対象のサービス・ソフトウエアを特定する情報に関連した設定変更指定のリストと、情報処理機能のリストとを読み出す(S11)。また制御部11は、記憶部12に格納された試用中情報を読み出し、試用終了対象のサービス・ソフトウエア以外の、試用中のサービス・ソフトウエア(試用継続ソフトウエア)を特定する情報を取得する(S12)。そして、使用継続ソフトウエアについて、記憶部12に格納されているテーブルにおいて関連づけられた設定変更指定のリストと、情報処理機能のリストとを読み出す(S13)。
【0034】
制御部11は、処理S11で読み出した設定変更指定のリスト、及び情報処理機能のリストのうちから、処理S13で読み出した設定変更指定や情報処理機能に一致するものを除き(S14)、残った設定変更指定や情報処理機能を回復対象として次の処理を行う。
【0035】
すなわち制御部11は、回復対象となった設定変更指定については、当該設定変更指定に含まれる設定項目の情報に関連づけて記憶部12に格納されている、変更前の設定内容の情報を読み出す。そして、当該設定項目の設定内容を、変更前の設定内容に(試用前の状態に)戻し(S15)、対応する設定変更履歴(変更前の状態に戻した設定項目及び設定内容の情報)を削除する。
【0036】
制御部11は、さらに、処理S14で回復対象となった情報処理機能については、その使用許諾の情報を、使用不可の状態に戻して(使用許諾の取り消し)、処理を終了する。
【0037】
[動作例]
本実施の形態は、以上の構成を備え、次のように動作する。なお、以下の例では、サービス・ソフトウエアとして、
(A)「認証管理サービス・ソフトウエア」
利用者の認証情報をサーバ装置2側で管理し、画像処理装置1に送出するサービスを提供する。利用者を特定する利用者名などの情報(認証情報)、パスワード情報、利用者の連絡先(メールアドレス等)の情報をデータベース化して保持する。
(B)「集計管理サービス・ソフトウエア」
利用者ごとの画像処理の使用量を管理する。利用者の識別情報ごとに、複写の量、プリントの量を集計管理する。
(C)「ウェブ化サービス・ソフトウエア」
画像処理装置1にて読み取られた画像情報をウェブブラウザでアクセス可能なサーバにアップロードする。例えば、スキャナなどでスキャンされた画像情報を指定されたウェブサーバ(不図示)に送信し、当該画像情報を取得するための参照情報(URL(Uniform Resource Locator)等)を表示、またはメールにて配信する。
といったものがあるものとし、
【0038】
画像処理装置1側において為されるべき設定項目の一つの例として、認証モードに係る設定項目があり、その設定内容が、
(X)「内部認証モード」
利用者の認証情報とパスワードの情報等とを対応させて、利用者のパスワード認証を行うための情報を画像処理装置1内に保持管理するモード。
(Y)「外部認証モード」
利用者の認証情報とパスワードの情報等とを対応させて、利用者のパスワード認証を行うための情報をサーバ装置2内に保持し、画像処理装置1からサーバ装置2に対して認証要求を行い、サーバ装置2から取得した認証結果を利用するモード。
(Z)「認証無しモード」
利用者の認証を行わないモード。
のいずれかであるとする。
【0039】
さらに、画像処理装置1にて提供可能な情報処理機能として、ユーザ認証機能、パスワード保護機能、ジョブログ機能、イメージログ機能、利用者毎のコピー使用量カウント機能、利用者毎のプリント使用量カウント機能、利用者別記憶領域の管理機能、利用者別の連絡先情報の保持機能、機能部のモジュールごとの利用料累算機能、消耗品使用量累算機能、などがあるとし、これらの情報処理機能のオペレータによる使用許諾は、
(α)「セキュリティパッケージ」
ユーザ認証機能、パスワード保護機能、ジョブログ機能、及びイメージログ機能
(β)「パーソナルパッケージ」
利用者毎のコピー使用量カウント機能、利用者毎のプリント使用量カウント機能、利用者別記憶領域の管理機能、及び利用者別の連絡先情報の保持機能
(γ)「メンテナンスパッケージ」
機能部のモジュールごとの利用料累算機能、及び消耗品使用量累算機能
の単位でそれぞれ可能となっているものとする。
【0040】
また、以下の説明では、(A)「認証管理サービス・ソフトウエア」の試用時には、(Y)「外部認証モード」が設定されていなければならず、また、少なくともユーザ認証機能についての使用許諾が必要であるが、パスワード保護機能については(サーバ装置2側で行われるので)使用許諾は必要でないものとする。そして、その旨がテーブルに記録されているものとする。
【0041】
サーバ装置2において、オペレータが画像処理装置1に対して「認証管理サービス・ソフトウエア」を試用させる旨を設定すると、サーバ装置2が、「認証管理サービス・ソフトウエア」の試用開始通知を画像処理装置1へ送信する。なお、この試用開始通知には、試用期間を特定する情報として、「1週間」の使用期限を表す情報が設定されているものとする。
【0042】
画像処理装置1では、この試用開始通知を受けて、テーブルを参照し、(A)「認証管理サービス・ソフトウエア」の試用時には、(Y)「外部認証モード」が設定されていなければならず、また、少なくともユーザ認証機能についての使用許諾が必要であることを検出する。
【0043】
画像処理装置1は、認証モードの設定項目について、(Y)「外部認証モード」となっているか否かを調べ、「外部認証モード」となっていなければ、認証モードを「外部認証モード」に設定する。このとき画像処理装置1は、既に試用中の他のサービス・ソフトウエアにより、認証モードの設定項目が変更されていないことを確認し、変更されていない場合に、認証モードを変更する。また、認証モードの設定項目の元の設定内容(例えば「認証無しモード」)を記憶する。
