説明

画像処理方法

【課題】画像に含まれるノイズ成分は強調せずに、輪郭などの必要な信号成分のみを確実に強調することが可能な画像処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る画像処理装置10によれば、画像入力部11から入力された画像信号を多重解像度分解処理して複数の周波数帯域の画像信号成分を取得する多重分解処理部12と、複数の周波数帯域のうち基準となる一の周波数帯域の画像信号成分におけるエッジ成分の画素位置を示す情報、変局点の画素位置を示す情報、エッジ成分の符号を含むエッジ成分情報を取得し、取得されたエッジ成分情報に基づいて、周波数帯域Cn及び/又は他の周波数帯域における強調領域を決定して強調処理を施す強調処理部13と、強調処理部13で強調処理された周波数帯域の画像信号成分及び他の周波数帯域の画像信号成分を逆変換することにより強調画像信号を得る復元処理部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力画像を多重解像度空間に変換することにより複数の周波数帯域の画像信号成分を取得し、取得された複数の画像信号成分のうち少なくとも一つの周波数帯域の画像信号成分に対して強調処理を施し、強調処理が施された周波数帯域および他の周波数帯域の画像信号成分を逆変換して強調画像を得る画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像信号に対して各種の画像処理を施した後に画像を再生または表示することが各種の分野で行われている。そして、この画像信号に強調処理を行うことで、輪郭などを明瞭にすることが行われている。
【0003】
このような画像処理として、画像信号の低周波数成分のみを抽出した非鮮鋭画像を作成し、この非鮮鋭画像を原画像の画像信号から減算することで、高周波数成分を強調した画像信号を得ることが知られている。
【0004】
また、原画像の画像信号をフーリエ変換などの周波数成分に変換し、この周波数成分において所定の周波数の強調を行った後に、逆変換することで、所望の強調を行った画像信号を得ることが知られている。
【0005】
また、画像を多重解像度空間に変換することにより、画像を複数の周波数帯域毎に分解し、複数に分解された各周波数帯域の画像信号成分のうちの少なくとも一つの画像信号成分に対して強調処理を施し、強調処理が施された周波数帯域の画像信号成分および他の周波数帯域の画像信号成分を逆変換することにより強調画像信号を得る画像処理も知られている。
【0006】
この場合、強調を行う周波数帯域における画素値によってその強調度を決定していた。ここで、画素値をx、階調をmとした場合、0<p<1とすると、強調処理された画素値yは、
y=m*(−x/m)^p 但し、x<0の場合,
y=m*(x/m)^p 但し、x≧0の場合,
のように決定していた。
【0007】
ところが、いずれの画像処理であっても、画像信号成分からノイズ成分を分け、輪郭等の必要な信号成分のみに所望の強調処理を施すことはできなかった。そのため、強調する周波数帯域の画像信号成分に含まれるノイズ成分も強調する結果を招いていた。
【0008】
そこで、特許文献1には、多重解像度空間への変換により複数の周波数帯域に分解された各周波数帯域の画像のうちの少なくとも一つの周波数帯域に対して強調処理を施す際の強調度を、強調処理が施される周波数帯域画像のうち少なくとも一つを含む、複数の周波数帯域画像の画像信号値に基づいて決定する画像処理方法が記載され、更に、複数の周波数帯域画像について対応する画像信号値の符号が同じ画素に対してのみ強調処理を施すことが記載されている。
【特許文献1】特開平11−345331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、強調処理の対象となる周波数帯域における、輪郭などの必要な信号成分を特定して確実に強調することができず、処理後の画像が不自然となる場合があった。
【0010】
本発明は上記技術的課題に鑑みてなされたものであって、画像に含まれるノイズ成分は強調せずに、輪郭などの必要な信号成分のみを確実に強調することが可能な画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
入力画像を多重解像度変換して互いに異なる複数の周波数帯域の画像信号成分を取得し、前記取得された複数の周波数帯域の画像信号成分のうち少なくとも一つの画像信号成分に強調処理を施し、当該強調処理が施された周波数帯域及び他の周波数帯域の画像信号成分を逆変換することにより強調画像を得る画像処理方法において、
前記多重解像度変換により取得された少なくとも一つの基準となる周波数帯域の画像信号成分からエッジ成分に関する情報を取得し、前記取得されたエッジ成分に関する情報に基づいて、前記複数の周波数帯域の画像信号成分のうち少なくとも一つに対して強調処理を施すことを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記エッジ成分に関する情報は、予め設定された閾値を超える信号値をもつエッジ成分の画素位置、前記エッジ成分の信号値の符号、又は前記エッジ成分の変局点の画素位置を示す情報のうち少なくとも一つを含むことを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記強調処理の対象となる周波数帯域の画像信号成分における前記変局点の画素位置に対応する画素位置付近に存在する信号値の強調度を大きくすることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、
