説明

画像処理装置、及び、画像処理プログラム

【課題】裏写りによる原稿の表現色の誤判別を抑制する技術を開示する。
【解決手段】制御部31は、第1判定条件よりも厳しく、第1ブロック判定処理で特定色ブロックであると判定された他方の面のブロックが特定色ブロックと判定され難い第2判定条件を設定し、一方の面について、当該他方の面のブロックの反対側に位置する対応ブロックが第2判定条件を満たすかどうかを判定する第2ブロック判定処理と、前記一方の面について、第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロック、及び、第2ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロックが占める割合が基準値以上である場合に、原稿の前記一方の面の表現色を、特定の表現色であると判別する色判別処理と、を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される発明は、原稿から読み取られた読取画像データに基づき当該原稿の表現色を判別する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、別途、CIS(Contact Image Sensor)等の画像読取手段で読み取られた原稿の読取画像データに基づき、例えば原稿種別がカラー原稿なのか白黒原稿なのかなど、原稿上の画像を表現する表現色を判別する、いわゆる色判別を行う画像処理装置がある(特許文献1参照)。この画像処理装置は、読取画像データを構成する各々の画素がカラー画素か白黒画素かを判定する画素色判定手段を備える。画像処理装置は、上記画像データを複数のブロックに分割し、各々のブロックに含まれる画素のうち、カラー画素または白黒画素と判定された画素数が閾値以上であるか否かに基づいてカラーブロックなのか白黒ブロックなのかを判断する。そして、画像処理装置は、カラーブロック及び白黒ブロックの数から、原稿がカラー画像なのか白黒画像なのかを判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−116011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、原稿の一方の面を読み取る場合、画像読取手段が、一方の面上の画像を読み取るだけでなく、当該画像読取手段が有する光源からの照射光によって原稿の一方の面側に透けて現れた他方の面上の画像を読み取ってしまう、いわゆる裏写りが生じる場合がある。例えば原稿の一方の面に白黒画像が印刷され、他方の面にカラー画像が印刷されている原稿について、画像処理装置が、その一方の面を読み取った読取結果から色判別を行うとする。すると、画像処理装置は、当該一方の面上の画像を白黒画像であると判別すべきところ、カラー画像が一方の面側に裏写りすることにより、カラーブロックと判断されるブロックの数が多くなることによって、一方の面上の画像を、カラー画像であると、原稿の表現色を誤判別してしまうおそれがある。
【0005】
本明細書では、裏写りによる原稿の表現色の誤判別を抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される画像処理装置は、原稿の一方の面の読取画像データ、及び、前記原稿の他方の面の読取画像データを取得するデータ取得部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記データ取得部が取得した各面の読取画像データに基づき、前記各面の読取画像を複数のブロックに分割するブロック分割処理と、前記他方の面について、前記複数のブロックそれぞれが、特定の表現色のブロックである特定色ブロックの第1判定条件を満たすかどうかの判定と、前記一方の面について、少なくとも、前記特定色ブロックでないと判定された前記他方の面のブロックの反対側に位置する非対応ブロックが、前記第1判定条件を満たすかどうかの判定を行う第1ブロック判定処理と、前記第1判定条件よりも厳しく、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックであると判定された前記他方の面のブロックが前記特定色ブロックと判定され難い第2判定条件を設定し、前記一方の面について、当該他方の面のブロックの反対側に位置する対応ブロックが前記第2判定条件を満たすかどうかを判定する第2ブロック判定処理と、前記一方の面について、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロック、及び、前記第2ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロックが占める割合が基準値以上である場合に、前記原稿の前記一方の面の表現色を、前記特定の表現色であると判別する色判別処理と、を実行する。
【0007】
上記画像処理装置では、前記制御部は、前記第1ブロック判定処理では、前記一方の面について、前記非対応ブロック及び前記対応ブロックそれぞれが、前記第1判定条件を満たすかどうかを判定してもよい。
【0008】
上記画像処理装置では、前記制御部は、更に、前記一方の面及び前記他方の面それぞれについて、前記複数のブロックに対し、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロックが占める割合が、前記基準値以上である場合に、前記各面の表現色を、前記特定の表現色であると判別する仮色判別処理を実行し、前記仮色判別処理で、前記一方の面及び前記他方の面の両面の表現色が、前記特定の表現色であると判別された場合、前記第2ブロック判定処理、及び、前記色判別処理を実行し、当該色判別処理の判別結果を、前記一方の面の表現色とし、前記仮色判別処理で、前記一方の面及び前記他方の面の少なくとも1面の表現色が、前記特定の表現色でないと判別された場合、前記第2ブロック判定処理、及び、前記色判別処理を実行せずに、前記仮色判別処理の判別結果を、前記一方の面の表現色としてもよい。
【0009】
上記画像処理装置では、前記第1判定条件及び前記第2判定条件は、互いに異なる色要素に関する複数の色要素条件を含み、前記制御部は、前記第1ブロック判定処理で、前記他方の面について、前記特定色ブロックであるとの判定結果の要因となった色要素と、前記特定色ブロックとの対応関係情報を記憶する情報記憶処理を実行し、前記第2ブロック判定処理では、前記対応関係情報に基づき、前記特定色ブロックに対応付けられた色要素に関する色要素条件だけ前記第1判定条件よりも厳しくした条件を、前記第2判定条件として設定し、当該第2判定条件を、前記特定色ブロックの前記対応ブロックが満たすかどうかを判定してもよい。
