画像処理方法、画像処理装置、およびコンピュータプログラム
【課題】複数のユーザによって共用される画像処理装置における処理の条件の設定などを作業の利便性を従来よりも向上させる。
【解決手段】画像形成装置1Aは、画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示し、ある操作がなされたら、入力された条件をアプリケーションサーバ2へ送信する。画像形成装置1Bは、ある操作がなされたら、条件をアプリケーションサーバ2から受信し、その条件が入力されている状態で条件入力画面を表示し、ある操作がなされたら、最新の条件に基づいて処理を実行する。
【解決手段】画像形成装置1Aは、画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示し、ある操作がなされたら、入力された条件をアプリケーションサーバ2へ送信する。画像形成装置1Bは、ある操作がなされたら、条件をアプリケーションサーバ2から受信し、その条件が入力されている状態で条件入力画面を表示し、ある操作がなされたら、最新の条件に基づいて処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP(Multi Function Peripherals)などの画像処理装置およびそれにおける画像の印刷またはスキャンなどの画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー、PCプリント、スキャン、ファックス、およびファイルサーバなどの様々な機能を備えた画像処理装置が普及している。このような画像処理装置は、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれることもある。
【0003】
さらに、画像処理装置には、解像度の高いディスプレイが備えられるようになった。Webブラウザなどのアプリケーションを使用することもできるようになった。これにより、画像処理装置のUI(User Interface)がますます充実し操作性が向上している。よって、今後、ユーザが画像処理装置を使用する時間がますます長くなることが考えられる。
【0004】
ところで、画像処理装置は、オフィスや学校などの組織に設置されている場合は、複数のユーザによって使用されることがほとんどである。このような場合は、ユーザ1人当たりの使用時間が長くなると、あるユーザが画像処理装置を使用しようとしても他のユーザによって使用されていて使用できない可能性が高くなってしまう。
【0005】
そこで、複数のユーザによる装置の共用の方法として、次のような方法が提案されている。
【0006】
特許文献1に記載される方法によると、複数の画像形成装置を相互に接続しておく。マスタ機となっている画像形成装置に割込みがかけられたとき、部単位のプリント処理が終了するまで、現在のプリント処理を継続し、部単位のプリント処理が終了した時点で、スレーブ機となっている各画像形成装置に、残っている部の肩代りを依頼して、プリント処理を継続させる。
【0007】
特許文献2に記載される方法によると、プリンタの操作パネルに配置される保存ボタンの指示毎に、プリンタからPCに転送される割り込みイベントをPC側で検知する。該検知される割り込みイベントに応じて、プリンタのカードスロットに装着されたメモリカード内の画像データをPCのハードディスク内に保存制御する。プリンタの操作パネルに配置される印刷開始ボタンの指示毎に、プリンタからPCに転送される割り込みイベントを検知する。そして、該検知される割り込みイベントに応じて、前記メモリカードから読み出される画像データ、前記PCのハードディスク内に保存した画像データを印刷制御する。
【0008】
特許文献3に記載される方法によると、外部操作装置に備える操作パネルにの指示毎に、外部操作装置からホストコンピュータに転送される割り込みイベントを検知する。該検知される割り込みイベントに応じて、外部操作装置に装着可能なメモリカードから読み出される画像データと設定される印刷設定とを取得してホストコンピュータの表示装置に印刷設定がリアルタイムで反映される印刷プレビュー表示および該印刷プレビュー表示の更新表示をプレビュー表示部が制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−124266号公報
【特許文献2】特開2004−139385号公報
【特許文献3】特開2004−151769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1〜3に記載されるように、処理を実行している最中に割込みがあった場合の制御の方法が提案されている。
【0011】
しかし、画像処理装置の機能が上述のように向上するのに伴って、ユーザが処理の前に予め設定しなければならない条件も増えることがある。よって、処理を開始させる前につまり条件を設定している途中で緊急を要する他のユーザのために画像処理装置を譲らなければならないことが、あり得る。
【0012】
ユーザは、他のユーザのために画像処理装置を譲った後、その画像処理装置が空いたら条件の設定などの作業を再び行う。または、他の画像処理装置を使用して条件の設定などの作業を再び行う。しかし、特許文献1〜3に記載されるような従来の方法では、作業を一からやり直さなければならない。
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑み、複数のユーザによって共用される画像処理装置における処理の条件の設定などを作業の利便性を従来よりも向上させることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一形態に係る画像処理装置は、画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示する条件入力画面表示手段と、第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件を条件記憶手段に記憶させる条件記憶制御手段と、第二の操作がなされた場合に、前記条件を前記条件記憶制御手段から読み出す条件読出手段と、読み出された前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し直す条件入力画面再表示手段と、第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する処理実行手段と、を有する。
【0015】
好ましくは、前記条件記憶手段は、サーバに設けられており、前記条件記憶制御手段は、前記条件を、前記サーバへ送信することによって前記条件記憶手段に記憶させる。
【0016】
または、前記条件記憶手段は、他の画像処理装置に設けられている記録媒体であって、前記条件記憶制御手段は、前記条件を、当該条件に基づいて前記処理を実行する機能を有する他の画像処理装置へ送信することによって前記条件記憶手段に記憶させる。
【0017】
または、前記条件読出手段によって読み出された前記条件が他の画像処理装置によって前記条件記憶手段に記憶されたものである場合に、当該条件に基づいて前記処理を実行することができなければその旨をユーザに通知する、実行不能通知手段、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、複数のユーザによって共用される画像処理装置における処理の条件の設定などを作業の利便性を従来よりも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ネットワークシステムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】第一の実施形態における画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【図4】アプリケーションサーバ2のハードウェア構成の例を示す図である。
【図5】第一の実施形態におけるアプリケーションサーバの機能的構成の例を示す図である。
【図6】ログイン画面の例を示す図である。
【図7】ジョブ選択画面の例を示す図である。
【図8】スキャン設定画面の例を示す図である。
【図9】プレビュー画面の例を示す図である。
【図10】プレビュー画面の例を示す図である。
【図11】スキャン設定画面の例を示す図である。
【図12】第一の実施形態における画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図13】第一の実施形態における画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図14】第二の実施形態における画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【図15】第二の実施形態におけるアプリケーションサーバの機能的構成の例を示す図である。
【図16】印刷設定画面の例を示す図である。
【図17】プレビュー画面の例を示す図である。
【図18】印刷設定画面の例を示す図である。
【図19】第二の実施形態における画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図20】第二の実施形態における画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図21】第二の実施形態における画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図22】画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【図23】画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【図24】画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第一の実施形態〕
図1はネットワークシステムNSの全体的な構成の例を示す図、図2は画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図、図3は第一の実施形態における画像形成装置1の機能的構成の例を示す図、図4はアプリケーションサーバ2のハードウェア構成の例を示す図、図5は第一の実施形態におけるアプリケーションサーバ2の機能的構成の例を示す図である。
【0021】
図1に示すように、ネットワークシステムNSは、複数台の画像形成装置1、アプリケーションサーバ2、および通信回線3などによって構成される。各画像形成装置1およびアプリケーションサーバ2は、通信回線3を介してデータのやり取りを行うことができる。
【0022】
ネットワークシステムNSは、役所または企業などの組織に設けられ、その組織のメンバによって使用される。以下、ある企業Xにおいて使用されるネットワークシステムNSを例に説明する。企業Xの社員を「ユーザ」と記載する。ユーザには、ユニークなユーザID(identification)が与えられている。
【0023】
画像形成装置1は、一般に複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれる画像処理装置であって、コピー、PCプリント、ファックス、スキャナ、ボックス、プルプリント、およびWebブラウザなどの機能を集約した装置である。
【0024】
「ボックス機能」とは、画像形成装置1を使用するユーザごとに、「ボックス」などと呼ばれる、パーソナルコンピュータにおけるフォルダまたはディレクトリなどに相当する記憶領域を与えておき、ユーザが自分のボックスに、文書、写真、イラスト、または図表などの画像からなるドキュメントのデータなどをファイル単位で保存しておくことができるようにする機能である。
【0025】
「ネットワークプリンティング機能」は、画像データをパーソナルコンピュータから受信して画像を用紙に印刷する機能である。「ネットワークプリンタ機能」または「PCプリント機能」などと呼ばれることもある。
【0026】
「プルプリント機能」は、ユーザに指定されたドキュメントのデータを他の装置などから取得してドキュメントを用紙に印刷する機能である。
【0027】
画像形成装置1は、これらの機能を適宜組み合わせて、様々な種類のジョブを実行する。また、各ジョブを区別するために、ジョブごとにユニークなジョブIDを発行する。
【0028】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、ハードディスク10d、操作パネル10e、印刷ユニット10f、スキャナユニット10g、ネットワークインタフェース10h、ファックスモデム10i、USB(Universal Serial Bus)インタフェース10j、および電源管理部10kのほか種々の制御用回路などによって構成される。
【0029】
操作パネル10eは、ディスプレイおよび複数の操作ボタンなどによって構成される。操作ボタンが押下されると、その操作ボタンを示す信号がCPU10aに送信される。ディスプレイは、画像形成装置1を直接操作するユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが設定内容および処理内容を入力するための画面、および画像形成装置1で形成された画像および処理の結果を示す画面などを表示する。本実施形態では、ディスプレイとして、タッチパネルが用いられる。したがって、ディスプレイは、ユーザが指で触れた位置を検知し、検知結果を示す信号をCPU10aに送信する機能を備えている。
【0030】
スキャナユニット10gは、原稿の用紙に記されているドキュメントを読み取って画像データを生成する装置である。また、スキャナユニット10gには、ADF(Auto Document Feeder)および原稿トレイが備わっている。ADFは、原稿トレイにセットされた原稿の用紙を1枚ずつスキャナユニット10gの読取部のガラス板に配置する。
【0031】
USBインタフェース10jは、いわゆるUSB機器と通信を行うための、USBインタフェースボードである。
【0032】
印刷ユニット10fは、スキャナユニット10gによって読み取られたドキュメントまたは他の装置から受信した画像データに示されるドキュメントを印刷する。また、印刷ユニット10fには、排紙トレイが備わっている。ドキュメントが印刷された用紙つまり印刷物は、排紙トレイに排出される。
【0033】
ネットワークインタフェース10hは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)によってアプリケーションサーバ2と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)である。
【0034】
ファックスモデム10iは、固定電話網を介してG3のプロトコルによって他のファックス端末と通信を行う装置である。
【0035】
電源管理部10kは、画像形成装置1を構成する各ハードウェアへの電源の供給を管理する。
【0036】
ROM10cまたはハードディスク10dには、図3に示すユーザ認証部101、スキャン設定画面データ取得部102、スキャン設定画面表示処理部103、スキャン制御部104、プレビュー画面データ取得部105、プレビュー画面表示処理部106、画像処理要求部107、設定途中データ送信部121、ログアウト処理部122、および設定途中データ取得部123などを実現するためのプログラムおよびデータが記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。
【0037】
以下、各画像形成装置1を「画像形成装置1A」、「画像形成装置1B」、…と区別して記載することがある。
【0038】
図3に示す各部の機能の全部または一部を回路などのハードウェアのみによって実現してもよい。
【0039】
図1に戻って、アプリケーションサーバ2は、画像形成装置1のディスプレイに表示させるための画面のデータを画像形成装置1へ提供したり、後述する傾き補正および下地補正などの画像処理を行ったりする。
【0040】
アプリケーションサーバ2は、図4に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、ハードディスク20d、およびネットワークインタフェース20eなどによって構成される。
【0041】
ROM20cまたはハードディスク20dには、図5に示すスキャン設定画面データ送信部201、プレビュー画面データ送信部202、画像処理部203、処理済画像データ送信部204、設定途中データ受信部205、設定途中データ保存部206、設定途中データ送信部207、および画面データ記憶部208などを実現するためのプログラムおよびデータが記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてRAM20bにロードされ、CPU20aによって実行される。
【0042】
ユーザは、画像形成装置1を操作して画像形成装置1にスキャンジョブを実行させることによって、用紙に記されているドキュメントを電子データ化することができる。また、途中で操作を中断しても、一から操作をやり直すことなく途中から操作を再開することができる。
【0043】
以下、図3に示す画像形成装置1の各部および図5に示すアプリケーションサーバ2の各部の処理内容などについて、説明する。
【0044】
〔設定の作業の中断がない場合〕
図6はログイン画面SC0の例を示す図、図7はジョブ選択画面SC1の例を示す図、図8はスキャン設定画面SC2の例を示す図、図9はプレビュー画面SC3の例を示す図、図10はプレビュー画面SC3の例を示す図である。
【0045】
図5において、アプリケーションサーバ2の画面データ記憶部208には、スキャン設定画面データDT2など、後述する各画面を表示するためのデータが予め記憶されている。各データは、例えばHTML(Hypertext Markup Language)などのWebブラウザに対応したフォーマットで記述されている。また、GIF(Graphics Interchange Format)またはJPEG(Joint Photographic Experts Group)などの画像データが含まれることもある。
【0046】
図3において、画像形成装置1のユーザ認証部101は、これから画像形成装置1を使用しようとするユーザが正当なユーザであるか否かを認証する処理を、次のように行う。
【0047】
ユーザ認証部101は、ユーザごとのユーザIDおよびパスワードを予め記憶したデータベースを有している。
【0048】
画像形成装置1が使用されていない間、操作パネル10eには、いわゆる待ち受け画面として図6のようなログイン画面SC0が表示されている。画像形成装置1を使用したいユーザは、ログイン画面SC0に自分のユーザIDおよびパスワードを入力する。
【0049】
すると、ユーザ認証部101は、入力されたユーザIDおよびパスワードと一致するユーザIDおよびパスワードがデータベースに記憶されているか否かをチェックする。そして、一致するものがあれば、正当なユーザであると認証する。
【0050】
ユーザは、正当なユーザであると認証されると、画像形成装置1にログオンし、画像形成装置1を使用することができる。ログオン後、操作パネル10eには、図7のようなジョブ選択画面SC1が表示される。ここで、ユーザは、「スキャン」ボタンを押す。
【0051】
スキャン設定画面データ取得部102は、「スキャン」ボタンが押されると、図8のようなスキャン設定画面SC2を表示するためのスキャン設定画面データDT2をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0052】
スキャン設定画面データ取得部102は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、スキャン設定画面データDT2をアプリケーションサーバ2に対して要求する。
