説明

画像処理装置、プログラム、及び調整方法

【課題】センサーの出力ダイナミックレンジをより有効に使う。
【解決手段】複数のセンサーチップを備えるイメージセンサーと、光源と、前記イメージセンサーからの入力信号を受け付けオフセット調整、ゲイン調整、及びA/D変換を行う回路とを有する画像処理装置は、所定の初期ゲイン値で、各センサーチップの暗時出力値を取得する。また、取得した前記センサーチップの暗時出力値のうち最大の暗時出力値と最小の暗時出力値との暗時差分値を算出する。そして、所定の初期ターゲットレンジに前記暗時差分値を加算することにより、新ターゲットレンジを設定し、A/D変換の規定入力レンジと前記新ターゲットレンジとに基づいて新ゲイン値を算出し、前記回路に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置と、そのプログラム及びその調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーを用いたCIS(Contact Image Sensor)モジュールを備える画像読取装置などの画像処理装置が知られている。また、CISモジュールには、複数のセンサーチップを備え、データ出力をパラレルに行うものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記のようなイメージセンサーを備える画像処理装置では、各センサーチップにより読み取られたアナログの画像信号は、例えば、A/D変換器を備えるアナログフロントエンド(以下「AFE」ともいう)回路によりデジタルの画像データに変換される。
【0004】
AFE回路では、例えば、原稿等をスキャンするのに先立って、外部のCPU(Central Processing Unit)がオフセット調整値やゲイン調整値をレジスターに設定することにより、オフセットやゲインの調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−94785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、センサーのダイナミックレンジの調整では、例えば、センサーの出力ダイナミックレンジがA/D変換器のターゲット入力レンジに合うように、ゲイン調整及びオフセット調整が行われる。そして、ゲイン調整及びオフセット調整が行われた状態で、LED(Light Emitting Diode)等の光源の点灯時間が調整される。
【0007】
より具体的には、例えば、CISモジュールに含まれる複数のCMOSセンサーチップの明時(白)出力レベルが、ターゲット入力レンジの上限から外れないように、光源の点灯時間を調整する。なお、オフセット調整では、CISモジュールに含まれる複数のCMOSセンサーチップの暗時(黒)出力レベルが、ターゲット入力レンジの下限から外れないように、調整される。
【0008】
しかしながら、一般的に、CMOSセンサーでは、各チップの暗時出力には差があり、特に、この差が大きい場合には、各チップの出力ダイナミックレンジを十分に使えない場合がある。これは、例えば、暗時出力が高いチップは、当該暗時出力レベルからA/D変換器のターゲット入力レンジの上限までの幅が狭くなるため、当該チップの明時出力レベルが当該チップの出力レンジの上限に達する前に、A/D変換器のターゲット入力レンジの上限に達してしまうからである。また、前記暗時出力が高いチップに合わせて光源点灯時間が設定されると、暗時出力が低い他のチップは、当該他のチップの明時出力レベルが当該他のチップの出力レンジの上限に達する前に、前記光源点灯時間が終了してしまうからである。このように、センサーの出力ダイナミックレンジを十分に使えない場合、画像のS/Nが低下する。
【0009】
そこで、本発明は、センサーの出力ダイナミックレンジをより有効に使うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための本発明の第一の態様は、画像処理装置であって、複数のセンサーチップを備えるイメージセンサーと、光源と、前記イメージセンサーからの入力信号を受け付けオフセット調整、ゲイン調整、及びA/D変換を行う回路と、所定の初期ゲイン値で、各センサーチップの暗時出力値を取得する第一の暗時出力取得手段と、取得した前記センサーチップの暗時出力値のうち最大の暗時出力値と最小の暗時出力値との暗時差分値を算出する算出手段と、所定の初期ターゲットレンジに前記暗時差分値を加算することにより、新ターゲットレンジを設定し、A/D変換の規定入力レンジと前記新ターゲットレンジとに基づいて新ゲイン値を算出し、前記回路に設定するゲイン設定手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の第二の態様は、上記の第一の態様において、前記新ゲイン値で、各センサーチップの暗時出力値を取得する第二の暗時出力取得手段と、光源を点灯し、光源を点灯している間、最大の暗時出力値を有するセンサーチップの明時出力値を取得する明時出力取得手段と、前記明時出力値が前記センサーチップの規定出力レンジの最大値に達したか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
ここで、前記判定手段は、前記明時出力値が前記センサーチップの規定出力レンジの最大値に達しない間、繰り返し判定を行う、ことを特徴としていてもよい。
【0013】
