説明

画像処理システムおよび画像処理装置選択プログラム

【課題】効率的な省エネルギー制御を行うことのできる画像処理システムを提供する。
【解決手段】画像処理を行う第1の画像処理装置(スキャナ装置SC1)または情報処理装置PC1と、第1の画像処理装置または情報処理装置と接続されて画像処理を行う複数の第2の画像処理装置(プリンタ装置PR1、PR2)と、状態に関する情報を生成する生成手段(状態情報生成部306)と、状態に関する情報を取得する取得手段(状態情報取得部209)と、取得した情報を格納する格納手段(状態情報格納部207)と、状態に関する情報に基づいて、最も消費電力が少ない第2の画像処理装置を選択する選択手段(プリンタ装置選択部208)と、選択された第2の画像処理装置と第1の画像処理装置または情報処理装置とを協働させて画像処理を行うように制御する制御手段(制御部202)とを少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システムおよび画像処理装置選択プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、スキャナ装置にプリンタ装置を直接接続あるいはネットワーク接続し、スキャナ装置で読み取った画像をコピージョブとしてプリンタ装置に送信することで、パーソナルコンピュータを介さずにコピー機能など複合機と同様の機能を実現する画像処理システムが提案されている。
【0003】
このようなシステムにおいては、スキャナ装置に接続されるプリンタ装置の機種は一定ではなく、その機能については種々のものが接続され得る。
【0004】
上述のような画像処理技術に関する先行技術としては、特開2001−26163号公報には、コピー、プリントジョブに優先度情報を付加し、その優先度情報に従って、複数のジョブを予約して、まとめて印刷出力する技術が開示されている。これにより、画像形成処理時と待機時の切換え回数を低減でき、効率的な省エネルギー制御を行うことができた。
【0005】
また、特開2004−248227号公報には、定着ヒータの立ち上げ回数を減らし、効率的な省エネルギー運転を行う技術が開示されている。これにより、周囲温度記憶部に記憶されている最も周囲温度が高い時間帯に、蓄積されているファクシミリ受信データを印刷することができた。
【特許文献1】特開2001−26163号公報
【特許文献2】特開2004−248227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、効率的な省エネルギー制御を行うことのできる画像処理システムおよび画像処理装置選択プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る画像処理システムは、画像処理を行う少なくとも一つの第1の画像処理装置または情報処理装置と、通信手段を介して前記第1の画像処理装置または情報処理装置と接続されて画像処理を行う複数の第2の画像処理装置と、前記各第2の画像処理装置において状態に関する情報を生成する生成手段と、前記各第2の画像処理装置の状態に関する情報を取得する取得手段と、該取得手段で取得した情報を格納する格納手段と、該格納手段に格納された状態に関する情報に基づいて、最も消費電力が少ない前記第2の画像処理装置を選択する選択手段と、該選択手段で選択された前記第2の画像処理装置と前記第1の画像処理装置または情報処理装置とを協働させて画像処理を行うように制御する制御手段とを少なくとも備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明に係る画像処理システムは、請求項1に記載の発明について、前記第1の画像処理装置はスキャナ装置で構成され、前記第2の画像処理装置はプリンタ装置で構成されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明に係る画像処理システムは、請求項1または請求項2の何れかに記載の発明について、前記状態に関する情報は、消費電力を低減させた第1の省エネルギー状態に関する情報と、前記第1の省エネルギー状態よりも消費電力を低減させた第2の省エネルギー状態に関する情報とを少なくとも含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明に係る画像処理システムは、請求項3に記載の発明について、前記状態に関する情報は、前記第1の省エネルギー状態または前記第2の省エネルギー状態に遷移してからの経過時間を含み、前記選択手段は、前記第1の省エネルギー状態に遷移した第2の画像処理装置がない場合には、前記第2の省エネルギー状態に遷移した経過時間が最も短い第2の画像処理装置を選択することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明に係る画像処理システムは、請求項2から請求項4の何れかに記載の発明について、前記状態に関する情報は、前記プリンタ装置の印刷処理に要する消費電力に関する情報を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明に係る画像処理システムは、請求項2から請求項5の何れかに記載の発明について、前記状態に関する情報は、前記プリンタ装置が備える定着ヒータの温度を含み、前記選択手段は、前記第1の省エネルギー状態に遷移した第2の画像処理装置がない場合には、前記定着ヒータの温度が最も高いプリンタ装置を選択することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明に係る画