【0053】
すると、アプリケーションサーバ2のスキャン設定画面データ送信部201は、スキャン設定画面データDT2を画像形成装置1へ送信する。
【0054】
そして、スキャン設定画面データ取得部102は、アプリケーションサーバ2から送信されてきたスキャン設定画面データDT2を取得する。
【0055】
スキャン設定画面表示処理部103は、取得されたスキャン設定画面データDT2に基づいて、スキャン設定画面SC2を操作パネル10eに表示させる。図8に示すように、スキャン設定画面SC2には、スキャンに関する種々の事項の条件を設定するためのオプションボタンが配置されている。
【0056】
「読取解像度」は、用紙に記されている画像(ドキュメント)をスキャンする際の解像度である。「読取面」は、用紙の片面のみをスキャンするのか両面をスキャンするのかの条件である。「読取サイズ」は、用紙のサイズである。「フォーマット」は、スキャンした画像(ドキュメント)のロー(Raw)データをファイル化する際に用いるフォーマットである。
【0057】
ユーザは、スキャン対象のドキュメントが記された用紙をスキャナユニット10gのADFにセットし、スキャン設定画面SC2にスキャンの条件を入力して「OK」ボタンを押す。これにより、スキャンの条件の設定がなされる。
【0058】
なお、スキャン設定画面表示処理部103は、画像形成装置1に備わっているWebブラウザによって実現される。後述するプレビュー画面表示処理部106、印刷設定画面表示処理部133、およびプレビュー画面表示処理部136も、同様である。
【0059】
スキャン制御部104は、設定された条件に基づいて、用紙からドキュメントをスキャンする処理をスキャナユニット10gに実行させ、画像データGD1を生成する。
【0060】
プレビュー画面データ取得部105は、図9のようなプレビュー画面SC3を表示するためのプレビュー画面データDT3をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0061】
プレビュー画面データ取得部105は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、プレビュー画面データDT3をアプリケーションサーバ2に対して要求する。この際に、スキャン制御部104によって生成された画像データGD1をアプリケーションサーバ2へ送信する。
【0062】
すると、アプリケーションサーバ2のプレビュー画面データ送信部202は、プレビュー画面データDT3を生成し画像形成装置1へ送信する。図9に示すように、プレビュー画面SC3には、画像形成装置1によって読み取られたドキュメントの部分と、後述する画像処理の設定を行うためのテキストボックスおよび各種のボタンなどからなる部分とが、含まれている。前者を表示するためのデータは、画像形成装置1から送信されてきた画像データGD1が用いられる。後者を表示するためのデータは、画面データ記憶部208に予め用意されている、プレビュー画面用のデータが用いられる。
【0063】
そして、プレビュー画面データ取得部105は、アプリケーションサーバ2から送信されてきたプレビュー画面データDT3を取得する。
【0064】
プレビュー画面表示処理部106は、取得されたプレビュー画面データDT3に基づいて、プレビュー画面SC3を操作パネル10eに表示させる。図9に示すように、プレビュー画面SC3には、スキャンされた画像(ドキュメント)のほか、アプリケーションサーバ2に実行させる画像処理を設定するためのオプションボタンなどが配置されている。
【0065】
ユーザは、表示されたプレビュー画面SC3を見て、ドキュメントがきちんと読み取られているか否かを確認する。そして、不備がない場合は「OK」ボタンを押す。すると、画像データGD1がスキャンデータSD1として所定の記憶場所(例えば、所定のボックスまたはUSBインタフェース10jに差し込まれているUSBメモリなど)に保存される。
【0066】
一方、不備がある場合は、アプリケーションサーバ2に画像処理を行わせることによって、読み取られたドキュメントを補正することができる。
【0067】
例えば、ドキュメントが傾いて読み取られている場合は、傾きを「傾き補正」テキストボックスにその傾きの角度を入力する。または、読み取られたドキュメントの明度が、ユーザが想定していた明度よりも高い場合は、明度を何度下げるのかをマイナスの値で「明暗」テキストボックスに入力する。または、読み取られたドキュメントの明度が、ユーザが想定していた明度よりも低い場合は、明度を何度上げるのかをプラスの値で「明暗」テキストボックスに入力する。そして、「画像処理開始」ボタンを押す。
【0068】
すると、画像処理要求部107は、ドキュメントに対して画像処理を施すようにアプリケーションサーバ2へ要求する。この際に、ユーザによって入力された条件をアプリケーションサーバ2へ通知する。
【0069】
アプリケーションサーバ2において、画像処理部203は、画像形成装置1からの要求を受け付けると、通知された条件に応じてドキュメントに対して画像処理を施す。具体的には、既に画像形成装置1から受信した、そのドキュメントの画像データGD1を、通知された条件に基づいて更新する。以下、更新された画像データGD1を「画像データGD2」と記載する。
【0070】
処理済画像データ送信部204は、画像処理部203によって得られた画像データGD2を画像形成装置1へ送信する。
【0071】
画像形成装置1において、プレビュー画面表示処理部106は、アプリケーションサーバ2から送信されてきた画像データGD2を用いて、ドキュメントの部分つまりプレビューの画像を、画像処理が施されたドキュメントに置き換えて図10のようにプレビュー画面SC3を表示し直す。
【0072】
このようにして、ユーザは、読み取られたドキュメントの不備を補正することができる。そして、上手く補正できたら「OK」ボタンを押す。すると、画像データGD2がスキャンデータSD1として所定の記憶場所に保存される。
【0073】
以上のようにして、ユーザが設定した内容に基づいて用紙からドキュメントが読み取られ必要に応じて画像処理装置が施され、スキャンデータSD1が得られる。
【0074】
〔設定の作業の中断がある場合〕
図11はスキャン設定画面SC2の例を示す図である。
【0075】
上述の通り、ユーザは、ある画像形成装置1を使用してドキュメントを電子データ化する際に、スキャンの条件を設定し、さらに必要に応じて画像処理の条件を設定した。
【0076】
ところで、これらの設定の作業の途中で他のユーザが同じ画像形成装置1を緊急に使用しなければならない場合が、ある。または、作業の途中で別の場所へ行かなければならない場合がある。これらの場合は、ユーザは、次のように作業を中断し再開することができる。また、他の画像形成装置1を使用して作業を再開することもできる。
【0077】
以下、あるユーザUxが画像形成装置1Aで作業を開始したが、途中で作業を中断し、画像形成装置1Bで作業を再開する場合を例に、図3に示す画像形成装置1および図5に示すアプリケーションサーバ2の各部の処理を説明する。中断がない場合の処理および操作と同様の処理および操作については、説明を省略する。
【0078】
中断がない場合と同様に、ユーザUxは、スキャン設定画面SC2にスキャンの条件を入力する。さらに、必要に応じてプレビュー画面SC3に画像処理の条件を入力する。
【0079】
しかし、入力の途中で作業を中断しなければならなくなったら、スキャン設定画面SC2またはプレビュー画面SC3の「中断」ボタンを押す。
【0080】
画像形成装置1Aにおいて、設定途中データ送信部121は、ユーザUxが画像形成装置1Aにログインしてから「中断」ボタンを押すまでの間に入力したスキャンおよび画像処理それぞれの条件、ユーザUxのユーザID、および今回実行しようとしているジョブのジョブIDを示す設定途中データTD1を生成する。ただし、条件を示す部分は、暗号化しておく。そして、設定途中データTD1をアプリケーションサーバ2へ送信する。
【0081】
アプリケーションサーバ2において、設定途中データ受信部205は、画像形成装置1Aから設定途中データTD1を受信する。設定途中データ保存部206は、受信された設定途中データTD1を保存する。
【0082】
また、画像形成装置1Aにおいて、「中断」ボタンが押されると、ログアウト処理部122は、ユーザUxを画像形成装置1Aからログアウトさせるとともに、このジョブのジョブIDを操作パネル10eに表示させる。ユーザUxのログアウト後、他のユーザは、自分のユーザIDおよびパスワードを画像形成装置1Aに入力し認証を受けることによって、画像形成装置1Aを使用することができる。ユーザUxも、再度、自分のユーザIDおよびパスワードを画像形成装置1Aに入力し認証を受けることによって、画像形成装置1Aを使用することができる。
【0083】
ユーザUxは、表示されたジョブIDを覚え、ドキュメントの用紙を持って画像形成装置1Bへ移動する。そして、自分のユーザIDおよびパスワードを入力し、画像形成装置1Bにログインする。
【0084】
画像形成装置1Bにおいて、ユーザ認証部101は、上述の通り、入力されたユーザIDおよびパスワードとデータベースとに基づいてユーザUxの認証を行い、ユーザUxをログインさせる。スキャン設定画面データ取得部102およびスキャン設定画面表示処理部103は、スキャン設定画面データDT2をアプリケーションサーバ2から受信しスキャン設定画面SC2(図8参照)を表示させる。
【0085】
ここで、ユーザUxは、画像形成装置1Aの操作パネル10eに表示されたジョブIDを「ジョブID」テキストボックスに入力し、「呼出」ボタンを押す。
【0086】
すると、設定途中データ取得部123は、設定途中データTD1をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0087】
設定途中データ取得部123は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、設定途中データTD1をアプリケーションサーバ2に対して要求する。この際に、ユーザUxのユーザIDおよび入力されたジョブIDをアプリケーションサーバ2に通知する。
【0088】
すると、アプリケーションサーバ2において、設定途中データ送信部207は、設定途中データ保存部206の中から、通知されたユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTD1を検索し、見つかった設定途中データTD1を画像形成装置1Bへ送信する。
【0089】
そして、設定途中データ取得部123は、アプリケーションサーバ2から送信されてきた設定途中データTD1を取得し、設定途中データTD1の中の暗号化されている部分を復号する。
【0090】
なお、暗号化および復号は、共通鍵暗号方式によって行えばよい。また、ネットワークシステムNSを構成するすべての画像形成装置1において、同一の秘密鍵を用いるのが望ましい。そうすれば、ネットワークシステムNSの中だけに設定途中データTD1の使用を制限することができる。
【0091】
スキャン設定画面表示処理部103は、図11のように、取得された設定途中データTD1に示される設定の内容を反映させた状態で、つまり、その内容の通りにオプションボタンが選択された状態で、スキャン設定画面SC2を表示し直す。
【0092】
また、プレビュー画面表示処理部106は、設定途中データTD1が取得された後は、プレビュー画面SC3を、設定途中データTD1に示される設定の内容を反映させた状態で表示させる。
【0093】
このように、ユーザUxは、画像形成装置1Aで行っていた作業の状態を、ジョブIDを入力することによって画像形成装置1Bで再現することができる。そして、一から作業をやり直すのではなく、画像形成装置1Aで行っていた作業を途中から再開することができる。
【0094】
その後、画像形成装置1およびアプリケーションサーバ2の各部は、適宜変更された条件(つまり、ユーザUxが指定した最新の条件)に応じてドキュメントを読み取ったり、ドキュメントに対して画像処理を施したりして、ユーザUxの所望するドキュメントの画像データを生成する。そして、USBメモリなどに出力する。
【0095】
図12および図13は第一の実施形態における画像形成装置1A、1Bおよびアプリケーションサーバ2の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0096】
次に、ユーザUxが、用紙に記されているドキュメントを、画像形成装置1Aおよび画像形成装置1Bを使用して電子データ化する場合を例に、画像形成装置1A、画像形成装置1B、およびアプリケーションサーバ2それぞれの全体的な処理の流れを、図12および図13のフローチャートを参照しながら説明する。
【0097】
ユーザUxは、ログイン画面SC0(図6参照)を表示させ、自分のユーザIDおよびパスワードを画像形成装置1Aに入力する。
【0098】
画像形成装置1Aは、ユーザIDおよびパスワードが入力されると(図12の#501)、ユーザUxの認証の処理を行い(#502)、ユーザUxが正当なユーザであることを確認できたら、ユーザUxをログインさせ、ジョブ選択画面SC1(図7参照)を表示する(#503)。ユーザUxは、ドキュメントの用紙をADFにセットしておく。
【0099】
ユーザUxが「スキャン」ボタンを押すことによってスキャン機能の起動を指令すると(#504)、画像形成装置1Aは、スキャン設定画面データDT2をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#505)。
【0100】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#601)、スキャン設定画面データDT2を画像形成装置1Aへ送信する(#602)。
【0101】
画像形成装置1Aは、スキャン設定画面データDT2を受信すると(#506)、スキャン設定画面SC2(図8参照)を表示する(#507)。
【0102】
ここで、ユーザUxは、スキャンの条件を入力し(#508)、「OK」ボタンを押してスキャンの開始を指令する(#509)。
【0103】
すると、画像形成装置1Aは、入力された条件に基づいて用紙からドキュメントを読み取って画像データGD1を生成する(#510)。そして、プレビュー画面データDT3をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#511)。この際に、画像データGD1をアプリケーションサーバ2へ送信する。
【0104】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#603)、受信した画像データGD1などを用いて、画像形成装置1Aが読み取ったドキュメントのプレビュー画面データDT3を生成し画像形成装置1Aへ送信する(#604)。
【0105】
画像形成装置1Aは、プレビュー画面データDT3を受信すると(#512)、プレビュー画面SC3(図9参照)を表示する(#513)。
【0106】
ここで、ユーザUxは、所望の通りにドキュメントがスキャンされているか否かを確認する。そして、必要に応じて、アプリケーションサーバ2に実行させる画像処理の条件を入力し、「画像処理開始」ボタンを押す(#514)。例えば、ドキュメントが10度ほど傾いてスキャンされてしまっている場合は、「傾き補正」テキストボックスに「10」と入力する。
【0107】
画像形成装置1Aは、条件が入力されると、画像処理を実行するようにアプリケーションサーバ2に対して要求する(#515)。この際に、入力された条件をアプリケーションサーバ2に対して通知する。
【0108】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#605)、通知された条件に従ってドキュメントに対して画像処理を施す(#606)。これにより、ステップ#603で受信した画像データGD1が更新され画像データGD2が生成される。そして、画像データGD2を画像形成装置1Aへ送信する(#607)。
【0109】
なお、画像形成装置1A自身がその条件に基づいて画像処理を実行することができるのであれば、アプリケーションサーバ2の代わりに画像形成装置1A自身が実行してもよい(#516)。
【0110】
画像形成装置1Aは、画像データGD2を受信すると(#517)、それに基づいて、画像処理後のドキュメントを図10のように反映させた状態でプレビュー画面SC3を表示し直す(図13の#518)。
【0111】
ユーザUxは、さらにドキュメントに画像処理を施したい場合はもう一度、プレビュー画面SC3に条件を指定すればよい。または、条件を変えてスキャンをやり直したい場合は「戻る」ボタンを押してスキャン設定画面SC2を呼び出せばよい。「戻る」ボタンが押されると、画像形成装置1Aは、直前に指定された条件を反映させてスキャン設定画面SC2を表示し直す。
【0112】
ユーザUxが画像処理またはスキャンをやり直したいにも関わらず、他のユーザが画像形成装置1Aのところへ訪れ、画像形成装置1Aを譲るようにユーザUxに頼んだ。そこで、ユーザUxは、画像形成装置1Bを使用して作業の続きを行うことにした。
【0113】
画像形成装置1Aは、ユーザUxが「中断」ボタンを押すと(#519)、ユーザUxが画像形成装置1Aにログインしてから「中断」ボタンを押すまでの間に入力したスキャンおよび画像処理それぞれの条件、ユーザUxのユーザID、および今回実行しようとしているジョブのジョブIDを示す設定途中データTD1を生成する(#520)。さらに設定途中データTD1の中の条件を示す部分を、暗号化する(#521)。そして、一部分が暗号化された設定途中データTD1をアプリケーションサーバ2へ送信する(#522)。
【0114】
また、設定途中データTD1の生成および送信の処理と前後してまたは並行して、画像形成装置1Aは、今回実行しようとしているジョブのジョブIDを表示する(#523)。そしてユーザUxをログアウトさせる(#524)。
【0115】
アプリケーションサーバ2は、設定途中データTD1を受信すると(#608)、設定途中データTD1をそのまま(つまり、条件とユーザIDおよびジョブIDとを紐付けたまま)保存する(#609)。
【0116】
ユーザUxは、表示されたジョブIDを覚え、ドキュメントの用紙を持って画像形成装置1Bへ移動する。そして、画像形成装置1Bに自分のユーザIDおよびパスワードを入力する(#531)。
【0117】
すると、画像形成装置1Bは、ユーザUxの認証の処理を行い(#532)、ユーザUxが正当なユーザであることを確認できたら、ユーザUxをログインさせ、ジョブ選択画面SC1(図7参照)を表示する(#533)。ユーザUxは、ドキュメントの用紙をADFにセットしておく。
【0118】
ユーザUxが「スキャン」ボタンを押すことによってスキャン機能の起動を指令すると(#534)、画像形成装置1Bは、スキャン設定画面データDT2をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#535)。
【0119】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#611)、スキャン設定画面データDT2を画像形成装置1Bへ送信する(#612)。
【0120】
画像形成装置1Bは、スキャン設定画面データDT2を受信すると(#536)、スキャン設定画面SC2(図8参照)を表示する(#537)。
【0121】
ここで、ユーザUxは、画像形成装置1Aが表示したジョブIDを画像形成装置1Bに入力する(#538)。
【0122】
すると、画像形成装置1Bは、設定途中データTD1をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#539)。この際に、ユーザUxのユーザIDおよび入力されたジョブIDをアプリケーションサーバ2に通知する。
