説明

画像処理方法、文書管理方法、および、それらの装置

【課題】 帳票類の電子保存を行う場合、電子署名やタイムスタンプの付加を優先すれば電子文書を見易くする画像処理は不可能である。従って、文書管理システムに保存された電子文書は、必ずしも見易い文書とは言えない。
【解決手段】 画像入力装置2は、スキャナ1から原本画像を入力し、原本画像から参照閲覧画像を生成する。そして、参照閲覧画像に所定の画像処理を施し、参照閲覧画像のインデックスデータを生成する。そして、インデックスデータ、電子署名、タイムスタンプを付加した原本画像を電子文書蓄積部3に保存する。また、インデックスデータを付加した参照閲覧画像を参照データ保存部4に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子文書の画像処理および文書管理に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル複合機(MFP)によって原稿画像を読み取り、そのスキャン画像とインデックスデータを保存する文書管理システムがある。その際、スキャン画像は、所定の保存先に保存するのが一般的である。また、バックアップやリスク回避のための分散管理を目的として、複数の文書蓄積保存部に同じデータを分散保存する場合がある。
【0003】
また、スキャン画像を電子文書として保存する際に、スキャン画像に電子署名やタイムスタンプを付加する技術がある。とくに、法令に定められた、帳票類の電子保存は、原稿からスキャンした画像の真正性や原本性を保証する、何らかの技術的な処理が必要である。スキャン画像を保存する際は、まず、悪意をもつ者によるデータ改竄の余地をできるだけ少なくするために、スキャンの実行後、速やかな電子署名やタイムスタンプの付加が重要である。言い換えれば、法令に定められた、帳票類の電子保存において、画像入力装置は、スキャナ画像に直ちに電子署名やタイムスタンプを付加して、改竄の余地を最小限に留めなければならない。
【0004】
一方、文書管理システムに保存された電子文書をユーザが閲覧する場合は、表示文書の画質がよければ、文書管理システムの操作性を高めることができる。しかし、電子署名やタイムスタンプを付加した後、画像処理を行えば改竄したことになる。
【0005】
つまり、法令に定められた、帳票類の電子保存を行う場合、電子署名やタイムスタンプの付加を優先すれば電子文書を見易くする画像処理は不可能である。従って、文書管理システムに保存された電子文書は、必ずしも見易い文書とは言えない。その結果、文書管理システム本来の、高い画質の文書を閲覧可能にする機能が無効になる問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開2004-180278公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、原本画像の真性性を保証し、かつ、高い画質の電子文書の閲覧を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0009】
本発明にかかる画像処理は、原稿画像を読み取った原本画像を入力し、前記原本画像から参照閲覧画像を生成し、前記参照閲覧画像のインデックスデータを生成し、前記インデックスデータおよびタイムスタンプを付加した前記原本画像を第一のメモリに格納し、前記インデックスデータを付加した前記参照閲覧画像を第二のメモリに格納することを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる文書管理は、参照閲覧画像の検索指示を受信し、前記検索指示に従い第一のメモリに格納された参照閲覧画像を検索して、検出した参照閲覧画像を前記検索指示の発行元に送信し、前記発行元から、前記送信した参照閲覧画像に対する検証指示を受信し、前記送信した参照閲覧画像に付加されたインデックスデータに基づき、第二のメモリに格納された原本画像を検索し、検出した原本画像を検証し、前記検証の結果を前記発行元に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原本画像の真性性を保証し、かつ、高い画質の電子文書の閲覧を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明にかかる実施例の画像処理を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