また、上記の第二の態様のいずれかにおいて、前記明時出力値が前記センサーチップの規定出力レンジの最大値に達した場合、その時の光源点灯時間を画像読み取りに使用する光源点灯時間として設定する点灯時間設定手段、を有することを特徴としていてもよい。
【0014】
上記の課題を解決するための本発明の第三の態様は、上記の第一の態様において、前記新ゲイン値で、各センサーチップの暗時出力値を取得する第二の暗時出力取得手段と、所定の光源点灯時間で、各センサーチップの明時出力値を取得する明時出力取得手段と、各センサーチップについて明時出力値と暗時出力値との明暗時差分値を算出し、そのうち最大の明暗時差分値を特定する特定手段と、前記最大の明暗時差分値が前記センサーチップの規定出力レンジに達したか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
ここで、前記最大の明暗時差分値が前記センサーチップの規定出力レンジに達しない場合に、前記所定の光源点灯時間、前記センサーチップの規定出力レンジ、及び最大の明暗時差分値に基づいて、前記所定の光源点灯時間よりも長い新光源点灯時間を算出し、前記所定の光源点灯時間の設定を変更する変更手段、を有することを特徴としていてもよい。
【0016】
また、前記明時出力取得手段、前記特定手段、及び前記判定手段は、前記変更手段により前記所定の光源点灯時間の設定が変更された場合、再度処理を実行する、ことを特徴としていてもよい。
【0017】
また、上記の第三の態様のいずれかにおいて、前記最大の明暗時差分値が前記センサーチップの規定出力レンジに達した場合、その時の前記所定の光源点灯時間を画像読み取りに使用する光源点灯時間として設定する点灯時間設定手段、を有することを特徴としていてもよい。
【0018】
また、上記の第一〜第三の態様のいずれかにおいて、最小の暗時出力と前記A/D変換の規定入力レンジとに基づいてオフセット調整値を算出し、前記回路に設定する手段、を有することを特徴としていてもよい。
【0019】
上記の課題を解決するための本発明の第四の態様は、複数のセンサーチップを備えるイメージセンサーと、光源と、前記イメージセンサーからの入力信号を受け付けオフセット調整、ゲイン調整、及びA/D変換を行う回路とを有する画像処理装置のプログラムであって、所定の初期ゲイン値で、各センサーチップの暗時出力値を取得する第一の暗時出力取得手段と、取得した前記センサーチップの暗時出力値のうち最大の暗時出力値と最小の暗時出力値との暗時差分値を算出する算出手段と、所定の初期ターゲットレンジに前記暗時差分値を加算することにより、新ターゲットレンジを設定し、A/D変換の規定入力レンジと前記新ターゲットレンジとに基づいて新ゲイン値を算出し、前記回路に設定するゲイン設定手段として、前記画像処理装置を機能させることを特徴とする。
【0020】
上記の課題を解決するための本発明の第五の態様は、複数のセンサーチップを備えるイメージセンサーと、光源と、前記イメージセンサーからの入力信号を受け付けオフセット調整、ゲイン調整、及びA/D変換を行う回路とを有する画像処理装置の調整方法であって、所定の初期ゲイン値で、各センサーチップの暗時出力値を取得する第一の暗時出力取得ステップと、取得した前記センサーチップの暗時出力値のうち最大の暗時出力値と最小の暗時出力値との暗時差分値を算出する算出ステップと、所定の初期ターゲットレンジに前記暗時差分値を加算することにより、新ターゲットレンジを設定し、A/D変換の規定入力レンジと前記新ターゲットレンジとに基づいて新ゲイン値を算出し、前記回路に設定するゲイン設定ステップと、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態の一例に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の一例に係るセンサー有効出力レンジとターゲットレンジの関係を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態の一例に係る調整処理のフロー図である。
【図4】本発明の一実施形態の変形例(光源輝度の差を考慮した場合)に係るセンサー有効出力レンジとターゲットレンジの関係を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態の変形例(光源輝度の差を考慮した場合)に係る調整処理のフロー図である。
【図6】従来のセンサー有効出力レンジとターゲットレンジの関係の一例を説明する図である。
【図7】従来のセンサー有効出力レンジとターゲットレンジの関係(暗時出力の差が大きい場合)の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態の一例に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
画像処理装置50は、例えば、スキャナーなどの画像読取装置である。図示するように、画像処理装置50は、イメージセンサー100と、光源200と、AFE回路300と、コントローラー(コントローラー基板)400とを備える。
【0025】
イメージセンサー100は、原稿などの読取信号(RGB各色の輝度値を示すアナログデータ)を、AFE回路300に出力する。具体的には、イメージセンサー100は、光源200から発せられ原稿などに反射した光を受光し、受光量に応じて蓄積された電荷を電圧として読み出し、AFE回路300に出力する。なお、イメージセンサー100は、読取制御部420から送られるシフトパルスなどの制御信号に基づいて動作する。
【0026】