【0123】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#613)、通知されたユーザIDおよびジョブIDを用いて認証を行う(#614)。さらに具体的には、ユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTD1が設定途中データ保存部206に保存されているか否かをチェックすることによって、要求の正当性を判断する。そして、そのユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTD1が保存されていれば、要求が正当であると判断し、その設定途中データTD1を画像形成装置1Bへ送信する(#615)。
【0124】
画像形成装置1Bは、設定途中データTD1を受信すると(#540)、暗号化されている部分を復号する(#541)。そして、図11のように、その設定途中データTD1に示される設定の内容を反映させた状態で、スキャン設定画面SC2を表示し直す(#542)。なお、その後、プレビュー画面SC3を表示する際も同様に、その設定途中データTD1に示される設定の内容を反映させる。
【0125】
これにより、ユーザUxは、画像形成装置1Aで行っていた作業の続きを、画像形成装置1Bにおいて再開することができる。
【0126】
第一の実施形態においては、スキャンデータSD1をUSBメモリなどに記憶させたが、通信回線3を介して他の装置へ転送してもよい。この場合は、条件の1つとしてスキャンデータSD1の送信先および送信に使用するプロトコルなどを設定できるようにすればよい。
【0127】
〔第二の実施形態〕
図14は第二の実施形態における画像形成装置1の機能的構成の例を示す図、図15は第二の実施形態におけるアプリケーションサーバ2の機能的構成の例を示す図である。
【0128】
第一の実施形態では、画像形成装置1およびアプリケーションサーバ2はスキャンジョブを取り扱ったが、第二の実施形態では、印刷ジョブを取り扱う。以下、印刷ジョブを取り扱う場合について、説明する。スキャンジョブを取り扱う場合と重複する点については、説明を省略する。
【0129】
ネットワークシステムNSの全体的な構成は、第一の実施形態のそれと同様であり、図1に示した通りである。
【0130】
画像形成装置1のハードウェア構成は、第一の実施形態のそれと同様であり、図2に示した通りである。ただし、ROM10cまたはハードディスク10dには、図14に示すユーザ認証部131、印刷設定画面データ取得部132、印刷設定画面表示処理部133、印刷制御部134、プレビュー画面データ取得部135、プレビュー画面表示処理部136、画像処理要求部137、ドキュメントファイル取得部138、設定途中データ送信部141、ログアウト処理部142、および設定途中データ取得部143などを実現するためのプログラムおよびデータが記憶されている。
【0131】
アプリケーションサーバ2のハードウェア構成は、第一の実施形態のそれと同様であり、図4に示した通りである。ただし、ROM20cまたはハードディスク20dには、図15に示す印刷設定画面データ送信部231、プレビュー画面データ送信部232、画像処理部233、ドキュメントファイル送信部234、設定途中データ受信部235、設定途中データ保存部236、設定途中データ送信部237、画面データ記憶部238、およびドキュメントファイル記憶部239などを実現するためのプログラムおよびデータが記憶されている。
【0132】
ユーザは、画像形成装置1を操作して画像形成装置1に印刷ジョブを実行させることによって、ドキュメントの印刷物を得ることができる。また、途中で操作を中断しても、一から操作をやり直すことなく途中から操作を再開することができる。
【0133】
〔設定の作業の中断がない場合〕
図16は印刷設定画面SP2の例を示す図、図17はプレビュー画面SP3の例を示す図である。
【0134】
図15において、アプリケーションサーバ2の画面データ記憶部238には、印刷設定画面データDU2など、後述する各画面を表示するためのデータが予め記憶されている。各データは、第一の実施形態の場合と同様に、例えばWebブラウザに対応したフォーマットで記述されており、画像データが含まれていることもある。
【0135】
ドキュメントファイル記憶部239には、ドキュメントを再現するためのファイルであるドキュメントファイルが予め記憶されている。ドキュメントファイルのフォーマットとして、例えば、PDF(Portable Document Format)またはTIFF(Tagged Image File Format)などが用いられる。
【0136】
図14において、画像形成装置1のユーザ認証部131は、第一の実施形態のユーザ認証部101(図3参照)と同様に、ユーザの認証の処理を行う。ユーザは、正当なユーザであると認証されると、画像形成装置1にログオンし、画像形成装置1を使用することができる。ログオン後、操作パネル10eには、第一の実施形態と同様に、図7のようなジョブ選択画面SC1が表示される。ここで、ユーザは、「プルプリント」ボタンを押す。
【0137】
印刷設定画面データ取得部132は、「プルプリント」ボタンが押されると、図16のような印刷設定画面SP2を表示するための印刷設定画面データDU2をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0138】
印刷設定画面データ取得部132は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、印刷設定画面データDU2をアプリケーションサーバ2に対して要求する。
【0139】
すると、アプリケーションサーバ2の印刷設定画面データ送信部231は、印刷設定画面データDU2を画像形成装置1へ送信する。
【0140】
そして、印刷設定画面データ取得部132は、アプリケーションサーバ2から送信されてきた印刷設定画面データDU2を取得する。
【0141】
印刷設定画面表示処理部133は、取得された印刷設定画面データDU2に基づいて、印刷設定画面SP2を操作パネル10eに表示させる。図16に示すように、印刷設定画面SP2には、印刷および仕上げに関する種々の事項の条件を設定するためのオプションボタン、プルダウンメニュー、およびテキストボックスが配置されている。
【0142】
「仕上げ」は、ドキュメントの印刷物に対する仕上げの条件であって、ユーザは、印刷物をステープルで綴じるか印刷物にパンチ穴を開けるかを選択することができる。「印刷面」は、ドキュメントを用紙のどの面に印刷するかの条件であって、ユーザは、用紙の片面のみに印刷するのか両面に印刷するのかを選択することができる。
【0143】
「用紙サイズ」は、使用する用紙のサイズの条件である。「カラー」は、カラーに関する条件であって、ユーザは、ドキュメントをカラーで印刷するのかモノクロで印刷するのかを選択することができる。「部数」は、ドキュメントを印刷する部数である。
【0144】
「ファイル名」は、印刷するドキュメントを再現するためのドキュメントファイルのファイル名である。「ファイル名」のプルダウンメニューが押されると、アプリケーションサーバ2のドキュメントファイル記憶部239に記憶されているドキュメントファイルのファイル名の一覧が表示される。ユーザは、この一覧の中から印刷を所望するドキュメントのファイル名を選択することができる。
【0145】
ユーザは、印刷設定画面SP2に印刷および必要な仕上げの条件を入力して「OK」ボタンを押す。これにより、印刷および必要な仕上げの条件の設定がなされる。
【0146】
プレビュー画面データ取得部135は、図17のようなプレビュー画面SP3を表示するためのプレビュー画面データDU3をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0147】
プレビュー画面データ取得部135は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、プレビュー画面データDU3をアプリケーションサーバ2に対して要求する。この際に、印刷設定画面SP2で設定された条件をアプリケーションサーバ2へ通知する。
【0148】
すると、アプリケーションサーバ2のプレビュー画面データ送信部232は、プレビュー画面データDU3を生成し画像形成装置1へ送信する。図17に示すように、プレビュー画面SP3には、ドキュメントを印刷した印刷物のイメージの部分と、後述する画像処理の設定を行うためのテキストボックスおよび各種のボタンなどからなる部分とが、含まれている。前者を表示するためのデータは、ドキュメントファイル記憶部239に記憶されている、画像形成装置1から通知されたファイル名のドキュメントファイルによって生成される。後者を表示するためのデータは、画面データ記憶部238に予め用意されている、プレビュー画面用のデータが用いられる。
【0149】
そして、プレビュー画面データ取得部135は、アプリケーションサーバ2から送信されてきたプレビュー画面データDU3を取得する。
【0150】
プレビュー画面表示処理部136は、取得されたプレビュー画面データDU3に基づいて、プレビュー画面SP3を操作パネル10eに表示させる。
【0151】
ユーザは、表示されたプレビュー画面SP3を見て、所望の通りにドキュメントが印刷されるか否かを確認する。不備がある場合は、アプリケーションサーバ2に画像処理を行わせることによって、ドキュメントを補正することができる。一方、不備がない場合は「OK」ボタンを押す。
【0152】
例えば、ドキュメント内に余計なノイズが含まれる領域が含まれる場合は、ユーザは、その領域をタッチし、ノイズを検知する感度を「ノイズ除去」テキストボックスに入力する。または、ドキュメント内の色と色との境界をシャープにしたい場合は、ユーザは、シャープにする強さを「シャープネス」テキストボックスに入力する。または、ドキュメント内の色と色との境界をぼかしたい場合は、ユーザは、ぼかす強さを「ソフトネス」テキストボックスに入力する。ユーザは、このように入力することによって画像処理の条件を設定することができる。
【0153】
ユーザは、画像処理の条件の設定(入力)が完了したら、「画像処理開始」ボタンを押す。
【0154】
画像処理要求部137は、プレビュー画面SP3でユーザが設定した通りにドキュメントに画像処理を施すように、アプリケーションサーバ2に対して要求する。この際に、設定された条件をアプリケーションサーバ2へ通知する。
【0155】
アプリケーションサーバ2において、画像処理部233は、画像形成装置1からの要求を受け付けると、通知された条件に応じてドキュメントに対して画像処理を施す。具体的には、そのドキュメントのドキュメントファイルをドキュメントファイル記憶部239から呼び出し、通知された条件に基づいてドキュメントファイルを更新する。
【0156】
プレビュー画面データ送信部232は、更新後のドキュメントファイルを用いて新たなプレビュー画面データDU3を生成し、画像形成装置1へ送信する。
【0157】
画像形成装置1において、プレビュー画面表示処理部136は、アプリケーションサーバ2から送信されてきた新たなプレビュー画面データDU3に基づいてプレビュー画面SC3を表示し直す。
【0158】
このようにして、ユーザは、読み取られたドキュメントの不備を補正することができる。そして、上手く補正できたら「OK」ボタンを押す。
【0159】
ドキュメントファイル取得部138は、プレビュー画面SC3の「OK」ボタンが押されると、ドキュメントファイルをアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0160】
ドキュメントファイル取得部138は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、印刷対象のドキュメントのドキュメントファイルをアプリケーションサーバ2に対して要求する。
【0161】
すると、アプリケーションサーバ2のドキュメントファイル送信部234は、そのドキュメントのドキュメントファイルを画像形成装置1へ送信する。ただし、画像形成装置1からの要求に応じてドキュメントファイルを更新した場合は、更新されたドキュメントファイルを送信する。
【0162】
そして、ドキュメントファイル取得部138は、アプリケーションサーバ2から送信されてきたドキュメントファイルを取得する。
【0163】
印刷制御部134は、取得されたドキュメントファイルを用いてドキュメントのビットマップデータを生成し、ドキュメントが用紙に印刷されるように印刷ユニット10fを制御する。
【0164】
〔設定の作業の中断がある場合〕
図18は印刷設定画面SP2の例を示す図である。
【0165】
第一の実施形態の場合と同様に、ユーザは、作業を一旦中断し、その後に途中から再開することができる。また、他の画像形成装置1を使用して作業を途中から再開することもできる。
【0166】
以下、あるユーザUxが画像形成装置1Aで作業を開始したが、途中で作業を中断し、画像形成装置1Bで作業を再開する場合を例に、図14に示す画像形成装置1および図15に示すアプリケーションサーバ2の各部の処理を説明する。中断がない場合の処理および操作と同様の処理および操作については、説明を省略する。
【0167】
中断がない場合と同様に、ユーザUxは、印刷設定画面SP2(図16参照)に印刷および必要な仕上げの条件を入力する。さらに、必要に応じてプレビュー画面SP3(図17参照)に画像処理の条件を入力する。
【0168】
しかし、入力の途中で作業を中断しなければならなくなったら、印刷設定画面SP2またはプレビュー画面SP3の「中断」ボタンを押す。
【0169】
画像形成装置1Aにおいて、設定途中データ送信部141は、ユーザUxが画像形成装置1Aにログインしてから「中断」ボタンを押すまでの間に入力した各種の条件、ユーザUxのユーザID、および今回実行しようとしているジョブのジョブIDを示す設定途中データTE1を生成する。ただし、条件を示す部分は、暗号化しておく。そして、設定途中データTE1をアプリケーションサーバ2へ送信する。
【0170】
アプリケーションサーバ2において、設定途中データ受信部235は、画像形成装置1Aから設定途中データTE1を受信する。設定途中データ保存部236は、受信された設定途中データTE1を保存する。
【0171】
また、画像形成装置1Aにおいて、「中断」ボタンが押されると、ログアウト処理部142は、ユーザUxを画像形成装置1Aからログアウトさせるとともに、設定の途中であった、このジョブのジョブIDを操作パネル10eに表示させる。
【0172】
ユーザUxは、表示されたジョブIDを覚え、画像形成装置1Bへ移動する。そして、自分のユーザIDおよびパスワードを入力し、画像形成装置1Bにログインする。
【0173】
画像形成装置1Bにおいて、ユーザ認証部131は、入力されたユーザIDおよびパスワードおよびデータベースに基づいてユーザUxの認証を行い、ユーザUxをログインさせる。印刷設定画面データ取得部132および印刷設定画面表示処理部133は、印刷設定画面データDU2をアプリケーションサーバ2から受信し印刷設定画面SP2を表示させる。
【0174】
ここで、ユーザUxは、画像形成装置1Aの操作パネル10eに表示されたジョブIDを「ジョブID」テキストボックスに入力し、「呼出」ボタンを押す。
【0175】
すると、設定途中データ取得部143は、設定途中データTE1をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0176】
設定途中データ取得部143は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、設定途中データTE1をアプリケーションサーバ2に対して要求する。この際に、ユーザUxのユーザIDおよび入力されたジョブIDをアプリケーションサーバ2に通知する。
【0177】
すると、アプリケーションサーバ2において、設定途中データ送信部237は、設定途中データ保存部236の中から、通知されたユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTE1を検索し、見つかった設定途中データTE1を画像形成装置1Bへ送信する。
【0178】
そして、設定途中データ取得部143は、アプリケーションサーバ2から送信されてきた設定途中データTE1を取得し、設定途中データTE1の中の暗号化されている部分を復号する。
【0179】
印刷設定画面表示処理部133は、図18のように、取得された設定途中データTE1に示される設定の内容を反映させた状態で、つまり、その内容の通りにオプションボタンが選択された状態で、印刷設定画面SP2を表示し直す。
【0180】
また、プレビュー画面表示処理部136は、設定途中データTE1が取得された後は、プレビュー画面SP3を、設定途中データTE1に示される設定の内容を反映させた状態で表示させる。
【0181】
その後、画像形成装置1およびアプリケーションサーバ2の各部は、適宜変更された条件(つまり、ユーザUxが指定した最新の条件)に応じてドキュメントに対して必要に応じて画像処理を施しドキュメントを印刷する。
【0182】
図19〜図21は第二の実施形態における画像形成装置1A、1Bおよびアプリケーションサーバ2の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0183】
次に、ユーザUxが、アプリケーションサーバ2で管理されているドキュメントのプルプリントを、画像形成装置1Aおよび画像形成装置1Bを使用して行う場合を例に、画像形成装置1A、画像形成装置1B、およびアプリケーションサーバ2それぞれの全体的な処理の流れを、図19〜図21のフローチャートを参照しながら説明する。
【0184】
ユーザUxが画像形成装置1Aにログインする際の処理(図19の#701〜#703)は、前に図12のステップ#501〜#503で説明した通りなので、説明を省略する。
【0185】
ユーザUxは、ジョブ選択画面SC1の「プルプリント」ボタンを押すことによってプルプリント機能の起動を指令すると(#704)、画像形成装置1Aは、印刷設定画面データDU2をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#705)。
【0186】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#801)、印刷設定画面データDU2を画像形成装置1Aへ送信する(#802)。
【0187】
画像形成装置1Aは、印刷設定画面データDU2を受信すると(#706)、印刷設定画面SP2(図16参照)を表示する(#707)。
【0188】
ここで、ユーザUxは、プルプリントなどの条件を入力し(#708)、「OK」ボタンを押してプレビューの表示を指令する(#709)。
【0189】
すると、画像形成装置1Aは、入力された条件に基づいて印刷されるドキュメントのプレビューの画像をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#710)。この際に、入力された条件をアプリケーションサーバ2へ通知する。
【0190】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#803)、通知された条件に示されるドキュメントのドキュメントファイルを用いて、通知された条件に応じて印刷したそのドキュメントのプレビューの画像を示すプレビュー画面データDU3を生成し、画像形成装置1Aへ送信する(#804)。
【0191】
画像形成装置1Aは、プレビュー画面データDU3を受信すると(#711)、プレビュー画面SP3(図17参照)を表示する(#712)。
【0192】
