説明

画像処理システム

【課題】ネットワーク上に繋がっている画像処理装置の連携により自動的に印刷機能の校正を行う。
【解決手段】第1の画像処理装置において印刷対象画像情報から当該印刷対象画像情報の部分画像を含む印刷画像特徴情報を生成する印刷画像特徴情報生成手段と、当該第1の画像処理装置を特定する装置情報と印刷物を特定する印刷物識別情報と含む付加情報を埋め込んだ前記印刷対象画像情報に基づいて印刷を行って印刷物を出力する画像印刷手段と、第2の画像処理装置において前記印刷物の画像を読み取って読取画像情報を生成する画像読取手段と、前記読取画像情報の部分画像を含む読取画像特徴情報および前記印刷画像特徴情報に基づいて前記第1の画像処理装置の印刷機能に対する校正の要否および校正要の場合の校正内容を含む校正情報を生成する校正情報生成手段と、前記校正情報に基づいて印刷機能に対する校正を行う校正実行手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP(Multi Function Peripheral, Multi Function Printer)等の画像処理装置における印刷機能の濃度等を校正(キャリブレーション)する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真エンジンは、機種・ロット・経時で印刷の濃度(CMYKカラーの場合は色み)の変動が大きい。そのため、転写前の潜像トナーをセンサで観測し、フィードバック制御する機構を内部に備えているものが多い。しかし、この機構では潜像の生成までしか制御することができないため、転写から定着過程での変動をフィードバックすることができない。
【0003】
そこで、専用のページ(キャリブレーションシート)を印刷し、印刷された用紙(印刷物)をユーザに画像読取(スキャン)してもらうことで、実際に印刷された状態の濃度を手動フィードバックして印刷の濃度を校正する方法がとられてきた(例えば、特許文献1を参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来は、画像処理装置の印刷機能の校正を、キャリブレーションシートの印刷やその印刷物の読取等によってユーザが明示的に行う必要があり、これはユーザにとって煩雑な作業であった。
【0005】
また、画像読取機能を備えていないプリンタ等の場合、キャリブレーションシートによる校正を行うにはスキャナの接続等の煩雑な作業が伴っていた。
【0006】
なお、主に濃度の校正について説明したが、印刷位置等の他の印刷機能の校正についても同様の問題があった。
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、ネットワーク上に繋がっている画像処理装置の連携により自動的に印刷機能の校正を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明にあっては、複数の画像処理装置がネットワークにより接続された画像処理システムであって、第1の画像処理装置において印刷対象画像情報から当該印刷対象画像情報の部分画像を含む印刷画像特徴情報を生成する印刷画像特徴情報生成手段と、第1の画像処理装置において当該第1の画像処理装置を特定する装置情報と印刷物を特定する印刷物識別情報と含む付加情報を埋め込んだ前記印刷対象画像情報に基づいて印刷を行って印刷物を出力する画像印刷手段と、第2の画像処理装置において前記印刷物の画像を読み取って読取画像情報を生成する画像読取手段と、前記読取画像情報の部分画像を含む読取画像特徴情報および前記印刷画像特徴情報に基づいて前記第1の画像処理装置の印刷機能に対する校正の要否および校正要の場合の校正内容を含む校正情報を生成する校正情報生成手段と、前記第1の画像処理装置において前記校正情報に基づいて印刷機能に対する校正を行う校正実行手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像処理システムにあっては、ネットワーク上に繋がっている画像処理装置の連携により自動的に印刷機能の校正を行うことができ、印刷品質を維持しつつ、ユーザの負担を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態にかかるシステムの構成例を示す図である。
【図2】画像処理装置の一般的な構成例を示す図である。
【図3】2台の画像処理装置の連携にかかる機能部を示す図である。
【図4】印刷画像特徴情報の例を示す図である。
