説明

画像処理装置、撮像装置およびプログラム

【課題】先鋭化処理を行う場合に黒線が太くなる不具合を回避する。
【解決手段】画像処理装置10は、少なくとも7画素以上の幅のフィルターを用いて、入力画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像を生成し、入力画像から平滑化画像を減算することによって高周波成分を生成する高周波成分生成部11と、高周波成分に対して細線化処理を施して細線化高周波成分を生成する細線化高周波成分生成部13と、細線化高周波成分を入力画像に加算することによって、先鋭化された画像を生成する先鋭化画像生成部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、撮像装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの画像形成装置においては、撮像画像の鮮鋭感を向上させるために、撮像画像の高周波成分を抽出し、抽出した高周波成分を撮像画像に付加する先鋭化処理が行われている(例えば、特許文献1を参照)。
先鋭化処理は、例えば、以下の処理によって行われる。
(1)入力画像に対して所定幅の平滑化フィルター処理を行って平滑化画像を生成。
(2)入力画像から平滑化画像を減算することにより、高周波成分を生成。
(3)入力画像に高周波成分を加算。
このとき、先鋭化後の画像を縮小表示した場合にも十分な鮮鋭感向上効果を実現するためには、フィルター処理の幅を大きくすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−70128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、縮小表示しても十分な鮮鋭感を得るためにフィルター処理の幅を大きくすると、先鋭化後の細線が太くなるという不具合が生じる。本発明は、縮小表示しても十分な鮮鋭感を得られるような十分な先鋭化処理を行いつつ、細線が太くなる不具合を回避する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、本発明の一態様である画像処理装置は、少なくとも7画素以上の幅のフィルターを用いて、入力画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像を生成し、前記入力画像から前記平滑化画像を減算することによって高周波成分を生成する高周波成分生成部と、前記高周波成分に対して細線化処理を施して細線化高周波成分を生成する細線化高周波成分生成部と、前記細線化高周波成分を前記入力画像に加算することによって、先鋭化された画像を生成する先鋭化画像生成部とを備えることを特徴とする。
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である画像処理装置は、少なくとも7画素以上の幅のフィルターを用いて、入力画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像を生成するとともに、前記入力画像に対して細線化処理を施して細線化成分を生成し、前記細線化成分から前記平滑化画像を減算することによって、細線化高周波成分を生成する細線化高周波成分生成部と、前記細線化高周波成分を前記入力画像に加算することによって、先鋭化された画像を生成する先鋭化画像生成部とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である撮像装置は、上記何れかの画像処理装置を備えることを特徴とする。
【0008】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様であるプログラムは、画像処理装置のコンピュータに、少なくとも7画素以上の幅のフィルターを用いて、入力画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像を生成し、前記入力画像から前記平滑化画像を減算することによって高周波成分を生成する高周波成分生成ステップと、前記高周波成分に対して細線化処理を施して細線化高周波成分を生成する細線化高周波成分生成ステップと、前記細線化高周波成分を前記入力画像に加算することによって、先鋭化された画像を生成する先鋭化画像生成ステップとを実行させることを特徴とする。
【0009】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様であるプログラムは、画像処理装置のコンピュータに、少なくとも7画素以上の幅のフィルターを用いて、入力画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像を生成するとともに、前記入力画像に対して細線化処理を施して細線化成分を生成し、前記細線化成分から前記平滑化画像を減算することによって、細線化高周波成分を生成する細線化高周波成分生成ステップと、前記細線化高周波成分を前記入力画像に加算することによって、先鋭化された画像を生成する先鋭化画像生成ステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、先鋭化処理を行う場合に細線が太くなる不具合を回避することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態による画像処理装置10の機能ブロック図の一例である。