イメージセンサー100は、例えば、主走査方向に並んだ複数(1〜n個)のCMOSセンサーチップ110を含んで構成される。各センサーチップ110で蓄積された電荷は、例えば、パラレルでAFE回路300に出力される。各センサーチップ110のデータは、コントローラー400により受信され、センサーチップ110の順(1〜n)の順に並び替えられ、原稿の画像データとして記憶される。
【0027】
光源200は、例えば、赤色(R)LED、緑色(G)LED、青色(B)LEDからなり、各ラインの読み取りを行うため、RGBの3色の光を所定の順序で発生する。なお、光源200は、読取制御部420から送られる制御信号に基づいて動作する。
【0028】
AFE回路300は、イメージセンサー100から出力されたアナログデータ(画像信号)を、デジタルデータ(画像データ)に変換し、コントローラー400に出力する。
【0029】
例えば、AFE回路300は、図示するように、オフセットレジスター340を含むオフセットDAC(Digital to Analog Converter)と、オフセット部310と、増幅部320及びゲインレジスター350を含むPGA回路(プログラマブル増幅回路)と、A/D変換部330とを備える。
【0030】
オフセット部310と増幅部320は、イメージセンサー100から供給された画像信号の信号として有効な出力(電圧)レンジを、A/D変換部330の規定の入力レンジと適合させるために設けられている。
【0031】
一般的に、オフセット部310は、センサーの有効な出力の最小値がA/D変換部330の入力レンジの最小値と合うように調整するために用いられる。また、増幅部320は、センサーの有効な出力レンジの最大値がA/D変換部330の入力レンジの最大値と合うように調整するために用いられる。
【0032】
具体的には、オフセット部310は、例えば、オペアンプなどで構成され、イメージセンサー100から供給された画像信号と、オフセットレジスター340に設定されているオフセット調整値に相当するオフセットDACの出力オフセット信号と、の差分値を、増幅部320に出力する。
【0033】
増幅部320は、例えば、プログラマブルゲインアンプ(PGA)などで構成され、オフセット部310から出力された画像信号(差分値)を、ゲインレジスター350に設定されているゲイン調整値に基づいて増幅して、A/D変換部330に出力する。
【0034】
A/D変換部330は、増幅部320から出力されたアナログ信号(増幅後の画像信号)をデジタルデータに変換する。なお、A/D変換部330は、入力値(増幅部320から出力されたアナログ信号の値)が負となる場合には、「0」のデータを出力する。そして、A/D変換部330は、コントローラー400から出力されるクロック信号に同期して、デジタルデータをコントローラー400に出力する。
【0035】
オフセットレジスター340は、コントローラー400の読取制御部420からの設定を受け付け、オフセット調整値を記憶する。また、オフセットレジスター340は、記憶しているオフセット調整値に相当する電圧(オフセット信号)を、オフセット部310に供給する。なお、初期値としては、オフセット調整量0となるような設定値、例えば「0」がオフセットレジスター340に設定される。
【0036】
ゲインレジスター350は、コントローラー400の読取制御部420からの設定を受け付け、ゲイン調整値を記憶する。また、ゲインレジスター350は、記憶しているゲイン調整値を増幅部320に供給する。なお、初期値としては、例えば、AFE回路300のターゲット入力レンジ、すなわち、イメージセンサー100のターゲット出力レンジ(例えば、イメージセンサー100の規定出力レンジ900mVの上限と下限に50mVずつの余裕を含めた1000mV)の上限が、A/D変換部330の規定入力レンジ(例えば、2V)の上限まで増幅されるような倍率(例えば、「2」倍を示す値)が、ゲインレジスター350に設定される。
【0037】
コントローラー400は、例えば、画像処理装置50の主要機能を搭載したチップ(SoC:System on Chip)で構成される。図示するように、コントローラー400は、デジタルデータ処理部410と、読取制御部420とが設けられている。
【0038】
デジタルデータ処理部410は、AFE回路300から出力される画像データを受信し、画像データに対して各種補正処理を行う。例えば、デジタルデータ処理部410は、シェーディング補正やガンマ補正を行う。なお、デジタルデータ処理部410は、画素単位で各種補正処理を行う。また、各チップに対応する画像データを、原稿に対応する順序に並び替えて記憶する。なお、原稿の画像データは、例えば、ネットワークを介してホストコンピューター(不図示)に送信されたり、画像処理装置50に接続された持ち運び可能な記憶媒体に出力されたりする。
【0039】
読取制御部420は、画像処理装置50における画像読取動作を制御する。例えば、読取制御部420は、画像処理装置50における動作のタイミングをとるためのクロック信号などの制御信号を生成し、デジタルデータ処理部410、AFE回路300、イメージセンサー100、光源200に供給する。
【0040】
また、読取制御部420は、オフセットレジスター340のオフセット調整値の算出および設定、ゲインレジスター350のゲイン調整値を算出および設定、光源200の点灯時間の調整を行う。オフセット調整値、ゲイン調整値、光源200の点灯時間の調整は、RGBの各色ごとに行われる。なお、調整手法については、詳細に後述する。
【0041】