【図5】蓄積情報の例を示す図である。
【図6】付加情報の例を示す図である。
【図7】校正判断基礎情報の例を示す図である。
【図8】校正情報の例を示す図である。
【図9】実施形態の処理例を示すフローチャートである。
【図10】画像処理装置1Aにおける画像印刷処理の例を示すフローチャートである。
【図11】画像処理装置1Bにおける画像読取処理の例を示すフローチャートである。
【図12】画像処理装置1Aにおける校正処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0012】
<構成>
図1は本発明の一実施形態にかかるシステムの構成例を示す図である。
【0013】
図1において、LAN(Local Area Network)等のネットワーク2には、MFP、プリンタ、FAX、スキャナ等の複数の画像処理装置1A、1B、・・が接続されている。ここでは、後述する動作説明と整合させるため、画像処理装置1Aはプリンタ、コピー、FAX(受信印刷)等の画像印刷機能を最低限有しており、画像処理装置1Bはスキャナ、コピー、FAX(送信)等の画像読取機能を最低限有しているものとしている。
【0014】
図2は画像処理装置1(1A、1B、・・)の一般的な構成例を示す図である。
【0015】
図2において、画像処理装置1は、バス11に接続されたCPU(Central Processing Unit)12とメモリ13と不揮発性記憶ユニット14と画像入力ユニット15と画像出力ユニット16とインタフェースユニット17とを備えている。
【0016】
CPU12は、コンピュータプログラムに従い、画像処理装置1の主たる制御を行う部分である。
【0017】
メモリ13は、CPU12の制御処理に必要なプログラムやデータを保持する部分である。
【0018】
不揮発性記憶ユニット14は、画像処理装置1の電源オフ時にもデータが消失しない、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶手段である。
【0019】
画像入力ユニット15は、画像読取機構(スキャナエンジン)により原稿等から画像を読み取って画像情報を取得し、もしくは、外部のPC(Personal Computer)やFAX等から印刷対象の画像情報を取得する部分である。
【0020】
画像出力ユニット16は、画像印刷機構(プリンタエンジン)により用紙に画像情報を印刷し、もしくは、画像情報を外部のPC等に出力する部分である。
【0021】
インタフェースユニット17は、ネットワーク2を通して外部の装置と情報通信を行う部分である。
【0022】
図3は2台の画像処理装置1A、1Bの連携にかかる機能部を示す図である。
【0023】
図3において、原稿31もしくは画像情報32を入力して印刷物39を出力する側の画像処理装置1Aには、画像入力部101と印刷画像特徴情報生成部102と印刷物識別情報生成部103と印刷画像特徴情報蓄積部104と付加情報生成部105と付加情報画像生成部106と付加情報画像配置部107と画像出力部108と情報受信部117と情報解析部118と校正情報生成部119と校正情報取得部120と校正実行部121とが設けられている。
【0024】
また、印刷物39を入力して校正判断基礎情報46もしくは校正情報47を画像処理装置1Aに送信する側の画像処理装置1Bには、画像入力部109と付加情報取得部110と読取画像特徴情報生成部111と情報解析部112と校正判断基礎情報生成部113と校正情報生成部114と情報送信部116とが設けられている。
【0025】
画像処理装置1Aの画像入力部101は、コピー時に原稿31を読み込み、もしくは、PCからの印刷要求やFAX受信時に画像情報32を入力し、印刷対象画像情報33を出力する機能を有している。
【0026】
印刷画像特徴情報生成部102は、印刷対象画像情報33から印刷画像特徴情報34を生成して出力する機能を有している。図4は印刷画像特徴情報の例を示す図であり、部分画像、(濃度特徴情報)、(位置特徴情報)等の項目を含んでいる。部分画像は印刷対象画像情報33から所定の基準に従って抜き出した画像である。部分画像であるため、蓄積および通信のためのデータ量を小さく抑えることができる。部分画像の抜き出し手法としては、例えば、次のようなものがある。これらの手法は、単独でも任意に組み合わせてもよい。
【0027】