【0010】
上記画像処理装置では、前記制御部は、前記第2ブロック判定処理では、前記対応ブロックについてのみ、前記第2判定条件を満たすかどうかを判定してもよい。
【0011】
上記画像処理装置では、前記特定の表現色は複数であって、前記制御部は、前記第2ブロック判定処理では、前記第1ブロック判定処理において前記他方の面のブロックと同一の表現色であると判定された前記対応ブロックについてのみ、前記第2判定条件を満たすかどうかを判定してもよい。
【0012】
上記画像処理装置では、前記複数の特定の表現色は、カラー色と単色を含んでもよい。
【0013】
上記画像処理装置では、前記原稿の一方の面と他方の面の画像を読み取る読取デバイスを備え、前記データ取得部は、前記読取デバイスから前記一方の面の読取画像データ及び前記他方の面の読取画像データを取得してもよい。
【0014】
上記画像処理装置では、前記制御部は、前記第1ブロック判定処理では、前記一方の面について、前記非対応ブロック及び前記対応ブロックそれぞれが、前記第1判定条件を満たすかどうかを判定し、前記第2ブロック判定処理では、更に、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックであると判定された前記一方の面のブロックの反対側に位置する対応ブロックが、前記第1判定条件よりも厳しくて前記特定色ブロックと判定され難い第2判定条件を満たすかどうかを判定し、前記色判別処理では、更に、前記他方の面について、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロック、及び、前記第2ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロックが占める割合が前記基準値以上である場合に、前記原稿の前記他方の面の表現色を、前記特定の表現色であると判別してもよい。
【0015】
なお、この発明は、画像処理方法、当該方法または画像処理装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一方の面について、第1ブロック判定処理で特定色ブロックであると判定された他方の面のブロックの反対側に位置する対応ブロックについて、第1判定条件よりも厳しくて特定色ブロックと判定され難い第2判定条件を満たすかどうかを判定する第2ブロック判定処理が実行される。これにより、例えば原稿の一方の面の表現色が特定色でなく、他方の面の表現色が特定色である場合、上記一方の面側のブロックについて第1判定条件でのみ色判別する構成に比べて、他方の面の特定色の画像が一方の面側に裏写りすることにより一方の面の表現色を特定色であると誤判別することを、抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態に係る複合機のハード構成を概略的に示す部分的断面図
【図2】複合機の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図3】読取処理を示すフローチャート
【図4】第1画像処理を示すフローチャート
【図5】原稿の各面の一例を示す模式図
【図6】原稿の各面の読取画像をブロック分割した結果を示す模式図
【図7】第2画像処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
一実施形態に係る複合機1について、図1から図7を参照しつつ説明する。以下、図1において紙面左側を複合機1の前側とし、紙面手前側を複合機1の右側とし、紙面上側を複合機1の上側として説明する。複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを有する多機能周辺装置であり、画像処理装置の一例である。
【0019】
(複合機のハード構成)
図1に示すように、複合機1は、図示しない印刷機構等を備える本体部2、及び、当該本体部2の上方に設けられた画像読取装置3を備える。画像読取装置3は、原稿載置部(以下、FB4という)、原稿カバー5、原稿自動送り装置(以下、ADF6という)、表面読取デバイス7、裏面読取デバイス8を有する。
【0020】
FB4は、台枠11、透明なガラス板からなる第1プラテンガラス12、第2プラテンガラス13、及びこれらのガラス12,13の中間に配置された中間枠14を含む。FB4は、原稿カバー5によって開閉可能に覆われている。
【0021】
原稿カバー5は、FB4を覆う閉姿勢とFB4を開放する開姿勢とに回動可能に本体部2に支持されており、内部には、ADF6、及び、裏面読取デバイス8が収容されている。ADF6は、原稿トレイ21、押圧部材22,23、各種ローラ24、排出トレイ25、透明なガラス板からなる第3プラテンガラス26等を有する。原稿トレイ21は、ADF6で搬送される原稿Mを載置するトレイである。ADF6には、ローラ24等によって原稿Mが原稿トレイ21から排出トレイ25へと搬送される経路である搬送路27が形成されている。以後、搬送路27に沿った方向を搬送方向という。図1に、搬送方向を矢印28で示す。
【0022】
裏面読取デバイス8は、第3プラテンガラス26を介して、押圧部材22に対向配置されている。裏面読取デバイス8は、CIS(Contact Image Sensor)を有する構成であり、複数の読取素子8Aが、上記搬送方向に直交する方向、即ち左右方向に沿って並んで配置されているとともに、その近傍に、RGBの複数の光源8Bが左右方向に沿って並んで配置されている。なお、裏面読取デバイス8は、CISに限らず、例えばCCD(Charge Coupled Drive Image Sensor)を有する構成でもよい。
【0023】
表面読取デバイス7は、台枠11等の下側において、図示しない移動機構によって前後方向に移動可能に設けられている。図1では、表面読取デバイス7は、第2プラテンガラス13を介して、押圧部材23に対向配置されている。表面読取デバイス7は、CISを有する構成であり、複数の読取素子7Aが、左右方向に沿って並んで配置されているとともに、その近傍に、RGBの複数の光源7Bが左右方向に沿って並んで配置されている。なお、表面読取デバイス7は、CISに限らず、例えばCCDを有する構成でもよい。
【0024】
