説明

画像処理プログラム

【課題】読取装置に原稿の読み取りを開始させた後に読取条件を変更する場合であっても、ユーザの作業負担を軽減し、且つ、作業時間が長引くのを抑制できる画像処理プログラムを提供すること。
【解決手段】原稿データ受信処理によれば、ユーザは、スキャナ30に原稿をセットして、PC10からスキャナ30へ読取開始指示を送信する。そして、読取パラメータ設定画面により読取画像をページ毎に閲覧しつつ、途中で読取パラメータPを変更する場合には、その変更後の読取パラメータPを、全ページの読取データに適用させることができる。よって、スキャナ30に原稿を再度セットし1ページ目から読み取らせるという面倒な作業が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された複写装置は、読み取った原稿の画像を1ページずつ画面に表示させながら原稿の複写物を印刷し、印刷条件の変更が指示されると、現在印刷中の次のページから、指示された印刷条件に基づいて印刷を実行する。すなわち、複写中に印刷条件を変更可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−163086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の複写装置によれば、変更後の印刷条件は、印刷条件変更後に印刷するページのみ反映されるものであって、既に印刷されたページ及び現在印刷中のページには、変更後の印刷条件が反映されない。したがって、印刷条件変更前と変更後とで画像の見栄えが異なり、良好な印刷結果が得られない虞がある。よって、複写開始後に途中で印刷条件を変更したくなった場合、ユーザは、原稿の複写を一時中断し、読取済みの原稿を再度セットして印刷条件を変更した上で、1ページ目から複写をやり直さなければならない。その結果、作業負担が大きく、また作業時間が長くなるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、読取装置に原稿の読み取りを開始させた後に読取条件を変更する場合であっても、ユーザの作業負担を軽減し、且つ、作業時間が長引くのを抑制できる画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の画像処理プログラムは、情報処理装置が備えるコンピュータが実行するプログラムであって、原稿を読み取り当該原稿に対応した読取データを読取条件に基づいて生成する読取装置から、前記読取データをページ単位で受信する読取データ受信手段と、前記読取データ受信手段により受信された読取データを記憶部に記憶させる読取データ記憶制御手段と、前記読取装置に複数ページの原稿の読み取りを開始させた後、前記読取条件の変更指示を受け付けた場合、当該変更指示に基づく前記読取条件の変更命令を前記読取装置へ送信する変更命令送信手段と、前記読取データ記憶制御手段により前記記憶部に記憶された読取データのうち、前記読取装置に複数ページの原稿の読み取りを開始させた後に前記記憶部に記憶された読取データを、前記変更命令に対応する読取条件に基づいて変換する変換手段として、前記コンピュータを機能させ、前記読取データ受信手段は、前記変更命令送信手段により前記変更命令を送信した場合、前記変更命令送信手段による前記変更命令の送信後に当該変更命令に対応する読取条件に基づき生成された読取データを、前記読取装置から受信する。
【0007】
なお、本発明は、画像処理装置、画像処理方法、画像処理装置と読取装置を含むシステム、画像処理プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で実現可能である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の画像処理プログラムによれば、読取装置に複数ページの原稿の読み取りを開始させた後、読取条件の変更指示を受け付けた場合、当該変更指示に基づく読取条件の変更命令が読取装置へ送信される。そして、読取装置に複数ページの原稿の読み取りを開始させた後に記憶部に記憶された読取データは、変更命令に対応する読取条件に基づいて変換される。また、変更命令の送信後は、当該変更命令に対応する読取条件に基づき生成された読取データが読取装置から受信される。よって、読取装置に原稿の読み取りを開始させた後に読取条件を変更する場合であっても、原稿の読み取りを最初からやり直させる必要がなく、既に読取済みの読取データに対しても変更した読取条件を反映させることができる。よって、ユーザの作業負担を軽減し、且つ、作業時間が長引くのを抑制できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の画像処理プログラムによれば、請求項1記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、読取データにページ単位で対応する付属情報に基づいて、当該付属情報に対応する読取データが変更命令に対応する読取条件に基づいて生成された読取データであるかが判断され、当該読取データが変更命令に対応する読取条件に基づいて生成された読取データでないと判断された場合、当該読取データが変換される。よって、読取装置へ変更命令を送信した後、その変更命令が読取装置において反映されるまでの間にタイムラグがあっても、適切な読取データを取得できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の画像処理プログラムによれば、請求項2記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、読取データが受信される毎に、その読取データに基づく読取画像が、変更後の読取条件に対応する読取画像として表示されるので、読取条件のさらなる変更が必要か否かをユーザが容易に判断できるという効果がある。
【0011】
請求項4記載の画像処理プログラムによれば、請求項2または3に記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、読取装置に複数ページの原稿の読み取りを開始させてから、読取条件の変更指示を受け付けた回数と、読取装置において複数ページの原稿の読み取りを開始してから当該付属情報に対応する読取データを生成するまでに読取装置において変更命令を受信した回数とが一致するか否かにより、読取データが変更命令に対応する読取条件に基づいて生成されたものであるか否かを、適切に判断できるという効果がある。