[システムの構成]
図1は実施例の画像処理を実行するシステムの構成例を示すブロック図である。
【0014】
スキャナ1は、紙の原稿の画像をスキャンして画像データを出力する。画像入力部2は、スキャナ1から入力される画像データに後述する画像処理を施す。
【0015】
電子文書蓄積部3は、スキャナ1が出力する画像データ(以下「原本画像」と呼ぶ場合がある)と、原本画像のインデックスデータを関連付けて保存する。参照閲覧データ保存部4は、スキャナ1が出力する画像データに対して、画像入力部2が参照閲覧用に処理した画像とそのインデックスデータを保存する。
【0016】
クライアントコンピュータ(PC) 5は、参照閲覧データ保存部4が保存する文書を検索、閲覧することができる。また、原本画像に付加された電子署名、タイムスタンプの検証結果を表示する機能をもつ。
【0017】
図1には、スキャナ1を除く上記の構成がネットワーク6を介して相互に接続された状態を示す。また、スキャナ1を除く構成が一つのコンピュータ機器に存在するシステムも可能である。さらに、電子文書蓄積部3や参照閲覧データ保存部4は、それぞれ独立したサーバでもよいが、一つのサーバの独立した保存場所(キャビネットやフォルダといった記憶場所の形式における、独立したキャビネットやフォルダ)でもよい。
【0018】
詳細は後述するが、本実施例は、原本画像と参照閲覧用の画像をそれぞれ別に保存する。そして、電子署名やタイムスタンプは、原本画像にのみ付加する。そのため、クライアントPC 5による原本性保証の確認の際は、電子文書蓄積部3が電子署名、タイムスタンプの検証を行い、その検証結果を参照閲覧データ保存部4を介してクライアントPC 5に提示する。
【0019】
[画像入力部]
画像入力部2は、参照閲覧データの作成処理としてマルチクロップによる頁分割を行う。なお、マルチクロップによる複数の画像を抽出する処理は、多数提案されているため、ここでは、その処理概念だけを説明する。
【0020】
図2はマルチクロップによる頁分割を説明する図である。例えば、複数の帳票(図2には四つの帳票を示す)が貼り付けられた一枚の台紙をスキャンすると、複数の帳票画像を含む一枚のスキャン画像が得られる。このようなスキャン画像を入力すると、各帳票の領域を認識して、個々の帳票画像を切り出す(分離する)。その後、帳票に向きも判断して、必要に応じて、帳票画像に回転処理を施す。このように、複数の画像を含む一枚のスキャン画像から、それぞれの画像を抽出する処理をマルチクロップ処理と呼ぶ。
【0021】
なお、複数頁の原本画像を連続入力した場合、一頁目の画像に対するマルチクロップ切り出しの設定を、二頁以降に適用することができるようにしてもよい。また、帳票認識の段階で、帳票を検出できなかった場合や帳票が一つしかない場合は、切り出しを行わなず、スキャン画像のままにする。
【0022】
また、画像入力部2は、複数枚の帳票画像がまとめて入力されたとき、参照閲覧データの作成処理として帳票認識による頁分割を行うことができる。なお、帳票認識による頁分割は、多数の提案されているため、ここでは、その処理概念だけを説明する。
【0023】
図3は帳票認識による頁分割を説明する図である。複数枚のスキャン画像を連続入力すると、それら帳票画像を認識して、頁が連続する帳票画像を一つの文書にする。図3に示す例は、四枚のスキャン画像を連続入力し、一枚目と二枚目の画像が同じ帳票Aに属すると判定して一つの文書として出力する。また、三枚目、四枚目の画像はそれぞれ独立した帳票B、Cとして別の文書として出力する例である。
【0024】
[システムの処理]
図4はシステムの処理の概要を示す図である。
【0025】
オペレータは、(1) 四枚の領収書を台紙に貼り付け、(2) スキャナ1に台紙をスキャンさせる。この操作により、台紙のスキャン画像が画像入力部2に入力される。
【0026】