以上の構成により、画像読取装置3では、静止読取と搬送読取とを実行可能とされている。静止読取は、FB4上に静止状態で載置された原稿の片面、図1では下面を読み取る方式である。静止読取では、表面読取デバイス7が、図1に示す位置から同図の点線で示す位置まで移動しつつ、原稿の下面を読み取る。搬送読取は、ADF6が、原稿トレイ21に載置された原稿を排出トレイ25へと搬送する過程において、表面読取デバイス7及び裏面読取デバイス8により原稿の片面または両面を読み取る方式である。以下、図1において原稿トレイ21に載置された原稿Mの上面を表面といい、下面を裏面という。
【0025】
(複合機の電気的構成)
図2に示すように、複合機1は、制御基板30を備える。制御基板30には、制御ユニット31、デバイス制御部32、アナログフロントエンド(以下、AFE)33、駆動部34、画像処理部35を備え、これらにバス36を介して、操作ユニット37、表示ユニット38などが接続されている。操作ユニット37は、複数のボタンを備え、ユーザにより各種の指示や設定の入力操作が可能である。表示ユニット38は、ディスプレイやランプ等を備え、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。
【0026】
制御ユニット31は、中央処理装置(以下、CPU)31A、及び、メモリ31Bを有する。メモリ31Bには、複合機1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU31Aは、メモリ31Bから読み出したプログラムに従って、複合機1の各部を制御する。メモリ31Bは、RAMやROMを有する。
【0027】
デバイス制御部32は、読取デバイス7,8に各々接続されており、CPU31Aからの命令に基づいて、光源7B、8Bの点灯/消灯、及び、CIS7A,8Aによる読み取りを制御する信号を読取デバイス7,8に送信する。読取デバイス7,8は、デバイス制御部32から信号を受け取ると、光源7B、8Bを点灯し、搬送路27上を搬送される原稿Mから反射される反射光をCIS7A,8Aを用いて受光する。また、読取デバイス7,8は、CIS7A,8Aが受光した受光量に応じたアナログ信号である第1読取画像データをAFE33に出力する。
【0028】
AFE33は、読取デバイス7,8に各々接続されている。AFE33は、読取デバイス7,8から出力されるアナログ信号である第1読取画像データを、デジタル信号であるRGB表色系の階調データである第2読取画像データに変換する。当該第2読取画像データは、バス36を介してメモリ31Bに記憶される。AFE33は、データ取得部の一例である。
【0029】
画像処理部35は、例えば画像処理専用のハード回路であって、メモリ31Bに記憶された第2読取画像データに後述するYCbCr変換処理などを行う。当該処理後の第3読取画像データは、メモリ31Bに記憶される。なお、上記制御ユニット31及び画像処理部35が、制御部の一例である。駆動部34は、各種ローラ24を用いて原稿Mを搬送方向に搬送する搬送機構39に接続されており、CPU31Aからの命令に基づいて搬送機構39を制御し、原稿Mを搬送する。
【0030】
(読取処理)
ユーザが、原稿トレイ21に原稿Mを載置し、操作ユニット38にて両面読取指示の入力操作をすると、CPU31Aが、上記プログラムを読み出して、図3に示す読取処理を実行する。当該読取処理を実行するためのプログラムは、画像処理プログラムの一例である。この読取処理により、原稿Mの両面を読み取りつつ、原稿Mの各面上の画像を表現するための表現色が、カラーなのか、単色なのか、表現色がないブランクなのかの色判別が行われる。
【0031】
ここで、原稿Mの表現色を判別するとは、原稿種別を判別することであり、原稿種別は、原稿面の種別をいい、これには、例えば、カラー原稿、単色原稿が含まれる。カラー原稿は、原稿の表現色がカラーであることを意味し、例えば、有彩色部分の占める割合が所定割合以上である原稿をいう。単色原稿は、原稿の表現色が単色であることを意味し、例えば白黒原稿やグレイスケール原稿など、有彩色部分の占める割合が所定割合未満であり、且つ、無彩色部分の占める割合が所定割合以上である単色の原稿をいう。
【0032】
CPU31Aは、まず両面読取制御の実行を開始する(S1)。具体的には、CPU31Aは、駆動部34に指示して、搬送機構39に、原稿トレイ21に載置されている原稿Mを1枚、搬送路27に沿って搬送させる。また、CPU31Aは、デバイス制御32に指示して、表面読取デバイス7に原稿Mの表面を読み取らせ、裏面読取デバイス8に原稿Mの裏面を読み取らせる。なお、このとき、各読取デバイス7,8は、RGBの光源を時分割で点灯させて、カラー形式で各面の画像を読み取る。そして、CPU31Aは、AFE33から順次出力される表面及び裏面の第2読取画像データをメモリ31Bに記憶していく。
【0033】
CPU31Aは、画像処理部35にYCbCr変換処理を実行させる(S2)。このYCbCr変換処理では、画像処理部35は、表面及び裏面の第2読取画像データをメモリ31Bから読み出して、当該第2読取画像データを、RGB表色系のデータから、輝度データY、及び、2つの色差データ(Cb、Cr)を有するYCbCr表色系の第3読取画像データに変換し、メモリ31Bに記憶する。なお、本実施形態では、輝度データYの値の範囲は、0〜255であり、値が大きいほど輝度が高く、各色差データの値の範囲は、−128〜+127であり、絶対値が大きいほど赤成分または青成分が多いものとする。
【0034】
1.表面の第1画像処理
CPU31Aは、メモリ31Bに記憶された表面の第3読取画像データに基づき、表面について図4に示す第1画像処理を実行する(図3:S3)。具体的には、CPU31Aは、まず、表面の第3読取画像データに基づき、表面の読取画像を、複数のブロックBに分割するブロック分割処理の実行を開始する(S21)。
【0035】
ここで、図5には、原稿Mの一例が示されている。この原稿Mの表面には白黒画像が印刷され、裏面には薄い桃色のカラー画像が印刷されている。図6には、上記原稿Mの各面の読取画像をブロック分割した結果が示されている。同図中の(x,y)は、各ブロックBの位置を示す。表面の読取画像のブロックB0(x=0,y=0)、B1(x=0,y=1)、B2(x=0,y=2)、B3(x=0,y=3)は、裏面の読取画像のブロックB3(x=0,y=3)、B2(x=0,y=2)、B1(x=0,y=1)、B0(x=0,y=0)の反対側にそれぞれ位置する。
【0036】
