説明

画像処理装置、コンピュータの制御方法及びプログラム

【課題】 証明書から認証情報を符号化した認証コード画像を探し出すのに要する処理負荷を軽減すること。
【解決手段】 認証情報を符号化した認証コード画像70を処理対象ドキュメントに合成する手段と、前記処理対象ドキュメント上で、前記認証コード画像の合成位置を示す合成位置情報を符号化した位置指定コード画像(72a〜d)を、前記処理対象ドキュメントの所定位置に合成する位置指定コード画像合成手段と、を含むことを特徴とする画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、コンピュータの制御方法及びプログラムに関し、特に認証データ画像をドキュメント画像に合成し、また、ドキュメント画像から認証データ画像を読み出す技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公的な証明書の交付を電子システムで行うことが検討されている。例えば、証明書の電子交付システムとしては、下記特許文献1のように、交付する証明書の文字列情報から認証用のデータを演算し、認証用データを符号化して作成した認証コード画像を証明書画像に合成して印刷出力しているものがある。また、上記システムでは、交付された証明書に印刷された認証コード画像を読み出して、その証明書が正しいものかどうかの認証を行っている。
【特許文献1】特開2004−13287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術においては、認証コード画像は印影画像に認証情報を符号化して埋め込んだものであるので、認証コード画像の印刷位置は証明書の種類によって異なる。したがって、画像処理装置は証明書の全体を走査して認証コード画像の位置を探し出さなくてはならず、画像処理装置の処理負荷が大きいという問題があった。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、処理負荷を軽減することのできる画像処理装置、コンピュータの制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、所定情報を符号化した所定情報コード画像を処理対象ドキュメントに合成する手段と、前記処理対象ドキュメント上で、前記所定情報コード画像の合成位置を示す合成位置情報を符号化した位置指定コード画像を、前記処理対象ドキュメントの所定位置に合成する位置指定コード画像合成手段と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るコンピュータ(例えばパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、プリンタ、複合機等である。以下、同様。)の制御方法は、所定情報を符号化した所定情報コード画像を処理対象ドキュメントに合成するステップと、前記処理対象ドキュメント上で、前記所定情報コード画像の合成位置を示す合成位置情報を符号化した位置指定コード画像を、前記処理対象ドキュメントの所定位置に合成する位置指定コード画像合成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るプログラムは、所定情報を符号化した所定情報コード画像を処理対象ドキュメントに合成する手段、及び、前記処理対象ドキュメント上で、前記所定情報コード画像の合成位置を示す合成位置情報を符号化した位置指定コード画像を、前記処理対象ドキュメントの所定位置に合成する位置指定コード画像合成手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。プログラムは、CD−ROM(Compact Disk - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、メモリーカードその他のあらゆるコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納することとしてもよい。
【0008】
本発明では、前記処理対象ドキュメントの所定位置を走査して位置指定コード画像を読み取り、それを復号することで所定情報コード画像の合成位置情報を得る。そして、前記合成位置情報に基づいた範囲から前記所定情報コード画像を見つけることができる。本発明によれば、ドキュメント全体を走査しなくとも前記所定情報コード画像を探し出すことができるので、処理負荷が軽減される。
【0009】
本発明の一態様では、前記合成位置情報は、前記位置指定コード画像を基点とした前記所定情報コード画像の相対位置情報である、ことを特徴とする。こうすれば、前記処理対象ドキュメントのサイズが分からなくとも、前記位置指定コード画像とそこを基点とした相対位置情報から前記所定情報コード画像の位置を知ることができる。
【0010】
