説明

画像処理装置、その処理方法、画像形成システム、及びプログラム

【課題】
各オブジェクト毎に適切な手法で記録剤の低減処理を行なうようにした技術を提供する。
【解決手段】
画像処理装置は、1又は複数のオブジェクトを含むデータに基づいて画像形成装置が解釈可能な描画データを生成する。ここで、画像処理装置は、前記画像形成装置の印刷時に使用される記録剤の付与量を低減させるための記録剤低減モードが設定されている場合、前記データにおける各オブジェクトの属性を判定する判定手段と、各オブジェクトの属性の判定の結果に基づいて、前記描画データの生成時に各オブジェクトに対して実施する前記記録剤の付与量を低減させるための画像処理方法を決定する決定手段と、前記決定された前記画像処理方法に従って各オブジェクトを処理することにより前記描画データを生成する描画手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、その処理方法、画像形成システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置においては、同じ容量の記録剤でより多くの記録を可能にするべく、記録剤低減モードが設けられている。例えば、画像の輪郭部をそのままにし、輪郭部以外の内部を間引く処理を行なうことで、記録媒体に対する記録剤の付与量を低減させる技術が提案されている(特許文献1参照)。この処理では、画像の輪郭部をそのままにしているので、画像の視認性の低下を抑えることができる。
【0003】
一般に、このような機能を備えた画像処理装置においては、ユーザにより記録剤低減モードが指示された場合、対象となる画像全体の濃度を一律に低下させてしまう。しかし、画像の中には、テキスト、線、矩形及びビットマップ等の属性の異なる部分画像(オブジェクト)が含まれている場合がある。そのため、このようなオブジェクトにおいて一律に記録剤が低減されてしまうと、記録剤を低減させたくないオブジェクトに対しても記録剤の低減が適用されてしまう。
【0004】
そのため、ユーザは、記録剤を低減させたくないオブジェクトがある場合、他の部分に記録剤を低減させたいオブジェクトがあったとしても、記録剤低減モードを指示することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−233224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像内には、テキスト、線、矩形及びビットマップ等の属性の異なるオブジェクトが含まれる場合がある。従来の技術では、このような画像内において、記録剤の低減対象となるオブジェクトの属性(種類)を考慮して記録剤の低減処理を行なうことができなかった。また、オブジェクトの塗りつぶし形態を考慮した記録剤の低減処理を行なうこともできなかった。また更に、塗りつぶし形態によっては、記録剤の低減処理時の負荷が高く、時間がかかってしまうこともあった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、各オブジェクト毎に適切な手法で記録剤の低減処理を行なうようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、1又は複数のオブジェクトを含むデータに基づいて画像形成装置が解釈可能な描画データを生成する画像処理装置であって、前記画像形成装置の印刷時に使用される記録剤の付与量を低減させるための記録剤低減モードが設定されている場合、前記データにおける各オブジェクトの属性を判定する判定手段と、各オブジェクトの属性の判定の結果に基づいて、前記描画データの生成時に各オブジェクトに対して実施する前記記録剤の付与量を低減させるための画像処理方法を決定する決定手段と、前記決定された前記画像処理方法に従って各オブジェクトを処理することにより前記描画データを生成する描画手段とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のよれば、従来の構成よりも、各オブジェクト毎に適切な手法で記録剤の低減処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる画像処理装置を配して構成された画像形成システムの構成の一例を示す図。
【図2】本実施形態に係わる記録剤低減処理の概要を説明するための図。
【図3】本実施形態に係わる記録剤低減処理の結果の概要を説明するための図。
【図4】本実施形態に係わる間引き処理の概要を説明するための図。
【図5】図1に示す画像処理装置10における描画データの生成処理の概要を説明するための図。
【図6】図1に示す表示部11に表示される画面の一例を示す図。
【図7】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図8】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図9】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図10】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図11】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図12】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図13】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図14】本実施形態に関わる描画処理の概要を説明するための図。
【図15】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図16】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図17】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図18】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図19】図1に示す画像処理装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係わる実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係わる画像処理装置を配して構成された画像形成システムの構成の一例を示す図である。
【0013】
画像形成システムには、画像処理装置10と、画像形成装置20とが設けられており、これら装置間は、通信可能に接続されている。なお、画像処理装置10と画像形成装置20との間の通信は、無線であっても有線であっても構わない。
【0014】
画像処理装置10は、各種画像処理を行なう。例えば、ユーザは、画像処理装置10において、各種文書等を作成し、当該文書等の印刷を指示する。画像処理装置10には、記録剤低減モードが設けられている。画像処理装置10においては、このモードが設定されている場合、画像形成装置20の印刷時に使用される記録剤の付与量を低減させるべく、描画データの生成が行なわれる。
【0015】
画像形成装置20は、画像処理装置10からの指示に基づいて、記録媒体(用紙、その他、布、プラスチック・フィルム等の記録剤を受容可能なものであれば何でも良い)上に画像を形成し印刷を行なう。
【0016】
ここで、画像処理装置10は、その機能的な構成として、表示部11と、入力部12と、通信部13と、制御部14と、レイアウトデータ作成部15と、プリンタドライバ16と、RAM17と、記憶部18とを具備して構成される。
【0017】
表示部11は、例えば、ディスプレイ等から構成され、各種情報をユーザに向けて表示する。表示部11には、例えば、レイアウトデータ等が表示される。入力部12は、例えば、キーボードやマウス等から構成され、ユーザからの指示を装置内に入力する。ユーザは、入力部12を介して、例えば、印刷実行命令を行なったり、レイアウトデータの作成を行なったりする。
【0018】
通信部13は、例えば、USB(Universal Serial Bus)やLAN(Local Area Network)、IEEE1394等の通信インターフェース等から構成される。通信部13は、外部装置(例えば、画像形成装置20)と画像処理装置10との間の通信を司る。
【0019】
レイアウトデータ作成部15は、画像形成装置20により印刷を行なうためのレイアウトデータを作成する。
【0020】
プリンタドライバ16は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータを、画像形成装置20が解釈可能な描画データへ変換する。プリンタドライバ16には、描画部81が設けられる。描画部81は、レイアウトデータを描画データへ変換する。描画部81においては、この描画データの変換に際して、レイアウトデータ(全体画像)に含まれる1又は複数のオブジェクト(部分画像)に対して画像処理(濃度変換、間引き処理)を行なう。
【0021】
記憶部18は、例えば、ROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等から構成され、各種情報を記憶する。