表面の読取画像には、ブロックB0〜B2に黒色画像が含まれ、ブロックB3はブランクになっている。この黒色画像は、輝度データのY値=0、色差データのCb値=0、Cr値=0とし、ブランクは、輝度データのY値=255、色差データのCb値=0、Cr値=0とする。裏面の読取画像には、ブロックB0に薄い桃色画像が含まれ、ブロックB1〜B3には、裏写りによる灰色画像が含まれている。薄い桃色画像は、輝度データのY値=235、色差データのCb値=−12、Cr値=+14とし、灰色画像は、輝度データのY値=230、色差データのCb値=0、Cr値=0とする。
【0037】
CPU31Aは、ブロック分割処理の実行開始後、初期位置のブロック、例えばブロックB0から順に、対象ブロックとして選択し、当該対象ブロックについて、第1判定条件で色判別を行う第1ブロック判定処理を実行する(S22)。第1判定条件には、各ブロックBに含まれる画素に対する色要素条件と、各ブロックBに対するブロック色条件とが含まれる。CPU31Aは、対象ブロックBに含まれる各画素が、特定の表現色の色要素条件を満たす場合に、当該特定の表現色の画素、即ち、カラー画素または白黒画素であると判定し、満たさない場合にはカラー画素でも白黒画素でもない画素、即ち、ブランク画素であると判定する。色要素条件には、例えば、各画素の色要素に関する値が規定範囲以内または規定範囲外であることが含まれる。
【0038】
色要素条件の一例は次の通りである。
カラー画素条件:Cb値=−10〜+10の範囲外、又は、Cr値=−10〜+10の範囲外
白黒画素条件:Cb値=−10〜+10の範囲以内、且つ、Cr値=−10〜+10の範囲以内、且つ、Y値=240〜255の範囲外
【0039】
また、CPU31Aは、対象ブロックが、特定の表現色のブロック色条件を満たす場合に、当該特定の表現色のブロック(以下、特定色ブロックという)、即ち、カラーブロックまたは白黒ブロックであると判定し、満たさない場合には特定の表現色でないブロック(以下、非特定色ブロックという)、即ち、ブランクブロックであると判定する。ブロック色条件には、例えば、各ブロックの全部または一部の画素数に対する、上記特定色の表現色の画素数の割合(以下、第1画素割合という)が、第1規定範囲以内または第1規定範囲外であることが含まれる。なお、上記全部または一部の画素数が固定値であれば、CPU31Aは、特定色の表現色の画素数が、所定の閾値以下かどうかを判断することにより、間接的に、対象ブロックBが、上記ブロック色条件を満たすかどうかを判定してもよい。
【0040】
ブロック色条件の一例は次の通りである。
カラーブロック条件:対象ブロックの全画素数に対する、カラー画素数の割合=5%以上
白黒ブロック条件:対象ブロックが、カラーブロックでなく、且つ、対象ブロックの全画素数に対する、白黒画素数の割合=5%以上
なお、対象ブロックの色判別については、本実施形態の方法以外に、様々な公知の色判別方法を利用することができる。
【0041】
CPU31Aは、上記第1ブロック判定処理で、対象ブロックがカラーブロックであると判定した場合には(S23:YES)、当該対象ブロックが、カラーブロックであることを示すブロック情報をメモリ31Bに記憶する(S24)。また、CPU31Aは、S23での判定結果の主要因となった色要素(以下、要因要素という)と対象ブロックとを対応付ける対応関係情報をメモリ31Bに記憶する、情報記憶処理を実行する(S25)。
【0042】
具体的には、対象ブロックが、青系の色要素のみを有する場合、要因要素は色差データCbであり、対象ブロックが、赤系の色要素のみを有する場合、要因要素は色差データCrであり、対象ブロックが、赤系及び青系の色要素を有する場合、要因要素は色差データCb、Crである。なお、S24、S25の処理は、順番を逆にしても並行して行ってもよい。
【0043】
CPU31Aは、上記第1ブロック判定処理で、対象ブロックが白黒ブロックであると判定した場合には(S23:NO、且つ、S26:YES)、当該対象ブロックが、白黒ブロックであることを示すブロック情報をメモリ31Bに記憶する(S27)。また、CPU31Aは、上記第1ブロック判定処理で、対象ブロックがブランクブロックであると判定した場合には(S23:NO、且つ、S26:NO)、当該対象ブロックが、ブランクブロックであることを示すブロック情報をメモリ31Bに記憶する(S28)。表面の読取画像が、図6に示す例の場合、ブロックB0〜B2は、いずれも、表面上の黒色画素により、白黒ブロックと判定され、ブロックB3は、ブランクブロックと判定される。
【0044】
CPU31Aは、対象ブロックについてブロック判定処理が終了すると、表面の読取画像の全ブロックBについて第1ブロック判定処理を完了していなければ(S29:NO)、対象ブロックを、次の順位のブロックBに変更し(S30)、S22に戻る。一方、CPU31Aは、全ブロックBについて第1ブロック判定処理を完了していれば(S29:YES)、表面について仮色判別処理を実行する(S31)。具体的には、CPU31Aは、表面の読取画像の全ブロック数に対する、上記特定色ブロックの数の割合(以下、第1ブロック割合という)が、基準値以上である場合に、表面の表現色は、特定の表現色であると判別し、基準値未満である場合には、特定の表現色でないと判別する。なお、全ブロック数が固定値であれば、CPU31Aは、特定色ブロックの数が、所定の閾値以下かどうかを判断することにより、間接的に、表面の表現色が、特定の表現色であるかどうかを判別してもよい。
【0045】
本実施形態では、各特定の表現色について、次のような色判別条件が使用される。
カラー画像条件:対象面の全ブロックに対する、カラーブロックの数の割合=2%以上
白黒画像条件:カラー画像条件を満たさず、且つ、対象面の全ブロックに対する、白黒ブロックの数の割合=2%以上
表面の読取画像が、図6に示す例の場合、表面は、白黒画像であると判定され、これは、図5に示す原稿Mの表面の表現色と一致する。表面について仮色判別処理を終了すると、表面について本第1画像処理を終了し、図3のS4に進む。
【0046】
2.裏面の第1画像処理
