説明

画像処理方法、画像処理装置、及びこの画像処理装置を備えた電子機器

【課題】本発明は、高解像度画像を取得するために使用する低解像度画像を選択する際に、選択するための基準位置を設定し、低解像度画像の画素位置と基準位置との相対関係により低解像度画像を選択する画像処理方法及び画像処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】注目フレームとなる低解像度実画像Faの各画素間の中間位置を基準位置とし、この基準位置に対して、そのサンプル点(画素位置)が近いフレームの低解像度実画像を、超解像処理を行うための低解像度実画像として選択する。そして、4フレームの低解像度実画像Fa〜Fdより、3フレームの低解像度実画像Fa,Fc,Fdが選択されて超解像処理が成されることで、高解像度画像Fxが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高解像度画像を生成する画像処理方法及び画像処理装置に関するもので、特に、複数の低解像度画像から高解像度画像を生成する超解像処理を行う画像処理方法及び画像処理装置に関する。又、この画像処理装置により生成された高解像度画像を記録又は再生する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種デジタル技術の発展に伴い、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子によりデジタル画像を撮影するデジタルカメラやデジタルビデオなどといった撮像装置や、デジタル画像を表示する液晶ディスプレイやプラズマテレビなどといった表示装置が、広く普及されつつある。そして、このような撮像装置や表示装置で処理されるデジタル画像において、異なる時間に撮影された複数のデジタル画像を用いて、その解像度を高解像度に変換する画像処理技術が提案されている。
【0003】
この高解像度変換方法として、位置ズレのある複数の低解像度画像より1つの高解像度画像を推定する超解像処理が提案されている(非特許文献1参照)。そして、この超解像処理において、生成された高解像度画像を逆変換して、高解像度画像を構築するための元の低解像度画像を推定した後、実際の低解像度画像との比較を行うことで、更に、実際の値に近い高解像度画像を生成する再構成型と呼ばれる方式が提案されている。
【0004】
この再構成型方式による超解像処理では、まず、複数の低解像度画像より取得される高解像度画像を仮定する(STEP1)。この仮定した高解像度画像に基づいて、高解像度画像を構築するための複数の低解像度画像それぞれに逆変換して推定する(STEP2)。そして、逆変換後の低解像度画像と元の低解像度画像とを比較した後(STEP3)、その比較結果より、変換後の低解像度画像と元の低解像度画像との間における各画素位置での値の差が小さくなるように、高解像度画像を生成する(STEP4)。そして、変換後の低解像度画像と元の低解像度画像との間における各画素位置での値(以下、「画素値」と呼ぶ)の差が収束するように、STEP2〜STEP4の処理を繰り返すことにより、最終的に取得される高解像度画像を実画像に近い画像とすることができる。
【0005】
この再構成型方式として、ML(Maximum-Likelihood)法や、MAP(Maximum A Posterior)法や、POCS(Projection Onto Convex Set)法や、IBP(Iterative Back Projection)法などが、提案されている。ML法では、高解像度画像から推定した低解像度画像(以下、「低解像度推定画像」と呼ぶ)の画素値と実際の低解像度画像(以下、「低解像度実画像」と呼ぶ)の画素値との二乗誤差を評価関数とし、この評価関数を最小化する高解像度画像を生成する方法である(非特許文献2参照)。即ち、このML法による超解像処理は、最尤推定の原理に基づく処理方法である。
【0006】
又、MAP法では、低解像度推定画像と低解像度実画像それぞれの画素値の二乗誤差に高解像度画像の確率情報を付加したものを、評価関数とし、この評価関数を最小化する高解像度画像を生成する方法である(非特許文献3,4参照)。即ち、MAP法では、低解像度実画像に対する先見情報に基づく事後確率分布における出現確率を最大とするときの高解像度画像を推定することによって、最適な高解像度画像が取得される。
【0007】
更に、POCS法では、高解像度画像と低解像度画像のそれぞれの画素値に関する連立方程式を作成し、その連立方程式を逐次的に解くことにより、高解像度画像の画素値の最適値を取得して高解像度画像を生成する方法である(非特許文献5参照)。又、IBP法では、撮影位置が異なるが被写体の画素位置に重なりをもつ複数の低解像度画像から高解像度を生成する方法、即ち、反復逆投影法を用いた超解像処理方法である(非特許文献6参照)。
【0008】
上述のような超解像処理において、高解像度画像を取得するために、時系列に連続した複数の低解像度画像が用いられる。そして、この高解像度画像を取得するのに最適となる低解像度画像を複数の低解像度画像から選択して、超解像処理を行う画像処理方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1における画像処理方法では、低解像度画像による画像データには、撮像装置などの画像生成装置の動きに関する動き情報が付加されており、この動き情報に基づいて、高解像度画像の生成に適しているか否かが判定される。更に、低解像度画像を構成する各画像フレームにおける画素の動き量が画素値より算出され、この動き量に基づいて、高解像度画像の生成に適しているか否かが判定される。
【特許文献1】特開2006−41603号公報
【非特許文献1】Sung, C. P. Min, K. P. Moon, G. K. 共著 "Super-resolution image reconstruction: a technical overview", (Signal processing Magazine, IEEE on Volume 26,Issue 3, May 2003, P.21-36)
【非特許文献2】Tom, B.C. Katsaggelos, A.K. 共著 "Reconstruction of a high-resolution image by simultaneous registration, restoration, and interpolation of low-resolution images", (Image Processing, Proceedings, International Conference on Volume 2, Oct 1995, P.23-26)
【非特許文献3】Schultz, R.R. Stevenson, R.L. 共著 "Extraction of high-resolution frames from video sequences" (Image Processing, IEEE Transactions on Volume 5, Issue 6, June 1996, P.996-1011)
【非特許文献4】Hardie R.C. Barnard K.J. Armstrong E.E. 共著 "Joint MAP registration and high-resolution image estimation using a sequence of undersampled images" (Image Processing, IEEE Transactions on Volume 6, Issue 12, Dec. 1997 P.1621-1633)
【非特許文献5】Stark, H. Oskoui, P. 共著 "High resolution image recovery from image-plane arrays, using convex projections" (J. Opt. Soc. Am. A, on vol. 6. P.1715-1726, 1989)
【非特許文献6】Michel, I. Peleg, S. 共著 "Improving Resolution by Image Registration" (CVGIP: Graph Models Image Process, on vol. 53. P.231-239, Mar. 1991)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の画像処理方法においては、高解像度画像を生成するための低解像度画像となる画像フレームを選択する際に、低解像度画像による画像データに付加された動き情報を確認する必要があるため、この画像データに動き情報が付加されていない場合には適用できない。更に、画像間の位置ズレ量に相当する動き量によっては、高解像度画像における補間画素位置付近の画素値が取得可能となる場合も多いが、特許文献1のように動き量の大きさによって選択の可否を設定する場合、このような動き量を有する低解像度画像の画像フレームも非選択となることがある。そのため、高解像度画像を生成するための効率が悪くなることがある。
【0010】
このような問題を鑑みて、本発明は、高解像度画像を取得するために使用する低解像度画像を選択する際に、選択するための基準位置を設定し、低解像度画像の画素位置と基準位置との相対関係により低解像度画像を選択する画像処理方法及び画像処理装置を提供することを目的とする。又、本発明は、高解像度画像を取得するために使用する低解像度画像を選択する際に、選択するための基準位置を設定し、低解像度画像の画素位置と基準位置との相対関係により低解像度画像を選択する画像処理装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、注目フレームとなる第1低解像度画像とM(1以上の整数)フレームの第2低解像度画像とから高解像度画像を生成する高解像度化部を備える画像処理装置において、N(N>Mとなる整数)フレームの第3低解像度画像それぞれと、前記第1低解像度画像との間の動き量を検出する動き量検出部と、前記動き量検出部で得られた前記第3低解像度画像における前記動き量を考慮し、Nフレームの前記第3低解像度画像から、前記第1低解像度画像の画素位置に基づいて設定された基準位置に対して画素位置がより近いMフレームの前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択する画像評価部と、を備え、前記画像評価部によって前記第2低解像度画像とされた前記第3低解像度画像が前記高解像度化部に与えられ、前記高解像度画像が生成されることを特徴とする。
【0012】
そして、前記基準位置を、前記第1低解像度画像における垂直方向及び水平方向それぞれにおいて隣接する画素位置の中間位置となる位置に設定するものとしても構わないし、前記基準位置を、前記高解像度画像における前記第1低解像度画像に対する補間画素となる画素位置に設定するものとしても構わない。又、前記基準位置と画素位置との距離が等しい前記第3低解像度画像が複数フレームとなる場合、前記第1低解像度画像における垂直方向及び水平方向それぞれにおいて隣接する画素位置の中間位置となる位置に対して画素位置が近い前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択するものとしても構わない。
【0013】
このような画像処理装置に置いて、前記画像評価部において、前記基準位置と画素位置との距離が等しい前記第3低解像度画像が複数フレームとなる場合、その画素位置と前記基準位置との水平方向における距離が短い前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択するものとしても構わない。
【0014】
又、前記画像評価部において、前記基準位置と画素位置との距離が等しい前記第3低解像度画像が複数フレームとなる場合、時間的に隣接した前フレームとの動き量が小さい前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択するものとしても構わない。
【0015】
更に、前記画像評価部において、前記基準位置と画素位置との距離が等しい前記第3低解像度画像が複数フレームとなる場合、前記超解像ステップで水平方向及び垂直方向それぞれにおける解像度の拡大率が異なるとき、その画素位置と前記基準位置との拡大率が大きい方向における距離が短い前記低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択するものとしても構わない。
【0016】
このような画像処理装置において、前記画像評価部で前記第2低解像度画像として前記フレームメモリより選択された前記第3低解像度画像それぞれについて、前記動き量検出部で得られた前記動き量に基づいて前記第1低解像度画像を基準としてその画素位置を補正する位置ズレ補正部を備える。
【0017】
本発明の電子機器は、外部入力又は撮像により複数フレームとなる画像による画像信号が与えられるとともに、該画像信号による画像を高解像度の画像に変換する高解像度化機能を備えた電子機器において、前記高解像度化機能を実現する画像処理部として、上述のいずれの画像処理装置を備え、前記画像信号による画像を前記低解像度画像として高解像度化処理を行うことで、所望の前記高解像度画像が生成されることを特徴とする。
【0018】
又、本発明の画像処理方法は、注目フレームとなる第1低解像度画像とM(1以上の整数)フレームの第2低解像度画像とから高解像度画像を生成する高解像度化ステップを備える画像処理方法において、N(N>Mとなる整数)フレームの第3低解像度画像それぞれと、前記第1低解像度画像との間の動き量を検出する動き量検出ステップと、前記動き量検出ステップより得られた前記第3低解像度画像における前記動き量を考慮し、Nフレームの前記第3低解像度画像から、前記第1低解像度画像の画素位置に基づいて設定された基準位置に対して画素位置がより近いMフレームの前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択する低解像度画像選択ステップと、を備え、前記高解像度化ステップにおいて、前記低解像度画像選択ステップで前記第2低解像度画像とされた前記第3低解像度画像と前記第1低解像度画像とに基づいて前記高解像度画像を生成することを特徴とする。
【0019】
このような画像処理方法が、前記低解像度画像選択ステップにおいて、前記基準位置を、前記第1低解像度画像における垂直方向及び水平方向それぞれにおいて隣接する画素位置の中間位置となる位置に設定するものとしても構わないし、前記基準位置を、前記高解像度画像における前記第1低解像度画像に対する補間画素となる画素位置に設定するものとしても構わない。そして、前記低解像度画像選択ステップにおいて、前記基準位置と画素位置との距離が等しい前記第3低解像度画像が複数フレームとなる場合、前記第1低解像度画像における垂直方向及び水平方向それぞれにおいて隣接する画素位置の中間位置となる位置に対して画素位置が近い前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択するものとしても構わない。