【0012】
請求項5記載の画像処理プログラムによれば、請求項2または3に記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、条件記憶部に記憶された読取条件と、付属情報として受信した読取条件とが一致するか否かにより、読取データが変更命令に対応する読取条件に基づいて生成されたものであるか否かを、適切に判断できるという効果がある。
【0013】
請求項6記載の画像処理プログラムによれば、請求項1から5のいずれかに記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、第1の読取条件に基づいて生成された読取データから第2の読取条件に対応する読取データを生成不可能な場合に、前記第1の読取条件から前記第2の読取条件への変更が受け付けられないので、不適切な変更指示の入力が抑制され、ユーザにとって操作性が良い。
【0014】
請求項7記載の画像処理プログラムによれば、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、変換手段により変換すべきデータを、データ数情報に基づいて適切に特定できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のデバイス制御アプリケーションを搭載したPCと、スキャナとの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、読取パラメータに含まれる設定値の具体例を説明する図であり、(b)は、原稿データの構成を示す模式図である。
【図3】PCにおいて実行される原稿データ受信処理を示すフローチャートである。
【図4】PCのLCDに表示される読取パラメータ設定画面の一例を示す図である。
【図5】スキャナにおいて実行される読取処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像処理プログラムの一実施形態であるデバイス制御アプリケーション14a(以下、本アプリ14a)が搭載されたパーソナルコンピュータ10(以下、PC10)と、そのPC10からの指示で動作するスキャナ30との電気的構成を示すブロック図である。
【0017】
本アプリ14aは、PC10からスキャナ30へ、読取条件(以下、読取パラメータP)と読取開始指示を送信させる。一方、スキャナ30は、PC10から読取パラメータPと読取開始指示とを受信すると、その読取パラメータPに基づいて、原稿に対応した読取データを生成し、PC10へ送信する。特に、本アプリ14aは、スキャナ30に原稿の読み取りを開始させた後に読取パラメータPを変更する場合であっても、原稿の読み取りを最初からやり直させる必要がなく、ユーザの作業負担を軽減し、且つ、作業時間が長引くのを抑制できるように構成されている。以下、詳細を説明する。
【0018】
PC10は、CPU11、ROM12、RAM13、ハードディスクドライブ(HDD)14、入力装置15、LCD16、LANインターフェイス(LANI/F)17を主に有し、これらはバスライン18を介して互いに接続されている。
【0019】
CPU11は、ROM12やHDD14に記憶されるプログラムに従って、バスライン18により接続された各部を制御する。ROM12は、PC10の動作を制御するための制御プログラムなどが格納された書換不能な不揮発性のメモリである。
【0020】
RAM13は、書換可能な揮発性のメモリであり、PC変更カウント13aと、受信カウント13bとが設けられる。PC変更カウント13aは、スキャナ30へ読取開始指示を送信した後に、PC10においてユーザが読取パラメータPを変更した回数を記憶するメモリ領域である。受信カウント13bは、スキャナ30に対し原稿の読取開始指示を送信した後に、スキャナ30から受信した原稿データの数を記憶するメモリ領域である。原稿データについては、図2(b)を参照して後述する。
【0021】
HDD14は、書換可能な不揮発性の記憶装置であって、本アプリ14aとスキャナドライバ14bとを記憶し、読取パラメータメモリ14cと、読取データメモリ14dとが設けられる。PC10は、本アプリ14aに従い、後述する原稿データ受信処理(図3)を実行する。スキャナドライバ14bは、PC10からスキャナ30を制御するためのプログラムである。PC10は、スキャナドライバ14bを介して、各種指示をスキャナ30に送信し、スキャナ30から送信されてくるデータを受信する。読取パラメータメモリ14cは、ユーザにより設定された読取パラメータPを記憶するメモリ領域である。読取データメモリ14dは、原稿データから抽出される読取データを記憶するメモリ領域である。
【0022】
入力装置15は、ユーザからの指示や各種情報をPC10に入力するためのキーボードや、マウスで構成される。LCD16は、液晶表示装置である。LANI/F17は、LAN60を介して他の装置と通信を行うための装置である。
【0023】
スキャナ30は、CPU31、フラッシュメモリ32、RAM33、操作キー34、LCD35、読取部36、ADF37、LANI/F39を主に有し、これらはバスライン40を介して互いに接続されている。
【0024】
CPU31は、フラッシュメモリ32に記憶されるプログラムに従って、バスライン40と接続された各部を制御する。フラッシュメモリ32は、制御プログラム32aなどが記憶された書換可能な不揮発性のメモリである。CPU31は、この制御プログラム32aに従い、後述する読取処理(図5)を実行する。
【0025】
RAM33は、書換可能な揮発性のメモリであり、読取パラメータメモリ33aと、スキャナ変更カウント33bとが設けられる。読取パラメータメモリ33aは、PC10から受信した読取パラメータPを記憶するメモリである。スキャナ変更カウント33bは、読取パラメータPの変更命令を受信した回数を記憶するメモリ領域である。
【0026】
操作キー34はハードキーであり、ユーザからの指示や各種情報をスキャナ30に入力する。LCD35は、液晶表示装置である。読取部36は、ライン状に配列された複数の読取素子によって原稿からの反射光を電気信号に変換することで、原稿に対応する読取データを生成する。