像処理システムは、請求項2から請求項5の何れかに記載の発明について、前記定着ヒータの温度に基づいて、印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする電力量を算出する電力量算出手段をさらに備え、前記選択手段は、前記第1の省エネルギー状態に遷移した第2の画像処理装置がない場合には、前記電力量算出手段による算出結果に基づいて前記印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする電力量が最も少ないプリンタ装置を選択することを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明に係る画像処理システムは、請求項2から請求項5の何れかに記載の発明について、前記定着ヒータの温度に基づいて、印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする時間を算出する時間算出手段をさらに備え、前記選択手段は、前記第1の省エネルギー状態に遷移した第2の画像処理装置がない場合には、前記時間算出手段による算出結果に基づいて前記印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする時間が最も少ないプリンタ装置を選択することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明に係る画像処理システムは、請求項2から請求項8の何れかに記載の発明について、前記選択手段は、前記スキャナ装置が1枚目の原稿の読み取りを完了するまでに、印刷可能な状態に復帰できる前記プリンタ装置を選択することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明に係る画像処理システムは、請求項2から請求項8の何れかに記載の発明について、前記選択手段は、前記情報処理装置が印刷情報に関する処理を完了するまでに、印刷可能な状態に復帰できる前記プリンタ装置を選択することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明に係る画像処理装置選択プログラムは、第2の画像処理装置において状態に関する情報を生成する生成処理過程と、複数の第2の画像処理装置の状態に関する情報を取得する取得処理過程と、該取得処理過程で取得した情報を格納する格納処理過程と、該格納処理過程で格納された状態に関する情報に基づいて、最も消費電力が少ない第2の画像処理装置を選択する選択処理過程と、該選択処理過程で選択された前記第2の画像処理装置と第1の画像処理装置または情報処理装置とを協働させて画像処理を行うように制御する制御処理過程とを演算手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0019】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、効率的な省エネルギー制御を行うことができるという効果がある。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、スキャナ装置およびプリンタ装置を用いたシステムにおいて、効率的な省エネルギー制御を行うことができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、より効率的な省エネルギー制御を行うことができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、より効率的な省エネルギー制御を行うことができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、より効率的な省エネルギー制御を行うことができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、より効率的な省エネルギー制御を行うことができる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、より効率的な省エネルギー制御を行うことができる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、より効率的な省エネルギー制御を行うことができる。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、より効率的な省エネルギー制御を行うことができる。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、より効率的な省エネルギー制御を行うことができる。
【0029】
請求項11に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、効率的な省エネルギー制御を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0031】
図1から図8を参照して、本発明についての実施の形態に係る画像処理システムS1について説明する。
【0032】
図1および図2に示すように、画像処理システムS1は、原稿を光学的に読み込んで画像データに変換する画像処理を行う2台のスキャナ装置SC1、SC2(第1の画像処理
装置の一例)と、LAN等のネットワークNを介して接続されるパーソナルコンピュータ等で構成される情報処理装置PC1と、LAN等のネットワークNを介してスキャナ装置SC1、SC2または情報処理装置PC1と接続されて画像形成(印刷)に関する画像処理を行う2台のプリンタ装置PR1、PR2(第2の画像処理装置の一例)とを少なくとも備える。