ここで、ユーザUxは、所望の通りにドキュメントが印刷されるか否かを確認する。そして、必要に応じて、アプリケーションサーバ2に実行させる画像処理の条件を入力し、「画像処理開始」ボタンを押す(#713)。
【0193】
画像形成装置1Aは、条件が入力されると、画像処理を実行するようにアプリケーションサーバ2に対して要求する(#714)。この際に、入力された条件をアプリケーションサーバ2に対して通知する。
【0194】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#805)、通知された条件に示されるドキュメントのドキュメントファイルを呼び出し、通知された条件に従ってそのドキュメントに対して画像処理を施す(#806)。これにより、呼び出したドキュメントファイルが更新される。そして、画像処理を施したドキュメントを示すプレビュー画面データDU3を新たに生成し、画像形成装置1Aへ送信する(#807)。
【0195】
なお、画像形成装置1A自身がその条件に基づいて画像処理を実行することができるのであれば、アプリケーションサーバ2の代わりに画像形成装置1A自身が実行してもよい(#715)。
【0196】
画像形成装置1Aは、新たなプレビュー画面データDU3を受信すると(#716)、それに基づいて、画像処理後のドキュメントを反映させた状態でプレビュー画面SP3を表示し直す(図20の#717)。
【0197】
ユーザUxは、さらにドキュメントに画像処理を施したい場合はもう一度、プレビュー画面SP3に条件を指定すればよい。または、印刷または仕上げの条件を変更したい場合は「戻る」ボタンを押して印刷設定画面SP2を呼び出せばよい。「戻る」ボタンが押されると、画像形成装置1Aは、直前に指定された条件を反映させて印刷設定画面SP2を表示し直す。
【0198】
ユーザUxが条件を変更したいにも関わらず、他のユーザが画像形成装置1Aのところへ訪れ、画像形成装置1Aを譲るようにユーザUxに頼んだ。そこで、ユーザUxは、画像形成装置1Bを使用して作業の続きを行うことにした。
【0199】
画像形成装置1Aは、ユーザUxが「中断」ボタンを押すと(#718)、ユーザUxが画像形成装置1Aにログインしてから「中断」ボタンを押すまでの間に入力した各種の条件、ユーザUxのユーザID、および今回実行しようとしているジョブのジョブIDを示す設定途中データTE1を生成する(#719)。さらに設定途中データTE1の中の条件を示す部分を、暗号化する(#720)。そして、一部分が暗号化された設定途中データTE1をアプリケーションサーバ2へ送信する(#721)。
【0200】
また、設定途中データTE1の生成および送信の処理と前後してまたは並行して、画像形成装置1Aは、今回実行しようとしているジョブのジョブIDを表示する(#722)。そしてユーザUxをログアウトさせる(#723)。
【0201】
アプリケーションサーバ2は、設定途中データTE1を受信すると(#808)、設定途中データTE1をそのまま(つまり、条件とユーザIDおよびジョブIDとを紐付けたまま)保存する(#809)。
【0202】
ユーザUxは、表示されたジョブIDを覚え、画像形成装置1Bへ移動する。そして、画像形成装置1Bに自分のユーザIDおよびパスワードを入力する(#731)。
【0203】
すると、画像形成装置1Bは、ユーザUxの認証の処理を行い(#732)、ユーザUxが正当なユーザであることを確認できたら、ユーザUxをログインさせ、ジョブ選択画面SC1(図7参照)を表示する(#733)。
【0204】
ユーザUxが「プルプリント」ボタンを押すことによってプルプリント機能の起動を指令すると(#734)、画像形成装置1Bは、印刷設定画面データDU2をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#735)。
【0205】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#811)、印刷設定画面データDU2を画像形成装置1Bへ送信する(#812)。
【0206】
画像形成装置1Bは、印刷設定画面データDU2を受信すると(#736)、印刷設定画面SP2を表示する(#737)。
【0207】
ここで、ユーザUxは、画像形成装置1Aが表示したジョブIDを画像形成装置1Bに入力する(#738)。
【0208】
すると、画像形成装置1Bは、設定途中データTE1をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#739)。この際に、ユーザUxのユーザIDおよび入力されたジョブIDをアプリケーションサーバ2に通知する。
【0209】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#813)、通知されたユーザIDおよびジョブIDを用いて認証を行う(#814)。そして、そのユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTE1が保存されていれば、要求が正当であると判断し、その設定途中データTE1を画像形成装置1Bへ送信する(#815)。
【0210】
画像形成装置1Bは、設定途中データTE1を受信すると(#740)、暗号化されている部分を復号する(#741)。そして、図18のように、その設定途中データTE1に示される設定の内容を反映させた状態で、印刷設定画面SP2を表示し直す(#742)。なお、その後、プレビュー画面SP3を表示する際も同様に、その設定途中データTE1に示される設定の内容を反映させる。
【0211】
これにより、ユーザUxは、画像形成装置1Aで行っていた作業の続きを、画像形成装置1Bにおいて再開することができる。
【0212】
ここで、ユーザUxが作業を再開し印刷などの条件を決め直してそれを入力し「OK」を押すと(図21の#743、#744)、画像形成装置1Bは、画像形成装置1Aのステップ#710〜#712と同様の処理を行うことによって、プレビュー画面SP3を表示する(#745〜#747)。このとき、アプリケーションサーバ2は、ステップ#803、#804と同様の処理を行うことによって、プレビュー画面データDU3を生成し画像形成装置1Bへ提供する(#816、#817)。
【0213】
ユーザUxは、所望の通りにドキュメントが印刷されるだろうと判断すると、「OK」ボタンを押して印刷の実行を指令する(#748)。
【0214】
すると、画像形成装置1Bは、印刷対象のドキュメントのドキュメントファイルをアプリケーションサーバ2に対して要求し取得する(#749、#750)。このとき、アプリケーションサーバ2は、要求されたドキュメントファイルを画像形成装置1Bへ送信する(#818、#819)。
【0215】
そして、画像形成装置1Bは、受信したドキュメントファイルを用いて、入力された条件に従ってドキュメントを用紙に印刷し必要な仕上げを行う(#752)。
【0216】
なお、画像形成装置1Aでは適用が可能であったが画像形成装置1Bでは適用ができない条件が残っている場合がある。例えば、ステープル綴じを行うことが画像形成装置1Aにおいて条件の1つとして指定されたが、画像形成装置1Bにはステープル綴じの機能が備わっていないような場合である。そこで、ステップ#752の印刷を開始する前に、そのような条件の有無をチェックし、見つかった場合は、それを表示するなどしてユーザUxに知らせてもよい(#751)。そして、ユーザUxが印刷の指令を再度行った場合に、その条件を外して印刷を行ってもよい。
【0217】
第一および第二の実施形態によると、ユーザは、ある画像形成装置1において途中まで設定した条件を示す設定途中データTD1、TE1を別の画像形成装置1において呼び出し、途中から条件の設定を再開することができる。よって、ユーザによる処理の条件の設定の利便性を従来よりも向上させることができる。
【0218】
第二の実施形態では、使用するドキュメントファイルのファイル名だけをユーザに指定させたが、その保存場所も指定させてもよい。そうすれば、さまざまな保存場所に保存されているドキュメントファイルをユーザが指定することができる。または、実行する画像処理の種類も指定させてもよい。ファイル名とともに保存場所などの事項も指定させる場合は、URL(Uniform Resource Locator)を用いればよい。
【0219】
ある画像形成装置1で行っていた作業を中断した後、再度、同一の画像形成装置1で作業を再開する場合にも、第一および第二の実施形態を用いることができる。
【0220】
〔変形例〕
図22〜図24は画像形成装置1A、1Bおよびアプリケーションサーバ2の全体的な処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【0221】
第一および第二の実施形態では、ユーザが一方の画像形成装置1で行っていた作業を中断し他方の画像形成装置1で作業を途中から再開できるようにするために、アプリケーションサーバ2を介して設定途中データTD1、TE1を一方の画像形成装置1から他方の画像形成装置1へ提供した。しかし、アプリケーションサーバ2を介さずに設定途中データTD1、TE1のやり取りを行うように構成してもよい。
【0222】
また、第一および第二の実施形態では、画像形成装置1は、プレビューのデータをアプリケーションサーバ2から提供してもらったが、プレビューの画像のデータを自ら生成してもよい。
【0223】
また、第二の実施形態では、画像形成装置1は、アプリケーションサーバ2で管理されているドキュメントファイルを使用して印刷を実行したが、画像形成装置1自身のボックスに記憶されているドキュメントファイルを使用して印刷を実行してもよい。
【0224】
以下、第二の実施形態における設定途中データTE1および画像データの取扱いの変形例を、ボックスに保存されているドキュメントファイルを使用して印刷する場合を例に、図22〜図24のフローチャートを参照しながら説明する。
【0225】
画像形成装置1AへのユーザUxのログインの処理(図22の#761〜#763)および印刷設定画面SP2(図16参照)の表示の処理(#764〜#767、#861〜#862)は、図19に示した第二の実施形態のステップ#701〜#703、#704〜#707、および#801〜#802と基本的に同様である。ただし、印刷設定画面SP2の「ファイル名」のプルダウンメニューが押されると、画像形成装置1Aに設けられている、ユーザUxのボックスに保存されているドキュメントファイルのファイル名の一覧が表示される。
【0226】
ここで、ユーザUxは、印刷などの条件を入力し(#768)、「OK」ボタンを押してプレビューの表示を指令する(#769)。
【0227】
すると、画像形成装置1Aは、入力された条件に基づいてボックスからドキュメントファイルを呼び出し、プレビュー画面データDU3を生成し(#770)、図17のようなプレビュー画面SP3を表示する(#771)。
【0228】
ここで、ユーザUxは、アプリケーションサーバ2に実行してもらいたい画像処理の条件を入力する。しかし、作業の途中で中断を要することになったので「中断」ボタンを押す。この際に、ユーザUxは、どの画像形成装置1で作業を再開するのかを指定する。
【0229】
画像形成装置1Aは、「中断」ボタンが押されると(#772)、ユーザUxが画像形成装置1Aにログインしてから「中断」ボタンを押すまでの間に入力した各種の条件、ユーザUxのユーザID、および今回実行しようとしているジョブのジョブIDを示す設定途中データTF1を生成する(#773)。さらに設定途中データTF1の中の条件を示す部分を、暗号化する(#774)。そして、一部分が暗号化された設定途中データTF1を、指定された画像形成装置1(本例では、画像形成装置1B)へ送信する(#775)。
【0230】
また、設定途中データTF1の生成および送信の処理と前後してまたは並行して、画像形成装置1Aは、今回実行しようとしているジョブのジョブIDを表示する(#776)。そしてユーザUxをログアウトさせる(#777)。
【0231】
画像形成装置1Bは、設定途中データTF1を受信すると(#781)、設定途中データTF1をそのまま(つまり、条件とユーザIDおよびジョブIDとを紐付けたまま)保存する(#782)。
【0232】
ユーザUxは、表示されたジョブIDを覚え、画像形成装置1Bへ移動する。そして、画像形成装置1Bに自分のユーザIDおよびパスワードとジョブIDとを入力する(#783)。
【0233】
すると、画像形成装置1Bは、ユーザUxの認証の処理を行い(#784)、ユーザUxが正当なユーザであることを確認できたら、ユーザUxをログインさせる。さらに、入力されたユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTF1を検索し(#785)、その設定途中データTF1が見つかったら、その設定途中データTF1に示される条件の通りに印刷を行うことができるか否かをチェックする(#786)。条件の通りに印刷できない場合は、その旨の警告を表示する(#787)。
【0234】
ここで、ユーザUxは、再設定のコマンドを入力することによって(#788)、印刷設定画面SP2を表示させ印刷などの設定をやり直すことができる。印刷設定画面SP2は、設定途中データTF1に示される条件が反映されて表示される。なお、印刷設定画面SP2を表示するための処理(#789〜図24の#791、#863〜#864)は、前述の通りである。
【0235】
さらに、ユーザUxは、前に画像形成装置1Aに実行させたのと同様に、プレビュー画面SP3を画像形成装置1Bに表示させることができる。この処理(#792〜#795)の手順は、前述の通りである。
【0236】
そして、画像形成装置1Bは、印刷のコマンドが入力されると(#796)、最新の条件に基づいてドキュメントを用紙に印刷する(#797)。
【0237】
なお、画像形成装置1Aは、設定途中データTF1に示される条件に基づいて印刷および仕上げの実行が可能な画像形成装置1をユーザUxに提示してもよい。そして、その中からユーザUxが選択した画像形成装置1へ設定途中データTF1を送信してもよい。条件に基づいて印刷および仕上げの実行が可能であるか否かは、画像形成装置1Aが各画像形成装置1へ問い合わせて確認すればよい。または、予め各画像形成装置1のスペックを示す情報をアプリケーションサーバ2に記憶させておき、それをダウンロードしそれに基づいて判断してもよい。
【0238】
上述の第一および第二の実施形態および変形例では、スキャンジョブおよびプルプリントジョブを取り扱う場合について説明したが、ファックス送信ジョブなど他の種類のジョブを取り扱う場合にも、本発明を適用することができる。
【0239】
その他、ネットワークシステムNS、画像形成装置1、アプリケーションサーバ2の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0240】
1 画像形成装置(画像処理装置)
2 アプリケーションサーバ(サーバ)
10e 操作パネル(条件入力画面表示手段、条件入力画面再表示手段)
103 スキャン設定画面表示処理部(条件入力画面表示手段、条件入力画面再表示手段)
104 スキャン制御部(処理実行手段)
121、141 設定途中データ送信部(条件記憶制御手段)
123 設定途中データ取得部(条件読出手段)
133 印刷設定画面表示処理部(条件入力画面表示手段、条件入力画面再表示手段)
134 印刷制御部(処理実行手段)
206 設定途中データ保存部(条件記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP(Multi Function Peripherals)などの画像処理装置およびそれにおける画像の印刷またはスキャンなどの画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー、PCプリント、スキャン、ファックス、およびファイルサーバなどの様々な機能を備えた画像処理装置が普及している。このような画像処理装置は、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれることもある。
【0003】
さらに、画像処理装置には、解像度の高いディスプレイが備えられるようになった。Webブラウザなどのアプリケーションを使用することもできるようになった。これにより、画像処理装置のUI(User Interface)がますます充実し操作性が向上している。よって、今後、ユーザが画像処理装置を使用する時間がますます長くなることが考えられる。
【0004】
ところで、画像処理装置は、オフィスや学校などの組織に設置されている場合は、複数のユーザによって使用されることがほとんどである。このような場合は、ユーザ1人当たりの使用時間が長くなると、あるユーザが画像処理装置を使用しようとしても他のユーザによって使用されていて使用できない可能性が高くなってしまう。
【0005】
そこで、複数のユーザによる装置の共用の方法として、次のような方法が提案されている。
【0006】
特許文献1に記載される方法によると、複数の画像形成装置を相互に接続しておく。マスタ機となっている画像形成装置に割込みがかけられたとき、部単位のプリント処理が終了するまで、現在のプリント処理を継続し、部単位のプリント処理が終了した時点で、スレーブ機となっている各画像形成装置に、残っている部の肩代りを依頼して、プリント処理を継続させる。
【0007】
特許文献2に記載される方法によると、プリンタの操作パネルに配置される保存ボタンの指示毎に、プリンタからPCに転送される割り込みイベントをPC側で検知する。該検知される割り込みイベントに応じて、プリンタのカードスロットに装着されたメモリカード内の画像データをPCのハードディスク内に保存制御する。プリンタの操作パネルに配置される印刷開始ボタンの指示毎に、プリンタからPCに転送される割り込みイベントを検知する。そして、該検知される割り込みイベントに応じて、前記メモリカードから読み出される画像データ、前記PCのハードディスク内に保存した画像データを印刷制御する。
【0008】
特許文献3に記載される方法によると、外部操作装置に備える操作パネルにの指示毎に、外部操作装置からホストコンピュータに転送される割り込みイベントを検知する。該検知される割り込みイベントに応じて、外部操作装置に装着可能なメモリカードから読み出される画像データと設定される印刷設定とを取得してホストコンピュータの表示装置に印刷設定がリアルタイムで反映される印刷プレビュー表示および該印刷プレビュー表示の更新表示をプレビュー表示部が制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−124266号公報
【特許文献2】特開2004−139385号公報
【特許文献3】特開2004−151769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1〜3に記載されるように、処理を実行している最中に割込みがあった場合の制御の方法が提案されている。
【0011】
しかし、画像処理装置の機能が上述のように向上するのに伴って、ユーザが処理の前に予め設定しなければならない条件も増えることがある。よって、処理を開始させる前につまり条件を設定している途中で緊急を要する他のユーザのために画像処理装置を譲らなければならないことが、あり得る。
【0012】
ユーザは、他のユーザのために画像処理装置を譲った後、その画像処理装置が空いたら条件の設定などの作業を再び行う。または、他の画像処理装置を使用して条件の設定などの作業を再び行う。しかし、特許文献1〜3に記載されるような従来の方法では、作業を一からやり直さなければならない。