前記強調処理の対象となる周波数帯域の画像信号成分において強調する領域を、その周波数帯域に関わらず、前記変局点の画素位置に対応する画素位置を基準として一定画素数とすることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、
複数の前記周波数帯域において、前記基準となる周波数帯域の画像信号成分におけるエッジ成分に対応する領域の各信号値の符号を調べ、前記複数の周波数帯域における全ての信号値の符号が一致した場合に強調を行うことを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明において、
前記多重解像度変換及び前記逆変換は、ラプラシアンピラミッド法を用いることを特徴としている。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明において、
前記多重解像度変換及び前記逆変換は、ウェーブレット変換を用いることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、多重解像度変換により取得された少なくとも一つの基準となる周波数帯域の画像信号成分からエッジ成分に関する情報を取得し、取得されたエッジ成分に関する情報に基づいて、複数の周波数帯域の画像信号成分のうち少なくとも一つに対して強調処理を施す。従って、強調対象の周波数帯域の画像信号成分における輪郭などの必要な信号成分のみを簡易な方法で確実に強調することが可能となる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、基準となる周波数帯域の画像信号成分において予め設定された閾値を超える信号値をもつエッジ成分の画素位置、エッジ成分の信号値の符号、又はエッジ成分の変局点の画素位置を示す情報のうち少なくとも一つに基づいて、強調対象の周波数帯域の画像信号成分における輪郭などの必要な信号成分のみを簡易な方法で確実に強調することが可能となる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、強調対象の周波数帯域の画像信号成分における変局点の画素位置に対応する画素位置付近に存在する信号値の強調度を大きくするので、強調対象の周波数帯域における輪郭などの必要な信号成分を効果的に強調することが可能となる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、強調対象の周波数帯域の画像信号成分において強調する領域を、その周波数帯域に関わらず、変局点の画素位置に対応する画素位置を基準として一定画素数とするので、高周波数帯域と低周波数帯域の画像信号成分におけるエッジの間隔(長さ)の違いを考慮して、より精度よく輪郭などの必要な信号成分のみの強調を行うことが可能となり、よりノイズの少ない、より自然な強調処理を行うことが可能となる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、複数の周波数帯域において、基準となる周波数帯域の画像信号成分におけるエッジ成分に対応する領域の各信号値の符号を調べ、複数の周波数帯域における全ての信号値の符号が一致した場合に強調を行うので、より精度よく輪郭などの必要な信号成分のみの強調を行うことが可能となる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、ラプラシアンピラミッド法を用いて迅速に多重解像度変換及び逆変換を行うことが可能となる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、ウェーブレット変換を用いて多重解像度変換及び逆変換を行うことで、任意の方向についての強調処理を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の実施について詳細に説明する。
〔画像処理装置の構成〕
まず、本実施の形態における画像処理装置10の構成について説明する。
図1は、本実施の形態における画像処理装置10の機能的構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すように、画像処理装置10は、外部の機器からの画像(画像信号S)を受ける画像入力部11、入力された画像を多重解像度分解処理により多重解像度空間に変換する多重解像度分解処理部12、多重解像度分解処理により互いに異なる複数の周波数帯域に分解された画像信号成分のうち少なくとも一つの周波数帯域の画像信号成分に対して強調処理を施す強調処理部13、強調処理が施された周波数帯域の画像信号成分および他の周波数帯域の画像信号成分を逆変換することにより強調画像を得る復元処理部14、復元処理された画像を可視像として出力する画像出力部15から構成されている。
【0027】
<画像処理の処理手順>
次に、画像処理装置10において、入力された画像信号Sに画像処理を施して強調された画像信号S´を得るための多重階調度分解処理部12、強調処理部13及び復元処理部14の構成及び動作について、詳細に説明する。
【0028】
〔多重解像度分解処理〕
図2は、多重解像度分解処理部12の構成の一例を示すブロック図である。なお、本実施の形態においては、画像入力部11を介して入力された画像(画像信号S)をラプラシアンピラミッド法により多重解像変換して互いに異なる複数の周波数帯域の画像信号成分に分解するものとする。このラプラシアンピラミッド法によれば迅速な処理が可能となるが、ウェーブレット変換等、他の手法を用いることも可能である。
【0029】