【0027】
ADF37は、自動原稿搬送機構であって、原稿トレイ(図示せず)にセットされている原稿を一枚ずつ読取部36に搬送する。原稿検出センサ37aはADF37に設けられ、原稿トレイに原稿がセットされているか否かを検出する。LANI/F39は、LAN60を介してスキャナ30とPC10とを通信可能に接続する。
【0028】
図2(a)は、読取パラメータPに含まれる設定値の具体例を説明する図である。読取パラメータPは、解像度50と、色数51と、明るさ52と、コントラスト53とを設定項目として含み、各設定項目について、図2(a)に示す設定値のうち一つを設定値として含む。
【0029】
解像度50には、スキャナ30に生成させる読取データの解像度が設定される。本実施形態において、スキャナ30の最大解像度は、1200×1200dpiであるものとする。色数51には、読取データの各画素が表現する色数を示す値が設定される。スキャナ30は、色数51の設定値に基づいて、読取データに対してモノクロ化処理を施し、または、誤差拡散処理を施す。明るさ52には、読取データの明るさを示す値が設定される。スキャナ30は、明るさ52の設定値に基づいて読取データにガンマ補正を施し、読取データの明るさを補正する。コントラスト53には、読取データのコントラストを示す値が設定される。スキャナ30は、コントラスト53の設定値に基づいて読取データにコントラスト補正を施し、読取データのコントラストを補正する。
【0030】
図2(b)は、原稿データDの構成を模式的に示す図である。原稿データDは、ヘッダ54と、読取データとを含む。読取データは、スキャナ30において読み取られた1ページの原稿の画像に対応した画像データである。
【0031】
ヘッダ54は、読取データにページ単位で対応するスキャナ変更カウント55と、次ページ情報56とを含む。スキャナ変更カウント55は、スキャナ30がPC10から読取開始指示を受信したことに基づいて原稿の読み取りを開始してから、当該スキャナ変更カウント55に対応する読取データ(すなわち当該スキャナ変更カウント55を含む原稿データDに含まれる読取データ)の生成を開始するまでに、スキャナ30が読取パラメータPの変更命令を受信した回数を示す。例えば、スキャナ変更カウント55が「0」であれば、原稿の読み取り開始後、読取パラメータPの変更命令を一度も受信していないことを示す。
【0032】
次ページ情報56は、次の原稿データDが存在するか否かを示す情報である。スキャナ30は、1ページの原稿を読み取る度に、原稿トレイに原稿が残っているか否か(セットされているか否か)を判断する。そして、原稿が残っている場合には、次の原稿データDが存在することを示す次ページ情報56をヘッダ54に含め、原稿が残っていない場合には、次の原稿データDが存在しないことを示す次ページ情報56をヘッダ54に含め、PC10へ送信する。
【0033】
原稿データDを受信したPC10は、スキャナ変更カウント55に基づいて、当該原稿データDに含まれる読取データが、変更後の読取パラメータP(すなわち最新の読取パラメータP)に基づいて生成されているか否かを判断する。詳細は、図3を参照して説明する。
【0034】
図3は、スキャナ30が実行する原稿データ受信処理を示すフローチャートである。この処理は、スキャナ30から原稿データDを受信する処理であって、PC10において、ユーザが原稿の読取要求を入力した場合に実行される。なお、ユーザは、スキャナ30の原稿トレイに複数ページの原稿をセットした上で、PC10において原稿の読取要求を入力する。
【0035】
まず、CPU11は、PC変更カウント13a、及び、受信カウント13bを0にクリアし(S301)、読取パラメータ設定画面をLCD16に表示させる(S302)。
【0036】
図4は、読取パラメータ設定画面の一例を示す図である。この画面は、読取パラメータPをユーザに設定させるための画面であり、画像表示エリアPBと、解像度選択ボックスCB1と、色数選択ボックスCB2と、明るさ設定バーTR1と、コントラスト設定バーTR2と、設定ボタンBTとを含む。
【0037】
画像表示エリアPBは、読取データに基づく読取画像が表示されるエリアである。PC10がスキャナ30から原稿データDを受信する度に、画像表示エリアPB内の表示は、新たに受信した原稿データDに含まれる読取データに基づいて更新される。解像度選択ボックスCB1は、解像度50の設定値を指定するためのボックスであり、色数選択ボックスCB2は、色数51の設定値を指定するためのボックスである。また、明るさ設定バーTR1、コントラスト設定バーTR2では、それぞれ、明るさ52、コントラスト53の設定値が指定される。ただし、色数51の設定値としてモノクロが指定される場合、コントラスト設定バーTR2は、グレーアウトされ、設定不可の状態となる。
【0038】
設定ボタンBTは、ユーザが指定した読取パラメータPを確定するためのボタンである。設定ボタンBTに図示しないカーソルを合わせてマウスクリックがされると、読取パラメータPの設定を終了する。
【0039】
なお、読取パラメータPの設定終了後においても、設定パラメータ設定画面の表示は継続される。そして、スキャナ30が全ページの原稿の読み取りを終了するまでは、この画面により、設定パラメータPの変更指示を受け付ける。設定パラメータPの変更方法については、後述する。
【0040】
図3に戻り説明する。読取パラメータ設定画面において設定ボタンBTが操作されない場合(S303:No)、CPU11は、次のステップに進まない。一方、設定ボタンBTが操作されることに基づいて、読取パラメータPの設定を終了する場合(S303:Yes)、CPU11は、読取パラメータ設定画面において指定された読取パラメータPを読取パラメータメモリ14cに記憶させる(S304)。またCPU11は、その読取パラメータPと読取開始指示とをスキャナドライバ14bを介して、スキャナ30へ送信する(S305)。
【0041】
次に、CPU11は、スキャナドライバ14bを介して、スキャナ30から原稿データDを受信すると(S306)、受信カウント13bに1を加算する(S307)。すなわち、1ページ分の原稿データDを受信する毎に、受信カウント13bをカウントアップする。このようにすれば、原稿トレイにセットされた複数ページの原稿の読み取りをスキャナ30に開始させた後に、PC10が受信した読取データの数を、受信カウント13bに記憶させることができる。