【0022】
RAM(Random Access Memor)17は、各種情報を一時的に記憶する。制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、画像処理装置10における処理を統括制御する。画像処理装置10における各種処理は、例えば、CPUがRAM17をワーク領域としてROMに記憶されたプログラムを読み込み実行することで実施される。
【0023】
制御部14においては、例えば、プリンタドライバ16を制御して、レイアウトデータを画像形成装置20が解釈可能な描画データへ変換させる。ここで、制御部14は、その機能的な構成として、モード設定部71と、オブジェクト判定部72と、低減対象判定部73と、低減方法決定部74と、描画制御部75とを有している。
【0024】
モード設定部71は、入力部12を介したユーザの指示に基づいて、記録剤低減モードを設定する。なお、記録剤低減モード時には、画像処理装置10において、画像形成装置20の印刷時に使用される記録剤の付与量が低減されるべく、描画データの生成が行なわれる。本実施形態においては、記録剤の低減処理として間引き処理及び濃度変換処理のいずれかが各オブジェクトに対して行なわれる。このように本実施形態においては、画像処理によって、記録剤の低減が行なわれる。
【0025】
オブジェクト判定部72は、記録剤低減モードが設定されている場合に、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータから1又は複数のオブジェクトを検出するとともに、各オブジェクトの属性(種類)を判定する。オブジェクトの属性は、レイアウトデータ作成部15により付与される。また、オブジェクト判定部72においては、各オブジェクトにおける塗りつぶしの形態(例えば、ソリッドパターン、ハッチパターン)の判定も行なう。塗りつぶしの形態は、レイアウトデータ作成部15によりオブジェクトに付与された情報に基づいて判定しても良いし、また、パターン認識技術を用いて、各オブジェクトからパターンを認識することにより塗りつぶしの形態を判定しても良い。
【0026】
低減対象判定部73は、記録剤低減モードが設定されている場合に、レイアウトデータにおける1又は複数のオブジェクトうち、記録剤の低減処理の対象となるオブジェクトを判定する。
【0027】
低減方法決定部74は、記録剤低減モードが設定されている場合に、レイアウトデータにおける各オブジェクトに対して実施する記録剤の低減方法(画像処理方法)を判定する。すなわち、各オブジェクト毎に、間引き処理を行なうか、濃度変換処理を行なうかの決定を行なう。低減方法決定部74においては、例えば、オブジェクトが、グラデーションやビットマップ等であれば、間引き処理を行なう旨の決定を行なう。ここで、濃度変換処理とは、オブジェクトを構成する画素(ピクセル)の濃度を低減させる処理であり、間引き処理とは、オブジェクトを構成する画素の間引きを行なう処理である。
【0028】
描画制御部75は、プリンタドライバ16における描画処理の実行を制御する。以上が、制御部14において実現される機能的な構成の一例について説明する。
【0029】
続いて、画像形成装置20は、その機能的な構成として、通信部21と、制御部22と、画像形成部23とを具備して構成される。
【0030】
通信部21は、USBやLAN、IEEE1394等の通信インターフェース等から構成され、外部装置(例えば、画像処理装置)と画像形成装置20との間の通信を司る。
【0031】
制御部22は、例えば、CPU、ROMやRAM等から構成され、画像形成装置20における処理を統括制御する。画像形成装置20における各種処理は、例えば、CPUがRAMをワーク領域としてROMに記憶されたプログラムを読み込み実行することで実施される。制御部22においては、例えば、画像処理装置10から受信した描画データを解釈して印刷イメージを生成し、当該印刷イメージを画像形成部23に転送する。
【0032】
画像形成部23は、印刷イメージに基づいて記録媒体上に画像を形成し印刷を行なう。なお、画像形成部23により印刷は、記録剤(インク、トナー等)を用いて行なわれる。画像形成部23は、インクジェット方式で構成されても良いし、電子写真方式で構成されても良く、その形式は特に問わない。
【0033】
以上が、画像形成システムの構成の一例についての説明である。なお、画像処理装置10に設けられた機能的な構成は、必ずしも図示した通りに実現される必要はなく、システム内におけるいずれかの装置にその全部若しくは一部が実現されていればよい。例えば、画像処理装置10において、記録剤の低減方法を決定し、画像形成装置20において、当該決定に従って描画データを生成するように構成しても良い。また、例えば、画像処理装置10が画像形成装置20に組み込まれて実現される形態であっても良い。
【0034】
図2を用いて、本実施形態に係わる記録剤低減処理の概要について説明する。図2には、図1に示す表示部11に表示される画面の一例が示される。より具体的には、図2には、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータ(全体画像)を含む画面が示されている。なお、図2には、レイアウトデータとして、産業用途で使用されるカラーラベルが示されている。
【0035】
このようなカラーラベルにおいては、人が一目見て認識できるようにオブジェクト(部分画像)の一つである矩形のオブジェクト(以下、単に矩形と呼ぶ場合もある)31〜34は、色付けされ塗りつぶされることが多い。レイアウトデータ(全体画像)は、複数のオブジェクトを含んで構成される。
【0036】
ここで、図3を用いて、記録剤低減処理の結果の概要について説明する。図3には、図2の矩形31及び32に示すオブジェクトに対して濃度変換処理を実施した後、当該変換後のデータに基づいて記録媒体上に印刷を行なった場合の概要が示されている。
【0037】
記録剤の低減処理が行なわれた後の矩形31aは、図2に示す矩形31の輪郭部の濃度をそのままにした状態で矩形内部の濃度が変換されている。同様に、濃度変換が行われた後の矩形32aは、図2における矩形32の輪郭部の濃度をそのままにした状態で矩形内部の濃度が変換されている。
【0038】
なお、濃度変換後の矩形31a及び32aの輪郭部31b及び32bは、濃度変換されずに、ユーザにより指定されたカラーで印刷され、内部31c及び32cは、濃度変換されたカラーで印刷される。ここで、hは、輪郭部幅を示しており、輪郭部31bの外形(矩形31の外形と同じ)から内部31cの外形までの距離を示す。この距離hは、後述する記録剤を低減させない幅と同じである。
【0039】
続いて、図4(a)及び図4(b)を用いて、間引き処理の概要について説明する。なお、間引き処理においても、図3を用いて説明した濃度変換処理と同様にして、矩形の輪郭部に対しては処理が行なわれず、矩形の内部のみが処理される。すなわち、間引き処理により印刷されたオブジェクトも、図3に示すオブジェクトと同様の態様となり、輪郭部はそのままの状態でその内部が間引き処理される。
【0040】
図4(a)は、矩形41の内部を間引き処理し、当該間引き処理後のデータに基づいて記録媒体に印刷が行なわれた場合の矩形の概要を示している。
【0041】
間引き処理が行なわれた後の矩形41においては、その輪郭部は間引き処理が行なわれておらず、内部のみ間引き処理が行なわれている。なお、図4(a)に示す矩形の内部は、50%の間引き処理が行なわれている。
【0042】
また、図4(b)は、間引き率に対応した間引きパターンの一例が示される。なお、間引き率(記録剤の低減率)の設定方法については後述する(図6参照)。
【0043】
間引きパターンは、プリンタドライバ16において、予め保持されている(実際には、記憶部18に記憶されている)。この間引きパターンにおいては、パターンのオン(黒領域)に当たる部分はデータが設定され、オンではない領域(オフ領域:白領域)に当たる部分はデータが設定されない。
【0044】
図4(b)では、100%低減パターン、75%低減パターン、50%低減パターン、25%低減パターン及び0%低減パターンが示されている。本実施形態においては、ユーザは、マウス等を介して、100%、75%、50%、25%及び0%の中から1つ間引きのパターンを選択することができる。なお、勿論、これ以外の間引き率(比率)の間引きパターンを選択できるように構成されていても良い。
【0045】
次に、図5を用いて、図1に示す画像処理装置10による描画データの生成処理の概要について説明する。
【0046】
画像処理装置10においては、印刷に際して、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータ(全体画像)を描画データに変換し、当該変換後の描画データを画像形成装置20に向けて送信する。レイアウトデータには、複数のオブジェクト(部分画像)が含まれる。
【0047】
ここで、本実施形態においては、オブジェクトには、属性情報、座標情報(位置情報)、及び輝度(RGB)が含まれる。その他、形状に関するデータや等も含まれる。また、塗りつぶし形態を示す情報も含まれていても良い。なお、これらのオブジェクトの情報は、レイアウトデータ作成部15により付与される。