【0033】
なお、図2の機能ブロックにおいて、スキャナ装置SC1、SC2およびプリンタ装置PR1、PR2について、本発明と直接関係しない構成については図示および説明を省略する。
【0034】
また、本実施の形態では、プリンタ装置およびスキャナ装置は、それぞれ2台がネットワークNに接続されるが、これに限らず、それぞれ3台以上を接続する場合であってもよい。
【0035】
また、スキャナ装置は、少なくとも1台がネットワークNに接続されていれば足りる。
【0036】
プリンタ装置PR1、PR2の印刷方式は、特には限定されず、レーザプリンタ、フルカラープリンタ、複合機、インクジェット方式のプリンタ等の何れであってもよい。
【0037】
また、スキャナ装置SC1、SC2の読み取り方式も特には限定されず、Charge Coupled Devices(CCD)方式、Contact Image Sensor(CIS)方式等の何れであってもよい。
【0038】
なお、スキャナ装置SC1、SC2およびプリンタ装置PR1、PR2は、それぞれが備える通信部210、301を介してネットワークNに接続される(図3、図4参照)。
【0039】
スキャナ装置SC1、SC2およびプリンタ装置PR1、PR2は、装置自身に関する情報を表示する機能と共に操作する機能を備えたタッチパネル等で構成される操作・表示部201、305をそれぞれ備えている。
【0040】
また、特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、スキャナ装置SC1、SC2が備える操作・表示部201の方が、プリンタ装置PR1、PR2が備える操作・表示部305よりも表示領域の面積、画素密度、表示色数、解像度等において機能的、性能的に優れているものとする。
【0041】
例えば、プリンタ装置PR1、PR2側は、動作状態を表示するためのLEDのみの表示系しか有しない場合であってもよい。
【0042】
また、スキャナ装置SC1、SC2の操作・表示部201は、高機能の表示を行うために、いわゆるGUI(Graphical User Interface)を備えている。
【0043】
ここで、GUIとは、ユーザに対する情報の表示にグラフィックを多用し、大半の基礎的な操作をマウスなどのポインティングデバイスによって行なうことができるユーザインターフェースのことをいう。なお、タッチパネルにおいては、マウス等を要さずに、所望の表示箇所を指やタッチペン(スタイラス)等で押圧することにより操作できるようになっている。
【0044】
スキャナ装置SC1、SC2は、各プリンタ装置PR1、PR2の状態に関する情報を取得する状態情報取得部209(取得手段の一例)と、状態情報取得部209で取得した情報を格納する状態情報格納部207(格納手段の一例)と、状態情報格納部207に格納された状態に関する情報に基づいて、最も消費電力が少ないプリンタ装置を選択するプリンタ装置選択部208(選択手段の一例)と、プリンタ装置選択部208で選択されたプリンタ装置(PR1またはPR2)とスキャナ装置SC1またはSC2または情報処理装置PC1とを協働させて画像処理(例えばコピー処理)を行うように制御するマイクロコンピュータ等で構成される制御部202(制御手段の一例)とをそれぞれ備えている。
【0045】
また、プリンタ装置PR1、PR2は、状態に関する情報を生成する状態情報生成部306(生成手段の一例)と、消費電力に関する定格情報等を格納する固有情報記憶部307と、定着ヒータ350(図4参照)の温度を測定する温度センサ312と、温度センサ312で測定された定着ヒータ350の温度に基づいて、プリンタ装置PR1、PR2自身が印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする電力量を算出する電力量算出部310(電力量算出手段の一例)と、定着ヒータ350の温度に基づいて、プリンタ装置PR1、PR2自身が印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする時間を算出する時間算出部311(時間算出手段の一例)とをそれぞれ備えている。
【0046】
ここで、状態に関する情報は、消費電力を低減させた第1の省エネルギー状態(いわゆるスタンバイ状態)に関する情報と、スタンバイ状態よりも消費電力を低減させた第2の省エネルギー状態(いわゆる節電状態)に関する情報とを少なくとも含むようにできる。
【0047】
また、状態に関する情報は、スタンバイ状態または節電状態に遷移してからの経過時間を含み、スキャナ装置SC1、SC2のプリンタ装置選択部208は、スタンバイ状態に遷移したプリンタ装置がない場合には、節電状態に遷移した経過時間が最も短いプリンタ装置を選択するようにしてもよい。
【0048】
また、状態に関する情報は、プリンタ装置PR1、PR2の印刷処理に要する消費電力に関する情報を含むようにしてもよい。
【0049】
また、状態に関する情報は、プリンタ装置PR1、PR2が備える定着ヒータ350(図4参照)の温度(温度センサ312による測定情報)を含み、スキャナ装置SC1、SC2のプリンタ装置選択部208は、スタンバイ状態に遷移したプリンタ装置がない場合には、定着ヒータ350の温度が最も高いプリンタ装置(PR1またはPR2)を選択するようにしてもよい。
【0050】