【0044】
画像処理装置1は、さらに、ユーザ認証機能についての使用許諾が為されているか否かを調べ、使用許諾が為されていなければ、ユーザ認証機能についての使用を許可する設定を行う。なお画像処理装置1は、オペレータによる許諾の単位としてユーザ認証機能を単体で設定することはできないようになっていたとしても、ここではユーザ認証機能のみを単体で設定する。また画像処理装置1は、以上の処理の日時から「1週間」後の日時を、「認証管理サービス・ソフトウエア」の試用期間の終期として記憶する。
【0045】
これにより、以下画像処理装置1では、ユーザ認証機能により、利用者名の入力を求め、サーバ装置2へ認証を要求し、サーバ装置2が、認証管理サービス・ソフトウエアにより実現される機能によって、認証の許否を定めて画像処理装置1へその結果を送信する。画像処理装置1では、認証が為されたときにのみ利用者の指示操作を受けて、当該指示操作に応じた処理を実行する。
【0046】
また画像処理装置1は、記憶しているいずれかの試用期間の終期について、終期が到来したか否かを繰り返し調べ、期間の終期が到来したものを見いだすと、当該到来した期間の終期に対応するサービス・ソフトウエアについて試用の終了の処理を行う。
【0047】
例えば、上記の場合、試用開始通知があってから略1週間後に、「認証管理サービス・ソフトウエア」の試用期間の終期が設定されるので、当該試用期間の終期が到来したと判断すると、画像処理装置1が、「認証管理サービス・ソフトウエア」の試用を終了する処理を行う。
【0048】
すなわち、画像処理装置1は、試用終了対象となった認証管理サービス・ソフトウエアに関連づけてテーブルに保持されている設定変更指定のリストと、情報処理機能のリストとを読み出し、また記憶部12に格納された試用中情報(ここでは認証管理サービス・ソフトウエアのみが記録されているとする)を読み出し、試用終了対象のサービス・ソフトウエア以外の、試用中のサービス・ソフトウエア(試用継続ソフトウエア)を特定する情報を取得する。ここでは、使用継続ソフトウエアはないが、仮にここで使用継続ソフトウエアがあるならば、使用継続ソフトウエアに関連づけて、記憶部12に格納されているテーブルに記録された設定変更指定のリストと、情報処理機能のリストとを読み出す。
【0049】
画像処理装置1は、試用終了対象に関連する設定変更指定のリスト、及び情報処理機能のリストのうちから、使用継続ソフトウエアに関連づけられた設定変更指定や情報処理機能に一致するものを除き、残った設定変更指定や情報処理機能を回復対象とする。そして画像処理装置1は、回復対象となった設定変更指定に含まれる設定項目の情報に関連づけて記憶部12に格納されている、変更前の設定内容の情報を読み出し、当該設定項目の設定内容を、変更前の設定内容に(試用前の状態に)戻し、対応する設定変更履歴(変更前の状態に戻した設定項目及び設定内容の情報)を削除する。ここでは「認証モード」について、「認証無しモード」の設定内容が記録されているので、画像処理装置1は、「認証モード」を「認証無しモード」とする。
【0050】
また画像処理装置1は、回復対象となった情報処理機能については、その使用許諾の情報を、使用不可の状態に戻す。ここではユーザ認証機能が、使用不可の状態(使用許諾がされていない状態)に戻る。
【0051】
なお、他に「認証モード」について「外部認証モード」であることを要する試用中のサービス・ソフトウエアがあれば、使用継続ソフトウエアに係る設定変更指定のリストに「認証モード」が含まれているはずであるので、これを、試用終了対象に関連づけられた設定変更指定のリストから除いたときに、回復対象から外されることとなり、使用継続ソフトウエアの動作が維持される。
【0052】
また、他にユーザ認証機能の使用許諾を要する試用中のサービス・ソフトウエアがあれば、使用継続ソフトウエアに係る情報処理機能のリストに「ユーザ認証機能」が含まれているはずであるので、これを、試用終了対象に関連づけられた情報処理機能のリストから除いたときに、回復対象から外されることとなり、使用継続ソフトウエアの動作が維持される。
【0053】
[期間指定の別の例]
ここまでの説明においては、期間指定の例として、試用開始通知に、期限の情報を含めて送信することとしていたが、本実施の形態はこの限りではない。例えば、制御部11は、試用開始通知に、期間指定の情報が含まれない場合、予め定めた期限を設定してもよい。
【0054】
また、期間指定は、期限となる日時により為される必要はなく、サービス・ソフトウエアの利用回数により設定されてもよい。例えば、期間指定として「N回」との情報が設定される場合、画像処理装置1は、サーバ装置2との間でサービス・ソフトウエアに係る通信を行うごとに、利用回数をカウントする。そして利用回数のカウンタが、期間指定の「N回」を越えたときに、当該期間指定の「N回」を越えて試用されたサービス・ソフトウエアについて、試用終了の処理を実行する。
【0055】
さらに、サーバ装置2側において、サービス・ソフトウエアが、当該ソフトウエアに固有の情報を有する場合(例えばサービス・ソフトウエアごとに発行される固有のソフトウエア識別情報等、固有の情報が存在する場合)、当該固有の情報に関連づけて利用回数をカウントしてもよい。この場合、このカウンタが期間指定の「N回」を越えたときに、同じ固有情報のサービス・ソフトウエアとの通信を切断して、処理を停止してもよい。この場合、当該サービス・ソフトウエアについて、試用終了の処理を行う必要は必ずしもない。