【0042】
次に、CPU11は、受信した原稿データDからヘッダ54、及び、読取データを抽出する(S308)。そして、ヘッダ54に含まれるスキャナ変更カウント55と、PC10に記憶したPC変更カウント13aとが一致するかを判断する(S309)。
【0043】
まず、スキャナ変更カウント55とPC変更カウント13aとが一致する場合について説明する。上述したように、スキャナ変更カウント55は、対応する読取データの生成を開始するまでスキャナ30が変更命令を受信した回数を示す。また、PC変更カウント13aは、PC10が変更指示を受け付けた回数を示す。よって、両者が一致する場合、その読取データが、変更後の読取パラメータP(すなわち最新の読取パラメータP)に基づいて生成されたと判断できる。
【0044】
この場合(S309:Yes)、CPU11は、原稿データDから抽出した読取データ(すなわち変更後の読取パラメータPに基づいて生成された読取データ)を、読取データメモリ14dに記憶させ(S311)、その読取データに基づく読取画像を読取パラメータ設定画面の画像表示エリアPB(図4)にプレビュー表示させる(S312)。
【0045】
そして、ヘッダ54に含まれる次ページ情報56が、次の原稿データDが存在することを示す場合、すなわち、原稿の読み取りが終了していない場合であって(S313:No)、且つ、読取パラメータPが変更されない場合(S314:No)、CPU11は、S306に戻り処理を繰り返す。すなわち、原稿データDが受信される毎に、その原稿データDから抽出した読取データを記憶させ、その読取データに基づく読取画像を画像表示エリアPBに表示させる。
【0046】
このようにして処理を繰り返すうちに、読取パラメータ設定画面において読取パラメータPの変更指示を受け付けた場合について説明する。本実施形態において、変更指示とは、ユーザが読取パラメータ設定画面の設定値を変更し、その後、設定ボタンBTを操作することにより、その変更を確定することを意味する。
【0047】
読取パラメータPの変更指示を受け付けた場合(S314:Yes)、CPU11は、変更指示に基づく読取パラメータPを読取パラメータメモリ14cに記憶させる(S315)。すなわち、読取パラメータ設定画面においてユーザが指定した最新の読取パラメータPで、読取パラメータメモリ14cを上書きする。そして、CPU11は、変更後の読取パラメータPを含む変更命令を、スキャナドライバ14bを介してスキャナ30へ送信する(S316)。一方、スキャナ30は、変更命令を受信すると、その後は、変更命令に対応する読取パラメータPに基づいて読取データを生成する。したがって、PC10は、変更後の読取パラメータPに基づいて生成された読取データを、スキャナ30から受信できる。
【0048】
次に、CPU11は、PC変更カウント13aに1を加算する(S317)。すなわち、スキャナ30に複数ページの原稿の読み取りを開始させてから、PC10において読取パラメータPの変更指示を受け付けた回数を、PC変更カウント13aに記憶させる。
【0049】
次に、CPU11は、読取データメモリ14dに記憶されている読取データのうち、スキャナ30に複数ページの原稿の読み取りを開始させた後に読取データメモリ14dに記憶された読取データを、受信カウント13bに基づいて特定する(S318)。具体的には、読取データメモリ14dに記憶されている読取データのうち、記憶日時が新しい方から順番に、受信カウント13b分の個数の読取データを特定する。そして、CPU11は、特定した読取データを、読取パラメータメモリ14cに記憶されている現在の読取パラメータP(すなわち変更後の読取パラメータP)に基づいて変換する(S319)。
【0050】
このように、スキャナ30から受信済みの読取データについては、PC10にて変換処理を行うことにより、変更後の読取パラメータPに対応した読取データを生成する。なお、変換の具体例としては、解像度を変換するための間引き処理、色数を変換するためのモノクロ化処理や誤差拡散処理、明るさを調整するためのガンマ補正処理、コントラストを調整するためのコントラスト補正処理など、各種の画像処理を挙げることができる。これにより、スキャナ30に原稿の読み取りを開始させてから、読取パラメータPが変更されるまでにPC10が受信した読取データを、変更後の読取パラメータPに対応した読取データに変換できる。その後、CPU11は、S306へ戻り、処理を繰り返す。
【0051】
なお、S318では、スキャナ30に複数ページの原稿の読み取りを開始させた後に記憶された読取データを、受信カウント13bに基づいて特定している。よって、過去に受信した読取データが読取データメモリ14dに残っている場合であっても、今回の原稿データ受信処理で受信した読取データ(すなわち変換すべきデータ)を、適切に特定できる。
【0052】
ここで、読取パラメータPの変更内容によっては、変更後の読取データをPC10において生成できない場合がある。例えば、変更前の解像度50が「600×600dpi」である場合、PC10は、読取データとして、600×600dpiのデータを記憶している。よって、読取パラメータPの解像度50を「1200×1200dpi」に変更する場合には、記憶済みの読取データに画像処理を施しても、変更後の解像度50に対応した読取データを生成不可能である。一方、解像度50を「150×150dpi」に変更する場合には、記憶済みの読取データに対して間引き処理を実行することにより、変更後の解像度50に対応した読取データを生成可能である。
【0053】
よって、本実施形態の原稿データ受信処理(図3)では、第1の読取パラメータPに基づいて生成された読取データを変換することで第2の読取パラメータPに対応する読取データを生成可能である場合に、第1の読取パラメータPから第2の読取パラメータPへの変更を受け付ける。また、第1の読取パラメータPに基づいて生成された読取データから第2の読取パラメータPに対応する読取データを生成不可能な場合に、第1の読取パラメータPから第2の読取パラメータPへの変更を受け付けない。
【0054】