また、スキャナ装置SC1、SC2のプリンタ装置選択部208は、スタンバイ状態に遷移したプリンタ装置がない場合には、電力量算出部310による算出結果に基づいて印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする電力量が最も少ないプリンタ装置(PR1またはPR2)を選択するようにしてもよい。
【0051】
また、スキャナ装置SC1、SC2のプリンタ装置選択部208は、スタンバイ状態に遷移したプリンタ装置がない場合には、時間算出部311による算出結果に基づいて印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする時間が最も少ないプリンタ装置(PR1またはPR2)を選択するようにしてもよい。
【0052】
また、スキャナ装置SC1、SC2のプリンタ装置選択部208は、スキャナ装置SC1、SC2が1枚目の原稿の読み取りを完了するまでに、印刷可能な状態に復帰できるプリンタ装置(PR1またはPR2)を選択するようにしてもよい。
【0053】
さらに、スキャナ装置SC1、SC2のプリンタ装置選択部208は、情報処理装置PC1が印刷情報に関する処理を完了するまでに、印刷可能な状態に復帰できるプリンタ装置(PR1またはPR2)を選択するようにしてもよい。
【0054】
また、スキャナ装置SC1、SC2は、上記構成の他に、原稿を光学的に読み取る原稿読取部203、読み取った画像データを記憶する画像記憶部204、画像データに基づいて印刷ジョブを生成する印刷ジョブ生成部205、印刷ジョブのプリンタ装置PR1またはPR2への送信を制御する印刷ジョブ送信制御部206等を備える。
【0055】
そして、操作・表示部201は、ユーザインターフェースとして動作し、制御部202から表示情報を受け取りユーザに対して各種情報を提供するほか、ユーザからの指示を受け付け、制御部202に操作情報を渡す役目を果たす。
【0056】
制御部202は、操作・表示部201からの操作情報に基づき、原稿読取部203に対し原稿の読取を指示する。
【0057】
画像データの読取が終了した後、印刷ジョブ生成部205に印刷ジョブの生成を指示する。
【0058】
印刷ジョブの生成が終了した後、印刷ジョブ送信制御部206に印刷ジョブの送信を指示する。
【0059】
また、制御部202は、プリンタ装置選択部208に対してプリンタ装置PR1、PR2の状態情報を取得するように指示する。
【0060】
原稿読取部203は、制御部202からの指示に基づき、原稿を光学的に読み取って得た光学信号を電気信号に変換し、画像データを生成する。
【0061】
生成された画像データは、画像記憶部204に記憶される。
【0062】
画像記憶部204は、原稿読取部203が原稿を読み取って生成した画像データを記憶すると共に、印刷ジョブ生成部205に対して記憶した画像データを提供する。
【0063】
印刷ジョブ生成部205は、制御部202からの指示により画像データを印刷データに変換した後、印刷ジョブ送信制御部206へ渡す。
【0064】
印刷ジョブ送信制御部206は、制御部202の指示により、送信先プリンタのネットワークN上の宛先をプリンタ装置選択部208から取得して、アドレスと印刷データを通信部210へ渡す。
【0065】
状態情報格納部207は、プリンタ装置選択部208からの状態情報および管理対象となるプリンタ装置PR1、PR2のネットワークN上の宛先を記憶する。
【0066】
プリンタ装置選択部208は、制御部202から状態情報の更新指示を受けると、状態情報格納部207から管理対象としてのプリンタ装置PR1、PR2のネットワークN上の宛先を取得し、状態情報取得部209に対してそのネットワークN上の宛先のプリンタ装置PR1、PR2の状態情報を取得するように指示する。
【0067】
また、印刷ジョブ送信制御部206から印刷データの送信先の問い合わせがあった場合に、後述のプリンタ装置の選択処理(図5〜図8のフローチャート参照)に従ってプリンタ装置(PR1またはPR2)を決定し、対応するネットワークN上の宛先を返送する。
【0068】
状態情報取得部209は、プリンタ装置選択部208の指示により、指定されたネットワークN上の宛先のプリンタ装置(PR1またはPR2)から状態情報を取得して、プリンタ装置選択部208に渡す。
【0069】
通信部210は、ネットワークNとのインターフェースとして動作するもので、印刷データをネットワークN上の宛先に送信する。また、逆に、宛先のマシンから状態情報を取得して状態情報取得部209に渡す役目を果たす。
【0070】
また、プリンタ装置PR1、PR2は、上記構成の他に、印刷データに基づいて画像処理を行う画像処理部303、印刷用紙等に画像形成を行う画像形成部304等を備える。
【0071】
そして、通信部301は、ネットワークNとのインターフェースとして動作し、印刷データをネットワークNを介して受信して制御部302に渡す。
【0072】
また、状態情報を制御部202の指示によりネットワークN上の宛先に送信する。
【0073】
制御部302は、通信部301からの印刷データの受信により、そのデータを画像処理部303に渡す。
【0074】
また、状態情報の取得の要求があった場合は、状態情報生成部306から現在の状態情報を受け取り、通信部301を介して要求元に送信する。
【0075】
さらに制御部302は、操作・表示部305により設定された省エネルギー設定に従って、各部に対して省エネルギー状態(節電状態)に遷移するように指示したり、スタンバイ状態に遷移するように指示したりする。
【0076】
画像処理部303は、印刷データを画像データに変換して画像形成部304に送る。
【0077】
画像形成部304は、画像データに基づいて画像を形成する処理を行う。
【0078】
