説明

画像処理システム

【課題】 画像処理プロセスの中でスキャンラインデータを異なる形式のスキャンラインデータに再変換することで、スキャンラインデータの処理において、画像処理システムの性能として要求されている速度、データ格納許容量に応じて、最適な処理プロセスを提供し、また限られた機構部でより多くの形式のスキャンラインデータに対応することができる画像処理システムを提供する。
【解決手段】 この再変換部50は、判断機構部10、11と、選択機構部12と、測定機構部13と、判断機構部14と、変換機構部A〜E15と、描画機構部A〜E16と、処理17と、処理18とを備えて構成される。選択機構部12は、判断機構部10、または判断機構部11へスキャンラインデータを入力として送信し、判断機構部10、11は入力と画像処理システム100の環境情報から選択機構部12に対し変換するべき形式を出力する。選択機構部12は、判断機構部10、11の出力から、スキャンラインデータを変換機構部15に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システムに関し、さらに詳しくは、画像データをインターフェースを介して転送し、指定の媒体で出力するシステムにおける、画像処理過程のデータ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の画像出力制御装置と、この画像出力制御装置とインターフェースを介して接続され、画像出力制御装置から転送される、文字、グラフィック、イメージなどの基本図形描画命令で構成されるページ記述言語からなる入力データから記録媒体に画像を描画して出力するプリンタ等の画像出力装置からなる画像処理システムにおいては、これまで様々な図形データ形式(グラフィック形式)、処理プロセスの改善が行われている。しかし、図形情報ではなく、ラン情報に基づいたスキャンラインデータ形式の描画命令については、処理プロセス中で異なるスキャンラインデータ形式に変換することについてこれまで考慮されていなかった。
また特開平11−198489号公報には、図形描画命令抽象データを最高の抽象度のデータに変換した後、展開処理手段、画像出力手段の速度に応じてより抽象度の低い中間データへデータを再変換する技術について開示されている。
【特許文献1】特開平11−198489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、抽象度の低いデータやスキャンラインデータに対する画像処理システムの処理効率ではなく、スキャンラインデータに対する性能向上を行うことができないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、画像処理プロセスの中でスキャンラインデータを異なる形式のスキャンラインデータに再変換することで、スキャンラインデータの処理において、画像処理システムの性能として要求されている速度、データ格納許容量に応じて、最適な処理プロセスを提供し、また限られた機構部でより多くの形式のスキャンラインデータに対応することができる画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、画像出力制御装置と、該画像出力制御装置とインターフェースを介して接続され、前記画像出力制御装置から転送される基本図形描画命令で構成されるページ記述言語からなる入力データに基づいて記録媒体に画像を描画して出力する画像出力装置を備えた画像処理システムにおいて、画像処理を行う過程においてスキャンライン化されたラン情報データを、異なるスキャンライン形式のデータに再変換する再変換部と、画像処理システムの環境、及びデータの条件により前記スキャンライン形式を選択する選択機構部とを備えたことを特徴とする。
請求項2は、スキャンライン化された描画データから、データ量が最小となるスキャンライン形式を判断する判断機構部と、該判断機構部の判断に基づいてスキャンラインデータの形式を変更する形式変換機構部と、を更に備え、前記形式変換機構部は画像処理の過程において保持される中間データとしてのスキャンラインデータを最小とすることを特徴とする。
請求項3は、特定の形式のスキャンラインデータの描画を行う描画機構部と、前記形式変換機構部に対しシステムが備えている描画機構部のスキャンラインデータ形式への変換を指示するデータ形式指示機構部と、を更に備えることを特徴とする。
請求項4は、変換処理時間と変換後のデータ量を計算するデータ量計算手段と、該データ量計算手段の計算結果から変換する形式を指示する計算結果指示機構部と、を更に備えることを特徴とする。
請求項5は、前記選択機構部は、最も高速に描画処理を行うスキャンライン描画機構部の形式を選択することを特徴とする。
請求項6は、変換処理時間と変換後のデータ量を計算するデータ量計算手段と、該データ量計算手段の計算結果から変換する形式を指示する計算結果指示機構部と、を更に備えることを特徴とする。