【0020】
又、前記低解像度画像選択ステップにおいて、前記基準位置と画素位置との距離が等しい前記第3低解像度画像が複数フレームとなる場合、その画素位置と前記基準位置との水平方向における距離が短い前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択するものとしても構わないし、時間的に隣接した前フレームとの動き量が小さい前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択するものとしても構わない。
【0021】
更に、前記低解像度画像選択ステップにおいて、前記基準位置と画素位置との距離が等しい前記第3低解像度画像が複数フレームとなる場合、前記超解像ステップで水平方向及び垂直方向それぞれにおける解像度の拡大率が異なるとき、その画素位置と前記基準位置との拡大率が大きい方向における距離が短い前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択するものとしても構わない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、従来のように、動き量の大きい低解像度画像を非選択するものではなく、基準位置を設定して、その基準位置に画素位置が近い低解像度画像を選択するものとしている。これにより、高解像度画像を生成するために注目フレームとなる低解像度画像以外の低解像度画像を選択する際に、その補間画素位置に近い画素位置となる低解像度画像を選択することができる。よって、超解像処理によって選択した低解像度画像に基づいて生成された高解像度画像が、実際の被写体による画像に近い高解像度画像とすることができ、その信頼性の高い高解像度画像とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、以下では、本発明における画像処理方法を行う画像処理装置(以下では、「画像処理部」に相当する)を備えたデジタルカメラやデジタルビデオなどの撮像装置を例に挙げて、説明する。又、後述するが、同様の画像処理装置を備えるものであれば、液晶ディスプレイやプラズマテレビなどの画像のデジタル処理を行う表示装置であっても構わない。
【0024】
(撮像装置の構成)
まず、撮像装置の内部構成について、図面を参照して説明する。図1は、撮像装置の内部構成を示すブロック図である。
【0025】
図1の撮像装置は、被写体のから入射される光を電気信号に変換するCCD又はCMOSセンサなどの固体撮像素子(イメージセンサ)1と、イメージセンサ1から出力されるアナログ信号である画像信号をデジタル信号に変換するAFE(Analog FrontEnd)2と、外部から入力された音声を電気信号に変換するマイク3と、AFE2からのデジタル信号となる画像信号に対して超解像処理を含む各種画像処理を施す画像処理部4と、マイク3からのアナログ信号である音声信号をデジタル信号に変換する音声処理部5と、画像処理部4からの画像信号と音声処理部5からの音声信号とに対してMPEG(Moving Picture Experts Group)圧縮方式などの圧縮符号化処理を施す圧縮処理部6と、圧縮処理部6で圧縮符号化された圧縮符号化信号を外部メモリ15に記録するドライバ部7と、ドライバ部7で外部メモリ20から読み出した圧縮符号化信号を伸長して復号する伸長処理部8と、伸長処理部8で復号されて得られた画像信号による画像の表示を行うディスプレイ部9と、伸長処理部8からの音声信号をアナログ信号に変換する音声出力回路部10と、音声出力回路部10からの音声信号に基づいて音声を再生出力するスピーカ部11と、各ブロックの動作タイミングを一致させるためのタイミング制御信号を出力するタイミングジェネレータ12と、撮像装置内全体の駆動動作を制御するCPU(Central Processing Unit)13と、各動作のための各プログラムを記憶するとともにプログラム実行時のデータの一時保管を行うメモリ14と、ユーザからの指示が入力される操作部15と、CPU13と各ブロックとの間でデータのやりとりを行うためのバス回線16と、メモリ14と各ブロックとの間でデータのやりとりを行うためのバス回線17と、を備える。
【0026】
この撮像装置において、撮像動作を行うことが操作部15によって指示されると、イメージセンサ1の光電変換動作によって得られたアナログ信号である画像信号がAFE2に出力される。このとき、イメージセンサ1では、タイミングジェネレータ12からのタイミング制御信号が与えられることによって、水平走査及び垂直走査が行われて、画素毎のデータとなる画像信号が出力される。そして、AFE2において、アナログ信号となる画像信号がデジタル信号に変換されて、画像処理部4に入力されると、輝度信号及び色差信号の生成を行う信号変換処理などの各種画像処理が施される。
【0027】
又、この画像処理部4では、操作部15によってデジタルズームにより、イメージセンサ1より得られた画像信号の高解像度化が求められると、イメージセンサ1からの複数フレーム分の画像信号に基づく超解像処理が施される。更に、この超解像処理が成された画像信号に基づいて、輝度信号及び色差信号が生成される。又、超解像処理が施されるために、後述するが、複数フレームの画像信号の動き量が算出され、その動き量に応じて各フレームの位置合わせが行われる。
【0028】
そして、画像処理部4で画像処理が施された画像信号が圧縮処理部6に与えられる。このとき、マイク3に音声入力されることで得られたアナログ信号である音声信号が、音声処理部5でデジタル信号に変換されて、圧縮処理部6に与えられる。これにより、圧縮処理部6では、デジタル信号である画像信号及び音声信号に対して、MPEG圧縮符号方式に基づいて、圧縮符号化してドライバ部7に与えて、外部メモリ20に記録させる。又、このとき、外部メモリ20に記録された圧縮信号がドライバ部7によって読み出されて伸長処理部8に与えられて、伸長処理が施されて画像信号が得られる。この画像信号がディスプレイ部9に与えられて、現在、イメージセンサ1を通じて撮影されている被写体画像が表示される。
【0029】
尚、上述では、動画撮影時の動作について説明したが、静止画像撮影が指示された場合においても、マイク3による音声信号の取得がなく、画像信号のみの圧縮信号が外部メモリ20に記録されるだけとなり、その基本動作については動画撮影時の動作と同様である。又、この静止画像撮影の場合、操作部15によって撮影された静止画像に対する圧縮信号が外部メモリ20に記録されるだけでなく、イメージセンサ1によって撮影されている現時点の画像に対する圧縮信号も外部メモリ20に一時的に記録される。これにより、現在撮影されている画像に対する圧縮信号が伸長処理部8で伸長されることで、イメージセンサ1によって撮影されている現時点の画像がディスプレイ部9に表示され、ユーザが確認することができる。
【0030】
このように撮像動作を行うとき、タイミングジェネレータ12によって、AFE2、映像処理部4、音声処理部5、圧縮処理部6、及び伸長処理部8に対してタイミング制御信号が与えられ、イメージセンサ1による1フレームごとの撮像動作に同期した動作が行われる。又、静止画像撮影のときは、操作部15によるシャッタ動作に基づいて、タイミングジェネレータ12より、イメージセンサ1、AFE2、映像処理部4、及び、圧縮処理部6それぞれに対してタイミング制御信号が与えられ、各部の動作タイミングを同期させる。
【0031】
又、外部メモリ20に記録された動画又は画像を再生することが、操作部15を通じて指示されると、外部メモリ20に記録された圧縮信号は、ドライバ部7によって読み出されて伸長処理部8に与えられる。そして、伸長処理部8において、MPEG圧縮符号方式に基づいて、伸長復号されて、画像信号及び音声信号が取得される。そして、画像信号がディスプレイ部9に与えられて画像が再生されるとともに、音声信号が音声出力回路部10を介してスピーカ部11に与えられて音声が再生される。これにより、外部メモリ20に記録された圧縮信号に基づく動画が音声とともに再生される。又、圧縮信号が画像信号のみより成るときは、ディスプレイ部9に画像のみが再生されることとなる。
【0032】
(超解像処理の基本概念)
次に、上述の撮像装置内の画像処理部4において実行される超解像処理の基本概念について、簡単に説明する。尚、超解像処理の基本概念を説明するにあたって、その説明を簡単にするために、画像データを1次元方向に並んだ複数画素の画素値によるものとするとともに、異なる時間に撮像された2フレームの画像データによる超解像処理が成されるものとする。又、以下の説明における画素値は、輝度値を示す。そして、図2(a)に、イメージセンサ1により撮像される被写体の輝度分布を示し、図2(b)〜(d)に、この被写体が異なる時間にイメージセンサ1により撮像された際の画像データ(低解像度実画像)を示す。又、図3に、図2における低解像度実画像により高解像度画像となる画像データを生成する際のフローチャートを示す。更に、図3では、各フローにおける信号の変遷を模式的に示す。
【0033】
図2(a)に示す輝度分布の被写体に対して、時間T1にイメージセンサ1によって撮像されたときの第1フレームのサンプル点がS1、S1+ΔS、S1+2ΔSであり、時間T2(T1≠T2)にイメージセンサ1によって撮像されたときの第2フレームのサンプル点がS2、S2+ΔS、S2+2ΔSであるものとする。又、このとき、第1フレームのサンプル点S1と第2フレームのサンプル点S2は、手ブレなどが原因となり、その位置にズレが生じているものとする。
【0034】
そして、サンプル点S1、S1+ΔS、S1+2ΔSは、被写体上のサンプル点を示し、図2(b)に示す第1フレームとなる低解像度実画像Faでは、このサンプル点S1、S1+ΔS、S1+2ΔSで撮像された輝度値が、画素P1,P2,P3における画素値pa1,pa2,pa3となる。又、サンプル点S2、S2+ΔS、S2+2ΔSは、被写体上のサンプル点を示し、図2(c)に示す第2フレームとなる低解像度実画像Fbでは、このサンプル点S2、S2+ΔS、S2+2ΔSで撮像された輝度値が、画素P1,P2,P3における画素値pb1,pb2,pb3となる。
【0035】
これにより、第1フレームとなる低解像度実画像Faの画素P1,P2,P3における画素値pa1,pa2,pa3が図2(b)のような関係となり、又、第2フレームとなる低解像度実画像Fbの画素P1,P2,P3における画素値pb1,pb2,pb3が図2(c)のような関係となる。このように、図2(b)による低解像度実画像Fa及び図2(c)による低解像度実画像Fbそれぞれは、図中の被写体の位置を基準にすると、画素位置が(S1−S2)だけずれた状態の画像となる。そして、低解像度実画像Faの画素P1,P2,P3を基準として低解像度実画像Fbを表した場合(即ち、低解像度実画像Fbを低解像度実画像Faに対する動き量(S1−S2)分だけ位置ズレ補正した場合)、低解像度実画像Fbが図2(d)のように表される。
【0036】
そして、図3(a)に示すように、位置ズレを補正した図2(b)及び図2(d)のような低解像度実画像Fa,Fbを組み合わせることで、高解像度画像Fx1を推定する(STEP31)。このとき、以下の説明を簡単にするために、例えば、解像度を1次元方向に対して2倍にするものとする。即ち、高解像度画像Fx1の画素として、低解像度実画像Fa,Fbの画素P1,P2,P3に加えて更に、画素P1,P2の中間位置に位置する画素P4と、画素P2,P3の中間位置に位置する画素P5とが設定されるものとする。
【0037】
低解像度実画像Faが基準である注目フレームとされると、画素P1,P2,P3での画素値が、低解像度実画像Faにおける画素値pa1,pa2,pa3とされる。又、画素P4については、画素P4との画素位置(画素の中心位置)の距離が、低解像度実画像Faにおける画素P1,P2の画素位置からの距離よりも低解像度実画像Fbにおける画素P1の画素位置からの距離の方が近いことより、画素値pb1とされるものとする。同様に、画素P5については、画素P5との画素位置(画素の中心位置)の距離が、低解像度実画像Faにおける画素P2,P3の画素位置からの距離よりも低解像度実画像Fbにおける画素P2の画素位置からの距離の方が近いことより、画素値pb2とされるものとする。このように、画素P1〜P5の画素値をpa1,pa2,pa3,pb1,pb2と設定して得られた高解像度画像を、高解像度画像Fx1として推定されるものとしても構わない。
【0038】
その後、STEP31で得られた高解像度画像Fx1に対して、ダウンサンプリング量やぼけ量や位置ズレ量(動き量に相当)などをパラメータとして備えた変換式による演算を行うことで、図3(b)のように、低解像度実画像Fa,Fbそれぞれに対する推定画像となる低解像度推定画像Fa1,Fb1を生成する(STEP32)。尚、図3(b)では、n回目の処理によって推定された低解像度推定画像、即ち、高解像度画像Fxnより推定された低解像度実画像Fa,Fbに相当する低解像度推定画像Fan,Fbnを示す。
【0039】
即ち、高解像度画像Fx1に基づいて、サンプル点S1、S1+ΔS、S1+2ΔSにおける画素値を推定して、取得した画素値pa11〜pa31を画素P1〜P3の画素値とする低解像度推定画像Fa1を生成する。同様に、高解像度画像Fx1に基づいて、サンプル点S2、S2+ΔS、S2+2ΔSにおける画素値を推定して、取得した画素値pb11〜pb31を画素P1〜P3の画素値とする低解像度推定画像Fb1を生成する。
【0040】
そして、図3(c)に示すように、このようにして得られた低解像度推定画像Fa1,Fb1それぞれと、低解像度実画像Fa,Fbそれぞれとの間における差分を求め、この差分を合成することで、高解像度画像Fx1に対する差分画像ΔFx1を取得する(STEP33)。尚、図3(c)では、n回目の処理によって取得された高解像度画像Fxnに対する差分画像ΔFxn、即ち、低解像度推定画像Fan,Fbnと低解像度実画像Fa,Fbとによる差分画像ΔFan、ΔFbnを合成することで得られた差分画像ΔFxnを示す。
【0041】
この図3(c)の処理によって、低解像度推定画像Fa1と低解像度実画像Faにおける画素P1,P2,P3での差分(pa11−pa1)、(pa21−pa2)、(pa31−pa3)による差分画像ΔFa1、低解像度推定画像Fa2と低解像度実画像Fbにおける画素P1,P2,P3での差分(pb11−pb1)、(pb21−pb2)、(pb31−pb3)による差分画像ΔFb1をそれぞれ求める。即ち、差分画像ΔFa1では、差分値(pa11−pa1)、(pa21−pa2)、(pa31−pa3)が画素値となり、差分画像ΔFb1では、差分値(pb11−pb1)、(pb21−pb2)、(pb31−pb3)が画素値となる。