CPU31Aは、表面について第1画像処理を終了すると、裏面についても、図4に示す第1画像処理を実行する(S4)。このとき、図4において対象面が裏面であること以外は、上記表面についての第1画像処理と同じなので、詳細な説明は省略する。裏面の読取画像が、図6に示す例の場合、第1ブロック判定処理(S22)では、ブロックB0は、薄い桃色画素により、カラーブロックと判定され、ブロックB1〜B3のいずれも、表面上の黒色画像の裏写りで生じた灰色画素により、白黒ブロックと判定される。その結果、裏面は、白黒画像であると判定され、これは、図5に示す原稿Mの裏面の表現色とは異なっており、裏面の表現色が誤判別されている。また、情報記憶処理では、カラーブロックと判定されたブロックB0について、当該ブロックB0と色差データCrとの対応関係情報がメモリ31Bに記憶される。なお、S3、S4の処理は、順番を逆にしてもよい。
【0047】
CPU31Aは、裏面について第1画像処理を終了すると、上記第1画像処理で表面及び裏面の両面の表現色が、同一の特定の表現色、即ち、カラーまたは白黒であるかを判別する(S5、S6)。CPU31Aは、両面の表現色が同一の特定の表現色であると判別した場合(S5:YES、又は、S5:NO且つS6:YES)、表面について図7に示す第2画像処理を実行する(S7)。
【0048】
3.表面の第2画像処理
CPU31Aは、まず、表面の読取画像について、上記初期位置のブロックを、対象ブロックとして選択する。そして、CPU31Aは、上記表面のブロック情報等を参照して、対象ブロックが、上記第1ブロック判定処理で特定色ブロック、即ち、カラーブロック又は白黒ブロックであると判定されたかどうかを判断する(S41)。
【0049】
CPU31Aは、対象ブロックが特定色ブロックであると判断した場合(S41:YES)、対象ブロックが、対応ブロックであって、且つ、その反対側に位置する裏面のブロックと第1ブロック判定処理の結果が同一であるかどうかを判断する(S42)。換言すれば、CPU31Aは、対象ブロックと、その反対側の裏面のブロック(以下、反対側ブロックという)とがいずれも、同一の特定色ブロックであるかどうかを判断する。対応ブロックとは、上記第1ブロック判定処理で特定色ブロックと判定された裏面のブロックの反対側に位置するブロックであり、以下、対応ブロック以外のブロックを非対応ブロックという。
【0050】
CPU31Aは、対象ブロックと反対側ブロックとが同一の特定色ブロックであると判断した場合には(S42:YES)、当該反対側ブロックが、第1判定条件よりも、当該特定色ブロックと判定され難い第2判定条件を設定する(S43)。具体的には、CPU31Aは、上記ブロック情報及び対応関係情報を参照して、反対側ブロックの要因要素に関する色要素条件だけが、第1判定条件よりも厳しい第2判定条件を設定する。
【0051】
具体的には、第2判定条件は、上記第1判定条件に対して次のように変更した条件に設定される。
要因要素が色差データCbである場合:「Cb値=−10〜+10の範囲」を「Cb値=−10〜+15の範囲」に変更
要因要素が色差データCrである場合:「Cr値=−10〜+10の範囲」を「Cr値=−10〜+15の範囲」に変更
要因要素が輝度データYである場合:「Y値=240〜255」を「Y値=230〜255」に変更
【0052】
そして、CPU31Aは、対象ブロックについて、第2判定条件で色判別を行う第2ブロック判定処理を実行し(S44)、S45に進む。一方、CPU31Aは、対象ブロックが特定色ブロックでない場合(S41:NO)、又は、対象ブロックと反対側ブロックとが同一の特定色ブロックでないと判断した場合には(S42:YES、且つ、S42:NO)、第2判定条件の設定(S43)及び第2ブロック判定処理(S44)を実行することなく、S45に進む。
【0053】
S45では、CPU31Aは、表面の全ブロックBについて、S41〜S44の処理を完了しているかどうかを判断する。CPU31Aは、全ブロックBについて上記処理を完了していなければ(S45:NO)、対象ブロックを、次の順位のブロックBに変更し(S46)、S41に戻る。一方、CPU31Aは、全ブロックBについて上記処理を完了していれば(S45:YES)、表面について色判別処理を実行する(S47)。
【0054】
具体的には、CPU31Aは、第2ブロック判定処理の対象とされ、且つ、当該第2ブロック判定処理で特定色ブロックと判定されたブロックの数と、第2ブロック判定処理の対象とされず、且つ、第1ブロック判定処理で特定色ブロックと判定されたブロックの数の合計数を算出する。次に、CPU31Aは、表面の読取画像の全ブロック数に対する当該合計数の割合が、上記基準値以上である場合に、表面の表現色は、特定の表現色であると判別し、基準値未満である場合には、特定の表現色でないと判別する。なお、色判別処理の色判別条件は、上記仮色判別処理と同じである。表面について色判別処理を終了すると、表面について本第2画像処理を終了し、図3のS8に進む。
【0055】
ここで、表面及び裏面の読取画像が、図6に示す例の場合、上記S41,S42で、表面のブロックB0〜B2が、白黒ブロックであるため、特定色ブロックであると判断され、且つ、反対側ブロック、換言すれば裏面のブロックB3〜B1と同一の特定色ブロックであると判断される。従って、表面のブロックB0〜B2について、第2判定条件で第2ブロック判定処理が実行される。ここで、第2判定条件は、裏面のブロックB3〜B1について白黒ブロックと判定され難い条件であり、具体的には、第1判定条件に対して「Y値=240〜255」を「Y値=230〜255」に変更したものである。しかし、表面のブロックB0〜B2には、いずれも黒色画像が含まれているので、第2ブロック判定処理でも白黒ブロックであると判定される。その結果、色判別処理では、表面は、仮色判別処理と同様、白黒画像であると判別され、これは、図5に示す原稿Mの表面の表現色と一致する。
【0056】
4.裏面の第2画像処理
CPU31Aは、表面について第2画像処理を終了すると、裏面についても、図7に示す第2画像処理を実行する(S8)。このとき、図7において対象面が裏面であること以外は、上記表面についての第2画像処理と同じなので、詳細な説明は省略する。裏面の読取画像が、図6に示す例の場合、上記S41,S42で、裏面のブロックB0がカラーブロックであり、ブロックB1〜B3が、白黒ブロックであるため、裏面のブロックB0〜B3が特定色ブロックであると判断される。また、裏面のブロックB0〜B3のうち、ブロックB1〜B3だけが、反対側ブロック、換言すれば表面のブロックB2〜B0と同一の特定色ブロックであると判断される。従って、裏面のブロックB1〜B3について、第2判定条件で第2ブロック判定処理が実行される。
【0057】