本発明の一態様では、前記位置指定コード画像合成手段は、複数の位置指定コード画像を前記処理対象ドキュメントの複数の所定位置にそれぞれ合成する、ことを特徴とする。こうすれば、位置指定コード画像のうち1つを読み取ることができれば、ドキュメント全体を走査しなくとも前記所定情報コード画像を探し出すことができる。
【0011】
本発明の一態様では、前記位置指定コード画像合成手段は、4つの位置指定コード画像を前記処理対象ドキュメントの四隅の所定位置にそれぞれ90度ずつ回転させて合成する、ことを特徴とする。こうすれば、前記処理対象ドキュメントの向きによらずに、縦または横のどちらか一方の所定走査方向によって、前記位置指定コード画像を認識することができる。
【0012】
本発明の一態様では、前記所定情報コード画像は、前記所定情報が電子透かしによって埋め込まれる、ことを特徴とする。こうすれば、前記画像処理装置に対応する情報処理装置でなければ、前記所定情報コード画像が合成された前記処理対象ドキュメントから所定情報を得ることができないようにすることができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記位置指定コード画像は、互いに異なる2種類の斜線パターンを格子状に配列した2次元コード画像である、ことを特徴とする。こうすれば、ドキュメントのレイアウトや画質を損なうことなく、前記位置指定コード画像を前記処理対象ドキュメントに合成することができる。
【0014】
本発明の一態様では、前記位置指定コード画像合成手段は、前記処理対象ドキュメント上に背景画像としてコピー牽制パターンを合成し、さらに、前記位置指定コード画像を前記コピー牽制パターンの一部として合成する、ことを特徴とする。こうすれば、前記位置指定コード画像をコピー牽制パターンに融合させて設けることができ、ドキュメントのレイアウトや画質を損なうことなく、前記位置指定コード画像を前記処理対象ドキュメントに合成することができる。
【0015】
本発明の一態様では、前記位置指定コード画像は、肉眼で認識されにくい色彩で形成される、ことを特徴とする。こうすれば、前記位置指定コード画像は、肉眼で認識されづらくなるため、ドキュメントのレイアウトや画質を損なうことなく、前記位置指定コード画像を前記処理対象ドキュメントに合成することができる。
【0016】
本発明の一態様では、前記所定情報は、認証情報である、ことを特徴とする。こうすれば、ドキュメント全体を走査しなくとも前記認証情報が符号化された認証コード画像を探し出すことができるので、処理負荷が軽減される。
【0017】
また、本発明に係る認証処理装置は、前記画像処理装置によって合成された処理対象ドキュメントの前記所定位置から前記位置指定コード画像を読み取る手段と、前記位置指定コード画像が示す合成位置情報に対応する位置を探索して前記認証コード画像を読み取る認証コード画像読み取り手段と、前記認証コード画像読み取り手段によって読み取られる認証コード画像を復号して得られる認証情報を利用して認証処理を行う手段と、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るコンピュータ(例えばパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、プリンタ、複合機等である。以下、同様。)の制御方法は、前記画像処理装置によって合成された処理対象ドキュメントの前記所定位置から前記位置指定コード画像を読み取るステップと、前記位置指定コード画像が示す合成位置情報に対応する位置を探索して前記認証情報を符号化した認証コード画像を読み取る認証コード画像読み取りステップと、前記認証コード画像読み取り手段によって読み取られる認証コード画像を復号して得られる認証情報を利用して認証処理を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るプログラムは、前記画像処理装置によって合成された処理対象ドキュメントの前記所定位置から前記位置指定コード画像を読み取る手段、前記位置指定コード画像が示す合成位置情報に対応する位置を探索して前記認証情報を符号化した認証コード画像を読み取る認証コード画像読み取り手段、及び、前記認証コード画像読み取り手段によって読み取られる認証コード画像を復号して得られる認証情報を利用して認証処理を行う手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。プログラムは、CD−ROM(Compact Disk - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、メモリーカードその他のあらゆるコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納することとしてもよい。
【0020】
本発明によれば、前記画像処理装置によって作成された証明書から認証コード画像の合成位置情報を取得でき、前記認証データ画像を探し出すのに要する処理負荷を軽減することができる。
【0021】