【0048】
属性情報は、そのオブジェクトの種類(例えば、テキスト、矩形、ビットマップ、グラデーション)を示す情報を含む。制御部14においては、この属性情報を用いて、オブジェクトの属性を判定する。これにより、記録剤低減モードが設定されている場合、プリンタドライバ16(描画部81)は、制御部14(描画制御部75)の制御に従って、そのオブジェクトの属性に応じた描画データの生成を行なう。
【0049】
制御部14は、プリンタドライバ16を制御して、各オブジェクトをRAM17の描画領域A上で描画データに変換する。図5に示す一例の場合、RAM17の描画領域A上において、矩形を描画データに変換している態様が示されている。なお、本実施形態においては、矩形の座標情報は、左上座標及び右下座標を含んでいる。
【0050】
制御部14は、生成した描画データの輝度(R、G、B)を、Black、Yellow、Magenta及びCyanに変換する。このとき、記録剤低減モードが設定され、また、記録剤の低減率が設定されている場合、当該低減率に応じて、濃度変換処理や間引き処理が行なわれる。このようにして生成された描画データは、所定の通信インターフェースを介して画像形成装置20に送信される。描画データを受信した画像形成装置20は、当該描画データに基づいて記録媒体上に印刷を行なう。
【0051】
次に、図6を用いて、画像処理装置10の表示部11に表示される画面の一例について説明する。ここでは、記録剤低減モード設定画面について説明する。記録剤低減モード設定画面は、レイアウトデータを印刷する際に表示される。
【0052】
記録剤低減モード設定画面51には、記録剤低減モードをオンするかオフするかを選択するチェックボックス52が設けられる。図6の場合、チェックボックス52がチェックされており、記録剤低減モードが設定されることになる。なお、記録剤低減モード設定画面51表示時の初期状態(デフォルト)においては、チェックボックス52は、チェックされていない。
【0053】
ユーザがマウス等を介してチェックボックス52をチェックすると、モード設定53における各項目のプロテクトが解除される。より具体的には、チェックボックス52が未チェックであれば、モード設定53の各項目は、ユーザによる入力が不可能な状態(プロテクト状態)となる。チェックボックス52にチェックを入れると、モード設定53の各項目は、ユーザによる入力が可能な状態となる。
【0054】
ここで、ユーザは、マウス等を介して、モード設定53において、記録剤の低減対象となるオブジェクトを選択する。モード設定53には、全てのオブジェクトを対象54と、カスタム設定55とがラジオボックスに対応して設けられている。デフォルトでは、全てのオブジェクトを対象54が選択されており、カスタム設定55における各項目56〜60は、プロテクト状態になっている。
【0055】
全てのオブジェクトを対象54に対応したラジオボックスがチェックされている場合、全てのオブジェクトが記録剤の低減対象となる。カスタム設定55に対応したラジオボックスがチェックされている場合、その直下に設けられる各項目のうちのいずれかが記録剤の低減対象となる。すなわち、ユーザは、カスタム設定55を選択した場合、マウス等を介して、テキスト、線、グラデーション、矩形、ビットマップのそれぞれに対応して設けられたチェックボックス56〜60のいずれかにチェックを入れる。なお、図6は、矩形に対応するチェックボックス59にチェックが入れられており、矩形のオブジェクトが記録剤の低減対象となる場合を示している。
【0056】
また、記録剤低減モード設定画面51には、低減量設定ボタン61が設けられている。このボタン61は、記録剤の低減率を設定する際に押下される。ここで、ユーザが、マウス等を介してボタン61を押下すると、記録剤低減率を設定するためのダイアログ63が表示される。ユーザは、このダイアログ63上において、記録剤の低減率を設定する。なお、図6は、記録剤の低減率が70%に設定されている場合を示している。
【0057】
この低減率は高いほど、濃度変換処理又は間引き処理により得られる画像の濃度が低くなる。この場合、ユーザは、0〜100%までの低減率を設定できる。なお、100%が設定された場合、オブジェクトの内部の印刷には、記録剤が使用されないことになる。すなわち、低減率100%の設定がなされ、オブジェクトの内部に記録剤が使用されない場合も、本実施形態における濃度変換処理や間引き処理に含まれる。
【0058】
また更に、記録剤低減モード設定画面51には、低減させない幅設定ボタン62も設けられている。このボタン62は、記録剤の低減を行なわない幅(輪郭部)を設定する際に押下される。より具体的には、ボタン62は、図3で説明したhを設定する際に押下される。ここで、ユーザが、マウス等を介してボタン62を押下すると、記録剤を低減させない幅、つまり、輪郭部の幅を設定するためのダイアログ64が表示される。ユーザは、このダイアログ64上において、輪郭部の幅を設定する。ユーザは、記録剤を低減させない幅として、「0」を越えた数値を設定することができる。この場合、輪郭部の幅は、5ピクセル(画素)に設定されている。
【0059】
なお、本実施形態において、記録剤低減率及び記録剤低減させない幅の設定は、全てのオブジェクト(テキスト、線、矩形、グラデーション及びビットマップ等)に対して共通の設定としているが、これに限られない。例えば、記録剤低減率及び記録剤低減させない幅は、それぞれのオブジェクトに対して個別に設定できるように構成しても良い。
【0060】
このようにして、ユーザは、記録剤低減モード設定画面51において、記録剤低減率及び記録剤低減させない幅を設定した後、印刷実行命令を行なうことで印刷時の記録剤の使用量を低減することができる。
【0061】
以上のように本実施形態においては、記録剤の低減を行なうオブジェクトの属性を選択することができるので、ユーザが濃度を低下させたくない部分(オブジェクト)まで記録剤が低減されるといったことが起こらない。
【0062】
次に、図7を用いて、制御部14の処理の流れの一例について説明する。ここでは、ユーザにより印刷開始命令が行なわれた場合に、制御部14において、描画データを生成する際の処理の流れについて説明する。
【0063】
ユーザにより印刷開始命令がなされると、制御部14は、記録剤低減モードが指示されているか否かの判定を行なう(S101)。この判定は、図6で説明した記録剤低減モード設定画面51において、チェックボックス52がチェックされたか否かに基づいて行なわれる。
【0064】
判定の結果、記録剤低減モードが指示されていなければ(S101でNO)、制御部14は、描画部81において、全てのオブジェクトに対して通常塗りつぶし処理を行なった後(S102)、最終ページであるか否かをチェックする。そして、最終ページであれば(S120でYES)、そのままこの処理を終了し、そうでなければ(S120でNO)、制御部14は、再度、S101の処理に戻る。
【0065】
一方、記録剤低減モードが指示されていれば(S101でYES)、制御部14は、低減方法決定部74において、記録剤低減方法決定処理(画像処理決定処理)を実施する。この処理の詳細については後述するが、オブジェクト毎に濃度変換処理を行なうのか、間引き処理を行なうのかが決定される。
【0066】
続いて、制御部14は、低減対象判定部73において、全てのオブジェクトが記録剤低減処理の対象であるか否かの判定を行なう。この判定は、図6で説明した記録剤低減モード設定画面51において、チェックボックス54〜60のいずれがチェックされたかに基づいて行なわれる。
【0067】
判定の結果、全てのオブジェクトが対象であれば(S103でYES)、制御部14は、描画部81において、全てのオブジェクトに対して記録剤低減用塗りつぶし処理を行なった後(S104)、最終ページであるか否かをチェックする。そして、最終ページであれば(S120でYES)、この処理を終了し、そうでなければ(S120でNO)、制御部14は、再度、S101の処理に戻る。
【0068】
また、S103の判定において、全てのオブジェクトが記録剤低減処理の対象でなければ(S103でNO)、制御部14は、低減対象判定部73において、テキストが記録剤低減処理の対象であるか否かを判定する。テキストが対象でなければ(S105でNO)、制御部14は、描画部81において、通常の塗りつぶし処理(テキスト)を行なう(S106)。テキストが対象であれば(S105でYES)、制御部14は、描画部81において、記録剤低減用塗りつぶし処理(テキスト)を行なう(S107)。
【0069】
制御部14は、低減対象判定部73において、線が記録剤低減処理の対象であるか否かを判定する。線が対象でなければ(S108でNO)、制御部14は、描画部81において、通常の塗りつぶし処理(線)を行なう(S109)。線が対象であれば(S108でYES)、制御部14は、描画部81において、記録剤低減用塗りつぶし処理(線)を行なう(S110)。
【0070】
制御部14は、低減対象判定部73において、グラデーションが記録剤低減処理の対象であるか否かを判定する。グラデーションが対象でなければ(S111でNO)、制御部14は、描画部81において、通常の塗りつぶし処理(グラデーション)を行なう(S112)。グラデーションが対象であれば(S111でYES)、制御部14は、描画部81において、記録剤低減用塗りつぶし処理(グラデーション)を行なう(S113)。