【0042】
そして、差分画像ΔFa1,ΔFb1の画素値を合成することによって、画素F1〜F5それぞれにおける差分値を算出して、高解像度画像Fx1に対する差分画像ΔFx1を取得する。この差分画像ΔFa1,ΔFb1の画素値を合成によって差分画像ΔFx1を取得する際、例えば、ML法やMAP法では、二乗誤差を評価関数として用いる。即ち、ML法やMAP法の評価関数が、差分画像ΔFa1,ΔFb1の画素値を二乗してフレーム間で加算した値となる。よって、この評価関数の微分値である勾配は、差分画像ΔFa1,ΔFb1の画素値を2倍した値となるため、高解像度画像Fx1に対する差分画像ΔFx1は、差分画像ΔFa1,ΔFb1それぞれの画素値を2倍した値を用いて高解像度化することで算出される。
【0043】
その後、図3(d)に示すように、得られた差分画像ΔFx1における画素P1〜P5の画素値(差分値)が、STEP1で推定された高解像度画像Fx1における画素P1〜P5の画素値より減算されることで、図2(a)に示す輝度分布の被写体に近い画素値となる高解像度画像Fx2が再構成される(STEP34)。尚、図3(d)では、n回目の処理によって取得された高解像度画像Fx(n+1)、即ち、高解像度推定画像Fxnより差分画像ΔFxnが減算されて得られた高解像度画像Fx(n+1)を示す。
【0044】
そして、上述のSTEP32〜STEP34の処理を繰り返すことによって、STEP33で得られる差分画像ΔFxnの画素値が小さくなり、高解像度画像Fxnの画素値が、図2(a)に示す輝度分布の被写体に近い画素値に収束される。尚、n回目の処理におけるSTEP32及びSTEP34では、前回(n−1回目)の処理におけるSTEP34で得られた高解像度画像Fxnによって、低解像度推定画像Fan,Fbn及び高解像度推定画像Fx(n+1)が取得される。そして、差分画像ΔFxnの画素値(差分値)が所定値より小さくなったときや、差分画像ΔFxnの画素値(差分値)が収束されたとき、前の処理(n−1回目の処理)におけるSTEP34で得られた高解像度画像Fxnを、目的の高解像度画像として超解像処理を終了する。
【0045】
上述したフローを基本とする超解像処理として、[背景技術]で挙げたML法や、MAP法や、POCS法や、IBP法などが、画像処理部4で利用される。例えば、MAP法が利用される場合、STEP33において取得される高解像度画像Fxnに対する差分画像ΔFxnが、MAP法における評価関数を勾配法によって微分した値を画素値とする勾配画像で構成されるものとする。即ち、各画素位置での二乗誤差を画素値とする最小二乗法によって得られた差分画像ΔFan、ΔFbnを合成した高解像度画像Fxnの差分画像に、事後確率分布により拘束される高解像度画像Fxnの高速画像を加えた後、勾配法によって微分を行うことで、STEP33における差分画像ΔFxnに相当する勾配画像を取得する。そして、STEP34において、この勾配画像による差分画像ΔFxnを高解像度画像Fxnより減算することで、高解像度画像Fx(n+1)を再構築する。
【0046】
このような超解像処理が行う際に、上述したように、まず、STEP31のように、イメージセンサ1で撮影された複数フレームの低解像度実画像から高解像画像を推定することで、最適となる高解像画像の取得が可能となる。そして、このSTEP31の高解像画像の推定を行う際に最適となる低解像度実画像を、注目フレームを含む複数フレームの低解像度実画像より選択する必要がある。この最適な低解像度実画像の選択により、高解像画像の取得速度が高速化できるとともに、フレーム数を制限することで、超解像処理における演算にかかる画像処理部4での負荷を低減することができる。又、選択した複数フレームの低解像度実画像それぞれの間に発生する位置ズレ量となる動き量が検出され、検出された動き量に対する補正が成される。尚、この位置ズレ補正については、後述する。
【0047】
(低解像度実画像の選択)
以下では、上述の超解像処理において最適とされる低解像度実画像の選択の基本概念について、説明する。尚、低解像度実画像の選択の基本概念を説明するにあたって、その説明を簡単にするために、画像データが1次元方向に並んだ複数画素の画素値によるものとするとともに、撮像時間の異なる4フレームの低解像度実画像から3フレームの低解像度実画像が選択されるものとする。図4に、イメージセンサ1により撮像される被写体の輝度分布と、この被写体を異なる時間にイメージセンサ1により撮像された際の低解像度実画像とを示す。又、図5及び図6に、選択した3フレームの低解像度実画像による超解像処理結果を示す。
【0048】
図4(a)に示すように、時間T1にイメージセンサ1によって撮像されたときの第1フレームのサンプル点がS1、S1+ΔSであり、時間T2(T1≠T2)にイメージセンサ1によって撮像されたときの第2フレームのサンプル点がS2、S2+ΔSであり、時間T3(T3≠T2、T3≠T1)にイメージセンサ1によって撮像されたときの第3フレームのサンプル点がS3、S3+ΔSであり、時間T4(T4≠T3、T4≠T2、T4≠T1)にイメージセンサ1によって撮像されたときの第4フレームのサンプル点がS4、S4+ΔSであるものとする。又、このとき、第1〜第4フレームのサンプル点S1〜S4は、手ブレなどが原因となり、その位置にズレが生じているものとする。
【0049】
これにより、第1フレームとなる低解像度実画像Faの画素P1,P2における画素値pa1,pa2が図4(b)のような関係となり、又、第2フレームとなる低解像度実画像Fbの画素P1,P2における画素値pb1,pb2が図4(c)のような関係となり、第3フレームとなる低解像度実画像Fcの画素P1,P2における画素値pc1,pc2が図4(d)のような関係となり、又、第4フレームとなる低解像度実画像Fdの画素P1,P2における画素値pd1,pd2が図4(e)のような関係となる。
【0050】
尚、図4(b)〜(e)による低解像度実画像Fa〜Fdそれぞれは、低解像度実画像Fa〜Fdそれぞれのサンプル点S1〜S4,S1+ΔS〜S4+ΔSに相当する画素P1,P2を基準としている。又、このように、図4(b)〜図4(e)のような4フレームの低解像度実画像Fa〜Fdを異なる撮像時間に取得したとき、低解像度実画像Faを注目フレームとして超解像処理が成されるものとする。
【0051】
(1)2倍の解像度とする場合
1次元方向で、低解像度実画像の2倍の解像度の高解像度画像を取得する場合、低解像度実画像Fa〜Fdそれぞれの画素位置の中間点となる位置(中間位置)を、画素位置として追加設定される。即ち、図5(b)に示すように、高解像度画像Fxでは、画素P1,P2に加えて更に、画素P1,P2の中間点における画素Pxのように、低解像度実画像における画素間の中間点となる画素が補間画素として追加されて、高解像度画像Fxが2倍の画素数の画像とされる。即ち、補間画素は、高解像度画像を生成する際において、低解像度画像の画素間に補間される画素のことであり、図5の例においては、高解像度画像Fxの画素Pxに相当する。
【0052】
図5(b)に示す高解像度画像Fxを超解像処理によって取得するとき、まず、図5(a)のように、低解像度実画像Faの画素P1,P2を基準として、低解像度実画像Fa〜Fdにおける位置ズレを補正し、低解像度実画像Fa〜Fdの位置合わせ(「位置ズレ補正」に相当する)を行う。図5(a)のように動き量に基づく位置ズレを補正すると、低解像度実画像Faの画素P1,P2に対して、低解像度実画像Fb〜Fdの画素P1,P2の位置が、図4(c)〜図4(e)に示すサンプリング点S2〜S4と図4(a)に示すサンプリング点S1との間にできる動き量(S2−S1)、(S3−S1)、(S4−S1)だけずれることとなる。
【0053】
即ち、図5(a)に示すように、低解像度実画像Fa〜Fdを組み合わせたとき、画素P1,P2の画素値が、低解像度実画像Faの画素P1,P2の画素値pa1,pa2となる。そして、画素位置が画素P1,P2からS2−S1だけずれた画素位置PB1,PB2の画素値が、低解像度実画像Fbの画素P1,P2の画素値pb1,pb2(図4(c)参照)となる。同様に、画素位置が画素P1,P2からS3−S1だけずれた画素位置PC1,PC2の画素値が、低解像度実画像Fcの画素P1,P2の画素値pc1,pc2(図4(d)参照)となり、又、画素位置が画素P1,P2からS4−S1だけずれた画素位置PD1,PD2の画素値が、低解像度実画像Fdの画素P1,P2の画素値pd1,pd2(図4(e)参照)となる。
【0054】
この低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれと低解像度実画像Faとの動き量に基づく位置ズレが補正されると、注目フレームとなる低解像度実画像Faの画素P1,P2との位置関係によって、超解像処理として最適となる2フレームの低解像度実画像が、3フレームの低解像度実画像Fb〜Fdから選択される。そして、3フレームの低解像度実画像Fb〜Fdのうち、低解像度実画像Faの各画素間の中間位置(図5(a)の場合、画素Pxの画素位置に相当)に近い位置にサンプル点となる画素を備える低解像度実画像が選択される。
【0055】
即ち、図5(a)のように、低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれと低解像度実画像Faとの動き量(S2−S1)、(S3−S1)、(S4−S1)と画素間の距離ΔSとの関係が、|ΔS/2−|S2−S1||>|ΔS/2−|S4−S1||>|ΔS/2−|S3−S1||となるとき、低解像度実画像Fb〜Fdのサンプル点による画素位置が、低解像度実画像Faの各画素間の中間位置に対して、Fc,Fd,Fbの順に近いものとなる。尚、図5(a)中では、低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれと低解像度実画像Faとの動き量(S2−S1)、(S3−S1)、(S4−S1)と中間位置までの距離ΔS/2との大小関係が、(S2−S1)<(S3−S1)<ΔS/2<(S4−S1)となるものとする。
【0056】
これにより、低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれと低解像度実画像Faとの動き量の関係に基づいて、低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれが、Fc,Fd,Fbの順に、超解像処理に適しているものと判断される。よって、注目フレームとなる低解像度実画像Faを含む3フレームの低解像度実画像が選択されるため、低解像度実画像Fa,Fc,Fdが選択される。そして、選択された低解像度実画像Fa,Fc,Fdに基づいて上述の超解像処理が成されることにより、図5(b)のような高解像度画像Fxが得られる。
【0057】
尚、上述では説明を簡単にするために、低解像度実画像Fa〜Fdの位置ズレ補正(「位置合わせ」と同意)後の関係によって低解像度実画像の選択が行われるものとした。しかしながら、低解像度実画像Fa〜Fdそれぞれのサンプル点により得られる動き量に基づいて、注目フレームとなる低解像度実画像Faの各画素間の中間位置と距離を算出し、算出した距離が短いもの低解像度実画像から選択するものとしても構わない。
【0058】
このように、解像度を2倍とする場合、注目フレームとなる低解像度画像を基準として、複数の低解像度画像の位置ズレ補正をしたときに、注目フレームとなる低解像度画像における各画素間の中間位置、即ち、補間画素位置に近い位置に画素を備える低解像度画像を選択することで、超解像処理が成される。これにより、高解像度画像を取得する際の補間画素位置に近い画素位置における実画像の画素値を取得できるため、補間画素の画素値に近い値に基づいて補間画素の画素値が取得され、実際の被写体の輝度値に近い値とすることができる。
【0059】
更に、解像度を2倍とする場合、上述の例では、4フレームの低解像度実画像から注目フレームを含む3フレームの低解像度実画像を選択するものとしたが、n(nは、3以上の整数)フレームの低解像度実画像から注目フレームを含むm(mは、2以上n−1以下の整数)フレームの低解像度実画像を選択するものとであれば、そのフレーム数を限定するものではない。尚、画像処理部4での演算処理における負荷を軽減するために、選択対象となるnフレームの低解像度実画像、及び、選択されるmフレームの低解像度実画像それぞれのフレーム数を少なくすることが望ましい。
【0060】
(2)3倍の解像度とする場合
1次元方向で、低解像度実画像の3倍の解像度の高解像度画像を取得する場合、低解像度実画像Fa〜Fdそれぞれの画素位置の間を三等分する位置を、画素位置として追加設定される。即ち、図6(b)に示すように、高解像度画像Fy,Fzでは、画素P1,P2に加えて更に、画素P1,P2を三等分する位置における画素Px1,Px2のように、低解像度実画像における画素間を三等分する位置となる画素が補間画素として追加されて、高解像度画像Fyが3倍の画素数の画像とされる。
【0061】
図6(b)に示す高解像度画像Fyを超解像処理によって取得するとき、解像度を2倍とするときと同様、まず、図6(a)のように、低解像度実画像Faの画素P1,P2を基準として、低解像度実画像Fa〜Fdにおける動き量に基づく位置ズレを補正し、低解像度実画像Fa〜Fdの位置合わせを行う。尚、この位置合わせ(位置ズレ補正)は、解像度を2倍としたときの図5(a)と同様であり、注目フレームの低解像度実画像Faとの位置ズレ量(動き量)が同じ値となる。
【0062】
図6(a)のように、低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれと低解像度実画像Faとの位置ズレが補正されると、注目フレームとなる低解像度実画像Faの画素P1,P2との位置関係によって、超解像処理として最適となる低解像度実画像が、3フレームの低解像度実画像Fb〜Fdから選択される。このとき、選択するフレーム数によって、その選択する際の基準となる画素位置が異なる。即ち、上述の解像度を2倍とする場合の例では、低解像度実画像における画素間の中間位置と補間画素位置とが同一の位置であったため、判定の基準を、低解像度実画像における画素間の中間位置ともなる補間画素位置としたが、解像度を3倍とする場合は、低解像度実画像における画素間の中間位置と補間画素位置とが異なる。よって、(1−a)注目フレームとなる低解像度実画像Faの各画素間の中間位置を判定の基準とする場合と、(1−b)高解像度画像における補間画素位置を判定の基準とする場合とが、選択する低解像度実画像のフレーム数によって決定される。