また、本発明に係る記録媒体は、所定情報を符号化した所定情報コード画像が形成された記録媒体であって、前記所定情報コード画像の形成位置を示す情報を符号化した位置指定コード画像が前記記録媒体の所定位置にさらに形成されている、ことを特徴とする。本発明によれば、前記記録媒体から前記所定情報コード画像の形成位置を取得でき、前記所定情報コード画像を探し出すのに要する処理負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、証明書等の交付を行う電子交付システムのシステム構成図を示す。同図に示されるように、電子交付システムは、申請用PC12、認証用PC16、申請受付サーバ22、管理サーバ24、証明書情報データベース26、交付サーバ28および認証サーバ30を含んで構成される。ここで、申請用PC12、認証用PC16、申請受付サーバ22、交付サーバ28および認証サーバ30はネットワーク20を介して相互通信可能に接続されている。交付サーバ28は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置として動作する。また、認証サーバ30は、本発明の実施の形態に係る認証処理装置として動作する。
【0024】
申請用PC12は、ネットワーク上でデータを送受信可能なパーソナルコンピュータである。ユーザは、申請用PC12を使って、ネットワーク20を経由して証明書の交付を申請し、発行された証明書を受信してプリンタ14にてプリントアウトする。
【0025】
認証用PC16は、ネットワーク上でデータを送受信可能なパーソナルコンピュータである。ユーザは、認証用PC16に接続されたスキャナ18によって発行された証明書を読み込んで、ネットワーク20を経由してスキャンした証明書を認証サーバ30に送付し、その認証処理の結果を受信することで、証明書が正しいものか否かを確認する。
【0026】
申請受付サーバ22は、ユーザからの証明書の交付の申請を受けるためのプログラムを実装したウェブサーバである。申請用PC12から申請受付サーバ22に接続すると、申請用PC12に接続されたディスプレイには、申請内容を入力するHTMLフォームが表示される。ユーザは、表示されたHTMLフォームに、住所、氏名、必要な証明書の種類等の申請情報を入力した後、申請受付サーバ22に送信する。申請受付サーバ22は、申請情報を受信した後、受信した申請情報と申請端末PCのIPアドレスとを管理サーバ24に送信する。
【0027】
管理サーバ24は、申請情報に基づいて証明書情報を取得し、また、認証情報を生成するためのプログラムを実装したアプリケーションサーバである。管理サーバ24は、申請受付サーバ22から受信した申請情報に基づいて、証明書情報データベース26を参照し、必要な証明書情報や証明書に押印する印影画像等を取得する。またこのほかにも、管理サーバ24は、証明書発行番号を生成し、発行日時を取得し、証明書の種類に基づいて有効期限日時を設定する。そして、管理サーバ24は、必要な証明書情報、証明書に押印する印影画像、証明書発行番号、発行日時、有効期限日時、申請端末PCのIPアドレス等の証明書データを交付サーバ28に送信する。
【0028】
証明書情報データベース26は、自治体や証明書種類などの情報に対応づけて、証明書に記載する情報や、証明書に押印する印影画像が記憶されるデータベースである。証明書情報データベース26は、管理サーバ24内に設けられてもよいし、管理サーバ24と通信可能なデータベースサーバとして設けてもよい。
【0029】
交付サーバ28は、管理サーバ24から受信した証明書データに基づいて証明書を作成する。交付サーバ28は、印影画像に対して、証明書発行番号、発行日時、証明書種類、有効期限日時および申請端末PCのIPアドレスを符号化して埋め込み、認証コード画像を作成する。そして、認証コード画像を必要な証明書情報から作成した証明書画像へ合成する。次に、証明書画像上で認証コード画像を合成する位置を示す合成位置情報を符号化した位置指定コード画像を作成し、この画像を更に証明書画像に合成して交付用の証明書画像を作成する。交付サーバ28は、証明書画像の作成終了後、その画像を内部に格納し、その格納アドレスを申請受付サーバ22に送信する。申請受付サーバ22は、申請用PC12に対して、交付用の証明書画像の格納アドレスへとリンクされたURLを通知する。
【0030】
認証サーバ30は、認証用PC16から受信した認証対象画像から認証情報を取得する。そして、認証情報から証明書発行番号を得て、証明書発行番号に対応した認証情報の検索を管理サーバ24に要求し、検索結果(認証情報)を受信する。認証対象画像から得られた認証情報と、管理サーバ24から受信した認証情報とを比較して、認証対象画像の真偽の判定を行う。管理サーバ24は、その認証結果を認証用PC16に送信する。
【0031】