なお、画像形成部304は、定着ヒータ350および温度センサ312を有する。
【0079】
操作・表示部305は、マシンの操作や設定、状態表示に使われる。また、省エネルギー状態の設定も行われる。
【0080】
状態情報生成部306は、制御部302の指示により状態情報の取得要求があると、要求の内容により以下の情報を、制御部302に渡す。全ての情報を渡すわけではなく必要なもののみを渡す。
【0081】
例えば、
a)画像形成部304から得られる定着ヒータ350の温度
b)状態情報生成部306が記憶する各状態に遷移してからの時間
c)固有情報記憶部307から得られる1ページあたりの印刷に必要な消費電力
d)固有情報記憶部307から得られる印刷可能な状態になるまでに必要な電力と定着ヒータ350の温度との相関情報から現状の温度からの復帰に必要な消費電力
e)スタンバイ状態になるまでの時間の相関情報
【0082】
などが挙げられる。
【0083】
また、固有情報記憶部307は、プリンタ装置PR1、PR2に固有な情報を格納する。
【0084】
例えば、1ページあたりの印刷に必要な消費電力、印刷可能な状態になるまでに必要な電力と定着ヒータ350の温度との相関情報(テーブル)などが挙げられる。
【0085】
次に、図5から図8のフローチャートを参照して、上記構成の画像処理システムS1で実行されるプリンタ装置の選択処理の処理手順について説明する。
【0086】
まず、図5のフローチャートに示すプリンタ装置の選択処理では、ステップS10でスキャナ装置SC1(SC2)の状態情報格納部207から管理対象としてのプリンタ装置PR1、PR2の宛先リストを取得する。
【0087】
ステップS11では、プリンタ装置PR1、PR2から現状の状態情報(例えば、現在の状態、状態に遷移してからの時間、1ページあたりの印刷にかかる消費電力等)を取得してステップS12に移行する。
【0088】
ステップS12では、スタンバイ状態か否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS14で当該プリンタ装置をスタンバイリストに入れてからステップS15に移行する。
【0089】
また、「No」の場合には、ステップS13に移行して、当該プリンタ装置を省エネリストに入れてからステップS15に移行する。
【0090】
ステップS15では、全てのプリンタ装置の状態情報を取得したか否かが判定され、「No」の場合にはステップS11に戻り、「Yes」の場合にはステップS16に移行する。
【0091】
ステップS16では、スタンバイリストが空か否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS17に移行して、省エネリストに登録されているプリンタ装置の中で、状態に遷移してからの時間が最も短いプリンタ装置を選択して処理を終了する。
【0092】
また、「No」の場合にはステップS18に移行して、スタンバイリストに登録されているプリンタ装置の中で、1ページあたりの印刷にかかる消費電力が一番小さいプリンタ装置を選択して処理を終了する。
【0093】
これにより、より効率的な省エネルギー制御が行われる。
【0094】
次に、図6のフローチャートに示すプリンタ装置の選択処理では、ステップS20でスキャナ装置SC1(SC2)の状態情報格納部207から管理対象としてのプリンタ装置PR1、PR2の宛先リストを取得する。
【0095】
ステップS21では、状態情報(例えば、現在の状態、1ページあたりの印刷にかかる消費電力、定着ヒータ350の温度等)を取得してステップS22に移行する。
【0096】
ステップS22では、全てのプリンタ装置から状態情報を取得して、該当するプリンタ装置の省エネリストとスタンバイリストを作成してステップS23に移行する。
【0097】
ステップS23では、スタンバイリストが空か否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS25に移行して、スタンバイリストに登録されているプリンタ装置の中で、1ページあたりの印刷にかかる消費電力が一番小さいプリンタ装置を選択して処理を終了する。
【0098】
また、「No」の場合にはステップS24に移行して、省エネリストに登録されているプリンタ装置の中で、定着ヒータ350の温度が最も高いプリンタ装置を選択して処理を終了する。
【0099】
これにより、短時間で印刷可能な状態に復帰できるプリンタ装置を選択するので、より効率的な省エネルギー制御が行われる。
【0100】
次に、図7のフローチャートに示すプリンタ装置の選択処理では、ステップS30でスキャナ装置SC1(SC2)の状態情報格納部207から管理対象としてのプリンタ装置PR1、PR2の宛先リストを取得する。
【0101】
ステップS31では、状態情報(例えば、現在の状態、1ページあたりの印刷にかかる消費電力、定着ヒータ350の温度から、印刷可能な状態になるまでにかかる消費電力等)を取得してステップS32に移行する。
【0102】
ステップS32では、全てのプリンタ装置から状態情報を取得して、該当するプリンタ装置の省エネリストとスタンバイリストを作成してステップS33に移行する。
【0103】
ステップS33では、スタンバイリストが空か否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS35に移行して、スタンバイリストに登録されているプリンタ装置の中で、1ページあたりの印刷にかかる消費電力が一番小さいプリンタ装置を選択して処理を終了する。
【0104】