【0063】
(1−a)注目フレームの各画素間の中間位置を基準とする例
本例におけるフレーム選択用の基準は、例えば、注目フレームとなる低解像度実画像Fa以外に、別の1フレームの低解像度実画像が、3フレームの低解像度実画像Fb〜Fdから選択されるように、超解像処理として最適となる低解像度実画像として選択するフレーム数が、低解像度実画像における画素間に配置される補間画素数(本例のように、解像度を3倍とする場合は補間画素が、低解像度実画像における画素間に2画素ずつ補間されるため、補間画素数は2となる)よりも少ないときに主に使用されることが好ましい。
【0064】
このように、注目フレームとなる低解像度実画像Faの各画素間の中間位置を基準として、超解像処理において最適な低解像度画像を選択するとき、解像度を2倍にするときと同様、そのサンプル点が低解像度実画像Faの各画素間の中間位置に近い低解像度実画像が選択されることとなる。即ち、例えば、注目フレームとなる低解像度実画像Fa以外に、3フレームの低解像度実画像Fb〜Fdから1フレームを選択する場合、上述したように、低解像度実画像Fb〜Fdのサンプル点による画素位置が、低解像度実画像Faの各画素間の中間位置に対して、Fc,Fd,Fbの順に近いため(図5(a)及び図6(a)参照)、低解像度実画像Fcが選択される。よって、低解像度実画像Fa,Fcによって、上述の超解像処理が行われて、図6(b)のような高解像度画像Fyが得られる。
【0065】
尚、本例のように基準を設定するとき、超解像処理として最適となる低解像度実画像の選択するフレーム数が多い場合でも、その選択動作に対する演算処理の負荷を低減する場合にも有効である。よって、注目フレームとなる低解像度実画像Fa以外に、3フレームの低解像度実画像Fb〜Fdから2フレームを選択する場合、上述したように、低解像度実画像Fb〜Fdのサンプル点による画素位置が、低解像度実画像Faの各画素間の中間位置に対して、Fc,Fd,Fbの順に近いため(図5(a)及び図6(a)参照)、低解像度実画像Fc,Fdが選択される。よって、低解像度実画像Fa,Fc,Fdによって、上述の超解像処理が行われて、図6(c)のような高解像度画像Fzが得られる。
【0066】
(1−b)高解像度画像における補間画素位置を判定の基準とする例
本例におけるフレーム選択用の基準は、例えば、注目フレームとなる低解像度実画像Fa以外に、別の2フレームの低解像度実画像が、3フレームの低解像度実画像Fb〜Fdから選択されるように、超解像処理として最適となる低解像度実画像として選択するフレーム数が、低解像度実画像における画素間に配置される補間画素数(本例のように、解像度を3倍とする場合は補間画素が、低解像度実画像における画素間に2画素ずつ補間されるため、補間画素数は2となる)以上とされるときに使用されることが好ましい。
【0067】
このように、生成される高解像度画像の補間画素位置を基準として、超解像処理において最適な低解像度画像を選択するとき、そのサンプル点が低解像度実画像Faの各画素間において1/3又は2/3となる位置に近解像度実画像が選択されることとなる。即ち、低解像度実画像Faの各画素との距離がΔS/3又は2ΔS/3となる位置(図6(b)の高解像度画像Fy,Fzにおける補間画素Px1,Px2の画素位置に相当する)を基準とし、この基準に対してそのサンプル点が近くなる低解像度画像から順に選択する。
【0068】
即ち、図6(a)のように、低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれと低解像度実画像Faとの動き量(S2−S1)、(S3−S1)、(S4−S1)と画素間の距離ΔSとの関係が、|ΔS/3−|S2−S1||=|ΔS/3−|S3−S1||>|2ΔS/3−|S4−S1||となるとき、低解像度実画像Fb〜Fdのサンプル点による画素位置が、低解像度実画像Faの各画素との距離がΔS/3又は2ΔS/3となる位置に対して、低解像度実画像Fdのサンプル点が最も近いものとなる。そして、低解像度実画像Faの各画素との距離がΔS/3となる位置に対して、低解像度実画像Fb,Fcそれぞれのサンプル点が等しい位置となる。
【0069】
尚、図6(a)中では、低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれと低解像度実画像Faとの動き量(S2−S1)、(S3−S1)、(S4−S1)と補間画素までの距離ΔS/3、2ΔS/3との大小関係が、(S2−S1)<ΔS/3<(S3−S1)<(S4−S1)<2ΔS/3となるものとする。又、低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれと低解像度実画像Faとの動き量(S2−S1)、(S3−S1)と中間位置までの距離ΔS/2との大小関係が、(S2−S1)<(S3−S1)<ΔS/2となる。即ち、低解像度画像Fb,Fcについては、低解像度実画像Faの各画素間の中間位置に対して、Fc,Fbの順に近いものとなる。
【0070】
これにより、低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれと低解像度実画像Faとの動き量の関係に基づいて、まず、高解像度画像における補間画素位置に最も近い位置をサンプル点とする低解像度実画像Fdが、超解像処理に適しているものと判断される。そして、そのサンプル点が補間画素位置に次に近い低解像度実画像が、低解像度実画像Fb,Fcの2フレームとなるため、この2フレームから1フレームを選択する必要がある。このとき、そのサンプル点が低解像度実画像Faの各画素間の中間位置に近い低解像度実画像Fcが選択される。このようにすることで、低解像度実画像Fc,Fdが選択され、低解像度実画像Fa,Fc,Fdによって、上述の超解像処理が行われて、図6(c)のような高解像度画像Fzが得られる。
【0071】
図6(a)の場合と異なる場合についても、図7を参照して以下に説明する。尚、図7は、低解像度実画像Fa〜Fdそれぞれのサンプル点S1〜S4の位置関係を示す図である。例えば、図7(a)のように、低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれと低解像度実画像Faとの動き量(S2−S1)、(S3−S1)、(S4−S1)と画素間の距離ΔSとの関係が、|ΔS/3−|S2−S1||>|ΔS/3−|S3−S1||>|2ΔS/3−|S4−S1||となるときは、そのサンプル点と高解像度画像の補間画素との距離によってのみ選択される。即ち、図7(a)の場合では、そのサンプル点と高解像度画像の補間画素との距離が、Fd,Fc,Fbの順に近くなるため、低解像度実画像Fd,Fcが選択される。
【0072】
又、図7(b)のように、|ΔS/3−|S3−S1||>|ΔS/3−|S2−S1||>|2ΔS/3−|S4−S1||となるときは、そのサンプル点と高解像度画像の補間画素との距離が、Fd,Fb,Fcの順に近くなるため、低解像度実画像Fd,Fbが選択される。尚、図7(a)及び図7(b)において、低解像度実画像Fb〜Fdそれぞれと低解像度実画像Faと動き量(S2−S1)、(S3−S1)、(S4−S1)と補間画素までの距離ΔS/3、2ΔS/3との大小関係が、(S2−S1)<ΔS/3<(S3−S1)<ΔS/2<(S4−S1)<2ΔS/3となるものとする。
【0073】
又、図7(c)及び図7(d)のように、|ΔS/3−|S2−S1||=|2ΔS/3−|S3−S1||>|2ΔS/3−|S4−S1||となるときは、まず、そのサンプル点と高解像度画像の補間画素との距離が最も近い低解像度実画像Fdが選択される。そして、図7(c)のように、ΔS/3<(S2−S1)<ΔS/2<(S3−S1)<(S4−S1)<2ΔS/3となるとき、低解像度実画像Faの画素との距離が2ΔS/3となる補間画素(補間画素Px2に相当)に近い位置をサンプル点とする低解像度実画像Fdが既に選択されているため、低解像度実画像Faの画素との距離がΔS/3となる補間画素(補間画素Px1に相当)に近い位置をサンプル点とする低解像度実画像Fbが選択されることとなる。
【0074】
更に、図7(d)のように、(S2−S1)<ΔS/3<ΔS/2<(S3−S1)<(S4−S1)<2ΔS/3となるとき、図7(c)の場合のように、低解像度実画像Faの画素との距離がΔS/3となる補間画素(補間画素Px1に相当)に近い位置をサンプル点とする低解像度実画像Fbが選択されるものとしても構わないし、図6(a)の場合のように、低解像度実画像Faの各画素間の中間位置に近い位置をサンプル点とする低解像度実画像Fcが選択されるものとしても構わない。
【0075】
又、図7(d)の場合、低解像度実画像Fb,Fcのいずれを選択するかの基準について、補間画素との距離の長さによって変更するものとしても構わない。即ち、補間画素と低解像度実画像Fb,Fcのサンプル点との距離が所定値より短い場合は、低解像度実画像Faの画素との距離がΔS/3となる補間画素に近い位置をサンプル点とする低解像度実画像Fbを選択する。逆に、補間画素と低解像度実画像Fb,Fcのサンプル点との距離が所定値より長い場合は、低解像度実画像Faの各画素間の中間位置に近い位置をサンプル点とする低解像度実画像Fcを選択する。
【0076】
このように、低解像度実画像の3倍の解像度の高解像度画像を取得する場合について説明したが、解像度を4倍以上に設定する場合も同様に、超解像処理に適した低解像度実画像を選択することができる。即ち、選択するフレーム数が少ない場合や選択動作における演算処理を簡単なものとする場合は、注目フレームとなる低解像度実画像の各画素間の中間位置に近い位置を基準とすることで、超解像処理を行うための低解像度実画像の選択が行われる。
【0077】
又、選択するフレーム数が多くなる場合は、まず、高解像度画像の補間画素位置を基準とすることで選択する。そして、補間画素位置とサンプル点との距離が等しい低解像度実画像が存在する場合は、選択した低解像度実画像のサンプル点との距離を求めるための対象とされていない補間画素位置と、注目フレームとなる低解像度実画像の各画素間の中間位置とサンプル点との距離との関係に基づいて、超解像処理を行うための低解像度実画像の選択が行われる。
【0078】
(位置ズレ補正)
以下では、位置ズレ補正動作について簡単に説明する。この位置ズレ補正は、低解像度実画像に対して成されるものであり、超解像処理における注目フレームとなる低解像度実画像を基準として行われる。即ち、超解像処理に最適な低解像度実画像として選択した注目フレーム以外の低解像度実画像が、基準となる注目フレームとなる低解像度実画像に対する位置ズレ補正が成される。このとき、連続する2つの低解像度画像毎に動き量を検出した後、検出した動き量の総和を求めることで、注目フレームとなる低解像度実画像との動き量を求める。そして、求めた動き量に基づいて、注目フレーム以外の超解像処理に最適な低解像度画像の位置ズレ補正が成される。
【0079】
即ち、動き量の検出は、まず、時間的に連続した2フレームの低解像度画像の一方を基準画像とし、他方を非基準画像として検出される。そして、注目フレームから数えてnフレーム目となる低解像度画像の場合、注目フレームとなる低解像度画像との動き量が、nフレームの低解像度画像間における動き量の総和を求めることで検出される。尚、この動き量の検出については、超解像処理に最適な低解像度実画像を選択する際においても利用される。
【0080】
そして、この動き量の検出において、連続する2フレームの低解像度画像である基準画像と非基準画像との間における動き量が検出されるが、この動き量検出については、例えば、周知の代表点マッチング法によって、画像間における画素単位の動き量が検出され、その後、1画素内における動き量について、画素単位の位置ズレ補正された近隣画素の画素値の関係に基づいて検出されるものとしても構わない。以下に、代表点マッチング法と、1画素内における動き量検出とについて、簡単に説明する。
【0081】
(1)代表点マッチング法
基準画像及び非基準画像それぞれに対して、例えば、図8に示すように、a×bの画素群(例えば、36×36の画素群)を1つの小領域eとして分割し、更に、このp×q領域の小領域e群(例えば、6×8の小領域e群)を1つの検出領域Eとして分割する。そして、基準画像では、各小領域eにおいて、図9(a)のように、小領域eを構成するa×bの画素から1つの画素が代表点Rとして設定され、又、非基準画像では、各小領域eにおいて、図9(b)のように、小領域eを構成するa×bの画素のうちの複数の画素がサンプリング点Sとして設定される(例えば、a×bの画素全てをサンプリング点Sとしても構わない)。
【0082】
このように、小領域e及び検出領域Eを設定すると、基準画像と非基準画像の同一位置となる小領域eについて、非基準画像の各サンプリング点Sの画素値と基準画像の代表点Rの画素値との差が、各サンプリング点Sでの相関値として求められる。そして、検出領域E毎に、各小領域e間で代表点Rとの相対位置が同一となるサンプリング点Sの相関値を、検出領域Eを構成する全ての小領域e分だけ累積加算することで、各サンプリング点Sにおける累積相関値を取得する。これにより、検出領域E毎に、代表点Rとの相対位置が同一となるp×q個のサンプリング点Sの相関値が累積加算されることで、サンプリング点の個数分の累積相関値が得られる(例えば、a×bの画素全てをサンプリング点Sとする場合、a×b個の累積相関値が得られることとなる)。
【0083】
このようにして、各検出領域Eに対して、各サンプリング点Sに対する累積相関値が求められると、各検出領域Eにおいて、代表点Rと相関性が最も高いと考えられる累積相関値が最小となるサンプリング点Sが検出される。そして、各検出領域Eでは、累積相関値が最小となるサンプリング点Sと代表点Rとの動き量が、それぞれの画素位置によって求められる。その後、各検出領域Eそれぞれに対して求められた動き量を平均することで、この平均値を、基準画像と非基準画像との間の画素単位による動き量として検出する。
【0084】
(2)1画素内の動き量検出
上述のように、画素単位による動き量を検出すると、更に、1画素内における動き量が検出される。このとき、例えば、まず、図8に示す小領域e毎に、基準画像の代表点Rとなる画素の画素値と、上述の代表点マッチング法によって得られた動き量によって代表点Rと相関性の高いサンプリング点Sxとなる画素及び周辺画素それぞれの画素値との関係によって、1画素内における動き量を検出する。
【0085】