(1)元画像である印刷対象画像情報33のブロック状の一部分を部分画像として抽出する手法。この場合、部分画像がブロック状であるため、文字・図・表などの部分をバランスよく持つようにすることができ、元画像の一部分ではあるが元画像と同様の効果を得ることが可能となり、印刷位置のずれ/傾きを発見し、印刷搬送路のミスフィードを補正するために用いることができる。
【0028】
(2)元画像である印刷対象画像情報33の縦方向のライン状の一部分を部分画像として抽出する手法。この場合、横すじを発見し、印刷ドラムの汚れ/不具合を補正するために用いることができる。
【0029】
(3)元画像である印刷対象画像情報33の横方向のライン状の一部分を部分画像として抽出する手法。この場合、縦すじを発見し、印刷ドラムの汚れ/不具合を補正するために用いることができる。
【0030】
(4)元画像である印刷対象画像情報33に図/写真領域の一部分を部分画像として抽出する手法。この場合、印刷ダブリを発見し、印刷ドラムの汚れ/不具合を補正するために用いることができる。
【0031】
(5)元画像である印刷対象画像情報33の文字領域の一部分を部分画像として抽出する手法。この場合、文字のかすれ等を発見し、文字印刷を最適化するために用いることができる。
【0032】
(6)元画像である印刷対象画像情報33のカラー領域の一部分を部分画像として抽出する手法。この場合、色違いを発見し、印刷ドラムの色再現パラメータを補正するために用いることができる。また、色ずれを発見し、印刷ドラムの版ずれを補正するために用いることができる。
【0033】
(7)元画像である印刷対象画像情報33の表領域の一部分を部分画像として抽出する手法。この場合、表の枠線(縦枠/横枠)から横ずれ/縦ずれを発見でき、印刷搬送路等の不具合を補正するために用いることができる。
【0034】
濃度特徴情報には、算出方法の違いにより、画像全体の平均濃度、画像の図柄部分の平均濃度、濃度のヒストグラム等を用いることができる。位置特徴情報には、画像上の代表的な位置の座標情報を含めることができる。濃度特徴情報と位置特徴情報は、部分画像から同内容の情報が取得できる場合には省略することができる。
【0035】
図3に戻り、印刷物識別情報生成部103は、印刷物39を特定する印刷物識別情報35を生成して出力する機能を有している。印刷対象となる原稿31や画像情報32を特定するものではなく、あくまでも印刷物39を特定するものであるため、印刷の都度にユニークな識別子を発行することで足りる。
【0036】
印刷画像特徴情報蓄積部104は、印刷物識別情報35に対応付けて印刷画像特徴情報34を不揮発性記憶ユニット14等に蓄積する機能を有している。図5は蓄積情報の例を示す図であり、印刷物識別情報(印刷物ID)、印刷画像特徴情報、印刷日時、算出方法等の項目を含んでいる。
【0037】
図3に戻り、付加情報生成部105は、印刷物識別情報35等から付加情報36を生成して出力する機能を有している。図6は付加情報の例を示す図であり、印刷物識別情報(印刷物ID)、印刷側装置の装置情報(装置ID)、(印刷日時)、(算出方法)、校正要否判断装置情報(印刷側装置or読取側装置)等の項目を含んでいる。印刷日時、算出方法は後に印刷画像特徴情報とともに取得することができるため、省略が可能である。
【0038】
図3に戻り、付加情報画像生成部106は、付加情報36からバーコード、地紋等の生成アルゴリズムに従って付加情報画像37を生成して出力する機能を有している。付加情報画像37は、付加情報をバーコード、地紋等の画像により表現したものである。
【0039】
付加情報画像配置部107は、付加情報画像37を印刷対象画像情報33に配置(マージ、合成)し、印刷画像情報38を出力する機能を有している。
【0040】
画像出力部108は、印刷画像情報38に基づいて印刷を行い、印刷物39を出力する機能を有している。印刷物39には付加情報が付加されている。
【0041】
画像処理装置1Bの画像入力部109は、コピー、FAX送信、スキャン時に印刷物39を読み込み、読取画像情報40を出力する機能を有している。
【0042】
付加情報取得部110は、読取画像情報40から付加情報画像を検知し、付加情報41を出力する機能を有している。
【0043】
読取画像特徴情報生成部111は、付加情報取得部110と並行して、読取画像情報40から読取画像特徴情報42を生成して出力する機能を有している。読取画像特徴情報42は、図4に示した印刷画像特徴情報と同様な項目を含んでいる。
【0044】
図3に戻り、情報解析部112は、付加情報41を解析し、校正要否判断装置情報(印刷側装置or読取側装置)に基づいて処理内容を判断し、解析結果情報43を出力する機能を有している。解析結果情報43は読取側装置で校正要否判断を行わないのか行うのかの情報を含んでいる。