【図2】従来の技術による出力結果を模式的に示す模式図である。
【図3】第1の実施形態による出力結果を模式的に示す模式図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による画像処理装置20の機能ブロック図の一例である。
【図5】本発明の第3の実施形態による撮像装置1の機能構成図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態による画像処理装置10の機能ブロック図の一例である。画像処理装置10は、図1に示すように、高周波成分生成部11、細線化高周波成分生成部13および先鋭化画像生成部15を備える。
【0013】
高周波成分生成部11は、少なくとも7画素以上の幅のフィルターを用いて、外部から取得した入力画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像(低周波成分)を生成する。具体的には、高周波成分生成部11は、入力画像に対し、7画素以上の幅のガウシアンフィルターを畳み込み積分し、該入力画像に平滑化処理を施した平滑化画像を生成する。ガウシアンフィルターの一例は、下記式(1)の行列計算式によって表される7画素の幅のガウシアンフィルターである。
【0014】
【数1】

【0015】
また、高周波成分生成部11は、入力画像から、上述の如く生成した平滑化画像を減算することによって高周波成分を生成(抽出)する。高周波成分生成部11は、生成した高周波成分を細線化高周波成分生成部13に出力する。
【0016】
細線化高周波成分生成部13は、高周波成分生成部11から出力された高周波成分に対して細線化処理を施して細線化高周波成分を生成する。細線化高周波成分生成部13による細線化処理は、処理対象とする画素位置および当該画素位置の近傍の画素位置の各成分(画素値)のうちの最大値を算出し、算出した最大値を当該画素位置の成分とする処理である。具体的には、細線化高周波成分生成部13は、フィルターを用いて、上記細線化処理を実行する。
【0017】
上記細線化処理に用いるフィルターの幅は、高周波成分生成部11による平滑化処理に用いるフィルターの幅よりも小さく、好ましくは、上記平滑化処理に用いるフィルターの幅の半分未満である。従って、平滑化処理に、上記式(1)に示すような7×7画素の幅のフィルターを用いるときは、細線化処理には3×3画素の幅のフィルターを用いることが好ましい。細線化高周波成分生成部13は、生成した細線化高周波成分を先鋭化画像生成部15に出力する。
【0018】
先鋭化画像生成部15は、細線化高周波成分生成部13から出力された細線化高周波成分を入力画像に加算することによって先鋭化された画像である先鋭化画像を生成する。
【0019】
図2は、従来の技術による出力結果を模式的に示す模式図である。図3は、第1の実施形態による出力結果を模式的に示す模式図である。具体的には、図2および図3は、平滑化処理に用いるフィルターの幅が大きい場合の細線の先鋭化の程度を示す模式図である。なお、図2および図3において、横軸は、画像のx座標、縦軸は画素値(成分)である。また、図2および図3において、◆印は入力画像、■印は平滑化画像、●印は先鋭化画像である。図3において、△印は高周波成分、×印は細線化高周波成分である。
【0020】
まず、比較のため、従来の技術による出力結果について評価する。図2の例は、高周波成分に200%の強調を行い、先鋭化後に0以上にクリップしたときの各座標の画素値を示している。
【0021】
図2によれば、入力画像(◆印)は、x=10を中心とする3画素(x=9、10、11)が、画素値50未満のやや黒い黒細線として視認され、また、該黒細線の隣接画素(x=8、12)が、黒細線と背景(例えばx=6において画素値200)との中間部分(画素値110)として視認される。
【0022】
平滑化画像(■印)は、図2に示すように、入力画像(◆印)における黒細線の中心画素(x=10)を中心に、20画素分(x=0〜20)、平滑化処理(画素値150〜画素値200)が施されている。平滑化処理によって、例えば、入力画像(◆印)の黒細線の画素(x=9、10、11)および黒細線の隣接(境界)画素(x=8、12)は、より背景色に近づき明るくなる。
【0023】