請求項7は、前記画像処理システムの形式変換機構部は前ランとの差分情報に基づいた差分情報形式のスキャンラインデータと、傾斜情報に基づいた傾斜情報形式のスキャンラインデータの2形式を相互に変換する機構部であることを特徴とする。
請求項8は、前記差分情報に基づいた形式から傾斜情報に基づいた形式への変換を行う形式変換機構部において、該形式変換機構部は、1つの差分情報形式のスキャンラインを分割する分割手段を更に備え、該分割手段により分割されたスキャンラインデータを変換することを特徴とする。
【0005】
請求項9は、分割されたデータのうちから、差分情報形式と傾斜情報形式とに変換するものを選択する変換形式選択機構部を更に備え、該変換形式選択機構部の選択結果により分割データを変換することを特徴とする。
請求項10は、前記差分情報形式と傾斜情報形式の両形式間で変換が容易なスキャンラインデータを選択するスキャンラインデータ選択機構部を更に備え、該スキャンラインデータ選択機構部により変換されるスキャンラインデータを選択することを特徴とする。
請求項11は、1次の傾斜のみからなる傾斜情報形式データを差分情報形式の連続データに変換可能である箇所を検知する検知手段を更に備え、該検知手段により検知されたデータに対してのみ、傾斜情報形式から差分情報形式へ変換する形式変換機構部を選択する選択機構部を備えることを特徴とする。
請求項12は、前記形式変換機構部の処理結果を中間データとして中間データ保持部に一時的に保持する場合、前記データ量計算手段は変換後のデータ量を計算し、前記選択機構部は、前記データ量計算手段の計算結果のデータ量が最小となる形式を選択することを特徴とする。
請求項13は、回転されたスキャンラインデータを回転前と直交する方向で描画する描画機構部を備え、前記スキャンラインデータの回転処理を行う際、前記差分情報形式と傾斜情報形式は回転後の他方の形式に変換可能であることを利用して、直接回転した後の他方の形式に変換する変換機構部を備えることを特徴とする。
請求項14は、前記変換機構部は直接回転変換不可能なデータについては、変換可能なデータに分解して変換処理を行うことを特徴とする。
【0006】
請求項15は、回転後のデータへの変換時間が最も短い変換機構部を選択する変換機構部選択機構部を備え、前記変換機構部選択機構部により選択された変換機構部は、最も処理時間の短い回転後の形式へ変換することを特徴とする。
請求項16は、回転後のデータ量を計算する回転後データ量計算手段と、該回転後データ量計算手段の計算結果から回転後にデータ量が最小となる形式を選択する最小データ量選択機構部と、を更に備え、前記最小データ量選択機構部により選択された形式は、データ量が最小となる変換を行うことを特徴とする。
請求項17は、前記描画機構部が水平方向と、垂直方向への描画機構部の両者を備える場合、所定の形式のスキャンラインデータを回転なし変換、回転あり変換の何れの形式が最もデータ量が最小になるかを計算する最小データ量計算手段を備え、該最小データ量計算手段の結果から形式変換機構部を選択することを特徴とする。
請求項18は、前記所定の形式のスキャンラインデータから異なる形式のスキャンラインデータへ変換する変換機構部を前記画像出力制御装置内に備えることを特徴とする。
請求項19は、前記変換機構部を前記画像出力装置に備えることを特徴とする。
請求項20は、前記画像処理システムは前記変換機構部を前記画像出力制御装置及び画像出力装置に備え、該画像出力制御装置と画像出力装置の環境により、何れの変換機構部を用いるかを選択することを特徴とする。
請求項21は、前記画像出力制御装置と画像出力装置の環境として、両装置の処理速度に関する情報を使用することを特徴とする。
請求項22は、前記画像出力制御装置で変換する場合のみ、データ量を最小とし、転送データの合計量を削減することを特徴とする。
請求項23は、前記画像出力制御装置と画像出力装置間の通信速度に関する情報を読み取る読取装置と、該読取装置から得た通信速度情報と前記変換機構部の処理予測時間から前記画像出力制御装置と画像出力装置の何れの変換機構部を使用するかを判断する判断手段と、を備えることを特徴とする。
請求項24は、前記画像出力装置への画像出力制御装置からの入力量と、該画像出力装置内の処理中データ量を計測する計測装置を備え、該計測装置の計測結果を前記変換機構部の判断手段への入力とし、前記変換機構部の保持データ量から変換候補を選択するときの候補選択を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、スキャンライン化されたデータを再度異なる形式のスキャンラインデータに変換することで、スキャンラインデータをそのまま保持し、描画処理を行う場合と比較して、より動的に画像処理システムの環境が求める条件に合わせた画像処理性能とそのプロセスを提供することができる。
また請求項2では、中間データを最小とするように変換することで、画像処理システムに必要なメモリ量の削減、保持できるデータ量の増加の効果を得ることができる。