【0045】
校正判断基礎情報生成部113は、校正要否判断装置情報が印刷側装置(画像処理装置1A)である場合に動作し、校正判断基礎情報44を生成して出力する機能を有している。図7は校正判断基礎情報の例を示す図であり、付加情報、読取画像特徴情報、読取側装置の装置情報(装置ID)、読取日時等の項目を含んでいる。
【0046】
図3に戻り、校正情報生成部114は、校正要否判断装置情報が読取側装置(画像処理装置1B)である場合に動作し、読取画像特徴情報42と、付加情報に含まれる印刷物識別情報に基づいて印刷画像特徴情報取得部115により印刷側の画像処理装置1Aから取得した印刷画像特徴情報とに基づいて校正情報45を生成して出力する機能を有している。図8は校正情報の例を示す図であり、校正の要否、校正内容、読取側装置の装置情報(装置ID)、読取日時、印刷日時、校正要否判断装置情報(印刷側装置or読取側装置)等の項目を含んでいる。
【0047】
図3に戻り、情報送信部116は、校正判断基礎情報生成部113からの校正判断基礎情報44を校正判断基礎情報46として、校正情報生成部114からの校正情報45を校正情報47として、印刷側の画像処理装置1Aに送信する機能を有している。
【0048】
一方、画像処理装置1Aの情報受信部117は、画像処理装置1Bから校正判断基礎情報46もしくは校正情報47を受信して、受信情報48として出力する機能を有している。
【0049】
情報解析部118は、受信情報48を解析し、校正判断基礎情報46の付加情報もしくは校正情報47に含まれる校正要否判断装置情報(印刷側装置or読取側装置)に基づいて処理内容を判断し、解析結果情報49を出力する機能を有している。解析結果情報49は印刷側装置で校正要否判断を行うのか行わないのかの情報を含んでいる。
【0050】
校正情報生成部119は、校正要否判断装置情報が印刷側装置(画像処理装置1A)である場合に動作し、受信情報48として受信した校正判断基礎情報46に含まれる読取画像特徴情報と、校正判断基礎情報46の付加情報に含まれる印刷物識別情報に基づいて自装置内から取得した印刷画像特徴情報とに基づいて校正情報50を生成して出力する機能を有している。校正情報50は、図8に示した情報と同様であるが、校正要否判断装置情報(印刷側装置or読取側装置)は不要である。
【0051】
図3に戻り、校正情報取得部120は、校正要否判断装置情報が読取側装置(画像処理装置1B)である場合に動作し、受信情報48として受信した校正情報47をそのまま校正情報50として出力する機能を有している。
【0052】
校正実行部121は、校正情報50に基づいて、校正が要とされている場合に校正内容に従って画像処理装置1Aの印刷機能の濃度や印刷位置等の校正を実行する機能を有している。なお、校正実行部121は、校正情報50が与えられる毎に校正を実行する場合のほか、所定の条件を満たす場合にのみ校正を実行するものとすることができる。
【0053】
<動作>
図9は上記の実施形態の処理例を示すフローチャートである。
【0054】
図9において、ユーザは通常の業務の一環として、印刷機能の校正を意識することなく、画像処理装置1Aにおける画像印刷処理を行う(ステップS1)。この処理により、印刷物39(図3)が出力される。なお、印刷側となる画像処理装置1Aは、前述した機能を備えたものであれば、ネットワーク2上のいずれの画像処理装置であってもよい。
【0055】
その後、ユーザは通常の業務の一環として、画像処理装置1Bにおいて印刷物39に対して画像読取処理を行う(ステップS2)。この処理により、校正判断基礎情報46もしくは校正情報47が印刷側の画像処理装置1Aに送信される。なお、読取側となる画像処理装置1Bは、前述した機能を備えたものであれば、ネットワーク2上のいずれの画像処理装置であってもよい。
【0056】
読取側の画像処理装置1Bから校正判断基礎情報46もしくは校正情報47を受信すると、画像処理装置1Aでは校正処理を行う(ステップS3)。
【0057】
図10は画像処理装置1Aにおける画像印刷処理(図9のステップS1)の例を示すフローチャートである。
【0058】
図10において、画像印刷処理を開始すると(ステップS101)、画像処理装置1Aの画像入力部101は、原稿31に対するコピー操作やFAX送信操作であるか、画像情報32の受信による印刷であるかにより、画像読取が必要であるか否か判断する(ステップS102)。
【0059】