読取制御部420は、デジタルデータ処理部410を介して又は介さずに、AFE回路300から出力される画像データを受信する。従って、例えば、画素ごとのデータ(例えば、階調値)を取得することができ、これらのデータに基づいて、イメージセンサー100の最も小さい暗時出力レベルや最も高い明時出力レベルを特定することができる。また、チップ110ごとに、最も小さい暗時出力レベルや最も高い明時出力レベルを特定したり、平均の暗時出力レベルや平均の明時出力レベルを特定したりすることができる。
【0042】
また、読取制御部420は、オフセット調整値、ゲイン調整値、イメージセンサー100のセンサー規定出力レンジ、A/D変換部330の規定入力レンジ、光源点灯時間などの、画像読取制御に必要な各種パラメーターを保持する。そして、読取制御部420は、例えば、受信した階調値と、A/D変換部330の規定入力レンジと、ゲイン調整値とに基づいて、受信した階調値と対応する電圧レベルを逆算する。
【0043】
例えば、受信した階調値に対応する電圧レベルをX、ゲイン調整値を2、A/D変換部330の規定入力レンジを2000mV、階調数を0〜255、受信した階調値をYとした場合、式:Y=X*2*(255/2000)が成り立つ。従って、受信した階調値Yが127である場合、Xは約498mVとなる。なお、上記の計算方法は、単純化されたものであり、受信した階調値から元の電圧レベルを求める計算方法はこれに限られない。
【0044】
以上が、画像処理装置50の概略構成である。ただし、画像処理装置50の構成はこれに限定されない。例えば、画像処理装置50は、複合機、コピー機、などとして機能するための他の構成を有していてもよい。
【0045】
また、コントローラー400上の構成要素は、例えば、1つ又は複数のASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現することができる。また、コントローラー400上の構成要素は、例えば、主制御装置であるCPUと、プログラム等が記憶されたROMと、メインメモリーとしてデータ等を一時的に格納するRAMと、ホスト等との入出力を制御するインターフェイスと、各構成要素間の通信経路となるシステムバスと、を備えた一般的なコンピューターにより達成することもできる。
【0046】
また、上記の各構成要素は、画像処理装置50の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。画像処理装置50の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0047】
次に、本実施形態の理解を深めるため、従来の調整手法について図6〜図7を参照して説明する。
【0048】
図6は、従来のセンサー有効出力レンジとターゲットレンジの関係の一例を説明する図である。
【0049】
本図では、センサーチップの数が6個(チップ番号c:1〜6)であるものとする。また、A/D変換部の規定入力レンジが2V、イメージセンサー(各センサーチップ)の規定出力レンジVsが900mVであるものとする。また、センサーの規定出力レンジ900mVの上下にそれぞれ50mVの余裕を持たせた1000mVをターゲットレンジVaとする。余裕を持たせているのは、実際には、上限および下限を超える電圧が発生する場合があるからである。
【0050】
上記のような条件において、ゲイン調整値は、ターゲットレンジVaが、A/D変換部の規定入力レンジに適合するように設定される。本図では、ゲイン調整値は、2倍(2000mV/1000mV)に、固定的に設定される。
【0051】
オフセット調整値は、各チップの暗時出力レベルB[1〜6](例えば、チップ内で最も低い値、あるいはチップ内の全画素の平均値など)のうち、最も低い暗時出力レベルB[c]が、A/D変換部の規定入力レンジの最小値に近づく(例えば、一致する、又は所定値以下の差となる)ように設定される。本図では、オフセット調整値は、最も低いチップ1の暗時出力レベルB[1]が、下ターゲット50mVから外れないような値に設定される。
【0052】
光源の点灯時間Tは、最も高い暗時出力レベルB[c]を有するチップの明時出力レベルW[c](例えば、チップ内で最も高い値、あるいはチップ内の全画素の平均値など)が、A/D変換部の規定入力レンジの最大値に近づく(例えば、一致する、又は所定値以下の差となる)時間が設定される。本図では、点灯時間Tは、最も高い暗時出力レベルB[3]を有するチップ3の明時出力レベルW[3]が、上ターゲット950mVから外れないような値に設定される。
【0053】
ここで、仮に、各チップの出力レンジの上限レベル及び下限レベルが一致すれば、センサー有効出力レンジWB_max(最も高いW[c]と最も低いB[c]の差分)は、約900mVになる。この値は、センサー規定出力レンジ900mVと概ね等しい。
【0054】
しかしながら、本図のように、各チップの出力レンジの上限レベル及び下限レベルに差がある(暗時出力レベルが一致しない)場合、光源点灯時間Tは、最も高い暗時出力レベルB[3]を有するチップ3の明時出力レベルW[3]に基づいて設定されることとなる。そのため、センサー有効出力レンジWB_maxは、ターゲットレンジVa(1000mV)から、上下それぞれの50mVの余裕と、暗時出力差分B_diff(例えば、最も低いB[1]と最も高いB[3]の差分、約100mV)とを減じた値、約800mVとなる。この値は、センサー規定出力レンジ900mVより約100mV小さい。
【0055】