また請求項3では、特定の形式のみの描画処理機能を保持する画像処理システムに対し、変換機構部でその形式へ変換を行うことで、必要な描画処理機構部の削減と、限られた描画処理機構部により描画処理機構部以上のスキャンライン形式のデータの受け入れることができる。
また請求項4では、変換処理時間と変換後のデータ量から変換形式を選択することで、画像処理システムの環境として、メモリ量が少なくデータ量を優先する場合、または処理時間を短縮することに優先度が高い場合は、処理時間短縮を優先するという環境に応じた選択を行うことができる。また、両者のバランスを考慮し、よりニーズにあった処理時間での処理を提供することができる。
また請求項5では、描画処理機構部が最速の形式へ変換することで、描画処理の遅い形式のスキャンラインデータの処理時間を向上させることができる。
また請求項6では、描画処理機構部の処理時間と変換処理時間の合計処理時間を最短とすることで、請求項5よりも高い精度で、スキャンライン全体の処理時間を短縮することができる。
また請求項7では、差分情報形式と傾斜情報形式は入力形式として適当であるので、差分情報と傾斜情報は多くの条件において相互変換可能なスキャンラインデータとなることを利用し、この2形式を変換機構部とすることで、汎用性の高い画像処理システムとすることができる。
また請求項8では、差分情報形式データを分割することで、変換処理が困難な条件のスキャンラインデータに関しても傾斜情報形式へ変換が容易になり、また差分情報形式から傾斜情報形式への変換可能範囲を向上させることができる。
【0008】
また請求項9では、分割する場合において、分割したものを更に両者の形式に変換することで、変換後のデータ量、変換処理時間をより最適化することができる。
また請求項10では、差分情報形式と傾斜情報形式は、同様のスキャンライン情報を表すことができ、変換処理が非常に短くなる条件のデータが存在する。その条件に当てはまるデータのみに対して選択的に変換処理対象とすることで、変換処理時間等の予測時間と変換処理時間を削減し、またはより規模の小さな機構部でスキャンラインの描画処理までの処理時間を短縮することができる。
また請求項11では、傾斜情報形式のうち、左右の傾斜のみが傾斜情報となっているスキャンラインデータは容易に差分情報形式に変換できる。その条件に当てはまる傾斜情報形式スキャンラインデータを選択することで、選択処理、変換処理の規模が非常に小さくなり、より小さな処理機構部の規模で処理時間の短縮を効率よく短縮することができる。
また請求項12では、中間データを保持する場合を判断しデータ量を削減する形式変換を行うことで、中間データを保持する場合には保持データ量を向上し、その他の場合にはその環境に合わせた選択を行うことができ、これによりユーザの要求に沿った処理を実現できる。
また請求項13では、差分情報形式、傾斜情報形式は、回転した他方の形式に変換する場合にも効率よく変換可能である条件がある。その場合において直接他方の形式の回転したデータへ変換することで、回転時の画像処理においても請求項7〜12の効果を得ることができる。
また請求項14では、回転時処理プロセス中の変換機構部においても、分解処理を取り入れ、変換可能とすることにより、回転ありの場合の変換処理可能範囲を向上することができる。
【0009】
また請求項15では、回転処理において、回転処理の最も短い変換処理を選択することで、回転なしの処理時間より増加してしまう処理時間を、通常の回転処理時間よりも減少させることができる。
また請求項16では、回転処理において、回転処理後において最もデータ量の少ないデータを選択することで、回転処理においてメモリ量を削減し、保持データの増加を図ることができる。
また請求項17では、回転あり処理、回転なし処理時の描画処理を、回転なし、回転ありのどちらの場合にも使用し、それぞれに応じた変換機構部を利用する。そしてすべての変換機構部の中でデータ量が最小となるデータ形式と、回転ありなしを選択することで、メモリ量を削減し、保持データの増加を図ることができる。
また請求項18では、スキャンラインデータを再変換する機構部を画像出力制御装置内に備えることで、画像出力装置の負荷を削減し、画像出力制御装置のリソースを有効に活用することができる。
また請求項19では、スキャンラインデータを再変換する機構部を画像出力装置内に備えることで、画像出力制御装置の負荷を削減し、画像出力制御装置の負荷と処理時間の削減を実施することができる。
また請求項20では、スキャンラインデータを再変換する機構部を画像出力装置内と画像出力制御装置の両方に備えることで、両者間で負荷を調節し、画像処理システム全体の処理時間の調整と、出力装置、出力制御装置に応じた負荷の分散を行うことができる。
【0010】