また、「No」の場合にはステップS34に移行して、省エネリストに登録されているプリンタ装置の中で、現在の定着ヒータ350の温度から、印刷可能な状態になるまでにかかる消費電力が最も小さいプリンタ装置を選択して処理を終了する。
【0105】
これにより、より効率的な省エネルギー制御が行われる。
【0106】
次に、図8のフローチャートに示すプリンタ装置の選択処理では、ステップS40でスキャナ装置SC1(SC2)の状態情報格納部207から管理対象としてのプリンタ装置PR1、PR2の宛先リストを取得する。
【0107】
ステップS41では、状態情報(例えば、現在の状態、1ページあたりの印刷にかかる消費電力、定着ヒータ350の温度から、印刷可能な状態になるまでにかかる時間、印刷可能な状態になるまでにかかる消費電力等)を取得してステップS42に移行する。
【0108】
ステップS42では、全てのプリンタ装置から状態情報を取得して、該当するプリンタ装置の省エネリストとスタンバイリストを作成してステップS43に移行する。
【0109】
ステップS43では、スタンバイリストが空か否かが判定され、「No」の場合にはステップS46に移行して、スタンバイリストに登録されているプリンタ装置の中で、1ページあたりの印刷にかかる消費電力が一番小さいプリンタ装置を選択して処理を終了する。
【0110】
また、「Yes」の場合にはステップS44に移行して、省エネリストに登録されているプリンタ装置の中で、スキャナ装置SC1(SC2)において原稿の1ページ目のスキャン完了時間内にスタンバイ状態になるプリンタ装置を選択してからステップS45に移行する。
【0111】
ステップS45では、候補となるプリンタ装置があるか否かが判定され、「No」の場合にはステップS48に移行して、省エネリストのプリンタ装置を候補にしてからステップS47に移行する。
【0112】
また、「Yes」の場合には、そのままステップS47に移行する。
【0113】
ステップS47では、候補となるプリンタ装置の中で、スタンバイ状態になるまでの消費電力が最も小さいプリンタ装置を選択して処理を終了する。
【0114】
これにより、より効率的な省エネルギー制御が行われる。
【0115】
このように、本実施の形態に係る画像処理システムS1によれば、ユーザに印刷実行を待たせることなく、印刷処理実行時と省エネルギー時の切換え回数を低減でき、効率的な省エネルギー制御が実施される。
【0116】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0117】
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することが可能である。
【0118】
即ち、画像処理プログラムを含む所定のプログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する場合に限らず、当該所定のプログラムを次のようにして提供することも可能である。
【0119】
例えば、所定のプログラムをROMに格納しておき、CPUが、この所定のプログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
【0120】
また、上記所定のプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。
【0121】
さらには、画像処理装置等を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータと接続するようにし、サーバ装置あるいはホストコンピュータから上記所定のプログラムをダウンロードした後、この所定のプログラムを実行するようにしてもよい。この場合、この所定のプログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明による画像処理システムおよび画像処理装置選択プログラムは、複写装置、レーザプリンタ、フルカラープリンタ、複合機、ファクシミリ装置、スキャナ装置等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】実施の形態に係る画像処理システムS1の構成を示す概略構成図である。
【図2】実施の形態に係る画像処理システムS1の機能構成を示す機能ブロックである。
【図3】スキャナ装置の構成を示す概略構成図である。
【図4】プリンタ装置の構成を示す概略構成図である。
【図5】プリンタ装置の選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】プリンタ装置の選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】プリンタ装置の選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】プリンタ装置の選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0124】
S1 画像処理システム
PC1 情報処理装置
SC1、SC2 スキャナ装置
201 操作・表示部
202 制御部
203 原稿読取部
204 画像記憶部
205 印刷ジョブ生成部
206 印刷ジョブ送信制御部
207 状態情報格納部
208 プリンタ装置選択部
209 状態情報取得部
210 通信部
PR1、PR2 プリンタ装置
301 通信部
302 制御部
303 画像処理部
304 画像形成部
305 操作・表示部
306 状態情報生成部
307 固有情報記憶部
310 電力量算出部
311 時間算出部
312 温度センサ