図7は、従来のセンサー有効出力レンジとターゲットレンジの関係(暗時出力の差が大きい場合)の一例を説明する図である。本図は、図6の場合と比べて、各センサーチップの出力レンジの上限レベル及び下限レベルの差がさらに大きい場合を示している。
【0056】
本図では、センサー有効出力レンジWB_maxは、ターゲットレンジVa(1000mV)から、上下それぞれの50mVの余裕と、暗時出力差分B_diff(例えば、最も低いB[1]と最も高いB[6]の差分、約300mV)とを減じた値、約600mVとなる。この値は、センサー規定出力レンジ900mVより約300mV小さい。
【0057】
なお、図6及び図7では、出力レベルと光源点灯時間の関数、すなわち、光源点灯時間増加に伴う出力レベルの増加量が、いずれのチップでもほぼ同じ場合を仮定している。
【0058】
このように、各チップの出力レンジの上限レベル及び下限レベルに差がある場合、センサー有効出力レンジは、センサー規定出力レンジよりも小さくなり、センサーのダイナミックレンジを有効に使用することができない。
【0059】
そこで、本実施形態では、上述の従来の調整手法とは異なる特徴的な調整手法を用いる。以下、画像処理装置50における調整処理について、図2〜図3を用いて詳細に説明する。
【0060】
図2は、本発明の一実施形態の一例に係るセンサー有効出力レンジとターゲットレンジの関係を説明する図である。
【0061】
本図では、センサーチップ110の数が6個(チップ番号c:1〜6)であるものとする。また、A/D変換部330の規定入力レンジが2V、イメージセンサー100(各センサーチップ110)の規定出力レンジVsが900mVであるものとする。
【0062】
上記のような条件において、オフセット調整値は、各チップの暗時出力レベルB[1〜6](例えば、チップ内で最も低い値、あるいはチップ内の全画素の平均値など)のうち、最も低い暗時出力レベルB[c]が、A/D変換部の規定入力レンジの最小値に近づく(例えば、一致する、又は所定値以下の差となる)ように設定される。本図では、オフセット調整値は、最も低いチップ1の暗時出力レベルB[1]が、下ターゲット50mVから外れないような値に設定される。50mVの余裕を持たせているは、実際には、下限を超える電圧が発生する場合があるからである。
【0063】
ここで、ターゲットレンジVaを、次のように設定する。すなわち、センサーの規定出力レンジ900mVに、暗時出力差分B_diff(例えば、最も低いB[1]と最も高いB[6]の差分、約300mV)を加算したレンジ(約1200mV)を算出し、そのレンジの上下にそれぞれ50mVの余裕を持たせた1300mVをターゲットレンジVaとする。
【0064】
また、上記のように算出したターゲットレンジVaに基づいて、ゲイン調整値が設定される。本図では、ゲイン調整値は、約1.54倍(2000mv/1300mV)に設定される。
【0065】
また、光源の点灯時間Tは、最も高い暗時出力レベルB[c]を有するチップの明時出力レベルW[c](例えば、チップ内で最も高い値、あるいはチップ内の全画素の平均値など)が、A/D変換部の規定入力レンジの最大値に近づく(例えば、一致する、又は所定値以下の差となる)時間が設定される。本図では、点灯時間Tは、最も高い暗時出力レベルB[6]を有するチップ6の明時出力レベルW[6]が、上ターゲット1250mVから外れないような値に設定される。
【0066】
上記のような調整を行うことにより、センサー有効出力レンジWB_maxは、ターゲットレンジVa(1300mV)から、上下それぞれの50mVの余裕と、暗時出力差分B_diff(例えば、最も低いB[1]と最も高いB[6]の差分、約300mV)とを減じた値、約900mVとなる。この値は、センサーの規定出力レンジ900mVと概ね等しい。
【0067】
なお、図2では、出力レベルと光源点灯時間の関数、すなわち、光源点灯時間増加に伴う出力レベルの増加量が、いずれのチップでもほぼ同じ場合を想定している。
【0068】
このように、本実施形態によれば、各チップの出力レンジの上限レベル及び下限レベルに差がある場合であっても、センサー有効出力レンジをセンサー規定出力レンジとできる限り等しくすることができ、センサーのダイナミックレンジを有効に使用することができる。
【0069】
次に、上記のような調整処理を制御する読取制御部420の動作を説明する。
【0070】
図3は、本発明の一実施形態の一例に係る調整処理のフロー図である。本フローは、例えば、原稿などの読み取りの開始に先立って実行される。
【0071】
S(ステップ)1では、読取制御部420は、初期ゲイン調整値で、各チップ110の暗時出力B[c]を取得する。具体的には、読取制御部420は、初期ターゲットレンジVa(例えば、センサーの規定出力レンジ900mVの上下にそれぞれ50mVの余裕を持たせた1000mV)を設定するとともに、初期ゲイン調整値(例えば、A/D変換部330の規定入力レンジ2V/初期ターゲットレンジ1000mV)をゲインレジスター350に設定する。また、光源200を消灯したまま、各チップの暗時出力レベルB[c]を取得する。
【0072】
なお、チップごとの暗時出力レベルB[c]は、例えば、チップごとに、当該チップ内の各画素の暗時出力のうち最小の暗時出力レベルとすることができる。チップごとに、当該チップ内の各画素の暗時出力の平均を採用してもよい。また、階調値から暗時出力レベル(mV)への変換は、上述したように、所定の演算式により算出することができる。
【0073】