具体的には、読取パラメータ設定画面(図4)において読取パラメータPの変更指示を受け付ける際、現在設定中の読取パラメータPとの関係で、変更可能な設定値については、その指定を可能とする一方で、変更不可能な設定値については、グレーアウトすることにより、その指定を不可能とする。例えば、解像度50について、ある設定値が設定されている場合には、その設定値よりも大きい解像度を示す設定値については、グレーアウトし、その指定を受け付けない。一方、その設定値以下の解像度を示す設定値については、その指定を受ける。このようにすれば、不適切な変更指示の入力が抑制され、ユーザにとって操作性が良い。
【0055】
ここで、PC10からスキャナ30へ読取パラメータPの変更命令を送信した後、その変更命令がスキャナ30において反映されるまでの間に、タイムラグが存在する可能性がある。すなわち、PC10からスキャナ30へ、変更後の読取パラメータPを送信したが、スキャナ30においてはその変更を反映する前に読取データの生成を開始しており、その結果、PC10が、変更前の読取パラメータPに基づいて生成された読取データを受信する可能性がある。
【0056】
よって、本実施形態の原稿データ受信処理では、原稿データDのヘッダ54に含まれるスキャナ変更カウント55と、PC変更カウント13aとが一致しない場合、具体的には、スキャナ30が読取データの生成を開始するまでに変更命令を受信した回数よりも、PC10において変更指示を受け付けた回数が多い場合、その読取データは、変更前の読取パラメータPに基づいて生成された読取データであると判断される。その場合(S309:No)、CPU11は、読取パラメータメモリ14cに記憶されている現在の読取パラメータP(変更後の読取パラメータP)に基づいて、今回受信した原稿データDの読取データを変換する(S310)。これにより、変更前の読取パラメータPに基づき生成された読取データが、変更後の読取パラメータPに基づく読取データに変換される。そして、CPU11は、変換後の読み取りデータを読取データメモリ14dに記憶させ、S312へ進む。
【0057】
よって、PC10からスキャナ30へ変更命令を送信した後、その変更命令がスキャナ30において反映されるまでの間にタイムラグがあっても、PC10は、変更後の読取パラメータPに対応した適切な読取データを取得できる。
【0058】
次に、CPU11は、S311で読取データメモリ14dに記憶させた読取データに基づく読取画像を、画像表示エリアPBにプレビュー表示させる(S312)。すなわち、S309の判断により、変更後の読取パラメータPに基づいて生成された読取データであると判断される場合には(S309:Yes)、当該読取データに基づく読取画像を表示させる。一方、S309の判断により、変更前の読取パラメータPに基づいて生成された読取データであると判断される場合(S309:No)、S310による変換後の読取データに基づく読取画像を表示させる。
【0059】
このようにすれば、PC10がスキャナ30から受信する読取データが、変更後の読取パラメータPに対応しているか否かに関わらず、PC10が読取データを受信する毎に、その読取データに基づく読取画像が、変更後の読取パラメータPに対応する読取画像として表示される。よって、読取パラメータPの変更が読取画像にどのような影響を与えるかをユーザに視認させることができ、読取パラメータPのさらなる変更が必要か否かを、ユーザが容易に判断できる。
【0060】
このようにして処理を繰り返すうちに、スキャナ30において原稿の読み取りが終了した場合、すなわち、今回受信した原稿データDのヘッダ54に含まれる次ページ情報56が、次の原稿データDが存在しないことを示す場合(S313:Yes)、CPU11は、本処理を終了する。
【0061】
原稿データ受信処理によれば、スキャナ30に原稿の読み取りを開始させた後に読取パラメータPを変更する場合であっても、原稿の読み取りを最初からやり直させる必要がなく、既に読取済みの読取データに対しても変更した読取パラメータを反映させることができる。よって、ユーザの作業負担を軽減し、且つ、作業時間が長引くのを抑制できる。すなわち、ユーザは、スキャナ30に原稿をセットして、スキャナ30に原稿の読み取りを開始させた後、途中で読取パラメータPを変更する場合、その変更後の読取パラメータPを、全ページの読取データに適用させることができる。よって、スキャナ30に原稿を再度セットし1ページ目から読み取らせるという面倒な作業は不要である。
【0062】
また、読取パラメータPを途中で変更する場合、読取パラメータPの変更後に生成される読取データについては、スキャナ30にて、変更後の読取パラメータPに対応した読取データを生成させる。それに並行して、PC10では、生成済みの読取データを変更後の読取パラメータPに基づいて変換する処理を行う。したがって、スキャナ30の読取完了後にまとめて変換処理を行う場合に比較して、変更後の読取パラメータPに対応した全ページ分の読取データを取得するまでに要する処理時間を短縮できる。
【0063】
また、原稿データ受信処理によれば、原稿データDに含まれるスキャナ変更カウント55と、PC10に記憶されたPC変更カウント13aとにより、変更命令に対応する読取パラメータPに基づいて生成された読取データであるか否かを、適切に判断できる。なお、スキャナ変更カウント55は、スキャナ30が変更命令を受信した回数を示すことができれば良いので、そのデータ量を極めて小さくできる。よって、スキャナ30または原稿データDの仕様上、ヘッダ54に格納可能なデータ量に制限がある場合であっても、ヘッダ54にスキャナ変更カウント55を格納することは比較的容易である。
【0064】
図5は、スキャナ30が実行する読取処理を示すフローチャートである。この処理は、原稿データDを生成してPC10へ送信する処理であり、PC10から読取開始指示と読取パラメータPとを受信した場合に実行される。
【0065】
まず、CPU31は、受信した読取パラメータPを読取パラメータメモリ33aに記憶させ(S501)、スキャナ変更カウント33bを0にクリアする(S502)。そして、読取パラメータPの変更命令を受信した場合(S503:Yes)、CPU31は、その変更命令から読取パラメータPを抽出して、読取パラメータメモリ33aに記憶させる(S504)。すなわち、変更命令から抽出した最新の読取パラメータPで、読取パラメータメモリ33aを上書きする。そしてCPU11は、スキャナ変更カウント33bに1を加算する(S505)。一方、読取パラメータPの変更命令を受信しない場合(S503:No)、CPU31は、S504,S505をスキップする。