350 定着ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理を行う少なくとも一つの第1の画像処理装置または情報処理装置と、
通信手段を介して前記第1の画像処理装置または情報処理装置と接続されて画像処理を行う複数の第2の画像処理装置と、
前記各第2の画像処理装置において状態に関する情報を生成する生成手段と、
前記各第2の画像処理装置の状態に関する情報を取得する取得手段と、
該取得手段で取得した情報を格納する格納手段と、
該格納手段に格納された状態に関する情報に基づいて、最も消費電力が少ない前記第2の画像処理装置を選択する選択手段と、
該選択手段で選択された前記第2の画像処理装置と前記第1の画像処理装置または情報処理装置とを協働させて画像処理を行うように制御する制御手段と、
を少なくとも備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記第1の画像処理装置はスキャナ装置で構成され、前記第2の画像処理装置はプリンタ装置で構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記状態に関する情報は、
消費電力を低減させた第1の省エネルギー状態に関する情報と、
前記第1の省エネルギー状態よりも消費電力を低減させた第2の省エネルギー状態に関する情報と、
を少なくとも含むことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記状態に関する情報は、
前記第1の省エネルギー状態または前記第2の省エネルギー状態に遷移してからの経過時間を含み、
前記選択手段は、
前記第1の省エネルギー状態に遷移した第2の画像処理装置がない場合には、前記第2の省エネルギー状態に遷移した経過時間が最も短い第2の画像処理装置を選択することを特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記状態に関する情報は、
前記プリンタ装置の印刷処理に要する消費電力に関する情報を含むことを特徴とする請求項2から請求項4の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記状態に関する情報は、
前記プリンタ装置が備える定着ヒータの温度を含み、
前記選択手段は、
前記第1の省エネルギー状態に遷移した第2の画像処理装置がない場合には、前記定着ヒータの温度が最も高いプリンタ装置を選択することを特徴とする請求項2から請求項5の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記定着ヒータの温度に基づいて、印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする電力量を算出する電力量算出手段をさらに備え、
前記選択手段は、
前記第1の省エネルギー状態に遷移した第2の画像処理装置がない場合には、前記電力量算出手段による算出結果に基づいて前記印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする電力量が最も少ないプリンタ装置を選択することを特徴とする請求項2から請求項5の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記定着ヒータの温度に基づいて、印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする時間を算出する時間算出手段をさらに備え、
前記選択手段は、
前記第1の省エネルギー状態に遷移した第2の画像処理装置がない場合には、前記時間算出手段による算出結果に基づいて前記印刷可能な状態に復帰するまでに必要とする時間が最も少ないプリンタ装置を選択することを特徴とする請求項2から請求項5の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記選択手段は、
前記スキャナ装置が1枚目の原稿の読み取りを完了するまでに、印刷可能な状態に復帰できる前記プリンタ装置を選択することを特徴とする請求項2から請求項8の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記選択手段は、
前記情報処理装置が印刷情報に関する処理を完了するまでに、印刷可能な状態に復帰できる前記プリンタ装置を選択することを特徴とする請求項2から請求項8の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項11】
第2の画像処理装置において状態に関する情報を生成する生成処理過程と、
複数の第2の画像処理装置の状態に関する情報を取得する取得処理過程と、
該取得処理過程で取得した情報を格納する格納処理過程と、
該格納処理過程で格納された状態に関する情報に基づいて、最も消費電力が少ない第2の画像処理装置を選択する選択処理過程と、
該選択処理過程で選択された前記第2の画像処理装置と第1の画像処理装置または情報処理装置とを協働させて画像処理を行うように制御する制御処理過程と、
を演算手段に実行させることを特徴とする画像処理装置選択プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−213004(P2010−213004A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57032(P2009−57032)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】