【0056】
このような固有の情報を用いる場合、当該固有の情報を含まないサービス・ソフトウエアからの要求に対しては、画像処理装置1の情報処理機能は応答ないし、通信を行わないよう制御してもよい。
【0057】
すなわち、サービス・ソフトウエアである「集計管理サービス・ソフトウエア」においては画像処理装置1から利用者ごとの複写使用量の情報を取得する必要がある場合、画像処理装置1にて、利用者ごとの複写使用量の情報を提供する情報処理機能の使用許諾が必要となる。しかし、この機能について使用を許諾すると、集計管理サービス・ソフトウエア以外のプログラムからの要求にも応答してしまう可能性がある。そこで、集計管理サービス・ソフトウエアに固有の識別情報を、試用開始通知に含めて送信させ、また、複写使用量の情報提供の要求にも含めさせる。そして画像処理装置1は、複写使用量の情報提供の要求に含まれる固有の識別情報が、試用開始通知において受信したものと一致している場合に限り、当該要求に応答して複写使用量の情報を提供することとしてもよい。
【0058】
さらにサーバ装置2は、画像処理装置1に対して、任意のタイミングで試用中のサービス・ソフトウエアの試用解除通知を送信してもよい。画像処理装置1では、試用中のサービス・ソフトウエアについて試用解除通知を受け取ると、当該試用解除通知に係るサービス・ソフトウエアについての試用終了の処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理システムの構成例を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置における情報処理機能の使用許諾例を表す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るサーバ装置が送信する試用開始通知の内容例を表す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像処理装置での試用開始の処理例を表すフローチャート図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像処理装置において設定されているテーブルの内容例を表す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像処理装置での試用終了の処理例を表すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0060】
1 画像処理装置、2 サーバ装置、11 制御部、12 記憶部、13 画像処理部、14 機能部、15 操作部、16 表示部、17 通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置と、サーバ装置とを含む画像処理システムであって、
前記サーバ装置が、
前記画像処理装置からの要求に応じて行う処理を試用させるべき旨の指示を受けて、前記画像処理装置に対して試用開始を通知する通知手段を有し、
前記画像処理装置が、
選択的に使用許諾が可能となっている複数の情報処理機能のうち、使用許諾されている情報処理機能に係る処理を行う手段と、
前記サーバ装置からの試用開始の通知を受けて、前記情報処理機能のうち試用する処理に対応して使用許諾を要する情報処理機能であって、使用が許諾されていない情報処理機能を特定し、当該特定した情報処理機能の使用を一時的に許諾する許諾手段と、
試用が終了したか否かを判断し、試用が終了したと判断したときに、前記特定した情報処理機能の使用許諾を取り消す取消手段と、
を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
選択的に使用許諾が可能となっている複数の情報処理機能のうち、使用許諾されている情報処理機能に係る処理を行う手段と、
試用開始の通知を受けて、前記情報処理機能のうち試用する処理に対応して使用許諾を要する情報処理機能であって、使用が許諾されていない情報処理機能を特定し、当該特定した情報処理機能の使用を一時的に許諾する許諾手段と、
試用が終了したか否かを判断し、試用が終了したと判断したときに、前記特定した情報処理機能の使用許諾を取り消す取消手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記試用開始の通知には、試用期間に係る情報が含まれ、
前記取消手段は、試用開始の通知を受けてから、試用期間が経過したか否かにより試用が終了したか否かを判断する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
コンピュータを、
選択的に使用許諾が可能となっている複数の情報処理機能のうち、使用許諾されている情報処理機能に係る処理を行う手段と、
試用開始の通知を受けて、前記情報処理機能のうち試用する処理に対応して使用許諾を要する情報処理機能であって、使用が許諾されていない情報処理機能を特定し、当該特定した情報処理機能の使用を一時的に許諾する許諾手段と、
試用が終了したか否かを判断し、試用が終了したと判断したときに、前記特定した情報処理機能の使用許諾を取り消す取消手段と、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−3215(P2010−3215A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163206(P2008−163206)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】