S2では、読取制御部420は、最小の暗時出力レベルB[c]に基づいて、オフセットを調整する。具体的には、読取制御部420は、S1で取得した各チップの暗時出力レベルB[c]の中から最小の暗時出力レベルB[c]を特定する。また、読取制御部420は、特定した最小の暗時出力レベルB[c]が、A/D変換部330の規定入力レンジの最小値に近づく(例えば、一致する、又は所定値以下の差となる)ように、オフセット調整値を算出し、オフセットレジスター340に設定する。なお、余裕を持たせるため、A/D変換部の規定入力レンジの最小値よりも大きい値をターゲットとして、オフセット調整値を算出してもよい。
【0074】
S3では、読取制御部420は、最大の暗時出力レベルB[c]と最小の暗時出力レベルB[c]の差分B_diffを算出する。具体的には、読取制御部420は、S1で取得した各チップ110の暗時出力レベルB[c]の中から、最大の暗時出力レベルB[c]と最小の暗時出力レベルB[c]を特定する。そして、最大の暗時出力レベルB[c]から最小の暗時出力レベルB[c]を減算して、差分B_diffを算出する。
【0075】
S4では、読取制御部420は、ターゲットレンジVa=Va+B_diffと設定し、ゲインを調整・設定する。具体的には、読取制御部420は、S1で設定した初期ターゲットレンジVa(例えば、1000mV)に、S3で算出したB_diff(例えば、300mV)を加算することにより、新しいターゲットレンジVaを算出する。また、読取制御部420は、新しいターゲットレンジVaとA/D変換部330の規定入力レンジとに基づいて、新しいゲイン調整値を算出し(例えば、A/D変換部330の規定入力レンジ2V/新しいターゲットレンジ1300mV)、ゲインレジスター350に設定する。
【0076】
S5では、読取制御部420は、各チップ110の暗時出力B[c]を取得する。具体的には、読取制御部420は、S4で設定した新しいゲイン調整値で、光源200を消灯したまま、各チップの暗時出力レベルB[c]を取得する。
【0077】
なお、S5では、読取制御部420は、オフセットの調整を行ってもよい。
【0078】
S6では、読取制御部420は、光源200の点灯を点灯する。
【0079】
S7では、読取制御部420は、最大のB[c]を有するチップの明時出力W[c]を取得する。具体的には、読取制御部420は、S5で取得した各チップの暗時出力レベルB[c]のうち、最大の暗時出力レベルB[c]を特定する。そして、当該最大のB[c]を有するチップの明時出力W[c]を取得する。
【0080】
なお、チップの明時出力レベルW[c]は、例えば、当該チップ内の各画素の明時出力のうち最大の明時出力レベルとすることができる。当該チップ内の各画素の明時出力の平均を採用してもよい。また、階調値から明時出力レベル(mV)への変換は、上述したように、所定の演算式により算出することができる。
【0081】
S8では、読取制御部420は、明時出力W[c]がA/D変換部330の規定入力レンジの上限に十分近付いたか否かを判定する。具体的には、読取制御部420は、S7で取得した明時出力W[c]が、A/D変換部330の規定入力レンジの最大値に近づいた(例えば、一致した、又は所定値以下の差となった)か否かを判定する。なお、余裕を持たせるため、A/D変換部の規定入力レンジの最大値よりも小さい値をターゲットとして、判定してもよい。十分近づいた場合(S8:YES)、処理をS9に進める。十分近付いてない場合(S8:NO)、処理をS7に戻す。
【0082】
S9では、読取制御部420は、光源点灯時間Tを設定する。具体的には、読取制御部420は、S8でYESと判定した時の明時出力W[c]と対応する光源点灯時間(S7で最後に明時出力W[c]を取得した時の光源点灯時間)を、原稿の読み取り等に使用する光源点灯時間Tとして設定する。そして、光源200を消灯して、本フローを終了する。
【0083】
以上の図3の各処理単位は、読取制御部420の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。読取制御部420の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0084】
以上、本発明の一実施形態の一例について説明した。本実施形態によれば、センサーの出力ダイナミックレンジをより有効に使うことができる。
【0085】
ところで、実際には、光源200の主走査方向の位置によって輝度にばらつきがあったり、センサーチップ110ごとに感度のばらつきがあったりする。そのため、出力レベルと光源点灯時間の関数、すなわち、光源点灯時間増加に伴う出力レベルの増加量が、チップごとに異なることがある。
【0086】
この場合、光源点灯時間の調整において、最も高い暗時出力レベルB[c]を有するチップの明時出力レベルW[c](例えば、チップ内で最も高い値、あるいはチップ内の全画素の平均値など)が、A/D変換部の規定入力レンジの最大値に近づく(例えば、一致する、又は所定値以下の差となる)よりも前に、他のいずれかの低い暗時出力レベルB[c]を有するチップの明時出力レベルW[c](例えば、チップ内で最も高い値、あるいはチップ内の全画素の平均値など)が、当該チップの規定出力レンジの最大値に近づく(一致する)又は最大値を超える可能性がある。
【0087】
例えば、図4を参照する。図4は、本発明の一実施形態の変形例(光源輝度の差を考慮した場合)に係るセンサー有効出力レンジとターゲットレンジの関係を説明する図である。
【0088】