図2には、本発明の実施の形態に係る画像処理装置により発行された証明書の一例を示す。同図に示されるように、証明書には2種類のコード画像、すなわち認証コード画像70および位置指定コード画像(72a〜d)が合成されている。認証コード画像70は、印影画像に認証情報を電子透かし技術によって埋め込んだものである。本実施例では、印影画像に認証情報を埋め込むこととするが、その他の任意の情報を埋め込むこととしてもよい。認証コード画像70の合成位置は、証明書の種類によって異なる。位置指定コード画像(72a〜d)は、認証コード画像70の合成位置情報を符号化した2次元コードである。合成位置情報とは、それぞれの位置指定コード画像を基点とした認証コード画像の相対位置を表す。位置指定コード画像は、証明書の種類にかかわらず、証明書の四隅の所定位置に合成される。
【0032】
図3には、認証コード画像の一例を示す。同図(A)は、図2に示される証明書の認証コード画像70の部分のみを拡大して示すものである。認証コード画像には、電子透かし技術によって認証情報が埋め込まれる。具体的には、認証コード画像を4×4画素からなるブロックを一単位として分割し、各ブロック内の階調値を増加または減少させた後、ディザ処理によってハーフトーン化する。ここで、認証情報は、各ブロックの濃度パターンを変化させることで表現される。すなわち、ブロックを構成する画素を縦横2個ずつの4個の組にし、ビット0を埋め込む際には、図3(B)に示されるように、右上と左下の濃度が、左上と右下よりも濃い濃度パターンにする。逆に、ビット1を埋め込む際には、図3(C)に示されるように、右下と左上の濃度が、左下と右上よりも濃い濃度パターンにする。このような電子透かし技術によると、4つのブロックの相対的な濃度差によって情報を表現するため、1ブロックあたりの黒画素の個数(面積階調)によって階調表現が可能となり、認証コード全体としては、元の印影画像を損なうことなく、認証情報を埋め込むことが可能となる。
【0033】
図4には、位置指定コード画像の一例を示す。同図(A)は、図2に示される証明書の位置指定コード画像72aの部分のみを拡大して示すものである。図4に示す斜線パターンは、説明の都合上黒色で描かれているが、実際にはイエロー色のトナーで描画される。位置指定コード画像は、証明書画像上で認証コード画像を合成する位置を示す合成位置情報を符号化したものである。この位置指定コード画像の例では、ビット0を表現する場合には、図4(B)に示される右下がりの斜線パターンを用い、ビット1を表現する場合には、図4(C)に示される右上がりの斜線パターンを用いる。位置指定コード画像は、これらの互いに異なる2つの斜線パターンを格子状に配列した2次元コードとなっている。図4(A)に示されるように、位置指定コード画像の上端および左端の1列は、各パターンの同期位置およびコードの向きを示す同期コード74であり、すべてのパターンがビット1となっている。なお、位置指定コード画像は互いに異なる2つの斜線パターンから成り、また、斜線パターン毎の間隔も斜線パターンの長さに比べて広くとり、かつ、肉眼では認識されにくいイエロー色のトナーで描画されるため、ドキュメントのレイアウトや画質を損なうことがない。また、本実施例ではイエロー色のトナーで位置指定コードを描画することとしているが、その他の可視波長域の短波長吸収トナーで描画してもよい。
【0034】
図5には、証明書における認証コード画像と位置指定コード画像との配置位置関係を示す。同図に示されるように、位置指定コード画像は証明書に4つ合成されるが、それぞれの位置指定コード画像には、証明書の左上を基点として時計回りに順にコード番号が振られる。すなわち、位置指定コード画像72a、72b、72c、72dのコード番号はそれぞれ、1、2、3、4となる。また、それぞれの位置指定コード画像は、自己のコード番号と自己を基点とした認証コード画像70までの相対位置座標を格納する。そして、各位置指定コード画像は、それぞれ所定角度ずつ回転されて証明書に合成される。このとき、各位置指定コード画像は、例えば、自己の1つ前のコード番号の位置指定コード画像に対して、90度時計回りに回転して証明書に合成するようにしてもよい。こうすることで、証明書の認証処理を行う場合に、スキャナに置かれる証明書の向き(縦置き、横置き、正立、倒立)によらずに、証明書の四隅の所定位置のうち1つ(例えば左上)に位置指定コード画像が正立していることになり、固定の走査方向にて位置指定コード画像を認識し復号することができる。
【0035】
図6は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置の機能ブロック図を示す。前記画像処理装置は、交付サーバ28上で動作するソフトウェアとして実装される。同図に示されるように、本発明の実施の形態に係る画像処理装置は機能的には、認証コード画像生成処理部40、画像合成処理制御部42、位置指定コード画像生成処理部44および画像合成処理部46を含んで構成される。
【0036】