画像入力部2は、(3) 帳票データベース(DB) 7を参照して帳票認識を行い、(4) 各帳票の向きを判別し、(5) 各帳票のサイズを取得する。そして、(6) 参照閲覧データを作成するための画像処理であるマルチクロップ後の回転処理、裏写除去、SPDF (Searchable PDF)化などの処理を行い、(7) インデックスデータを作成する。なお、SPDF化処理とは、画像に対して文字認識処理を行い、該文字認識結果を透明文字として当該画像とともにPDFフォーマットのファイルにする処理のことを指すことにする。SPDF化された文書ファイルは、オープンした際の見た目は元の入力画像であるが、埋め込まれている透明文字に基づいて検索することができるファイルになっている。
【0027】
そして、(8) 作成したインデックスデータと、電子文書蓄積部3に蓄積されたインデックスデータを比較して、既に蓄積された文書か否かのチェック(多重保存チェック)を行う。既に蓄積された文書ではなければ、(9) 電子文書蓄積部3に原本画像(台紙のスキャン画像)とインデックスデータを出力する。その際、署名サーバ8から電子署名、タイムスタンプを取得して原本画像に付加する。なお、帳票DB 7や署名サーバ8もネットワーク6に接続されていることは言うまでもない。続いて、(10) 参照閲覧データ保存部4に各帳票の、参照閲覧データ(以下「参照閲覧画像」と呼ぶ)とインデックスデータを出力する。
【0028】
このような処理により、参照閲覧データ保存部4に保存された参照閲覧画像のインデックスデータと、電子文書蓄積部3に保存された原本画像のインデックスデータは一致する。参照閲覧データ保存部4と電子文書蓄積部3は、共通のインデックスデータに基づき、対応する参照閲覧画像と原本画像との間にリンクを作成するようにしてもよい。従って、クライアントPC 5は、参照閲覧データ保存部4にアクセスして、例えば経理などの事務処理用に電子文書を検索、閲覧することができる。さらに、上記のリンクまたはインデックスデータによって、当該検索した電子文書を含む原本を特定し、当該原本の署名、タイムスタンプ(TS)の検証結果を、参照閲覧データ保存部4を介して、電子文書蓄積部3から取得することができる。
【0029】
●インデックスデータ
図5はインデックスデータを説明する図である。なお、図5は、スキャン画像(原本画像)から参照閲覧画像1〜4を作成し、参照閲覧画像ごとにインデックスデータを作成する例を示す。さらに、電子文書蓄積部3に保存する原本画像のインデックスデータとして、参照閲覧画像のインデックスデータを組み合わせたものを作成する。
【0030】
つまり、参照閲覧画像1〜4それぞれのインデックスデータとして「AAA」「BBB」「CCC」「DDD」を生成し、これらインデックスデータを組み合わせた「AAA,BBB,CCC,DDD」を原本画像のインデックスデータにする。なお、例えば、参照閲覧画像2が二頁に及ぶ場合は「BBB-1」「BBB-2」のように参照閲覧画像とその頁の関係を示すインデックスデータを作成する。そして、原本画像のインデックスデータを「AAA,BBB-1,BBB-2,CCC,DDD」のようにする。なお、上記のインデックスデータの作成方法は一例であり、参照閲覧画像を特定し、参照閲覧画像と原本画像の関係を示すことができるならば、どのような形態でもよい。
【0031】
●電子文書の保存
図6、図7は電子文書の保存処理の一例を示すフローチャートで、画像入力部2が起動された際に実行する処理である。
【0032】
まず、画像入力に関する初期設定を行う(S102)。初期設定は、スキャナ1のドライバソフトの読み込み、起動、設定、並びに、オペレータによる各種処理モードの指定受付など、オペレータの画像読取開始の指示を受け付け可能な状態になるまでの処理全般を含む。
【0033】
次に、スキャナ1を制御してスキャンを実行し(S103)、スキャナ1が読み取った画像を入力し(S104)、入力したスキャン画像を画像入力部2のメモリに一時保存する(S105)。なお、このスキャン画像が、その後、電子署名、タイムスタンプが付加されて、電子文書蓄積部3へ保存される原本画像である。
【0034】
次に、メモリに保存したスキャン画像を複製して(S106)、参照閲覧画像作成の処理には複製画像を利用する。
【0035】
次に、ユーザが指定した処理モードを調べ、文書操作(マルチクロップや頁分割)をするか否かを判定し(S107)、文書操作しない場合は、処理をステップS112へ進める。
【0036】