また請求項21では、画像出力装置と画像出力制御装置の処理速度から、どちらの装置を使用するかを選択する機構部を備えることで、両者のうち処理時間の短くなる装置を選択し、処理装置に応じて全体の処理時間を適切に短縮することができる。
また請求項22では、画像出力制御装置で変換する場合において、出力制御装置内の再変換機構部の判断機構部がデータ量が最小となる判断を行なうことで、出力装置と出力制御装置を接続する接続路のデータ送信量を削減し、出力装置へのデータ送信時間の短縮と、画像処理システムが属するネットワークの負荷の軽減を行うことができる。
また請求項23では、画像出力制御装置と画像出力装置を接続する接続路の通信速度と再変換機構部の処理時間から、どちらの装置で変換処理を行うかを選択することにより、画像処理システムの環境と、その画像処理システムの接続環境に応じて、最適なデータ量と処理速度を選択することができる。
また請求項24では、再変換機構部への入力量と保持する中間データの量から、データ量の削減と処理速度の向上について、どちらを優先させるかを状況に応じて選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の画像処理システムの構成図である。この画像処理システム100はパーソナルコンピュータ等の画像出力制御装置1と、この画像出力制御装置1から転送される基本図形描画命令で構成されるページ記述言語からなる入力データに基づいて記録媒体に画像を描画して出力する画像出力装置2と、ケーブル3の転送速度を計測する計測装置4とを備えて構成される。
図2は画像処理システム100のスキャンラインを再変換する再変換部の構成を示すブロック図である。この再変換部50は、判断機構部10、11と、選択機構部12と、測定機構部13と、判断機構部14と、変換機構部A〜E15と、描画機構部A〜E16と、処理部17と、処理部18とを備えて構成される。
選択機構部12は、判断機構部10、または判断機構部11へスキャンラインデータを入力として送信し、判断機構部10、11は入力と画像処理システム100の環境情報から選択機構部12に対し変換するべき形式を出力する。選択機構部12は、判断機構部10、11の出力から、スキャンラインデータを変換機構部15に送信する(請求項1)。即ち、画像処理システム100において、画像処理を行う過程においてスキャンライン化されたラン情報データを、異なるスキャンライン形式のデータに再変換する再変換部50と、画像処理システム100の環境、及びデータの条件によりスキャンライン形式を選択する選択機構部12とを備えている。
【0012】
図2の判断機構部10は、スキャンラインデータの入力から変換後の形式が最小となる形式を判断する判断機構部である(請求項2)。即ち、スキャンライン化された描画データから、データ量が最小となるスキャンライン形式を判断する判断機構部10と、この判断機構部10の判断に基づいてスキャンラインデータの形式を変更する変換機構部15と、を更に備え、変換機構部15は画像処理の過程において保持される中間データとしてのスキャンラインデータを最小とする。
図2において、描画機構部16のうちAのみを持ち、選択機構部12が、入力1がいずれの形式においても形式Aに変換するよう選択する選択機構部である(請求項3)。つまり特定の形式のスキャンラインデータの描画を行う描画機構部16と、変換機構部15に対しシステムが備えている描画機構部16のスキャンラインデータ形式への変換を指示する機構部と、を更に備えている。
判断機構部11が、変換機構部情報1として変換機構部15の処理時間を取得し、形式変換によるデータ量と処理時間から判断結果1となる形式を選択する判断機構部である(請求項4)。
また、判断機構部11は描画機構部情報1として描画機構部16の処理速度を取得し、描画機構部情報1から判断結果1として、描画処理時間が最小の形式を選択する判断機構部である(請求項5)。判断機構部11が変換機構部情報1と描画機構部情報1から判断結果1を選択する判断機構部である(請求項6)。
また図2の変換機構部10が、1ラン目の情報と前ランとの差分情報で構成されるラン情報の集合として表現される形式のスキャンラインデータを入力として受け取り、1ラン目の情報と1ラン目の両端からの傾斜情報で表現される形式のスキャンラインデータに変換する変換機構部(図3参照)であり、変換機構部11が、傾斜情報で表現される形式のスキャンラインデータを入力として受け取り、差分情報で表現される形式のスキャンラインデータに変換する変換機構部(図4参照)である(請求項7)。
【0013】
図3の処理3−1は、差分情報形式のスキャンラインデータを、傾斜情報形式に変換可能な複数の差分情報形式データに分解する処理ブロックである(請求項8)。即ち、差分情報に基づいた形式から傾斜情報に基づいた形式への変換を行う機構部において、この機構部は、1つの差分情報形式のスキャンラインを分割する分割手段を更に備え、この分割手段により分割されたスキャンラインデータを変換するものである。