認証コード画像生成処理部40は、印影画像に認証情報を符号化して埋め込んだ認証コード画像を生成するものである。認証コード画像生成処理部40は、管理サーバ24から認証情報50および印影画像51を受信する。認証情報50には、証明書発行番号、発行日時、有効期限日時、申請端末PCのIPアドレス等の情報が含まれる。そして、認証コード画像生成処理部40は、電子透かし技術を用いて認証情報50を印影画像51に埋め込み、認証コード画像を生成する。
【0037】
画像合成処理制御部42は、画像合成処理の際の画像合成位置などを制御するものである。具体的には、管理サーバ24から、YMCK色成分で形成される証明書データ52を受信し、また、認証コード画像生成処理部40から認証コード画像を受信して、証明書の種類に応じて証明書における前記認証コード画像の合成位置を決定する。このときに、証明書の種類に応じて予め指定された合成位置がある場合にはその位置を、指定されていない場合には余白を検出してその位置を合成位置として決定することとしてもよい。そして、前記合成位置にて認証コード画像を証明書画像に合成するよう画像合成処理部46に指示する。またその一方で、前記合成位置に基づいて証明書の四隅の所定位置からの相対位置座標を演算し、その演算した相対位置座標を位置指定コード画像生成処理部44に受け渡す。
【0038】
位置指定コード画像生成処理部44は、四隅の所定位置にそれぞれ合成される位置指定コード画像を生成するものである。具体的には、自己のコード番号と画像合成処理制御部42が計算した自己の位置に対応する相対位置座標を、図4に示す互いに異なる2つの斜線パターンにより符号化した2次元パターンを生成する。
【0039】
画像合成処理部46は、ベースとなる画像に対して指定された合成位置に他の画像を合成するものである。具体的には、証明書画像に対して画像合成処理制御部42の指定した合成位置に認証コード画像を合成し、さらに、証明書画像に対して所定位置に位置指定コード画像をY(イエロー)成分にて合成して交付用証明書画像54を生成する。
【0040】
図7は、本発明の実施の形態に係る認証処理装置の機能ブロック図を示す。前記認証処理装置は、認証サーバ30上で動作するソフトウェアとして実装される。同図に示されるように、本発明の実施の形態に係る画像処理装置は機能的には、位置指定コード画像読み取り処理部60、合成位置情報復号処理部62、認証コード画像読み取り処理部64、認証情報復号処理部66および認証処理部68を含んで構成される。
【0041】
位置指定コード画像読み取り処理部60は、認証対象証明書55の所定位置を走査して位置指定コード画像を読み取るものである。証明書の種類にかかわらず位置指定コード画像の合成位置は同じであるので、証明書の四隅のうち左上部分に位置する所定範囲を走査する。具体的には、所定範囲の画像をYMCK色空間に変換し、イエロー成分であるY成分の画像のみを取り出す。Y成分の各画素を走査して、各画素で図4(B)、(C)に基づくパターンマッチングを行い、パターンの位置とビット値を検出して、同期コードを探索する。そして、探し出した同期コードを基点として、位置指定コードを読み取る。なお、同期コードが見つからない場合には、位置指定コード画像がなく、本システムで交付された証明書でないとする認証処理結果56を返す。
【0042】
合成位置情報復号処理部62は、位置指定コードを復号して、コード番号と認証コードの相対位置座標を取得するものである。具体的には、図4(B)に示される斜線パターンをビット0、図4(C)に示される斜線パターンをビット1として情報を複号化して、上記のコード番号と認証コードの相対位置座標を取得する。
【0043】
認証コード画像読み取り処理部64は、位置指定コード画像が含まれる領域を抽出するものである。具体的には、合成位置情報復号処理部62によって取得された相対位置座標に基づいて、位置指定コード画像の同期コードの交点の位置を基点とした相対位置座標から縦横に所定サイズの矩形領域を抽出する。この所定サイズは、認証コード画像のサイズに基づいて決定されるものであり、認証コード画像のサイズにマージンを持たせたサイズとする。抽出した矩形領域には、認証コード画像が含まれる。
【0044】
認証情報復号処理部66は、認証コード画像が含まれる領域から認証情報を復号するものである。具体的には、認証コード画像読み取り処理部64で抽出した矩形領域を合成位置情報復号処理部62で復号したコード番号に対応した回転角度にて回転させる。次に、前記矩形領域の画像の縦、横方向に投影分布を取って、分布が急激に変化する位置を検出する。そして、前記位置を認証コード画像の原点として、前記認証コード画像を4×4画素からなるブロックに分割後、各ブロックの相対的な階調差を求めることで、認証コード画像に含まれる認証情報を取得する。
【0045】
認証処理部68は、取得した認証情報が真であるか否か等の判定を行うものである。具体的には、認証情報復号処理部66にて取得した認証情報の中から証明書発行番号を得て、管理サーバ24に該証明書発行番号に対応する認証情報の要求を行う。そして、それらの認証情報の比較を行い、認証対象画像に格納されていた認証情報は真であるか否か、また、有効期限が切れているか否かについての判断を行い、その認証処理結果56を返す。