【0071】
制御部14は、低減対象判定部73において、矩形が記録剤低減処理の対象であるか否かを判定する。矩形が対象でなければ(S114でNO)、制御部14は、描画部81において、通常の塗りつぶし処理(矩形)を行なう(S115)。矩形が対象であれば(S114でYES)、制御部14は、低減対象判定部73において、記録剤低減用塗りつぶし処理(矩形)を行なうか否かの判定処理を行なう(S116)。
【0072】
制御部14は、低減対象判定部73において、ビットマップが記録剤低減処理の対象であるか否かを判定する。ビットマップが対象でなければ(S117でNO)、制御部14は、描画部81において、通常の塗りつぶし処理(ビットマップ)を行なう(S118)。ビットマップが対象であれば(S117でYES)、制御部14は、描画部81において、記録剤低減用塗りつぶし処理(ビットマップ)を行なう(S119)。
【0073】
その後、制御部14は、最終ページであるか否かをチェックする。そして、最終ページでなければ(S120でNO)、制御部14は、再度、S101の処理に戻り、最終ページであれば(S120でYES)、そのままこの処理を終了する。
【0074】
この処理の後、制御部14は、描画部81において、生成した描画データの輝度(R、G、B)を、Black、Yellow、Magenta及びCyanに変換する。そして、その変換後の描画データを、通信インターフェースを介して画像形成装置20に出力する。なお、記録剤低減モードが指示された場合、輝度をBlack、Yellow、Magenta及びCyanに変換する際に、濃度低減処理又は間引き処理が行なわれる。
【0075】
ここで、図8を用いて、記録剤低減モードが設定されている場合に、各オブジェクト毎に低減処理の方法を決定する際の処理の流れの一例について説明する。より具体的には、記録剤低減処理の対象となるオブジェクトに対して濃度変換処理を行なうか、間引き処理を行なうかの判定を行なう処理の流れについて説明する。なお、この処理は、各オブジェクト毎に行なわれ、例えば、図7に示すS104、S107、S110、S113、S116、S119の処理が行なわれる前に実施される。
【0076】
この処理が開始すると、オブジェクト判定部72は、まず、処理対象となるオブジェクトがテキストであるか否かを判定する。判定の結果、テキストであれば(S201でYES)、低減方法決定部74は、記録剤の低減方法として、間引き処理を設定した後(S202)、この処理を終了する。なお、テキストの場合に記録剤の低減方法として間引き処理を設定するのは、塗りつぶし色の原色を維持しながら記録剤を低減させるためである。
【0077】
また、テキストでなければ(S201でNO)、オブジェクト判定部72は、処理対象となるオブジェクトが線であるか否かを判定する。判定の結果、線であれば(S203でYES)、低減方法決定部74は、記録剤の低減方法として、濃度変換処理を設定した後(S204)、この処理を終了する。なお、線の場合に記録剤の低減方法として濃度変換処理を設定するのは、実線や点線、及び破線といった線種の形状に影響が出ないように記録剤を低減させるためである。
【0078】
また、線でなければ(S203でNO)、オブジェクト判定部72は、処理対象となるオブジェクトがグラデーションであるか否かを判定する。判定の結果、グラデーションであれば(S205でYES)、低減方法決定部74は、記録剤の低減方法として、間引き処理を設定した後(S206)、この処理を終了する。なお、グラデーションの場合に記録剤の低減方法として間引き処理を設定するのは、グラデーションを構成する各画素に対して濃度変換処理を行なった場合、多大な演算が必要となるため、それを回避するためである。
【0079】
また、グラデーションでなければ(S205でNO)、オブジェクト判定部72は、処理対象となるオブジェクトが矩形であるか否かを判定する。判定の結果、矩形であれば(S207でYES)、低減方法決定部74は、矩形の塗りつぶしパターンの形態を判定する。
【0080】
この処理では、低減方法決定部74は、まず、処理対象となる矩形の塗りつぶしパターンがソリッド(べた塗り)であるか否かを判定する。
【0081】
矩形の塗りつぶしパターンがソリッドであれば(S211でYES)、低減方法決定部74は、記録剤の低減方法として、間引き処理を設定した後(S212)、この処理を終了する。なお、矩形の塗りつぶしパターンがソリッドの場合に記録剤の低減方法として間引き処理を設定するのは、塗りつぶし色の原色を維持しながら、記録剤を低減させるためである。
【0082】
塗りつぶしパターンがソリッドでなければ(S211でNO)、低減方法決定部74は、塗りつぶしパターンがハッチパターン(ハッチングパターン)であるか否かを判定する。矩形の塗りつぶしパターンがハッチパターンであれば(S213でYES)、低減方法決定部74は、記録剤の低減方法として、濃度変換処理を設定した後(S214)、この処理を終了する。なお、矩形の塗りつぶしパターンがハッチパターンの場合に記録剤の低減方法として濃度変換処理を設定するのは、塗りつぶしのハッチパターンの形状に影響がでないように、記録剤を低減させるためである。
【0083】
塗りつぶしパターンがハッチパターンでなければ(S213でNO)、オブジェクト判定部72は、塗りつぶしパターンがビットマップであるか否かを判定する。矩形の塗りつぶしパターンがビットマップであれば(S215でYES)、低減方法決定部74は、記録剤の低減方法として、間引き処理を設定した後(S216)、この処理を終了する。なお、矩形の塗りつぶしパターンがビットマップの場合に記録剤の低減方法として間引き処理を設定するのは、ビットマップを構成する各画素に対して濃度変換処理を行なった場合、多大な演算が必要となるため、それを回避するためである。
【0084】
塗りつぶしパターンがビットマップでなければ(S215でNO)、低減方法決定部74は、記録剤の低減方法として、デフォルト(この場合、間引き処理)を設定した後(S217)、この処理を終了する。なお、デフォルトとしての設定は、間引き処理である必要はなく、濃度変換処理であっても良い。デフォルトとしての設定は、マシンスペックやユーザが求める画質等に応じて適宜変更すれば良い。
【0085】
また、S207の判定の結果、処理対象となるオブジェクトが矩形でなければ(S207でNO)、低減方法決定部74は、処理対象となるオブジェクトがビットマップであるか否かを判定する。判定の結果、ビットマップであれば(S208でYES)、低減方法決定部74は、記録剤の低減方法として、間引き処理を設定した後(S209)、この処理を終了する。なお、ビットマップの場合に記録剤の低減方法として間引き処理を設定するのは、ビットマップを構成する各画素に対して濃度変換処理を行なった場合、多大な演算が必要となるため、それを回避するためである。
【0086】
ビットマップでなければ(S208でNO)、低減方法決定部74は、処理対象となるオブジェクトの記録剤の低減方法として、デフォルト(この場合、濃度変換処理)を設定した後(S210)、この処理を終了する。なお、デフォルトとしての設定は、濃度変換処理である必要はなく、間引き処理であっても良い。デフォルトとしての設定は、マシンスペックやユーザが求める画質等に応じて適宜変更すれば良い。
【0087】
このように本実施形態によれば、記録剤低減モードが指示されている場合、プリンタドライバ16においては、制御部14における設定に基づいて、制御部14の制御に従って各オブジェクトの描画処理(濃度変換、間引き処理)を切り替えて行なう。より具体的には、オブジェクトの属性や塗りつぶし形態に従って濃度変換処理と間引き処理とが切り替えて行なわれる。これにより、記録剤の低減処理の演算負荷の低減や、塗りつぶしパターン形状の維持や、塗りつぶし色の原色維持等を図ることができる。
【0088】
なお、図8の説明では、矩形の場合、ソリッド(べた塗り)、ビットマップ、ハッチパターンであるか否かを判定していたが、これらのパターンに限らず、他のパターンを判定しても良い。例えば、図8の説明では、ソリッドやビットマップの場合に間引き処理を行なう判定を行なっている。この場合、ソリッドやビットマップを判定する手法として、オブジェクト全体において所定の割合以上に塗りつぶしが行なわれているパターンであるか否かに基づいて間引き処理を行なうか否かを判定しても良い。
【0089】
次に、図9を用いて、図7のS116に示す記録剤低減用塗りつぶし判定処理(矩形)の流れの一例について説明する。
【0090】
この処理が開始すると、低減対象判定部73は、まず、矩形の描画幅及び描画高さと、記録剤低減させない幅の2倍とを比較する(S301)。この比較は、記録剤低減モード設定画面51において、ユーザにより設定された記録剤低減させない幅の設定に基づいて行なわれる。なお、矩形の描画幅は、図5に示した描画領域におけるX方向の長さを示し、矩形の描画高さは、図5に示した描画領域におけるY方向の長さを示す。
【0091】
S301の判定の結果、矩形の描画幅及び描画高さが、記録剤を低減させない幅の2倍以下であれば(S301でYES)、低減対象判定部73は、対象となる矩形には、記録剤を低減するための幅が足りないと判定する。そのため、通常の塗りつぶし処理(矩形)をプリンタドライバ16(描画部81)に行なわせる(S302)。