文書操作する場合は、指定された処理モードによって処理を分岐する(S108)。マルチクロップが指定された場合は、一頁の複製画像から複数の帳票画像を切り出す(S109)。頁分割処理が指定された場合は、連続入力した複数頁の画像を、帳票認識結果に基づき、複数の文書に分割する(S110)。また、指定頁数の頁分割処理が指定された場合は、連続入力した複数頁の画像を、指定された頁数で分割する(S111)。切り出し/分割後の画像は画像入力部2のメモリに一時保存する。なお、ステップS108〜S111の処理は、ユーザが電子文書を閲覧することを考慮した文書操作処理の一例であり、他の文書操作処理を加えることもできる。
【0037】
なお、入力したスキャン画像が一頁の場合は、頁分割処理(S110)、指定頁数の頁分割処理(S111)は無効であるから、それらが指定されていても、何もせずに処理をステップS112へ進める。
【0038】
次に、ユーザが指定した処理モードを調べ、参照閲覧画像用の画像処理を行うか否かを判定する(S112)。画像処理を行わない場合、処理をステップS114へ進める。
【0039】
画像処理を行う場合は、メモリに一時保存した複製画像、切り出し画像、または、頁分割画像に参照閲覧画像用の画像処理を施す(S113)。この画像処理は、文書管理システム本来の機能として画質の高い文書画像(ユーザが閲覧するのに適した画質の文書画像)にして、ユーザが閲覧可能にするための処理である。従って、この画像処理は、当該目的に沿う画像処理であればよく、画像処理の詳細は省略するが、一例として、図4にはマルチクロップ後の回転処理、裏写除去などを示した。また、コンピュータ機器で画像を扱う場合、画像ファイルの形式で扱う場合と、書式情報や複数頁構造を示すタグ部分を同梱する構造化文書の形式(例えばXMLやHTML)で扱う場合がある。参照閲覧データの形式として、ユーザが構造化文書の形式を設定した場合、参照閲覧画像用の画像処理を施した画像を、さらに構造化文書形式のファイルに変換する処理を行う。
【0040】
次に、参照閲覧画像のインデックスデータを作成する(S114)。インデックスデータは、画像入力部2のユーザインタフェイス(例えばキーボードやマウス)を介したオペレータの手入力、または、画像入力部2が備える光学式文字認識装置(以下「OCR」と呼ぶ)を用いた自動インデックス生成で作成する。続いて、参照閲覧画像のインデックスデータから原本画像のインデックスデータを作成する(S115)。
【0041】
次に、ステップS114で作成したインデックステータと参照閲覧データ保存部4が保存するインデックスデータから多重保存チェックを行う。さらに、ステップS115で作成したインデックスデータと電子文書蓄積部3が保存するインデックスデータから多重保存チェックを行う(S116)。そして、多重保存チェックの結果を判定する(S117)。チェック結果が重複あり、つまり作成したインデックスデータと同じインデックスデータが電子文書蓄積部3または参照閲覧データ保存部4にあることを示す場合、画像入力部2に接続されたモニタなどを利用してオペレータに警告を発する(S118)。この警告に対して、オペレータが処理終了の旨を指示すると保存処理を終了する。
【0042】
チェック結果が重複なしを示す場合、または、上記警告に対してオペレータが処理継続を指示した場合は、メモリに保存した原本画像に電子署名とタイムスタンプを付加する(S120-S121)。電子署名は、署名サーバ8に予め登録した個人電子署名を原本画像に埋め込む。タイムスタンプは、署名サーバ8から特定のデータ(この場合は原本画像)に対する固有のタイムスタンプを取得する。そして、タイムスタンプを原本画像に埋め込むか、原本画像とタイムスタンプ情報のファイル(一般に「トークン」と呼ぶ)を関連付ける。
【0043】
次に、電子署名とタイムスタンプが付与された原本画像と原本画像用のインデックスデータを電子文書蓄積部3に保存(リリース)する(S122)。なお、保存後、画像入力部2のメモリに一時保存した原本画像を消去する。
【0044】
次に、参照閲覧画像と参照閲覧画像用のインデックスデータを参照閲覧データ保存部4に保存(リリース)する(S123)。なお、保存後、画像入力部2のメモリに一時保存した参照閲覧画像を消去し、保存処理を終了する。なお、対応する参照閲覧画像と原本画像を互いにリンクさせるようにしてもよい。
【0045】
●参照閲覧、検証
図8は閲覧および検証処理を示すフローチャートである。
【0046】