図2に示すように、入力された画像(原画像)を表すディジタルの画像信号Sが多重解像度分解処理部12に入力されると、まず、ローパスフィルタを構成するフィルタリング手段121aによりフィルタリングされる。
【0030】
このようなローパスフィルタによりフィルタリングされた画像信号Sは1画素おきにサンプリングされることで、低解像度近似画像g1が生成される。この低解像度近似画像g1は、原画像の1/4の大きさになっている。
【0031】
ついで、補間手段122aにおいて、この低解像度近似画像g1のサンプリングされた間隔に値が0の画素が補間される。この補間は、低解像度近似画像g1の列毎および1行ごとに値が0の行および列を挿入することにより行なう。なお、このように補間された低解像度近似画像は、1画素おきに値が0の画素が挿入されているため、信号値の変化が滑らかではない状態になっている。そして、このような補間が行われた後に、補間手段122aに含まれるローパスフィルタにおいて、再度フィルタリングを施し、低解像度近似画像g1′を得る。この低解像度近似画像g1′は、前記した補間直後の低解像度近似画像に比べると信号値の変化が滑らかな状態になっている。
【0032】
この低解像度近似画像g1′は、画像を1/4にした後に1画素おきに0の補間とフィルタリングとをすることにより、原画像の空間周波数の半分より高い周波数が消えた状態になっている。
【0033】
そして、減算器123aにより、原画像から低解像度近似画像g1′の減算を行って、細部画像b0を得る。この減算は、原画像と低解像度近似画像g1′との対応する画素の間で実行される。これにより、細部画像b0は、原画像の空間周波数の半分より高い周波数帯域のみを示す画像になる。すなわち、細部画像b0は、ナイキスト周波数をNとすると、N/2〜Nの周波数帯域の画像信号成分である。
【0034】
さらに、前述したローパスフィルタ121aからの低解像度近似画像g1が、ローパスフィルタ121bによってフィルタリング処理される。これにより低解像度近似画像g1は、さらに1画素おきにサンプリングされて1/4(もとの1/16)の低解像度近似画像g2に変換される。そして、この低解像度近似画像g2にも、補間手段122bと減算器123bとによって同様な処理が施されて、低解像度近似画像g2′から細部画像b1が生成される。すなわち、細部画像b1は、ナイキスト周波数をNとすると、N/4〜N/2の周波数帯域の画像信号成分である。
【0035】
このような処理を順次繰り返すことで、ローパスフィルタ121により生成された低解像度近似画像gk (ここで、k=1〜L)から、細部画像bk-1、および、残留画像gLを得る。
【0036】
ここで、細部画像bkは、b0から順に解像度が低くなる、すなわち、周波数帯域が低くなるものであり、bkは(N/2^(k+1))〜(N/2^k)の周波数帯域の画像信号成分になっている。このような細部画像bkは、図示しない画像メモリに格納される。
【0037】
図3に、上述した多重解像度分解処理を施す前の原画像及びこれに多重解像度分解処理を施して得られる周波数帯域の画像信号成分の一例を示す。図3(a)は、原画像の画像信号を示す図であり、図3(b)は、図3(a)を多重解像度分解処理した結果得られる複数の周波数帯域の画像信号成分のうちの一の周波数帯域(周波数帯域Cn)の画像信号成分を示す図、図3(c)は、図3(b)よりも1レベル低周波帯域である周波数帯域Cn+1の画像信号成分を示している。
【0038】
以上のように多重解像度分解処理により得られた複数の周波数帯域の画像信号成分について、以下に述べる強調処理部13における処理により、強調処理の対象となる輪郭等の所望信号成分とノイズ成分とを識別し、輪郭等の必要な信号成分のみに強調処理を施すようにする。
【0039】
〔強調処理〕
強調処理部13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えて構成され、CPUとROMに記憶されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理によって、後述するエッジ成分情報取得処理、強調処理(強調処理A〜D)を実現する。なお、強調処理部13は、専用のハードウエアやファームウエアで構成することとしてもよい。
【0040】
強調処理部13においては、まず、図4に示すエッジ成分情報取得処理が実行され、多重解像度分解処理部12により得られた複数の周波数帯域の画像信号成分のうち、強調処理の基準とする周波数帯域Cnの画像信号成分におけるエッジ成分に関する情報(エッジ成分情報)が取得される。そして、取得されたエッジ成分情報に基づいて、当該周波数帯域Cn及び他の周波数帯域の画像信号成分(例えば、周波数帯域Cnより1レベル高周波帯域である周波数帯域Cn-1の画像信号成分、周波数帯域Cnより1レベル低周波帯域である周波数帯域Cn+1の画像信号成分)の少なくとも一つの強調処理が施される。
【0041】
以下、図4を参照して、エッジ成分情報取得処理について説明する。
周波数帯域Cnの画像信号成分から、予め設定された閾値α(負の信号値に対しては-α)を超える信号値を持つ成分が、エッジ成分として抽出される(ステップS1)。即ち、エッジ成分は、周波数帯域Cnの画像信号成分において、予め設定された閾値±αを超えた信号値をもつ成分である。
【0042】
次いで、抽出されたエッジ成分に基づきエッジ変局点が決定される(ステップS2)。エッジ変局点とは、エッジ成分の正負の変わり目となる信号値0付近の点であり、例えば、ステップS1で抽出された正負のそれぞれのエッジ成分を数画素分太線化し、重なった部分で且つ正負のエッジでない部分が変局点として決定される。