画像読取が必要であると判断した場合(ステップS102のYes)、画像入力部101は、画像読取により印刷対象画像情報33を取得する(ステップS103)。
【0060】
また、画像読取が必要でないと判断した場合(ステップS102のNo)、画像入力部101は、印刷対象画像情報33を直接に取得する(ステップS104)。
【0061】
次いで、印刷画像特徴情報生成部102は、印刷対象画像情報33から印刷画像特徴情報34を生成する(ステップS105)。すなわち、印刷対象画像情報33から前述した手法により部分画像を抽出するとともに、必要に応じて印刷対象画像情報33を解析し、濃度特徴情報、位置特徴情報等を算出し、印刷画像特徴情報34とする。
【0062】
次いで、印刷物識別情報生成部103は、印刷物39を特定するユニークな印刷物識別情報35を生成し、印刷画像特徴情報蓄積部104は、印刷物識別情報35に対応付けて印刷画像特徴情報34を不揮発性記憶ユニット14等に蓄積する(ステップS106)。
【0063】
次いで、付加情報生成部105は、印刷画像特徴情報34から付加情報36を生成する(ステップS107)。すなわち、印刷物識別情報(印刷物ID)、印刷側装置の装置情報(装置ID)、(印刷日時)、(算出方法)、校正要否判断装置情報(印刷側装置or読取側装置)等を付加情報とする。
【0064】
次いで、付加情報画像生成部106は、付加情報36から付加情報画像37を生成する(ステップS108)。すなわち、バーコードや地紋の生成アルゴリズムに従って付加情報36を画像化して付加情報画像37を得る。
【0065】
次いで、付加情報画像配置部107は、画像入力部101で得た印刷対象画像情報33に付加情報画像37を配置(マージ、合成)する(ステップS109)。
【0066】
次いで、画像出力部108は、付加情報画像37を配置した印刷画像情報38を印刷して印刷物39を出力し(ステップS110)、処理を終了する(ステップS111)。
【0067】
図11は画像処理装置1Bにおける画像読取処理(図9のステップS2)の例を示すフローチャートである。
【0068】
図11において、画像読取処理を開始すると(ステップS201)、画像処理装置1Bの画像入力部109は、印刷物39の画像読取を行い、読取画像情報40を得る(ステップS202)。
【0069】
次いで、付加情報取得部110は、読取画像情報40から付加情報41を検知して取得する(ステップS203)。付加情報画像はバーコードや地紋等の検知可能な形式となっているため、その埋め込み形式に従って検知を行う。
【0070】
付加情報取得部110の処理と並行して、読取画像特徴情報生成部111は、読取画像情報40から読取画像特徴情報42を生成する(ステップS204)。すなわち、読取画像情報40から前述した手法により部分画像を抽出するとともに、必要に応じて読取画像情報40を解析し、濃度特徴情報、位置特徴情報等を算出し、読取画像特徴情報42とする。
【0071】
次いで、情報解析部112は、付加情報41を解析し、校正要否判断装置情報(印刷側装置or読取側装置)に基づいて処理内容を判断する(ステップS205)。
【0072】
校正要否判断装置情報が印刷側装置(画像処理装置1A)である場合(ステップS205の印刷側装置)、校正判断基礎情報生成部113は、付加情報41、読取画像特徴情報42から校正判断基礎情報44を生成する(ステップS206)。すなわち、付加情報41と読取画像特徴情報42に読取側装置の装置情報(自装置の装置情報)と読取日時等を追加して校正判断基礎情報44とする。
【0073】
校正要否判断装置情報が読取側装置(画像処理装置1B)である場合(ステップS205の読取側装置)、印刷画像特徴情報取得部115は印刷側装置の装置情報と印刷物識別情報に基づき、印刷側の画像処理装置1Aから蓄積情報を取得する(ステップS207)。
【0074】
次いで、校正情報生成部114は、取得した蓄積情報に含まれる印刷画像特徴情報と読取画像特徴情報42等から校正情報45を生成する(ステップS208)。すなわち、印刷画像特徴情報取得部115により取得した印刷画像特徴情報と読取画像特徴情報42を比較し、濃度差や位置差等が所定の閾値を超える場合には校正要とし、その濃度差や位置差等を打ち消すべき値を校正内容とする。これに、読取側装置の装置情報(自装置の装置情報)と読取日時と印刷日時(付加情報41から抽出)と校正要否判断装置情報(印刷側装置or読取側装置)等を追加して校正情報45とする。
【0075】