先鋭化画像(●印)は、入力画像(◆印)から平滑化画像(■印)を減算し、更に入力画像(◆印)を加算した画像であるから、先鋭化画像(●印)において、入力画像(◆印)における黒細線は暗くなる。具体的には、図2に示すように、入力画像(◆印)の黒細線の画素(x=9、10、11)の画素値20〜画素値40は、先鋭化画像(●印)においては画素値0となる。なお、先鋭化画像(●印)の黒細線の画素(x=9、10、11)の画素値は、上記計算によれば、何れもマイナスとなるが、上述の如く、画素値0にクリップされている。
【0024】
ところが、先鋭化画像(●印)において、入力画像における黒細線に隣接する部分も暗くなる。具体的には、図2に示すように、入力画像(◆印)の黒細線の隣接画素(x=8、12)の画素値110は、先鋭化画像(●印)においては画素値70となる。つまり、入力画像(◆印)において黒細線と背景の中間部分として認識されていた画素(x=8、12)は、先鋭化画像(●印)においては、黒細線の一部として視認される。
【0025】
即ち、従来の技術では、入力画像(◆印)において3画素分(x=9、10、11)であった黒細線は先鋭化画像(●印)において5画素分(x=8、9、10、11、12)に視認されるため、先鋭化によって黒細線が太くなったように見える。黒細線が太くなると当然に違和感がある。黒細線が太くなるという不具合は、平滑化処理に用いるフィルターの幅が7画素程度以上になると生じ、幅を大きくするほど顕著になる。なお、背景色に対しコントラストがある線を有する入力画像(◆印)の一例として、明るい背景に黒細線がある入力画像(◆印)を用いたが、線が太くても、また、線が黒に近い紺色や深緑色であっても同様の不具合が生じる。
【0026】
続いて、第1の実施形態による出力結果について評価する。なお、図3の入力画像(◆印)および平滑化画像(■印)は、図2と同一である。
【0027】
第1の実施形態においては、高周波成分(△印)は、入力画像(◆印)から平滑化画像(■印)を減算した結果である。例えば、図3の例では、入力画像(◆印)の黒細線の画素(x=9、10、11)および黒細線の隣接画素(x=8、12)の画素値は、高周波成分(△印)においては、マイナスになる。
【0028】
第1の実施形態においては、細線化高周波成分(×印)は、高周波成分(△印)に対して3×3画素の幅のフィルターを用いて細線化処理を施した結果である。例えば、図3の例では、細線化高周波成分(×印)における画素(x=10)の画素値は、当該画素(x=10)および当該画素(x=10)に隣接する画素(x=9、11)における高周波成分(△印)の各画素値のうちの最大値(画素値マイナス110)として算出されている。また例えば、細線化高周波成分(×印)における画素(x=9)の画素値は、当該画素(x=9)および当該画素(x=9)に隣接する画素(x=8、10)における高周波成分(△印)の各画素値のうちの最大値(画素値マイナス40)として算出されている。また例えば、細線化高周波成分(×印)における画素(x=8)の画素値は、当該画素(x=8)および当該画素(x=8)に隣接する画素(x=7、9)における高周波成分(△印)の各画素値のうちの最大値(画素値マイナス10)として算出されている。
【0029】
第1の実施形態においては、先鋭化画像(●印)は、入力画像(◆印)に細線化高周波成分(×印)を加算した画像であるから、入力画像(◆印)における黒細線は、先鋭化画像(●印)においては暗くなる。つまり、図3に示すように、入力画像(◆印)における黒細線の画素(x=9、10、11)の画素値20〜画素値40は、細線化高周波成分(×印)における当該画素(x=9、10、11)の画素値がマイナスであるため、先鋭化画像(●印)においては小さくなる。なお、先鋭化画像(●印)の黒細線の画素(10)の画素値は、上記計算によれば、マイナスとなるが、画素値0にクリップしている。
【0030】
また、第1の実施形態においては、入力画像(◆印)における黒細線に隣接する部分は、先鋭化画像(●印)においては暗くならない。つまり、図3に示すように、入力画像(◆印)における黒細線の隣接画素の画素(x=8、12)の画素値110は、細線化高周波成分(×印)における当該画素(x=8、12)の画素値がプラスであるため、先鋭化画像(●印)においては小さくならない。従って、入力画像(◆印)において黒細線と背景の中間部分として認識されていた画素(x=8、12)は、先鋭化画像(●印)においても中間部分として認識される。寧ろ、図3の例では、黒細線に隣接する部分は明るくなっている。
【0031】
即ち、第1の実施形態では、入力画像(◆印)において3画素分(x=9、10、11)であった黒細線は先鋭化画像(●印)においても3画素分(x=9、10、11)のまま視認され、先鋭化によって黒細線の太さは変わらない。つまり、第1の実施形態によれば、黒細線を太くせずに先鋭化することができるようになる。なお、背景色に対しコントラストがある線を有する入力画像(◆印)の一例として、明るい背景に黒細線がある入力画像(◆印)を用いたが、線が太くても、また、線が黒に近い紺色や深緑色であっても同様に入力画像(◆印)における線の太さは変わらない。
【0032】