【0092】
一方、S301の判定の結果、矩形の描画幅及び描画高さが、記録剤低減させない幅の2倍よりも大きければ(S301でNO)、低減対象判定部73は、対象となる矩形には、記録剤を低減するための幅があると判定する。そして、記録剤低減用塗りつぶし処理(矩形)をプリンタドライバ16(描画部81)に行なわせる(S303)。
【0093】
次に、図10を用いて、図7のS115及び図9のS302に示す通常の塗りつぶし処理(矩形)の流れの一例について説明する。
【0094】
この処理が開始すると、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、塗りつぶす矩形の幅を算出する(S401)。矩形の幅は、矩形の位置情報である右下X座標から左上X座標を引いた値である。
【0095】
矩形の幅を算出した後、描画制御部75は、詳細については後述するが、描画部81に通常の1ライン描画データ生成処理を行なわせる(S402)。なお、本実施形態においては、1ライン描画データとは、1ピクセルの画像データがX方向に並べられた描画データを指す。また、通常の1ライン描画データとは、後述する濃度変換を行なわないときの矩形の幅(X方向)データを指す。
【0096】
通常の1ライン描画データ生成処理を行なった後、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、描画領域Aにおける描画開始位置を決定する(S403)。また、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、塗りつぶす矩形の高さを算出する(S404)。矩形の高さは、矩形の位置情報である右下Y座標から左上Y座標を引いた値である。
【0097】
続いて、描画制御部75は、矩形における高さ方向のループカウンタを初期化(本実施形態においては、「0」を設定)する(S405)。矩形における高さループカウンタは、1ライン描画データがY方向に並んだ数値を指す。
【0098】
ここで、描画制御部75は、塗りつぶす矩形の高さと、高さループカウンタの値とを比較する。比較の結果、塗りつぶす矩形の高さと高さループカウンタの値とが同じ値でなければ(S406でNO)、描画制御部75は、S402の処理で生成された通常の1ライン描画データをコピーし、S403の処理で決定された描画開始位置に貼り付ける(S407)。これにより、1ライン分の矩形塗りつぶし処理が完了する。
【0099】
通常の1ライン描画データの貼り付けが終了すると、描画制御部75は、当該貼り付けた描画データの1ピクセル下の位置に描画開始位置を更新(変更)する(S408)。その後、描画制御部75は、高さループカウンタをインクリメントさせ(S409)、再度、S406の処理に戻り、塗りつぶす矩形の高さと高さループカウンタの値とを比較する。S406の処理の結果、塗りつぶす矩形の高さと、高さループカウンタの値とが一致すれば(S406でYES)、この処理は終了する。
【0100】
次に、図11を用いて、図9のS303に示す記録剤低減用塗りつぶし処理(矩形:濃度変換処理)の流れの一例について説明する。この処理は、矩形に対して濃度変換により記録剤の低減処理を行なう場合に実施される。
【0101】
この処理が開始すると、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、塗りつぶす矩形の幅を算出する(S501)。矩形の幅は、矩形の位置情報である右下X座標から左上X座標を引いた値である。
【0102】
矩形の幅を算出した後、描画制御部75は、描画部81に通常の1ライン描画データ生成処理を行なわせる(S502)。また、描画制御部75は、描画部81に記録剤低減1ライン描画データ生成処理も行なわせる(S503)。なお、S502及びS503の処理の詳細については後述する。これらの描画データ生成処理が終わると、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、描画開始位置を決定する(S504)。
【0103】
ここで、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、塗りつぶす矩形の高さを算出する(S404)。矩形の高さは、矩形の位置情報である右下Y座標から左上Y座標を引いた値である。また、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、記録剤を低減する高さを算出する(S506)。この記録剤を低減する高さは、S505の処理で算出された矩形の高さから、記録剤を低減させない幅の2倍の数値を引くことにより算出される。
【0104】
描画制御部75は、矩形における高さ方向のループカウンタを初期化(本実施形態においては、「0」に設定)する(S507)。矩形における高さループカウンタは、1ライン描画データがY方向に並んだ数値を指す。
【0105】
ここで、描画制御部75は、塗りつぶす矩形の高さと、高さループカウンタの値とを比較する。比較の結果、塗りつぶす矩形の高さと高さループカウンタの値とが同じ値でなければ(S508でNO)、描画制御部75は、S509の処理に進む。そして、「高さループカウンタの値<記録剤低減させない幅」と、「高さループカウンタの値>(記録剤低減させない幅+記録剤低減する高さ)」との数式のうち、いずれか一方の数式が満たされているか否かを判定する。
【0106】
判定の結果、いずれかの数式が満たされていれば(S509でYES)、描画制御部75は、S502の処理で生成された通常の1ライン描画データをコピーする(S510)。一方、いずれの数式も満たされていなければ(S509でNO)、描画制御部75は、S503の処理で生成された記録剤低減1ライン描画データをコピーする(S511)。そして、S510又はS511の処理でコピーしたデータをS504の処理で決定した描画開始位置に貼り付ける(S512)。
【0107】
1ライン分の描画データの貼り付けが終了すると、描画制御部75は、当該貼り付けた描画データの1ピクセル下の位置に描画開始位置を更新(変更)する(S513)。その後、描画制御部75は、高さループカウンタをインクリメントさせ(S514)、再度、S508の処理に戻り、塗りつぶす矩形の高さと高さループカウンタの値とを比較する。S508の処理の結果、塗りつぶす矩形の高さと、高さループカウンタの値とが一致すれば(S508でYES)、この処理は終了する。
【0108】
次に、図12を用いて、図10のS402及び図11のS502に示す通常1ライン描画データ生成処理の流れの一例について説明する。
【0109】
この処理が開始すると、描画制御部75は、矩形における幅方向のループカウンタを初期化(本実施形態においては、「0」に設定)する(S601)。矩形における幅ループカウンタは、1ピクセルの描画データがX方向に並んだ数値を指す。
【0110】
描画制御部75は、幅ループカウンタの値と、描画1ライン幅(図10のS401又は図11のS501で算出した幅)とを比較する。比較の結果、それらが同じ値でなければ(S602でNO)、描画制御部75は、幅ループカウンタの値に対応する矩形内の領域のカラーを決定する。すなわち、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、当該領域のカラーに関わる描画データ(RED、Green及びBlue)を設定する。これらの描画データは、当該領域において塗りつぶされるカラーを示す。
【0111】
描画制御部75は、幅ループカウンタをインクリメントさせた後(S604)、再度、S602の処理に戻り、幅ループカウンタの値と、描画1ライン幅との比較を行なう。その後、S602の判定において、幅ループカウンタの値と描画1ライン幅とが一致すれば(S602でYES)、この処理は終了する。
【0112】
次に、図13を用いて、図11のS503に示す記録剤低減1ライン描画データ生成処理の流れの一例について説明する。
【0113】
この処理が開始すると、描画制御部75は、1ラインにおける記録剤を低減する幅を算出する(S701)。この記録剤低減する幅は、描画1ライン幅(図11のS501で算出した幅)から記録剤低減させない幅の2倍の数値を引くことにより算出される。
【0114】
上記算出が済むと、描画制御部75は、矩形における幅方向のループカウンタを初期化(本実施形態においては、「0」を設定)する(S702)。矩形における幅ループカウンタは、1ピクセルの描画データがX方向に並んだ数値を指す。
【0115】
描画制御部75は、幅ループカウンタの値と、描画1ライン幅(図11のS501で算出した幅)とを比較する。比較の結果、それらが同じ値でなければ(S703でNO)、描画制御部75は、S704の処理に進む。そして、「幅ループカウンタの値<記録剤低減させない幅」と、「幅ループカウンタの値>(記録剤低減させない幅+記録剤低減する幅)」との数式のうち、いずれか一方の数式が満たされているか否かを判定する。
【0116】