次いで、情報送信部116は、校正判断基礎情報生成部113の生成した校正判断基礎情報44を校正判断基礎情報46として、もしくは、校正情報生成部114の生成した校正情報45を校正情報47として、印刷側の画像処理装置1Aに送信し(ステップS209)、処理を終了する(ステップS210)。
【0076】
図12は画像処理装置1Aにおける校正処理(図9のステップS3)の例を示すフローチャートである。
【0077】
図12において、校正処理を開始すると(ステップS301)、情報受信部117は、校正判断基礎情報46もしくは校正情報47を受信し、受信情報48とする(ステップS302)。
【0078】
次いで、情報解析部118は、受信情報48を解析し、校正判断基礎情報46の付加情報もしくは校正情報47に含まれる校正要否判断装置情報(印刷側装置or読取側装置)に基づいて処理内容を判断する(ステップS303)。
【0079】
校正要否判断装置情報が印刷側装置(画像処理装置1A)である場合(ステップS303の印刷側装置)、校正情報生成部119は、校正判断基礎情報の付加情報に含まれる印刷物識別情報に基づいて自装置内の蓄積情報を取得し(ステップS304)、受信した校正判断基礎情報46と蓄積情報から校正情報50を生成する(ステップS305)。すなわち、蓄積情報の印刷画像特徴情報と読取画像特徴情報を比較し、濃度差や位置差等が所定の閾値を超える場合には校正要とし、その濃度差や位置差等を打ち消すべき値を校正内容とする。これに、読取側装置の装置情報(自装置の装置情報)と読取日時と印刷日時(付加情報41から抽出)等を追加して校正情報50とする。
【0080】
校正要否判断装置情報が読取側装置(画像処理装置1B)である場合(ステップS303の読取側装置)、校正情報取得部120は、受信した校正情報47を校正情報50として取得する(ステップS306)。
【0081】
次いで、校正実行部121は、校正を実行するか否か判断する(ステップS307)。例えば、次のような基準により校正を実行するか否かの判断を行う。
(1)校正情報50の生成・取得の毎に判断を行う場合、校正の要否が否である場合は、当然ながら校正は実行しないと判断する。なお、読取側にて校正要否判断を行う場合、校正情報47を送信してくるのが1台の画像処理装置1Bである場合には、校正の要否が否である場合は、校正情報47の送信を行わないようにすることができる。この場合、校正情報47における校正の要否の項目は不要となる。
(2)校正情報50の生成・取得の毎に判断を行う場合、校正の要否が要である場合は、校正内容に従って直ちに校正の実行を行ってもよいし、印刷日時等を参照して判断を行ってもよい。印刷日時等の参照により、現在日時から所定期間以上前に印刷された印刷物39に基づく校正情報50であれば、現時点の校正に不適切な校正内容を含む可能性があるため、校正を実行しないと判断することができる。また、起動した直後には校正を実行しないとすることもできる。
(3)所定の期間もしくは所定の数の校正情報50を校正実行部121の管理下で蓄積しておき、それらを総合的に判断して校正を実行するか否か判断することができる。例えば、複数の校正情報50の校正の要否、校正要の場合の校正内容を、数や印刷日時に基づいてランキングし、最も信頼性の高い校正情報50を採用して校正を行うか否かを判断することができる。単純に多数決により校正内容を決定してもよい。
【0082】
次いで、校正実行部121は、校正内容に従って印刷機能の濃度や印刷位置等の校正を実行し(ステップS308)、処理を終了する(ステップS309)。
【0083】
<変形例>
上述した実施形態では、印刷物を特定する印刷物識別情報に対応付けて部分画像等の印刷画像特徴情報を印刷側の画像処理装置1Aに蓄積しておき、印刷物識別情報を付加情報に含め、この印刷物識別情報から印刷画像特徴情報を参照可能とする場合について説明したが、実施形態はこれに限らない。例えば、印刷画像特徴情報がサイズ的に小さい場合、付加情報として印刷物に埋め込んでもよい。部分画像は元画像から抽出するサイズを小さくすることでデータを小さくすることができるため、付加情報として印刷物に埋め込むのにも適している。
【0084】
また、上述した実施形態では、印刷画像特徴情報と読取画像特徴情報の2つから校正要否を判断する場合について説明したが、実施形態はこれに限らない。例えば、バーコードや地紋等の、予め線やドットのサイズが既知である付加情報に基づき、読取側の画像処理装置1Bにおいて独自に校正要否を判断することができる。この場合、校正要否自体は印刷側の画像処理装置1Aで判断してもよい。
【0085】