【0066】
次に、CPU31は、読取パラメータメモリ33aに記憶されている現在の読取パラメータPに基づいて、原稿トレイにセットされた原稿のうち1ページの原稿を、ADF37により搬送させつつ読取部36に読み取らせ(S506)、読取データを生成する(S507)。次に、CPU31は、読取データにヘッダ54を付加して原稿データDを生成する(S508)。具体的には、スキャナ変更カウント33bの値を、スキャナ変更カウント55として、原稿データDのヘッダ54に含める。また、原稿検出センサ37aの出力値に基づいて、原稿トレイに原稿が残っているか否かを判断し、原稿が残っている場合には、次の原稿データDが存在することを示す次ページ情報56を、原稿が残っていない場合には、次の原稿データDが存在しないことを示す次ページ情報56を、ヘッダ54に含める。
【0067】
そして、CPU31は、原稿データDをPC10へ送信し(S509)、原稿トレイに原稿が残っている場合(S510:Yes)、S503の処理に戻り、原稿の読み取りを繰り返す。一方、次に読み取る原稿が存在しない場合(S510:No)、CPU31は、本処理を終了する。
【0068】
上記実施形態において、PC10が情報処理装置の一例である。CPU11がコンピュータの一例である。デバイス制御アプリケーション14aが画像処理プログラムの一例である。LCD16が表示部の一例である。読取パラメータPが読取条件の一例である。スキャナ30が読取装置の一例である。読取データメモリ14dが記憶部の一例である。PC変更カウント13aが変更回数記憶部の一例であり、PC変更カウント13aの値が変更回数情報の一例である。スキャナ変更カウント55が付属情報、変更命令受信回数情報の一例である。受信カウント13bがデータ数記憶部の一例であり、受信カウント13bの値がデータ数情報の一例である。
【0069】
S306を実行するCPU11が読取データ受信手段、付属情報受信手段の一例である。S311を実行するCPU11が読取データ記憶制御手段の一例である。S316を実行するCPU11が変更命令送信手段の一例である。S310,S319を実行するCPU11が変換手段の一例である。S315を実行するCPU11が変更条件記憶制御手段の一例である。S309を実行するCPU11が付属情報判断手段の一例である。S312を実行するCPU11が表示制御手段の一例である。S317を実行するCPU11が回数記憶制御手段の一例である。S314を実行するCPU11が変更指示受付手段の一例である。S307を実行するCPU11がデータ数情報記憶手段の一例である。S318を実行するCPU11が特定手段の一例である。
【0070】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0071】
例えば、上記実施形態で挙げた具体的数値は一例であり、他の数値を採用することは可能である。
【0072】
また、上記実施形態ではPC10が情報処理装置の一例であり、スキャナ30が読取装置の一例であった。しかしながら、携帯端末、複合機など、各種の装置が情報処理装置または読取装置の一例となり得る。
【0073】
また、読取パラメータPに含める設定項目の種類、設定値の種類は、適宜変更可能である。例えば、赤目補正の実行のオンオフ、裏写補正の実行のオンオフ、原稿の読取範囲の縦横サイズを、読取パラメータPに含めても良い。この場合、赤目補正、裏写補正については、オフからオンへの変更は受け付けるが、オンからオフへの変更は受け付けない。また、読取範囲の縦横サイズに変更については、範囲を小さくする方向の変更のみ受け付ける。
【0074】
また、上記実施形態では、変更不可能な設定値についてはグレーアウトすることにより、その設定値への変更を受け付けないものとして説明した。これに代えて、非表示とすることで変更を受け付けないようにしても良い。また、変更可能であるか否かに関わらず、準備された全ての設定値を通常通り表示させる場合には、変更不可能な設定値をユーザが指定した場合にエラーを通知することにより、その指定を受け付けないようにしても良い。
【0075】
また、上記実施形態では、読取データを生成するまでにスキャナ30が変更命令を受信した回数を示すスキャナ変更カウント55が、その読取データのヘッダ54に含まれているものとして説明した。しかしながら、スキャナ変更カウント55に代えて、読取データの生成に用いられた読取パラメータPを、読取データにページ単位で対応づけて(例えばヘッダに含めて)、スキャナ30からPC10へ送信しても良い。
【0076】
このようにすれば、PC10は、読取データの生成に用いられた読取パラメータPを、当該読取データに対応する付属情報として受信できる。そして、PC10は、スキャナ30から受信した読取パラメータPが、読取パラメータメモリ14cに記憶された読取パラメータPと一致する場合に、前記読取データが変更命令に対応する読取パラメータPに基づいて生成された読取データであると判断する。一方、両者が一致しない場合は、変更前の読取パラメータPに基づいて生成された読取データを受信したと判断し、図3のS310のステップを実行すれば良い。この変形例によれば、上記実施形態と同様に、スキャナ30から受信した読取データが、変更命令に対応する読取パラメータPに基づいて生成された読取データであるか否かを、適切に判断できる。
【0077】
また、上記実施形態では、PC10からスキャナ30へ読取開始指示が送信されると、スキャナ30は、原稿トレイにセットされた原稿が無くなるまで、原稿を順次読み取るものとして説明した。これに代えて、PC10からスキャナ30へは、1ページ毎に読取開始指示を送信するように構成しても良い。すなわち、PC10からスキャナ30へ読取開始指示が送信されると、スキャナ30は1ページの原稿を読み取って、その読取データをPC10に送信する。そして、PC10は1ページ分の読取データを受信したことを条件に、次の1ページの原稿の読取開始指示をスキャナ30へ送信するように構成しても良い。
【0078】
この変形例の場合、PC10は、スキャナ30から受信した読取データDが、変更前の読取パラメータPに基づくものか、現在(変更後)の読取パラメータPに基づくものかを、例えば次のように判断できる。