判定の結果、いずれかの数式が満たされていれば(S704でYES)、描画制御部75は、幅ループカウンタの値に対応する矩形内の領域のカラーを決定する(S705)。すなわち、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、当該領域のカラーに関わる描画データ(RED、Green及びBlue)を設定する。これらの描画データは、当該領域において塗りつぶされるカラーを示す。
【0117】
S704の判定の結果、いずれの数式も満たされていなければ(S704でNO)、描画制御部75は、低減カラーを決定する(S706)。低減カラーは、レイアウトデータ作成部15により作成されたデータと、記録剤低減モード設定画面51でユーザにより設定された低減率とに基づいて決められる。
【0118】
ここで、低減カラーは、例えば、Redの場合、最大出力レベルを255とすると、「(255−(低減前のRedの出力))×(低減率/100)」という数式により求められる。なお、低減率の単位は、%(パーセント)である。Green及びBlueについての低減カラーも、同様の数式により求められる。
【0119】
このようにして所定の領域に対するカラー又は低減カラーが決定されると、描画制御部75は、幅ループカウンタをインクリメントさせた後(S707)、再度、S703の処理に戻り、幅ループカウンタの値と、描画1ライン幅との比較を行なう。その後、S703の判定において、幅ループカウンタの値と描画1ライン幅とが一致すれば(S703でYES)、この処理は終了する。
【0120】
ここで、図14を用いて、図5に示す描画領域Aにテキストを描画させる際の処理の概要について説明する。
【0121】
描画領域Aへのテキストの描画に際して、描画制御部75は、当該テキストにおいて、幅(X)方向に最も端部(この場合、左)にあり且つ、高さ(Y)方向に最も端部(この場合、上)のピクセルBから描画を開始させる。そして、矢印Cに示すように、ピクセルBからX方向のピクセルを順次塗りつぶす。
【0122】
続いて、描画制御部75は、当該テキストにおいて、ピクセルBからX方向に沿って右端に位置するピクセルの塗りつぶしが済むと、一つ下のラインの左端のピクセルの塗りつぶしを制御する。この処理を順次繰り返すことにより、テキストの描画が行なわれる。なお、ここでは、テキストの描画について例を挙げて説明したが、線及びビットマップ等についても同様の方法で塗りつぶしを行なえば良い。
【0123】
次に、図15を用いて、図7のS106、S109、S112及びS118に示す通常の塗りつぶし処理(矩形以外)の流れの一例について説明する。
【0124】
この処理が開始すると、描画制御部75は、まず、描画データの生成対象となるオブジェクトにおいて、幅(X)方向に最も端部(この場合、左)にあり且つ、高さ(Y)方向に最も端部(この場合、上)のピクセルに対して塗りつぶし処理を行なう。より具体的には、描画部81を制御して、該当の領域(ピクセル)に設定された描画データ(RED、Green及びBlue)で当該領域を塗りつぶす。(S801)。
【0125】
描画制御部75は、S801の処理で塗りつぶしたピクセルが、ラインの幅方向に沿って最終ピクセル(右端)に位置するか否かを判定する(S802)。判定の結果、最終ピクセルであれば(S802でYES)、描画制御部75は、高さ方向においても、最終ピクセル(下端)であるか否かを判定する(S803)。
【0126】
判定の結果、高さ方向においても最終ピクセルであれば(S803でYES)、対象のオブジェクトに対する通常塗りつぶし処理を終了する。
【0127】
一方、S802の判定の結果、幅方向において最終ピクセルでなければ(S802でNO)、描画制御部75は、S801で処理したピクセルの右隣へ描画位置を更新した後(S804)、S806の処理に進む。また、S803の判定の結果、高さ方向において最終ピクセルでなければ(S803でNO)、描画制御部75は、S801で処理したピクセルの1ライン下の左端に描画位置を更新した後(S805)、S806の処理に進む。
【0128】
その後、描画制御部75は、S804又はS805の処理により決められた描画位置の領域(ピクセル)のカラーを決定する。より具体的には、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、該当の領域のカラーに関わる描画データ(RED、Green及びBlue)を設定し、当該領域を塗りつぶす(S806)。その後、描画制御部75は、再度、S802の処理に戻る。
【0129】
次に、図16を用いて、図7のS107、S110、S113及びS119に示す記録剤低減用塗りつぶし処理(矩形以外:濃度変換処理)の流れの一例について説明する。この処理は、矩形以外のオブジェクトに対して濃度変換により記録剤の低減処理を行なう場合に実施される。
【0130】
この処理が開始すると、描画制御部75は、まず、図15で説明した通常塗りつぶし処理を行なう(S901)。続いて、描画制御部75は、記録剤の低減が可能であるか否かの判定対象となるピクセルの設定を行なう(S902)。ここでは、幅(X)方向に最も端部(この場合、左)にあり且つ、高さ(Y)方向に最も端部(この場合、上)のピクセルを設定する。
【0131】
ここで、描画制御部75は、該当のピクセル(注目ピクセル)が、記録剤の低減が可能であるか否かを判定する。上述した図14を用いてこの判定方法について説明する。図14に示すDを注目ピクセルとした場合、描画制御部75は、ピクセルDから左上の方向Eおいて、ピクセルDに隣接するピクセルから既に塗りつぶされたピクセルが連続して何ピクセルあるか算出する(図14の場合には、1ピクセルとなる)。
【0132】
そして、描画制御部75は、当該算出したピクセルの数と、記録剤を低減させないピクセルの数(記録剤低減モード設定画面51で設定される数値)とを比較し、算出したピクセルの数が、記録剤を低減させないピクセルの数以上であるか否かを判定する。この処理は、図14に示すF方向、G方向、H方向、I方向、J方向、K方向及びL方向についても同様に行なう。
【0133】
上述した判定の結果、「算出したピクセルの数≧記録剤を低減させないピクセルの数」を満たしている場合、描画制御部75は、ピクセルDが記録剤の低減が可能なピクセルであると判定する。なお、ピクセルDに隣接するピクセルから既に塗りつぶされたピクセルが連続して何ピクセルあるかは、図14の場合、F方向=1ピクセル、G方向=1ピクセル、H方向=1ピクセル、I方向=6ピクセル、J方向=1ピクセル、K方向=8ピクセル、L方向=1ピクセルとなる。
【0134】
S903の判定の結果、記録剤の低減が不可能なピクセルであれば(S903でNO)、描画制御部75は、該当のピクセル(注目ピクセル)についての塗りつぶしの変更を行なわない(S904)。つまり、注目ピクセルについては、記録剤の低減を行なわない。
【0135】
一方、記録剤の低減が可能なピクセルであれば(S903でYES)、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたデータ及び記録剤低減モード設定画面51で設定された低減率に基づいて、注目ピクセルに対する低減カラーを決定する。低減カラーは、例えば、Redの場合、最大出力レベルを255とすると、「(255−(低減前のRedの出力))×(低減率/100)」という数式により求められる。なお、低減率の単位は、%(パーセント)である。Green及びBlueについての低減カラーも、同様の数式により求められる。
【0136】
続いて、描画制御部75は、既に塗りつぶされている注目ピクセルの塗りつぶしカラーを低減カラーに変更する。そして、描画部81においては、当該変更後のカラーにより当該ピクセルを塗りつぶす(S905)。
【0137】
その後、描画制御部75は、上記処理で記録剤の低減が可能であるか否かをチェックしたピクセルが、当該ピクセルがあるラインにおいて(幅方向の)最終ピクセル(右端)であるか否かを判定する。最終ピクセルでなければ(S906でNO)、描画制御部75は、右隣のピクセルにチェック位置を更新した後(S907)、再度、S903の処理に戻る。また、最終ピクセルであれば(S906でYES)、描画制御部75は、注目ピクセルが高さ方向において最終ピクセル(下端)であるか否かを判定する。高さ方向において最終ピクセルでなければ(S908でNO)、描画制御部75は、(注目ピクセルの)1ライン下のラインの左端に、判定対象となるピクセルの位置を更新した後(S909)、再度、S903の処理に戻る。高さ方向において最終ピクセルであれば(S908でYES)、描画制御部75は、この処理を終了する。
【0138】
次に、図17を用いて、図9のS303に示す記録剤低減用塗りつぶし処理(矩形:間引き処理)の流れの一例について説明する。この処理は、矩形に対して間引き処理により記録剤の低減処理を行なう場合に実施される。
【0139】
この処理が開始すると、描画制御部75は、まず、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、塗りつぶす矩形の幅を算出する(S1001)。矩形の幅は、矩形の位置情報である右下X座標から左上X座標を引いた値である。
【0140】
矩形の幅を算出した後、描画制御部75は、通常Cライン描画データ生成処理を行なう(S1002)。通常Cライン描画データ生成処理の詳細については後述する。通常Cラインは、図4(a)に示す輪郭部(記録剤を低減させない幅)に対応する。