図3の処理3−1、図4の処理4−1がデータを分解する処理ブロックであり、その処理は、それぞれ画像処理システムの環境が優先する条件に合う2形式のスキャンラインデータに分解する。その分解されたデータを判断機構部10または判断機構部11が選択的に他方のデータに変換する指示を行う判断機構部である(請求項9)。
図5は、図2に選択機構部20、判断機構部21、変換機構部情報2を追加した構成である。判断機構部21は変換機構部情報2から、前述の2形式を変換することが容易なスキャンラインデータ条件を判断基準1として出力し、選択機構部20は判断基準1から、データの送り先を選択機構部12か変換機構部15の変換後の処理部分かを選択する(請求項10)。
図4の分岐4−1において、傾斜情報が単純であり、すべて同一差分のデータに変換できることを判断する(請求項11)。即ち、1次の傾斜のみからなる傾斜情報形式データを差分情報形式の連続データに変換可能である箇所を検知する検知手段を更に備え、この検知手段により検知されたデータに対してのみ、傾斜情報形式から差分情報形式へ変換する。
【0014】
図6は図2中の処理部18の詳細を示す図である。変換機構部の変換後、一時的に中間データを保持する場合において、判断機構部11は、選択機構部12に対しデータ量が最小となる形式を判断結果として送信する。その結果から選択機構部12はデータを送信する変換機構部15を選択する(請求項12)。
また画像処理システムが受け取ったデータを回転して出力する回転処理ありの画像処理において、描画機構部として、変換機構部Dは傾斜情報形式のスキャンラインデータを回転方向に変換した差分情報形式データに変換する変換機構部であり、描画機構部Dは差分情報形式を回転方向に描画する描画機構部であり、変換機構部Eは差分情報形式のスキャンラインデータを回転方向に変換した傾斜情報形式データに変換する変換機構部であり、描画機構部Eは傾斜情報形式を回転方向に描画する描画機構部であるとする。変換機構部Dは、図3の処理3−2において、回転方向に変換し、変換機構部Eは図7となる(請求項13)。
変換機構部Dにおいて、処理3−1で差分情報形式データを回転後の傾斜情報形式へ変換可能な複数の差分情報形式データに分解する(請求項14)。
図2中の描画機構部情報1は回転の変換時間であり、判断機構部11は最も回転処理が短い形式を判断結果として選択機構部12に送信する(請求項15)。同様に、描画機構部情報1は変換後のデータ量であり、判断機構部11は最も回転後のデータ量が小さくなる形式を判断結果として選択機構部に送信する(請求項16)。
通常、回転ありの両描画において、回転あり描画機構部であるC、D、回転なし描画機構部であるA、Bをどちらも使用し、変換機構部A〜Dの変換機構部情報からデータが最小になるかを計算する計算機構部を図2の処理2−2として備え、総合データ量が最小となる変換を行う(請求項17)。
【0015】
図1中のモジュール1−1がスキャンラインを再変換する機構部である(請求項18)。即ち、所定の形式のスキャンラインデータから異なる形式のスキャンラインデータへ変換する変換機構部(モジュール1−1)を画像出力制御装置1内に備える。
モジュール1−2が再変換する機構部である(請求項19)。即ち、変換機構部(モジュール1−2)を画像出力装置2に備える。
モジュール1−1、1−2の両方が再変換する機構部である(請求項20)である。即ち、画像処理システム100は変換機構部(モジュール1−1、1−2)を画像出力制御装置1及び画像出力装置2に備え、この画像出力制御装置1と画像出力装置2の環境により、何れの変換機構部を用いるかを選択するものである。
更に、モジュール1−1に接続するモジュール1−3は、画像出力制御装置1の処理速度の情報をもち、モジュール1−1へ処理速度情報を提供する。モジュール1−2に接続するモジュール1−4は、画像出力装置2の処理速度の情報をもち、モジュール1−2へ処理速度情報を提供する。モジュール1−3、1−4の提供情報から、モジュール1−1、1−2どちらで変換処理を行うかを選択する制御モジュールがモジュール1−5、1−6である(請求項21)。モジュール1−5は、モジュール1−1内の判断機構部に対し、変換後のデータを最小とする判断をする制御を行う制御モジュールであり、ネットワーク3で送信されるデータ量が最小となる(請求項22)。
図1中の計測装置4は、ケーブル3の転送速度を計測する装置であり、その計測装置4の結果から、制御モジュール1−5、1−6は再変換機構部1−1、1−2のどちらを使うかを判定する(請求項23)。
図2中の測定機構部13は入力データ量を測定し、図6中の測定機構部30は中間データ量を計測する計測機構部である。これらの測定機構部の測定結果を図2中の判断機構部14の入力とし、判断機構部14は、計測結果から判定したデータ量に応じた形式への変換を選択機構部12に指示する。保持データ量が多い場合にはデータ量縮小を優先する等の選択を行う(請求項24)。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の画像処理システムの構成図である。