更に、上述した実施形態では、印刷物に付加情報を埋め込む場合について説明したが、実施形態はこれに限らない。例えば、用紙の個々が有する「紙紋」を印刷物を特定する情報として利用し、上記の「印刷物識別情報」の代わりに使用することができる。
【0086】
<総括>
以上説明したように、本実施形態によれば、ネットワーク上に繋がっている画像処理装置の連携により自動的に印刷機能の校正を行うことができ、印刷品質を維持しつつ、ユーザの負担を低減させることができるという利点がある。
【0087】
また、画像特徴情報として部分画像を用いることにより、装置内に画像特徴情報を蓄積する場合の記憶容量を削減することができるとともに、装置間で画像特徴情報を通信する場合のネットワーク負荷を軽減することができる。
【0088】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0089】
1、1A、1B 画像処理装置
11 バス
12 CPU
13 メモリ
14 不揮発性記憶ユニット
15 画像入力ユニット
16 画像出力ユニット
17 インタフェースユニット
101 画像入力部
102 印刷画像特徴情報生成部
103 印刷物識別情報生成部
104 印刷画像特徴情報蓄積部
105 付加情報生成部
106 付加情報画像生成部
107 付加情報画像配置部
108 画像出力部
109 画像入力部
110 付加情報取得部
111 読取画像特徴情報生成部
112 情報解析部
113 校正判断基礎情報生成部
114 校正情報生成部
115 印刷画像特徴情報取得部
116 情報送信部
117 情報受信部
118 情報解析部
119 校正情報生成部
120 校正情報取得部
121 校正実行部
2 ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開2007−295244号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像処理装置がネットワークにより接続された画像処理システムであって、
第1の画像処理装置において印刷対象画像情報から当該印刷対象画像情報の部分画像を含む印刷画像特徴情報を生成する印刷画像特徴情報生成手段と、
第1の画像処理装置において当該第1の画像処理装置を特定する装置情報と印刷物を特定する印刷物識別情報と含む付加情報を埋め込んだ前記印刷対象画像情報に基づいて印刷を行って印刷物を出力する画像印刷手段と、
第2の画像処理装置において前記印刷物の画像を読み取って読取画像情報を生成する画像読取手段と、
前記読取画像情報の部分画像を含む読取画像特徴情報および前記印刷画像特徴情報に基づいて前記第1の画像処理装置の印刷機能に対する校正の要否および校正要の場合の校正内容を含む校正情報を生成する校正情報生成手段と、
前記第1の画像処理装置において前記校正情報に基づいて印刷機能に対する校正を行う校正実行手段と
を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理システムであって、
前記校正情報生成手段は、前記第1の画像処理装置に配置され、
前記第1の画像処理装置は、前記印刷物識別情報と対応付けて前記印刷画像特徴情報を蓄積する蓄積手段を備え、
前記第2の画像処理装置は、
前記読取画像情報から前記付加情報を取得する付加情報取得手段と、
前記読取画像情報から前記読取画像特徴情報を生成する読取画像特徴情報生成手段と、
前記装置情報に基づいて前記付加情報および前記読取画像特徴情報を校正判断基礎情報として前記第1の画像処理装置に送信する校正判断基礎情報送信手段と
を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理システムであって、
前記校正情報生成手段は、前記第2の画像処理装置に配置され、
前記第1の画像処理装置は、前記印刷物識別情報と対応付けて前記印刷画像特徴情報を蓄積する蓄積手段を備え、
前記第2の画像処理装置は、
前記読取画像情報から前記付加情報を取得する付加情報取得手段と、
前記読取画像情報から前記読取画像特徴情報を生成する読取画像特徴情報生成手段と、
前記印刷物識別情報に基づいて前記第1の画像処理装置から前記印刷画像特徴情報を取得する印刷画像特徴情報取得手段と、
前記装置情報に基づいて前記校正情報を前記第1の画像処理装置に送信する校正情報送信手段と
を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理システムであって、