【0141】
また、描画制御部75は、記録剤低減Nライン描画データ生成処理を行なう(S1003)。記録剤低減Nライン描画データ生成処理の詳細については後述する。記録剤低減Nラインは、図4(a)に示す矩形内部の一部の領域(記録剤を低減させる高さ)に対応する。なお、Nは、描画制御部75が、まとめて処理を行なうライン数(処理単位)を示し、この数値は、描画制御部75の処理能力等に応じて設定される。
【0142】
描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、塗りつぶす矩形の高さA(図4(a)参照)を算出する(S1004)。矩形の高さAは、矩形の位置情報である右下Y座標から左上Y座標を引いた値となる。
【0143】
また、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、記録剤を低減する高さB(図4(a))を算出する(S1005)。記録剤を低減する高さは、S1004の処理で算出された矩形の高さAから、記録剤を低減させない幅Cの2倍の数値を引くことにより算出される。
【0144】
描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、記録剤を低減する終端高さDを算出する(S1006)。記録剤を低減する終端高さDは、図4(a)に示すように、記録剤低減NラインのNで記録剤を低減する高さBを割ったときに得られる余りを示す。
【0145】
この処理の後、描画制御部75は、記録剤を低減する終端高さDが「0」を越えるか否かの判定を行なう。記録剤を低減する終端高さDが「0」を越える場合(S1007でYES)、描画制御部75は、記録剤低減Dライン描画データの生成を処理を行なう(S1008)。なお、記録剤低減Dライン描画データの生成処理では、S1003に示す記録剤低減Nライン描画データ生成処理と同様の処理が行なわれるため、詳細な処理の流れについての説明は省略する。
【0146】
記録剤低減Dライン描画データの生成後、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、描画開始位置を決定する(S1009)。また、S1007の判定の結果、記録剤を低減する終端高さDが「0」を越えない場合(S1007でNO)、描画制御部75は、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、描画開始位置を決定する(S1009)。その後、描画制御部75は、S1002の処理で生成された通常Cライン描画データをコピーし(S1010)、S1009の処理で決定した描画開始位置に当該コピーしたデータを貼り付ける(S1011)。
【0147】
ここで、描画制御部75は、矩形における高さ方向のループカウンタHを初期化(本実施形態においては、「0」を設定)する(S1012)。矩形における高さループカウンタは、1ライン描画データがY方向に並んだ数値を指す。
【0148】
描画制御部75は、「高さループカウンタH+N」が、記録剤低減する高さBを越えているか否かを判定する。判定の結果、「高さループカウンタH+N」が高さBを越えていれば(S1013でYES)、描画制御部75は、高さループカウンタHが、記録剤を低減する高さBと等しいか否かを判定する。
【0149】
判定の結果、高さループカウンタHが高さBと等しくなければ(S1014のNO)、描画制御部75は、記録剤低減Dライン描画データをコピーし(S1015)、コピーしたデータを貼り付けた後(S1016)、S1020の処理に進む。一方、高さループカウンタHが高さBと等しければ(S1014でYES)、描画制御部75は、S1002の処理で生成された通常Cライン描画データをコピーし(S1020)、当該コピーしたデータを貼り付けた後(S1021)、この処理を終了する。
【0150】
S1013の判定の結果、「高さループカウンタH+N」が高さBを越えていなければ(S1013でNO)、描画制御部75は、Nラインの描画が可能であるので、S1003の処理で生成された記録剤低減Nライン描画データをコピーする(S1017)。そして、当該コピーしたデータを貼り付ける(S1018)。その後、描画制御部75は、高さループカウンタをインクリメント(H=H+N)させた後(S1019)、再度、S1013の処理に戻る。
【0151】
次に、図18を用いて、図17のS1002に示す通常Cライン描画データ生成処理の流れの一例について説明する。
【0152】
この処理が開始すると、描画制御部75は、まず、矩形における高さ方向のループカウンタを初期化(本実施形態においては、「0」を設定)する(S1101)。そして、高さループカウンタの値がCラインの高さ(高さCライン)と等しいか否かを判定する。矩形における高さループカウンタは、1ピクセルの描画データがY方向に並んだ数値を指す。
【0153】
判定の結果、高さループカウンタの値がCラインの高さ(高さCライン)と等しければ(S1102でYES)、描画制御部75は、この処理を終了する。一方、高さループカウンタの値がCラインの高さ(高さCライン)と等しくなければ(S1102でNO)、描画制御部75は、矩形における幅方向のループカウンタを初期化(本実施形態においては、「0」を設定)する(S1103)。矩形における幅ループカウンタは、1ピクセルの描画データがX方向に並んだ数値を指す。
【0154】
ここで、描画制御部75は、幅ループカウンタの値が描画1ライン幅(1ラインのX方向長さ)と等しいか否かを判定する。判定の結果、幅ループカウンタの値が描画1ライン幅と等しくなければ(S1104でNO)、描画制御部75は、幅ループカウンタの値に対応する矩形内の領域のカラーを決定する(S1105)。すなわち、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、該当の領域のカラーに関わる描画データ(RED、Green及びBlue)を設定する。その後、描画制御部75は、幅ループカウンタをインクリメントした後(S1106)、再度、S1104の処理に戻る。
【0155】
また、S1104の判定の結果、幅ループカウンタの値が描画1ライン幅と等しければ(S1104でYES)、描画制御部75は、1ラインの描画データの生成を終了する(S1107)。そして、高さループカウンタをインクリメントさせた後(S1107)、再度、S1102の処理に戻る。
【0156】
次に、図19を用いて、図17のS1003に示す記録剤低減Nライン描画データ生成処理の流れの一例について説明する。
【0157】
この処理が開始すると、描画制御部75は、矩形における高さ方向のループカウンタを初期化(本実施形態においては、「0」を設定)し(S1201)、高さループカウンタの値がNラインの高さ(高さNライン)と等しいか否かを判定する(S1202)。矩形における高さループカウンタは、1ピクセルの描画データがY方向に並んだ数値を指す。
【0158】
判定の結果、高さループカウンタの値がNラインの高さ(高さNライン)と等しいければ(S1202でYES)、描画制御部75は、この処理を終了する。一方、高さループカウンタの値がNラインの高さ(高さNライン)と等しくなければ(S1202でNO)、描画制御部75は、矩形における幅方向のループカウンタを初期化(本実施形態においては、「0」を設定)する(S1203)。矩形における幅ループカウンタは、1ピクセルの描画データがX方向に並んだ数値を指す。
【0159】
描画制御部75は、幅ループカウンタの値が描画1ライン幅(1ラインのX方向長さ)と等しいか否かを判定する。判定の結果、幅ループカウンタの値が描画1ライン幅と等しければ(S1204でYES)、描画制御部75は、1ライン描画データの生成を終了する(S1211)。そして、高さループカウンタをインクリメントさせた後(S1212)、再度、S1202の処理に戻る。
【0160】
一方、幅ループカウンタの値が描画1ライン幅と等しくなければ(S1204でNO)、描画制御部75は、「幅ループカウンタ<記録剤低減させない幅」と、「幅ループカウンタ>(記録剤低減させない幅C+記録剤低減する幅)」との数式のうち、いずれか一方の数式が満たされているか否かを判定する。
【0161】
判定の結果、いずれの数式も満たされていなければ(S1205でNO)、描画制御部75は、描画対象となるピクセルに対する間引きパターンの該当の領域が、オン領域であるかオフ領域であるかを判定する。すなわち、図4(a)に示す白領域(オフ領域)であるか黒領域(オン領域)であるかを判定する(S1206)。
【0162】
間引きパターンにおける該当のピクセルがオン領域でなければ(S1207でNO)、描画制御部75は、そのピクセルに白のカラーデータを設定し、描画部81に間引きを行なわせる(S1208)。
一方、間引きパターンにおける該当のピクセルがオフ領域でなければ(S1207でYES)、描画制御部75は、S1209の処理に進む。すなわち、レイアウトデータ作成部15により作成されたレイアウトデータに基づいて、該当領域のカラーに関わる描画データ(RED、Green及びBlue)を設定する(S1209)。その後、描画制御部75は、幅ループカウンタをインクリメントした後(S1210)、再度、S1204の処理に戻る。
【0163】