【図2】本発明の画像処理システム100のスキャンラインを再変換する再変換部の構成を示すブロック図である。
【図3】差分情報形式のスキャンラインデータを、傾斜情報形式に変換可能な複数の差分情報形式データに分解する処理ブロック図である。
【図4】データを分解する処理ブロック図である。
【図5】本発明のスキャンラインを再変換する再変換部の構成を示すブロック図である。
【図6】図2中の処理部18の詳細を示す図である。
【図7】変換機構部Eの処理ブロック図である。
【符号の説明】
【0017】
10、11、14 判断機構部、12 選択機構部、13 測定機構部、14 判断機構部、15 変換機構部A〜E、16 描画機構部A〜E、17、18 処理、50 再変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像出力制御装置と、該画像出力制御装置とインターフェースを介して接続され、前記画像出力制御装置から転送される基本図形描画命令で構成されるページ記述言語からなる入力データに基づいて記録媒体に画像を描画して出力する画像出力装置を備えた画像処理システムにおいて、
画像処理を行う過程においてスキャンライン化されたラン情報データを、異なるスキャンライン形式のデータに再変換する再変換部と、画像処理システムの環境、及びデータの条件により前記スキャンライン形式を選択する選択機構部とを備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
スキャンライン化された描画データから、データ量が最小となるスキャンライン形式を判断する判断機構部と、該判断機構部の判断に基づいてスキャンラインデータの形式を変更する形式変換機構部と、を更に備え、前記形式変換機構部は画像処理の過程において保持される中間データとしてのスキャンラインデータを最小とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
特定の形式のスキャンラインデータの描画を行う描画機構部と、前記形式変換機構部に対しシステムが備えている描画機構部のスキャンラインデータ形式への変換を指示するデータ形式指示機構部と、を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
変換処理時間と変換後のデータ量を計算するデータ量計算手段と、該データ量計算手段の計算結果から変換する形式を指示する計算結果指示機構部と、を更に備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記選択機構部は、最も高速に描画処理を行うスキャンライン描画機構部の形式を選択することを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項6】
変換処理時間と変換後のデータ形式の描画機構部の処理時間を計算する処理時間計算手段と、該処理時間計算手段の結果から合計の処理時間が最小となるように変換する形式を指示する最小処理時間指示機構部と、を更に備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記形式変換機構部は前ランとの差分情報に基づいた差分情報形式のスキャンラインデータと、傾斜情報に基づいた傾斜情報形式のスキャンラインデータの2形式を相互に変換する機構部であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記差分情報に基づいた形式から傾斜情報に基づいた形式への変換を行う形式変換機構部において、該形式変換機構部は、1つの差分情報形式のスキャンラインを分割する分割手段を更に備え、該分割手段により分割されたスキャンラインデータを変換することを特徴とする請求項7に記載の画像処理システム。
【請求項9】
分割されたデータのうちから、差分情報形式と傾斜情報形式とに変換するものを選択する変換形式選択機構部を更に備え、該変換形式選択機構部の選択結果により分割データを変換することを特徴とする請求項8に記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記差分情報形式と傾斜情報形式の両形式間で変換が容易なスキャンラインデータを選択するスキャンラインデータ選択機構部を更に備え、該スキャンラインデータ選択機構部により変換されるスキャンラインデータを選択することを特徴とする請求項7乃至9の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項11】
1次の傾斜のみからなる傾斜情報形式データを差分情報形式の連続データに変換可能である箇所を検知する検知手段を更に備え、該検知手段により検知されたデータに対してのみ、傾斜情報形式から差分情報形式へ変換する形式変換機構部を選択する選択機構部を備えることを特徴とする請求項7乃至10の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項12】