即ち、各小領域eにおいて、基準画像で画素位置(ar,br)となる代表点Rの画素値La(図10(a)参照)と、非基準画像において画素位置(as,bs)となるサンプル点Sxの画素値Lbと、サンプル点Sxと水平方向に隣接する画素位置(as+1,bs)の画素値Lc(図10(b)参照)と、サンプル点Sxと垂直方向に隣接する画素位置(as,bs+1)の画素値Ld(図10(b)参照)との関係によって、1画素内における動き量が検出される。このとき、代表点マッチング法により、基準画素から非基準画像への画素単位の動き量が、(as−ar,bs−br)となるベクトル量で表される値となる。
【0086】
又、図11(a)のように、サンプル点Sxとなる画素から水平方向に1画素ずれることで、画素値Lbから画素値Lcに線形的に変化するものとし、図11(b)のように、サンプル点Sxとなる画素から垂直方向に1画素ずれることで、画素値Lbから画素値Ldに線形的に変化するものとする。そして、図10(a)及び図10(b)のような関係より、画素値Lb,Lcの間で画素値Laとなる水平方向の位置Δx(=(La−Lb)/(Lc−Lb))を求めるとともに、画素値Lb,Ldの間で画素値Laとなる垂直方向の位置Δy(=(La−Lb)/(Ld−Lb))を求める。即ち、(Δx,Δy)で表されるベクトル量が、基準画素と非基準画素との間における、1画素内での動き量として求められる。
【0087】
このようにして、小領域eそれぞれにおける1画素内での動き量を求めると、求めた動き量を平均することで、この平均値を、基準画像と非基準画像との間の画素単位による動き量として検出する。そして、代表点マッチング法によって得られた画素単位による動き量に、求めた1画素内での動き量を加えることによって、基準画像と非基準画像との間における動き量を算出することができる。
【0088】
そして、この動き量検出により、連続する2フレームの低解像度画像間における動き量が検出されると、注目フレームとなる低解像度画像までの複数フレームの低解像度画像間の動き量の総和を算出することで、注目フレームとなる低解像度画像との動き量が検出される。上記の方法による動き量検出によって取得された動き量によって、超解像処理に最適となる低解像度画像の選択を行うことができるとともに、選択した低解像度画像に対して、注目フレームとなる低解像度画像を基準とした位置ズレ補正を行うことができる。尚、動き量検出については、上記の方法を例に挙げて説明したが、画素内における動き量まで検出できるものであれば、他の方法を用いることによって、注目フレームとなる低解像度画像(基準画像)と他の低解像度画像(非基準画像)との動き量を検出するようにしても構わない。
【0089】
(画像処理部の構成例)
上述のようにして、超解像処理や、低解像度画像の選択処理や、動き量検出及び位置ズレ補正処理を行う画像処理部4の構成例を、図12に示す。以下に、この図12のブロック図に示す画像処理部4の構成について、簡単に説明する。
【0090】
図12に示す画像処理部4は、AFE2でデジタル信号とされた複数フレーム分の低解像度実画像となる画像信号を一時的に記憶するフレームメモリ41と、AFE2より入力される現フレームの低解像度実画像による画像信号とフレームメモリ41に記憶された現フレームより1フレーム前の低解像度実画像による画像信号とが与えられて動き量を算出する動き量算出部42と、動き量算出部42で検出された動き量に基づいてAFE2からの現フレームの低解像度実画像に対する超解像処理を行うのに最適な低解像度実画像の選択を行う画像評価部43と、画像評価部43によって選択が指示された低解像度実画像がフレームメモリ41から与えられて現フレームの低解像度実画像との位置ズレが補正される位置ズレ補正部44と、AFE2からの現フレームの低解像度実画像と位置ズレ補正部44で位置ズレが補正された画像評価部43により選択された低解像度実画像とが与えられて超解像処理を行う超解像演算部45と、超解像演算部45で超解像処理が施された高解像度画像による画像信号又はAFE2から直接与えられた画像信号より輝度信号及び色差信号を生成する信号処理部46と、を備える。
【0091】
このように構成される画像処理部4の動作について説明する。操作部15による高解像度化が要求されていない場合は、AFE2でデジタル信号に変換された画像信号が1フレーム毎に信号処理部46に与えられる。そして、信号処理部46において、与えられた画像信号から輝度信号及び色差信号を生成し、1フレーム毎、取得された輝度信号及び色差信号を、圧縮処理部6に与えることによって、圧縮処理部6で圧縮符号化される。
【0092】
又、操作部15によって高解像度化が要求されると、AFE2でデジタル信号に変換された画像信号が1フレーム毎に、フレームメモリ41、動き量算出部42、及び、超解像演算部45に与えられる。そして、画像評価部43では、指定された解像度と、選択する低解像度実画像のフレーム数とによって、上述したように、選択するための基準を設定する。即ち、超解像処理に適した低解像度実画像を選択するための基準位置を、低解像度実画像の画素位置の中間点となる位置及び高解像度実画像の補間画素位置から決定する。
【0093】
このようにして、各ブロックの設定が行われると、AFE2から与えられる現フレームの低解像度実画像が超解像演算部45に与えられ、超解像処理を行うための注目フレームとされる。又、動き量算出部42では、現フレームの低解像度実画像と現フレームの1フレーム前の低解像度実画像との間における動き量が、上述の動き量検出処理によって求められる。そして、この連続した2フレームの低解像度実画像間の動き量は、画像評価部43に与えられて記憶される。
【0094】
画像評価部43では、上述したように、連続した2フレーム毎に求められた低解像度実画像間の動き量を加算することで、フレームメモリ41内に一時的に記憶された複数フレームの低解像度実画像それぞれにおける、AFE2より与えられた現フレームの低解像度実画像との間における動き量を求める。そして、フレームメモリ41内に一時的に記憶された複数フレームの低解像度実画像全てに対して求められた、現フレームの低解像度実画像との間における動き量に基づいて、超解像処理に適した低解像度実画像を選択する。即ち、超解像演算部45でNフレームの低解像度実画像が使用される場合、画像評価部43では、上述した低解像度実画像の選択処理を行うことで、注目フレームとなる現フレームの低解像度実画像との間における動き量によって、フレームメモリ41に記憶された低解像度実画像より、N−1フレームの低解像度実画像を選択する。
【0095】
このようにして、画像評価部43での低解像度実画像の選択が成されると、位置ズレ補正部44に与えるフレームをフレームメモリ41に通知するとともに、選択したフレームに対して算出した動き量を位置ズレ補正部44に通知する。よって、フレームメモリ41では、画像評価部43より超解像処理のために選択されたことが通知されたフレームの低解像度実画像となる画像信号を、位置ズレ補正部44に送出する。
【0096】
そして、フレームメモリ41では、画像評価部43によって選択されなかったフレームの低解像度実画像となる画像信号を削除する。尚、選択されなかったフレームの画像信号をフレームメモリ41より削除するとき、AFE2より入力された現フレーム(注目フレームに相当)となる画像信号については、削除の対象から除かれるため、フレームメモリ41に記憶され、次のフレームにおいて選択の対象となる。このように、選択されなかったフレームの画像信号が削除されるため、次のフレームの画像信号がAFE2より入力されると、画像評価部43では、削除されずにフレームメモリ41に記憶されたままのフレームの画像信号の中から、超解像処理に最適となるフレームの画像信号が選択される。
【0097】
又、超解像処理に使用するために選択されたフレームの低解像度実画像となる画像信号がフレーム毎に位置ズレ補正部44に与えられると、与えられたフレームに対する現フレーム(注目フレームに相当)からの動き量も、画像評価部43より位置ズレ補正部44に与えられる。そして、位置ズレ補正部44では、画像評価部43からの動き量に基づいて、上述の位置ズレ補正動作を行い、その画素位置が、基準となる現フレームの低解像度実画像の画素位置に基づく位置に変更される。そして、位置ズレ補正部44で位置ズレ補正が成された低解像度実画像の画像信号は、超解像演算部45に与えられる。
【0098】
超解像演算部45では、画像評価部43で超解像処理用に選択された全てのフレームの低解像度実画像となる画像信号が、位置ズレ補正部44で位置ズレ補正が成されて与えられるとともに、AFE2より、注目フレームとなる現フレームの低解像度実画像となる画像信号が与えられる。そして、AFE2及び位置ズレ補正部44それぞれから与えられた画像信号に対して、上述した超解像処理を施すことによって、元の低解像度実画像から高解像化された高解像度画像が得られる。このようにして得られた高解像度画像による画像信号が信号処理部46に与えられる。そして、信号処理部46では、与えられた1フレームの高解像度画像となる画像信号から輝度信号及び色差信号を生成した後、圧縮処理部6に送出する。
【0099】
尚、本例において、フレームメモリ41では、超解像処理に選択されなかったフレームの低解像度実画像となる画像信号が削除されるものとしたが、AFE2から入力される画像信号のフレームが更新される度に、1フレームずつ、最も古くに記憶された低解像度実画像となる画像信号が削除されるものとしても構わない。
【0100】
又、AFE2に入力されたばかりの現フレームの低解像度実画像を、超解像演算部45での超解像処理における注目フレームとしたが、フレームメモリ41に記憶された最も古いフレームの低解像度実画像を、超解像演算部45での超解像処理における注目フレームとするものとしても構わない。このとき、AFE2から入力される画像信号のフレームが更新される度に、フレームメモリ41では、超解像処理が終了したフレームの低解像度実画像となる画像信号が削除される。
【0101】
(超解像演算部の第1例)
更に、このような画像処理部4における超解像演算部45の第1例について、MAP法による超解像演算を行うものを例に挙げて、以下に説明する。図13は、超解像演算部45の内部構成を示すブロック図である。又、図13の構成例では、超解像演算部45が、フレームメモリ41より2フレーム分の低解像度実画像が選択されることで、高解像度画像の生成を行うものとする。
【0102】
図13に示す超解像演算部45は、AFE2からの現フレームとなる低解像度実画像及び位置ズレ補正部44で位置ズレ補正が成された2フレーム分の低解像度実画像が与えられて初期高解像度画像となる高解像度画像を推定する初期高解像度推定部451と、初期高解像度推定部451で推定されて得られた高解像度画像とフレームメモリ455に一時記憶された高解像度画像のいずれか1つを選択して後段に与える選択部452と、選択部452で選択された高解像度画像と3フレーム分の低解像度実画像とによって高解像画像の更新量を求める高解像度更新量算出部453と、選択部452で選択された高解像度画像から高解像度更新量算出部453で得られた更新量を減算する減算部454と、減算部454で生成された高解像度画像を記憶するフレームメモリ455と、を備える。尚、選択部452では、1回目の選択動作において、初期高解像度推定部451で推定された初期高解像度画像を選択し、2回目以降の選択動作において、フレームメモリ455に一時記憶された高解像度画像を選択する。
【0103】
次に、このように構成される超解像演算部45の動作について、図3を参照して説明する。尚、低解像度実画像を含む低解像度画像の画素数をuとし、初期高解像度画像を含む高解像度画像の画素数をvとする。そして、u画素による低解像度実画像Faの各画素値がYa=[ya1,ya2,…,yau]となり、u画素による低解像度実画像Fbの各画素値がYb=[yb1,yb2,…,ybu]となり、u画素による低解像度実画像Fbの各画素値がYc=[yc1,yc2,…,ycu]となる。画像処理部4における超解像処理が行われるとき、AFE2より現フレームとなる低解像度実画像Faが初期高解像度推定部451に与えられる。このとき、画像評価部43によってフレームメモリ41より選択されるとともに位置ズレ補正部44で位置ズレ補正が成された2フレーム分の低解像度実画像Fb,Fcも、初期高解像度推定部451に与えられる。
【0104】
(1)初期高解像画像による処理
これにより、初期高解像度推定部451では、図3(a)に示すSTEP31のように、動き量算出部42で得られた動き量に基づいて、3フレームの低解像度実画像Fa〜Fc間の位置ズレを検出する。そして、低解像度実画像Fa〜Fcの各画素値Ya〜Ycに対して、動き量により確認された位置ズレを利用した補間処理を施すことで、v画素による初期高解像度画像Fx1を取得する。尚、高解像度画像Fx1〜Fxnそれぞれの各画素値を、X=[x1,x2,…,xv]となるものとする。この初期高解像度推定部451で初期高解像度画像Fx1を生成する際、高解像度画像生成用のフィルタの一部にメディアンフィルタなどによるノイズ低減処理を行うフィルタを用いることや、高解像度画像生成用のフィルタのタップ数を広げることで、S/N比(信号/ノイズ比)を高くすることが好ましい。
【0105】
このようにして初期高解像度推定部451から初期高解像度画像Fx1が出力されると、選択部452によって、この初期高解像度画像Fx1が選択されて、高解像度更新量算出部453に与えられる。この高解像度更新量算出部453では、動き量算出部42で得られた動き量が与えられることで、動き量に基づいて、高解像実画像Fxに対する低解像度実画像Fa〜Fcそれぞれの位置ズレや低解像化によるぼけが算出される。この動き量より得られる位置ズレやぼけと、v画素の高解像度画像Fxnからu画素の低解像度実画像Fa〜Fcに相当する低解像度推定画像Fan〜Fcnへのダウンサンプリング量とを含むカメラパラメータ行列Wa〜Wcが求められる。
【0106】
そして、選択部452を通じて与えられた初期高解像度画像Fx1に対して、カメラパラメータ行列Wa〜Wcが乗算されることで、図3(b)に示すSTEP32のように、低解像度実画像Fa,Fb,Fcに擬似的に類似させた低解像度推定画像Fa1(=Wa・X),Fb1(=Wb・X),Fc1(=Wc・X)が推定される。又、この高解像度更新量算出部453は、AFE2及び位置ズレ補正部44からの3フレーム分の低解像度実画像Fa〜Fcが与えられることで、推定した低解像度推定画像Fa1〜Fc1と低解像度実画像Fa〜Fcとの二乗誤差による差分|Wa・X−Ya|2〜|Wc・X−Yc|2が求められる。
【0107】
この低解像度推定画像Fa1〜Fc1と低解像度実画像Fa〜Fcとの差分による評価関数Iが、それぞれの差分の加算値に、選択部452で選択された高解像度画像によって得られる拘束項が付加された形で求められる。即ち、求められる評価関数Iは、|Wc・X−Yc|2+|Wb・X−Yb|2+|Wc・X−Yc|2+γ|CX|2となる。尚、この評価関数Iの拘束項γ|CX|2において、行列Cが、事前確率モデルに基づく行列であり、「高解像度画像には高域成分が少ない」という事前知識に基づき、例えば、ラプラシアンフィルタなどのハイパスフィルタによって構成される。又、係数γは、拘束項の評価関数Iにおける重みの強さを表すパラメータである。