【0043】
そして、ステップS1及びS2で取得されたエッジ成分の画素位置、エッジ成分の信号値の符号及び変局点の画素位置の情報がエッジ成分情報としてRAMに格納され(ステップS3)、本処理は終了する。図3(c)に、エッジ成分及び変局点を示す。
【0044】
上記エッジ成分情報取得処理が終了すると、上記処理により取得されたエッジ成分情報に基づいて、当該周波数帯域Cn及び他の周波数帯域の少なくとも一つの画像信号成分の強調処理が行われる。
【0045】
周波数帯域Cnの画像信号成分についての強調処理は、上述したエッジ成分情報取得処理で取得されたエッジ成分情報に基づいて、エッジ成分及び変局点に位置する画素の信号値が予め設定された強調度で強調され、強調後、周辺画素の平均値をみて信号値を補正する強調度スムージング処理が行われる。変局点においては、強調度スムージング処理においても強調度を下げることは行われない。変局点は、エッジの正負の変わり目となる点であり、エッジの基準となる点であるので、強調度を下げることなく予め設定された強調度で強調される。なお、ここでは強調度を予め設定されたものとしたが、変局点付近の強調度を他に比べて大きくするようにしても良い。
【0046】
周波数帯域Cn以外の周波数帯域の画像信号成分については、周波数帯域Cnを基準として、図5に示す強調処理Aにより強調処理が行われる。
【0047】
(強調処理A)
図5に、強調処理部13において実行される強調処理Aを示す。図5においては、周波数帯域Cnより1レベル高周波帯域の周波数帯域Cn-1の画像信号成分を強調する場合を例にとり説明する。
【0048】
まず、周波数帯域Cn-1の画像信号成分から注目画素が選択される(ステップS11)。次いで、上述のエッジ成分情報取得処理で取得されたエッジ成分情報に基づいて、周波数帯域Cnの画像信号成分において当該注目画素に対応する画素位置の画素(画像において当該注目画素と同一の領域を表す画素)がエッジ成分であるか否が判断され、エッジ成分である場合は(ステップS12;YES)、周波数帯域Cn-1の当該注目画素の画像信号が予め設定された強調度で強調され(ステップS14)、処理はステップS15に移行する。周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素がエッジ成分ではないと判断された場合(ステップS12;NO)、周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素が変局点であるか否かが判断され、変局点であると判断された場合(ステップS13;YES)、周波数帯域Cn-1の当該注目画素の画像信号が予め設定された強調度で強調され(ステップS14)、処理はステップS15へ移行する。周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素がエッジ成分でも変局点でもないと判断された場合は(ステップS13;NO)、信号の強調は行わず、処理はステップS15に移行する。
【0049】
ステップS15において、周波数帯域Cn-1の全ての画素について上記S12〜S14の処理が終了したか否かが判断され、終了していない場合は(ステップS15;NO)、次の注目画素が選択され(ステップS16)、処理はステップS12に戻る。全ての画素について上記ステップS12〜S14の処理が終了すると(ステップS15;YES)、周辺画素の平均値をみて信号値を補正する強調度スムージング処理が行われ(ステップS17)、本処理は終了する。
【0050】
ここで、ステップS14において予め設定された強調度で強調した場合であっても、強調度スムージング処理を施すと結果的に設定された強調度より低い強調度で強調される画素があるが、周波数帯域Cnの変局点に対応する画素については、強調度スムージング処理により強調度を下げることは行われない。即ち、周波数帯域Cn-1において、周波数帯域Cnの変局点に対応する画素位置の画素は、最高の強調度で強調される。周波数帯域Cnの画像信号成分における変局点の画素位置は他の周波数帯域の画像信号成分の対応する画素位置においてはほぼエッジ成分となるため、変局点に対応する画素位置付近の画素の強調度を高くしておくことで、輪郭等の必要な信号成分を効果的に強調することが可能となる。なお、ここではステップS14における強調度を予め設定されたものとしたが、変局点付近の強調度を他に比べて大きくするようにしても良い。
【0051】
図5においては、周波数帯域Cnより1レベル高周波帯域の周波数帯域Cn-1の画像信号成分を強調する場合を例にとり説明したが、他の周波数帯域についても、同様の処理により、強調を行うことができる。
【0052】
図6は、上述の強調処理Aにおいて、周波数帯域Cnを基準として、周波数帯域Cn-1、周波数帯域Cn+1に強調処理を施した際に、各周波数帯域において強調される強調領域(点で図示)を示す模式図である。図6に示すように、周波数帯域Cn-1、周波数帯域Cn+1においては、周波数帯域Cnにおけるエッジ成分及び変局点のそれぞれに対応する画素位置の画素が強調されている。
【0053】
図3に示すように、高周波数帯の画像信号成分では低周波数帯の画像信号成分より正負のエッジの間隔がシャープになる。そのため、高周波数帯域の画像信号成分に強調処理を施す際、低周波数帯域の画像信号成分のエッジ成分に対応する画素位置の画素に強調を施すと、強調すべきエッジ成分の信号値が強調されない場合がある。そこで、強調処理Aにより、正負のエッジの変わり目である変局点を求め、変局点に対応する画素位置の画素及びエッジ成分に対応する画素位置の画素を強調することにより、簡易な方法で、輪郭等の必要な信号成分を確実に強調することが可能となる。