ここで、第2判定条件は、表面のブロックB2〜B0について白黒ブロックと判定され難い条件であり、具体的には、第1判定条件に対して「Y値=240〜255」を「Y値=230〜255」に変更したものである。上述したように、灰色画像のY値=230なので、裏面のブロックB1〜B3は、いずれも白黒画素条件を満たさず、ブランクブロックであると判定される。その結果、色判別処理では、裏面は、仮色判別処理とは異なり、ブロックB0の薄い桃色画像により、カラー画像であると判別され、これは、図5に示す原稿Mの表面の表現色と一致する。なお、S7、S8の処理は、順番を逆にしてもよい。
【0058】
CPU31Aは、裏面について第2画像処理を終了すると、本読取処理を終了する。そして、CPU31Aは、色判別処理(S47)の結果に基づき、輝度データY、及び、2つの色差データのうち不要なデータを削除する。表面及び裏面の読取画像が、図6に示す例の場合、表面は白黒画像と判別されるので、第3読取画像データのうち、輝度データYだけ残し、2つの色差データを削除する。これにより、メモリ31Bにおいて、第3読取画像データの記憶量を削減することができる。なお、CPU31Aが、第3読取画像データを、第2読取画像データに変換し、RGBデータのいずれか1つのみ残す構成でもよい。一方、裏面はカラー画像と判別されるので、輝度データY、及び、2つの色差データのいずれも削除されずに、第3読取画像データをそのままメモリ31Bに残す。
【0059】
一方、CPU31Aは、図3で、両面の表現色が同一の特定の表現色でないと判別した場合(S5:NO、且つ、S6:NO)、表面及び裏面について第2画像処理を実行することなく、本読取処理を終了する。そして、CPU31Aは、仮色判別処理(S31)の結果に基づき、輝度データY、及び、2つの色差データのうち不要なデータを削除する。
【0060】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、第1判定条件よりも厳しく、第1ブロック判定処理で特定色ブロックであると判定された他方の面のブロックが特定色ブロックと判定され難い第2判定条件が設定される。そして、一方の面について、当該他方の面のブロックの反対側に位置する対応ブロックが第2判定条件を満たすかどうかを判定する第2ブロック判定処理が実行される。これにより、例えば原稿の一方の面の表現色が特定の表現色でなく、他方の面の表現色が特定の表現色である場合、一方の面側のブロックについて第1判定条件でのみ色判別する構成に比べて、他方の面の特定の表現色の画像が一方の面側に裏写りすることにより一方の面の表現色を特定の表現色であると誤判別することを、抑制することができる。
【0061】
また、第1ブロック判定処理では、一方の面について、非対応ブロックだけでなく、対応ブロックも、第1判定条件を満たすかどうかが判定される。これにより、一方の面の複数のブロックのうち、対応ブロックについては第1ブロック判定処理の対象外とする構成に比べて、第1ブロック判定処理での処理が簡単になる。
【0062】
原稿の両面の表現色が、特定の表現色であると判別された場合(S5、S6)、裏写りによる誤判別の可能性が高い。そこで、本実施形態では、このような場合にだけ、第2ブロック判定処理、及び、色判別処理が実行され(図7)、その判別結果が、一方の面の表現色とされる。一方、これ以外の場合には、第2ブロック判定処理、及び、色判別処理が実行されずに、仮色判別処理(図4)の判別結果が、一方の面の表現色とされる。これにより、常に、第2ブロック判定処理、及び、色判別処理を実行する構成に比べて、制御ユニット31の処理負担を軽減することができる。
【0063】
要因要素に関する色要素条件だけ第1判定条件よりも厳しくした条件が、第2判定条件として設定され(S43)、この第2判定条件が、対応ブロックの判定に使用される(S44)。これにより、要因要素以外の色要素に関する色要素条件を厳しくする構成に比べて、一方の面の色を精度よく判別することができる。例えば、図6の表面のブロックB3に青色画像が含まれていたとする。この場合、裏面のブロックB0の色判定において、Cbだけでなく、Crに関する色要素条件も厳しくしてしまうと、薄い桃色画素がブランク画素であると判定され、裏面がブランクであると誤判別されるおそれがある。これに対し、本実施形態であれば、Cbに関する色要素条件だけを厳しくするため、上記のような誤判別を抑制することができる。
【0064】
また、第2ブロック判定処理では、対応ブロックについてのみ、第2判定条件を満たすかどうかが判定される。これにより、非対応ブロックも第2ブロック判定処理を実行する構成に比べて、制御ユニット31の処理負担を軽減することができる。
【0065】
第2ブロック判定処理では、第1ブロック判定処理において他方の面のブロックと同一の表現色であると判定された対応ブロックについてのみ、第2判定条件を満たすかどうかが判定される。これにより、同一の表現色かどうかにかかわらず、一律に対応ブロックについて第2ブロック判定処理を実行する構成に比べて、制御ユニット31の処理負担を軽減することができる。
【0066】
また、原稿の一方の面の色を、カラー、単色、ブランクのいずれかに判別することができる。更に、本実施形態では、画像読取装置3を含む複合機1において、他方の面の特定の表現色の画像が一方の面側に裏写りすることにより一方の面の表現色を特定の表現色であると誤判別することを、抑制することができる。また、原稿Mの両面について、裏写りによる色の誤判別の発生を抑制することができる。
【0067】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0068】
上記実施形態では、画像処理装置の一例として、複合機1を挙げた。しかし、画像処理装置は、これに限らず、画像読取装置単体、画像処理装置単体から読取画像データを取得する印刷装置や、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置でもよい。この場合、印刷装置等は、所定時間内に順番に取得したり、互いに対応付けられたりした2つの読取画像データを、同一原稿のものとみなす。
【0069】
上記実施形態では、画像処理装置の一例として、FB4を有して静止読取が可能な複合機1を例に挙げた。しかし、画像処理装置は、FB4を有しない構成でもよい。例えば、2つの読取デバイスが、ADF6の搬送路を挟んで配対向置された構成でもよい。また、画像処理装置は、1つの読取デバイスと、原稿反転機構とを有し、原稿の一方の面を読取デバイスで読み取った後、スイッチバック機構などの原稿反転機構により反転された原稿の他方の面を上記読取デバイスで読み取る構成でもよい。