【0108】
このようにして求められた評価関数Iに対して勾配法によって最小化を行うため、評価関数Iに対する勾配∂I/∂X(=2×{WaT・(Wa・X−Ya)+WbT・(Wb・X−Yb)+WcT・(Wc・X−Yc)+γCT・C・X})が求められる。この更新量となる勾配∂I/∂Xを求めることで、高解像度更新量算出部453において、図3(c)によって示すSTEP33における差分画像ΔFx1が求められることとなる。尚、添え字である「T」は、転置行列を表す。
【0109】
このようにして算出した勾配∂I/∂Xによる更新量が、高解像度更新量算出部453より減算部454に与えられると、減算部454では、図3(d)におけるSTEP34のように、選択部452を介して初期高解像度推定部451より与えられる初期高解像度画像Fx1より、勾配∂I/∂Xによる更新量を減算する。この減算部454の減算結果により、v画素の画素値それぞれが(X−∂I/∂X)となる高解像度画像Fx2が得られる。そして、この新たに得られた高解像度画像Fx2が減算部454より出力されて、フレームメモリ455に与えられて、一時的に記憶される。
【0110】
(2)生成後の高解像画像による処理
上述のように、初期高解像度画像Fx1を取得して、高解像度画像の更新量を勾配∂I/∂Xし、新たな高解像度画像Fx2を取得すると、選択部452は、フレームメモリ455に格納された高解像度画像を選択して高解像度更新量算出部453に与える。即ち、n(n≧2の整数)回目の演算処理の場合、フレームメモリ455に格納された高解像度画像Fxnが選択部452によって読み出されて、高解像度更新量算出部453に与えられる。
【0111】
よって、高解像度更新量算出部453では、フレームメモリ455に格納された高解像度画像Fxnによって、低解像度推定画像Fan(=Wa・X)〜Fcn(=Wc・X)を推定する。このようにして求められた低解像度推定画像Fan〜Fcnと、入力される低解像実画像Fa〜Fc及び高解像度画像Fxnとによって、更新量となる∂I/∂X(=2×{WaT・(Wa・X−Ya)+WbT・(Wb・X−Yb)+WcT・(Wc・X−Yc)+γCT・C・X})による差分画像ΔFxnが、高解像度更新量算出部453で求められる。そして、減算部454において、高解像度更新量算出部453で求められた差分画像ΔFxnが、選択部452を介してフレームメモリ455から与えられる高解像度画像Fxnより減算されて、即ち、X−∂I/∂Xの演算が行われることで、新たに高解像度画像Fx(n+1)が得られる。
【0112】
そして、超解像演算部45において、高解像度更新量算出部453による演算処理回数をn回に設定している場合は、減算部454で新たに得られた高解像度画像Fx(n+1)を、減算部454から信号処理部46に出力する。又、超解像演算部45内において、高解像度更新量算出部453による演算処理回数をn+1回以上に設定している場合は、高解像度画像Fx(n+1)をフレームメモリ455に与えて一時記憶して、n+1回目の演算処理を行う。
【0113】
この超解像演算部45内における高解像度更新量算出部453及び減算部454による演算処理の繰り返し回数については、動画撮影や静止画の連続撮影などのように、1フレームの撮影間隔が短い場合は、その回数が少なくなるように設定される。又、連続撮影以外の通常の静止画撮影の場合は、その回数が、動画撮影や静止画の連続撮影の場合よりも多くなるように設定されるものとしても構わない。
【0114】
(超解像演算部の第2例)
上述の画像処理部4における超解像演算部45の第2例について、MAP法による超解像演算を行うものを例に挙げて、以下に説明する。図14は、超解像演算部45の内部構成を示すブロック図である。
【0115】
図14に示す超解像演算部45は、図13に示す超解像演算部45の構成における選択部452、高解像度更新量算出部453、減算部454、及びフレームメモリ455の代わりに、上述の第1例における超解像演算部45内での高解像度画像の更新処理を2回反復する高解像度画像更新部456を備える。この高解像度画像更新部456には、AFE2からの現フレームとなる低解像度実画像Faと、位置ズレ補正部44で位置ズレ補正が成された低解像度実画像Fb,Fcとが与えられるとともに、初期高解像度推定部451で推定された高解像度画像Fx1が与えられる。そして、上述の第1例と同様、u画素による低解像度実画像Fa〜Fcの画素値を、Ya〜Ycとするとともに、v画素による高解像度画像Fx1の画素値を、Xとする。
【0116】
本例における超解像演算部45は、第1例の場合と同様、初期高解像度推定部453において、AFE2からの低解像度実画像Faと、位置ズレ補正部44で位置ズレ補正が成された低解像度実画像Fb,Fcとによって、初期高解像度画像Fx1が生成される。そして、超高解像度画像更新部456に対して、初期高解像度画像Fx1の画素値Xと、低解像度実画像Fa〜Fcそれぞれの画素値Ya〜Ycとが与えられる。
【0117】
超高解像度画像更新部456では、まず、上述した勾配∂I/∂X(=2×{WaT・(Wa・X−Ya)+WbT・(Wb・X−Yb)+WcT・(Wc・X−Yc)+γCT・C・X})が求められる。次に、この勾配∂I/∂Xに基づいて、新たな高解像度画像Fx2の画素値X1(=X−∂I/∂X)が求められる。その後、この画素値X1に対する勾配∂I/∂X1(=2×{WaT・(Wa・X1−Ya)+WbT・(Wb・X1−Yb)+WcT・(Wc・X1−Yc)+γCT・C・X1})が求められ、この勾配∂I/∂X1を画素値X1より減算することで、2回の更新動作による高解像度画像Fx3の画素値X2(=X1−∂I/∂X1)が得られる。
【0118】
この超高解像度画像更新部456は、FIR(Finite Impulse Response)フィルタによって構成することができる。超高解像度画像更新部456をFIRフィルタによって構成するときのフィルタ係数の算出方法について、図面を参照して、以下に説明する。尚、説明を簡単にするために、超解像演算部45において、低解像度実画像の2倍となる解像度の高解像度画像が生成されるものとする。又、フレームメモリ41より選択される2フレーム分の低解像度実画像Fb,Fcがそれぞれ、現フレームとなる低解像度実画像Faに対して、水平方向又は垂直方向のいずれか一方向において高解像度画像における画素単位での動き量が発生しているものとする。
【0119】
更に、高解像度画像より低解像度推定画像を生成するためのPSF(Point Spread Function)関数(点広がり関数)が、図15(a)のような3×3のぼけフィルタによって与えられるとともに、拘束γ|CX|2が「0」であるものとする。そして、高解像度画像における注目画素を、図15(b)に示すように、xpq(p、qは自然数)としたとき、図15(a)に示す3×3の行列によるPSFボケ関数における係数k11〜k33がそれぞれ、高解像度画像の3×3の画素x(p-1)(q-1)〜x(p+1)(q+1)に乗算される。
【0120】
図16(a)に示すように、低解像度実画像Fbが、低解像度実画像Faに対して、高解像度画像の1画素分だけ水平方向への動き量を備え、又、図16(b)に示すように、低解像度実画像Fcが、低解像度実画像Faに対して、高解像度画像の1画素分だけ垂直方向への動き量を備える。即ち、図17(a)に示すように、低解像度実画像Faの画素ya11と初期高解像度画像Fx1の画素x11とが、その中心位置で重なっているとき、図17(b)に示すように、低解像度実画像Fbの画素yb11と初期高解像度画像Fx1の画素x21とが、その中心位置で重なり、又、図17(c)に示すように、低解像度実画像Fcの画素yc11と初期高解像度画像Fx1の画素x12とが、その中心位置で重なる。
【0121】
そして、図17(a)に示すように、低解像度実画像Faの画素yapq(p、qは自然数)の中心位置が、初期高解像度画像Fx1の画素x(2p-1)(2q-1)の中心位置に重なる。又、図17(b)に示すように、低解像度実画像Fbの画素ybpq(p、qは自然数)の中心位置が、初期高解像度画像Fx1の画素x2p(2q-1)の中心位置に重なる。又、図17(c)に示すように、低解像度実画像Fcの画素ycpq(p、qは自然数)の中心位置が、初期高解像度画像Fx1の画素x(2p-1)2qの中心位置に重なる。
【0122】
(1)低解像度推定画像の画素値
低解像度実画像Fa〜Fcの各画素と初期高解像度画像Fx1の各画素の位置関係が図17に示される関係となるとき、初期高解像度実画像Fx1より推定される低解像度推定画像Fa1〜Fc1それぞれの各画素値Apq〜Cpq(Wa・X〜Wc・Xによる画素値)がそれぞれ、以下の(1)〜(3)式で表される。
Apq=k11・x(2p-2)(2q-2)+k21・x(2p-1)(2q-2)+k31・x2p(2q-2)
+k12・x(2p-2)(2q-1)+k22・x(2p-1)(2q-1)+k32・x2p(2q-1)
+ k13・x(2p-2)2q + k23・x(2p-1)2q + k33・x2p2q …(1)
Bpq=k11・x(2p-1)(2q-2)+k21・x2p(2q-2)+k31・x(2p+1)(2q-2)
+k12・x(2p-1)(2q-1)+k22・x2p(2q-1)+k32・x(2p+1)(2q-1)
+ k13・x(2p-1)2q + k23・x2p2q + k33・x(2p+1)2q …(2)
Cpq=k11・x(2p-2)(2q-1)+k21・x(2p-1)(2q-1)+k31・x2p(2q-1)
+ k12・x(2p-2)2q + k22・x(2p-1)2q + k32・x2p2q
+k13・x(2p-2)(2q+1)+k23・x(2p-1)(2q+1)+k33・x2p(2q+1) …(3)
【0123】
(2)高解像度画像の各画素位置における勾配
上述のようにして低解像度推定画像Fa1〜Fc1の画素値が得られると、この低解像度実画像Fa〜Fcの画素値との差によって、初期高解像度画像Fx1に対する勾配∂I/∂Xが算出される。以下に、高解像度画像の注目画素が画素x(2p-1)(2q-1)、x2p(2q-1)、x(2p-1)2qとなる3つの場合の算出方法それぞれについて、説明する。
【0124】
(2−a)注目画素が画素x(2p-1)(2q-1)であるとき
図18(a)に示すように、初期高解像度画像Fx1において、注目画素となる画素x(2p-1)(2q-1)を中心とした3×3の画素x(2p-2)(2q-2)〜x2p2qによる領域Rに対してフィルタ処理が施される。よって、その中心位置が領域R内に位置する低解像度実画像Fa〜Fc及び低解像度推定画像Fa1〜Fc1の画素値を用いて、画素x(2p-1)(2q-1)の勾配∂I/∂Xが算出される。
【0125】
即ち、図18(a)に示すように、領域R内において、初期高解像度画像Fx1の画素x(2p-1)(2q-1)、x(2p-2)(2q-1)、x2p(2q-1)、x(2p-1)(2q-2)、x(2p-1)2qそれぞれに、低解像度実画像Faの画素yapq、低解像度実画像Fbの画素yb(p-1)q、ybpq、低解像度実画像Fcの画素ycp(q-1)、ycpqそれぞれが、その中心位置に重なるように位置している。よって、低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素値yapq、yb(p-1)q、ybpq、ycp(q-1)、ycpqと、低解像度推定画像Fa1〜Fc1における画素値Apq、B(p-1)q、Bpq、Cp(q-1)、Cpqと、図15に示すボケ関数によって、(4)式のように、画素x(2p-1)(2q-1)の勾配∂I/∂Xが算出される。
∂I/∂X(x(2p-1)(2q-1))=k22・( Apq - yapq )/K1
+k12・(B(p-1)q-yb(p-1)q)/K1
+k32・( Bpq - ybpq )/K1
+k21・(Cp(q-1)-ycp(q-1))/K1
+k23・( Cpq - ycpq )/K1 …(4)
(K1=k12+k22+k32+k11+k13+k31+k33)
【0126】
(2−b)注目画素が画素x2p(2q-1)であるとき
図18(b)に示すように、初期高解像度画像Fx1において、注目画素となる画素x2p(2q-1)を中心とした3×3の画素x(2p-1)(2q-2)〜x(2p+1)2qによる領域Rに対してフィルタ処理が施される。よって、その中心位置が領域R内に位置する低解像度実画像Fa〜Fc及び低解像度推定画像Fa1〜Fc1の画素値を用いて、画素x2p(2q-1)の勾配∂I/∂Xが算出される。
【0127】
即ち、図18(b)に示すように、領域R内において、初期高解像度画像Fx1の画素x(2p-1)(2q-1)、x(2p+1)(2q-1)、x2p(2q-1)、x(2p-1)(2q-2)、x(2p-1)2q、x(2p+1)(2q-2)、x(2p+1)2qそれぞれに、低解像度実画像Faの画素yapq、ya(p+1)q、低解像度実画像Fbの画素ybpq、低解像度実画像Fcの画素ycp(q-1)、ycpq、yc(p+1)(q-1)、yc(p+1)qそれぞれが、その中心位置に重なるように位置している。よって、低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素値yapq、ya(p+1)q、ybpq、ycp(q-1)、ycpq、yc(p+1)(q-1)、yc(p+1)qと、低解像度推定画像Fa1〜Fc1における画素値Apq、A(p+1)q、Bpq、Cp(q-1)、Cpq、C(p+1)(q-1)、C(p+1)qと、図15に示すボケ関数によって、(5)式のように、画素x2p(2q-1)の勾配∂I/∂Xが算出される。
∂I/∂X(x2p(2q-1))=k22・( Bpq - ybpq )/K2
+k12・( Apq - yapq )/K2
+k32・(A(p+1)q-ya(p+1)q)/K2
+k11・(Cp(q-1)-ycp(q-1))/K2
+k13・( Cpq - ycpq )/K2
+k31・(C(p+1)(q-1)-yc(p+1)(q-1))/K2
+k33・( C(p+1)q - yc(p+1)q )/K2 …(5)
(K2=k12+k22+k32+k11+k13+k31+k33)
【0128】
(2−c)注目画素が画素x(2p-1)2qであるとき
図18(c)に示すように、初期高解像度画像Fx1において、注目画素となる画素x(2p-1)2qを中心とした3×3の画素x(2p-2)(2q-1)〜x2p(2q+1)による領域Rに対してフィルタ処理が施される。よって、その中心位置が領域R内に位置する低解像度実画像Fa〜Fc及び低解像度推定画像Fa1〜Fc1の画素値を用いて、画素x(2p-1)2qの勾配∂I/∂Xが算出される。
