説明

画像処理方法、画像処理装置および画像処理のためのプログラム

【課題】血管径に近い大きさの動脈瘤等を精度良く検出できる画像処理方法、画像処理装置および画像処理のためのプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施す細線化手段11と、細線化手段11により得られた画像の短枝の部位を特異形状部位として抽出する短枝抽出手段12と、短枝抽出手段12により抽出された短枝の特徴量を求める特徴量算出手段13と、を構成する。対象領域(血管領域)の3次元画像に対して細線化処理を施し、細線化処理により得られた画像の短枝の部位を特異形状部位(嚢状小動脈瘤)として抽出することで、嚢状小動脈瘤を効果的に抽出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象領域における特異形状部位を、画像処理を介して抽出する画像処理方法、画像処理装置および画像処理のためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野におけるコンピュータ支援診断装置として、コンピュータを用いて医療画像データに画像処理を施し、疾患部分を検出する装置が知られている。しかし、医療画像に表れる疾患部分は、それぞれ大きさおよび形状が異なっており、一様ではないことが多い。一方、疾患部分を強調するためのフィルタ処理や微分処理などの結果は、疾患部分の大きさおよび形状に強く依存する。このように、疾患部分の抽出に用いられるフィルタ処理や微分処理などは、疾患部分の幾何学的性質により、検出結果にばらつきが現れる場合が多く、とくに特異な形状の疾患部分の検出が困難なこともある。
【0003】
このため、検出対象の大きさや形状が一様でない場合でも、検出対象を良好に検出できる画像処理の手法が提案されている(特開2006−48247号公報参照)。この手法は、対象領域と球状フィルタを重ね合わせたときに、球状フィルタが対象領域によってある値以上の充填率で充たされるような球状フィルタの中心点の領域を出力するとともに、出力された領域の特徴量を算出し、算出された当該特徴量に基づいて検出対象を検出するものである。
【0004】
この手法によれば、出力された球状フィルタの中心点の領域により検出対象の形状の違いを適切に表現できるので、その形状的特徴を的確に把握できるとともに、形状の異なる複数の検出対象を効率的に検出できる。また、複数の径の球状フィルタを用いることにより、検出対象の大きさが異なっても常に対象領域の形状的特徴を正確に把握することができるため、その大きさに拘わりなく検出対象を適切に検出できる。
【特許文献1】特開2006−48247号公報
【非特許文献1】楠他「頭部MR血管画像からの脳血管径の計測による動脈瘤検出手法の改良」 電子情報通信学会技術研究報告 MI2007-58(2007/1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脳動脈瘤には、血管径と同じ2〜3mm程度の大きさの嚢状小動脈瘤がある。しかし、特開2006−48247号公報(特許文献1)に記載された球状フィルタを用いる方法において、嚢状小動脈瘤の検出のために球状フィルタの径を小さくすると、正常な血管まで検出されてしまい嚢状小動脈瘤を効果的に抽出することができない。また、非特許文献1に記載された3次元曲率情報を用いる方法の場合には、外径と呼ぶ脳血管径の計測値を用いた偽陽性除去を追加しても、湾曲部に偽陽性が発生してしまう。
【0006】
本発明の目的は、血管径に近い大きさの動脈瘤等を精度良く検出できる画像処理方法、画像処理装置および画像処理のためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像処理方法は、対象領域における特異形状部位を、画像処理を介して抽出する画像処理方法において、前記対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施すステップと、前記細線化処理を施すステップにより得られた画像の短枝の部位を前記特異形状部位として抽出するステップと、を備えることを特徴とする。
この画像処理方法によれば、対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施し、細線化処理により得られた画像の短枝の部位を特異形状部位として抽出するので、血管径に近い大きさの動脈瘤等を精度良く検出できる。
【0008】
前記短枝の部位を抽出するステップにより抽出された前記短枝の特徴量を求めるステップを備えてもよい。
【0009】
前記特徴量を求めるステップでは、前記特徴量として、前記短枝の領域における前記対象領域の画素数、前記対象領域の長径、前記対象領域の短径、前記対象領域の表面の画素数および前記対象領域の画素値の平均のうち、少なくとも1つに基づく指標を用いてもよい。
【0010】
前記特徴量を求めるステップでは、前記特徴量として、前記短枝の長さ、および前記短枝の位置のうち、少なくとも1つに基づく指標を用いてもよい。
【0011】
前記短枝の部位を抽出するステップを介さずに、別法により前記特異形状部位を抽出するステップを備えてもよい。
【0012】
前記別法により前記特異形状部位を抽出するステップは、前記対象領域と球状フィルタを重ね合わせたときに、前記球状フィルタが前記対象領域によってある値以上の充填率で充たされるような前記球状フィルタの中心点の領域を出力するステップと、前記領域を出力するステップにより出力された前記領域の特徴量を算出し、算出された当該特徴量に基づいて前記特異形状部位を抽出するステップと、からなってもよい。