【0054】
なお、強調処理部13における強調処理としては、以下に説明する強調処理B、強調処理C又は強調処理Dを適用してもよい。以下、強調処理B、強調処理C、強調処理Dについてそれぞれ説明する。
【0055】
(強調処理B)
図7に、強調処理部13において実行される強調処理Bを示す。図7においては、周波数帯域Cnより1レベル高周波帯域の周波数帯域Cn-1の画像信号成分を強調する場合を例にとり説明する。
【0056】
まず、周波数帯域Cn-1の画像信号成分から注目画素が選択される(ステップS21)。次いで、上述のエッジ成分情報取得処理で取得されたエッジ成分情報に基づいて、周波数帯域Cnの画像信号成分において当該注目画素に対応する画素位置の画素(画像において当該注目画素と同一の領域を表す画素)がエッジ成分であるか否が判断され、エッジ成分である場合は(ステップS22;YES)、周波数帯域Cnの画像信号成分における当該注目画素に対応する画素位置の画素に最も近接している変局点Pから、その変局点Pを変わり目とする、当該注目画素と正負の符号を同じくするエッジ成分の末端の画素までの画素数Lnと、周波数帯域Cn-1における変局点Pに対応する画素位置の画素から注目画素までの画素数Lとの比較が行われ、画素数Lが画素数Ln以下である場合は(ステップS23;YES)、周波数帯域Cn-1における当該注目画素の画像信号が予め設定された強調度で強調され(ステップS25)、処理はステップS26に移行する。ステップS23において、画素数Lが画素数Ln以下ではない場合は(ステップS23;YES)、信号の強調は行われず、処理はステップS26に移行する。
【0057】
周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素がエッジ成分ではないと判断された場合(ステップS22;NO)、周波数帯域Cnにおいて当該注目画素の画素位置に対応する画素が変局点であるか否かが判断され、変局点であると判断された場合(ステップ24;YES)、周波数帯域Cn-1の当該注目画素の画像信号が予め設定された強調度で強調され(ステップS25)、処理はステップS26へ移行する。周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素がエッジ成分でも変局点でもないと判断された場合は(ステップS24;NO)、信号の強調は行わず、処理はステップS26に移行する。
【0058】
ステップS26において、周波数帯域Cn-1の全ての画素について上記S22〜S25の処理が終了したか否かが判断され、終了していない場合は(ステップS26;NO)、次の注目画素が選択され(ステップS27)、処理はステップS22に戻る。全ての画素について上記ステップS22〜S25の処理が終了すると(ステップS26;YES)、周辺画素の平均値をみて信号値を補正する強調度スムージング処理が行われ(ステップS28)、本処理は終了する。
【0059】
ここで、ステップS25において予め設定された強調度で強調した場合であっても、強調度スムージング処理を施すと結果的に設定された強調度より低い強調度で強調される画素があるが、周波数帯域Cnの変局点に対応する画素位置の画素については、強調度スムージング処理により強調度を下げることは行われない。即ち、周波数帯域Cn-1の画像信号成分において、周波数帯域Cnの変局点に対応する画素位置の画素は、最高の強調度で強調される。周波数帯域Cnの画像信号成分における変局点の画素位置は他の周波数帯域の画像信号成分の対応する画素位置においてはほぼエッジ成分となるため、変局点に対応する画素位置付近の画素の強調度を高くしておくことで、輪郭等の必要な信号成分を効果的に強調することが可能となる。なお、ここではステップS25における強調度を予め設定されたものとしたが、変局点付近の画素位置の強調度を他に比べて大きくするようにしても良い。
【0060】
図7においては、周波数帯域Cnより1レベル高周波帯域の周波数帯域Cn-1の画像信号成分を強調する場合を例にとり説明したが、他の周波数帯域の画像信号成分についても、同様の処理により、強調を行うことができる。
【0061】
図8は、上述の強調処理Bにおいて、周波数帯域Cnを基準として周波数帯域Cn-1の画像信号成分に強調処理を施した際に強調される強調領域(点で図示)を模式的に示す図である。図8に示すように、周波数帯域Cn-1において、周波数帯域Cnの変局点Pに対応する画素位置の画素を基準として強調される画素数Ln-1は、周波数帯域Cnにおける変局点Pを基準として強調される画素数Lnと一致しており、強調される範囲(長さ)としては、周波数帯域Cnの1/2の長さ範囲が強調されている。このように、強調処理Bにおいては、強調対象の各周波数帯域において、変局点を基準として一定画素数を強調するので、高周波数帯の画像と低周波数帯の画像とのエッジの間隔(長さ)の相違を考慮して、輪郭等の必要な信号成分であるエッジ成分及び変局点のみをより精度良く強調することが可能となり、よりノイズの少ない、より自然な強調処理を行うことが可能となる。
【0062】
(強調処理C)
図9に、強調処理部13において実行される強調処理Cを示す。図9においては、周波数帯域Cnより1レベル高周波帯域の周波数帯域Cn-1の画像信号成分を強調する場合を例にとり説明する。
【0063】