【0079】
まず、PC10はスキャナ30に対して読取開始指示を送信した回数をカウントする。そして、n回目の読取開始指示の送信後に変更命令を送信した場合、nを記憶する(nは1以上の整数)。そして、スキャナ30から読取データを受信した場合には、受信カウント13bの値を参照することにより、何回目の読取開始指示に基づいて生成された読取データであるか判断する。そして、n回目までの読取開始指示に基づいて生成された読取データについては、変更前の読取パラメータPに基づくものと判断して、変更後の読取パラメータPに基づき変換する。一方、(n+1)回目以降の読取開始指示に基づいて生成された読取データについては、変更後の読取パラメータPに基づくものと判断し、変換しない。
【0080】
この変形例によれば、PC10側で記憶している値(nおよび受信カウント13b)を用いて、読取データが変更後の読取パラメータPに基づいて生成されたものであるか否かを判断できる。よって、スキャナ30においては、スキャナ変更カウント55などの付属情報を、読取データに対応づける処理を省略できる。
【0081】
また、上記実施形態では、PC10において読取パラメータPが変更される毎に、読取データメモリ14dに記憶されている読取データを、変更後の読取パラメータPに基づいて変換する処理(S319)を実行するものとして説明した。しかしながら、読取データメモリ14dに記憶されている読取データの変換は、読取パラメータPの変更指示が一定期間以上ない場合や、全原稿の読み取りが終了してから、まとめて行うように構成しても良い。このようにすれば、変換処理の実行回数を抑制し、PC10における処理の負荷を軽減できる。
【0082】
また、読取パラメータPに含まれる設定値の組み合わせ毎に、読取データの生成に要する処理時間の推定値を予め記憶しておき、LCD16に表示させても良い。例えば、読取パラメータ設定画面において、ユーザが設定値を指定する毎に、指定された設定値の組み合わせに対応した処理時間の推定値を表示させることにより、ユーザは、読取パラメータPの変更がどの程度、処理時間に影響が与えるかを認識した上で、読取パラメータPを変更でき、利便性が高い。
【0083】
また、上記実施形態では、直近に受信した読取データを変換する処理(S309)と、読取データメモリ14dに記憶された読取データを変換する処理(S319)とを、別々に実行していた。これに代えて、S319を省略し、直近に受信した読取データが変更前の読取パラメータPに基づいて生成されたものであると判断される場合に(S309:No)、当該読取データと、当該読取データを受信するまでに読取データメモリ14dに記憶済みの読取データとをまとめて変換しても良い。このようにすれば、変換処理の実行回数を抑制し、PC10における処理の負荷を軽減できる。
【0084】
また、上記実施形態では、PC10からスキャナ30に対して、読取開始指示を送信するものとして説明した。これに代えて、スキャナ30の操作キー34から読取開始指示が入力されたことに基づいて、スキャナ30が複数ページの原稿の読み取りを開始する場合にも、本発明を適用可能である。
【0085】
また、上記実施形態において、スキャナ変更カウント55は、当該スキャナ変更カウント55に対応する読取データの生成を開始するまでに、スキャナ30が変更命令を受信した回数を示すものであった。これに代えて、スキャナ変更カウント55は、当該スキャナ変更カウント55に対応する読取データの生成を終了するまでに、スキャナ30において変更命令を受信した回数を示すものとしても良い。この変形例の場合、スキャナ30が実行する読取処理(図5)を、以下のように変形することができる。まず、スキャナ30において、CPU31は読取データを生成し、その生成を終了する直前に、読取パラメータPの変更命令をPC10から受信したか否かを判断する。そして、読取パラメータPの変更命令を受信したと判断する場合には、その変更命令に応じた変換処理を、現在生成中の読取データに施す。そして、読取パラメータPの変更命令を受信しないことを条件に、読取データの生成を終了する。そして、当該読取データの終了までに変更命令を受信した回数を示すスキャナ変更カウント55を、当該読取データのヘッダ54に含め、原稿データDとしてPC10へ送信する。この変形例であっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0086】
すなわち、「読取データを生成するまでに読取装置において変更命令を受信した回数を示す変更命令受信回数情報」とは、読取データの生成を開始するまでに変更命令を受信した回数を示すものであっても良いし、読取データの生成を終了するまでに変更命令を受信した回数を示すものであっても良い。
【0087】
また、上記実施形態では、スキャナ30において1ページの原稿が読み取られる度に、スキャナ30は、次の原稿が存在する、又は、存在しないことを示す次ページ情報56を原稿データDのヘッダ54に含めた。これに代えて、次の原稿が存在する場合に次ページ情報56をヘッダ54に含め、次の原稿が存在しない場合に次ページ情報56を含めないように構成しても良い。この場合、PC10では、ヘッダ54における次ページ情報56の有無に基づいて、原稿の読み取り終了か否かを判断する(図3のS313)。
【0088】
また、上記実施形態の原稿データ受信処理(図3)では、読取パラメータ設定画面の表示を開始した後は(S302)、以降、スキャナ30にセットされた原稿が全て読み取られるまで、その画面を継続して表示するものとして説明した。しかしながら、読取パラメータ設定画面を一旦消去し、その後は、スキャナ30から原稿データDを受信する毎に、読取パラメータ設定画面を再表示させても良い。また、既に表示されている読取パラメータ設定画面はそのまま残し、スキャナ30から原稿データDを受信する度に、その受信した原稿データDに対応する別の読取パラメータ設定画面を新たに表示させても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、読取パラメータ設定画面において読取パラメータPの変更指示を受け付ける場合に、現在の読取パラメータPよりも解像度や色数を増加させるような設定値についてはグレーアウトし変更を受け付けないものとして説明した。これに加えて、現在の読取パラメータPと同じ設定値についても、グレーアウトまたは非表示として、その指定を受け付けないようにしても良い。このようにすれば、現在の読取パラメータPと同じ設定値をユーザが再度指定するという無駄な作業が行われることを抑制できる。