【0046】
以下、本発明の実施の形態に係る画像処理装置および認証処理装置の動作の詳細について説明する。
【0047】
図8は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置が実装された交付サーバ28における証明書出力処理を示すフロー図である。交付サーバ28は、管理サーバ24から認証情報を受信する(S101)。受信した認証情報を電子透かし技術によって印影画像に埋め込んで認証コード画像を生成し(S102)、証明書の種類によって定められた証明書画像の合成位置へ認証コード画像を合成する(S103)。次に、証明書の四隅の所定位置からの前記認証コード画像の相対座標および四隅のそれぞれに対応づけられたコード番号を符号化した2次元斜線パターンである位置指定コード画像を生成する(S104)。生成した位置指定コード画像を証明書画像の四隅の所定位置へそれぞれY(イエロー)成分にて合成し(S105)、合成処理後の交付用の証明書画像を出力する(S106)。
【0048】
図9は、本発明の実施の形態に係る認証処理装置が実装された認証サーバ30における認証処理を示すフロー図である。認証サーバ30は、認証用PC16から受信した認証対象画像における四隅の所定位置のうち1つを含む走査対象領域を抽出する(S201)。そして、前記走査対象領域を走査して、位置指定コード画像を探索する(S202)。そして、位置指定コード画像が存在するか否かを判断し(S203)、存在しない場合には、本システムで交付された証明書ではないとする認証処理結果を返す。位置指定コード画像が存在する場合には、認識した位置指定コード画像の復号処理を行い、相対位置座標とコード番号を取得する(S204)。位置指定コード画像の同期コードの交点の位置を基点とした相対位置座標から縦横に所定サイズの矩形領域を抽出する(S205)。ここでの所定サイズとは、認証コード画像のサイズにマージンを持たせたサイズとする。そして、抽出した矩形領域を前記コード番号に対応した回転角度にて回転させる(S206)。回転角度は、コード番号が1、2、3、4の場合、時計回りに0度、90度、180度、270度とする。次に、矩形領域に含まれる認証コード画像を復号して、認証情報を取得する(S207)。上記取得した認証情報から証明書発行番号を得て、管理サーバに該証明書発行番号に対応する認証情報の要求を行う。そして、それらの認証情報の比較を行い、認証対象画像に格納されていた認証情報は真であるか否か、また、有効期限が切れているか否かについての認証処理を行い(S208)、その認証処理結果を出力する(S209)。出力された認証処理結果は、認証用PC16に送信される。認証用PC16が受信した認証結果を見て、ユーザは認証対象画像が正しいものか否かを確認することができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置について説明する。第2の実施形態に係る電子交付システムは上記最適な実施形態のものと同様であるが、交付サーバによって発行される証明書の形態が異なる。
【0050】
図10には、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置によって発行された証明書の一例を示す。同図に示されるように、証明書には位置指定コード画像(72a〜d)およびコピー牽制パターン80が合成されている。4つの位置指定コード画像(72a〜d)は、それぞれの位置からの認証コード画像70の合成される位置を示す相対位置情報が符号化された2次元パターンであり、各々の位置指定コード画像には、上述の最適な実施形態における図5において説明したのと同様に、合成される位置に応じたコード番号が振られる。そして、各位置指定コード画像は、自己の1つ前のコード番号の位置指定コード画像に対して、90度時計回りに回転して証明書に合成される。コピー牽制パターン80は、証明書画像の背景全面に合成されており、印刷出力された証明書を複写機によってコピーすると、潜在文字82が浮き出てくるようになっている。図中では、説明のため、潜在文字82は認識し易いように黒字で描かれているが、実際は背景のコピー牽制パターン80とほぼ同一色で描かれる。コピー牽制パターン80のうち潜在文字82が埋め込まれている部分の一部を拡大したものを図11に示す。
【0051】
図11に示されるように、潜在文字82の内部はコピー牽制パターン80の斜線パターンよりも小さいドットで構成されている。潜在文字82内部とコピー牽制パターン80とは、単位面積あたりの画素数がほぼ同一となるようにして、用紙に印刷した状態での平均濃度が同一となるように構成されている。ただし、複写機によってコピーを行うと、潜在文字82内部の小さなドットは複写されにくいのに対して、コピー牽制パターン80の斜線パターンは比較的サイズが大きいため複写されやすい。その結果、図10に示されるように、コピーされた証明書画像においては、潜在文字82が白く抜けるようにして浮き出る。