まず、周波数帯域Cnの画像信号成分から注目画素が選択される(ステップS31)。次いで、上述のエッジ成分情報取得処理で取得されたエッジ成分情報に基づいて、周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素(画像において当該注目画素と同一の領域を表す画素)がエッジ成分であるか否が判断され、エッジ成分である場合は(ステップS32;YES)、当該注目画素及び周波数帯域Cnの対応する画素位置の画素の信号値の符号が一致しているか否かが判断され、一致している場合には(ステップS33;YES)、周波数帯域Cn-1の注目画素の画像信号が予め設定された強調度で強調され(ステップS35)、処理はステップS36に移行する。ステップS33において、信号値の符号が一致しないと判断された場合は(ステップS33;NO)、信号の強調は行われず、処理はステップS36に移行する。
【0064】
一方、周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素がエッジ成分ではないと判断された場合(ステップS32;NO)、周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素が変局点であるか否かが判断され、変局点であると判断された場合(ステップ34;YES)、周波数帯域Cn-1の当該注目画素の画像信号が予め設定された強調度で強調され(ステップS35)、処理はステップS36へ移行する。周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素がエッジ成分でも変局点でもないと判断された場合は(ステップS34;NO)、信号の強調は行わず、処理はステップS36に移行する。
【0065】
ステップS36において、周波数帯域Cn-1の全ての画素について上記S32〜S35の処理が終了したか否かが判断され、終了していない場合は(ステップS36;NO)、次の注目画素が選択され(ステップS37)、処理はステップS32に戻る。全ての画素について上記ステップS32〜S35の処理が終了すると(ステップS36;YES)、周辺画素の平均値をみて信号値を補正する強調度スムージング処理が行われ(ステップS38)、本処理は終了する。
【0066】
ここで、ステップS35において予め設定された強調度で強調した場合であっても、強調度スムージング処理を施すと結果的に設定された強調度より低い強調度で強調される画素があるが、周波数帯域Cnの変局点に対応する画素位置の画素については、強調度スムージング処理により強調度を下げることは行われない。即ち、周波数帯域Cn-1の画像信号成分において、周波数帯域Cnの変局点に対応する画素位置の画素は、最高の強調度で強調される。周波数帯域Cnの画像信号成分における変局点の画素位置は他の周波数帯域の画像信号成分の対応する画素位置においてはほぼエッジ成分となるため、変局点に対応する画素位置付近の画素の強調度を高くしておくことで、輪郭等の必要な信号成分を効果的に強調することが可能となる。なお、ここではステップS35における強調度を予め設定されたものとしたが、変局点付近の画素位置の強調度を他に比べて大きくするようにしても良い。
【0067】
図10は、上述の強調処理Cにおいて、周波数帯域Cnを基準として周波数帯域Cn-1の画像信号成分に強調処理を施した際に強調される強調領域(点で図示)を模式的に示す図である。図10に示すように、周波数帯域Cn-1において、周波数帯域Cnの変局点Pに対応する画素位置の画素、及び、周波数帯域Cnにおけるエッジ成分に対応する画素位置の画素のうち周波数帯域Cnと信号値の正負の符号が一致している画素が強調されている。
【0068】
原画像に含まれる被写体の輪郭等のエッジ成分の信号値については、多重解像度分解処理で分解された各周波数帯域の画像信号成分において対応する同一の領域を表す画素の信号値の符号が一致する。そこで、各周波数帯域において、周波数帯域Cnの変局点Pに対応する画素位置の画素、及び、周波数帯域Cnにおけるエッジ成分に対応する画素位置の画素のうち周波数帯域Cnと信号値の正負の符号が一致している画素を強調することにより、輪郭等の必要な信号成分であるエッジ成分及び変局点のみをより精度良く強調することが可能となり、よりノイズの少ない、より自然な強調処理を行うことが可能となる。
【0069】
(強調処理D)
図11に、強調処理部13において実行される強調処理Dを示す。図11においては、周波数帯域Cnより2レベル高周波帯域の周波数帯域Cn-2を強調する場合を例にとり説明する。
【0070】
まず、周波数帯域Cn-2の画像信号成分から注目画素が選択される(ステップS41)。次いで、上述のエッジ成分情報取得処理で取得されたエッジ成分情報に基づいて、周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素(画像において当該注目画素と同一の領域を表す画素)がエッジ成分であるか否が判断され、エッジ成分である場合は(ステップS42;YES)、当該注目画素、周波数帯域Cn−1において当該注目画素に対応する画素位置の画素、及び周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素の信号値の符号が全て一致しているか否かが判断され、一致している場合には(ステップS43;YES)、周波数帯域Cn-2の注目画素の信号が予め設定された強調度で強調され(ステップS45)、処理はステップS46に移行する。ステップS43において、信号値の符号が一致しないと判断された場合は(ステップS43;NO)、信号の強調は行われず、処理はステップS46に移行する。
【0071】