クライアントPC 5は、電子文書を検索し、閲覧のための画面を提供し、原本画像の電子署名、タイムスタンプの検証結果を画面表示するなどの処理を行う。これらの処理は、クライアントPC 5で稼働するアプリケーションソフトウェアとしても実現できるし、クライアントPC 5上で稼働するWebブラウザが参照閲覧データ保存部4のWebサーバが提供するCGIやJava(登録商標)などのソフトウェアを実行する形態でもよい。
【0047】
まず、クライアントPC 5は、ユーザインタフェイスを介して閲覧処理が指示されると(S202)、参照閲覧データ保存部4に接続(ログイン)し(S203)、参照閲覧データ保存部4に保存された電子文書の参照閲覧が可能な状態にする。
【0048】
次に、クライアントPC 5は、ユーザインタフェイスを介して入力された検索情報に基づき、参照閲覧データ保存部4内の文書を検索し、電子文書を特定する(S204)。検索は、電子文書のインデックス、作成日付、文書名などを検索キーとする属性検索でもよいし、電子文書がキャビネット、フォルダ構成で保存されている場合は、ユーザが画面上で所望のキャビネットやフォルダを開き、目的の電子文書を探す方法でもよい。
【0049】
次に、クライアントPC 5は、検索結果として特定した参照閲覧画像(電子文書)を参照閲覧データ保存部4から取得してクライアントPC 5の画面に表示する(S205)。ここで表示される文書は、通常、保存処理において参照閲覧用の画像処理が施され保存された電子文書である。
【0050】
次に、クライアントPC 5は、ユーザインタフェイスを介して入力された指示に基づき、画面表示した電子文書の原本画像の電子署名、タイムスタンプを検証するか否かを判定する(S206)。検証を行わない場合は処理をステップS209へ進める。
【0051】
一方、検証を行う場合、クライアントPC 5は、参照閲覧データ保存部4に検証処理を指示する(S207)。この指示に応じて、参照閲覧データ保存部4は、電子文書蓄積部3に接続して、電子文書蓄積部3に文書の検証を実行させるためのコマンドを発行し、検証結果を得る状態にする(S211)。そして、クライアントPC 5に提供した参照閲覧画像のインデックスデータ(またはリンク)を電子文書蓄積部3に送信し、当該インデックスデータを含む原本画像(または当該リンクに対応する原本画像)の検索を電子文書蓄積部3に指示する(S212)。
【0052】
電子文書蓄積部3は、受信したインデックスデータを含む原本画像(または当該リンクに対応する原本画像)を検索し、検出した原本画像に付加された電子署名を検証する(S221)。電子署名の検証は、電子署名情報のプロパティを読み出し、そのプロパティに記録された電子署名の有効/無効を示すプロパティを検証結果とする。
【0053】
次に、電子文書蓄積部3は、検出した原本画像のタイムスタンプの検証を実行する(S222)。タイムスタンプの検証は、文書情報とタイムスタンプ情報を署名サーバ8に送信して、署名サーバ8から検証結果を得る方法がある。また、電子文書蓄積部3上で稼働するタイムスタンプ専用の検証アプリケーションに文書情報とタイムスタンプ情報を入力して、検証結果を得る方法があり、何れの方法を用いてもよい。
【0054】
次に、電子文書蓄積部3は検証結果を参照閲覧データ保存部4へ送信する(S223)。参照閲覧データ保存部4は検証結果をインデックスデータに関連付けてキャッシュするとともに、電子文書蓄積部3との接続を解除し(S213)、検証結果をクライアントPC 5に送信する(S214)。クライアントPC 5は、参照閲覧データ保存部4から受信した検証結果を画面に表示する(S208)。なお、参照閲覧データ保存部4は、認証処理を指示されたインデックスデータに対応する検証結果がキャッシュ済みの場合は、キャッシュした検証結果をクライアントPC 5に送信する。また、検証結果を送信する際、電子文書蓄積部3から原本画像も一緒に送信されて表示されるようにしてもよい。この場合、ユーザは、元の原本と参照閲覧画像を比較して確認することができるようになる。
【0055】
このように、クライアントPC 5は、電子文書蓄積部3にアクセスすることなく、電子文書原本の原本性や真正性を確認することができる。また、閲覧に適した画像を閲覧することができる。
【0056】
次に、クライアントPC 5は、電子文書の閲覧を継続するか否かのユーザ指示を待つ(S209)。ユーザインタフェイスを介して次の電子文書の検索が指示されるなど、継続の旨が指示された場合は処理をステップS204に戻す。また、閲覧終了が指示された場合、クライアントPC 5は、参照閲覧データ保存部4との接続を切断し(S210)、処理を終了する。