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑み、複数のユーザによって共用される画像処理装置における処理の条件の設定などを作業の利便性を従来よりも向上させることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一形態に係る画像処理装置は、画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示する条件入力画面表示手段と、第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件を条件記憶手段に記憶させる条件記憶制御手段と、第二の操作がなされた場合に、前記条件を前記条件記憶制御手段から読み出す条件読出手段と、読み出された前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し直す条件入力画面再表示手段と、第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する処理実行手段と、を有する。
【0015】
好ましくは、前記条件記憶手段は、サーバに設けられており、前記条件記憶制御手段は、前記条件を、前記サーバへ送信することによって前記条件記憶手段に記憶させる。
【0016】
または、前記条件記憶手段は、他の画像処理装置に設けられている記録媒体であって、前記条件記憶制御手段は、前記条件を、当該条件に基づいて前記処理を実行する機能を有する他の画像処理装置へ送信することによって前記条件記憶手段に記憶させる。
【0017】
または、前記条件読出手段によって読み出された前記条件が他の画像処理装置によって前記条件記憶手段に記憶されたものである場合に、当該条件に基づいて前記処理を実行することができなければその旨をユーザに通知する、実行不能通知手段、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、複数のユーザによって共用される画像処理装置における処理の条件の設定などを作業の利便性を従来よりも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ネットワークシステムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】第一の実施形態における画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【図4】アプリケーションサーバ2のハードウェア構成の例を示す図である。
【図5】第一の実施形態におけるアプリケーションサーバの機能的構成の例を示す図である。
【図6】ログイン画面の例を示す図である。
【図7】ジョブ選択画面の例を示す図である。
【図8】スキャン設定画面の例を示す図である。
【図9】プレビュー画面の例を示す図である。
【図10】プレビュー画面の例を示す図である。
【図11】スキャン設定画面の例を示す図である。
【図12】第一の実施形態における画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図13】第一の実施形態における画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図14】第二の実施形態における画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【図15】第二の実施形態におけるアプリケーションサーバの機能的構成の例を示す図である。
【図16】印刷設定画面の例を示す図である。
【図17】プレビュー画面の例を示す図である。
【図18】印刷設定画面の例を示す図である。
【図19】第二の実施形態における画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図20】第二の実施形態における画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図21】第二の実施形態における画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図22】画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【図23】画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【図24】画像形成装置およびアプリケーションサーバの全体的な処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第一の実施形態〕
図1はネットワークシステムNSの全体的な構成の例を示す図、図2は画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図、図3は第一の実施形態における画像形成装置1の機能的構成の例を示す図、図4はアプリケーションサーバ2のハードウェア構成の例を示す図、図5は第一の実施形態におけるアプリケーションサーバ2の機能的構成の例を示す図である。
【0021】
図1に示すように、ネットワークシステムNSは、複数台の画像形成装置1、アプリケーションサーバ2、および通信回線3などによって構成される。各画像形成装置1およびアプリケーションサーバ2は、通信回線3を介してデータのやり取りを行うことができる。
【0022】
ネットワークシステムNSは、役所または企業などの組織に設けられ、その組織のメンバによって使用される。以下、ある企業Xにおいて使用されるネットワークシステムNSを例に説明する。企業Xの社員を「ユーザ」と記載する。ユーザには、ユニークなユーザID(identification)が与えられている。
【0023】
画像形成装置1は、一般に複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれる画像処理装置であって、コピー、PCプリント、ファックス、スキャナ、ボックス、プルプリント、およびWebブラウザなどの機能を集約した装置である。
【0024】
「ボックス機能」とは、画像形成装置1を使用するユーザごとに、「ボックス」などと呼ばれる、パーソナルコンピュータにおけるフォルダまたはディレクトリなどに相当する記憶領域を与えておき、ユーザが自分のボックスに、文書、写真、イラスト、または図表などの画像からなるドキュメントのデータなどをファイル単位で保存しておくことができるようにする機能である。
【0025】
「ネットワークプリンティング機能」は、画像データをパーソナルコンピュータから受信して画像を用紙に印刷する機能である。「ネットワークプリンタ機能」または「PCプリント機能」などと呼ばれることもある。
【0026】
「プルプリント機能」は、ユーザに指定されたドキュメントのデータを他の装置などから取得してドキュメントを用紙に印刷する機能である。
【0027】
画像形成装置1は、これらの機能を適宜組み合わせて、様々な種類のジョブを実行する。また、各ジョブを区別するために、ジョブごとにユニークなジョブIDを発行する。
【0028】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、ハードディスク10d、操作パネル10e、印刷ユニット10f、スキャナユニット10g、ネットワークインタフェース10h、ファックスモデム10i、USB(Universal Serial Bus)インタフェース10j、および電源管理部10kのほか種々の制御用回路などによって構成される。
【0029】
操作パネル10eは、ディスプレイおよび複数の操作ボタンなどによって構成される。操作ボタンが押下されると、その操作ボタンを示す信号がCPU10aに送信される。ディスプレイは、画像形成装置1を直接操作するユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが設定内容および処理内容を入力するための画面、および画像形成装置1で形成された画像および処理の結果を示す画面などを表示する。本実施形態では、ディスプレイとして、タッチパネルが用いられる。したがって、ディスプレイは、ユーザが指で触れた位置を検知し、検知結果を示す信号をCPU10aに送信する機能を備えている。
【0030】
スキャナユニット10gは、原稿の用紙に記されているドキュメントを読み取って画像データを生成する装置である。また、スキャナユニット10gには、ADF(Auto Document Feeder)および原稿トレイが備わっている。ADFは、原稿トレイにセットされた原稿の用紙を1枚ずつスキャナユニット10gの読取部のガラス板に配置する。
【0031】
USBインタフェース10jは、いわゆるUSB機器と通信を行うための、USBインタフェースボードである。
【0032】
印刷ユニット10fは、スキャナユニット10gによって読み取られたドキュメントまたは他の装置から受信した画像データに示されるドキュメントを印刷する。また、印刷ユニット10fには、排紙トレイが備わっている。ドキュメントが印刷された用紙つまり印刷物は、排紙トレイに排出される。
【0033】
ネットワークインタフェース10hは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)によってアプリケーションサーバ2と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)である。
【0034】
ファックスモデム10iは、固定電話網を介してG3のプロトコルによって他のファックス端末と通信を行う装置である。
【0035】
電源管理部10kは、画像形成装置1を構成する各ハードウェアへの電源の供給を管理する。
【0036】
ROM10cまたはハードディスク10dには、図3に示すユーザ認証部101、スキャン設定画面データ取得部102、スキャン設定画面表示処理部103、スキャン制御部104、プレビュー画面データ取得部105、プレビュー画面表示処理部106、画像処理要求部107、設定途中データ送信部121、ログアウト処理部122、および設定途中データ取得部123などを実現するためのプログラムおよびデータが記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。
【0037】
以下、各画像形成装置1を「画像形成装置1A」、「画像形成装置1B」、…と区別して記載することがある。
【0038】
図3に示す各部の機能の全部または一部を回路などのハードウェアのみによって実現してもよい。
【0039】
図1に戻って、アプリケーションサーバ2は、画像形成装置1のディスプレイに表示させるための画面のデータを画像形成装置1へ提供したり、後述する傾き補正および下地補正などの画像処理を行ったりする。
【0040】
アプリケーションサーバ2は、図4に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、ハードディスク20d、およびネットワークインタフェース20eなどによって構成される。
【0041】
ROM20cまたはハードディスク20dには、図5に示すスキャン設定画面データ送信部201、プレビュー画面データ送信部202、画像処理部203、処理済画像データ送信部204、設定途中データ受信部205、設定途中データ保存部206、設定途中データ送信部207、および画面データ記憶部208などを実現するためのプログラムおよびデータが記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてRAM20bにロードされ、CPU20aによって実行される。
【0042】
ユーザは、画像形成装置1を操作して画像形成装置1にスキャンジョブを実行させることによって、用紙に記されているドキュメントを電子データ化することができる。また、途中で操作を中断しても、一から操作をやり直すことなく途中から操作を再開することができる。
【0043】
以下、図3に示す画像形成装置1の各部および図5に示すアプリケーションサーバ2の各部の処理内容などについて、説明する。
【0044】
〔設定の作業の中断がない場合〕
図6はログイン画面SC0の例を示す図、図7はジョブ選択画面SC1の例を示す図、図8はスキャン設定画面SC2の例を示す図、図9はプレビュー画面SC3の例を示す図、図10はプレビュー画面SC3の例を示す図である。
【0045】
図5において、アプリケーションサーバ2の画面データ記憶部208には、スキャン設定画面データDT2など、後述する各画面を表示するためのデータが予め記憶されている。各データは、例えばHTML(Hypertext Markup Language)などのWebブラウザに対応したフォーマットで記述されている。また、GIF(Graphics Interchange Format)またはJPEG(Joint Photographic Experts Group)などの画像データが含まれることもある。
【0046】
図3において、画像形成装置1のユーザ認証部101は、これから画像形成装置1を使用しようとするユーザが正当なユーザであるか否かを認証する処理を、次のように行う。
【0047】
ユーザ認証部101は、ユーザごとのユーザIDおよびパスワードを予め記憶したデータベースを有している。
【0048】
画像形成装置1が使用されていない間、操作パネル10eには、いわゆる待ち受け画面として図6のようなログイン画面SC0が表示されている。画像形成装置1を使用したいユーザは、ログイン画面SC0に自分のユーザIDおよびパスワードを入力する。
【0049】
すると、ユーザ認証部101は、入力されたユーザIDおよびパスワードと一致するユーザIDおよびパスワードがデータベースに記憶されているか否かをチェックする。そして、一致するものがあれば、正当なユーザであると認証する。
【0050】
ユーザは、正当なユーザであると認証されると、画像形成装置1にログオンし、画像形成装置1を使用することができる。ログオン後、操作パネル10eには、図7のようなジョブ選択画面SC1が表示される。ここで、ユーザは、「スキャン」ボタンを押す。
【0051】
スキャン設定画面データ取得部102は、「スキャン」ボタンが押されると、図8のようなスキャン設定画面SC2を表示するためのスキャン設定画面データDT2をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0052】
スキャン設定画面データ取得部102は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、スキャン設定画面データDT2をアプリケーションサーバ2に対して要求する。
【0053】
すると、アプリケーションサーバ2のスキャン設定画面データ送信部201は、スキャン設定画面データDT2を画像形成装置1へ送信する。
【0054】
そして、スキャン設定画面データ取得部102は、アプリケーションサーバ2から送信されてきたスキャン設定画面データDT2を取得する。
【0055】
スキャン設定画面表示処理部103は、取得されたスキャン設定画面データDT2に基づいて、スキャン設定画面SC2を操作パネル10eに表示させる。図8に示すように、スキャン設定画面SC2には、スキャンに関する種々の事項の条件を設定するためのオプションボタンが配置されている。
【0056】
「読取解像度」は、用紙に記されている画像(ドキュメント)をスキャンする際の解像度である。「読取面」は、用紙の片面のみをスキャンするのか両面をスキャンするのかの条件である。「読取サイズ」は、用紙のサイズである。「フォーマット」は、スキャンした画像(ドキュメント)のロー(Raw)データをファイル化する際に用いるフォーマットである。
【0057】
ユーザは、スキャン対象のドキュメントが記された用紙をスキャナユニット10gのADFにセットし、スキャン設定画面SC2にスキャンの条件を入力して「OK」ボタンを押す。これにより、スキャンの条件の設定がなされる。
【0058】
なお、スキャン設定画面表示処理部103は、画像形成装置1に備わっているWebブラウザによって実現される。後述するプレビュー画面表示処理部106、印刷設定画面表示処理部133、およびプレビュー画面表示処理部136も、同様である。
【0059】
スキャン制御部104は、設定された条件に基づいて、用紙からドキュメントをスキャンする処理をスキャナユニット10gに実行させ、画像データGD1を生成する。
【0060】
プレビュー画面データ取得部105は、図9のようなプレビュー画面SC3を表示するためのプレビュー画面データDT3をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0061】
プレビュー画面データ取得部105は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、プレビュー画面データDT3をアプリケーションサーバ2に対して要求する。この際に、スキャン制御部104によって生成された画像データGD1をアプリケーションサーバ2へ送信する。
【0062】
すると、アプリケーションサーバ2のプレビュー画面データ送信部202は、プレビュー画面データDT3を生成し画像形成装置1へ送信する。図9に示すように、プレビュー画面SC3には、画像形成装置1によって読み取られたドキュメントの部分と、後述する画像処理の設定を行うためのテキストボックスおよび各種のボタンなどからなる部分とが、含まれている。前者を表示するためのデータは、画像形成装置1から送信されてきた画像データGD1が用いられる。後者を表示するためのデータは、画面データ記憶部208に予め用意されている、プレビュー画面用のデータが用いられる。
【0063】
そして、プレビュー画面データ取得部105は、アプリケーションサーバ2から送信されてきたプレビュー画面データDT3を取得する。
【0064】
プレビュー画面表示処理部106は、取得されたプレビュー画面データDT3に基づいて、プレビュー画面SC3を操作パネル10eに表示させる。図9に示すように、プレビュー画面SC3には、スキャンされた画像(ドキュメント)のほか、アプリケーションサーバ2に実行させる画像処理を設定するためのオプションボタンなどが配置されている。
【0065】
ユーザは、表示されたプレビュー画面SC3を見て、ドキュメントがきちんと読み取られているか否かを確認する。そして、不備がない場合は「OK」ボタンを押す。すると、画像データGD1がスキャンデータSD1として所定の記憶場所(例えば、所定のボックスまたはUSBインタフェース10jに差し込まれているUSBメモリなど)に保存される。
【0066】
一方、不備がある場合は、アプリケーションサーバ2に画像処理を行わせることによって、読み取られたドキュメントを補正することができる。
【0067】
例えば、ドキュメントが傾いて読み取られている場合は、傾きを「傾き補正」テキストボックスにその傾きの角度を入力する。または、読み取られたドキュメントの明度が、ユーザが想定していた明度よりも高い場合は、明度を何度下げるのかをマイナスの値で「明暗」テキストボックスに入力する。または、読み取られたドキュメントの明度が、ユーザが想定していた明度よりも低い場合は、明度を何度上げるのかをプラスの値で「明暗」テキストボックスに入力する。そして、「画像処理開始」ボタンを押す。
【0068】
すると、画像処理要求部107は、ドキュメントに対して画像処理を施すようにアプリケーションサーバ2へ要求する。この際に、ユーザによって入力された条件をアプリケーションサーバ2へ通知する。
【0069】
アプリケーションサーバ2において、画像処理部203は、画像形成装置1からの要求を受け付けると、通知された条件に応じてドキュメントに対して画像処理を施す。具体的には、既に画像形成装置1から受信した、そのドキュメントの画像データGD1を、通知された条件に基づいて更新する。以下、更新された画像データGD1を「画像データGD2」と記載する。
【0070】
処理済画像データ送信部204は、画像処理部203によって得られた画像データGD2を画像形成装置1へ送信する。
【0071】