一方、周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素位置の画素がエッジ成分ではないと判断された場合(ステップS42;NO)、周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素が変局点であるか否かが判断され、変局点であると判断された場合(ステップ44;YES)、周波数帯域Cn-2の当該注目画素の信号が予め設定された強調度で強調され(ステップS45)、処理はステップS46へ移行する。周波数帯域Cnにおいて当該注目画素に対応する画素がエッジ成分でも変局点でもないと判断された場合は(ステップS44;NO)、信号の強調は行わず、処理はステップS46に移行する。
【0072】
ステップS46において、周波数帯域Cn-1の全ての画素について上記S42〜S45の処理が終了したか否かが判断され、終了していない場合は(ステップS46;NO)、次の注目画素が選択され(ステップS47)、処理はステップS42に戻る。全ての画素について上記ステップS42〜S45の処理が終了すると(ステップS46;YES)、周辺画素の平均値をみて信号値を補正する強調度スムージング処理が行われ(ステップS48)、本処理は終了する。
【0073】
ここで、ステップS45において予め設定された強調度で強調した場合であっても、強調度スムージング処理を施すと結果的に設定された強調度より低い強調度で強調される画素があるが、周波数帯域Cnの変局点に対応する画素については、強調度スムージング処理により強調度を下げることは行われない。即ち、周波数帯域Cn-2の画像信号成分において、周波数帯域Cnの変局点に対応する画素位置の画素は、最高の強調度で強調される。周波数帯域Cnの画像信号成分における変局点の画素位置は他の周波数帯域の画像信号成分の対応する画素位置においてはほぼエッジ成分となるため、変局点に対応する画素位置付近の画素の強調度を高くしておくことで、輪郭等の必要な信号成分を効果的に強調することが可能となる。なお、ここではステップS45における強調度を予め設定されたものとしたが、変局点付近の画素位置の強調度を他に比べて大きくするようにしても良い。
【0074】
図11においては、周波数帯域Cnより2レベル高周波帯域の周波数帯域Cn-2の画像信号成分を強調する場合を例にとり説明したが、他の周波数帯域の画像信号成分についても同様の処理により強調処理を施すことができる。即ち、強調対象の周波数帯域と周波数帯域Cnの間に位置する複数の周波数帯域の画像信号成分において、周波数帯域Cnの画像信号成分におけるエッジ成分に対応する画素位置の画素の各信号値の符号を調べ、全ての信号値の符号が一致した画素及び変局点に対応する画素位置の画素のみを強調すればよい。
【0075】
図12は、上述の強調処理Dにおいて、周波数帯域Cnを基準として周波数帯域Cn-2の画像信号成分に強調処理を施した際に強調される強調領域(点で図示)を模式的に示す図である。図12に示すように、周波数帯域Cn-2において、変局点Pに対応する画素位置の画素、及び、周波数帯域Cnにおけるエッジ成分に対応する画素位置の画素のうち周波数帯域Cn及び周波数帯域Cn-1と信号値の正負の符号が一致している画素が強調されている。
【0076】
このように、強調対象の周波数帯域Cn-2の画像信号成分において、周波数帯域Cnの変局点Pに対応する画素位置の画素、及び、周波数帯域Cnにおけるエッジ成分に対応する画素位置の画素のうち周波数帯域Cn、周波数帯域Cn-1と信号値の正負の符号が一致している画素を強調することにより、輪郭等の必要な信号成分であるエッジ成分及び変局点のみをより精度良く強調することが可能となり、よりノイズの少ない、より自然な強調処理を行うことが可能となる。
【0077】
以上のように、強調処理部13で強調処理された各周波数帯域の画像信号成分は、復元処理部14において逆変換される。
【0078】
〔復元処理〕
図13は、多重解像度分解処理され、強調処理された複数の周波数帯域の画像信号成分、即ち、強調処理された複数の細部画像を逆変換する復元処理部14の構成の一例を示すブロック図である。なお、本実施の形態例においては、ラプラシアンピラミッド法により複数の細部画像から逆変換(復元)するものとする。このラプラシアンピラミッド法によれば迅速な処理が可能となるが、他の手法を用いることも可能である。
【0079】
まず、残留画像gLが補間手段141Lによって各画素の間が補間されて4倍の大きさの画像gL′とされる。つぎに、加算器142Lで、補間された画像gL′と、最も低解像度の細部画像bL-1とが対応する画素同士で加算され、加算画像gL′+bL-1が得られる。
【0080】
ついで、この加算画像gL′+bL-1が、補間手段141L-1によって各画素の間が補間されてさらに4倍の大きさの画像bL-1′とされる。つぎに、加算器142L-1で、補間された画像bL-1′と、1段高解像度の細部画像bL-2とが対応する画素同士で加算され、加算画像bL-1′+bL-2が得られる。
【0081】
以上の処理を繰り返し、強調処理された細部画像を含めて、周波数帯域b0の最高解像度の細部画像までを加算し、強調画像信号S′を得る。
【0082】
〔画像出力処理〕
以上のように、多重解像度分解処理,強調処理,復元処理して得た強調画像信号S′について、画像出力部15において可視像として印刷あるいは表示の出力がなされる。また、各種ディスク装置にディジタルデータとして記憶される。
【0083】
以上説明した一連の処理により、画像信号を多重解像度分解処理して複数の周波数帯域の画像信号成分を生成した後に、基準となる一の周波数帯域Cnのエッジ成分に関する情報に基づいて、周波数帯域Cn及び/又は他の周波数帯域の画像信号成分における強調領域を決定して強調を行い、復元処理で画像信号を再生することで、強調対象となる周波数帯域において、簡易な方法で輪郭等の必要な信号成分のみを確実に強調することが可能となる。