【0057】
なお、ユーザが電子文書蓄積部3に保存された原本画像を閲覧する必要がある場合は、クライアントPC 5から電子文書蓄積部3に特別なアカウントで接続(ログイン)し、検索後、当該文書を閲覧することができる。
【0058】
タイムススタンプの付加は、通常、外部の認証局を利用するため、タイムスタンプを付与する画像一件単位にコストがかかる。本発明においては、原本画像にタイムスタンプを付加し、当該原本画像に含まれる複数の参照閲覧画像にはタイムスタンプを付加しない。従って、マルチクロップや帳票認識による頁分割を行って得られた個々の参照閲覧画像にタイムスタンプを付加しないことで、タイムスタンプ付加に必要なコストを低減して経費を削減することができる。
【0059】
また、原本画像と参照閲覧画像を異なる保存部に保存して、ユーザは参照閲覧画像を閲覧する。従って、原本画像の不用意な削除、改竄のリスクを低減して、文書管理におけるセキュリティ面の安全性を向上することができる。
【0060】
さらに、ユーザが閲覧する参照閲覧画像は、原本画像とは独立しているため、画質を向上させるための画像処理を、参照閲覧画像の作成時に(または作成後も)施すことができる。従って、文書管理システム本来の、高い画質の文書を閲覧可能にする機能を有効にして、参照閲覧画像の視認性の向上、文書管理システムの操作性の向上を図ることができる。また、参照閲覧画像に対応する原本画像を用いて検証することができるので、改竄を検知することも可能になる。
【0061】
[他の実施例]
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0062】
また、本発明の目的は、上記実施例の機能を実現するソフトウェアを記録した記憶媒体(記録媒体)をシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(CPUやMPU)が前記ソフトウェアを実行することでも達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたソフトウェア自体が上記実施例の機能を実現することになり、そのソフトウェアを記憶した記憶媒体は本発明を構成する。
【0063】
また、前記ソフトウェアの実行により上記機能が実現されるだけでなく、そのソフトウェアの指示により、コンピュータ上で稼働するオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
【0064】
また、前記ソフトウェアがコンピュータに接続された機能拡張カードやユニットのメモリに書き込まれ、そのソフトウェアの指示により、前記カードやユニットのCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
【0065】
本発明を前記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するソフトウェアが格納される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例の画像処理を実行するシステムの構成例を示すブロック図、
【図2】マルチクロップによる頁分割を説明する図、
【図3】帳票認識による頁分割を説明する図、
【図4】システムの処理の概要を示す図、
【図5】インデックスデータを説明する図、
【図6】電子文書の保存処理の一例を示すフローチャート、
【図7】電子文書の保存処理の一例を示すフローチャート、
【図8】閲覧および検証処理を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読み取った原本画像を入力し、
前記原本画像から参照閲覧画像を生成し、
前記参照閲覧画像のインデックスデータを生成し、
前記インデックスデータおよびタイムスタンプを付加した前記原本画像を第一のメモリに格納し、
前記インデックスデータを付加した前記参照閲覧画像を第二のメモリに格納することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記参照閲覧画像の生成は、帳票認識によって前記原本画像から帳票画像を切り出し、前記切り出した帳票画像を前記参照閲覧画像にすることを特徴とする請求項1に記載された画像処理方法。