前記部分画像は、前記印刷対象画像情報もしくは前記読取画像情報のブロック状の一部分の画像である
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理システムであって、
前記部分画像は、前記印刷対象画像情報もしくは前記読取画像情報の縦方向のライン状の一部分の画像である
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像処理システムであって、
前記部分画像は、前記印刷対象画像情報もしくは前記読取画像特徴情報の横方向のライン状の一部分の画像である
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理システムであって、
前記部分画像は、前記印刷対象画像情報もしくは前記読取画像情報の図および/もしくは写真領域の一部分の画像である
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像処理システムであって、
前記部分画像は、前記印刷対象画像情報もしくは前記読取画像情報の文字領域の一部分の画像である
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像処理システムであって、
前記部分画像は、前記印刷対象画像情報もしくは前記読取画像情報のカラー領域の一部分の画像である
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像処理システムであって、
前記部分画像は、前記印刷対象画像情報もしくは前記読取画像情報の表領域の一部分の画像である
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項11】
印刷対象画像情報から当該印刷対象画像情報の部分画像を含む印刷画像特徴情報を生成する印刷画像特徴情報生成手段と、
自装置を特定する装置情報と印刷物を特定する印刷物識別情報とを含む付加情報を埋め込んだ前記印刷対象画像情報の印刷を行って印刷物を出力する画像印刷手段と、
他の画像処理装置から受信した印刷機能に対する校正の要否および校正要の場合の校正内容を含む校正情報に基づいて印刷機能に対する校正を行う校正実行手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
他の画像処理装置において印刷対象画像情報に基づいて印刷が行われた、印刷を行った画像処理装置を特定する装置情報と前記印刷物を特定する印刷物識別情報とを含む付加情報を埋め込んだ印刷物の画像を読み取って読取画像情報を生成する画像読取手段と、
前記他の画像処理装置の印刷機能に対する校正の要否および校正要の場合の校正内容を含む校正情報の生成に用いられる、前記読取画像情報の部分画像を含む読取画像特徴情報を生成する読取画像特徴情報生成手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
画像処理装置を構成するコンピュータを、
印刷対象画像情報から当該印刷対象画像情報の部分画像を含む印刷画像特徴情報を生成する印刷画像特徴情報生成手段、
自装置を特定する装置情報と印刷物を特定する印刷物識別情報とを含む付加情報を埋め込んだ前記印刷対象画像情報の印刷を行って印刷物を出力する画像印刷手段、
他の画像処理装置から受信した印刷機能に対する校正の要否および校正要の場合の校正内容を含む校正情報に基づいて印刷機能に対する校正を行う校正実行手段
として機能させる画像処理制御プログラム。
【請求項14】
画像処理装置を構成するコンピュータを、
他の画像処理装置において印刷対象画像情報に基づいて印刷が行われた、印刷を行った画像処理装置を特定する装置情報と前記印刷物を特定する印刷物識別情報とを含む付加情報を埋め込んだ印刷物の画像を読み取って読取画像情報を生成する画像読取手段、
前記他の画像処理装置の印刷機能に対する校正の要否および校正要の場合の校正内容を含む校正情報の生成に用いられる、前記読取画像情報の部分画像を含む読取画像特徴情報を生成する読取画像特徴情報生成手段
として機能させる画像処理制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−46089(P2013−46089A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180296(P2011−180296)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】