【0052】
図12には、図10において示される位置指定コード画像72aを抜き出して拡大して示す。同図に示される2次元パターンには2種類の斜線パターンによってビット0とビット1とが表現されている。これは、図4において説明したものと同様である。この斜線パターンは、コピー牽制パターン80を構成するものと同一のものであり、パターンの間隔も同一のものである。したがって、見た目には、位置指定コード画像72とコピー牽制パターン80とは連続した背景パターンに見えるようになっている。そのため、位置指定コード画像72が証明書の所定位置に合成されていても、ドキュメントのレイアウトや画質を損なうことがない。認証処理において、位置指定コード画像(72a〜d)を読み取る際には、証明書の所定位置を走査して、ビット1のみで構成される同期コード74を探し出し、その位置を基点として情報の読み取りを行う。
【0053】
以上説明した本発明の実施の形態に係る画像処理装置によれば、証明書から認証コード画像の合成位置情報を取得できるようにして、認証データ画像を探し出すのに要する処理負荷を軽減することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0055】
例えば、上記実施例では、証明書画像をビットマップ画像データとして生成しているが、プリント記述言語(PDL)にて記述された証明書画像に認証コード画像および位置指定コード画像を描画する命令を付加するようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施例では、複数の位置指定コード画像を証明書画像の四隅の所定位置にそれぞれ合成することとしているが、複数の位置指定コード画像を証明書画像の各辺から所定長さ離れた外周部にそれぞれ合成するようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施例では、印影画像に埋め込む情報を認証情報としているが、それに限らず、任意の情報を埋め込むようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】証明書等の交付を行う電子交付システムのシステム構成図を示す。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置により発行された証明書の一例を示す図である。
【図3】認証コード画像の一例を示す図である。
【図4】位置指定コード画像の一例を示す図である。
【図5】証明書における認証コード画像と位置指定コード画像との配置位置関係を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の機能ブロック図を示す。
【図7】本発明の実施の形態に係る認証処理装置の機能ブロック図を示す。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像処理装置における証明書出力処理を示すフロー図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る認証処理装置における認証処理を示すフロー図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置によって発行された証明書の一例を示す図である。
【図11】コピー牽制パターンのうち潜在文字が埋め込まれている部分を示す図である。
【図12】図10において示される位置指定コード画像を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
10 電子交付システム、12 申請用PC、14 プリンタ、16 認証用PC、18 スキャナ、20 ネットワーク、22 申請受付サーバ、24 管理サーバ、26 証明書情報データベース、28 交付サーバ、30 認証サーバ、40 認証コード画像生成処理部、42 画像合成処理制御部、44 位置指定コード画像生成処理部、46 画像合成処理部、50 認証情報、51 印影画像、52 証明書データ、54 交付用証明書画像、55 認証対象証明書、56 認証処理結果、60 位置指定コード画像読み取り処理部、62 合成位置情報復号処理部、64 認証コード画像読み取り処理部、66 認証情報復号処理部、68 認証処理部、70 認証コード画像、72a 位置指定コード画像、72b 位置指定コード画像、72c 位置指定コード画像、72d 位置指定コード画像、74 同期コード、80 コピー牽制パターン、82 潜在文字。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定情報を符号化した所定情報コード画像を処理対象ドキュメントに合成する手段と、