画像形成装置1において、プレビュー画面表示処理部106は、アプリケーションサーバ2から送信されてきた画像データGD2を用いて、ドキュメントの部分つまりプレビューの画像を、画像処理が施されたドキュメントに置き換えて図10のようにプレビュー画面SC3を表示し直す。
【0072】
このようにして、ユーザは、読み取られたドキュメントの不備を補正することができる。そして、上手く補正できたら「OK」ボタンを押す。すると、画像データGD2がスキャンデータSD1として所定の記憶場所に保存される。
【0073】
以上のようにして、ユーザが設定した内容に基づいて用紙からドキュメントが読み取られ必要に応じて画像処理装置が施され、スキャンデータSD1が得られる。
【0074】
〔設定の作業の中断がある場合〕
図11はスキャン設定画面SC2の例を示す図である。
【0075】
上述の通り、ユーザは、ある画像形成装置1を使用してドキュメントを電子データ化する際に、スキャンの条件を設定し、さらに必要に応じて画像処理の条件を設定した。
【0076】
ところで、これらの設定の作業の途中で他のユーザが同じ画像形成装置1を緊急に使用しなければならない場合が、ある。または、作業の途中で別の場所へ行かなければならない場合がある。これらの場合は、ユーザは、次のように作業を中断し再開することができる。また、他の画像形成装置1を使用して作業を再開することもできる。
【0077】
以下、あるユーザUxが画像形成装置1Aで作業を開始したが、途中で作業を中断し、画像形成装置1Bで作業を再開する場合を例に、図3に示す画像形成装置1および図5に示すアプリケーションサーバ2の各部の処理を説明する。中断がない場合の処理および操作と同様の処理および操作については、説明を省略する。
【0078】
中断がない場合と同様に、ユーザUxは、スキャン設定画面SC2にスキャンの条件を入力する。さらに、必要に応じてプレビュー画面SC3に画像処理の条件を入力する。
【0079】
しかし、入力の途中で作業を中断しなければならなくなったら、スキャン設定画面SC2またはプレビュー画面SC3の「中断」ボタンを押す。
【0080】
画像形成装置1Aにおいて、設定途中データ送信部121は、ユーザUxが画像形成装置1Aにログインしてから「中断」ボタンを押すまでの間に入力したスキャンおよび画像処理それぞれの条件、ユーザUxのユーザID、および今回実行しようとしているジョブのジョブIDを示す設定途中データTD1を生成する。ただし、条件を示す部分は、暗号化しておく。そして、設定途中データTD1をアプリケーションサーバ2へ送信する。
【0081】
アプリケーションサーバ2において、設定途中データ受信部205は、画像形成装置1Aから設定途中データTD1を受信する。設定途中データ保存部206は、受信された設定途中データTD1を保存する。
【0082】
また、画像形成装置1Aにおいて、「中断」ボタンが押されると、ログアウト処理部122は、ユーザUxを画像形成装置1Aからログアウトさせるとともに、このジョブのジョブIDを操作パネル10eに表示させる。ユーザUxのログアウト後、他のユーザは、自分のユーザIDおよびパスワードを画像形成装置1Aに入力し認証を受けることによって、画像形成装置1Aを使用することができる。ユーザUxも、再度、自分のユーザIDおよびパスワードを画像形成装置1Aに入力し認証を受けることによって、画像形成装置1Aを使用することができる。
【0083】
ユーザUxは、表示されたジョブIDを覚え、ドキュメントの用紙を持って画像形成装置1Bへ移動する。そして、自分のユーザIDおよびパスワードを入力し、画像形成装置1Bにログインする。
【0084】
画像形成装置1Bにおいて、ユーザ認証部101は、上述の通り、入力されたユーザIDおよびパスワードとデータベースとに基づいてユーザUxの認証を行い、ユーザUxをログインさせる。スキャン設定画面データ取得部102およびスキャン設定画面表示処理部103は、スキャン設定画面データDT2をアプリケーションサーバ2から受信しスキャン設定画面SC2(図8参照)を表示させる。
【0085】
ここで、ユーザUxは、画像形成装置1Aの操作パネル10eに表示されたジョブIDを「ジョブID」テキストボックスに入力し、「呼出」ボタンを押す。
【0086】
すると、設定途中データ取得部123は、設定途中データTD1をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0087】
設定途中データ取得部123は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、設定途中データTD1をアプリケーションサーバ2に対して要求する。この際に、ユーザUxのユーザIDおよび入力されたジョブIDをアプリケーションサーバ2に通知する。
【0088】
すると、アプリケーションサーバ2において、設定途中データ送信部207は、設定途中データ保存部206の中から、通知されたユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTD1を検索し、見つかった設定途中データTD1を画像形成装置1Bへ送信する。
【0089】
そして、設定途中データ取得部123は、アプリケーションサーバ2から送信されてきた設定途中データTD1を取得し、設定途中データTD1の中の暗号化されている部分を復号する。
【0090】
なお、暗号化および復号は、共通鍵暗号方式によって行えばよい。また、ネットワークシステムNSを構成するすべての画像形成装置1において、同一の秘密鍵を用いるのが望ましい。そうすれば、ネットワークシステムNSの中だけに設定途中データTD1の使用を制限することができる。
【0091】
スキャン設定画面表示処理部103は、図11のように、取得された設定途中データTD1に示される設定の内容を反映させた状態で、つまり、その内容の通りにオプションボタンが選択された状態で、スキャン設定画面SC2を表示し直す。
【0092】
また、プレビュー画面表示処理部106は、設定途中データTD1が取得された後は、プレビュー画面SC3を、設定途中データTD1に示される設定の内容を反映させた状態で表示させる。
【0093】
このように、ユーザUxは、画像形成装置1Aで行っていた作業の状態を、ジョブIDを入力することによって画像形成装置1Bで再現することができる。そして、一から作業をやり直すのではなく、画像形成装置1Aで行っていた作業を途中から再開することができる。
【0094】
その後、画像形成装置1およびアプリケーションサーバ2の各部は、適宜変更された条件(つまり、ユーザUxが指定した最新の条件)に応じてドキュメントを読み取ったり、ドキュメントに対して画像処理を施したりして、ユーザUxの所望するドキュメントの画像データを生成する。そして、USBメモリなどに出力する。
【0095】
図12および図13は第一の実施形態における画像形成装置1A、1Bおよびアプリケーションサーバ2の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0096】
次に、ユーザUxが、用紙に記されているドキュメントを、画像形成装置1Aおよび画像形成装置1Bを使用して電子データ化する場合を例に、画像形成装置1A、画像形成装置1B、およびアプリケーションサーバ2それぞれの全体的な処理の流れを、図12および図13のフローチャートを参照しながら説明する。
【0097】
ユーザUxは、ログイン画面SC0(図6参照)を表示させ、自分のユーザIDおよびパスワードを画像形成装置1Aに入力する。
【0098】
画像形成装置1Aは、ユーザIDおよびパスワードが入力されると(図12の#501)、ユーザUxの認証の処理を行い(#502)、ユーザUxが正当なユーザであることを確認できたら、ユーザUxをログインさせ、ジョブ選択画面SC1(図7参照)を表示する(#503)。ユーザUxは、ドキュメントの用紙をADFにセットしておく。
【0099】
ユーザUxが「スキャン」ボタンを押すことによってスキャン機能の起動を指令すると(#504)、画像形成装置1Aは、スキャン設定画面データDT2をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#505)。
【0100】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#601)、スキャン設定画面データDT2を画像形成装置1Aへ送信する(#602)。
【0101】
画像形成装置1Aは、スキャン設定画面データDT2を受信すると(#506)、スキャン設定画面SC2(図8参照)を表示する(#507)。
【0102】
ここで、ユーザUxは、スキャンの条件を入力し(#508)、「OK」ボタンを押してスキャンの開始を指令する(#509)。
【0103】
すると、画像形成装置1Aは、入力された条件に基づいて用紙からドキュメントを読み取って画像データGD1を生成する(#510)。そして、プレビュー画面データDT3をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#511)。この際に、画像データGD1をアプリケーションサーバ2へ送信する。
【0104】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#603)、受信した画像データGD1などを用いて、画像形成装置1Aが読み取ったドキュメントのプレビュー画面データDT3を生成し画像形成装置1Aへ送信する(#604)。
【0105】
画像形成装置1Aは、プレビュー画面データDT3を受信すると(#512)、プレビュー画面SC3(図9参照)を表示する(#513)。
【0106】
ここで、ユーザUxは、所望の通りにドキュメントがスキャンされているか否かを確認する。そして、必要に応じて、アプリケーションサーバ2に実行させる画像処理の条件を入力し、「画像処理開始」ボタンを押す(#514)。例えば、ドキュメントが10度ほど傾いてスキャンされてしまっている場合は、「傾き補正」テキストボックスに「10」と入力する。
【0107】
画像形成装置1Aは、条件が入力されると、画像処理を実行するようにアプリケーションサーバ2に対して要求する(#515)。この際に、入力された条件をアプリケーションサーバ2に対して通知する。
【0108】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#605)、通知された条件に従ってドキュメントに対して画像処理を施す(#606)。これにより、ステップ#603で受信した画像データGD1が更新され画像データGD2が生成される。そして、画像データGD2を画像形成装置1Aへ送信する(#607)。
【0109】
なお、画像形成装置1A自身がその条件に基づいて画像処理を実行することができるのであれば、アプリケーションサーバ2の代わりに画像形成装置1A自身が実行してもよい(#516)。
【0110】
画像形成装置1Aは、画像データGD2を受信すると(#517)、それに基づいて、画像処理後のドキュメントを図10のように反映させた状態でプレビュー画面SC3を表示し直す(図13の#518)。
【0111】
ユーザUxは、さらにドキュメントに画像処理を施したい場合はもう一度、プレビュー画面SC3に条件を指定すればよい。または、条件を変えてスキャンをやり直したい場合は「戻る」ボタンを押してスキャン設定画面SC2を呼び出せばよい。「戻る」ボタンが押されると、画像形成装置1Aは、直前に指定された条件を反映させてスキャン設定画面SC2を表示し直す。
【0112】
ユーザUxが画像処理またはスキャンをやり直したいにも関わらず、他のユーザが画像形成装置1Aのところへ訪れ、画像形成装置1Aを譲るようにユーザUxに頼んだ。そこで、ユーザUxは、画像形成装置1Bを使用して作業の続きを行うことにした。
【0113】
画像形成装置1Aは、ユーザUxが「中断」ボタンを押すと(#519)、ユーザUxが画像形成装置1Aにログインしてから「中断」ボタンを押すまでの間に入力したスキャンおよび画像処理それぞれの条件、ユーザUxのユーザID、および今回実行しようとしているジョブのジョブIDを示す設定途中データTD1を生成する(#520)。さらに設定途中データTD1の中の条件を示す部分を、暗号化する(#521)。そして、一部分が暗号化された設定途中データTD1をアプリケーションサーバ2へ送信する(#522)。
【0114】
また、設定途中データTD1の生成および送信の処理と前後してまたは並行して、画像形成装置1Aは、今回実行しようとしているジョブのジョブIDを表示する(#523)。そしてユーザUxをログアウトさせる(#524)。
【0115】
アプリケーションサーバ2は、設定途中データTD1を受信すると(#608)、設定途中データTD1をそのまま(つまり、条件とユーザIDおよびジョブIDとを紐付けたまま)保存する(#609)。
【0116】
ユーザUxは、表示されたジョブIDを覚え、ドキュメントの用紙を持って画像形成装置1Bへ移動する。そして、画像形成装置1Bに自分のユーザIDおよびパスワードを入力する(#531)。
【0117】
すると、画像形成装置1Bは、ユーザUxの認証の処理を行い(#532)、ユーザUxが正当なユーザであることを確認できたら、ユーザUxをログインさせ、ジョブ選択画面SC1(図7参照)を表示する(#533)。ユーザUxは、ドキュメントの用紙をADFにセットしておく。
【0118】
ユーザUxが「スキャン」ボタンを押すことによってスキャン機能の起動を指令すると(#534)、画像形成装置1Bは、スキャン設定画面データDT2をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#535)。
【0119】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#611)、スキャン設定画面データDT2を画像形成装置1Bへ送信する(#612)。
【0120】
画像形成装置1Bは、スキャン設定画面データDT2を受信すると(#536)、スキャン設定画面SC2(図8参照)を表示する(#537)。
【0121】
ここで、ユーザUxは、画像形成装置1Aが表示したジョブIDを画像形成装置1Bに入力する(#538)。
【0122】
すると、画像形成装置1Bは、設定途中データTD1をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#539)。この際に、ユーザUxのユーザIDおよび入力されたジョブIDをアプリケーションサーバ2に通知する。
【0123】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#613)、通知されたユーザIDおよびジョブIDを用いて認証を行う(#614)。さらに具体的には、ユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTD1が設定途中データ保存部206に保存されているか否かをチェックすることによって、要求の正当性を判断する。そして、そのユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTD1が保存されていれば、要求が正当であると判断し、その設定途中データTD1を画像形成装置1Bへ送信する(#615)。
【0124】
画像形成装置1Bは、設定途中データTD1を受信すると(#540)、暗号化されている部分を復号する(#541)。そして、図11のように、その設定途中データTD1に示される設定の内容を反映させた状態で、スキャン設定画面SC2を表示し直す(#542)。なお、その後、プレビュー画面SC3を表示する際も同様に、その設定途中データTD1に示される設定の内容を反映させる。
【0125】
これにより、ユーザUxは、画像形成装置1Aで行っていた作業の続きを、画像形成装置1Bにおいて再開することができる。
【0126】
第一の実施形態においては、スキャンデータSD1をUSBメモリなどに記憶させたが、通信回線3を介して他の装置へ転送してもよい。この場合は、条件の1つとしてスキャンデータSD1の送信先および送信に使用するプロトコルなどを設定できるようにすればよい。
【0127】
〔第二の実施形態〕
図14は第二の実施形態における画像形成装置1の機能的構成の例を示す図、図15は第二の実施形態におけるアプリケーションサーバ2の機能的構成の例を示す図である。
【0128】
第一の実施形態では、画像形成装置1およびアプリケーションサーバ2はスキャンジョブを取り扱ったが、第二の実施形態では、印刷ジョブを取り扱う。以下、印刷ジョブを取り扱う場合について、説明する。スキャンジョブを取り扱う場合と重複する点については、説明を省略する。
【0129】
ネットワークシステムNSの全体的な構成は、第一の実施形態のそれと同様であり、図1に示した通りである。
【0130】
画像形成装置1のハードウェア構成は、第一の実施形態のそれと同様であり、図2に示した通りである。ただし、ROM10cまたはハードディスク10dには、図14に示すユーザ認証部131、印刷設定画面データ取得部132、印刷設定画面表示処理部133、印刷制御部134、プレビュー画面データ取得部135、プレビュー画面表示処理部136、画像処理要求部137、ドキュメントファイル取得部138、設定途中データ送信部141、ログアウト処理部142、および設定途中データ取得部143などを実現するためのプログラムおよびデータが記憶されている。
【0131】
アプリケーションサーバ2のハードウェア構成は、第一の実施形態のそれと同様であり、図4に示した通りである。ただし、ROM20cまたはハードディスク20dには、図15に示す印刷設定画面データ送信部231、プレビュー画面データ送信部232、画像処理部233、ドキュメントファイル送信部234、設定途中データ受信部235、設定途中データ保存部236、設定途中データ送信部237、画面データ記憶部238、およびドキュメントファイル記憶部239などを実現するためのプログラムおよびデータが記憶されている。
【0132】
ユーザは、画像形成装置1を操作して画像形成装置1に印刷ジョブを実行させることによって、ドキュメントの印刷物を得ることができる。また、途中で操作を中断しても、一から操作をやり直すことなく途中から操作を再開することができる。
【0133】
〔設定の作業の中断がない場合〕
図16は印刷設定画面SP2の例を示す図、図17はプレビュー画面SP3の例を示す図である。
【0134】
図15において、アプリケーションサーバ2の画面データ記憶部238には、印刷設定画面データDU2など、後述する各画面を表示するためのデータが予め記憶されている。各データは、第一の実施形態の場合と同様に、例えばWebブラウザに対応したフォーマットで記述されており、画像データが含まれていることもある。
【0135】
ドキュメントファイル記憶部239には、ドキュメントを再現するためのファイルであるドキュメントファイルが予め記憶されている。ドキュメントファイルのフォーマットとして、例えば、PDF(Portable Document Format)またはTIFF(Tagged Image File Format)などが用いられる。
【0136】
図14において、画像形成装置1のユーザ認証部131は、第一の実施形態のユーザ認証部101(図3参照)と同様に、ユーザの認証の処理を行う。ユーザは、正当なユーザであると認証されると、画像形成装置1にログオンし、画像形成装置1を使用することができる。ログオン後、操作パネル10eには、第一の実施形態と同様に、図7のようなジョブ選択画面SC1が表示される。ここで、ユーザは、「プルプリント」ボタンを押す。
【0137】
印刷設定画面データ取得部132は、「プルプリント」ボタンが押されると、図16のような印刷設定画面SP2を表示するための印刷設定画面データDU2をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0138】