なお、第1の実施形態では、入力画像(◆印)に高周波成分(△印)を加算して先鋭化画像(●印)を生成するのではなく、入力画像(◆印)に細線化高周波成分(×印)を加算して先鋭化画像(●印)を生成しているが、入力画像(◆印)に高周波成分(△印)をそのまま加算すると、黒線の境界が暗くなって黒線が太くなるからである。従って、上述の如く、高周波成分(△印)よりも明るい細線化高周波成分(×印)を生成し、これを入力画像(◆印)に加算するようにしている。
【0033】
以上、第1の実施形態によれば、縮小表示しても十分な鮮鋭感を得られるような十分な先鋭化処理を行いつつ、細線が太くなる不具合を回避することができる。
【0034】
なお、高周波成分生成部11は、入力画像に対して下記式(2)の行列計算式で表される7画素の幅のラプラシアンフィルターを入力画像に対して畳み込み積分することにより、高周波成分を抽出してもよい。処理結果は、上記と同様になる。
【0035】
【数2】

【0036】
また、高周波成分生成部11が行う処理のフィルターの係数は上記に限定されない。また、高周波成分生成部11が行う処理のフィルターのサイズは上記に限定されない。但し、上述の如く、7×7画素以上のフィルターで高周波成分を抽出する場合に本発明は効果を発揮する。
【0037】
また、高周波成分細線化部13は、3×3画素の範囲を参照したが、例えば5×5や7×7画素の範囲を参照して同様の処理を行ってもよい。また、高周波成分細線化部13は、高周波成分または細線化高周波成分に対して、所定の先鋭化調整係数をかけるなどの公知の調整を行い、先鋭化の強さを調整してもよい。
【0038】
また、先鋭化画像生成部15は、細線化高周波成分を所定値以下に制限した値を、入力画像に加算してもよい。高周波成分細線化処理を行うと、輝点の高周波成分は太くなるが、細線化高周波成分を所定値以下に制限すれば、入力画像における輝点が太くなることを抑制することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について説明する。図4は本発明の第2の実施形態による画像処理装置20の機能ブロック図の一例である。画像処理装置20は、図4に示すように、細線化高周波成分生成部23および先鋭化画像生成部25を備える。なお、先鋭化画像生成部25は、第1の実施形態における先鋭化画像生成部15と同様であるため、説明を省略する。
【0040】
細線化高周波成分生成部23は、少なくとも7画素以上の幅のフィルターを用いて、外部から取得した入力画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像を生成する。具体的には、例えば、細線化高周波成分生成部23は、入力画像に対し、7画素以上の幅のガウシアンフィルターを畳み込み積分し、該入力画像に平滑化処理を施した平滑化画像を生成する。ガウシアンフィルターの一例は、上記式(1)の行列計算式によって表される7画素の幅のガウシアンフィルターである。
【0041】
また、細線化高周波成分生成部23は、入力画像に対して細線化処理を施して細線化成分を生成する。細線化高周波成分生成部23による細線化処理は、上記第1の実施形態と同様、処理対象とする画素位置および当該画素位置の近傍の画素位置の各成分のうちの最大値を算出し、算出した最大値を当該画素位置の成分とする処理である。また、上記細線化処理に用いるフィルターの幅は、上記第1の実施形態と同様、平滑化処理に用いるフィルターの幅よりも小さく、好ましくは、平滑化処理に用いるフィルターの幅の半分未満である。
【0042】
更に、細線化高周波成分生成部23は、細線化成分から平滑化画像を減算することによって細線化高周波成分を生成する。細線化高周波成分生成部23は、生成した細線化高周波成分を先鋭化画像生成部25に出力する。
【0043】
以上、第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2の実施形態によれば、第1の実施形態における高周波成分生成部11と細線化高周波成分生成部13の2つの処理を1つにまとめているので、第1の実施形態に比べて、回路規模や演算時間を削減することができる。
【0044】
なお、細線化高周波成分生成部23が行う平滑化処理のフィルターの係数およびサイズは上記に限定されない。但し、上述の如く、7×7画素以上のフィルターで高周波成分を抽出する場合に本発明は効果を発揮する。また、細線化高周波成分生成部23は、入力画像の3×3画素の範囲を参照したが、例えば5×5や7×7画素の範囲を参照して同様の処理を行ってもよい。また、細線化高周波成分生成部23は、細線化高周波成分に対して、所定の先鋭化調整係数をかけるなどの公知の調整を行い、先鋭化の強さを調整してもよい。
【0045】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について説明する。図5は、本発明の第3の実施形態による撮像装置1の機能構成図の一例である。撮像装置1は、第1の実施形態による画像処理装置10の機能、または、第2の実施形態による画像処理装置20の機能の何れか一方の機能を兼ね備える。なお、説明の便宜上、撮像装置1は、第1の実施形態による画像処理装置10の機能を兼ね備える例を説明する。