【0070】
上記実施形態では、データ取得部の一例として、AFE33を例に挙げた。しかし、データ取得部は、これに限らず、読取画像データが記憶される外部記憶装置や、読取画像データを送信する外部機器と通信可能に接続される接続部、例えばUSBインターフェースなどでもよい。
【0071】
上記実施形態では、制御部の一例として、制御ユニット31及び画像処理部35を例に挙げた。しかし、制御部は、これに限らず、制御ユニット31だけで読取処理を実行する構成でもよい。また、制御部は、複数のCPUを備える構成や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハード回路を備える構成や、ハード回路及びCPUの両方を備える構成でもよい。例えば上記ブロック分割処理、第1ブロック判定処理、第2ブロック判定処理、色判別処理の少なくとも2つを、別々のCPUやハード回路で実行する構成でもよい。
【0072】
上記実施形態では、両面読取指示が入力された場合を例に挙げて説明したが、搬送読取において片面読取指示が入力された場合でも、上記第1画像処理及び第2画像処理を実行してもよい。
【0073】
上記実施形態では、制御ユニット31は、カラー、単色の2色を、特定の表現色として各画像処理を実行した。しかし、制御ユニット31は、上記2色のうちいずれか一色のみを特定の表現色とし、原稿Mの各面の表現色が、当該一色かどうかを判別する構成でもよい。また、制御ユニット31は、グレースケールなどの3階調以上(単色2階調を除く)の単色多階調と、白と黒のみからなるテキストなどの単色2階調とを特定の表現色とし、これらの表現色を判別する構成でもよい。
【0074】
上記実施形態では、制御ユニット31は、YCbCr表色系のデータについて、図4、図5に示す各画像処理を行った。しかし、これに限らず、制御ユニット31は、RGB表色系のデータについて、各画像処理を行う構成でもよい。また、RGB表色系やYCbCr表色系以外に、例えばYPbPr表色系のデータなど、他の表色系のデータについて各画像処理を行う構成でもよい。但し、RGB表色系のデータについて各画像処理を行う構成では、カラー画像かモノクロ画像かを判別するために、RGBの3つのデータを参照しなければならない。これに対し、上記実施形態であれば、カラー画像かモノクロ画像かを、色差データのみから判別することができるため、比較的簡略に各画像処理を行うことができる。
【0075】
上記実施形態では、各画像処理を、各面の読取画像全体に対して適用した。しかし、これに限らず、各画像処理を、各面の読取画像の一部、例えば画像が存在する可能性が高い中央部分だけに対して適用してもよい。
【0076】
上記実施形態では、制御ユニット31は、情報記憶処理でブロック情報や対応関係情報をメモリ31Bに記憶した。しかし、これに限らず、制御ユニット31に、論理回路等で構築した記憶回路を設けて、この記憶回路にブロック情報等を記憶してもよい。
【0077】
上記実施形態では、制御ユニット31は、図3のS5、S6で、表面及び裏面の両面の表現色が、同一の特定の表現色である場合に、第2画像処理を実行した。しかし、これに限らず、制御ユニット31は、表面及び裏面の両面の表現色が、互いに異なる特定の表現色、即ち、カラーと白黒である場合でも、第2画像処理を実行する構成でもよい。更には、制御ユニット31は、図6のS5、S6の判別をせずに常に第2画像処理を実行する構成でもよい。
【0078】
上記実施形態では、対象ブロックが対応ブロックであって、且つ、その反対側に位置する裏面のブロックと第1ブロック判定処理の結果が同一である場合に(S41:YES、且つ、S42:YES)、第2ブロック判定処理を行った(S43)。しかし、これに限らず、対象ブロックが対応ブロックであれば、第2ブロック判定処理を行う構成でもよい。
【0079】
上記実施形態では、制御ユニット31は、対応ブロック及び非対応ブロックに対して第1ブロック判定処理を実行した(図4)。しかし、これに限らず、制御ユニット31は、例えば片面読取の場合において、先に、裏面について第1ブロック判定処理をし、その後、表面について、非対応ブロックに対して第1ブロック判定処理を実行し、対応ブロックに対して第2ブロック判定処理を実行する構成でもよい。
【0080】
上記実施形態では、第2判定条件は、第1判定条件に対し、色要素条件だけを厳しくしたものを例に挙げた。しかし、第2判定条件は、これに限らず、ブロック色条件だけ、又は、色要素条件及びブロック色条件の両方を厳しくする構成でもよい。
【0081】
上記実施形態では、画像処理プログラムの一例として、RAMやROMを有するメモリ31Bに記憶されたものを例に挙げた。しかし、画像読取プログラムは、これに限らず、ハードディスク装置、フラッシュメモリ(登録商標)などの不揮発性メモリや、CD−Rなどの記憶媒体などに記憶されたものでもよい。
【符号の説明】
【0082】
1:複合機 31:制御ユニット 33:AFE 35:画像処理部 B:ブロック M:原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の一方の面の読取画像データ、及び、前記原稿の他方の面の読取画像データを取得するデータ取得部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記データ取得部が取得した各面の読取画像データに基づき、前記各面の読取画像を複数のブロックに分割するブロック分割処理と、
前記他方の面について、前記複数のブロックそれぞれが、特定の表現色のブロックである特定色ブロックの第1判定条件を満たすかどうかの判定と、前記一方の面について、少なくとも、前記特定色ブロックでないと判定された前記他方の面のブロックの反対側に位置する非対応ブロックが、前記第1判定条件を満たすかどうかの判定を行う第1ブロック判定処理と、
前記第1判定条件よりも厳しく、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックであると判定された前記他方の面のブロックが前記特定色ブロックと判定され難い第2判定条件を設定し、前記一方の面について、当該他方の面のブロックの反対側に位置する対応ブロックが前記第2判定条件を満たすかどうかを判定する第2ブロック判定処理と、