【0084】
なお、以上の実施の形態例においては、ラプラシアンピラミッド法を用いて多重解像度空間への変換と多重解像度空間からの逆変換を行うようにしていた。この変換と逆変換とを、ウェーブレット変換により行うことで、任意の方向(縦方向,横方向,斜め方向)についての強調処理を行うことが可能になる。
【0085】
また、以上の実施の形態例の画像処理方法および画像処理装置は、放射線画像、MRIによる画像、CTによる画像、その他の各種画像において強調処理を行うに適している。
【0086】
その他、画像処理装置10を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係る画像処理装置10の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の多重解像度分解処理部12の構成例を示す図である。
【図3】(a)は、原画像の画像信号を示す図であり、(b)は(a)を多重解像度分解処理した結果得られる複数の周波数帯域の画像信号成分のうちの一の周波数帯域の画像信号成分を示す図であり、(c)は(b)よりも1レベル低周波数帯域の画像信号成分を示す図である。
【図4】強調処理部13において実行されるエッジ成分情報取得処理を示すフローチャートである。
【図5】強調処理部13において実行される強調処理Aを示すフローチャートである。
【図6】強調処理Aにおいて、周波数帯域Cnを基準として、周波数帯域Cn-1、周波数帯域Cn+1に強調処理を施した際に、各周波数帯域において強調される強調領域を模式的に示す図である。
【図7】強調処理部13において実行される強調処理Bを示すフローチャートである。
【図8】強調処理Bにおいて、周波数帯域Cnを基準として周波数帯域Cn-1の画像信号成分に強調処理を施した際に強調される強調領域を模式的に示す図である。
【図9】強調処理部13において実行される強調処理Cを示すフローチャートである。
【図10】強調処理Cにおいて、周波数帯域Cnを基準として周波数帯域Cn-1の画像信号成分に強調処理を施した際に強調される強調領域を模式的に示す図である。
【図11】強調処理部13において実行される強調処理Dを示すフローチャートである。
【図12】上述の強調処理Dにおいて、周波数帯域Cnを基準としてCn-2の画像信号成分に強調処理を施した際に強調される強調領域を模式的に示す図である。
【図13】図1の復元処理部14の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
10 画像処理装置
11 画像入力部
12 多重解像度分解処理部
13 強調処理部
14 復元処理部
15 画像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を多重解像度変換して互いに異なる複数の周波数帯域の画像信号成分を取得し、前記取得された複数の周波数帯域の画像信号成分のうち少なくとも一つの画像信号成分に強調処理を施し、当該強調処理が施された周波数帯域及び他の周波数帯域の画像信号成分を逆変換することにより強調画像を得る画像処理方法において、
前記多重解像度変換により取得された少なくとも一つの基準となる周波数帯域の画像信号成分からエッジ成分に関する情報を取得し、前記取得されたエッジ成分に関する情報に基づいて、前記複数の周波数帯域の画像信号成分のうち少なくとも一つに対して強調処理を施すことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記エッジ成分に関する情報は、予め設定された閾値を超える信号値をもつエッジ成分の画素位置、前記エッジ成分の信号値の符号、又は前記エッジ成分の変局点の画素位置を示す情報のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記強調処理の対象となる周波数帯域の画像信号成分における前記変局点の画素位置に対応する画素位置付近に存在する信号値の強調度を大きくすることを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記強調処理の対象となる周波数帯域の画像信号成分において強調する領域を、その周波数帯域に関わらず、前記変局点の画素位置に対応する画素位置を基準として一定画素数とすることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理方法。
【請求項5】
複数の前記周波数帯域において、前記基準となる周波数帯域の画像信号成分におけるエッジ成分に対応する領域の各信号値の符号を調べ、前記複数の周波数帯域における全ての信号値の符号が一致した場合に強調を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記多重解像度変換及び前記逆変換は、ラプラシアンピラミッド法を用いることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記多重解像度変換及び前記逆変換は、ウェーブレット変換を用いることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−157584(P2006−157584A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346269(P2004−346269)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】