【0013】
前記対象領域を予め抽出するステップとして、累積度数分布から求まる閾値を用いて前記対象領域を抽出するステップを備えてもよい。
【0014】
前記対象領域を予め抽出するステップとして、第1の閾値を用いた二値化により前記対象領域の候補領域を抽出するステップと、前記第1の閾値よりも緩やかな第2の閾値を用いた二値化の条件を満たし、かつ前記候補領域に隣接する領域を前記候補領域に付加した領域を、前記対象領域として抽出するステップと、を備えてもよい。
【0015】
前記対象領域を予め抽出するステップとして、前記対象領域の候補領域を抽出するステップと、前記候補領域内で連続する画素数の少ない領域を除去するステップと、を備えてもよい。
【0016】
前記対象領域は血管の領域であり、前記特異形状部位は動脈瘤であってもよい。
【0017】
本発明の画像処理装置は、対象領域における特異形状部位を、画像処理を介して抽出する画像処理装置において、前記対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施す細線化手段と、前記細線化手段により得られた画像の短枝の部位を前記特異形状部位として抽出する短枝抽出手段と、を備えることを特徴とする。
この画像処理装置によれば、対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施し、細線化処理により得られた画像の短枝の部位を特異形状部位として抽出するので、血管径に近い大きさの動脈瘤等を精度良く検出できる。
【0018】
前記短枝抽出手段により抽出された前記短枝の特徴量を求める特徴量算出手段を備えてもよい。
【0019】
本発明のプログラムは、対象領域における特異形状部位を、画像処理を介して抽出する画像処理方法を実行するためのプログラムにおいて、コンピュータに、前記対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施すステップと、前記細線化処理を施すステップにより得られた画像の短枝の部位を前記特異形状部位として抽出するステップと、を実行させることを特徴とする。
このプログラムによれば、対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施し、細線化処理により得られた画像の短枝の部位を特異形状部位として抽出するので、血管径に近い大きさの動脈瘤等を精度良く検出できる。
【0020】
コンピュータに、前記短枝の部位を抽出するステップにより抽出された前記短枝の特徴量を求めるステップを実行させてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像処理方法によれば、対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施し、細線化処理により得られた画像の短枝の部位を特異形状部位として抽出するので、血管径に近い大きさの動脈瘤等を精度良く検出できる。
【0022】
本発明の画像処理装置によれば、対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施し、細線化処理により得られた画像の短枝の部位を特異形状部位として抽出するので、血管径に近い大きさの動脈瘤等を精度良く検出できる。
【0023】
本発明のプログラムによれば、対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施し、細線化処理により得られた画像の短枝の部位を特異形状部位として抽出するので、血管径に近い大きさの動脈瘤等を精度良く検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図1〜図5を参照して、本発明による画像処理方法の一実施形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明による画像処理方法を実行するための画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すように、画像処理システムは、画像処理を実行するプログラムが実装されたコンピュータとしての画像処理装置1と、MRAスライス画像および画像処理により得られた画像データを格納する格納装置2と、画像処理の結果等を表示するモニタ3とから構成される。
【0027】
画像処理装置1は、対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施す細線化手段11と、細線化手段11により得られた画像の短枝の部位を特異形状部位として抽出する短枝抽出手段12と、短枝抽出手段12により抽出された短枝の特徴量を求める特徴量算出手段13と、を構成する。
【0028】
図2のステップS1〜ステップS6は、本発明による画像処理方法を用いて脳動脈瘤を抽出する手順を示すフローチャートである。
【0029】
図2のステップS1では、処理の方向性をなくすために、MRAスライス画像のスライス面内方向の画素間隔とスライス面間の画素間隔とを揃える。ここでは、スライス面内方向の画素間隔とスライス面間の画素間隔が異なっている場合には、両者を一致させる補間処理を行い、画像データを等方化する。
【0030】
次に、ステップS2では、血管領域を抽出する。