前記形式変換機構部の処理結果を中間データとして中間データ保持部に一時的に保持する場合、前記データ量計算手段は変換後のデータ量を計算し、前記選択機構部は、前記データ量計算手段の計算結果のデータ量が最小となる形式を選択することを特徴とする請求項7乃至11の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項13】
回転されたスキャンラインデータを回転前と直交する方向で描画する描画機構部を備え、前記スキャンラインデータの回転処理を行う際、前記差分情報形式と傾斜情報形式は回転後の他方の形式に変換可能であることを利用して、直接回転した後の他方の形式に変換する変換機構部を備えることを特徴とする請求項7乃至12の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項14】
前記変換機構部は直接回転変換不可能なデータについては、変換可能なデータに分解して変換処理を行うことを特徴とする請求項13に記載の画像処理システム。
【請求項15】
回転後のデータへの変換時間が最も短い変換機構部を選択する変換機構部選択機構部を備え、前記変換機構部選択機構部により選択された変換機構部は、最も処理時間の短い回転後の形式へ変換することを特徴とする請求項13又は14に記載の画像処理システム。
【請求項16】
回転後のデータ量を計算する回転後データ量計算手段と、該回転後データ量計算手段の計算結果から回転後にデータ量が最小となる形式を選択する最小データ量選択機構部と、を更に備え、前記最小データ量選択機構部により選択された形式においては、データ量が最小となる変換を行うことを特徴とする請求項13乃至15の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項17】
前記描画機構部が水平方向と、垂直方向への描画機構部の両者を備える場合、所定の形式のスキャンラインデータを回転なし変換、回転あり変換の何れの形式が最もデータ量が最小になるかを計算する最小データ量計算手段を備え、該最小データ量計算手段の結果から形式変換機構部を選択することを特徴とする請求項13乃至16の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項18】
前記所定の形式のスキャンラインデータから異なる形式のスキャンラインデータへ変換する変換機構部を前記画像出力制御装置内に備えることを特徴とする請求項1乃至17の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項19】
前記変換機構部を前記画像出力装置に備えることを特徴とする請求項1乃至17の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項20】
前記画像処理システムは前記変換機構部を前記画像出力制御装置及び画像出力装置に備え、該画像出力制御装置と画像出力装置の環境により、何れの変換機構部を用いるかを選択することを特徴とする請求項1乃至17の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項21】
前記画像出力制御装置と画像出力装置の環境として、両装置の処理速度に関する情報を使用することを特徴とする請求項20に記載の画像処理システム。
【請求項22】
前記画像出力制御装置で変換する場合のみ、データ量を最小とし、転送データの合計量を削減することを特徴とする請求項20に記載の画像処理システム。
【請求項23】
前記画像出力制御装置と画像出力装置間の通信速度に関する情報を読み取る読取装置と、該読取装置から得た通信速度情報と前記変換機構部の処理予測時間から前記画像出力制御装置と画像出力装置の何れの変換機構部を使用するかを判断する判断手段と、を備えることを特徴とする請求項20乃至22の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項24】
前記画像出力装置への画像出力制御装置からの入力量と、該画像出力装置内の処理中データ量を計測する計測装置とを備え、該計測装置の計測結果を前記変換機構部の判断手段への入力とし、前記変換機構部の保持データ量から変換候補を選択するときの候補選択を制御することを特徴とした請求項20乃至23の何れか一項に記載の画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−79476(P2006−79476A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264716(P2004−264716)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】