本図の例では、光源200の輝度は、最も高い暗時出力レベルB[6]を有するチップ6に対応する位置で最も低く、チップ6よりも低い暗時出力レベルB[2]を有するチップ2に対応する位置で最も高くなっている。このような場合、チップ2の明時出力レベルW[2]が、他のチップと比べて最短時間で、チップ2の規定出力レンジの最大値に近づく。
【0089】
そこで、本実施形態の変形例では、光源点灯時間Tとして、各チップの明時出力レベルW[c](例えば、チップ内で最も高い値、あるいはチップ内の全画素の平均値など)が、当該チップの規定出力レンジの最大値に近づく(例えば、一致する、又は所定値以下の差となる)までの時間のうち、最短の時間が設定されるようにする。図4では、点灯時間Tは、チップ2の明時出力レベルW[2]が、チップ2の規定出力レンジの上限(900mV)を超えないように、約1050mV(チップ2の暗時出力レベル約150mV+センサー規定出力レンジ900mV)から外れないような値に設定される。
【0090】
次に、上記のような調整処理を制御する読取制御部420の動作を説明する。
【0091】
図5は、本発明の一実施形態の一例に係る調整処理のフロー図である。本フローは、例えば、原稿などの読み取りの開始に先立って実行される。なお、S1〜S5は、図3のS1〜S5と同様なので説明を省略する。
【0092】
S10では、読取制御部420は、光源点灯時間Tで、各チップ110の明時出力W[c]を取得する。具体的には、読取制御部420は、1回目にS10を実行する場合(S5から遷移した場合)、所定の初期光源点灯時間Tを用いる。2回目以降にS10を実行する場合(S13から遷移した場合)、S13で新しく設定した光源点灯時間Tを用いる。所定の初期光源点灯時間Tは、例えば、当該点灯時間T光源200を点灯した場合に、各チップの明時出力レベルW[c]が、当該チップの規定入力レンジの最大値を超えないような、十分小さな値とすることができる。
【0093】
そして、読取制御部420は、光源200を光源点灯時間T点灯し、T時間経過時点の各チップの明時出力レベルW[c]を取得する。
【0094】
なお、チップごとの明時出力レベルW[c]は、例えば、チップごとに、当該チップ内の各画素の明時出力のうち最大の明時出力レベルとすることができる。チップごとに、当該チップ内の各画素の明時出力の平均を採用してもよい。また、階調値から明時出力レベル(mV)への変換は、上述したように、所定の演算式により算出することができる。
【0095】
S11では、読取制御部420は、各チップ110の明時出力レベルW[c]と暗時出力レベルB[c]の差分のうち、最大の値WB_maxを算出する。具体的には、読取制御部420は、チップごとに、S10で取得した明時出力レベルW[c]から、S5で取得した暗時出力レベルB[c]を減算して、差分WBを算出する。そして、各チップの差分WBのうち、最大の値WB_maxを特定する。
【0096】
S12では、読取制御部420は、WB_maxがセンサー規定出力レンジVsに十分近付いたか否かを判定する。具体的には、読取制御部420は、S11で算出したWB_maxが、センサー規定出力レンジVs(例えば、900mV)に十分近付いた(例えば、一致した、又は所定値以下の差となった)か否かを判定する。十分近付いてない場合(S12:NO)、処理をS13に進める。十分近づいた場合(S12:YES)、本フローを終了する。なお、1回目でYESと判定された場合、所定の初期光源点灯時間Tを、原稿の読み取り等に使用する光源点灯時間Tとして設定する。2回目以降でYESと判定された場合、S13で新しく設定した光源点灯時間Tを、原稿の読み取り等に使用する光源点灯時間Tとして設定する。
【0097】
S13では、読取制御部420は、光源点灯時間T=T*Vs/WB_maxに設定する。具体的には、読取制御部420は、現在設定されている光源点灯時間Tに、センサー規定出力レンジVsを乗じ、S11で算出したWB_maxで除することにより、新しい光源点灯時間Tを算出し、設定する。そして、処理をS10に戻す。なお、S5に処理を戻すようにしてもよい。
【0098】
以上の図5の各処理単位は、読取制御部420の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。読取制御部420の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0099】
以上、本発明の一実施形態の変形例について説明した。本実施形態によれば、光源の輝度やセンサーチップの感度にばらつきがある場合であっても、センサーの出力ダイナミックレンジをより有効に使うことができる。
【0100】
なお、上記の本発明の一実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0101】
50:画像処理装置、100:イメージセンサー、110:センサーチップ、200:光源、300:AFE回路、310:オフセット部、320:増幅部、330:A/D変換部、340:オフセットレジスター、350:ゲインレジスター、400:コントローラー、410:デジタルデータ処理部、420:読取制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサーチップを備えるイメージセンサーと、
光源と、
前記イメージセンサーからの入力信号を受け付けオフセット調整、ゲイン調整、及びA/D変換を行う回路と、
所定の初期ゲイン値で、各センサーチップの暗時出力値を取得する第一の暗時出力取得手段と、