前記一方の面について、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロック、及び、前記第2ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロックが占める割合が基準値以上である場合に、前記原稿の前記一方の面の表現色を、前記特定の表現色であると判別する色判別処理と、を実行する、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、
前記第1ブロック判定処理では、前記一方の面について、前記非対応ブロック及び前記対応ブロックそれぞれが、前記第1判定条件を満たすかどうかを判定する、画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、
更に、前記一方の面及び前記他方の面それぞれについて、前記複数のブロックに対し、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロックが占める割合が、前記基準値以上である場合に、前記各面の表現色を、前記特定の表現色であると判別する仮色判別処理を実行し、
前記仮色判別処理で、前記一方の面及び前記他方の面の両面の表現色が、前記特定の表現色であると判別された場合、前記第2ブロック判定処理、及び、前記色判別処理を実行し、当該色判別処理の判別結果を、前記一方の面の表現色とし、
前記仮色判別処理で、前記一方の面及び前記他方の面の少なくとも1面の表現色が、前記特定の表現色でないと判別された場合、前記第2ブロック判定処理、及び、前記色判別処理を実行せずに、前記仮色判別処理の判別結果を、前記一方の面の表現色とする、画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記第1判定条件及び前記第2判定条件は、互いに異なる色要素に関する複数の色要素条件を含み、
前記制御部は、
前記第1ブロック判定処理で、前記他方の面について、前記特定色ブロックであるとの判定結果の要因となった色要素と、前記特定色ブロックとの対応関係情報を記憶する情報記憶処理を実行し、
前記第2ブロック判定処理では、前記対応関係情報に基づき、前記特定色ブロックに対応付けられた色要素に関する色要素条件だけ前記第1判定条件よりも厳しくした条件を、前記第2判定条件として設定し、当該第2判定条件を、前記特定色ブロックの前記対応ブロックが満たすかどうかを判定する、画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、
前記第2ブロック判定処理では、前記対応ブロックについてのみ、前記第2判定条件を満たすかどうかを判定する、画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記特定の表現色は複数であって、
前記制御部は、
前記第2ブロック判定処理では、前記第1ブロック判定処理において前記他方の面のブロックと同一の表現色であると判定された前記対応ブロックについてのみ、前記第2判定条件を満たすかどうかを判定する、画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置であって、
前記複数の特定の表現色は、カラー色と単色を含む、画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記原稿の一方の面と他方の面の画像を読み取る読取デバイスを備え、
前記データ取得部は、前記読取デバイスから前記一方の面の読取画像データ及び前記他方の面の読取画像データを取得する、画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、
前記第1ブロック判定処理では、前記一方の面について、前記非対応ブロック及び前記対応ブロックそれぞれが、前記第1判定条件を満たすかどうかを判定し、
前記第2ブロック判定処理では、更に、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックであると判定された前記一方の面のブロックの反対側に位置する対応ブロックが、前記第1判定条件よりも厳しくて前記特定色ブロックと判定され難い第2判定条件を満たすかどうかを判定し、
前記色判別処理では、更に、前記他方の面について、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロック、及び、前記第2ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロックが占める割合が前記基準値以上である場合に、前記原稿の前記他方の面の表現色を、前記特定の表現色であると判別する、画像処理装置。
【請求項10】
原稿の一方の面の読取画像データ、及び、前記原稿の他方の面の読取画像データを取得するデータ取得部を有する画像処理装置のコンピュータに、
前記データ取得部が取得した各面の読取画像データに基づき、前記各面の読取画像を複数のブロックに分割するブロック分割処理と、
前記他方の面について、前記ブロック分割処理により分割された前記複数のブロックそれぞれが、特定の表現色のブロックである特定色ブロックの第1判定条件を満たすかどうかの判定と、前記一方の面について、少なくとも、前記特定色ブロックでないと判定された前記他方の面のブロックの反対側に位置する非対応ブロックが、前記第1判定条件を満たすかどうかの判定を行う第1ブロック判定処理と、
前記一方の面について、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックであると判定された前記他方の面のブロックの反対側に位置する対応ブロックが、前記第1判定条件よりも厳しくて前記特定色ブロックと判定され難い第2判定条件を満たすかどうかを判定する第2ブロック判定処理と、
前記一方の面について、前記第1ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロック、及び、前記第2ブロック判定処理で前記特定色ブロックと判定されたブロックが占める割合が基準値以上である場合に、前記原稿の前記一方の面の表現色を、前記特定の表現色であると判別する色判別処理と、を実行させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−51588(P2013−51588A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189186(P2011−189186)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】