印刷設定画面データ取得部132は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、印刷設定画面データDU2をアプリケーションサーバ2に対して要求する。
【0139】
すると、アプリケーションサーバ2の印刷設定画面データ送信部231は、印刷設定画面データDU2を画像形成装置1へ送信する。
【0140】
そして、印刷設定画面データ取得部132は、アプリケーションサーバ2から送信されてきた印刷設定画面データDU2を取得する。
【0141】
印刷設定画面表示処理部133は、取得された印刷設定画面データDU2に基づいて、印刷設定画面SP2を操作パネル10eに表示させる。図16に示すように、印刷設定画面SP2には、印刷および仕上げに関する種々の事項の条件を設定するためのオプションボタン、プルダウンメニュー、およびテキストボックスが配置されている。
【0142】
「仕上げ」は、ドキュメントの印刷物に対する仕上げの条件であって、ユーザは、印刷物をステープルで綴じるか印刷物にパンチ穴を開けるかを選択することができる。「印刷面」は、ドキュメントを用紙のどの面に印刷するかの条件であって、ユーザは、用紙の片面のみに印刷するのか両面に印刷するのかを選択することができる。
【0143】
「用紙サイズ」は、使用する用紙のサイズの条件である。「カラー」は、カラーに関する条件であって、ユーザは、ドキュメントをカラーで印刷するのかモノクロで印刷するのかを選択することができる。「部数」は、ドキュメントを印刷する部数である。
【0144】
「ファイル名」は、印刷するドキュメントを再現するためのドキュメントファイルのファイル名である。「ファイル名」のプルダウンメニューが押されると、アプリケーションサーバ2のドキュメントファイル記憶部239に記憶されているドキュメントファイルのファイル名の一覧が表示される。ユーザは、この一覧の中から印刷を所望するドキュメントのファイル名を選択することができる。
【0145】
ユーザは、印刷設定画面SP2に印刷および必要な仕上げの条件を入力して「OK」ボタンを押す。これにより、印刷および必要な仕上げの条件の設定がなされる。
【0146】
プレビュー画面データ取得部135は、図17のようなプレビュー画面SP3を表示するためのプレビュー画面データDU3をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0147】
プレビュー画面データ取得部135は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、プレビュー画面データDU3をアプリケーションサーバ2に対して要求する。この際に、印刷設定画面SP2で設定された条件をアプリケーションサーバ2へ通知する。
【0148】
すると、アプリケーションサーバ2のプレビュー画面データ送信部232は、プレビュー画面データDU3を生成し画像形成装置1へ送信する。図17に示すように、プレビュー画面SP3には、ドキュメントを印刷した印刷物のイメージの部分と、後述する画像処理の設定を行うためのテキストボックスおよび各種のボタンなどからなる部分とが、含まれている。前者を表示するためのデータは、ドキュメントファイル記憶部239に記憶されている、画像形成装置1から通知されたファイル名のドキュメントファイルによって生成される。後者を表示するためのデータは、画面データ記憶部238に予め用意されている、プレビュー画面用のデータが用いられる。
【0149】
そして、プレビュー画面データ取得部135は、アプリケーションサーバ2から送信されてきたプレビュー画面データDU3を取得する。
【0150】
プレビュー画面表示処理部136は、取得されたプレビュー画面データDU3に基づいて、プレビュー画面SP3を操作パネル10eに表示させる。
【0151】
ユーザは、表示されたプレビュー画面SP3を見て、所望の通りにドキュメントが印刷されるか否かを確認する。不備がある場合は、アプリケーションサーバ2に画像処理を行わせることによって、ドキュメントを補正することができる。一方、不備がない場合は「OK」ボタンを押す。
【0152】
例えば、ドキュメント内に余計なノイズが含まれる領域が含まれる場合は、ユーザは、その領域をタッチし、ノイズを検知する感度を「ノイズ除去」テキストボックスに入力する。または、ドキュメント内の色と色との境界をシャープにしたい場合は、ユーザは、シャープにする強さを「シャープネス」テキストボックスに入力する。または、ドキュメント内の色と色との境界をぼかしたい場合は、ユーザは、ぼかす強さを「ソフトネス」テキストボックスに入力する。ユーザは、このように入力することによって画像処理の条件を設定することができる。
【0153】
ユーザは、画像処理の条件の設定(入力)が完了したら、「画像処理開始」ボタンを押す。
【0154】
画像処理要求部137は、プレビュー画面SP3でユーザが設定した通りにドキュメントに画像処理を施すように、アプリケーションサーバ2に対して要求する。この際に、設定された条件をアプリケーションサーバ2へ通知する。
【0155】
アプリケーションサーバ2において、画像処理部233は、画像形成装置1からの要求を受け付けると、通知された条件に応じてドキュメントに対して画像処理を施す。具体的には、そのドキュメントのドキュメントファイルをドキュメントファイル記憶部239から呼び出し、通知された条件に基づいてドキュメントファイルを更新する。
【0156】
プレビュー画面データ送信部232は、更新後のドキュメントファイルを用いて新たなプレビュー画面データDU3を生成し、画像形成装置1へ送信する。
【0157】
画像形成装置1において、プレビュー画面表示処理部136は、アプリケーションサーバ2から送信されてきた新たなプレビュー画面データDU3に基づいてプレビュー画面SC3を表示し直す。
【0158】
このようにして、ユーザは、読み取られたドキュメントの不備を補正することができる。そして、上手く補正できたら「OK」ボタンを押す。
【0159】
ドキュメントファイル取得部138は、プレビュー画面SC3の「OK」ボタンが押されると、ドキュメントファイルをアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0160】
ドキュメントファイル取得部138は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、印刷対象のドキュメントのドキュメントファイルをアプリケーションサーバ2に対して要求する。
【0161】
すると、アプリケーションサーバ2のドキュメントファイル送信部234は、そのドキュメントのドキュメントファイルを画像形成装置1へ送信する。ただし、画像形成装置1からの要求に応じてドキュメントファイルを更新した場合は、更新されたドキュメントファイルを送信する。
【0162】
そして、ドキュメントファイル取得部138は、アプリケーションサーバ2から送信されてきたドキュメントファイルを取得する。
【0163】
印刷制御部134は、取得されたドキュメントファイルを用いてドキュメントのビットマップデータを生成し、ドキュメントが用紙に印刷されるように印刷ユニット10fを制御する。
【0164】
〔設定の作業の中断がある場合〕
図18は印刷設定画面SP2の例を示す図である。
【0165】
第一の実施形態の場合と同様に、ユーザは、作業を一旦中断し、その後に途中から再開することができる。また、他の画像形成装置1を使用して作業を途中から再開することもできる。
【0166】
以下、あるユーザUxが画像形成装置1Aで作業を開始したが、途中で作業を中断し、画像形成装置1Bで作業を再開する場合を例に、図14に示す画像形成装置1および図15に示すアプリケーションサーバ2の各部の処理を説明する。中断がない場合の処理および操作と同様の処理および操作については、説明を省略する。
【0167】
中断がない場合と同様に、ユーザUxは、印刷設定画面SP2(図16参照)に印刷および必要な仕上げの条件を入力する。さらに、必要に応じてプレビュー画面SP3(図17参照)に画像処理の条件を入力する。
【0168】
しかし、入力の途中で作業を中断しなければならなくなったら、印刷設定画面SP2またはプレビュー画面SP3の「中断」ボタンを押す。
【0169】
画像形成装置1Aにおいて、設定途中データ送信部141は、ユーザUxが画像形成装置1Aにログインしてから「中断」ボタンを押すまでの間に入力した各種の条件、ユーザUxのユーザID、および今回実行しようとしているジョブのジョブIDを示す設定途中データTE1を生成する。ただし、条件を示す部分は、暗号化しておく。そして、設定途中データTE1をアプリケーションサーバ2へ送信する。
【0170】
アプリケーションサーバ2において、設定途中データ受信部235は、画像形成装置1Aから設定途中データTE1を受信する。設定途中データ保存部236は、受信された設定途中データTE1を保存する。
【0171】
また、画像形成装置1Aにおいて、「中断」ボタンが押されると、ログアウト処理部142は、ユーザUxを画像形成装置1Aからログアウトさせるとともに、設定の途中であった、このジョブのジョブIDを操作パネル10eに表示させる。
【0172】
ユーザUxは、表示されたジョブIDを覚え、画像形成装置1Bへ移動する。そして、自分のユーザIDおよびパスワードを入力し、画像形成装置1Bにログインする。
【0173】
画像形成装置1Bにおいて、ユーザ認証部131は、入力されたユーザIDおよびパスワードおよびデータベースに基づいてユーザUxの認証を行い、ユーザUxをログインさせる。印刷設定画面データ取得部132および印刷設定画面表示処理部133は、印刷設定画面データDU2をアプリケーションサーバ2から受信し印刷設定画面SP2を表示させる。
【0174】
ここで、ユーザUxは、画像形成装置1Aの操作パネル10eに表示されたジョブIDを「ジョブID」テキストボックスに入力し、「呼出」ボタンを押す。
【0175】
すると、設定途中データ取得部143は、設定途中データTE1をアプリケーションサーバ2から次のように取得する。
【0176】
設定途中データ取得部143は、アプリケーションサーバ2にアクセスし、設定途中データTE1をアプリケーションサーバ2に対して要求する。この際に、ユーザUxのユーザIDおよび入力されたジョブIDをアプリケーションサーバ2に通知する。
【0177】
すると、アプリケーションサーバ2において、設定途中データ送信部237は、設定途中データ保存部236の中から、通知されたユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTE1を検索し、見つかった設定途中データTE1を画像形成装置1Bへ送信する。
【0178】
そして、設定途中データ取得部143は、アプリケーションサーバ2から送信されてきた設定途中データTE1を取得し、設定途中データTE1の中の暗号化されている部分を復号する。
【0179】
印刷設定画面表示処理部133は、図18のように、取得された設定途中データTE1に示される設定の内容を反映させた状態で、つまり、その内容の通りにオプションボタンが選択された状態で、印刷設定画面SP2を表示し直す。
【0180】
また、プレビュー画面表示処理部136は、設定途中データTE1が取得された後は、プレビュー画面SP3を、設定途中データTE1に示される設定の内容を反映させた状態で表示させる。
【0181】
その後、画像形成装置1およびアプリケーションサーバ2の各部は、適宜変更された条件(つまり、ユーザUxが指定した最新の条件)に応じてドキュメントに対して必要に応じて画像処理を施しドキュメントを印刷する。
【0182】
図19〜図21は第二の実施形態における画像形成装置1A、1Bおよびアプリケーションサーバ2の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0183】
次に、ユーザUxが、アプリケーションサーバ2で管理されているドキュメントのプルプリントを、画像形成装置1Aおよび画像形成装置1Bを使用して行う場合を例に、画像形成装置1A、画像形成装置1B、およびアプリケーションサーバ2それぞれの全体的な処理の流れを、図19〜図21のフローチャートを参照しながら説明する。
【0184】
ユーザUxが画像形成装置1Aにログインする際の処理(図19の#701〜#703)は、前に図12のステップ#501〜#503で説明した通りなので、説明を省略する。
【0185】
ユーザUxは、ジョブ選択画面SC1の「プルプリント」ボタンを押すことによってプルプリント機能の起動を指令すると(#704)、画像形成装置1Aは、印刷設定画面データDU2をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#705)。
【0186】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#801)、印刷設定画面データDU2を画像形成装置1Aへ送信する(#802)。
【0187】
画像形成装置1Aは、印刷設定画面データDU2を受信すると(#706)、印刷設定画面SP2(図16参照)を表示する(#707)。
【0188】
ここで、ユーザUxは、プルプリントなどの条件を入力し(#708)、「OK」ボタンを押してプレビューの表示を指令する(#709)。
【0189】
すると、画像形成装置1Aは、入力された条件に基づいて印刷されるドキュメントのプレビューの画像をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#710)。この際に、入力された条件をアプリケーションサーバ2へ通知する。
【0190】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#803)、通知された条件に示されるドキュメントのドキュメントファイルを用いて、通知された条件に応じて印刷したそのドキュメントのプレビューの画像を示すプレビュー画面データDU3を生成し、画像形成装置1Aへ送信する(#804)。
【0191】
画像形成装置1Aは、プレビュー画面データDU3を受信すると(#711)、プレビュー画面SP3(図17参照)を表示する(#712)。
【0192】
ここで、ユーザUxは、所望の通りにドキュメントが印刷されるか否かを確認する。そして、必要に応じて、アプリケーションサーバ2に実行させる画像処理の条件を入力し、「画像処理開始」ボタンを押す(#713)。
【0193】
画像形成装置1Aは、条件が入力されると、画像処理を実行するようにアプリケーションサーバ2に対して要求する(#714)。この際に、入力された条件をアプリケーションサーバ2に対して通知する。
【0194】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#805)、通知された条件に示されるドキュメントのドキュメントファイルを呼び出し、通知された条件に従ってそのドキュメントに対して画像処理を施す(#806)。これにより、呼び出したドキュメントファイルが更新される。そして、画像処理を施したドキュメントを示すプレビュー画面データDU3を新たに生成し、画像形成装置1Aへ送信する(#807)。
【0195】
なお、画像形成装置1A自身がその条件に基づいて画像処理を実行することができるのであれば、アプリケーションサーバ2の代わりに画像形成装置1A自身が実行してもよい(#715)。
【0196】
画像形成装置1Aは、新たなプレビュー画面データDU3を受信すると(#716)、それに基づいて、画像処理後のドキュメントを反映させた状態でプレビュー画面SP3を表示し直す(図20の#717)。
【0197】
ユーザUxは、さらにドキュメントに画像処理を施したい場合はもう一度、プレビュー画面SP3に条件を指定すればよい。または、印刷または仕上げの条件を変更したい場合は「戻る」ボタンを押して印刷設定画面SP2を呼び出せばよい。「戻る」ボタンが押されると、画像形成装置1Aは、直前に指定された条件を反映させて印刷設定画面SP2を表示し直す。
【0198】
ユーザUxが条件を変更したいにも関わらず、他のユーザが画像形成装置1Aのところへ訪れ、画像形成装置1Aを譲るようにユーザUxに頼んだ。そこで、ユーザUxは、画像形成装置1Bを使用して作業の続きを行うことにした。
【0199】
画像形成装置1Aは、ユーザUxが「中断」ボタンを押すと(#718)、ユーザUxが画像形成装置1Aにログインしてから「中断」ボタンを押すまでの間に入力した各種の条件、ユーザUxのユーザID、および今回実行しようとしているジョブのジョブIDを示す設定途中データTE1を生成する(#719)。さらに設定途中データTE1の中の条件を示す部分を、暗号化する(#720)。そして、一部分が暗号化された設定途中データTE1をアプリケーションサーバ2へ送信する(#721)。
【0200】
また、設定途中データTE1の生成および送信の処理と前後してまたは並行して、画像形成装置1Aは、今回実行しようとしているジョブのジョブIDを表示する(#722)。そしてユーザUxをログアウトさせる(#723)。
【0201】
アプリケーションサーバ2は、設定途中データTE1を受信すると(#808)、設定途中データTE1をそのまま(つまり、条件とユーザIDおよびジョブIDとを紐付けたまま)保存する(#809)。
【0202】
ユーザUxは、表示されたジョブIDを覚え、画像形成装置1Bへ移動する。そして、画像形成装置1Bに自分のユーザIDおよびパスワードを入力する(#731)。
【0203】
すると、画像形成装置1Bは、ユーザUxの認証の処理を行い(#732)、ユーザUxが正当なユーザであることを確認できたら、ユーザUxをログインさせ、ジョブ選択画面SC1(図7参照)を表示する(#733)。
【0204】
ユーザUxが「プルプリント」ボタンを押すことによってプルプリント機能の起動を指令すると(#734)、画像形成装置1Bは、印刷設定画面データDU2をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#735)。
【0205】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#811)、印刷設定画面データDU2を画像形成装置1Bへ送信する(#812)。
【0206】
画像形成装置1Bは、印刷設定画面データDU2を受信すると(#736)、印刷設定画面SP2を表示する(#737)。
【0207】
ここで、ユーザUxは、画像形成装置1Aが表示したジョブIDを画像形成装置1Bに入力する(#738)。
【0208】
すると、画像形成装置1Bは、設定途中データTE1をアプリケーションサーバ2に対して要求する(#739)。この際に、ユーザUxのユーザIDおよび入力されたジョブIDをアプリケーションサーバ2に通知する。
【0209】
アプリケーションサーバ2は、要求を受け付けると(#813)、通知されたユーザIDおよびジョブIDを用いて認証を行う(#814)。そして、そのユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTE1が保存されていれば、要求が正当であると判断し、その設定途中データTE1を画像形成装置1Bへ送信する(#815)。
【0210】
画像形成装置1Bは、設定途中データTE1を受信すると(#740)、暗号化されている部分を復号する(#741)。そして、図18のように、その設定途中データTE1に示される設定の内容を反映させた状態で、印刷設定画面SP2を表示し直す(#742)。なお、その後、プレビュー画面SP3を表示する際も同様に、その設定途中データTE1に示される設定の内容を反映させる。
【0211】
これにより、ユーザUxは、画像形成装置1Aで行っていた作業の続きを、画像形成装置1Bにおいて再開することができる。
【0212】