【符号の説明】
【0090】
10 PC
11 CPU
14a デバイス制御アプリケーション
14d 読取データメモリ
30 スキャナ
P 読取パラメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が備えるコンピュータが実行する画像処理プログラムであって、
原稿を読み取り当該原稿に対応した読取データを読取条件に基づいて生成する読取装置から、前記読取データをページ単位で受信する読取データ受信手段と、
前記読取データ受信手段により受信された読取データを記憶部に記憶させる読取データ記憶制御手段と、
前記読取装置に複数ページの原稿の読み取りを開始させた後、前記読取条件の変更指示を受け付けた場合、当該変更指示に基づく前記読取条件の変更命令を前記読取装置へ送信する変更命令送信手段と、
前記読取データ記憶制御手段により前記記憶部に記憶された読取データのうち、前記読取装置に複数ページの原稿の読み取りを開始させた後に前記記憶部に記憶された読取データを、前記変更命令に対応する読取条件に基づいて変換する変換手段として、前記コンピュータを機能させ、
前記読取データ受信手段は、前記変更命令送信手段により前記変更命令を送信した場合、前記変更命令送信手段による前記変更命令の送信後に当該変更命令に対応する読取条件に基づき生成された読取データを、前記読取装置から受信する、画像処理プログラム。
【請求項2】
前記変更命令送信手段により前記読取装置へ前記変更命令を送信する場合、当該変更命令に対応する読取条件を、条件記憶部に記憶させる変更条件記憶制御手段と、
前記読取データ受信手段により受信する前記読取データにページ単位で対応する付属情報を、前記読取装置から受信する付属情報受信手段と、
前記付属情報受信手段により受信された前記付属情報に基づいて、当該付属情報に対応する読取データが前記変更命令に対応する読取条件に基づいて生成された読取データであるかを判断する付属情報判断手段として、前記コンピュータを機能させ、
前記変換手段は、前記付属情報判断手段により前記読取データが前記変更命令に対応する読取条件に基づいて生成された読取データでないと判断された場合、前記変更条件記憶制御手段により前記条件記憶部に記憶された読取条件に基づいて、前記読取データを変換する請求項1記載の画像処理プログラム。
【請求項3】
前記読取データ受信手段により前記読取データが受信される毎に、その読取データに基づく読取画像を表示部に表示させる表示制御手段として、前記コンピュータを機能させ、
前記表示制御手段は、前記付属情報判断手段により前記読取データが前記変更命令に対応する読取条件に基づいて生成された読取データであると判断される場合、当該読取データに基づく読取画像を前記表示部に表示させる一方、前記付属情報判断手段により前記読取データが前記変更命令に対応する読取条件に基づいて生成された読取データでないと判断される場合、前記変換手段により変換された読取データに基づく読取画像を前記表示部に表示させる請求項2記載の画像処理プログラム。
【請求項4】
前記読取装置に複数ページの原稿の読み取りを開始させてから、前記読取条件の変更指示を受け付けた回数を示す変更回数情報を、変更回数記憶部に記憶させる回数記憶制御手段として前記コンピュータを機能させ、
前記付属情報受信手段は、前記付属情報として、前記読取装置において前記複数ページの原稿の読み取りを開始してから当該付属情報に対応する読取データを生成するまでに前記読取装置において前記変更命令を受信した回数を示す変更命令受信回数情報を前記読取装置から受信し、
前記付属情報判断手段は、前記付属情報受信手段により受信された前記変更命令受信回数情報が示す回数が、前記変更回数記憶部に記憶されている前記変更回数情報が示す回数と一致する場合に、前記読取データが前記変更命令に対応する読取条件に基づいて生成された読取データであると判断する請求項2または3に記載の画像処理プログラム。
【請求項5】
前記付属情報受信手段は、前記読取データの生成に用いられた読取条件を当該読取データに対応する前記付属情報として受信するものであり、
前記付属情報判断手段は、前記付属情報受信手段により受信した前記読取条件が、前記条件記憶部に記憶された読取条件と一致する場合に、前記読取データが前記変更命令に対応する読取条件に基づいて生成された読取データであると判断する請求項2または3に記載の画像処理プログラム。
【請求項6】
第1の読取条件に基づいて生成された読取データを前記変換手段により変換することで第2の読取条件に対応する読取データを生成可能である場合に、前記第1の読取条件から前記第2の読取条件への変更を受け付け、
前記第1の読取条件に基づいて生成された読取データから前記第2の読取条件に対応する読取データを生成不可能な場合に、前記第1の読取条件から前記第2の読取条件への変更を受け付けない変更指示受付手段として、前記コンピュータを機能させ、
前記変更命令送信手段は、前記変更指示受付手段により前記変更指示を受け付けた場合、当該変更指示に基づく前記変更命令を前記読取装置へ送信する請求項1から5のいずれかに記載の画像処理プログラム。
【請求項7】
前記読取装置に対し複数ページの原稿の読み取りを開始させた後、前記読取データ受信手段により受信した読取データの数に対応するデータ数情報を、データ数記憶部に記憶させるデータ数情報記憶手段と、
前記データ数記憶手段により前記データ数記憶部に記憶された前記データ数情報に基づいて、前記読取装置に複数ページの原稿の読み取りを開始させた後に前記記憶部に記憶された読取データを特定する特定手段として、前記コンピュータを機能させ、
前記変換手段は、
前記特定手段により特定された読取データを変換する、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−66095(P2013−66095A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204203(P2011−204203)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】