【0031】
図2のステップS21〜ステップS26は、血管領域を抽出する手順を示すフローチャートである。
【0032】
ステップS21では、画像データを二値化して血管候補領域を抽出する。ここでは、症例による違いを吸収するために、1症例の全スライス画像の画素値の累積度数分布から求めた閾値以上の画素を血管候補領域とする。閾値は高い値を選択し、例えば、上記累積度数分布の下から99.9%の値を用いる。
【0033】
次に、ステップS22では、微小領域を削除する。ステップS21において抽出された領域には、血管以外の脂肪部分などが含まれる。脂肪部分は血管のように連続せず、孤立領域として抽出される。このため、ステップS22では、連続する画素数を閾値として抽出した微小領域を削除することによって、過抽出されてしまった脂肪部分を除去できる。例えば、この画素数の閾値には500画素を用いる。
【0034】
次に、ステップS23では、領域拡張を行う。ステップS21において高い閾値で抽出された領域は、本来抽出したい欠陥領域よりも小さな領域になってしまう。このため、1症例の全スライス画像の画素値の累積度数から求めた低い閾値以上で、かつ血管候補領域として残っている領域に隣接する部分を領域拡張する。例えば、この低い閾値として上記累積度数分布の下から99.5%の値を用いる。
【0035】
次に、ステップS24では、膨張―収縮のノイズ処理を行い、元画像の画素値のノイズの影響を除去し、領域の境界を滑らかにする。
【0036】
次に、ステップS25では、スライス面内における2次元の穴埋めを行う。大きな血管では、血流の低下のため中心部分が抽出されない現象が起きる。このため、ステップS25では、スライス面内で2次元の穴埋めを行い、大きな血管の中心部分を血管領域として取り込む。このようにして特定された領域を血管領域として、以下、脳動脈瘤を検出する。
【0037】
ステップS3では、嚢状大動脈瘤を検出する。
【0038】
図3のステップS31〜ステップS35は、嚢状大動脈瘤を検出する処理を示すフローチャートである。
【0039】
ステップS31では、球状フィルタとのマッチングを行う。ここでは、血管領域と球状フィルタを重ね合わせたときに、球状フィルタが血管領域によってある値以上の充填率で充たされるような球状フィルタの中心点を出力する。また、マッチングは、球状フィルタの球径を変えて、複数回実行する。
【0040】
次に、ステップS32では、球径ごとの3次元ラベリングを行う。ここでは、球状フィルタとのマッチングの結果から出力される中心点の集合が作る3次元の連続した領域に、球状フィルタの球径ごとにラベリングを行う。
【0041】
次に、ステップS33では、ラベリングされた領域ごとに特徴量の算出を行う。ここでは、ラベリングされた領域について、領域の画素数、球状フィルタの球径、凸度などの特徴量を算出する。
【0042】
次に、ステップS34では、ステップS33で求めた特徴量を分析し、分析結果に基づいて、ステップS35において嚢状大動脈瘤の領域を抽出する。
【0043】
一方、ステップS4(図2)では、嚢状小動脈瘤を検出する。
【0044】
図3のステップS41〜ステップS47は、嚢状小動脈瘤を検出する処理を示すフローチャートである。
【0045】
ステップS41では、血管領域について細線化処理を実行する。細線化処理では、血管の外側から画素を削除する処理を繰り返すことで、血管の中心線に相当する画素のみを残す。
【0046】
図3のステップS41A〜ステップS41Cは、細線化処理を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS41Aでは、以下の3つの条件の下、注目画素を削除する処理を領域が収束する(画素の削除ができなくなる)まで繰り返す。
(条件1)連結数が所定の条件を満たす場合に、注目画素を削除する。
(条件2)ただし、注目画素を中心としたXY平面、YZ平面、ZX平面のいずれかにおいて、注目画素の隣に画素がない場合には、注目画素を削除しない。
(条件3)また、注目画素を中心としてX方向、Y方向またはZ方向で直線性が保持される場合にも、注目画素を削除しない。
【0048】
具体的には、すべての注目画素について、上記条件に沿って、順次、削除/非削除のいずれかに登録してゆき、すべての画素について削除/非削除が判明すると、削除に登録された画素を1度に削除する。このような一連の処理を画素の削除ができなくなるまで繰り返す。
【0049】
条件1として、例えば、連結数が「2」以上の注目画素を削除する、という条件を設定することで、血管のほぼ中心線に沿った1画素幅の細線が残る。ただし、ステップS41では最終的に抽出したい短枝を残すために、画素の削除を抑制する条件2および条件3を付加したうえで、画素を削除している。
【0050】
図4は、連結数を説明する図である。連結数は、注目画素のX方向、Y方向またはZ方向にいくつの画素が連結されているかを示す数であり、最大で8個であるから0〜8のいずれかの値をとる。ただし、注目画素に直接連結された複数の画素同士が領域内で連続している場合には、連絡数を1とカウントする。
【0051】
図4は、注目画素を中心としたXY平面における周囲の8画素を示しており、画素が存在する部分を黒色表示している。図4(a)〜図4(d)は、XY平面に連結数「1」とカウントされる可能性がある連結が表れている例を示している。ただし、他の平面内での連結状態が不明なため、最終的な連結数を示すものではない。
【0052】