【0046】
撮像装置1は、図5に示すように、撮像部110、CPU(Central processing unit)190、操作部180、画像処理部140、表示部150と、記憶部160、バッファメモリ部130、通信部170およびバス300を備えて構成される。
【0047】
撮像部110は、複数のレンズを備える光学系111と、撮像素子119と、A/D変換部120とを含み、設定された撮像条件(例えば絞り値、露出値等)に従ってCPU190により制御され、光学系111による光学像を撮像素子119に結像させて、A/D変換部120によってデジタル信号に変換された当該光学像に基づく画像データを生成する。光学系111は、撮像装置1に取り付けられて一体とされていてもよいし、撮像装置1に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0048】
撮像素子119は、例えば、受光面に結像した光学像を電気信号に変換して、A/D変換部120に出力する。また、撮像素子119は、操作部180を介して撮影指示を受け付けた際に得られる画像データを、撮影された静止画の撮影画像データとして、A/D変換部120や画像処理部140を介して、記憶媒体200に記憶させる。また、撮像素子119は、例えば、操作部180を介して撮像指示を受け付けていない状態において、連続的に得られる画像データをスルー画(スルー画データ)として、A/D変換部120や画像処理部140を介して、表示部150に連続的に出力する。
【0049】
A/D変換部120は、撮像素子119によって変換された電子信号をアナログ/デジタル変換し、この変換したデジタル信号である画像データを出力する。
【0050】
操作部180は、例えば、電源スイッチやシャッターボタン、十字キー、OKボタン(確定ボタン)その他の操作キーを含み、ユーザによって操作されることでユーザの操作入力を受け付け、CPU190に出力する。
【0051】
画像処理部140は、記憶部160に記憶されている画像処理条件を参照して、バッファメモリ130、または、記憶媒体200に記録されている画像データに対して画像処理をする。具体的には、画像処理部140は、例えば、上述した第1の実施形態の画像処理装置10と同様の処理、即ち、高周波成分生成部11、細線化高周波成分生成部13および先鋭化画像生成部15によってなされる上述した処理を実行する。なお、バッファメモリ130に記録されている画像データとは、例えば、上述したスルー画のことである。
【0052】
記憶部160は、撮像部110による撮像条件、画像処理部140による画像処理条件などを記憶する。画像処理条件の一例は、平滑化処理に用いるフィルターの係数およびサイズ、細線化処理に用いるフィルターの係数およびサイズなどである。バッファメモリ部130は、撮像部110によって撮像された画像データを、一時的に記憶する。
【0053】
表示部150は、例えば液晶ディスプレイであって、撮像部110によって得られた画像データ、操作画面、撮像部110による撮像条件、画像処理部140による画像処理条件などを表示する。
【0054】
通信部170は、カードメモリ等の取り外しが可能な記憶媒体200と接続され、この記憶媒体200への情報の書込み、読み出し、あるいは消去を行う。記憶媒体200は、撮像装置1に対して着脱可能に接続される記憶部であって、例えば、撮像部110によって生成された(撮影された)画像データを記憶する。
【0055】
CPU190は、撮像装置1全体を制御するが、一例としては、画像処理部140により画像処理された画像と、基準画像とを表示部150に切り替えて表示させる。例えば、CPU190は、画像処理部140により画像処理された画像と、撮像部110により撮像された像(スルー画)とを、表示部150に切り替えて連続的に表示する。また、CPUは、操作部180を介して、撮像部110による撮像条件、画像処理部140による画像処理条件の変更を受け付けて、記憶部160を更新する。
【0056】
バス300は、撮像部110と、CPU190と、操作部180と、画像処理部140と、表示部150と、記憶部160と、バッファメモリ部130と、通信部170とに接続され、各部から出力されたデータ等を転送する。
【0057】
以上、第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、撮像装置1が、第2の実施形態による画像処理装置20の機能を兼ね備える場合は、画像処理部140は、上述した第2の実施形態の画像処理装置20と同様の処理、即ち、細線化高周波成分生成部23および先鋭化画像生成部25によってなされる上述した処理を実行する。
【0058】