【0129】
即ち、図18(c)に示すように、領域R内において、初期高解像度画像Fx1の画素x(2p-1)(2q-1)、x(2p-1)(2q+1)、x(2p-2)(2q-1)、x2p(2q-1)、x(2p-2)(2q+1)、x2p(2q+1)、x(2p+1)2qそれぞれに、低解像度実画像Faの画素yapq、yap(q+1)、低解像度実画像Fbの画素yb(p-1)q、ybpq、yb(p-1)(q+1)、ybp(q+1)、低解像度実画像Fcの画素ycpqそれぞれが、その中心位置に重なるように位置している。よって、低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素値yapq、yap(q+1)、yb(p-1)q、ybpq、yb(p-1)(q+1)、ybp(q+1)、ycpqと、低解像度推定画像Fa1〜Fc1における画素値Apq、Ap(q+1)、B(p-1)q、Bpq、B(p-1)(q+1)、Bp(q+1)、Cpqと、図15に示すボケ関数によって、(6)式のように、画素x2p(2q-1)の勾配∂I/∂Xが算出される。
∂I/∂X(x(2p-1)2q)=k22・( Cpq - ycpq )/K3
+k21・( Apq - yapq )/K3
+k23・(Ap(q+1)-yap(q+1))/K3
+k11・(B(p-1)q-yb(p-1)q)/K3
+k31・( Bpq - ybpq )/K3
+k13・(B(p-1)(q+1)-yb(p-1)(q+1))/K3
+k33・( Bp(q+1) - ybp(q+1) )/K2 …(6)
(K2=k21+k22+k23+k11+k13+k31+k33)
【0130】
(3)高解像度画像の各画素位置における更新
上述のようにして、高解像度画像の各画素位置における勾配∂I/∂Xが算出されると、この勾配が初期高解像度画像Fx1の各画素値から減算されることで、更新された高解像度画像の画素値が算出される。即ち、画素xpqにおける画素値が、勾配∂I/∂X(xpq)によって更新されることで、高解像度画像Fx2の画素値x1pq(=xpq−∂I/∂X(xpq))が算出されることとなる。
【0131】
このように、上述の(1)〜(3)の各処理動作を行うことによって、高解像度画像の更新が行われる。よって、2回目の更新時には、上述の(1)〜(3)式によって低解像度推定画像Fa2〜Fc2の画素値を求める際、更新後の高解像度画像Fx2の画素値が代入される。即ち、低解像度推定画像Fa2〜Fc2それぞれの各画素値Apq〜Cpq(Wa・X1〜Wc・X1による画素値)がそれぞれ、以下の(7)〜(9)式で表される。
Apq=k11・x1(2p-2)(2q-2)+k21・x1(2p-1)(2q-2)+k31・x1(2p)(2q-2)
+k12・x1(2p-2)(2q-1)+k22・x1(2p-1)(2q-1)+k32・x1(2p)(2q-1)
+ k13・x1(2p-2)(2q) + k23・x1(2p-1)(2q) + k33・x1(2p)(2q) …(7)
Bpq=k11・x1(2p-1)(2q-2)+k21・x1(2p)(2q-2)+k31・x1(2p+1)(2q-2)
+k12・x1(2p-1)(2q-1)+k22・x1(2p)(2q-1)+k32・x1(2p+1)(2q-1)
+ k13・x1(2p-1)(2q) + k23・x1(2p)(2q) + k33・x1(2p+1)(2q) …(8)
Cpq=k11・x1(2p-2)(2q-1)+k21・x1(2p-1)(2q-1)+k31・x(2p)(2q-1)
+ k12・x1(2p-2)(2q) + k22・x1(2p-1)(2q) + k32・x1(2p)(2q)
+k13・x1(2p-2)(2q+1)+k23・x (2p-1)(2q+1)+k33・x(2p)(2q+1) …(9)
【0132】
このようにして、低解像度推定画像Fa2〜Fc2それぞれの各画素値を求めると、上述の(4)〜(6)式により、高解像度画像の各画素に対する勾配∂I/∂X1を算出した後、この勾配∂I/∂X1を高解像度画像Fx1の画素値から減算することで、2回目の更新処理が行われて、高解像度画像Fx2が生成される。
【0133】
このように、3×3の行列によるPSFボケ関数による演算が行われるとき、1回目の更新処理動作において、初期高解像度画像Fx1における注目画素1画素に対して、高解像度画像Fxにおける注目画素xpqを中心とした3×3画素x(p-1)(q-1)〜x(p+1)(q+1)によって構成される画素領域R(図19(a)参照)内に位置する低解像度実画像及び低解像度推定画像の画素値が必要となる。
【0134】
更に、低解像度推定画像の画素値については、上述したように、初期高解像度画像Fx1における3×3画素をPSFボケ関数に代入することで得られる。そして、画素領域Rにおける注目画素xpq以外の画素位置に位置する低解像度推定画像の画素を取得するために、初期高解像度画像Fx1における3×3画素の画素値を利用する。よって、1回目の更新処理動作において、図19(b)に示すように、初期高解像度画像Fx1における5×5画素x(p-2)(q-2)〜x(p+2)(q+2)が使用されることとなる。
【0135】
即ち、初期高解像度画像Fx1を1回更新するために、初期高解像度画像Fx1内の注目画素xpqに対して、初期高解像度画像Fx1における5×5画素x(p-2)(q-2)〜x(p+2)(q+2)の画素値と、初期高解像度画像Fx1における3×3画素x(p-1)(q-1)〜x(p+1)(q+1)によって構成される画素領域R内に位置する低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素の画素値とが必要となる。
【0136】
このように更新されて得られた高解像度画像Fx2を更新する場合は、更新後の画素値を用いた処理となる。即ち、高解像度画像Fx2内の注目画素x1pqに対して、高解像度画像Fx2における5×5画素x1(p-2)(q-2)〜x1(p+2)(q+2)の画素値と、高解像度画像Fx2における3×3画素x1(p-1)(q-1)〜x1(p+1)(q+1)によって構成される画素領域Rに位置する低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素の画素値とが必要となる。
【0137】
しかしながら、初期高解像度画像Fx1から高解像度画像Fx2に画素値を更新したとき、各画素に対して、初期高解像度画像Fx1における5×5画素の画素値と、初期高解像度画像Fx1における3×3画素で構成される画素領域Rに位置する低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素の画素値とが必要とされる。即ち、高解像度画像Fx2内の注目画素x1pqに対して使用される高解像度画像Fx2における5×5画素x1(p-2)(q-2)〜x1(p+2)(q+2)それぞれの画素値が、1回目の更新処理において、初期高解像度画像Fx1における5×5画素の画素値と、初期高解像度画像Fx1における3×3画素で構成される画素領域Rに位置する低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素の画素値とを用いて、算出されている。
【0138】
よって、初期高解像度画像Fx1を2回更新する場合は、注目画素xpqに対して、5×5画素x(p-2)(q-2)〜x(p+2)(q+2)それぞれにおける更新された画素値を用いて更に更新することとなる。即ち、5×5画素x(p-2)(q-2)〜x(p+2)(q+2)それぞれを中心として、初期高解像度画像Fx1における5×5画素の画素値と、初期高解像度画像Fx1における3×3画素で構成される画素領域Rに位置する低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素の画素値とが用いられる。このように、初期高解像度画像Fx1を2回更新する場合は、図20に示すように、初期高解像度画像Fx1内の注目画素xpqに対して、初期高解像度画像Fx1における9×9画素x(p-4)(q-4)〜x(p+4)(q+4)の画素値と、初期高解像度画像Fx1における7×7画素x(p-3)(q-3)〜x(p+3)(q+3)によって構成される画素領域R1に位置する低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素の画素値とが必要となる。
【0139】
従って、超高解像度画像更新部456を構成するFIRフィルタは、初期高解像度画像Fx1における9×9画素の画素値と、初期高解像度画像Fx1における7×7画素によって構成される画素領域R1に位置する低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素の画素値とが入力されて、注目画素の画素値を出力するフィルタとして構成される。
【0140】
そして、このFIRフィルタの係数については、まず、上述したように、(1)〜(3)式により得られた低解像度推定画像の画素値を(4)〜(6)式に代入して勾配を求める。その後、(4)〜(6)式により得られた勾配により更新した高解像度画像の画素値を(7)〜(9)式に代入し、これにより得られた低解像度推定画像の画素値を(4)〜(6)式に代入して2回目の勾配を求める。そして、(4)〜(6)式により得られた勾配により更新する際の減算式を展開することで、初期高解像度画像Fx1における9×9画素の画素値に乗算された係数と、初期高解像度画像Fx1における7×7画素によって構成される画素領域R1に位置する低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素の画素値とに乗算される係数とを、FIRフィルタの係数として取得することができる。
【0141】
尚、本例において、高解像度更新量算出部453において、上述の第1例における超解像演算部45内で反復される更新動作が2回行われたときの更新量が算出されるものとしたが、上述の第1例における超解像演算部45内での更新動作が3回以上反復して行われたときの更新量が算出されるものとしても構わない。そして、超解像演算部45内での更新動作がH回反復して行われるとともに、PSFボケ関数が(2K+1)×(2K+1)の行列により成るものとする。このとき、高解像度更新量算出部453を構成するFIRフィルタは、初期高解像度画像Fx1における(4H×K+1)×(4H×K+1)画素の画素値と、初期高解像度画像Fx1における(2(2H−1)×K+1)×(2(2H−1)×K−1)画素によって構成される画素領域R1に位置する低解像度実画像Fa〜Fcにおける画素の画素値とが入力されて、注目画素の画素値を出力する。又、本例において、第1例における超解像演算部45と同様、選択部452及びフレームメモリ455を備えた構成として、超解像演算処理が反復されるものとしても構わない。
【0142】
尚、上述の説明において、図1に示すような構成の撮像装置を例に挙げて、本発明における画像処理方法について説明したが、撮像装置に限らず、液晶ディスプレイやプラズマテレビなどの画像のデジタル処理を行う表示装置においても、本発明における画像処理方法を利用可能である。図21に、本発明における画像処理方法を行う画像処理装置(「画像処理部」に相当)を備えた表示装置を示す。
【0143】
図21に示す表示装置は、図1に示す撮像装置と同様、画像処理部4、伸長処理部8、ディスプレイ部9、音声出力回路部10、スピーカ部11、タイミングジェネレータ12、CPU13、メモリ14、操作部15、及び、バス回線16,17を備える。そして、外部で受信した放送信号を選局するチューナ部21と、チューナ部21で選局した放送信号を復調する復調部22と、外部から入力されたデジタル信号となる圧縮信号が入力されるインターフェース23とを、更に備える。
【0144】
この図21の表示装置は、放送信号を受信する場合は、チューナ部21で所望のチャンネルの放送信号を選局した後、復調部22で放送信号を復調することで、MPEG圧縮符号方式による圧縮信号となるデジタル信号が得られる。このデジタル信号が伸長処理部8に与えられると、圧縮信号であるデジタル信号に対して、MPEG圧縮符号方式による伸長処理が施される。
【0145】
そして、操作部15によって画像の高解像度化が指示されると、伸長処理部8で伸長処理して得られた画像信号が、画像処理部4に与えられて、上述の低解像度実画像の選択処理や超解像処理が行われることで、高解像度画像が生成される。その後、生成された高解像度画像による画像信号がディスプレイ部9に与えられて、画像再生がなされる。又、伸長処理部8の伸長処理で得られた音声信号が、音声出力回路部10を通じてスピーカ部11に与えられることで、音声が再生出力される。
【0146】
又、図1の撮像装置又は図21の表示装置において、画像処理部4で超解像処理が成される画像について、動画像であっても構わないし、静止画像であっても構わない。尚、上述では、動画像となる画像信号が入力されたときの動作を中心に、各処理動作の説明を行っている。
【0147】
上述の説明において、超解像処理を行うための低解像度実画像の選択処理について、1次元画像の場合を説明したが、以下において、2次元画像に対する、超解像処理を行うための低解像度実画像の選択処理の実施例について、以下に説明する。尚、以下の各実施例では、説明を簡単にするため、解像度を2倍とする際の超解像処理における動作について説明する。即ち、以下の各実施例では、イメージセンサ1から取得される2次元画像となる画像信号に対して超解像処理を行う際に、画像処理部4で超解像処理を行うための低解像度実画像の選択処理動作の実施例を説明する。
【実施例1】
【0148】
本実施例における低解像度実画像の選択処理動作について、図22を参照して説明する。図22は、注目フレームを含む複数フレームの低解像度実画像の位置ズレ補正後の画素位置の関係を示す図である。又、本実施例では、注目フレームを含む3フレームの低解像度実画像より、注目フレームを含む2フレームの低解像度実画像が選択される場合を説明する。そして、注目フレームの低解像度実画像をF1、他の2フレームの低解像度実画像をF2,F3とし、図22において、黒塗りの丸による点を低解像度実画像F1における画素位置を、黒塗りの三角による点を低解像度実画像F2における画素位置を、黒塗りの四角による点を低解像度実画像F3における画素位置を、それぞれ表す。
【0149】
まず、図22に示すように、低解像度実画像F2,F3を選択するための基準位置を、注目フレームF1の低解像度実画像における隣接する4画素の中心位置O(図22において、白抜きの丸で示す)とする。又、図22では、その画素位置と中心位置Oとの距離が、低解像度実画像F2では距離d2となり、低解像度実画像F3では距離d3(d3>d2)となる。尚、図22では、点線で示す中心位置Oを中心とする円によって、中心位置Oからの距離がd2となる位置を示す。