前記処理対象ドキュメント上で、前記所定情報コード画像の合成位置を示す合成位置情報を符号化した位置指定コード画像を、前記処理対象ドキュメントの所定位置に合成する位置指定コード画像合成手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記合成位置情報は、前記位置指定コード画像を基点とした前記所定情報コード画像の相対位置情報である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置において、
前記位置指定コード画像合成手段は、複数の位置指定コード画像を前記処理対象ドキュメントの複数の所定位置にそれぞれ合成する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記位置指定コード画像合成手段は、4つの位置指定コード画像を前記処理対象ドキュメントの四隅の所定位置にそれぞれ90度ずつ回転させて合成する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記所定情報コード画像は、前記所定情報が電子透かしによって埋め込まれる、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記位置指定コード画像は、互いに異なる2種類の斜線パターンを格子状に配列した2次元コード画像である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記位置指定コード画像合成手段は、前記処理対象ドキュメント上に背景画像としてコピー牽制パターンを合成し、さらに、前記位置指定コード画像を前記コピー牽制パターンの一部として合成する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記位置指定コード画像は、肉眼で認識されにくい色彩で形成される、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記所定情報は、認証情報である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像処理装置によって合成された処理対象ドキュメントの前記所定位置から前記位置指定コード画像を読み取る手段と、
前記位置指定コード画像が示す合成位置情報に対応する位置を探索して前記認証情報を符号化した認証コード画像を読み取る認証コード画像読み取り手段と、
前記認証コード画像読み取り手段によって読み取られる認証コード画像を復号して得られる認証情報を利用して認証処理を行う手段と、
を含むことを特徴とする認証処理装置。
【請求項11】
所定情報を符号化した所定情報コード画像を処理対象ドキュメントに合成するステップと、
前記処理対象ドキュメント上で、前記所定情報コード画像の合成位置を示す合成位置情報を符号化した位置指定コード画像を、前記処理対象ドキュメントの所定位置に合成する位置指定コード画像合成ステップと、
を含むことを特徴とするコンピュータの制御方法。
【請求項12】
所定情報を符号化した所定情報コード画像を処理対象ドキュメントに合成する手段、及び、
前記処理対象ドキュメント上で、前記所定情報コード画像の合成位置を示す合成位置情報を符号化した位置指定コード画像を、前記処理対象ドキュメントの所定位置に合成する位置指定コード画像合成手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項9に記載の画像処理装置によって合成された処理対象ドキュメントの前記所定位置から前記位置指定コード画像を読み取るステップと、
前記位置指定コード画像が示す合成位置情報に対応する位置を探索して前記認証情報を符号化した認証コード画像を読み取る認証コード画像読み取りステップと、
前記認証コード画像読み取り手段によって読み取られる認証コード画像を復号して得られる認証情報を利用して認証処理を行うステップと、
を含むことを特徴とするコンピュータの制御方法。
【請求項14】
請求項9に記載の画像処理装置によって合成された処理対象ドキュメントの前記所定位置から前記位置指定コード画像を読み取る手段、
前記位置指定コード画像が示す合成位置情報に対応する位置を探索して前記認証情報を符号化した認証コード画像を読み取る認証コード画像読み取り手段、及び、
前記認証コード画像読み取り手段によって読み取られる認証コード画像を復号して得られる認証情報を利用して認証処理を行う手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項15】
所定情報を符号化した所定情報コード画像が形成された記録媒体であって、
前記所定情報コード画像の形成位置を示す情報を符号化した位置指定コード画像が前記記録媒体の所定位置にさらに形成されている、
ことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−211535(P2006−211535A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23729(P2005−23729)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】