【請求項3】
さらに、前記切り出した帳票画像に予め定めたの画像処理を施すことを特徴とする請求項2に記載された画像処理方法。
【請求項4】
前記参照閲覧画像の生成は、帳票認識によって前記原本画像を帳票画像ごとの頁に分割し、前記頁分割した帳票画像を前記参照閲覧画像にすることを特徴とする請求項1に記載された画像処理方法。
【請求項5】
前記インデックスデータの生成は、前記帳票画像ごとにインデックスデータを生成することを特徴とする請求項2から請求項4の何れかに記載された画像処理方法。
【請求項6】
前記原本画像に付加するインデックスデータは、前記帳票画像ごとのインデックスデータを組み合わせたものであることを特徴とする請求項5に記載された画像処理方法。
【請求項7】
さらに、前記第一のメモリに格納する前記原本画像に電子署名を埋め込むことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載された画像処理方法。
【請求項8】
参照閲覧画像の検索指示を受信し、
前記検索指示に従い第一のメモリに格納された参照閲覧画像を検索して、検出した参照閲覧画像を前記検索指示の発行元に送信し、
前記発行元から、前記送信した参照閲覧画像に対する検証指示を受信し、
前記送信した参照閲覧画像に付加されたインデックスデータに基づき、第二のメモリに格納された原本画像を検索し、検出した原本画像を検証し、
前記検証の結果を前記発行元に送信することを特徴とする文書管理方法。
【請求項9】
前記検証は、前記原本画像に付加された電子署名およびタイムスタンプにより、前記原本画像の真正性を検証することを特徴とする請求項8に記載された文書管理方法。
【請求項10】
前記参照閲覧画像は、帳票認識により前記原本画像から切り出された帳票画像または頁分割された帳票画像であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載された文書管理方法。
【請求項11】
前記参照閲覧画像は予め定めたの画像処理が施されていることを特徴とする請求項8から請求項10の何れかに記載された文書管理方法。
【請求項12】
画像処理装置を制御して、請求項1から請求項7の何れかに記載された画像処理を実現することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
情報処理装置を制御して、請求項8から請求項11の何れかに記載された文書管理を実現することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載されたコンピュータプログラムが記録されたことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【請求項15】
原稿画像を読み取った原本画像を入力する入力手段と、
前記原本画像から参照閲覧画像を生成する画像生成手段と、
前記参照閲覧画像のインデックスデータを生成するインデックス生成手段と、
前記インデックスデータおよびタイムスタンプを付加した前記原本画像を第一のメモリに格納し、前記インデックスデータを付加した前記参照閲覧画像を第二のメモリに格納する保存手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項16】
参照閲覧画像の検索指示を受信する第一の受信手段と、
前記検索指示に従い第一のメモリに格納された参照閲覧画像を検索して、検出した参照閲覧画像を前記検索指示の発行元に送信する検索手段と、
前記発行元から、前記送信した参照閲覧画像に対する検証指示を受信する第二の受信手段と、
前記送信した参照閲覧画像に付加されたインデックスデータに基づき、第二のメモリに格納された原本画像を検索し、検出した原本画像を検証し、前記検証の結果を前記発行元に送信する検証手段とを有することを特徴とする文書管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−206964(P2007−206964A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24739(P2006−24739)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】