【0150】
そして、選択の基準となる中心位置Oに画素位置が近くなる低解像度実画像が、超解像処理に使用される低解像度実画像として選択される。即ち、低解像度実画像F2における画素位置の中心位置Oとの距離d2が、低解像度実画像F3における画素位置の中心位置Oとの距離d3より短いため、低解像度実画像F2が、超解像処理に適した低解像度実画像として選択される。よって、注目フレームとなる低解像度実画像F1と、選択された低解像度実画像F2とによって、超解像処理が成されることで、高解像度画像が取得される。
【実施例2】
【0151】
本実施例における低解像度実画像の選択処理動作について、図23を参照して説明する。図23は、図22と同様、注目フレームを含む複数フレームの低解像度実画像の位置ズレ補正後の画素位置の関係を示す図である。又、本実施例においても、実施例1と同様、注目フレームを含む3フレームの低解像度実画像F1〜F3より、注目フレームを含む2フレームの低解像度実画像が選択される場合を説明する。尚、図23においても、低解像度実画像F1〜F3それぞれの画素位置について、図22と同様の形式で表す。
【0152】
本実施例では、実施例1の場合と異なり、低解像度実画像F2,F3それぞれにおいて、その画素位置が、選択の基準となる中心位置Oから等しい距離dだけ離れた位置となる。そして、低解像度実画像F2の画素位置が、中心位置Oに対して、水平方向にdx2、垂直方向にdy2だけ離れた位置に位置するとともに、低解像度実画像F3の画素位置が、中心位置Oに対して、水平方向にdx3(|dx2|<|dx3|)、垂直方向にdy3(|dy2|>|dy3|)だけ離れた位置に位置するものとする。尚、距離dが、d=((dx2)2+(dy2)21/2=((dx3)2+(dy3)21/2となる。
【0153】
このように、低解像度実画像F2,F3それぞれの画素位置と中心位置Oとの距離がdとなって等しいため、中心位置Oとの距離に基づいて選択した場合、低解像度実画像F2,F3のいずれも選択可能となる。よって、低解像度実画像F2,F3のいずれか選択するために、本実施例では更に、中心位置Oとの水平方向の距離が短くなる低解像度実画像が選択される。即ち、図23の例では、低解像度実画像F2の画素位置と中心位置Oとの間における水平方向の距離|dx2|が、低解像度実画像F3の画素位置と中心位置Oとの間における水平方向の距離|dx3|よりも短いため、超解像処理に使用される低解像度実画像として、低解像度実画像F2が選択される。
【0154】
このように、本実施例においては、中心位置Oのような基準位置と画素位置との距離が等しくなる低解像度実画像が複数ある場合、基準位置と画素位置との水平方向における距離が短い低解像度実画像を選択する。これにより、垂直方向に視認性が高いという視覚特性に対して、水平方向の解像度を高める低解像度実画像を選択して、超解像処理を行うことができる。
【実施例3】
【0155】
本実施例における低解像度実画像の選択処理動作について、図24を参照して説明する。図24は、図22と同様、注目フレームを含む複数フレームの低解像度実画像の位置ズレ補正後の画素位置の関係を示す図である。又、本実施例においても、実施例1と同様、注目フレームを含む3フレームの低解像度実画像F1〜F3より、注目フレームを含む2フレームの低解像度実画像が選択される場合を説明する。尚、図24においても、低解像度実画像F1〜F3それぞれの画素位置について、図22と同様の形式で表す。
【0156】
本実施例では、実施例2の場合と同様、低解像度実画像F2,F3それぞれにおいて、その画素位置が、選択の基準となる中心位置Oから等しい距離dだけ離れた位置となる。又、時間軸上において、低解像度実画像F1〜F3が、F1,F2,F3の順に取得されるとともに、低解像度実画像のF1,F2それぞれの画素位置間の距離(低解像度実画像F1,F2間の動き量)d4が、低解像度実画像のF2,F3それぞれの画素位置間の距離(低解像度実画像F2,F3間の動き量)d5よりも長いものとする。
【0157】
このように、本実施例においても、実施例2と同様、低解像度実画像F2,F3それぞれの画素位置と中心位置Oとの距離がdとなって等しいため、中心位置Oとの距離に基づいて選択した場合、低解像度実画像F2,F3のいずれも選択可能となる。よって、低解像度実画像F2,F3のいずれか選択するために、本実施例では更に、フレーム間の動き量を比較し、その動き量が小さいフレームを選択する。即ち、図24の例では、低解像度実画像のF2,F3それぞれの画素位置間の距離d5が、低解像度実画像のF1,F2それぞれの画素位置間の距離d4よりも短いため、超解像処理に使用される低解像度実画像として、低解像度実画像F3が選択される。
【0158】
このように、本実施例においては、中心位置Oのような基準位置と画素位置との距離が等しくなる低解像度実画像が複数ある場合、時間的に連続する低解像度実画像間の動き量が小さくなる低解像度実画像を選択する。即ち、前のフレームとなる低解像度実画像との動き量が小さい低解像度実画像を選択することで、動き量による影響の少ない低解像度実画像を選択して、超解像処理を行うことができる。
【0159】
尚、基準位置と画素位置との距離が等しくなる低解像度実画像が複数ある場合においても、超解像処理に使用する低解像度実画像が選択できる条件として、上述の実施例2及び実施例3における条件を挙げたが、これらの条件について選択できるものとしても構わない。
【0160】
又、高解像度化する際において、垂直方向と水平方向とで拡大率が異なる場合、その拡大率が高い(補間画素数が多い)方向に対して、基準位置と画素位置との距離が短くなる低解像度実画像を、超解像処理に適した低解像度実画像として選択しても構わない。即ち、水平方向の拡大率がm倍であり、垂直方向の拡大率がn(m>n)倍となるとき、拡大率が水平方向の方が大きいため、図23のような関係にある場合、水平方向において、基準位置と画素位置との距離が短くなる低解像度実画像F2を選択する。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、超解像処理による画像の高解像度化を行う画像処理装置を備えた撮像装置や表示装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】は、本発明の画像処理装置となる画像処理部を備えた撮像装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】は、被写体の輝度分布と撮影時間の異なるフレームにおける画像データとの関係を示す図である。
【図3】は、超解像処理におけるフローの概要を説明するための図である。
【図4】は、被写体の輝度分布と撮影時間の異なるフレームにおける画像データとの関係を示す図である。
【図5】は、解像度を2倍とする超解像処理における、低解像度実画像の選択処理について説明するための図である。
【図6】は、解像度を3倍とする超解像処理における、低解像度実画像の選択処理について説明するための図である。
【図7】は、解像度を3倍とする超解像処理における、低解像度実画像の選択処理における基準との関係例を示す図である。
【図8】は、代表点マッチング法における検出領域の関係を示す図である。
【図9】は、基準画像の代表点と非基準画像のサンプリング点との関係を示す図である。
【図10】は、1画素以内の動き量検出を行う際の基準画像の代表点と非基準画像のサンプリング点との関係を示す図である。
【図11】は、1画素以内の動き量検出を行う際の基準画像の代表点及び非基準画像のサンプリング点それぞれの画素値の関係を示す図である。
【図12】は、図1に示す撮像装置における画像処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図13】は、図12に示す画像処理部における超解像演算部の内部構成の第1例を示すブロック図である。
【図14】は、図12に示す画像処理部における超解像演算部の内部構成の第2例を示すブロック図である。
【図15】は、PSFボケ関数の係数と高解像度画像の画素位置との関係を示す図である。
【図16】は、低解像度実画像Fb,Fcそれぞれと、現フレームとなる低解像度実画像Faとの位置関係を示す図である。
【図17】は、低解像度実画像Fa〜Fcそれぞれと、初期高解像度画像Fx1との位置関係を示す図である。
【図18】は、初期高解像度画像Fx1に対して勾配を算出する際の注目画素に対して使用される画素値を示す図である。
【図19】は、1回目の更新処理動作で利用される高解像度画像における画素範囲を示す図である。
【図20】は、2回の更新処理動作で利用される高解像度画像における画素範囲を示す図である。
【図21】は、本発明の画像処理装置となる画像処理部を備えた表示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図22】は、実施例1における低解像度画像の選択処理動作を説明するための3フレーム間の関係を示す図である。
【図23】は、実施例2における低解像度画像の選択処理動作を説明するための3フレーム間の関係を示す図である。
【図24】は、実施例3における低解像度画像の選択処理動作を説明するための3フレーム間の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0163】
1 イメージセンサ
2 AFE
3 マイク
4 画像処理部
5 音声処理部
6 圧縮処理部
7 ドライバ部
8 伸長処理部
9 ディスプレイ部
10 音声出力回路部
11 スピーカ部
12 タイミングジェネレータ
13 CPU
14 メモリ
15 操作部
16,17 バス回線
20 外部メモリ
41 フレームメモリ
42 動き量算出部
43 画像評価部
44 位置ズレ補正部
45 超解像演算部
46 信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注目フレームとなる第1低解像度画像とM(1以上の整数)フレームの第2低解像度画像とから高解像度画像を生成する高解像度化部を備える画像処理装置において、
N(N>Mとなる整数)フレームの第3低解像度画像それぞれと、前記第1低解像度画像との間の動き量を検出する動き量検出部と、
前記動き量検出部で得られた前記第3低解像度画像における前記動き量を考慮し、Nフレームの前記第3低解像度画像から、前記第1低解像度画像の画素位置に基づいて設定された基準位置に対して画素位置がより近いMフレームの前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択する画像評価部と、
を備え、
前記画像評価部によって前記第2低解像度画像とされた前記第3低解像度画像が前記高解像度化部に与えられ、前記高解像度画像が生成されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記基準位置を、前記第1低解像度画像における垂直方向及び水平方向それぞれにおいて隣接する画素位置の中間位置となる位置に設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記基準位置を、前記高解像度画像における前記第1低解像度画像に対する補間画素となる画素位置に設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像評価部において、前記基準位置と画素位置との距離が等しい前記第3低解像度画像が複数フレームとなる場合、前記第1低解像度画像における垂直方向及び水平方向それぞれにおいて隣接する画素位置の中間位置となる位置に対して画素位置が近い前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像評価部において、前記基準位置と画素位置との距離が等しい前記第3低解像度画像が複数フレームとなる場合、その画素位置と前記基準位置との水平方向における距離が短い前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像評価部において、前記基準位置と画素位置との距離が等しい前記第3低解像度画像が複数フレームとなる場合、時間的に隣接した前フレームとの動き量が小さい前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像評価部において、前記基準位置と画素位置との距離が等しい前記第3低解像度画像が複数フレームとなる場合、前記超解像ステップで水平方向及び垂直方向それぞれにおける解像度の拡大率が異なるとき、その画素位置と前記基準位置との拡大率が大きい方向における距離が短い前記低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
外部入力又は撮像により複数フレームとなる画像による画像信号が与えられるとともに、該画像信号による画像を高解像度の画像に変換する高解像度化機能を備えた電子機器において、
前記高解像度化機能を実現する画像処理部として、請求項1〜請求項7のいずれに記載の画像処理装置を備え、前記画像信号による画像を前記低解像度画像として高解像度化処理を行うことで、所望の前記高解像度画像が生成されることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
注目フレームとなる第1低解像度画像とM(1以上の整数)フレームの第2低解像度画像とから高解像度画像を生成する高解像度化ステップを備える画像処理方法において、
N(N>Mとなる整数)フレームの第3低解像度画像それぞれと、前記第1低解像度画像との間の動き量を検出する動き量検出ステップと、
前記動き量検出ステップより得られた前記第3低解像度画像における前記動き量を考慮し、Nフレームの前記第3低解像度画像から、前記第1低解像度画像の画素位置に基づいて設定された基準位置に対して画素位置がより近いMフレームの前記第3低解像度画像を、前記第2低解像度画像として選択する低解像度画像選択ステップと、
を備え、
前記高解像度化ステップにおいて、前記低解像度画像選択ステップで前記第2低解像度画像とされた前記第3低解像度画像と前記第1低解像度画像とに基づいて前記高解像度画像を生成することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−294950(P2008−294950A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140724(P2007−140724)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】