取得した前記センサーチップの暗時出力値のうち最大の暗時出力値と最小の暗時出力値との暗時差分値を算出する算出手段と、
所定の初期ターゲットレンジに前記暗時差分値を加算することにより、新ターゲットレンジを設定し、A/D変換の規定入力レンジと前記新ターゲットレンジとに基づいて新ゲイン値を算出し、前記回路に設定するゲイン設定手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記新ゲイン値で、各センサーチップの暗時出力値を取得する第二の暗時出力取得手段と、
光源を点灯し、光源を点灯している間、最大の暗時出力値を有するセンサーチップの明時出力値を取得する明時出力取得手段と、
前記明時出力値が前記センサーチップの規定出力レンジの最大値に達したか否かを判定する判定手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記判定手段は、前記明時出力値が前記センサーチップの規定出力レンジの最大値に達しない間、繰り返し判定を行う、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像処理装置であって、
前記明時出力値が前記センサーチップの規定出力レンジの最大値に達した場合、その時の光源点灯時間を画像読み取りに使用する光源点灯時間として設定する点灯時間設定手段、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記新ゲイン値で、各センサーチップの暗時出力値を取得する第二の暗時出力取得手段と、
所定の光源点灯時間で、各センサーチップの明時出力値を取得する明時出力取得手段と、
各センサーチップについて明時出力値と暗時出力値との明暗時差分値を算出し、そのうち最大の明暗時差分値を特定する特定手段と、
前記最大の明暗時差分値が前記センサーチップの規定出力レンジに達したか否かを判定する判定手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記最大の明暗時差分値が前記センサーチップの規定出力レンジに達しない場合に、前記所定の光源点灯時間、前記センサーチップの規定出力レンジ、及び最大の明暗時差分値に基づいて、前記所定の光源点灯時間よりも長い新光源点灯時間を算出し、前記所定の光源点灯時間の設定を変更する変更手段、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置であって、
前記明時出力取得手段、前記特定手段、及び前記判定手段は、前記変更手段により前記所定の光源点灯時間の設定が変更された場合、再度処理を実行する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項5〜7いずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記最大の明暗時差分値が前記センサーチップの規定出力レンジに達した場合、その時の前記所定の光源点灯時間を画像読み取りに使用する光源点灯時間として設定する点灯時間設定手段、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか一項に記載の画像処理装置であって、
最小の暗時出力と前記A/D変換の規定入力レンジとに基づいてオフセット調整値を算出し、前記回路に設定する手段、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
複数のセンサーチップを備えるイメージセンサーと、光源と、前記イメージセンサーからの入力信号を受け付けオフセット調整、ゲイン調整、及びA/D変換を行う回路とを有する画像処理装置のプログラムであって、
所定の初期ゲイン値で、各センサーチップの暗時出力値を取得する第一の暗時出力取得手段と、
取得した前記センサーチップの暗時出力値のうち最大の暗時出力値と最小の暗時出力値との暗時差分値を算出する算出手段と、
所定の初期ターゲットレンジに前記暗時差分値を加算することにより、新ターゲットレンジを設定し、A/D変換の規定入力レンジと前記新ターゲットレンジとに基づいて新ゲイン値を算出し、前記回路に設定するゲイン設定手段として、
前記画像処理装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
複数のセンサーチップを備えるイメージセンサーと、光源と、前記イメージセンサーからの入力信号を受け付けオフセット調整、ゲイン調整、及びA/D変換を行う回路とを有する画像処理装置の調整方法であって、
所定の初期ゲイン値で、各センサーチップの暗時出力値を取得する第一の暗時出力取得ステップと、
取得した前記センサーチップの暗時出力値のうち最大の暗時出力値と最小の暗時出力値との暗時差分値を算出する算出ステップと、
所定の初期ターゲットレンジに前記暗時差分値を加算することにより、新ターゲットレンジを設定し、A/D変換の規定入力レンジと前記新ターゲットレンジとに基づいて新ゲイン値を算出し、前記回路に設定するゲイン設定ステップと、
を含むことを特徴とする調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−204851(P2012−204851A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64486(P2011−64486)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】