同様に、図4(e)および図4(f)は、XY平面に連結数「2」とカウントされる可能性がある連結が表れている例を示している。同様に、図4(g)および図4(h)は、XY平面に連結数「3」とカウントされる可能性がある連結が表れている例を、図4(i)は、XY平面に連結数「4」とカウントされる可能性がある連結が表れている例を示している。
【0053】
次に、ステップS41Bでは、注目画素を削除する2回目の処理を実行する。ここでは、条件1に従って、注目画素を削除する処理を領域が収束する(画素の削除ができなくなる)まで繰り返す。このように、異なる条件下で画素を削除する処理を、再度実行することで、短枝を確実に残しながら血管領域の細線化を図ることができる。
【0054】
図5は、細線化の様子を示す図である。図5(a)に示すように、血管領域5の画素が細線化により周辺部から削除されてゆき、領域51の画素が最後に残る。
【0055】
次に、ステップS41Cでは、細線化の結果を出力する。図5(b)に示すように、細線化により残された領域51が、血管領域5のほぼ中央に形成される。
【0056】
次に、図3のステップS42では、細線化の結果から短枝の抽出を行う。例えば、図5(b)において、領域51の分岐点から端点までが短枝51aとして抽出される。
【0057】
次に、ステップS43では、抽出された短枝の画素数(長さ)、体内での位置などを、当該短枝の特徴量として求める。
【0058】
次に、ステップS44では、各画素について細線化の結果得られた領域51からの最短距離を求め、短枝からの距離が最短である領域を短枝領域として抽出する。例えば、図5(b)において、血管領域5に含まれる画素のうち、短枝51aからの距離が最短距離を構成する領域52を、短枝領域として抽出する。
【0059】
次に、ステップS45では、抽出された短枝領域の画素数、凸度などを当該短枝領域の特徴量として算出する。ここでは、特徴量として、短枝領域の長径、短径、表面の画素数および短枝領域の画素値の平均などを指標として用いてもよい。
【0060】
次に、ステップS46では、ステップS43およびステップS45で算出された短枝および短枝領域の特徴量を分析し、その分析結果に基づいて、ステップS47において嚢状小動脈瘤の領域を抽出する。
【0061】
次に、図2のステップS5では、ステップS3およびステップS4における嚢状大動脈瘤および嚢状小動脈瘤の検出結果を重ね合わせ、ステップS6では、重ね合わされた検出結果を脳動脈瘤の検査結果として出力する。
【0062】
なお、ステップS3における嚢状大動脈瘤の検出およびステップS4における嚢状小動脈瘤の検出は、独立した処理として実行できる。嚢状大動脈瘤および嚢状小動脈瘤の検出を異なるプロセスで並列処理することで、1つの方法による脳動脈瘤の検出を行う場合と同じ処理時間で、両者の検出が可能である。
【0063】
一方、嚢状大動脈瘤の検出結果を利用して、嚢状小動脈瘤の検出時間を短縮するような手順を採用してもよい。例えば、嚢状大動脈瘤が検出された領域の位置情報を、嚢状小動脈瘤の検出プロセスに予め与えることにより、当該領域についての嚢状小動脈瘤の検出処理を省略できる。このように、嚢状大動脈瘤が検出された領域については嚢状小動脈瘤の検出を行わないようにすることで、嚢状小動脈瘤の検出に必要な計算量を減らすことが可能である。
【0064】
以上のように、本実施形態の画像処理方法によれば、対象領域(血管領域)の3次元画像に対して細線化処理を施し、細線化処理により得られた画像の短枝の部位を特異形状部位(嚢状小動脈瘤)として抽出することで、嚢状小動脈瘤を効果的に抽出できる。
【0065】
また、複数の手法で脳動脈瘤の検出を行い、その結果を重ね合わせることによって、血管径と同じ2〜3mm程度の大きさの嚢状小動脈瘤と、血管径よりも大きな5mm以上の大きさの嚢状大動脈瘤とを、偽陽性を増やすことなく高精度に検出できる。
【0066】
上記実施形態では、血管抽出にあたり累積度数分布から閾値を求める方法を例示したが、血管抽出の方法はこれに限定されない。例えば、特開2005−245734号公報および特開2006−42998号公報に開示した方法等を使用することもできる。
【0067】
また、本発明の対象領域は血管に限定されず、気管支などにも適用できる。
【0068】
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、対象領域における特異形状部位を、画像処理を介して抽出する画像処理方法、画像処理装置および画像処理のためのプログラムに対し、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明による画像処理方法を実行するための画像処理システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明による画像処理方法を用いて脳動脈瘤を抽出する手順を示すフローチャート。
【図3】本発明による画像処理方法を用いて脳動脈瘤を抽出する手順を示すフローチャート。
【図4】連結数を説明する図であり、(a)〜(d)は、XY平面に連結数「1」とカウントされる可能性がある連結が表れている例を、(e)および(f)は、XY平面に連結数「2」とカウントされる可能性がある連結が表れている例を、(g)および(h)は、XY平面に連結数「3」とカウントされる可能性がある連結が表れている例を、(i)は、XY平面に連結数「4」とカウントされる可能性がある連結が表れている例を、それぞれ示す図。