なお、図7のS107、S110、S113及びS119に示す記録剤低減用塗りつぶし処理(矩形以外)を間引き処理により行なう場合の処理の流れは、上記図16で説明した処理と同様の流れで行なわれる。そのため、ここでは、図示を省略し、図16との相違点を挙げて説明する。
【0164】
図16との相違点としては、図16に示すS905の処理の置き換えて、図19に示すS1206、S1207、S1208及び1209の処理を行なう。これにより、間引き処理を行なうことができる。
【0165】
つまり、図16に示すS903の処理でのYESの場合、描画制御部75は、S1206の処理を実行した後、S1206及びS1207の判定処理を行なう。そして、描画制御部75は、S1207の判定の結果がYESであれば、S1209の処理を実行し、NOであれば、S1208の処理を実行する。S1210又はS1208の処理が済むと、描画制御部75は、S906の処理に進む。
【0166】
以上説明したように本実施形態によれば、記録剤低減モードが指示されている場合、各オブジェクト毎に、オブジェクトの属性や塗りつぶし形態に従って記録剤の低減方法(濃度変換処理、間引き処理)を切り替えて描画データ(印刷用データ)を生成する。
【0167】
これにより、例えば、濃度変換処理を行なった場合に処理負荷や処理時間が掛かるグラデーションやビットマップに対しては間引き処理を行ない、それ以外のオブジェクトに対しては、濃度変換処理を行なうといった形態で描画データを生成することができる。
【0168】
また、例えば、矩形のオブジェクトについては、ソリッド(べた塗り)やビットマップで構成されていれば間引き処理を行ない、ハッチパターンであれば濃度変換処理を行なうといった形態で描画データを生成することができる。
【0169】
また、記録剤の低減を行なうオブジェクトの属性(種類)を選択できるので、ユーザが濃度を低下させたくないオブジェクト等まで記録剤の低減が行なわれることもない。
【0170】
以上の構成により、本実施形態においては、描画データ生成時の処理時間や処理負荷を抑制できるとともに、また、塗りつぶしパターン形状の維持や、塗りつぶし色の原色維持等を図ることができる。
【0171】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0172】
例えば、上述した実施形態においては、図8で説明した方法に従って各オブジェクト毎に記録剤の低減方法が決められていたが、これに限られず、どのようなオブジェクトに対して間引き処理や濃度変換処理を行なうかの設定は適宜変更することができる。例えば、制御部14の処理スペックが十分に高い場合等には、ビットマップに対して濃度変換処理を行なうようにしても良い。また、それ以外のオブジェクトの属性等についても、動作設定を変更する等して適宜変更すれば良い。
【0173】
また、上述した実施形態においては、各オブジェクト毎に記録剤の低減方法が自動的に決められる場合について説明したが、これに限られない。例えば、図6で説明した記録剤低減モード設定画面51において、各オブジェクト毎に、濃度変換処理を実施させるか、間引き処理を実施させるかをユーザが選択できるように構成しても良い。
【0174】
また、上述した実施形態においては、図3等で説明した通り、オブジェクトの輪郭部を残しつつ、その内部の濃度を減らすことにより、記録剤の低減を図る場合について説明したが、記録剤の低減は、これ以外の方法を用いても良い。例えば、オブジェクト全体に対して一律に濃度を低減させる手法であっても良いし、その他どのような手法を採用しても良い。
【0175】
また、上述した実施形態においては、オブジェクトの属性として、テキスト、線、グラデーション、矩形及びビットマップを例に挙げて説明したが、オブジェクトの属性はこれに限られない。例えば、オブジェクトの属性として、多角形、円や楕円等を判定しても良い。多角形、円や楕円等のオブジェクトに対しては、例えば、テキスト、線、グラデーション及びビットマップと同様の処理を行なうことにより描画データを生成すれば良い。
【0176】
また、上述した実施形態においては、記録剤の低減方法を決定する際に、矩形についてのみ塗りつぶしの形態を判定していたが(図8参照)、これに限られない。例えば、多角形等においてもこのような塗りつぶしの形態の判定を行なっても良い。
【0177】
また、上述した実施形態においては、オブジェクトの属性等により記録剤の低減処理が行なわれるか否かが決められていたが、これに限られず、ユーザがオブジェクトを個別に設定できても良い。例えば、図2に示す画面上で、記録剤の低減対象となるオブジェクト又は、低減対象外のオブジェクトをユーザにより選択させても良い。
【0178】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のオブジェクトを含むデータに基づいて画像形成装置が解釈可能な描画データを生成する画像処理装置であって、
前記画像形成装置の印刷時に使用される記録剤の付与量を低減させるための記録剤低減モードが設定されている場合、前記データにおける各オブジェクトの属性を判定する判定手段と、
各オブジェクトの属性の判定の結果に基づいて、前記描画データの生成時に各オブジェクトに対して実施する前記記録剤の付与量を低減させるための画像処理方法を決定する決定手段と、
前記決定された前記画像処理方法に従って各オブジェクトを処理することにより前記描画データを生成する描画手段と
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記オブジェクトは、その属性としてグラデーションを含み、
前記決定手段は、
オブジェクトの属性がグラデーションであると判定された場合、当該オブジェクトを構成する画素の間引きを行なう間引き処理を前記画像処理方法として決定する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記オブジェクトの属性とともに、前記オブジェクトにおける塗りつぶしの形態を判定し、
前記決定手段は、
前記オブジェクトの属性とその塗りつぶしの形態とに基づいて前記画像処理方法を決定する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、
オブジェクトにおける塗りつぶしが所定の割合以上であれば、当該オブジェクトに対して、当該オブジェクトを構成する画素の間引きを行なう間引き処理を前記画像処理方法として決定する
ことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記決定手段は、
前記画像処理方法として、オブジェクトを構成する画素の濃度を低減させる濃度変換処理と、オブジェクトを構成する画素の間引きを行なう間引き処理とのいずれを行なうかを各オブジェクトに対応して決定する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記描画手段は、
前記描画データの生成に際して、各オブジェクトを構成する画素のうち、輪郭部を除く画素に対して前記決定された前記画像処理方法に従った画像処理を行なう
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
1又は複数のオブジェクトを含むデータに基づいて画像形成装置が解釈可能な描画データを生成する画像処理装置の処理方法であって、
判定手段が、前記画像形成装置の印刷時に使用される記録剤の付与量を低減させるための記録剤低減モードが設定されている場合、前記データにおける各オブジェクトの属性を判定する工程と、
決定手段が、各オブジェクトの属性の判定の結果に基づいて、前記描画データの生成時に各オブジェクトに対して実施する前記記録剤の付与量を低減させるための画像処理方法を決定する工程と、
描画手段が、前記決定された前記画像処理方法に従って各オブジェクトを処理することにより前記描画データを生成する工程と
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から6のいずれか1項に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
1又は複数のオブジェクトを含むデータに基づいて画像形成装置が解釈可能な描画データを生成する画像形成システムであって、
前記画像形成装置の印刷時に使用される記録剤の付与量を低減させるための記録剤低減モードが設定されている場合、前記データにおける各オブジェクトの属性を判定する判定手段と、
各オブジェクトの属性の判定の結果に基づいて、前記描画データの生成時に各オブジェクトに対して実施する前記記録剤の付与量を低減させるための画像処理方法を決定する決定手段と、
前記決定された前記画像処理方法に従って各オブジェクトを処理することにより前記描画データを生成する描画手段と
を具備することを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−238919(P2012−238919A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104680(P2011−104680)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】