ここで、ユーザUxが作業を再開し印刷などの条件を決め直してそれを入力し「OK」を押すと(図21の#743、#744)、画像形成装置1Bは、画像形成装置1Aのステップ#710〜#712と同様の処理を行うことによって、プレビュー画面SP3を表示する(#745〜#747)。このとき、アプリケーションサーバ2は、ステップ#803、#804と同様の処理を行うことによって、プレビュー画面データDU3を生成し画像形成装置1Bへ提供する(#816、#817)。
【0213】
ユーザUxは、所望の通りにドキュメントが印刷されるだろうと判断すると、「OK」ボタンを押して印刷の実行を指令する(#748)。
【0214】
すると、画像形成装置1Bは、印刷対象のドキュメントのドキュメントファイルをアプリケーションサーバ2に対して要求し取得する(#749、#750)。このとき、アプリケーションサーバ2は、要求されたドキュメントファイルを画像形成装置1Bへ送信する(#818、#819)。
【0215】
そして、画像形成装置1Bは、受信したドキュメントファイルを用いて、入力された条件に従ってドキュメントを用紙に印刷し必要な仕上げを行う(#752)。
【0216】
なお、画像形成装置1Aでは適用が可能であったが画像形成装置1Bでは適用ができない条件が残っている場合がある。例えば、ステープル綴じを行うことが画像形成装置1Aにおいて条件の1つとして指定されたが、画像形成装置1Bにはステープル綴じの機能が備わっていないような場合である。そこで、ステップ#752の印刷を開始する前に、そのような条件の有無をチェックし、見つかった場合は、それを表示するなどしてユーザUxに知らせてもよい(#751)。そして、ユーザUxが印刷の指令を再度行った場合に、その条件を外して印刷を行ってもよい。
【0217】
第一および第二の実施形態によると、ユーザは、ある画像形成装置1において途中まで設定した条件を示す設定途中データTD1、TE1を別の画像形成装置1において呼び出し、途中から条件の設定を再開することができる。よって、ユーザによる処理の条件の設定の利便性を従来よりも向上させることができる。
【0218】
第二の実施形態では、使用するドキュメントファイルのファイル名だけをユーザに指定させたが、その保存場所も指定させてもよい。そうすれば、さまざまな保存場所に保存されているドキュメントファイルをユーザが指定することができる。または、実行する画像処理の種類も指定させてもよい。ファイル名とともに保存場所などの事項も指定させる場合は、URL(Uniform Resource Locator)を用いればよい。
【0219】
ある画像形成装置1で行っていた作業を中断した後、再度、同一の画像形成装置1で作業を再開する場合にも、第一および第二の実施形態を用いることができる。
【0220】
〔変形例〕
図22〜図24は画像形成装置1A、1Bおよびアプリケーションサーバ2の全体的な処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【0221】
第一および第二の実施形態では、ユーザが一方の画像形成装置1で行っていた作業を中断し他方の画像形成装置1で作業を途中から再開できるようにするために、アプリケーションサーバ2を介して設定途中データTD1、TE1を一方の画像形成装置1から他方の画像形成装置1へ提供した。しかし、アプリケーションサーバ2を介さずに設定途中データTD1、TE1のやり取りを行うように構成してもよい。
【0222】
また、第一および第二の実施形態では、画像形成装置1は、プレビューのデータをアプリケーションサーバ2から提供してもらったが、プレビューの画像のデータを自ら生成してもよい。
【0223】
また、第二の実施形態では、画像形成装置1は、アプリケーションサーバ2で管理されているドキュメントファイルを使用して印刷を実行したが、画像形成装置1自身のボックスに記憶されているドキュメントファイルを使用して印刷を実行してもよい。
【0224】
以下、第二の実施形態における設定途中データTE1および画像データの取扱いの変形例を、ボックスに保存されているドキュメントファイルを使用して印刷する場合を例に、図22〜図24のフローチャートを参照しながら説明する。
【0225】
画像形成装置1AへのユーザUxのログインの処理(図22の#761〜#763)および印刷設定画面SP2(図16参照)の表示の処理(#764〜#767、#861〜#862)は、図19に示した第二の実施形態のステップ#701〜#703、#704〜#707、および#801〜#802と基本的に同様である。ただし、印刷設定画面SP2の「ファイル名」のプルダウンメニューが押されると、画像形成装置1Aに設けられている、ユーザUxのボックスに保存されているドキュメントファイルのファイル名の一覧が表示される。
【0226】
ここで、ユーザUxは、印刷などの条件を入力し(#768)、「OK」ボタンを押してプレビューの表示を指令する(#769)。
【0227】
すると、画像形成装置1Aは、入力された条件に基づいてボックスからドキュメントファイルを呼び出し、プレビュー画面データDU3を生成し(#770)、図17のようなプレビュー画面SP3を表示する(#771)。
【0228】
ここで、ユーザUxは、アプリケーションサーバ2に実行してもらいたい画像処理の条件を入力する。しかし、作業の途中で中断を要することになったので「中断」ボタンを押す。この際に、ユーザUxは、どの画像形成装置1で作業を再開するのかを指定する。
【0229】
画像形成装置1Aは、「中断」ボタンが押されると(#772)、ユーザUxが画像形成装置1Aにログインしてから「中断」ボタンを押すまでの間に入力した各種の条件、ユーザUxのユーザID、および今回実行しようとしているジョブのジョブIDを示す設定途中データTF1を生成する(#773)。さらに設定途中データTF1の中の条件を示す部分を、暗号化する(#774)。そして、一部分が暗号化された設定途中データTF1を、指定された画像形成装置1(本例では、画像形成装置1B)へ送信する(#775)。
【0230】
また、設定途中データTF1の生成および送信の処理と前後してまたは並行して、画像形成装置1Aは、今回実行しようとしているジョブのジョブIDを表示する(#776)。そしてユーザUxをログアウトさせる(#777)。
【0231】
画像形成装置1Bは、設定途中データTF1を受信すると(#781)、設定途中データTF1をそのまま(つまり、条件とユーザIDおよびジョブIDとを紐付けたまま)保存する(#782)。
【0232】
ユーザUxは、表示されたジョブIDを覚え、画像形成装置1Bへ移動する。そして、画像形成装置1Bに自分のユーザIDおよびパスワードとジョブIDとを入力する(#783)。
【0233】
すると、画像形成装置1Bは、ユーザUxの認証の処理を行い(#784)、ユーザUxが正当なユーザであることを確認できたら、ユーザUxをログインさせる。さらに、入力されたユーザIDおよびジョブIDを示す設定途中データTF1を検索し(#785)、その設定途中データTF1が見つかったら、その設定途中データTF1に示される条件の通りに印刷を行うことができるか否かをチェックする(#786)。条件の通りに印刷できない場合は、その旨の警告を表示する(#787)。
【0234】
ここで、ユーザUxは、再設定のコマンドを入力することによって(#788)、印刷設定画面SP2を表示させ印刷などの設定をやり直すことができる。印刷設定画面SP2は、設定途中データTF1に示される条件が反映されて表示される。なお、印刷設定画面SP2を表示するための処理(#789〜図24の#791、#863〜#864)は、前述の通りである。
【0235】
さらに、ユーザUxは、前に画像形成装置1Aに実行させたのと同様に、プレビュー画面SP3を画像形成装置1Bに表示させることができる。この処理(#792〜#795)の手順は、前述の通りである。
【0236】
そして、画像形成装置1Bは、印刷のコマンドが入力されると(#796)、最新の条件に基づいてドキュメントを用紙に印刷する(#797)。
【0237】
なお、画像形成装置1Aは、設定途中データTF1に示される条件に基づいて印刷および仕上げの実行が可能な画像形成装置1をユーザUxに提示してもよい。そして、その中からユーザUxが選択した画像形成装置1へ設定途中データTF1を送信してもよい。条件に基づいて印刷および仕上げの実行が可能であるか否かは、画像形成装置1Aが各画像形成装置1へ問い合わせて確認すればよい。または、予め各画像形成装置1のスペックを示す情報をアプリケーションサーバ2に記憶させておき、それをダウンロードしそれに基づいて判断してもよい。
【0238】
上述の第一および第二の実施形態および変形例では、スキャンジョブおよびプルプリントジョブを取り扱う場合について説明したが、ファックス送信ジョブなど他の種類のジョブを取り扱う場合にも、本発明を適用することができる。
【0239】
その他、ネットワークシステムNS、画像形成装置1、アプリケーションサーバ2の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0240】
1 画像形成装置(画像処理装置)
2 アプリケーションサーバ(サーバ)
10e 操作パネル(条件入力画面表示手段、条件入力画面再表示手段)
103 スキャン設定画面表示処理部(条件入力画面表示手段、条件入力画面再表示手段)
104 スキャン制御部(処理実行手段)
121、141 設定途中データ送信部(条件記憶制御手段)
123 設定途中データ取得部(条件読出手段)
133 印刷設定画面表示処理部(条件入力画面表示手段、条件入力画面再表示手段)
134 印刷制御部(処理実行手段)
206 設定途中データ保存部(条件記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示する条件入力画面表示手段と、
第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件を条件記憶手段に記憶させる条件記憶制御手段と、
第二の操作がなされた場合に、前記条件を前記条件記憶制御手段から読み出す条件読出手段と、
読み出された前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し直す条件入力画面再表示手段と、
第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する処理実行手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記条件記憶手段は、サーバに設けられており、
前記条件記憶制御手段は、前記条件を、前記サーバへ送信することによって前記条件記憶手段に記憶させる、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記条件記憶手段は、他の画像処理装置に設けられている記録媒体であって、
前記条件記憶制御手段は、前記条件を、当該条件に基づいて前記処理を実行する機能を有する他の画像処理装置へ送信することによって前記条件記憶手段に記憶させる、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記条件読出手段によって読み出された前記条件が他の画像処理装置によって前記条件記憶手段に記憶されたものである場合に、当該条件に基づいて前記処理を実行することができなければその旨をユーザに通知する、実行不能通知手段、を有する、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像処理装置に、
画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示する処理と、
第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件を条件記憶手段に記憶させる処理と、
第二の操作がなされた場合に、前記条件を前記条件記憶制御手段から読み出す処理と、
読み出された前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し直す処理と、
第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する処理と、
を実行させることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
第一の画像処理装置は、
画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示し、
第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件をサーバへ送信し、
第二の画像処理装置は、
第二の操作がなされた場合に、前記条件を前記サーバから受信し、
受信した前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し、
第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
第一の画像処理装置は、
画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示し、
第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件をユーザが指定した第二の画像処理装置へ送信し、
第二の画像処理装置は、
前記条件を前記第一の画像処理装置から受信し、
第二の操作がなされた場合に、受信した前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し、
第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
画像を印刷しまたは読み取る処理を行う画像処理装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
前記画像処理装置に、
前記処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示する処理と、
第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件を条件記憶手段に記憶させる処理と、
第二の操作がなされた場合に、前記条件を前記条件記憶制御手段から読み出す処理と、
読み出された前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し直す処理と、
第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する処理と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示する条件入力画面表示手段と、
第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件を条件記憶手段に記憶させる条件記憶制御手段と、
第二の操作がなされた場合に、前記条件を前記条件記憶制御手段から読み出す条件読出手段と、
読み出された前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し直す条件入力画面再表示手段と、
第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する処理実行手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記条件記憶手段は、サーバに設けられており、
前記条件記憶制御手段は、前記条件を、前記サーバへ送信することによって前記条件記憶手段に記憶させる、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記条件記憶手段は、他の画像処理装置に設けられている記録媒体であって、
前記条件記憶制御手段は、前記条件を、当該条件に基づいて前記処理を実行する機能を有する他の画像処理装置へ送信することによって前記条件記憶手段に記憶させる、
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記条件読出手段によって読み出された前記条件が他の画像処理装置によって前記条件記憶手段に記憶されたものである場合に、当該条件に基づいて前記処理を実行することができなければその旨をユーザに通知する、実行不能通知手段、を有する、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像処理装置に、
画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示する処理と、
第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件を条件記憶手段に記憶させる処理と、
第二の操作がなされた場合に、前記条件を前記条件記憶制御手段から読み出す処理と、
読み出された前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し直す処理と、
第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する処理と、
を実行させることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
第一の画像処理装置は、
画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示し、
第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件をサーバへ送信し、
第二の画像処理装置は、
第二の操作がなされた場合に、前記条件を前記サーバから受信し、
受信した前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し、
第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
第一の画像処理装置は、
画像を印刷しまたは読み取る処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示し、
第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件をユーザが指定した第二の画像処理装置へ送信し、
第二の画像処理装置は、
前記条件を前記第一の画像処理装置から受信し、
第二の操作がなされた場合に、受信した前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し、
第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
画像を印刷しまたは読み取る処理を行う画像処理装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
前記画像処理装置に、
前記処理についての条件をユーザに入力させるための条件入力画面を表示する処理と、
第一の操作がなされた場合に、入力された前記条件を条件記憶手段に記憶させる処理と、
第二の操作がなされた場合に、前記条件を前記条件記憶制御手段から読み出す処理と、
読み出された前記条件が入力されている状態で前記条件入力画面を表示し直す処理と、
第三の操作がなされた場合に、最新の前記条件に基づいて前記処理を実行する処理と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−114598(P2011−114598A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269487(P2009−269487)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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