なお、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態による画像処理装置10、20の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態による画像処理装置10、20の各処理に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0059】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0060】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1…撮像装置 10、20…画像処理装置 11…高周波成分生成部 13、23…細線化高周波成分生成部 15、25…先鋭化画像生成部、110…撮像部、130…バッファメモリ部、140…画像処理部、150…表示部、160…記憶部、170…通信部、180…操作部、190…CPU、300…バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも7画素以上の幅のフィルターを用いて、入力画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像を生成し、前記入力画像から前記平滑化画像を減算することによって高周波成分を生成する高周波成分生成部と、
前記高周波成分に対して細線化処理を施して細線化高周波成分を生成する細線化高周波成分生成部と、
前記細線化高周波成分を前記入力画像に加算することによって、先鋭化された画像を生成する先鋭化画像生成部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
少なくとも7画素以上の幅のフィルターを用いて、入力画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像を生成するとともに、前記入力画像に対して細線化処理を施して細線化成分を生成し、前記細線化成分から前記平滑化画像を減算することによって、細線化高周波成分を生成する細線化高周波成分生成部と、
前記細線化高周波成分を前記入力画像に加算することによって、先鋭化された画像を生成する先鋭化画像生成部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
前記細線化処理は、処理対象とする画素位置および前記画素位置の近傍の画素位置の各成分のうちの最大値を算出し、前記画素位置の成分とする処理である
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の画像処理装置において、
前記先鋭化画像生成部は、
前記細線化高周波成分を所定値以下に制限した値を、前記入力画像に加算する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の画像処理装置において、
前記細線化処理は、
前記平滑化処理に用いるフィルターの幅よりも小さい幅のフィルターを用いる処理である
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4の何れかに記載の画像処理装置において、
前記細線化処理は、
前記平滑化処理に用いるフィルターの幅の半分未満の幅のフィルターを用いる処理である
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載の画像処理装置を備える撮像装置。
【請求項8】
画像処理装置のコンピュータに、
少なくとも7画素以上の幅のフィルターを用いて、入力画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像を生成し、前記入力画像から前記平滑化画像を減算することによって高周波成分を生成する高周波成分生成ステップと、
前記高周波成分に対して細線化処理を施して細線化高周波成分を生成する細線化高周波成分生成ステップと、
前記細線化高周波成分を前記入力画像に加算することによって、先鋭化された画像を生成する先鋭化画像生成ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
画像処理装置のコンピュータに、
少なくとも7画素以上の幅のフィルターを用いて、入力画像に対して平滑化処理を施して平滑化画像を生成するとともに、前記入力画像に対して細線化処理を施して細線化成分を生成し、前記細線化成分から前記平滑化画像を減算することによって、細線化高周波成分を生成する細線化高周波成分生成ステップと、
前記細線化高周波成分を前記入力画像に加算することによって、先鋭化された画像を生成する先鋭化画像生成ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−209795(P2011−209795A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74281(P2010−74281)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】