【図5】細線化の様子を示す図であり、(a)は血管領域の画素が細線化により周辺部から削除されてゆく様子を示す図、(b)は細線化により残された領域が、血管領域のほぼ中央に形成される様子を示す図。
【符号の説明】
【0070】
1 画像処理装置
11 細線化手段
12 短枝抽出手段
13 特徴量算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域における特異形状部位を、画像処理を介して抽出する画像処理方法において、
前記対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施すステップと、
前記細線化処理を施すステップにより得られた画像の短枝の部位を前記特異形状部位として抽出するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記短枝の部位を抽出するステップにより抽出された前記短枝の特徴量を求めるステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記特徴量を求めるステップでは、前記特徴量として、前記短枝の領域における前記対象領域の画素数、前記対象領域の長径、前記対象領域の短径、前記対象領域の表面の画素数および前記対象領域の画素値の平均のうち、少なくとも1つに基づく指標を用いることを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記特徴量を求めるステップでは、前記特徴量として、前記短枝の長さ、および前記短枝の位置のうち、少なくとも1つに基づく指標を用いることを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記短枝の部位を抽出するステップを介さずに、別法により前記特異形状部位を抽出するステップを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記別法により前記特異形状部位を抽出するステップは、
前記対象領域と球状フィルタを重ね合わせたときに、前記球状フィルタが前記対象領域によってある値以上の充填率で充たされるような前記球状フィルタの中心点の領域を出力するステップと、
前記領域を出力するステップにより出力された前記領域の特徴量を算出し、算出された当該特徴量に基づいて前記特異形状部位を抽出するステップと、
からなることを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記対象領域を予め抽出するステップとして、
累積度数分布から求まる閾値を用いて前記対象領域を抽出するステップを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記対象領域を予め抽出するステップとして、
第1の閾値を用いた二値化により前記対象領域の候補領域を抽出するステップと、
前記第1の閾値よりも緩やかな第2の閾値を用いた二値化の条件を満たし、かつ前記候補領域に隣接する領域を前記候補領域に付加した領域を、前記対象領域として抽出するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記対象領域を予め抽出するステップとして、
前記対象領域の候補領域を抽出するステップと、
前記候補領域内で連続する画素数の少ない領域を除去するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記対象領域は血管の領域であり、前記特異形状部位は動脈瘤であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項11】
対象領域における特異形状部位を、画像処理を介して抽出する画像処理装置において、
前記対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施す細線化手段と、
前記細線化手段により得られた画像の短枝の部位を前記特異形状部位として抽出する短枝抽出手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
前記短枝抽出手段により抽出された前記短枝の特徴量を求める特徴量算出手段を備えることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
対象領域における特異形状部位を、画像処理を介して抽出する画像処理方法を実行するためのプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記対象領域の3次元画像に対して細線化処理を施すステップと、
前記細線化処理を施すステップにより得られた画像の短枝の部位を前記特異形状部位として抽出するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
前記短枝の部位を抽出するステップにより抽出された前記短枝の特徴量を求めるステップを実行させることを特徴とする請求項13に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−63670(P2010−63670A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233364(P2008−233364)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】